JP4537873B2 - セルロースアシレート組成物、それを用いたセルロースアシレートフィルム、偏光板保護膜、液晶表示装置、ハロゲン化銀写真感光材料、およびセルロースアシレートフィルム用改質剤 - Google Patents
セルロースアシレート組成物、それを用いたセルロースアシレートフィルム、偏光板保護膜、液晶表示装置、ハロゲン化銀写真感光材料、およびセルロースアシレートフィルム用改質剤 Download PDFInfo
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Description
さらに本発明は、光学異方性が小さく、さらには光学異方性の波長分散が小さいセルロース化合物フィルムを用いて作製した偏光板保護膜、液晶表示装置、ハロゲン化銀写真感光材料用支持体の提供を目的とする。
(1)セルロースアシレートと、下記一般式(2)で表される化合物とを少なくとも1つ含有することを特徴とするセルロースアシレート組成物。
(2)前記一般式(2)で表される化合物が下記化合物(A−1)〜(A−3)、(A−5)のいずれかである(1)に記載のセルロースアシレート組成物。
(5)セルロースアシレートと、セルロースアシレートの0.1乃至30質量%の量の前記一般式(2)で表される化合物を少なくとも1つ含むことを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
(6)セルロースアシレートのアシル置換度が2.60乃至3.00である上記(5)に記載のセルロースアシレートフィルム。
(7)セルロースアシレートのアシル置換基が実質的にアセチル基のみからなり、その全置換度が2.85乃至2.95であり、その平均重合度が180乃至550である(5)に記載のセルロースアシレートフィルム。
(8)セルロースアシレートのアシル置換基が実質的にアセチル基、プロピオニル基、およびブタノイル基からなる群より選ばれる少なくとも2種類からなり、その全置換度が2.50乃至3.00である(5)に記載のセルロースアシレートフィルム。
(9)(4)〜(8)のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムを少なくとも1層含有することを特徴とする偏光板保護膜。
(10)(4)〜(8)のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムを少なくとも1層含有することを特徴とする液晶表示装置。
(11)(4)〜(8)のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムを支持体として使用することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
(12)下記一般式(2)で表されるセルロースアシレートフィルム用改質剤。
さらにセルロース化合物組成物は、セルロース化合物フィルムとして用い、優れた偏光板保護膜、液晶表示装置、ハロゲン化銀写真感光材料などとすることが可能である。
脂肪族基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数1乃至25のものが好ましく、1乃至20のものがより好ましく、2乃至15のものが特に好ましい。脂肪族基の具体例としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、アミル、iso−アミル、tert−アミル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ビシクロオクチル、アダマンチル、n−デシル、tert−オクチル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ジデシルなどが挙げられる。
芳香族基は芳香族炭化水素基でも芳香族ヘテロ環基でもよく、より好ましくは芳香族炭化水素基である。芳香族炭化水素基としては、炭素原子数が6乃至24のものが好ましく、6乃至12のものがより好ましい。芳香族炭化水素基の具体例としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、ターフェニルなどが挙げられる。芳香族炭化水素基としては、ベンゼン、ナフタレン、またはビフェニルが特に好ましい。芳香族ヘテロ環基としては、酸素原子、窒素原子、および硫黄原子のうち少なくとも1つを含むものが好ましい。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環基としては、ピリジン、トリアジン、またはキノリンが特に好ましい。
置換基Tとして好ましくはハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜30のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素原子数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素原子数5〜30の置換または無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素原子数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素原子数3〜30の置換または無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素原子数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換または無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素原子数5〜30の置換または無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)、アルキニル基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換または無置換の、芳香族または非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、より好ましくは、炭素原子数3〜30の5または6員の芳香族のヘテロ環基である。
セルロース化合物と、一般式(1)または(2)で表される化合物を混合する方法は、後述の波長分散調整剤を添加混合する方法と同様である。
本明細書において、セルロース化合物とは、セルロースを基本構造とする化合物をいい、特に制限はないが、なかでもセルロースエステルが好ましく、本発明においてはセルロースアシレートを用いる。
セルロース化合物組成物に好ましく用いられるセルロースアシレートの原料となるセルロースは、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などが挙げられ、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えばプラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができる。
セルロース化合物組成物に好ましく用いられるセルロースアシレートは、セルロースの水酸基がアシル化されたもので、その置換基はアシル基の炭素原子数が2のアセチル基から炭素原子数が22のものまでいずれも用いることができる。本発明のセルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって置換度を得ることができる。測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することが出来る。
セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基へのアシル置換度が2.50〜3.00であることが好ましく、置換度2.75〜3.00がより好ましく、2.85〜3.00が特に好ましい。
ル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、iso−ブタノイル、t−ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル基などを挙げることが出来る。これらの中でも、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t−ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、またはシンナモイルが好ましく、アセチル、プロピオニル、またはブタノイルがより好ましい。
セルロース化合物組成物に好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700の範囲であり、180〜550がより好ましく、180〜400がさらに好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度が高すぎるとセルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなり、流延によりフィルム作製が困難になる。重合度が低すぎると作製したフィルムの強度が低下してしまう。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。特開平9−95538に詳細に記載されている。
また、セルロース化合物組成物で好ましく用いられるセルロースアシレートの分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがより好ましく、1.0〜1.6であることが特に好ましい。
セルロース化合物組成物の製造において、セルロース化合物(セルロースアシレート)溶液に、各調製工程において、用途に応じた種々の添加剤(光学異方性を低下する化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、光学特性調整剤など)を加えることができる。本発明において、改質剤などの添加剤は、単一の化合物であっても組成物であってもよい。またその添加する時期はドープ作製工程において何れにおいて添加してもよいが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。
セルロース化合物フィルムの波長分散を低下させる化合物(以下、波長分散調整剤ともいい、特に断らない限り一般式(1)または(2)で表される化合物を含む。)について説明する。
セルロース化合物組成物からなるフィルムは光学異方性が小さいこと、つまりReおよびRthの値が小さいことが好ましく、Rthは−25〜25nmであることが好ましく、−25〜10nmがより好ましい。また、波長による光学異方性の変化、つまりReおよびRthの波長分散(以下、それぞれΔReおよびΔRthともいう。)が小さいことがこのましく、ΔRthは−25〜25nmが好ましく、−20〜20nmがより好ましい。
(4)ΔRth=|Rth(400)−Rth(700)|
(5)(ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−2.0
(6)0.01≦B≦30
上記式(5)、(6)は
(5)(ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−3.0
(6)0.05≦B≦25
であることがより好ましく、
(5)(ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−4.0
(6)0.1≦B≦20
であることが特に好ましい。ここで、ΔRth(B)はΔRthを低下させる化合物をB%含有したフィルムのΔRth(nm)を表し、ΔRth(0)はΔRthを低下させる化合物を含有しないフィルムのΔRth(nm)を表す。
セルロースアシレートフィルムのRe、Rthの値は一般に短波長側よりも長波長側が大きい波長分散特性となる。したがって相対的に小さい短波長側のRe、Rthを大きくすることによって波長分散を平滑にすることが要求される。一方200〜400nmの紫外領域に吸収を持つ化合物は短波長側よりも長波長側の吸光度が大きい波長分散特性をもつ。この化合物自身がセルロースアシレートフィルム内部で等方的に存在していれば、化合物自身の複屈折性、ひいてはRe、Rthの波長分散は吸光度の波長分散と同様に短波長側が大きいと想定される。
したがって、セルロース化合物組成物に用いられる一般式(1)または(2)で表される化合物に含まれる紫外線吸収性残基に関し、その吸収帯範囲は200〜400nmが好ましく、220〜395nmがより好ましく、240〜390nmが特に好ましい。
波長分散調整剤を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
セルロース化合物組成物からなるフィルムには、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが、濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上がよりに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
上記の光学的に異方性を低下する化合物、波長分散調整剤の他に、本発明のセルロースアシレートフィルムには、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、可塑剤、紫外線防止剤、劣化防止剤、剥離剤、赤外吸収剤など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に可塑剤の混合などであり、例えば特開2001−151901号などに記載されている。さらにまた、赤外吸収染料としては例えば特開2001−194522号に記載されている。またその添加する時期はドープ作製工程において何れで添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、セルロースアシレートフィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開2001−151902号などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。これらの詳細は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
セルロース化合物組成物においては、分子量が3000以下の化合物の総量は、セルロース化合物の質量に対して5〜45%であることがのぞましい。より好ましくは10〜40%であり、さらにのぞましくは15〜30%である。これらの化合物としては上述したように、光学異方性を低下する化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、剥離剤、赤外吸収剤などであり、分子量としては3000以下が好ましく、2000以下がより好ましく、1000以下が特に好ましい。これら化合物の総量が5%以下であると、セルロースアシレート単体の性質が出やすくなり、例えば、温度や湿度の変化に対して光学性能や物理的強度が変動しやすくなるなどの問題がある。またこれら化合物の総量が45%以上であると、セルロースアシレートフィルム中に化合物が相溶する限界を超え、フィルム表面に析出してフィルムが白濁する(フィルムからの泣き出し)などの問題が生じやすくなる。
