JP2014145852A - 光学フィルム、円偏光板および画像表示装置 - Google Patents

光学フィルム、円偏光板および画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高い位相差と、良好な逆波長分散性とを有し、かつ紫外線照射時の熱収縮を抑制しうる光学フィルムおよびそれを含む円偏光板を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂と、下記一般式(1)で表され、かつ溶液の紫外可視吸収スペクトルにおいて300〜360nmの範囲に吸収ピークを有する波長分散調整剤とを含む光学フィルムであって、前記光学フィルムの面内の遅相軸方向が、フィルムの幅方向に対して斜めであり、式(a)〜(c)を満たし、波長380nmにおける透過率が20〜90%である、光学フィルム。(a)110nm≦R0(550)≦170nm、(b)0.72≦R0(450)/R0(550)≦1.00、(c)0.83≦R0(550)/R0(650)≦1.00。一般式(1)
Figure 2014145852

【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルム、円偏光板および画像表示装置に関する。
λ/4位相差フィルムは、直線偏光を円偏光や楕円偏光に変換、もしくは円偏光や楕円偏光を直線偏光に変換することが可能である。このようなλ/4位相差フィルムは、画像表示装置や光ピックアップ装置などにおける様々な光学用途に広く用いられている。
光ピックアップ装置のように特定波長のレーザー光源を用いる光学装置に使用される位相差フィルムは、特定波長の光のみに対して1/4波長の位相差(以下、レターデーションとも称する)を付与できればよい。しかしながら、画像表示装置(有機ELディスプレイなどを含む)の反射防止膜(円偏光板)を構成する位相差フィルムは、可視光全域の光に対して1/4波長の位相差を付与することが求められる。従って、画像表示装置に用いられるλ/4位相差フィルムは、長波長の光に対して付与する位相差が、短波長の光に対して付与する位相差よりも大きい負の波長分散性(逆波長分散性)を有することが求められる。
λ/4の位相差を有し、負の波長分散性を示す位相差フィルムとして、特定のアセチル化度を有するセルロースアセテートからなる延伸フィルムが提案されている(例えば特許文献1)。しかしながら、フィルムの主成分となるセルロースアセテートなどの樹脂のみによって、位相差と波長分散性を調整したフィルムは、湿度や温度、外圧などわずかな環境変化により大きく光学特性が変動しやすいという問題があった。
これに対し、波長分散の調整機能を有する位相差上昇剤を含み、λ/4の位相差を有し、負の波長分散性を示す位相差フィルムが提案されている(例えば特許文献2)。このように、添加剤を添加して位相差と波長分散性を調整することで、上述のような環境変化による光学特性の変動をある程度抑制できる。
ところで、偏光子と、λ/4位相差フィルムとを含む円偏光板では、偏光子の吸収軸とλ/4位相差フィルムの遅相軸とが約45度の角度となるように積層されている必要がある。通常、偏光子となる偏光フィルムは、色素で着色されたポリビニルアルコールを長尺方向に高倍率延伸して得られるため、長尺方向に平行な吸収軸を有する。一方、位相差フィルムは、通常、樹脂フィルムを長尺方向または幅手方向に延伸して樹脂や添加剤の分子を配向させて位相差を調整して得られるため、長尺方向または幅手方向に平行な遅相軸を有する。そのため、従来は、長尺状の偏光子フィルムと長尺状のλ/4位相差フィルムから、それぞれ適切な大きさにフィルムを切り出して、斜めに貼り合わせて円偏光板を得ている(バッチ方式)。しかしながら、バッチ方式では、生産性が低く、切り屑等のロスも多いため、特に大型のディスプレイ等に用いる円偏光板を製造する場合に改善が求められていた。
これに対し、樹脂フィルムを、フィルムの長尺方向(または幅方向)に対して斜め方向(0°でも90°でもない方向)に延伸して、フィルムの長尺方向(または幅方向)に対して斜め方向に遅相軸を有する長尺状の位相差フィルムの製造方法が提案されている(例えば特許文献3)。このように、遅相軸が斜め方向である延伸フィルムを用いることで、従来のバッチ式での貼り合わせではなく、ロール・トウ・ロールでの貼り合わせることで、長尺状の円偏光板を製造でき、生産性が飛躍的に向上する。
ところで、円偏光板は、通常、λ/4位相差フィルムと偏光子フィルムとを接着剤を介して貼り合わせて製造される。貼り合わせに用いられる接着剤は、例えばセルロースエステルを主成分とする位相差フィルムの場合、ポリビニルアルコール等の水系接着剤が用いられている。近年では、円偏光板の水ムラを抑制し、生産性を高める観点などから、活性エネルギー線硬化型接着剤を用いる方法が提案されている(例えば特許文献4)。このように、位相差フィルムには、水系接着剤と活性エネルギー線硬化型接着剤のどちらを用いても、偏光子フィルムと接着できることが求められている。
特開2000−137116号公報 国際公開第2000/065384号公報 特開2010−173261号公報 特開2009−193047号公報
しかしながら、セルロースエステルと、波長分散調整機能を有する位相差上昇剤とを含む斜め延伸フィルムと、偏光子フィルムとを紫外線硬化型接着剤を介して貼り合わせた円偏光板は、それを反射防止膜として含む有機EL表示装置のコントラストを低下させたり、色変動を生じさせたりするという問題があった。
本発明者らは、鋭意検討の結果、有機EL表示装置のコントラストの低下や色変動は、円偏光板を構成する位相差フィルムが収縮して、位相差や波長分散性が変動することによって生じることを見出した。そして、位相差フィルムの収縮は、円偏光板の製造工程において、活性エネルギー線硬化型接着剤を硬化させるための紫外線照射により、位相差フィルムに含まれる波長分散調整剤が紫外線を吸収して熱を発生し;その熱によって生じることを見出した。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、高い位相差と、良好な逆波長分散性とを有し、かつ紫外線照射時の熱収縮を抑制しうる光学フィルムおよびそれを含む円偏光板を提供することを目的とする。また、本発明は、上記光学フィルムを含み、コントラストの低下が抑制され、色変動の少ない画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、吸収ピークが300〜360nmの範囲に調整された波長分散調整剤を含み、かつ380nmにおける透過率が20〜90%である斜め延伸フィルムは、面内方向の位相差が高く、良好な耐光性や波長分散性を示し、かつ紫外線照射時の位相差変動を生じにくいことを見出した。それにより、当該斜め延伸フィルムを含む画像表示装置は、コントラストの低下や色変動などが少なく、耐光性にも優れることを見出し、本発明に至った。即ち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
[1] 熱可塑性樹脂と、下記一般式(1)で表され、かつ溶液の紫外可視吸収スペクトルにおいて300〜360nmの範囲に吸収ピークを有する波長分散調整剤とを含む光学フィルムであって、前記光学フィルムの面内の遅相軸方向が、フィルムの幅方向に対して斜めであり、波長450nm、550nmおよび650nmで測定される面内方向のリターデーション値をそれぞれR0(450)、R0(550)およびR0(650)としたとき、式(a)〜(c)を満たし、波長380nmにおける透過率が20〜90%である、光学フィルム。
(a)110nm≦R0(550)≦170nm
(b)0.72≦R0(450)/R0(550)≦1.00
(c)0.83≦R0(550)/R0(650)≦1.00
一般式(1)
Figure 2014145852
(一般式(1)中、
Aは、芳香族炭化水素環、非芳香族炭化水素環、芳香族複素環または非芳香族複素環を表し;
およびLは、それぞれ独立に単結合または−R−O−、−O−R−、−O−C(=O)−R−、−C(=O)−O−R−(Rは、フェニレン基、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基を示す)、−O−、−(C=O)−、−(C=S)−、−(C=O)−O−、−NR−、−S−、−SO−、−(C=O)−NR−および−NR−(C=O)−(Rは、水素原子またはアルキレン基を表す)からなる群より選ばれる2価の連結基またはそれらの組合せを表し;
およびRは、それぞれ独立にアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−(R)n−(Rは、シクロアルキレン基を示し、nは1〜4の整数を示す)、−(OR)n−(Rは、アルキレン基を示し、nは1〜4の整数を示す)、フェニレン基、ヘテロアルキレン基またはヘテロアリ−レン基を表し;
およびRは、水素原子または置換基を表し;
は、置換基を表し;
kは、0〜4の整数を表し;
複数のRは、互いに結合して環を形成してもよい)
[2] 前記一般式(1)で表される波長分散調整剤が、下記一般式(2)で表される化合物である、[1]に記載の光学フィルム。
一般式(2)
Figure 2014145852
(一般式(2)中、
21およびL22は、それぞれ独立に単結合または−R−O−、−O−R−、−O−C(=O)−R−、−C(=O)−O−R−(Rは、フェニレン基、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基を示す)、−O−、−(C=O)−、−(C=S)−、−(C=O)−O−、−NR−、−S−、−SO−、−(C=O)−NR−および−NR−(C=O)−(Rは、水素原子またはアルキレン基を表す)からなる群より選ばれる2価の連結基またはそれらの組合せを表し;
22およびR23は、それぞれ独立にアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−(R)n−(Rは、シクロアルキレン基を示し、nは1〜4の整数を示す)、−(OR)n−(Rは、アルキレン基を示し、nは1〜4の整数を示す)、フェニレン基、ヘテロアルキレン基またはヘテロアリ−レン基を表し;
24およびR25は、水素原子または置換基を表し;
21は、−(C=O)Rp、−(C=O)−O−Rp、−O−(C=O)−Rp、−(C=O)−S−Rp、−S−(C=O)−Rp(Rpは、アルキル基またはアリール基を示す)、−C(=O)−NRq(Rqは、アルキル基を表す)、アリール基、ヘテロアリール基、または前記R21が結合するベンゼン環と縮合した2,5−ジオン−ピロリジン環を表し;
は、1〜4の整数を表す)
[3] 前記一般式(1)で表される波長分散調整剤が、下記一般式(3)で表される化合物である、[1]に記載の光学フィルム。
一般式(3)
Figure 2014145852
(一般式(3)中、
31およびL32は、それぞれ独立に単結合または−R−O−、−O−R−、−O−C(=O)−R−、−C(=O)−O−R−(Rは、フェニレン基、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基を示す)、−O−、−(C=O)−、−(C=S)−、−(C=O)−O−、−NR−、−S−、−SO−および−(C=O)−NR−、−NR−(C=O)−(Rは、水素原子またはアルキレン基を表す)からなる群より選ばれる2価の連結基またはそれらの組合せを表し;
33およびR34は、それぞれ独立にアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−(R)n−(Rは、シクロアルキレン基を示し、nは1〜4の整数を示す)、−(OR)n−(Rは、アルキレン基を示し、nは1〜4の整数を示す)、フェニレン基、ヘテロアルキレン基またはヘテロアリ−レン基を表し;
36およびR37は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し;
31およびR32は、それぞれ独立に水素原子または−(C=O)−O−Rt(Rtは、アルキル基、オキシアルキレン基またはアリール基を示す)、−C(=O)−Rv(Rvは、アルキル基またはアリール基を示す)、−C(=O)−NRwRx(Rwは、水素原子またはアルキル基を示し;Rxは、アルキル基を示す)、シアノ基またはハロゲン原子を表し;R31とR32は、互いに結合して環を形成してもよく;
35は、置換基を表し;
は、0〜3の整数を表す)
[4] 前記一般式(1)で表される波長分散調整剤が、下記一般式(4)で表される化合物である、[1]に記載の光学フィルム。
一般式(4)
Figure 2014145852
(一般式(4)中、
およびBは、それぞれ独立に−O−、−NR−(Rは、水素原子または置換基を示す)、−S−、−S(=O)−および−C(=O)−からなる群から選ばれる2価の基を表し;
破線部は、単結合または二重結合を表し;
41およびL42は、それぞれ独立に単結合または−R−O−、−O−R−、−O−C(=O)−R−、−C(=O)−O−R−(Rは、フェニレン基、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基を示す)、−O−、−(C=O)−、−(C=S)−、−(C=O)−O−、−NR−、−S−、−SO−、−(C=O)−NR−および−NR−(C=O)−(Rは、水素原子またはアルキレン基を表す)からなる群より選ばれる2価の連結基またはそれらの組合せを表し;
42およびR43は、それぞれ独立にアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−(R)n−(Rは、シクロアルキレン基を示し、nは1〜4の整数を示す)、−(OR)n−(Rは、アルキレン基を示し、nは1〜4の整数を示す)、フェニレン基、ヘテロアルキレン基またはヘテロアリ−レン基を表し;
45およびR46は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し;
41は、=R411412またはアリール基を表し;
=R411412におけるR411およびR412は、それぞれ独立にシアノ基または−C(=O)−O−R(Rは、アルキル基またはアリール基を示す)を表し;
44は、置換基を表し;
は、0〜2の整数を表し;jが2である場合、2つのR44は互いに結合して環を形成してもよい)
[5] 380nmにおける透過率が、40〜85%の範囲内である、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の光学フィルム。
[6] 前記熱可塑性樹脂が、セルロースエステルである、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の光学フィルム。
[7] 前記セルロースエステルの、アセチル基置換度Xおよびプロピオニル基またはブチリル基の合計置換度Yが、下記式を満たす、[6]に記載の光学フィルム。
式(I) 1.5≦X+Y≦2.6
式(II) 0≦Y≦1.5
[8] 膜厚が20〜45μmの範囲内である、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の光学フィルム。
[9] 前記一般式(1)で表される波長分散調整剤の含有量が、前記熱可塑性樹脂100重量部に対して1〜30重量部である、[1]〜[8]のいずれか一項に記載の光学フィルム。
[10] 前記光学フィルムの面内の遅相軸と、前記光学フィルムの幅方向とのなす角度が40°以上50°以下である、[1]〜[9]のいずれか一項に記載の光学フィルム。
[11] 偏光子と、[1]〜[10]のいずれか一項に記載の光学フィルムとを含む、円偏光板。
[12] 前記偏光子と前記光学フィルムとは、活性エネルギー線接着剤の硬化物層を介して接着されている、[11]に記載の円偏光板。
[13] [11]または[12]に記載の円偏光板を含む、画像表示装置。
本発明の光学フィルムは、高い位相差と、良好な逆波長分散性とを有し、かつ紫外線照射時の熱収縮を抑制しうる。そのため、本発明の光学フィルムを含む画像表示装置は、コントラストの低下や色変動も低減されうる。
斜め延伸の一例を示す説明図である。 斜め延伸装置の一例を示す模式図である。 斜め延伸装置の他の例を示す模式図である。 斜め延伸装置の他の例を示す模式図である。 有機EL表示装置の構成の一例を示す模式図である。 円偏光板による反射防止機能を説明する模式図である。 液晶表示装置の構成の一例を示す模式図である。
本発明者らは、紫外線照射時の光学フィルムの熱収縮を抑制するためには、波長分散調整剤を含む光学フィルムが紫外光を吸収しにくくすること;即ち、波長分散調整剤を含む光学フィルムの380nmにおける透過率を高めればよいことに着目した。そのためには、光学フィルムに含まれる波長分散調整剤の吸収ピークを380nmよりも短波長側にシフトさせることが有効であることを見出した。
一方で、波長分散調整剤の吸収ピークを短波長側に極端にシフトさせると、フィルムに十分な逆波長分散性を付与しにくい傾向があった。そこで、本発明者らは、波長分散調整剤の吸収ピークを300nm以上の範囲とすることで、フィルムに逆波長分散性を付与でき;かつ波長分散調整剤の含有量などによって光学フィルムの380nmにおける透過率を上記範囲とすることで、紫外線照射時の光学フィルムの熱収縮を抑制できることを見出した。
即ち、本発明の光学フィルムは、熱可塑性樹脂と、少なくとも1種類以上の特定の波長分散調整剤とを含み、フィルムの幅方向に対して斜め(0℃でも90℃でもない角度)に面内遅相軸を有する。そして、1)波長分散調整剤の吸収ピークが、溶液の紫外可視吸収スペクトルにおいて300〜360nm範囲に調整されていること、2)光学フィルムの380nmにおける透過率が20〜90%(好ましくは40〜85%)の範囲に調整されていることを主な特徴とする。
