JP2010107960A - 光学補償フィルムとその製造方法、偏光板、および液晶表示装置 - Google Patents

光学補償フィルムとその製造方法、偏光板、および液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】従来の光学補償フィルムでは達成できなかった広いコントラスト視野角の達成および輝点欠陥を最小限に抑えることができる光学補償フィルムを提供する。
【解決手段】Re(550)が20〜100nmであり、液晶を含む第1の光学異方性層と、負の固有複屈折を持つ化合物と数平均分子量が500〜50000であって繰り返し単位を有する可塑剤とを含有するフィルムであり、Re(550)が20〜150nmであり、Rth(550)が40〜110nmであり、前記第1の光学異方性層と接する側の表面に配向膜を有することを特徴とする第2の光学異方性層とが積層された構造を有することを特徴とする光学補償フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学補償フィルムの製造方法に関する。より詳細には、二つの光学異方性層と配向膜が積層された光学補償フィルムにおいて輝点等の問題を最小限に抑え、レターデーションの発現性を容易に制御することができる光学補償フィルムに関する。さらに本発明は、該光学補償フィルムの製造方法とそれを利用した光学補償フィルム、偏光板および液晶表示装置にも関する。
光学補償フィルムを、光学補償フィルムの支持体、偏光板の保護フィルム、および液晶表示装置のような光学用途に使用する場合、その光学異方性の制御は、表示装置の性能(例えば、視認性)を決定する上で非常に重要な要素となる。近年の液晶表示装置の広視野角化要求に伴ってレターデーションの補償性向上が求められるようになっており、偏光膜と液晶セルとの間に配置される位相差フィルムの面内方向のレターデーション値(Re;以下、単に「Re」と称することがある)と膜厚方向のレターデーション値(Rth;以下、単に「Rth」と称することがある)とを適切に制御することが要求されている。
従来、TNモード液晶表示装置用の光学補償フィルムとして、透明支持体上に、液晶組成物から形成された光学異方性層を有する光学補償フィルムが種々提案されている。
例えば、特許文献1には、透明支持体およびその上に設けられた光学異方層からなる光学補償フィルムであって、該光学異方層が、円盤状構造単位を有する化合物からなる負の固有複屈折を有する層であり、そして該円盤状構造単位の円盤面が、透明支持体面に対して傾いており、且つ該円盤状構造単位の円盤面と透明支持体面とのなす角度が、光学異方層の深さ方向において変化していることを特徴とする光学補償フィルムが提案されている。
また、特許文献2には、面内レターデーション(Re)および厚み方向のレターデーション(Rth)が所定の範囲である透明支持体上に、上記光学異方性層を有する光学補償フィルムが提案されている。
また、特許文献3には、光学的に正の一軸性または光学的に二軸性を有し、且つ最大屈折率の方向がポリマー面と実質的に平行であるポリマーフィルムと、その上に、上記光学異方性層を有し、ポリマーフィルムの最大屈折率の方向が、光学異方性層中の円盤状液晶性分子(ディスコティック液晶性分子)の円盤面の法線をポリマーフィルムの面に投影して得られる線の平均方向と、実質的に平行または直交していることを特徴とする光学補償フィルムが提案されている。
しかし、従来の前記構成の光学補償フィルムを、実際にTNモード液晶表示装置に用いると、視野角を変化させた際のコントラスト低下が大きく、また、中間調を表示し斜め横方向から観察した場合に、画面が黄色味を帯びて見える場合がある。特に、テレビ(TV)やTV機能付きPCでは、その表示画面を複数の観察者が様々な位置から観察する場合が多いため、従来のPCの表示モニターとしては満足の行く視野角特性であっても、TVやTV機能付きPC用の表示モニターとしては充分ではない。
通常、TNモード液晶表示装置では、セルを挟んで2枚の偏光板が、その透過軸を直交させて配置されている。液晶セルを正面方向から観察した場合と比較して、斜め横方向から観察した場合は偏光膜(偏光子)の透過軸が直交ではなくなる。このため、本来偏光板で吸収されるべき光が透過してしまい、視野角を斜め方向に傾けた時のコントラストの低下が発生してしまう。これまで、この現象に対する対策は成されていなかったため、視野角を斜め方向に傾けた時のコントラストが十分でなかった。
一方、近年では液晶表示装置の画質についても向上が求められてきており、様々な改善がなされてきている。特に、液晶表示装置の液晶自体の改良や液晶表示機構の改良による画質の向上とともに、製造時に生じる画面欠陥を解消することが求められている。しかしながら、製造時に生じる画面欠陥については詳細な検討がなされておらず、特に原因不明の輝点が生じてしまうという問題があった。
したがって、広いコントラスト視野角を有し、輝点が少ない光学補償フィルムは得られていないのが実状であった。
特開平8−50206号公報 特開2002−196146号公報 特開2001−100031号公報
本発明者らが検討した結果、特許文献1、2、3に記載されるフィルムでは、本発明の第2の光学異方性層に対応するフィルムのRe値が小さいために偏光板の透過軸のズレが補償されず、そのために斜め方向のコントラストが十分でないことが判明した。そこで、Re=80nm、Rth=60nm付近の視野角補償フィルムを用いることで従来の光学補償フィルムでは達成できなかった広いコントラスト視野角の達成できることを見出し、そのような光学補償フィルムとその製造方法の検討をすすめてきていた。
これに対し、Re=80nm、Rth=60nm付近の光学補償フィルムを製造するには、液晶を含む第1の光学異方性層に熱処理を行うことで、前記光学特性を有する光学補償フィルムを製造できることを見出した。ここで、前記熱処理時に低分子量の可塑剤を機械的性質向上、柔軟性付与、耐給水性付与、水分透過率低減等の効果を期待して添加する検討も行ってきたが、低分子量の可塑剤は加熱時に揮散して装置を汚染するなど、別の問題が生じていた。
一方、通常の液晶表示装置に用いる光学補償フィルムの製造方法においては、いわゆる支持体層上に液晶を含む光学異方性層塗布する前に、支持体層の表面に設置されている配向膜に対してラビング処理を行うことで液晶の配向を達成していた。本発明者らが検討したところ、ラビング処理において不可避に発生する切り屑が、輝点の原因となっていたことを見出した。
このような実状および検討に鑑みて、本発明者らは、従来の光学補償フィルムでは達成できなかった広いコントラスト視野角の達成および輝点欠陥を最小限に抑えることができる光学補償フィルムを提供することを本発明の第1の目的とした。また、本発明の第2の目的は該フィルムの製造方法、該フィルムを用いた偏光板および液晶表示装置を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特定の光学特性を持つ第2の光学異方性層中に特定の条件を満たす可塑剤を使用し、特定の光学特性を持つ第1の光学異方性層を積層し、その後、通常の乾燥工程においても行われない、Tc以上Tm0未満の高い温度でポリマーフィルムを熱処理することによって、広いコントラスト視野角の達成および輝点欠陥を最小限に抑えるという前記課題を同時に解決しうることを見出した。また、本発明者らは広いコントラスト視野角の達成に必須の熱処理を行う場合に通常の可塑剤を使用すると輝点欠陥が発生する事を見出し、高分子量の可塑剤を用いる事でその後のラビング処理時の切り屑発生を抑制し、輝点欠陥の問題を解決できる事を見出した。すなわち、前記課題を解決する手段として、以下の本発明を提供するに至った。
[1] Re(550)が20〜100nmであり、液晶を含む第1の光学異方性層と、セルロースアシレートと数平均分子量が500〜50000であって繰り返し単位を有する可塑剤とを含有するフィルムであり、Re(550)が20〜150nmであり、Rth(550)が40〜110nmであり、前記第1の光学異方性層と接する側の表面に配向膜を有することを特徴とする第2の光学異方性層とが積層された構造を有することを特徴とする光学補償フィルム[ここでRe(550)は波長550nmにおける面内レターデーションを表し、Rth(550)は波長550nmにおける厚さ方向のレターデーションを表す。以下、本明細書中において同様である。]。
[2] 前記第1の光学異方性層が、Re(550)が0nmになる方向が存在せず、且つRe(550)の絶対値が最小となる方向が層の法線方向にも面内にもないことを特徴とする[1]に記載の光学補償フィルム。
[3]前記第2の光学異方性層がRth(550)/Re(550)<1.0を満たす事を特徴とする[1]または[2]に記載の光学補償フィルム。
[4] 前記第2の光学異方性層が、負の固有複屈折率を有する可塑剤を含むことを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の光学補償フィルム。
[5] 前記可塑剤が、ポリエステル系可塑剤またはポリエステルポリウレタン系可塑剤であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載の光学補償フィルム。
[6] 前記可塑剤が前記ポリマーに対して2〜30質量%含まれていることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一項に記載の光学補償フィルム。
[7] 前記第2の光学異方向性層が、300〜380nmの波長域に極大吸収波長を有することを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項に記載の光学補償フィルム。
[8] 前記セルロースアシレートの全置換度が2.7〜3.0であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか一項に記載の光学補償フィルム。
[9] 前記第1の光学異方性層が円盤状液晶化合物を含むことを特徴とする[1]〜[8]のいずれか一項に記載の光学補償フィルム。
[10] セルロースアシレートと、数平均分子量が500〜50000であって繰り返し単位を有する可塑剤とを含有する組成物を用いて第2の光学異方性層用のフィルムを下記式(1)の条件を満たす温度T(単位;℃)で熱処理する工程と、熱処理後の前記第2の光学異方性層用のフィルムの表面上に配向膜用のフィルムを製膜し、ラビング処理により配向膜を形成して第2の光学異方性層を形成する工程と、前記第2の光学異方性層の配向膜が形成されている側の表面に第1の光学異方性層を形成する工程とを含むことを特徴とする光学補償フィルムの製造方法。
式(1): Tc≦T<Tm0
[式(1)中、Tcは熱処理前の第2の光学異方性層用のフィルムの結晶化温度(単位;℃)を表し、Tm0は熱処理前の第2の光学異方性層用のフィルムの融点(単位;℃)を表す。以下、本明細書中において同様である。]
[11] 第2の光学異方性層用のフィルムを搬送しながらその搬送方向に延伸する工程を含むことを特徴とする[10]に記載の光学補償フィルムの製造方法。
[12] [10]または[11]に記載の光学補償フィルムの製造方法で製造されたことを特徴とする光学補償フィルム。
[13] [1]〜[9]および[12]のいずれか1項に記載の光学補償フィルムと、偏光膜とを有することを特徴とする偏光板。
[14] 前記光学補償フィルムの面内の遅相軸と前記偏光膜の面内の透過軸との交差角が略0度であることを特徴とする[13]に記載の偏光板。
[15] [1]〜[9]および[12]のいずれか1項に記載の光学補償フィルムを用いたことを特徴とするTNモード液晶表示装置。
本発明の光学補償フィルムによれば、広い視野角を達成でき、さらに輝点欠陥が非常に少ないTNモード液晶表示装置を提供できる。
本発明の製造方法によれば、熱処理という比較的簡単な操作を行うことによって、TNモード液晶表示装置用光学補償フィルムのレターデーションの発現性を調整することができる。さらに、本発明の製造方法によれば、熱処理工程を通過して作製された光学異方性層とハイブリッド配向をもつ光学異方性層とを積層した光学補償フィルムの輝点等の欠陥を顕著に改善することができる。さらに、本発明の製造方法によれば、高分子量可塑剤を用いることで、低分子量可塑剤を用いた際に問題となる可塑剤の揮散による製造装置の汚れを防ぐこともでき、生産性を向上させることができる。
本発明の光学補償フィルムの一態様の断面模式図である。 本発明の偏光板の一態様の断面模式図である。 本発明の液晶表示装置の一態様の断面模式図である。 液晶表示装置の中間調表示時の斜め横方向の黄色味付きを測定する方法を説明するのに用いた図面である。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[光学補償フィルム]
(1)光学補償フィルムの層構成
本発明の光学補償フィルムは、少なくとも第1の光学異方性層と第2の光学異方性を積層した構造を有する。詳しくは、Re(550)が20〜100nmであり、液晶を含む第1の光学異方性層と、負の固有複屈折を持つ化合物と数平均分子量が500〜50000であって繰り返し単位を有する可塑剤とを含有するフィルムであり、Re(550)が20〜150nmであり、Rth(550)が40〜110nmであり、前記第1の光学異方性層と接する側の表面に配向膜を有することを特徴とする第2の光学異方性層と、が積層された構造を有することを特徴とする。
本発明の光学補償フィルムの一態様の断面模式図を図1に示す。図1に示す光学補償フィルム10は、好ましくは液晶組成物から形成された第1の光学異方性層11と、それを支持するポリマーフィルムである第2の光学異方性層12とを有する。光学異方性層11と12との間には、液晶組成物から光学異方性層11を形成する際に、液晶性分子の配向を制御する配向膜を配置してある。なお、図1は模式図であり、各層の相対的厚みは実際の光学補償フィルムにおける各層の相対的厚みを必ずしも反映していない。後述する図2および図3においても同様である。
以下において、本発明の光学補償フィルムを構成する第2の光学異方性層と第1の光学異方性層について説明する。
(2)第2の光学異方性層
(2−1)第2の光学異方性層の特徴
本発明の光学補償フィルムを構成する第2の光学異方性層は、セルロースアシレートと数平均分子量が500〜50000であって繰り返し単位を有する可塑剤とを含有するフィルムであり、Re(550)が20〜150nmであり、Rth(550)が40〜110nmであり、前記第1の光学異方性層と接する側の表面に配向膜を有することを特徴とする。
(レターデーション)
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λ(単位;nm)における面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA WR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定するフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)を算出する。
Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA WRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)フィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定したレターデーション値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基にKOBRA WRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA WRが算出する。
なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基に、以下の数式(1)および数式(2)によりRthを算出することもできる。
Figure 2010107960
式中、Re(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値を表す。nxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnxおよびnyに直交する方向の屈折率を表す。dはフィルムの膜厚を表す。
測定するフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)を算出する。
Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA WRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定したレターデーション値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基にKOBRA WRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を例示すると、セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA WRがnx、ny、nzを算出する。算出したnx、ny、nzによりNz=(nx−nz)/(nx−ny)をさらに算出することができる。
前記第2の光学異方性層のRe(550)は20〜150nmであり、Rth(550)は40〜110nmである。前記第2の光学異方性層のRe(550)が20nm以上やRe(550)が150nm以下であると十分にセルの液晶が補償でき、コントラスト視野角および色味が良化し好ましい。また、第2の光学異方性層のRth(550)が40nm以上であったり、Rth(550)が110nm未満であると偏光板の斜め方向の補償が十分となるため、コントラスト視野角および色味が良化し好ましい。なお、本明細書中、特に断りがない限りにおいて、前記第2の光学異方性層のレターデーションは、後述する第2の光学異方性層用フィルムのレターデーションを表す。すなわち、第2の光学異方性層のレターデーションは、配向膜形成前に測定される。
前記第2の光学異方性層は、偏光板の斜め方向の補償の観点から、Rth(550)/Re(550)<1.0を満たすことが好ましい。
本発明の光学補償フィルムを構成する第2の光学異方性層の光学特性は、より好ましくは、
40nm ≦ Re(550) ≦ 120nm
40nm ≦ Rth(550) ≦ 90nm
0.5<Rth/Re<1.0
であり、さらに好ましくは、
50nm ≦ Re(550) ≦ 100nm
50nm ≦ Rth(550) ≦ 80nm
0.5<Rth/Re<0.9
である。
また、面内方向のレターデーションRe、膜厚方向のレターデーションRthの波長分散はコントラスト視野角、色味の最適化を行う際に重要であり、
Re(450)−Re(550) < −3nm
Rth(450)−Rth(550) > 3nm
を満たすことが好ましく、
−40nm < Re(450)−Re(550) < −5nm
5nm < Rth(450)−Rth(550) <30nm
を満たすことがより好ましい。
第2の光学異方性層の厚さについては特に制限されないが、30〜200μmであるのが好ましく、30〜100μmであるのがより好ましく、40〜90μmであるのがさらに好ましい。
(2−2)第2の光学異方性層用フィルムの特徴
前記第2の光学異方性層は、第2の光学異方性層用フィルムの上に配向膜が形成された構造である。
本発明で用いる第2の光学異方性層用のフィルムは、光透過性のポリマーフィルムであるのが好ましい。具体的には、可視光域の光に対する透過率が80%以上であるポリマーフィルムが好ましく、90%以上であるポリマーフィルムがより好ましく、95%以上であるポリマーフィルムがさらに好ましい。第2の光学異方性層用のフィルムがポリマーフィルムであると、本発明の光学補償フィルムを偏光膜とを容易に貼り合わせることができる。また、単独の部材(例えば光学補償フィルム)として液晶表示装置に組み込むことができる。前記ポリマーフィルムの材料としては、光学性能、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性などに優れるポリマーが好ましいが、第2の光学異方性層に要求される上述の光学特性を満たすフィルムを作製可能な材料であれば、いずれも用いてもよい。例えば、側鎖にアシル基を有するセルロース系ポリマー(以下、セルロースアシレートという)等を溶液製膜法または溶融製膜法でフィルムとし、所望により延伸処理を施し、第2の光学異方性層に要求される光学特性を満足させることができる。また、ポリマーフィルム中に、Reおよび/またはRthを発現し得る添加剤を添加して、上記光学特性を満足するポリマーフィルムを作製してもよい。
(遅相軸)
前記第2の光学異方性層用のフィルムは、製造時の搬送方向とフィルムのReの遅相軸とのなす角度θが0±10°もしくは90±10°であることが好ましく、0±5°もしくは90±5°であることがより好ましく、0±3°もしくは90±3°であることがさらに好ましく、場合により、0±1°もしくは90±1°であることが好ましく、90±1°であることが最も好ましい。
(膜厚)
前記第2の光学異方性層用のフィルムの膜厚は20μm〜180μmが好ましく、30μm〜160μmがより好ましく、40μm〜120μmがさらに好ましい。膜厚が20μm以上であれば偏光板等に加工する際のハンドリング性や偏光板のカール抑制の点で好ましい。また、前記第2の光学異方性層用のフィルムの膜厚むらは、搬送方向および幅方向のいずれも0〜2%であることが好ましく、0〜1.5%がさらに好ましく、0〜1%であることが特に好ましい。
(透湿度)
前記第2の光学異方性層用のフィルムの透湿度は、80μm換算で100g/(m2・day)以上であることが好ましい。前記80μm換算の透湿度を100g/(m2・day)以上としたフィルムを使用することで、偏光膜と直接貼合しやすくなる。前記80μm換算の透湿度としては、100〜1500g/(m2・day)がより好ましく、200〜1000g/(m2・day)がより好ましく、300〜800g/(m2・day)がさらに好ましい。
また、前記第2の光学異方性層用のフィルムを後述のように偏光膜と液晶セルとの間に配置されない外側の保護フィルムとして用いる場合、前記第2の光学異方性層用のフィルムの透湿度は、80μm換算で500g/(m2・day)未満であることが好ましく、100〜450g/(m2・day)がより好ましく、100〜400g/(m2・day)がさらに好ましく、150〜300g/(m2・day)が最も好ましい。このようにすることで、湿度もしくは湿熱に対する偏光板の耐久性が向上し、信頼性の高い液晶表示装置を提供することができる。
第2の光学異方性層用のフィルムの作製方法については、後で詳述する。
(2−3)第2の光学異方性層用のフィルムに含まれる材料
(セルロースアシレート)
前記第2の光学異方性層はセルロースアシレートを含むことを特徴とし、該セルロースアシレートは前記第2の光学異方性層の中でも、前記第2の光学異方性層用のフィルム中に含まれることが好ましい。
第2の光学異方性層用のフィルムの材料として用いられるセルロースアシレートのアシル置換基は、例えばアセチル基単独からなるセルロースアシレートであっても、複数のアシル置換基を有するセルロースアシレートを含む組成物を用いてもよい。セルロースアシレートは、負の固有複屈折性を付与するために全置換度が2.7〜3.0であるものが好ましい。ここでいう負の固有複屈折とは、ポリマーフィルムを延伸した際に、延伸方向と直交方向に屈折率の最大値を持つ方向を持つ性質をいう。本発明では上記アシル置換度および下記で説明する延伸または熱処理工程を経ることにより必要な負の固有複屈折性を達成することが好ましい。
セルロースエステルは、セルロースと酸とのエステルである。前記エステルを構成する酸としては、有機酸が好ましく、カルボン酸がより好ましく、炭素原子数が2〜22の脂肪酸がさらに好ましく、炭素原子数が2〜4の低級脂肪酸が最も好ましい。
前記セルロースアシレートは、セルロースとカルボン酸とのエステルである。前記セルロースアシレートは、セルロースを構成するグルコース単位の2位、3位および6位に存在するヒドロキシル基の水素原子の全部または一部が、アシル基で置換されている。前記アシル基の例としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、および、シンナモイル基が挙げられる。前記アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、ピバロイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基が好ましく、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基が最も好ましい。
セルロースエステルは、セルロースと複数の酸とのエステルであってもよい。また、セルロースアシレートは、2種類のアシル基で置換されたものであってもよい。
