JP2007191505A - セルロースアシレートフィルム、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

セルロースアシレートフィルム、偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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章伸 牛山
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Abstract

【課題】優れた光学補償能を有しており、高い生産性で製造可能なセルロースアシレートフィルムを提供する。
【解決手段】セルロースを構成するグルコース単位の水酸基の一部又は全部が芳香族アシル基で置換されたセルロースアシレート誘導体を含有するとともに、50nm<Re<400nm、−200nm<Rth<50nm及び|Nz|<10(Reはセルロースアシレートフィルムの面内方向のレターデーション、Rthはセルロースアシレートフィルムの厚み方向のレターデーション、Nzは(Rth/Re)+0.5を表す)を満足するセルロースアシレートフィルムである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光学補償シート等の光学部材として有用なセルロースアシレートフィルム、それを用いた偏光板、及びこの偏光板を備えた液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、低電圧・低消費電力で小型化・薄膜化が可能であるなどの様々な利点を有していることから、パーソナルコンピューターや携帯機器のモニター、テレビ用途などに広く利用されている。このような液晶表示装置については、液晶セル内の液晶分子の配列状態により様々なモードが提案されているが、従来は液晶セルの下側基板から上側基板に向かって約90°捩れた配列状態になるTNモードが主流であった。
一般に液晶表示装置は液晶セル、光学補償シート、偏光子から構成される。光学補償シートは画像着色を解消したり、視野角を拡大したりするために用いられており、延伸した複屈折フィルムや透明フィルムに液晶を塗布したフィルムが使用されている。例えば、特許文献1ではディスコティック液晶をトリアセチルセルロースフィルム上に塗布し配向させて固定化した光学補償シートをTNモードの液晶セルに適用し、視野角を広げる技術が開示されている。
しかしながら、大画面で様々な角度から見ることが想定されるテレビ用途の液晶表示装置は視野角依存性に対する要求が厳しく、前述のような手法をもってしても要求を満足することはできていない。そのため、IPS(In-Plane Switching)モード、OCB(Optically Compensatory Bend)モード、VA(Vertically Aligned)モードなど、TNモードとは異なる液晶表示装置が研究されている。
ところで、セルロースアシレートフィルムは、他のポリマーフィルムと比較して、光学的等方性が高い(レターデーション値が低い)という特徴がある。従って、光学的等方性が要求される用途、例えば偏光板には、偏光膜を保護するための保護フィルムとしてセルロースアシレートフィルムが用いられている。
一方、液晶表示装置の光学補償シート(位相差フィルム)には、逆に光学異方性(高いレターデーション値)が要求される。このため、光学材料の技術分野では、ポリマーフィルムに光学異方性が要求される場合には合成ポリマーフィルムを使用し、光学的等方性が要求される場合にはセルロースアシレートフィルムを使用することが一般的な原則となっていた。
光学異方性が要求されるフィルムとして、例えば液晶表示装置の補償膜については50nm<Re<400nm、−200nm<Rth<50nmかつ|Nz|<10であるフィルムが求められている。これについては、フィルムの平面方向に配向した分子群と、厚さ方向に配向した分子群が混在してなることを特徴とする複屈折性フィルムを光学補償フィルムとしている例がある(特許文献1)。しかし、その製造工程において、熱収縮フィルムを用いるため、製造工程が複雑であり、生産性が悪いという問題があった。
一方、セルロースアシレートフィルムに関しては、置換度2.92のセルローストリアセテートフィルムを延伸し、Reが−50nmで、且つRthが−35nmの光学特性を有するフィルムを作製する例が開示されている(特許文献2)。しかし、このフィルムでは、Reの絶対値が低いため十分に視野角特性変化を抑えることができない。
特開平5−157911号公報 特許第3459779号公報
本発明は、優れた光学補償能を有しており、且つ高い生産性で製造可能なセルロースアシレートフィルム、及び偏光板を提供することを目的とする。また、本発明は、視野角特性変化の少ない液晶表示装置と、該装置を製造するための偏光板を提供することも目的とする。
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、下記の構成を有する本発明によれば上記目的と達成しうることを見いだした。
[1] セルロースを構成するグルコース単位の水酸基の一部又は全部が芳香族アシル基で置換されたセルロースアシレート誘導体を含有するとともに、下記式(1)〜(3)を満足することを特徴とするセルロースアシレートフィルム:
(1) 50nm<Re<400nm
(2) −200nm<Rth<50nm
(3) |Nz|<10
(上式において、Reはセルロースアシレートフィルムの面内方向のレターデーション、Rthはセルロースアシレートフィルムの厚み方向のレターデーション、Nzは(Rth/Re)+0.5を表す)。
[2] 前記セルロースアシレートの置換度が2.85〜3.00である[1]のセルロースアシレートフィルム。
[3] 棒状化合物及び円盤状化合物から選ばれる少なくとも一種を含有する[1]又は[2]のセルロースアシレートフィルム。
[4] 幅が0.5〜3mである[1]〜[3]のいずれかのセルロースアシレートフィルム。
[5] 膜厚が40〜200μmである[1]〜[4]のいずれかのセルロースアシレートフィルム。
[6] 面内の遅相軸が、搬送方向と略垂直方向にある[1]〜[5]のいずれかのセルロースアシレートフィルム。
[7] 面内の遅相軸が、搬送方向と略平行方向にある[1]〜[5]のいずれかのセルロースアシレートフィルム。
[8] 波長450nm、550nm及び650nmのそれぞれにおけるReとNzが、下記式(I)〜(III)を満たす[1]〜[7]のいずれかのセルロースアシレートフィルム。
式(I):0.4<(Re/Rth(450)/Re/Rth(550))<0.95かつ1.05<(Re/Rth(650)/Re/Rth(550))<1.9
式(II):0.1<(Re(450)/Re(550))<0.95
式(III):1.03<Re(650)/Re(550)<1.93
[9] レターデーション上昇剤を含有する[1]〜[8]のいずれかのセルロースアシレートフィルム。
[10] 置換度が2.85〜3.00のセルロースアシレートと、棒状化合物及び円盤状化合物から選択される少なくとも一種とを含有する溶液を表面に流延後、形成されたフィルムを該表面から剥離して延伸することを含む[1]〜[9]のいずれかのセルロースアシレートフィルムの製造方法。
[11] 製膜速度が5〜300m/分である[10]のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
[12] 一方向に延伸する延伸工程と、該方向と直交する方向にフィルムを把持しながら、収縮させる収縮工程とを含む[10]又は[11]のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
[13] 一方向に延伸する延伸工程と、該方向と直交する方向に収縮させる収縮工程の少なくとも一部が、同時に行われる[12]のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
[14] 一方向への延伸率が10%以上、該方向と直交する方向の収縮率が5%以上である[12]又は[13]のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
[15] 延伸工程及び収縮工程を、それぞれの工程の開始時点で、フィルムのガラス転移点温度より25〜100℃高い温度で行う[10]〜[14]のいずれかのセルロースアシレートフィルムの製造方法。
[16] 偏光膜及びその両面に設けられた二枚のフィルムからなる偏光板であって、少なくともその一方のフィルムが[1]〜[9]のいずれかのセルロースアシレートフィルムである偏光板。
[17] 前記セルロースアシレートフィルムと、前記偏光膜との間には実質的に等方的な接着剤層及び/又は実質的に等方的な保護フィルムのみが含まれる[16]の偏光板。
[18] 前記セルロースアシレートフィルムの遅相軸方向と、前記偏光膜の吸収軸方向とが、実質的に直交である[16]又は[17]の偏光板。
[19] 前記セルロースアシレートフィルムの遅相軸方向と、前記偏光膜の吸収軸方向とが、実質的に平行である[16]又は[17]の偏光板。
[20] [16]〜[19]のいずれかの偏光板を有する液晶表示装置。
[21] IPS方式の液晶表示モードである[20]の液晶表示装置。
[22] 一対の基板と、該一対の基板に挟持される液晶分子が黒表示時に該一対の基板に対して実質的に平行に配向する液晶層とを有する液晶セル、及び[18]の偏光板を含み、該一対の基板の一方の基板の外側に該基板側から、セルロースアシレートフィルム、及び偏光膜がこの順となり、且つセルロースアシレートフィルムの遅相軸と黒表示時の液晶分子の長軸方向とが実質的に平行になるように前記偏光板が配置され、及び他方の基板の外側にさらに第2の偏光膜を有し、双方の偏光膜の吸収軸が互いに直交している液晶表示装置。
[23] 一対の基板と、該一対の基板に挟持される液晶分子が黒表示時に該一対の基板に対して実質的に平行に配向する液晶層とを有する液晶セル、及び[19]の偏光板を含み、該一対の基板の一方の基板の外側に該基板側からセルロースアシレートフィルム、及び偏光膜がこの順となり、且つセルロースアシレートフィルムの遅相軸と黒表示時の液晶分子の長軸方向とが実質的に直交になるように前記偏光板が配置され、及び他方の基板の外側にさらに第2の偏光膜を有し、双方の偏光膜の吸収軸が互いに直交している液晶表示装置。
[24] 前記第2の偏光膜と前記基板との間には実質的に等方的な接着剤層及び/又は実質的に等方的な透明保護フィルムのみが含まれる[23]又は[24]の液晶表示装置。
[25] 前記透明保護フィルムが下記式(I)及び(II)を満たすセルロースアセテートフィルムである[24]の液晶表示装置:
(I):0≦Re(630)≦10、かつ|Rth(630)|≦25
(II):|Re(400)−Re(700)|≦10、かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35
[式中、Re(λ)は波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である]。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、面内のレターデーション(Re)の発現性に優れ、且つ膜厚方向のレターデーション(Rth)が小さいフィルムである。当該セルロースアシレートフィルムは、本発明の製造方法によれば容易に生産性よく製造することが可能である。また、当該セルロースアシレートフィルムを偏光子の保護膜に用いた本発明の偏光板は、視野角特性変化の少ない液晶表示装置を与えうるものである。また、本発明によれば、視野角特性変化の少ない液晶表示装置を提供することができる。
発明の実施の形態
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリロイル」との記載は、「アクリロイル及びメタクリロイルの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」等も同様である。また、水素原子が水素原子以外の原子で置換されている場合、該水素原子以外の原子を便宜上置換基として取り扱う。
まず、本発明のセルロースアシレートフィルムについて説明する。本発明のセルロースアシレートフィルムは、種々の光学部材として、特に液晶表示装置の光学補償フィルムとして有用である。
[セルロースアシレートフィルム]
セルロースアシレートフィルムとは、セルロースアシレート化合物から実質的になるフィルムである。セルロースアシレートは、セルロースと酸とのエステルであり、セルロースを構成するグルコース単位に存在する2位、3位及び6位の水酸基の一部又は全部がアシル基で置換された化合物である。本発明のアシレートフィルムは、セルロースを構成するグルコース単位に存在する2位、3位及び6位の水酸基の一部又は全部が、芳香族アシル基で置換されたセルロースアシレートを少なくとも含有する。
本発明に好ましく用いることのできる芳香族アシル基としては、下記一般式(A)で表される基が挙げられる。
Figure 2007191505
まず、一般式(A)について説明する。Xは置換基で、置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、アラルキル基、ニトロ、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシルオキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アルキルスルホニルオキシ基およびアリールオキシスルホニル基、−S−R、−NH−CO−OR、−PH−R、−P(−R)2、−PH−O−R、−P(−R)(−O−R)、−P(−O−R)2、−PH(=O)−R−P(=O)(−R)2、−PH(=O)−O−R、−P(=O)(−R)(−O−R)、−P(=O)(−O−R)2、−O−PH(=O)−R、−O−P(=O)(−R)2−O−PH(=O)−O−R、−O−P(=O)(−R)(−O−R)、−O−P(=O)(−O−R)2、−NH−PH(=O)−R、−NH−P(=O)(−R)(−O−R)、−NH−P(=O)(−O−R)2、−SiH2−R、−SiH(−R)2、−Si(−R)3、−O−SiH2−R、−O−SiH(−R)2および−O−Si(−R)3が含まれる。上記Rは脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基である。置換基としては、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基およびウレイド基が好ましく、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基およびカルボンアミド基がより好ましく、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基およびアリールオキシ基がさらに好ましく、ハロゲン原子、アルキル基およびアルコキシ基が最も好ましい。
上記ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が含まれる。上記アルキル基は、環状構造あるいは分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチルおよび2−エチルヘキシルが含まれる。上記アルコキシ基は、環状構造あるいは分岐を有していてもよい。アルコキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルコキシ基は、さらに別のアルコキシ基で置換されていてもよい。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メトキシ−2−エトキシエトキシ、ブチルオキシ、ヘキシルオキシおよびオクチルオキシが含まれる。