本発明の光学フィルムは、偏光板および画像表示装置に好ましく用いられる。特に、本発明の光学フィルムを含む円偏光板を有する有機EL表示装置は、コントラストの低下や色変動が低減されうる。
以下、本発明とその構成要素および本発明を実施するための形態について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
1.光学フィルム
本発明の光学フィルムは、前述の通り、熱可塑性樹脂と、特定の波長分散調整剤とを含み、必要に応じて他の任意成分をさらに含みうる。
熱可塑性樹脂について
本発明の光学フィルムに含まれる熱可塑性樹脂は、特に限定されないが、セルロースエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアリレート系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、環状共役ジエン系樹脂、ビニル脂環式炭化水素系樹脂等)等を挙げることができる。これらの中でも、セルロースエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、環状オレフィン系樹脂がさらに好ましく、セルロースエステル系樹脂(セルロースエステル)が特に好ましい。
セルロースエステルの総アシル基置換度は、後述する一般式(1)で表される波長分散調整剤とのの相溶性を高める観点から、1.5以上2.9以下であることが好ましく、1.5以上2.6以下であることがより好ましい。アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96に準じて測定することができる。
セルロースエステルは、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基またはブチリル基の合計置換度をYとしたとき、下記式(a)および(b)を同時に満たすことが好ましい。
式(a) 1.5≦X+Y≦2.6
式(b) 0≦Y≦1.5
セルロースエステルの好ましい例には、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレートなどが含まれる。これらの中でも、特にセルロースアセテートおよびセルロースアセテートプロピオネートが好ましい。
本発明の光学フィルムに含まれるセルロースエステルは、所望の光学特性を得るために、置換度の異なる複数のセルロースエステルを含んでもよい。例えば置換度の異なるセルロースエステルを2種類含む場合、それらの混合比は、質量比で10:90〜90:10の範囲としうる。
セルロースエステルの数平均分子量は、得られるフィルムの機械的強度が高いことから、6×10〜3×10の範囲であることが好ましく、7×10〜2×10の範囲であることがより好ましい。
セルロースエステルの重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されうる。測定条件の一例を以下に示すが、これに限らず、同等の測定方法を用いることも可能である。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用する)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500の13サンプルによる校正曲線を使用する。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
セルロースエステルは、公知の方法で製造することができる。具体的には、特開平10−45804号公報に記載の方法を参考にして合成することができる。原料となるセルロースは、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどでありうる。また、それらから得られたセルロースエステルは、前述したように、それぞれ任意の割合で混合して使用されうる。
波長分散調整剤
本発明の光学フィルムに含まれる波長分散調整剤は、下記一般式(1)で表されることが好ましい。
一般式(1)
Figure 2014145852
一般式(1)のAは、芳香族炭化水素環、非芳香族炭化水素環、芳香族複素環または非芳香族複素環を示す。
芳香族炭化水素環は、単環であっても縮合環であってもよいが、化合物の吸収ピークを短波長側にするためには、共役が広がらない構造とすることが好ましく、具体的には単環であることがより好ましい。芳香族炭化水素環の好ましい例には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンゾピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などが含まれ、より好ましくはベンゼン環である。
非芳香族炭化水素環の好ましい例には、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、ノルボルネン環等が含まれ、より好ましくはシクロヘキサン環、シクロペンタン環である。
芳香族複素環は、単環であっても縮合環であってもよく、共役が広がらない構造とすることが好ましく、具体的には単環であることがより好ましい。芳香族複素環の好ましい例には、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、トリアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、ペリミジン環、キナゾリン環、アズレン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ジベンゾカルバゾール環、ベンゾジフラン環、ベンゾジチオフェン環、フェナントロリン環などが含まれ、好ましくはピリジン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環である。
非芳香族複素環の好ましい例には、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、ジオキソラン環、ジオキサン環、ピロリジン環、ピリドン環、ピリダジノン環、イミド環、ピペリジン環、ジヒドロピロール環、ジヒドロピリジン環、テトラヒドロピリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、ピペリジン環等が含まれ、より好ましくはピリドン環、イミド環、ピロリジン環である。
一般式(1)のLおよびLは、それぞれ独立に単結合または−R−O−、−O−R−、−O−、−(C=O)−、−(C=S)−、−(C=O)−O−、−NR−、−S−、−SO−および−(C=O)−NR−、−NR−(C=O)−からなる群より選ばれる2価の連結基またはそれらの組合せを示す。
−R−O−、−O−R−、−O−C(=O)−R−、−C(=O)−O−R−におけるRは、フェニレン基、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基を示す。アルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜2でありうる。アルケニレン基およびアルキニレン基の炭素数は、好ましくは2〜10でありうる。
上述した2以上の基の組み合わせの例には、−(C=O)−O−、−O−(C=O)−、−(C=O)−NR−、−NR−(C=O)−、−O−(C=S)−、−O−(S=O)−および−S−(C=O)−などが含まれる。
これらの中でも、熱可塑性樹脂との良好な相溶性を有し、フィルムに十分な逆波長分散性を付与する観点からは、−O−、−(C=O)−、−(C=O)−O−、−NR−、−S−、−(C=O)−NR−が好ましい。
一般式(1)のRおよびRは、それぞれ独立にアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−(R)n−(Rは、シクロアルキレン基を示す)、−(OR)n−(Rは、アルキレン基を示す)、フェニレン基、ヘテロアルキレン基またはヘテロアリ−レン基を示す。
アルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは2〜8でありうる。アルケニレン基およびアルキニレン基の炭素数は、好ましくは2〜10でありうる。
−(R)n−におけるRは、シクロアルキレン基を示す。シクロアルキレン基の炭素数は、好ましくは4〜10でありうる。シクロアルキレン基の好ましい例には、シクロヘキシレン基が含まれる。nは、1〜4の整数を示し、十分な逆波長分散性を得るためには、好ましくは1〜2でありうる。
−(ORo)n−におけるRoは、アルキレン基を示し、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数2〜3のアルキレン基でありうる。nは、1〜4の整数を示し、十分な逆波長分散性を得るためには、好ましくは1〜2でありうる。
ヘテロアルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜10でありうる。ヘテロアルキレン基の例には、ピペリジニレン基などが含まれる。ヘテロアリ−レン基の炭素数は、好ましくは4〜10でありうる。ヘテロアリーレン基の例には、チオフェニレン基などが含まれる。
これらの中でも、波長分散性を高める観点から、RおよびRは、アルキレン基、ヘテロアルキレン基、−(R)n−(Rは、シクロアルキレン基)、フェニレン基、ヘテロアリ−レン基が好ましい。
一般式(1)のRおよびRは、水素原子または置換基を示す。置換基の分子量は、1以上300以下であることが好ましい。
そのような置換基は、特に制限されないが、その具体例には、
ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、
アルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等)、
シクロアルキル基(シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等)、
アルケニル基(ビニル基、アリル基等)、
シクロアルケニル基(2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル基等)、アルキニル基(エチニル基、プロパルギル基等)、
アリール基(フェニル基、p−トリル基、ナフチル基等)、
ヘテロアリール基(2−ピロール基、2−フリル基、2−チエニル基、ピロール基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、ピラゾリノン基、ピリジル基、ピリジノン基、2−ピリミジニル基等)、
シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、
アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基等)、
アリールオキシ基(フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基等)、
アシル基(アセチル基、ピバロイルベンゾイル基等)、
アシルオキシ基(ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基等)、
アミノ基(アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基等)、 アシルアミノ基(ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、
アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基(メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基等)、
メルカプト基、
アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等)、 アリールチオ基(フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基等)、
スルファモイル基(N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’フェニルカルバモイル)スルファモイル基等)、
スルホ基、
カルバモイル基(カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基等)などが含まれる。これらの基は、さらに同様の基で置換されていてもよい。
これらの中でも、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アシル基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、アミノ基が好ましく、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基がさらに好ましい。RおよびRで表される置換基は、前述の置換基でさらに置換されていてもよい。
一般式(1)のRは、置換基を示す。置換基は、一般式(1)で表される波長分散調整剤の吸収ピークが300〜360nmの範囲となるように選択される。置換基の例には、前記一般式(1)のRおよびRで示される置換基が含まれるだけでなく、さらにアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルオキシカルボニルアミノ基、アルキルカルボニルチオール基、アリールカルボニルチオール基などが含まれる。
一般式(1)のkは、0〜4の整数を示し、波長分散製を高めるためには、好ましくは1〜4であり、さらに好ましくは1または2である。Aで示される環が隣接する2以上の環構成炭素原子上にRをそれぞれ有する場合、複数のRは、互いに結合して環を形成してもよい。
一般式(1)で表される波長分散調整剤は、好ましくは下記一般式(2)、(3)または(4)で表わされる化合物でありうる。
一般式(2)
Figure 2014145852
一般式(2)のL21、L22、R22、R23、R24およびR25は、それぞれ一般式(1)のL、L、R、R、RおよびRとそれぞれ同様に定義されうる。一般式(2)のR22およびR23は、波長分散性を高める観点から、アルキレン基、シクロアルキレン基またはフェニレン基であることが好ましい。
一般式(2)のR21は、−(C=O)−Rp、−(C=O)−O−Rp、−O−(C=O)−Rp、−(C=O)−S−Rp、−S−(C=O)−Rp、−C(=O)−NRq、アリール基、ヘテロアリール基、または前述のR21が結合するベンゼン環と縮合した2,5−ジオン−ピロリジン環を示す。
−(C=O)−Rp、−(C=O)−O−Rp、−O−(C=O)−Rp、−(C=O)−S−Rpおよび−S−(C=O)−RpにおけるRpは、アルキル基またはアリール基を示す。Rpで示されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜4でありうる。Rpで示されるアリール基の炭素数は、好ましくは6〜10でありうる。これらのアルキル基およびアリール基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、前記一般式(1)のRおよびRで示される置換基と同様のものが含まれる。
−C(=O)−NRqにおけるRqは、アルキル基を示す。Rqで示されるアルキル基は、前述のRpで示されるアルキル基と同様に定義されうる。
アリール基の例には、フェニル基が含まれる。ヘテロアリール基の炭素数は、3〜10であることが好ましい。ヘテロアリール基の例には、ピラゾール基、ベンゾチアゾール基などが含まれる。
前述のR21が結合するベンゼン環と縮合した2,5−ジオン−ピロリジン環は、当該環を構成する窒素原子が、置換基をさらに有していてもよい。そのような置換基は、前記一般式(1)のRおよびRで表される置換基などが含まれ、好ましくはオキシアルキレン基などで置換されていてもよいアルキル基でありうる。
一般式(2)のkは、1〜4の整数を示し、逆波長分散性を高める観点から、好ましくは1〜2である。
一般式(1)で表される波長分散調整剤は、下記一般式(3)で表される化合物でありうる。
一般式(3)
Figure 2014145852
一般式(3)のL31、L32、R33、R34、R36およびR37は、それぞれ一般式(1)のL、L、R、R、RおよびRとそれぞれ同様に定義されうる。一般式(3)のR33およびR34は、波長分散性を高める観点から、アルキレン基、シクロアルキレン基またはフェニレン基であることが好ましい。
一般式(3)のR31およびR32は、それぞれ独立に水素原子または−(C=O)−O−Rt、−C(=O)−Rv、−C(=O)−NRwRx、シアノ基またはハロゲン原子を示す。
−(C=O)−O−RtにおけるRtは、アルキル基、オキシアルキレン基またはアリール基を示す。オキシアルキレン基は、複数の繰り返し単位を含みうる。これらの基は、前述の一般式(1)のRおよびRで示される置換基と同様の置換基をさらに有してもよい。−C(=O)−NRwRxにおけるRwは、水素原子またはアルキル基を示し;Rxは、アルキル基を示す。これらの基は、前述の一般式(1)のRおよびRで示される置換基と同様の置換基をさらに有してもよい。
