以下、本発明について実施形態及び例示物を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものでは無く、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、別に断らない限り、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する用語であり、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の両方を包含する用語である。
以下の説明において、レターデーションとは、別に断らない限り、面内レターデーションを表す。また、あるフィルムの面内レターデーションReは、別に断らない限り、Re=(nx−ny)×dで表される値である。ここで、nxは、前記フィルムの厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表す。nyは、前記フィルムの面内方向であってnxの方向に垂直な方向の屈折率を表す。dは、前記フィルムの厚みを表す。測定波長は、別に断らない限り、550nmである。
以下の説明において、フィルムの遅相軸とは、別に断らない限り、当該フィルムの面内における遅相軸を表す。
以下の説明において、「1/4波長板」及び「偏光板」とは、別に断らない限り、剛直な部材だけでなく、例えば樹脂製のフィルムのように可撓性を有する部材も含む。
以下の説明において、「長尺状」のフィルムとは、幅に対して、通常5倍以上、好ましくは10倍以上の長さを有するフィルムをいい、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬されうる程度の長さを有するフィルムをいう。
[1.光学積層体]
[1.1.光学積層体の概要]
図1は、本発明の第一実施形態に係る光学積層体100を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、光学積層体100は、長尺状の光学積層体であって、中間層110、及び、この中間層110の両側に設けられた表面層120及び130を備える。したがって、光学積層体100は、第一の表面層120、中間層110及び第二の表面層130をこの順に備える。
[1.2.中間層]
中間層は、脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤を含む。したがって、中間層は、通常、脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤を含む樹脂からなる樹脂層である。中間層を形成する前記の樹脂は、通常、熱可塑性樹脂である。
脂環式構造を含有する重合体は、その重合体の構造単位が脂環式構造を含有する重合体である。脂環式構造を含有する重合体は、通常、耐湿熱性に優れる。そのため、脂環式構造を含有する重合体を用いることにより、光学積層体の耐湿熱性を良好にできる。
脂環式構造を含有する重合体は、主鎖に脂環式構造を有していてもよく、側鎖に脂環式構造を有していてもよい。中でも、機械的強度及び耐熱性の観点から、主鎖に脂環式構造を含有する重合体が好ましい。
脂環式構造としては、例えば、飽和脂環式炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和脂環式炭化水素(シクロアルケン、シクロアルキン)構造などが挙げられる。中でも、機械強度及び耐熱性の観点から、シクロアルカン構造及びシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造が特に好ましい。
脂環式構造を構成する炭素原子数は、一つの脂環式構造あたり、好ましくは4個以上、より好ましくは5個以上であり、好ましくは30個以下、より好ましくは20個以下、特に好ましくは15個以下の範囲である。脂環式構造を構成する炭素原子数をこの範囲にすることにより、脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂の機械強度、耐熱性、及び成形性が高度にバランスされる。
脂環式構造を含有する重合体において、脂環式構造を有する構造単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択しうる。脂環式構造を含有する重合体における脂環式構造を有する構造単位の割合は、好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。脂環式構造を含有する重合体における脂環式構造を有する構造単位の割合がこの範囲にあると、脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂の透明性及び耐熱性が良好となる。
脂環式構造を含有する重合体としては、例えば、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素化物が挙げられる。これらの中でも、透明性及び成形性が良好であるので、ノルボルネン系重合体がより好ましい。
ノルボルネン系重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体及びその水素添加物;ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体及びその水素添加物が挙げられる。また、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する1種類の単量体の開環単独重合体、ノルボルネン構造を有する2種類以上の単量体の開環共重合体、並びに、ノルボルネン構造を有する単量体及びこれと共重合しうる任意の単量体との開環共重合体が挙げられる。さらに、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する1種類の単量体の付加単独重合体、ノルボルネン構造を有する2種類以上の単量体の付加共重合体、並びに、ノルボルネン構造を有する単量体及びこれと共重合しうる任意の単量体との付加共重合体が挙げられる。これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の水素添加物は、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、特に好適である。
ノルボルネン構造を有する単量体としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、およびこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)などを挙げることができる。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、極性基などを挙げることができる。これらの置換基は、同一または相異なって、複数個が環に結合していてもよい。ノルボルネン構造を有する単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
極性基の種類としては、例えば、ヘテロ原子、またはヘテロ原子を有する原子団などが挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、ハロゲン原子などが挙げられる。極性基の具体例としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン酸基などが挙げられる。
ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のモノ環状オレフィン類及びその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等の環状共役ジエン及びその誘導体;などが挙げられる。ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体は、例えば、単量体を開環重合触媒の存在下に重合又は共重合することにより製造しうる。
ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等の炭素原子数2〜20のα−オレフィン及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン等の非共役ジエン;などが挙げられる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。また、ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体は、例えば、単量体を付加重合触媒の存在下に重合又は共重合することにより製造しうる。
上述した開環重合体及び付加重合体の水素添加物は、例えば、開環重合体及び付加重合体の溶液において、ニッケル、パラジウム等の遷移金属を含む水素添加触媒の存在下で、炭素−炭素不飽和結合を、好ましくは90%以上水素添加することによって製造しうる。
ノルボルネン系重合体の中でも、構造単位として、X:ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジイル−エチレン構造と、Y:トリシクロ[4.3.0.12,5]デカン−7,9−ジイル−エチレン構造とを有し、これらの構造単位の量が、ノルボルネン系重合体の構造単位全体に対して90重量%以上であり、かつ、Xの割合とYの割合との比が、X:Yの重量比で100:0〜40:60であるものが好ましい。このような重合体を用いることにより、当該ノルボルネン系重合体を含む層を、長期的に寸法変化がなく、光学特性の安定性に優れるものにできる。
脂環式構造を含有する重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000以上、より好ましくは15,000以上、特に好ましくは20,000以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは80,000以下、特に好ましくは50,000以下である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、脂環式構造を含有する重合体を含む層の機械的強度および成型加工性が高度にバランスされる。
脂環式構造を含有する重合体の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上、特に好ましくは1.8以上であり、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下、特に好ましくは2.7以下である。分子量分布を前記範囲の下限値以上にすることにより、重合体の生産性を高め、製造コストを抑制できる。また、上限値以下にすることにより、低分子成分の量が小さくなるので、高温曝露時の緩和を抑制して、脂環式構造を含有する重合体を含む層の安定性を高めることができる。
前記の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、溶媒としてシクロヘキサンを用いた(但し、試料がシクロヘキサンに溶解しない場合にはトルエンを用いてもよい)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより、ポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量として測定しうる。
脂環式構造を含有する重合体のガラス転移温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上、特に好ましくは120℃以上であり、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下、特に好ましくは140℃以下である。脂環式構造を含有する重合体のガラス転移温度を、前記範囲の下限値以上にすることにより高温環境下における光学積層体の耐久性を高めることができ、前記範囲の上限値以下にすることにより光学積層体の延伸処理を容易に行える。
脂環式構造を含有する重合体の屈折率は、好ましくは1.45以上、より好ましくは1.48以上、特に好ましくは1.50以上であり、好ましくは1.60以下、より好ましくは1.58以下、特に好ましくは1.54以下である。脂環式構造を含有する重合体の屈折率を前記の範囲に収めることにより、当該光学積層体と偏光子との屈折率差を小さくすることが容易になり、偏光板の透過率を高くすることができる。
