JP2010262098A - 光学補償フィルム、光学補償フィルムの製造方法、偏光板、及び液晶表示装置 - Google Patents

光学補償フィルム、光学補償フィルムの製造方法、偏光板、及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】コントラスト視野角が良好で、製造安定性に優れた光学補償フィルムを提供すること。
【解決手段】本発明の光学補償フィルムは、光の吸収が最大となる波長が300nm〜380nmである化合物を含有する透明支持体上に、少なくとも、光重合開始剤と重合性液晶化合物とを含有する液晶性組成物を光重合により硬化させて形成される光学異方性層を有する光学補償フィルムであって、前記光重合開始剤における光の吸収が最大となる波長と、前記添加剤における光の吸収が最大となる波長とが15nm以上離れていることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、コントラスト視野角が良好で、製造安定性に優れた光学補償フィルム、光学補償フィルムの製造方法、前記光学補償フィルムを有する偏光板、及び該偏光板を有する液晶表示装置に関する。
近年、液晶表示装置は、その用途展開が急速に進んでおり、携帯電話、パソコン用モニタ、テレビ、液晶プロジェクタなどに使われている。
一般に、液晶表示装置は、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertical Alignment)モード、IPS(In−Plane Switching)モード、OCB(Optically Compensatory Bend)モード、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モードなどの表示モードで液晶を動作させて、該液晶を通過する光を電気的に制御して明暗の違いを画面上に表すことで、文字や画像を表現する表示装置である。
これらの表示モードで動作する液晶表示装置は、斜め方向から表示画面を見た場合に、コントラストの低下や階調表示で明るさが逆転する階調反転現象等によって表示特性の悪化が生じるという視野角依存性の問題があり、このコントラスト視野角の低下の問題を解消するものとして、透明支持体上に、液晶性組成物を光重合により硬化させて形成される光学異方性層を有する光学補償フィルムが提案されている(特許文献1、2参照)。
しかしながら、これらの光学補償フィルムの透明支持体が、波長分散制御のために含有する添加剤は、紫外領域に光の吸収波長を有し、透明支持体上に塗工した液晶性組成物を光重合する際に照射される紫外光を吸収し、透明支持体が発熱するため、透明支持体上に塗工された液晶性組成物の重合温度が安定しないという問題がある。
液晶組成物に含まれる液晶化合物の配向された状態が示す光学特性は、液晶化合物の重合温度に依存するため、重合温度が不安定であると光学特性が不安定となり、コントラスト視野角および製造安定性が悪いという問題がある。
特開2007−121595号公報 特開2007−233141号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、コントラスト視野角が良好で、製造安定性に優れた光学補償フィルム、光学補償フィルムの製造方法、偏光板、及び液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、透明支持体に含有される波長分散制御のための添加剤において、光の吸収が少ない波長の光を用いて光重合開始剤および/または増感剤を励起させ、液晶性組成物を光重合させると、前記透明支持体の発熱を抑えられ、液晶性組成物の重合温度を安定化させることができることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 光の吸収が最大となる波長が300nm〜380nmである化合物を含有する透明支持体上に、少なくとも、光重合開始剤と重合性液晶化合物とを含有する液晶性組成物を光重合により硬化させて形成される光学異方性層を有する光学補償フィルムであって、
前記光重合開始剤における光の吸収が最大となる波長と、前記化合物における光の吸収が最大となる波長とが15nm以上離れていることを特徴とする光学補償フィルムである。
<2> 光の吸収が最大となる波長が300nm〜380nmである化合物を含有する透明支持体上に、少なくとも、光重合開始剤と増感剤と重合性液晶化合物とを含有する液晶性組成物を光重合により硬化させて形成される光学異方性層を有する光学補償フィルムであって、前記化合物における光の吸収が最大となる波長と、前記増感剤における光の吸収が極大となる波長のうち前記化合物における光の吸収が最大となる波長に一番近い波長とが15nm以上離れていることを特徴とする光学補償フィルムである。
<3> 透明支持体が、下記の式(a)及び式(b)の関係を満たす前記<1>から<2>のいずれかに記載の光学補償フィルムである。
Re(450)−Re(550) < −3nm (a)
Rth(450)−Rth(550) > 3nm (b)
(ただし、上記式(a)において、Re(450)は、波長450nmにおける面内レターデーションを表し、Re(550)は、波長550nmにおける面内レターデーションを表す。また、上記式(b)において、Rth(450)は、波長450nmにおける厚さ方向のレターデーションを表し、Rth(550)は、波長550nmにおける厚さ方向のレターデーションを表す。)
<4> 透明支持体上に、配向膜と光学異方性層とをこの順で有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の光学補償フィルムである。
<5>
前記<1>から<4>のいずれかに記載の光学補償フィルムと、偏向膜とを有することを特徴とする偏光板である。
<6> <5>に記載の偏光板を有することを特徴とする液晶表示装置である。
<7> 光の吸収が最大となる波長が300nm〜380nmである化合物を含有する透明支持体上に、少なくとも、光重合開始剤と重合性液晶化合物とを含有する液晶性組成物を光重合により硬化させて形成される光学異方性層を有する光学補償フィルムの製造方法であって、前記光重合開始剤における光の吸収が最大となる波長と、前記化合物における光の吸収が最大となる波長とが15nm以上離れており、前記光重合において前記液晶性組成物に対して光が照射されることによる光学異方性層の膜面温度の上昇が30℃以内であることを特徴とする光学補償フィルムの製造方法である。
<8> 光重合において、透明支持体及び液晶性組成物に対して照射される光のうち、化合物における光の吸収が最大となる波長を中心として少なくとも上下15nm未満の波長の光を遮光し、前記光重合開始剤を励起させ光学異方性層を形成する前記<7>に記載の光学補償フィルムの製造方法である。
<9> 光の吸収が最大となる波長が300nm〜380nmである化合物を含有する透明支持体上に、少なくとも、光重合開始剤と増感剤と重合性液晶化合物とを含有する液晶性組成物を光重合により硬化させて形成される光学異方性層を有する光学補償フィルムであって、前記化合物における光の吸収が最大となる波長と、前記増感剤における光の吸収が極大となる波長のうち前記化合物における光の吸収が最大となる波長に一番近い波長とが15nm以上離れており、前記光重合において前記液晶性化合物に対して光が照射されることによる光学異方性層の膜面温度の上昇が30℃以内であることを特徴とする光学補償フィルムの製造方法である。
<10> 光重合において、透明支持体及び液晶性組成物に対して照射される光のうち、化合物における光の吸収が最大となる波長を中心として少なくとも上下15nm未満の波長の光を遮光し、前記増感剤を励起させ光学異方性層を形成することを特徴とする前記<9>に記載の光学補償フィルムの製造方法である。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、本発明は、本発明は、コントラスト視野角が良好で、製造安定性に優れた光学補償フィルム、光学補償フィルムの製造方法、偏光板、及び液晶表示装置を提供することができる。
図1は、本発明の光学補償フィルムの一構成例を示す概略図である。 図2は、本発明の偏光板の一態様の断面模式図である。 図3は、本発明の液晶表示装置の一実施形態であるTNモード液晶表示装置の断面模式図である。 図4は、液晶表示装置の中間調表示時の斜め横方向の黄色味付きを測定する方法を説明する図面である。
(光学補償フィルム)
本発明の光学補償フィルムは、透明支持体上に、少なくとも、光学異方性層を有してなり、必要に応じて、その他の構成を含んでなる。
−透明支持体−
−−透明支持体の特徴−−
本発明の光学補償フィルムを構成する透明支持体は、以下の2つの式を満足することが好ましい。
Re(450)−Re(550) < −3nm (a)
Rth(450)−Rth(550) > 3nm (b)
更に、前記透明支持体は、以下の2つの式をすべて満足することがより好ましい。
20nm ≦ Re(550) ≦ 150nm (c)
40nm ≦ Rth(550) ≦ 110nm (d)
透明支持体のRe(550)が20nm未満やRe(550)が150nm超であると、セルの液晶が補償できなくなるためコントラスト視野角や色味が悪化して好ましくない。また、透明支持体のRth(550)が40nm未満であったり、Rth(550)が150nm超であると、偏光板の斜め方向の補償が十分でなくなるためコントラスト視野角や色味が悪化して好ましくない。さらに、透明支持体のRe(450)−Re(550)が−3nm以上であるか、Rth(450)−Rth(550)が3nm以下であると、コントラスト視野角が悪化するため好ましくない。
本発明の光学補償フィルムを構成する透明支持体の特性は、更により好ましくは、
40nm ≦ Re(550) ≦ 120nm
40nm ≦ Rth(550) ≦ 90nm
−40nm < Re(450)−Re(550) < −5nm
5nm < Rth(450)−Rth(550) < 30nm
であり、特に好ましくは、
50nm ≦ Re(550) ≦ 100nm
50nm ≦ Rth(550) ≦ 80nm
−35nm < Re(450)−Re(550) < −10nm
10nm < Rth(450)−Rth(550) < 25nm
である。
本発明で用いる透明支持体用のフィルムは、光透過性のポリマーフィルムであるのが好ましい。具体的には、可視光域の光に対する透過率が80%以上であるポリマーフィルムが好ましく、90%以上であるポリマーフィルムがより好ましく、95%以上であるポリマーフィルムがさらに好ましい。透明支持体がポリマーフィルムであると、本発明の光学補償フィルムを偏光膜とを容易に貼り合わせることができる。また、単独の部材(例えば光学補償フィルム)として液晶表示装置に組み込むことができる。前記ポリマーフィルムの材料としては、光学性能、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性などに優れるポリマーが好ましいが、透明支持体に要求される上述の光学特性を満たすフィルムを作製可能な材料であれば、いずれも用いてもよい。例えば、側鎖にアセチル基を有するセルロース系ポリマー(以下、セルロースアシレートという)等を溶液製膜法または溶融製膜法でフィルムとし、所望により延伸処理を施し、透明支持体に要求される光学特性を満足させることができる。また、ポリマーフィルム中に、Reおよび/またはRthを発現し得る添加剤を添加して、上記光学特性を満足するポリマーフィルムを作製してもよい。透明支持体用のフィルムの作製方法については、後で詳述する。
透明支持体用のセルロースアシレートフィルムの材料として用いられるセルロースアシレートのアシル置換基は、例えばアセチル基単独からなるセルロースアシレートであっても、複数のアシル置換基を有するセルロースアシレートを含む組成物を用いてもよい。セルロースアシレートは、負の固有複屈折性を付与するために全置換度が2.7〜3.0であるものが好ましい。ここでいう負の固有複屈折とは、ポリマーフィルムを延伸した際に、延伸方向と直交方向に屈折率の最大値を持つ方向を持つ性質をいう。本発明では上記アシル置換度のポリマーを用い、かつ下記で説明する延伸または熱処理工程を経ることにより必要な負の固有複屈折性を有する透明支持体を得ることが好ましい。
透明支持体の厚さについては特に制限されないが、30〜200μmであるのが好ましく、30〜100μmであるのがより好ましく、40〜90μmであるのがさらに好ましい。
−−透明支持体用のフィルムに用いられる材料−−
−−−ポリマー−−−
まず、透明支持体用のフィルムに使用することができるポリマーについて説明する。
透明支持体用のフィルムに使用するポリマーとしては、セルロースエステル(例えば、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルローストリプロピオネート、セルロースジアセテート)が好ましく、セルローストリアセテートがより好ましい。
前記ポリマーとしては、粉末や粒子状のものを使用することができ、また、ペレット化したものも用いることができる。
前記ポリマーの含水率は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.7質量%以下であることがさらに好ましく、0.5質量%以下であることが最も好ましい。また、前記含水率は場合により0.2質量%以下であることが好ましい。前記ポリマーの含水率が好ましい範囲内にない場合には、前記ポリマーを乾燥風や加熱などにより乾燥してから使用することが好ましい。
これらのポリマーは単独で用いてもよいし、2種類以上のポリマーを併用してもよい。
前記セルロースエステルとしては、セルロースエステル化合物、および、セルロースを原料として生物的あるいは化学的に官能基を導入して得られるエステル置換セルロース骨格を有する化合物が挙げられ、その中でもセルロースアシレートが特に好ましい。
なお、本発明で用いるポリマーフィルムの主成分としてのポリマーとしては、上述のセルロースアシレートを用いることが好ましい。ここで、「主成分としてのポリマー」とは、単一のポリマーからなる場合には、そのポリマーのことを示し、複数のポリマーからなる場合には、構成するポリマーのうち、最も質量分率の高いポリマーのことを示す。
前記セルロースエステルは、セルロースと酸とのエステルである。前記エステルを構成する酸としては、有機酸が好ましく、カルボン酸がより好ましく、炭素原子数が2〜22の脂肪酸がさらに好ましく、炭素原子数が2〜4の低級脂肪酸が最も好ましい。
前記セルロースアシレートは、セルロースとカルボン酸とのエステルである。前記セルロースアシレートは、セルロースを構成するグルコース単位の2位、3位および6位に存在するヒドロキシル基の水素原子の全部または一部が、アシル基で置換されている。前記アシル基の例としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、および、シンナモイル基が挙げられる。前記アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、ピバロイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基が好ましく、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基が最も好ましい。
セルロースエステルは、セルロースと複数の酸とのエステルであってもよい。また、セルロースアシレートは、複数のアシル基で置換されていてもよい。