上記アリール基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリール基の例には、フェニルおよびナフチルが含まれる。上記アリールオキシ基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリールオキシ基の例には、フェノキシおよびナフトキシが含まれる。上記アシル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。アシル基の例には、ホルミル、アセチルおよびベンゾイルが含まれる。上記カルボンアミド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。カルボンアミド基の例には、アセトアミドおよびベンズアミドが含まれる。上記スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミドおよびp−トルエンスルホンアミドが含まれる。上記ウレイド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。ウレイド基の例には、(無置換)ウレイドが含まれる。
上記アラルキル基の炭素原子数は、7〜20であることが好ましく、7〜12であることがさらに好ましい。アラルキル基の例には、ベンジル、フェネチルおよびナフチルメチルが含まれる。上記アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニルが含まれる。上記アリールオキシカルボニル基の炭素原子数は、7〜20であることが好ましく、7〜12であることがさらに好ましい。アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニルが含まれる。上記アラルキルオキシカルボニル基の炭素原子数は、8〜20であることが好ましく、8〜12であることがさらに好ましい。アラルキルオキシカルボニル基の例には、ベンジルオキシカルボニルが含まれる。上記カルバモイル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。カルバモイル基の例には、(無置換)カルバモイルおよびN−メチルカルバモイルが含まれる。上記スルファモイル基の炭素原子数は、20以下であることが好ましく、12以下であることがさらに好ましい。スルファモイル基の例には、(無置換)スルファモイルおよびN−メチルスルファモイルが含まれる。上記アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アシルオキシ基の例には、アセトキシおよびベンゾイルオキシが含まれる。
上記アルケニル基の炭素原子数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルケニル基の例には、ビニル、アリルおよびイソプロペニルが含まれる。上記アルキニル基の炭素原子数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルキニル基の例には、チエニルが含まれる。上記アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。上記アリールスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。上記アルキルオキシスルホニル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。上記アルキルスルホニルオキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。
また、一般式(A)において芳香族環に置換する置換基Xの数(n)は0または1〜5個であり、好ましくは1〜3個で、特に好ましいのは1又は2個である。
更に、芳香族環に置換する置換基の数が2個以上の時、互いに同じでも異なっていてもよいが、また、互いに連結して縮合多環化合物(例えばナフタレン、インデン、インダン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン、クロメン、クロマン、フタラジン、アクリジン、インドール、インドリンなど)を形成してもよい。
また置換基は、ハロゲン原子、シアノ、炭素原子数が1〜20のアルキル基、炭素原子数が1〜20のアルコキシ基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が6〜20のアリールオキシ基、炭素原子数が1〜20のアシル基、炭素原子数が1〜20のカルボンアミド基、炭素原子数が1〜20のスルホンアミド基および炭素原子数が1〜20のウレイド基からなる群より選ばれるのが好ましい。
一般式(A)で表される芳香族アシル基の具体例を下記に示す。中でも、好ましいのは、具体例No.1、3、5、6、8、13、15、18、28であり、より好ましいのはNo.1、3、6、13、15であり、よりさらに好ましくはNo.1及び15である。
Figure 2007191505
Figure 2007191505
Figure 2007191505
Figure 2007191505
前記セルロースアシレートは、脂肪族アシル基によって置換されていてもよい。脂肪族アシル基としては炭素原子数が2〜20で具体的にはアセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、オクタノイル、ラウロイル、ステアロイル等があげられる。好ましくはアセチル、プロピオニルおよびブチリルであり、特に好ましいのはアセチルである。本発明において前記脂肪族アシル基とはさらに置換基を有するものも包含する意味であり、置換基としては例えば前記の一般式(A)のXとして例示したものがあげられる。
また、本発明のセルロースアシレートフィルムは、互いに異なる置換基及び/又は置換度を有する複数種のセルロースアシレート化合物を含有していてもよい。複数種のセルロースアシレート化合物を含有する場合は、前記芳香族アシル基で置換されたセルロースアシレートは、全種類のセルロースアシレート中、30質量%以上であるのが好ましく、50質量%以上であるのがより好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムの作製に用いられるセルロースアシレート化合物の置換度は、2.85以上であることが好ましく、2.88〜3.00であることがより好ましく、2.92〜3.00がさらに好ましく、2.93〜3.00が最も好ましい。本明細書において置換度とは、セルロースの2位、3位及び6位のそれぞれの水酸基の水素原子が置換されている割合(100%置換は置換度1)の合計を意味する。複数種のセルロースアシレート化合物を用いる場合は、いずれの化合物の置換度も前記範囲であるのが好ましい。
前記セルロースアシレート化合物において、芳香族アシル基の置換度PAと脂肪族アシル基の置換度PBが、下記数式(3)及び(4)のいずれも満たす関係にあることが好ましい。
数式(3):2PA+PB>3.0
数式(4):0.2<PA(好ましくは0.2<PA<3.0)
さらに前記の通り、所望の膜厚方向レターデーションRthだけでなく、好ましい面内レターデーションRe、さらには好ましいフィルム物性を得るために、下記数式(3’)および(4’)の関係を満たすことがより好ましく、
数式(3’):2PA+PB>3.0
数式(4’):0.2<PA<2.0
下記数式(3’’)かつ(4’’)の関係を満たすことがさらに好ましい。
数式(3’’):2PA+PB>3.0
数式(4’’):0.2<PA<1.0
本発明のセルロースアシレートフィルムが含有する一種又は二種以上の、少なくとも一部が芳香族アシル基で置換されているセルロースアシレート化合物は、その水酸基の少なくとも一部が、アセチル基及び/又はプロピオニル基で置換されているのが好ましく、アセチル基で置換されているのがより好ましい。全アシル基の置換度は2.7〜3.0が好ましく、2.8〜2.95がさらに好ましい。本明細書において、アシル基の置換度とは、ASTM D817に従って算出した値である。アシル基は、アセチル基であることが最も好ましく、アシル基がアセチル基であるセルロースアセテートを用いる場合には、酢化度が57.0〜62.5%が好ましく、58.0〜62.0%がさらに好ましい。酢化度がこの範囲にあると、流延時の搬送テンションによってReが所望の値より大きくなることもなく、面内ばらつきも少なく、温湿度によってレターデーション値の変化も少ない。特に、セルロースを構成するグルコース単位の水酸基を炭素原子数が2以上のアシル基で置換して得られ、グルコース単位の2位の水酸基のアシル基による置換度をDS2、3位の水酸基のアシル基による置換度をDS3、6位の水酸基のアシル基による置換度をDS6としたときに、下記式(I)及び(II)を満たすと、所望のRe、Rthを出すことが容易となり、また温湿度によるRe値の変動がより小さいくなり好ましい。
(I) :2.0≦DS2+DS3+DS6≦3.0
(II) :DS6/(DS2+DS3+DS6)≧0.315
また、本発明のセルロースアシレートフィルムの作製に用いるセルロースアシレート化合物は、負の光学異方性を持つことが好ましい。負の複屈折性を持つことにより延伸することにより、Rthが減少するという特有の効果を発現する。
セルロースアシレートの合成方法について、基本的な原理は、右田伸彦他、木材化学180〜190頁(共立出版、1968年)に記載されている。セルロースアシレートの代表的な合成方法は、エステル化剤(例えばカルボン酸無水物)−酢酸−硫酸触媒による液相酢化法である。具体的には、綿花リンタや木材パルプ等のセルロース原料を適当量の酢酸で前処理した後、予め冷却したカルボン酸化混液に投入してエステル化し、完全セルロースアシレート(2位、3位及び6位のアシル置換度の合計が、ほぼ3.00)を合成する。上記カルボン酸化混液は、一般に溶媒としての酢酸、エステル化剤としての無水カルボン酸及び触媒としての硫酸を含む。エステル化剤は、これと反応するセルロース及び系内に存在する水分の合計よりも、化学量論的に過剰量で使用することが普通である。芳香族アシル基で置換されたセルロースアシレートの合成の際に用いるエステル化剤としては、芳香族カルボン酸から誘導した酸無水物を用いる方法等が挙げられる。
アシル化反応終了後に、系内に残存している過剰無水カルボン酸の加水分解及びエステル化触媒を一部中和するために、中和剤(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウム又は亜鉛の炭酸塩、酢酸塩又は酸化物)の水溶液を添加する。次に、得られた完全セルロースアシレートを少量の酢化反応触媒(一般には、残存する硫酸)の存在下で、50〜90℃に保つことにより鹸化熟成し、所望のアシル置換度及び重合度を有するセルロースアシレートまで変化させる。所望のセルロースアシレートが得られた時点で、系内に残存している触媒を前記のような中和剤を用いて完全に中和するか、あるいは中和することなく水又は希硫酸中にセルロースアシレート溶液を投入(あるいは、セルロースアシレート溶液中に、水又は希硫酸を投入)して、セルロースアシレートを分離し、洗浄及び安定化処理によりセルロースアシレートを得る。
セルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で200〜700が好ましく、250〜550がより好ましく、250〜400がさらに好ましく、250〜350が最も好ましい。粘度平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)に従い測定できる。粘度平均重合度の測定方法については、特開平9−95538号公報にも記載がある。
低分子成分が少ないセルロースアシレートは、平均分子量(重合度)が高いが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低い値になる。低分子成分の少ないセルロースアシレートは、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより行うことができる。また、低分子成分の少ないセルロースアシレートを合成することもできる。低分子成分の少ないセルロースアシレートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。
セルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロース及びセルロースアシレートの合成方法についての詳細な記載は、例えばプラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)7頁〜12頁に記載がある。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、フィルムを構成するポリマー成分が実質的にセルロースアシレートからなることが好ましい。『実質的に』とは、ポリマー成分の55質量%以上(好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上)を意味する。上記した通り、セルロースアシレートフィルムの作製に、二種類以上のセルロースアシレートを併用してもよい。
セルロースアシレートフィルムは、セルロースアシレート溶液を用いるソルベントキャスト法により製造することが好ましい。ソルベントキャスト法に用いるセルロースアシレート溶液の調製には、セルロースアシレート粒子を使用することが好ましい。使用する粒子の90質量%以上は、0.5〜5mmの粒子サイズを有することが好ましい。また、使用する粒子の50質量%以上が1〜4mmの粒子サイズを有することが好ましい。セルロースアシレート粒子は、なるべく球形に近い形状を有することが好ましい。また、セルロースアシレート溶液の調製に使用するセルロースアシレートは、含水率が2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましく、0.7質量%以下であることがさらにより好ましい。セルロースアシレートは、一般に、2.5〜5質量%の含水率を有している。従って、セルロースアシレートを乾燥してから使用することが好ましい。
前記セルロースアシレート溶液の調製には、特開2005-113108号公報[0050]〜[0069]に記載の方法を用いることが好ましい。
ソルベントキャスト法に用いるセルロースアシレート溶液は、特開2005−331773号公報の[0095]〜[0096]に記載の方法を用いることが好ましい。
本発明において、上記セルロースアシレート溶液は、添加剤を含有していてもよい。上記セルロースアシレート溶液が含有する添加剤は、最終的にセルローアシレートフィルム中にそのままの状態で、又は作製工程において生じる種々の化学変化によって溶液中とは異なる状態で、含有されていてもよいし、また、作製工程の途中で除去され、最終的にセルローアシレートフィルム中に含有されていなくてもよい。用いることができる添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、面内レターデーション(Re)上昇剤、厚み方向レターデーション(Rth)低下剤、波長分散調整剤、微粒子、剥離促進剤、赤外吸収剤などを挙げることができる。本発明においては、レターデーション上昇剤を用いるのが好ましい。また、可塑剤、紫外線吸収剤及び剥離促進剤の1種以上を用いるのが好ましい。
それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば融点が20℃以下の紫外線吸収剤と20℃以上の紫外線吸収剤を混合して用いたり、同様に可塑剤を混合して用いることができ、例えば特開平2001−151901号公報などに記載されている。