脂環式構造を含有する重合体の飽和吸水率は、好ましくは0.03重量%以下、さらに好ましくは0.02重量%以下、特に好ましくは0.01重量%以下である。飽和吸水率が前記範囲であると、脂環式構造を含有する重合体を含む層のレターデーション等の光学特性の経時変化を小さくすることができる。また、光学積層体を備える偏光板及び液晶表示装置の劣化を抑制でき、長期的に画像表示装置の表示を安定で良好に保つことができる。
飽和吸水率は、試料を一定温度の水中に一定時間浸漬して増加した質量を、浸漬前の試験片の質量に対する百分率で表した値である。通常は、23℃の水中に24時間、浸漬して測定される。重合体の飽和吸水率は、例えば、重合体中の極性基の量を減少させることにより、前記の範囲に調節することができる。よって、飽和吸水率をより低くする観点から、脂環式構造を含有する重合体は、極性基を有さないことが好ましい。
中間層を形成する樹脂における脂環式構造を含有する重合体の量は、好ましくは80.0重量%以上、より好ましくは85.0重量%以上、特に好ましくは90.0重量%以上であり、好ましくは99.0重量%以下、より好ましくは97.0重量%以下、特に好ましくは95.0重量%以下である。脂環式構造を含有する重合体の量を前記範囲に収めることにより、光学積層体を備える偏光板の加湿条件下での耐久性を高めることができる。
紫外線吸収剤としては、紫外線を吸収しうる化合物を用いうる。紫外線吸収剤を用いることにより、光学積層体を備える偏光板に含まれる有機成分の紫外線による劣化を抑制できるので、偏光板の耐久性を向上させることができる。さらに、液晶表示装置の液晶パネルの紫外線による劣化を抑制できる。例えば、光学積層体により、外光に含まれる紫外線による液晶パネルの劣化を抑制できる。また、例えば、液晶表示装置の製造方法が、紫外線硬化性の接着剤で任意の部材を接着する工程を含むことがある。この際、光学積層体により、接着剤を硬化させるための紫外線による液晶パネルの劣化を抑制することができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤等の有機紫外線吸収剤が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、1,3,5−トリアジン環を有する化合物を好ましく用いうる。トリアジン系紫外線吸収剤の具体例としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(へキシル)オキシ]−フェノール、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−ベンゾトリアゾール−2−イル−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)フェノール、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖および側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール等が挙げられる。
紫外線吸収剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
中間層を形成する樹脂における紫外線吸収剤の量は、好ましくは1.0重量%以上、より好ましくは3.0重量%以上、特に好ましくは5.0重量%以上であり、好ましくは20.0重量%以下、より好ましくは15.0重量%以下、特に好ましくは10.0重量%以下である。紫外線吸収剤の量を、前記範囲の下限値以上にすることにより光学積層体を備える偏光板の紫外線等の光に対する耐久性を効果的に高めることができ、前記範囲の上限値以下にすることにより光学積層体を備える偏光板の透過率を高めることができる。光学積層体の波長380nmにおける透過率を適切な範囲にするために、紫外線吸収剤の量を中間層の厚みに応じて適宜調整してもよい。
脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤を含む樹脂の製造方法は、任意であり、例えば、溶融押出法による延伸前積層体の製造時より前に紫外線吸収剤を脂環式構造を含有する重合体に配合する方法;紫外線吸収剤を高濃度に含むマスターバッチを用いる方法;溶融押出法による延伸前積層体の製造時に紫外線吸収剤を脂環式構造を含有する重合体に配合する方法、などが挙げられる。
中間層を形成する樹脂は、脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤に加えて、更に任意の成分を含みうる。任意の成分としては、例えば、顔料、染料等の着色剤;可塑剤;蛍光増白剤;分散剤;熱安定剤;光安定剤;耐電防止剤;酸化防止剤;界面活性剤等の配合剤が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
中間層の厚みは、好ましくは1.0μm以上、より好ましくは5.0μm以上、特に好ましくは7.0μm以上であり、好ましくは45μm以下、より好ましくは35μm以下、特に好ましくは30μm以下である。中間層の厚みを、前記範囲の下限値以上にすることにより中間層に対する紫外線吸収剤の割合を低く設計することができ、前記範囲の上限値以下にすることにより、光学積層体の機械特性を高くすることができる。
ここで、光学積層体に含まれる中間層及び表面層等の各層の厚みは、次の方法で測定しうる。光学積層体をエポキシ樹脂で包埋して、試料片を用意する。この試料片を、ミクロトームを用いて厚み0.05μmにスライスする。その後、スライスにより現れた断面を顕微鏡を用いて観察することで、光学積層体に含まれる各層の厚みを測定しうる。
[1.3.表面層]
表面層は、脂環式構造を含有する重合体を含む。したがって、表面層は、通常、脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂からなる樹脂層である。表面層を形成する前記の樹脂は、通常、熱可塑性樹脂である。中間層の一側に設けられた表面層を形成する樹脂の組成と、中間層の他側に設けられた表面層を形成する樹脂の組成とは、異なっていてもよいが、光学積層体の製造コストの抑制及びカールの抑制の観点から、同じであることが好ましい。
表面層に含まれる脂環式構造を含有する重合体としては、中間層に含まれる脂環式構造を含有する重合体として説明した範囲から選択される任意の重合体を用いうる。これにより、中間層に含まれる脂環式構造を含有する重合体の利点と同様の利点を、表面層においても発揮させることができる。中でも、表面層に含まれる脂環式構造を含有する重合体としては、中間層に含まれる脂環式構造を含有する重合体と同一の重合体を用いることが好ましい。これにより、中間層と表面層との接着強度を高めたり、中間層と表面層との界面での光の反射を抑制したりし易い。
各表面層において、表面層を形成する樹脂における脂環式構造を含有する重合体の量は、好ましくは90.0重量%〜100重量%、より好ましくは95.0重量%〜100重量%である。脂環式構造を含有する重合体の量を前記範囲にすることにより光学積層体を備える偏光板の耐久性を高めることができる。
表面層は、粒子を含んでいてもよい。以下、表面層が含む粒子を、「表面層粒子」と呼ぶことがある。したがって、表面層を形成する樹脂は、表面層粒子を含みうる。この際、光学積層体が有する表面層のうち、少なくとも1層の表面層が表面層粒子を含んでいてもよく、好ましくは全ての表面層が表面層粒子を含む。表面層が表面層粒子を含むことにより、光学積層体のヘイズ及び表面層の表面粗さを容易に調整することができる。
表面層粒子としては、当該表面層粒子を含む表面層に含まれる脂環式構造を含有する重合体の屈折率に近い屈折率を有する粒子が好ましい。具体的には、表面層粒子の屈折率と当該表面層粒子を含む表面層が含む脂環式構造を含有する重合体の屈折率との差が、好ましくは0.03以下、より好ましくは0.02以下である。表面層粒子と脂環式構造を含有する重合体との屈折率差を前記のように小さくすることにより、表面層粒子の表面での光の反射を抑制できる。そのため、光学積層体の内部ヘイズを容易に小さくできる。ここで、表面層粒子の屈折率は、脂環式構造を含有する重合体の屈折率より、高くてもよく、低くてもよい。
表面層粒子を形成する材料としては、前記所望の屈折率を有する材料を用いることが好ましい。表面層粒子の材料としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム等の無機材料;ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、セルロースアセテート及びセルロースアセテートプロピオネート、並びにこれらの架橋体等の有機材料が挙げられる。有機材料の場合は、上記材料をブレンドすることで、所望の屈折率に調整することが可能である。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
表面層粒子の数平均粒子径は、好ましくは0.10μm以上、より好ましくは0.30μm以上、特に好ましくは0.50μm以上であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.90μm以下、特に好ましくは0.85μm以下である。表面層粒子の数平均粒子径を前記の範囲に収めることにより、表面層の表面粗さ及び光学積層体の外部ヘイズを適切に調整でき、また、内部ヘイズも所定の範囲とすることが容易となる。ここで、粒子の数平均粒子径は、動的光散乱法(NanotracWaveシリーズ:日機装社製)、電気的検知帯法(Multisizer:BeckmanCoulter社製)により測定しうる。また、各表面層が含む表面層粒子の数平均粒子径は、同じでもよく、異なっていてもよい。
各表面層において、表面層粒子を含む表面層を形成する樹脂における前記表面層粒子の量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.3重量%以上、特に好ましくは0.4重量%以上であり、好ましくは5.0重量%以下、より好ましくは3.5重量%以下、特に好ましくは1.5重量%以下である。表面層粒子の量を前記範囲に収めることにより、表面層の表面粗さ及び光学積層体の外部ヘイズを適切に調整しやすい。
また、表面層は、紫外線吸収剤を含みうるが、表面層における紫外線吸収剤の量は少ないことが好ましく、表面層は紫外線吸収剤を含まないことがより好ましい。表面層が紫外線吸収剤を含まないことにより、紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制することができる。
表面層を形成する樹脂は、脂環式構造を含有する重合体及び表面層粒子に加えて、更に任意の成分を含みうる。任意の成分としては、例えば、中間層を形成する樹脂が含みうる任意の成分として挙げたのと同様の成分が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
表面層は、所定範囲の表面粗さを有することが好ましい。具体的には、表面層の表面の算術平均粗さが、好ましくは5.0nm以上、より好ましくは5.5nm以上、特に好ましくは6.0nm以上であり、好ましくは20nm以下、より好ましくは15.0nm以下、特に好ましくは10.0nm以下である。表面層の表面の算術平均粗さを、前記範囲の下限値以上にすることにより光学積層体のスジ状の欠陥を視認しにくくすることができ、前記範囲の上限値以下にすることにより光学積層体を備える液晶表示装置の視認性を向上することができる。光学積層体の表面に、ハードコート層形成用の液状組成物の層を形成する場合は、液状組成物の層の形成後に、光学積層体のスジ状の欠陥が強調されることがある。そのため、ハードコート層を形成する場合には、表面層の表面の算術平均粗さを前記範囲の下限値以上とすることが、特に効果的である。また、少なくとも1層の表面層の表面が前記範囲の算術平均粗さを有することが好ましく、全ての表面層の表面が前記範囲の算術平均粗さを有することがより好ましい。ここで、表面層の表面とは、中間層とは反対側の表面層の面を表し、図1に示す例では面120D及び130Uを表す。表面層の表面の算術平均粗さは、干渉式表面粗さ測定装置(Zygo社製「NewView7300」)を用いて測定しうる。