セルロース化合物組成物は、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムとすることが好ましく、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムとして製造することができる。主溶媒として好ましく用いられる有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、および炭素原子数が1〜7のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
セルロース化合物組成物をフィルムとするとき、塩素系のハロゲン化炭化水素を主溶媒としてもよいし、発明協会公開技報2001−1745(12頁〜16頁)に記載されているように、非塩素系溶媒を主溶媒としてもよく特に限定されるものではない。
[溶解工程]
セルロース化合物組成物において、その溶液(ドープ)の調製に際し、溶解方法は特に限定されず、室温でもよくさらには冷却溶解法あるいは高温溶解法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。セルロース化合物組成物において、その溶液の調製、さらには溶解工程に伴う溶液濃縮、ろ過の各工程に関しては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて22頁〜25頁に詳細に記載されている製造工程が好ましく用いられる。
次に、セルロース化合物組成物において、その溶液を用いたフィルムの製造方法について述べる。セルロース化合物組成物をフィルムとして製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて得られたフィルムを乾燥装置のロール群で機械的に搬送し乾燥を終了して巻き取り機でロール状に所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。セルロース化合物フィルムの主な用途である、電子ディスプレイ用の光学部材である機能性保護膜やハロゲン化銀写真感光材料に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらについては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて25頁〜30頁に詳細に記載されており、流延(共流延を含む),金属支持体,乾燥,剥離などに分類され、本発明において好ましく用いることができる。
また、セルロース化合物フィルムの厚さは10〜120μmが好ましく、20〜100μmがより好ましく、30〜90μmが特に好ましい。
セルロース化合物組成物でなるフィルムの環境変化による光学性能の変化については、60℃90%RH(本発明において、RHとは相対湿度をいう。)に240時間処理したフィルムのReおよびRthの変化量が、15nm以下であることが好ましく、12nm以下がより好ましく、10nm以下であることが特に好ましい。
[高温度処理後のフィルムの光学性能変化]
また、80℃240時間処理したフィルムのReおよびRthの変化量が、15nm以下であることが好ましく、12nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることが特に好ましい。
[フィルム加熱処理後の化合物揮散量]
セルロース化合物組成物からなるフィルムにおいて、添加剤は80℃240時間処理したフィルムからの化合物の揮散量において、30%以下であることが好ましく、0〜25%がより好ましく、0〜20%であることが特に好ましい。揮散量が多すぎると、工程汚染の主要因となり問題となる。
なお、フィルムからの揮散量は、80℃240時間処理したフィルムおよび未処理のフィルムをそれぞれ溶媒に溶かし出し、液体高速クロマトグラフィーにて化合物を検出し、化合物のピーク面積をフィルム中に残存した化合物量として、下記式により算出することができる。
揮散量(%)={(未処理品中の残存化合物量)−(処理品中の残存化合物量)}/(未処理品中の残存化合物量)×100
セルロース化合物組成物からなるフィルムのガラス転移温度Tgは、80〜165℃の範囲にあることが好ましく、Tgが100〜160℃であることがより好ましく、110〜150℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度Tgの測定は、フィルム試料10mgを、常温から200度まで昇降温速度5℃/分で示差走査熱量計(DSC2910、T.A.インスツルメント)で熱量測定を行い、ガラス転移温度Tgを算出することができる。
セルロース化合物組成物からなるフィルムのヘイズは0.01〜2.0%であることが好ましく、0.05〜1.5%であることがより好ましく、0.1〜1.0%であることが特に好ましい。光学フィルムとしてフィルムの透明性は重要である。ヘイズの測定は、フィルム試料40mm×80mmを、25℃,60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−6714に従って測定することができる。
セルロース化合物組成物からなるフィルムは、面内レターデーションReおよび膜厚方向のレターデーションRthの湿度による変化が小さいことが好ましい。具体的には、25℃10%RHにおけるRth値と25℃80%RHにおけるRth値の差(Rth10%RH−Rth80%RH)が0〜50nmであることが好ましく、0〜40nmがより好ましく、0〜35nmが特に好ましい。
セルロース化合物組成物からなるフィルムの平衡含水率は、偏光板の保護膜として用いる際、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーとの接着性を損なわないために、膜厚のいかんに関わらず、25℃80%RHにおける平衡含水率が、0〜4%であることが好ましく、0.1〜3.5%であることがより好ましく、1〜3%であることが特に好ましい。0.4%以上の平衡含水率であると、光学補償フィルムの支持体として用いる際にレターデーションの湿度変化による依存性が大きくなりすぎてしまい好ましくない。
含水率の測定法は、フィルム試料7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置(CA−03、VA−05、共に三菱化学(株)社製)にてカールフィッシャー法で測定することができる。水分量(g)を試料重量(g)で除して算出することができる。
セルロース化合物組成物を光学補償シートとして用いるフィルムの透湿度は、JIS規格JISZ0208をもとに、温度60℃、湿度95%RHの条件において測定し、膜厚80μmに換算して400〜2000g/m2・24hであることが好ましい。500〜1800g/m2・24hであることがより好ましく、600〜1600g/m2・24hであることが特に好ましい。2000g/m2・24hを越えると、フィルムのRe値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまう。また、セルロース化合物組成物からなるフィルムに光学異方性層を積層して光学補償フィルムとした場合も、Re値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまい好ましくない。この光学補償シートや偏光板が液晶表示装置に組み込まれた場合、色味の変化や視野角の低下を引き起こす。また、セルロースアシレートフィルムの透湿度が400g/m2・24h未満では、偏光膜の両面などに貼り付けて偏光板を作製する場合に、セルロースアシレートフィルムにより接着剤の乾燥が妨げられ、接着不良を生じる。
