JP7343429B2 - 位相差フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、位相差フィルムの製造方法に関する。
従来、液晶表示装置(LCD)、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(OLED)等の画像表示装置において、表示特性の向上や反射防止を目的としてλ/4板等の位相差フィルムが用いられている。位相差フィルムは、一般的に、樹脂フィルムを延伸して面内の位相差を制御することによって作製されている(例えば、特許文献1および2)。
上記位相差フィルムは、フィルムの構成材料によって、異なる波長分散特性(具体的には、位相差値が測定光の波長に応じて大きくなる逆波長分散特性、位相差値が測定光の波長に応じて小さくなる正の波長分散特性、または、位相差値が測定光の波長によってもほとんど変化しないフラットな波長分散特性)を示し得る。これらの中で、逆波長分散特性を示す位相差フィルムは、構成材料の樹脂が脆く、また、屈折率(Δn)が低い傾向にあることから、通常、延伸前に十分に予熱する必要があり、また、加熱信頼性を確保する観点から、延伸後の樹脂フィルムを収縮させて残留応力を緩和する。このような製造方法によれば、得られた位相差フィルムの幅方向端部と中央部とにおいて、配向軸の角度にムラが生じ易いことから、逆波長分散特性を示す位相差フィルムにおいて、加熱信頼性と配向軸精度との両立は困難である。
特許第5975776号 特許第5594125号
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、逆波長分散特性を示す位相差フィルムにおいて、加熱信頼性と配向軸精度とを両立することにある。
本発明の1つの局面によれば、下記式(1)および(2)を満たす位相差フィルムの製造方法であって、
0.8<R(450)/R(550)<1 (1)
1<R(650)/R(550)<1.2 (2)
(式(1)および(2)中、R(450)、R(550)およびR(650)はそれぞれ、23℃における波長450nm、550nmおよび650nmの光で測定したフィルムの正面位相差である)
長尺状の樹脂フィルムを、その幅方向の左右側縁部を左右のクリップで把持した状態で長手方向に走行させながら、予熱工程および延伸工程をこの順に行うことを含み、該予熱工程が、該樹脂フィルムを予熱することを含み、該延伸工程が、該左右のクリップの離間距離を徐々に拡大させて、該樹脂フィルムを延伸すること、を含み、該樹脂フィルムの走行方向と、該延伸工程における該左右のクリップの進行方向とのなす角度が、6°以下である、位相差フィルムの製造方法が提供される。
1つの実施形態において、上記予熱工程および上記延伸工程における上記樹脂フィルムの走行距離の合計に対する上記延伸工程における樹脂フィルムの走行距離の割合が、50%以上である。
1つの実施形態において、上記位相差フィルムの製造方法は、予熱工程、延伸工程および緩和工程をこの順に含み、該緩和工程が、上記樹脂フィルムを幅方向に収縮させることを含む。
1つの実施形態において、上記予熱工程、上記延伸工程および上記緩和工程における上記樹脂フィルムの走行距離の合計に対する上記延伸工程における樹脂フィルムの走行距離の割合が、50%以上である。
1つの実施形態において、上記位相差フィルムの製造方法は、下記式(3)をさらに満たす位相差フィルムの製造方法である。
100nm<R(550)<160nm (3)
(式(3)中、R(550)は、23℃における波長550nmの光で測定したフィルムの正面位相差である。)
本発明によれば、左右のクリップ間の距離を緩やかに拡大して樹脂フィルムを幅方向に延伸することにより、加熱信頼性と配向軸精度とが両立された、逆波長分散特性を示す位相差フィルムが得られ得る。
本発明の製造方法に用いられ得る延伸装置の一例の全体構成を説明する概略平面図である。 実施例で用いた延伸装置の各ゾーンにおける左右のレールの構成を示す概略図である。 実施例で用いた延伸装置の各ゾーンにおける左右のレールの構成を示す概略図である。 実施例で用いた延伸装置の各ゾーンにおける左右のレールの構成を示す概略図である。 実施例で用いた延伸装置の各ゾーンにおける左右のレールの構成を示す概略図である。 比較例で用いた延伸装置の各ゾーンにおける左右のレールの構成を示す概略図である。 比較例で用いた延伸装置の各ゾーンにおける左右のレールの構成を示す概略図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
本発明の1つの局面によれば、下記式(1)および(2)を満たす位相差フィルムの製造方法であって、
0.8<R(450)/R(550)<1 (1)
1<R(650)/R(550)<1.2 (2)
(式(1)および(2)中、R(450)、R(550)およびR(650)はそれぞれ、波長450nm、550nmおよび650nmにおける正面位相差である)