紫外線吸収剤、可塑剤としては、特開2005−331773号公報の[0026]〜[0032]に記載の化合物を用いることが好ましい。
前記剥離促進剤としてはクエン酸のエチルエステル類が例として挙げられる。さらにまた、赤外吸収剤としては例えば特開2001−194522号公報に記載されている。
これらの添加剤は、ドープ作製工程において何れの段階で添加してもよいが、ドープ調製工程の最後の調製工程として添加剤を添加する工程を加えて添加してもよい。さらにまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、セルロースアシレートフィルムが多層である場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開平2001−151902号公報などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。
さらに添加剤については、発明協会公開技報(公技番号2001−1745号、2001年3月15日発行、発明協会)16頁以降に詳細に記載されているものを適宜用いることができる。
本発明では、セルロースアシレートフィルムのレターデーション値を所望の範囲とするため、レターデーション上昇剤を前記セルロースアシレート溶液中に添加してもよい。レターデーション上昇剤は、棒状化合物及び円盤状化合物から選ばれるのが好ましい。上記棒状化合物又は円盤状化合物としては、少なくとも二つの芳香族環を有する化合物を用いることができる。
レターデーション上昇剤として棒状化合物を用いる場合、その添加量は、セルロースアシレートを含むポリマー成分100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、0.5〜20質量部であることがさらに好ましい。
レターデーション上昇剤として円盤状化合物を用いる場合、その添加量は、前記セルロースアシレートを含むポリマー成分100質量部に対して、0.05〜20質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することがより好ましく、0.2〜5質量部の範囲で使用することがさらに好ましく、0.5〜2質量部の範囲で使用することが最も好ましい。
また、二種類以上のレターデーション上昇剤を併用してもよい。
棒状化合物又は円盤状化合物からなる前記レターデーション上昇剤は、250〜400nmの波長領域に最大吸収を有することが好ましく、可視領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。
円盤状化合物については、特開2005−331773号公報の[0034]〜[0042]に記載の化合物を用いることが好ましい。
本発明では、レターデーション上昇剤として、前述の円盤状化合物の他に、直線的な分子構造を有する棒状化合物も好ましく用いることができる。特開2005−331773号公報の[0043]〜[0055]、あるいは特開2005−134863号公報の[0017]〜[0043]の化合物を用いることが好ましい。
さらに本発明におけるセルロースアシレートフィルムは、レターデーション調整剤として下記一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種含有するのが好ましい。
Figure 2007191505
式中、Ar1、Ar2及びAr3はそれぞれ独立して、アリール基または芳香族ヘテロ環を表し、L1及びL2はそれぞれ独立して、単結合、または2価の連結基を表す。nは3以上の整数を表し、それぞれAr2及びL2は同一であっても異なっていてもよい。
Ar1、Ar2、Ar3はアリール基または芳香族ヘテロ環を表し、Ar1、Ar2、Ar3で表されるアリール基として好ましくは炭素数6〜30のアリール基であり、単環であってもよいし、さらに他の環と縮合環を形成してもよい。また、可能な場合には置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。
一般式(1)中、Ar1、Ar2、Ar3で表されるアリール基としてより好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。
一般式(1)中、Ar1、Ar2、Ar3で表される芳香族ヘテロ環としては酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のうち少なくとも1つを含む芳香族ヘテロ環であればいずれのヘテロ環でもよいが、好ましくは5ないし6員環の酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のうち少なくとも1つを含む芳香族ヘテロ環である。また、可能な場合にはさらに置換基を有してもよい。置換基としては後述の置換基Tが適用できる。
一般式(1)中、Ar1、Ar2、Ar3で表される芳香族ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデン、ピロロトリアゾール、ピラゾロトリアゾールなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾールである。
一般式(1)中、L1、L2は単結合、または2価の連結基を表し、2価の連結基の例として好ましくは、−NR7−(R7は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基またはアリール基を表す)で表される基、−SO2−、−CO−、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−S−、−SO−およびこれらの2価基を2つ以上組み合わせて得られる基であり、その内より好ましいものは−O−、−CO−、−SO2NR7−、−NR7SO2−、−CONR7−、−NR7CO−、−COO−、および−OCO−、アルキニレン基であり、最も好ましくは−CONR7−、−NR7CO−、−COO−、および−OCO−、アルキニレン基である。
本発明の一般式(1)で表される化合物において、Ar2はL1およびL2と結合するがAr2がフェニレン基である場合、L1−Ar2−L2、およびL2−Ar2−L2は互いにパラ位(1,4−位)の関係にあることが最も好ましい。
nは3以上の整数を表し、好ましくは3ないし7であり、より好ましくは3ないし5である。
一般式(1)のうち好ましくは一般式(2)であり、ここで一般式(2)について詳しく説明する。
Figure 2007191505
式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R21、R22、R23およびR24はそれぞれ独立して、水素原子または置換基を表す。Ar2はアリール基または芳香族ヘテロ環を表し、L2、L3はそれぞれ独立して、単結合、または2価の連結基を表す。nは3以上の整数を表し、それぞれAr2、L2は同一であっても異なっていてもよい。
Ar2、L2、およびnは一般式(1)の例と同一であり、L3は単結合、または2価の連結基を表し、2価の連結基の例として好ましくは、−NR7−(R7は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基またはアリール基を表す)で表される基、アルキレン基、置換アルキレン基、−O−、およびこれらの2価基を2つ以上組み合わせて得られる基であり、その内より好ましいものは−O−、−NR7−、−NR7SO2−、および−NR7CO−である。
11、R12、R13、R14、R15およびR16はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基であり、より好ましくは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基など)、炭素数6〜12のアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基)であり、さらに好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。
22、R23およびR24はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、水酸基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4、より好ましくはメチル基)である。
以下に一般式(1)および一般式(2)で表される化合物に関して具体例をあげて詳細に説明するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。
Figure 2007191505
Figure 2007191505
Figure 2007191505
Figure 2007191505
Figure 2007191505
Figure 2007191505
Figure 2007191505
Figure 2007191505
Figure 2007191505
また、下記一般式(3)で表される化合物も好ましい。
Figure 2007191505
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6はそれぞれ独立に置換基を表し、L1、L2はそれぞれ独立に単結合、または2価の連結基を表わす。n、mはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、p、qはそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。
1、R2、R3、R4、R5、R6はそれぞれ独立に水素原子以外の置換基を表す。R1、R2、R3、R4、R5、R6は同じであってもよく、異なっていてもよい。置換基として好ましくは、以下の置換基Tから選択される。置換基Tには、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換または無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換または無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換または無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換または無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換または無置換の、芳香族または非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜30の5または6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換または無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換または無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N-メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換または無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p-クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m-n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換または無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換または無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換または無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N'−フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキルおよびアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換または無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイルベンゾイル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換または無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、アリールおよびヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換または無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換または無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基)が含まれる。
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていてもよい。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
中でも、好ましい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アルコキシカルボニルオキシ基、シクロアルキル基、アシルアミノ基、シアノ基、ハロゲン原子を挙げることができる。
また、置換基が二つ以上ある場合は、それぞれ同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(3)中、L1、L2はそれぞれ独立に単結合、または2価の連結基を表す。L1、L2は同じであってもよく異なっていてもよい。2価の連結基の例として好ましいものは、−NR7−(R7は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基またはアリール基を表す)で表される基、−SO2−、−CO−、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−S−、−SO−およびこれらの2価基を2つ以上組み合わせて得られる基であり、その内より好ましいものは−O−、−CO−、−SO2NR7−、−NR7SO2−、−CONR7−、−NR7CO−、−COO−、および−OCO−、アルキニレン基であり、最も好ましくは−CONR7−、−NR7CO−、−COO−、および−OCO−、アルキニレン基である。ここで、置換基としては前述のR1、R2、R3、R4、R5、R6における置換基の例が適用できる。
n、mはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、n、mが2以上である場合、繰り返し単位中のR1、R2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。p、qはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、p、qが2以上である場合、繰り返し単位中のR3、R4はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。また、R3はR5とR4はR6と互いに環を形成していてもよい。なお、レターデーション制御効果の観点からは、一般式(1)で表される化合物は対称化合物であること(即ち、一般式(3)において中央に位置するシクロヘキサンの1,4位に結合する基が同一構造を有すること)が好ましい。
以下に一般式(3)で表される化合物の具体例をあげるが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。
Figure 2007191505
Figure 2007191505