セルロースアシレートのセルロースの水酸基に置換されているアセチル基(炭素数2)の置換度をSAとし、セルロースの水酸基に置換されている炭素数3以上のアシル基の置換度をSBとしたとき、SAおよびSBを調整することにより、製造されるセルロースエステルフィルムのReの発現性、レタデーションの湿度依存性の調整を行うことができる。なお、レタデーションの湿度依存性とは、湿度によるレタデーションの変化である。
本発明で用いるセルロースエステルは、SA+SBで表される全置換度(全アシル化度)が好ましくは2.70<SA+SB≦3.00、より好ましくは2.88≦SA+SB≦3.00であり、さらに好ましくは2.89≦SA+SB≦2.99であり、さらにより好ましくは2.90≦SA+SB≦2.98であり、特に好ましくは2.92≦SA+SB≦2.97である。SA+SBを大きくすることにより、熱処理後に得られるReを大きくし、レタデーションの湿度依存性も改善することができる。なお、セルロースアシレートのセルロースの水酸基のすべてがアシル基に置換されている場合、SA+SBで表される全置換度は3.00である。
また、SBを調整することにより、セルロースエステルフィルムのレタデーションの湿度依存性を調整することができる。SBを大きくすることにより、レタデーションの湿度依存性を低減させることができ、融点が下がる。レタデーションの湿度依存性および融点の低下のバランスを考慮すると、SBの範囲は、好ましくは0<SB≦3.0、より好ましくは0<SB≦1.0であり、さらに好ましくは0.1≦SB≦0.7である。
セルロースエステルは公知の方法により合成することができる。
例えば、セルロースアシレートの合成方法について、基本的な原理は、右田伸彦他、木材化学180〜190頁(共立出版、1968年)に記載されている。セルロースアシレートの代表的な合成方法としては、カルボン酸無水物−カルボン酸−硫酸触媒による液相アシル化法が挙げられる。具体的には、まず、綿花リンタや木材パルプ等のセルロース原料を適当量の酢酸などのカルボン酸で前処理した後、予め冷却したアシル化混液に投入してエステル化し、完全セルロースアシレート(2位、3位および6位のアシル置換度の合計が、ほぼ3.00)を合成する。前記アシル化混液は、一般に溶媒としてのカルボン酸、エステル化剤としてのカルボン酸無水物および触媒としての硫酸を含む。また、前記カルボン酸無水物は、これと反応するセルロースおよび系内に存在する水分の合計よりも、化学量論的に過剰量で使用することが普通である。
次いで、アシル化反応終了後に、系内に残存している過剰カルボン酸無水物の加水分解を行うために、水または含水酢酸を添加する。さらに、エステル化触媒を一部中和するために、中和剤(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウムまたは亜鉛の炭酸塩、酢酸塩、水酸化物または酸化物)を含む水溶液を添加してもよい。さらに、得られた完全セルロースアシレートを少量のアシル化反応触媒(一般には、残存する硫酸)の存在下で、20〜90℃に保つことにより鹸化熟成し、所望のアシル置換度および重合度を有するセルロースアシレートまで変化させる。所望のセルロースアシレートが得られた時点で、系内に残存している触媒を前記中和剤などを用いて完全に中和するか、或いは、前記触媒を中和することなく水若しくは希酢酸中にセルロースアシレート溶液を投入(或いは、セルロースアシレート溶液中に、水または希酢酸を投入)してセルロースアシレートを分離し、洗浄および安定化処理により目的物であるセルロースアシレートを得ることができる。
前記セルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で150〜500が好ましく、200〜400がより好ましく、220〜350がさらに好ましい。前記粘度平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)の記載に従って測定することができる。前記粘度平均重合度の測定方法については、特開平9−95538号公報にも記載がある。
また、低分子成分が少ないセルロースアシレートは、平均分子量(重合度)が高いが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低い値になる。このような低分子成分の少ないセルロースアシレートは、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより行うことができる。また、低分子成分の少ないセルロースアシレートを合成により得ることもできる。低分子成分の少ないセルロースアシレートを合成する場合、アシル化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。前記硫酸触媒の量を前記範囲にすると、分子量分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。セルロースアシレートの重合度や分子量分布は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)等により測定することができる。
セルロースエステルの原料綿や合成方法については、発明協会公開技報(公技番号2001−1745号、2001年3月15日発行、発明協会)7〜12頁にも記載がある。
−−光の吸収が最大となる波長が300nm〜380nmである化合物(添加剤)−−
本発明の波長分散の条件を満たす透明支持体用のフィルムを製造するためには、光の吸収が最大となる波長が300nm〜380nmである化合物を用いる。本明細書では、前記光の吸収が最大となる波長が300nm〜380nmである化合物を、添加剤と称することがある。本発明で用いる添加剤は、330〜370nmに吸収極大を持つ化合物であることがより好ましい。このような添加剤を特に負の複屈折性を示すポリマーに添加して製膜したフィルムを延伸することにより、本発明の波長分散の条件を満たす透明支持体用のフィルムを容易に製造することができる。
本発明で用いる添加剤は、光学補償フィルムや液晶表示装置を製造するための全プロセスにおいて揮散が実質的に無い化合物であることが好ましい。添加剤は、1種のみを単独で使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。添加量は、フィルムに持たせる光学的性質等によって異なるが、好ましくは2〜20質量%であり、より好ましくは4〜15質量%であり、さらに好ましくは5〜10質量%である。添加剤は、フィルムの製膜前にあらかじめ製膜用メルトや溶液に添加・混合しておくことが好ましい。
本発明で用いる添加剤は、下記一般式(I)〜(VI)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。一般式(I)〜(VI)の中では、一般式(I)、(II)、(III)で表される化合物がより好ましく、一般式(I)で表される化合物がさらに好ましい。
上記一般式(I)におけるR11、R12、R13、R14、R15、R16、およびR17;上記一般式(II)におけるR21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、およびR29;上記一般式(III)におけるR41、R42、R43、R44、R45、R46、およびR47;上記一般式(IV)におけるR51、R52、R53、R54、R55、R56、およびR57;上記一般式(V)におけるR61、R62、R63、R64、R65、R66、R67、およびR68;上記一般式(VI)におけるR71、R72、R73、R74、R75およびR76はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。
上記一般式(I)〜(VI)において、紙面の水平方向(左右方向)が分子長軸方向となるように置換基を組み合わせることが好ましい。
置換基として好ましくは、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜30、より好ましくは炭素原子数3〜10の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは炭素原子数5〜30、より好ましくは炭素原子数5〜10の置換または無置換のビシクロアルキル基、つまり、好ましくは炭素原子数5〜30、より好ましくは炭素原子数5〜10のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1.2.2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−3−イル)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基)、シクロアルケニル基(好ましくは炭素原子数3〜30、より好ましくは炭素原子数3〜10の置換または無置換のシクロアルケニル基、つまり、好ましくは炭素原子数3〜30、より好ましくは炭素原子数3〜10のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換または無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは炭素原子数5〜30、より好ましくは炭素原子数5〜10の置換または無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2.2.2]オクト−2−エン−4−イル)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換または無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換または無置換の、芳香族または非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、より好ましくは炭素原子数3〜30、より好ましくは炭素原子数3〜10の5または6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、
シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換または無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換または無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは炭素原子数3〜20、より好ましくは炭素原子数3〜10のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換または無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換または無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換または無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換または無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換または無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素原子数7〜30、より好ましくは炭素原子数7〜10の置換または無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換または無置換のアルキルアミノ基、炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換または無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換または無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換または無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換または無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換または無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素原子数7〜30、より好ましくは炭素原子数7〜10の置換または無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素原子数0〜30、より好ましくは炭素原子数0〜10の置換または無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換または無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換または無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換または無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換または無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、
ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜30、より好ましくは炭素原子数0〜10の置換または無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N'フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、ア
ルキルおよびアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキルおよびアリールスルホニル基(好ましくは、炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換または無置換のアルキルスルホニル基、炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素原子数7〜30、より好ましくは炭素原子数7〜10の置換または無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイルベンゾイル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素原子数7〜30、より好ましくは炭素原子数7〜10の置換または無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換または無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換または無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、アリールおよびヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換または無置換のアリールアゾ基、炭素原子数3〜30、より好ましくは炭素原子数3〜10の置換または無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換または無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換または無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換または無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換または無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは、炭素原子数3〜30、より好ましくは炭素原子数3〜10の置換または無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基)を表わす。