31とR32は、互いに結合して環を形成してもよい。R31とR32が互いに結合して形成する環の例には、2,4,6−トリオン−ピリミジン環、4−オン−ピリミジン環などが含まれる。これらの環は、さらに置換基(例えばアルキルアミノ基など)を有してもよい。
一般式(3)のR35は、置換基を示す。置換基の例には、前記一般式(1)のRおよびRで示される置換基と同様のものが含まれる。
一般式(3)のjは、0〜3の整数を示し、逆波長分散性を高める観点から、好ましくは1〜2である。
一般式(1)で表される波長分散調整剤は、下記一般式(4)で表される化合物でありうる。
一般式(4)
Figure 2014145852
一般式(4)のBおよびBは、それぞれ独立に−O−、−NR−、−S−、−S(=O)−および−C(=O)−からなる群から選ばれる2価の基を示す。破線部は、単結合または二重結合を示す。
−NR−におけるRは、水素原子または置換基を示す。置換基の例には、アルキル基などが含まれる。Bが−S−であり、Bが−NR−である場合の、一般式(1)のAに相当する環は、ベンゾチアゾール環でありうる。
これらの中でも、波長分散性を高める観点から、−NR−、−S−および−C(=O)−が好ましい。
一般式(4)のL41、L42、R42、R43、R45およびR46は、それぞれ一般式(1)のL、L、R、R、RおよびRとそれぞれ同様に定義されうる。一般式(4)のR42およびR43は、波長分散性を高める観点から、アルキレン基、シクロアルキレン基またはフェニレン基であることが好ましい。
一般式(4)のR41は、=R411412またはアリール基を示す。=R411412におけるR411およびR412は、それぞれ独立にシアノ基または−C(=O)−O−Rを示す。−C(=O)−O−RにおけるRは、アルキル基またはアリール基を示す。これらのアルキル基やアリール基は、水酸基などの置換基をさらに有してもよい。
アリール基は、好ましくは炭素数6〜10のアリール基であり、より好ましくはフェニル基である。アリール基は、置換基をさらに有してもよい。そのような置換基の例には、前記一般式(1)のRおよびRで示される置換基と同様のものが含まれ、好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルオキシ基、アルキルアミノ基、アリール基などでありうる。
一般式(4)のR44は、置換基を示す。置換基は、前記一般式(1)のRおよびRで示される置換基と同様のものが含まれる。
一般式(4)のjは、0〜2の整数を示し、好ましくは0である。jが2である場合、2つのR44は、互いに結合して環を形成してもよい。
一般式(1)で表される波長分散調整剤の例には、以下のものが含まれる。以下の例示化合物のうち、例示化合物B−001〜B−042は、一般式(4)で表される化合物の例でもあり;例示化合物C−001〜C−026は、一般式(2)で表される化合物の例でもあり;例示化合物D−001〜D−025は、一般式(3)で表される化合物の例でもある。
Figure 2014145852
Figure 2014145852
Figure 2014145852
Figure 2014145852
Figure 2014145852
Figure 2014145852
Figure 2014145852
Figure 2014145852
Figure 2014145852
Figure 2014145852
一般式(1)で表される波長分散調整剤は、公知の方法で合成することができる。
一般式(1)で表される波長分散調整剤の分子量は、200以上1500以下であることが好ましい。
本発明における波長分散調整剤は、熱可塑性樹脂と、それに対して3質量%の波長分散調整剤とを含むフィルムを延伸倍率1.3倍で延伸して得られる延伸フィルムF1のR0が、波長分散調整剤を含まない延伸フィルムF0のR0に対して1.1倍以上となり、かつ波長分散調整剤を含む延伸フィルムF1のR0(450)/R0(550)が、波長分散調整剤を含まない延伸フィルムF0のR0(450)/R0(550)に対して1.05倍以下となる化合物である。
本発明では、一般式(1)で表される波長分散調整剤は、それを含む溶液の紫外可視吸収スペクトルにおいて300〜360nmの範囲内に吸収ピークを有する。溶液の紫外可視吸収スペクトルは、具体的には、一般式(1)で表される波長分散調整剤を濃度1.0×10−5mol/Lとなるように含むテトラヒドロフラン(重合禁止剤なし)溶液を、通常の吸収分光光度計で25℃において測定して得られる紫外可視吸収スペクトルから求められる。
300〜360nmの範囲内に吸収ピークを有する波長分散調整剤は、位相差発現性と逆波長分散性とがトレードオフになりにくい。そのため、波長分散調整剤は、それを含む光学フィルムは、透過率が上記範囲内であっても、十分な位相差と逆波長分散性とを有しうる。
即ち、吸収ピークを360nm以下とすることで、位相差発現性を高め、かつ長波長での吸収が比較的少ないため、耐光性も高めうる。それにより、得られる斜め延伸フィルムの位相差変動が抑制されうる。一方、吸収ピークを300nm以上とすることで、逆波長分散性を高めうる。
一般式(1)で表される波長分散調整剤の吸収ピークの波長は、好ましくは一般式(1)のLおよびLの構造またはRの構造によって調整されうる。
例えば、一般式(1)のLおよびL(一般式(2)のL21およびL22、一般式(3)のL31およびL32、一般式(4)のL41およびL42)を−O−(C=O)−、−SO−とすることで、波長分散調整剤の吸収ピークを短波長側にすることができる。一方、一般式(1)のLおよびLを−O−、−(C=O)−O−、−(C=O)−、−(C=O)−NR−、−NR(C=O)−とすることで、波長分散調整剤の吸収ピークを長波長側にすることができる。
一般式(1)のR(一般式(2)のR21、一般式(3)のR31とR32、一般式(4)のR41)を、前述のような−C(=O)−、−C(=O)−O−、−SO−の構造を有する置換基や共役構造を有しない置換基とすることで、波長分散調整剤の吸収ピークを短波長側にすることができる。一方、一般式(1)のRを、共役構造を有する置換基とすることで、波長分散調整剤の吸収ピークを長波長側にすることができる。
一般式(1)で表される波長分散調整剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましく、2〜10質量部がさらに好ましい。波長分散調整剤の含有量が0.1質量部未満であると、一定以上の位相差と負の波長分散性を十分には付与できない虞がある。一方、波長分散調整剤の含有量が30質量部超であると、光学フィルムの380nmにおける透過率が低下する虞がある。
本発明の光学フィルムは、セルロースエステル、および一般式(1)で表される波長分散調整剤に加えて、必要に応じて任意成分をさらに含んでもよい。任意成分は、例えば糖エステル化合物、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤および微粒子からなる群のうち少なくとも一以上でありうる。
(糖エステル化合物)
本発明の光学フィルムは、光学フィルムの可塑性を向上させる観点から、前述したセルロースエステル以外の糖エステル化合物をさらに含有することができる。
糖エステル化合物は、フラノース構造若しくはピラノース構造を1〜12個有する化合物であって、該化合物中のヒドロキシ基の全部または一部がエステル化された化合物でありうる。そのような糖エステル化合物の好ましい例には、下記一般式(FA)で表されるスクロースエステルが含まれる。
Figure 2014145852
一般式(FA)のR〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表す。R〜Rは、互いに同じであっても、異なってもよい。
置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基は、炭素原子数2以上の置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基であることが好ましい。置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基の例には、メチルカルボニル基(アセチル基)が含まれる。アルキル基が有する置換基の例には、フェニル基等のアリール基が含まれる。
置換もしくは無置換のアリールカルボニル基は、炭素原子数7以上の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基であることが好ましい。アリールカルボニル基の例には、フェニルカルボニル基が含まれる。アリール基が有する置換基の例には、メチル基等のアルキル基や、メトキシ基等のアルコキシル基等が含まれる。
スクロースエステルのアシル基の平均置換度は、3.0〜7.5の範囲内であることが好ましい。アシル基の平均置換度がこの範囲内であると、セルロースエステルとの十分な相溶性が得られやすい。
一般式(FA)で表されるスクロースエステルの具体例には、下記例示化合物(FA−1)〜(FA−24)が含まれる。下記表は、例示化合物(FA−1)〜(FA−24)の一般式(FA)におけるR〜Rと、アシル基の平均置換度を示している。
Figure 2014145852
Figure 2014145852
Figure 2014145852
その他の糖エステル化合物の例には、特開昭62−42996号公報および特開平10−237084号公報に記載の化合物が含まれる。
糖エステル化合物の含有量は、セルロースエステルに対して0.5〜35.0質量%であることが好ましく、5.0〜30.0質量%であることがより好ましい。
本発明の光学フィルムは、フィルム製造時の組成物の流動性や、フィルムの柔軟性を向上するために、可塑剤をさらに含有していていもよい。可塑剤の例には、ポリエステル系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤(フタル酸エステル系可塑剤を含む)、グリコレート系可塑剤、エステル系可塑剤(クエン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤などを含む)などが含まれる。なかでも、ポリエステル系可塑剤やリン酸エステル系可塑剤が好ましい。これらは、単独で用いても、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエステル系可塑剤は、1〜4価のカルボン酸と、1〜6価のアルコールとを反応させて得られた化合物であり、好ましくは2価カルボン酸とグリコールとを反応させて得られた化合物である。
2価カルボン酸の例には、グルタル酸、イタコン酸、アジピン酸、フタル酸、アゼライン酸、セバシン酸等が含まれる。特に、2価カルボン酸として、アジピン酸、フタル酸等を用いた化合物は、可塑性を良好に付与し得る。
グリコールの例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、ネオペンチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等が含まれる。2価カルボン酸およびグリコールは、それぞれ1種類であってもよいし、2種類以上を併用してもよい。
ポリエステル系可塑剤は、エステル、オリゴエステル、ポリエステルのいずれであってもよい。ポリエステル系可塑剤の分子量は、100〜10000の範囲が好ましく、可塑性を付与する効果が大きいことから、600〜3000の範囲がより好ましい。
ポリエステル系可塑剤の粘度は、分子構造や分子量にもよるが、アジピン酸系可塑剤の場合、セルロースエステルとの相溶性が高く、かつ可塑性を付与する効果が高いこと等から、200〜5000MPa・s(25℃)の範囲であることが好ましい。ポリエステル系可塑剤は、1種類であっても、2種類以上を併用してもよい。
リン酸エステル系可塑剤の例には、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が含まれる。
可塑剤の含有量は、セルロースエステルに対して0.5〜30.0質量%であることが好ましい。可塑剤の含有量が30.0質量%以下であれば、光学フィルムがブリードアウトを生じにくい。
(紫外線吸収剤)
本発明の光学フィルムは、紫外線吸収剤をさらに含有していてもよい。紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系、2−ヒドロキシベンゾフェノン系、サリチル酸フェニルエステル系等でありうる。具体的には、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類等が挙げられる。
なかでも、分子量が400以上である紫外線吸収剤は、高沸点で揮発しにくく、高温成形時にも飛散しにくい。そのため、比較的添加量が少なくても、得られたフィルムに耐候性を付与することができる。
分子量が400以上である紫外線吸収剤の例には、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等のベンゾトリアゾール系;
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダードアミン系;
2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の分子内にヒンダードフェノールとヒンダードアミンの構造を共に有するハイブリッド系;
等が含まれ、好ましくは2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾールや2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]である。これらは、1種類であっても、2種以上を併用してもよい。
(酸化防止剤)
酸化防止剤は、公知のものが使用でき、ラクトン系化合物、イオウ系化合物、フェノール系化合物、二重結合系化合物、ヒンダードアミン系化合物またはリン系化合物などでありうる。
ラクトン系化合物の例には、IrgafosXP40、IrgafosXP60(BASFジャパン株式会社)等が挙げられる。イオウ系化合物の例には、Sumilizer TPL−R、およびSumilizer TP−D(住友化学株式会社)を挙げることができる。フェノール系化合物は、2,6−ジアルキルフェノール構造を有するものが好ましく、例えばIrganox1076、Irganox1010(BASFジャパン株式会社)、アデカスタブAO−50((株)ADEKA)等を挙げることができる。二重結合系化合物の例には、Sumilizer GM、Sumilizer GS(住友化学株式会社)などがある。ヒンダードアミン系化合物の例には、Tinuvin144、およびTinuvin770(BASFジャパン株式会社)、ADK STAB LA−52(株式会社ADEKA)を挙げることができる。リン系化合物の例には、SumilizerGP(住友化学株式会社)、ADK STAB PEP−24G、ADK STAB PEP−36およびADK STAB 3010(株式会社ADEKA)、IRGAFOS P−EPQ(BASFジャパン株式会社)、GSY−P101(堺化学工業株式会社)を挙げることができる。
酸化防止剤の含有量は、前述の熱可塑性樹脂に対して0.05〜5質量%程度とすることができ、好ましくは0.1〜4質量%としうる。
(微粒子)
本発明の光学フィルムは、無機化合物または有機化合物からなる微粒子を含有してもよい。
無機化合物の例には、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等が含まれる。
有機化合物の例には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチレンカーボネート、アクリルスチレン系樹脂、シリコーン系樹脂等が含まれる。
中でも、得られるフィルムのヘイズが増大しにくいことから、二酸化珪素の微粒子が好ましい。二酸化珪素の微粒子の例には、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上、日本アエロジル(株)製)等が含まれる。なかでも、アエロジル200V、アエロジルR972Vが、光学フィルムのヘイズを低く保ちつつ、フィルム表面の滑り性を高めやすいため、特に好ましい。
微粒子の一次粒子の平均粒径は、好ましくは5〜400nmの範囲内であり、より好ましくは10〜300nmの範囲内である。微粒子は、主に粒径が0.05〜0.30μmの範囲内にある二次凝集体を形成していてもよい。微粒子の平均粒径が100〜400nmの範囲内であれば、凝集せずに一次粒子として存在しうる。
微粒子の含有量は、セルロースエステルに対して0.01〜1.00質量%の範囲内であることが好ましく、0.05〜0.50質量%の範囲内であることがより好ましい。
光学フィルムの物性
本発明の光学フィルムの380nmにおける透過率は、20〜90%であることが好ましく、40〜85%であることがより好ましい。380nmにおける透過率が20%未満であるフィルムは、前述の式(1)で表される波長分散調整剤が、紫外線照射時に紫外線を吸収して熱を発生しやすく、フィルムの熱収縮が生じやすい。フィルムの熱収縮が生じると、フィルムの位相差変動が生じやすい。一方、380nmにおける透過率が90%超であると、十分な逆波長分散性が得られにくい。380nmにおける透過率は、好ましくは光学フィルムの厚みが40μmであるときの透過率でありうる。
光学フィルムの380nmにおける透過率は、25℃55%RH下、Spectrophotometer U−3200(日立製作所製)にて測定されうる。