セルロースアシレートのセルロースの水酸基に置換されているアセチル基(炭素数2)の置換度をSAとし、セルロースの水酸基に置換されている炭素数3以上のアシル基の置換度をSBとしたとき、SAおよびSBを調整することにより、本発明の製造方法により製造される光学補償フィルムのReの発現性、レターデーションの湿度依存性の調整を行うことができる。また、Tcも調整することができ、これにより、熱処理温度を調整することができる。なお、レターデーションの湿度依存性とは、湿度による可逆的なレターデーションの変化である。
光学補償フィルムに求める光学特性により、適宜、SA+SBを調整することとなるが、好ましくは2.70≦SA+SB≦3.00、より好ましくは2.88≦SA+SB≦3.00であり、さらに好ましくは2.89≦SA+SB≦2.99であり、さらにより好ましくは2.90≦SA+SB≦2.98であり、特に好ましくは2.92≦SA+SB≦2.97である。SA+SBを大きくすることにより、熱処理後に得られるReを大きく、Tcをより低くすることができ、レターデーションの湿度依存性も改善することができる。Tcを低く設定することにより、熱処理温度を比較的低く設定することが可能となる。
また、SBを調整することにより、本発明の製造方法により製造される光学補償フィルムのレターデーションの湿度依存性を調整することができる。SBを大きくすることにより、レターデーションの湿度依存性を低減させることができ、融点が下がる。レターデーションの湿度依存性および融点の低下のバランスを考慮すると、SBの範囲は、好ましくは0<SB≦3.0、より好ましくは0<SB≦1.0である。なお、セルロースの水酸基がすべて置換されているとき、上記の置換度は3となる。
セルロースエステルは公知の方法により合成することができる。
例えば、セルロースアシレートの合成方法について、基本的な原理は、右田伸彦他、木材化学180〜190頁(共立出版、1968年)に記載されている。セルロースアシレートの代表的な合成方法としては、カルボン酸無水物−カルボン酸−硫酸触媒による液相アシル化法が挙げられる。具体的には、まず、綿花リンタや木材パルプ等のセルロース原料を適当量の酢酸などのカルボン酸で前処理した後、予め冷却したアシル化混液に投入してエステル化し、完全セルロースアシレート(2位、3位および6位のアシル置換度の合計が、ほぼ3.00)を合成する。前記アシル化混液は、一般に溶媒としてのカルボン酸、エステル化剤としてのカルボン酸無水物および触媒としての硫酸を含む。また、前記カルボン酸無水物は、これと反応するセルロースおよび系内に存在する水分の合計よりも、化学量論的に過剰量で使用することが普通である。
次いで、アシル化反応終了後に、系内に残存している過剰カルボン酸無水物の加水分解を行うために、水または含水酢酸を添加する。さらに、エステル化触媒を一部中和するために、中和剤(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウムまたは亜鉛の炭酸塩、酢酸塩、水酸化物または酸化物)を含む水溶液を添加してもよい。さらに、得られた完全セルロースアシレートを少量のアシル化反応触媒(一般には、残存する硫酸)の存在下で、20〜90℃に保つことにより鹸化熟成し、所望のアシル置換度および重合度を有するセルロースアシレートまで変化させる。所望のセルロースアシレートが得られた時点で、系内に残存している触媒を前記中和剤などを用いて完全に中和するか、或いは、前記触媒を中和することなく水若しくは希酢酸中にセルロースアシレート溶液を投入(或いは、セルロースアシレート溶液中に、水または希酢酸を投入)してセルロースアシレートを分離し、洗浄および安定化処理により目的物であるセルロースアシレートを得ることができる。
前記セルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で150〜500が好ましく、200〜400がより好ましく、220〜350がさらに好ましい。前記粘度平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)の記載に従って測定することができる。
また、低分子成分が少ないセルロースアシレートは、平均分子量(重合度)が高いが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低い値になる。このような低分子成分の少ないセルロースアシレートは、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより行うことができる。また、低分子成分の少ないセルロースアシレートを合成により得ることもできる。低分子成分の少ないセルロースアシレートを合成する場合、アシル化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。前記硫酸触媒の量を前記範囲にすると、分子量分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。セルロースアシレートの重合度や分子量分布は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)等により測定することができる。
セルロースエステルの原料綿や合成方法については、発明協会公開技報(公技番号2001−1745号、2001年3月15日発行、発明協会)7〜12頁にも記載がある。
(可塑剤)
本発明の第2の光学異方性層は、分子量が500〜50000であって繰り返し単位を有する可塑剤(以下、高分子量可塑剤ともいう)を含有することを特徴とし、該可塑剤は第2の光学異方性層用のフィルムに含まれることが好ましい。溶液流延において、可塑剤は溶媒の揮発速度を速めかつ残留溶媒量を低減するために必須な素材である。また、溶融製膜法によるポリマーフィルムにおいても、可塑剤は着色や膜強度劣化を防止するために有用な素材である。さらに、本発明の第2の光学異方性層に該高分子量可塑剤を添加することは、機械的性質向上、柔軟性付与、耐吸水性付与、水分透過率低減等のフィルム改質の観点で、有用な効果を示すものである。
また本発明においては、後述する実施例で示すように、本発明の光学補償フィルムの輝点等欠陥の低減に非常に有効である事が分かった。第1の光学異方性層を積層する際に、後述する液晶層の塗工が行われる。その前処理としてラビング処理が第2の光学異方性層に行われ、この際にフィルムの屑が発生する事が輝点発生の原因と推定され、本発明の高分子量可塑剤を添加することによりこの屑が減少し、輝点発生を抑える事が可能となった。
ここで、本発明における高分子量可塑剤は、その化合物中に繰り返し単位部分を有することを特徴とする。本発明の高分子量可塑剤は、その数平均分子量が500〜50000であるが、好ましくは数平均分子量600〜8000であり、さらに好ましくは数平均分子量700〜5000であり、特に好ましくは数平均分子量700〜3500である。ただし、本発明における高分子量可塑剤は、このような繰り返し単位部分を有する化合物のみからなるものに限定されることはなく、繰り返し単位を有さない化合物との混合物であってもよい。
また、本発明の高分子量可塑剤は使用する環境温度あるいは湿度下で(一般には室温状況、所謂25℃、相対湿度60%)、液体であっても固体であっても良い。また、その色味は少ないほど良好であり特に無色であることが好ましい。熱的にはより高温において安定であることが好ましく、分解開始温度が150℃以上、さらに200℃以上が好ましく、より好ましくは250℃以上である。添加量は光学物性・機械物性に悪影響がなければ良く、その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択され、本発明に係る重合体100質量部に対して好ましくは1〜50質量部、より好ましくは2〜40質量部である。特に5〜30質量%が好ましい。
以下、本発明に用いられる高分子量可塑剤について、その具体例を挙げながら詳細に説明するが、本発明で用いることができる高分子量可塑剤はこれらに限定されるものではない。
前記第2の光学異方性層に用いることのできる高分子量可塑剤としては、特に限定されないが、負の固有複屈折を有する化合物を好ましく挙げることができる。前記負の固有複屈折を有する化合物の中でも負の固有複屈折を有する重合体が好ましい。
[負の固有複屈折を有する化合物]
本発明における負の固有複屈折を有する化合物について、以下説明する。
前記負の固有複屈折を有する化合物とは、セルロースエステルフィルムの中で、フィルムの特定の方向に対して負の固有複屈折性を示す材料を意味する。本明細書中において負の固有複屈折性とは、固有複屈折率が負の性質をいう。また、負の固有複屈折性を有しているか否かは、例えば、その化合物を添加した系としていない系でのフィルムの固有複屈折を複屈折計により測定し、その差を比較することにより知ることができる。
前記負の固有複屈折を有する化合物は、分子量が500〜50000であって繰り返し単位を有する以外に特に制限がなく、負の固有複屈折を示す公知の化合物などを用いることができる。
前記負の固有複屈折を有する化合物としては、負の固有複屈折を有する重合体や、負の固有複屈折性を示す針状微粒子(負の固有複屈折を有する重合体の針状微粒子)などを挙げることができる。以下、本発明に用いることができる負の固有複屈折を有する重合体、負の固有複屈折性を示す針状微粒子について説明する。
<負の固有複屈折を有する重合体>
前記負の固有複屈折を有する重合体とは、分子が一軸性の配向をとって形成された層に光が入射したとき、前記配向方向の光の屈折率が前記配向方向に直交する方向の光の屈折率より小さくなるポリマーをいう。
このような負の固有複屈折を有する重合体としては、特定の環状構造を有する重合体、ポリスチレンやスチレン−無水マレイン酸共重合体(SMA樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリビニルピロリドン系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、セルロースエステル系ポリマー(固有複屈折が正であるものを除く)、ポリエステル系ポリマー(固有複屈折が正であるものを除く)、フラノース構造もしくはピラノース構造を有するポリマー、アクリロニトリル系ポリマー、アルコキシシリル系ポリマー、
ポリエステル系可塑剤、ポリエーテル系可塑剤、ポリウレタン系可塑剤、ポリエステルポリウレタン系可塑剤、ポリエステルポリエーテル系可塑剤、ポリエーテルポリウレタン系可塑剤、ポリアミド系可塑剤、ポリスルフォン系可塑剤、ポリスルフォンアミド系可塑剤、後述するその他の高分子量可塑剤あるいはこれらの多元(二元系、三元系等)共重合ポリマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、共重合体であるときはブロック共重合体であってもランダム共重合体であってもよい。
そのうち少なくとも1種は、ポリエステル系可塑剤、ポリエーテル系可塑剤、ポリウレタン系可塑剤、ポリエステルポリウレタン系可塑剤、ポリエステルポリエーテル系可塑剤、ポリエーテルポリウレタン系可塑剤、ポリアミド系可塑剤、ポリスルフォン系可塑剤、ポリスルフォンアミド系可塑剤、ポリアクリル酸エステル系可塑剤、およびポリメタクリル酸エステル系可塑剤であることがより好ましく、ポリエステル系可塑剤、ポリエステルポリエーテル系可塑剤、ポリエステルポリウレタン系可塑剤、ポリアクリル酸エステル系可塑剤、ポリメタクリル酸エステル系可塑剤、特定の環状構造を有する重合体、スチレン系ポリマー、アクリル系ポリマー、アルコキシシリル系ポリマーがより好ましく、ポリビニルピロリドン、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、ポリヒドロキシスチレン、ポリアクリレート、ポリアクリルエステル、スチレン−マレイン酸共重合体であることが特に好ましく、ポリエステル系可塑剤、ポリエステルポリウレタン系可塑剤、ポリエステルポリエーテル系可塑剤であることがより特に好ましく、ポリエステル系可塑剤またはポリエステルポリウレタン系可塑剤であることがさらに特に好ましい。以下に、本発明で好ましく用いられる高分子量可塑剤について種類別に記述する。
(特定環状構造を側鎖に有する重合体)
前記負の固有複屈折を有する重合体としては、下記一般式(11)などで表される環状構造を側鎖に有する重合体も好ましい。
一般式(11)で表される環状構造を1つのみ有していても複数有していてもよく、それ以外に側鎖を有していてもよい。
(一般式(11)で表される環状構造)
一般式(11)で表される環状構造について説明する。
Figure 2010107960
一般式(11)において、X11はCR1または窒素原子を表し、窒素原子であることが好ましい。
また、R1は水素原子または1価の置換基を表し、1価の置換基としては特に制限はない。前記1価の置換基としては、例えば、後述するレターデーション発現剤の説明において(c)の連結基の具体例c1〜c15の直後に記載されている置換基が挙げられる。
1は炭素原子、窒素原子または硫黄原子を表し、炭素原子または硫黄原子であることが好ましく、炭素原子であることがより好ましい。
11は単結合または連結鎖長が1原子の連結基を表し、L11は単結合であることが好ましい。前記原子連結基としては特に制限はないが、2価の炭素原子含有連結基や、2価の窒素原子含有連結基、硫黄原子、酸素原子などがあげられる。
12は連結鎖長が2〜6原子の連結基を表す。L12の連結鎖長は2〜5原子であることが好ましく、2〜4原子であることがより好ましい。連結基としては、2価のものであれば特に制限はなく、例えば2価の炭素原子含有連結基や、2価の窒素原子含有連結基などが挙げられる。また、前記連結基はさらに置換基を有していてもよい。このような置換基としては、例えば、後述するレターデーション発現剤の説明において(c)の連結基の具体例c1〜c15の直後に記載されている置換基があげられる。
12は炭素数2〜4の置換または無置換のアルキレン基が特に好ましい。
前記一般式(11)で表される環状構造は、全体として芳香環やヘテロ環、芳香族ヘテロ環を形成していてもよい。また、複数の環状構造を含んでいてもよいが、単独の環状構造であることが好ましい。
11、Y1、L11、L12の好ましい組み合わせとしては、X11が窒素原子であり、Y1が炭素原子であり、L11が単結合であり、L12が炭素数2〜4の置換または無置換のアルキレン基である場合が好ましく、一般式(13)または(14)で表される構造であることがより好ましい。
(一般式(13)または(14)で表される環状構造)
まず、一般式(13)で表される環状構造について説明する。
Figure 2010107960
一般式(13)において、R19は炭素数2〜4の置換または無置換のアルキレン基を表し、炭素数3の置換または無置換のアルキレン基がより好ましい。
前記置換基としては、例えば、後述するレターデーション発現剤の説明において(c)の連結基の具体例c1〜c15の直後に記載されている置換基が挙げられる。また、前記置換基中に−C(=O)−の構造を有していても有していなくてもよいが、有している場合は一般式(13)における−C(=O)−と平行方向に近い方向であることが好ましい。
(一般式(14)で表される環状構造)
次に、一般式(14)で表される環状構造について説明する。
Figure 2010107960
一般式(14)において、R20は炭素数1〜3の置換または無置換のアルキレン基を表す。R20としては炭素数2の置換または無置換のアルキレン基がより好ましい。
前記置換基としては、一般式(13)で説明したものと同様のものを用いることができ、好ましい範囲も同様である。
前記一般式(11)で表される環状構造は、ピロリドン構造であることが最も好ましい。
前記一般式(11)、(13)または(14)で表される環状構造の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2010107960
前記一般式(11)で表される以外の好ましい環状構造の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2010107960
(スチレン系ポリマー)
前記負の固有複屈折を有する重合体としては、スチレン系ポリマーも好ましい。
スチレン系ポリマーは、好ましくは、一般式(A)で表される、芳香族ビニル系単量体から得られる構造単位である。
Figure 2010107960
式中、R201〜R204は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、または極性基を表し、R204は全て同一の原子または基であっても、個々異なる原子または基であっても、互いに結合して、炭素環または複素環(これらの炭素環、複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合して多環構造を形成してもよい)を形成してもよい。
芳香族ビニル系単量体の具体例としては、スチレン;α−メチルスチレン;β−メチルスチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどのアルキル置換スチレン類;4−クロロスチレン、4−ブロモスチレンなどのハロゲン置換スチレン類;o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、α−メチル−p−ヒドロキシスチレン、2−メチル−4−ヒドロキシスチレン、3,4−ジヒドロキシスチレンなどのヒドロキシスチレン類;ビニルベンジルアルコール類;p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、m−tert−ブトキシスチレンなどのアルコキシ置換スチレン類;3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸などのビニル安息香酸類;メチル−4−ビニルベンゾエート、エチル−4−ビニルベンゾエートなどのビニル安息香酸エステル類;4−ビニルベンジルアセテート;4−アセトキシスチレン;2−ブチルアミドスチレン、4−メチルアミドスチレン、p−スルホンアミドスチレンなどのアミドスチレン類;3−アミノスチレン、4−アミノスチレン、2−イソプロペニルアニリン、ビニルベンジルジメチルアミンなどのアミノスチレン類;3−ニトロスチレン、4−ニトロスチレンなどのニトロスチレン類;3−シアノスチレン、4−シアノスチレンなどのシアノスチレン類;ビニルフェニルアセトニトリル;フェニルスチレンなどのアリールスチレン類、インデン類などが挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。これらの単量体は、二種以上を共重合成分として用いてもよい。これらのうち、工業的に入手が容易で、かつ安価な点で、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
(アクリル系ポリマー)
前記負の固有複屈折を有する重合体としては、アクリル系ポリマーも好ましい。
アクリル系ポリマーは、好ましくは、一般式(B)で表される、アクリル酸エステル系単量体から得られる構造単位である。
Figure 2010107960
式中、R205〜R208は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、または極性基を表す。
当該アクリル酸エステル系単量体の例としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、tert−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−メトキシエチル)、アクリル酸(2−エトキシエチル)アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸(2または4−クロロフェニル)、メタクリル酸(2または4−クロロフェニル)、アクリル酸(2または3または4−エトキシカルボニルフェニル)、メタクリル酸(2または3または4−エトキシカルボニルフェニル)、アクリル酸(oまたはmまたはp−トリル)、メタクリル酸(oまたはmまたはp−トリル)、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェネチル、メタクリル酸フェネチル、アクリル酸(2−ナフチル)、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸(4−メチルシクロヘキシル)、メタクリル酸(4−メチルシクロヘキシル)、アクリル酸(4−エチルシクロヘキシル)、メタクリル酸(4−エチルシクロヘキシル)等、または上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものを挙げることができるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。これらの単量体は、2種以上を共重合成分として用いてもよい。これらのうち、工業的に入手が容易で、かつ安価な点で、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、tert−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、または上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものが好ましい。
(共重合体)
前記負の固有複屈折を有する重合体は、本発明の趣旨に反しない限り、共重合体であってもよい。また、共重合体である場合はブロック共重合体であっても、ランダム重合体であってもよい。また、グラフト共重合体でもよい。
前記一般式(1)の環状構造またはそれ以外の好ましい環状構造を側鎖に有する重合体は、前記の一般式(1)の環状構造またはそれ以外の好ましい環状構造を側鎖に有するモノマーの単独重合体であっても、2種以上の前記の一般式(1)の環状構造またはそれ以外の好ましい環状構造を側鎖に有するモノマーの共重合体であっても、前記の一般式(1)の環状構造またはそれ以外の好ましい環状構造を側鎖に有するモノマーとその他のモノマーとの共重合体であってもよい。
前記その他のモノマーとしては特に制限はないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸のアルキルエステル(メチルアクリレート、エチルアクリレート等)、メタクリル酸のアルキルエステル(メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等)、アクリル酸のアミノアルキルエステル(ジエチルアミノエチルアクリレート等)、メタクリル酸のアミノアルキルエステル、アクリル酸とグリコールとのモノエステル、メタクリル酸とグリコールとのモノエステル(ヒドロキシエチルメタクリレート等)、アクリル酸のアルカリ金属塩、メタクリル酸のアルカリ金属塩、アクリル酸のアンモニウム塩、メタクリル酸のアンモニウム塩、アクリル酸のアミノアルキルエステルの第4級アンモニウム誘導体、メタクリル酸のアミノアルキルエステルの第4級アンモニウム誘導体、ジエチルアミノエチルアクリレートとメチルサルフェートとの第4級アンモニウム化合物、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルスルホン酸のアルカリ金属塩、ビニルスルホン酸のアンモニウム塩、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸塩、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸塩、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸塩、酢酸ビニル、ビニルステアレート、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルカルバゾール、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−メチレンビスアクリルアミド、グリコールジアクリレート、グリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、グリコールジアリルエーテル等などをあげることができる。この中でも、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチルが好ましく、酢酸ビニル、メタクリル酸メチルがより好ましく、酢酸ビニルが特に好ましい。
セルロースアシレート樹脂の置換度が高い場合はセルロースアシレート樹脂は疎水性が高まるため、前記の一般式(1)の環状構造またはそれ以外の好ましい環状構造を側鎖に有するモノマーをその他のモノマーとの共重合体として疎水性を高め、相溶性を向上させることが好ましい。逆に、セルロースアシレート樹脂の置換度が低い場合はセルロースアシレート樹脂は疎水性が低下するため、前記の一般式(1)の環状構造またはそれ以外の好ましい環状構造を側鎖に有するモノマーをその他のモノマーとの共重合体として疎水性を低下させ、相溶性を向上させることが好ましい。例えば、ビニルピロリドン単独重合体を前記の一般式(1)の環状構造またはそれ以外の好ましい環状構造を側鎖に有する重合体として用いた場合、ビニルピロリドン単独重合体は親水的であるため高置換度のセルロースアシレート樹脂との相溶性が良くない。したがって、例えばポリビニルピロリドンとポリ酢酸ビニルとの共重合体とし、共重合比を調節することで、セルロースアシレート樹脂の置換度に応じて親疎水性を調整することができる。このように相溶性を調整することで、得られるセルロースアシレートフィルムの泣き出しや白化を抑えることができ、好ましい。