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていてもよい。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
上記の置換基の中でより好ましいものは、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アリールスルホニル基であり、さらに好ましいものは、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、フェニルスルホニル基である。
また、1分子の中に置換基が二つ以上ある場合は、それらの置換基は同じであっても異なっていてもよい。また、可能な場合には互いに連結して環(一般式中に記載されている環との縮合環を含む)を形成してもよい。
本発明で用いる添加剤の分子量は、好ましくは100〜5,000であり、より好ましくは150〜3,000であり、さらに好ましくは200〜2,000である。
前記波長分散制御のための添加剤(光の吸収が最大となる波長が300nm〜380nmである化合物)としては、該添加剤における光の吸収が最大となる波長と、前記光学異方性層を形成する液晶性組成物に含有される光重合開始剤および/または増感剤における光の吸収が最大となる波長とが、15nm以上離れている材料が選択される。
前記波長の差としては、15nm以上であれば、特に制限はないが、25nm〜100nmが好ましく、30nm〜60nmがより好ましい。
前記波長の差が、15nm未満であると、透明支持体上に塗工した液晶組成物を光重合する際に照射する紫外線の吸収による発熱が大きく、液晶化合物の重合温度が不安定となり、100nmを超えると、光学異方性層の着色がなく、かつ、本発明の波長分散の条件を満たす透明支持体を有する光学補償フィルムを得られない。
前記波長分散制御のための添加剤における光の吸収が最大となる波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、300nm〜380nmが好ましく、330nm〜370nmがより好ましい。
前記波長が、300nm〜380nmの範囲にあると、波長分散制御のための添加剤を特に負の複屈折性を示すポリマーに添加して製膜したフィルムを延伸することにより、本発明の波長分散の条件を満たす透明支持体を容易に製造できる。
前記その他の添加成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記添加成分の例としては、可塑剤(好ましい添加量はポリマーに対して0.01〜10質量%、以下同様)、平均粒子サイズが5〜3,000nmである微粒子粉体(0.001〜1質量%)、フッ素系界面活性剤(0.001〜1質量%)、剥離剤(0.0001〜1質量%)、劣化防止剤(0.0001〜1質量%)、光学異方性制御剤(0.01〜10質量%)、赤外線吸収剤(0.001〜1質量%)が含まれる。前記添加成分は、フィルム調製工程において液体または固体の状態で添加することができる。
前記可塑剤や前記光学異方性制御剤は、分子量3,000以下の有機化合物であり、好ましくは疎水部と親水部とを併せ持つ化合物である。これらの化合物は、ポリマー鎖間で配向することにより、レタデーション値を変化させる。さらに、これらの化合物は、本発明で特に好ましく用いられるセルロースアシレートと併用することで、フィルムの疎水性を向上させ、レタデーションの湿度変化を低減させることができる。本発明で用いるポリマーフィルムに用いられる添加成分は、いずれも乾燥過程での揮散が実質的にないものが好ましい。
このような添加成分としては、具体的には、芳香環を1個以上有する化合物が好ましく、2〜15個有することがより好ましく、3〜10個有することがさらに好ましい。化合物中の芳香環以外の各原子は、芳香環と同一平面に近い配置であることが好ましく、芳香環を複数有している場合には、芳香環同士も同一平面に近い配置であることが好ましい。また、Rthを選択的に上昇させるため、添加成分のフィルム中での存在状態は、芳香環平面がフィルム面と平行な方向に存在していることが好ましい。
前記添加成分は、単独で使用しても良いし、2種類以上の添加成分を組み合わせて使用しても良い。
Rthを上昇させる効果のある添加成分としては、具体的には、特開2005−104148号公報の33〜34頁に記載の可塑剤や、特開2005−104148号公報の38〜89頁に記載の光学異方性のコントロール剤などが挙げられる。
−−透明支持体用のフィルムの作製方法−−
透明支持体用のフィルムは、例えば、上記ポリマーや各種添加成分を含有するポリマー溶液から溶液流延製膜方法によって作製することができる。また、本発明の製造方法に用いるポリマーフィルムは、上記のポリマー溶液を用いずに溶融流延製膜方法により製造することもできる。溶融流延製膜方法は、ポリマーを加熱して溶融したものを支持体上に流延し、冷却してフィルムを形成する方法である。ポリマーの融点、もしくはポリマーと各種添加剤との混合物の融点が、これらの分解温度よりも低くかつ延伸温度よりも高い場合には、溶融流延製膜方法を採用することが可能である。溶融流延製膜方法については、特開2000−352620号公報などに記載がある。
本発明では、透明支持体用のフィルムの作製方法として溶液流延製膜方法を採用することが好ましい。以下において、溶液流延製膜方法の手順を具体的に説明する。
−−−ポリマー溶液の調製−−−
上記ポリマーや各種添加成分を含有するポリマー溶液は、例えば、特開昭58−127737号公報、同61−106628号公報、特開平2−276830号公報、同4−259511号公報、同5−163301号公報、同9−95544号公報、同10−45950号公報、同10−95854号公報、同11−71463号公報、同11−302388号公報、同11−322946号公報、同11−322947号公報、同11−323017号公報、特開2000−53784号公報、同2000−273184号公報、同2000−273239号公報に記載されている調製方法に準じて行うことができる。具体的には、ポリマーと溶媒とを混合攪拌し膨潤させ、場合により冷却や加熱等を実施して溶解させた後、これをろ過してポリマー溶液を得る。
調製するポリマー溶液中のポリマー濃度は、5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がさらに好ましく、15〜30質量%が最も好ましい。ポリマー濃度は、ポリマーを溶媒に溶解する段階で所定の濃度になるように調整することができる。また予め低濃度(例えば4〜14質量%)の溶液を調製した後に、溶媒を蒸発させる等によって濃縮してもよい。さらに、予め高濃度の溶液を調製後に、希釈してもよい。また、添加剤を添加することで、ポリマーの濃度を低下させることもできる。
ポリマー溶液(好ましくはセルロースエステル溶液)を作製する際に用いる主溶媒としては、該ポリマーの良溶媒である有機溶媒を好ましく用いることができる。このような有機溶媒としては、沸点が80℃以下の有機溶媒が乾燥負荷低減の観点からより好ましい。前記有機溶媒の沸点は、10〜80℃であることがさらに好ましく、20〜60℃であることが特に好ましい。また、場合により沸点が30〜45℃である有機溶媒も前記主溶媒として好適に用いることができる。
このような主溶媒としては、ハロゲン化炭化水素、エステル、ケトン、エーテル、アルコールおよび炭化水素などが挙げられ、これらは分岐構造若しくは環状構造を有していてもよい。また、前記主溶媒は、エステル、ケトン、エーテルおよびアルコールの官能基(即ち、−O−、−CO−、−COO−、−OH)のいずれかを二つ以上有していてもよい。さらに、前記エステル、ケトン、エーテルおよびアルコールの炭化水素部分における水素原子は、ハロゲン原子(特に、フッ素原子)で置換されていてもよい。なお、本発明の製造方法に用いるポリマーフィルムの作製に用いられるポリマー溶液(好ましくはセルロースエステル溶液)の主溶媒とは、単一の溶媒からなる場合には、その溶媒のことを示し、複数の溶媒からなる場合には、構成する溶媒のうち、最も質量分率の高い溶媒のことを示す。主溶媒としては、ハロゲン化炭化水素を好適に挙げることができる。
前記ハロゲン化炭化水素としては、塩素化炭化水素がより好ましく、例えば、ジクロロメタンおよびクロロホルムなどが挙げられ、ジクロロメタンがさらに好ましい。
前記エステルとしては、例えば、メチルホルメート、エチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートなどが挙げられる。
前記ケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。
前記エーテルとしては、例えば、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどが挙げられる。
前記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどが挙げられる。
前記炭化水素としては、例えば、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。
これら主溶媒と併用される有機溶媒としては、ハロゲン化炭化水素、エステル、ケトン、エーテル、アルコールおよび炭化水素などが挙げられ、これらは分岐構造若しくは環状構造を有していてもよい。また、前記有機溶媒としては、エステル、ケトン、エーテルおよびアルコールの官能基(即ち、−O−、−CO−、−COO−、−OH)のいずれか二つ以上を有していてもよい。さらに、前記エステル、ケトン、エーテルおよびアルコールの炭化水素部分における水素原子は、ハロゲン原子(特に、フッ素原子)で置換されていてもよい。
前記ハロゲン化炭化水素としては、塩素化炭化水素がより好ましく、例えば、ジクロロメタンおよびクロロホルムなどが挙げられ、ジクロロメタンがさらに好ましい。
前記エステルとしては、例えば、メチルホルメート、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、ペンチルアセテートなどが挙げられる。
前記ケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンなどが挙げられる。
前記エーテルとしては、例えば、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アニソール、フェネトールなどが挙げられる。
前記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、シクロヘキサノール、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールなどが挙げられる。好ましくは炭素数1〜4のアルコールであり、より好ましくはメタノール、エタノールまたはブタノールであり、最も好ましくはメタノール、ブタノールである。
前記炭化水素としては、例えば、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
前記2種類以上の官能基を有する有機溶媒としては、例えば、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、メチルアセトアセテートなどが挙げられる。
本発明で用いるポリマーフィルムを構成するポリマーが水酸基やエステル、ケトン等の水素結合性の官能基を含む場合、全溶媒中に5〜30質量%、より好ましくは7〜25質量%、さらに好ましくは10〜20質量%のアルコールを含有することが流延支持体からの剥離荷重低減の観点から好ましい。水素結合性の官能基を含むポリマーには、セルロースアシレートが含まれる。
アルコール含有量を調整することによって、ポリマーフィルムのReやRthの発現性を調整しやすくすることができる。具体的には、アルコール含有量を上げることによって、熱処理温度を比較的低く設定したり、ReやRthの到達範囲をより大きくしたりすることが可能となる。
また、本発明の製造方法に用いるポリマーフィルムの作製に用いられる前記ポリマー溶液は、乾燥過程初期においてハロゲン化炭化水素とともに揮発する割合が小さく、次第に濃縮される沸点が95℃以上であり、且つ、セルロースエステルの貧溶媒である有機溶媒を1〜15質量%、より好ましくは1.5〜13質量%、さらに好ましくは2〜10質量%含有することが好ましい。
本発明の製造方法に用いるポリマーフィルムの作製に用いられるポリマー溶液の溶媒として好ましく用いられる有機溶媒の組み合せの例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、比率の数値は、質量部を意味する。
(1)ジクロロメタン/メタノール/エタノール/ブタノール=80/10/5/5
(2)ジクロロメタン/メタノール/エタノール/ブタノール=80/5/5/10
(3)ジクロロメタン/イソブチルアルコール=90/10
(4)ジクロロメタン/アセトン/メタノール/プロパノール=80/5/5/10
(5)ジクロロメタン/メタノール/ブタノール/シクロヘキサン=80/8/10/2(6)ジクロロメタン/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール=80/10/5/5
(7)ジクロロメタン/ブタノール=90/10
(8)ジクロロメタン/アセトン/メチルエチルケトン/エタノール/ブタノール=68/10/10/7/5
(9)ジクロロメタン/シクロペンタノン/メタノール/ペンタノール=80/2/15/3
(10)ジクロロメタン/メチルアセテート/エタノール/ブタノール=70/12/15/3
(11)ジクロロメタン/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール=80/5/5/10
(12)ジクロロメタン/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/ペンタノール=50/20/15/5/10
(13)ジクロロメタン/1,3−ジオキソラン/メタノール/ブタノール=70/15/5/10
(14)ジクロロメタン/ジオキサン/アセトン/メタノール/ブタノール=75/5/10/5/5
(15)ジクロロメタン/アセトン/シクロペンタノン/エタノール/イソブチルアルコール/シクロヘキサン=60/18/3/10/7/2
(16)ジクロロメタン/メチルエチルケトン/アセトン/イソブチルアルコール=70/10/10/10
(17)ジクロロメタン/アセトン/エチルアセテート/ブタノール/ヘキサン=69/10/10/10/1
(18)ジクロロメタン/メチルアセテート/メタノール/イソブチルアルコール=65/15/10/10
(19)ジクロロメタン/シクロペンタノン/エタノール/ブタノール=85/7/3/5
(20)ジクロロメタン/メタノール/ブタノール=83/15/2
(21)ジクロロメタン=100
(22)アセトン/エタノール/ブタノール=80/15/5
(23)メチルアセテート/アセトン/メタノール/ブタノール=75/10/10/5(24)1,3−ジオキソラン=100
(25)ジクロロメタン/メタノール=85/15
(26)ジクロロメタン/メタノール=92/8