光学フィルムの380nmにおける透過率は、波長分散調整剤の構造(波長分散調整剤の吸収ピークの波長範囲)やその含有量によって調整されうる。380nmでの透過率を高めるためには、例えば吸収ピークが短波長側にある波長分散調整剤を選択したり、波長分散調整剤の含有量を少なくしたりすればよい。
本発明の光学フィルムの、23℃55%RHの条件下で、波長550nmで測定される面内方向のリターデーション値R0(550)が、下記の(a)を満たすことが好ましい。
(a) 110nm≦R0(550)≦170nm
R0(550)が以下の範囲を満たす光学フィルムは、例えばλ/4位相差フィルムとして好ましく機能しうる。本発明の光学フィルムは、120nm≦R0(550)≦160nmを満たすことがより好ましく、130nm≦R0(550)≦150nmを満たすことがさらに好ましい。
本発明の光学フィルムは、23℃55%RHの条件下、波長550nmで測定される厚み方向のリターデーション値Rth(550)が、50nm≦Rth(550)≦250nmを満たすことが好ましい。
本発明の光学フィルムは、23℃55%RHの条件下で、波長450nm、650nmで測定される面内方向のリターデーション値をそれぞれR0(450)、R0(650)としたとき、以下の(b)および(c)をさらに満たすことが好ましい。
(b) 0.72≦R0(450)/R0(550)≦1.00
(c) 0.83≦R0(550)/R0(650)≦1.00
R0(450)/R0(550)やR0(550)/R0(650)が上記範囲を満たす光学フィルムは、例えば広い波長領域の光に対して、λ/4位相差フィルムとして好ましく機能しうる。また、表示装置を黒表示させたときの光漏れなども低減しうる。特に、(b)0.72≦R0(450)/R0(550)≦0.95を満たすと、青色の再現性が高く;(c)0.83≦R0(550)/R0(650)≦0.95を満たすと、赤色の再現性が高いためより好ましい。
R0およびRtは、それぞれ下記式(I)、(II)で定義される。
式(I) :R0=(nx−ny)×d
式(II) :Rt={(nx+ny)/2−nz}×d
〔式(I)および(II)において、nxは、光学フィルムの面内方向において屈折率が最大になる遅相軸方向xにおける屈折率を表す。nyは、光学フィルムの面内方向において遅相軸方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nzは、光学フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは、光学フィルムの膜厚(nm)を表す。〕
R0およびRtは、自動複屈折率計、例えばAxometric社製のAxoScan、王子計測機器株式会社製のKOBRA−21ADHを用いて測定することができる。AxoScanを用いる場合、具体的には、以下の方法で測定することができる。
1)光学フィルムを、23℃・55%RHで調湿する。調湿後の光学フィルムの、波長450nm、550nmおよび650nmのそれぞれにおける平均屈折率を、アッベ屈折計と分光光源を用いて測定する。また、光学フィルムの膜厚d(nm)を、膜厚計を用いて測定する。
2)調湿後の光学フィルムに、フィルム表面の法線と平行に、波長450nm、550nmまたは650nmの光をそれぞれ入射させたときの面内方向のリターデーション値R0(450)、R0(550)およびR0(650)を、AxoScanにて測定する。測定は、23℃、55%RH条件下で行う。
3)Axometric社製のAxoScanにより、光学フィルムの面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)として、光学フィルムの表面の法線に対してφの角度(入射角(φ))から波長450nm、550nmおよび650nmの光をそれぞれ入射させたときのリターデーション値R(φ)を測定する。R(φ)の測定は、φが0〜50°の範囲で、10°毎に6点行うことができる。測定は、23℃、55%RH条件下で行う。光学フィルムの面内の遅相軸は、Axometric社製のAxoScanにより確認することができる。
4)上記2)で測定されたR0(450)、R0(550)およびR0(650)と、上記3)で各波長450nm、550nmまたは650nmにて測定されたR(φ)と、上記1)で測定された平均屈折率および膜厚dとから、AxoScanにより、nx、nyおよびnzを算出する。そして、下記式に基づいて、各波長450nm、550nmおよび650nmでの厚さ方向のリターデーション値Rt(450)、Rt(550)およびRt(650)を、それぞれ算出する。
Rth(λ)={(nx(λ)+ny(λ))/2−nz(λ)}×d(nm)
(上記式において、nx(λ)は、波長λの光を入射させたときの、光学フィルムの面内方向において屈折率が最大になる遅相軸方向xにおける屈折率を表し;ny(λ)は、波長λの光を入射させたときの、光学フィルムの面内方向において前記遅相軸方向xと直交する方向yにおける屈折率を表し;nz(λ)は、波長λの光を入射させたときの、光学フィルムの厚み方向zにおける屈折率を表し;d(nm)は、光学フィルムの厚みを表す)
R0(450)/R0(550)は、得られたR0(450)とR0(550)から算出され;R0(550)/R0(650)は、得られたR0(550)とR0(650)から算出することができる。
本発明の光学フィルムは、下記式(d1)で定義されるNzが、下記式(d2)を満たすことが好ましい。
(d1)Nz=Rt(550)/Ro(550)+0.5
(d2)0≦Nz≦1
Nzが式(d2)を満たせば、厚さ方向のリターデーション値Rtが、面内方向のリターデーション値R0よりも相対的に小さいため、本発明の光学フィルムを具備する画像表示装置を斜め方向から観察したときの色味の変化を低減しうる。
本発明の光学フィルムの面内の遅相軸とフィルムの幅方向とのなす角θ(配向角)は、40°以上50°以下であることが好ましい。配向角が上記範囲にあると、ロール体から巻き出され、長尺方向に対して斜め方向に遅相軸を有する光学フィルムと、ロール体から巻き出され、長尺方向に平行な透過軸を有する偏光子とを、互いに長尺方向同士が重なるように、ロールtoロールで貼り合わせることで、円偏光板を容易に製造することができる。それにより、フィルムのカットロスが少なく生産上有利である。配向角θは、45±2°であることがより好ましく、45°であることが特に好ましい。
光学フィルムの配向角θは、Axometric社製のAxoScanにて測定されうる。
光学フィルムの膜厚は、熱や湿度による位相差の変動を少なくするため、好ましくは150μm以下、より好ましくは60μm以下であり、さらに好ましくは45μm以下である。一方、光学フィルムの膜厚は、一定以上のフィルム強度や位相差を発現させるため、好ましくは10μm以上であり、より好ましくは20μm以上である。光学フィルムの膜厚がこれらの範囲内にあると、画像表示装置の薄型化、生産性の観点から好ましい。
光学フィルムのヘイズ(全ヘイズ)は、1%未満であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましく、0.2%以下であることがさらに好ましい。ヘイズが1%未満であれば、フィルムの透明性の低下が無く、光学フィルムとして十分に機能する。
光学フィルムのヘイズ(全ヘイズ)は、JIS K−7136に準拠して、ヘーズメーターNDH−2000(日本電色工業株式会社製)にて測定することができる。ヘイズメーターの光源は、5V9Wのハロゲン球とし、受光部は、シリコンフォトセル(比視感度フィルター付き)とし得る。ヘイズの測定は、23℃・55%RHの条件下にて行うことができる。
本発明の光学フィルムは、JIS−K7127−1999に準拠して測定された、少なくとも一方向の破断伸度が、好ましくは10%以上であり、より好ましくは20%以上であり、さらに好ましくは30%以上である。
前述の通り、本発明の光学フィルムに含まれる波長分散調整剤の吸収ピークは、短波長側;具体的には300〜360nmの範囲に調整されている。そのため、本発明のフィルムは、高い位相差と、良好な逆波長分散性とを有する。
また、本発明の光学フィルムは、380nmでの透過率が20〜90%の範囲に調整されている。そのため、本発明の光学フィルムは、紫外線を吸収しにくく、それによる発熱も抑制される。それにより、円偏光板を作製する際の、紫外線照射による光学フィルムの熱収縮を抑制し、位相差変動を低減できる。
具体的には、光学フィルムに、耐候性試験機(アイスーパーUVテスター 岩崎電気株式会社製)にて、紫外線を2分間照射する前の波長550nmにおける面内方向のレターデーションをR0(550)、照射した後の波長550nmにおける面内方向のレターデーションをR0’(550)としたとき、位相差の変化量ΔR0(照射前の位相差R0(550)−照射後の位相差R0’(550))が、好ましくは5nm以下であり、より好ましくは3nm以下であり、さらに好ましくは2nm以下である。
本発明の光学フィルムは、有機ELディスプレイや液晶表示装置などの画像表示装置の光学フィルム;具体的には、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、光学補償フィルム、反射防止フィルムとして用いられ、好ましくはλ/4位相差フィルムとして用いられる。
λ/4位相差フィルムは、所定の光の波長(通常、可視光領域)の約1/4の面内方向の位相差R0を有する。λ/4位相差フィルムは、本発明の光学フィルムの単層からなることが好ましい。λ/4位相差フィルムは、好ましくは有機ELディスプレイの反射防止フィルムに用いられる。
2.光学フィルムの製造方法
本発明の光学フィルムは、溶液流延法または溶融流延法で製造されうる。光学フィルムの着色や異物欠点、ダイライン等の光学欠点を抑制する観点では、溶液流延法が好ましく、光学フィルムに溶媒が残留するのを抑制する観点では、溶融流延法が好ましい。
A)溶液流延法
セルロースエステルを含む光学フィルムを溶液流延法で製造する方法は、A1)少なくともセルロースエステルと、前述の式(1)で表される波長分散調整剤とを溶剤に溶解させてドープを得る工程、A2)ドープを無端の金属支持体上に流延する工程、A3)流延したドープから溶媒を蒸発させてフィルムを得る工程、A4)フィルムを金属支持体から剥離する工程、およびA5)フィルムを乾燥後、延伸する工程を含む。
A1)ドープを得る工程
溶解釜において、セルロースエステルと、必要に応じて他の添加剤とを溶剤に溶解させてドープを調製する。
溶剤は、セルロースエステル、その他の添加剤等を溶解するのであれば、制限なく用いることができる。例えば、塩素系有機溶媒としては、メチレンクロライド、非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることができ、好ましくはメチレンクロライド、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン等を用いることができる。
ドープは、1〜40質量%の炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールをさらに含有することが好ましい。ドープ中のアルコールの比率が高いと、ドープ膜を乾燥して得られるフィルムがゲル化し、金属支持体からの剥離が容易になる。一方、ドープ中のアルコールの比率が少ないと、非塩素系有機溶媒系でのセルロースアセテートの溶解を促進しうる。
炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールの例には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等が含まれる。なかでも、ドープの安定性が高く、沸点が比較的低く、乾燥性が高いこと等から、エタノールが好ましい。
なかでも、ドープは、溶剤のメチレンクロライドと炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールとを含有することが好ましい。
ドープにおけるセルロースエステルの濃度は、乾燥負荷を低減するためには高い方が好ましいが、セルロースエステルの濃度が高すぎるとろ過しにくい。そのため、ドープにおけるセルロースエステルの濃度は、好ましくは10〜35質量%の範囲内であり、より好ましくは15〜25質量%の範囲内である。
セルロースエステルを溶剤に溶解させる方法は、例えば、加熱および加圧下で溶解させる方法であり得る。加熱温度は、セルロースエステルの溶解性を高める観点では、高い方が好ましい。温度が高すぎると圧力を高める必要があり、生産性が低下するため、加熱温度は、45〜120℃の範囲内であることが好ましい。
添加剤は、ドープにバッチ添加してもよいし、添加剤溶解液を別途用意してインライン添加してもよい。特に、微粒子は、ろ過材への負荷を減らすために、全部又は一部を、インライン添加することが好ましい。
添加剤溶解液をインライン添加する場合は、ドープと混合しやすくするため、少量のセルロースエステルを溶解するのが好ましい。好ましい熱可塑性樹脂の含有量は、溶剤100質量部に対して1〜10質量部の範囲内とし、より好ましくは3〜5質量部の範囲内とし得る。
インライン添加および混合には、例えばスタチックミキサー(東レエンジニアリング製)、SWJ(東レ静止型管内混合器 Hi−Mixer)等のインラインミキサー等が好ましく用いられる。
得られたドープには、例えば原料であるセルロースエステルに含まれる不純物等の不溶物が含まれることがある。このような不溶物は、得られたフィルムにおいて輝点異物となり得る。不溶物を除去するため、得られたドープをさらにろ過することが好ましい。
ドープのろ過は、得られたフィルムにおける輝点異物の数が一定以下となるように行うことが好ましい。具体的には、径が0.01mm以上である輝点異物の数が、200個/cm以下、好ましくは100個/cm以下、より好ましくは50個/cm以下、さらに好ましくは30個/cm以下、特に好ましくは10個/cm以下となるようにろ過する。
径が0.01mm以下である輝点異物も200個/cm以下であることが好ましく、100個/cm以下であることがより好ましく、50個/cm以下であることがさらに好ましく、30個/cm以下であることがさらに好ましく、10個/cm以下であることが特に好ましく、皆無であることが最も好ましい。
フィルムの輝点異物の数は、以下の手順で測定することができる。
1)2枚の偏光板をクロスニコル状態に配置し、それらの間に得られたフィルムを配置する。
2)一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察したときに、光が漏れてみえる点を異物として数をカウントする。
A2)流延工程
ドープを、加圧ダイのスリットから無端状の金属支持体上に流延させる。
金属支持体としては、ステンレススティールベルトまたは鋳物で表面がメッキ仕上げされたドラム等が好ましく用いられる。金属支持体の表面は、鏡面仕上げされていることが好ましい。
キャストの幅は1〜4mの範囲内とすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃以上、溶剤が沸騰して発泡しない温度以下に設定される。温度が高い方がドープ膜の乾燥速度が速くできるので好ましいが、ドープ膜の発泡、平面性の低下を防ぐことができる温度の範囲内とする。
金属支持体の表面温度は、好ましくは0〜100℃の範囲内であり、より好ましくは5〜30℃の範囲内である。また、金属支持体を冷却して、ドープ膜をゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離できるようにしてもよい。
金属支持体の温度の調整方法は、特に制限されないが、温風または冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。
温風を用いる場合は溶媒の蒸発潜熱によるフィルムの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。特に、流延から剥離するまでの間で金属支持体の温度および乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
A3)溶媒蒸発工程
金属支持体上に流延されたドープ膜を金属支持体上で加熱し、溶媒を蒸発させて、フィルムを得る。ドープ膜の乾燥方法や乾燥条件は、前述のA2)流延工程と同様とし得る。
A4)剥離工程
金属支持体上で溶媒を蒸発させて得られたフィルムを、金属支持体上の剥離位置で剥離する。金属支持体上の剥離位置で剥離する際のフィルムの残留溶媒量は、フィルムの平面性を高めるためには、10〜150質量%の範囲内とすることが好ましく、20〜40質量%または60〜130質量%の範囲内とすることがより好ましく、20〜30質量%または70〜120質量%の範囲内とすることがさらに好ましい。
フィルムの残留溶媒量は、下記式で定義される。
残留溶媒量(%)=(フィルムの加熱処理前質量−フィルムの加熱処理後質量)/(フィルムの加熱処理後質量)×100
なお、残留溶媒量を測定する際の加熱処理は、115℃で1時間の加熱処理を意味する。
A5)乾燥および延伸工程(斜め延伸工程)
金属支持体から剥離されたフィルムを、必要に応じて乾燥させた後、延伸する。フィルムの乾燥は、フィルムを、上下に配置した多数のローラーにより搬送しながら乾燥させてもよいし、フィルムの両端部をクリップで固定して搬送しながら乾燥させてもよい。
フィルムの乾燥方法は、熱風、赤外線、加熱ローラー、マイクロ波等で乾燥する方法であってよく、簡便であることから熱風で乾燥する方法が好ましい。
そして、フィルムの延伸により、所望の位相差を有する光学フィルムを得る。光学フィルムの位相差は、フィルムに対する張力の大きさを調整することで制御することができる。