前記の一般式(1)の環状構造またはそれ以外の好ましい環状構造を側鎖に有するモノマーが他のモノマーとの共重合体である場合は、前記の一般式(1)の環状構造またはそれ以外の好ましい環状構造を側鎖に有するモノマーと他の重合体モノマーの共重合比は、3:7〜9:1であることが好ましく、3:7〜7:3であることがより好ましく、5:5〜7:3であることが特に好ましい。
また、前記負の固有複屈折を有する重合体が共重合体である場合、一般式(A)で表される芳香族ビニル系単量体および一般式(B)で表されるアクリル酸エステル系単量体から得られる構造単位を少なくとも1種含むものも好ましい。
Figure 2010107960
式中、R201〜R204は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、または極性基を表し、R204は全て同一の原子または基であっても、個々異なる原子または基であっても、互いに結合して、炭素環または複素環(これらの炭素環、複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合して多環構造を形成してもよい)を形成してもよい。
Figure 2010107960
式中R205〜R208は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、または極性基を表す。
また、共重合組成を構成する上記以外の構造として、前記単量体と共重合性に優れたものであることが好ましく、例として、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、シス−1−シクロヘキセン−1,2−無水ジカルボン酸、3−メチル−シス−1−シクロヘキセン−1,2−無水ジカルボン酸、4−メチル−シス−1−シクロヘキセン−1,2−無水ジカルボン酸等の酸無水物、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル基含有ラジカル重合性単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、トリフルオロメタンスルホニルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミド結合含有ラジカル重合性単量体;酢酸ビニルなどの脂肪酸ビニル類;塩化ビニル、塩化ビニリデンなどの塩素含有ラジカル重合性単量体;1,3−ブタジエン、イソプレン、1,4−ジメチルブタジエン等の共役ジオレフィン類をあげることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。この中で特に、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体が特に好ましい。
ポリエステル系可塑剤:
前記負の固有複屈折を有する化合物として例示した以外の本発明で用いられる可塑剤について説明する。
まず、本発明で用いられるポリエステル系可塑剤について説明する。好ましいポリエステル系可塑剤としては、特に限定されないが、ジカルボン酸とグリコールの反応によって得られるものであり、反応物の両末端は反応物のままでもよいが、さらにモノカルボン酸やモノアルコールを反応させて、所謂末端の封止を実施してもよい。この末端封止は、特にフリーなカルボン酸を含有させないために実施されることが、保存性などの点で有効である。本発明のポリエステル系可塑剤に使用されるジカルボン酸は、炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸残基または炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸残基であることが好ましい。
本発明で好ましく用いられるポリエステル系可塑剤の炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等がある。また炭素数8〜12のアリーレンジカルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等がある。これらは、それぞれ1種または2種以上の混合物として使用される。次にポリエステル系可塑剤に利用されるグリコールについて記すと、炭素数が2〜12の脂肪族または脂環式グリコール残基、炭素数6〜12の芳香族グリコール残基を表わす。
炭素原子2〜12個の脂肪族グリコールまたは脂環式グリコール類としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用される。
また、本発明のポリエステル可塑剤の両末端がカルボン酸とならないように、モノアルコール残基やモノカルボン酸残基で保護することが好ましい。その場合、モノアルコール残基としては炭素数1〜30の置換、無置換のモノアルコール残基が好ましく、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、イソヘキサノール、シクロヘキシルアルコール、オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、イソノニルアルコール、tert−ノニルアルコール、デカノール、ドデカノール、ドデカヘキサノール、ドデカオクタノール、アリルアルコール、オレイルアルコールなどの脂肪族アルコール、ベンジルアルコール、3−フェニルプロパノールなどの置換アルコールなどが挙げられる。
好ましく使用され得る末端封止用アルコール残基は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、イソヘキサノール、シクロヘキシルアルコール、イソオクタノール、2−エチルヘキシルアルコール、イソノニルアルコール、オレイルアルコール、ベンジルアルコールであり、特にはメタノール、エタノール、プロパノール、イソブタノール、シクロヘキシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、イソノニルアルコール、ベンジルアルコールである。
また、モノカルボン酸残基で封止する場合は、モノカルボン酸残基として使用されるモノカルボン酸は、炭素数1〜30の置換、無置換のモノカルボン酸が好ましい。これらは、脂肪族モノカルボン酸でも芳香族カルボン酸でもよい。まず好ましい脂肪族モノカルボン酸について記述すると、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、カプリル酸、カプロン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸が挙げられ、芳香族モノカルボン酸としては、例えば安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等があり、これらはそれぞれ1種または2種以上の混合物として使用することができる。
以上、具体的な好ましいポリエステル系可塑剤としては、ポリ(エチレングリコール/アジピン酸)エステル、ポリ(プロピレングリコール/アジピン酸)エステル、ポリ(1,3−ブタンジオール/アジピン酸)エステル、ポリ(プロピレングリコール/セバチン酸)エステル、ポリ(1,3−ブタンジオール/セバチン酸)エステル、ポリ(1,6−ヘキサンジオール/アジピン酸)エステル、ポリ(プロピレングリコール/フタル酸)エステル、ポリ(1,3−ブタンジオール/フタル酸)エステル、ポリ(プロピレングリコール/テレフタル酸)エステル、ポリ(プロピレングリコール/1,5−ナフタレン−ジカルボン酸)エステル、ポリ(プロピレングリコール/テレフタル酸)エステルの両末端が2−エチル−ヘキシルアルコールエステル/ポリ(プロピレングリコール、アジピン酸)エステルの両末端が2−エチル−ヘキシルアルコールエステル、アセチル化ポリ(ブタンジオール/アジピン酸)エステル、などを挙げることができる。
かかるポリエステル類の合成は常法により、上記二塩基性酸またはこれらのアルキルエステル類とグリコール類とのポリエステル化反応またはエステル交換反応による熱溶融縮合法か、あるいはこれら酸の酸クロライドとグリコール類との界面縮合法のいずれかの方法によっても容易に合成し得るものである。これらのポリエステル系可塑剤については、村井孝一編者「可塑剤 その理論と応用」(株式会社幸書房、昭和48年3月1日初版第1版発行)に詳細な記載がある。また、特開平05−155809号、特開平05−155810号、特開平5−197073号、特開2006−259494号、特開平07−330670号、特開2006−342227号、特開2007−003679号各公報などに記載されている素材を利用することもできる。
また、商品として、株式会社ADEKAからポリエステル系可塑剤としてDIARY 2007、55頁〜27頁に記載にアデカサイザー(アデカサイザーPシリーズ、アデカサイザーPNシリーズとして各種あり)を使用でき、また大日本インキ化学工業株式会社「ポリマ関連製品一覧表2007年版」25頁に記載のポリライト各種の商品や、大日本インキ化学工業株式会社「DICのポリマ改質剤」(2004.4.1.000VIII発行)2頁〜5頁に記載のポリサイザー各種を利用できる。さらに、米国 CP HALL 社製のPlasthall Pシリーズとして入手できる。ベンゾイル官能化ポリエーテルは、イリノイ州ローズモントのベルシコルケミカルズ(Velsicol Chemicals)から商品名BENZOFLEXで商業的に販売されている(例えば、BENZOFLEX400、ポリプロピレングリコールジベンゾエート)。
ポリエステルポリエーテル系可塑剤:
次に、本発明で用いられるポリエステルポリエーテル系可塑剤について説明する。本発明のポリエステルポリエーテル系可塑剤とは、ジカルボン酸とポリエーテルジオールとの縮合ポリマーを示すものである。ジカルボン酸としては、ポリエステル系可塑剤で記述した炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸残基または炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸残基をそのまま使用するものである。
次に炭素原子2〜12個の脂肪族グリコールを有するポリエーテル類としては、ポリエチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールならびにこれらの組み合わせが挙げられる。典型的に有用な市販のポリエーテルグリコール類としては、カーボワックス(Carbowax)レジン、プルロニックス(Pluronics)レジンおよびニアックス(Niax)レジンが挙げられる。本発明に使用されるポリエステルポリエーテル系可塑剤の製造に際しては、当業者に周知の常用されている重合法が使用できる。
これらのポリエステルエーテル系可塑剤としては、米国特許第4,349,469号明細書に記載されているポリエステルポリエーテル系可塑剤などが挙げられる。基本的に、例えばジカルボン酸として1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と、ポリエーテルとして1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびポリテトラメチレンエーテルグリコールなどから合成されるポリエステルポリエーテル系可塑剤である。その他の有用なポリエステルポリエーテル系可塑剤としては、DuPont製のハイテレル(Hytrel)コポリエステル類やGAF製のガルフレック(Galflex)ポリマーのようなコポリマーのごとき市販のレジンが挙げられる。これらは、特開平5−197073号公報に記載の素材を利用できる。株式会社ADEKAからアデカサイザーRSシリーズとして市販されており利用できる。また、アルキル官能化ポリアルキレンオキシドであるポリエステルエーテル系可塑剤は、デラウェア州ウィルミントンのアイシーアイ(ICI Chemicals)から商品名PYCALで商業的に販売されている(例えば、PYCAL94、ポリエチレンオキシドのフェニルエステル)。
ポリエステルポリウレタン系可塑剤:
さらに、本発明で用いられるポリエステルポリウレタン系可塑剤について説明する。該可塑剤は、ポリエステルとイソシアナート化合物の縮合で得ることができる。まず、ポリエステルとしては、両末端を封止する前のポリエステル系可塑剤をそのまま使用でき、ポリエステル系可塑剤で前述した素材を好ましく利用できる。 ポリウレタン構造を形成するジイソシアナート成分としては、エチレンジイソシアナート、トリメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート等で代表されるOCN(CH2p NCO(p=2〜8)ポリメチレンイソシアナート並びに、p−フェニレンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート、p,p′−ジフェニルメタンジイソシアナート、1,5−ナフチレンジイソシアナート等の芳香族ジイソシアナート、さらには、m−キシリレンジイソシアナート等が用いられるが、これらに制限されるものではない。これらの中でも、特にトリレンジイソシアナート、m−キシリレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナートが好ましいものである。
本発明においてポリエステルポリウレタン系可塑剤の合成は、原料のポリエステルジオール類とジイソシアナートとを混じ攪拌下加熱させる常法の合成法により、容易に得る事ができる。これらは、特開平5−197073号、特開2001−122979号、特開2004−175971号、特開2004−175972号各公報などに記載してある素材を利用できる。
糖類:
その他に、本発明では、フラノース構造もしくはピラノース構造を有する化合物も使用可能である。すなわち、フラノース構造もしくはピラノース構造を少なくとも1個有し、該フラノース構造もしくはピラノース構造が1〜12個結合した化合物中のOH基のすべてもしくは一部をエステル化した糖エステル化合物である。
好ましい例としては、例えば以下のようなものを挙げることが出来るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、アラビノース、ラクトース、スクロース、セロビオース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノースなどが挙げられるが、特にフラノース構造とピラノース構造を両方有するものが好ましい。例としてはスクロースが挙げられる。
前記「フラノース構造もしくはピラノース構造を少なくとも1個有し、該フラノース構造もしくはピラノース構造が1〜12個結合した化合物中のOH基のすべてもしくは一部をエステル化した糖エステル化合物」に用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることが出来る。用いられるカルボン酸は1種類でもよいし2種以上の混合であってもよい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸の例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることが出来る。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることが出来る。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環に1〜5個のアルキル基もしくはアルコキシ基を導入した芳香族モノカルボン酸、ケイ皮酸、ベンジル酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることが出来るが、特に安息香酸が好ましい。
その他の高分子量可塑剤:
本発明においては、前述したポリエステル系可塑剤、ポリエステルポリエーテル系可塑剤やポリエステルポリウレタン系可塑剤、糖類だけでなく、その他の高分子量可塑剤も使用し得るものである。該高分子量可塑剤としては、脂肪族炭化水素系ポリマー、脂環式炭化水素系ポリマー、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル等のアクリル系ポリマー(エステル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、tert−ノニル基、ドデシル基、トリデシル基、ステアリル基、オレイル基、ベンジル基、フェニル基など)、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリN−ビニルピロリドン等のビニル系ポリマー、ポリスチレン、ポリ4−ヒドロキシスチレン等のスチレン系ポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、フェノール−ホルムアルデヒド縮合物、尿素−ホルムアルデヒド縮合物、酢酸ビニル、等が挙げられる。
これらポリマー可塑剤は1種の繰り返し単位からなる単独重合体でも、複数の繰り返し構造体を有する共重合体でも良い。また、上記ポリマーを2種以上併用して用いても良い。これらの高分子量可塑剤は、各々単独で用いても良く、またこれらを混合して用いても同様の効果が得られる。これらの中でも、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステルあるいは他のビニルモノマーとの共重合度体が好ましく、特にはポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル等のアクリル系ポリマー(エステル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、イソノニル基、オレイル基)を基本とする高分子量可塑剤が好ましい。
以下に、好ましい高分子量可塑剤の具体例を記すが、本発明で用いることができる高分子量可塑剤はこれらに限定されるものではない。
PP−1: エタンジオール/コハク酸(1/1モル比)との縮合物(数平均分子量2500)
PP−2: 1,3−プロパンジオール/グルタル酸(1/1モル比)との縮合物(数平均分子量1500)
PP−3: 1,3−プロパンジオール/アジピン酸(1/1モル比)との縮合物(数平均分子量1300)
PP−4: 1,3−プロパンジオール/エチレングリコール/アジピン酸(1/1/2モル比)との縮合物(数平均分子量1500)
PP−5: 2−メチル−1,3−プロパンジオール/アジピン酸(1/1モル比)との縮合物(数平均分子量1200)
PP−6: 1,4−ブタンジオール/アジピン酸(1/1モル比)との縮合物(数平均分子量1500)
PP−7: 1,4−シクロヘキサンジオール/コハク酸(1/1モル比)との縮合物(数平均分子量800)
PP−8: 1,3−プロパンジオール/コハク酸(1/1モル比)との縮合物の両末端のブチルエステル化体(数平均分子量1300)
PP−9: 1,3−プロパンジオール/グルタル酸(1/1モル比)との縮合物の両末端のシクロヘキシルエステル化体(数平均分子量1500)
PP−10: エタンジオール/コハク酸(1/1モル比)との縮合物の両末端の2−エチルヘキシルエステル化体(数平均分子量3000)
PP−11: 1,3−プロパンジオール/エチレングリコール/アジピン酸(1/1/2モル比)との縮合物の両末端のイソノニルエステル化体(数平均分子量1500)
PP−12: 2−メチル−1,3−プロパンジオール/アジピン酸(1/1モル比)との縮合物の両末端のプロピルエステル化体(数平均分子量1300)
PP−13: 2−メチル−1,3−プロパンジオール/アジピン酸(1/1モル比)との縮合物の両末端の2−エチルヘキシルエステル化体(数平均分子量1300)
PP−14: 2−メチル−1,3−プロパンジオール/アジピン酸(1/1モル比)との縮合物の両末端のイソノニルエステル化体(数平均分子量1300)
PP−15: 1,4−ブタンジオール/アジピン酸(1/1モル比)との縮合物の両末端のブチルエステル化体(数平均分子量1800)
PP−16: エタンジオール/テレフタル酸(1/1モル比)との縮合物(数平均分子量2000)
PP−17: 1,3−プロパンジオール/1,5−ナフタレンジカルボン酸(1/1モル比)との縮合物(数平均分子量1500)
PP−18: 2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソフタル酸(1/1モル比)との縮合物(数平均分子量1200)
PP−19: 1,3−プロパンジオール/テレフタル酸(1/1モル比)との縮合物両末端のベンジルエステル化体(数平均分子量1500)
PP−20: 1,3−プロパンジオール/1,5−ナフタレンジカルボン酸両末端のプロピルエステル化体(1/1モル比)との縮合物(数平均分子量1500)
PP−21: 2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソフタル酸(1/1モル比)との縮合物両末端のブチルエステル化体(数平均分子量1200)
PP−22: ポリ(平均重合度5)プロピレンエーテルグリコール/コハク酸(1/1モル比)との縮合物(数平均分子量1800)
PP−23: ポリ(平均重合度3)エチレンエーテルグリコール/グルタル酸(1/1モル比)との縮合物(数平均分子量1600)
PP−24: ポリ(平均重合度4)プロピレンエーテルグリコール/アジピン酸(1/1モル比)との縮合物(数平均分子量2200)
PP−25: ポリ(平均重合度4)プロピレンエーテルグリコール/フタル酸(1/1モル比)との縮合物(数平均分子量1500)
PP−26: ポリ(平均重合度5)プロピレンエーテルグリコール/コハク酸(1/1モル比)との縮合物両末端のブチルエステル化体(数平均分子量1900)
PP−27: ポリ(平均重合度3)エチレンエーテルグリコール/グルタル酸(1/1モル比)との縮合物両末端の2−エチルヘキシルエステル化体(数平均分子量1700)
PP−28: ポリ(平均重合度4)プロピレンエーテルグリコール/アジピン酸(1/1モル比)との縮合物両末端のtert−ノニルエステル化体(数平均分子量1300)
PP−29: ポリ(平均重合度4)プロピレンエーテルグリコール/フタル酸(1/1モル比)との縮合物両末端のプロピルエステル化体(数平均分子量1600)
PP−30: 1,3−プロパンジオール/コハク酸(1/1モル比)との縮合物(数平均分子量1500)をトリメチレンジイソシアナート(1モル)で縮合したポリエステルウレタン化合物、
PP−31: 1,3−プロパンジオール/グルタル酸(1/1モル比)との縮合物(数平均分子量1200)をテトラメチレンジイソシアナート(1モル)で縮合したポリエステル−ウレタン化合物
PP−32: 1,3−プロパンジオール/アジピン酸(1/1モル比)との縮合物(数平均分子量1000)をp−フェニレンジイソシアナート(1モル)で縮合したポリエステル−ウレタン化合物
PP−33: 1,3−プロパンジオール/エチレングリコール/アジピン酸(1/1/2モル比)との縮合物(数平均分子量1500)をトリレンジイソシアナート(1モル)で縮合したポリエステル−ウレタン化合物
PP−34: 2−メチル−1,3−プロパンジオール/アジピン酸(1/1モル比)との縮合物(数平均分子量1200)をm−キシリレンジイソシアナート(1モル)で縮合したポリエステル−ウレタン化合物
PP−35: 1,4−ブタンジオール/アジピン酸(1/1モル比)との縮合物(数平均分子量1500)をテトラメチレンジイソシアナート(1モル)で縮合したポリエステル−ウレタン化合物
PP−36: ポリイソプロピルアクリレート(数平均分子量1300)
PP−37: ポリブチルアクリレート(数平均分子量1300)
PP−38: ポリイソプロピルメタクリレート(数平均分子量1200)
PP−39: ポリ(メチルメタクリレート/ブチルメタクリレート(モル比8/2、数平均分子量1600)
PP−40: ポリ(メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート(モル比9/1、数平均分子量1600)
PP−41: ポリ(ビニルアセテート(数平均分子量2400)
<針状微粒子>
前記負の固有複屈折を有する針状微粒子としては、延伸方向に対して負の固有複屈折性を示す少なくとも1種の針状微粒子を挙げることができる。前記延伸方向に対して負の固有複屈折性を示す針状微粒子としては、分子量が500〜50000であって繰り返し単位を有する以外に特に制限はないが、重合体針状微粒子を挙げることができる。針状微粒子は配向方向に対して負の固有複屈折効果を持つ。針状(棒状)の形態であるため、粘性のある媒体内に分散させた状態で応力を作用させることにより、統計的に所定の方向に配向させることができる。