表面層の厚みは、好ましくは1.0μm以上、より好ましくは2.0μm以上、特に好ましくは3.0μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは9.0μm以下、特に好ましくは8.0μm以下である。表面層の厚みを前記の範囲に設定することにより、表面粗さ及び光学積層体の外部ヘイズを適切に調整しやすい。ここで、前記の表面層の厚みの範囲は、各表面層の厚みの範囲を表す。
[1.4.任意の層]
光学積層体は、必要に応じて、上述した中間層及び表面層に組み合わせて任意の層を含みうる。例えば、中間層と表面層との間に任意の樹脂層を備えていてもよい。ただし、光学積層体を薄くする観点から、光学積層体は任意の層を備えない3層構造のフィルムであることが好ましく、したがって中間層と表面層とは直接に接していることが好ましい。
[1.5.光学積層体の物性及び厚み]
測定波長550nmにおける光学積層体のレターデーションRe(550)は、80nm以上、好ましくは85nm以上、より好ましくは90nm以上であり、180nm以下、好ましくは160nm以下、より好ましくは150nm以下である。このような範囲のレターデーションRe(550)を有する光学積層体は、1/4波長板として機能できる。そのため、この光学積層体を用いれば、直線偏光を円偏光に変換することが可能であるので、前記の光学積層体を適用した液晶表示装置が画像を円偏光で表示できる。したがって、偏光サングラスを着用して前記の液晶表示装置が表示する画像を見た場合に、画像の明るさを良好にして画像を視認可能にできる。
光学積層体の長手方向に対する光学積層体の配向角θは、45°±5°である。ここで、前記の配向角θは、光学積層体の長手方向に対して、光学積層体の面内の遅相軸がなす角度を表す。前記の配向角θは、より詳しくは、好ましくは40°以上、より好ましくは43°以上、特に好ましくは44°以上であり、好ましくは50°以下、より好ましくは47°以下、特に好ましくは46°以下である。通常、偏光板を製造する場合には、長尺状の偏光子と長尺状の光学積層体とを、長手方向を平行にして貼り合わせる。また、偏光子の透過軸は、通常、偏光子の長手方向に平行又は垂直である。したがって、前記のように光学積層体が前記の配向角θを有する場合には、偏光子の透過軸と光学積層体の遅相軸とが45°±5°の角度をなすように、容易に貼り合わせることができる。このようにして製造された偏光板では、偏光子を透過した直線偏光は、光学積層体によって円偏光に変換されうる。よって、この偏光板を液晶表示装置に設ければ、偏光サングラスを着用した場合でも画像の明るさを良好にできる液晶表示装置を容易に実現できる。
光学積層体は、0.5%以下の内部ヘイズ及び0.5%以上の外部ヘイズを有する。このように光学積層体の内部ヘイズ及び外部ヘイズを所定範囲に収めることにより、前記の光学積層体を適用した液晶表示装置を偏光サングラスを着用して見た場合に、画像の視認性を良好にできる。具体的には、虹状のムラ及びスジ状のムラ等の表示ムラの発生を抑制できる。
より詳しくは、光学積層体の内部ヘイズは、通常0.5%以下、好ましくは0.4%以下、より好ましくは0.3%以下である。このように光学積層体の内部ヘイズを小さくすることにより、光学積層体全体の総ヘイズを抑制できるので、画像の鮮明性を良好に維持しながら、表示ムラの抑制を行うことができる。光学積層体の内部ヘイズの下限は任意であり、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.02%以上である。
また、光学積層体の外部ヘイズは、通常0.5%以上、好ましくは0.6%以上である。このように光学積層体の外部ヘイズが大きいことは、光学積層体の表面に前記外部ヘイズに相当する凹凸構造が形成されていることを表す。このような凹凸構造の作用により、表示ムラの原因となりうる光の干渉を抑制できる。そのため、光学積層体を適用された表示装置の表示ムラを抑制できるので、視認性を良好にできる。光学積層体の外部ヘイズの上限は任意であるが、光学積層体全体の総ヘイズを抑制する観点から、好ましくは5.0%以下、より好ましくは3.0%以下、特に好ましくは1.5%以下である。
光学積層体の内部ヘイズ及び外部ヘイズは、下記の方法によって測定しうる。
光路長10mmの石英セル内に、光学積層体と同じ値の屈折率を有する液体を充填する。光学積層体を短冊状に切り出してフィルム片を用意し、このフィルム片を前記の石英セル中に挿入する。その後、石英セルをヘイズメーターに設置し、内部ヘイズを測定する。
さらに、JIS K 7136に準拠して、光学積層体の総ヘイズを測定し、この総ヘイズの値から前記内部ヘイズの値を引き算して、外部ヘイズを算出する。
光学積層体は、下記の式(i)を満たすことが好ましい。下記式(i)において、Re(400)、Re(550)、Re(700)は、それぞれ、波長400nm、550nm、700nmにおける光学積層体のレターデーションを表す。
Re(400)<Re(550)<Re(700) (i)
前記式(i)を満たす光学積層体は、逆波長分散性のレターデーションを有する。このように逆波長分散性のレターデーションを有する光学積層体は、その光学的機能を広範な波長範囲において均一に発揮することができる。式(i)を満たす光学積層体は、例えば、中間層に含まれる紫外線吸収剤の種類及び量を調整することにより、実現しうる。
光学積層体の全光線透過率は、好ましくは85%〜100%、より好ましくは87%〜100%、特に好ましくは90%〜100%である。全光線透過率は、JIS K0115に準拠して、分光光度計を用いて測定しうる。
波長380nmにおける光学積層体の光線透過率は、好ましくは10%以下、より好ましくは8.0%以下、特に好ましくは5.0%以下である。波長380nmにおいてこのように低い光線透過率を有する光学積層体は、紫外線を遮断する能力に優れる。そのため、このような光学積層体は、当該光学積層体を備える偏光板の耐久性を向上させたり、当該光学積層体を適用した液晶表示装置の液晶パネルの紫外線による劣化を抑制したりできる。
光学積層体が含む揮発性成分の量は、好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下、さらに好ましくは0.02重量%以下である。揮発性成分の量を前記範囲にすることにより、光学積層体の寸法安定性が向上し、レターデーション等の光学特性の経時変化を小さくすることができる。さらには、光学積層体を備える偏光板及び液晶表示装置の劣化を抑制でき、長期的に液晶表示装置の表示を安定で良好に保つことができる。ここで、揮発性成分は、分子量200以下の物質である。揮発性成分としては、例えば、残留単量体及び溶媒などが挙げられる。揮発性成分の量は、分子量200以下の物質の合計として、ガスクロマトグラフィーにより分析することにより定量しうる。
光学積層体の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、特に好ましくは20μm以上であり、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、特に好ましくは30μm以下である。光学積層体の厚みを、前記範囲の下限値以上にすることにより光学積層体に所望の範囲のレターデーションを発現させることができ、前記範囲の上限値以下にすることにより光学積層体を薄くできる。
[1.6.光学積層体の製造方法]
光学積層体の製造方法に制限は無い。光学積層体は、例えば、中間層を形成するための樹脂及び表面層を形成するための樹脂をフィルム状に成形して延伸前積層体を得る工程と、延伸前積層体を延伸して光学積層体を得る工程とを含む製造方法により、製造し得る。
樹脂の成形方法としては、例えば、共押出法及び共流延法などが挙げられる。これらの成形方法の中でも、共押出法は、製造効率に優れ、光学積層体中に揮発性成分を残留させ難いので、好ましい。
共押出法では、中間層を形成するための樹脂及び表面層を形成するための樹脂を共押し出しする押出工程を含む。押出工程において中間層を形成するための樹脂及び表面層を形成するための樹脂は、それぞれ溶融状態で層状に押し出される。この際、樹脂の押出方法としては、例えば、共押出Tダイ法、共押出インフレーション法、共押出ラミネーション法等が挙げられる。中でも、共押出Tダイ法が好ましい。共押出Tダイ法には、フィードブロック方式及びマルチマニホールド方式があり、厚みのばらつきを少なくできる点で、マルチマニホールド方式が特に好ましい。
押出工程において、押し出される樹脂の溶融温度は、好ましくはTg+80℃以上、より好ましくはTg+100℃以上であり、好ましくはTg+180℃以下、より好ましくはTg+170℃以下である。ここで「Tg」は、中間層又は表面層に含まれる脂環式構造を含有する重合体のガラス転移温度のうち、最も高い温度を表す。押し出される樹脂の溶融温度を、前記範囲の下限値以上にすることにより樹脂の流動性を十分に高めて成型性を良好にでき、また、上限値以下にすることにより樹脂の劣化を抑制できる。
押出工程において、押出機における樹脂の温度は、樹脂投入口では好ましくはTg〜(Tg+100℃)、押出機出口では好ましくは(Tg+50℃)〜(Tg+170℃)、ダイス温度は好ましくは(Tg+50℃)〜(Tg+170℃)である。
さらに、押出工程において用いるダイのダイスリップの算術平均粗さは、好ましくは1.0μm以下、より好ましくは0.7μm以下、特に好ましくは0.5μm以下である。ダイスリップの算術平均粗さを前記範囲に収めることにより、光学積層体のスジ状の欠陥を抑制することが容易となる。
共押出法では、通常、ダイスリップから押し出されたフィルム状の溶融樹脂を冷却ロールに密着させて冷却し、硬化させる。この際、溶融樹脂を冷却ロールに密着させる方法としては、例えば、エアナイフ方式、バキュームボックス方式、静電密着方式などが挙げられる。
冷却ロールの数は、特に制限されず、通常は2本以上である。冷却ロールの配置方法としては、例えば、直線型、Z型、L型などが挙げられる。この際、ダイスリップから押出された溶融樹脂の冷却ロールへの通し方は特に制限されない。
前記のように樹脂をフィルム状に成形することにより、中間層を形成するための樹脂からなる層と、この層の両側に設けられた表面層を形成するための樹脂からなる層とを備える長尺状の延伸前積層体が得られる。この延伸前積層体を延伸することにより、光学積層体を得ることができる。
延伸は、一方向のみに延伸処理を行う一軸延伸処理を行ってもよく、異なる2方向に延伸処理を行う二軸延伸処理を行ってもよい。また、二軸延伸処理では、2方向に同時に延伸処理を行う同時二軸延伸処理を行ってもよく、ある方向に延伸処理を行った後で別の方向に延伸処理を行う逐次二軸延伸処理を行ってもよい。さらに、延伸は、延伸前積層体の長手方向に延伸処理を行う縦延伸処理、延伸前積層体の幅方向に延伸処理を行う横延伸処理、延伸前積層体の幅方向に平行でもなく垂直でもない斜め方向に延伸処理を行う斜め延伸処理のいずれを行ってもよく、これらを組み合わせて行ってもよい。これらの延伸処理の中でも、光学積層体の配向角を所望の範囲に容易に収めることができるので、斜め延伸処理が好ましい。延伸処理の方式は、例えば、ロール方式、フロート方式、テンター方式などが挙げられる。
延伸温度及び延伸倍率は、所望のレターデーションを有する光学積層体が得られる範囲で任意に設定しうる。具体的な範囲を挙げると、延伸温度は、好ましくはTg−30℃以上、より好ましくはTg−10℃以上であり、好ましくはTg+60℃以下、より好ましくはTg+50℃以下である。また、延伸倍率は、好ましくは1.01倍〜30倍、好ましくは1.01倍〜10倍、より好ましくは1.01倍〜5倍である。
また、光学積層体の製造方法は、前述した工程に加えて、更に任意の工程を含んでいてもよい。
[2.ハードコート積層体]
図2は、本発明の第二実施形態に係るハードコート積層体200を模式的に示す断面図である。
図2に示すように、ハードコート積層体200は、前述の長尺状の光学積層体100、及び、この光学積層体100の一方の面130Uに設けられたハードコート層210を備える。長尺状の光学積層体100を備えるので、ハードコート積層体200も長尺状の形状を有する。
