JP2015011059A - 偏光板および液晶表示装置 - Google Patents

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里誌 森井
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Abstract

【課題】ガラス基板を薄くしたときの液晶表示パネルの熱によるベンドを抑制し、かつ偏光子の劣化も抑制しうる偏光板を提供する。
【解決手段】偏光子と、前記偏光子の一方の面に配置された保護フィルムと、前記偏光子の他方の面に配置された位相差フィルムとを含む偏光板であって、前記保護フィルムは、透明基材層と、防湿層とを含み、前記保護フィルムの40℃90%RHにおける透湿度が10〜100g/m・dayであり、前記偏光板の厚みが25〜90μmである、偏光板。
【選択図】図6

Description

本発明は、偏光板および液晶表示装置に関する。
現在、スマートホンやタブレットなどの携帯型の液晶表示装置が広く普及している。これらの液晶表示装置は、薄型化が求められている。
液晶表示装置は、液晶セルと、それを挟持する一対の偏光板とを含む。液晶セルは、一対のガラス基板と、それらの間に配置される液晶層とを含む。偏光板は、偏光子と、その液晶セル側の面に配置される位相差フィルム(F2またはF3)と、液晶セルとは反対側の面に配置される保護フィルム(F1またはF4)とを含む。
液晶表示装置の薄型化に伴い、液晶セルのガラス基板の薄型化が検討されている。例えば、TV用の液晶表示装置の液晶セルでは、厚みが0.5mm以下のガラス基板が用いられてきている。しかしながら、厚みが小さいガラス基板を含む液晶表示パネル(偏光板/液晶セル/偏光板の積層物)は、バックライトからの熱などによって湾曲(ベンド)しやすいという問題があった。
即ち、液晶表示装置では、偏光子がバックライトの熱などによって収縮しやすく、この偏光子の収縮力により、液晶表示パネルがベンドしやすい。液晶表示パネルのベンドは、特に液晶セルのガラス基板の厚みが小さいほど顕著に生じやすく、このような液晶表示パネルのベンドは、液晶表示装置における表示ムラ(ベンドムラ)の原因となる。
これに対して、従来は、偏光板と液晶セルとの接着点を1点にすることで、偏光板の収縮力を、液晶セルに伝わりにくくし、液晶表示パネルのベンドを抑制する方法が提案されている(例えば特許文献1)。また、ガラス基板上に配置する偏光板の厚みを大きくすることによって、液晶表示パネルのベンドを抑制することも検討されている。
また、偏光板には、温度や湿度が変化しても、安定な偏光性能を有することが求められる。そのような偏光板に用いられる保護フィルムとして、セルローストリアセテートを主成分とする透明基材フィルムと、低透湿層として塩化ビニリデン系重合体を含有する層とを含む保護フィルムが提案されている(特許文献2参照)。また、薄膜のポリビニルアルコール系樹脂層と、低透湿な被覆フィルムとを含む偏光子(特許文献3)や、偏光フィルムとアクリル系樹脂フィルムとを、特定の活性エネルギー線硬化型接着剤の硬化物層を介して積層した偏光板(特許文献4)などが知られている。
特開2011−107391号公報 特開2008−158483号公報 特開2012−256018号公報 特開2011−123169号公報
しかしながら、ガラス基板を薄くしたときの液晶表示パネルのベンドは、ガラス基板上に配置する偏光板の厚みを大きくすることによっては十分には抑制できなかった。
本発明者らは、鋭意検討した結果、ガラス基板上に配置する偏光板の厚みをむしろ小さくすることで、ガラス基板を薄くしたときの液晶表示パネルのベンドを良好に抑制できることを新たに見出した。
一方で、ガラス基板上に配置する偏光板の厚みを小さくすると、保護フィルムの透湿度が高くなるため、偏光子の劣化が生じるおそれがあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ガラス基板を薄くしたときの液晶表示パネルの熱によるベンドを抑制し、かつ偏光子の劣化も抑制しうる偏光板を提供することを目的とする。
[1] 偏光子と、前記偏光子の一方の面に配置された保護フィルムと、前記偏光子の他方の面に配置された位相差フィルムとを含む偏光板であって、前記保護フィルムは、透明基材層と、防湿層とを含み、前記保護フィルムの40℃90%RHにおける透湿度が10〜100g/m・dayであり、前記偏光板の厚みが25〜90μmである、偏光板。
即ち、保護フィルムの透湿度が10g/m・day未満では、水分が偏光子層内に滞留して偏光度の劣化が生じ、100g/m・dayを超えると外部からの湿度が偏光子に入り易くなることで高湿下での偏光度の劣化が生じるため、透湿度が10〜100g/m・dayの範囲が本発明の範囲である。偏光板の厚みが90μm以下であると、ベンドムラの発生が無く、厚みの下限としては25μmまでベンドムラが生じないことを確認できている。偏光板の厚みが25μm未満の領域は、強度的な問題や取り扱い性から安定な偏光板を製作出来ず、範囲外としている。
[2] 前記偏光板の厚みが40〜70μmである、[1]に記載の偏光板。
即ち、偏光板の厚みが40μm以上であることが、高温高湿下の偏光度の低下が少ない点から好ましく、70μm以下であることが、ベンドムラ防止の点から好ましい。
[3] 前記偏光子の厚みが3〜12μmである、[1]または[2]に記載の偏光板。
即ち、偏光子の厚みが3μm以上であることが、高温高湿下での偏光度の低下が少ない点で好ましく、12μm以下であることが、ベンドムラを防止する点で好ましい。
[4] 前記透明基材層の厚みが10〜35μmである、[1]〜[3]のいずれかに記載の偏光板。
即ち、透明基材層の厚みが10μm以上であることが、取り扱い性に優れ、35μm以下であることがベンドムラを防止する点で好ましい。
[5] 前記防湿層は、前記透明基材層の前記偏光子側の面に配置されている、[1]〜[4]のいずれかに記載の偏光板。
防湿層は、薄膜であり、物理的衝撃などで防湿機能が低下するおそれがあるため、物理的な衝撃などを受け難い透明基材層の偏光子側の面に設けることが好ましい。
[6] 前記保護フィルムの40℃90%RHにおける透湿度が10〜80g/m・dayである、[1]〜[5]のいずれかに記載の偏光板。
即ち、高温高湿下での偏光度の低下を防止する点で、上記範囲が好ましい。
[7] 前記防湿層が、塩化ビニル樹脂を含む層または無機薄膜である、[1]〜[6]のいずれかに記載の偏光板。
[8] 前記透明基材層が、セルロースエステルと(メタ)アクリル樹脂の一方または両方を含む、[1]〜[7]のいずれかに記載の偏光板。
[9] 前記透明基材層は、厚み方向に偏在した添加剤をさらに含む、[1]〜[8]のいずれかに記載の偏光板。
[10] 前記保護フィルムの40℃90%RHにおける透湿度が20〜70g/m・dayである、[1]〜[9]のいずれかに記載の偏光板。
即ち、高温高湿下での偏光度の低下を防止する点で、上記範囲が好ましい。
[11] 前記位相差フィルムが、セルロースエステルまたはシクロオレフィン樹脂を含む、[1]〜[10]のいずれかに記載の偏光板。
[12] 厚み0.3mm以上0.7mm未満の第一のガラス基板および第二のガラス基板と、前記第一のガラス基板と前記第二のガラス基板の間に配置された液晶層とを含む液晶セルと、前記液晶セルの前記第一のガラス基板上に配置された第一の偏光板と、前記液晶セルの前記第二のガラス基板上に配置された第二の偏光板とを含み、前記第一の偏光板が、[1]〜[11]のいずれかに記載の偏光板であり、かつ前記位相差フィルムが、前記偏光子と前記第一のガラス基板との間に配置されているか、または前記第二の偏光板が、[1]〜[11]のいずれかに記載の偏光板であり、かつ前記位相差フィルムが、前記偏光子と前記第二のガラス基板との間に配置されている、液晶表示装置。
即ち、ベンドムラが生じ易いガラス厚みが0.7mm未満であり、本発明が有効である。また、ガラス厚みが0.3mm以上であると、生産性に優れ、実質的にベンドムラ問題が生じることから、本発明が有効である。
[13] 前記第一の偏光板と前記第二の偏光板の両方が、[1]〜[11]のいずれかに記載の偏光板である、[12]に記載の液晶表示装置。
[14] 前記第二の偏光板と対向するように配置されたバックライトをさらに含む、[12]または[13]に記載の液晶表示装置。
本発明によれば、ガラス基板を薄くしたときの液晶表示パネルの熱によるベンドを抑制し、かつ偏光子の劣化も抑制しうる偏光板を提供できる。
プラズマ製膜装置の概略構成図である。 プラズマ放電処理室の他の例を示す図である。 ロール電極の一例を示す図である。 固定電極の概略斜視図を示す。 プラズマ製膜装置の他の例を示す概略構成図である。 偏光板の層構成の一例を示す模式図である。 液晶表示装置の基本的な構成の一例を示す模式図である。
1.偏光板
本発明の偏光板は、偏光子と、その一方の面に配置された保護フィルムと、他方の面に配置された位相差フィルムとを含む。
(1)偏光子について
偏光子は、ヨウ素系偏光膜、または二色染料を用いた染料系偏光膜でありうる。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般的には、ポリビニルアルコール系フィルムを一軸延伸した後、ヨウ素または二色性染料で染色して得られたフィルムであってもよいし;ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素または二色性染料で染色した後、一軸延伸したフィルム(好ましくは、さらにホウ素化合物で耐久性処理を施したフィルム)であってもよい。偏光子の吸収軸は、フィルムの延伸方向と平行である。
ポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール水溶液を製膜したものであってもよい。
二色性染料の例には、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素およびアントラキノン系色素等が含まれる。
偏光子の厚みは、偏光板の厚みが後述する範囲となるように設定されればよく、例えば25μm以下であり、好ましくは3〜12μmであり、より好ましくは3〜10μmでありうる。熱などによる偏光子の収縮を低減し、表示装置のベンドムラを低減するためである。
偏光子の厚みは、偏光板の厚みに対して40%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましい。偏光子の厚みは、偏光板の厚みに対して2%以上としうる。
従来は、偏光板の厚みを大きくすることで、偏光板の「熱収縮量」を小さくし;「ガラス基板の熱変形量」と「偏光板の熱収縮量」とを均衡させることによって、液晶表示パネルのベンドを抑制することが検討されていた。しかしながら、それによっては、ガラス基板を薄くしたときの液晶表示パネルのベンドを十分には抑制できなかった。
これに対して本発明者らは、偏光板の厚みを小さくすることで、ガラス基板を薄くしたときの液晶表示パネルのベンドを十分に抑制できることを見出した。この理由は、必ずしも明らかではないものの、偏光板の厚みを小さくすることで、偏光板の「熱収縮しようとする力」を小さくすることができ;偏光板の「熱収縮しようとする力」を、ガラス基板によって抑え込むことができたためと考えられる。
偏光板の厚みを小さくするためには、保護フィルムや偏光子の厚みを小さくすることが有効である。しかしながら、保護フィルムの厚みを小さくすると、透湿度が高くなることから、偏光子の(透過水分による)劣化が生じやすい。偏光子の(透過水分による)劣化は、偏光子の厚みが小さい場合に顕著となりやすい。
そこで本発明では、保護フィルムの透湿度を一定以下に下げること;具体的には、保護フィルムを透明基材層と防湿層の積層物とすることが好ましい。それにより、透湿度を高めることなく、保護フィルムの厚みを小さくすることができ;偏光板の厚みを薄くすることができる。
また、防湿層は薄膜であることが必須である。ところが、薄膜は機械的な衝撃などによって損傷を受けると欠陥を生じやすく;膜にそのような欠陥があると防湿性が低下し、膜の劣化が生じることが予測される。そこで、防湿層は、物理的な衝撃などによる性能低下が起こり難くするため、機械的損傷を受けやすいと考えられる透明基材層の視認側(例えば、表示装置で直接の表示側となり、物が接触して物理的損傷を受けることが予測される)ではなく、透明基材層の偏光子と対向する面に設けることが好ましい。
(2)保護フィルム(F1、F4)について
前述の通り、保護フィルムは、透明基材層と、防湿層とを含む。この保護フィルムは、液晶表示装置において最も視認側の保護フィルム(F1)または最もバックライト側の保護フィルム(F4)として好ましく用いられる。
2−1)透明基材層
透明基材層は、熱可塑性樹脂を含む。熱可塑性樹脂の例には、セルロースエステル、(メタ)アクリル樹脂などが含まれる。耐熱性が高く、偏光子との接着性が良好な透明基材層が得られやすい点では、セルロースエステルが好ましい。透湿度が低い透明基材層が得られやすい点では、(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
セルロースエステル
セルロースエステルは、セルロースと、炭素原子数2〜22の脂肪族カルボン酸および芳香族カルボン酸の少なくとも一方とをエステル化反応させて得られる化合物である。
セルロースエステルの例には、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースプロピオート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどが含まれる。なかでも、位相差発現性の低いものが好ましく、セルローストリアセテートが好ましい。
セルロースエステルのアシル基の総置換度は、2.0〜3.0程度であり、好ましくは2.5〜2.95、より好ましくは2.6〜2.9、さらに好ましくは2.8〜2.91である。位相差発現性を低くするためには、アシル基の総置換度は高くすることが好ましい。
セルロースエステルに含まれるアシル基の炭素原子数は、2〜7であることが好ましく、2〜4であることがより好ましい。良好な耐熱性を得るためなどから、セルロースエステルに含まれるアシル基は、アセチル基を含むことが好ましい。炭素原子数3以上のアシル基の置換度は、0.9以下であることが好ましく、0であることがより好ましい。
セルロースエステルのアシル基の置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法で測定することができる。
セルロースエステルの重量平均分子量は、一定以上の機械的強度を得るためには、5.0×10〜5.0×10であることが好ましく、1.0×10〜3.0×10であることがより好ましく、1.5×10〜2.8×10であることがさらに好ましい。
セルロースエステルの分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1.0〜4.5であることが好ましい。
セルロースエステルの重量平均分子量および分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されうる。測定条件は、以下の通りである。
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製)を3本接続して使用する。
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standardポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1.0×10〜5.0×10までの13サンプルによる校正曲線を使用する。13サンプルは、ほぼ等間隔に選択することが好ましい。
(メタ)アクリル樹脂
(メタ)アクリル樹脂は、特に制限されず、メチルメタクリレートモノマー由来の構造単位50〜99質量%と、これと共重合可能な他のモノマー由来の構造単位1〜50質量%とを含む共重合体であることが好ましい。
共重合可能な他のモノマーの例には、アルキル数の炭素数が2〜18のアルキルメタクリレート、アルキル数の炭素数が1〜18のアルキルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸、スチレン、α−メチルスチレン、核置換スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド、グルタル酸無水物、グルタルイミド、ラクトン等が挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上を併用して用いることができる。