前記重合体針状微粒子としては、ポリスチレンあるいはアクリル樹脂の棒状粒子などを好ましく用いられる。例えばポリスチレン樹脂あるいはアクリル樹脂を有し、極細繊維を細かく切断して製造した短繊維状の針状微粒子であってもよい。これらの繊維は製造過程で延伸されていることが固有複屈折性を発現しやすくなるため好ましい。また、これらの樹脂は架橋されていることが好ましい。
前記固有複屈折性針状微粒子の固有複屈折性については、次のように定義する。固有複屈折性微粒子の長径方向に偏光した光に対する屈折率をnpr、長径方向に直交する方向に偏光した光に対する平均屈折率をnvtとする。固有複屈折性微粒子の複屈折Δnは、Δn=npr−nvtで定義される。
すなわち、固有複屈折性微粒子の長径方向の屈折率が、それに直交する方向の平均屈折率よりも大きければ正の複屈折、その逆であれば負の複屈折となる。
前記第2の光学異方性層中には、脆性の改善の観点から、前記可塑剤が前記ポリマーに対して2〜30質量%含まれていることが好ましく、5〜25質量%含まれていることがより好ましく、5〜20質量%含まれていることが特に好ましい。
(3)第1の光学異方性層
(3−1)第1の光学異方性層の特徴
本発明の光学補償フィルムを構成する第1の光学異方性層は、Re(550)が20〜100nmであり、液晶を含むという特性を有する。かかる特性の光学異方性層の一例として、液晶組成物をハイブリッド配向状態に固定して形成される光学異方性層が挙げられる。液晶を含むという特性を有する中でも、第1の光学異方性層にRe(550)が0nmになる方向が存在せず、且つRe(550)の絶対値が最小となる方向が、層の法線方向にも面内にもないことが好ましい。さらに、第2の光学異方性層の配向処理後の配向膜上に、円盤状の液晶組成物をハイブリッド配向状態に固定して形成される光学異方性層であることが好ましい。
すなわち、前記第1の光学異方性層が円盤状液晶化合物を含むことが、液晶セルの補償の観点から好ましい。
第1の光学異方性層のRe(550)が20nm以上であると、従来同様の構成の光学補償フィルムで達成していた光学補償能が十分得られる。また、100nm以下であったり、Re(550)が0nmになる方向が存在しない場合、Re(550)の絶対値が最小となる方向が層の法線方向か面内に存在しない場合には、ハイブリッド配向しているセルの液晶を十分補償する事ができるようになるためコントラスト視野角および色味が良化し、好ましい。
第1の光学異方性層のRe(550)は、20〜40nmであることがより好ましく、
25〜40nmであることが特に好ましい。
前記第1の光学異方性層の形成に用いる液晶組成物は、ネマチック相およびスメクチック相を形成し得る液晶組成物であるのが好ましい。液晶化合物は、一般的に、その分子の形状に基づいて、棒状および円盤状液晶化合物に分類されるが、本発明ではいずれの形状の液晶化合物を用いてもよい。
前記第1の光学異方性層の厚さについては特に制限されないが、0.1〜10μmであるのが好ましく、0.5〜5μmであるのがより好ましい。
(3−2)第1の光学異方性層に用いられる材料
(3−2−1)円盤状液晶化合物
円盤状液晶化合物としては、特開2006−76992号公報明細書中の段落番号[0052]、特開2007−2220号公報明細書中の段落番号[0040]〜[0063]に記載の化合物が適しており、下記一般式(DI)で表される化合物が、高い複屈折性を示すので好ましい。下記一般式(DI)表される化合物の中でも、ディスコティック液晶性を示す化合物が好ましく、特に、ディスコティックネマチック相を示す化合物が好ましい。
Figure 2010107960
また、前記円盤状液晶化合物の好ましい例には、特開2005−301206号公報に記載の化合物も含まれる。
(3−2−2)棒状液晶化合物
第1の光学異方性層には、棒状液晶化合物を用いることもできる。
棒状液晶化合物を用いる場合は、前記第1の光学異方性層に要求される特性を満足するために、2種以上の棒状液晶化合物を用いるのが好ましい。好ましい組み合わせとしては、下記一般式(1)で表される棒状液晶の少なくとも一種と、下記一般式(2)で表される棒状液晶の少なくとも一種との組み合わせが挙げられる。
Figure 2010107960
前記一般式(1)および(2)中、AおよびBはそれぞれ、芳香族もしくは脂肪族炭化水素環、またはヘテロ環の基を表し;R101〜R104はそれぞれ、置換もしくは無置換の、C1〜12(好ましくはC3〜7)のアルキレン基、またはC1〜12(好ましくはC3〜7)のアルキレン鎖を含むアルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基もしくはアルコキシカルボニルオキシ基を表し;Ra、RbおよびRcはそれぞれ置換基を表し;x、yおよびzはそれぞれ、1〜4の整数を表す。
前記一般式(1)中、R101〜R104に含まれるアルキル鎖は、直鎖状および分岐状のいずれであってもよい。直鎖状であるのがより好ましい。また、組成物を硬化させるために、R101〜R104は末端に重合性基を有しているのが好ましく、該重合性基の例には、アクリロイル基、メタクリロイル基、およびエポキシ基等が含まれる。
前記一般式(1)中、xおよびzは0で、且つyが1であるのが好ましく、1個のRbは、オキシカルボニル基またはアシルオキシ基に対してメタ位もしくはオルト位の置換基であるのが好ましい。RbはC1〜12のアルキル基(例えばメチル基)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子)等が好ましい。
前記一般式(2)中、AおよびBはそれぞれ、フェニレン基またはシクロへキシレン基であるのが好ましく、AおよびBの双方がフェニレン基であるか、または一方がシクロへキシレン基で且つ他方がフェニレン基であるのが好ましい。
[本発明の光学補償フィルムの製造方法]
本発明の光学補償フィルムの製造方法は、セルロースアシレートと、数平均分子量が500〜50000であって繰り返し単位を有する可塑剤とを含有する組成物を用いて第2の光学異方性層用のフィルムを下記式(1)の条件を満たす温度T(単位;℃)で熱処理する工程と、熱処理後の前記第2の光学異方性層用のフィルムの表面上に配向膜用のフィルムを製膜し、ラビング処理により配向膜を形成して第2の光学異方性層を形成する工程と、前記第2の光学異方性層の配向膜が形成されている側の表面に第1の光学異方性層を形成する工程とを含むことを特徴とする。
式(1): Tc≦T<Tm0
前記式(1)中、Tcは熱処理前の第2の光学異方性層用のフィルムの結晶化温度(単位;℃)を表し、Tm0は熱処理前の第2の光学異方性層用のフィルムの融点(単位;℃)を表す。
以下、本発明の光学補償フィルムの製造方法を工程ごとに説明する。
<第2の光学異方性層用のフィルムを製膜する工程>
まず、セルロースアシレートと、数平均分子量が500〜50000であって繰り返し単位を有する可塑剤とを含有する組成物を用いて第2の光学異方性層用のフィルムを製膜する工程について説明する。本発明の製造方法においては、「第2の光学異方性層用のフィルムを製膜する工程」を独立した工程として行うことは必須ではなく、後述する「第2の光学異方性層用のフィルムを式(1)の条件を満たす温度Tで熱処理する工程」中に含まれていてもよい。本発明の製造方法によれば、レターデーションが制御された第2の光学異方性層用のフィルムを得ることができる。
(波長分散調整剤)
前記波長分散の好ましい範囲を満たす第2の光学異方性層用のフィルムを製造するためには、波長分散調整剤を用いることが好ましい。本発明において波長分散調整剤とは、300〜380nmの波長域に吸収極大を持つ化合物である。本発明で用いる波長分散調整剤は、330〜370nmに吸収極大を持つ化合物であることがより好ましい。このような波長分散調整剤を特に負の固有複屈折性を示すポリマーに添加して製膜したフィルムを延伸することにより、本発明の波長分散の条件を満たす第2の光学異方性層用のフィルムを容易に製造することができる。
本発明で用いる波長分散調整剤は、光学補償フィルムや液晶表示装置を製造するための全プロセスにおいて揮散が実質的に無い化合物であることが好ましい。波長分散調整剤は、1種のみを単独で使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。添加量は、フィルムに持たせる光学的性質等によって異なるが、好ましくは2〜20質量%であり、より好ましくは4〜15質量%であり、さらに好ましくは5〜10質量%である。波長分散調整剤は、フィルムの製膜前にあらかじめ製膜用メルトや溶液に添加・混合しておくことが好ましい。
本発明で用いる波長分散調整剤は、下記一般式(I)〜(VI)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。一般式(I)〜(VI)の中では、一般式(I)、(II)、(III)で表される化合物がより好ましく、一般式(I)で表される化合物がさらに好ましい。
Figure 2010107960
Figure 2010107960
上記一般式(I)におけるR11、R12、R13、R14、R15、R16、およびR17;上記一般式(II)におけるR21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、およびR29;上記一般式(III)におけるR41、R42、R43、R44、R45、R46、およびR47;上記一般式(IV)におけるR51、R52、R53、R54、R55、R56、およびR57;上記一般式(V)におけるR61、R62、R63、R64、R65、R66、R67、およびR68;上記一般式(VI)におけるR71、R72、R73、R74、R75およびR76はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。
上記一般式(I)〜(VI)において、紙面の水平方向(左右方向)が分子長軸方向となるように置換基を組み合わせることが好ましい。
前記置換基として好ましくは、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜30、より好ましくは炭素原子数3〜10の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは炭素原子数5〜30、より好ましくは炭素原子数5〜10の置換または無置換のビシクロアルキル基、つまり、好ましくは炭素原子数5〜30、より好ましくは炭素原子数5〜10のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1.2.2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−3−イル)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基)、シクロアルケニル基(好ましくは炭素原子数3〜30、より好ましくは炭素原子数3〜10の置換または無置換のシクロアルケニル基、つまり、好ましくは炭素原子数3〜30、より好ましくは炭素原子数3〜10のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換または無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは炭素原子数5〜30、より好ましくは炭素原子数5〜10の置換または無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2.2.2]オクト−2−エン−4−イル)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換または無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換または無置換の、芳香族または非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、より好ましくは炭素原子数3〜30、より好ましくは炭素原子数3〜10の5または6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、
シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換または無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換または無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは炭素原子数3〜20、より好ましくは炭素原子数3〜10のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換または無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換または無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換または無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換または無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換または無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素原子数7〜30、より好ましくは炭素原子数7〜10の置換または無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換または無置換のアルキルアミノ基、炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換または無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換または無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換または無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換または無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換または無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素原子数7〜30、より好ましくは炭素原子数7〜10の置換または無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素原子数0〜30、より好ましくは炭素原子数0〜10の置換または無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換または無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換または無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換または無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換または無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、
ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜30、より好ましくは炭素原子数0〜10の置換または無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N'フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキルおよびアリールスルホニル基(好ましくは、炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換または無置換のアルキルスルホニル基、炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素原子数7〜30、より好ましくは炭素原子数7〜10の置換または無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイルベンゾイル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素原子数7〜30、より好ましくは炭素原子数7〜10の置換または無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換または無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換または無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、アリールおよびヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換または無置換のアリールアゾ基、炭素原子数3〜30、より好ましくは炭素原子数3〜10の置換または無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換または無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換または無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換または無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換または無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは、炭素原子数3〜30、より好ましくは炭素原子数3〜10の置換または無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基)を表わす。
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていてもよい。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
上記の置換基の中でより好ましいものは、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アリールスルホニル基であり、さらに好ましいものは、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、フェニルスルホニル基である。
また、1分子の中に置換基が二つ以上ある場合は、それらの置換基は同じであっても異なっていてもよい。また、可能な場合には互いに連結して環(一般式中に記載されている環との縮合環を含む)を形成してもよい。
本発明で用いる波長分散調整剤の分子量は、好ましくは100〜5000であり、より好ましくは150〜3000であり、さらに好ましくは200〜2000である。
(ポリマー溶液)
本発明の製造方法に用いる第2の光学異方性層用のフィルム(以下、明細書中において、「熱処理前のポリマーフィルム」とも称する)は、例えば、上記ポリマーや各種添加剤を含有するポリマー溶液から溶液流延製膜方法によって作製することができる。以下において、溶液流延製膜方法に用いることができるポリマー溶液について説明する。
(溶媒)
本発明の製造方法に用いる第2の光学異方性用のフィルムの作製に用いられるポリマー溶液(好ましくはセルロースエステル溶液)の主溶媒としては、該ポリマーの良溶媒である有機溶媒を好ましく用いることができる。このような有機溶媒としては、沸点が80℃以下の有機溶媒が乾燥負荷低減の観点からより好ましい。前記有機溶媒の沸点は、10〜80℃であることがさらに好ましく、20〜60℃であることが特に好ましい。また、場合により沸点が30〜45℃である有機溶媒も前記主溶媒として好適に用いることができる。
このような主溶媒としては、ハロゲン化炭化水素、エステル、ケトン、エーテル、アルコールおよび炭化水素などが挙げられ、これらは分岐構造若しくは環状構造を有していてもよい。また、前記主溶媒は、エステル、ケトン、エーテルおよびアルコールの官能基(即ち、−O−、−CO−、−COO−、−OH)のいずれかを二つ以上有していてもよい。さらに、前記エステル、ケトン、エーテルおよびアルコールの炭化水素部分における水素原子は、ハロゲン原子(特に、フッ素原子)で置換されていてもよい。なお、本発明の製造方法に用いるポリマーフィルムの作製に用いられるポリマー溶液(好ましくはセルロースエステル溶液)の主溶媒とは、単一の溶媒からなる場合には、その溶媒のことを示し、複数の溶媒からなる場合には、構成する溶媒のうち、最も質量分率の高い溶媒のことを示す。主溶媒としては、ハロゲン化炭化水素を好適に挙げることができる。
前記ハロゲン化炭化水素としては、塩素化炭化水素がより好ましく、例えば、ジクロロメタンおよびクロロホルムなどが挙げられ、ジクロロメタンがさらに好ましい。
前記エステルとしては、例えば、メチルホルメート、エチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートなどが挙げられる。
前記ケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。
前記エーテルとしては、例えば、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどが挙げられる。
前記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどが挙げられる。
前記炭化水素としては、例えば、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。
これら主溶媒と併用される有機溶媒としては、ハロゲン化炭化水素、エステル、ケトン、エーテル、アルコールおよび炭化水素などが挙げられ、これらは分岐構造若しくは環状構造を有していてもよい。また、前記有機溶媒としては、エステル、ケトン、エーテルおよびアルコールの官能基(即ち、−O−、−CO−、−COO−、−OH)のいずれか二つ以上を有していてもよい。さらに、前記エステル、ケトン、エーテルおよびアルコールの炭化水素部分における水素原子は、ハロゲン原子(特に、フッ素原子)で置換されていてもよい。
前記ハロゲン化炭化水素としては、塩素化炭化水素がより好ましく、例えば、ジクロロメタンおよびクロロホルムなどが挙げられ、ジクロロメタンがさらに好ましい。
前記エステルとしては、例えば、メチルホルメート、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、ペンチルアセテートなどが挙げられる。
前記ケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンなどが挙げられる。
前記エーテルとしては、例えば、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アニソール、フェネトールなどが挙げられる。
前記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、シクロヘキサノール、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールなどが挙げられる。好ましくは炭素数1〜4のアルコールであり、より好ましくはメタノール、エタノールまたはブタノールであり、最も好ましくはメタノール、ブタノールである。前記炭化水素としては、例えば、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
前記2種類以上の官能基を有する有機溶媒としては、例えば、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、メチルアセトアセテートなどが挙げられる。
本発明で用いられる第2の光学異方性層用のフィルムを構成するポリマーが水酸基やエステル、ケトン等の水素結合性の官能基を含む場合、全溶媒中に5〜30質量%、より好ましくは7〜25質量%、さらに好ましくは10〜20質量%のアルコールを含有することが流延支持体からの剥離荷重低減の観点から好ましい。水素結合性の官能基を含むポリマーには、セルロースアシレートが含まれる。
アルコール含有量を調整することによって、本発明の製造方法により製造される第2の光学異方性層用のフィルムのReやRthの発現性を調整しやすくすることができる。具体的には、アルコール含有量を上げることによって、熱処理温度を比較的低く設定したり、ReやRthの到達範囲をより大きくしたりすることが可能となる。