長尺状の樹脂フィルムを、その幅方向の左右側縁部を左右のクリップで把持した状態で長手方向に走行させながら、予熱工程および延伸工程をこの順に行うことを含み、該予熱工程が、該樹脂フィルムを予熱することを含み、該延伸工程が、該左右のクリップ間の距離を徐々に拡大させて、該樹脂フィルムを延伸すること、を含む、位相差フィルムの製造方法が提供される。本実施形態の位相差フィルムの製造方法において、該樹脂フィルムの走行方向と、該延伸工程における左右のクリップの進行方向とのなす角度は、6°以下である。
A.延伸装置
最初に、図1を参照して、本発明の実施形態による製造方法で用いられ得る延伸装置について説明する。図1は、本発明の実施形態による製造方法に用いられる延伸装置の一例の全体構成を説明する概略平面図である。図1に示す延伸装置100は、一対の左右のレール10L、10Rと、該左右のレール10L、10Rに沿って走行し、樹脂フィルムの幅方向の両側縁部を把持する複数対の左右のクリップ20L、20Rとを備える。また、図示しないが、延伸装置100は、代表的には、後述する各ゾーンにおいて樹脂フィルムを所定の温度に調整可能な加熱手段(オーブン等)をさらに備える。なお、本明細書においては、フィルムの入口側から見て左側のレールを左レール10L、右側のレールを右レール10Rと称する。延伸装置100においては、フィルムの入口側から出口側へ向けて、予熱ゾーンA、延伸ゾーンBおよび緩和ゾーンCがこの順に設けられている。なお、これらのそれぞれのゾーンは、延伸対象となる樹脂フィルムが実質的に予熱、延伸および緩和(収縮/安定化)されるゾーンを意味し、必ずしも機械的、構造的に独立した区画を意味するものではない。また、図1の延伸装置におけるそれぞれのゾーンの長さの比率は、実際の長さの比率と異なり得ることに留意されたい。
延伸装置100において、左右のレール10L、10Rは、平面視で左右対称に構成されており、予熱ゾーンAでは、左右のレール10L、10Rは、延伸対象の樹脂フィルムの初期幅に対応する離間距離で、該樹脂フィルムの長手方向と略平行に延びるように構成されている。延伸ゾーンBでは、予熱ゾーンAの側から緩和ゾーンCに向かうに従って左右のレール10L、10Rの離間距離が上記樹脂フィルムの延伸後の幅に対応するまで徐々に拡大するように構成されている。緩和ゾーンCは収縮ゾーンC1と安定化ゾーンC2とを搬送方向下流に向かってこの順で含む。収縮ゾーンC1は、延伸ゾーンB側から安定化ゾーンC2側に向かうに従って左右のレール10L、10Rの離間距離が徐々に縮小するように構成されている。安定化ゾーンC2では、左右のレール10L、10Rは、上記樹脂フィルムの収縮後の幅に対応する離間距離で互いに略平行となるよう構成されている。なお、上述の通り、左右のクリップ20L、20Rはそれぞれ、一対のレール10L、10Rに沿って走行することから、1つの実施形態においては、予熱ゾーンにおけるレールの伸びる方向と延伸ゾーンにおけるレールの伸びる方向とのなす角度θが、樹脂フィルムの走行方向と延伸工程における左右のクリップの進行方向とのなす角度に対応し得る。予熱ゾーンにおけるレールの伸びる方向と延伸ゾーンにおけるレールの伸びる方向とのなす角θは、代表的には6°以下、好ましくは0°を超え5.5°以下、より好ましくは1.0°~5.0°、さらに好ましくは2.0°~4.5°であり得る。
本発明の実施形態による製造方法に用いられる延伸装置は、上記図示例の延伸装置に限定されない。例えば、延伸装置は、フィルムの入口側から出口側へ向けて、予熱ゾーンAおよび延伸ゾーンBがこの順に設けられており、緩和ゾーンを有さないものであってもよい。また、緩和ゾーンが、収縮ゾーンまたは安定化ゾーンのみから構成されていてもよい。
B.位相差フィルムの製造方法
上記のような延伸装置を用いた位相差フィルムの製造方法によれば、延伸対象の樹脂フィルムは、延伸装置の入り口において複数対の左右のクリップで左右側縁部を把持および予熱され、次いで、レール幅が拡大する延伸ゾーンを通過走行することによって所望の位相差となるように延伸された後、必要に応じて収縮による残留応力の緩和および/または安定化が行われ、クリップから解放され得る。
よって、1つの実施形態において、上記位相差フィルムの製造方法は、長尺状の樹脂フィルムの左右側縁部をそれぞれ、左右のクリップによって把持すること(把持工程);該樹脂フィルムを予熱すること(予熱工程);該左右のクリップの離間距離を徐々に拡大させて、該樹脂フィルムを延伸すること(延伸工程);および該樹脂フィルムを左右のクリップから解放すること(解放工程);を含む。上記位相差フィルムの製造方法は、必要に応じて、延伸工程の後であって解放工程の前に緩和工程をさらに含み、緩和工程は、樹脂フィルムを幅方向に収縮させることおよび/または樹脂フィルムの配向状態を安定化させることを含み得る。以下、各工程について具体的に説明する。
B-1.把持工程
長尺状の樹脂フィルムは、延伸装置のフィルム取り込み口において、左右のクリップによって両側縁部を把持される。代表的には、樹脂フィルムは、左右のクリップによって、互いに等しい一定のクリップピッチで両側縁部を把持される。好ましくは、両側縁部を把持する際の一対の左右のクリップを結んだ線が樹脂フィルムの走行方向と略直交となるように把持される。両側縁部を左右のクリップで把持された樹脂フィルムは当該クリップの移動によって予熱ゾーンAに送られる。