共重合可能な他のモノマーは、耐熱性や流動性の観点から、メチルアクリレート、エチルアクリレート、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド、グルタル酸無水物、グルタルイミド、ラクトンがより好ましい。
(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、透明基材層の機械的強度を一定以上とし、フィルム製造時の流動性を一定以上とするためなどから、80000〜1000000であることが好ましい。(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、前述と同様に、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。
透明基材層は、セルロースエステルと(メタ)アクリル樹脂の両方を含んでもよい。セルロースエステルと(メタ)アクリル樹脂の含有比率(質量比)は、求められる耐熱性や透湿度にもよるが、例えばセルロースエステル:(メタ)アクリル樹脂=5:95〜30:70としうる。
添加剤
添加剤は、特に限定されないが、セルロースエステル樹脂と組み合わされうる好ましい添加剤の例には、糖エステル化合物、ポリエステル化合物が含まれる。
(糖エステル化合物)
糖エステル化合物は、糖に含まれる水酸基とモノカルボン酸とを反応させて得られる化合物である。即ち、糖エステル化合物は、糖由来の構造と、(糖に含まれる)水酸基とモノカルボン酸との反応物由来のアシル基とを含む。
糖エステル化合物に含まれる糖由来の構造は、フラノース構造とピラノース構造の一方または両方が1〜12個結合した構造であることが好ましく;フラノース構造とピラノース構造の一方または両方が1〜3個、好ましくは2個結合した構造であることが好ましい。なかでも、ピラノース構造とフラノース構造の両方を含むものが好ましい。
糖由来の構造の例には、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロースおよびアラビノースなどの単糖;ラクトース、スクロース、マルチトール、セロビオース、マルトースなどの二糖;セロトリオース、ラフィノースなどの三糖などに由来する構造が含まれる。
糖エステル化合物に含まれるアシル基は、脂肪族アシル基であっても、芳香族基アシル基であってもよい。
脂肪族アシル基の炭素原子数は1〜22、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8でありうる。脂肪族アシル基の例には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基などが含まれる。芳香族アシル基の例には、ベンゾイル基、トルイル基、フタリル基が含まれる。
中でも、糖エステル化合物に含まれるアシル基は、透明基材層の疎水性を高めたり、硬度を高めたり、セルロースエステルとの相溶性を高めるためなどから少なくともベンゾイル基を含むことが好ましい。糖エステル化合物に含まれる複数のアシル基は、互いに同じであっても異なっていてもよい。
糖エステル化合物において、アシル基で置換されていない未反応の水酸基は、通常、そのまま水酸基として残っていてもよい。
糖エステル化合物は、アシル基の種類が同一で、かつ置換度が異なる複数の糖エステル化合物の混合物でありうる。そのような混合物は、無置換体が含まれていてもよい。上記混合物における平均エステル置換率は、62〜94%であることが好ましい。上記混合物における平均エステル置換率は、下記式で定義されうる。
平均エステル置換率=100%×(混合物中の各糖エステル化合物の含有率)×(混合物中の各糖エステル化合物一分子中のエステル化されたOHの数)/(無置換糖の一分子中のOHの総数)
糖エステル化合物の具体例には、以下のものが含まれる。
Figure 2015011059
Figure 2015011059
Figure 2015011059
糖エステル化合物の数平均分子量は、好ましくは200〜3500、より好ましくは200〜3000、特に好ましくは250〜2000としうる。
透明基材層における糖エステル化合物の含有量は、(セルロースエステルと(メタ)アクリル樹脂の合計)に対して2〜25質量%程度とすることができ、好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは5〜15質量%程度としうる。
(ポリエステル化合物)
ポリエステル化合物は、ジカルボン酸とジオールとの縮合物に由来する繰り返し単位を含む。
ジカルボン酸は、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸または芳香族ジカルボン酸でありうる。脂肪族ジカルボン酸の炭素原子数は、好ましくは4〜20であり、より好ましくは4〜12である。脂肪族ジカルボン酸の例には、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、イタコン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等が含まれ、好ましくはアジピン酸などでありうる。
芳香族ジカルボン酸の炭素原子数は、好ましくは8〜20であり、より好ましくは8〜12である。芳香族ジカルボン酸の例には、1,2-ベンゼンジカルボン酸(フタル酸)、1,3-ベンゼンジカルボン酸(イソフタル酸)、1,4-ベンゼンジカルボン酸(テレフタル酸)、1,5-ナフタレンジカルボン酸、1,4−キシリデンジカルボン酸等が含まれ、好ましくはフタル酸やテレフタル酸などでありうる。
脂環式ジカルボン酸の炭素原子数は、好ましくは6〜20であり、より好ましくは6〜12である。脂環式ジカルボン酸の例には、1,3−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジ酢酸等が含まれる。
ポリエステル化合物を得るためのジカルボン酸は、一種類であっても、二種類以上あってもよい。ポリエステル化合物を得るためのジカルボン酸は、透明基材層の疎水性を高めたり、セルロースエステルとの相溶性を高めたりするためなどから、芳香族ジカルボン酸を含むことが好ましく、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸の両方を含むことがより好ましい。芳香族ジカルボン酸は、好ましくは1,4-ベンゼンジカルボン酸(テレフタル酸)でありうる。
ジオールは、脂肪族ジオール、アルキルエーテルジオール、脂環式ジオールまたは芳香族ジオールでありうる。
脂肪族ジオールの炭素数は、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜12である。脂肪族ジオールの例には、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール(3,3-ジメチロールペンタン)、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール(3,3-ジメチロールヘプタン)、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、および1,12-オクタデカンジオールなどが含まれる。アルキルエーテルジオールの炭素原子数は、好ましくは4〜20であり、より好ましくは4〜12である。アルキルエーテルジオールの例には、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレンエーテルグリコールおよびポリプロピレンエーテルグリコールなどが含まれる。
脂環式ジオールの炭素原子数は、好ましくは4〜20であり、より好ましくは4〜12である。脂環式ジオールの例には、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが含まれる。
芳香族ジオールの炭素原子数は、好ましくは6〜20であり、より好ましくは6〜12である。芳香族ジオールの例には、1,2-ジヒドロキシベンゼン(カテコール)、1,3-ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール)、1,4-ジヒドロキシベンゼン(ヒドロキノン)などが含まれる。
ポリエステル化合物を得るためのジオールは、一種類であっても、二種類以上あってもよい。ポリエステル化合物を得るためのジオールは、脂肪族ジオールを含むことが好ましい。
なかでも、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸とを含むジカルボン酸と、脂肪族ジオールとの縮合物に由来する繰り返し単位を含むポリエステル化合物が、それを含むフィルムの透明性が良好である点から、好ましい。
ポリエステル化合物の分子末端は、未封止であってもよいが、必要に応じてモノカルボン酸またはモノアルコールで封止されていてもよい。
モノカルボン酸は、脂肪族モノカルボン酸、脂環式モノカルボン酸または芳香族モノカルボン酸でありうる。脂肪族モノカルボン酸の炭素原子数は、好ましくは2〜30、より好ましくは2〜4でありうる。脂肪族カルボン酸の例には、酢酸、プロピオン酸などが含まれる。脂環式モノカルボン酸の例には、シクロヘキシルモノカルボン酸などが含まれる。芳香族モノカルボン酸の例には、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸、フェニル酢酸、3−フェニルプロピオン酸などが含まれる。
モノアルコールは、脂肪族モノアルコール、脂環式モノアルコールまたは芳香族モノアルコールでありうる。脂肪族モノアルコールの炭素原子数は1〜30であり、好ましくは1〜3でありうる。脂肪族モノアルコールの例には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどが含まれる。脂環式モノアルコールの例には、シクロヘキシルアルコールなどが含まれる。芳香族モノアルコールの例には、ベンジルアルコール、3−フェニルプロパノールなどが含まれる。
ポリエステル化合物の具体例には、以下のものが含まれる。表1において、TPA:テレフタル酸、PA:フタル酸、SA:コハク酸、AA:アジピン酸を示す。
Figure 2015011059
ポリエステル化合物の数平均分子量は、300〜2000であることが好ましく、400〜1500であることがより好ましい。数平均分子量が300未満であるポリエステル化合物のブリードアウトが生じるおそれがある。
ポリエステル化合物の含有量は、主成分となる樹脂(セルロースエステルと(メタ)アクリル樹脂の合計)に対して0.5〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。ポリエステル化合物の含有量が5質量%未満であると、十分な可塑化効果が得られない可能性がある。一方、ポリエステル化合物の含有量が30質量%超であると、フィルムからブリードアウトしやすくなる。
(メタ)アクリル樹脂と組み合わされうる可塑剤の例には、前述の糖エステル化合物やポリエステル化合物などのほか、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル等のフタル酸ジアルキル化合物;フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸アルキルベンジル化合物;フタル酸アルキルアリール化合物;フタル酸ジベンジル化合物;フタル酸ジアリール化合物;リン酸トリクレシル等のリン酸トリアリール化合物;リン酸トリアルキル化合物;リン酸アルキルアリール化合物;アジピン酸エステル化合物;エーテル化合物;エポキシ化大豆油等の大豆油化合物などが含まれる。これらは、それぞれの可塑剤が有する特徴に応じて適宜組み合わせて用いられうる。これらの可塑剤は、1種を単独で用いてもよいし、目的に応じて2種以上の可塑剤を混合して用いてもよい。
糖エステル化合物とポリエステル化合物の含有量は、前述と同様の範囲としうる。それ以外の可塑剤の含有量は、(メタ)アクリル樹脂に対して1〜40質量%であり、好ましくは5〜30質量%としうる。可塑剤の含有量がこの範囲にあると、(メタ)アクリル樹脂を含むフィルムの柔軟性と強度とのバランスが良好となりやすい。
透明基材層と偏光子との密着性を高める観点から、透明基材層における糖エステル化合物、ポリエステル化合物またはその他の可塑剤は、透明基材層の厚み方向に偏在していること;具体的には、透明基材層の一方の面近傍における可塑剤の含有量が、他方の面近傍における可塑剤の含有量よりも多いことが好ましい。透明基材層の、可塑剤の含有量が多い方の面は、活性エネルギー線硬化性接着剤などの有機系接着剤を用いたときに、偏光子との良好な接着性が得られやすい。一方、透明基材層の、可塑剤含有量の少ない方の面は、鹸化型のポリビニルアルコ−ル系接着剤(水系接着剤)を用いたときに、偏光子との良好な接着性が得られやすい。
厚み方向に可塑剤が偏在した透明基材層は、例えば溶液流延法で製膜して得ることができる。さらに、透明基材層の厚み方向に可塑剤を偏在させやすくするためには、溶液流延法で製膜する際に用いられるドープ中の可塑剤の溶解度パラメーターの値(SP値)と溶剤のSP値との差の絶対値を、可塑剤のSP値と主成分となる樹脂(セルロースエステルまたは(メタ)アクリル樹脂)のSP値との差の絶対値よりも小さくすることが好ましい。具体的には、可塑剤のSP値と主成分となる樹脂のSP値との差の絶対値は、好ましくは0.5以上であり、より好ましくは1.0以上としうる。可塑剤のSP値は、9.5〜11.5の範囲としうる。
透明基材層は、必要に応じて他の成分をさらに含んでもよい。他の成分の例には、他の可塑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤などの添加剤やマット剤などが含まれる。
紫外線吸収剤
透明基材層に含まれうる紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系化合物、2−ヒドロキシベンゾフェノン系化合物またはサリチル酸フェニルエステル系化合物等でありうる。それらの例には、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類が含まれる。
これらのなかでも、分子量が400以上の紫外線吸収剤は、高沸点で揮発しにくく、高温成形時にも飛散しにくいことから、比較的少量の添加で効果的に耐候性が得られやすい。このため、紫外線吸収剤の分子量は、250〜1000であることが好ましく、400〜800であることがより好ましい。
分子量が400以上の紫外線吸収剤の例には、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等のベンゾトリアゾール系、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダードアミン系、さらには2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の分子内にヒンダードフェノールとヒンダードアミンの構造を共に有するハイブリッド系のものが含まれる。これらは単独で、あるいは2種以上を併用して使用することができる。これらのなかでも、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾールや2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が好ましい。
紫外線防止剤の含有量は、透明基材層中に質量割合で0.001%〜5%であることが好ましく、0.1〜3%であることがさらに好ましい。
さらに、透明基材層は、成形加工時の熱による分解や着色を抑制するために、各種の酸化防止剤を含んでもよい。また、透明基材層は、帯電防止性能を付与するためなどから、帯電防止剤をさらに含んでもよい。
マット剤
透明基材層は、滑り性を付与するためにマット剤をさらに含有してもよい。マット剤は、無機微粒子または有機微粒子でありうる。