Figure 2007191505
Figure 2007191505
Figure 2007191505
また、下記一般式(4)で表される化合物も好ましい。
Figure 2007191505
式中、R1、R2、R3、及びR4はそれぞれ独立に置換基を表し、E1、E2、E3及びE4はそれぞれ独立に酸素原子または硫黄原子を表す。L1及びL2はそれぞれ独立に2価の連結基を表し、n及びmはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、p、qはそれぞれ独立に1〜10の整数を表す。
1及びR2はそれぞれ独立に置換基を表す。置換基として上記置換基Tから選択されるのが好ましい。
3及びR4はそれぞれ独立に置換基を表す。置換基として好ましい例として、はR1、R2で述べたものと同一であるが、中でも、アルキル基、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、スルファモイル基、アルキルおよびアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基が好ましい。また、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基がさらに好ましい。
1及びL2はそれぞれ独立に2価の連結基を表す。L1、L2は同じであってもよく、異なっていてもよい。2価の連結基は、例えばアリーレン基以外の2価の連結基であり、好ましくは、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基およびこれらの2価基を2つ以上組み合わせて得られる基であり、2つ以上の組み合わせにより構成される際、さらに他の2価の連結基で連結されていてもよい。このような2価の連結基としては−NR7−(R7は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基またはアリール基を表す)で表される基、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−SO2NR7−、−NR7SO2−、−CONR7−、−NR7CO−、−COO−、および−OCO−である。ここで、置換基としては前述のR1、R2、R3、R4における置換基の例が適用できる。
n及びmはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、n及びmが2以上である場合、繰り返し単位中のR1及びR2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。p、qはそれぞれ独立に1〜10の整数を表し、p、qが2以上である場合、繰り返し単位中のE3、E4、L1、L2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。なお、レターデーション制御効果の観点からは、一般式(4)で表される化合物は対称化合物または対称に近い化合物であること(即ち、一般式(1)において中央に位置するシクロヘキサンの1,4位に結合する基が同一構造または近似する構造を有する)が好ましい。
以下に一般式(4)で表される化合物に関して具体例をあげて詳細に説明するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。
Figure 2007191505
Figure 2007191505
Figure 2007191505
Figure 2007191505
Figure 2007191505
またこれらレターデーション調整剤は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。またこれらレターデーション調整剤を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
本発明では、セルロースアシレートフィルムの厚さ方向レターデーションRthを、所望の範囲とするために、Rthを低下させるRth低下剤を、前記セルロースアシレート溶液中に添加してもよい。Rth低下剤としては、特開2005−331773号公報の[0060]〜[0070]、あるいは特開2005−301227号公報の[0107]〜[0132]に記載の化合物を用いることが好ましい。
セルロースアシレートフィルムの波長分散を低下させるために、前記セルロースアシレート溶液中に、かかる機能を有する化合物を添加してもよい。例えば、特開2005−301227号公報の[0133]〜[0209]に記載の化合物を用いることが好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムには、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。前記マット剤として利用可能な微粒子としては、特開2005−331773号公報の[0080]〜[0085]に記載の化合物を用いることが好ましい。
次にセルロースアシレート溶液(ドープ)の調製、製膜、重層流延、流延、乾燥については、特開2005−331773号公報の[0097]〜[0106]に記載の方法を用いることが好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、一方向に延伸する延伸工程と、該方向と直交する方向にフィルムを把持しながら収縮させる収縮工程とを経て製造されるのが好ましい。前記延伸工程と前記収縮工程は、個々に実施してもよいし、また同時に実施してもよい。また、上記流延により形成した膜の乾燥中の処理で延伸することができ、特に溶媒が残存する場合は有効である。例えば、フィルムの搬送ローラーの速度を調節して、フィルムの剥ぎ取り速度よりもフィルムの巻き取り速度の方を速くするとフィルムは、搬送方向に延伸される。この後、フィルムの巾をテンターで保持しながら搬送して、テンターの巾を徐々に狭めることでフィルムを延伸方向と直交する方向(幅方向)に収縮させることができる。又はパンタグラフ式あるいはリニアモーター式のテンターによって保持し、搬送方向に延伸しながら、テンターの巾を徐々に狭めることでフィルムを延伸するのと同時に、延伸方向と直交する方向には収縮させることができる。なお、本明細書において、フィルムの「搬送方向」とは、フィルムの連続製造工程において、フィルムを搬送する方向を意味する。最終形態としては、フィルムの搬送方向として認識される。
また、流延により形成した膜を乾燥した後に、延伸機を用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)もできる。
前記延伸工程における一方向への延伸率(元の長さに対する延伸による増加分の比率)は、10%以上であるのが好ましく、10〜45%であるのがより好ましく、15〜35%であるのがさらに好ましい。また、延伸方向と直交する方向の収縮率は、5%以上であるのが好ましく、5〜40%であるのがより好ましく、10〜30%であるのがさらに好ましい。延伸率及び収縮率が前記範囲であると、所望の光学特性及び、フィルムの破断を防ぐことができる点で好ましい。本発明のセルロースアシレートフィルムはソルベントキャスト法による製膜工程及び製膜したフィルムを延伸する工程を逐次、もしくは連続して行うことで製造することが好ましく、延伸工程の後に連続して収縮工程、又は延伸工程と同時に収縮工程を行って、製造するのがより好ましい。
なお、本発明のセルロースアシレートフィルムは、延伸工程のみを経て、収縮工程は経ずに製造してもよい。かかる場合は、フィルムの延伸倍率(元の長さに対する延伸による増加分の比率)は、0.5〜300%であることが好ましく、さらには1〜200%の延伸が好ましく、特には1〜100%の延伸が好ましい。また、延伸倍率は1.2倍以上1.8倍以下であることが好ましい。また、延伸は1段で行ってもよく、多段で行ってもよい。多段で行なう場合は各延伸倍率の積がこの範囲にはいるようにすればよい。
前記延伸工程及び前記収縮工程は、それぞれの工程の開始時点(処理時点)で、フィルムのガラス転移点温度Tgより25〜100℃高い温度で行うのが好ましく、Tgより30〜80℃高い温度で行うのがさらに好ましく、40〜70℃高い温度で行うのがよりさらに好ましい。かかる温度範囲で双方の工程を実施すると、所望の光学特性が容易に得られる点で好ましい。
延伸速度は5%/分〜1000%/分であることが好ましく、さらに10%/分〜500%/分であることが好ましい。延伸はヒートロールあるいは/及び放射熱源(IRヒーター等)、温風により行うことが好ましい。また、温度の均一性を高めるために恒温槽を設けてもよい。ロール延伸で一軸延伸を行う場合、ロール間距離(L)と該位相差板のフィルム幅(W)の比であるL/Wが、2.0〜5.0であることが好ましい。
延伸前に予熱工程を設けることが好ましい。延伸後に熱処理を行ってもよい。熱処理温度はセルロースアセテートフィルムのガラス転移温度より20℃低い値から10℃高い温度で行うことが好ましく、熱処理時間は1秒間〜3分間であることが好ましい。また、加熱方法はゾーン加熱であっても、赤外線ヒータを用いた部分加熱であってもよい。工程の途中又は最後にフィルムの両端をスリットしてもよい。これらのスリット屑は回収し原料として再利用することが好ましい。さらにテンターに関しては、特開平11−077718号公報ではテンターで幅保持しながらウェブを乾燥させる際に、乾燥ガス吹き出し方法、吹き出し角度、風速分布、風速、風量、温度差、風量差、上下吹き出し風量比、高比熱乾燥ガスの使用等を適度にコントロールすることで、溶液流延法による速度を上げたり、ウェブ幅を広げたりする時の平面性等の品質低下防止を確保するものである。
また、特開平11−077822号公報には、ムラ発生を防ぐために、延伸した熱可塑性樹フィルムを延伸工程後、熱緩和工程においてフィルムの幅方向に温度勾配を設けて熱処理する発明が記載されている。
さらに、ムラ発生を防ぐために、特開平4−204503号公報には、フィルムの溶媒含有率を固形分基準で2〜10%にして延伸する発明が記載されている。
また、クリップ噛み込み幅の規定によるカールを抑制するために、特開2002−248680号公報には、テンタークリップ噛み込み幅D≦(33/(log延伸率×log揮発分))で延伸することにより、カールを抑制し、延伸工程後のフィルム搬送を容易にする発明が記載されている。
さらに、高速軟膜搬送と延伸とを両立させるために、特開2002−337224号公報には、テンター搬送を、前半ピン、後半クリップに切り替える発明が記載されている。
また、特開2002−187960号公報には、視野角特性を簡便に改善でき、且つ視野角を改善することを目的として、セルロースエステルドープ液を流延用支持体に流延し、ついで、流延用支持体から剥離したウェブ(フィルム)を、ウェブ中の残留溶媒量が100質量%以下、とくに10〜100質量%の範囲にある間に少なくとも1方向に1.0〜4.0倍延伸することにより得られる光学的に二軸性を有する発明が記載されている。さらに好ましい態様として、ウェブ中の残留溶媒量が100質量%以下、特に10〜100質量%の範囲にある間に、少なくとも1方向に1.0〜4.0倍延伸することが記載されている。また、他の延伸する方法として、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、あるいは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法、これらを組み合わせて用いる方法なども挙げられている。さらに、いわゆるテンター法の場合には、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸を行うことができ、破断等の危険性が減少できるので好ましいことが示されている。
さらに、添加剤ブリードアウトが少なく、かつ層間の剥離現象もなく、しかも滑り性が良好で透明性に優れた位相差フィルムを作製するために、特開2003−014933号公報に記載されている方法を利用してもよい。具体的には、所定のセルロースアシレートと添加剤と有機溶媒とを含むドープAと、添加剤を含まないか、もしく添加剤の含有量がドープAより少ない、所定のセルロースアシレートと添加剤と有機溶媒とを含むドープBを調製し、ドープAがコア層、ドープBが表面層となるように支持体上に共流延する。剥離可能となるまで有機溶媒を蒸発させた後、ウェブを支持体から剥離し、さらに延伸時の樹脂フィルム中の残留溶媒が3〜50質量%の範囲で少なくとも一軸方向に1.1〜3.0倍延伸してもよい。前記一軸方向への延伸工程の後、又は同時に前記収縮工程を行うのが好ましい。
また、さらに、下記の条件の一つ又は二以上を組み合わせて付加すると、より好ましい。
(1) 延伸温度が140℃〜200℃の範囲(好ましくは、且つフィルムのTgに対して25〜100℃高い温度)で延伸する、
(2) フィルム中の残留溶媒量が3質量%〜50質量%の範囲で延伸する、
(3) (1)及び(2)の条件で延伸する、
(4) さらに、所定のセルロースアシレートと微粒子と有機溶媒とを含むドープCを調製し、ドープAがコア層、ドープBが表面層、ドープCがドープBとは反対側の表面層となるように支持体上に共流延して、剥離可能となるまで有機溶媒を蒸発させた後、ウェブを支持体から剥離し、(1)〜(3)のいずれかを満足する条件で延伸する、
(5) ドープA中の添加剤量を所定のセルロースアシレートに対して1〜30質量%、ドープB中の添加剤量を所定のセルロースアシレートに対して0〜5質量%、添加剤を可塑剤、紫外線吸収剤及びレターデーション制御剤(上昇剤又は低下剤)から選ばれる少なくとも一種とする、
(6) ドープA中とドープB中の有機溶媒として、メチレンクロライド又は酢酸メチルが全有機溶媒に対して50質量%以上含有する有機溶媒を利用する。
さらに、特開2003−014933号公報には、延伸する方法として、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を横方向に広げて横方向に延伸するテンターと呼ばれる横延伸機を好ましく用いることができることが記載されている。また縦方向に延伸又は収縮させるには、同時二軸延伸機を用いて搬送方向(縦方向)にクリップやピンの搬送方向の間隔を広げたり又は縮めることで行うことができることも開示されている。また、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかに延伸を行うことができ、破断等の危険性が減少できるので好ましく、また、縦方向に延伸する方法としては、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法も用いることができることがしめされている。なお、これらの延伸方法は複合して用いることもでき、(縦延伸、横延伸、縦延伸)又は(縦延伸、縦延伸)などのように、延伸工程を2段階以上に分けて行ってもよいことが記載されている。本発明のセルロースアシレートフィルムの作製においても、前記公報に記載の方法を利用してもよい。
さらに、テンター乾燥のウェブの発泡を防止し、離脱性を向上させ、発塵を防止するために、特開2003−004374号公報には、乾燥装置において、乾燥器の熱風がウェブ両縁部に当たらないように、乾燥器の幅がウェブの幅よりも短く形成されている方法が記載されていて、本発明のセルロースアシレートフィルムの作製においても、前記公報に記載の方法を利用してもよい。。
また、テンター乾燥のウェブの発泡を防止し、離脱性を向上させ、発塵を防止するために、特開2003−019757号公報には、テンターの保持部に乾燥風が当らないようウェブ両側端部内側に遮風板を設ける方法が記載されていて、本発明のセルロースアシレートフィルムの作製においても、前記公報に記載の方法を利用してもよい。