(27)ジクロロメタン/メタノール=90/10
(28)ジクロロメタン/メタノール=87/13
(29)ジクロロメタン/エタノール=90/10
また、非ハロゲン系有機溶媒を主溶媒とした場合の詳細な記載は発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)に記載があり、適宜、本発明において使用し適用することができる。
本発明においては、ポリマーの溶媒への溶解性を向上させるため、ポリマーと溶媒の混合物を冷却および/または加熱する工程を含んでもよい。
溶媒としてハロゲン系有機溶媒を用い、ポリマーとしてセルロースアシレートを用いて、ポリマーと溶媒の混合物を冷却する場合、混合物を−100〜10℃に冷却することが好ましい。また、冷却工程より前の工程に−10〜39℃で膨潤させる工程を含み、冷却より後の工程に0〜39℃に加温する工程を含むことが好ましい。
溶媒としてハロゲン系有機溶媒を用い、セルロースアシレートと溶媒の混合物を加熱する場合、下記(a)または(b)より選択される1以上の方法で溶媒中にセルロースアシレートを溶解する工程を含むことが好ましい。
(a)−10〜39℃で膨潤させ、得られた混合物を0〜39℃に加温する。
(b)−10〜39℃で膨潤させ、得られた混合物を0.2〜30MPaで40〜240℃に加熱し、加熱した混合物を0〜39℃に冷却する。
さらに、溶媒として非ハロゲン系有機溶媒を用い、セルロースアシレートと溶媒の混合物を冷却する場合、混合物を−100〜−10℃に冷却する工程を含むことが好ましい。また、冷却工程より前の工程に−10〜55℃で膨潤させる工程を含み、冷却より後の工程に0〜57℃に加温する工程を含むことが好ましい。
溶媒としてハロゲン系有機溶媒を用い、セルロースアシレートと溶媒の混合物を加熱する場合、下記(c)または(d)より選択される1以上の方法で溶媒中にセルロースアシレートを溶解する工程を含むことが好ましい。
(c)−10〜55℃で膨潤させ、得られた混合物を0〜57℃に加温する。
(d)−10〜55℃で膨潤させ、得られた混合物を0.2〜30MPaで40〜240℃に加熱し、加熱した混合物を0〜57℃に冷却する。
−−−ポリマーフィルムの製膜−−−
本発明で用いるポリマーフィルムは、上記のポリマー溶液を用いて溶液流延製膜方法により製造することができる。溶液流延製膜方法の実施に際しては、従来の方法に従い、従来の装置を用いることができる。具体的には、溶解機(釜)で調製されたドープ(ポリマー溶液)を、ろ過後、貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製することができる。ドープは30℃に保温し、ドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延する(流延工程)。次いで、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離し、続いて乾燥ゾーンへ搬送し、ロール群で搬送しながら乾燥を終了する。溶液流延製膜方法の流延工程、乾燥工程の詳細については、特開2005−104148号公報の120〜146頁にも記載があり、適宜本発明にも適用することができる。
本発明においては、熱処理前のポリマーフィルムの製膜の際に用いる金属支持体として金属バンドまたは金属ドラムを使用することができる。
ポリマーフィルムのレタデーションを制御するためには、熱処理前のポリマーフィルムにかかる力学的な履歴、すなわち製膜過程においてポリマーウェブに与えられる外力を制御しておくことが好ましい。具体的には、製造されるポリマーフィルムが、大きなReを示し且つ負のRthを示す場合は、ポリマーウェブを、好ましくは0.1%以上15%未満、より好ましくは0.5〜10%、さらに好ましくは1〜8%延伸する。延伸方向は製膜過程での搬送方向でも、搬送方向に直交する方向(ウェブの幅方向)でもよいが、熱処理前のポリマーフィルムを搬送しながら作製する場合には、当該搬送方向へ、延伸することが好ましい。この延伸の際のポリマーウェブの残留溶媒量は、下記式に基づいて算出されるもので5〜1,000%とする。残留溶媒量は、10〜200%であることが好ましく、30〜150%であることがより好ましく、40〜100%であることがさらに好ましい。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
[式中、Mは、延伸ゾーンに挿入される直前のポリマーフィルムの質量、Nは、延伸ゾーンに挿入される直前のポリマーフィルムを110℃で3時間乾燥させたときの質量を表す]
また、大きなReを示し且つ正のRthを示す場合は、ポリマーウェブを、好ましくは15〜300%、より好ましくは18〜200%、さらに好ましくは20〜100%延伸する。なお、熱処理前のポリマーフィルムを搬送しながら作製する場合には、当該搬送方向へ、延伸することが好ましい。この延伸の際のポリマーウェブの残留溶媒量は、上記式に基づいて算出されるもので5〜1,000%とする。残留溶媒量は、30〜500%であることが好ましく、50〜300%であることがより好ましく、80〜250%であることがさらに好ましい。
前記延伸の際のポリマーウェブの延伸倍率(伸び)は、金属支持体速度と剥ぎ取り速度(剥ぎ取りロールドロー)との周速差により達成することができる。このような延伸を行うことによって、レタデーションの発現性を調整することができる。
残留溶媒量が5%以上の状態で延伸すればヘイズが大きくなりにくく、残留溶媒量が1,000%以下の状態で延伸すればポリマー鎖に加えられる外力が伝わりやすく、前記溶媒を含有した状態で実施されるポリマーウェブ延伸によるレタデーション発現性調整の効果が大きくなる傾向がある。なお、ポリマーウェブの残留溶媒量は、前記ポリマー溶液の濃度、金属支持体の温度や速度、乾燥風の温度や風量、乾燥雰囲気中の溶媒ガス濃度等を変更することにより、適宜調整することができる。
さらに、前記ポリマーウェブを伸ばす工程においては、ポリマーウェブの膜面温度はポリマーに外力を伝える観点から低いほうが好ましく、ポリマーウェブの温度を(Ts−100)〜(Ts−0.1)℃とすることが好ましく、(Ts−50)〜(Ts−1)℃とすることがより好ましく、(Ts−20)〜(Ts−3)℃とすることがさらに好ましい。ここで、Tsは流延支持体の表面温度を表し、流延支持体の温度が部分的に異なる温度に設定されている場合には、支持体中央部における表面温度のことを表す。
このようにして伸ばされる工程を経たポリマーウェブは、続いて乾燥ゾーンへ搬送し、テンターで両端をクリップされたり、ロール群で搬送したりしながら乾燥を終了する。
このようにして乾燥の終了したフィルム中の残留溶剤量は0〜2質量%が好ましく、より好ましくは0〜1質量%である。このフィルムは、そのまま熱処理ゾーンへ搬送してもよいし、フィルムを巻き取ってからオフラインで熱処理を実施してもよい。熱処理前のポリマーフィルムの好ましい幅は0.5〜5mであり、より好ましくは0.7〜3mである。また、一旦フィルムを巻き取る場合には、好ましい巻長は300〜30,000mであり、より好ましくは500〜10,000mであり、さらに好ましくは1,000〜7,000mである。
製膜したポリマーフィルムの膜厚80μm換算の透湿度は、100g/(m2・day)以上であることが好ましく、100〜1,500g/(m2・day)であることがより好ましく、200〜1,000g/(m2・day)であることがさらに好ましく、300〜800g/(m2・day)であることが特に好ましい。80μm換算で100g/(m2・day)以上の透湿度を有するポリマーフィルムを調製するには、ポリマーの親疎水性を適切に制御するか、フィルムの密度を低下させることが好ましい。前者の方法として、例えば、ポリマー主鎖の親疎水性を適切に制御し、さらに疎水的もしくは親水的な側鎖を導入する方法などが挙げられ、後者の方法として、例えば、ポリマー主鎖に側鎖を導入する、製膜時に用いる溶媒の種類を選択する、製膜時の乾燥速度を制御する、などの方法が挙げられる。
−−−予備延伸−−−
溶媒を乾燥させ、上記式に基づいて算出される残留溶媒量が5%未満となった熱処理前の製膜したポリマーフィルムは、Tg0≦T<Tm0を満たす温度Tで熱処理を行う前に延伸を行うことが好ましい(以下、当該延伸を「予備延伸」とも称する)。該予備延伸を行うことにより、熱処理工程におけるReやRthの発現性をさらに調整することができる。具体的には、後述の範囲内で、延伸温度を低下させたり、延伸倍率を上昇させることにより、熱処理温度を比較的低く設定したり、ReやRthの到達範囲をより大きくしたりすることが可能となる。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、予備延伸工程と熱処理工程の間に他の工程を含んでいてもよい。なお、Tg0は熱処理前のポリマーフィルムのガラス転移温度(単位:℃)を表し、Tm0は熱処理前のポリマーフィルムの融点(単位:℃)を表す。
予備延伸は、(Tg0−20)〜(Tg0+50)℃で行うことが好ましい。前記予備延伸温度は、より好ましくは(Tg0−10)〜(Tg0+45)℃であり、さらに好ましくは、Tg0〜(Tg0+40)℃であり、最も好ましくは、(Tg0+5)〜(Tg0+35)℃である。
前記予備延伸の方向は特に制限されるものではなく、熱処理前のポリマーフィルムが搬送されている場合には、搬送方向に延伸する縦延伸であっても、それに直交する方向に延伸する横延伸であってもよいが、縦延伸であることが好ましい。縦延伸や横延伸の方法や好ましい態様については後述する熱処理の欄を参照することができる。予備延伸倍率は1〜500%であることが好ましく、3〜400%がより好ましく、5〜300%がさらに好ましく、10〜100%が特に好ましい。これらの予備延伸は1段で実施しても、多段で実施してもよい。なお、ここでいう「予備延伸倍率(%)」とは、以下の式により求められるものを意味する。
前記予備延伸における延伸速度は10〜1,0000%/分が好ましく、より好ましくは20〜1,000%/分であり、さらに好ましくは30〜800%/分である。
−−−熱処理−−−
本発明で用いるポリマーフィルムを製造する際には、下記式(1)の条件を満たす熱処理温度T(単位:℃)で熱処理を施すことが好ましい。熱処理は、前記予備延伸工程において延伸された前記ポリマーウェブに施すことが好ましい。熱処理は搬送しながら行うことが好ましい。
式(1):Tg0<T<Tm0
[式中、Tg0は熱処理前のポリマーフィルムのガラス転移温度(単位:℃)を表し、Tm0は熱処理前のポリマーフィルムの融点(単位:℃)を表す。]
前記熱処理工程を行うことによって、ポリマーの負の複屈折性が増大し、所望のRe,Rthが得られやすくなる。熱処理温度TがTg0より高ければ、十分なレタデーションが発現しやすくなる傾向がある。また、前記熱処理温度TがTmo未満であれば、ハンドリングが容易で製造しやすくなる傾向がある。
前記式(1)において、熱処理前のポリマーフィルムのガラス転移温度を表し、単位は℃である。ここで、「ガラス転移温度」とは、ポリマーフィルムを構成するポリマーの運動性が大きく変化する境界温度であり、後述する測定法により測定することができる。
前記熱処理温度Tは、さらに下記式(2)を満足することが好ましい。
式(2): Tc0≦T<Tm0
式(2)において、Tc0は熱処理前のポリマーフィルムの結晶化温度を表し、単位は℃である。本発明において結晶化温度とは、ポリマーフィルムを構成するポリマーが規則的な周期構造を形成する温度のことを示し、この温度を超えるとX線回折で観測される構造体が急速に成長する。
前記熱処理温度TをTc0よりも高くすると、X線回折で観測される構造体を成長させ、レタデーションを調整できると推定されるが、加熱処理の前に延伸工程を実施することによってポリマーを延伸方向にある程度配列させることができる。このため、熱処理工程において、X線回折で観測される構造体を効率的に、且つ異方的に成長させることができる。また、延伸工程における延伸温度を、熱処理温度よりも低くすることによって、X線回折で観測される構造体を成長させることなくポリマーを配向させることができる。このため、その後の熱処理工程でより効率的にX線回折で観測される構造体を成長させることができるという利点がある。したがって、延伸工程における延伸方向と、熱処理時における搬送方向とが一致していることが、熱処理温度低減の観点や、ReやRthの到達範囲拡張の観点から、より好ましい。
前記式(1)、(2)の条件を満たす温度Tでポリマーフィルムを熱処理することによって、ポリマーフィルムのレタデーションの発現性を調整することができる。特に、Reを高めることができる。式(2)の条件を満たす温度Tで熱処理することによって、熱処理前よりもReが通常は15nm以上上昇するが、25nm以上上昇することが好ましく、50nm以上上昇することがより好ましい。また、100nm以上上昇することがさらに好ましく、150nm以上上昇することがさらにより好ましく、200nm以上上昇することが特に好ましい。Reの上昇幅は、前述の予備延伸の条件(温度や倍率)や熱処理の条件(特に温度)等により制御することができる。
熱処理工程における熱処理は、ポリマーフィルムを搬送しながら行うことが好ましい。ポリマーフィルムの搬送手段は特に制限されないが、典型的な例としてニップロールやサクションドラムにより搬送する手段、テンタークリップで把持しながら搬送する手段(空気圧で浮上搬送する手段)などを挙げることができる。製造効率的に好ましくは、ニップロールにより搬送する手段である。具体的には、少なくとも熱処理を行うゾーンの前後にそれぞれニップロールを設置しておき、当該ニップロールの間を通すことによりポリマーフィルムを搬送する態様を挙げることができる。
搬送の速度は、通常は1〜500m/分であり、5〜300m/分が好ましく、10〜200m/分がより好ましく、20〜100m/分がさらに好ましい。搬送速度が、前記の下限値である1m/分以上であれば産業上、十分な生産性を確保することができるという点で好ましくなる傾向があり、前記の上限値である500m/分以下であれば実用的な熱処理ゾーン長で十分に結晶成長を進行させることができるという点で好ましくなる傾向がある。搬送速度を速くすればフィルムの着色を抑制することができる傾向があり、搬送速度を遅くすれば熱処理ゾーン長を短くすることができる傾向がある。熱処理中の搬送速度(搬送速度を決定するニップロールやサクションドラム等の装置の速度)は一定にしておくことが好ましい。
熱処理工程における熱処理の方法として、例えば、ポリマーフィルムを搬送しながら温度Tのゾーン内を通過させる方法、搬送されているポリマーフィルムに熱風をあてる方法、搬送されているポリマーフィルムに熱線を照射する方法、ポリマーフィルムを昇温されたロールに接触させる方法などを挙げることができる。
好ましくは、ポリマーフィルムを搬送しながら温度Tのゾーン内を、熱風をあてながら通過させる方法である。この方法によれば、ポリマーフィルムを均一に加熱することができるという利点がある。ゾーン内の温度は、例えば温度センサでモニターしつつヒータで一定温度に制御することにより温度Tに維持することができる。温度Tのゾーン内のポリマーフィルムの搬送長は、製造しようとするポリマーフィルムの性質や搬送速度によって異なるが、通常は(搬送長)/(搬送するポリマーフィルムの幅)の比が0.1〜100となるように設定することが好ましく、より好ましくは0.5〜50であり、さらに好ましくは1〜20である。この比は、本明細書において縦横比と略すこともある。温度Tのゾーンの通過時間(熱処理の時間)は、通常0.01〜60分であり、好ましくは0.03〜10分であり、さらに好ましくは0.05〜5分である。前記範囲とすることにより、レタデーションの発現に優れ、フィルムの着色を抑制することができる。