無機微粒子を構成する無機化合物の例には、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等が含まれる。なかでも、セルロースエステルと屈折率が近く、フィルムの透明性(ヘイズ)に優れる二酸化珪素が好ましい。
二酸化珪素の例には、アエロジル200V、アエロジルR972V、アエロジルR972、R974、R812、R202(以上日本アエロジル(株)製)、シーホスターKEP−10、KEP−30、KEP−50(以上、株式会社日本触媒製)などが含まれる。
粒子の形状は、特に制限されず、不定形、針状、扁平、球状等でありうる。なかでも、得られる透明基材層の透明性が良好であることから、球状の粒子が好ましい。
粒子の大きさは、可視光の波長に近いと光が散乱し、透明性が低下するため、可視光の波長より小さいことが好ましく、さらに可視光の波長の1/2以下であることが好ましい。粒子の大きさが小さすぎると、滑り性が改善されない場合があるので、80nmから180nmの範囲であることが好ましい。粒子の大きさとは、粒子が1次粒子の凝集体の場合は、凝集体の大きさを意味する。また、粒子が球状でない場合は、その投影面積に相当する円の直径を意味する。
マット剤の含有量は、セルロースエステルに対して0.05〜1.0質量%程度とすることができ、好ましくは0.1〜0.8質量%としうる。
透明基材層の厚みは、偏光板の厚みが後述する範囲に調整される範囲であればよい。具体的には、熱などによる偏光板の収縮を低減し、表示装置のベンドムラを抑制するためなどから、一定以下であることが好ましく、10〜80μmであることが好ましく、10〜70μmであることがより好ましく、10〜35μmであることがさらに好ましい。
透明基材層の厚みは、偏光子の厚みの80〜4000%とすることができ、好ましくは80〜1800%としうる。
透明基材層は、溶融流延法または溶液流延法で製造されうる。なかでも、可塑剤などの添加剤を厚み方向に偏在させやすいことから、透明基材層は、溶液流延法で製造されることが好ましい。
即ち、溶液流延法による透明基材フィルムの製造は、例えば1)主成分となるセルロースエステルまたは(メタ)アクリル樹脂と、可塑剤などの添加剤とを溶剤に溶解させてドープを得る工程、2)該ドープを無端状の金属支持体上に流延する工程、3)流延されたドープを乾燥させて得られる膜状物を、金属支持体から剥離する工程、必要に応じて4)膜状物を延伸する工程を経て行われうる。
1)のドープの調製に用いられる有機溶媒は、セルロースエステルや(メタ)アクリル樹脂などの樹脂成分と添加剤などとを同時に溶解するものであれば、任意のものであってよい。
例えば、塩素系有機溶媒としては、塩化メチレンが挙げられる。非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等が挙げられる。なかでも、塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンなどが好ましい。
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有させることが好ましい。ドープ中にアルコールを含有させることで、膜状物がゲル化しやすく、金属支持体からの剥離が容易になる。炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらの内ドープの安定性、沸点も比較的低く、乾燥性もよいこと等からエタノールが好ましい。
透明基材層の厚み方向に、可塑剤を偏在させるためには、セルロースエステル、可塑剤および溶剤の、Fedorsの溶解度パラメーターの値(SP値)を、それぞれSP、SP、SPとしたとき、下記の関係を満たすように各材料を選択することが好ましい。SP値の差の絶対値が小さいほど、物質同士が溶解しやすいことを意味する。
|SP−SP|>|SP−SP
SP値は、Fedorsのパラメーターを用いて計算で求めることが好ましい。SP値の単位は、凝集エネルギー密度△Eをモル体積Vで除した値の平方根で、「(cm/cal)1/2」を用いることができる。Fedorsのパラメーターは、参考文献:コーティングの基礎科学 原田勇次著 槇書店(1977)のp54〜57に記載されている。
金属支持体上でドープを乾燥させるとき、ドープの、金属支持体に接していない面(空気と接する面)から溶剤が蒸発する。そのため、ドープの金属支持体と接する面近傍の溶剤濃度が、金属支持体と接しない面(空気と接する面)近傍の溶剤濃度よりも高くなり、ドープの厚み方向に溶剤の濃度勾配が生じる。主成分となる樹脂(セルロースエステルまたは(メタ)アクリル樹脂)よりも溶剤との親和性が高い可塑剤を選択することで、可塑剤を、(溶剤濃度が高い)金属支持体と接する面近傍に多く存在させることができる。
2−2)防湿層
防湿層は、保護フィルムの透湿度を低下させるために、透明基材層上に直接または他の層(下塗り層など)を介して設けられうる。防湿層は、塩化ビニル樹脂を含む層、層状無機化合物を含む層、無機薄膜、ハードコート層、防眩層、反射防止層などであってよい。中でも、透湿度を低減する効果が高いことから、好ましくは塩化ビニル樹脂を含む層、層状無機化合物を含む層、または無機薄膜であり;より好ましくは塩化ビニル樹脂を含む層または無機薄膜である。
塩化ビニル樹脂を含む層
塩化ビニル樹脂は、塩素含有ビニル単量体由来の繰り返し単位を含む重合体であり;塩素含有ビニル単量体の単独重合体、または塩素含有ビニル単量体とそれと共重合可能な他の単量体との共重合体でありうる。塩素含有ビニル単量体の例には、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどが含まれる。
共重合可能な他の単量体の例には、オレフィン類、スチレン類、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、イタコン酸ジエステル類、マレイン酸エステル類、フマル酸ジエステル類、N−アルキルマレイミド類、無水マレイン酸、アクリロニトリル、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、ビニルケトン類、グリシジルエステル類、不飽和ニトリル類、不飽和カルボン酸類等から選ばれる単量体が挙げられる。
オレフィン類の例には、ジシクロペンタジエン、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。スチレン類の例には、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレンなどが含まれる。(メタ)アクリル酸エステルの例には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレートなどが含まれる。(メタ)アクリルアミド類の例には、(メタ)アクリルアミド、メチル(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミドなどが含まれる。
ビニルエーテル類の例には、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどが含まれる。ビニルエステルの例には、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレートなどが含まれる。ビニルケトン類の例には、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトンなどが含まれる。
イタコン酸ジエステル類の例には、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチルなどが含まれ;マレイン酸ジエステル類の例には、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジメチルなどが含まれ、フマル酸ジエステル類の例には、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチルなどが含まれる。グリシジルエステル類の例には、グリシジル(メタ)アクリレートなどが含まれる。不飽和ニトリル類の例には、アクリロニトリルなどが含まれる。不飽和カルボン酸の例には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸などが含まれる。
塩化ビニル樹脂における、塩素含有ビニル単量体由来の繰り返し単位の含有割合は、50〜99質量%であることが好ましく、60〜98質量%であることがより好ましく、70〜97質量%であることがさらに好ましい。塩素含有ビニル単量体由来の繰り返し単位の含有割合が50質量%以上であれば、防湿層の透湿度を十分に下げやすい。塩素含有ビニル単量体由来の繰り返し単位の含有割合が99質量%以下であれば、溶剤への溶解性が得られやすい。
塩化ビニル樹脂は、旭化成ケミカルズ(株)、呉羽化学(株)の市販品であってもよい。旭化成ケミカルズ(株)の市販品の例には、「サランレジンR241C」、「サランレジンF216」、「サランレジンR204」、「サランラテックスL502」、「サランラテックスL529B」、「サランラテックスL536B」、「サランラテックスL544D」、「サランラテックスL549B」、「サランラテックスL551B」、「サランラテックスL557」、「サランラテックスL561A」、「サランラテックスL116A」、「サランラテックスL411A」、「サランラテックスL120」、「サランラテックスL123D」、「サランラテックスL106C」、「サランラテックスL131A」、「サランラテックスL111」、「サランラテックスL232A」、「サランラテックスL321B」などが含まれる。ケトン類溶媒(メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなど)に可溶である点では、サランレジンF216が好ましい。結晶性が高く、防湿層の透湿度を十分に下げやすい点では、サランレジンR204が好ましい。
塩化ビニル樹脂の含有量は、塩化ビニル樹脂を含む層全体に対して、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。
塩化ビニル樹脂を含む層は、必要に応じて劣化防止剤や、ブロッキングを抑制するための有機または無機微粒子をさらに含んでもよい。
例えば、塩化ビニル樹脂は、熱、光、紫外線によって分解され、着色しやすいことから、塩化ビニル樹脂を含む層は、劣化防止剤をさらに含むことが好ましい。劣化防止剤の例には、酸化防止剤、紫外線吸収剤などが含まれる。酸化防止剤の例には、クマロン系化合物、クマラン系化合物、フェノール系化合物(例えばヒンダードフェノール類)、ハイドロキノン誘導体、ヒンダードアミン誘導体、スピロインダン系化合物が含まれる。紫外線吸収剤の例には、前述と同様のものが含まれる。
無機微粒子は、前述のマット剤と同様のものを用いることができる。有機粒子は、プラスチックビーズが好適であり、特に透明度が高く、組み合わされる樹脂との屈折率差が0.001以上0.3以下になるものが好ましい。有機粒子の例には、架橋ポリメチルメタクリレート粒子(屈折率1.49)、架橋ポリ(アクリル−スチレン)共重合体粒子(屈折率1.54)、ポリスチレン粒子(屈折率1.60)、架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.61)、ポリ塩化ビニル粒子(屈折率1.60)などが含まれる。
層状無機化合物を含む層
層状無機化合物を含む層は、層状無機化合物と、それを保持するためのバインダ樹脂とを含む。
層状無機化合物は、原子が共有結合等によって強く結合して密に配列したシートが、ファンデルワールス力、静電気力などによってほぼ平行に積み重なった構造を有し;層間に溶媒を配位または吸収して、膨潤またはへき開する性質を示す無機化合物をいう。
層状無機化合物としては、膨潤性の含水ケイ酸塩、例えばスメクタイト群粘土鉱物(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイトなど)、バーミキュライト群粘土鉱物(バーミキュライトなど)、カオリン型鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイトなど)、フィロケイ酸塩(タルク、パイロフィライト、マイカ、マーガライト、白雲母、金雲母、テトラシリリックマイカ、テニオライトなど)、ジャモン石群鉱物(アンチゴライトなど)、緑泥石群鉱物(クロライト、クックアイト、ナンタイトなど)などが含まれる。これらの膨潤性層状無機化合物は、天然物でも合成物でもよい。
層状無機化合物は、有機化処理がさらに施されたものであってもよい。有機化処理は、有機オニウムイオン(例えばモノアルキルの1級〜4級のアンモニウムイオン)からなる有機化剤を、層状無機化合物に添加して行うことができる。
層状無機化合物は、透明基材層との密着性を高める観点などから、微粒子化処理が施されていてもよい。微粒子化処理された層状無機化合物は、通常、板状または扁平状であり、無定形状などであってもよい。
層状無機化合物の平面形状の平均粒子径は、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜8μmがより好ましく、0.8〜6μmが更に好ましい。粒径が0.1μmより小さいと、透湿度の低減効果が充分でなく;粒径が10μmより大きいと、ヘイズや表面粗さなどが増大するおそれがある。
平面形状の平均粒子半径とは、一般的な粒度分布計、例えば、光散乱方式の粒度分布計(日機装社製「マイクロトラックUPA」)で測定される粒子半径分布値のうち、その値を有する粒子数が最も多くなる粒子半径である。
バインダ樹脂は、透湿性が比較的低い樹脂であればよく、好ましくはポリビニルアルコール系重合体でありうる。ビニルアルコール系重合体の例には、ポリビニルアルコール(PVA)などの単独重合体や、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)などが含まれる。これらのビニルアルコール系重合体は、その一部がカルボニル変性、シラノール変性、エポキシ変性、アセトアセチル変性、アミノ変性またはアンモニウム変性されていてもよい。
ビニルアルコール系重合体の鹸化度は、80モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがさらに好ましい。ビニルアルコール系重合体の重合度は、透湿度、塗布性の点から、100〜5000が好ましく、200〜4000がより好ましく、200〜3000程度がさらに好ましい。
ビニルアルコール系重合体は、必要に応じてチタン化合物などの架橋剤で架橋されていてもよい。
層状無機化合物を含む層は、前述と同様に、必要に応じて劣化防止剤や、有機または無機微粒子などをさらに含んでもよい。
層状無機化合物の含有量は、バインダ樹脂(好ましくはビニルアルコール系重合体)に対して、2〜20質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。層状無機化合物の濃度が2質量%未満であると、透湿度の低減効果が充分でなく;層状無機化合物の濃度が20質量%超であると、ヘイズが増加したり、脆性が高くなったりすることがある。
塩化ビニル樹脂を含む層および層状無機化合物を含む層の厚みは、1〜10μmであることが好ましく、1〜7μmであることがより好ましく、1〜3μmであることがさらに好ましい。塩化ビニル樹脂を含む層の厚みが大きすぎると、得られる保護フィルムにカールが生じることがある。一方、塩化ビニル樹脂を含む層の厚みが小さすぎると、保護フィルムの透湿度を十分には下げられないことがある。防湿層は、一層のみであってもよいし、二層以上であってもよい。
塩化ビニル樹脂を含む層および層状無機化合物を含む層は、前述した各成分と溶媒とを含む塗布液(防湿層用塗布液)を、透明基材層上に塗布した後、乾燥させて得ることができる。
透明基材層と防湿層との接着性を高めるために、透明基材層は、易接着処理されていてもよい。易接着処理の例には、アルカリ鹸化処理、コロナ処理などが含まれ、好ましくはアルカリ鹸化処理である。また、透明基材層上に、接着性を高めるための後述の下塗り層が形成されてもよい。
塗布液に含まれる溶媒は、特に制限されないが、透明基材層(好ましくはセルローストリアセテート)を溶解または膨潤させうる溶剤、透明基材層を溶解しない溶剤、水、またはそれらの混合溶媒でありうる。