セルロースアシレートフィルムの膜厚が厚ければ透湿度は小さくなり、膜厚が薄ければ透湿度は大きくなる。そこでどのような膜厚のサンプルでも基準を80μmに設け換算する必要がある。膜厚の換算は、(80μm換算の透湿度=実測の透湿度×実測の膜厚μm/80μm)として求めた。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、フィルム試料70mmφを25℃、90%RH及び60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、透湿試験装置(KK−709007、東洋精機(株)社製)にて、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)し、透湿度=調湿後重量−調湿前重量で求めることができる。
セルロース化合物組成物からなるフィルムの寸度安定性は、60℃、90%RHの条件下に24時間静置した場合(高湿)の寸度変化率および90℃、5%RHの条件下に24時間静置した場合(高温)の寸度変化率がいずれも0.5%以下であることが好ましく、0.3%以下がより好ましく、0.15%以下が特に好ましい。
具体的な測定方法としては、フィルム試料30mm×120mmを2枚用意し、25℃、60%RHで24時間調湿し、自動ピンゲージ(新東科学(株)社製)にて、両端に6mmφの穴を100mmの間隔で開け、パンチ間隔の原寸(L0)とする。1枚の試料を60℃、90%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L1)を測定、もう1枚の試料を90℃、5%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L2)を測定することができる。すべての間隔の測定において最小目盛り1/1000mmまで測定することができる。60℃、90%RH(高湿)の寸度変化率={|L0−L1|/L0}×100、90℃、5%RH(高温)の寸度変化率={|L0−L2|/L0}×100、として寸度変化率を求めることができる。
(弾性率)
セルロース化合物組成物からなるフィルムの弾性率は、200〜500kgf/mm2であることが好ましく、より好ましくは240〜470kgf/mm2であり、特に好ましくは270〜440kgf/mm2である。具体的な測定方法としては、東洋ボールドウィン製万能引っ張り試験機STM T50BPを用い、23℃・70%雰囲気中、引っ張り速度10%/分で0.5%伸びにおける応力を測定し、弾性率を求めることができる。
(光弾性係数)
セルロース化合物組成物からなるフィルムの光弾性係数は、50×10−15cm2/dyne以下であることが好ましい。30×10−15cm2/dyne以下であることがより好ましく、20×10−15cm2/dyne以下であることが特に好ましい。具体的な測定方法としては、フィルム試料12mm×120mmの長軸方向に対して引っ張り応力をかけ、その際のレターデーションをKOBRA21ADHエリプソメーター(M150、日本分光(株)社製)で測定し、応力に対するレターデーションの変化量から光弾性係数を算出することができる。
試料100×100mmを用意し、固定一軸延伸機を用いて温度140℃の条件下で機械搬送方向(MD方向)または垂直方向(TD方向)に延伸を行うことがよい。延伸前後における各試料の正面レターデーションは自動複屈折計KOBRA21ADHを用いて測定することができる。遅相軸の検出は上記のレターデーション測定の際に得られる配向角から決定することができる。延伸によってReの変化が小さいことが好ましく、具体的にはRe(n)をn(%)延伸したフィルムの面内正面レターデーション(nm)、Re(0)を延伸していないフィルムの面内正面レターデーション(nm)としたときに、|Re(n)−Re(0)|/n≦1.0を有することが好ましく、|Re(n)−Re(0)|/n≦0.3以下がより好ましい。
セルロース化合物組成物からなるフィルムを偏光子の保護フィルムに用いる場合、偏光子が機械搬送方向(MD方向)に吸収軸を持つため、セルロースアシレートフィルムは遅相軸がMD方向近傍またはTD近傍にあることが好ましい。遅相軸が偏光子と平行または直交させることにより光漏れや色味変化を低減できる。近傍とは、遅相軸とMDまたはTD方向が0〜10°、好ましくは0〜5°の範囲にあることを表す。
セルロース化合物組成物からなるフィルムは、フィルム面内において、遅相軸を有する方向に延伸すると正面レターデーションReが大きくなり、遅相軸を有する方向と垂直な方向に延伸すると正面レターデーションReが小さくなる。このことは固有複屈折が正であることを示しており、フィルム中で発現したReを打ち消すには遅相軸と垂直方向に延伸することが有効である。この方法としては例えば、フィルムが機械搬送方向(MD方向)に遅相軸を有している場合にMDとは垂直な方向(TD方向)にテンター延伸を用いて正面Reを小さくすることが考えられる。逆の例として、TD方向に遅相軸を有している場合にはMD方向の機械搬送ロールの張力を強めて延伸することによって正面Reを小さくすることが考えられる。
セルロース化合物組成物からなるフィルムは、遅相軸を有する方向に延伸すると正面レターデーションReが小さくなり、遅相軸を有する方向と垂直な方向に延伸すると正面レターデーションReが大きくなる場合もある。このことは固有複屈折が負であることを示しており、フィルム中で発現したReを打ち消すには遅相軸と同一の方向に延伸することが有効である。この方法としては例えば、フィルムが機械搬送方向(MD方向)に遅相軸を有している場合にMD方向の機械搬送ロールの張力を強めて延伸することによって正面Reを小さくすることが考えられる。逆の例として、TD方向に遅相軸を有している場合にはMDとは垂直な方向(TD方向)にテンター延伸を用いて正面Reを小さくすることが考えられる。
セルロース化合物フィルムの評価として、以下の方法で各項目の測定を実施することができる。
試料30mm×40mmを、25℃、60%RHで2時間調湿し、Re(λ)は自動複屈折計KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)社製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定することができる。また、Rth(λ)は前記Re(λ)と、面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向を0°としてサンプルを10°ごとに50°まで傾斜させて波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値を基に、平均屈折率の仮定値1.48および膜厚を入力し算出することができる。
試料30mm×40mmを、25℃、60%RHで2時間調湿し、KOBRA21ADHエリプソメーターM−150(日本分光(株)社製)において波長780nmから380nmの光をフィルム法線方向に入射させることにより各波長でのReをもとめ、Reの波長分散を測定することができる。また、Rthの波長分散については、前記Re、面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から780〜380nmの波長の光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長780〜380nmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基に、平均屈折率の仮定値1.48および膜厚を入力して算出することができる。
試料70mm×100mmを、25℃、65%RHで2時間調湿し、自動複屈折計(KOBRA21DH、王子計測(株)社製)にて、垂直入射における入射角を変化させた時の位相差より分子配向軸を算出することができる。