ポリマーフィルムは熱処理と同時に延伸してもよい。熱処理時の延伸方向は特に制限されるものではないが、熱処理前のポリマーフィルムに異方性がある場合には、熱処理前のポリマーフィルム中のポリマーの配向方向への延伸であることが好ましい。ここで、フィルムに異方性があるとは、音波伝播速度が最大となる方向の音波伝播速度と、これと直交する方向の音波伝播速度との比が、好ましくは1.01〜10.0であり、より好ましくは1.1〜5.0であり、さらに好ましくは1.2〜2.5であることを指す。音波伝播速度が最大となる方向、および各方向の音波伝播速度は、フィルムを25℃、相対湿度60%にて24時間調湿後、配向性測定機(SST−2500:野村商事(株)製)を用いて、超音波パルスの縦波振動の伝搬速度が最大となる方向、および各方向の伝搬速度として求めることができる。
例えば、2つのニップロールの間に加熱ゾーンを有する装置を用いてポリマーフィルムを搬送しながら熱処理を行う場合、加熱ゾーンの入口側のニップロールの回転速度よりも、加熱ゾーンの出口側のニップロールの回転速度を速くすることにより、搬送方向(縦方向)にポリマーフィルムを好ましく延伸することができる。また、ポリマーフィルムの両端をテンタークリップで把持し、これを搬送方向と直交する方向(横方向)に広げながら加熱ゾーンを通過させることにより延伸することもできる。ポリマーフィルムを熱処理中に搬送方向に延伸することによって、レタデーション発現性をさらに調整することができる。搬送方向の延伸倍率は、通常0.8〜100倍、好ましくは1.0〜10倍、より好ましくは1.2〜5倍である。また、ポリマーフィルムを熱処理中に搬送方向と直交する方向に延伸することによって、熱処理後のポリマーフィルムの面状を改良することができる。搬送方向に直交する方向の延伸倍率は、通常0.8〜10倍、好ましくは1.0〜5倍、より好ましくは1.1〜3倍である。また、前記延伸における延伸速度は20〜10,000%/分が好ましく、より好ましくは40〜1,000%/分であり、さらに好ましくは50〜500%/分である。
また、本発明における熱処理工程では、加熱処理の際に、ポリマーフィルムを収縮させてもよい。当該収縮は、熱処理時に行うことが好ましい。熱処理の際にポリマーフィルムを収縮させることによって、光学特性および/または力学物性を調整することができるようになる。幅方向に収縮させる工程は、熱処理の際に行うだけでなく、熱処理の前後の工程でも行うことができる。また、幅方向に収縮させる工程は一段で行ってもよく、収縮工程と延伸工程とを繰り返し実施してもよい。
収縮させる場合の収縮率は5〜80%であることが好ましく、10〜70%であることがより好ましく、20〜60%であることがさらに好ましく、25〜50%であることが最も好ましい。なお、収縮の方向は、特に制限されるものではないが、前記延伸工程の搬送方向に直交する方向に行うことが好ましい。収縮率は熱処理温度の調整や、フィルムにかかる外力の調整によって制御することができる。具体的には、フィルムの端部をテンタークリップで把持している場合にはレールの拡幅率などで制御することができる。また、フィルムの端部が固定されておらず、ニップロール等のフィルムを搬送方向に固定する装置によってのみ保持されている場合には、搬送方向に固定する装置間距離の調整や、フィルムにかかるテンションの調整や、フィルムに与えられる熱量の調整などによって制御することができる。幅方向の収縮率は、フィルムが収縮する直前と直後の全幅を計測し、下記式から求めることができる。
熱処理工程は1回のみ行ってもよいし、複数回行ってもよい。複数回行うとは、前の熱処理が終了した後に一旦温度をガラス転移Tg0以下に下げ、その後、再び温度をTg0を越えTm0未満に設定して搬送しながら熱処理を行うことを意味する。複数回熱処理を行う場合は、すべての熱処理が完了した段階で前記の延伸倍率の範囲を満たすことが好ましい。熱処理は、3回以下が好ましく、2回以下がより好ましく、1回が最も好ましい。
−−−熱処理後の冷却−−−
熱処理を終えたポリマーフィルムは、Tc未満の温度に冷却する。冷却温度は特に制限されるものではないが、好ましくは100〜1,000,000℃/分、より好ましくは1,000〜100,000℃/分、さらに好ましくは3,000〜50,000℃/分でフィルムを冷却する。このような冷却速度でフィルムを冷却する温度幅は、50℃以上であることが好ましく、100〜300℃であることがより好ましく、150〜280℃であることがさらに好ましく、180〜250℃であることが特に好ましい。
このように冷却速度を調整することによって、得られるポリマーフィルム(特にセルロースアシレートフィルム)のレタデーションの発現性をさらに調整することができる。具体的には、冷却速度を速くすることによって、レタデーションの発現性を向上させることができる。また、ポリマーフィルム中の、厚み方向のポリマー鎖の配向の分布を低減させることができ、フィルムの湿度カールを抑制することができる。このような効果は、比較的速い冷却速度で冷却する温度幅を上記の好ましい範囲に制御することによって、さらに十分に得ることができる。
前記冷却速度は、加熱ゾーンの後に、加熱ゾーンより低い温度に保持された冷却ゾーンを設けておいて、これらのゾーンにポリマーフィルムを順次搬送したり、冷却ロールをフィルムと接触させたり、冷却風をフィルムに吹き付けたり、フィルムを冷却された液体に浸漬したりして制御することができる。冷却速度は、冷却工程中において常に一定であることは必要とされず、冷却工程の初期と終盤は冷却速度を小さくし、その間において冷却速度を大きくしてもよい。冷却速度は、後述する実施例に記載されるようにフィルム膜面上に配置した熱電対によって複数地点の温度を測定することにより求めることができる。
−−−熱処理後の延伸−−−
ポリマーフィルムの熱処理に続けて延伸を行ってもよい。熱処理に続けて行われる延伸は、熱処理後にポリマーフィルムがTc未満の温度まで冷却された後に行われてもよく、熱処理温度を保ったまま冷却されることなく行われてもよい。一旦ポリマーフィルムが冷却される場合、冷却は自然放冷してTc未満の温度になった状態でもよいし、強制的に冷却してTc未満の温度になった状態でもよい。また、いったん冷却した後に再度Tc未満に加熱した状態でもよい。一旦フィルムを冷却する場合の冷却温度は、前記熱処理温度よりも50℃以上低いことが好ましく、100〜300℃低いことがより好ましく、150〜250℃低いことがさらに好ましい。熱処理温度よりも冷却温度を50℃以上低くすることによって熱処理後のフィルムのRth/Re値を容易に制御できる傾向がある。また、一旦フィルムを冷却温度まで冷却した後に再度Tc未満の温度に加熱してから延伸することが好ましい。前記熱処理温度と延伸温度との差は1℃以上であることが好ましく、10〜200℃がより好ましく、30〜150℃がさらに好ましく、50〜100℃が特に好ましい。この温度差を適切に設定することによって、Rth/Re値を制御することができる。具体的には、熱処理温度と延伸温度との差を大きくすればRth/Re値が上昇する傾向があり、差を小さくすればRth/Re値の変化が小さくなる傾向がある。
延伸の方法としては、上記の熱処理中の延伸の説明にて記載した方法等を採用することができる。延伸は1段で実施しても、多段で実施してもよい。好ましいのは、上記のニップロールの回転速度を変えることにより搬送方向に延伸する方法とポリマーフィルムの両端をテンタークリップで把持してこれを搬送方向と直交する方向に広げることより延伸する方法である。特に好ましいのは、熱処理の際に延伸を行わないか、あるいは、ニップロールの回転速度を変えることにより搬送方向に延伸しておき、熱処理後にポリマーフィルムの両端をテンタークリップで把持してこれを搬送方向と直交する方向に広げることより延伸する態様である。
延伸倍率はポリマーフィルムに要求するレタデーションに応じて適宜設定することができ、1〜500%が好ましく、3〜400%がより好ましく、5〜300%がさらに好ましく、10〜100%が特に好ましい。延伸速度は10〜10,000%/分が好ましく、より好ましくは20〜1,000%/分であり、さらに好ましくは30〜800%/分である。
熱処理後に延伸を行うことにより、得られるフィルムのReとRthを調整することができる。例えば、熱処理後の延伸温度を高くすることによって、Reをあまり変化させずにRthを低下させることができる。また、熱処理後の延伸倍率を高くすることによって、Reを低下させRthを上昇させることもできる。これらは、ほぼ線形的な相関関係を示すことから、熱処理後の延伸条件を適当に選択することによって、目的とするReやRthを達成しやすくなる。
−−−表面処理−−−
透明支持体として用いられるポリマーフィルムには、光学異方性層または偏光膜との密着性を良化するために、表面処理を施すのが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理が挙げられる。また、下塗り層を設けることも好ましい。
<光学異方性層>
本発明の光学異方性層は、光重合開始剤と、重合性液晶化合物とを少なくとも含有する液晶性組成物を、光重合により硬化させて形成される層としてなる。
−光学異方性層−
−−光学異方性層の特徴−−
本発明の光学補償フィルムを構成する光学異方性層は、Re(550)が20〜100nmであり、Re(550)が0nmになる方向が存在せず、且つRe(550)の絶対値が最小となる方向が、層の法線方向にも面内にもないという特性を有する。かかる特性の光学異方性層の一例として、液晶組成物をハイブリッド配向状態に固定して形成される光学異方性層が挙げられる。特に、透明支持体上に配向膜を形成し、配向処理後、円盤状の液晶組成物をハイブリッド配向状態に固定して形成される光学異方性層であることが好ましい。光学異方性層のRe(550)は、20〜40nmであることがより好ましい。
光学異方性層のRe(550)が20nm未満であると、従来同様の構成の光学補償フィルムで達成していた光学補償能が損なわれる。また、100nm超であったり、Re(550)が0nmになる方向が存在する場合、Re(550)の絶対値が最小となる方向が層の法線方向か面内に存在する場合には、ハイブリッド配向しているセルの液晶を補償することができなくなるために、コンロラスト視野角および色味が悪化して好ましくない。
前記光学異方性層の形成に用いる液晶組成物は、ネマチック相およびスメクチック相を形成し得る液晶組成物であるのが好ましい。液晶化合物は、一般的に、その分子の形状に基づいて、棒状および円盤状液晶化合物に分類されるが、本発明ではいずれの形状の液晶化合物を用いてもよい。
−−光学異方性層に用いられる材料−−
−−−円盤状液晶化合物−−−
光学異方性層の作製に用いられる円盤状液晶化合物としては、特開2006−76992号公報明細書中の段落番号[0012]以降に詳しく記載されている一般式(D1)で表される化合物が好ましい。具体的な化合物としては、特開2006−76992号公報明細書中の段落番号[0052]、特開2007−2220号公報明細書中の段落番号[0040]〜[0063]に記載の化合物が適している。これらは、高い複屈折性を示すので好ましい。一般式(DI)表される化合物の中でも、ディスコティック液晶性を示す化合物が好ましく、特に、ディスコティックネマチック相を示す化合物が好ましい。
また、前記円盤状液晶化合物の好ましい例には、特開2005−301206号公報に記載の化合物も含まれる。
前記円盤状液晶化合物は、1種または2種以上のものを所望の性能に応じて配合して使用することができる。
−−−棒状液晶化合物−−−
光学異方性層には、棒状液晶化合物を用いることもできる。
棒状液晶化合物を用いる場合は、前記光学異方性層に要求される特性を満足するために、2種以上の棒状液晶化合物を用いるのが好ましい。好ましい組み合わせとしては、下記式(I)で表される棒状液晶の少なくとも一種と、下記式(II)で表される棒状液晶の少なくとも一種との組み合わせが挙げられる。
式中、AおよびBはそれぞれ、芳香族もしくは脂肪族炭化水素環、またはヘテロ環の基を表し;R1〜R4はそれぞれ、置換もしくは無置換の、C1〜12(好ましくはC3〜7)のアルキレン基、またはC1〜12(好ましくはC3〜7)のアルキレン鎖を含むアルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基もしくはアルコキシカルボニルオキシ基を表し;Ra、RbおよびRcはそれぞれ置換基を表し;x、yおよびzはそれぞれ、1〜4の整数を表す。
前記式中、R1〜R4に含まれるアルキル鎖は、直鎖状および分岐状のいずれであってもよい。直鎖状であるのがより好ましい。また、組成物を硬化させるために、R1〜R4は末端に重合性基を有しているのが好ましく、該重合性基の例には、アクリロイル基、メタクリロイル基、およびエポキシ基等が含まれる。
前記式(I)中、xおよびzは0で、且つyが1であるのが好ましく、1個のRbは、オキシカルボニル基またはアシルオキシ基に対してメタ位もしくはオルト位の置換基であるのが好ましい。RbはC1〜12のアルキル基(例えばメチル基)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子)等が好ましい。
前記式(II)中、AおよびBはそれぞれ、フェニレン基またはシクロへキシレン基であるのが好ましく、AおよびBの双方がフェニレン基でありか、または一方がシクロへキシレン基で且つ他方がフェニレン基であるのが好ましい。
−−−光学異方性層の形成方法−−−
前記光学異方性層は、重合性液晶化合物を少なくとも一種含有する液晶性組成物を、透明支持体として用いられるポリマーフィルムの表面(例えば、配向膜表面)に配置し、液晶化合物の分子を所望の配向状態とし、重合により硬化させ、その配向状態を固定して形成するのが好ましい。Re(550)が0nmになる方向が存在せず、且つRe(550)の絶対値が最小となる方向が、層の法線方向にも面内にもないという、光学異方性層に要求される特性を満足するためには、前記重合性液晶化合物の分子(棒状および円盤状分子の双方を含む)をハイブリッド配向状態に固定するのが好ましい。ハイブリッド配向とは、層の厚み方向で液晶分子のダイレクタの方向が連続的に変化する配向状態をいう。棒状分子の場合は、ダイレクタは長軸方向、円盤状分子の場合はダイレクタは円盤面の法線方向となる。
前記重合性液晶化合物の分子を所望の配向状態とするため、および液晶性組成物の塗布性もしくは硬化性の良化のために、前記液晶性組成物は一種以上の添加成分を含んでいてもよい。
前記重合性液晶化合物(特に棒状液晶化合物)の分子をハイブリッド配向させるために、層の空気界面側の配向を制御し得る添加成分(以下、「空気界面配向制御剤」という)を添加してもよい。該添加成分として、フッ化アルキル基およびスルホニル基等の親水性基を有する低分子量もしくは高分子量の化合物が挙げられる。使用可能な空気界面配向制御剤の具体例には、特開2006−267171号公報等に記載の化合物が含まれる。
また、前記液晶性組成物を塗布液として調製し、塗布により前記光学異方性層を形成する場合は、塗布性の良化のために界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系化合物が好ましく、具体的には、例えば特開2001−330725号公報明細書中の段落番号[0028]〜[0056]記載の化合物が挙げられる。また市販の「メガファックF780」(大日本インキ製)などを用いてもよい。
また、前記液晶性組成物は、光重合開始剤を含有する。
また、本発明の光学補償フィルムの他の実施形態では、前記液晶性組成物において、前記光重合開始剤と、増感剤とを含有する構成とする。