透明基材層(好ましくはトリアセチルセルロース)を溶解または膨潤させうる溶媒の例には、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,5−トリオキサン、テトラヒドロフランなどの炭素原子数3〜12のエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、及びメチルシクロヘキサノンなどの炭素原子数が3〜12のケトン類;
蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n−ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン醸エチル、酢酸n−ペンチル、及びγ−ブチロラクトン等の炭素数が3〜12のエステル類などが含まれる。
透明基材層(好ましくはトリアセチルセルロース)を溶解しない溶媒の例には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール系溶剤が含まれる。
ラテックスではない塩化ビニル樹脂を含む層を得るためには、例えばテトラヒドロフランもしくは、メチルエチルケトンやシクロヘキサノンなどのケトン系溶剤を用いることが好ましく;塩化ビニル樹脂ラテックスを含む層を得るためには、水を用いることが好ましい。層状無機化合物と、ポリビニルアルコール系重合体とを含む防湿層を得るためには、例えば水とアルコール系溶剤の混合溶媒を用いることが好ましい。
無機薄膜
無機薄膜は、金属酸化物、金属窒化物あるいは金属酸窒化物を主成分として含有することが好ましい。このような無機薄膜が形成された透明基材層は、水分透過性が低減されうる。「金属酸化物、金属窒化物あるいは金属酸窒化物を主成分として含有する」とは、金属酸化物、金属窒化物あるいは金属酸窒化物を、無機薄膜中80%以上の割合で含むことを意味する。
金属酸化物、金属窒化物あるいは金属酸窒化物の例には、ケイ素、ジルコニウム、チタン、タングステン、タンタル、アルミニウム、亜鉛、インジウム、クロム、バナジウム、スズ、およびニオブからなる群より選ばれる1種類以上の元素の酸化物、窒化物または酸窒化物が含まれる。具体的には、酸化珪素、酸化チタン、酸化スズ、アルミナ等の金属酸化物;窒化珪素等の金属窒化物;酸窒化珪素、酸窒化チタン等の金属酸窒化物等が挙げられる。なかでも、水分透過性が特に低いことから、無機薄膜は、酸化珪素を主成分として含有すること;具体的には、酸化珪素を無機薄膜の80質量%以上の割合で含有することが好ましい。
酸化珪素を主成分として含む無機薄膜は、透明性が高いものの、水分等のバリア性をさらに向上させるためなどから、窒素原子をさらに含んでもよい。窒素源としては、後述するシラザンや窒素ガス等を用いることができる。ただし、窒素原子の含有比率を高めると、膜のバリア性は向上するが、逆に光透過率が低下しやすい。そのため、例えば酸窒化珪素や酸窒化チタンを主成分とする無機薄膜は、SiO、TiOのxおよびyが下記式を満たすように調整し、無機薄膜の光透過性を過剰に低下させないことが好ましい。例えば、x=0である場合、即ちSiNは、光透過性が極めて低い。
0.4≦x/(x+y)≦0.8
無機薄膜中の酸素原子や窒素原子の含有比率は、XPS(VGサイエンティフィック社製ESCACAB−200R)を用いて測定できる。
無機薄膜は、例えば、ゾルゲル法といわれる溶液を塗設する方法、真空蒸着、スパッタリング、プラズマCVD法等で形成されうる。なかでも、スパッタリングやプラズマCVD法により形成されることが好ましい。プラズマCVD法は、大気圧若しくはその近傍の圧力下で行われうる。大気圧近傍とは、20kPa〜110kPa、好ましくは93kPa〜104kPaの範囲の圧力を示す。
大気圧プラズマ法では、有機金属化合物を反応性ガスとして用い、対向する電極間でプラズマ状態とした反応性ガスに透明基材フィルムを曝すことで、透明基材フィルム上に薄膜を形成する。大気圧プラズマ法は、緻密な膜を形成でき、反応性ガスの種類やプラズマ発生条件などによって膜の物性を調整できるため好ましい。
反応性ガスは、例えば有機金属化合物や金属水素化合物のガスでありうる。有機金属化合物や金属水素化合物は、常温常圧で、気体、液体、固体いずれの状態であってもよい。これらの化合物が気体である場合は、そのまま放電空間に導入でき;液体または固体である場合は、加熱、減圧、超音波照射等により気化させて用いることができる。また、これらの化合物を溶媒で希釈して使用してもよい。溶媒は、メタノール、エタノール、n−ヘキサンなどの有機溶媒およびこれらの混合溶媒を使用することができる。希釈溶媒は、プラズマ放電処理中において、分子状、原子状に分解されるため、これらの膜特性への影響はほとんど無視できる。
酸化珪素を主成分として含む無機薄膜を得るための有機金属化合物は、腐食性や有害ガスの発生がないことなどから、例えば下記一般式(I)〜(V)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
Figure 2015011059
一般式(I)中、R21〜R26は、水素原子または1価の基を表す。n1は自然数を表す。一般式(I)で表される化合物の例には、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン等が含まれる。
Figure 2015011059
一般式(II)中、R31およびR32は、水素原子または1価の基を表す。n2は自然数を表す。一般式(II)で表される化合物の例には、ヘキサメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。
Figure 2015011059
一般式(III)中、R41およびR42は、水素原子または1価の基を表す。nは、0から3までの整数を表す。一般式(III)で表される有機珪素化合物の例には、テトラエトキシシラン(TEOS)、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、i−ブチルトリメトキシシラン、n−へキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が含まれる。
Figure 2015011059
一般式(IV)中、Aは、単結合あるいは2価の基を表す。R51〜R55は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、芳香族複素環基、アミノ基またはシリル基を表す。R51およびR52、R54およびR55は縮合して環を形成していてもよい。
一般式(IV)において、Aとして好ましくは単結合あるいは、炭素数1〜3の2価の基である。R54およびR55は縮合して環を形成していてもよく、形成される環の例には、ピロール環、ピペリジン環、ピペラジン環、イミダゾール環等が含まれる。R51〜R53は、好ましくは水素原子、メチル基またはアミノ基である。
一般式(IV)で表される化合物の例には、アミノメチルトリメチルシラン、ジメチルジメチルアミノシラン、ジメチルアミノトリメチルシラン、アリルアミノトリメチルシラン、ジエチルアミノジメチルシラン、1−トリメチルシリルピロール、1−トリメチルシリルピロリジン、イソプロピルアミノメチルトリメチルシラン、ジエチルアミノトリメチルシラン、アニリノトリメチルシラン、2−ピペリジノエチルトリメチルシラン、3−ブチルアミノプロピルトリメチルシラン、3−ピペリジノプロピルトリメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン、1−トリメチルシリルイミダゾール、ビス(エチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ブチルアミノ)ジメチルシラン、2−アミノエチルアミノメチルジメチルフェニルシラン、3−(4−メチルピペラジノプロピル)トリメチルシラン、ジメチルフェニルピペラジノメチルシラン、ブチルジメチル−3−ピペラジノプロピルシラン、ジアニリノジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルシラン等があげられる。
一般式(IV)は、一般式(V)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2015011059
一般式(V)中、R61〜R66は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基または芳香族複素環基を表す。R61〜R66は、気化を容易にする観点から、好ましくは炭素数1〜10の炭化水素基であり、より好ましくはR61〜R63のうち少なくとも2つおよびR64〜R66のうち少なくとも2つがメチル基である。
一般式(V)で表される化合物の例としては、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ビス(クロロメチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン等が挙げられる。
酸化スズを形成するための有機金属化合物や金属水素化合物は、例えばジブチル錫ジアセテート等が挙げられる。さらに、酸素ガスや窒素ガスを所定割合で上記有機金属化合物と組み合わせることで、酸素原子と窒素原子の少なくともいずれかと、珪素または錫等の金属原子とを含有する膜を得ることができる。
さらに、膜中の炭素含有率を調整するために、前述のように混合ガス中に水素ガスや不活性ガスを混合してもよい。不活性ガスの例には、周期表の第18属原子、具体的にはヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が含まれ;好ましくはヘリウム、アルゴンである。
不活性ガスと反応性ガスの割合は、得ようとする膜の性質によって異なるが、混合ガス全体に対し、不活性ガスの割合を90.0〜99.9%とすることが好ましい。
例えば、反応性ガスとしてシラザンを用いることで、酸窒化珪素(SiON)を含む膜を得ることができる。Si源としては、上記のような有機珪素化合物だけでなく、無機珪素化合物を用いてもよい。酸素源としては、酸素ガス以外にオゾン、二酸化炭素、水(水蒸気)等を用いてもよいし;窒素源としては、シラザンや窒素ガス以外に、アンモニア、窒素酸化物等を用いてもよい。
無機薄膜は、ある程度の厚みがなければ、水分のバリア性が充分でない。一方で、厚みが大きすぎると、水分のバリア性には優れるがクラックが生じやすい。そのため、無機薄膜の厚みは、30nm〜1500nm、好ましくは70nm〜1000nmであることが好ましい。
従って、一定以上の厚みを有する無機薄膜を塗布によって一度に形成しやすい点では、ゾルゲル法が有効である。また、緻密な膜が得られやすい点では、スパッタリングや大気圧またはその近傍下でのプラズマCVD法が有効である。プラズマCVD法で一定以上の厚みの無機薄膜を得るためには、プラズマ処理の回数や時間を増やせばよい。
(プラズマ製膜装置)
無機薄膜は、前述の通り、大気圧またはその近傍下でのプラズマCVD法で形成されうる。プラズマ製膜装置は、種々のものを用いることができる。長尺状の透明基材フィルム上への無機薄膜の形成に適したプラズマ製膜装置の例を、以下説明する。
図1は、プラズマ製膜装置50の概略構成図を示す。図1に示されるように、プラズマ製膜装置50は、プラズマ放電処理室30と、ガス発生装置51と、プラズマ放電処理室30内の電極間に電圧を印加する電源41と、電極冷却ユニット55とを含む。
プラズマ放電処理室30は、主にロール電極25と、その外周に設けられた複数の固定電極36と、複数の固定電極36を囲むように設けられた放電容器11とを含む。
ロール電極25は、長尺状の透明基材フィルムを支持する。複数の固定電極36は、ロール電極25の周面と対向するように配置され、それぞれ筒状に構成されている。複数の固定電極36は、図1に示されるように角型状であってもよいし、図2に示されるように円筒状であってもよい。
後述する電圧や電力を印加するためには、ロール電極25と固定電極36の少なくとも一方;好ましくは両方が、金属母材上に誘電体を被覆したものであることが好ましい。誘電体は、非誘電率が6〜45の無機物であることが好ましい。
ロール電極25と固定電極36との間のギャップ(最短距離)は、いずれも均一な放電を行う観点から、0.5mm〜20mmが好ましく、特に好ましくは1mm±0.5mmである。この距離は、電極表面の誘電体の厚みや印加電圧の大きさなどを考慮して設定される。
プラズマ処理は、透明基材フィルムFを、ロール電極25と固定電極36との間に固定あるいは搬送させながら行う。そのため、透明基材フィルムFをロール電極25に接して搬送できるようにし;さらにロール電極25または固定電極36に設けられた誘電体表面を研磨仕上げして表面粗さRmax(JIS B 0601)を10μm以下にすることで、誘電体の厚みおよび電極間のギャップを一定に保ち、放電状態を安定化させることが好ましい。さらに、ロール電極25と固定電極36の少なくとも一方を、誘電体の熱収縮差や残留応力による歪みやひび割れがなく、かつノンポーラスな高精度の無機誘電体で被覆することで、耐久性を顕著に向上させうる。
金属母材上に誘電体被覆を形成するには、前述のように、誘電体表面を研磨仕上げすることや、電極の金属母材と誘電体間の熱膨張の差をなるべく小さくすることが必要である。そのため、金属母材の表面に、応力を吸収できる層として泡混入量をコントロールして無機質の材料をさらにライニングすることが好ましい。そのような無機質の材料の例には、特に琺瑯等で知られる溶融法により得られるガラスであることが好ましい。さらに、金属母材に接する最下層の泡混入量を20〜30体積%とし、その上に積層される層を5体積%以下とすることで、緻密かつひび割れ等のない良好な電極を得ることができる。
また、金属母材を誘電体で被覆する別の方法として、セラミックスの溶射を空隙率10vol%以下まで緻密に行い、さらにゾルゲル反応により硬化する無機質の材料にて封孔処理を行うことがあげられる。ゾルゲル反応の促進には、熱硬化やUV硬化がよく、さらに封孔液を希釈し、コーティングと硬化を逐次で数回繰り返すと、より一層無機質化が向上し、劣化のない緻密な電極ができる。
図3(a)および図3(b)は、ロール電極25の一例を示す図である。アース電極であるロール電極25cは、図3(a)に示すように、金属等の導電性母材25aと、その周面にセラミックスを溶射した後、無機材料を用いて封孔処理して設けられたセラミック被覆処理誘電体25bとを含む。ロール電極25cは、図示しないドライブ機構により軸部25dを中心に回転駆動可能に構成されている。
ロール電極25は、アースに接地される。導電性母材25aの周面に設けられるセラミック被覆処理誘電体25bの厚みは、1mm程度とし、ロール電極25cのロール径が200φとなるように設定されうる。
金属等の導電性母材25aとしては、銀、白金、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属等が挙げられるが、加工の観点からステンレスが好ましく、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材がより好ましい。溶射に用いるセラミックス材としては、アルミナ・窒化珪素等が好ましく用いられるが、この中でもアルミナが加工しやすいので、さらに好ましく用いられる。
図3(b)に示すように、ロール電極25Cは、金属等の導電性母材25Aと、その周面に設けられたライニング材(無機材料)からなるライニング処理誘電体25Bとを含む。ロール電極25Cは、図示しないドライブ機構により、軸部25Dを中心に回転駆動可能に構成されている。
導電性母材25Aは、前述と同様としうる。ライニング材としては、珪酸塩系ガラス、硼酸塩系ガラス、リ酸塩系ガラス、ゲルマン酸塩系ガラス、亜テルル酸塩ガラス、アルミン酸塩系ガラス、バナジン酸塩ガラスが好ましく用いられるが、この中でもホウ酸塩系ガラスが加工しやすいので、さらに好ましく用いられる。
図4(a)は、固定電極36の概略斜視図を示す。固定電極36は、角柱形状に限らず、図4(b)に示されるように円筒状でもよい。角柱型の固定電極36は、円柱型の固定電極26に比べて放電範囲を広げられることから、求められる膜の特性に応じて好ましく用いられる。
固定電極36(または26)は、いずれも前述のロール電極25c(または25C)と同様に構成されうる。即ち、固定電極36(または26)は、中空のステンレスパイプ26a(または36a)と、その周囲を被覆する誘電体26b(または36b)とを含み;放電中は冷却水による冷却が行えるようになっている。