本発明では、光学フィルムの面内の遅相軸を、フィルムの幅方向(または搬送方向)に対して斜め方向とするために、フィルムの幅方向(または搬送方向)に対して斜め方向に延伸する(斜め延伸する)。斜め方向は、フィルムの搬送方向に対して40〜50°の範囲の角度の方向であり、フィルムの搬送方向に対して角度45°の方向に延伸することが好ましい。
前述したように、ロール体から巻き出され、長尺方向に透過軸を有する偏光フィルムと、ロール体から巻き出され、長尺方向に対して角度45°の方向に遅相軸を有する光学フィルムとを、長尺方向が互いに重なり合うようにロール・トゥ・ロールで貼り合わせるだけで、円偏光板を容易に製造できる。また、フィルムのカットロスを少なくすることができ、生産上有利である。
延伸倍率は、延伸前後のフィルムの幅の比の値W/W0(Wは延伸前、W0は延伸後の幅を表す)で表され、得られた光学フィルムの膜厚や、求められる位相差にもよるが、好ましくは、1.3〜3.0倍の範囲内、より好ましくは1.5〜2.8倍の範囲内である。
延伸温度は、好ましくは120〜230℃の範囲内とし、より好ましくは150〜220℃の範囲内とし、さらに好ましくは150℃より大きく210℃以下とし得る。
遅相軸が搬送方向に対し、40〜50°の範囲内で傾斜するフィルムを作製する方法としては、特に制限されない。例えば、把持手段により幅方向の左右を把持し、フィルムの把持長(把持開始から把持終了までの距離)を左右で独立に制御できるテンターを用いて延伸する方法が挙げられる。
斜め方向に延伸する機構を有する延伸装置の例には、特開2003−340916号公報の実施例1に記載の延伸装置、特開2005−284024号公報の図1に記載の延伸装置、特開2007−30466号公報に記載の延伸装置、特開2007−94007号公報の実施例1に使用された延伸装置等が含まれる。
また、直線式の斜め延伸装置(同時二軸延伸装置)を用い、フィルムを繰り出す方向と、延伸後のフィルムを巻き取る方向とを傾斜させる必要がない方法も挙げられる。具体的には、フィルムの両端部を複数の把持具で把持し、フィルムを搬送しながら、一方の端部を把持する把持具と他方の端部を把持する把持具との走行速度に差を設け、フィルムを斜め延伸する方法が挙げられる。例えば、特開2008−23775号公報に記載の方法が挙げられる。
延伸開始時のフィルムの残留溶媒は、好ましくは20質量%以下とし、より好ましくは15質量%以下とし得る。
以下、斜め延伸工程についてさらに具体的に説明する。
(斜め延伸工程)
前述の通り、斜め延伸工程では、製膜された長尺状のフィルムを幅方向に対して斜め方向に延伸する。なお、延伸後のフィルム(延伸フィルム)は、長尺状のフィルムを製膜した後、一度巻芯に巻き取って巻回体とした後、該巻回体からフィルムを巻き出して斜め延伸して得てもよいし;製膜したフィルムを巻き取ることなく、連続的に斜め延伸して得てもよい。製膜工程と斜め延伸工程を連続的に行うことは、延伸フィルムの膜厚や光学値の結果をフィードバックして製膜条件を変更し、所望の光学特性を有する長尺状の延伸フィルムが得られやすことから好ましい。
斜め延伸工程では、フィルムを幅方向に対して斜め方向(幅方向に対して0°を超え90°未満の角度)に延伸し、幅方向に対して斜め方向に遅相軸を有する長尺状の延伸フィルムを製造する。フィルムの幅方向に対する角度とは、フィルムの面内における角度である。フィルムの面内の遅相軸は、通常、延伸方向または延伸方向に直角な方向に発現する。
フィルムの幅方向と面内遅相軸とがなす角度;即ち、配向角は、0°を超え90°未満の範囲の任意の角度に設定することができる。
斜め延伸装置を行うための斜め延伸装置は、後述するように、通常、フィルムの幅方向両端側に配置された一対の把持具と、それを走行させる一対の把持具走行支持具とを有する。そして、長尺状のフィルムの両端部を把持具で把持して走行させながら、加熱ゾーンにて延伸する。
図1は、斜め延伸の一例を示す説明図である。図1の態様は、斜め延伸の一例を示すものに過ぎず、これに限定されるものではない。図1に示されるように、通常、斜め延伸装置では、長尺状のフィルムの繰出方向D1と、延伸後のフィルムの巻取方向D2とは異なっており、フィルムの繰出方向D1と延伸後のフィルムの巻取方向D2とは繰出角度θiをなしている。繰出し角度θiは、0°超90°未満の範囲で、所望の角度に任意に設定することができる。
斜め延伸機の入口(図中Aの位置)では、前述の長尺状のフィルムの両端部を、左右の把持具(テンター)で把持して走行させる。左右の把持具は、斜め延伸機の入口(図中Aの位置)で、フィルムの搬送方向(繰出方向D1)に対して略直交する方向に対向している左右の把持具CiおよびCoは、それぞれ互いに非対称な形状のレールRi、Ro上を走行する。そして、左右の把持具は、延伸終了時の位置(図中Bの位置)で、把持した延伸後のフィルム(延伸フィルム)を解放する。
斜め延伸機入口(図中Aの位置)で対向していた左右の把持具は、左右非対称なレールRi、Ro上を走行するにつれて、Ri側を走行する把持具Ciは、Ro側を走行する把持具Coに対して進行する。即ち、斜め延伸機入口(把持具による把持開始位置)Aでは、把持具CiおよびCoを結んだ直線が、フィルムの繰出方向D1に対して略垂直となる。一方、フィルムの延伸終了時の位置Bにある状態では、該把持具CiおよびCoを結んだ直線が、フィルムの巻取方向D2に対して略垂直な方向に対して角度θLだけ傾斜している。それにより、フィルムがθLの方向に斜め延伸されることとなる。略垂直とは、90±1°の範囲にあることを示す。
そして、一対のレール間に形成されるゾーンのうち、両端を把持した把持具の間隔が一定の間隔を保ったまま走行する区間が「予熱ゾーン」となる。また、両端を把持した把持具の間隔が開きだし、所定の間隔になるまでの区間が「延伸ゾーン」となる。さらに、延伸ゾーンより後の把持具の間隔が再び一定となる期間において、両端の把持具が互いに平行を保ったまま走行する区間が「熱固定ゾーンまたは熱固定・冷却ゾーン」となる。
予熱ゾーンと延伸ゾーンの温度は、セルロースエステルのガラス転移温度をTgとしたとき、Tg〜Tg+30℃の範囲内とすることが好ましく;熱固定ゾーンまたは熱固定・冷却ゾーンの温度は、Tg−30〜Tg℃の範囲内に設定することが好ましい。
予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱固定ゾーンの長さは、適宜選択されうる。予熱ゾーンの長さは、延伸ゾーンの長さに対して、通常100〜150%の範囲内とすることができ;熱固定ゾーンの長さは、通常、50〜100%の範囲内とすることができる。
前述の通り、斜め延伸に用いられる斜め延伸装置は、長尺状のフィルムの幅方向両端側を把持して走行する複数の把持具と、把持具の走行をガイドし、かつ支持する無端状の把持具走行支持具とを有する。
そして、延伸装置入口部において、供給される長尺状のフィルムの両端部を把持具で把持し、加熱ゾーンにて斜め方向に延伸した後、延伸装置出口部で把持具を開放する。一方、延伸後のフィルムを開放した把持具は、無端状の把持具走行支持具上を走行して、再び延伸装置入口部に戻されるようになっている。
把持具走行支持具は、例えば無端状のチェーンと、その経路を規制するガイドレールやギアとを有してもよいし、(無端状のチェーンを有しない)無端状のガイドレールであってもよい。即ち、把持具走行支持具は、無端状のチェーンを有する有端状または無端状のガイドレールであってもよいし、無端状のチェーンを有しない無端状のガイドレールであってもよい。
把持具走行支持具の経路は、左右で非対称な形状となっており、製造すべき光学フィルムの配向角や延伸倍率に応じて手動または自動で調整できるようになっている。
把持具は、把持具走行支持具がチェーンを有する場合は把持具走行支持具上を走行し、把持具走行支持具がチェーンを有しない場合はチェーンを介して走行する。
把持具の走行速度は、適宜設定されうるが、なかでも1〜150m/分であることが好ましい。把持具の走行速度が150m/分を超えると、長尺フィルムの搬送が斜めになる箇所において、フィルムの幅方向両端部にかかる局所的な応力が大きくなり、フィルムの幅方向両端部にシワや寄りが発生しやすい。それにより、延伸後に得られるフィルムの全幅のうち、使用可能な有効幅が狭くなる傾向がある。
フィルムの幅方向両端部のうち一方を把持する把持具と、他方を把持する把持具との走行速度の差は、走行速度の通常1%以下、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは実質的にゼロ(等速)である。斜め延伸装置出口部で長尺状の延伸後のフィルム(延伸フィルム)の左右を把持する一対の把持具の間に走行速度差があると、斜め延伸装置の出口部においてフィルムにシワや寄りが発生しやすいからである。一般的な延伸装置では、チェーンを駆動するスプロケット(ギア)の歯の周期や駆動モーターの周波数等に応じて、秒以下のオーダーで発生する速度ムラがあり、しばしば数%のムラを生ずることがあるが、これらは本実施形態で述べる速度差には該当しない。
図2は、斜め延伸装置の一例を示す模式図である。本態様は、内回りの把持具走行支持具の経路と、外回りの把持具走行支持具の経路の長さが同じであり、かつ一対の把持開放点を結ぶ直線が、延伸後のフィルムの幅方向と平行ではない例である。図2に示されるように、斜め延伸装置T1において、把持具(把持具1iおよび把持具1o)は、直線A上の把持開始点において、長尺フィルムの幅方向両端部を把持している。内回りの把持具走行支持具Riの経路を走行する把持具1iと、外回りの把持具走行支持具Roの経路を走行する1oとは、直線A上に整列する。
把持具走行支持具は、それぞれ無端状の連続軌道を有している。把持具は、前述の把持具走行支持具上を走行する。把持具は、把持開始点において供給されたフィルムを把持し、延伸後に、直線B上の把持解放点にて延伸後のフィルムFを解放する。延伸後のフィルムFを解放したそれぞれの把持具は、把持具走行支持具を走行し続け、再び把持開始点に至り、連続的に供給されたフィルムを把持する。このように、把持具は、把持具走行支持具を周回し、供給されたフィルムの把持、延伸、解放を繰り返す。これらの操作は、内回りの把持具走行支持具Riの経路を走行する1個の把持具と、外回りの把持具走行支持具Roの経路を走行する1個の把持具とが把持具対を形成して、連続的に行われる。
把持具対を形成する把持具同士の離間距離は、供給されたフィルムの幅に相当する。フィルムは、走行する把持具とともに搬送され、図示しない予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱固定ゾーン、冷却ゾーンを通過する。内回りの把持具走行支持具Riの経路を走行する把持具は、外回りの把持具走行支持具Roの経路を走行する把持具よりも早く把持解放点に到達し、延伸後のフィルムの把持を解放する。なお、内回りの把持具走行支持具Riの経路を走行する把持具が把持解放点に到達した時点において、当該把持具と把持開始点で把持具対を形成した他方の把持具は、未だ把持解放点に到着しておらず、外回りの把持具走行支持具Roの経路を走行している。
図2において、内回りの把持具走行支持具Riの経路を走行する把持具1iの把持解放点と、外回りの把持具走行支持具Roの経路を走行する把持具1oの把持解放点とを結ぶ直線Bは、走行するフィルムFの幅方向と平行ではない。また、内回りの把持具走行支持具Riの経路と、外回りの把持具走行支持具Roの経路の長さは同じである。
図2に示されるように、内回りの把持具走行支持具Riの経路の長さを外回りの把持具走行支持具Roの経路の長さと同じにするために、内回りの把持具走行支持具Riには、調整ギアG3が設けられている。調整ギアG3は、内回りの把持具走行支持具Riを周方向外側に突っ張るためのギアである。
図2に示されるように、内回りの把持具走行支持具の把持解放点近傍に設けられた折り返しギアG1は、外回りの把持具走行支持具の把持解放点近傍に設けられた折り返しギアG2よりも、フィルムFの搬送方向下流側に配置されている。その結果、直線Bと、フィルムFの搬送方向とがなす角度θは、0°を超え90°未満となる。この場合、内回りの把持具走行支持具Riの経路を走行する把持具1iが解放時に延伸フィルムFに与える応力と、外回りの把持具走行支持具Roの経路を走行する把持具1oが解放時に延伸後のフィルムFに与える応力とは互いに打ち消されない。その結果、得られる延伸後のフィルムFに厚みムラが生じる可能性がある。そのため、把持解放点を結んだ直線Bは、後述する図3に示されるように、延伸後のフィルムFの幅方向と平行となることが好ましい。
図3は、斜め延伸装置の他の例を示す模式図である。本態様は、内回りの把持具走行支持具の経路と、外回りの把持具走行支持具の経路の長さが同じであり、かつ一対の把持開放点を結ぶ直線が、延伸後のフィルムの幅方向と平行となる例である。
図3に示されるように、斜め延伸装置T2において、把持解放点を結んだ直線と、フィルムFの搬送方向とがなす角度θaは90°である。内回りの把持具走行支持具の把持解放点近傍に設けられた折り返しギアG1aは、図2の折り返しギアG1と比較して、フィルムFの進行方向上流側に配置されている。その結果、直線Bは、フィルムFの幅方向と平行になるよう形成されている。
この場合、内回りの把持具走行支持具には、把持具走行支持具の撓みが生じる可能性がある。そのため、図3に示されるように、内回りの把持具走行支持具には、前述と同様に、調整ギアG3aが設けられている。調整ギアG3aは、折返しギアG1aの位置を変更することにより内回りの把持具走行支持具に生じた撓みを解消するために、内回りの把持具走行支持具を周方向外側に突っ張るためのギアである。
図3に示される延伸装置T2を用いて延伸後のフィルムFを製造することにより、特に把持解放点において把持具が延伸後のフィルムFを解放する際に、それに加わる応力が、フィルムの幅方向両端部で互いに打ち消されるため、得られる延伸後のフィルムFの厚みムラが軽減される。
図4は、斜め延伸装置のさらに他の例を示す模式図である。本態様は、2つの把持具走行支持具の経路の長さが異なる例である。図4に示されるように、斜め延伸装置T3は、2つの把持具走行支持具の経路の長さが異なる場合、一方または両方の把持具走行支持具に把持具の走行速度を増減される速度調整機構(不図示)をさらに有してもよい。同図では、外回りの把持具走行支持具Roの経路上に、把持具の走行速度を高める速度調整機構が設けられた例を示している。
速度調整機構は、把持解放点において、延伸後のフィルムFの把持を解放した把持具1oが再度把持開始点に戻るまでの走行速度を調整する機構である。把持具の走行速度の調整方法は、特に限定されず、例えば把持具走行支持具に傾斜等を設ける方法、風等を吹き付ける方法、磁場を発生させる方法、把持具走行支持具を摩擦係数の異なる複数の区間に分ける方法などでありうる。
把持具の走行速度は、全長の短い把持具走行支持具の経路を走行する把持具の速度を遅くするか、全長の長い把持具走行支持具の経路を走行する把持具の速度を早くするか、その両方を組み合わせるかにより調整することができる。図4において、参照符号Cは、速度調整機構により把持具の走行速度が調整される区間を示している。図4では、速度調整機構により把持具の走行速度が調整される区間Cは、把持解放点でフィルムを解放した把持具が把持開始点まで走行する区間である。
図4に示されるように、上記区間Cには、速度調整機構により加速された把持具1oが走行する。このように、把持具の走行速度を調整することにより、把持具走行支持具の経路の全長を同じにする必要がなく、装置の大幅な設計変更が不要となる。また、把持具走行支持具の経路パターンや延伸角度を調整する際に、把持具の走行速度をどの程度調整する必要があるかを予め算出することができる。その結果、斜め延伸する角度等を変更した場合でも、それに合わせて常に同じ把持具対が、把持開始点で整列するように、把持具の走行速度を調整できるため、利便性がよい。なお、図4では、把持解放点を結んだ直線と、延伸フィルムFの搬送方向とがなす角度θbが90°である場合を示したが、図2で示されるのと同様に、上記角度θbが0°を超え90°未満であってもよい。
図4に示される斜め延伸装置では、把持具走行支持具の経路は、特に長尺状のフィルムの搬送が斜めになる箇所に、大きな屈曲率の屈曲部を有することがある。急激な屈曲による把持具同士の干渉、あるいは局所的な応力集中を避ける目的から、屈曲部では、把持具の軌跡が円弧を描くようにすることが望ましい。
延伸後のフィルムを、必要に応じて乾燥させた後、巻き取る。フィルムの乾燥は、前述と同様に、フィルムを上下に配置した多数のローラーにより搬送しながら乾燥させてもよいし(ローラー方式)、フィルムの両端部をクリップで固定して搬送しながら乾燥させてもよい(テンター方式)。
B)溶融流延法
本発明の光学フィルムを溶融流延法で製造する方法は、B1)溶融ペレットを製造する工程(ペレット化工程)、B2)溶融ペレットを溶融混練した後、押し出す工程(溶融押出し工程)、B3)溶融樹脂を冷却固化してフィルムを得る工程(冷却固化工程)、B4)フィルムを延伸する工程(延伸工程)、を含む。
B1)ペレット化工程
光学フィルムの主成分であるセルロースエステルを含む樹脂組成物は、あらかじめ混練してペレット化しておくことが好ましい。ペレット化は、公知の方法で行うことができ、例えば前述のセルロースエステルと、必要に応じて可塑剤等の添加剤とを含む樹脂組成物を、押し出し機にて溶融混錬した後、ダイからストランド状に押し出す。ストランド状に押し出された溶融樹脂を、水冷又は空冷した後、カッティングしてペレットを得ることができる。