B-2.予熱工程
予熱ゾーン(予熱工程)Aにおいては、左右のレール10L、10Rは、上記のとおり延伸対象となる樹脂フィルムの初期幅に対応する離間距離で、互いに略平行となるように(樹脂フィルムの走行方向と略平行な方向に延びるように)構成されているので、基本的には横延伸も縦延伸も行われず、樹脂フィルムが加熱される。ただし、予熱により樹脂フィルムのたわみが起こり、オーブン内のノズルに接触するなどの不具合を回避するために、わずかに左右クリップ間の離間距離を広げてもよい。
予熱工程においては、樹脂フィルムを温度T1(℃)まで加熱する。温度T1は、樹脂フィルムのガラス転移温度(Tg)以上であることが好ましく、より好ましくはTg+2℃以上、さらに好ましくはTg+5℃以上である。一方、加熱温度T1は、好ましくはTg+40℃以下、より好ましくはTg+30℃以下である。用いる樹脂フィルムにより異なるが、温度T1は、例えば70℃~190℃であり、好ましくは80℃~180℃である。
上記温度T1までの昇温時間および温度T1での保持時間は、樹脂フィルムの構成材料や製造条件(例えば、樹脂フィルムの搬送速度)に応じて適切に設定され得る。また、樹脂フィルムは段階的に加熱されてもよい。これらの昇温時間および保持時間は、クリップの移動速度、予熱ゾーンの長さ、予熱ゾーンの温度等を調整することにより制御され得る。予熱時間は、例えば8秒~180秒であり得る。
B-3.延伸工程
延伸ゾーンB(延伸工程)において、一対の左右のクリップ20L、20Rは、互いに等しい速度で走行してもよく、異なる速度で走行してもよい。上記のとおり、左右のレール10L、10Rは、平面視において左右対称に構成されていることから、一対の左右のクリップ20L、20Rが互いに等しい速度で走行する場合、これらの走行距離は互いに等しく、よって、樹脂フィルムは幅方向にのみ延伸される。一方、左右のクリップの走行速度が異なる場合、一方のクリップに走行遅れが生じることから、樹脂フィルムは斜め方向に延伸されることとなる。走行方向のクリップピッチが変化し得る可変ピッチ型のクリップを用いることにより、一対の左右のクリップを互いに異なる移動速度で走行させることができる。可変ピッチ型の構成は、パンタグラフ方式、リニアモーター方式、モーター・チェーン方式等の駆動方式を採用することにより実現され得る。パンタクラフ型の可変ピッチ型の構成は、例えば、特開2008-23775号公報等に詳細に記載されている。また、斜め延伸の延伸条件については、例えば、特開2013-054338号公報、特開2014-194484号公報、特開2014-238524号公報等に詳細に記載されている。
上記のとおり、延伸ゾーンB(延伸工程)においては、左右のレールの離間距離(結果として、左右のクリップの離間距離)が延伸後のフィルム幅に対応するまで徐々に拡大するように構成されており、樹脂フィルムの走行方向と、延伸ゾーンにおける左右のクリップの進行方向(換言すれば、延伸ゾーンにおける左右のレールの延びる方向)とのなす角度θは、代表的には6°以下である。角度θを6°以下とすることにより、幅方向への延伸が緩やかに行われ、結果として、幅方向における配向軸ムラの発生を抑制することができる。角度θは、好ましくは0°を超え5.5°以下、より好ましくは1.0°~5.0°、さらに好ましくは2.0°~4.5°であり得る。
幅方向の延伸倍率(延伸後のフィルム幅(W1)/初期フィルム幅(W0))は、好ましくは2.4~3.2、より好ましくは2.6~3.0、さらに好ましくは2.7~2.9である。なお、上記フィルム幅は、左右のクリップで把持された部分までを含むフィルム幅を意味する。
延伸速度[(延伸後のフィルム幅(W1)-初期フィルム幅(W0))/延伸工程の所要時間]は、好ましくは30mm/秒以下、より好ましくは10mm/秒~25mm/秒、さらに好ましくは12mm/秒~20mm/秒である。このような延伸速度とすることにより、加熱信頼性と配向軸精度とを好適に両立し得る。
延伸工程は、代表的には、温度T2で行われ得る。温度T2は、樹脂フィルムのガラス転移温度(Tg)に対し、Tg-20℃~Tg+30℃であることが好ましく、さらに好ましくはTg-10℃~Tg+20℃、特に好ましくはTg程度である。用いる樹脂フィルムにより異なるが、温度T2は、例えば70℃~180℃であり、好ましくは80℃~170℃である。上記温度T1と温度T2との差(T1-T2)は、好ましくは±2℃以上であり、より好ましくは±5℃以上である。1つの実施形態においては、T1>T2であり、したがって、予熱工程で温度T1まで加熱された樹脂フィルムは温度T2まで冷却され得る。
B-4.緩和工程
緩和工程は、延伸工程の後に行われ、目的に応じて省略可能な任意の工程である。緩和工程は、樹脂フィルムを幅方向に収縮させること(収縮処理)および/または樹脂フィルムの配向状態を安定化させること(安定化処理)を含む。
B-4-1.収縮処理
収縮処理においては、樹脂フィルムの幅方向への収縮が行われる。具体的には、樹脂フィルムを、搬送方向下流に向かって左右のレールの離間距離が徐々に縮小するように構成されている収縮ゾーンC1を通過させて、幅方向に収縮させる。このような収縮処理によって、樹脂フィルム中の残留応力が緩和される結果、加熱信頼性を高めることができる。