ハードコート層は、高い硬さを有する層である。ハードコート層を備えることにより、ハードコート積層体の表面に傷つきを抑制できる。
ハードコート層の硬さは、JIS鉛筆硬度で表しうる。ハードコート層の具体的なJIS鉛筆硬度は、好ましくはB以上、より好ましくはHB以上、特に好ましくはH以上である。ハードコート層のJIS鉛筆硬度を前記のように高くすることにより、ハードコート積層体の耐擦傷性を向上させることができる。ここで、JIS鉛筆硬度は、JIS K5600−5−4に準拠して、各種硬度の鉛筆を45°傾けて、上から500g重の荷重を掛けて層の表面を引っ掻き、傷が付きはじめる鉛筆の硬さである。
このようなハードコート層は、通常、重合体を含む樹脂からなる。ハードコート層に含まれる重合体としては、所望の硬さを有するハードコート層が得られる範囲で、任意の重合体を用いうる。中でも、ハードコート層に含まれる重合体としては、(メタ)アクリロイル基を1分子中に3個以上有する化合物を50重量%以上含む重合性単量体を重合して得られる重合体が好ましい。このような重合体を用いることにより、ハードコート層の硬さを高くできる。また、通常は、ハードコート層の表面抵抗率を低くすることができる。
(メタ)アクリロイル基を1分子中に3個以上有する化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を1分子中に3個以上有する化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートとの組み合わせ、並びに、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートとジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートとジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートとの組み合わせを用いてもよい。
中でも、1分子中に(メタ)アクリロイル基を4個有する化合物、5個有する化合物、及び、6個有する化合物を、合計で80重量%以上含む重合性単量体を用いることが、好ましい。
また、重合性単量体としては、前記のような(メタ)アクリロイル基を1分子中に3個以上有する化合物に組み合わせて、任意の単量体化合物を用いてもよい。任意の単量体化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の3官能の(メタ)アクリレート類;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、メタクリル酸アリル、フタル酸ジアリル、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセリンジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート等の多官能不飽和単量体類;ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート、2−プロペノイックアシッド[5,5’−(9−フルオレン−9−イリデン)ビス(1,1’−ビフェニル)−2−(ポリオキシエチレン)エステル]、2−プロペノイックアシッド[5,5’−4−(1,1’ビフェニリル)メチレンビス(1,1’−ビフェニル)−2−(ポリオキシエチレン)エステル]等の芳香環及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の炭素原子数1〜30のアルキル(メタ)アクリレート類のアクリル系不飽和単量体類;等が挙げられる。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
特に、任意の単量体化合物として、カルボキシル基と重合性の炭素−炭素二重結合とを有する化合物を、重合性単量体の全量中の0.01重量%〜5重量%用いると、ハードコート層の表面抵抗率を効果的に低くできる。前記のカルボキシル基と重合性の炭素−炭素二重結合とを有する化合物としては、例えば、アクリル酸;メタクリル酸;クロトン酸;フマル酸;イタコン酸;ムコン酸;無水マレイン酸とモノアルコールとのハーフエステル類;ジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びペンタエリスリトールトリアクリレート等の水酸基を有するアクリレート類中の水酸基の一部がアクリル酸の炭素−炭素二重結合に付加した化合物;ジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びペンタエリスリトールトリアクリレート等の水酸基を有するアクリレート類中の水酸基とジカルボン酸もしくは無水カルボン酸とが反応した化合物;などが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリロイル基を1分子中に3個以上有する化合物を50重量%以上含む重合性単量体の酸価は、好ましくは0.01mgKOH/g〜0.5mgKOH/gである。酸価を前記範囲の下限値以上にすることにより、ハードコート層の表面抵抗率を効果的に低くできる。また、酸化を前記範囲の上限値以下にすることにより、ハードコート層を製造するための液状組成物の安定性を良好にできる。
重合性単量体の酸価は、JIS K0070(化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法)により、指示薬にブロモチモールブルーを用いて測定しうる。
ハードコート層における重合体の量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、特に好ましくは70重量%以上であり、好ましくは100重量%以下、より好ましくは95重量%以下、特に好ましくは90重量%以下である。重合体の量を前記範囲にすることにより、ハードコート層と光学積層体との接着性を高めることができる。また、ハードコート層が金属酸化物粒子を含む場合に、金属酸化物粒子の分散性を向上させることができる。さらに、ハードコート層の厚みを均一にすることができる。
また、ハードコート層は、導電性を有することが好ましい。ハードコート層が導電性を有することにより、ハードコート積層体が帯電防止機能を発揮できる。これにより、タッチパネルを備えた液晶表示装置がハードコート積層体を備える場合に、液晶表示装置での電荷の蓄積による液晶分子の駆動制御の乱れを抑制できる。
ハードコート層の導電性は、表面抵抗率で表しうる。ハードコート層の具体的な表面抵抗率は、好ましくは1.0×106Ω/□以上、より好ましくは1.0×107Ω/□以上、より好ましくは1.0×108Ω/□以上であり、好ましくは1.0×1010Ω/□以下、より好ましくは5.0×109Ω/□以下、特に好ましくは1.0×109Ω/□以下である。ハードコート層がこのような表面抵抗率を有することにより、ハードコート積層体の帯電防止性を高めることができる。そのため、例えばハードコート積層体をインセルタイプのタッチパネルを備える液晶表示装置に組み込んだ場合に、タッチパネルの操作時に、帯電による液晶駆動のムラの発生を抑制できる。
ハードコート層の表面抵抗率は、下記の方法で測定しうる。
ハードコート積層体を10cm×10cmの正方形に切り出してフィルム片を用意する。このフィルム片のハードコート層の表面抵抗率を、抵抗率計(三菱化学アナリテック社製「ハイレスタUX MCP−HT800」)を用いて測定する。測定は、電圧500V、測定時間10秒で行う。また、測定の際、プローブとしてはURSタイプを使用し、専用固定治具(RMJ360)でフィルム片に1.9kgの荷重をかけて測定する。
導電性を有するハードコート層を得るために、上述した重合体に組み合わせて導電性を有する金属酸化物粒子を含む樹脂により、ハードコート層を形成しうる。ハードコート層において、金属酸化物粒子は鎖状に連結するように凝集して鎖状連結体を形成しうる。この鎖状連結体によって、ハードコート層内に導電パスが形成されうる。そのため、ハードコート層は導電性を有することができる。
金属酸化物粒子に含まれる金属酸化物としては、例えば、酸化錫;アンチモン、フッ素又はリンがドーピングされた酸化錫;酸化インジウム;アンチモン、スズ又はフッ素がドーピングされた酸化インジウム;酸化アンチモン;低次酸化チタン等が挙げられる。特に、アンチモンがドーピングされた酸化錫、及び、アンチモンがドーピングされた酸化インジウムが好ましい。また、これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
金属酸化物粒子の平均粒子径は、好ましくは2nm以上、より好ましくは4nm以上、特に好ましくは5nm以上であり、好ましくは50nm以下、より好ましくは40nm以下、特に好ましくは10nm以下である。金属酸化物粒子の平均粒子径を前記範囲の下限値以上にすることにより、金属酸化物粒子が粒状に凝集し難くなるので、金属酸化物粒子を鎖状に連結するように凝集させ易い。また、上限値以下にすることにより、ハードコート層のヘイズを小さくできるので、ハードコート層の透明性を向上させることができる。さらに、金属酸化物粒子同士を鎖状に連結させ易い。
ここで、金属酸化物粒子の平均粒子径とは、レーザー回折法で測定された粒子径分布が正規分布を示すと仮定した場合において散乱強度が最大となる粒子径を示す。
金属酸化物粒子は、当該粒子の表面を、加水分解性の有機ケイ素化合物で処理されたものであることが好ましい。このような処理を施された金属酸化物粒子は、通常、金属酸化物からなる粒子本体の表面が、有機ケイ素化合物の加水分解物によって修飾されている。以下、加水分解性の有機ケイ素化合物による金属酸化物粒子の表面の処理を「修飾処理」と呼ぶことがある。また、粒子表面を加水分解性の有機ケイ素化合物で処理された金属酸化物粒子のことを「修飾粒子」ということがある。このような修飾処理を施すことにより、金属酸化物粒子の鎖状の連結を強固にしたり、金属酸化物粒子の分散性を向上させたりできる。
加水分解性の有機ケイ素化合物としては、例えば、下記式(1)で表される有機ケイ素化合物が挙げられる。
R1 aSi(OR2)4−a (1)
(式(1)において、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10の炭化水素基、及び、炭素原子数1〜10の有機基からなる群より選ばれる基を表し、aは、0〜3の整数を表す。)
式(1)において、R1として好ましい例を挙げると、ビニル基、アクリル基、炭素原子数1〜8のアルキル基などが挙げられる。
また、式(1)において、R2として好ましい例を挙げると、水素原子、ビニル基、アリール基、アクリル基、炭素原子数1〜8のアルキル基、−CH2OCnH2n+1(nは1〜4の整数を表す。)などが挙げられる。
式(1)で表される有機ケイ素化合物としては、「a」が0又は1の有機ケイ素化合物が好ましい。式(1)において「a」が0である四官能の有機ケイ素化合物は、金属酸化物粒子の連結を維持することに有効である。また、式(1)において「a」が1である三官能の有機ケイ素化合物は、ハードコート層を製造するための液状組成物中における鎖状に連結した金属酸化物粒子の分散性を向上させることに有効である。更に、式(1)において「a」が0又は1である三官能以上の有機ケイ素化合物は、通常、加水分解速度が速い。
式(1)で表される有機ケイ素化合物としては、「a」が0である四官能の有機ケイ素化合物と「a」が1である三官能の有機ケイ素化合物とを組み合わせて用いることが好ましい。このように組み合わせて用いる場合、四官能の有機ケイ素化合物と三官能の有機ケイ素化合物とのモル比(四官能の有機ケイ素化合物/三官能の有機ケイ素化合物)は、好ましくは20/80以上、より好ましくは30/70以上であり、好ましくは80/20以下、より好ましくは70/30である。四官能の有機ケイ素化合物が過剰とならないようにすることで、金属酸化物粒子が塊りに凝固することを抑制できるので、鎖状の連結を生成させ易い。また、三官能の有機ケイ素化合物が過剰とならないようにすることで、金属酸化物粒子の連結の際におけるゲルの生成を抑制できる。そのため、前記のようなモル比で式(1)で表される四官能の有機ケイ素化合物と三官能の有機ケイ素化合物とを組み合わせることにより、金属酸化物粒子を効率的に鎖状に連結させることができる。