さらに、搬送、乾燥を安定的に行うために、特開2003−053749号公報には、ピンテンターにより担持されるフィルムの両端部の乾燥後の厚さをXμm、フィルムの製品部の乾燥後の平均厚さをTμmとすると、XとTとの関係が式(1)T≦60のとき、40≦X≦200、式(2)60<T≦120のとき、40+(T−60)×0.2≦X≦300又は式(3)120<Tのとき、52+(T−120)×0.2≦X≦400の関係を満たす発明が記載されていて、本発明のセルロースアシレートフィルムの作製においても、前記公報に記載の方法を利用してもよい。
また、多段式テンターにシワを発生させないために、特開平2−182654号公報には、テンター装置において、多段式テンターの乾燥器内に加熱室と冷却室とを設け、左右のクリップ−チェーンを別々に冷却する方法が記載されていて、本発明のセルロースアシレートフィルムの作製においても、前記公報に記載の方法を利用してもよい。
さらに、ウェブの破断、シワ、搬送不良を防止するために、特開平9−077315号公報には、ピンテンターのピンにおいて、内側のピン密度を大きく、外側のピン密度を小さくする方法が記載されていて、本発明のセルロースアシレートフィルムの作製においても、前記公報に記載の方法を利用してもよい。
また、テンター内においてウェブ自体の発泡やウェブが保持手段に付着するのを防止するために、特開平9−085846号公報には、テンター乾燥装置において、ウェブの両側縁部保持ピンを吹出型冷却器でウェブの発泡温度未満に冷却すると共に、ウェブを喰い込ます直前のピンをダクト型冷却器でのドープのゲル化温度+15°C以下に冷却する方法が記載されていて、本発明のセルロースアシレートフィルムの作製においても、前記公報に記載の方法を利用してもよい。
さらに、ピンテンターハズレを防止し、異物を良化するために、特開2003−103542号公報には、ピンテンターにおいて、差込構造体を冷却し、差込構造体と接触しているウェブの表面温度がウェブのゲル化温度を超えないようにする溶液製膜方法に関する方法が記載されていて、本発明のセルロースアシレートフィルムの作製においても、前記公報に記載の方法を利用してもよい。
また、溶液流延法により速度を上げたり、テンターにてウェブの幅を広げたりする時の平面性等の品質低下を防止するために、特開平11−077718号公報には、テンター内でウェブを乾燥する際には、風速を0.5〜20(40)m/s、横手方向温度分布を10%以下、ウェブ上下風量比を0.2−1とし、乾燥ガス比を30−250J/Kmolとする発明が記載されている。さらに、テンター内での乾燥において、残留溶媒の量に応じて好ましい乾燥条件を開示している。具体的には、ウェブを支持体から剥離した後、ウェブ中の残留溶媒量が4質量%になるまでの間に、吹き出し口からの吹き出す角度がフィルム平面に対して30゜〜150゜の範囲にし、かつ乾燥ガスの吹き出し延長方向に位置するフィルム表面上での風速分布を風速の上限値を基準にした時、上限値と下限値との差を上限値の20%以内にして、乾燥ガスを吹き出し、ウェブを乾燥させること、ウェブ中の残留溶媒量が130質量%以下70質量%以上の時には、吹き出し型乾燥機から吹き出される乾燥ガスのウェブ表面上での風速が0.5m/sec以上20m/sec以下とすることまた残留溶媒量が70質量%未満4質量%以上の時には、乾燥ガスの風速が0.5m/sec以上40m/sec以下で吹き出される乾燥ガス風により乾燥させ、ウェブの幅手方向の乾燥ガスの温度分布がガス温度の上限値を基準にした時、上限値と下限値との差を上限値の10%以内とすること、ウェブ中の残留溶媒量が4質量%以上200質量%以下の時には、搬送されるウェブの上下に位置する吹き出し型乾燥機の吹き出し口から吹き出す乾燥ガスの風量比qが0.2≦q≦1とすることが記載されている。さらに、好ましい態様として、乾燥ガスに少なくとも1種の気体を使用し、その平均比熱が31.0J/K・mol以上、250J/K・mol以下であること、乾燥中の乾燥ガスに含まれる常温で液体の有機化合物の濃度が、50%以下の飽和蒸気圧の乾燥ガスで乾燥すること、等が開示されている。本発明のセルロースアシレートフィルムの作製においても、前記公報に記載の方法を利用してもよい。
また汚染物質の発生によって平面性や塗布が悪化するのを防止するために、特開平11−077719公報号には、TACの製造装置において、テンターのクリップが加熱部分を内蔵している発明が記載されている。さらに好ましい態様として、テンターのクリップがウェブを解放してから、再びウェブを担持するまでの間に、クリップとウェブの接触部分に発生する異物を除去する装置を設けること、噴射する気体又は液体及びブラシを用いて異物を除去すること、クリップあるいはピンとウェブとの接触時の残留量は12質量%以上50質量%以下であること、クリップあるいはピンとのウェブとの接触部の表面温度は60°以上200°以下(より好ましくは80°以上120°以下)であること、等が開示されている。本発明のセルロースアシレートフィルムの作製においても、前記公報に記載の方法を利用してもよい。
平面性を良化し、テンター内での裂けによる品質低下を改良し、生産性を挙げるために、特開平11−090943号公報には、テンタークリップにおいて、テンターの任意の搬送長さLt(m)と、Ltと同じ長さのテンターのクリップがウェブを保持している部分の搬送方向の長さの総和Ltt(m)との比Lr=Ltt/Ltが、1.0≦Lr≦1.99とする発明が記載されている。さらに好ましい態様として、ウェブを保持する部分が、ウェブ幅方向から見て隙間なく配置することが開示されている。本発明のセルロースアシレートフィルムの作製においても、前記公報に記載の方法を利用してもよい。
また、テンターにウェブを導入する際、ウェブのたるみに起因する平面性悪化と導入不安定性を良化させるために、特開平11−090944号公報には、プラスティックフィルムの製造装置において、テンター入口前に、ウェブ幅手方向のたるみ抑制装置を有する発明が記載されている。なお、さらに好ましい態様として、たるみ抑制装置が幅手方向に広がる角度が2〜60゜の方向範囲で回転する回転ローラーであること、ウェブの上部に吸気装置を有すること、ウェブの下から送風出来る送風機を有すること、等も開示されていて、本発明のセルロースアシレートフィルムの作製においても、前記公報に記載の方法を利用してもよい。
品質の劣化と生産性を阻害するたるみを起こさせないようにすることを目的として、特開平11−090945号公報には、TACの製法において、支持体より剥離したウェブを水平に対して角度を持たせてテンターに導入する発明が記載されていて、本発明のセルロースアシレートフィルムの作製においても、前記公報に記載の方法を利用してもよい。
また、安定した物性のフィルムを作るために、特開2000−289903号公報には、剥離され溶媒含有率50〜12wt%の時点で、ウェブの巾方向にテンションを与えつつ搬送する搬送装置において、ウェブの幅検知手段とウェブの保持手段と、2つ以上の可変可能な屈曲点を有しウェブの幅検知で検知の信号からウェブ幅を演算し、屈曲点の位置を変更する発明が記載されていて、本発明のセルロースアシレートフィルムの作製においても、前記公報に記載の方法を利用してもよい。
さらに、クリッピング性を向上し、ウェブの破断を長期間防止し、品質の優れたフィルムを得るために、特開2003−033933号公報には、テンターの入口寄り部分の左右両側において、ウェブの左右両側縁部の上方及び下方のうちの少なくとも下方にウェブ側縁部カール発生防止用ガイド板を配置し、ガイド板のウェブ対向面が、ウェブの搬送方向に配されたウェブ接触用樹脂部とウェブ接触用金属部とによって構成することが記載されている。さらに好ましい態様として、ガイド板のウェブ対向面のウェブ接触用樹脂部がウェブ搬送方向の上流側に、ウェブ接触用金属部が同下流側に配置されること、ガイド板のウェブ接触用樹脂部及びウェブ接触用金属部の間の段差(傾斜を含む)が、500μm以内であること、ガイド板のウェブ接触用樹脂部及びウェブ接触用金属部のウェブに接する幅手方向の距離が、それぞれ2〜150mmであること、ガイド板のウェブ接触用樹脂部及びウェブ接触用金属部のウェブに接するウェブ搬送方向の距離が、それぞれ5〜120mmであること、ガイド板のウェブ接触用樹脂部が、金属製ガイド基板に表面樹脂加工もしくは樹脂塗装により設けられること、ガイド板のウェブ接触用樹脂部が樹脂単体からなっていること、ウェブの左右両側縁部において上方及び下方に配置されたガイド板のウェブ対向面同士の間の距離が、3〜30mmであること、ウェブの左右両側縁部において上下両ガイド板のウェブ対向面同士の間の距離が、ウェブの幅手方向にかつ内方に向かって幅100mm当たり2mm以上の割合で拡大されていること、ウェブの左右両側縁部において上下両ガイド板がそれぞれ10〜300mmの長さを有するものであり、かつ上下両ガイド板がウェブの搬送方向に沿って前後にずれるように配置されていて、上下両ガイド板同士の間のずれの距離が、−200〜+200mmとなっていること、上部ガイド板のウェブ対向面が、樹脂又は金属のみによって構成されていること、ガイド板のウェブ接触用樹脂部がテフロン(登録商標)製であり、ウェブ接触用金属部がステンレス鋼製であること、ガイド板のウェブ対向面又はこれに設けられたウェブ接触用樹脂部及び/又はウェブ接触用金属部の表面粗さが、3μm以下なっていること、等が開示されている。また、ウェブ側縁部カール発生防止用上下ガイド板の設置位置は、支持体の剥離側端部からテンター導入部までの間が好ましく、特にテンター入口寄り部分に設置するのがより好ましいことも記載されている。本発明のセルロースアシレートフィルムの作製においても、前記公報に記載の方法を利用してもよい。
さらに、テンター内で乾燥中発生するウェブの切断やムラを防止するために、特開平11−048271号公報には、剥離後、ウェブの溶媒含有率50〜12wt%の時点で、幅延伸装置で延伸、乾燥し、またウェブの溶媒含有率が10wt%以下の時点で加圧装置によってウェブの両面から0.2〜10KPaの圧力を付与する発明が記載されている。さらに好ましい態様として、溶媒含有率が4質量%以上の時点で張力付与を終了することや圧力をウェブ(フィルム)両面から加える方法としてニップロールを用いて圧力を加える場合は、ニップロールのペアは1から8組程度が好ましく、加圧する場合の温度は100〜200℃が好ましいことも開示されている。本発明のセルロースアシレートフィルムの作製においても、前記公報に記載の方法を利用してもよい。
また、厚さ20−85μmの高品質薄手タックを得るための発明である、特開2002−036266号公報には、好ましい態様として、テンターの前後における、ウェブにその搬送方向に沿って作用する張力の差を、8N/mm2以下とすること、剥離工程の後、ウェブを予熱する予熱工程と、この予熱工程の後、テンターを用いてウェブを延伸する延伸工程と、この延伸工程の後、ウェブをこの延伸工程での延伸量よりも少ない量だけ緩和させる緩和工程とを具備し、予熱工程及び前記延伸工程における温度T1を、(フィルムのガラス転移温度Tg−60)℃以上とし、かつ、緩和工程における温度T2を、(T1−10)℃以下とすること、延伸工程でのウェブの延伸率を、この延伸工程に入る直前のウェブ幅に対する比率で0〜30%に、緩和工程でのウェブの延伸率を、−10〜10%すること、等が開示されている。本発明のセルロースアシレートフィルムの作製においても、前記公報に記載の方法を利用してもよい。
さらに、乾燥膜厚が10〜60μmの薄型化及び軽量化透湿性の小耐久性に優れることを目的とした、特開2002−225054号公報には、剥離後、ウェブの残留溶媒量が10質量%になるまでの間に、ウェブの両端をクリップで把持して、幅保持による乾燥収縮抑制を行い、及び/又は幅手方向に延伸を行い、式S={(Nx+Ny)/2}−Nzで表される面配向度(S)が0.0008〜0.0020のフィルムを形成すること(式中、Nxはフィルムの面内の最も屈折率が大きい方向の屈折率、NyはNxに対して面内で直角な方向の屈折率、Nzはフィルムの膜厚方向の屈折率)、流延から剥離までの時間を30〜90秒とすること、剥離後のウェブを幅手方向及び/又は長手方向に延伸すること、等が開示されている。本発明のセルロースアシレートフィルムの作製においても、前記公報に記載の方法を利用してもよい。
また、特開2002−341144号公報には、光学ムラ抑制のために、レターデーション上昇剤の質量濃度が、フィルム幅方向中央に近づくほど高い光学分布を持つ、延伸工程を有する溶液製膜方法が記載されている。本発明のセルロースアシレートフィルムの作製においても、前記公報に記載の方法を利用してもよい。
さらに、曇りの発生しないフィルムを得るための発明である特開2003−071863号公報には、巾手方向の延伸倍率は0〜100%であることが好ましく、偏光板保護フィルムとして用いる場合は、5〜20%が更に好ましく、8〜15%が最も好ましいことが記載されている。さらに、一方、位相差フィルムとして用いる場合は、10〜40%が更に好ましく、20〜30%が最も好ましく、延伸倍率によってRoをコントロールすることが可能で、延伸倍率が高い方が、でき上がったフィルムの平面性に優れるため好ましいことが開示されている。さらにテンターを行う場合のフィルムの残留溶媒量は、テンター開始時に20〜100質量%であるのが好ましく、かつ、フィルムの残留溶媒量が10質量%以下になるまでテンターをかけながら乾燥を行うことが好ましく、更に好ましくは5質量%以下であることがしめされている。またテンターを行う場合の乾燥温度は、30〜150℃が好ましく、50〜120℃が更に好ましく、70〜100℃が最も好ましく、乾燥温度の低い方が紫外線吸収剤や可塑剤などの蒸散が少なく、工程汚染を低減できるが、一方、乾燥温度の高い方がフィルムの平面性に優れることも開示されている。本発明のセルロースアシレートフィルムの作製においても、前記公報に記載の方法を利用してもよい。
また、高温度、高湿度条件での保存時、縦、横の寸法変動を少なくする発明である、特開2002−248639号公報には、支持体上にセルロースエステル溶液を流延し、連続的に剥離して乾燥させるフィルムの製造方法において、乾燥収縮率が、式…0≦乾燥収縮率(%)≦0.1×剥離する時の残留溶媒量(%)を満たすように乾燥させる発明が記載されている。さらに、好ましい態様として、剥離後のセルロースエステルフィルムの残留溶媒量が40〜100質量%の範囲内にあるとき、テンター搬送でセルロースエステルフィルムの両端部を把持しながら少なくとも残留溶媒量を30質量%以上減少させること、剥離後のセルロースエステルフィルムのテンター搬送入り口における残留溶媒量が40〜100質量%であり、出口における残留溶媒量が4〜20質量%であること、テンター搬送でセルロースエステルフィルムを搬送する張力がテンター搬送の入り口から出口に向けて増加するようにすること、テンター搬送でセルロースエステルフィルムを搬送する張力とセルロースエステルフィルムを幅手方向の張力が略等しいこと、等が開示されている。本発明のセルロースアシレートフィルムの作製においても、前記公報に記載の方法を利用してもよい。
なお、膜厚が薄く、光学的等方性、平面性に優れたフィルムを得るために、特開2000−239403号公報には、剥離時の残留溶媒率Xとテンターに導入する時の残留溶媒率Yの関係を0.3X≦Y≦0.9Xの範囲として製膜を行うことが開示されている。本発明のセルロースアシレートフィルムの作製においても、前記公報に記載の方法を利用してもよい。
特開2002−286933号公報には、流延により製膜するフィルムを延伸する方法として、加熱条件下で延伸する方法と溶媒含有条件下で延伸する方法とが挙げられ、加熱条件下で延伸する場合には、樹脂のガラス転移点近傍以下の温度で延伸することが好ましく、一方、流延製膜されたフィルムを溶媒含浸条件下で延伸する場合には、一度乾燥したフィルムを再度溶媒に接触させて溶媒を含浸させて延伸することが可能であることが開示されている。本発明のセルロースアシレートフィルムの作製においても、前記公報に記載の方法を利用してもよい。