(軸ズレ)
また、自動複屈折計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)で軸ズレ角度を測定することができる。幅方向に全幅にわたって等間隔で20点測定し、絶対値の平均値を求めることができる。また、遅相軸角度(軸ズレ)のレンジとは、幅方向全域にわたって等間隔に20点測定し、軸ズレの絶対値の大きいほうから4点の平均と小さいほうから4点の平均の差をとったものである。
試料20mm×70mmを、25℃,60%RHで透明度測定器(AKA光電管比色計、KOTAKI製作所社製)で可視光(615nm)の透過率を測定することができる。
(分光特性)
試料13mm×40mmを、25℃,60%RHで分光光度計(U−3210、(株)日立製作所社製)にて、波長300〜450nmにおける透過率を測定することができる。傾斜幅は72%の波長−5%の波長で求めることができる。限界波長は、(傾斜幅/2)+5%の波長で表し、吸収端は、透過率0.4%の波長で表すことができる。これより380nmおよび350nmの透過率を評価することができる。
フィルムの表面は、JISB0601−1994に基づく該膜の表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.1μm以下、及び最大高さ(Ry)が0.5μm以下であることが好ましく、算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以下、最大高さ(Ry)が0.2μm以下がより好ましい。膜表面の凹と凸の形状は、原子間力顕微鏡(AFM)により評価することができる。
本発明のセルロースアシレートフィルムは次の式を満たすことが好ましい。
|Re(MAX)−Re(MIN)|≦3かつ|Rth(MAX)−Rth(MIN)|≦5
[式中、Re(MAX)、Rth(MAX)−は任意に切り出した1m四方のフィルムの最大レターデーション値、Re(MIN)、Rth(MIN)は最小値である。]
セルロース化合物組成物からなるフィルムにおいては、フィルムに添加した各種化合物の保留性が要求される。具体的には、本発明のセルロースアシレートフィルムを80℃/90%RHの条件下に48時間静置した場合のフィルムの質量変化が、0〜5%であることが好ましい。より好ましくは0〜3%であり、特に好ましくは0〜2%である。
〈保留性の評価方法〉
試料を10cm×10cmのサイズに断裁し、23℃、55%RHの雰囲気下で24時間放置後の質量を測定して、80±5℃、90±10%RHの条件下で48時間放置し、処理後の試料の表面を軽く拭き、23℃、55%RHで1日放置後の質量を測定して、以下の方法で保留性を計算することができる。
保留性(質量%)={(放置前の質量−放置後の質量)/放置前の質量}×100
(カール)
フィルムの幅方向のカール値は、−10/m〜+10/mであることが好ましい。セルロース化合物組成物からなるフィルムには後述する表面処理、光学異方性層を塗設する際のラビング処理の実施や配向膜、光学異方性層の塗設や貼合などを長尺で行う際に、本発明のセルロースアシレートフィルムの幅方向のカール値が前述の範囲外では、フィルムのハンドリングに支障をきたし、フィルムの切断が起きることがある。また、フィルムのエッジや中央部などで、フィルムが搬送ロールと強く接触するために発塵しやすくなり、フィルム上への異物付着が多くなり、光学補償フィルムの点欠陥や塗布スジの頻度が許容値を超えることがある。又、カールを上述の範囲とすることで光学異方性層を設置するときに発生しやすい色斑故障を低減できるほか、偏光膜貼り合せ時に気泡が入ることを防ぐことができ、好ましい。
カール値は、アメリカ国家規格協会の規定する測定方法(ANSI/ASCPH1.29−1985)に従い測定することができる。
JISK7128−2:1998の引裂き試験方法に基づく引裂き強度(エルメンドルフ引裂き法)が、本発明のセルロースアシレートフィルムの膜厚が20〜80μmの範囲において、2g以上が好ましい。より好ましくは、5〜25gであり、特に好ましくは6〜25gである。また、60μm換算で8g以上が好ましく、より好ましくは8〜15gである。具体的には、試料片50mm×64mmを、25℃、65%RHの条件下に2時間調湿した後に軽荷重引裂き強度試験機を用いて測定できる。
フィルムに対する残留溶剤量が、0.01〜1.5質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。より好ましくは0.01〜1.0質量%である。本発明に用いる透明支持体の残留溶剤量は1.5%以下とすることでカールを抑制できる。1.0%以下であることがより好ましい。これは、前述のソルベントキャスト方法による成膜時の残留溶剤量が少なくすることで自由堆積が小さくなることが主要な効果要因になるためと思われる。
フィルムの吸湿膨張係数は30×10−5/%RH以下とすることが好ましい。吸湿膨張係数は、15×10−5/%RH以下とすることが好ましく、10×10−5/%RH以下であることがよりに好ましい。また、吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10−5/%RH以上の値である。吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。この吸湿膨張係数を調節することで、セルロース化合物組成物からなるフィルムを光学補償フィルム支持体として用いた際、光学補償フィルムの光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇すなわち歪みによる光漏れを防止することができる。
セルロースアシレートフィルムは、場合により表面処理を行うことによって、セルロースアシレートフィルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10−3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンのようなフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光板の透明保護フィルムとして用いる場合の表面処理の有効な手段の1つとしてアルカリ鹸化処理が上げられる。この場合、アルカリ鹸化処理後のフィルム表面の接触角が55°以下であることが好ましい。より好ましくは50°以下であり、45°以下であることが特に好ましい。接触角の評価法はアルカリ鹸化処理後のフィルム表面に直径3mmの水滴を落とし、フィルム表面と水滴のなす角をもとめる通常の手法によって親疎水性の評価として用いることができる。
セルロース化合物組成物において、その光耐久性の指標として、スーパーキセノン光を240時間照射したフィルムの色差ΔE*abが20以下であることが好ましい。より好ましくは18以下であり、15以下であることが特に好ましい。色差の測定は、UV3100(島津製作所社製)を用いることができる。測定の仕方は、フィルムを25℃60%RHに2時間以上調湿した後にキセノン光照射前のフィルムのカラー測定を行ない初期値(L0*、a0*、b0*)を求めることができる。その後、フィルム単体で、スーパーキセノンウェザーメーターSX-75(スガ試験機(株)社製)にて、150W/m2、60℃50%RH条件にてキセノン光を240時間照射し、所定時間の経過後、フィルムを恒温槽から取り出し、25℃60%RHに2時間調湿した後に、再びカラー測定を行い、照射経時後の値(L1*、a1*、b1*)を求めることができる。これらから、色差ΔE*ab=((L0*-L1*)^2+(a0*-a1*)^2+(b0*-b1*)^2)^0.5を求めることができる。