前記のように、式(1)で表される有機ケイ素化合物として四官能の有機ケイ素化合物と三官能の有機ケイ素化合物とを組み合わせて用いることにより、金属酸化物粒子同士を鎖状に強固に連結することができる。
金属酸化物粒子の連結部分は活性が高いので、「a」が0である四官能の有機ケイ素化合物は、金属酸化物粒子の連結部分に吸着しやすい。また、四官能の有機ケイ素化合物は、加水分解しやすいので、アルコールの混合と同時に加水分解が進行し、Si−OHが多く生成する。他方、「a」が1である三官能の有機ケイ素化合物は、水への溶解度が低く、アルコールと混合することで水に溶解して加水分解が進む。そのため、三官能の有機ケイ素化合物は、先に金属酸化物粒子の連結部分に吸着して加水分解した四官能の有機ケイ素化合物のSi−OHに、後から反応する。これにより、金属酸化物粒子同士を鎖状に強固に連結することができると推察される。ただし、本発明は、この推察によって制限されない。
したがって、四官能の有機ケイ素化合物と三官能の有機ケイ素化合物とを組み合わせて用いる場合には、これらの有機ケイ素化合物を同時に金属酸化物粒子の水分散液と混合するのではなく、まず、四官能の有機ケイ素化合物を金属酸化物粒子の水分散液と混合したのち、アルコールを混合するとともに三官能の有機ケイ素化合物を混合することが好ましい。
加水分解性の有機ケイ素化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリプロポキシシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシドキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシ又はトリアシルオキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミニプロピルメチルジメトキシシラン等のジアルコキシシラン又はジアシルシラン類;トリメチルクロロシラン等が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
修飾粒子(粒子表面を加水分解性の有機ケイ素化合物で処理された金属酸化物粒子)は、例えば、下記の製造方法で製造し得る。下記の製造方法では、修飾粒子は、分散液の状態で製造される。
ここで説明する修飾粒子の製造方法では、処理対象となる金属酸化物粒子の水分散液を用意する。このとき、水分散液における金属酸化物粒子の濃度は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは10重量%以上であり、好ましくは40重量%以下である。
その後、前記の水分散液のpHを、好ましくは2以上、より好ましくは2.5以上、且つ、好ましくは5以下、より好ましくは4以下に調整する。水分散液のpHを前記範囲の下限値以上にすることにより、金属酸化物粒子の球状の凝集を抑制できるので、鎖状の連結を生じさせ易い。また、上限値以下にすることにより、金属酸化物粒子が鎖状に連結する際、連結数を高め易い。そのため、金属酸化物粒子の平均連結数を2以上と多くし易いので、ハードコート層の導電性を向上させ易い。
pHを調整する方法としては、イオン交換樹脂を用いたイオン交換処理法、酸を混合する方法、などが挙げられる。イオン交換樹脂としては、H型カチオン交換樹脂が好ましい。通常、イオン交換処理によって、水分散液のpHを酸性にシフトさせることができる。また、イオン交換樹脂処理だけではpHが充分に低くならない場合に、必要に応じて水分散液に酸を混合してもよい。
また、通常、イオン交換処理の際には、脱イオン処理も行われるので、金属酸化物粒子は鎖状に配向し易くなる。
pHを調整した後で、金属酸化物粒子の水分散液を濃縮又は希釈することにより、当該水分散液の固形分濃度を、適切な範囲に調整することが好ましい。具体的には、pH調整後の水分散液の固形分濃度を、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、且つ、好ましくは40重量%以下、より好ましくは35重量%以下に調整する。金属酸化物粒子の水分散液の固形分濃度を前記範囲の下限値以上にすることにより、金属酸化物粒子の鎖状の連結を生じさせ易い。そのため、金属酸化物粒子の平均連結数を3以上と多くし易いので、ハードコート層の導電性を向上させ易い。また、上限値以下にすることにより、金属酸化物粒子の水分散液の粘度を低くして、撹拌による混合を十分に進行させることができる。そのため、加水解性の有機ケイ素化合物を金属酸化物粒子に均一に吸着させることができる。
その後、前記のようにして用意した金属酸化物粒子の水分散液と、加水分解性の有機ケイ素化合物とを混合する。加水分解性の有機ケイ素化合物としては、前記の式(1)で表される化合物が挙げられる。
加水分解性の有機ケイ素化合物の量は、当該有機ケイ素化合物の種類、金属酸化物粒子の粒子径などの要素に応じて適切に設定しうる。金属酸化物粒子と加水分解性の有機ケイ素化合物との重量比(有機ケイ素化合物/金属酸化物粒子)は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.02以上であり、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.3以下である。2種類以上の有機ケイ素化合物を用いる場合、その有機ケイ素化合物の合計量が、前記の重量比の範囲を満たすことが好ましい。前記の重量比を前記範囲の下限値以上にすることにより、鎖状に連結した金属酸化物粒子の連結がハードコート層を製造するための液状組成物中で切れることを抑制できるので、ハードコート層の導電性を効果的に固めることができる。また、前記液状組成物中での金属酸化物粒子の分散性を向上させたり、前記液状組成物の粘度を低くしたり、前記液状組成物の経時安定性を良好にしたりできるので、ハードコート層のヘイズを低くできる。また、重量比を前記範囲の上限値以下にすることにより、金属酸化物粒子の表面を修飾する有機ケイ素化合物の加水分解物の層が厚くなりすぎることを抑制できるので、ハードコート層の導電性を効果的に高めることができる。
また、ここで説明する修飾粒子の製造方法では、金属酸化物粒子の水分散液とアルコールとを混合することにより、加水分解性の有機ケイ素化合物を加水分解する工程を行う。この工程は、通常、金属酸化物粒子の水分散液と加水分解性の有機ケイ素化合物とを混合する工程の後で行う。ただし、前述したように、四官能の有機ケイ素化合物と三官能の有機ケイ素化合物とを組み合わせて用いる場合には、四官能の有機ケイ素化合物を金属酸化物粒子の水分散液と混合した後で、この水分散液にアルコールを混合し、金属酸化物粒子の水分散液とアルコールとを混合すると同時又はその後に、三官能の有機ケイ素化合物を金属酸化物粒子の水分散液に混合することが好ましい。
アルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール等が挙げられる。これらのアルコールは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。また、前記のアルコールに組み合わせて、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の有機溶媒を用いてもよい。
アルコールの量は、アルコールとの混合後の金属酸化物粒子の水分散液の固形分濃度(有機ケイ素化合物を含む全固形分。有機ケイ素化合物はシリカ換算。)が、所望の範囲に収まるように調整することが好ましい。ここで、水分散液の固形分濃度の所望の範囲は、好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上であり、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。
加水分解の際の温度は、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上である。加水分解の際の温度の上限は、通常は使用溶媒の沸点(概ね100℃)以下である。加水分解の際の温度を前記の下限値以上にすることにより、加水分解に要する時間を短くしたり、加水分解性の有機ケイ素化合物の残存を抑制したりでき、また、上限値以下にすることにより、得られる修飾粒子の安定性を良好にできるので、粒子の過剰な凝集を抑制できる。
さらに、必要に応じて、加水分解触媒として、金属酸化物粒子の水分散液に酸を混合してもよい。酸としては、塩酸、硝酸、酢酸、リン酸が挙げられる。また、酸は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
有機ケイ素化合物を加水分解する際の操作の好適な具体例は、以下の通りである。
まず、式(1)において「a」が0である四官能の有機ケイ素化合物を、金属酸化物粒子の水分散液と混合し、この水分散液とアルコールとを混合して、四官能の有機ケイ素化合物の加水分解を行う。その後、水分散液を室温に冷却し、必要に応じて再び前記アルコールと混合する。その後、式(1)において「a」が1である三官能の有機ケイ素化合物を前記の水分散液と混合し、前述の加水分解に適した温度に昇温して、加水分解を行う。これにより、四官能の有機ケイ素化合物の加水分解物によって、金属酸化物粒子の鎖状の連結を維持することができる。さらに、三官能の有機ケイ素化合物の加水分解物の金属酸化物粒子の表面への結合が促進されるので、金属酸化物粒子の分散性を向上させることができる。
前記のように有機ケイ素化合物を加水分解することにより、金属酸化物粒子の表面を有機ケイ素化合物の加水分解物によって修飾して、修飾粒子を得ることができる。加水分解を行った直後においては、前記の修飾粒子は、水等の溶媒に分散した分散液の状態で得られる。この修飾粒子の分散液は、そのままハードコート層を製造するための液状組成物の調製に用いうるが、必要に応じて、洗浄処理又は脱イオン処理を施してもよい。脱イオン処理によりイオン濃度を低下させることで、安定性に優れた修飾粒子の分散液を得ることができる。この脱イオン処理は、例えば、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、両イオン交換樹脂等のイオン交換樹脂を用いて行いうる。また、洗浄処理は、例えば、限外濾過膜法を用いて行いうる。
さらに、得られた修飾粒子の分散液は、必要に応じて、溶媒置換を行ってから用いてもよい。溶媒置換を行うと、重合体及び極性溶媒への分散性が向上する。そのため、ハードコート層を製造するための液状組成物の塗布性を向上させることができる。したがって、ハードコート層の表面の平滑性を良好にしたり、ハードコート層における筋条及びムラ等の外観上の欠陥の発生を抑制したりできる。さらに、ハードコート層の耐擦傷性、透明性、密着性を向上させたり、ヘイズを小さくしたりできる。また、ハードコート積層体の製造信頼性を向上させることができる。
得られた修飾粒子の分散液は、必要に応じて、水と混合して用いてもよい。水と混合することにより、通常、修飾粒子の連結数が増加し、得られるハードコート層の導電性が向上する。そのため、概ね102Ω/□〜1012Ω/□の表面抵抗率を有するハードコート層が得られるので、帯電防止性に優れたハードコート積層体が得られる。
金属酸化物粒子の平均連結数は、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上、特に好ましくは5個以上である。金属酸化物粒子の平均連結数を前記下限値以上にすることにより、ハードコート層の帯電防止性を高めることができる。金属酸化物粒子の平均連結数の上限は、好ましくは20個以下、より好ましくは10個以下である。金属酸化物粒子の平均連結数を前記上限値以下にすることにより、鎖状に連結した金属酸化物粒子の製造を容易に行うことができる。
ここで、金属酸化物粒子の平均連結数は、下記の方法により測定しうる。
金属酸化物粒子の鎖状連結体の写真を、透過型電子顕微鏡によって撮影する。この写真から、金属酸化物粒子の鎖状連結体100個について、それぞれの鎖状連結体における連結数を求める。そして、各鎖状連結体の連結数の平均値を計算し、小数点以下1桁を四捨五入して、金属酸化物粒子の平均連結数を得る。