収縮処理における樹脂フィルムの収縮率[収縮後のフィルム幅(W2)/延伸後のフィルム幅(W1)]は、好ましくは0.92~1.0、より好ましくは0.95~1.0、さらに好ましくは0.98~1.0である。このような収縮率であれば、高い加熱信頼性が得られ得る。
収縮処理は、代表的には、温度T3で行われ得る。温度T3は、代表的には樹脂フィルムのガラス転移温度(Tg)以下であり、好ましくはTg-20℃~Tg℃であり、より好ましくはTg-15℃~Tg℃であり、さらに好ましくはTg-10℃~Tg℃である。
B-4-2.安定化処理
安定化処理においては、代表的には、樹脂フィルムを、延伸も収縮させることなく、温度T4で維持することにより、その配向状態を安定化する。温度T4は、代表的には樹脂フィルムのガラス転移温度(Tg)℃以下であり、好ましくはTg-1℃以下であり、より好ましくは室温~Tg-3℃である。1つの実施形態において、温度T4は温度T3℃に等しい。また、安定化処理時間は、樹脂フィルムの構成材料や製造条件(例えば、樹脂フィルムの搬送速度)に応じて適切に設定され得る。安定化時間は、例えば5秒~60秒であり得る。
B-5.解放工程
次いで、樹脂フィルムは、延伸装置の出口付近で左右のクリップから解放される。クリップからの解放は、例えば、室温(25℃前後)環境下で行われ得る。
B-6.加熱プロセスにおける延伸工程の比率(オーブン比)
本発明の実施形態による位相差フィルムの製造方法において、予熱工程、延伸工程および存在する場合の緩和工程は、好ましくは連続した加熱プロセスとして行われる。具体的には、予熱工程における樹脂フィルム温度T1はTg+2℃以上、延伸工程における樹脂フィルム温度T2はTg-20℃~Tg+30℃、収縮処理における樹脂フィルム温度T3はTg-20℃~Tg℃、安定化処理における樹脂フィルム温度T4はT3と同じ温度であり得、これらの工程は連続的に行われ得る。当該連続した加熱プロセス(例えば、樹脂フィルム温度がTg-20℃以上、好ましくはTg-5℃以上で維持される加熱プロセス)における樹脂フィルムの走行距離の合計(すなわち、予熱工程、延伸工程ならびに存在する場合の収縮処理および/または安定化処理における樹脂フィルムの走行距離の合計)に対する、延伸工程における樹脂フィルムの走行距離の割合は、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上、さらにより好ましくは75%以上である。また、当該割合の上限は、例えば90%であり得る。加熱プロセスにおける延伸工程の走行距離の比率がこのような範囲であれば、加熱信頼性と軸精度とを両立する位相差フィルムが好適に得られ得る。
C.延伸対象の樹脂フィルムおよび延伸により得られる位相差フィルム
B項に記載の位相差フィルムの製造方法に好適に用いられる樹脂フィルムとしては、位相差フィルムとして用いられ得る任意の適切な樹脂フィルムが挙げられる。樹脂フィルムを構成する材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、シクロオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、セルロースエステル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステルカーボネート系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。好ましくは、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、セルロースエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステルカーボネート系樹脂である。これらの樹脂であれば、いわゆる逆分散の波長依存性を示す位相差フィルムが得られ得るからである。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、所望の特性に応じて組み合わせて用いてもよい。
上記ポリカーボネート系樹脂としては、任意の適切なポリカーボネート系樹脂が用いられる。例えば、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂が好ましい。ジヒドロキシ化合物の具体例としては、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-エチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-n-プロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-n-ブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-sec-ブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-tert-ブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-イソブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-tert-ブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3,5-ジメチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-tert-ブチル-6-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等が挙げられる。