セルロース化合物組成物からなるフィルムは、その用途として光学用途と写真感光材料に適用される。特に光学用途が液晶表示装置であることが好ましく、液晶表示装置が、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償シートを配置した構成であることがさらに好ましい。これらの液晶表示装置としては、TN、IPS、FLC、AFLC、OCB、STN、ECB、VAおよびHANが好ましい。
その際に前述の光学用途に、セルロース化合物組成物からなるフィルムを用いるに際し、各種の機能層を付与することが実施される。それらは、例えば、帯電防止層、硬化樹脂層(透明ハードコート層)、反射防止層、易接着層、防眩層、光学補償層、配向層、液晶層などである。これらの機能層及びその材料としては、界面活性剤、滑り剤、マット剤、帯電防止層、ハードコート層などが挙げられ、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて32頁〜45頁に詳細に記載されており好ましく用いることができる。
セルロース化合物組成物、およびそのフィルムは偏光板保護フィルム用として有用である。偏光板保護フィルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られたセルロースアシレートフィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号、特開平6−118232号に記載されているような易接着加工を施してもよい。
保護フィルム処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、本発明の光学フィルムを適用した偏光板保護フィルムはどの部位に配置しても優れた表示性が得られる。特に液晶表示装置の表示側最表面の偏光板保護フィルムには透明ハードコート層、防眩層、反射防止層等が設けられるため、該偏光板保護フィルムをこの部分に用いることが得に好ましい。
セルロース化合物組成物、およびそのフィルムは、様々な用途で用いることができ、液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いると効果がある。なお、光学補償フィルムとは、一般に液晶表示装置に用いられ、位相差を補償する光学材料のことを指し、位相差板、光学補償シートなどと同義である。光学補償フィルムは複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。セルロース化合物組成物フィルムは、光学補償フィルムとして用いる場合、ReおよびRthが0≦Re≦10nmかつ|Rth|≦25nmと光学的異方性が小さいことが好ましく、ΔRe(|Re(400)−Re(700)|)≦10nmかつΔRth(|Rth(400)−Rth(700)|)≦35nmと波長分散が小さいことが好ましい。このようなフィルムであれば、余計な異方性を生じず、複屈折を持つ光学異方性層を併用すると光学異方性層の光学性能のみを発現することができる。
前記液晶性化合物としては、ディスコティック液晶性化合物または棒状液晶性化合物が好ましい。
ディスコティック液晶性化合物の例には、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載の化合物が含まれる。
棒状液晶性化合物の例には、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が含まれる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。
上記した様に、光学異方性層はポリマーフィルムから形成してもよい。ポリマーフィルムは、光学異方性を発現し得るポリマーから形成する。そのようなポリマーの例には、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステルおよびセルロースエステル(例、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート)が含まれる。また、これらのポリマーの共重合体あるいはポリマー混合物を用いてもよい。
セルロースアシレートフィルムを光学補償フィルムとして用いる場合は、偏光素子の透過軸と、セルロースアシレートフィルムからなる光学補償フィルムの遅相軸とをどのような角度で配置しても構わない。液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償フィルムを配置した構成を有している。
液晶セルの液晶層は、通常は、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、さらにガスバリアー層、ハードコート層あるいは(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、一般に50μm〜2mmの厚さを有する。
セルロース化合物組成物、およびそのフィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。セルロース化合物組成物およびそのフィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
セルロース化合物組成物からなるフィルムを、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置については、古くから良く知られている。TN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平3−9325号、特開平6−148429号、特開平8−50206号、特開平9−26572号の各公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn. J. Appl. Phys. Vol.36(1997)p.143や、Jpn. J. Appl. Phys. Vol.36(1997)p.1068)に記載がある。
セルロース化合物組成物からなるフィルムを、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性分子が90〜360度の範囲にねじられており、棒状液晶性分子の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積(Δnd)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開2000−105316号公報に記載がある。
セルロース化合物組成物からなるフィルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として特に有利に用いられる。VA型液晶表示装置に用いる光学補償シートのReレターデーション値を0乃至150nmとし、Rthレターデーション値を70乃至400nmとすることが好ましい。Reレターデーション値は、20乃至70nmであることがより好ましい。VA型液晶表示装置に二枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRthレターデーション値は70乃至250nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置に一枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRthレターデーション値は150乃至400nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置は、例えば特開平10−123576号公報に記載されているような配向分割された方式であっても構わない。