誘電体26bおよび36bは、セラミック被覆処理誘電体であってもよいし、ライニング処理誘電体であってもよい。
固定電極36(または26)は、誘電体の被覆後の径が12φまたは15φとなるように製作される。固定電極36(または26)は、例えば上記ロール電極25の円周上に沿って14本設置されうる。
放電容器11は、混合ガスの給気口12と、処理後のガスの排気口13とを有するパイレックス(登録商標)ガラス製などの容器でありうる。放電容器11は、複数の固定電極36と絶縁されていれば、金属で構成されてもよい。例えば、アルミニウムまたはステンレス製の金属フレームの内面にポリイミド樹脂層が設けられたものであってもよく、該金属フレームにセラミックス溶射を行い、複数の固定電極36と絶縁させてもよい。
放電容器11のフィルムの搬入口付近には、ニップローラ15および15が配置され、その近傍には仕切板14が配置される。同様に、放電容器11のフィルムの搬出口付近には、ニップローラ16が配置され、その近傍に仕切板14がさらに配置される。それにより、透明基材フィルムFに同伴する空気が、放電容器11内に進入するのを抑制しうる。放電容器11内に同伴される空気は、放電容器11内の気体の全体積に対し、1体積%以下に抑えることが好ましく、0.1体積%以下に抑えることがより好ましい。
電源41は、特に限定はないが、ハイデン研究所製インパルス高周波電源(連続モードで使用100kHz)、パール工業製高周波電源(200kHz)、パール工業製高周波電源(800kHz)、日本電子製高周波電源(13.56MHz)、パール工業製高周波電源(150MHz)等が使用できる。
電極冷却ユニット55は、冷却剤の入ったタンク57とポンプ56とを含む。冷却剤としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が用いられる。
このように構成されたプラズマ製膜装置50では、プラズマ放電処理室30内に、ロール電極25、固定電極36を所定位置に配置し;ガス発生装置51で発生させた混合ガスを流量制御して、給気口12より供給する。そして、放電容器11内をプラズマ処理に用いる混合ガスで充填し、不要分については排気口13より排気する。
そして、長尺状の透明基材フィルムのロール体FFから、ロール54、54、54を介して透明基材フィルムFを供給し、ガイドロール24を介して、プラズマ放電処理室30内に搬送する。そして、透明基材フィルムFをロール電極25に接触させた状態で、ロール電極25と固定電極36との間に導入する。次いで、電源41により固定電極36に電圧を印加し、ロール電極25はアースに接地し、放電プラズマを発生させる。
電極間に印加する電圧は、高いプラズマ密度を得て製膜速度を大きくし、さらに炭素含有率を所定割合内に制御するために、高周波電圧で、大きな電力を供給することが好ましい。具体的には、3kHz以上13.56MHz以下の高周波電圧を印加することが好ましく、10kHz以上であればさらに好ましく、50kHz以上であればさらに好ましく、100kHz以上であればより一層好ましい。また、電極間に供給する電力の下限値は、1W/cm以上50W/cm以下であることが好ましく、2W/cm以上であればより一層好ましい。電極における電圧の印加面積(cm)は、放電が起こる範囲の面積のことである。また、電極間に印加する高周波電圧は、断続的なパルス波であっても、連続したサイン波であってもよいが、製膜速度が大きくなることから、サイン波であることが好ましい。
放電プラズマにより透明基材フィルムFの表面を放電処理した後、ガイドロール27を介して次工程に搬送する。透明基材フィルムFは、ロール電極25に接触していない面のみが放電処理される。
また、放電時の高温による悪影響を抑制するため、必要に応じて、透明基材フィルムFの温度を常温(15℃〜25℃)〜200℃未満、さらに好ましくは常温〜100℃内にできるように、電極冷却ユニット55で冷却する。
このようなプラズマ製膜装置を用いることで、大気圧プラズマ法により、無機薄膜を形成できる。
図5は、プラズマ製膜装置の他の例を示す概略構成図である。この装置は、予めプラズマ状態にした反応性ガスを、透明基材フィルム上に噴射して薄膜を形成するものである。図5に示されるように、プラズマ製膜装置60は、一対の平板状の金属母材35bと、その表面に設けられた一対の誘電体35aと、一対の金属母材35b間に電圧を印加するための電源65とを含む。金属母材35b、誘電体35aおよび電源65は、それぞれ前述と同様のものが用いられる。
一対の金属母材35b間に形成されたスリット状の放電空間に、上部から不活性ガスおよび反応性ガスからなる混合ガスを導入し、電源65により高周波電圧を印加する。それにより、反応性ガスをプラズマ状態とし、該プラズマ状態の反応性ガスを透明基材フィルム61上に噴射して、薄膜を形成することができる。
また、J.Sol−Gel Sci.Tech.,p141〜146(1998)に開示されているように、無機薄膜のひび割れ(クラック)防止のため、無機薄膜上に各種コーティング材を塗布して、クラックを封止し、一層の透湿度の低減を図ることができる。
防湿層は、透明基材層の偏光子側の面またはそれとは反対側の面に配置されうる。なかでも、外部から加わる機械的な衝撃などによって防湿層が損傷を受けて欠陥を生じ、それによる防湿効果の低下を抑制するためなどから、防湿層は、透明基材層の偏光子側の面(偏光子と対向する面)に配置されることが好ましい。
防湿層は、保護フィルムに低透湿性を付与する観点から、透湿度は一定以下であることが好ましい。具体的には、厚み5μmの防湿層の40℃90%RHにおける透湿度は10〜200g/m・dayであることが好ましく、10〜150g/m・dayであることがより好ましい。
厚み5μmの防湿層の透湿度は、以下の方法で測定されうる。即ち、ポリフッ化ビニリデン基板上に、防湿層用塗布液を押し出して塗布した後、60〜110℃で3〜10分乾燥させて膜厚5μmの被覆膜を形成する。得られた被覆膜を基板から剥離した後、40℃90%RHにおける透湿度を、JIS Z 0208に記載の方法により測定する。そして、面積1m当たり24時間で蒸発する水分量(g)を求める。
保護フィルムに含まれる防湿層の、40℃90%RHにおける透湿度は、10〜100g/m・dayであることが好ましく、10〜80g/m・dayであることがより好ましい。保護フィルムに含まれる防湿層の透湿度は、保護フィルムから防湿層部分を剥離した後;得られる膜の透湿度を、前述と同様にしてJIS Z 0208に記載の方法で測定すればよい。
防湿層のヘイズは、得られる保護フィルムの透明性を確保するためなどから、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。
2−3)保護フィルムの物性
(透湿度)
保護フィルムの40℃90%RHにおける透湿度は、10〜100g/m・dayであることが好ましく、10〜80g/m・dayであることがより好ましく、20〜70g/m・dayであることがさらに好ましい。保護フィルムの透湿度が100g/m・dayを超えると、透過水分により偏光子が劣化しやすいため、保護フィルムの厚みを大きくする必要がある。一方、保護フィルムの透湿度が10g/m・day未満であると、保護フィルム内に取り込まれた水分が抜けにくいため、偏光子の劣化を抑制できないことがある。
保護フィルムの40℃90%RHにおける透湿度は、JIS Z 0208に準拠した方法(カップ法)で測定されうる。保護フィルムの透湿度は、防湿層がカップの外側となるように配置して測定される。
保護フィルムの透湿度は、防湿層の種類および厚み、透明基材層の種類および厚みなどで調整されうる。
(ヘイズ)
保護フィルムのヘイズ値は、1.0%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましい。保護フィルムのヘイズは、JIS K−7136に準拠して、ヘイズメーター(濁度計)(型式:NDH 2000、日本電色(株)製)にて測定されうる。
(レターデーション)
保護フィルムは、測定波長590nm、23℃55%RHの条件下で測定される面内方向のレターデーションRは、0≦R≦20nmを満たすことが好ましく、0nm≦R≦10nmを満たすことがより好ましい。保護フィルムの、測定波長590nm、23℃55%RHの条件下で測定される厚み方向のレターデーションRthは、0nm≦Rth≦80nmを満たすことが好ましく、0nm≦Rth≦50nmを満たすことがより好ましい。このようなレターデーション値を有する保護フィルムは、後述するように、液晶表示装置の保護フィルム(F1またはF4)として好ましく用いられる。
およびRthは、セルロースエステルのアシル基の総置換度や延伸条件などによって調整することができる。Rを小さくするためには、例えばセルロースエステルのアシル基の総置換度を高くしたり、TD/MD方向の延伸倍率の差を小さくしたりすればよい。
レターデーションRおよびRthは、それぞれ以下の式で定義される。
式(I):R=(nx−ny)×d(nm)
式(II):Rth={(nx+ny)/2−nz}×d(nm)
(式(I)および(II)において、
nxは、保護フィルムの面内方向において屈折率が最大になる遅相軸方向xにおける屈折率を表し;
nyは、保護フィルムの面内方向において前記遅相軸方向xと直交する方向yにおける屈折率を表し;
nzは、保護フィルムの厚み方向zにおける屈折率を表し;
d(nm)は、保護フィルムの厚みを表す)
レターデーションRおよびRthは、例えば以下の方法によって求めることができる。
1)保護フィルムを、23℃55%RHで調湿する。調湿後の光学補償フィルムの平均屈折率をアッベ屈折計などで測定する。
2)調湿後の保護フィルムに、当該フィルム表面の法線に平行に測定波長590nmの光を入射させたときのRを、KOBRA21DH、王子計測(株)にて測定する。
3)KOBRA21ADHにより、保護フィルムの面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)として、保護フィルムの表面の法線に対してθの角度(入射角(θ))から測定波長590nmの光を入射させたときのレターデーション値R(θ)を測定する。レターデーション値R(θ)の測定は、θが0°〜50°の範囲で、10°毎に6点行うことができる。保護フィルムの面内の遅相軸は、KOBRA21ADHにより確認することができる。
4)測定されたRおよびR(θ)と、前述の平均屈折率と膜厚とから、KOBRA21ADHにより、nx、nyおよびnzを算出して、測定波長590nmでのRthを算出する。レターデーションの測定は、23℃55%RH条件下で行うことができる。
保護フィルムの面内遅相軸とフィルムの幅方向とのなす角θ1(配向角)は、好ましくは−1°〜+1°であり、さらに好ましくは−0.5°〜+0.5°である。保護フィルムの配向角θ1の測定は、自動複屈折計KOBRA−WR(王子計測機器)を用いて測定することができる。
保護フィルムは、全光線透過率が好ましくは90%以上であり、より好ましくは93%以上である。
(3)位相差フィルム(F2またはF3)について
偏光子の、前述の保護フィルムが配置される面とは反対側の面には、位相差フィルムが配置されることが好ましい。
保護フィルムが配置される面とは反対側の面に配置される位相差フィルム(F2、F3)の材料は、透明性に優れ、位相差調整剤などの添加剤、延伸などの生産プロセス条件により、VAモード液晶パネルやIPSモード液晶パネルなどに求められる位相差に比較的調整しやすいことなどから、例えばセルロースエステル樹脂、シクロオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂などでありうる。これらの中でも、例えばVAモード液晶パネルに求められる位相差に調整しやすい点などから、セルロースエステル樹脂やシクロオレフィン樹脂などが好ましい。
セルロースエステル
位相差フィルムに含まれるセルロースエステルの例には、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネートブチレートなどが含まれる。
セルロースエステルは、総アシル基置換度が1.5以上2.5以下であることが好ましく、下記式(a)と(b)とを同時に満たすことがより好ましい。
式(a) 2.0≦X+Y≦2.5
式(b) 0≦Y≦1.5
(式中、Xはアセチル基の置換度を示し、Yはプロピオニル基またはブチリル基、もしくはそれらの混合物の置換度を示す)
セルロースエステルの重量平均分子量は、前述の透明基材層に含まれるセルロースエステルと同様としうる。
セルロースエステルを含む位相差フィルムは、必要に応じて位相差上昇剤、可塑剤、紫外線吸収剤などの添加剤や、保護フィルムに含まれるものと同様の添加剤(糖エステル化合物など)をさらに含んでもよい。可塑剤、紫外線吸収剤および糖エステル化合物は、前述と同様のものを用いることができる。位相差上昇剤の例には、特開2001−166144号の段落0014〜0107に記載のトリアジン化合物、特開2000−111914号の段落0010〜0085に記載の二つの芳香族環を有する化合物、特開2004−004550号の段落0027〜0050に記載の棒状化合物などが含まれる。
位相差上昇剤の含有量は、主成分となる樹脂(好ましくはセルロースエステル)に対して0.1〜15質量%程度、好ましくは1〜10質量%としうる。
シクロオレフィン樹脂
シクロオレフィン樹脂は、主鎖に脂環式構造を有するポリオレフィンでありうる。脂環式構造の例には、飽和脂環炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和脂環炭化水素(シクロアルケン)構造などが含まれる。なかでも、機械強度、耐熱性などが良好である点などから、シクロアルカン構造が好ましい。
脂環式構造を構成する炭素原子数は、通常、4〜30程度であり、好ましくは5〜20、より好ましくは5〜15である。シクロオレフィン樹脂に含まれる、脂環式構造を含有する繰り返し単位の割合は、好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上でありうる。
脂環式ポリオレフィン樹脂は、ノルボルネン系樹脂、単環の環状オレフィン系樹脂、環状共役ジエン系樹脂、ビニル脂環式炭化水素系樹脂、およびこれらの水素化物等でありうる。なかでも、透明性と成形性が良好であることから、ノルボルネン系樹脂が好ましい。
ノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン構造を有するモノマーの開環重合体もしくはノルボルネン構造を有するモノマーと他のモノマーとの開環共重合体またはそれらの水素化物であってもよいし;ノルボルネン構造を有するモノマーの付加重合体もしくはノルボルネン構造を有するモノマーと他のモノマーとの付加共重合体またはそれらの水素化物であってもよい。
ノルボルネン構造を有するモノマーの例には、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)などが含まれる。これらの化合物に含まれる環は、置換基をさらに有してもよい。置換基の例には、アルキル基、アルキレン基、極性基などを挙げられる。ノルボルネン構造を有する単量体は、1種類であってもよいし、2種以上を組み合わせたものであってもよい。
ノルボルネン構造を有するモノマーと開環共重合可能な他のモノマーの例には、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどのモノ環状オレフィン類;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエンなどの環状共役ジエンなどが含まれる。
ノルボルネン構造を有するモノマーと付加共重合可能な他のモノマーの例には、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセンなどのシクロオレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエンなどの非共役ジエンなどが含まれ、好ましくはα−オレフィンであり、より好ましくはエチレンである。これらの単量体は、1種類であってもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