ポリカーボネート樹脂は、上記ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の他に、イソソルビド、イソマンニド、イソイデット、スピログリコール、ジオキサングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール(TEG)、ポリエチレングリコール(PEG)、ビスフェノール類などのジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含んでいてもよい。
上記のようなポリカーボネート樹脂の詳細は、例えば特開2012-67300号公報および特許第3325560号に記載されている。当該特許文献の記載は、本明細書に参考として援用される。
ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は、110℃以上250℃以下であることが好ましく、より好ましくは120℃以上230℃以下である。ガラス転移温度が過度に低いと耐熱性が悪くなる傾向にあり、フィルム成形後に寸法変化を起こす可能性がある。ガラス転移温度が過度に高いと、フィルム成形時の成形安定性が悪くなる場合があり、また、フィルムの透明性を損なう場合がある。なお、ガラス転移温度は、JIS K 7121(1987)に準じて求められる。
上記ポリビニルアセタール樹脂としては、任意の適切なポリビニルアセタール樹脂を用いることができる。代表的には、ポリビニルアセタール樹脂は、少なくとも2種類のアルデヒド化合物及び/又はケトン化合物と、ポリビニルアルコール系樹脂とを縮合反応させて得ることができる。ポリビニルアセタール樹脂の具体例および詳細な製造方法は、例えば、特開2007-161994号公報に記載されている。当該記載は、本明細書に参考として援用される。
上記延伸対象の樹脂フィルムの厚みは、例えば10μm~300μm、好ましくは20μm~200μm、より好ましくは30μm~150μmである。
上記延伸対象の樹脂フィルムを延伸して得られる位相差フィルムは、好ましくは、屈折率特性がnx>nyの関係を示す。また、位相差フィルムは面内配向性が高いことが好ましく、例えばその波長550nmで測定した場合の複屈折率Δn(Δn=nx-ny)は、好ましくは0.002~0.005、より好ましくは0.0025~0.004である。さらに、位相差フィルムは、好ましくはλ/4板として機能し得る。位相差フィルムの正面位相差Re(550)は、好ましくは100nm~160nm、より好ましくは135nm~155nmである。なお、本明細書において、nxは面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、nyは面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、nzは厚み方向の屈折率である。また、Re(λ)は、23℃における波長λnmの光で測定したフィルムの正面位相差である。したがって、Re(550)は、23℃における波長550nmの光で測定したフィルムの正面位相差である。Re(λ)は、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、式:Re(λ)=(nx-ny)×dによって求められる。
位相差フィルムは、nx>nyの関係を有する限り、任意の適切な屈折率楕円体を示す。好ましくは、位相差フィルムの屈折率楕円体は、nx>ny≧nzの関係を示す。位相差フィルムのNz係数は、好ましくは1~1.3であり、より好ましくは1~1.25であり、さらに好ましくは1~1.2である。Nz係数は、Nz=Rth(λ)/Re(λ)によって求められる。ここで、Rth(λ)は、23℃における波長λnmの光で測定したフィルムの厚み方向の位相差であり、式:Rth(λ)=(nx-nz)×dによって求められる。
位相差フィルムは、代表的には、いわゆる逆分散の波長依存性を示す。具体的には、その正面位相差は、Re(450)<Re(550)<Re(650)の関係を満たす。Re(450)/Re(550)は、代表的には0.8を超え1未満であり、好ましくは0.8を超え0.95以下である。Re(650)/Re(550)は、代表的には1を超え1.2未満である。
位相差フィルムは、その光弾性係数の絶対値が、好ましくは2×10-12(m/N)~100×10-12(m/N)であり、より好ましくは2×10-12(m/N)~50×10-12(m/N)である。