ハードコート層において、金属酸化物粒子の量は、好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上、特に好ましくは10重量%以上であり、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下、特に好ましくは20重量%以下である。金属酸化物粒子の量を前記範囲の下限値以上にすることにより、ハードコート層の表面抵抗率を効果的に低くできる。また、上限値以下にすることにより、ハードコート層のヘイズを小さくできるので、ハードコート積層体の透明性を良好にできる。
また、ハードコート層は、必要に応じて、前述の重合体及び金属酸化物粒子以外に任意の成分を含みうる。また、任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ハードコート層の屈折率は、好ましくは1.500以上、より好ましくは1.510以上、更に好ましくは1.515以上、特に好ましくは1.520以上であり、好ましくは1.550以下、より好ましくは1.540以下、更に好ましくは1.535以下、特に好ましくは1.530以下である。ハードコート層の屈折率を前記の範囲に収めることで、ハードコート層の屈折率を、光学積層体が含む脂環式構造を含有する重合体の屈折率に近づけることができる。これにより、ハードコート層の塗布ムラ及びスポットムラを視認し難くできるので、ハードコート積層体の外観を良好にし易い。
ハードコート層の屈折率は、屈折率膜厚測定装置(Metricon社製「プリズムカプラ」)にて波長407nm、波長532nm、及び波長633nmの3波長で測定した値を元にコーシーフィッティングを行い求めた、波長550nmでの数値である。
ハードコート層は、任意の層を介して光学積層体上に間接的に設けられていてもよいが、光学積層体の表面に直接に設けられていることが好ましい。
ハードコート層の厚みは、好ましくは1.5μm以上、より好ましくは2μm以上、更に好ましくは3μm以上であり、好ましくは10.0μm以下、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは7μm以下、特に好ましくは6μm以下である。ハードコート層の厚みを前記の範囲に収めることにより、ハードコート積層体のカールを抑制したり、ハードコート層の表面抵抗率を効果的に低くしたりできる。さらに、通常は、ハードコート層の耐擦傷性を良好にできる。
ハードコート層の厚みと光学積層体の厚みとの比(ハードコート層/光学積層体)は、好ましくは1/50以上、より好ましくは1/25以上、特に好ましくは1/12以上であり、好ましくは3/10以下、より好ましくは1/5以下である。ハードコート層の厚みと光学積層体の厚みとの比を前記の範囲に収めることにより、ハードコート積層体のカールを安定して抑制できる。
ハードコート積層体は、光学積層体及びハードコート層に組み合わせて、任意の層を備えうる。例えば、ハードコート積層体は、ハードコート層上に反射防止層を備えていてもよい。また、ハードコート積層体は、ハードコート層とは反対側の光学積層体の面に、易接着層を備えていてもよい。
ハードコート積層体は、例えば、光学積層体上にハードコート層を製造するための液状組成物を塗布して前記液状組成物の膜を形成する工程と、その液晶組成物の膜を硬化させてハードコート層を得る工程とを含む製造方法により、製造し得る。以下、この製造方法の例として、(メタ)アクリロイル基を1分子中に3個以上有する化合物を50重量%以上含む重合性単量体を重合して得られる重合体を含むハードコート層を備えたハードコート積層体の製造方法の一例を説明する。
この製造方法では、まず、ハードコート層を製造するための液状組成物を用意する。この液状組成物として、本例では、金属酸化物粒子及び重合性単量体とを含むものを用いている。また、重合性単量体としては、(メタ)アクリロイル基を1分子中に3個以上有する化合物を50重量%以上含む重合性単量体を用いる。
前記の重合性単量体は、通常、紫外線等の活性エネルギー線の照射により重合しうる。したがって、ハードコート層を製造するための液状組成物は、光重合開始剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン誘導体、ベンジルケタール類、α−ヒドロキシアセトフェノン類、α−アミノアセトフェノン類、アシルフォスフィンオキサイド類、o−アシルオキシム類等が挙げられる。光重合開始剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤の量は、重合性単量体100重量部に対して、好ましくは1重量部以上、より好ましくは2重量部以上、特に好ましくは3重量部以上であり、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下、特に好ましくは5重量部以下である。
ハードコート層を製造するための液状組成物は、溶媒を含みうる。溶媒としては、重合性単量体を溶解でき、且つ、容易に揮発しうるものが好ましい。このような溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、イソプロピルグリコール等のアルコール類;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル等のエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、シクロヘキサノン等のケトン類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;トルエン、キシレン等の芳香族化合物;イソホロン等が挙げられる。また、溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
これらの溶媒の中でも、親水性の溶媒が好ましい。親水性の溶媒を用いることにより、液状組成物を塗布する際に、空気中の水分を吸収することによる白化を抑制できる。具体的には、エタノール、メタノール、プロパノールの混合溶媒が好ましい。また、前記の溶媒の中でも、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン及びアセチルアセトンは、塗布した液状組成物の膜の表面の平坦性が向上することから、好ましい。さらに、金属酸化物粒子を、水を含む分散液の状態で用意にする場合には、溶媒として、水溶性を有する溶媒を用いることが好ましい。
溶媒の量は、ハードコート層を製造するための液状組成物の固形分濃度が所望の範囲に収まるように設定することが好ましい。液状組成物の固形分濃度は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、特に好ましくは30重量%以上であり、好ましくは70重量%以下、より好ましくは55重量%以下である。固形分の濃度を前記の範囲に収めることにより、ハードコート層の厚みを適切な範囲に収めやすく、充分な導電性に優れたハードコート層を製造しやすい。さらに、通常は、ハードコート層のヘイズを低くできるので、ハードコート積層体の透明性を良好にできる。また、通常は、ハードコート層のクラック及びハードコート積層体の反りを抑制できる。さらに、ハードコート層を製造するための液状組成物の粘度を低くできるので、液状組成物の塗布性を良好にできる。そのため、ハードコート層の表面の平坦性を高めることができ、筋ムラの発生を抑制できる。
ハードコート層を製造するための液状組成物を用意した後で、この液状組成物を光学積層体上に塗布して、光学積層体上に液状組成物の膜を形成する。塗布方法としては、例えば、バーコート法、スロットコート法、スピンコート法、ロールコート法、カーテンコート法、スクリーン印刷法等が挙げられる。
ハードコート層を製造するための液状組成物の塗布は、所定の相対湿度の環境において行うことが好ましい。具体的な相対湿度は、好ましくは40%RH以上、より好ましくは45%RH以上、更に好ましくは50%RH以上、特に好ましくは52%RH以上であり、好ましくは65%RH以下、より好ましくは60%RH以下、更に好ましくは58%RH以下、特に好ましくは57%RH以下である。塗布時の環境の相対湿度を前記範囲の下限値以上にすることにより、金属酸化物粒子を凝集させて鎖状に十分に連結させられるので、ハードコート層の表面抵抗率を効果的に低くできる。さらに、塗布時の環境の相対湿度を前記範囲の下限値以上にすることで、光学積層体の帯電による放電や、帯電ムラによる塗布ムラを抑制することができる。また、塗布時の環境の相対湿度を前記範囲の上限値以下にすることにより、金属酸化物粒子の過剰な凝集を抑制できるので、ハードコート層の断裂及びヘイズのムラを抑制できる。
ハードコート層を製造するための液状組成物を光学積層体上に塗布した後で、必要に応じて、乾燥によって液状組成物の膜から溶媒を除去する。
その後、液状組成物の膜に、紫外線等の活性エネルギー線を照射する。これにより、重合性単量体が重合して液状組成物の膜が硬化するので、重合体及び金属酸化物粒子を含むハードコート層が得られる。
このようにして、光学積層体及びハードコート層を備えるハードコート積層体を製造できる。
前記のハードコート層の製造方法は、上述した工程に加えて、更に任意の工程を含みうる。例えば、ハードコート層を製造するための液状組成物を光学積層体に塗布する前に、光学積層体の面にコロナ処理等の表面処理を施してもよい。
[3.偏光板]
本発明の偏光板は、偏光子と、当該偏光子の少なくとも片側に設けられた光学積層体又はハードコート積層体を備える。前述の光学積層体及びハードコート積層体が長尺状であるので、この偏光板も長尺状である。このような偏光板は、光学積層体が紫外線を遮断して偏光子を保護できるので、耐久性を向上させることが可能である。
偏光子としては、直角に交わる二つの直線偏光の一方を透過し、他方を吸収又は反射しうるフィルムを用いうる。偏光子の具体例を挙げると、ポリビニルアルコール、部分ホルマール化ポリビニルアルコール等のビニルアルコール系重合体のフィルムに、ヨウ素、二色性染料等の二色性物質による染色処理、延伸処理、架橋処理等の適切な処理を適切な順序及び方式で施したものが挙げられる。特に、ポリビニルアルコールを含む偏光子が好ましい。また、偏光子の厚さは、通常、5μm〜80μmである。
偏光板において、偏光子の偏光透過軸と、光学積層体の遅相軸とは、45°±5°の角度をなすことが好ましい。これにより、偏光子を透過した直線偏光を、光学積層体又はハードコート積層体によって円偏光に変換できる。
偏光板は、偏光子の片側に光学積層体又はハードコート積層体を貼り合わせることにより、製造できる。貼り合わせに際しては、必要に応じて接着剤を用いてもよい。また、偏光子とハードコート積層体とを貼り合わせて偏光板を得る場合、通常は、偏光子、光学積層体及びハードコート層がこの順になるように貼り合わせを行う。
偏光板は、上述した偏光子、光学積層体及びハードコート積層体に組み合わせて、更に任意の層を備えていてもよい。例えば、偏光板は、光学積層体及びハードコート積層体以外の任意の保護フィルム層を、偏光子の保護のために備えていてもよい。このような保護フィルム層は、通常、光学積層体又はハードコート積層体とは反対側の偏光子の面に設けられる。
[4.液晶表示装置]
液晶表示装置は、本発明の偏光板から切り出された偏光フィルムを備える。通常、液晶表示装置は、光源、光源側偏光板、液晶セル及び偏光フィルムを、この順に備える。また、偏光フィルムは、偏光子及び光学積層体が光源側からこの順に並ぶように設けられる。このような液晶表示装置は、円偏光によって画像を表示できる。そのため、偏光サングラスの着用時でも画像の明るさが良好になるので、画像を視認することができる。また、偏光フィルムが備える光学積層体の作用により、表示ムラを抑制できるので、画像の視認性を良好にできる。さらに、光学積層体が紫外線を遮断できるので、液晶表示装置を製造するときに浴びる紫外線、及び、液晶表示装置を使用するときに浴びる外光中の紫外線から、液晶セル及び偏光子等の構成部材を保護できる。
偏光フィルムがハードコート積層体を備える偏光板から得られたものである場合、その偏光フィルムは、ハードコート層が視認側に向くように設けることが好ましい。これにより、偏光子の傷つきを抑制できる。さらに、ハードコート層が導電性を有する場合、液晶セルの液晶分子の駆動制御を安定化させることができる。