ノルボルネン系樹脂の中でも、繰り返し単位として、X:ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジイル−エチレン構造と、Y:トリシクロ[4.3.0.12,5]デカン−7,9−ジイル−エチレン構造とを含むことが好ましい。これらの繰り返し単位の含有量は、ノルボルネン系樹脂の繰り返し単位全体に対して90重量%以上であり、かつXの含有割合とYの含有割合との比が、X:Yの重量比で100:0〜40:60であることが好ましい。このような樹脂を含む位相差フィルムは、寸法変化が比較的少なく、かつ安定した光学特性を有しうる。
シクロオレフィン樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10000〜100000、好ましくは15000〜80000、より好ましくは20000〜50000である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、フィルムの機械的強度が得られ、かつ成型加工性も良好である。シクロオレフィン樹脂の重量平均分子量(Mw)は、シクロヘキサンを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー測定により、ポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)として求められる。
シクロオレフィン樹脂を含むフィルムは、所望のレターデーションを有する位相差フィルムを得るためなどから、溶融製膜法または溶液製膜法で得られる膜状物を、二軸延伸して得られることが好ましい。
位相差フィルムの厚みは、偏光板の厚みが後述する範囲を満たし、かつ所定の位相差が得られる程度であればよい。例えば、熱などによる偏光板の収縮を低減し、表示装置のベンドムラを抑制するためなどから、位相差フィルムの厚みは、一定以下に調整されていることが好ましく、例えば10〜80μm、好ましくは10〜70μm、より好ましくは10〜35μmとしうる。
位相差フィルムのレターデーションは、組み合わされる液晶セルの種類に応じて設定されうる。例えば、位相差フィルムの、23℃RH55%下、波長590nmで測定される面内リターデーションRo(590)は30〜150nmの範囲であることが好ましく、厚さ方向のリターデーションRth(590)は70〜300nmの範囲であることが好ましい。レターデーションが上記範囲である位相差フィルムは、例えばVA型液晶セルなどの位相差フィルムとして好ましく用いることができる。
本発明の偏光板の好ましい構成の例には、位相差フィルム/偏光子/透明基材層/防湿層や;位相差フィルム/偏光子/防湿層/透明基材層などが含まれる。なかでも、透湿度を十分に低減しやすいことから、位相差フィルム/偏光子/透明基材層/防湿層をこの順に有する構成が好ましい。
図6は、偏光板の層構成の一例を示す模式図である。図6に示されるように、偏光板70は、偏光子71と、その一方の面に配置される保護フィルム73と、他方の面に配置される位相差フィルム75とを含み;保護フィルム73の透明基材層73Aが、偏光子71と対向するように配置され、防湿層73Bが、偏光子71と対向しないように配置されている。
前述の通り、液晶セルの基板の厚みを小さくした場合の液晶表示パネルのベンドを抑制するためには、本発明の偏光板の厚みは一定以下であることが好ましい。一方、偏光板の厚みが小さすぎても安定した偏光性能が得られにくく、液晶表示パネルのベンドを逆に抑制できない可能性もある。これらのことから、偏光板の厚みは、25〜90μmであることが好ましく、40〜70μmであることがより好ましい。
偏光板の厚みは、後述する液晶表示装置の液晶セルを構成する基板(好ましくはガラス基板)の厚みの30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下としうる。
2.偏光板の製造方法
本発明の偏光板は、保護フィルムと偏光子または偏光子と位相差フィルムとを接着剤を介して貼り合わせる工程を経て製造されうる。貼り合わせに用いられる接着剤は、完全鹸化型のポリビニルアルコ−ル系接着剤、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール系接着剤、または活性エネルギー線硬化性接着剤などでありうる。
得られる接着剤層の弾性率が高く、偏光板の寸法変化を抑制しやすいことなどから、活性エネルギー線硬化性接着剤を用いることが好ましい。即ち、保護フィルムと偏光子とは、活性エネルギー線硬化性接着剤の硬化物層を介して接着されていることが好ましい。
活性エネルギー線硬化性接着剤の好ましい例としては、特開2011−028234に開示されているような、(α)カチオン重合性化合物、(β)光カチオン重合開始剤、(γ)380nmより長い波長の光に極大吸収を示す光増感剤、および(δ)ナフタレン系光増感助剤の各成分を含有する活性エネルギー線硬化性接着剤組成物が挙げられる。ただし、これ以外の活性エネルギー線硬化性接着剤が用いられてもよい。
活性エネルギー線硬化性接着剤を用いた偏光板の製造方法は、例えば1)保護フィルムの偏光子を接着する面を易接着処理する工程と、2)偏光子と保護フィルムとの接着面のうち少なくとも一方に、活性エネルギー線硬化性接着剤を塗布する工程と、3)得られた接着剤層を介して偏光子と保護フィルムとを貼り合せる工程と、4)接着剤層を介して偏光子と保護フィルムとが貼り合わされた状態で接着剤層を硬化させる工程とを含む。
1)前処理工程
保護フィルムの、偏光子との接着面に易接着処理を行う。偏光子の両面にそれぞれ保護フィルムを接着させる場合は、それぞれの保護フィルムの、偏光子との接着面に易接着処理を行う。易接着処理としては、コロナ処理、プラズマ処理等が挙げられる。この前処理工程は、必要に応じて実施すればよい。
また、保護フィルムの種類によっては(例えば透明基材層の主成分がPETである場合など)、偏光子との接着性を高めるために、易接着層を設けてもよい。
易接着層は、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂またはポリアクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂の少なくとも1種類を主成分として;具体的には、易接着層を構成する固形成分のうち50質量%以上の量で含みうる。
易接着層は、水溶性または水分散性の共重合ポリエステル樹脂、アクリル樹脂またはポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂を含む水性塗布液を塗布および乾燥させて得ることができる。塗布液は、例えば特許第3567927号などに開示されたものを用いることができる。具体的には、易接着層は、塗布液を縦方向の1軸延伸フィルムの片面または両面に塗布した後、100〜150℃で乾燥し、さらに横方向に延伸して得ることができる。最終的な易接着層の塗布量は、偏光子との接着性を高め、かつブロッキングを抑制する観点などから、0.05〜0.20g/mとすることが好ましい。
易接着層には易滑性を付与するために粒子をさらに含有することが好ましい。微粒子の平均粒径は2μm以下の粒子を用いることが好ましい。粒子の平均粒径が2μmを超えると、粒子が被覆層から脱落しやすくなる。易接着層に含有させる粒子の例には、前述のマット剤と同様のものが使用できる。
2)塗布工程
接着剤塗布工程では、偏光子と保護フィルムとの接着面のうち少なくとも一方に、上記活性エネルギー線硬化性接着剤を塗布する。塗布方法の例には、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーター等の塗工方式が含まれる。また、偏光子と保護フィルムの間に、活性エネルギー線硬化性接着剤を流延させた後、ロール等で加圧して均一に押し広げる方法も利用できる。
3)貼合工程
得られた接着剤層を介して偏光子と保護フィルムとを貼り合せる。具体的には、偏光子と保護フィルムとを接着剤層を介して積層した積層物を、例えば一対のロール等で挟んで加圧して貼り合わせる。ロールの材質は、金属やゴム等を用いることが可能である。
4)硬化工程
硬化工程では、未硬化の活性エネルギー線硬化性接着剤に活性エネルギー線を照射して、エポキシ化合物やオキセタン化合物を含む接着剤層を硬化させる。それにより、活性エネルギー線硬化性接着剤を介して重ね合わせた偏光子と保護フィルムとを接着させる。偏光子の片面に保護フィルムを貼り合わせる場合、活性エネルギー線は、偏光子側または保護フィルム側のいずれから照射してもよい。
活性エネルギー線としては、可視光線、紫外線、X線、電子線等を用いることができ、取扱いが容易で硬化速度も十分であることから、一般的には、電子線または紫外線が好ましく用いられる。
電子線の照射条件は、接着剤を硬化しうる条件であれば、任意の適切な条件を採用できる。例えば、電子線照射は、加速電圧が好ましくは5〜300kVであり、さらに好ましくは10〜250kVである。加速電圧が5kV未満の場合、電子線が接着剤まで届かず硬化不足となるおそれがあり、加速電圧が300kVを超えると、試料を通る浸透力が強すぎて電子線が跳ね返り、保護フィルムや偏光子にダメージを与えるおそれがある。照射線量は、5〜100kGyの範囲内、さらに好ましくは10〜75kGyの範囲内である。照射線量が5kGy未満の場合は、接着剤が硬化不足となり、100kGyを超えると、保護フィルムや偏光子にダメージを与え、機械的強度の低下や黄変を生じやすい。
紫外線の照射条件は、前記接着剤を硬化しうる条件であれば、任意の適切な条件を採用できる。紫外線の照射量は積算光量で50〜1500mJ/cmであることが好ましく、100〜500mJ/cmであることがさらに好ましい。
硬化後の接着剤層の厚さは、特に限定されないが、通常、0.01〜10μmであり、好ましくは0.5〜5μmであり、より好ましくは0.5〜2μmである。
3.液晶表示装置
本発明の液晶表示装置は、液晶セルと、それを挟持する一対の偏光板とを含む。そして、一対の偏光板の少なくとも一方を、本発明の偏光板としうる。
図7は、液晶表示装置の基本的な構成の一例を示す模式図である。図7に示されるように、本発明の液晶表示装置80は、液晶セル90と、それを挟持する第一の偏光板110および第二の偏光板120とを含み;必要に応じて第二の偏光板120と対向するように配置されたバックライト130をさらに含む。
液晶セル90は、例えばSTN、TN、OCB、HAN、VA(MVA、PVA)、IPS等の種々の表示モードのものが提案されている。高いコントラストを得るためには、VA(MVA、PVA)モードが好ましい。
液晶セル90は、通常、一対の基板91および93と、それらの間に挟持された液晶層95とを有する。
基板91および93は、ガラス基板であることが好ましい。基板91および93の厚みは、液晶表示装置を薄型化するためなどから、一定以下であることが好ましく、0.3mm以上0.7mm未満であることが好ましく、0.3〜0.5mmであることがより好ましい。
例えば、VA方式の液晶セルに含まれる一対の基板91および93のうち、一方の基板93は、液晶分子に電圧を印加するための画素電極が配置されうる。対向電極は、(画素電極が配置された)基板93に配置されてもよいし、他方の基板91に配置されてもよい。
VA方式の液晶セルに含まれる液晶層95は、負または正の誘電率異方性を有する液晶分子を含む。一方の基板93に画素電極が配置され、他方の基板91に対向電極が配置される場合、液晶層95は、負の誘電率異方性を有する液晶分子を含みうる。一方の基板93に、画素電極と対向電極の両方が配置される場合、液晶層95は、正の誘電率異方性を有する液晶分子を含みうる。液晶分子は、基板91または93に設けられた配向膜の配向規制力により、電圧無印加時(画素電極と対向電極との間に電界が生じていない時)には、液晶分子の長軸が、透明基板の表面に対して略垂直となるように配向している。
このようなVA方式の液晶セルでは、画素電極に画像信号(電圧)を印加することで、画素電極と対向電極との間に電界を生じさせる。それにより、基板91の表面に対して垂直に初期配向している液晶分子を、その長軸が基板91面に対して水平方向となるように配向させて、各副画素の透過率などを変化させて画像表示を行う。
第一の偏光板110は、液晶セル90の基板91上に配置されており;第一の偏光子111と、第一の偏光子111の基板91が配置された面とは反対側の面に配置された保護フィルム113(F1)と、第一の偏光子111と基板91との間に配置された位相差フィルム115(F2)とを含む。第二の偏光板120は、液晶セル90の基板93上に配置されており;第二の偏光子121と、第二の偏光子121と基板93との間に配置された位相差フィルム123(F3)と、第二の偏光子121の基板93が配置された面とは反対側の面に配置された保護フィルム125(F4)とを含む。
そして、第一の偏光板110と第二の偏光板120の一方または両方;好ましくは両方が、本発明の偏光板であることが好ましい。即ち、図7に示されるように、保護フィルム113(F1)は、透明基材層113Aと防湿層113Bとを有し;保護フィルム125(F4)は、透明基材層125Aと防湿層125Bとを有しうる。
第一の偏光板110と液晶セル90の基板91、または第二の偏光板120と液晶セル90の基板93とは、粘着剤層(不図示)などを介して接着されうる。粘着剤層の厚みは、1〜30μm程度としうる。
本発明では、基板91上に配置された第一の偏光板110の厚みと、基板93上に配置された第二の偏光板120の厚みの一方または両方が、一定以下に調整されている。それにより、バックライトなどの熱による、第一の偏光子111または第二の偏光子121の収縮しようとする力を少なくすることができ;液晶セル90の基板91または93によって第一の偏光子111または第二の偏光子121の収縮しようとする力を抑え込むことができる。それにより、液晶セル90の基板91および93が薄くても、バックライト130などの熱による液晶表示パネル(第一の偏光板110/液晶セル90/第二の偏光板120)のベンドを良好に抑制でき、それによる表示ムラ(ベンドムラ)を抑制できる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.透明基材フィルムの作製
(1)材料
(セルロースエステル)
TAC1:トリアセチルセルロース(アセチル基置換度2.89、重量平均分子量Mw=19万)
CAP1:セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基置換度2.56、アシル基総置換度2.75、重量平均分子量Mw=20万)
(可塑剤)
重縮合エステル化合物1:
1,2−プロピレングリコール251g、無水フタル酸244g、アジピン酸103g、安息香酸610g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.191gを、温度計、撹拌器、緩急冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに仕込んだ。これを、窒素気流中230℃になるまで、撹拌しながら徐々に昇温し、重合度を観察しながら脱水縮合反応させた。反応終了後、200℃で未反応の1,2−プロピレングリコールを減圧留去して、重縮合エステル化合物1(表1の化合物P13)を得た。重縮合エステル化合物1の酸価は0.10、数平均分子量は450であった。
重縮合エステル化合物2:
1,2−プロピレングリコール251g、テレフタル酸354g、p−トロイル酸680g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.191gを、温度計、撹拌器、緩急冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに仕込んだ。これを、窒素気流中230℃になるまで、撹拌しながら徐々に昇温し、重合度を観察しながら脱水縮合反応させた。反応終了後、200℃で未反応の1,2−プロピレングリコールを減圧留去して、重縮合エステル化合物2(表1の化合物P7)を得た。重縮合エステル化合物2の酸価は0.30、数平均分子量は400であった。
(紫外線吸収剤)
LA−31(ADEKA(株)製)
(2)透明基材フィルムの作製
[透明基材フィルムA1]
下記成分を混合して、ドープを調製した。
(ドープの組成)
BR85(アクリル樹脂、三菱レイヨン社製):100質量部
重縮合エステル化合物1:5.0質量部
LA−31(ADEKA(株)製)(紫外線吸収剤):1.5質量部