位相差フィルムは、配向軸精度に優れる。幅方向端部における配向軸(遅相軸)角度と幅方向中央部における配向軸(遅相軸)との差は、例えば±2°以内、好ましくは±1.5°以内、より好ましくは±1.0°以内であり得る。また、Tg-30℃で30分後の加熱処理後の位相差フィルムのTD方向の収縮率は、例えば6%以内、好ましくは5.5%以内、より好ましくは5%以内であり得る。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、実施例における測定および評価方法は下記のとおりである。
(1)配向角(遅相軸の発現方向)
実施例および比較例で得られた位相差フィルムの幅方向中央部および両端部を、一辺が当該フィルムの幅方向と平行となるようにして幅50mm、長さ50mmの正方形状に切り出して試料を作成した。この試料を、ミュラーマトリクス・ポラリメーター(Axometrics社製 製品名「Axoscan」)を用いて測定し、波長550nm、23℃における配向角を測定した。なお、配向角は測定台に試料を平行に置いた状態で測定した。幅方向中央部の配向角と両端部の配向角との差を求め、配向角ムラ(配向角Δ)として評価した。
(2)正面位相差Re
上記(1)と同様にして、Axometrics社製 製品名「Axoscan」を用いて、波長550nm、23℃で測定した。
(3)厚み
マイクロゲージ式厚み計(ミツトヨ社製)を用いて測定した。
(4)加熱信頼性評価
実施例および比較例で得られた位相差フィルムをTg-30℃のオーブン内に入れ、30分経過後に取り出したものについて、オーブン投入前の寸法(TD方向)と取出し後の寸法とを金尺にて測定し、寸法収縮率を算出して、信頼性Δとして評価した。
[実施例1]
(ポリカーボネート樹脂フィルムの作製)
撹拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した縦型反応器2器からなるバッチ重合装置を用いて重合を行った。9,9-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(BHEPF)、イソソルビド(ISB)、ジエチレングリコール(DEG)、ジフェニルカーボネート(DPC)、および酢酸マグネシウム4水和物を、モル比率でBHEPF/ISB/DEG/DPC/酢酸マグネシウム=0.348/0.490/0.162/1.005/1.00×10-5になるように仕込んだ。反応器内を十分に窒素置換した後(酸素濃度0.0005~0.001vol%)、熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始した。昇温開始40分後に内温を220℃に到達させ、この温度を保持するように制御すると同時に減圧を開始し、220℃に到達してから90分で13.3kPaにした。重合反応とともに副生するフェノール蒸気を100℃の還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるモノマー成分を反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は45℃の凝縮器に導いて回収した。
第1反応器に窒素を導入して一旦大気圧まで復圧させた後、第1反応器内のオリゴマー化された反応液を第2反応器に移した。次いで、第2反応器内の昇温および減圧を開始して、50分で内温240℃、圧力0.2kPaにした。その後、所定の攪拌動力となるまで重合を進行させた。所定動力に到達した時点で反応器に窒素を導入して復圧し、反応液をストランドの形態で抜出し、回転式カッターでペレット化を行い、BHEPF/ISB/DEG=34.8/49.0/16.2[mol%]の共重合組成のポリカーボネート樹脂Aを得た。このポリカーボネート樹脂の還元粘度は0.430dL/g、ガラス転移温度は140℃であった。
得られたポリカーボネート樹脂を80℃で5時間真空乾燥をした後、単軸押出機(いすず化工機社製、スクリュー径25mm、シリンダー設定温度:220℃)、Tダイ(幅900mm、設定温度:220℃)、チルロール(設定温度:120~130℃)および巻取機を備えたフィルム製膜装置を用いて、厚み100μmのポリカーボネート樹脂フィルムを作製した。
(位相差フィルムの製造)
上記のようにして得られたポリカーボネート樹脂フィルムを、図2に示すような延伸装置を用いて予熱工程、延伸工程および緩和工程(収縮処理)を行い、室温環境下でクリップから解放することにより、位相差フィルムを得た。なお、図2は、延伸装置の各ゾーンにおける左右のレールの構成を概略的に示す図であり、クリップは図示していない。図2に示す延伸装置における各室の経路長は全て同じ(2000mm)であり、予熱ゾーン長と延伸ゾーン長と収縮ゾーン長の合計に対する延伸ゾーン長の割合(オーブン比)は、50%であった。また、予熱ゾーンにおけるレールの伸びる方向と延伸ゾーンにおけるレールの伸びる方向とのなす角度θ(換言すれば、樹脂フィルムの走行方向と、延伸工程における左右のクリップの進行方向とのなす角度)は、5.61°であった。各工程の詳細は、以下のとおりである。
(把持工程)