また、本発明の製造方法に用いる第2の光学異方性用のフィルムの作製に用いられる前記ポリマー溶液は、乾燥過程初期においてハロゲン化炭化水素とともに揮発する割合が小さく、次第に濃縮される沸点が95℃以上であり、且つ、セルロースエステルの貧溶媒である有機溶媒を1〜15質量%、より好ましくは1.5〜13質量%、さらに好ましくは2〜10質量%含有することが好ましい。また、本発明においては、水を少量含有させることも溶液粘度や乾燥時のウェットフィルム状態の膜強度を高めたり、ドラム法流延時のドープ強度を高めるのに有効であり、例えば溶液全体に対して0.1〜5質量%含有させても良く、より好ましくは0.1〜3質量%含有させてもよく、特には0.2〜2質量%含有させてもよい。
本発明の製造方法に用いる第2の光学異方性用のフィルムの作製に用いられるポリマー溶液の溶媒として好ましく用いられる有機溶媒の組み合せの例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、比率の数値は、質量部を意味する。
(1)ジクロロメタン/メタノール/エタノール/ブタノール=80/10/5/5
(2)ジクロロメタン/メタノール/エタノール/ブタノール=80/5/5/10
(3)ジクロロメタン/イソブチルアルコール=90/10
(4)ジクロロメタン/アセトン/メタノール/プロパノール=80/5/5/10
(5)ジクロロメタン/メタノール/ブタノール/シクロヘキサン=80/8/10/2
(6)ジクロロメタン/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール=80/10/5/5
(7)ジクロロメタン/ブタノール=90/10
(8)ジクロロメタン/アセトン/メチルエチルケトン/エタノール/ブタノール=68/10/10/7/5
(9)ジクロロメタン/シクロペンタノン/メタノール/ペンタノール=80/2/15/3
(10)ジクロロメタン/メチルアセテート/エタノール/ブタノール=70/12/15/3
(11)ジクロロメタン/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール=80/5/5/10
(12)ジクロロメタン/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/ペンタノール=50/20/15/5/10
(13)ジクロロメタン/1,3−ジオキソラン/メタノール/ブタノール=70/15/5/10
(14)ジクロロメタン/ジオキサン/アセトン/メタノール/ブタノール=75/5/10/5/5
(15)ジクロロメタン/アセトン/シクロペンタノン/エタノール/イソブチルアルコール/シクロヘキサン=60/18/3/10/7/2
(16)ジクロロメタン/メチルエチルケトン/アセトン/イソブチルアルコール=70/10/10/10
(17)ジクロロメタン/アセトン/エチルアセテート/ブタノール/ヘキサン=69/10/10/10/1
(18)ジクロロメタン/メチルアセテート/メタノール/イソブチルアルコール=65/15/10/10
(19)ジクロロメタン/シクロペンタノン/エタノール/ブタノール=85/7/3/5
(20)ジクロロメタン/メタノール/ブタノール=83/15/2
(21)ジクロロメタン=100
(22)アセトン/エタノール/ブタノール=80/15/5
(23)メチルアセテート/アセトン/メタノール/ブタノール=75/10/10/5
(24)1,3−ジオキソラン=100
(25)ジクロロメタン/メタノール/ブタノール/水=85/18/1.5/0.5
(26)ジクロロメタン/アセトン/メタノール/ブタノール/水=87/5/5/2.5/0.5
(27)ジクロロメタン/メタノール=92/8
(28)ジクロロメタン/メタノール=90/10
(29)ジクロロメタン/メタノール=87/13
(30)ジクロロメタン/エタノール=90/10
(31)ジクロロメタン/メタノール/ブタノール=80/19/1
また、非ハロゲン系有機溶媒を主溶媒とした場合の詳細な記載は発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)に記載があり、適宜、使用することができる。
(溶液濃度)
調製する前記ポリマー溶液中のポリマー濃度は、5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がさらに好ましく、15〜30質量%が最も好ましい。
前記ポリマー濃度は、ポリマーを溶媒に溶解する段階で所定の濃度になるように調整することができる。また予め低濃度(例えば4〜14質量%)の溶液を調製した後に、溶媒を蒸発させる等によって濃縮してもよい。さらに、予め高濃度の溶液を調製後に、希釈してもよい。また、添加剤を添加することで、ポリマーの濃度を低下させることもできる。
(添加剤)
本発明の製造方法に用いる第2の光学異方性層用のフィルムの作製に用いられる前記ポリマー溶液は、各調製工程において用途に応じた各種の液体または固体の添加剤をさらに含むことができる。前記添加剤の例としては、紫外線吸収剤(0.001〜1質量%)、平均粒子サイズが5〜3000nmである微粒子粉体(0.001〜1質量%)、フッ素系界面活性剤(0.001〜1質量%)、剥離剤(0.0001〜1質量%)、劣化防止剤(0.0001〜1質量%)、光学異方性制御剤(0.01〜10質量%)、赤外線吸収剤(0.001〜1質量%)が含まれる。本発明で用いる第2の光学異方性層用フィルムに用いられる添加剤は、いずれも乾燥過程での揮散が実質的にないものが好ましい。なお、これらの添加剤は、単独で使用しても良いし、2種類以上の添加剤を組み合わせて使用してもよい。
前記光学異方性制御剤は、分子量3000以下の有機化合物であり、好ましくは疎水部と親水部とを併せ持つ化合物である。これらの化合物は、ポリマー鎖間で配向することにより、レターデーション値を変化させる。さらに、これらの化合物は、本発明で特に好ましく用いられるセルロースアシレートと併用することで、フィルムの疎水性を向上させ、レターデーションの湿度変化を低減させることができる。また、前記紫外線吸収剤や前記赤外線吸収剤を併用することで、効果的にレターデーションの波長依存性を制御することもできる。本発明の光学補償フィルムの製造方法に用いられる添加剤は、いずれも乾燥過程での揮散が実質的にないものが、装置の汚れを防ぎ、フィルムに揮散物が付着しないようにする観点から好ましい。
前記光学異方性制御剤のうち、本発明においては、目的とするRe、Rth値に応じて、熱処理前のポリマーフィルムのRthを上昇させる効果のある光学異方性制御剤を好ましく用いることができる。これらのRth上昇幅は、8〜100nmがより好ましく、10〜50nmがさらに好ましく、15〜30nmが最も好ましい。このような添加剤を添加することにより、本発明の製造方法を実施する前のフィルム(原反)のRthを選択的に上昇させることができる。
また、目的とするRe、Rth値によっては、熱処理前のフィルムのRthをあまり変化させなかったり、下降させたりするような効果のある光学異方性制御剤も好ましく用いることができる。このような添加剤を添加することにより、熱処理時のポリマー分子の運動性を向上させることができるため、本発明の製造方法により製造される光学補償フィルムのReやRthの発現性をさらに調整することができるため、熱処理温度を比較的低く設定したり、ReやRthの到達範囲をより大きくしたりすることが可能となる。
このような光学異方性制御剤としては、具体的には、芳香環を1個以上有する化合物が好ましく、2〜15個有することがより好ましく、3〜10個有することがさらに好ましい。化合物中の芳香環以外の各原子は、芳香環と同一平面に近い配置であることが好ましく、芳香環を複数有している場合には、芳香環同士も同一平面に近い配置であることが好ましい。また、Rthを選択的に上昇させるため、光学異方性制御剤のフィルム中での存在状態は、芳香環平面がフィルム面と平行な方向に存在していることが好ましい。
前記光学異方性制御剤は、単独で使用しても良いし、2種類以上の添加剤を組み合わせて使用しても良い。
Rthを上昇させる効果のある光学異方性制御剤としては、具体的には、特開2005−104148号公報の33〜34頁に記載の可塑剤や、特開2005−104148号公報の38〜89頁に記載の光学異方性のコントロール剤などが挙げられる。
レターデーションの湿度変化低減を図る観点からは、これらの添加剤の添加量は多いほうが好ましいが、添加量の増大に伴い、ポリマーフィルムのガラス転移温度(Tg)低下や、フィルムの製造工程における添加剤の揮散問題を引き起こしやすくなる。従って、本発明において、前記分子量3000以下の添加剤の添加量は、前記ポリマーに対し0.01〜30質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましく、5〜20質量%がさらに好ましい。
本発明において好適に用いることのできる光学異方性制御剤については、特開2005−104148号公報に記載がある。また、赤外吸収剤については、特開平2001−194522号公報に記載がある。添加剤を添加する時期は、添加剤の種類に応じて適宜決定することができる。
(セルロースアシレート溶液の調製)
セルロースアシレート溶液の調製は、例えば、特開昭58−127737号公報、同61−106628号公報、特開平2−276830号公報、同4−259511号公報、同5−163301号公報、同9−95544号公報、同10−45950号公報、同10−95854号公報、同11−71463号公報、同11−302388号公報、同11−322946号公報、同11−322947号公報、同11−323017号公報、特開2000−53784号公報、同2000−273184号公報、同2000−273239号公報に記載されている調製方法に準じて行うことができる。具体的には、ポリマーと溶媒とを混合攪拌し膨潤させ、場合により冷却や加熱等を実施して溶解させた後、これをろ過してポリマー溶液を得る。
本発明においては、ポリマーの溶媒への溶解性を向上させるため、ポリマーと溶媒の混合物を冷却および/または加熱する工程を含んでもよい。
溶媒としてハロゲン系有機溶媒を用い、ポリマーとしてセルロースアシレートを用いて、ポリマーと溶媒の混合物を冷却する場合、混合物を−100〜10℃に冷却することが好ましい。また、冷却工程より前の工程に−10〜39℃で膨潤させる工程を含み、冷却より後の工程に0〜39℃に加温する工程を含むことが好ましい。
溶媒としてハロゲン系有機溶媒を用い、セルロースアシレートと溶媒の混合物を加熱する場合、下記(a)または(b)より選択される1以上の方法で溶媒中にセルロースアシレートを溶解する工程を含むことが好ましい。
(a)−10〜39℃で膨潤させ、得られた混合物を0〜39℃に加温する。
(b)−10〜39℃で膨潤させ、得られた混合物を0.2〜30MPaで40〜240℃に加熱し、加熱した混合物を0〜39℃に冷却する。
さらに、溶媒として非ハロゲン系有機溶媒を用い、セルロースアシレートと溶媒の混合物を冷却する場合、混合物を−100〜−10℃に冷却する工程を含むことが好ましい。また、冷却工程より前の工程に−10〜55℃で膨潤させる工程を含み、冷却より後の工程に0〜57℃に加温する工程を含むことが好ましい。
溶媒としてハロゲン系有機溶媒を用い、セルロースアシレートと溶媒の混合物を加熱する場合、下記(c)または(d)より選択される1以上の方法で溶媒中にセルロースアシレートを溶解する工程を含むことが好ましい。
(c)−10〜55℃で膨潤させ、得られた混合物を0〜57℃に加温する。
(d)−10〜55℃で膨潤させ、得られた混合物を0.2〜30MPaで40〜240℃に加熱し、加熱した混合物を0〜57℃に冷却する。
(第2の光学異方性用のフィルムの製膜)
本発明の製造方法に用いる第2の光学異方性用のフィルムは、前記セルロースアシレートと数平均分子量が500〜50000であって繰り返し単位を有する可塑剤とを含有する組成物を含むポリマー溶液を用いて、例えば溶液流延製膜方法により製造することができる。溶液流延製膜方法の実施に際しては、従来の方法に従い、従来の装置を用いることができる。具体的には、溶解機(釜)で調製されたドープ(ポリマー溶液)を、ろ過後、貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製することができる。ドープは30℃に保温し、ドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延する(流延工程)。次いで、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離し、続いて乾燥ゾーンへ搬送し、ロール群で搬送しながら乾燥を終了する。溶液流延製膜方法の流延工程、乾燥工程の詳細については、特開2005−104148号公報の120〜146頁にも記載があり、適宜本発明にも適用することができる。
また、本発明の製造方法に用いる第2の光学異方性用のフィルムは、前記のポリマー溶液を用いずに、溶融流延製膜方法によっても製造することができる。溶融流延製膜方法は、ポリマーを加熱して溶融したものを支持体上に流延し、冷却してフィルムを形成する方法である。ポリマーの融点、もしくはポリマーと各種添加剤との混合物の融点が、これらの分解温度よりも低くかつ延伸温度よりも高い場合には、溶融流延製膜方法を採用することが可能である。溶融流延製膜方法については、特開2000−352620号公報などに記載がある。
本発明においては、熱処理前の第2の光学異方性層用のフィルムの製膜の際に用いる金属支持体として金属バンドまたは金属ドラムを使用することができる。
本発明の製造方法により製造される第2の光学異方性層用フィルムのレターデーションを制御する際には、熱処理前の第2の光学異方性用のフィルムにかかる力学的な履歴、すなわち製膜過程においてポリマーウェブに与えられる外力を制御しておくことが好ましい。すなわち前記第2の光学異方性層用のフィルムを製膜する工程の後に、該フィルムを搬送しながらその搬送方向に延伸する工程を含むことが好ましい。このような延伸は、熱処理の前であっても後であっても、熱処理と同時であってもよい。また、複数回行ってもよい。具体的には、本発明の製造方法により製造される第2の光学異方性層用のフィルムは、好ましくは1%以上200%未満、より好ましくは5〜100%、さらに好ましくは10〜60%延伸することが好ましい。なお、熱処理前の第2の光学異方性層用のフィルムを搬送しながら作製する場合には、当該搬送方向へ、延伸することが好ましい。この延伸の際のポリマーウェブの残留溶媒量は、下記式に基づいて算出されるもので5〜1000%とすることが好ましい。残留溶媒量は、5〜600%であることがより好ましく、30〜300%であることが特に好ましく、40〜100%であることがさらに好ましい。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
前記式中、Mは、延伸ゾーンに挿入される直前のポリマーフィルムの質量を表し、Nは、延伸ゾーンに挿入される直前の第2の光学異方性層用のフィルムを110℃で3時間乾燥させたときの質量を表す。
前記延伸の際のポリマーウェブの延伸倍率(伸び)は、金属支持体速度と剥ぎ取り速度(剥ぎ取りロールドロー)との周速差により達成することができる。このような延伸を行うことによって、レターデーションの発現性を調整することができる。
残留溶媒量が5%以上の状態で延伸すればヘイズが大きくなりにくく、残留溶媒量が1000%以下の状態で延伸すればポリマー鎖に加えられる外力が伝わりやすく、前記溶媒を含有した状態で実施されるポリマーウェブ延伸によるレターデーション発現性調整の効果が大きくなる傾向がある。なお、ポリマーウェブの残留溶媒量は、前記ポリマー溶液の濃度、金属支持体の温度や速度、乾燥風の温度や風量、乾燥雰囲気中の溶媒ガス濃度等を変更することにより、適宜調整することができる。
さらに、前記ポリマーウェブを延伸する工程においては、ウェブの膜面温度はポリマーに外力を伝える観点から低いほうが好ましく、ウェブの温度を(Ts−100)〜(Ts−0.1)℃とすることが好ましく、(Ts−50)〜(Ts−1)℃とすることがより好ましく、(Ts−20)〜(Ts−3)℃とすることがさらに好ましい。ここで、Tsは流延支持体の表面温度を表し、流延支持体の温度が部分的に異なる温度に設定されている場合には、支持体中央部における表面温度のことを表す。
このようにして伸ばされる工程を経たポリマーウェブは、続いて乾燥ゾーンへ搬送し、テンターで両端をクリップされたり、ロール群で搬送したりしながら乾燥を終了する。その際に後で述べる熱処理を行っても良い。この場合、溶剤を含んだ状態で熱処理することになり、乾燥状態で熱処理する場合よりより低温で目的の光学特性が得られるためフィルムの熱劣化等の観点より好ましい。
このようにして乾燥の終了したフィルム中の残留溶剤量は0〜2質量%が好ましく、より好ましくは0〜1質量%である。このフィルムは、そのまま熱処理ゾーンへ搬送してもよいし、フィルムを巻き取ってからオフラインで熱処理を実施してもよい。熱処理前の第2の光学異方性層用のフィルムの好ましい幅は0.5〜5mであり、より好ましくは0.7〜3mである。また、一旦フィルムを巻き取る場合には、好ましい巻長は300〜30000mであり、より好ましくは500〜10000mであり、さらに好ましくは1000〜7000mである。
製膜した本発明の製造方法に用いる第2の光学異方性層用のフィルムの膜厚80μm換算の透湿度は、100g/(m2・day)以上であることが好ましく、100〜1500g/(m2・day)であることがより好ましく、200〜1000g/(m2・day)であることがさらに好ましく、300〜800g/(m2・day)であることが特に好ましい。80μm換算で100g/(m2・day)以上の透湿度を有するフィルムを調製するには、ポリマーの親疎水性を適切に制御するか、フィルムの密度を低下させることが好ましい。前者の方法として、例えば、ポリマー主鎖の親疎水性を適切に制御し、さらに疎水的もしくは親水的な側鎖を導入する方法などが挙げられ、後者の方法として、例えば、ポリマー主鎖に側鎖を導入する、製膜時に用いる溶媒の種類を選択する、製膜時の乾燥速度を制御する、などの方法が挙げられる。
本明細書中における透湿度は、塩化カルシウムを入れたカップを評価するフィルムで蓋をして密閉したものを、40℃・相対湿度90%の条件で24時間放置した際の調湿前後の質量変化(g/(m2・day))から評価した値である。なお、透湿度は、温度の上昇に伴い上昇し、また、湿度の上昇に伴い上昇するが、各条件によらず、フィルム間における透湿度の大小関係は不変である。そのため、本発明においては40℃・相対湿度90%における前記質量変化の値を基準とする。また、透湿度は膜厚の上昇に伴い低下し、膜厚の低下に伴い上昇するため、まず実測した透湿度に実測した膜厚(単位:μm)を乗じ、それを80で割った値を本明細書中における「膜厚80μm換算の透湿度」とした。
(予備延伸)
溶媒を乾燥させ、上記式に基づいて算出される残留溶媒量が5%未満となった熱処理前の製膜した第2の光学異方性層用のフィルムは、Tc≦T<Tm0を満たす温度Tで熱処理を行う前に延伸を行ってもよい(以下、当該延伸を「予備延伸」とも称する)。該予備延伸を行うことにより、熱処理工程におけるReやRthの発現性をさらに調整することができる。
具体的には、後述の範囲内で、延伸温度を低下させたり、延伸倍率を上昇させることにより、熱処理温度を比較的低く設定したり、ReやRthの到達範囲をより大きくしたりすることが可能となる。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、予備延伸工程と熱処理工程の間に他の工程を含んでいてもよい。
本発明の製造方法では、予備延伸は、本発明の製造方法に用いる第2の光学異方性層用のフィルムのガラス転移温度をTg(単位;℃)としたとき、(Tg−20)〜(Tg+50)℃で行うことが好ましい。前記予備延伸温度は、より好ましくは(Tg−10)〜(Tg+45)℃であり、さらに好ましくは、Tg〜(Tg+40)℃であり、最も好ましくは、(Tg+5)〜(Tg+35)℃である。ただし、予備延伸温度は後述の結晶化温度(Tc)を超えることはない。予備延伸温度はTcよりも5℃以上低い温度で実施することが好ましく、Tcよりも10℃以上低い温度で実施することがより好ましく、Tcよりも15℃以上低い温度で実施することがさらに好ましく、Tcよりも20℃以上低い温度で実施することが特に好ましく、Tcよりも35℃以上低い温度で実施することが最も好ましい。
本発明においてガラス転移温度とは、本発明の第2の光学異方性層用のフィルムを構成するポリマーの運動性が大きく変化する境界温度である。本発明におけるガラス転移温度は、示差走査熱量測定装置(DSC)の測定パンに本発明の製造方法に用いるポリマーフィルムを20mg入れ、これを窒素気流中で10℃/分で30℃から120℃まで昇温し、15分間保持した後、30℃まで−20℃/分で冷却し、この後、再度30℃から250℃まで昇温し、ベースラインが低温側から偏奇し始める温度である。
本発明の製造方法は、本発明の製造方法に用いる第2の光学異方性層用のフィルムをTc以上にすることにより、X線回折で観測される構造体を成長させ、レターデーションを調整できると推定されるが、このように予めフィルムに予備延伸を実施することによってポリマーを予備延伸方向にある程度配列させることができるため、後述の熱処理工程において、X線回折で観測される構造体を効率的に、且つ異方的に成長させることができる。また、予備延伸温度を、熱処理温度より低くすることにより、X線回折で観測される構造体を成長させることなくポリマーを配向させることができるため、その後の熱処理工程でより効率的にX線回折で観測される構造体を成長させることができるという利点がある。したがって、予備延伸における延伸方向と、後述の熱処理時の延伸方向もしくは搬送方向とは一致していることが、熱処理温度低減の観点や、ReやRthの到達範囲拡張の観点から、より好ましい。逆に、これらの方向が一致していない場合は、ReやRthの到達範囲を縮小させることができる。
前記予備延伸の方向は特に制限されるものではなく、熱処理前の第2の光学異方性層用のフィルムが搬送されている場合には、搬送方向に延伸する縦延伸であっても、それに直交する方向に延伸する横延伸であってもよいが、偏光板とのロールツーロールでの貼合をする観点から、縦延伸であることが好ましい。縦延伸や横延伸の方法や好ましい態様については後述する熱処理の欄を参照することができる。予備延伸倍率は1〜500%であることが好ましく、3〜400%がより好ましく、5〜300%がさらに好ましく、10〜100%が特に好ましい。これらの予備延伸は1段で実施しても、多段で実施してもよい。なお、ここでいう「予備延伸倍率(%)」とは、以下の式により求められるものを意味する。
予備延伸倍率(%)=100×{(延伸後の長さ)−(延伸前の長さ)}/延伸前の長さ
前記予備延伸における延伸速度は10〜10000%/分が好ましく、より好ましくは20〜1000%/分であり、さらに好ましくは30〜800%/分である。
<(1)熱処理工程>
本発明の光学補償フィルムの製造方法は、製膜した第2の光学異方性層用のフィルムを下記式(1)の条件を満たす温度T(単位;℃)で熱処理する工程を含むことを特徴とする。ここで、熱処理は搬送しながら行うことが好ましい。
式(1): Tc≦T<Tm0
前記式(1)において、Tcは熱処理前のポリマーフィルムの結晶化温度を表し、単位は℃である。本発明において結晶化温度とは、前記第2の光学異方性層用のフィルムを構成するポリマーが規則的な周期構造を形成する温度のことを示し、この温度を超えるとX線回折で観測される構造体が成長する。本発明における結晶化温度は、DSCの測定パンに熱処理前の第2の光学異方性層用のフィルムを20mg入れ、これを窒素気流中で10℃/分で30℃から120℃まで昇温して15分保持した後、30℃まで−20℃/分で冷却し、さらにこの後、再度30℃から300℃まで昇温した際に、観測された発熱ピークの開始温度である。Tcは通常、前述のガラス転移温度(Tg)よりも高温側に現れる。例えば、全置換度が2.85のセルローストリアセテートフィルムの結晶化温度は添加剤や製膜条件等により上下するが、約190℃であり、全置換度が2.92のセルローストリアセテートフィルムの結晶化温度は約170℃である。
前記式(1)において、Tm0は熱処理前の第2の光学異方性層用のフィルムの融点を表し、単位は℃である。本発明における融点は、DSCの測定パンに熱処理前の第2の光学異方性層用のフィルムを20mg入れ、これを窒素気流中で10℃/分で30℃から120℃まで昇温して15分保持した後、30℃まで−20℃/分で冷却し、さらにこの後、再度30℃から300℃まで昇温した際に、観測された吸熱ピークの開始温度である。Tm0は通常、前述の結晶化温度(Tc)よりも高温側に現れる。例えば、全置換度が2.85の溶剤を含まないセルローストリアセテートフィルムの融点は添加剤や製膜条件等により若干上下するが、約285℃であり、全置換度が2.92の溶剤を含まないセルローストリアセテートフィルムの融点は約290℃である。
前記式(1)の条件を満たす温度Tで第2の光学異方性層用のフィルムを熱処理することによって、第2の光学異方性層用のフィルムのレターデーションの発現性を調整することができる。これによって、従来は製造することが容易ではなかったレターデーション値を有する第2の光学異方性層用のフィルムを簡便な方法で製造することができるようになった。