本発明のセルロースアシレートフィルムの膜厚は、使用目的によって異なり、通常5〜500μmの範囲であることが好ましく、さらに40〜200μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは40〜180μmであり、特に好ましくは40〜150μm、とりわけ好ましくは40〜130μmの範囲である。また、光学用として特に液晶表示装置用としては40〜120μmであることが好ましい。
フィルムの膜厚は110〜180μmにすることで、流延製膜時の乾燥負荷が大きくなるものの、光学特性の大きさは膜厚に比例するため、膜厚を大きくすることで所望の光学特性を達成することができる。また、透湿度も膜厚に反比例して減少するため膜厚を大きくすることで透湿度は小さくなり、より水を通しにくくなる。60℃・相対湿度90%における500時間の偏光板耐久性試験などで有利である。
フィルム厚さの調整は、所望の厚さになるように、ドープ中に含まれる固形分濃度、ダイの口金のスリット間隙、ダイからの押し出し圧力、金属支持体速度等を調節すればよい。以上のようにして得られたセルロースアシレートフィルムの幅は0.5〜3mが好ましく、より好ましくは0.6〜2.5m、さらに好ましくは0.8〜2.2mである。長さは1ロールあたり100〜10000mで巻き取るのが好ましく、より好ましくは500〜7000mであり、さらに好ましくは1000〜6000mである。巻き取る際、少なくとも片端にナーリングを付与するのが好ましく、幅は3mm〜50mmが好ましく、より好ましくは5mm〜30mm、高さは0.5〜500μmが好ましく、より好ましくは1〜200μmである。これは片押しであっても両押しであってもよい。
[セルロースアシレートフィルムの光学特性]
本発明のセルロースアシレートフィルムの面内のレターデーション値Re、厚み方向レターデーション値Rthは、それぞれ下記数式(1)〜(3)を満たす。これによって、液晶表示装置、特にIPSモード液晶表示装置の視野角を広くすることができるため好ましい。
(1) 50nm<Re<400nm
(2) −200nm<Rth<50nm
(3) |Nz|<10
(上式において、Reはセルロースアシレートフィルムの面内方向のレターデーション、Rthはセルロースアシレートフィルムの厚み方向のレターデーション、Nzは(Rth/Re)+0.5を表す)。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、下記数式(1)’、(2)’及び前記数式(3)を満たすことがより好ましい。
(1)’:110nm≦Re≦300nm
(2)’:−100nm≦Rth≦20nm
本発明のセルロースアシレートフィルムは、下記数式(1)”、(2)”及び前記数式(3)を満たすことがさらに好ましい。
(1)”:150nm≦Re≦300nm
(2)”:−50nm≦Rth≦5nm
また、Nz値の絶対値は、1以下であることがさらに好ましく、0.7以下であることがよりさらに好ましい。特にIPS型液晶表示装置に用いる場合、本発明のセルロースアシレートフィルムは、Reが200〜330nm、Nzが0.3〜0.7であることが好ましく、より好ましくはReが220〜300nm、Nzが0.4〜0.6、さらに好ましくはReが250〜290nm、Nzが0.4〜0.6である。
一方、液晶表示装置の色ずれを改良するには、Rthを制御することも重要である。かかる観点から、本発明のセルロースアシレートフィルムは、波長450nm、550nm及び650nmのそれぞれにおけるReとNzが、下記式(I)〜(III)を満足しているのが好ましい。
式(I):0.4<(Re/Rth(450)/Re/Rth(550))<0.95かつ1.05<(Re/Rth(650)/Re/Rth(550))<1.9
式(II):0.1<(Re(450)/Re(550))<0.95
式(III):1.03<Re(650)/Re(550)<1.93
前記式(I)の(Re/Rth(450)/Re/Rth(550))は、より好ましくは0.4倍を超え0.8倍以下であり、さらに好ましくは0.5〜0.7倍であり、且つ(Re/Rth(650)/Re/Rth(550))は、より好ましくは1.1〜1.7倍であり、さらに好ましくは1.3〜1.6倍である。また、波長550nmにおけるRthは70〜400nmであることが好ましい。なお、R、G、BそれぞれにおけるRe/Rthは、いずれも0.1〜0.8の範囲であるのが好ましい。
また、該光学フィルム全体の厚み方向のレターデーション(Rth)は、黒表示時における厚さ方向の液晶層のレターデーションをキャンセルさせるための機能を持っているので、各液晶層の態様によって好ましい範囲も異なる。例えば、OCBモードの液晶セル(例えば、厚さd(ミクロン)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dが0.2〜1.5ミクロンである液晶層を有するOCBモードの液晶セル)の光学補償に用いられる場合は、70〜400nmであるのが好ましく、100nm〜400nmであるのがより好ましく、130〜200nmであるのがさらに好ましい。
また、本発明のセルロースアシレートフィルムは、25℃・相対湿度10%におけるRe値と25℃・相対湿度80%におけるRe値との差ΔRe=Re(10%RH)−Re(80%RH)が、0〜50nmであり、25℃・相対湿度10%におけるRth値と25℃・相対湿度80%におけるRth値との差ΔRth=Rth(10%RH)−Rth(80%RH)が、0〜30nmであるのが、液晶表示装置の経時による色味変化を少なくする上で好ましい。
Reの幅手方向での膜厚分布は、フィルム端部より5cm内側の位置から幅手方向に順次等間隔に、2cm(幅手方向)×3cm(幅手直交方向)のサンプルを10個採取して厚みを測定することにより評価することができる。各試験片(2cm×3cm)の膜厚は、フィルムの面内において縦、横方向それぞれ3個所ずつ合計9点測定することにより求めることができる。
幅手方向の膜厚の最大値、最小値、平均値をそれぞれRmax、Rmin、Raveとしたときの膜厚分布RをR(%)=(Rmax−Rmin)/Rave×100と定義したとき、Rは0〜8%に調整されていることが好ましく、0〜7.8%に調整されていることがより好ましく、0〜7.6%に調整されていることがさらに好ましい。Re、Rthは膜厚に比例した値となるため、膜厚の幅手方向で膜厚の分布は小さいほどRe(590)、Rth(590)のばらつきが小さくなるため好ましい。
Re(590)、Rth(590)の分布は上記膜厚バラツキに起因して、或いは、延伸ムラ、乾燥ムラなどに起因して発生するが、このReの分布(バラツキ)は5%以下に、Rthの分布は10%以下に調整されていることが好ましい。より好ましくはReの分布は4.8%以下に、Rthの分布は9.8%以下であり、さらに好ましくはReの分布が4.6%以下、Rthの分布は9.6%以下であることが好ましい。
以上の膜厚分布R、Re分布、Rth分布は、液晶表示装置で当該フィルムを用いて表示させたときに表示ムラが低減されるため好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムを、IPSモードの液晶表示装置の光学補償フィルムに用いる場合は、波長630nmにおける面内のレターデーションRe(630)が10nm以下(0≦Re(630)≦10)でかつ、膜厚方向のレターデーションRth(630)の絶対値が25nm以下(|Rth|≦25nm)であることが好ましい。さらに好ましくは、0≦Re(630)≦5かつ|Rth|≦20nmであり、0≦Re(630)≦2かつ|Rth|≦15nmであることがよりさらに好ましい。
また、本発明のセルロースアシレートフィルムが、波長200〜400nmの紫外領域に吸収を持つとともに、フィルムのRe(λ)及びRth(λ)の波長分散を制御できる化合物を含有していると、波長400nmと700nmでのRe、Rthの差、|Re(400)−Re(700)|及び|Rth(400)−Rth(700)|を小さくできるので、好ましい。
本発明において、波長分散が小さいセルロースアシレートフィルムとしては、|Re(400)−Re(700)|≦10かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35であることがのぞましい。さらにのぞましくは、|Re(400)−Re(700)|≦5かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦25であり、|Re(400)−Re(700)|≦3かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦15であることが特にのぞましい。
本発明において光学特性の測定は以下の方法で行なった。
Re(λ)はKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定した。また、Rth(λ)は前記Re(λ)、面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、及び面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基に、平均屈折率の仮定値1.48及び膜厚を入力し算出した。測定波長は、特に断らない限り、590nmである。
また、本発明のセルロースアシレートフィルムは、90℃、500時間経時させる前後での色差ΔE*abは、0.8以下であることが好ましく、0.7以下であることが好ましく、0.5以下であることがより好ましい。また、140℃、24時間経時させる前後での色差は、1.5以下であることが好ましく、1.0以下であることがより好ましく、0.5以下であることがさらに好ましい。90℃500時間や140℃24時間経時などの環境強制条件下で、フィルムが着色すると位相差膜としての光学補償能の低下が起こり好ましくなく、また外観上でも好ましくない。色差の測定は、UV3100(島津製作所製)を用いた。測定の仕方は、フィルムを25℃・相対湿度60%に2時間以上調湿した後にサーモ経時前のフィルムのカラー測定を行ない初期値(L0*、a0*、b0*)を求めた。その後、フィルム単体で空気恒温槽に所定時間放置した。所定時間の経過後、フィルムを恒温槽から取り出し、25℃・相対湿度60%に2時間調湿した後に、カラー測定を行い、サーモ経時後の値(L1*、a1*、b1*)を求めた。これらから、色差ΔE*ab=((L0*−L1*2+(a0*−a1*2+(b0*−b1*21/2を求めた。
また、本発明のセルロースアシレートフィルムは、25℃・相対湿度80%における平衡含水率が5.0%以下であるのが好ましく、4.0%以下であるのがさらに好ましく、3.2%以下であるのがより好ましく、液晶表示装置の経時による色味変化を少なくする上で好ましい。
含水率の測定法は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置(CA−03、VA−05、共に三菱化学(株))にてカールフィッシャー法で測定する。水分量(g)を試料質量(g)で除して算出する。
また、本発明のセルロースアシレートフィルムは、60℃・相対湿度95%、24時間の透湿度(膜厚80μm換算)が、400g/m2・24時間〜1800g/m2・24時間であるのが、液晶表示装置の経時による色味変化を少なくする上で好ましい。
セルロースアシレートフィルムの膜厚が厚ければ透湿度は小さくなり、膜厚が薄ければ透湿度は大きくなる。測定された透湿度は、基準膜厚を80μmとして換算される。透湿度の換算値は、「80μm換算の透湿度=実測の透湿度×実測の膜厚μm/80μm」により計算される。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができる。
ガラス転移温度の測定は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料(未延伸)5mm×30mmを、25℃・相対湿度60%で2時間以上調湿した後に動的粘弾性測定装置(バイブロン:DVA-225(アイティー計測制御株式会社製))で、つかみ間距離20mm、昇温速度2℃/分、測定温度範囲30℃〜200℃、周波数1Hzで測定し、縦軸に対数軸で貯蔵弾性率、横軸に線形軸で温度(℃)をとった時に、貯蔵弾性率が固体領域からガラス転移領域へ移行する際に見受けられる貯蔵弾性率の急激な減少を固体領域で直線1を引き、ガラス転移領域で直線2を引いたときの直線1と直線2の交点を、昇温時に貯蔵弾性率が急激に減少しフィルムが軟化し始める温度であり、ガラス転移領域に移行し始める温度であるため、ガラス転移温度Tg(動的粘弾性)とする。
弾性率の測定は、本発明の乾膜のセルロースアシレートフィルム試料10mm×150mmを、25℃・相対湿度60%で2時間以上調湿した後、引張り試験機(ストログラフ−R2(東洋精機製))で、チャック間距離100mm、温度25℃、延伸速度10mm/分で行なった。
また、本発明のセルロースアシレートフィルムは、ヘイズが0.01〜2%であるのが好ましい。ここで、ヘイズは、以下のようにして測定される。
本発明のセルロースアシレートフィルム試料40mm×80mmを、25℃・相対湿度60%でヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−6714に従って測定する。
また、本発明のセルロースアシレートフィルムは、80℃・相対湿度90%の条件下に48時間静置した場合の質量変化が、0〜5%であるのが好ましい。
また、本発明のセルロースアシレートフィルムは、60℃・相対湿度95%の条件下に24時間静置した場合の寸度変化及び90℃・相対湿度5%の条件下に24時間静置した場合の寸度変化が、いずれも0〜5%であるのが好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムの光弾性係数は、50×10-13cm2/dyne以下であるのが液晶表示装置の経時による色味変化を少なくするうえで好ましい。
具体的な測定方法としては、セルロースアシレートフィルム試料10mm×100mmの長軸方向に対して引っ張り応力をかけ、その際のレターデーションをエリプソメーター(M150、日本分光(株))で測定し、応力に対するレターデーションの変化量から光弾性係数を算出する。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、場合により表面処理を行うことによって、セルロースアシレートフィルムと各機能層(例えば、下塗層及びバック層)との接着の向上を達成することができる。表面処理としては、例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸又はアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、さらにまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号2001−1745号、2001年3月15日発行、発明協会)30〜32頁に詳細に記載されている。なお、近年注目されている大気圧でのプラズマ処理は、例えば10〜1000KeV下で20〜500kGyの照射エネルギーが用いられ、より好ましくは30〜500KeV下で20〜300kGyの照射エネルギーが用いられる。これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアシレートフィルムの表面処理としては極めて有効である。