前記光重合開始剤としては、前記添加剤について説明したように、該光重合開始剤における光の吸収が最大となる波長と、前記添加剤における光の吸収が最大となる波長とが15nm以上離れている材料が選択される。
前記波長の差としては、15nm以上であれば、特に制限はないが、25nm〜100nmが好ましく、30nm〜60nmがより好ましい。
前記波長の差が、15nm未満であると、透明支持体上に塗工した液晶組成物を光重合する際に照射する紫外線の吸収による発熱が大きく、液晶化合物の重合温度が不安定となり、100nmを超えると、光学異方性層の着色がなく、かつ、本発明の波長分散の条件を満たす透明支持体を有する光学補償フィルムを得られない。
前記光重合開始剤における光の吸収が最大となる波長としては、前記添加剤における光の吸収が最大となる波長に応じて適宜選択することができる。例えば、前記支持体中の波長分散を制御するための添加剤の光の吸収が最大となる波長が370nmであれば、前記光重合開始剤における光の吸収が最大となる波長が385nm以上、又は、355nm以下の波長の光を極大吸収波長とする光重合開始剤を選択することができる。
前記光重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ラジカル発生剤が好ましい。
前記ラジカル発生剤としては、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)、アセトフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ベンジル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物等が好ましい。アセトフェノン系化合物としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシメチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4'−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、p−ジメチルアミノアセトン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノン等が挙げられる。ベンジル系化合物としては、例えば、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。ベンゾインエーテル系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラーズケトン、4,4'−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンゾフェノン等が挙げられる。チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。このような芳香族ケトン類からなる感光性ラジカル重合開始剤の中でも、アセトフェノン系化合物およびベンジル系化合物が、硬化特性、保存安定性、臭気等の面で特に好ましい。これらの芳香族ケトン類からなる感光性ラジカル重合開始剤は、1種または2種以上のものを所望の性能に応じて配合して使用することができる。
これらの中でも、2-メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア−907)や特開2007−256651において化合物1として記載されている化合物などが好ましい。光重合開始剤は複数種を組み合わせてもよい。
前記光重合開始剤の液晶性組成物における含有量として、前記液晶性組成物の固形分含有量に対して、1.0質量%〜10.0質量%が好ましく、2.0質量%〜7.0質量%がより好ましく、3.0質量%〜5.0質量%が特に好ましい。
前記添加量が、1.0質量%未満であると、前記重合性液晶化合物のラジカル重合反応が十分でなく、耐久性を向上できないことがあり、10.0質量%を超えると、深層部での光透過率が低下するため重合性液晶化合物の深層部の硬度が高くならず好適な液晶性組成物が得られないことがある。また、高濃度の開始剤が液晶製化合物の配向を阻害することがある。
また、本発明の光学補償フィルムの他の実施形態では、感度を高める目的で、前記液晶性組成物において、前記光重合開始剤と、増感剤とを含有する構成とする。
この場合、前記増感剤における光の吸収が極大となる波長のうち前記化合物(添加剤)における光の吸収が最大となる波長に一番近い波長の光を照射して光重合させることとし、必ずしも、光重合開始剤における光の吸収が最大となる波長と、添加剤における光の吸収が最大となる波長とが15nm以上離れている必要はない。
即ち、前記増感剤としては、前記添加剤について説明したように、前記添加剤における光の吸収が最大となる波長と、前記添加剤における光の吸収が極大となる波長のうち前記化合物における光の吸収が最大となる波長に一番近い波長とが15nm以上離れている材料が選択され、光重合反応に供される。
前記波長の差としては、15nm以上であれば、特に制限はないが、25nm〜100nmが好ましく、30nm〜60nmがより好ましい。
前記波長の差が、15nm未満であると、透明支持体上に塗工した液晶組成物を光重合する際に照射する紫外線の吸収による発熱が大きく、前記重合性液晶化合物の重合温度が不安定となり、100nmを超えると、光学異方性層の着色がなく、かつ、本発明の波長分散の条件を満たす透明支持体を有する光学補償フィルムを得られない。
前記増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、およびチオキサントン等が挙げられる。これらの中でも、カヤキュア DETX 日本化薬(株)製や特開2002−372625号公報の実施例1に記載の生成物などが好ましい。
前記増感剤の液晶性組成物における含有量としては、前記増感剤および前記重合開始剤の合計が、前記液晶性組成物の固形分含有量に対して、1.0質量%〜10.0質量%が好ましく、3.0質量%〜7.0質量%がより好ましく、3.0質量%〜5.0質量%が特に好ましい。
前記添加量が、1.0質量%未満であると、前記重合性液晶化合物のラジカル重合反応が十分でなく、耐久性を向上できないことがあり、10.0質量%を超えると、深層部での光透過率が低下するため重合性液晶化合物の深層部の硬度が高くならず好適な液晶性組成物が得られないことがある。また、高濃度の開始剤が液晶製化合物の配向を阻害することがある。
前記重合性液晶化合物の重合のための光照射は紫外線を用いることが好ましい。
前記液晶性組成物は、重合性液晶化合物とは別に、非液晶性の重合性モノマーを含有していてもよい。重合性モノマーとしては、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有する化合物が好ましい。なお、重合性の反応性官能基数が2以上の多官能モノマー、例えば、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンアクリレートを用いると、耐久性が改善されるので好ましい。
前記非液晶性の重合性モノマーは、非液晶性成分であるので、その添加量が、前記重合性液晶化合物に対して15質量%を超えることはなく、0〜10質量%程度であるのが好ましい。
光学異方性層は、前記組成物を塗布液として調製し、該塗布液を、例えば、支持体となる透明支持体の上に形成された配向膜の表面に塗布し、乾燥して溶媒を除去するとともに、液晶化合物の分子を配向させ、その後、重合により硬化させて、形成することができる。利用可能な配向膜の例としては、ポリビニルアルコール膜やポリイミド膜等が挙げられる。
塗布方法としてはカーテンコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、印刷コーティング法、スプレーコーティング法、スロットコーティング法、ロールコーティング法、スライドコーテティング法、ブレードコーティング法、グラビアコーティング法、ワイヤーバー法等の公知の塗布方法が挙げられる。
塗膜を乾燥する際には、加熱してもよい。塗膜を乾燥して溶媒を除去すると同時に、塗膜中の液晶化合物の分子を配向させて、所望の配向状態を得る。
次に、紫外線照射等によって重合を進行させて、配向状態を固定化し、光学異方性層を形成する。
前記液晶性組成物に対して前記光重合開始剤における光の吸収が最大となる波長および/または前記増感剤における光の吸収が極大となる波長前記化合物(添加剤)における光の吸収が最大となる波長に一番近い波長の光を照射する手段としては、特に制限はなく、光照射器から照射される光をシャープカットフィルター、バンドパスフィルターなどの光遮光フィルターを通過させて前記液晶性組成物に照射させる手段が挙げられる。
前記光遮光フィルターを用いると、光照射器から前記液晶性組成物に向けて照射される光のうち、前記添加剤における光の吸収が最大となる波長を中心として少なくとも上下15nm未満の波長領域の光を遮光して、遮光されなかった波長領域の光を前記液晶性組成物に照射することができる。
更に、前記照射させる光としては、前記光重合開始剤を用いる構成、前記光重合開始剤と前記増感剤とを併用する他の構成において、光重合反応を開始させる波長の光であれば、前記添加剤における光の吸収が最大となる波長を中心として少なくとも上下15nm未満の波長領域の光を除き、用いることができ、必ずしも、前記光重合開始剤における光の吸収が最大となる波長および/または前記増感剤における光の吸収が極大となる波長前記化合物(添加剤)における光の吸収が最大となる波長に一番近い波長の光である必要はない。
このような波長の光としては、前記光重合において前記液晶性組成物に対して光が照射されることによる光学異方性層の膜面温度の上昇が30℃以内である光が用いられ、前記液晶性組成物における重合温度の安定性の観点からは、22℃以内が好ましく、18℃以内が特に好ましい。
前記光照射器から照射される光としては、電子線、紫外線、可視光線を必要に応じて用いることができるが、紫外線が好ましい。紫外線の光照射機としては前記遮光フィルターにより遮光されなかった波長いき前記開始剤および/または前記増感剤の吸収波長を含む光を照射するものであればよい。例えば、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)、およびショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)を挙げられる。
重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100mJ/cm2〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施するのが好ましい。
重合温度としては、特に制限はないが、60℃〜130℃が好ましく、70℃〜120℃がより好ましい。
重合温度が60℃に満たないと、前記重合性液晶化合物の配向状態が保たれず、130℃を超えると、前記重合性液晶化合物の配向状態が保たれない。
光学異方性層の厚さについては特に制限されないが、0.1〜10μmであるのが好ましく、0.5〜5μmであるのがより好ましい。
このようにして構成される本発明の光学補償フィルムは、前記添加剤における光の吸収が最大となる波長と、前記光重合開始剤における光の吸収が最大となる波長および/または前記添加剤における光の吸収が最大となる波長と、それよりも大きな波長であって、前記増感剤における光の吸収が最大となる波長とが15nm以上離れているため、前記光学異方性層の形成時に、前記透明支持体および前記液晶性組成物に対して照射される光のうち、前記光重合開始剤における光の吸収が最大となる波長を中心として少なくとも上下15nm未満の波長の光を遮光することで、前記液晶性組成物が安定性よく光重合反応が進行される。即ち、前記添加剤に吸収される光を遮光することで、前記透明支持体の光吸収に基づく発熱を低く抑えることができ、重合温度を前記光重合反応に適した温度に安定させることができる。
前記光学補償フィルムの構成例を図1を用いて説明する。
光学補償フィルム10は、透明支持体1と、配向膜2と、光学異方性層3とを有し、透明支持体1上に、配向膜2と光学異方性層3とがこの順で積層されている。
(偏光板)
−偏光板の特徴−
本発明は、本発明の光学補償フィルムと、偏光膜とを少なくとも有する偏光板にも関する。本発明の偏光板を液晶表示装置に組み込む際は、本発明の光学補償フィルムを液晶セル側にして配置するのが好ましい。また、前記透明支持体の表面と偏光膜の表面とを貼り合わせるのが好ましく、該透明支持体の面内遅相軸と、偏光膜の透過軸との交差角は、略0度として貼り合せるのが好ましい。厳密に0度である必要はなく、製造上許容される±5度程度の誤差は、本発明の効果に影響するものではなく、許容される。また、偏光膜の他方の面にも、セルロースアシレートフィルム等の保護フィルムが貼り合せられているのが好ましい。
図2に本発明の偏光板の一態様の断面模式図を示す。図2に示す偏光板15は、偏光膜13と、その表面に、偏光膜13を保護する、本発明の光学補償フィルム10と保護フィルム14とを有する。光学補償フィルム10の透明支持体12はポリマーフィルムからなり、その裏面、即ち、光学異方性層11が形成されていない側の表面と、偏光膜13の表面とが貼り合わされている。偏光板15を液晶表示装置に組み込む際は、光学補償フィルム10を液晶セル側にして配置する。なお、図中示さないが、図2の偏光板15は、他の機能層を有していてもよく、例えば、保護フィルム14の外側に、拡散層、防眩層等を配置してもよい。なお、図中17は、配向膜を示す。
以下、本発明の偏光板を構成する光学補償フィルム以外の部材について、それらの作製に使用可能な種々の材料とともに説明する。
−偏光板を構成するその他の部材−
−−偏光膜−−
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜があり、本発明にはいずれを使用してもよい。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
−−保護フィルム−−
偏光膜の他方の表面に貼合される保護フィルムには、透明なポリマーフィルムを用いることが好ましい。透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。保護フィルムとしては、セルロースアシレートフィルム、およびポリオレフィンを含むポリオレフィンフィルムが好ましい。セルロースアシレートフィルムの中でも、セルローストリアセテートフィルムが好ましい。また、ポリオレフィンフィルムの中でも、環状ポリオレフィンを含むポリノルボルネンフィルムが好ましい。
保護フィルムの厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。
−−光拡散フィルム−−
本発明の偏光板は、偏光膜の片側表面上に光拡散フィルムを有していてもよい。光拡散不フィルムは一層のフィルムであっても、また積層フィルムであってもよい。積層フィルムの態様の例としては、光透過性ポリマーフィルムの上に、光散乱層を有する光拡散フィルムが挙げられる。光拡散フィルムは、上下左右方向に視角を傾斜させたときの視野角改良に寄与するものであり、表示面側の偏光膜の外側に反射防止層を配置した態様において、特に高い効果を奏する。光拡散フィルム(またはその光散乱層)は微粒子をバインダー中に分散させた組成物から形成することができる。微粒子は無機微粒子であっても有機微粒子であってもよい。バインダーと微粒子とは、屈折率差が0.02〜0.20程度あるのが好ましい。また、前記光拡散フィルム(またはその光散乱層)は、ハードコート機能を兼ね備えていてもよい。本発明に利用可能な光拡散フィルムについては、例えば、光散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子の相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等が挙げられる。