ペレットの原材料は、分解を防止するために、押し出し機に供給する前に乾燥しておくことが好ましい。
酸化防止剤とセルロースエステルの混合は、固体同士で混合してもよいし、溶剤に溶解させた酸化防止剤を、セルロースエステルに含浸させて混合してもよいし、酸化防止剤を、セルロースエステルに噴霧して混合してもよい。また、押し出し機のフィーダー部分やダイの出口部分の周辺の雰囲気は、ペレットの原材料の劣化を防止するため等から、除湿した空気または窒素ガス等の雰囲気とすることが好ましい。
押し出し機では、樹脂の劣化(分子量の低下、着色、ゲルの生成等)が生じないように、低いせん断力または低い温度で混練することが好ましい。例えば、2軸押し出し機で混練する場合、深溝タイプのスクリューを用いて、2つのスクリューの回転方向を同方向にすることが好ましい。均一に混錬するためには、2つのスクリュー形状が互いに噛み合うようにすることが好ましい。
セルロースエステルを含む樹脂組成物をペレット化せずに、溶融混練していないセルロースエステルをそのまま原料として押し出し機にて溶融混練して光学フィルムを製造してもよい。
B2)溶融押出し工程
得られた溶融ペレットと、必要に応じて他の添加剤とを、ホッパーから押し出し機に供給する。ペレットの供給は、ペレットの酸化分解を防止するため等から、真空下、減圧下または不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。そして、押し出し機にて、フィルム材料である溶融ペレット、必要に応じて他の添加剤を溶融混練する。
押し出し機内のフィルム材料の溶融温度は、フィルム材料の種類にもよるが、フィルムのガラス転移温度をTg(℃)としたときに、好ましくはTg〜(Tg+100)℃の範囲内であり、より好ましくは(Tg+10)〜(Tg+90)℃の範囲内である。
さらに、可塑剤や微粒子等の添加剤を、押し出し機の途中で添加する場合、これらの成分を均一に混合するために、押し出し機の下流側に、スタチックミキサー等の混合装置をさらに配置してもよい。
押し出し機から押し出された溶融樹脂を、必要に応じてリーフディスクフィルター等でろ過した後、スタチックミキサー等でさらに混合して、ダイからフィルム状に押し出す。
押出し流量は、ギヤポンプを用いて安定化させることが好ましい。また、異物の除去に用いるリーフディスクフィルターは、ステンレス繊維焼結フィルターであることが好ましい。ステンレス繊維焼結フィルターは、ステンレス繊維体を複雑に絡み合わせたうえで圧縮し、接触箇所を焼結して一体化したもので、その繊維の太さと圧縮量により密度を変え、ろ過精度を調整できる。
ダイの出口部分における樹脂の溶融温度は、200〜300℃程度の範囲内とし得る。
B3)冷却固化工程
ダイから押し出された樹脂を、冷却ローラーと弾性タッチローラーとでニップして、フィルム状の溶融樹脂を所定の厚さにする。そして、フィルム状の溶融樹脂を、複数の冷却ローラーで段階的に冷却して固化させる。
冷却ローラーの表面温度は、フィルムのガラス転移温度をTg(℃)としたとき、Tg(℃)以下としうる。複数の冷却ローラーの表面温度は異なっていてもよい。
弾性タッチローラーは挟圧回転体ともいう。弾性タッチローラーは、市販のものを用いることもできる。弾性タッチローラー側のフィルム表面温度は、フィルムのTg〜(Tg+110)℃の範囲内としうる。
冷却ローラーから固化したフィルム状の溶融樹脂を剥離ローラー等で剥離してフィルムを得る。フィルム状の溶融樹脂を剥離する際は、得られるフィルムの変形を防止するために、張力を調整することが好ましい。
B4)延伸工程
溶液流延法と同様に、得られたフィルムを、延伸機にて斜め方向に延伸してフィルムを得る。フィルムの延伸方法、延伸倍率および延伸温度についても、溶液流延法と同様としうる。
3.円偏光板
本発明の円偏光板は、偏光子(直線偏光膜)と、その少なくとも一方の面上に配置された本発明の光学フィルムとを有する。本発明の光学フィルムは、偏光子に直接配置されてもよいし、他の層またはフィルムを介して配置されてもよい。
偏光子は、ヨウ素系偏光膜、二色染料を用いた染料系偏光膜またはポリエン系偏光膜でありうる。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般的には、ポリビニルアルコール系フィルムを一軸延伸した後、ヨウ素または二色性染料で染色して得られたフィルムであってもよいし;ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素または二色性染料で染色した後、一軸延伸したフィルム(好ましくは、さらにホウ素化合物で耐久性処理を施したフィルム)であってもよい。偏光子の吸収軸は、フィルムの延伸方向と平行である。
ポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール水溶液を製膜したものであってもよい。ポリビニルアルコール系フィルムは、偏光性能および耐久性能に優れ、色斑が少ない等ことから、エチレン変性ポリビニルアルコールフィルムが好ましい。
二色性染料の例には、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素およびアントラキノン系色素等が含まれる。
偏光子の厚さは、5〜30μmの範囲内であることが好ましく、10〜20μmの範囲内であることがより好ましい。
円偏光板としての機能を得るためには、偏光子の吸収軸(または透過軸)と、本発明の光学フィルムの面内の遅相軸とがなす角度は、40〜50°の範囲内であることが好ましく、45°であることがより好ましい。
偏光子と本発明の光学フィルムとの間に、反射偏光板をさらに配置してもよい。反射偏光板は、偏光子の透過軸と平行な方向の直線偏光を透過させ、透過軸とは異なる方向の直線偏光を反射する。そのような円偏光板を有する有機EL表示装置は、発光層が発光した光をより多く、外側に出射させることができる。
反射偏光板の例には、一方向において屈折率の異なる高分子薄膜を交互に積層した複屈折光偏光子(特表平8−503312号公報に記載)、コレステリック構造を有する偏光分離膜(特開平11−44816号公報に記載)等が含まれる。また、偏光子の表面に保護膜をさらに配置してもよい。
偏光子の一方の面上に本発明の光学フィルムが配置される場合、偏光子の他方の面には、本発明の光学フィルム以外の透明保護フィルムが配置されてもよい。透明保護フィルムは、特に制限されず、通常のセルロースエステルフィルム等であってよい。セルロースエステルフィルムの例には、市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UCR5、KC8UY、KC6UY、KC4UY、KC4UE、KC8UE、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、KC8UXW−RHA−C、KC8UXW−RHA−NC、KC4UXW−RHA−NC(以上、コニカミノルタアドバンストレイヤー(株)製)等)が好ましく用いられる。
透明保護フィルムの厚さは、特に制限されないが、10〜200μm程度の範囲内とすることができ、好ましくは10〜100μmの範囲内であり、より好ましくは10〜70μmの範囲内である。
本発明の光学フィルムまたは透明保護フィルムが、ディスプレイの最表面に配置される場合、これらのフィルムの最表面には、透明ハードコート層、防眩層、反射防止層等がさらに設けられてもよい。
円偏光板は、偏光子と、本発明の光学フィルムとを貼り合わせるステップを経て製造することができる。貼り合わせに用いられる接着剤は、例えば水系接着剤(完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液)や活性エネルギー線硬化型接着剤などでありうる。得られる偏光板の透湿性を効果的に低減できる点などから、活性エネルギー線硬化性接着剤が好ましい。
活性エネルギー線硬化型接着剤は、硬化性化合物を含み、必要に応じて光重合開始剤をさらに含みうる。活性エネルギー線硬化型接着剤が電子線硬化型である場合は、光重合開始剤を含有させることは特に必要ではないが、紫外線硬化型である場合は、光重合開始剤を含有することが好ましい。
硬化性化合物は、エポキシ化合物などのカチオン重合性化合物であってもよいし、(メタ)アクリル化合物などのラジカル重合性化合物であってもよい。
ラジカル重合型の活性エネルギー線硬化性接着剤
ラジカル重合型の活性エネルギー線硬化性接着剤に含まれる硬化性化合物は、ラジカル重合性化合物であり、その例には、(メタ)アクリロイル基を有する化合物などが含まれる。
(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、各種のエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、各種の(メタ)アクリレート系モノマー等でありうる。
(メタ)アクリロイル基を有する化合物の例には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の炭素数は1〜12のアルキル(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリルや(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレートなどのヒドロキシ基含有モノマーなどが挙げられる。硬化性成分は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
光重合開始剤は、ラジカル重合性化合物と組み合わせる場合、光ラジカル重合開始剤である。光ラジカル重合開始剤の例には、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトンなどのアセトフェノン系化合物;ベンゾインエチルエーテルなどのベンゾインエーテル系化合物;3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物などが含まれる。
光重合開始剤の含有量は、硬化性成分100質量部あたり、通常0.1〜10質量部程度、好ましくは0.5〜3質量部の範囲である。
以下、活性エネルギー線硬化型接着剤を用いた円偏光板の製造方法の一例を説明する。円偏光板は、1)本発明の光学フィルムの接着面を易接着処理する前処理工程、2)偏光子と光学フィルムの少なくとも一方に、前述の活性エネルギー線硬化型接着剤を塗布する工程(接着剤塗布工程)、3)得られた接着剤層を介して偏光子と光学フィルムとを貼り合せる工程(貼合工程)、および4)接着剤層を介して偏光子と光学フィルムとが貼り合わされた状態で接着剤層を硬化させる工程(硬化工程)を含む製造方法によって製造することができる。
(前処理工程)
前処理工程では、偏光子と接着する光学フィルムの表面を易接着処理する。易接着処理の例には、コロナ処理などが含まれる。次の接着剤塗布工程では、易接着処理された表面が偏光子との接着面となる。
(接着剤塗布工程)
接着剤塗布工程では、偏光子と光学フィルムの接着面のうち少なくとも一方に、前述の活性エネルギー線硬化型接着剤を塗布する。活性エネルギー線硬化型接着剤の塗布方法は、特に限定されず、例えばドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーター等でありうる。また、偏光子と光学フィルムの間に活性エネルギー線硬化型接着剤を流延させた後、ロール等で加圧して均一に押し広げる方法も利用できる。
(貼合工程)
偏光子または光学フィルム上に活性エネルギー線硬化型接着剤を塗布した後、互いに積層する。そして、得られた積層物をロール等で挟んで加圧して貼り合わせる。ロールの材質は、金属やゴム等を用いることが可能である。両面に配置されるロールは、同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。
(硬化工程)
硬化工程では、前述で貼り合わせた積層物に活性エネルギー線を照射して、活性エネルギー線硬化型接着剤の塗布層を硬化させる。それにより、偏光子と光学フィルムとを活性エネルギー線硬化型接着剤の硬化物層を介して接着させる。活性エネルギー線の照射は、偏光子または光学フィルムの積層物の片面または両面から行うことができる。
活性エネルギー線としては、可視光線、紫外線、X線、電子線等を用いることができるが、取扱いが容易で硬化速度も十分であることから、一般には紫外線が好ましく用いられる。活性エネルギー線の光源は、特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有する、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ、LEDランプ等を用いることができる。
活性エネルギー線の照射強度は、目的とする組成物毎に決定されるものであって、やはり特に限定されないが、重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が、UV−B(280〜320nmの中波長域紫外線)として1〜3,000mW/cmの範囲となるように調整することが好ましい。照射強度が1mW/cmを下回ると、反応時間が長くなりすぎ、照射強度が3,000mW/cmを超えると、ランプから輻射される活性エネルギー線硬化型接着剤の重合時の発熱によって、光硬化性接着剤の黄変や偏光子の劣化を生じる可能性がある。
活性エネルギー線の照射時間は、硬化する組成物毎に制御されるものであって、特に限定されないが、照射強度と照射時間の積で表される積算光量が10〜5000mJ/cmの範囲となるように設定されることが好ましい。積算光量が10mJ/cmを下回ると、重合開始剤に由来する活性種の発生が十分でなく、接着剤層の硬化が不十分となる可能性がある。一方、積算光量が5000mJ/cmを超えると、照射時間が非常に長くなり、生産性向上には不利なものとなる。
活性エネルギー線の照射条件は、偏光子の偏光度、透過率、色相、光学フィルムの透明性などを低下させない範囲にすることが好ましい。
前述の通り、本発明の光学フィルムは、380nmでの透過率が20〜90%の範囲に調整されている。そのため、本発明の光学フィルムは、紫外線を吸収しにくく、それによる発熱も抑制される。それにより、円偏光板を作製する際の硬化工程において、紫外線照射による光学フィルムの熱収縮を抑制し、それによる位相差変動を低減できる。
以上のようにして得られた偏光板において、活性エネルギー線硬化型接着剤の硬化物層の厚さは、特に限定されないが、通常、50μm以下であり、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。
円偏光板は、後述する画像表示装置に好ましく用いられる。
4.画像表示装置
本発明の画像表示装置は、本発明の光学フィルムを有する。画像表示装置は、例えば有機EL表示装置や液晶表示装置などでありうる。
図5は、有機EL表示装置の構成の一例を示す模式図である。図5に示されるように、有機EL表示装置10は、光反射電極12、発光層14、透明電極層16、透明基板18および円偏光板20をこの順に有している。
光反射電極12は、光反射率の高い金属材料で構成されていることが好ましい。金属材料の例には、Mg、MgAg、MgIn、Al、LiAl等が含まれる。光反射電極12の表面が平坦であるほど、光の乱反射を防止できるので好ましい。
光反射電極12は、スパッタリング法により形成されうる。光反射電極12は、パターニングされていてもよい。パターニングは、エッチングにより行われうる。
発光層14は、R(レッド)、G(グリーン)およびB(ブルー)の発光層を含む。各発光層は、発光材料を含有する。発光材料は、無機化合物であっても、有機化合物であってもよく、好ましくは有機化合物である。
R、G、Bの各発光層は、電荷輸送材料をさらに含み、電荷輸送層としての機能をさらに有していてもよい。R、G、Bの各発光層は、ホール輸送材料をさらに含み、ホール輸送層としての機能をさらに有していてもよい。R、G、Bの各発光層が、電荷輸送材料またはホール輸送材料を含まない場合、有機EL表示装置10は、電荷輸送層またはホール輸送層をさらに有しうる。
発光層14は、発光材料を蒸着して形成することができる。R、G、Bの各発光層は、それぞれパターニングされて得られる。パターニングは、フォトマスク等を用いて行うことができる。
透明電極層16は、一般的には、ITO(酸化インジウムスズ)電極でありうる。透明電極層16は、スパッタリング法等により形成されうる。透明電極層16は、パターニングされていてもよい。パターニングは、エッチングにより行うことができる。
透明基板18は、光を透過させうるものであればよく、ガラス基板、プラスチックフィルム等でありうる。
円偏光板20は、λ/4位相差フィルム20Aが透明基板18側に位置し、偏光子20Bが視認側に位置するように配置されている。
有機EL表示装置10は、光反射電極12と透明電極層16との間を通電させると、発光層14が発光し、画像を表示することができる。また、R、GおよびBの発光層のそれぞれが通電可能に構成されていることで、フルカラー画像の表示が可能となる。
円偏光板20は、λ/4位相差フィルム20Aと、偏光子20Bとを有している。λ/4位相差フィルム20Aを、本発明の光学フィルムとすることができる。偏光子20Bは、直線偏光膜である。
本発明の光学フィルムまたはそれを含む円偏光板は、前述した構成を有する有機EL表示装置だけでなく、国際特許出願WO96/34514号明細書、特開平9−127885号公報および同11−45058号公報に記載の有機EL表示装置にも適用することができる。その場合、予め設けられた有機EL表示装置の反射防止手段に代えて、またはそれとともに、本発明の光学フィルムまたは円偏光板を配置すればよい。また、本発明の光学フィルムまたは円偏光板は、例えば「エレクトロルミネッセンスディスプレイ」(猪口敏夫著、産業図書株式会社、1991年発行)に記載の無機EL表示装置にも適用することができる。