長尺状のポリカーボネート樹脂フィルム(厚み100μm、幅(W0)650mm)を長手方向に1500mm/秒の速度で走行させながら左右側縁部を左右のクリップで把持した。
(予熱工程)
次いで、樹脂フィルムを予熱ゾーン(第1室および第2室)に移行させて、フィルム温度を第1室において144℃から146℃、第2室において146℃から150℃に昇温しながら予熱した。
(延伸工程)
次に、樹脂フィルムを、左右のクリップの離間距離が拡大する延伸ゾーン(第3室~第7室)を走行させることにより、幅方向への延伸を行った。延伸温度(フィルム温度)を、第3室において150℃から138℃に低下させ、第4室以降においては138℃に維持した。延伸ゾーンの終端部(第7室出口)におけるフィルム幅(W1)は1838mmであり、延伸倍率(W1/W0)は、2.83倍であった。
(収縮処理)
次いで、樹脂フィルムを、左右のクリップの離間距離が縮小する収縮ゾーン(第8室~第10室)に移行させることにより、幅方向への収縮を行った。フィルム温度を、第8室において138℃から135℃に低下させ、第9室および第10室では135℃で維持した。また、収縮ゾーンの終端部(第10室出口)におけるフィルム幅(W2)は1803mmであり、収縮率(W2/W1)は、0.98であった。
(解放工程)
次いで、延伸装置出口(雰囲気温度25℃)において、樹脂フィルムを左右のクリップから解放した。なお、把持時から解放時まで、左右のクリップの走行方向におけるクリップピッチは、実質的に変化せず、一定であった。
以上のようにして得た延伸フィルムの両端部(把持部)をスリットし、位相差フィルム(厚み37μm、幅1410mm、Re(550)143nm)を得た。得られた位相差フィルムを上記(1)の評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例2]
図3に示すような延伸装置を用いたこと以外は実施例1と同様にして、予熱工程、延伸工程および緩和工程(収縮処理)を行い、室温環境下でクリップから解放することにより、位相差フィルムを得た(延伸倍率および収縮率も実施例1と同様である)。なお、図3は、延伸装置の各ゾーンにおける左右のレールの構成を概略的に示す図であり、クリップは図示していない。図3に示す延伸装置における各室の経路長は全て同じ(2000mm)であり、予熱ゾーン長と延伸ゾーン長と収縮ゾーン長の合計に対する延伸ゾーン長の割合(オーブン比)は、60%であった。また、予熱ゾーンにおけるレールの伸びる方向と延伸ゾーンにおけるレールの伸びる方向とのなす角度θは、4.72°であった。
以上のようにして得た延伸フィルムの両端部(把持部)をスリットし、位相差フィルム(厚み37μm、幅1410mm、Re(550)143nm)を得た。得られた位相差フィルムを上記(1)の評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例3]
図4に示すような延伸装置を用いたこと以外は実施例1と同様にして、予熱工程、延伸工程および緩和工程(収縮処理)を行い、室温環境下でクリップから解放することにより、位相差フィルムを得た(延伸倍率および収縮率も実施例1と同様である)。なお、図4は、延伸装置の各ゾーンにおける左右のレールの構成を概略的に示す図であり、クリップは図示していない。図4に示す延伸装置における各室の経路長は全て同じ(2000mm)であり、予熱ゾーン長と延伸ゾーン長と収縮ゾーン長の合計に対する延伸ゾーン長の割合(オーブン比)は、70%であった。また、予熱ゾーンにおけるレールの伸びる方向と延伸ゾーンにおけるレールの伸びる方向とのなす角度θは、4.21°であった。
以上のようにして得た延伸フィルムの両端部(把持部)をスリットし、位相差フィルム(厚み37μm、幅1410mm、Re(550)143nm)を得た。得られた位相差フィルムを上記(1)の評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例4]
図5に示すような延伸装置を用いたこと以外は実施例1と同様にして、予熱工程、延伸工程および緩和工程(収縮処理)を行い、室温環境下でクリップから解放することにより、位相差フィルムを得た(延伸倍率および収縮率も実施例1と同様である)。なお、図5は、延伸装置の各ゾーンにおける左右のレールの構成を概略的に示す図であり、クリップは図示していない。図5に示す延伸装置における各室の経路長は全て同じ(2000mm)であり、予熱ゾーン長と延伸ゾーン長と収縮ゾーン長の合計に対する延伸ゾーン長の割合(オーブン比)は、80%であった。また、予熱ゾーンにおけるレールの伸びる方向と延伸ゾーンにおけるレールの伸びる方向とのなす角度θは、3.13°であった。
以上のようにして得た延伸フィルムの両端部(把持部)をスリットし、位相差フィルム(厚み37μm、幅1410mm、Re(550)143nm)を得た。得られた位相差フィルムを上記(1)の評価に供した。結果を表1に示す。
[比較例1]