−偏光板の作製方法−
本発明の偏光板は、長尺状の偏光板として製造することができる。例えば、透明支持体としてポリマーフィルムを用い、その表面に、所望により配向膜形成用塗布液を塗布して配向膜を形成し、引き続き、光学異方性層形成用塗布液を連続的に塗布して、乾燥により所望の配向状態とした後、光照射して配向状態を固定して光学異方性層を形成して、長尺状の本発明の光学フィルムを作製し、ロール状に巻き上げることができる。別途、長尺状の偏光膜、および保護フィルム用の長尺状のポリマーフィルムをロール状に巻き上げたものと、ロール・トゥー・ロールで貼り合せ、長尺状の偏光板として作製することができる。長尺状の偏光板は、例えば、ロール状に巻き上げられた状態で搬送および保管等され、液晶表示装置に組み込まれる際に、所定の大きさに裁断される。なお、本発明の偏光板は長尺状でなくても良く、ここに記載した作製方法は一例に過ぎない。
透明支持体用のフィルムを作製する際に、フィルムの搬送方向へ延伸すれば、偏光板作成時にロールツーロールの加工が可能となり、工程の簡略化、偏光膜の軸との貼り合わせ精度の向上等が達成できるため好ましい。
(液晶表示装置)
本発明の光学補償フィルムおよび偏光板は、種々のモードの液晶表示装置に用いることができる。また、透過型、反射型、および半透過型のいずれの液晶表示装置にも用いることができる。中でも、少なくとも一方に電極を有する対向配置された一対の基板と、該一対の基板間に挟持され、ネマチック液晶材料を含み、黒表示時に該ネマチック液晶材料の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して略垂直に配向する液晶表示装置、特に、ツイストネマチック(TN)モードの液晶表示装置に有効である。特に、本発明は、透過型ツイストネマチックモードモードの液晶表示装置の態様において特に有効である。
TNモードの液晶表示に用いる場合は、本発明の光学補償フィルムを2枚、液晶セルを中心に対称的な位置に配置するのが好ましく、また本発明の偏光板を、上下(視認側とバックライト側)の偏光板として液晶セルを中心として対称的な関係で配置するのが好ましい。TNモードの液晶セルの液晶層は、通常、厚さd(ミクロン)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dが0.1〜1.5μm程度である。
図3に、本発明の液晶表示装置の一実施形態であるTNモード液晶表示装置の断面模式図を示す。図3に示す液晶表示装置は、TNモード液晶セル16と、それを挟んで上下に、互いに対称的に配置された2枚の本発明の偏光板15とを有する。液晶セル16はネマチック液晶材料からなる液晶層を有し、液晶層は駆動電圧無印加時にはねじれ配向状態に、および駆動電圧印加時には基板面に対して垂直配向状態になるように構成されている。上下の偏光板15はその偏光膜13の透過軸を互いに直交にして配置されているので、駆動電圧無印加時に、下偏光板15の背後に配置されたバックライト(不図示)から液晶セル16に入射した直線偏光は、液晶層のねじれ配向に沿って90°回転し、上偏光板15の透過軸を通過して、白表示となる。一方、駆動電圧印加時には、液晶セル16に入射した直線偏光は、偏光状態を維持したまま通過するので、上偏光板15によって遮光され、黒表示となる。液晶セル16の上下に配置された、本発明の光学補償フィルム10は、黒表示時に斜め方向に生じる複屈折性を補償するとともに、中間調表示時における斜め横方向に生じる黄色味の軽減にも寄与する。
本発明の光学補償フィルムを有するTNモードの液晶表示装置は、広視野角であるとともに、中間調表示時の斜め横方向の黄色味付きが低いという特徴を有する。具体的には、本発明のTNモード液晶表示装置は、コントラスト10以上を実現する視野角(画面上下左右方向の視野角の合計)が320°以上を達成することが可能である。および図4に示す通り、画面表示面(xy面)の法線方向(z軸)を極角0°とし、y=0を軸として極角0°から60°まで表示面側に傾けた際の黄色味の変化(Δv’)が、0.03以下を達成することが可能である。
<測定法>
以下において、本発明における物性や光学的性質等を測定する方法を記載する。
(1)ReとRth
本明細書において、Re(λ)およびRth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーション(単位:nm)および厚さ方向のレターデーション(単位:nm)を表す。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(商品名、王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定した。
測定するフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)を算出する。
Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)フィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定したレターデーション値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基に、以下の数式(1)および数式(2)によりRthを算出することもできる。
式中、Re(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値を表す。nxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnxおよびnyに直交する方向の屈折率を表す。dはフィルムの膜厚を表す。
測定するフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)を算出する。
Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定したレターデーション値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を例示すると、セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRがnx、ny、nzを算出する。算出したnx、ny、nzによりNz=(nx−nz)/(nx−ny)をさらに算出することができる。
また、本明細書において、測定波長を特に付記しない場合は、波長550nmにおけるReおよびRthであるとする。また、本明細書において、光学特性等を示す数値や数値範囲については、液晶表示装置やそれに用いられる部材について一般的に許容される誤差を含む数値または数値範囲であると解釈されるものとする。
(2)ガラス転移温度
示差走査熱量測定装置(DSC)の測定パンにフィルムを20mg入れ、これを窒素気流中で10℃/分で30℃から120℃まで昇温し、15分間保持した後、30℃まで−20℃/分で冷却し、この後、再度30℃から250℃まで昇温し、ベースラインが低温側から偏奇し始める温度をガラス転移温度とした。
(3)融点
DSCの測定パンにフィルムを20mg入れ、これを窒素気流中で10℃/分で30℃から120℃まで昇温して15分保持した後、30℃まで−20℃/分で冷却し、さらにこの後、再度30℃から300℃まで昇温した際に、観測された吸熱ピークの開始温度を融点とした。融点は前述のガラス転移温度よりも高温側に現れる。
(4)結晶化温度
DSCの測定パンにフィルムを20mg入れ、これを窒素気流中で10℃/分で30℃から120℃まで昇温して15分保持した後、30℃まで−20℃/分で冷却し、さらにこの後、再度30℃から300℃まで昇温した際に、観測された発熱ピークの開始温度を結晶化温度とした。通常、ガラス転移温度よりも高温側に現れる。
(5)透湿度
塩化カルシウムを入れたカップをフィルムを用いて蓋をし、且つ密閉したものを、40℃・相対湿度90%の条件で24時間放置した際の調湿前後の質量変化(g/(m2・day))から評価した値である。なお、透湿度は、温度の上昇に伴い上昇し、また、湿度の上昇に伴い上昇するが、各条件によらず、フィルム間における透湿度の大小関係は不変である。そのため、本発明においては40℃・相対湿度90%における前記質量変化の値を基準とする。また、透湿度は膜厚の上昇に伴い低下し、膜厚の低下に伴い上昇するため、まず実測した透湿度に実測した膜厚を乗じて測定することができる。例えば、膜厚が80μmであれば、実測値を80で割った値を膜厚80μm換算の透湿度とすることができる。
(6)置換度
セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって置換度を得ることができる。測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
(実施例1)
(1)透明支持体用のセルロースアシレートフィルムの作製
(1−1)原反フィルムの作製
吸収が最大となる波長が300nm〜380nmである化合物を有する添加剤として、吸収極大を370nmにもつ添加剤(化合物AB−1)を含む下記の組成のセルロースアシレート溶液Aを、バンド流延機を用いて流延した。残留溶媒量約60%でフィルムをバンドから剥離してテンターによって搬送し、110℃で5分、さらに140℃で10分乾燥して、セルロースアシレートの膜厚80μmの原反フィルムを得た。このフィルムのTgは140℃であった。
(1−2)延伸工程
ロール延伸機を用いて縦一軸延伸処理を実施した。延伸条件を下記に示す。ロール延伸機のロールは表面を鏡面処理した誘導発熱ジャケットロールを用い、各ロールの温度は個別に調整できるようにした。延伸倍率は、下流側のニップロールの周速と上流側のニップロールの周速との比を調整することで制御した。縦横比(ニップロール間の距離/ベース入口幅)は0.5となるように調整し、延伸速度は延伸間距離に対して10%/分とした。延伸倍率は21%、温度は150℃設定とした。
フィルムの延伸倍率(%)は、フィルムの搬送方向と直交する方向に一定間隔の標線を入れ、その間隔を熱処理前後で計測し、下記式(1)から求めた。後述する実施例および比較例でも同じ方法によりフィルムの延伸倍率を求めた。
(1−3)熱処理工程
フィルム幅方向の両端をテンタークリップで把持し、一方の端部を把持したテンタークリップと他方の端部を把持したテンタークリップとの間の距離を制御しながら幅方向の寸法変化が起こらないようにセルロースアシレートフィルムを熱処理した。
加熱ゾーンは200℃とし、10分間でフィルムを通過させセルロースアシレートフィルムを得た。
上記で得られたセルロースアシレートフィルムの厚さは、75μm、Re(550)は、80nm、Rth(550)は、60nmであり、波長分散は、以下の通りであった。
Re(450)−Re(550)=−17nm
Rth(450)−Rth(550)=34nm
(2)配向膜の形成
(2−1)セルロースアシレートフィルムの鹸化処理
上記で得られたセルロースアシレートフィルムを温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した後に、下記に示す組成のアルカリ溶液をバーコーターを用いて14mL/mで塗布し、110℃に加熱したスチーム式遠赤外線ヒーター((株)ノリタケカンパニー製)の下に10秒滞留させた後に、同じくバーコーターを用いて純水を3mL/m塗布した。この時のフィルム温度は40℃であった。次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返した後に70℃の乾燥ゾーンに2秒滞留させて乾燥した。
(2−2)配向膜形成
鹸化したセルロースアシレートフィルムの鹸化処理面に、下記の組成の配向膜形成用塗布液を#14のワイヤーバーコーターで24mL/m塗布し、100℃の温風で120秒乾燥した。配向膜の厚さは0.8μmであった。次に、フィルムの長手方向(搬送方向)を0°とし、0°方向に、形成した膜にラビング処理を実施した。
(3)光学異方性層の形成
上記配向膜のラビング処理面に、下記に示す組成の光学異方性層形成用塗布液1をワイヤーバーで塗布した。その後、130℃の恒温槽中で120秒間加熱し、円盤状液晶化合物を配向させた。次に、80℃にフィルム温度を保った状態で、120W/cmのメタルハライドランプとフィルムの間に光を透過させる波長領域の中心が345nmで半値幅が10nmのバンドパスフィルターを設け、前記フィルターを透過した放射線を40秒照射し重合反応を進行させて、配向状態を固定し、光学異方性層を形成し、室温まで放冷した。光重合開始剤として用いた特開2007−256651号公報において化合物1として記載されている化合物における光の吸収が最大となる波長は345nmである。
このようにして、実施例1における、透明支持体上に、配向膜と光学異方性層とを有する光学補償フィルムを作製した。得られた光学補償フィルムの光学異方性層のみをガラス板に転写してKOBRA 21ADHにて測定波長550nmでの光学特性を測定した。光学補償フィルムは10枚作製し、フィルムの法線方向から測定したレターデーション値Reの平均と標準偏差σを表2に示す。
〔特開2007−256651号公報において化合物1として記載されている化合物〕
ただし、Yは、Clを示す。
〔フルオロ脂肪族基含有ポリマー1 [a/b/c=25/25/50(質量比)]〕
〔フルオロ脂肪族基含有ポリマー2 [a/b=98/2(質量比)]〕
膜厚は、Reの中心値が28nmとなるように調整した。このときの光学異方性層の厚みは1.0μmであった。
(4)偏光板の作製
厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、ヨウ素濃度0.05質量%のヨウ素水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4質量%濃度のホウ酸水溶液中に60秒浸漬している間に元の長さの5倍に縦延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ20μmの偏光膜を得た。
作製した光学補償フィルムのセルロースアシレートフィルム側の露出面(光学異方性層が形成されていない側の表面)を1.5モル/Lで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、0.005モル/Lで35℃の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬して希硫酸水溶液を十分に洗い流し、最後に120℃で十分に乾燥させた。
前記のように鹸化処理を行った光学補償フィルムを、同じく鹸化処理を行った市販のセルロースアセテートフィルムと組合せて前記の偏光膜を挟むようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて、鹸化処理面を偏光板を得た。ここで市販のセルロースアセテートフィルムとしてはフジタックTF80UL(富士フイルム(株)製)を用いた。
(5)TNモード液晶表示装置の作製