セルロース化合物組成物からなるフィルムは、IPSモードおよびECBモードの液晶セルを有するIPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置の光学補償シートの支持体、または偏光板の保護膜としても特に有利に用いられる。これらのモードは黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、電圧無印加状態で液晶分子を基板面に対して平行配向させて、黒表示する。これらの態様において本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板は色味の改善、視野角拡大、コントラストの良化に寄与する。この態様においては、液晶セルの上下の前記偏光板の保護膜のうち、液晶セルと偏光板との間に配置された保護膜(セル側の保護膜)にセルロース化合物組成物からなるフィルムを用いた偏光板を少なくとも片側一方に用いることが好ましい。偏光板の保護膜と液晶セルの間に光学異方性層を配置し、配置された光学異方性層のリターデーションの値を、液晶層のΔn・dの値の2倍以下に設定するのがより好ましい。
セルロース化合物組成物からなるフィルムは、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置あるいはHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートには、レターデーションの絶対値が最小となる方向が光学補償シートの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートの光学的性質も、光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質および光学的異方性層と支持体との配置により決定される。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平9−197397号公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn. J. Appl. Phys. Vol.38(1999)p.2837)に記載がある。
セルロース化合物組成物からなるフィルムは、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest−Host)型の反射型液晶表示装置の光学補償シートとしても有利に用いられる。これらの表示モードは古くからよく知られている。TN型反射型液晶表示装置については、特開平10−123478号、WO9848320号、特許第3022477号の各公報に記載がある。反射型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、WO00−65384号に記載がある。
セルロース化合物組成物からなるフィルムは、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell )モードの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)他の論文(Kume et al., SID 98 Digest 1089 (1998))に記載がある。
セルロース化合物組成物からなるフィルムは、またハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルムへの適用が好ましく実施できる。LCD、PDP、CRT、EL等のフラットパネルディスプレイの視認性を向上する目的で、セルロース化合物組成物からなるフィルムの片面または両面にハードコート層、防眩層、反射防止層の何れかあるいは全てを付与することができる。このような防眩フィルム、反射防止フィルムとしての望ましい実施態様は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)の54頁〜57頁に詳細に記載されており、本発明のセルロースアシレートフィルムを好ましく用いることができる。
さらにセルロース化合物組成物およびそのフィルムは、ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としても適用でき、上述の各種の素材や処方さらには処理方法が適用できる。それらの技術については、特開2000−105445にカラーネガティブに関する記載が詳細に挙げられており、セルロース化合物組成物からなるフィルムが好ましく用いられる。またカラー反転ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としての適用も好ましく、特開平11−282119に記載されている各種の素材や処方さらには処理方法が適用できる。
セルロース化合物組成物からなるフィルムは、光学的異方性がゼロに近く、優れた透明性を持っていることから、液晶表示装置の液晶セルガラス基板の代替、すなわち駆動液晶を封入する透明基板としても用いることができる。
液晶を封入する透明基板はガスバリア性に優れる必要があることから、必要に応じて本発明のセルロースアシレートフィルムの表面にガスバリアー層を設けてもよい。ガスバリアー層の形態や材質は特に限定されないが、本発明のセルロースアシレートフィルムの少なくとも片面にSiO2等を蒸着したり、あるいは塩化ビニリデン系ポリマーやビニルアルコール系ポリマーなど相対的にガスバリアー性の高いポリマーのコート層を設ける方法が考えられ、これらを適宜使用できる。
また液晶を封入する透明基板として用いるには、電圧印加によって液晶を駆動するための透明電極を設けてもよい。透明電極としては特に限定されないが、セルロース化合物組成物からなるフィルムの少なくとも片面に、金属膜、金属酸化物膜などを積層することによって透明電極を設けることができる。中でも透明性、導電性、機械的特性の点から、金属酸化物膜が好ましく、なかでも酸化スズを主として酸化亜鉛を2〜15%含む酸化インジウムの薄膜が好ましく使用できる。これら技術の詳細は例えば、特開2001−125079や特開2000−227603などに公開されている。
(合成例) 化合物A−1の合成
パラアミノ安息香酸13.7g、ピリジン(以下、Pyともいう)20.2mlを200mlのN,N-ジメチルホルムアミド(以下、DMFともいう)に溶解させ、氷冷下で攪拌した。ここにパラトルエンスルホニルクロライド20.0gを内温が10℃を越えないように分別添加し、添加後さらに15℃以下で1時間攪拌した。反応液を0.3mol/l塩酸500mlに注意深く注ぎ、得られた結晶を濾取した。水300mlにて洗浄を行った後、乾燥させ中間体(T-1)を27.3g(収率93.7%)で得た。
次いで、中間体(T-1)14.6gをアセトニトリル100mlにけん濁させ、室温下でオキサリルクロライド19.0gを30分かけて滴下した。滴下終了時に中間体(T-1)は完全に溶解した。滴下後さらに室温下で2時間反応させた後、溶媒を減圧濃縮し、中間体(T-2)を得た。得られた中間体(T-2)は特別な精製工程無く次工程に使用した。
2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン10.7g、ピリジン10.2mlを100mlのDMFに溶解させ、氷冷下で攪拌した。ここに前工程で得られた中間体(T-2)の全量を内温が10℃を越えないように分別添加し、添加後さらに室温下で4時間攪拌した。反応液を0.5mol/l塩酸300mlに注意深く注ぎ、得られた結晶を濾取、水300mlによる洗浄、乾燥を行った。得られた結晶をアセトニトリル120mlにて再結晶させ化合物例(A-1)を11.7g(収率48.0%)で得た。
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、溶解し、セルロースアシレート溶液A組成を有する溶液を調製した。