アルカリ鹸化処理は、セルロースアシレートフィルムを鹸化液の槽に直接浸漬する方法又は鹸化液をセルロースアシレートフィルム塗布する方法で実施することが好ましい。塗布方法としては、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法及びE型塗布法を挙げることができる。アルカリ鹸化処理塗布液の溶媒は、鹸化液をセルロースアシレートフィルムに対して塗布するために、濡れ性がよく、また鹸化液溶媒によってセルロースアシレートフィルム表面に凹凸を形成させずに、面状を良好なまま保つ溶媒を選択することが好ましい。具体的には、アルコール系溶媒が好ましく、イソプロピルアルコールが特に好ましい。また、界面活性剤の水溶液を溶媒として使用することもできる。アルカリ鹸化塗布液のアルカリは、上記溶媒に溶解するアルカリが好ましく、KOH、NaOHがさらに好ましい。鹸化塗布液のpHは10以上が好ましく、12以上がさらに好ましい。アルカリ鹸化時の反応条件は、室温で1秒〜5分が好ましく、5秒〜5分がさらに好ましく、20秒〜3分が特に好ましい。アルカリ鹸化反応後、鹸化液塗布面を水洗あるいは酸で洗浄したあと水洗することが好ましい。
[偏光板]
次に、本発明の偏光板について説明する。
偏光板は、通常、偏光子及びその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる。そして、本発明では、少なくとも一方の保護膜として、本発明のセルロースアシレートフィルムを用いる。他方の保護膜は、本発明のセルロースアシレートフィルムを用いても、通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよい。偏光子には、ヨウ素系偏光子、二色性染料を用いる染料系偏光子やポリエン系偏光子がある。ヨウ素系偏光子及び染料系偏光子は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光板保護膜として用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。例えば、得られたセルロースアシレートフィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全鹸化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号、特開平6−118232号各公報に記載されているような易接着加工を施してもよい。保護膜処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護膜で構成されており、さらに該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成してもよい。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
本発明の偏光板の第1の態様は前記セルロースアシレートフィルムの遅相軸方向と、前記偏光膜の吸収軸方向とが、実質的に直交である偏光板である。また、本発明の偏光板の第2の態様は、前記セルロースアシレートフィルムの遅相軸方向と、前記偏光膜の吸収軸方向とが、実質的に平行である偏光板である。
なお、偏光板クロスニコル下で作製した偏光板は、本発明のセルロースアシレートフィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸(透過軸と直交する軸)との直交又は平行精度が1°より大きいと、偏光板クロスニコル下での偏光度性能が低下して光抜けが生じ、液晶セルと組み合わせた場合に、十分な黒レベルやコントラストが得られない為、本発明のセルロースアシレートフィルムの主屈折率nxの方向と偏光板の透過軸の方向とは、そのずれが1°以内、好ましくは0.5°以内であることが好ましい。
本発明においては、偏光板の単板透過率、平行透過率、直交透過率はUV3100PC(島津製作所社製)を用いて測定する。測定では、25℃・相対湿度60%条件下、380nm〜780nmの範囲で測定し、単板、平行、直交透過率ともに、10回測定の平均値を用いた。偏光板耐久性試験は(1)偏光板のみと(2)偏光板をガラスに粘着剤を介して貼り付けた、2種類の形態で次のように行った。偏光板のみの測定は、2つの偏光子の間に光学補償膜が挟まれるように組み合わせて直交、同じものを2つ用意し測定した。ガラス貼り付け状態のものはガラスの上に偏光板を光学補償膜がガラス側にくるように貼り付けたサンプル(約5cm×5cm)を2つ作製する。単板透過率測定ではこのサンプルのフィルムの側を光源に向けてセットして測定した。2つのサンプルをそれぞれ測定し、その平均値を単板の透過率とした。偏光性能の好ましい範囲としては単板透過率、平行透過率、直交透過率の順でそれぞれ、40.0≦TT≦45.0、30.0≦PT≦40.0、CT≦2.0であり、より好ましい範囲としては40.2≦TT≦44.8、32.2≦PT≦39.5、CT≦1.6であり、さらに好ましい範囲としては41.0≦TT≦44.6、34≦PT≦39.1、CT≦1.3である。
これらの透過率から偏光度Pは計算され偏光度Pが大きいほど、クロス配置したときの漏れ光がすくなくなり偏光板の性能が高いことを示している。偏光度Pは95.0%以上であることが好ましく、より好ましくは96.0%以上、さらに好ましくは97.0%以上である。
本発明の偏光板は、波長λにおける直交透過率をT(λ)としたときに、T(380)、T(410)、T(700)が下記式(e)〜(g)の少なくとも1つ以上を満たすことが好ましい。
(e)T(380)≦2.0
(f)T(410)≦1.0
(g)T(700)≦0.5
より好ましくはT(380)≦1.95、T(410)≦0.9、T(700)≦0.49であり、さらに好ましくはT(380)≦1.90、T(410)≦0.8、T(700)≦0.48である。
本発明の偏光板は、60℃・相対湿度95%の条件下に500時間静置した場合の直交単板透過率の変化量ΔCT、偏光度変化量ΔPが下記式(j)、(k)の少なくとも1つ以上を満たすことが好ましい。
(j)−6.0≦ΔCT≦6.0
(k)−10.0≦ΔP≦0.0
(ただし、変化量とは試験後測定値から試験前測定値を差し引いた値を示す)
より好ましくは−5.8≦ΔCT≦5.8、−9.5≦ΔP≦0.0、さらに好ましくは、−5.6≦ΔCT≦5.6、−9.0≦ΔP≦0.0である。
本発明の偏光板では、前記セルロースアシレートフィルムと、前記偏光膜との間には実質的に等方的な接着剤層及び/又は実質的に等方的な保護フィルムのみが含まれるのが好ましい。実質的に等方的な透明保護フィルム(偏光膜の保護膜)としては、具体的には、面内のレターデーションが0〜10nm、厚さ方向のレターデーションが−20〜20nmであるフィルムである。セルロースアシレート又は環状ポリオレフィンを含むフィルムが好ましい。透明保護フィルムに使用可能なセルロースアシレート又は環状ポリオレフィンとしては、前記透明フィルムに使用可能なそれぞれの例と同様である。また、等方的な接着剤層を形成し得る接着剤としては、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリエステル系ウレタン及びイソシアネート系架橋剤からなる接着剤、等が挙げられる。
本発明の偏光板は、60℃・相対湿度90%の条件下に500時間静置した場合の直交単板透過率の変化量ΔCT、偏光度変化量ΔPが下記式(h)、(i)の少なくとも1つ以上を満たすことが好ましい。
(h)−3.0≦ΔCT≦3.0
(i)−5.0≦ΔP≦0.0
本発明の偏光板は、80℃の条件下に500時間静置した場合の直交単板透過率の変化量ΔCT、偏光度変化量ΔPが下記式(l)、(m)の少なくとも1つ以上を満たすことが好ましい。
(l)−3.0≦ΔCT≦3.0
(m)−2.0≦ΔP≦0.0
また偏光板耐久性試験ではその変化量はより小さいほうが好ましい。
また、本発明の偏光板は、偏光板の他方の側の保護膜の表面にハードコート層、防眩層、反射防止層の少なくとも一層を有していてもよい。すなわち、偏光板の液晶表示装置への使用時において液晶セルと反対側に配置される保護膜(例えば、TACフィルム)には反射防止層などの機能性膜を設けることが好ましく、かかる機能性膜としてハードコート層、防眩層、反射防止層の少なくとも一層を設けるのが好ましい。なお、各層はそれぞれ別個の層として設ける必要はなく、例えば反射防止層に防眩層としての機能を持たせることにより反射防止層を反射防止層及び防眩層として機能する層としてもよい。
本発明の偏光板は、保護膜上に反射防止層、帯電防止層を有しているのが好ましい。特開2005−331773号公報の[0209]〜[0243]に記載の方法を用いることが好ましい。
次に、本発明の液晶表示装置について説明する。
[液晶表示装置]
(一般的な液晶表示装置の構成)
本発明のセルロースアシレートフィルムを光学補償フィルムとして用いる場合は、偏光素子の透過軸と、セルロースアシレートフィルムからなる光学補償フィルムの遅相軸とをどのような角度で配置しても構わない。液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、及び該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償フィルムを配置した構成を有している。
液晶セルの液晶層は、通常は、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、さらにガスバリアー層、ハードコート層あるいは(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、一般に50μm〜2mmの厚さを有する。
(液晶表示装置の種類)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、及びHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明のセルロースアシレートフィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
(IPS型液晶表示装置及びECB型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、IPSモード及びECBモードの液晶セルを有するIPS型液晶表示装置及びECB型液晶表示装置の光学補償シートの支持体、又は偏光板の保護膜としても特に有利に用いられる。これらのモードは黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、電圧無印加状態で液晶分子を基板面に対して平行配向させて、黒表示する。これらの態様において本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板は視野角拡大、コントラストの良化に寄与する。
特にIPS型液晶表示装置用には本発明のフィルムの光学特性が、Reが200〜330nm、Nzが0.3から0.7、好ましく、より好ましくはReが220〜300nm、Nzが0.4から0.6、さらに好ましくはReが250〜290nm、Nzが0.4から0.6である偏光板を片側に使用し、対向する偏光板保護膜には、Reが3nm以下、Rth値の絶対値|Rth|は、10nm以下、より好ましくはReが1nmが以下、Rthが5nm以下のセルロースアシレートを用いることが好ましい。
本発明のセルロースアシレートを有する偏光板を備えた液晶表示装置には、以下の2つの態様がある。
前記第1の態様の偏光板を、一対の基板と、該一対の基板に挟持された液晶分子が黒表示時に基板に対して実質的に平行に配向する液晶層とを有する液晶セル(例えば、IPSモードの液晶セル)を有する液晶表示装置に用いる場合は、前記一対の基板の一方の基板の外側に該基板側から、本発明のセルロースアシレートフィルム、及び偏光膜がこの順となり、且つセルロースアシレートフィルムの遅相軸と黒表示時の液晶分子の長軸方向とが実質的に平行になるように前記偏光板を配置すし、さらに他方の基板の外側に第2の偏光膜を配置する。この場合、双方の偏光膜の吸収軸を互いに直交させて配置する。
また、前記第2の態様の偏光板を、一対の基板と、該一対の基板に挟持された液晶分子が黒表示時に基板に対して実質的に平行に配向する液晶層とを有する液晶セル(例えば、IPSモードの液晶セル)を有する液晶表示装置に用いる場合は、前記一対の基板の一方の基板の外側に該基板側から、本発明のセルロースアシレートフィルム、及び偏光膜がこの順となり、且つセルロースアシレートフィルムの遅相軸と黒表示時の液晶分子の長軸方向とが実質的に直交になるように前記偏光板を配置し、さらに他方の基板の外側に第2の偏光膜を配置する。この場合も、双方の偏光膜の吸収軸を互いに直交させて配置する。
前記いずれの態様においても、前記第2の偏光膜と前記基板との間には実質的に等方的な接着剤層、及び/又は実質的に等方的な透明保護フィルムのみが含まれているのが好ましい。実質的に等方的な透明保護フィルムとは、具体的には、面内のレターデーションが0〜10nm、厚さ方向のレターデーションが−20〜20nmのフィルムをいう。さらに、下記式(I)及び(II)を満足しているのが好ましい。
(I) 0≦Re(630)≦10、かつ|Rth(630)|≦25、
(II) |Re(400)−Re(700)|≦10、かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35
(式中、Re(λ)は波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である)
前記透明保護フィルムとしては、上記光学特性を有するセルロースアシレート又は環状ポリオレフィンを含むフィルムが好ましい。前記透明保護フィルムに使用可能なセルロースアシレート又は環状ポリオレフィンとしては、前述の例と同様である。また、等方的な接着剤層を形成し得る接着剤としては、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリエステル系ウレタン及びイソシアネート系架橋剤からなる接着剤、等が挙げられる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1:セルロースアシレートフィルム1の作製]
(セルロースアシレート)
セルロース100質量部に触媒として硫酸7.8質量部を添加し、さらにアシル置換基の原料となるカルボン酸を添加して40℃でアシル化反応を行った。この時、カルボン酸の種類と量を調整することによって、表1に記載されるように芳香族アシル基の種類と置換度を調整した。アシル化後に40℃で熟成を行った。得られた混合物中のセルロースアシレートの低分子量成分を、アセトンで洗浄することによって除去した。
(ドープの調製)
<1−1> セルロースアシレート溶液の調製
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、さらに90℃で約10分間加熱した後、平均孔径34μmのろ紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルタでろ過してセルロースアシレート溶液を調製した。
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セルロースアシレート溶液
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表1に示すセルロースアシレート 100.0質量部
メチレンクロライド 403.0質量部
メタノール 60.2質量部
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<1−2> マット剤分散液の調製
上記方法で調製したセルロースアシレート溶液を含む下記組成物を分散機に投入し、マット剤分散液を調製した。
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マット剤分散液
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平均粒子サイズ16nmのシリカ粒子