液晶セルの駆動方式としては、例えば、インプレーンスイッチング(IPS)モード、バーチカルアラインメント(VA)モード、マルチドメインバーチカルアラインメント(MVA)モード、コンティニュアスピンホイールアラインメント(CPA)モード、ハイブリッドアラインメントネマチック(HAN)モード、ツイステッドネマチック(TN)モード、スーパーツイステッドネマチック(STN)モード、オプチカルコンペンセイテッドベンド(OCB)モードなどが挙げられる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中において行った。
[評価方法]
(積層体の厚みの測定方法)
積層体の厚みは、接触式膜厚計(ミツトヨ社製ダイヤルゲージ)で測定した。
また、積層体に含まれる各層の厚みは、積層体をエポキシ樹脂で包埋した後に、ミクロトームを用いて厚み0.05μmにスライスし、顕微鏡を用いて断面観察を行うことで測定した。
(光学積層体の光線透過率の測定方法)
光学積層体の波長380nmにおける光線透過率は、JIS K 0115(吸光光度分析通則)に準拠して、分光光度計(日本分光社製の紫外可視近赤外分光光度計「V−650」)を用いて測定した。
(光学積層体のヘイズの測定方法)
高さ55mm、幅36mm、光路長10mmの石英セル内に、シリコーンオイル(東レダウコーニング社製「SH710」、屈折率1.533)を入れた。光学積層体を短冊状に切り出してフィルム片を用意し、このフィルム片を前記の石英セル中に挿入した。石英セルをヘイズメーター(日本電色社製「NDH2000」)に設置し、内部ヘイズを測定した。
さらに、JIS K 7136に準拠して、光学積層体を50mm×50mmに切り出して得たフィルム片の総ヘイズを測定した。この総ヘイズの値から、前記の内部ヘイズの値を引き算し、外部ヘイズを算出した。
(光学積層体の表面の算術平均粗さRaの測定方法)
干渉式表面粗さ測定装置(Zygo社製「NewView7300」)を用いて、光学積層体の表面の算術平均粗さRaを測定した。
(光学積層体の配向角θの測定)
光学積層体の長手方向に対する配向角θは、ポラリメータ(Axiometric社製「Axoscan」)を用いて、波長550nmで測定した。
(光学積層体のレターデーションRe(550)の測定方法)
光学積層体のレターデーションRe(550)は、ポラリメータ(Axiometric社製「Axoscan」)を用いて、波長550nmで測定した。
(ハードコート層の屈折率の測定方法)
ハードコート層の屈折率は、屈折率膜厚測定装置(Metricon社製「プリズムカプラ」)にて、波長407nm、532nm及び633nmで測定した値を基に、コーシーフィッティングを行い、波長550nmの数値を算出した。
(ハードコート層の厚みの測定方法)
ハードコート層の厚みは、干渉式膜厚計(フィルメトリックス社製「F20膜厚測定システム」)を用いて測定した。
(ハードコート層の表面抵抗率の測定方法)
ハードコート積層体を10cm×10cmの正方形に切り出してフィルム片を得た。このフィルム片のハードコート層の表面抵抗率を、抵抗率計(三菱化学アナリテック社製「ハイレスタUX MCP−HT800」)を用いて測定した。測定は、電圧500V、測定時間10秒で行った。測定の際、プローブとしてはURSタイプを使用し、専用固定治具(RMJ360)でフィルム片に1.9kgの荷重をかけて測定した。
(偏光板の耐久性試験の方法)
紫外線カーボンアークを用いて、偏光板を、放射照度:500W/m2、温度:63±3℃、湿度:50%RH以下の条件で、紫外線に500時間さらした後、変色の有無を目視観察した。変色が無いものは、耐久性が特に良好であるとして「3」と評価した。わずかに変色しているものは、耐久性が良好であるとして「2」と評価した。著しく変色しているものは、耐久性が不良であるとして「1」と評価した。
(液晶表示装置の画像視認性の評価方法)
液晶表示装置の表示面を、偏光サングラスを着用した状態で、液晶表示装置の位置を変えて観察した。虹状の色ムラ及びスジ状のムラが無く、画像を鮮明に視認できる場合、視認性が特に良好であるとして「3」と評価した。虹状の色むらは見えないが、スジ状のムラがうっすら見える場合、視認性が良好であるとして「2」と評価した。虹状の色ムラ及びスジ状のムラがはっきり見えた場合、視認性が不良であるとして「1」と評価した。
[実施例1]
(1−1.樹脂J1の製造)
乾燥させた脂環式構造を含有する重合体(日本ゼオン社製、ガラス転移温度123℃、屈折率1.53)93部、及び、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(ADEKA社製「LA−31」)7.0部を、二軸押出機により混合して混合物を得た。この混合物を、押出機に接続されたホッパーへ投入し、単軸押出機へ供給し、溶融押出しを行って、樹脂J1を得た。樹脂J1における紫外線吸収剤の量は、7.0重量%であった。
(1−2.樹脂J2の製造)
乾燥させた脂環式構造を含有する重合体(日本ゼオン社製、ガラス転移温度123℃、屈折率1.53)99部、及び、架橋させたポリメチルメタクリレートの粒子(東洋インキ社製「RSP−3030D」、数平均粒子径0.72μm、屈折率1.53。以下、「架橋PMMA粒子」ということがある。)1.0部を、二軸押出機により混合して混合物を得た。この混合物を、押出機に接続されたホッパーへ投入し、単軸押出機へ供給し、溶融押出しを行って、樹脂J2を得た。樹脂J2における架橋PMMA粒子の量は、1.0重量%であった。
(1−3.延伸前積層体1の製造)
樹脂J1を、目開き3μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを設置したダブルフライト型50mm単軸押出機(スクリュー有効長さLとスクリュー径Dとの比L/D=32)に装填されたホッパーへ投入して、溶融させた。押出機の出口温度280℃、押出機のギヤポンプの回転数10rpmで、溶融した樹脂J1を、算術平均粗さRaが0.1μmのダイスリップを有するマルチマニホールドダイに供給した。
樹脂J2を、目開き3μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを設置した50mm単軸押出機(L/D=32)に装填されたホッパーへ投入して、溶融させた。押出機の出口温度285℃、押出機のギヤポンプの回転数4rpmで、溶融した樹脂J2を前記のマルチマニホールドダイに供給した。
前記のマルチマニホールドダイから、溶融状態の樹脂J2、溶融状態の樹脂J1及び溶融状態の樹脂J2をそれぞれ280℃でフィルム状に吐出させ、150℃に温度調整された冷却ロールにキャストした。この際、エアギャップ量は50mmにした。また、溶融状態の樹脂を冷却ロールにキャストする方法として、エッジピニングを採用した。このような共押出成形によって、樹脂J2からなる表面層(厚み8μm)/樹脂J1からなる中間層(厚み16μm)/樹脂J2からなる表面層(厚み8μm)をこの順に備える、長尺状の延伸前積層体1を得た。この延伸前積層体1は、2種3層からなるフィルム(即ち、2種類の樹脂からなる3層構造のフィルム)であり、その幅は1400mm、その厚みは32μmであった。その後、延伸前積層体1の両端50mmずつをトリミングして、幅を1300mmとした。
(1−4.光学積層体1の製造)
延伸前積層体1を、当該延伸前積層体1の幅方向の両端を把持しうるクリップ及び前記クリップを案内しうるレールを備えたテンター装置に供給し、このテンター装置で延伸した。延伸の際、テンター装置のレールは、延伸後に長手方向に対して45°の角度をなす遅相軸が発現するように設定した。また、延伸条件は、延伸温度140℃、フィルム搬送速度20m/minとした。これにより、樹脂J2からなる表面層(厚み5μm)/樹脂J1からなる中間層(厚み10μm)/樹脂J2からなる表面層(厚み5μm)をこの順に備える、長尺状の光学積層体1を得た。この光学積層体1は、2種3層からなるフィルムであり、その幅は1330mm、その厚みは20μmであった。
上述した方法により、光学積層体1の、レタデーションRe(550)、配向角θ、内部ヘイズ、外部ヘイズ、表面の算術平均粗さRa、並びに、波長380nmにおける光線透過率を測定した。
(1−5.ハードコート積層体1の製造)
錫酸カリウム130g及び酒石酸アンチモニルカリウム30gを純水400gに溶解させた混合溶液を調製した。また、硝酸アンモニウム1.0g及び15%アンモニア水12gを純水1000gに溶解させた水溶液を用意した。この水溶液を60℃で撹拌しながら、この水溶液に前記の混合溶液を12時間かけて添加して、加水分解を行った。この際、混合溶液の添加と同時に、前記の水溶液をpH9.0に保つように、10%硝酸溶液を前記水溶液に添加した。前記の加水分解により、水溶液中に沈殿物が生成した。
生成した沈殿物を濾別洗浄した後、再び水に分散させて、固形分濃度20重量%のSbドープ酸化スズ前駆体の水酸化物の分散液を調製した。この分散液を温度100℃で噴霧乾燥して、粉末を得た。得られた粉体を、空気雰囲気下、550℃で2時間加熱処理することにより、アンチモンドープ酸化スズの粉末を得た。この粉末60部を、濃度4.3重量%の水酸化カリウム水溶液140部に分散させて、水分散液を得た。この水分散液を30℃に保持しながらサンドミルで3時間粉砕して、ゾルを調製した。次に、このゾルに、イオン交換樹脂で、pHが3.0になるまで脱アルカリイオン処理を行った。次いで、このゾルに純水を加えて、アンチモンドープ酸化スズの粒子を固形分濃度20重量%で含む、粒子分散液を調製した。この粒子分散液のpHは、3.3であった。また粒子の平均粒子径は、9nmであった。
次いで、前記の粒子分散液100gを25℃に調整した。この粒子分散液にテトラエトキシシラン(多摩化学製「正珪酸エチル」、SiO2濃度28.8%)4.0gを3分かけて添加した後、30分攪拌を行った。その後、この粒子分散液にエタノール100gを1分かけて添加し、30分間で50℃に昇温し、15時間加熱処理を行った。加熱処理後の粒子分散液の固形分濃度は、10%であった。
次いで、限外濾過膜によって、前記の粒子分散液の分散媒である水及びエタノールをエタノールに置換した。これにより、金属酸化物粒子(P1)として、シリカで被覆されたアンチモンドープ酸化スズの粒子を固形分濃度20%で含む分散液を得た。前記の金属酸化物粒子(P1)は、複数個が凝集することにより鎖状に連結していた。このとき、金属酸化物粒子(P1)の平均連結数は、5個であった。
ジペンタエリスチロールヘキサアクリレート(以下、「DP6A」と略記することがある。)、ジペンアテリスリトールペンタアクリレート(以下、「DP5A」と略記することがある。)及びジペンタエリスリトールテトラアクリレート(以下、「DP4A」と略記することがある。)を含む、紫外線硬化型の重合性単量体の組成物(R1)を用意した。この重合性単量体の組成物(R1)において、各成分の重量比は、DP6A/DP5A/DP4A=64/17/19であった。また、重合性単量体の組成物(R1)の固形分の濃度は100%であった。
イソホロンジイソシアネート222重量部とペンタエリスリトールトリアクリレート(以下、「PE3A」と略記することがある。)及びペンタエリスリトールテトラアクリレート(以下、「PE4A」と略記することがある。)の混合物(PE3A/PE4A=75/25(重量比))795重量部とのウレタン反応アクリレートである多官能ウレタンアクリレート(U1)を用意した。この多官能ウレタンアクリレート(U1)の固形分の濃度は100%であった。
エタノール、ノルマルプロピルアルコール、メタノール及び水の混合物であるミックスエタノールを用意した。このミックスエタノールにおいて、各成分の重量比は、エタノール/ノルマルプロピルアルコール/メタノール/水=85.5/9.6/4.9/0.2であった。
前記の重合性単量体の組成物(R1)29.4重量部、前記の多官能ウレタンアクリレート(U1)12.6重量部、メチルエチルケトン11.0重量部、前記のミックスエタノール2.0重量部、ダイアセトンアルコール1.6重量部、及び光重合開始剤(BASFジャパン株式会社製「イルガキュア184」固形分100%)0.86重量部を十分混合して、混合液を得た。この混合液に、金属酸化物粒子(P1)(固形分20%)の分散液35.0重量部、及び、アクリル系界面活性剤(固形分100%)0.24重量部を加え、均一に混合して、ハードコート層用の液状組成物(H1)を得た。