図6は、上記円偏光板20による反射防止機能を説明する模式図である。図6に示されるように、有機EL表示装置10の表示画面の法線に平行に、外部から直線偏光a1およびb1を含む光が入射すると、偏光子20Bの透過軸方向と平行な直線偏光b1のみが偏光子20Bを通過する。偏光子20Bの透過軸と平行でない他の直線偏光a1は、偏光子20Bに吸収される。偏光子20Bを通過した直線偏光b2は、λ/4位相差フィルム20Aを通過することで、円偏光c2に変換される。円偏光c2は、有機EL表示装置10の光反射電極12(図5参照)で反射されると、逆回りの円偏光c3となる。逆回りの円偏光c3は、λ/4位相差フィルム20Aを通過することで、偏光子20Bの透過軸に直交する直線偏光b3に変換される。この直線偏光b3は、偏光子20Bに吸収され、通過できない。
このように、有機EL表示装置10に外部から入射する光(直線偏光a1およびb1を含む)は、全て偏光子20Bに吸収されるため、有機EL表示装置10の光反射電極12で反射しても、外部に出射しない。したがって、背景の映り込みによる画像表示特性の低下を防止することができる。
前述の通り、本発明の光学フィルムからなるλ/4位相差フィルム20Aは、式(1)で表される化合物を含む。そのため、λ/4位相差フィルム20Aは、十分な逆波長分散性を示し、かつ波長分散性のムラが低減されている。それにより、広い波長領域の光に対してλ/4の位相差を有しうる。そのため、外部から入射した光の大部分を、有機EL表示装置10の外部に漏れないようにすることができる。よって、有機EL表示装置10を黒表示させたときの正面方向の光漏れを抑制し、反射を防止することができる。
さらに、本発明の光学フィルムからなるλ/4位相差フィルム20Aは、高い位相差を有するため、フィルムの厚さを小さくすることができる。その結果、表示装置における正面方向の色味と斜め方向の色味との差を小さくすることができ、斜め方向からの視認性を高めることができる。
また、有機EL表示装置10の内部からの光、すなわち発光層14からの光は、円偏光c3およびc4の2つの円偏光成分を含む。一方の円偏光c3は、上述のようにλ/4位相差フィルム20Aを通過することで直線偏光b3に変換され、偏光子20Bを通過できずに吸収される。他方の円偏光c4は、λ/4位相差フィルム20Aを通過することで、偏光子20Bの透過軸と平行な直線偏光b4に変換される。そして、直線偏光b4は偏光子20Bを通過して、直線偏光b4となり、画像として認識される。
偏光子20Bとλ/4位相差フィルム20Aとの間に、反射偏光板(不図示)をさらに配置し、偏光子20Bの透過軸と直交する直線偏光b3を反射してもよい。反射偏光板は、直線偏光b3を偏光子20Bで吸収させずに反射させ、それを光反射電極12で再度反射させて、偏光子20Bの透過軸と平行な直線偏光b4に変換することができる。反射偏光板をさらに配置することで、発光層14が発光した光の全て(円偏光c3およびc4)を外側に出射させることができる。
本発明の円偏光板は、前述のように位相差変動が低減された本発明の光学フィルムを含む。そのため、本発明の円偏光板を含む有機EL表示装置は、コントラストの低下や色変動が低減されうる。
図7は、液晶表示装置の構成の一例を示す模式図である。図7に示されるように、液晶表示装置30は、液晶セル40と、液晶セル40を挟持する2つの偏光板50および60と、バックライト70とを有する。
液晶セル40の表示方式は、特に制限されず、TN(Twisted Nematic)方式、STN(Super Twisted Nematic)方式、IPS(In-Plane Switching)方式、OCB(Optically Compensated Birefringence)方式、VA(Vertical Alignment)方式(MVA;Multi-domain Vertical Alignment、PVA;Patterned Vertical Alignmentを含む)、HAN(Hybrid Aligned Nematic)方式等がある。コントラストを高めるためには、VA(MVA、PVA)方式が好ましい。
VA方式の液晶セルは、一対の透明基板と、それらの間に挟持された液晶層とを有する。
一対の透明基板のうち、一方の透明基板には、液晶分子に電圧を印加するための画素電極が配置される。対向電極は、一方の透明基板(画素電極が配置された透明基板)に配置されてもよいし、他方の透明基板に配置されてもよい。
液晶層は、負または正の誘電率異方性を有する液晶分子を含む。液晶分子は、透明基板の液晶層側の面に設けられた配向膜の配向規制力により、電圧が印加されずに、画素電極と対向電極との間に電界が生じていない時には、液晶分子の長軸が、透明基板の表面に対して略垂直となるように配向している。
このように構成された液晶セルでは、画素電極に画像信号に応じた電圧を印加することで、画素電極と対向電極との間に電界を生じさせる。これにより、透明基板の表面に対して垂直に初期配向している液晶分子を、その長軸が基板面に対して水平方向となるように配向させる。このように、液晶層を駆動し、各副画素の透過率及び反射率を変化させて画像表示を行う。
偏光板50は、液晶セル40の視認側に配置され、偏光子52と、偏光子52の視認側の面に配置された保護フィルム54と、偏光子52の液晶セル側に配置された保護フィルム56とを有する。偏光板60は、液晶セル40のバックライト70側に配置され、偏光子62と、偏光子62の液晶セル側の面に配置された保護フィルム64と、偏光子62のバックライト側に配置された保護フィルム66とを有する。保護フィルム56および64の一方は、必要に応じて省略されてもよい。
保護フィルム54、56、64および66のうちのいずれか;好ましくは保護フィルム66を、本発明の光学フィルムとすることができる。
以下において、実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。これらの実施例によって、本発明の範囲は限定して解釈されない。
1.光学フィルムの材料
1)セルロースエステル
下記表のセルロースエステルを準備した。
セルロースエステルA:アセチル基置換度2.40のセルロースジアセテート(数平均分子量70000)
セルロースエステルB:アセチル基置換度1.58、プロピオニル基置換度0.9、総アシル基置換度2.48のセルロースアセテートプロピオネート(数平均分子量70000)
セルロースエステルC:アセチル基置換度2.85のセルローストリアセテート(数平均分子量70000)
2)波長分散剤
一般式(1)で表される化合物
例示化合物A−002、A−018、A−020、
例示化合物B−002、B−013、B−023、
例示化合物C−001、C−010、C−025、C−026、
例示化合物D−001、D−004、D−016、D−018、D−019、D−025
例示化合物A−002の合成
例示化合物A−002は、以下のスキームによって合成した。
Figure 2014145852
即ち、化合物Aを7.0g含むトルエン(45mL)溶液に、塩化チオニル6.4mLを添加し、60℃で2時間撹拌後、溶媒と塩化チオニルを減圧留去して化合物Bを得た。一方、テトラヒドロフラン100mLに、2,3-ジクロロ-1,4-ジヒドロキシ-5-ニトロナフタレン2gとジメチルアミノピリジン0.1gとを加え、氷水冷浴で冷却後、化合物Bのテトラヒドロフラン(5mL)溶液を滴下した。室温で3時間撹拌した後、水および酢酸エチルを加え、抽出した。有機層から溶媒を減圧留去し、得られた粗結晶をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)により精製し、例示化合物A−002を3.5g得た。得られた化合物は、NMRスペクトルおよびMASSスペクトルにより同定した。
例示化合物B−002の合成
例示化合物B−002は、特開2008−107767号公報の段落0170の実施例12と同様の方法で合成した。
例示化合物C−001の合成
例示化合物C−001は、以下のスキームで合成した。
Figure 2014145852
2,5-ジヒドロキシテレフタル酸 5.0g、ボロントリフルオリド-エチルエーテル錯体10gおよびn−ブタノール30mlを、130℃で3時間撹拌した後、冷却した。これに、酢酸エチル200mlと水100mlをさらに加えて、中性になるまで分液した。これを、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、減圧濃縮した。得られた固体をシリカゲルクロマトグラフィー(トルエン/アセトン)により精製し、化合物Cを3.5g得た。
化合物C2.0gと、化合物D6.0gと、炭酸カリウム10gとを、DMF50ml中で100℃10時間反応させた。反応終了後、反応液を水に滴下し、得られた固体をろ過した。得られた固体をシリカゲルクロマトグラフィー(トルエン/アセトン)により精製し、例示化合物C−001を1.2g得た。得られた化合物はNMRスペクトルおよびMASSスペクトルにより同定した。
例示化合物D−016の合成
例示化合物D−016は、以下のスキームで合成した。
Figure 2014145852
エステル管を備えた反応容器に、トルエン125ml、マロン酸12.5g、n-プロパノール30mlおよびp−トルエンスルホン酸一水和物11.42gを投入し、窒素雰囲気下、加熱還流しながら5時間攪拌した。反応の経過とともに、水の留去が確認した。その後、得られる反応液から溶媒を減圧留去し、シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)で精製して、化合物Eを19.8g得た。
ピリジン100ml中に、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド5gを加えて10℃でパラメトキシ安息香酸クロライド12.2gを2時間で滴下した。滴下終了後、室温で5時間撹拌した。反応終了後、ピリジンを減圧留去し、メタノール100mlで懸濁した。懸濁液をろ過した後、シリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/トルエン)で精製して、化合物Fを6.3g得た。
エステル管を備えた反応容器に、トルエン50ml、化合物E5.0g、化合物F3.1gおよびピペリジン1.5gを投入し、窒素雰囲気下、加熱還流しながら5時間攪拌した。反応の経過とともに、水の留去が確認される。得られた反応液を冷却後、水およびジクロロメタンを加えて、抽出した。有機層から溶媒を減圧留去し、得られた粗結晶をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/トルエン)で精製し、例示化合物D−016を3.3g得た。得られた化合物はNMRスペクトルおよびMASSスペクトルにより同定した。
その他の例示化合物の合成
例示化合物A−018、A−020は、前述の例示化合物A−002の合成方法と同様に;例示化合物B−013、B−023は、例示化合物B−001の合成方法と同様に;例示化合物C−010、C−025、C−026は、前述の例示化合物C−001の合成方法と同様に;例示化合物D−001、D−004、D−018、D−019、D−025は、前述の例示化合物D−016の合成方法と同様に合成した。
比較化合物
下記比較化合物E−001およびE−002
Figure 2014145852
上記例示化合物および比較化合物の、溶液吸収スペクトルを以下の方法で測定した。
[溶液吸収スペクトルの測定]
上記例示化合物および比較化合物を、テトラヒドロフラン(安定剤なし)に溶解させて、濃度1.0×10−5mol/Lの溶液を得た。得られた溶液を、石英セル(10mm長四角セル)に入れて、紫外線可視赤外分光光度計(U−570、日本分光社製)を用いて、溶液の波長領域250〜400nmの範囲の吸光度を測定した。そして、得られた溶液吸収スペクトルにおける吸収ピークを求めた。なお、上記波長範囲に吸収ピークが複数ある場合、最も長波長側にあるピークを吸収ピークとした。
A:吸収ピークが320nm以上350nm未満の範囲内
B:吸収ピークが300nm以上320nm未満、350nm以上360nm以下の範囲内
C:吸収ピークが300nm未満の範囲または360nm超の範囲
2.光学フィルムの作製
(実施例1)
微粒子分散液1の調製
下記成分を、ディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散させて、微粒子分散液1を得た。
(微粒子分散液1の組成)
微粒子(アエロジル R972V 日本アエロジル(株)製):11質量部
エタノール:89質量部
微粒子添加液1の調製
得られた微粒子分散液1を、メチレンクロライドを投入した溶解タンクに十分攪拌しながらゆっくりと添加した後、アトライターにて分散させた。得られた溶液を、日本精線(株)製のファインメットNFで濾過して、微粒子添加液1を得た。
(微粒子添加液1の組成)
メチレンクロライド:99質量部
微粒子分散液1:5質量部
主ドープ液の調製
加圧溶解タンクに、メチレンクロライドとエタノールを投入し、さらにセルロースエステルA、例示化合物A−002、糖エステル化合物FA−7および微粒子添加液1を攪拌しながら投入した。得られた溶液を加熱し、攪拌しながら完全に溶解させた。得られた溶液を、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープ液を得た。
(主ドープ液の組成)
メチレンクロライド:340質量部
エタノール:64質量部
セルロースエステルA:100質量部
例示化合物A−002:4質量部
糖エステル化合物FA−7:5質量部
微粒子添加液1:1質量部
得られた主ドープ液を密閉容器に投入し、加圧下で80℃に保温し攪拌しながら完全に溶解して、ドープ液を得た。
得られたドープ液を、無端ベルト流延装置を用いて、ステンレスベルト支持体上に均一に流延させた。ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したドープ膜中の溶媒を、残留溶媒量が75%になるまで蒸発させた後、得られたフィルムをステンレスベルト支持体上から剥離した。得られたフィルムを、テンター延伸装置のクリップで把持しながら搬送した。得られたフィルムを、乾燥ゾーン内で、多数のロールで搬送させながら乾燥させて、幅1000mmの長尺状のフィルム(原反)を得た。長尺状のフィルムの膜厚は100μmであった。
得られたフィルムを、該フィルムのガラス転移温度+20℃の温度で、延伸倍率2.5倍にて斜め方向(フィルムの幅方向に対して45°)に延伸し、光学フィルム101を得た。得られた光学フィルム101の膜厚は、40μmであった。得られた光学フィルム101の面内遅相軸とフィルムの幅方向とのなす角度θは45°であった。光学フィルムの面内遅相軸は、Axometric社製のAxoScanにより確認した。
(実施例2〜20、比較例1〜4)
熱可塑性樹脂の種類、波長分散調整剤の種類と添加量および膜厚のいずれか一以上を表1に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして光学フィルム102〜124を得た。
得られた光学フィルムの380nmにおける透過率、R0、波長分散特性(R0(450)/R0(550)、R0(550)/R0(650))、UV照射時の位相差変動および耐候性を、以下の方法で評価した。
[透過率]
得られた光学フィルムの、25℃55%RH下、波長380nmにおける透過率をSpectrophotometer U−3200(日立製作所製)にて測定した。
[R0および波長分散特性]
1)光学フィルムを、23℃55%RHで調湿した。調湿後の光学フィルムの、450nm、550nmおよび650nmにおける平均屈折率を、アッベ屈折計と分光光源を用いてそれぞれ測定した。また、光学フィルムの厚みを、膜厚計を用いて測定した。
2)調湿後の光学フィルムに、フィルム表面の法線と平行に、測定波長450nm、550nmまたは650nmの光を入射させたときの面内方向の位相差R0(450)、R0(550)またはR0(650)を、Axometric社製のAxoScanにて測定した。
3)得られたR0(450)とR0(550)から、R0(450)/R0(550)を算出し;得られたR0(550)とR0(650)から、R0(550)/R0(650)を算出した。
[UV照射時の位相差変動]
耐候性試験機(アイスーパーUVテスター 岩崎電気株式会社製)にて、光学フィルムに2分間、紫外線を照射した後、前述と同様にして、波長550nmにおけるR0’(550)を測定した。そして、位相差の変化量ΔR0(照射前の位相差R0(550)−照射後の位相差R0’(550))を求めて、下記基準で評価した。
A:位相差の変化量ΔR0が2nm以下
B:位相差の変化量ΔR0が2nm超3nm以下
C:位相差の変化量ΔR0が3nm超5nm以下
D:位相差の変化量ΔR0が5nm超
A〜Cを合格とした。
[耐候性]
作製した光学フィルムの波長400nmにおける透過率T1を、前述と同様に、Spectrophotometer U−3200(日立製作所製)にて測定した。次いで、耐候性試験機(アイスーパーUVテスター 岩崎電気株式会社製)にて、光学フィルムに500時間紫外線を照射した後、波長400nmにおける透過率T2を測定した。そして、透過率の差ΔT=T1−T2を求めて、下記基準にて耐候性を評価した。
A:ΔTが2%未満
B:ΔTが2%以上4%未満