TNモード液晶セルを使用した液晶表示装置(AL2216W、日本エイサー(株)製)に設けられている一対の偏光板を剥がし、代わりに上記(4)で作製した偏光板を、光学異方性層が液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。このとき、観察者側の偏光板の吸収軸と、バックライト側の偏光板の吸収軸とが直交するように配置した。この様にして、TNモード液晶表示装置を作製した。
(実施例2)
実施例1における光学異方性層の形成において、メタルハライドランプとフィルムの間に設けたフィルターをバンドパスフィルターから385nm未満の光を遮光するシャープカットフィルター変えたこと、光重合開始剤として特開2007−256651において化合物1として記載されている化合物をイルガキュア907、チバ・ジャパン(株)製に変えたこと、および増感剤としてカヤキュアDETX、日本化薬(株)製を0.45質量部添加したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2における光学補償フィルム、偏光板、及びTNモード液晶表示装置を作製した。光重合開始剤として用いたイルガキュア907、チバ・ジャパン(株)製における光の吸収が最大となる波長は306nmであり、増感剤として用いたカヤキュアDETX、日本化薬(株)製における光の吸収が最大となる波長は385nmである。
(実施例3)
実施例1における光学異方性層の形成工程を以下の様に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3における光学補償フィルム、偏光板、及びTNモード液晶表示装置を作製した。
即ち、実施例1の配向膜のラビング処理面に、下記組成の光学異方性層形成用塗布液2を塗布して、110℃で90秒間加熱し円盤状化合物を配向させた。その後、80℃にフィルム温度を保った状態で120W/cmのメタルハライドランプとフィルムの間に光を透過させる波長領域の中心が345nmで半値幅が10nmのバンドパスフィルターを設け、前記フィルターを透過した放射線を40秒照射し重合反応を進行させて、配向状態を固定し、光学異方性層を形成し、室温まで放冷した。得られた光学補償フィルムの光学異方性層のみをガラス板に転写してKOBRA 21ADHにて測定波長550nmでの光学特性を測定した。光学補償フィルムは10枚作製し、フィルムの法線方向から測定したレターデーション値Reの平均と標準偏差σを表2に示す。
なお、第1液晶性化合物と第2液晶性化合物は、前記化合物(1)〜(4)の組み合わせを示す下表1のNo.1のように組み合わせて光学異方性層を作製した。膜厚は、Reの中心値が28nmとなるように調整した。このとき光学異方性層の厚みは0.8μmであった。
その後、実施例1と同じ方法によって、実施例3における偏光板とTNモード液晶表示装置とを作製した。
〔空気界面配向制御剤1[a/b=32.5/67.5(質量比)]〕
〔空気界面配向制御剤2[a/b/c=32.5/17.0/50.5(質量比)]〕
(実施例4)
実施例3における光学異方性層の形成において、メタルハライドランプとフィルムの間に設けたフィルターをバンドパスフィルターから385nm未満の光を遮光するシャープカットフィルター変えたこと、光重合開始剤として特開2007−256651において化合物1として記載されている化合物をイルガキュア907、チバ・ジャパン(株)製に変えたこと、および増感剤としてカヤキュアDETX、日本化薬(株)製を1.00質量部添加したこと以外は、実施例3と同様にして、実施例4における光学補償フィルム、偏光板、及びTNモード液晶表示装置を作製した。
(実施例5〜8)
実施例4において、第1の液晶性化合物と第2の液晶化合物との組み合わせを、上記表1に示すNo.1からNo.2〜5に変えて光学異方性層を作製したこと以外は、実施例4と同様にして、実施例5〜8における光学補償フィルム、偏光板、及びTNモード液晶表示装置を作製した。なお、光学異方性層の厚みは、実施例5において、0.8μm、実施例6において、0.8μm、実施例7において、0.7μm、実施例8において、0.7μmであった。
(実施例9)
実施例4における光学異方性層の形成において、メタルハライドランプとフィルムの間に設けたフィルターをシャープカットフィルターから光を透過させる波長領域の中心が345nmで半値幅が10nmのバンドパスフィルターに変えたこと、増感剤として、カヤキュアDETX、日本化薬(株)製を特開2002−372625において増感剤Bとして記載されている化合物に変えたこと以外は、実施例4と同様にして、実施例9における光学補償フィルム、偏光板、及びTNモード液晶表示装置を作製した。増感剤として用いた特開2007−219193号公報において増感剤Bとして記載されている化合物における光の吸収が最大となる波長は348nmである。
〔特開2007−219193号公報において増感剤Bとして記載されている化合物〕
(実施例10)
実施例2における光学異方性層の形成において、シャープカットフィルターが遮光する光の波長を385nm未満から400nm未満に変えたこと以外は、実施例2と同様にして、実施例10における光学補償フィルム、偏光板、及びTNモード液晶表示装置を作製した。
(実施例11)
実施例4における光学異方性層の形成において、メタルハライドランプとフィルムの間に設けたフィルターを、シャープカットフィルターから光を透過させる波長領域の中心が400nmで半値幅が10nmのバンドパスフィルターに変えたこと以外は、実施例4と同様にして、実施例11における光学補償フィルム、偏光板、及びTNモード液晶表示装置を作製した。
(実施例12)
実施例2における光学異方性層の形成において、光重合開始剤として、イルガキュア907、チバ・ジャパン(株)製を特開2007−219193号公報においてA−10として記載されている化合物に変えたこと以外は、実施例2と同様にして、実施例12における光学補償フィルム、偏光板、及びTNモード液晶表示装置を作製した。光重合開始剤として用いた特開2007−219193号公報においてA−10として記載されている化合物における光の吸収が最大となる波長は360nmである。
なお、光学異方性層の膜厚は、面内レターデーション値Reが28nmとなるように調製した。このときの層の厚みは1.4μmであった。
〔特開2007−219193号公報においてA−10として記載されている化合物〕
(実施例13)
実施例3における透明支持体の形成において、吸収が最大となる波長が300nm〜380nmである化合物として、化合物AB−1(吸収最大波長370nm)7.5質量部を、吸収極大(吸収最大波長)を375nmに有する化合物AD−1、3.0質量部に変更してセルロースアシレートフィルムを作製したこと以外は、実施例3と同様にして、実施例13における光学補償フィルム、偏光板、及びTNモード液晶表示装置を作製した。
なお、セルロースアシレートフィルムの厚さは、75μm、Re(550)は、80nm、Rth(550)は、60nmであり、波長分散は、以下の通りであった。
Re(450)−Re(550)=−42nm
Rth(450)−Rth(550)=45nm
また、光学異方性層の膜厚は、面内レターデーション値Reが28nmとなるように調整した。このときの層の厚みは0.8μmであった。
(実施例14)
実施例1において、吸収が最大となる波長が300nm〜380nmである化合物として、化合物AB−1(吸収最大波長370nm)7.5質量部を、吸収極大(吸収最大波長)を375nmに有する化合物AD−1、3.0質量部に変更してセルロースアシレートフィルムを作製したこと、並びに、光重合開始剤として特開2007−256651号公報において化合物1として記載されている化合物に代えて、特開2007−219193号公報においてA−10として記載されている化合物(吸収最大波長360nm)を用いて光学異方性層を形成したこと、及び、メタルハライドランプとフィルムの間に設けたフィルターを光を透過させる波長領域の中心が360nmで半値幅が10nmのバンドパスフィルターに変えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例14における光学補償フィルム、偏光板、及びTNモード液晶表示装置を作製した。
なお、セルロースアシレートフィルムの厚さは、75μm、Re(550)は、80nm、Rth(550)は、60nmであり、波長分散は、以下の通りであった。
Re(450)−Re(550)=−42nm
Rth(450)−Rth(550)=45nm
(比較例1)
実施例1における光学異方性層の形成において、メタルハライドランプとフィルムの間に設けたフィルターを光を透過させる波長領域の中心が360nmで半値幅が10nmのバンドパスフィルターに変えたこと、及び光重合開始剤として特開2007−256651において化合物1として記載されている化合物を特開2007−219193においてA−10として記載されている化合物に変えたこと、以外は、実施例1と同様にして、比較例1の光学補償フィルム、偏光板、及びTNモード液晶表示装置を作製した。光重合開始剤として用いた特開2007−219193においてA−10として記載されている化合物における光の吸収が最大となる波長は360nmである。
なお、光学異方性層の膜厚は、面内レターデーション値Reが28nmとなるように調整した。このときの層の厚みは1.4μmであった。
(比較例2)
実施例2における光学異方性層の形成において、メタルハライドランプとフィルムの間に設けたフィルターを380nm未満の光を遮光するシャープカットフィルター変えたこと、及び増感剤としてカヤキュアDETX、日本化薬(株)製をカヤチュアITX、日本化薬(株)製に変えたこと以外は、実施例2と同様にして、比較例2における光学補償フィルム、偏光板、及びTNモード液晶表示装置を作製した。増感剤として用いたカヤチュアITX、日本化薬(株)製における光の吸収が極大となる波長のうち370nmに最も近い波長は380nmである。
なお、光学異方性層の膜厚は、面内レターデーション値Reが28nmとなるように調整した。このときの層の厚みは1.4μmであった。
(評価)
実施例1〜14及び比較例1〜2で作製した光学補償フィルム、液晶表示装置について、以下の評価を行った。結果を下記表2に示す。
(1)視野角コントラストのバラツキ評価
作製した液晶表示装置について、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)〜白表示(L8)までで視野角を測定した。表示面の法線方向を0°とし60°の角度を保ちながら、上下左右および斜め45°、135°、225°、315°方向で、コントラスト比(白透過率/黒透過率)の平均値の標準偏差を求めた。以下の基準で評価した。
◎: 5未満
○: 5以上、10未満
△: 10以上、15未満
×: 15以上
(2)膜面温度の上昇の測定
光学補償フィルムに関し、光学異方性層を形成する際に、光学異方性層形成用塗布膜に光(紫外光)を照射する前と照射した後の膜面温度の上昇を、非接触型温度測定装置(IR−BAT1A チノー社製)を用いて測定した。結果を下記表2に示す。
表2の結果から明らかなように、本発明の条件を満たす実施例1〜14の光学補償フィルムはReのバラツキが小さく、これらを用いて作製したTNモード液晶表示装置は、コントラスト視野角のバラツキが小さい。
本発明の光学補償フィルム、該光学補償フィルムを有する偏光板、及び該偏光板を有する液晶表示装置は、携帯電話、パソコン用モニタ、テレビ、液晶プロジェクタなどに好適に用いられる。
10 光学補償フィルム
11 光学異方性層
12 透明支持体
13 偏光膜
14 保護フィルム
15 偏光板
16 液晶セル
17 配向膜

Claims (10)

  1. 光の吸収が最大となる波長が300nm〜380nmである化合物を含有する透明支持体上に、少なくとも、光重合開始剤と重合性液晶化合物とを含有する液晶性組成物を光重合により硬化させて形成される光学異方性層を有する光学補償フィルムであって、
    前記光重合開始剤における光の吸収が最大となる波長と、前記化合物における光の吸収が最大となる波長とが15nm以上離れていることを特徴とする光学補償フィルム。
  2. 光の吸収が最大となる波長が300nm〜380nmである化合物を含有する透明支持体上に、少なくとも、光重合開始剤と増感剤と重合性液晶化合物とを含有する液晶性組成物を光重合により硬化させて形成される光学異方性層を有する光学補償フィルムであって、
    前記化合物における光の吸収が最大となる波長と、前記増感剤における光の吸収が極大となる波長のうち前記化合物における光の吸収が最大となる波長に一番近い波長とが15nm以上離れていることを特徴とする光学補償フィルム。
  3. 透明支持体が、下記の式(a)及び式(b)の関係を満たす請求項1から2のいずれかに記載の光学補償フィルム。
    Re(450)−Re(550) < −3nm (a)
    Rth(450)−Rth(550) > 3nm (b)
    (ただし、上記式(a)において、Re(450)は、波長450nmにおける面内レターデーションを表し、Re(550)は、波長550nmにおける面内レターデーションを表す。また、上記式(b)において、Rth(450)は、波長450nmにおける厚さ方向のレターデーションを表し、Rth(550)は、波長550nmにおける厚さ方向のレターデーションを表す。)
  4. 透明支持体上に、配向膜と光学異方性層とをこの順で有する請求項1から3のいずれかに記載の光学補償フィルム。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の光学補償フィルムと、偏向膜とを有することを特徴とする偏光板。
  6. 請求項5に記載の偏光板を有することを特徴とする液晶表示装置。
  7. 光の吸収が最大となる波長が300nm〜380nmである化合物を含有する透明支持体上に、少なくとも、光重合開始剤と重合性液晶化合物とを含有する液晶性組成物を光重合により硬化させて形成される光学異方性層を有する光学補償フィルムの製造方法であって、
    前記光重合開始剤における光の吸収が最大となる波長と、前記化合物における光の吸収が最大となる波長とが15nm以上離れており、前記光重合において前記液晶性組成物に対して光が照射されることによる光学異方性層の膜面温度の上昇が30℃以内であることを特徴とする光学補償フィルムの製造方法。
  8. 光重合において、透明支持体及び液晶性組成物に対して照射される光のうち、化合物における光の吸収が最大となる波長を中心として少なくとも上下15nm未満の波長の光を遮光し、前記光重合開始剤を励起させ光学異方性層を形成する請求項7に記載の光学補償フィルムの製造方法。
  9. 光の吸収が最大となる波長が300nm〜380nmである化合物を含有する透明支持体上に、少なくとも、光重合開始剤と増感剤と重合性液晶化合物とを含有する液晶性組成物を光重合により硬化させて形成される光学異方性層を有する光学補償フィルムであって、
    前記化合物における光の吸収が最大となる波長と、前記増感剤における光の吸収が極大となる波長のうち前記化合物における光の吸収が最大となる波長に一番近い波長とが15nm以上離れており、前記光重合において前記液晶性化合物に対して光が照射されることによる光学異方性層の膜面温度の上昇が30℃以内であることを特徴とする光学補償フィルムの製造方法。
  10. 光重合において、透明支持体及び液晶性組成物に対して照射される光のうち、化合物における光の吸収が最大となる波長を中心として少なくとも上下15nm未満の波長の光を遮光し、前記増感剤を励起させ光学異方性層を形成することを特徴とする請求項9に記載の光学補償フィルムの製造方法。
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