本発明の製造方法における熱処理温度は、下記式(1−1)を満たすことが好ましく、下記式(1−2)を満たすことがより好ましく、下記式(1−3)を満たすことがさらに好ましい。これらの式を満たす温度を選択することによって、Re発現性が増大したり、場合により延伸方向と遅相軸の方向とが直交したりするという利点がある。
式(1−1): Tc≦T<Tm0−5
式(1−2): Tc≦T<Tm0−10
式(1−3): Tc+5≦T<Tm0−15
本発明の製造方法にしたがってTc≦T<Tm0を満たす温度Tで熱処理することによって、ポリマー鎖の運動性を向上させることができるため、延伸倍率の増大に伴うフィルムの白化(ヘイズ上昇)やフィルムの切断を防ぐことができる。また、より好ましくは、熱処理と同時に延伸を行い、後述のように延伸速度や延伸倍率を調整することによって、ポリマー鎖の凝集や配向と、同時に起こる熱緩和とのバランスを適切に制御することができる。したがって、本発明の製造方法に従うことにより、フィルム中のポリマー鎖の凝集や配列を高度に進めることができ、弾性率が大きく、湿度寸法変化が小さく、適度な透湿度を有する第2の光学異方性層用のフィルムを製造することが可能となる。
本発明の製造方法における熱処理は、第2の光学異方性層用のフィルムを搬送しながら行うことが好ましい。第2の光学異方性層用のフィルムの搬送手段は特に制限されないが、典型的な例としてニップロールやサクションドラムにより搬送する手段、テンタークリップで把持しながら搬送する手段(空気圧で浮上搬送する手段)などを挙げることができる。好ましいのは、ニップロールにより搬送する手段である。具体的には、少なくとも熱処理を行うゾーンの前後にそれぞれニップロールを設置しておき、当該ニップロールの間を通すことによりポリマーフィルムを搬送する態様を挙げることができる。
搬送の速度は、通常は1〜500m/分であり、5〜300m/分が好ましく、10〜200m/分がより好ましく、20〜100m/分がさらに好ましい。搬送速度が、上記の下限値である1m/分以上であれば産業上、十分な生産性を確保することができるという点で好ましくなる傾向があり、上記の上限値である500m/分以下であれば実用的な熱処理ゾーン長で十分に結晶成長を進行させることができるという点で好ましくなる傾向がある。搬送速度を速くすればフィルムの着色を抑制することができる傾向があり、搬送速度を遅くすれば熱処理ゾーン長を短くすることができる傾向がある。熱処理中の搬送速度(搬送速度を決定するニップロールやサクションドラム等の装置の速度)は一定にしておくことが好ましい。
本発明の製造方法における熱処理の方法として、例えば、第2の光学異方性層用のフィルムを搬送しながら温度Tのゾーン内を通過させる方法、搬送されている第2の光学異方性層用のフィルムに熱風をあてる方法、搬送されている第2の光学異方性層用のフィルムに熱線を照射する方法、第2の光学異方性層用のフィルムを昇温されたロールに接触させる方法などを挙げることができる。
好ましいのは、第2の光学異方性層用のフィルムを搬送しながら温度Tのゾーン内を熱風をあてながら通過させる方法である。この方法によれば、第2の光学異方性層用のフィルムを均一に加熱することができるという利点がある。ゾーン内の温度は、例えば温度センサでモニターしつつヒータで一定温度に制御することにより温度Tに維持することができる。温度Tのゾーン内の第2の光学異方性層用のフィルムの搬送長は、製造しようとする第2の光学異方性層用のフィルムの性質や搬送速度によって異なるが、通常は(搬送長)/(搬送する第2の光学異方性層用のフィルムの幅)の比が0.1〜100となるように設定することが好ましく、より好ましくは0.5〜50であり、さらに好ましくは1〜20である。この比は、本明細書において縦横比と略すこともある。温度Tのゾーンの通過時間(熱処理の時間)は、通常0.01〜60分であり、好ましくは0.03〜10分であり、さらに好ましくは0.05〜5分である。前記範囲とすることにより、レターデーションの発現に優れ、フィルムの着色を抑制することができる。
本発明の製造方法では、熱処理と同時に延伸してもよい。熱処理時の延伸方向は特に制限されるものではないが、熱処理前の第2の光学異方性用のフィルムに異方性がある場合には、熱処理前の第2の光学異方性用のフィルム中のポリマーの配向方向への延伸であることが好ましい。ここで、フィルムに異方性があるとは、音波伝播速度が最大となる方向の音波伝播速度と、これと直交する方向の音波伝播速度との比が、好ましくは1.01〜10.0であり、より好ましくは1.1〜5.0であり、さらに好ましくは1.2〜2.5であることを指す。音波伝播速度が最大となる方向、および各方向の音波伝播速度は、フィルムを25℃、相対湿度60%にて24時間調湿後、配向性測定機(SST−2500:野村商事(株)製)を用いて、超音波パルスの縦波振動の伝搬速度が最大となる方向、および各方向の伝搬速度として求めることができる。
例えば、2つのニップロールの間に加熱ゾーンを有する装置を用いて第2の光学異方性層用のフィルムを搬送しながら熱処理を行う場合、加熱ゾーンの入口側のニップロールの回転速度よりも、加熱ゾーンの出口側のニップロールの回転速度を速くすることにより、搬送方向(縦方向)に第2の光学異方性層用のフィルムを延伸することができる。また、第2の光学異方性層用のフィルムの両端をテンタークリップで把持し、これを搬送方向と直交する方向(横方向)に広げながら加熱ゾーンを通過させることにより延伸することもできる。第2の光学異方性層用のフィルムを熱処理中に搬送方向に延伸することによって、レターデーション発現性をさらに調整することができる。搬送方向の延伸倍率は、通常0.8〜100倍、好ましくは1.0〜10倍、より好ましくは1.2〜5倍である。また、第2の光学異方性層用のフィルムを熱処理中に搬送方向と直行する方向に延伸することによって、熱処理後の第2の光学異方性層用のフィルムの面状を改良することができる。搬送方向に直行する方向の延伸倍率は、通常0.8〜10倍、好ましくは1.0〜5倍、より好ましくは1.1〜3倍である。なお、ここでいう延伸倍率(%)とは、以下の式を用いて求めたものを意味する。
延伸倍率(%)=100×{(延伸後の長さ)−(延伸前の長さ)}/延伸前の長さ
また前記延伸における延伸速度は10〜10000%/分が好ましく、より好ましくは20〜1000%/分であり、さらに好ましくは30〜800%/分である。
熱処理の際に、第2の光学異方性層用のフィルムを収縮させてもよい。当該収縮は、熱処理時に行うことが好ましい。熱処理の際に第2の光学異方性層用のフィルムを収縮させることによって、光学特性および/または力学物性を調整することができるようになる。幅方向に収縮させる工程は、熱処理の際に行うだけでなく、熱処理の前後の工程でも行うことができる。また、幅方向に収縮させる工程は一段で行ってもよく、収縮工程と延伸工程とを繰り返し実施してもよい。
収縮させる場合の収縮率は5〜80%であることが好ましく、10〜70%であることがより好ましく、20〜60%であることがさらに好ましく、25〜50%であることが最も好ましい。なお、収縮の方向は、特に制限されるものではないが、熱処理前のポリマーフィルムが搬送されて作成されている場合には、当該搬送方向に直交する方向に行うことが好ましい。また、収縮前に延伸(予備延伸等)を行っている場合には、当該延伸方向と直交する方向に、収縮させることが好ましい。収縮率は熱処理温度の調整や、フィルムにかかる外力の調整によって制御することができる。具体的には、フィルムの端部をテンタークリップで把持している場合にはレールの拡幅率などで制御することができる。また、フィルムの端部が固定されておらず、ニップロール等のフィルムを搬送方向に固定する装置によってのみ保持されている場合には、搬送方向に固定する装置間距離の調整や、フィルムにかかるテンションの調整や、フィルムに与えられる熱量の調整などによって制御することができる。幅方向の収縮率は、フィルムが収縮する直前と直後の全幅を計測し、下記式から求める。
幅方向の収縮率(%)=100×(収縮直前の全幅−収縮直後の全幅)/収縮直前の全幅
第2の光学異方性層用のフィルムを温度Tにおいて熱処理する工程は、本発明の製造方法において1回のみ行ってもよいし、複数回行ってもよい。複数回行うとは、前の熱処理が終了した後に一旦温度をTc未満に下げ、その後、再び温度をTc以上Tm0未満に設定して搬送しながら熱処理を行うことを意味する。複数回熱処理を行う場合は、すべての熱処理が完了した段階で上記の延伸倍率の範囲を満たすことが好ましい。本発明の製造方法における熱処理は、3回以下が好ましく、2回以下がより好ましく、1回が最も好ましい。
本発明の製造方法において、熱処理工程は前記製膜工程と一連の工程で行ってもよいし、製膜し、一度巻き取りした後に行ってもよい。
(熱処理後の冷却)
熱処理を終えた第2の光学異方性層用のフィルムは、Tc未満の温度に冷却する。冷却温度は特に制限されるものではないが、好ましくは100〜1,000,000℃/分、より好ましくは1,000〜100,000℃/分、さらに好ましくは3,000〜50,000℃/分でフィルムを冷却する。このような冷却速度でフィルムを冷却する温度幅は、50℃以上であることが好ましく、100〜300℃であることがより好ましく、150〜280℃であることがさらに好ましく、180〜250℃であることが特に好ましい。
このように冷却速度を調整することによって、得られる第2の光学異方性層用のフィルム(特にセルロースアシレートフィルム)のレターデーションの発現性をさらに調整することができる。具体的には、冷却速度を速くすることによって、レターデーションの発現性を向上させることができる。また、セルロースアシレートフィルム中の、厚み方向のポリマー鎖の配向の分布を低減させることができ、フィルムの湿度カールを抑制することができる。このような効果は、比較的速い冷却速度で冷却する温度幅を上記の好ましい範囲に制御することによって、さらに十分に得ることができる。
前記冷却速度は、加熱ゾーンの後に、加熱ゾーンより低い温度に保持された冷却ゾーンを設けておいて、これらのゾーンに第2の光学異方性層用のフィルムを順次搬送したり、冷却ロールをフィルムと接触させたり、冷却風をフィルムに吹き付けたり、フィルムを冷却された液体に浸漬したりして制御することができる。冷却速度は、冷却工程中において常に一定であることは必要とされず、冷却工程の初期と終盤は冷却速度を小さくし、その間において冷却速度を大きくしてもよい。冷却速度は、後述する実施例に記載されるようにフィルム膜面上に配置した熱電対によって複数地点の温度を測定することにより求めることができる。
(熱処理後の延伸)
本発明の製造方法では、第2の光学異方性層用のフィルムの熱処理に続けて延伸を行ってもよい。熱処理に続けて行われる延伸は、熱処理後に第2の光学異方性層用のフィルムがTc未満の温度まで冷却された後に行われてもよく、熱処理温度を保ったまま冷却されることなく行われてもよい。一旦ポリマーフィルムが冷却される場合、冷却は自然放冷してTc未満の温度になった状態でもよいし、強制的に冷却してTc未満の温度になった状態でもよい。また、いったん冷却した後に再度Tc未満に加熱した状態でもよい。一旦フィルムを冷却する場合の冷却温度は、前記熱処理温度よりも50℃以上低いことが好ましく、100〜300℃低いことがより好ましく、150〜250℃低いことがさらに好ましい。熱処理温度よりも冷却温度を50℃以上低くすることによって熱処理後のフィルムを延伸した際のRth/Re値を容易に制御できる傾向がある。また、一旦フィルムを冷却温度まで冷却した後に再度Tc未満の温度に加熱してから延伸することが好ましい。前記熱処理温度と延伸温度との差は1℃以上であることが好ましく、10〜200℃がより好ましく、30〜150℃がさらに好ましく、50〜100℃が特に好ましい。この温度差を適切に設定することによって、Rth/Re値を制御することができる。具体的には、熱処理温度と延伸温度との差を大きくすればRth/Re値が上昇する傾向があり、差を小さくすればRth/Re値の変化が小さくなる傾向がある。
延伸の方法としては、上記の熱処理中の延伸の説明にて記載した方法等を採用することができる。延伸は1段で実施しても、多段で実施してもよい。好ましいのは、上記のニップロールの回転速度を変えることにより搬送方向に延伸する方法と第2の光学異方性層用のフィルムの両端をテンタークリップで把持してこれを搬送方向と直交する方向に広げることより延伸する方法である。特に好ましいのは、熱処理の際に延伸を行わないか、あるいは、ニップロールの回転速度を変えることにより搬送方向に延伸しておき、熱処理後に第2の光学異方性層用のフィルムの両端をテンタークリップで把持してこれを搬送方向と直交する方向に広げることより延伸する態様である。
延伸倍率は第2の光学異方性層用のフィルムに要求するレターデーションに応じて適宜設定することができ、1〜500%が好ましく、3〜400%がより好ましく、5〜300%がさらに好ましく、10〜100%が特に好ましい。延伸速度は10〜10000%/分が好ましく、より好ましくは20〜1000%/分であり、さらに好ましくは30〜800%/分である。
熱処理後に延伸を行うことにより、得られる透明フィルムのReとRthを調整することができる。例えば、熱処理後の延伸温度を高くすることによって、Reをあまり変化させずにRthを低下させることができる。また、熱処理後の延伸倍率を高くすることによって、Reを低下させRthを上昇させることもできる。これらは、ほぼ線形的な相関関係を示すことから、熱処理後の延伸条件を適当に選択することによって、目的とするReやRthを達成しやすくなる。
熱処理が終わった後、延伸を行う前の状態の第2の光学異方性層用のフィルムのReやRthは特に制限されない。
<(2)第2の光学異方性層を形成する工程>
本発明の光学補償フィルムの製造方法は、熱処理後の前記第2の光学異方性層用のフィルムの表面上に配向膜用のフィルムを製膜し、ラビング処理により配向膜を形成して第2の光学異方性層を形成する工程を含む。前記配向膜は本発明で用いる液晶性化合物を一定の方向に配向させる働きをする。従って、配向膜は本発明の光学補償フィルムを製造する上で必須である。
(第2の光学異方性層用のフィルムの表面処理)
前記第2の光学異方性層用のフィルムは、表面処理を施すことが好ましい。
前記第2の光学異方性層用のフィルムには、適宜、表面処理を行うことにより、各機能層(例えば、下塗層、バック層、光学異方性層)との接着を改善することが可能となる。前記表面処理には、グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、鹸化処理(酸鹸化処理、アルカリ鹸化処理)が含まれ、特にグロー放電処理およびアルカリ鹸化処理が好ましい。ここでいう「グロー放電処理」とは、プラズマ励起性気体存在下でフィルム表面にプラズマ処理を施す処理である。これらの表面処理方法の詳細は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)に記載があり、適宜、使用することができる。
フィルム表面と機能層との接着性を改善するため、表面処理に加えて、或いは表面処理に代えて、前記第2の光学異方性層用のフィルム上に、特開平7−333433号明細書に記載のように、下塗層(接着層)を設けることもできる。前記下塗層については、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)32頁に記載があり、これらを適宜、使用することができる。また、セルロースアシレートフィルム上に設けられる機能性層について、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)32頁〜45頁に記載があり、これに記載のものを適宜、前記第2の光学異方性層用のフィルム上に使用することができる。
フィルムの平面性を保持する観点から、これら処理において前記第2の光学異方性層用のフィルムの温度をTg(ガラス転移温度)以下、具体的には150℃以下とすることが好ましい。
偏光板の透明保護膜として使用する場合、偏光膜との接着性の観点から、酸処理またはアルカリ処理、すなわちセルロースアシレートに対する鹸化処理を実施することが特に好ましい。以下、アルカリ鹸化処理を例に、具体的に説明する。
アルカリ鹸化処理は、前記第2の光学異方性層用のフィルムの表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。
アルカリ溶液の例としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられる。アルカリ溶液の水酸化イオンの規定濃度は、0.1〜3.0Nの範囲にあることが好ましく、0.5〜2.0Nの範囲にあることがさらに好ましい。アルカリ溶液の温度は、室温乃至90℃の範囲にあることが好ましく、40〜70℃の範囲にあることがさらに好ましい。
表面処理後の前記第2の光学異方性層用のフィルムの表面エネルギーは、55mN/m以上であることが好ましく、60m〜75mN/mであることがさらに好ましい。
固体の表面エネルギーは、「ぬれの基礎と応用」(リアライズ社 1989.12.10発行)に記載のように接触角法、湿潤熱法、および吸着法により求めることができる。前記第2の光学異方性層用のフィルムの場合、接触角法を用いることが好ましい。
具体的には、表面エネルギーが既知である2種の溶液を前記第2の光学異方性層用フィルムに滴下し、液滴の表面とフィルム表面との交点において、液滴に引いた接線とフィルム表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計算によりフィルムの表面エネルギーを算出できる。
(配向膜の形成)
配向膜は、液晶性化合物の配向方向を規定する機能を有する。配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。本発明の光学補償フィルムの製造方法において、配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成する。
前記配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成する。ポリビニルアルコールが、好ましいポリマーである。疎水性基が結合している変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。
前記配向膜は、一種類のポリマーから形成することもできるが、架橋された二種類のポリマーからなる層をラビング処理することにより形成することがさらに好ましい。少なくとも一種類のポリマーとして、それ自体架橋可能なポリマーか、架橋剤により架橋されるポリマーのいずれかを用いることが好ましい。配向膜は、官能基を有するポリマーあるいはポリマーに官能基を導入したものを、光、熱、PH変化等により、ポリマー間で反応させて形成するか;あるいは、反応活性の高い化合物である架橋剤を用いてポリマー間に架橋剤に由来する結合基を導入して、ポリマー間を架橋することにより形成することができる。
このような架橋は、上記ポリマーまたはポリマーと架橋剤の混合物を含む配向膜塗布液を、熱処理後の第2の光学異方性層用のフィルム上に塗布したのち、加熱等を行なうことにより実施される。最終商品(光学補償フィルム)で耐久性が確保できれば良いので、配向膜を熱処理後の第2の光学異方性層用のフィルム上に塗設した後から、光学補償フィルムを得るまでのいずれの段階で架橋させる処理を行なっても良い。
配向膜上に形成される液晶性化合物からなる層(光学異方性層)の配向性を考えると、液晶性化合物を配向させたのちに、充分架橋を行なうことも好ましい。
配向膜の架橋は、熱処理後の第2の光学異方性層用のフィルム上に配向膜塗布液を塗布し、加熱乾燥することで行われることが一般的である。この塗布液の加熱温度を低く設定して、後述の光学異方性層を形成する際の加熱処理の段階で配向膜の充分な架橋を行うことが好ましい。
前記配向膜の形成に用いるポリマーとしては、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができる。勿論両方可能なポリマーもある。ポリマーの例としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリカーボネート等のポリマーおよびシランカップリング剤等の化合物を挙げることができる。
好ましいポリマーの例としては、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーが挙げられる。ゼラチン、ポリビルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールを用いることが好ましく、ポリビルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールを用いることがさらに好ましい。
また、重合度の異なるポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールを二種類併用することが最も好ましい。
前記ポリビニルアルコールの例としては、鹸化度が70〜100%の範囲にあるポリビニルアルコールが挙げられる。一般に鹸化度は80〜100%の範囲にあり、85〜95%の範囲にあることがさらに好ましい。また、ポリビニルアルコールの重合度は、100〜3000の範囲にあることが好ましい。
前記変性ポリビニルアルコールの例としては、共重合変性、連鎖移動による変性、またはブロック重合による変性をしたポリビニルアルコールなどを挙げることができる。共重合変性する場合の変性基の例としては、COONa、Si(OX)3 、N(CH3 3 ・Cl、C9 、H19COO、SO3 、Na、C1225などが挙げられる。連鎖移動による変性をする場合の変性基の例としては、COONa、SH、C1225などが挙げられる。また、ブロック重合による変性をする場合の変性基の例としては、COOH、CONH2 、COOR、C6 5 などが挙げられる。
これらの中でも、鹸化度が80〜100%の範囲にある未変性もしくは変性ポリビニルアルコールが好ましい。また、鹸化度が85〜95%の範囲にある未変性ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールがさらに好ましい。
前記変性ポリビニルアルコールとしては、特に、下記一般式(3)で表される化合物によるポリビニルアルコールの変性物を用いることが好ましい。この変性ポリビニルアルコールを、以下、特定の変性ポリビニルアルコールと記載する。
Figure 2010107960
前記一般式(3)中、R111は、アルキル基、アクリロイルアルキル基、メタクリロイルアルキル基、またはエポキシアルキル基を表し;Wは、ハロゲン原子、アルキル基、またはアルコキシ基を表し;Xは、活性エステル、酸無水物、または酸ハロゲン化物を形成するために必要な原子群を表し;pは、0または1を表し;そしてnは、0〜4の整数を表す。
前記特定の変性ポリビニルアルコールは、さらに下記一般式(4)で表される化合物によるポリビニルアルコールの変性物であることが好ましい。
Figure 2010107960
前記一般式(4)中、X1 は、活性エステル、酸無水物、または酸ハロゲン化物を形成するために必要な原子群を表し、そしてmは整数を表す。
これらの一般式により表される化合物と反応させるために用いるポリビニルアルコールとしては、前述の、未変性のポリビニルアルコール、および、共重合変性したもの、即ち連鎖移動により変性したもの、ブロック重合による変性をしたものなどのポリビニルアルコールの変性物を挙げることができる。特定の変性ポリビニルアルコールの好ましい例は、特開平9−152509号明細書に詳しく記載されている。
これらポリマーの合成方法、可視吸収スペクトル測定、および変性基導入率の決定方法等は、特開平8−338913号公報に詳しく記載がある。
前記架橋剤の例としては、アルデヒド類、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾール類、およびジアルデヒド澱粉などを挙げることができる。アルデヒド類の例としては、ホルムアルデヒド、グリオキザール、およびグルタルアルデヒドが挙げられる。N−メチロール化合物の例としては、ジメチロール尿素およびメチロールジメチルヒダントインが挙げられる。ジオキサン誘導体の例としては、2,3−ジヒドロキシジオキサンが挙げられる。カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物の例としては、カルベニウム、2−ナフタレンスルホナート、1,1−ビスピロリジノ−1−クロロピリジニウム、および1−モルホリノカルボニル−3−(スルホナトアミノメチル)が挙げられる。活性ビニル化合物の例としては、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビス(ビニルスルホン)メタン、およびN,N’−メチレンビス−[β−(ビニルスルホニル)プロピオンアミド]が挙げられる。そして、活性ハロゲン化合物の例としては、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジンが挙げられる。これらは、単独または組合せて用いることができる。