塩化メチレン 213.9質量部
エタノール 67.6質量部
得られたドープを、ベルト流延装置を用いて、温度30℃、2m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体上で、残留溶剤量が70%になるまでドープ中の溶媒を蒸発させた。そして、得られた膜状物をステンレスバンド支持体上から剥離した。
次いで、剥離した膜状物を45℃でさらに乾燥させた後、得られたフィルムを110℃、140℃の乾燥ゾーンを多数のローラで搬送させながら乾燥させた。得られたフィルムを1.5m幅にスリットし、フィルムの幅方向両端に幅10mm、高さ5μmのナーリング加工をさらに施して巻き取った。それにより、膜厚25μmの透明基材フィルムA1を得た。
[透明基材フィルムA2〜A6]
透明基材フィルムの膜厚を、表2に示されるように変更した以外は透明基材フィルムA1と同様にして透明基材フィルムA2〜A6を作製した。
[透明基材フィルムC1]
二酸化珪素希釈分散液の調製
下記成分をディゾルバーで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散させて二酸化珪素分散液を得た。
(二酸化珪素分散液)
アエロジルR812(日本アエロジル(株)製):10質量部
エタノール:90質量部
得られた分散液に、88質量部のメチレンクロライドを撹拌しながら投入し、ディゾルバーで30分間撹拌混合し、二酸化珪素分散希釈液を得た。得られた分散希釈液を、微粒子分散希釈液濾過器(アドバンテック東洋(株):ポリプロピレンワインドカートリッジフィルターTCW−PPS−1N)で濾過した。
セルロースアシレートのドープの調製
下記成分を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解させた後、濾過した。得られたセルロースエステル溶液に、前述の二酸化珪素分散希釈液を4質量部、撹拌しながら加えて、更に30分間撹拌してドープ液を得た。
(セルロースエステル溶液)
TAC1:トリアセチルセルロース(アセチル基置換度2.89、Mw=19万):100質量部
チヌビン928(BASFジャパン(株)製):2.5質量部
重縮合エステル化合物1:7.0質量部
重縮合エステル化合物2:1.6質量部
メチレンクロライド:540質量部
エタノール :35質量部
得られたドープ液を、ベルト流延装置を用いて、温度35℃、2m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、ドープ液の残留溶剤量が100質量%になるまで溶剤を蒸発させた後、ステンレスバンド支持体上から剥離した。剥離して得られたウェブを50℃で乾燥しながら搬送させ、スリットし、その後、テンターでTD方向(フィルムの搬送方向と直交する方向)に160℃の温度条件下、30%の延伸倍率で延伸した。テンターで延伸を始めたときのウェブの残留溶剤量は5.0%であった。ステンレスバンド支持体の回転速度とテンターの運転速度から算出されるMD方向の延伸倍率は1.05倍であった。
その後、120℃の乾燥装置内を多数のロールで搬送させながら15分間乾燥させた後、スリットし、フィルム両端に幅15mm、高さ10μmのナーリング加工を施し、巻芯に巻き取り、透明基材フィルムC1を得た。フィルムの残留溶剤量は0.1%未満であり、膜厚は25μm、幅2m、巻長さは6000mであった。
[透明基材フィルムC2およびC4]
透明基材フィルムの膜厚を、表2に示されるように変更した以外は透明基材フィルムC1と同様にして透明基材フィルムC2およびC4を作製した。
[透明基材フィルムC3]
セルロースエステルの種類を変更し、かつ下記の溶融製膜法で作製した以外は同様にして透明基材フィルムC3を作製した。具体的には、CAP1:セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基置換度2.56、アシル基総置換度2.75、重量平均分子量Mw=20万)を、真空ナウターミキサーにて70℃、減圧下で3時間乾燥させ、室温まで冷却した後、各添加剤を混合した。
(混合物の組成)
CAP1:セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基置換度2.56、アシル基総置換度2.75、重量平均分子量Mw=20万):90質量部
グリセリントリベンゾエート:10質量部
Tinuvin928(BASFチバジャパン(株)製):1.1質量部
GSY−P101(堺化学工業(株)製):0.25質量部
Irganox1010(BASFジャパン(株)製):0.5質量部
SumilizerGS(住友化学(株)製):0.24質量部
R972V(アエロジル社製):0.15質量部
得られた混合物を一軸押し出し機に投入し、窒素雰囲気下、240℃にて溶融混練した。溶融樹脂を、流延ダイから90℃に設定した第1冷却ロール上に押し出し、第1冷却ロールと弾性タッチロールとの間にフィルムを挟圧して成形した。
流延ダイから押出した樹脂を、第1、第2および第3冷却ロール上で冷却固化して得られたフィルムを、剥離ロールで剥離した。このフィルムをテンターに導入し、幅方向に160℃で1.3倍延伸した後、幅方向に3%緩和しながら30℃まで冷却し、その後クリップから開放し、クリップ把持部を裁ち落とし、フィルム両端に幅20mm、高さ25μmのナーリング加工を施し、巻き取り張力220N/mで巻芯に巻き取った。
[透明基材フィルムP1]
ポリエステルAの合成
エステル化反応缶を昇温し200℃に到達した時点で、テレフタル酸を86.4質量部およびエチレングリコール64.6質量部を仕込み、撹拌しながら触媒として三酸化アンチモンを0.017質量部、酢酸マグネシウム4水和物を0.064質量部、トリエチルアミン0.16質量部を仕込んだ。ついで、加圧昇温を行いゲージ圧0.34MPa、240℃の条件で加圧エステル化反応を行った後、エステル化反応缶を常圧に戻し、リン酸0.014質量部を添加した。さらに、15分かけて260℃に昇温し、リン酸トリメチル0.012質量部を添加した。次いで15分後に、高圧分散機で分散処理を行い、15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、280℃で減圧下重縮合反応を行った。
重縮合反応終了後、95%カット径が5μmのナスロン製フィルターで濾過処理を行い、ノズルからストランド状に押出し、予め濾過処理(孔径:1μm以下)を行った冷却水を用いて冷却、固化させ、ペレット状にカットした。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂(A)の固有粘度は0.62dl/gであり、不活性粒子及び内部析出粒子は実質上含有していなかった。
ポリエステルBの合成
乾燥させた紫外線吸収剤(2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンズオキサジノン−4−オン)10質量部、PET(A)90質量部を混合し、混練押出機を用いてポリエチレンテレフタレート樹脂(B)を得た。
接着性改質塗布液の調製
常法によりエステル交換反応および重縮合反応を行って、ジカルボン酸成分として(ジカルボン酸成分全体に対して)テレフタル酸46モル%、イソフタル酸46モル%および5−スルホナトイソフタル酸ナトリウム8モル%、グリコール成分として(グリコール成分全体に対して)エチレングリコール50モル%およびネオペンチルグリコール50モル%の組成の水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂を調製した。次いで、水51.4質量部、イソプロピルアルコール38質量部、n−ブチルセルソルブ5質量部、ノニオン系界面活性剤0.06質量部を混合した後、加熱撹拌し、77℃に達したら、上記水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂5質量部を加え、樹脂の固まりが無くなるまで撹拌し続けた後、樹脂水分散液を常温まで冷却して、固形分濃度5.0質量%の均一な水分散性共重合ポリエステル樹脂液を得た。さらに、凝集体シリカ粒子(富士シリシア(株)社製、サイリシア310)3質量部を水50質量部に分散させた後、上記水分散性共重合ポリエステル樹脂液99.46質量部にサイリシア310の水分散液0.54質量部を加えて、撹拌しながら水20質量部を加えて、接着性改質塗布液を得た。
ポリエチレンテレフタレートフィルムの作製
透明基材フィルムのコア層用原料として、PET(A)樹脂ペレット90質量部とPET(B)樹脂ペレット10質量部を135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機2(コア層用)に供給した。また、PET(A)樹脂ペレットを、常法により乾燥して押出機1(スキン層用)にそれぞれ供給し、285℃で溶解した。この2種のポリマーを、それぞれステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度10μm粒子95%カット)で濾過し、2種3層合流ブロックにて積層し、口金よりシート状にして押し出した。その後、シート状の樹脂を、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキャスティングドラムに巻きつけて冷却固化し、未延伸フィルムを得た。スキン層/コア層/スキン層の厚さの比は、10:80:10とした。
次いで、リバースロール法によりこの未延伸PETフィルムの両面に乾燥後の塗布量が0.08g/mになるように、上記接着性改質塗布液を塗布した後、80℃で20秒間乾燥した。得られた未延伸フィルムを、加熱されたロール群および赤外線ヒーターを用いて105℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で走行方向に4.0倍延伸した。その後、テンター延伸機に導き、フィルムの端部をクリップで把持しながら、温度125℃の熱風ゾーンに導き、幅方向に4.0倍に延伸した。次に、幅方向に延伸された幅を保ったまま、温度225℃、30秒間で処理し、さらに幅方向に3%の緩和処理を行い、フィルム厚み約25μmの二軸配向PETフィルムを得た。
[透明基材フィルムCOP3]
ノルボルネン系樹脂であるZEONOR1420(日本ゼオン(株)製)のペレットを100℃で5時間乾燥した後、常法によって該ペレットを押出し機に供給して250℃で溶融してダイから冷却ドラム上に吐出し、厚さ150μmのウェブを得た。次いで、ロール間でのフロート方式を用いた縦延伸機にて、ウェブを143℃の温度で縦方向に1.2倍に延伸し、さらにテンター法を用いた横延伸機にて、150℃の温度で横方向に1.8倍に延伸して、厚み25μmの二軸延伸されたシクロオレフィン樹脂フィルム(透明基材フィルムCOP3)を得た。
得られた透明基材フィルムの組成や製造条件を、表2にまとめた。
Figure 2015011059
2.保護フィルム(F1、F4)の作製
[防湿層用塗布液1]
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、防湿層用塗布液1を調製した。
(防湿層用塗布液1の組成)
塩素含有重合体(旭化成ライフ&リビング(株)製サランレジンR204):12質量部
テトラヒドロフラン:63質量部
(製造例1)
上記作製した透明基材フィルムA1を、50℃、1mol/Lのアルカリ溶液で鹸化処理した。そして、透明基材フィルムA1の鹸化処理した面上に、スロットルダイを有するコーターを用いて、防湿層用塗布液1を押し出して塗布した後、60℃で5分乾燥させた。それにより、厚み1.5μmの防湿層を有する保護フィルム101を得た。フィルムの搬送速度は30m/分とした。
(製造例2〜5)
防湿層の厚みを表3に示されるように変更した以外は製造例1と同様にして保護フィルム102〜105を得た。
(製造例6〜8)
防湿層を設けず、膜厚の異なる透明基材フィルムA1〜A3をそのまま用いた以外は同様にして保護フィルム106〜108を得た。
(製造例9〜11)
透明基材フィルムの厚みを表3に示されるように変更した以外は製造例3と同様にして保護フィルム109〜111を得た。
(製造例12〜14)
透明基材フィルムA1を、透明基材フィルムC1に変更し、かつ防湿層の厚みを表3に示されるように変更した以外は製造例1と同様にして保護フィルム112〜114を得た。
(製造例15〜16)
防湿層を設けず、透明基材フィルムC1およびC2をそのまま保護フィルム115〜116とした。
(製造例17〜18、23〜24)
表3に示される透明基材フィルムC1、A1、A4またはC4を、スパッタロールコート装置に装填した。そして、DCマグネトロンスパッタにより、Siをターゲットとして用いて、到達真空度1.0×10−4Pa以下、成膜温度180℃でプロセスガスとしてアルゴンガスと酸素ガスを導入し、反応性スパッタで表3に示される透明基材フィルムC1、A1、A4またはC4上に、膜厚70nmのSiOx(x=1.8、XPSにより測定)の無機薄膜を形成した。
(製造例19)
透明基材フィルムC1を、溶融製膜法で製造した透明基材フィルムC3に変更した以外は製造例12と同様にして保護フィルム119を得た。
(製造例20)
透明基材フィルムC1を、ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる透明基材フィルムP1に変更した以外は製造例2と同様にして保護フィルム120を得た。
(製造例21〜22)
透明基材フィルムA1を、表3に示される透明基材フィルムCOP3に変更し、かつ防湿層を設けなかった以外は製造例1と同様にして保護フィルム121〜122を得た。
得られた保護フィルムの透湿度を、以下の方法で測定した。
(透湿度)
得られた保護フィルムの防湿層がカップの外側となるように配置した。そして、保護フィルムの40℃90%RHにおける透湿度を、JIS Z 0208に記載の方法により測定した。そして、面積1m当たり24時間で蒸発する水分量(g)を求めた。
製造例1〜24で得られた保護フィルムの構成と透湿度の評価結果を、表3に示す。
Figure 2015011059
3.位相差フィルム(F2、F3)の作製
[位相差フィルムRT1]
下記成分を加熱しながら十分に攪拌および溶解させて、ドープを調製した。
(ドープの組成)
セルロースエステル(アセチル基置換度2.3、重量平均分子量(Mw)18.5万のジアセチルセルロース):100質量部
化合物A(リターデーション上昇剤):4質量部
糖エステル1:10質量部
化合物B(フタル酸/アジピン酸/1,2−プロパンジオール=50/50/100モル比の縮合物の両末端を安息香酸エステル基で封止したもの、分子量440):2質量部
マット剤:R972V(日本アエロジル社製、シリカ粒子、平均粒径=16nm):0.20質量部
メチレンクロライド:300質量部
エタノール:40質量部
Figure 2015011059
Figure 2015011059
得られたドープを、ベルト流延装置を用い、温度22℃、2m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が100%になるまで溶媒を蒸発させ、剥離張力162N/mでステンレスバンド支持体上から剥離した。次いで、剥離したドープのウェブを35℃で溶媒を蒸発させ、1m幅にスリットし、その後、ゾーン延伸で搬送方向(MD方向)に1.1倍、テンター延伸で幅手方向(TD方向)に1.5倍延伸しながら、135℃の乾燥温度で乾燥させた。テンターによる延伸を開始したときの残留溶媒量は8%であった。テンターで延伸した後、130℃で5分間の緩和処理を施した後、120℃、140℃の乾燥ゾーンを多数のローラーで搬送させながら乾燥を終了させ、1.5m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm、高さ5μmのナーリング加工を施した後、コアに巻き取った。以上のようにして、乾燥膜厚25μmの位相差フィルムRT1を得た。
[位相差フィルムRT2〜4]
ウェブの厚みまたは延伸倍率を調整して、厚みの異なる位相差フィルムRT2(15μm)、RT3(35μm)、RT4(10μm)を得た。
[位相差フィルムCOP1]
前述の透明基材フィルムCOP1(厚み25μm)を、位相差フィルムCOP1として準備した。
[位相差フィルムCOP2]
透明基材フィルムCOP1の作製において、ウェブの厚みまたは延伸条件を調整した以外は同様にして厚み40μmのシクロオレフィン樹脂フィルム(位相差フィルムCOP2)を得た。