図6に示すような延伸装置を用いたこと以外は実施例1と同様にして、予熱工程、延伸工程および緩和工程(収縮処理)を行い、室温環境下でクリップから解放することにより、位相差フィルムを得た(延伸倍率および収縮率も実施例1と同様である)。なお、図6は、延伸装置の各ゾーンにおける左右のレールの構成を概略的に示す図であり、クリップは図示していない。図6に示す延伸装置における各室の経路長は全て同じ(2000mm)であり、予熱ゾーン長と延伸ゾーン長と収縮ゾーン長の合計に対する延伸ゾーン長の割合(オーブン比)は、30%であった。また、予熱ゾーンにおけるレールの伸びる方向と延伸ゾーンにおけるレールの伸びる方向とのなす角度θは、8.38°であった。
以上のようにして得た延伸フィルムの両端部(把持部)をスリットし、位相差フィルム(厚み37μm、幅1410mm、Re(550)143nm)を得た。得られた位相差フィルムを上記(1)の評価に供した。結果を表1に示す。
[比較例2]
図7に示すような延伸装置を用いたこと以外は実施例1と同様にして、予熱工程、延伸工程および緩和工程(収縮処理)を行い、室温環境下でクリップから解放することにより、位相差フィルムを得た(延伸倍率および収縮率も実施例1と同様である)。なお、図7は、延伸装置の各ゾーンにおける左右のレールの構成を概略的に示す図であり、クリップは図示していない。図7に示す延伸装置における各室の経路長は全て同じ(2000mm)であり、予熱ゾーン長と延伸ゾーン長と収縮ゾーン長の合計に対する延伸ゾーン長の割合(オーブン比)は、40%であった。また、予熱ゾーンにおけるレールの伸びる方向と延伸ゾーンにおけるレールの伸びる方向とのなす角度θは、6.72°であった。
以上のようにして得た延伸フィルムの両端部(把持部)をスリットし、位相差フィルム(厚み37μm、幅1410mm、Re(550)143nm)を得た。得られた位相差フィルムを上記(1)の評価に供した。結果を表1に示す。
<評価>
上記表に示されるとおり、実施例で得られた位相差フィルムは、比較例で得られた位相差フィルムと比較して、加熱信頼性と配向軸精度との両方が優れている。また、オーブン比を大きくすること、および/または、角度θを6°以下の範囲でより小さくすることにより、より高次に加熱信頼性と配向軸精度とを両立できることがわかる。
本発明の製造方法により得られる位相差フィルムは、液晶表示装置(LCD)、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(OLED)等の画像表示装置に好適に用いられる。
10L、10R レール
20L、20R クリップ
100 延伸装置

Claims (5)

  1. 下記式(1)および(2)を満たす位相差フィルムの製造方法であって、
    0.8<R(450)/R(550)<1 (1)
    1<R(650)/R(550)<1.2 (2)
    (式(1)および(2)中、R(450)、R(550)およびR(650)はそれぞれ、23℃における波長450nm、550nmおよび650nmの光で測定したフィルムの正面位相差である)
    長尺状の樹脂フィルムを、その幅方向の左右側縁部を左右のクリップで把持した状態で長手方向に走行させながら、予熱工程延伸工程、および緩和工程をこの順に行うことを含み、
    該予熱工程が、該樹脂フィルムを予熱することを含み、
    該延伸工程が、該左右のクリップの離間距離を徐々に拡大させて、該樹脂フィルムを延伸すること、を含み、
    該緩和工程が、該樹脂フィルムを幅方向に収縮させることおよび/または該樹脂フィルムの配向状態を安定化させることを含み、
    該樹脂フィルムの走行方向と、該延伸工程における該左右のクリップの進行方向とのなす角度が、6°以下であり、
    該延伸工程における該樹脂フィルムの幅方向の延伸倍率が、2.4~3.2であり、
    該樹脂フィルムが、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、およびポリエステルカーボネート系樹脂から選択される少なくとも1種を含む、
    位相差フィルムの製造方法。
  2. 前記予熱工程、前記延伸工程および前記緩和工程における前記樹脂フィルムの走行距離の合計に対する前記延伸工程における前記樹脂フィルムの走行距離の割合が、50%以上である、請求項に記載の製造方法。
  3. 前記予熱工程、前記延伸工程および前記緩和工程における前記樹脂フィルムの走行距離の合計に対する前記延伸工程における前記樹脂フィルムの走行距離の割合が、70%以上である、請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記緩和工程における前記樹脂フィルムの収縮率が、0.92~1.0である、請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 下記式(3)をさらに満たす位相差フィルムの製造方法である、請求項1から4のいずれかに記載の製造方法。
    100nm<R(550)<160nm (3)
    (式(3)中、R(550)は、23℃における波長550nmの光で測定したフィルムの正面位相差である。)
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