C:ΔTが4%以上
実施例1〜20および比較例1〜4の光学フィルムの評価結果を表1に示す。
Figure 2014145852
表1に示されるように、実施例1〜20に含まれる波長分散調整剤は、吸収ピークが300nm以上360nm以下の範囲にある。そのため、光学フィルムは、高い位相差と逆波長分散性とを有することがわかる。また、実施例1〜20の光学フィルムは、380nmでの透過率が20%以上に調整されている。そのため、実施例1〜20の光学フィルムは、UV照射時の位相差変動が少なく、耐候性が高いことがわかる。
一方、比較例1で用いた波長分散調整剤は、吸収ピークが300nm未満と極端に短波長側にあるため、逆波長分散性を示さないことがわかる。比較例2で用いた波長分散調整剤は、吸収ピークが360nm超と長波長側にあるため、それを含むフィルムの380nmでの透過率が低く、UV照射時の位相差変動が大きいことがわかる。比較例3の光学フィルムは、波長分散調整剤の含有量が多いため、380nmでの透過率が低く、UV照射時の位相差変動が生じることがわかる。比較例4の光学フィルムは、波長分散調整剤の含有量が少ないため、380nmでの透過率は高いが、位相差が低いことがわかる。
3.円偏光板および表示装置の作製
(実施例21)
偏光子の作製
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを、延伸温度110℃、延伸倍率5倍の条件で一軸延伸した。得られたフィルムを、ヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬した後、ヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。得られたフィルムを、水洗、乾燥して厚さ20μmの偏光子を得た。
UV接着剤の調製
2−ヒドロキシエチルアクリレート100重量部と、多官能ポリエステルアクリレート(サートマージャパン(株)製,商品名CN2302;アクリレートの数が16)5重量部とを配合して、UV接着剤を調製した。
円偏光板201の作製
作製した光学フィルム101上に、上記UV接着剤を、マイクログラビアコーター(グラビアロール:#300、回転速度:140%/ライン速)を用いて、硬化後の厚みが5μmになるように塗布して、接着剤付き光学フィルムとした。同様にして、コニカミノルタタックフィルムKC6UA(コニカミノルタオプト(株)製)上に上記UV接着剤を塗布して、接着剤付き透明保護フィルムとした。
上記作製した偏光子の一方の面に接着剤付き光学フィルム101を配置し;他方の面に接着剤付き透明保護フィルムを配置し、ロール機にて貼り合わせた。光学フィルム101と偏光子との貼り合わせは、偏光子の吸収軸と光学フィルム101の遅相軸とのなす角が45°となるように行った。得られた積層物の両面に、電子線を照射してUV接着剤を硬化させて、円偏光板を得た。ライン速度は20m/min、加速電圧は250kV、照射線量は20kGyとした。
表示装置301の作製
ガラス基板上に、スパッタリング法により、厚さ80nmのクロムからなる光反射電極を形成した。この光反射電極上に、陽極として厚さ40nmのITOの薄膜を形成した。次いで、この陽極上に、スパッタリング法により、厚さ80nmのポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)からなる正孔輸送層を形成した。この正孔輸送層上に、シャドーマスクを用いて、RGBの発光層(赤色発光層、緑色発光層および青色発光層)をそれぞれパターニング形成した。発光層の厚みは、各色毎に100nmとした。赤色発光層は、ホストとしてトリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム(Alq3)と発光性化合物[4−(dicyanomethylene)−2−methyl−6(p−dimethylaminostyryl)−4H−pyran](DCM)とを共蒸着(質量比99:1)して形成した。緑色発光層は、ホストとしてAlq3と、発光性化合物クマリン6とを共蒸着(質量比99:1)して形成し;青色発光層は、ホストとしてBAlqと発光性化合物Peryleneとを共蒸着(質量比90:10)して形成した。
Figure 2014145852
得られたRGBの発光層上に、真空蒸着法により、電子が効率的に注入できるような第1の陰極として、仕事関数の低いカルシウムからなる厚み4nmの薄膜を形成した。この第1の陰極上に、第2の陰極として厚み2nmのアルミニウムからなる薄膜を形成し、有機発光層を得た。第2の陰極として用いたアルミニウムは、その上に透明電極をスパッタリング法で成膜する際に、第1の陰極であるカルシウムが化学的に変質するのを防ぐ役割がある。
次いで、第2の陰極上に、スパッタリング法により、ITOからなる厚み80nmの透明導電膜(第1の陰極、第2の陰極および透明導電膜を、合わせて透明電極層とする)を形成した。さらに、透明導電膜上に、CVD法により、窒化珪素からなる厚み200nmの薄膜を形成し、絶縁膜(透明基板)とした。
得られた絶縁膜(透明基板)上に、円偏光板201を、粘着剤を介して貼り合わせて、有機EL表示装置301を得た。円偏光板201の貼り合わせは、光学フィルム101が絶縁膜側となるように行った。
(実施例22〜40、比較例5〜8)
光学フィルム101を、光学フィルム102〜124に変更した以外は実施例21と同様にして円偏光板202〜224および表示装置302〜324を得た。
得られた有機EL表示装置の正面方向の光漏れと、斜め方向の色味を、以下の方法で評価した。
[正面方向の光漏れ]
表示装置の表示画面から60cm離れた位置に設置した市販のデスクスタンド(MITSUBISHI inverter BB giraffe)で、表示画面に光を照射した状態で、表示装置に黒画像を1時間表示させた。黒画像の表示は、発光層を発光させない状態とした。その後、表示装置の表示画面から1m離れた位置に設置した輝度計(コニカミノルタ社製:CS−2000)で、表示画面の法線に対して倒れ角0.2°の方向の輝度を測定した。また、表示装置の表示画面から1m離れた位置において、観察者が、表示画面の黒さや色味のずれを官能評価した。正面方向の光漏れの評価は、以下の基準に基づいて行った。
◎:輝度が2cd/mより小さく、かつ黒く引き締まって見える
○:輝度が2cd/m以上3cd/m以下であり、かつ黒く引き締まって見える
×:輝度が3cd/mより大きいか、または黒く見えず、色付いて見える
[色味の変動]
23℃、55%RHの恒温恒湿室にて、表示装置の表示画面から60cm離れた位置に設置した市販のデスクスタンド(MITSUBISHI inverter BB giraffe)で、表示画面に光を照射した状態で、表示装置に黒画像を1時間表示させた。黒画像の表示は、発光層を発光させない状態とした。その後、表示装置の表示画面の、正面方向から観察したときの黒味のレベルと、表示画面の法線に対して45°の方向からの観察したときの黒味のレベルとを官能評価し、その差を比較した。斜め方向の色味の評価は、以下の基準に基づいて行った。
◎:正面方向と斜め方向とで、全く黒味に変化は見られない
○:正面方向と斜め方向とで、僅かに黒味に差は見られるが、気にならない程度
×:正面方向と斜め方向とで、外光反射の違いが気になる
実施例21〜40および比較例5〜8の有機EL表示装置の評価結果を表2に示す。
Figure 2014145852
表2に示されるように、実施例21〜40の表示装置は、比較例5〜8の表示装置よりも正面方向の光漏れや色味の変動が少ないことが示される。
本発明によれば、高い位相差と、良好な逆波長分散性とを有し、かつ紫外線照射時の熱収縮を抑制しうる光学フィルムを提供することができる。
10 有機EL表示装置
12 光反射電極
14 発光層
16 透明電極層
18 透明基板
20 円偏光板
20A λ/4位相差フィルム
20B 偏光子
30 液晶表示装置
40 液晶セル
50、60 偏光板
70 バックライト
52、62 偏光子
54、56、64、66 保護フィルム

Claims (13)

  1. 熱可塑性樹脂と、下記一般式(1)で表され、かつ溶液の紫外可視吸収スペクトルにおいて300〜360nmの範囲に吸収ピークを有する波長分散調整剤とを含む光学フィルムであって、
    前記光学フィルムの面内の遅相軸方向が、フィルムの幅方向に対して斜めであり、
    波長450nm、550nmおよび650nmで測定される面内方向のリターデーション値をそれぞれR0(450)、R0(550)およびR0(650)としたとき、式(a)〜(c)を満たし、
    波長380nmにおける透過率が20〜90%である、光学フィルム。
    (a)110nm≦R0(550)≦170nm
    (b)0.72≦R0(450)/R0(550)≦1.00
    (c)0.83≦R0(550)/R0(650)≦1.00
    一般式(1)
    Figure 2014145852
    (一般式(1)中、
    Aは、芳香族炭化水素環、非芳香族炭化水素環、芳香族複素環または非芳香族複素環を表し;
    およびLは、それぞれ独立に単結合または−R−O−、−O−R−、−O−C(=O)−R−、−C(=O)−O−R−(Rは、フェニレン基、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基を示す)、−O−、−(C=O)−、−(C=S)−、−(C=O)−O−、−NR−、−S−、−SO−、−(C=O)−NR−および−NR−(C=O)−(Rは、水素原子またはアルキレン基を表す)からなる群より選ばれる2価の連結基またはそれらの組合せを表し;
    およびRは、それぞれ独立にアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−(R)n−(Rは、シクロアルキレン基を示し、nは1〜4の整数を示す)、−(OR)n−(Rは、アルキレン基を示し、nは1〜4の整数を示す)、フェニレン基、ヘテロアルキレン基またはヘテロアリ−レン基を表し;
    およびRは、水素原子または置換基を表し;
    は、置換基を表し;
    kは、0〜4の整数を表し;
    複数のRは、互いに結合して環を形成してもよい)
  2. 前記一般式(1)で表わされる波長分散調整剤が、下記一般式(2)で表される化合物である、請求項1に記載の光学フィルム。
    一般式(2)
    Figure 2014145852
    (一般式(2)中、
    21およびL22は、それぞれ独立に単結合または−R−O−、−O−R−、−O−C(=O)−R−、−C(=O)−O−R−(Rは、フェニレン基、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基を示す)、−O−、−(C=O)−、−(C=S)−、−(C=O)−O−、−NR−、−S−、−SO−、−(C=O)−NR−および−NR−(C=O)−(Rは、水素原子またはアルキレン基を表す)からなる群より選ばれる2価の連結基またはそれらの組合せを表し;
    22およびR23は、それぞれ独立にアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−(R)n−(Rは、シクロアルキレン基を示し、nは1〜4の整数を示す)、−(OR)n−(Rは、アルキレン基を示し、nは1〜4の整数を示す)、フェニレン基、ヘテロアルキレン基またはヘテロアリ−レン基を表し;
    24およびR25は、水素原子または置換基を表し;
    21は、−(C=O)Rp、−(C=O)−O−Rp、−O−(C=O)−Rp、−(C=O)−S−Rp、−S−(C=O)−Rp(Rpは、アルキル基またはアリール基を示す)、−C(=O)−NRq(Rqは、アルキル基を表す)、アリール基、ヘテロアリール基、または前記R21が結合するベンゼン環と縮合した2,5−ジオン−ピロリジン環を表し;
    は、1〜4の整数を表す)
  3. 前記一般式(1)で表される波長分散調整剤が、下記一般式(3)で表される化合物である、請求項1に記載の光学フィルム。
    一般式(3)
    Figure 2014145852
    (一般式(3)中、
    31およびL32は、それぞれ独立に単結合または−R−O−、−O−R−、−O−C(=O)−R−、−C(=O)−O−R−(Rは、フェニレン基、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基を示す)、−O−、−(C=O)−、−(C=S)−、−(C=O)−O−、−NR−、−S−、−SO−および−(C=O)−NR−、−NR−(C=O)−(Rは、水素原子またはアルキレン基を表す)からなる群より選ばれる2価の連結基またはそれらの組合せを表し;
    33およびR34は、それぞれ独立にアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−(R)n−(Rは、シクロアルキレン基を示し、nは1〜4の整数を示す)、−(OR)n−(Rは、アルキレン基を示し、nは1〜4の整数を示す)、フェニレン基、ヘテロアルキレン基またはヘテロアリ−レン基を表し;
    36およびR37は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し;
    31およびR32は、それぞれ独立に水素原子または−(C=O)−O−Rt(Rtは、アルキル基、オキシアルキレン基またはアリール基を示す)、−C(=O)−Rv(Rvは、アルキル基またはアリール基を示す)、−C(=O)−NRwRx(Rwは、水素原子またはアルキル基を示し;Rxは、アルキル基を示す)、シアノ基またはハロゲン原子を表し;R31とR32は、互いに結合して環を形成してもよく;
    35は、置換基を表し;
    は、0〜3の整数を表す)
  4. 前記一般式(1)で表される波長分散調整剤が、下記一般式(4)で表される化合物である、請求項1に記載の光学フィルム。
    一般式(4)
    Figure 2014145852
    (一般式(4)中、
    およびBは、それぞれ独立に−O−、−NR−(Rは、水素原子または置換基を示す)、−S−、−S(=O)−および−C(=O)−からなる群から選ばれる2価の基を表し;
    破線部は、単結合または二重結合を表し;
    41およびL42は、それぞれ独立に単結合または−R−O−、−O−R−、−O−C(=O)−R−、−C(=O)−O−R−(Rは、フェニレン基、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基を示す)、−O−、−(C=O)−、−(C=S)−、−(C=O)−O−、−NR−、−S−、−SO−、−(C=O)−NR−および−NR−(C=O)−(Rは、水素原子またはアルキレン基を表す)からなる群より選ばれる2価の連結基またはそれらの組合せを表し;
    42およびR43は、それぞれ独立にアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−(R)n−(Rは、シクロアルキレン基を示し、nは1〜4の整数を示す)、−(OR)n−(Rは、アルキレン基を示し、nは1〜4の整数を示す)、フェニレン基、ヘテロアルキレン基またはヘテロアリ−レン基を表し;
    45およびR46は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し;
    41は、=R411412またはアリール基を表し;
    =R411412におけるR411およびR412は、それぞれ独立にシアノ基または−C(=O)−O−R(Rは、アルキル基またはアリール基を示す)を表し;
    44は、置換基を表し;
    は、0〜2の整数を表し;jが2である場合、2つのR44は互いに結合して環を形成してもよい)
  5. 380nmにおける透過率が、40〜85%の範囲内である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  6. 前記熱可塑性樹脂が、セルロースエステルである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  7. 前記セルロースエステルの、アセチル基置換度Xおよびプロピオニル基またはブチリル基の合計置換度Yが、下記式を満たす、請求項6に記載の光学フィルム。
    式(I) 1.5≦X+Y≦2.6
    式(II) 0≦Y≦1.5
  8. 膜厚が20〜45μmの範囲内である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  9. 前記一般式(1)で表される波長分散調整剤の含有量が、前記熱可塑性樹脂100重量部に対して1〜30重量部である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  10. 前記光学フィルムの面内の遅相軸と、前記光学フィルムの幅方向とのなす角度が40°以上50°以下である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  11. 偏光子と、請求項1〜10のいずれか一項に記載の光学フィルムとを含む、円偏光板。
  12. 前記偏光子と前記光学フィルムとは、活性エネルギー線接着剤の硬化物層を介して接着されている、請求項11に記載の円偏光板。
  13. 請求項11または12に記載の円偏光板を含む、画像表示装置。
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