(aerosil R972 日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
メチレンクロライド 72.4質量部
メタノール 10.8質量部
セルロースアシレート溶液 10.3質量部
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<1−3> レターデーション上昇剤溶液の調製
上記方法で調製したセルロースアシレート溶液を含む下記組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して溶解し、レターデーション上昇剤溶液を調製した。
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レターデーション上昇剤溶液
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レターデーション上昇剤(一般式(3)の例示化合物(14)) 5.0質量部
メチレンクロライド 58.3質量部
メタノール 8.7質量部
セルロースアシレート溶液 12.8質量部
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上記の溶液を、セルロースアシレートを100質量部とした時に、マット剤が0.15質量部、レターデーション上昇剤が表1に示す割合になるように混合し、混合溶剤、ジクロロメタン/メタノール(87/13質量部)に綿の質量濃度が19質量%となるように攪拌しながら投入して加熱攪拌し溶解し製膜用ドープを調製した。
(流延)
上述のドープをバンド流延機を用いて20m/minの速度(製膜速度)で流延した。残留溶剤量(ウエット比)が25〜35質量%でバンドから剥ぎ取ったフィルムを、テンターゾーンの給気温度185℃(排気温度は90℃〜125℃の範囲)で、フィルムの搬送方向に所定の延伸倍率(表1参照)で延伸するとともに、該方向と直交する方向に、テンターでフィルムを把持しながら所定の収縮率(表1参照)で収縮して、面内の遅相軸が搬送方向に対して表1に記載の方向にあるセルロースアシレートフィルム1(厚さ92μm、幅1.3m、長さ2600m)を製造した。
[実施例2〜6ならびに比較例1及び2]
芳香族アシル基の種類、置換度、レターデーション上昇剤の種類及び添加量、延伸倍率、収縮率、延伸処理時の給気温度を表1に記載されるように変更して、実施例1と同様の手順で本発明のセルロースアシレートフィルム2〜6、比較例のセルロースアシレートフィルムC1及びC2を作製した。
実施例1〜6、比較例1及び2で得られた各セルロースアシレートフィルムについて、種々の光学特性を測定した結果を表2にまとめて示した。ReとRthの測定は、上記のようにKOBRA 21ADHを用いて行った。
Figure 2007191505
Figure 2007191505
[実施例7:液晶表示装置101の作製]
(偏光板の作製)
セルロースアシレートフィルム1を60℃に調温した1.5mol/LのNaOH水溶液(けん化液)に2分間浸漬した後、0.05mol/Lの硫酸水溶液に30秒間浸漬し、さらに水洗浴を通して十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
特開2001−141926号公報の実施例1に従い、2対のニップロール間に周速差を与え、長手方向に延伸して作製した厚み20μmの偏光膜に対し、一方の面にフジタック(TD−80UF)を、他方にけん化した本発明のセルロースアシレートフィルム1をポリビニルアルコール((株)クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として貼り合わせ、偏光子の吸収軸とセルロースアシレートフィルム1の面内の遅相軸が直交するように偏光板101を作製した。
(低Reセルロースアセテートフィルムの作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解した。シリカ粒子はあらかじめ溶媒に分散した後に投入した。
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セルロースアシレート溶液A
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平均酢化度2.93のセルロースアセテート 100.0 質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 517.6 質量部
メタノール(第2溶媒) 77.3 質量部
平均粒子サイズ16nmのシリカ粒子 0.13質量部
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)
光学異方性を低下する化合物(下記構造式) 11.7 質量部
波長分散調整剤(UV−102) 1.2 質量部
クエン酸エステル 0.01質量部
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上記セルロースアセテート溶液Aをバンド流延機を用いて流延し、残留溶剤量約60%でフィルムをバンドから剥離しテンターにより搬送した。
乾燥ゾーンの平均温度は135℃とした。得られたセルロースアセテートフィルムL1はRe=0.3nm、Rth=1.0nmであった。
(対向偏光板の作製)
このようにして作製したフィルムとTD−80UFを用いて、偏光板101の作製方法と同様にして偏光板L101を作製した。
Figure 2007191505
偏光板101及び偏光板L101を用いて、以下で作製したIPSモードの液晶表示装置のパネルに実装して評価を行った。
(IPSモード液晶セルの作製)
一枚のガラス基板上に、隣接する電極間の距離が20μmとなるように電極を配設し、その上にポリイミド膜を配向膜として設け、ラビング処理を行なった。別に用意した一枚のガラス基板の一方の表面にポリイミド膜を設け、ラビング処理を行なって配向膜とした。二枚のガラス基板を、配向膜同士を対向させて、基板の間隔(ギャップ;d)を3.9μmとし、二枚のガラス基板のラビング方向が平行となるようにして重ねて貼り合わせ、次いで屈折率異方性(Δn)が0.0769及び誘電率異方性(Δε)が正の4.5であるネマチック液晶組成物を封入した。液晶層のd・Δnの値は300nmであった。
この液晶セルの光源側に上記作製した偏光板101を液晶セルの遅相軸と偏光板101の吸収軸が直交するようにまた、セルロースアシレート1が液晶セル側となるように粘着剤により貼り付け、液晶セルの反対側に対向の偏光板101と吸収軸が直交するように偏光板L101のセルロースアセテートフィルムL1側を液晶セル側にし、粘着剤により貼り付けIPS型液晶表示装置101を作製した。
[実施例8〜12ならびに比較例3及び4:液晶表示装置102〜106、C101及びC102の作製]
実施例2〜6ならびに比較例1及び2で作製したセルロースアシレートフィルム2〜6、C1及びC2を用いて、実施例101と同様に偏光板加工を行い、IPS液晶表示装置102〜106、C101及びC102を作製した。
(位相差膜の評価及び作製した液晶表示装置の漏れ光の測定)
作製した液晶表示装置の透過率の視野角依存性を測定した。抑角は正面から斜め方向へ10°毎に80°まで、方位角は水平右方向(0°)を基準として10°毎に360°まで測定した。黒表示時の輝度は正面方向から抑角が増すにつれ、漏れ光透過率も上昇し、抑角70°近傍で最大値をとることがわかった。また黒表示透過率が増すことで、コントラストが悪化することもわかった。そこで、正面の黒表示透過率と抑角60°の漏れ光透過率の最大値で、視野角特性を評価することにした。結果を表3に示した。
表示特性の評価
◎ 視野角特性差が極めてわずかであり極めて良好
○ 視野角特性差がわずかであり良好
△ 視野角特性差がほとんどない
× 視野角特性差が大きい
Figure 2007191505
[実施例13〜20]
実施例1で作製したセルロースアシレートフィルム1を用いて、フィルムの遅相軸、偏光板の吸収軸、液晶層の遅相軸を表4のように変更した液晶表示装置(実施例13〜20)を作製した。どの場合でも視野角特性差が極めてわずかであり極めて良好な結果を示すことが分かった。
Figure 2007191505
本発明のセルロースアシレートフィルムは、面内のレターデーション(Re)の発現性に優れ、且つ膜厚方向のレターデーション(Rth)が小さい。また、本発明のセルロースアシレートフィルムは、優れた光学補償能を有しており、生産性が高いという特徴も有する。特に、本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光子の保護膜に用いた偏光板は、視野角特性変化の少ない液晶表示装置を与えうる点で有用である。したがって、本発明は産業上の利用可能性が高い。

Claims (25)

  1. セルロースを構成するグルコース単位の水酸基の一部又は全部が芳香族アシル基で置換されたセルロースアシレート誘導体を含有するとともに、下記式(1)〜(3)を満足することを特徴とするセルロースアシレートフィルム:
    (1) 50nm<Re<400nm
    (2) −200nm<Rth<50nm
    (3) |Nz|<10
    (上式において、Reはセルロースアシレートフィルムの面内方向のレターデーション、Rthはセルロースアシレートフィルムの厚み方向のレターデーション、Nzは(Rth/Re)+0.5を表す)。
  2. 前記セルロースアシレートの置換度が2.85〜3.00である請求項1に記載のセルロースアシレートフィルム。
  3. 棒状化合物及び円盤状化合物から選ばれる少なくとも一種を含有する請求項1又は2に記載のセルロースアシレートフィルム。
  4. 幅が0.5〜3mである請求項1〜3のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
  5. 膜厚が40〜200μmである請求項1〜4のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
  6. 面内の遅相軸が、フィルム搬送方向と略垂直方向にある請求項1〜5のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
  7. 面内の遅相軸が、フィルム搬送方向と略平行方向にある請求項1〜5のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
  8. 波長450nm、550nm及び650nmのそれぞれにおけるReとNzが、下記式(I)〜(III)を満たす請求項1〜7のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
    式(I):0.4<(Re/Rth(450)/Re/Rth(550))<0.95かつ1.05<(Re/Rth(650)/Re/Rth(550))<1.9
    式(II):0.1<(Re(450)/Re(550))<0.95
    式(III):1.03<Re(650)/Re(550)<1.93
  9. レターデーション上昇剤を含有する請求項1〜8のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
  10. 置換度が2.85〜3.00のセルロースアシレートと、棒状化合物及び円盤状化合物から選択される少なくとも一種とを含有する溶液を表面に流延後、形成されたフィルムを該表面から剥離して延伸することを含む請求項1〜9のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
  11. 製膜速度が5〜300m/分である請求項10に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
  12. 一方向に延伸する延伸工程と、該方向と直交する方向にフィルムを把持しながら、収縮させる収縮工程とを含む請求項10又は11に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
  13. 一方向に延伸する延伸工程と、該方向と直交する方向に収縮させる収縮工程の少なくとも一部が、同時に行われる請求項12に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
  14. 一方向への延伸率が10%以上、該方向と直交する方向の収縮率が5%以上である請求項12又は13に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
  15. 延伸工程及び収縮工程を、それぞれの工程の開始時点で、フィルムのガラス転移点温度より25〜100℃高い温度で行う請求項10〜14のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
  16. 偏光膜及びその両面に設けられた二枚のフィルムからなる偏光板であって、少なくともその一方のフィルムが請求項1〜9のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムである偏光板。
  17. 前記セルロースアシレートフィルムと、前記偏光膜との間には実質的に等方的な接着剤層及び/又は実質的に等方的な保護フィルムのみが含まれる請求項16に記載の偏光板。
  18. 前記セルロースアシレートフィルムの遅相軸方向と、前記偏光膜の吸収軸方向とが、実質的に直交である請求項16又は17に記載の偏光板。
  19. 前記セルロースアシレートフィルムの遅相軸方向と、前記偏光膜の吸収軸方向とが、実質的に平行である請求項16又は17に記載の偏光板。
  20. 請求項16〜19のいずれか1項に記載の偏光板を有する液晶表示装置。
  21. IPS方式の液晶表示モードである請求項20に記載の液晶表示装置。
  22. 一対の基板と、該一対の基板に挟持される液晶分子が黒表示時に該一対の基板に対して実質的に平行に配向する液晶層とを有する液晶セル、及び請求項18に記載の偏光板を含み、該一対の基板の一方の基板の外側に該基板側から、セルロースアシレートフィルム、及び偏光膜がこの順となり、且つセルロースアシレートフィルムの遅相軸と黒表示時の液晶分子の長軸方向とが実質的に平行になるように前記偏光板が配置され、及び他方の基板の外側にさらに第2の偏光膜を有し、双方の偏光膜の吸収軸が互いに直交している液晶表示装置。
  23. 一対の基板と、該一対の基板に挟持される液晶分子が黒表示時に該一対の基板に対して実質的に平行に配向する液晶層とを有する液晶セル、及び請求項19に記載の偏光板を含み、該一対の基板の一方の基板の外側に該基板側からセルロースアシレートフィルム、及び偏光膜がこの順となり、且つセルロースアシレートフィルムの遅相軸と黒表示時の液晶分子の長軸方向とが実質的に直交になるように前記偏光板が配置され、及び他方の基板の外側にさらに第2の偏光膜を有し、双方の偏光膜の吸収軸が互いに直交している液晶表示装置。
  24. 前記第2の偏光膜と前記基板との間には実質的に等方的な接着剤層及び/又は実質的に等方的な透明保護フィルムのみが含まれる請求項23又は24に記載の液晶表示装置。
  25. 前記透明保護フィルムが下記式(I)及び(II)を満たすセルロースアセテートフィルムである請求項24に記載の液晶表示装置:
    (I):0≦Re(630)≦10、かつ|Rth(630)|≦25
    (II):|Re(400)−Re(700)|≦10、かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35
    [式中、Re(λ)は波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である]。
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