光学積層体1の片面に、コロナ処理(出力0.4kW、放電量200W・min/m2)を施した。コロナ処理を施した光学積層体1の面に、ハードコート層用の液状組成物(H1)を、硬化後に得られるハードコート層の厚みが3.0μmとなるように、ダイコーターを用いて、相対湿度50%の環境で塗布した。その後、塗布された液状組成物(H1)の膜を60℃で2分間乾燥した後、高圧水銀ランプでピーク照度400mW/cm2、積算光量250mJ/cm2(測定波長域:320nm〜390nm)の光を照射して膜の硬化を行い、ハードコート層を形成した。これにより、光学積層体1及びハードコート層を備えるハードコート積層体1を得た。上述した方法により、ハードコート積層体1のハードコート層の屈折率及び表面抵抗率を測定した。ハードコート層の屈折率は、1.54、表面抵抗率は、3.8×108Ω/□であった。
(1−6.偏光板1の製造)
原料フィルムにヨウ素をドープして一方向に延伸して製造された偏光子を用意した。この偏光子の片面にハードコート積層体1を紫外線硬化型アクリル接着剤で貼り合わせ、偏光子のもう片面に横一軸延伸を施されたシクロオレフィンフィルムを紫外線硬化型アクリル接着剤で貼り合わせ、紫外線を照射して、シクロオレフィンフィルム、偏光子、光学積層体1及びハードコート層をこの順で備える偏光板1を得た。この際、光学積層体1は、光学積層体1の遅相軸が偏光子の透過軸に対して45°の角度をなすように配置した。また、シクロオレフィンフィルムは、シクロオレフィンフィルムの遅相軸が偏光子の透過軸に対して平行になるように配置した。得られた偏光板1について、上述した方法で耐久性試験を実施した。
(1−7.液晶表示装置1の製造)
公知のインセルタイプのタッチセンサーを備える液晶パネルの視認側偏光板を取り外し、その代わりに偏光板1を組み込んで、液晶表示装置1を製造した。この際、偏光板1の向きは、シクロオレフィンフィルムとは反対側の面(実施例1では、ハードコート層側の面)が視認側に向くように設定した。得られた液晶表示装置1について、上述した方法で、画像視認性を評価した。
[実施例2]
(2−1.光学積層体2の製造)
表面層における架橋PMMA粒子の量を2.0重量%に変更したこと以外は、実施例1の工程(1−1)〜工程(1−4)と同様にして、光学積層体2を製造した。上述した方法により、光学積層体2の、レタデーションRe(550)、配向角θ、内部ヘイズ、外部ヘイズ、表面の算術平均粗さRa、並びに、波長380nmにおける光線透過率を測定した。
(2−2.偏光板2の製造)
ハードコート積層体1の代わりに、ハードコート層を備えない前記の光学積層体2を用いたこと以外は、実施例1の工程(1−6)と同様にして、偏光板2を製造した。得られた偏光板2について、上述した方法で耐久性試験を実施した。
(2−3.液晶表示装置2の製造)
偏光板1の代わりに偏光板2を用いたこと以外は、実施例1の工程(1−7)と同様にして、液晶表示装置2を製造した。得られた液晶表示装置2について、上述した方法で、画像視認性を評価した。
[実施例3]
(3−1.光学積層体3の製造)
架橋PMMA粒子の代わりに、架橋アクリル粒子(綜研化学社製「MX−80H3」、数平均粒子径0.8μm、屈折率1.49)を、表面層における架橋アクリル粒子の量が1.0重量%となるように用いたこと以外は、実施例1の工程(1−1)〜工程(1−4)と同様にして、光学積層体3を製造した。上述した方法により、光学積層体3の、レタデーションRe(550)、配向角θ、内部ヘイズ、外部ヘイズ、表面の算術平均粗さRa、並びに、波長380nmにおける光線透過率を測定した。
(3−2.偏光板3の製造)
ハードコート積層体1の代わりに、ハードコート層を備えない前記の光学積層体3を用いたこと以外は、実施例1の工程(1−6)と同様にして、偏光板3を製造した。得られた偏光板3について、上述した方法で耐久性試験を実施した。
(3−3.液晶表示装置3の製造)
偏光板1の代わりに偏光板3を用いたこと以外は、実施例1の工程(1−7)と同様にして、液晶表示装置3を製造した。得られた液晶表示装置3について、上述した方法で、画像視認性を評価した。
[実施例4]
(4−1.光学積層体4の製造)
架橋PMMA粒子の代わりに、炭酸マグネシウム粒子(神島化学社製「GP−30NJ」、数平均粒子径1.5μm、屈折率1.52)を、表面層における炭酸マグネシウム粒子の量が0.5重量%になるように用いたこと以外は、実施例1の工程(1−1)〜工程(1−4)と同様にして、光学積層体4を製造した。上述した方法により、光学積層体4の、レタデーションRe(550)、配向角θ、内部ヘイズ、外部ヘイズ、表面の算術平均粗さRa、並びに、波長380nmにおける光線透過率を測定した。
(4−2.偏光板4の製造)
ハードコート積層体1の代わりに、ハードコート層を備えない前記の光学積層体4を用いたこと以外は、実施例1の工程(1−6)と同様にして、偏光板4を製造した。得られた偏光板4について、上述した方法で耐久性試験を実施した。
(4−3.液晶表示装置4の製造)
偏光板1の代わりに偏光板4を用いたこと以外は、実施例1の工程(1−7)と同様にして、液晶表示装置4を製造した。得られた液晶表示装置4について、上述した方法で、画像視認性を評価した。
[比較例1]
(C1−1.光学積層体5の製造)
表面層における架橋PMMA粒子の量を0.3重量%に変更したこと以外は、実施例1の工程(1−1)〜工程(1−4)と同様にして、光学積層体5を製造した。上述した方法により、光学積層体5の、レタデーションRe(550)、配向角θ、内部ヘイズ、外部ヘイズ、表面の算術平均粗さRa、並びに、波長380nmにおける光線透過率を測定した。
(C1−2.偏光板5の製造)
ハードコート積層体1の代わりに、ハードコート層を備えない前記の光学積層体5を用いたこと以外は、実施例1の工程(1−6)と同様にして、偏光板5を製造した。得られた偏光板5について、上述した方法で耐久性試験を実施した。
(C1−3.液晶表示装置5の製造)
偏光板1の代わりに偏光板5を用いたこと以外は、実施例1の工程(1−7)と同様にして、液晶表示装置5を製造した。得られた液晶表示装置5について、上述した方法で、画像視認性を評価した。
[比較例2]
(C2−1.光学積層体6の製造)
架橋PMMA粒子の代わりに、シリカ粒子(アドマテックス社製「SO−C2」、数平均粒子径0.5μm、屈折率1.46)を、表面層におけるシリカ粒子の量が1.0重量%となるように用いたこと以外は、実施例1の工程(1−1)〜工程(1−4)と同様にして、光学積層体6を製造した。上述した方法により、光学積層体6の、レタデーションRe(550)、配向角θ、内部ヘイズ、外部ヘイズ、表面の算術平均粗さRa、並びに、波長380nmにおける光線透過率を測定した。
(C2−2.偏光板6の製造)
ハードコート積層体1の代わりに、ハードコート層を備えない前記の光学積層体6を用いたこと以外は、実施例1の工程(1−6)と同様にして、偏光板6を製造した。得られた偏光板6について、上述した方法で耐久性試験を実施した。
(C2−3.液晶表示装置6の製造)
偏光板1の代わりに偏光板6を用いたこと以外は、実施例1の工程(1−7)と同様にして、液晶表示装置6を製造した。得られた液晶表示装置6について、上述した方法で、画像視認性を評価した。
[比較例3]
(C3−1.光学積層体7の製造)
架橋PMMA粒子の代わりに、シリカ粒子(アドマテックス社製「SO−C3」、数平均粒子径0.9μm、屈折率1.46)を、表面層におけるシリカ粒子の量が1.0重量%となるように用いたこと以外は、実施例1の工程(1−1)〜工程(1−4)と同様にして、光学積層体7を製造した。上述した方法により、光学積層体7の、レタデーションRe(550)、配向角θ、内部ヘイズ、外部ヘイズ、表面の算術平均粗さRa、並びに、波長380nmにおける光線透過率を測定した。
(C3−2.偏光板7の製造)
ハードコート積層体1の代わりに、ハードコート層を備えない前記の光学積層体7を用いたこと以外は、実施例1の工程(1−6)と同様にして、偏光板7を製造した。得られた偏光板7について、上述した方法で耐久性試験を実施した。
(C3−3.液晶表示装置7の製造)
偏光板1の代わりに偏光板7を用いたこと以外は、実施例1の工程(1−7)と同様にして、液晶表示装置7を製造した。得られた液晶表示装置7について、上述した方法で、画像視認性を評価した。
[比較例4]
(C4−1.光学積層体8の製造)
延伸前積層体1を延伸する際の延伸温度を145℃に変更したこと以外は、実施例1の工程(1−1)〜工程(1−4)と同様にして、光学積層体8を製造した。上述した方法により、光学積層体8の、レタデーションRe(550)、配向角θ、内部ヘイズ、外部ヘイズ、表面の算術平均粗さRa、並びに、波長380nmにおける光線透過率を測定した。
(C4−2.偏光板8の製造)
ハードコート積層体1の代わりに、ハードコート層を備えない前記の光学積層体8を用いたこと以外は、実施例1の工程(1−6)と同様にして、偏光板8を製造した。得られた偏光板8について、上述した方法で耐久性試験を実施した。
(C4−3.液晶表示装置8の製造)
偏光板1の代わりに偏光板8を用いたこと以外は、実施例1の工程(1−7)と同様にして、液晶表示装置8を製造した。得られた液晶表示装置8について、上述した方法で、画像視認性を評価した。
[比較例5]
(C5−1.光学積層体9の製造)
延伸前積層体1を延伸する際の延伸温度を135℃に変更したこと以外は、実施例1の工程(1−1)〜工程(1−4)と同様にして、光学積層体9を製造した。上述した方法により、光学積層体9の、レタデーションRe(550)、配向角θ、内部ヘイズ、外部ヘイズ、表面の算術平均粗さRa、並びに、波長380nmにおける光線透過率を測定した。
(C5−2.偏光板9の製造)
ハードコート積層体1の代わりに、ハードコート層を備えない前記の光学積層体9を用いたこと以外は、実施例1の工程(1−6)と同様にして、偏光板9を製造した。得られた偏光板9について、上述した方法で耐久性試験を実施した。
(C5−3.液晶表示装置9の製造)
偏光板1の代わりに偏光板9を用いたこと以外は、実施例1の工程(1−7)と同様にして、液晶表示装置9を製造した。得られた液晶表示装置9について、上述した方法で、画像視認性を評価した。
[比較例6]
(C6−1.光学積層体10の製造)
中間層におけるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(ADEKA社製「LA−31」)の量を0重量%に変更したこと以外は、実施例1の工程(1−1)〜工程(1−4)と同様にして、光学積層体10を製造した。上述した方法により、光学積層体10の、レタデーションRe(550)、配向角θ、内部ヘイズ、外部ヘイズ、表面の算術平均粗さRa、並びに、波長380nmにおける光線透過率を測定した。
(C6−2.偏光板10の製造)
ハードコート積層体1の代わりに、ハードコート層を備えない前記の光学積層体10を用いたこと以外は、実施例1の工程(1−6)と同様にして、偏光板10を製造した。得られた偏光板10について、上述した方法で耐久性試験を実施した。
(C6−3.液晶表示装置10の製造)
偏光板1の代わりに偏光板10を用いたこと以外は、実施例1の工程(1−7)と同様にして、液晶表示装置10を製造した。得られた液晶表示装置10について、上述した方法で、画像視認性を評価した。
[結果]
前記の実施例及び比較例の結果を、下記の表1及び表2に示す。下記の表において、略称の意味は、以下の通りである。
粒子径:表面層に含まれる粒子の数平均粒子径
粒子量:表面層における粒子の量
屈折率差:表面層に含まれる粒子の屈折率と重合体の屈折率との差
UV吸収剤の量:中間層における紫外線吸収剤の量
Ra:光学積層体の表面の算術平均粗さ
Re(550):波長550nmにおけるレターデーション
θ:光学積層体の長手方向に対する当該光学積層体の配向角
光線透過率:波長380nmにおける光学積層体の光線透過率
[検討]
前記の表から、実施例に係る偏光板はいずれも耐久性が良好であり、更にその偏光板を備える液晶表示装置は、偏光サングラスを着用して見た場合の画像の視認性が良好であることが分かる。
さらに、実施例1で製造したハードコート積層体1を備える液晶表示装置は、長時間画像を表示しても、白ボケが発生せず、タッチパネルを操作した際に、画像が乱れないことがわかった。