4.偏光板の作製
(実施例1)
1)偏光子の調製
厚さ30μmのポリビニルアルコールフィルムを、35℃の水で膨潤させた。得られたフィルムを、ヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5gおよび水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、さらにヨウ化カリウム3g、ホウ酸7.5gおよび水100gからなる45℃の水溶液に浸漬した。得られたフィルムを、延伸温度55℃、延伸倍率4倍の条件で一軸延伸した。この一軸延伸フィルムを、水洗した後、乾燥させて、厚さ10μmの偏光子を得た。
厚さ40μmのポリビニルアルコールフィルムを用いて延伸倍率を5倍に変更した以外は前述と同様にして厚み16μmの偏光子を得た。厚さ30μmのポリビニルアルコールフィルムを用いて延伸倍率を3倍に変更した以外は前述と同様にして厚み12μmの偏光子を得た。厚さ30μmのポリビニルアルコールフィルムを用いて延伸倍率を5倍に変更した以外は前述と同様にして厚み8μmの偏光子を得た。厚さ25μmのポリビニルアルコールフィルムを用いて延伸倍率を4倍に変更した以外は前述と同様にして厚み5μmの偏光子を得た。厚さ10μmのポリビニルアルコールフィルムを用いて延伸倍率を5倍に変更した以外は前述と同様にして厚み1μmの偏光子を得た。
2)活性エネルギー線硬化性接着剤の調製
下記成分を混合した後、脱泡して、活性エネルギー線硬化性接着剤を調製した。なお、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェートは、50%プロピレンカーボネート溶液として配合し、下記にはトリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェートの固形分量を表示した。
(活性エネルギー線硬化性接着剤の組成)
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート:45質量部
エポリードGT−301(ダイセル化学社製の脂環式エポキシ樹脂):40質量部
1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル:15質量部
トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート:2.3質量部
9,10−ジブトキシアントラセン:0.1質量部
1,4−ジエトキシナフタレン:2.0質量部
3)偏光板の作製
作製した保護フィルム101上に、上記調製した活性エネルギー線硬化性接着剤を、マイクログラビアコーターを用いて乾燥厚みが1μmになるように塗布して、活性エネルギー線硬化性接着剤層を形成した。塗布は、グラビアローラ#300、回転速度140%/ライン速の条件で行った。
同様に、位相差フィルムRT1上に、上記調製した活性エネルギー線硬化性接着剤を、乾燥厚み1μmとなるように塗布して活性エネルギー線硬化性接着剤層を形成した。
上記作製した膜厚10μmの偏光子の一方の面に、活性エネルギー線硬化性接着剤層が形成された保護フィルム101を配置した。保護フィルム101の配置は、防湿層が透明基材層の偏光子側の面に配置されるように行った。また、偏光子の他方の面に、活性エネルギー線硬化性接着剤層が形成された位相差フィルムRT1を配置して、保護フィルム101/活性エネルギー線硬化性接着剤層/偏光子/活性エネルギー線硬化性接着剤層/位相差フィルムRT1の積層物を得た。得られた積層物を、ローラ機で貼り合わせた。貼り合わせは、位相差フィルムRT1の遅相軸と偏光子の吸収軸とが互いに直交になるように行った。
貼り合わせた積層物の両面側から、電子線を照射して、活性エネルギー線硬化性接着剤層を硬化させて偏光板201を得た。ライン速度は20m/min、加速電圧は250kV、照射線量は20kGyとした。
(実施例2〜5、比較例1〜3)
主に、保護フィルムの防湿層の厚みを表4に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして偏光板202〜208を作製した。
(実施例6〜10、比較例4〜5)
透明基材フィルム、偏光子、および位相差フィルムのいずれか一以上により偏光板の厚みを表4に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして偏光板209〜215を作製した。
(実施例11〜13、比較例6〜7)
保護フィルムの透明基材層の種類をセルロースエステルとし、かつ防湿層の厚みを表4に示されるように変更した(あるいは設けなかった)以外は実施例1と同様にして偏光板216〜220を作製した。
(比較例8〜9)
保護フィルムの透明基材層の種類をシクロオレフィン樹脂(COP3)とし、かつフィルム厚みを表4に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして偏光板221〜222を作製した。
(実施例14、比較例10〜12)
位相差フィルムの種類および防湿層の厚みを表5のように変更した以外は実施例3と同様にして偏光板223〜226を作製した。
(実施例15〜18)
防湿層の種類を、表6に示されるように変更した以外は実施例11または1と同様にして偏光板227〜230を得た。
(実施例19〜24)
偏光子の厚みを、表7に示されるように変更した以外は実施例14と同様にして偏光板231〜236を得た。
(実施例25)
保護フィルムの透明基材層の種類を、表8に示されるように変更した以外は実施例3と同様にして偏光板237を得た。
得られた偏光板の偏光度を、以下の方法で測定した。
(偏光度)
得られた偏光板を、60℃95%RHの環境下1000時間放置、23℃55%の環境下で24時間放置した後、波長550nmの光の平行透過率と直交透過率を、自動偏光フィルム測定装置(VAP-7070、日本分光株式会社製)を用いて測定した。それにより、下記式に基づいて偏光度を求めた。そして、偏光子の劣化を、下記基準に基づいて評価した。
Figure 2015011059
◎:偏光度99%以上で問題ない。
○:偏光度98.5%以上99%未満で問題ない。
△:偏光度98%以上98.5%未満で実用上問題ない。
×:偏光度98%未満であり、問題である。
実施例1〜13および比較例1〜9の評価結果を表4に示し;実施例14および比較例10〜12の評価結果を表5に示し;実施例15〜18の評価結果を表6に示し;実施例19〜24の評価結果を表7に示し;実施例25の評価結果を表8に示す。
Figure 2015011059
Figure 2015011059
Figure 2015011059
Figure 2015011059
Figure 2015011059
表4に示されるように、防湿層を有する保護フィルムを用いた実施例1〜25の偏光板は、厚みが薄いにも係わらず、高温高湿下での偏光度が良好で、劣化が少ないことがわかる。これに対して、防湿層を有しない保護フィルムを用いた比較例1、3、6〜9、10および12の偏光板は、厚みが薄いと、いずれも高温高湿下での偏光度が低く、劣化が大きいことがわかる。
さらに、溶融流延法で得られた透明基材フィルムC3と、溶液流延法で得られた透明基材フィルムC1の、活性エネルギー線硬化性接着剤を用いたときの偏光子との密着性および防湿層との密着性を、以下の方法で比較した。
偏光子/透明基材層界面の密着性は、偏光板を作製し、偏光板の偏光子/透明基材層の界面における透明基材層を、その表面の法線方向に一定の荷重30(N/50mm)で引っ張って剥離したときの剥離状態を目視観察して行った。
防湿層/透明基材層界面の密着性は、碁盤目試験により評価した。即ち、防湿層の表面にカッターナイフで碁盤目状に縦11本、横11本の切り込みを1mm間隔で入れて合計100個の正方形の升目を刻んだ。その上に、日東電工(株)製のポリエステル粘着テープ(NO.31B)を圧着し、24時間放置した。その後、粘着テープを引き剥がす操作を、同じ場所で繰り返し3回行い、剥がれの有無を目視で観察した。
その結果、偏光子との密着性、および防湿層との密着性は、いずれも溶液流延法で得られた透明基材フィルムC1のほうが、溶融流延法で得られた透明基材フィルムC3よりも高いことがわかった。これは、透明基材フィルムC1は、溶液流延法で得られることから、添加剤が厚み方向に分布しており、偏光子や防湿層との良好な密着性が得られたためと考えられる。
5.液晶表示装置の作製
(実施例26)
液晶セルとして、厚みが0.5mmの二枚のガラス基板と、それらの間に配置された液晶層とを有するVA方式の液晶セルを準備した。そして、上記準備した液晶セルの両面に、リンテック社製の厚さ25μmの両面テープ(基材レステープ MO−3005C)を介して上記作製した偏光板201をそれぞれ貼り合わせて、液晶表示パネルを得た。貼り合わせは、偏光板201の位相差フィルムRT1が液晶セルのガラス基板と接するように行った。
そして、SONY製40型ディスプレイBRAVIA KLV-40J3000(VA方式)から、液晶表示パネル(偏光板/液晶セル/偏光板の積層物)を取り外した後、上記作製した液晶表示パネルを配置して、液晶表示装置301を得た。取り付けた液晶表示パネルは、位相差フィルムRT1の遅相軸と、予め貼られていた偏光板の遅相軸とが平行となるようにした。
(実施例27〜50、比較例13〜24)
偏光板の組み合わせを、表9〜13に示されるように変更した以外は実施例26と同様にして液晶表示装置302〜338を得た。
(実施例51〜57)
液晶セルと偏光板との間の粘着剤層の厚みを、表14に示されるように変更した以外は実施例26と同様にして液晶表示装置339〜345を得た。
(実施例58〜60)
偏光板の組み合わせを、表15に示されるように変更した以外は実施例26と同様にして液晶表示装置346〜348を得た。
得られた液晶表示装置のベンドムラを、以下の方法で測定した。
(ベンドムラ)
上記作製した液晶表示装置を、40℃95%RHの環境下で24時間放置した。次いで、40℃ドライの環境下で液晶表示装置を黒表示させた状態で、表示画面の4頂点付近の輝度と表示画面中央部付近の輝度との差(中心部と周辺部との画像ムラ)を目視観察した。
そして、以下の基準に基づいて、ベンドムラの評価を行った。
◎:ベンドムラが全く認められない
○:ベンドムラがわずかに認められる
△:ベンドムラが認められるが、実用上は許容される品質である
×:明らかなベンドムラが認められる
実施例26〜38および比較例13〜21の評価結果を表9に示し;実施例39および比較例22〜24の評価結果を表10に示し;実施例40〜43の評価結果を表11に示し;実施例44〜49の評価結果を表12に示し;実施例50の評価結果を表13に示し;実施例51〜57の評価結果を表14に示し;実施例58〜60の評価結果を表15に示す。表中の偏光板厚みは、第一の偏光板の厚みと第二の偏光板の厚みが互いに異なる場合、第一の偏光板厚み(μm)/第二の偏光板厚み(μm)で示した。
Figure 2015011059
Figure 2015011059
Figure 2015011059
Figure 2015011059
Figure 2015011059
Figure 2015011059
Figure 2015011059
表9に示されるように、偏光板の厚みを90μm以下とした実施例26〜60の表示装置は、液晶セルのガラス基板の厚みが0.5mmと薄くても、パネルベンドによるムラが生じないことがわかる。これに対して、偏光板の厚みを90μm超とした比較例14、16、17、19、21および23の表示装置は、液晶セルのガラス基板の厚みが0.5mmと薄くすると、パネルベンドによるムラが生じることがわかる。
また、表14に示されるように、液晶セルと偏光板との間の粘着剤層の厚みを変更しても、液晶表示装置のベンドムラはいずれも良好であることがわかる。これらのことから、粘着剤層の厚みはベンドにほとんど影響しないことがわかった。
また、表9および表15に示されるように、第一および第二の偏光板の両方の厚みを90μmとした実施例26のほうが、第一および第二の偏光板の一方の厚みだけを90μm以下とした実施例58〜60よりもベンドムラが高度に抑制できることがわかる。
本発明によれば、偏光子の厚みが薄くても、透湿した水分による偏光子の劣化が少ない偏光板を提供することができる。
70 偏光板
71 偏光子
73 保護フィルム
73A、113A、125A 透明基材層
73B、113B、125B 防湿層
75 位相差フィルム
80 液晶表示装置
90 液晶セル
91、93 基板
95 液晶層
110 第一の偏光板
111 第一の偏光子
113 保護フィルム(F1)
115 保護フィルム(F2)
120 第二の偏光板
121 第二の偏光子と、
123 保護フィルム(F3)
125 保護フィルム(F4)
130 バックライト

Claims (14)

  1. 偏光子と、前記偏光子の一方の面に配置された保護フィルムと、前記偏光子の他方の面に配置された位相差フィルムとを含む偏光板であって、
    前記保護フィルムは、透明基材層と、防湿層とを含み、
    前記保護フィルムの40℃90%RHにおける透湿度が10〜100g/m・dayであり、
    前記偏光板の厚みが25〜90μmである、偏光板。
  2. 前記偏光板の厚みが40〜70μmである、請求項1に記載の偏光板。
  3. 前記偏光子の厚みが3〜12μmである、請求項1または2に記載の偏光板。
  4. 前記透明基材層の厚みが10〜35μmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の偏光板。
  5. 前記防湿層は、前記透明基材層の前記偏光子側の面に配置されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の偏光板。
  6. 前記保護フィルムの40℃90%RHにおける透湿度が10〜80g/m・dayである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の偏光板。
  7. 前記防湿層が、塩化ビニル樹脂を含む層または無機薄膜である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の偏光板。
  8. 前記透明基材層が、セルロースエステルと(メタ)アクリル樹脂の一方または両方を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の偏光板。
  9. 前記透明基材層は、厚み方向に偏在した添加剤をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の偏光板。
  10. 前記保護フィルムの40℃90%RHにおける透湿度が20〜70g/m・dayである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の偏光板。
  11. 前記位相差フィルムが、セルロースエステルまたはシクロオレフィン樹脂を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の偏光板。
  12. 厚み0.3mm以上0.7mm未満の第一のガラス基板および第二のガラス基板と、前記第一のガラス基板と前記第二のガラス基板の間に配置された液晶層とを含む液晶セルと、
    前記液晶セルの前記第一のガラス基板上に配置された第一の偏光板と、
    前記液晶セルの前記第二のガラス基板上に配置された第二の偏光板と
    を含み、
    前記第一の偏光板が、請求項1〜11のいずれか一項に記載の偏光板であり、かつ前記位相差フィルムが、前記偏光子と前記第一のガラス基板との間に配置されているか、
    または
    前記第二の偏光板が、請求項1〜11のいずれか一項に記載の偏光板であり、かつ前記位相差フィルムが、前記偏光子と前記第二のガラス基板との間に配置されている、
    液晶表示装置。
  13. 前記第一の偏光板と前記第二の偏光板の両方が、請求項1〜11のいずれか一項に記載の偏光板である、請求項12に記載の液晶表示装置。
  14. 前記第二の偏光板と対向するように配置されたバックライトをさらに含む、請求項12または13に記載の液晶表示装置。
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