これらは上記水溶性ポリマー、特にポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール(上記特定の変性物も含む)と併用する場合に好ましい。生産性を考慮した場合、反応活性の高いアルデヒド類、とりわけグルタルアルデヒドの使用が好ましい。
前記配向膜の耐湿性(高湿耐久性)は、架橋剤を多く添加した方が良化傾向にある。しかし、架橋剤をポリマーに対して50質量%以上添加した場合には、配向膜としての配向能が低下する。従って、ポリマーに対する架橋剤の添加量は、0.1〜20質量%の範囲にあることが好ましく、0.5〜15質量%の範囲にあることがさらに好ましい。配向膜は、架橋反応が終了した後でも、反応しなかった架橋剤をある程度含んでいるが、その架橋剤の量は、配向膜中に1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。配向膜中に1.0質量%を超える量で未反応の架橋剤が含まれていると、充分な耐久性が得られない。即ち、液晶表示装置に使用した場合、長期使用、あるいは高温高湿の雰囲気下に長期間放置した場合に、レチキュレーションが発生することがある。
そして、ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合、その塗布液を作製するための溶媒は、消泡作用のあるメタノール等の有機溶媒とするか、あるいは有機溶媒と水の混合溶媒とすることが好ましい。有機溶媒としてメタノールを用いる場合、その比率は質量比で水:メタノールが、0:100〜99:1が一般的であり、0:100〜91:9であることがさらに好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、さらには光学異方性層の表面の欠陥が著しく減少する。
配向膜形成材料を含む配向膜塗布液の塗布方法としては、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法およびE型塗布法を挙げることができる。この中でも、特にE型塗布法が好ましい。
形成された配向膜の膜厚は、0.1〜10μmの範囲にあることが好ましい。
さらに、塗布後に乾燥させる際に加熱乾燥を行うことが好ましく、前記加熱乾燥は、例えば加熱温度20〜110℃の範囲で行なうことができる。充分な架橋を形成させるためには、加熱温度は60〜100℃の範囲にあることが好ましく、80〜100℃の範囲にあることが好ましい。
乾燥時間は、1分〜36時間の範囲にあることが好ましく、5〜30分間の範囲にあることがさらに好ましい。pHも、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ましく、グルタルアルデヒドを使用した場合は、pH4.5〜5.5の範囲にあることが好ましく、特にpH5であることが好ましい。
(ラビング処理)
前記ラビング処理の方法としては、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されているラビング処理方法を応用することができる。すなわち、膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維を用いて一定方向に擦ることにより配向を得る。一般には、長さおよび太さが均一な繊維を平均的に植毛した布を用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。ロール自身の真円度、円筒度、振れ(偏芯)がいずれも30μm以下であるラビングロールを用いて実施することが好ましい。ラビングロールへのフィルムのラップ角度は、0.1〜90度が好ましい。ただし、特開平8−160430号公報に記載されているように、360度以上巻き付けることで、安定なラビング処理を得ることもできる。従来、熱処理によってレターデーションを大きく発現させていた際、前記第2の光学異方性層の脆性が悪化してしまっており、ラビング処理時における切り屑が生じやすかった。一方、本発明の光学補償フィルムの製造方法では、高分子量化素材を第2の光学異方性層に添加することで、前記第2の光学異方性層の熱処理後の脆性が悪化を抑えつつレターデーションを発現することができ、ラビング処理時における切り屑の発生を顕著に抑制することができる。
前記ラビング処理はラビングローラにより行うことが好ましい。用いるラビングローラの直径は、ハンドリング適性、および布寿命の観点から、100mm〜500mmであることが好ましく、200mm〜400mmであることがさらに好ましい。ラビングローラの幅は、支持体の幅よりも広いことが必要であり、フィルム幅×√2以上であることが好ましい。ラビングローラの回転数は、発塵の観点から低く設定することが好ましく、液晶化合物の配向性にもよるが、100rpm〜1000rpmであることが好ましく、250rpm〜850rpmであることがさらに好ましい。
ラビングロールの回転数を低くしても液晶化合物の配向性を維持するには、ラビング時の支持体(前記第2の光学異方性層用のフィルム)または配向膜を加熱することが好ましい。前記ラビング処理における加熱温度は、前記第2の光学異方性層用のフィルムまたは配向膜表面の膜面温度で、(素材のTg−50℃)〜(素材のTg+50℃)であることが好ましい。ポリビニルアルコールからなる配向膜を使用する場合は、ラビングの環境湿度を制御することが好ましく、25℃の相対湿度として25%RH〜70%RHであることが好ましく、30%RH〜60%RHであることがさらに好ましく、35%RH〜55%RHであることが最も好ましい。
第2の光学異方性層がロール状でない場合にも、前記第2の光学異方性層用のフィルムを搬送しながらラビング処理を行うことが生産性の点から好ましい。
前記第2の光学異方性層用のフィルムの搬送速度は、生産性の観点と液晶の配向性の観点から、10m/分〜100m/分であることが好ましく、15m/分〜80m/分であることがさらに好ましい。搬送は、従来、フィルムの搬送に用いられる種々の装置を用いて行うことができ、特に搬送方式については制限されない。
また、前記ラビング処理におけるラビング角度に特に制限は無いが、フィルム搬送方向を0度として、0〜60度の範囲で適切なラビング角度を選択することが好ましく、輝点等の低減の観点から、搬送方向と平行(0度)にする事がより好ましい。
<(3)第1の光学異方性層の形成工程>
本発明の光学補償フィルムの製造方法は、前記第2の光学異方性層の配向膜が形成されている側の表面に第1の光学異方性層を形成する工程を含む。前記第1の光学異方性層は、前記第2の光学異方性層の配向膜が形成されている側の表面に形成される。詳しくは、前記第1の光学異方性層は、液晶化合物を少なくとも一種含有する第1の光学異方性層用の組成物を、第2の光学異方性層用のフィルムの配向膜が形成されている側の表面に配置し、液晶化合物の分子を所望の配向状態とし、重合により硬化させ、その配向状態を固定して形成するのが好ましい。さらにRe(550)が0nmになる方向が存在せず、且つRe(550)の絶対値が最小となる方向が、層の法線方向にも面内にもないという、第1の光学異方性層に要求される特性を満足するためには、液晶化合物の分子(棒状および円盤状分子の双方を含む)をハイブリッド配向状態に固定することがより好ましい。ハイブリッド配向とは、層の厚み方向で液晶分子のダイレクタの方向が連続的に変化する配向状態をいう。棒状分子の場合は、ダイレクタは長軸方向、円盤状分子の場合は、ダイレクタは円盤面の法線方向となる。
液晶化合物の分子を所望の配向状態とするため、および組成物の塗布性もしくは硬化性の良化のために、前記組成物は一種以上の添加剤を含んでいてもよい。
液晶化合物(特に棒状液晶化合物)の分子をハイブリッド配向させるために、層の空気界面側の配向を制御し得る添加剤(以下、「空気界面配向制御剤」という)を添加してもよい。該添加剤として、フッ化アルキル基およびスルホニル基等の親水性基を有する低分子量もしくは高分子量の化合物が挙げられる。使用可能な空気界面配向制御剤の具体例には、特開2006−267171号公報等に記載の化合物が含まれる。
また、前記組成物を塗布液として調製し、塗布により前記第1の光学異方性層を形成する場合は、塗布性の良化のために界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系化合物が好ましく、具体的には、例えば特開2001−330725号公報明細書中の段落番号[0028]〜[0056]記載の化合物が挙げられる。また市販の「メガファックF780」(大日本インキ製)などを用いてもよい。
また、前記組成物は、重合開始剤を含有しているのが好ましい。前記重合開始剤は、熱重合開始剤であっても光重合開始剤であってもよいが、制御が容易である等の観点から、光重合開始剤が好ましい。光の作用によりラジカルを発生させる光重合開始剤の例としては、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)、アセトフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ベンジル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物等が好ましい。アセトフェノン系化合物としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシメチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4'−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、p−ジメチルアミノアセトン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノン等が挙げられる。ベンジル系化合物としては、例えば、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。ベンゾインエーテル系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラーズケトン、4,4'−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンゾフェノン等が挙げられる。チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。このような芳香族ケトン類からなる感光性ラジカル重合開始剤の中でも、アセトフェノン系化合物およびベンジル系化合物が、硬化特性、保存安定性、臭気等の面で特に好ましい。これらの芳香族ケトン類からなる感光性ラジカル重合開始剤は、1種または2種以上のものを所望の性能に応じて配合して使用することができる。
また、感度を高める目的で重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、およびチオキサントン等が含まれる。
光重合開始剤は複数種を組み合わせてもよく、使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。液晶化合物の重合のための光照射は紫外線を用いることが好ましい。
前記組成物は、重合性液晶化合物とは別に、非液晶性の重合性モノマーを含有していてもよい。重合性モノマーとしては、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有する化合物が好ましい。なお、重合性の反応性官能基数が2以上の多官能モノマー、例えば、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンアクリレートを用いると、耐久性が改善されるので好ましい。
前記非液晶性の重合性モノマーは、非液晶性成分であるので、その添加量が、液晶化合物に対して15質量%を超えることはなく、0〜10質量%程度であるのが好ましい。
前記第1の光学異方性層は、前記組成物を塗布液として調製し、該塗布液を、例えば、支持体となる第2の光学異方性層の配向膜側の表面上に塗布し、乾燥して溶媒を除去するとともに、液晶化合物の分子を配向させ、その後、重合により硬化させて、形成することができる。利用可能な配向膜の例としては、前記配向膜の形成で例示したポリマーを用いることができ、例えばポリビニルアルコール膜やポリイミド膜等が挙げられる。
塗布方法としてはカーテンコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、印刷コーティング法、スプレーコーティング法、スロットコーティング法、ロールコーティング法、スライドコーテティング法、ブレードコーティング法、グラビアコーティング法、ワイヤーバー法等の公知の塗布方法が挙げられる。
塗膜を乾燥する際には、加熱してもよい。塗膜を乾燥して溶媒を除去すると同時に、塗膜中の液晶化合物の分子を配向させて、所望の配向状態を得る。
次に、紫外線照射等によって重合を進行させて、配向状態を固定化し、第1の光学異方性層を形成する。重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100mJ/cm2〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
[偏光板]
(1)偏光板の特徴
本発明は、本発明の光学補償フィルムと、偏光膜とを少なくとも有する偏光板にも関する。本発明の偏光板を液晶表示装置に組み込む際は、本発明の光学補償フィルムを液晶セル側にして配置するのが好ましい。また、前記第2の光学異方性層の表面と偏光膜の表面とを貼り合わせるのが好ましく、第2の光学異方性層の面内遅相軸と、偏光膜の透過軸との交差角は、略0度として貼り合せるのが好ましい。厳密に0度である必要はなく、製造上許容される±5度程度の誤差は、本発明の効果に影響するものではなく、許容される。また、偏光膜の他方の面にも、セルロースアシレートフィルム等の保護フィルムが貼り合せられているのが好ましい。
図2に本発明の偏光板の一態様の断面模式図を示す。図2に示す偏光板15は、偏光膜13と、その表面に、偏光膜13を保護する、本発明の光学補償フィルム10と保護フィルム14とを有する。光学補償フィルム10の第2の光学異方性層12はセルロースアシレートフィルムからなり、その裏面、即ち、第1の光学異方性層11が形成されていない側の表面と、偏光膜13の表面とが貼り合わされている。偏光板15を液晶表示装置に組み込む際は、光学補償フィルム10を液晶セル側にして配置する。なお、図中示さないが、図2の偏光板15は、他の機能層を有していてもよく、例えば、保護フィルム14の外側に、拡散層、防眩層等を配置してもよい。
以下、本発明の偏光板を構成する本発明の光学補償フィルム以外の部材について、それらの作製に使用可能な種々の材料とともに説明する。
(2)偏光板を構成するその他の部材
(2−1)偏光膜
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜があり、本発明にはいずれを使用してもよい。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
(2−2)保護フィルム
偏光膜の他方の表面に貼合される保護フィルムには、透明なポリマーフィルムを用いることが好ましい。透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。保護フィルムとしては、セルロースアシレートフィルム、およびポリオレフィンを含むポリオレフィンフィルムが好ましい。セルロースアシレートフィルムの中でも、セルローストリアセテートフィルムが好ましい。また、ポリオレフィンフィルムの中でも、環状ポリオレフィンを含むポリノルボルネンフィルムが好ましい。
前記保護フィルムの厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。
(2−3)光拡散フィルム
本発明の偏光板は、偏光膜の片側表面上に光拡散フィルムを有していてもよい。光拡散不フィルムは一層のフィルムであっても、また積層フィルムであってもよい。積層フィルムの態様の例としては、光透過性ポリマーフィルムの上に、光散乱層を有する光拡散フィルムが挙げられる。光拡散フィルムは、上下左右方向に視角を傾斜させたときの視野角改良に寄与するものであり、表示面側の偏光膜の外側に反射防止層を配置した態様において、特に高い効果を奏する。光拡散フィルム(またはその光散乱層)は微粒子をバインダー中に分散させた組成物から形成することができる。微粒子は無機微粒子であっても有機微粒子であってもよい。バインダーと微粒子とは、屈折率差が0.02〜0.20程度あるのが好ましい。また、前記光拡散フィルム(またはその光散乱層)は、ハードコート機能を兼ね備えていてもよい。本発明に利用可能な光拡散フィルムについては、例えば、光散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子の相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等が挙げられる。
(3)偏光板の作製方法
本発明の偏光板は、長尺状の偏光板として製造することができる。例えば、第2の光学異方性層用のポリマーフィルムを用い、その表面に、所望により配向膜形成用塗布液を塗布して配向膜を形成して第2の光学異方性層を形成し、引き続き、第1の光学異方性層形成用塗布液を第2の光学異方性層の配向膜側の表面上に連続的に塗布して、乾燥により所望の配向状態とした後、光照射して配向状態を固定して第1の光学異方性層を形成して、長尺状の本発明の光学フィルムを作製し、ロール状に巻き上げることができる。別途、長尺状の偏光膜、および保護フィルム用の長尺状のポリマーフィルムをロール状に巻き上げたものと、ロール・ツー・ロールで貼り合せ、長尺状の偏光板として作製することができる。長尺状の偏光板は、例えば、ロール状に巻き上げられた状態で搬送および保管等され、液晶表示装置に組み込まれる際に、所定の大きさに裁断される。なお、本発明の偏光板は長尺状でなくても良く、ここに記載した作製方法は一例に過ぎない。
第2の光学異方性層用のフィルムを作製する際に、フィルムの搬送方向へ延伸すれば、偏光板作成時にロールツーロールの加工が可能となり、工程の簡略化、偏光膜の軸との貼り合わせ精度の向上等が達成できるため好ましい。
[液晶表示装置]
本発明の光学補償フィルムおよび偏光板は、種々のモードの液晶表示装置に用いることができる。また、透過型、反射型、および半透過型のいずれの液晶表示装置にも用いることができる。中でも、少なくとも一方に電極を有する対向配置された一対の基板と、該一対の基板間に挟持され、ネマチック液晶材料を含み、黒表示時に該ネマチック液晶材料の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して略垂直に配向する液晶表示装置、特に、ツイストネマチック(TN)モードの液晶表示装置に有効である。すなわち本発明の液晶表示装置はTNモードの液晶表示装置に関する。また、特に、本発明は、透過型ツイストネマチックモードモードの液晶表示装置の態様において特に有効である。
TNモードの液晶表示に用いる場合は、本発明の光学補償フィルムを2枚、液晶セルを中心に対称的な位置に配置するのが好ましく、また本発明の偏光板を、上下(視認側とバックライト側)の偏光板として液晶セルを中心として対称的な関係で配置するのが好ましい。TNモードの液晶セルの液晶層は、通常、厚さd(ミクロン)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dが0.1〜1.5μm程度である。
図3に、本発明の液晶表示装置の一実施形態であるTNモード液晶表示装置の断面模式図を示す。図3に示す液晶表示装置は、TNモード液晶セル16と、それを挟んで上下に、互いに対称的に配置された2枚の本発明の偏光板15とを有する。液晶セル16はネマチック液晶材料からなる液晶層を有し、液晶層は駆動電圧無印加時にはねじれ配向状態に、および駆動電圧印加時には基板面に対して垂直配向状態になるように構成されている。上下の偏光板15はその偏光膜13の透過軸を互いに直交にして配置されているので、駆動電圧無印加時に、下偏光板15の背後に配置されたバックライト(不図示)から液晶セル16に入射した直線偏光は、液晶層のねじれ配向に沿って90°回転し、上偏光板15の透過軸を通過して、白表示となる。一方、駆動電圧印加時には、液晶セル16に入射した直線偏光は、偏光状態を維持したまま通過するので、上偏光板15によって遮光され、黒表示となる。液晶セル16の上下に配置された、本発明の光学補償フィルム10は、黒表示時に斜め方向に生じる複屈折性を補償するとともに、光学異方性層の輝点等の欠陥が少なく高精細な画像表示にも寄与する。
本発明の光学補償フィルムを有する、本発明のTNモードの液晶表示装置は、広視野角であるという特徴を有する。具体的には、本発明のTNモード液晶表示装置は、コントラスト30以上を実現する視野角(画面上下左右方向の視野角の合計)が320°以上を達成することが可能である。また、輝点等の欠陥が極めて少ない特徴をもつ。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
(測定法)
以下において、本発明における物性や光学的性質等を測定する方法を記載する。
(1)ReとRth
本明細書において、Re(λ)およびRth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーション(単位:nm)および厚さ方向のレターデーション(単位:nm)を表す。Re(λ)はKOBRA WR(商品名、王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定した。
詳細な測定方法については前記のとおりである。
(2)置換度
セルロースアシレートのアシル置換度は、Carbohydr.Res.273(1995)83-91(手塚他)に記載の方法で13C−NMRにより求めた。
(3)Tm0
DSCの測定パンに熱処理前の第2の光学異方性層用のセルロースアシレートフィルムを20mg入れ、これを窒素気流中で10℃/分で30℃から120℃まで昇温し、15分保持した後、30℃まで−20℃/分で冷却し、さらにこの後、再度30℃から300℃まで昇温した際に現れた吸熱ピークの開始温度を熱処理前の第2の光学異方性層用のセルロースアシレートフィルムのTm0とした。
(4)Tc
DSCの測定パンに熱処理前の第2の光学異方性層用のセルロースアシレートフィルムを20mg入れ、これを窒素気流中で10℃/分で30℃から120℃まで昇温し、15分保持した後、30℃まで−20℃/分で冷却し、さらにこの後、再度30℃から300℃まで昇温した際に現れた発熱ピークの開始温度を熱処理前の第2の光学異方性層用のセルロースアシレートフィルムのTcとした。
[実施例1]
(1)第2の光学異方性層用のセルロースアシレートフィルムの作製
(1−1)原反フィルムの作製
高分子量可塑剤(前記PP−10)および吸収極大を369nmにもつ波長分散調整剤(下記構造の化合物AB)を含む下記の組成のセルロースアシレート溶液Aを、バンド流延機を用いて流延した。残留溶媒量約60%でフィルムをバンドから剥離してテンターによって搬送し、110℃で5分、さらに140℃で10分乾燥して、セルロースアシレートの原反フィルムを得た。
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セルロースアシレート溶液Aの組成
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・平均置換度2.94のセルロースアセテート 100.0質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 475.9質量部
・メタノール(第2溶媒) 113.0質量部
・ブタノール (第3溶媒) 5.9質量部
・平均粒子サイズ16nmのシリカ粒子 0.13質量部
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)
・高分子量可塑剤(PP10) 10.0質量部
・波長分散調整剤(下記化合物AB) 7.5質量部
・クエン酸エステル 0.01質量部
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Figure 2010107960
(2−7)後処理、巻取り条件
乾燥後のポリマーフィルムは、30℃以下に冷却して両端耳切りを行った。耳切りはフィルム端部をスリットする装置をフィルムの左右両端部に、2基ずつ設置して(片側当たりスリット装置数は2基)、フィルム端部をスリットした。ここで、スリット装置は、円盤状の回転上刃と、ロール状の回転下刃とから構成されており、回転上刃の材質は超鋼鋼材であり、回転上刃の直径が200mm、および切断箇所の刃の厚みが0.5mmであった。ロール状の回転下刃の材質は超鋼鋼材であり、回転下刃のロール径が100mmであった。
こうして、幅1400mm、および膜厚73.8μmのセルロースアシレートフィルムを得て、巻取り機により巻き取った。
さらにフィルムの両端にナーリングを行った。ナーリングは片側からエンボス加工を行うことで付与し、ナーリングする幅は10mmであり、最大高さは平均厚みよりも平均12μm高くなるように押し圧を設定した。
(1−2)延伸工程
ロール延伸機を用いて縦一軸延伸処理を実施した。延伸条件を下記に示す。ロール延伸機のロールは表面を鏡面処理した誘導発熱ジャケットロールを用い、各ロールの温度は個別に調整できるようにした。延伸倍率は、下流側のニップロールの周速と上流側のニップロールの周速との比を調整することで制御した。縦横比(ニップロール間の距離/ベース入口幅)は0.5となるように調整し、延伸速度は延伸間距離に対して10%/分とした。延伸倍率は21%、温度は150℃設定とした。
フィルムの延伸倍率(%)は、フィルムの搬送方向と直交する方向に一定間隔の標線を入れ、その間隔を延伸前後で計測し、下記式から求めた。後述する実施例および比較例でも同じ方法によりフィルムの延伸倍率を求めた。
Figure 2010107960
延伸後、熱処理工程前のセルロースアシレートフィルムのTcおよびTm0を前記の測定法によって測定し、得られた結果を下記表2に記載した。
(2)熱処理工程
フィルム幅方向の両端をテンタークリップで把持し、一方の端部を把持したテンタークリップと他方の端部を把持したテンタークリップとの間の距離を制御しながら幅方向の寸法変化が起こらないようにセルロースアシレートフィルムを熱処理した。
加熱ゾーンは200℃とし、10分間でフィルムを通過させセルロースアシレートフィルムを得た。
(3)第2の光学異方性層の形成
(3−1)セルロースアシレートフィルムの鹸化処理
上記で得られたセルロースアシレートフィルムを温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した後に、下記に示す組成のアルカリ溶液をバーコーターを用いて14ml/m2で塗布し、110℃に加熱したスチーム式遠赤外線ヒーター((株)ノリタケカンパニー製)の下に10秒滞留させた後に、同じくバーコーターを用いて純水を3ml/m2塗布した。この時のフィルム温度は40℃であった。次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返した後に70℃の乾燥ゾーンに2秒滞留させて乾燥した。
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鹸化処理用のアルカリ溶液の組成
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・水酸化カリウム 4.7質量部
・水 15.7質量部
・イソプロパノール 64.8質量部
・プロピレングリコール 14.9質量部
・界面活性剤(C16H33O(CH2CH20)10H) 1.0質量部
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(3−2)配向膜の形成
鹸化したセルロースアシレートフィルムの鹸化処理面に、下記の組成の配向膜形成用塗布液を#14のワイヤーバーコーターで24ml/m2塗布し、100℃の温風で120秒乾燥した。配向膜の厚さは1.2μmであった。次に、フィルムの長手方向(搬送方向)を0°とし、形成した配向膜に幅2000mmのラビングローラを用いて、ラビングローラの回転数400rpmで0°方向に、ラビング処理を実施した。この際、搬送速度は40m/分であった。続いてラビング処理面を超音波除塵した。
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配向膜形成用塗布液の組成
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・下記の変性ポリビニルアルコール 40質量部
・水 728質量部
・メタノール 228質量部
・グルタルアルデヒド(架橋剤) 2質量部
・クエン酸エステル(AS3、三共化学(株)) 0.69質量部
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Figure 2010107960
なお、配向膜形成前に、得られた第2の光学異方性層用フィルムの膜厚、Re(550)、Rth(550)、Re(450)およびRth(450)を測定した。さらにRth(550)/Re(550)、Re(450)−Re(550)およびRth(450)−Rth(550)の値を計算し、得られた各結果を下記表2に記載した。
(4)第1の光学異方性層の形成
除塵後の配向膜のラビング処理面に、下記表に示した組成の第1の光学異方性層用塗布液をワイヤーバーで塗布した。その後、130℃の恒温槽中で120秒間加熱し、ディスコティック液晶化合物を配向させた。次に、80℃で160W/cm高圧水銀灯を用いて、40秒紫外線照射し架橋反応を進行させて、ディスコティック液晶化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。
得られた第1の光学異方性層単独の波長550nmで測定したReを下記表2に、第1の光学異方性層単独の膜厚を下記表1に記載した。また、第1の光学異方性層中、円盤状液晶化合物の分子は、ハイブリッド配向状態に固定されていて、Re(550)が0nmになる方向が存在せず、且つRe(550)の絶対値が最小となる方向が、層の法線方向にも面内にもないことを、フィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長550nmの光を入射させて全部で11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基にKOBRA WRから確認した。すなわち、第1の光学異方性層が液晶を含むことを確認した。
得られた光学補償フィルムを実施例1の光学補償フィルムとした。
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第1の光学異方性層形成用塗布液の組成1
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
・メチルエチルケトン 270質量部
・表1(液晶組成)に示す第一液晶性化合物 90質量部
・表1(液晶組成)に示す第二液晶性化合物 10質量部
・下記構造の空気界面配向制御剤 1.0質量部
・光開始剤 イルガキュア907 チバ・ジャパン(株)製 3.0質量部
・増感剤 カヤキュア DETX 日本化薬製 1.0質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 2010107960
Figure 2010107960
Figure 2010107960
(5)偏光板の作製
厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、ヨウ素濃度0.05質量%のヨウ素水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4質量%濃度のホウ酸水溶液中に60秒浸漬している間に元の長さの5倍に縦延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ20μmの偏光膜を得た。
作製した光学補償フィルムのセルロースアシレートフィルム側の露出面(第1の光学異方性層が形成されていない側の表面)を1.5モル/Lで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、0.005モル/Lで35℃の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬して希硫酸水溶液を十分に洗い流し、最後に120℃で十分に乾燥させた。
前記のように鹸化処理を行った光学補償フィルムを、同じく鹸化処理を行った市販のセルロースアセテートフィルムと組合せて前記の偏光膜を挟むようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて、鹸化処理面を貼り合せることにより図2に示す層構成を有する偏光板を得た。ここで市販のセルロースアセテートフィルムとしてはフジタックTF80UL(富士フイルム(株)製)を用いた。このとき、偏光膜および偏光膜両側の保護膜はロール形態で作製されているため各ロールフィルムの長手方向が平行となっており連続的に貼り合わせた。従って光学補償フィルムの長手方向(フィルムの流延方向)と偏光膜の吸収軸とは平行な方向となった。得られた偏光板を実施例1の偏光板とした。
(6)TNモード液晶表示装置の作製
図3と同様の構成のTNモード液晶表示装置を作製した。具体的には、TNモード液晶セルを使用した液晶表示装置(AL2216W、日本エイサー(株)製)に設けられている一対の偏光板を剥がし、代わりに上記の作製した偏光板を、第1の光学異方性層が液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。このとき、観察者側の偏光板の透過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸とが直交するように配置した。このようにして、実施例1のTNモード液晶表示装置を作製した。
[実施例2〜8]
表1に示す通り、表(液晶組成)の各成分の組成を代え、および塗布時の条件を代えた以外は、同様にして第1の光学補償フィルム2〜8を作製した。なお、前記表1中に記載のない成分については、上記実施例1の各成分の組成と同一である。これらの第1の光学補償フィルム2〜8をそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2〜8の光学補償フィルム、偏光板およびTNモード液晶表示装置を作成した。
[実施例9および10]
実施例1における添加剤と第2の光学異方性層の延伸工程および熱処理工程を下記表2に記載のとおりに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例9および10の光学補償フィルム、偏光板およびTNモード液晶表示装置を作成した。
[実施例11]
実施例1における配向膜と第1の光学異方性層の形成工程を以下のとおりに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例11の光学補償フィルム、偏光板およびTNモード液晶表示装置を作成した。
実施例1と同じ工程により配向膜形成用塗布液を塗布したロール状の第2の光学異方性層を作製した。配向膜の厚さは表1に示したとおりであった。次に、配向膜を塗布したロール状態のフィルムを送り出し、形成した配向膜に幅2000mmのラビングローラを用いて、搬送方向に沿って逆回転にラビング装置のラビングロールを400rpmで回転させて配向膜の表面をラビング処理した。この際、搬送速度は40m/分であった。続いてラビング処理面を超音波除塵した。除塵後に、ラビング処理面に、下記組成の第1の光学異方性層形成用塗布液を#2のワイヤーバーで3.5ml/cm2のウエット塗布量で塗布して、120℃で1.5分間乾燥して配向させ、その後、80℃にフィルム温度を保った状態で120W/cmのメタルハライドランプで照射量200mJ/cm2のUV光を照射して、重合反応を進行させて配向状態を固定し、第1の光学異方性層を形成し、巻き取り部でロールフィルム状態に巻き取った。第1の光学異方性層の厚さは1.2μmであった。得られたフィルムの第1の光学異方性層のみをガラス板に転写してKOBRA WRにて測定波長550nmでの光学特性を測定した結果、Re(550)は40nmであった。また、第1の光学異方性層中、円盤状液晶化合物の分子は、ハイブリッド配向状態に固定されていて、Re(550)が0nmになる方向が存在せず、且つRe(550)の絶対値が最小となる方向が、層の法線方向にも面内にもないことを、フィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長550nmの光を入射させて全部で11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基にKOBRA WRから確認した。
その後、実施例1と同じ方法によって実施例11の光学補償フィルム、偏光板およびTNモード液晶表示装置を作製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
実施例11における第1の光学異方性層形成用塗布液の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
・メチルエチルケトン 102.00質量部
・表1(液晶組成)に示す液晶性化合物(1) 36.0質量部
・表1(液晶組成)に示す液晶性化合物(2) 4.0質量部
・エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンアクリレート 4.06質量部
(V360、大阪有機化学(株)製)
・セルロースアセテートブチレート 0.11質量部
(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)
・セルロースアセテートブチレート 0.34質量部
(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)
・光重合開始剤 1.35質量部
(イルガキュア907、チバ・ジャパン(株)製)
・増感剤(カヤキュアDETX、日本化薬(株)製) 0.45質量部
・下記構造式に示すフルオロ脂肪族基含有ポリマー1 0.23質量部
・下記構造式に示すフルオロ脂肪族基含有ポリマー2 0.03質量部
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Figure 2010107960
[実施例12、13および比較例4]
実施例4において、可塑剤を表2に記載のとおりに変えた以外は実施例11と同様にして、実施例12、13および比較例4の光学補償フィルム、偏光板およびTNモード液晶表示装置を作成した。
[実施例14〜17および比較例1]
実施例1において、可塑剤を表2に記載のとおりに変えた以外は実施例1と同様にして、実施例14〜17および比較例2の光学補償フィルム、偏光板およびTNモード液晶表示装置を作成した。比較例1および上記比較例4で用いた可塑剤AA−1の構造を下記に示す。
Figure 2010107960
[実施例18]
実施例11において、可塑剤を表2に記載のとおりに変更し、さらに下記のようにドラムを用いて第2の光学異方性層用のフィルムを流延にて製膜した以外は実施例11と同様にして、実施例18の光学補償フィルム、偏光板およびTNモード液晶表示装置を作成した。
ポリマー溶液を30℃に加温し、流延ギーサーを通して直径3mのドラムである鏡面ステンレス支持体上に流延した。支持体の表面温度は−5℃に設定し、塗布幅は200cmとした。流延部全体の空間温度は、15℃に設定した。そして、流延部の終点部から50cm手前で、流延して回転してきたセルロースアシレートフィルムをドラムから剥ぎ取った後、両端をピンテンターでクリップした。剥ぎ取り直後のセルロースアシレートウェブの残留溶媒量は300%、および支持体速度に対する剥ぎ取り速度(剥ぎ取りロールドロー)は104%、およびセルロースアシレートウェブの膜面温度は5℃であった。ピンテンターで保持されたセルロースアシレートウェブは、乾燥ゾーンに搬送した。初めの乾燥では45℃の乾燥風を送風した。次に110℃で5分、さらに140℃で10分乾燥し、巻き取り直前に両端(全幅の各5%)を耳切りした後、両端に幅10mm、高さ50μmの厚みだし加工(ナーリング)をつけた後、3000mのロール状に巻き取った。
[実施例19〜22]
実施例1における添加剤、延伸条件を表2のとおりに変更した以外は実施例1と同様にして、光学補償フィルム、偏光板および液晶表示装置を作成した。
・負の固有複屈折を有する可塑剤AF−1:スチレン−無水マレイン酸共重合体(重量平均分子量5500)
・負の固有複屈折を有する可塑剤AF−2:p−ヒドロキシスチレン重合体(重量平均分子量2000)
Figure 2010107960
Figure 2010107960
[比較例2]
熱処理温度を第2の光学異方性層用のフィルムのTcよりも低くした以外は比較例1と同様にして、比較例2の光学補償フィルム、偏光板および液晶表示装置を製造した。
[比較例3]
可塑剤を添加しなかった以外は実施例2と同様にして、比較例3の光学補償フィルム、偏光板および液晶表示装置を製造した。
[比較例6]
下記の方法で第2の光学異方性層用のフィルムを作成した。下記表中、内層の欄は、内層用ドープの組成を表す。同様に外層の欄は、外層用ドープの組成を表す。なお、レターデーションBB−1は、本明細書における波長分散調整剤には含まれない。
─────────────────────────────────────
比較例6のセルロースアセテート溶液組成(質量部) 内層 外層
─────────────────────────────────────
平均置換度2.86のセルロースアセテート 100 100
トリフェニルホスフェート(可塑剤、TPP) 7.8 7.8
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤、BDP) 3.9 3.9
メチレンクロライド(第1溶媒) 293 314
メタノール(第2溶媒) 71 76
1−ブタノール(第3溶媒) 1.5 1.6
シリカ(粒径20nm) 0 0.8
レターデーション上昇剤 BB−1 1.4 1.4
─────────────────────────────────────
得られた内層用ドープおよび外層用ドープを三層共流延ダイを用いて、0℃に冷却したドラム上に流延した。残留溶剤量が70質量%のフィルムをドラムから剥ぎ取り、両端をピンテンターにて固定して搬送方向のドロー比を110%として搬送しながら80℃で乾燥させ、残留溶剤量が10%となったところで110℃で乾燥させた。その後、140℃の温度で30分乾燥し、残留溶剤が0.3質量%の第2の光学異方性層用のセルロースアセテートフィルム(外層:3μm、内層:74μm、外層:3μm)を製造した。
得られた第2の光学異方性層用のフィルムに延伸工程および熱処理工程を行わず、このまま配向膜の形成を行った。その後は実施例1と同様にして、比較例6の光学補償フィルム、偏光板およびTNモード液晶表示装置を作成した。
Figure 2010107960
[比較例5]
可塑剤としてTPPとBDPを添加しなかった以外は比較例6と同様にして、比較例5の光学補償フィルム、偏光板およびTNモード液晶表示装置を作成した。
[試験例]
各実施例および比較例で作製したTNモード液晶表示装置について、以下の評価を行った。結果を下記表2に示す。
(1)輝点評価
光学補償フィルムをクロスニコルの偏光板の間に入れ、10倍のルーぺにより観察し、次の評価尺度に従って評価した。
○:100μm以上の輝点が0.08個/m2未満。
△:100μm以上の輝点が 0.08個/m2以上、0.1個/m2未満。
×:100μm以上の輝点が 0.1個/m2以上。
(2)上下左右の視野角
作製した液晶表示装置について、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)と白表示(L8)のコントラスト視野角を測定した。極角80度における上下左右方向で、コントラスト比(白透過率/黒透過率)の平均値求めた。以下の基準で評価した。
◎:50以上。
○:50未満、40以上。
△:40未満、30以上。
×:30未満。
Figure 2010107960
表2の結果から明らかなように、本発明の条件を満たす実施例1〜22のTNモード液晶表示装置は、輝点が少なく、視野角も広かった。なお、実施例14と同等の条件において、熱処理温度TをフィルムのTc未満である180℃に設定したところ、実施例14のTNモード液晶表示装置の方が、視野角の評価が顕著に良好であった。一方、比較例1、2および4では可塑剤として化合物AA−1を用いたため輝点数が多く、液晶表示装置に欠陥が生じていた。比較例3および5では可塑剤を添加しなかったため、得られた液晶表示装置は輝点数が多く、視野角も狭かった。また、比較例6では熱処理工程を経なかったため、視野角が狭かった。
なお、低分子量の可塑剤を用いた比較例1、2、4および6に対し、実施例1〜22ではラビング処理時に生じた切り屑の量が顕著に少ないことを目視にて確認した。また、同様に比較例1、2、4および6に対し、実施例1〜22では製造装置に揮散物の汚れがつきにくかった。
また、第1の光学異方性層を形成するときに液晶性化合物(1)の代わりに前記液晶性化合物(2)〜(8)を用いた以外は実施例1と同様の方法によって光学補償フィルム、偏光板および液晶表示装置を作製したところ、実施例1と同様の結果が得られた。
10 光学補償フィルム
11 第1の光学異方性層
12 第2の光学異方性層
13 偏光膜
14 保護フィルム
15 偏光板
16 液晶セル
17 TNモード液晶表示装置

Claims (15)

  1. Re(550)が20〜100nmであり、液晶を含む第1の光学異方性層と、
    セルロースアシレートと数平均分子量が500〜50000であって繰り返し単位を有する可塑剤とを含有するフィルムであり、Re(550)が20〜150nmであり、Rth(550)が40〜110nmであり、前記第1の光学異方性層と接する側の表面に配向膜を有することを特徴とする第2の光学異方性層と、
    が積層された構造を有することを特徴とする光学補償フィルム[ここでRe(550)は波長550nmにおける面内レターデーションを表し、Rth(550)は波長550nmにおける厚さ方向のレターデーションを表す。]。
  2. 前記第1の光学異方性層が、Re(550)が0nmになる方向が存在せず、且つRe(550)の絶対値が最小となる方向が層の法線方向にも面内にもないことを特徴とする請求項1に記載の光学補償フィルム。
  3. 前記第2の光学異方性層がRth(550)/Re(550)<1.0を満たす事を特徴とする請求項1または2に記載の光学補償フィルム。
  4. 前記第2の光学異方性層が、負の固有複屈折率を有する可塑剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学補償フィルム。
  5. 前記可塑剤が、ポリエステル系可塑剤またはポリエステルポリウレタン系可塑剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学補償フィルム。
  6. 前記可塑剤が前記セルロースアシレートに対して2〜30質量%含まれていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学補償フィルム。
  7. 前記第2の光学異方向性層が、300〜380nmの波長域に極大吸収波長を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学補償フィルム。
  8. 前記セルロースアシレートの全置換度が2.7〜3.0であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学補償フィルム。
  9. 前記第1の光学異方性層が円盤状液晶化合物を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学補償フィルム。
  10. セルロースアシレートと、数平均分子量が500〜50000であって繰り返し単位を有する可塑剤とを含有する組成物を用いて第2の光学異方性層用のフィルムを下記式(1)の条件を満たす温度T(単位;℃)で熱処理する工程と、
    熱処理後の前記第2の光学異方性層用のフィルムの表面上に配向膜用のフィルムを製膜し、ラビング処理により配向膜を形成して第2の光学異方性層を形成する工程と、
    前記第2の光学異方性層の配向膜が形成されている側の表面に第1の光学異方性層を形成する工程と、
    を含むことを特徴とする光学補償フィルムの製造方法。
    式(1): Tc≦T<Tm0
    [式(1)中、Tcは熱処理前の第2の光学異方性層用のフィルムの結晶化温度(単位;℃)を表し、Tm0は熱処理前の第2の光学異方性層用のフィルムの融点(単位;℃)を表す。]
  11. 第2の光学異方性層用のフィルムを搬送しながらその搬送方向に延伸する工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の光学補償フィルムの製造方法。
  12. 請求項10または11に記載の光学補償フィルムの製造方法で製造されたことを特徴とする光学補償フィルム。
  13. 請求項1〜9および12のいずれか1項に記載の光学補償フィルムと、偏光膜とを有することを特徴とする偏光板。
  14. 前記光学補償フィルムの面内の遅相軸と前記偏光膜の面内の透過軸との交差角が略0度であることを特徴とする請求項13に記載の偏光板。
  15. 請求項1〜9および12のいずれか1項に記載の光学補償フィルムを用いたことを特徴とするTNモード液晶表示装置。
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