置換度2.86のセルロースアセテート 100質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402質量部
メタノール(第2溶媒) 60質量部
このとき、下記のとおり、Rth低下剤として添加剤1をB〜D組成の溶液に添加し、添加剤2については表1のとおりに代えて、それぞれ別の溶液として調製した。
添加剤1・・化合物F−1 12質量部
添加剤2・・表1参照 2質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 49質量部
メタノール(第2溶媒) 7質量部
このとき、添加剤については、表1のとおりに代えて、それぞれ別の溶液として調製した。
添加剤1・・化合物F−1 9質量部
添加剤2・・表1参照 5質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 49質量部
メタノール(第2溶媒) 7質量部
添加剤2・・表1参照 2質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 49質量部
メタノール(第2溶媒) 7質量部
セルロースアシレート溶液A562質量部を流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。溶媒含有率70質量%の場外で剥ぎ取り、フィルムの巾方向の両端をピンテンター(特開平4−1009号の図3に記載のピンテンター)で固定し、溶媒含有率が3乃至5質量%の状態で、横方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が3%となる間隔を保ちつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み80μmの比較のためのフィルム試料001(比較例1)を作製した。
セルロースアシレート溶液A組成を有する溶液を562質量部に、添加剤G−1を含む添加剤溶液B組成の溶液の70質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。
ドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。溶媒含有率70質量%の場外で剥ぎ取り、フィルムの巾方向の両端をピンテンター(特開平4−1009号の図3に記載のピンテンター)で固定し、溶媒含有率が3乃至5質量%の状態で、横方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が3%となる間隔を保ちつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み80μmの比較のためのフィルム試料002(比較例2)を作製した。
また、添加剤溶液B組成の溶液において、添加剤2が表1のとおりそれぞれ異なるものを用いた以外、上記と同様にして比較のためのフィルム試料003〜006(比較例3〜6)、および本発明のセルロースアシレート組成物のフィルム試料007、010(実施例1、4)を作製した。フィルム試料008、009、011は参考例である。
セルロースアシレート溶液Aを562質量部に、添加剤G−1を含む添加剤溶液C組成の溶液の70質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。
ドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。溶媒含有率70質量%の場外で剥ぎ取り、フィルムの巾方向の両端をピンテンター(特開平4−1009号の図3に記載のピンテンター)で固定し、溶媒含有率が3乃至5質量%の状態で、横方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が3%となる間隔を保ちつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み80μmの比較のためのフィルム試料012(比較例7)を作製した。
また、添加剤溶液C組成の溶液において、添加剤が表1のとおりそれぞれ異なるものを用いた以外、上記と同様にして比較のためのフィルム試料013(比較例8)および本発明のセルロースアシレート組成物のフィルム試料014(実施例6)を作製した。フィルム試料015は参考例である。
セルロースアシレート溶液A組成の溶液562質量部に、添加剤G−1を含む添加剤溶液D組成の溶液の60質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。
このドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。溶媒含有率70質量%の場外で剥ぎ取り、フィルムの巾方向の両端をピンテンター(特開平4−1009号の図3に記載のピンテンター)で固定し、溶媒含有率が3乃至5質量%の状態で、横方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が3%となる間隔を保ちつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み80μmの比較のためのフィルム試料016(比較例9)を作製した。
また、添加剤溶液D組成の溶液において、含まれる添加剤が表1のとおり異なるものを用いた以外、上記と同様にして、本発明のセルロースアシレート組成物のフィルム試料017(実施例8)を作製した。
表1より、本発明のセルロースアシレート組成物のフィルム試料は、光学異方性(Rth)および波長による光学異方性の変化(ΔRth)を小さくする効果があることがわかる。
また本発明のセルロースアシレート組成物のフィルム試料は、常用の紫外線吸収剤(G−1、G−2、G−3、G−4、またはG−5)に対して、低いRthおよびΔRthの値を維持し、かつ製造上問題とされる熱揮散量を小さくすることができることがわかる。また、添加剤2の添加量を多くした場合でもブリードアウトしないフィルムが作製できることがわかる。
表1に示したフィルム試料001を、1.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で2分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、フィルムの表面をけん化した(けん化フィルム試料001)。
続いて、厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して偏光膜を得た。ポリビニルアルコール(クラレ社製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、アルカリけん化処理したけん化フィルム試料001を2枚用意して、偏光膜を間にして貼り合わせて、両面がけん化フィルム試料001によって保護された偏光板を得た。この際両側のけん化フィルム試料001の遅相軸が偏光膜の透過軸と平行になるように貼り付けた。
表1のフィルム試料001に代え、それぞれ試料002〜011を用いた以外、上記と同様にして偏光板を作製し評価した。
本発明および参考例のセルロースアシレート組成物により得られた偏光板保護膜を用いた楕円偏光板(フィルム試料007〜011から作製した保護膜を用いた偏光板)の光学特性は優れたものであった。
表1のフィルム試料001〜011に関して、特開平10−48420号公報の実施例1に記載の液晶表示装置、特開平9−26572号公報の実施例1に記載のディスコティック液晶分子を含む光学異方性層、ポリビニルアルコールを塗布した配向膜、特開2000−154261号公報の図2〜9に記載のVA型液晶表示装置、特開2000−154261号公報の図10〜15に記載のOCB型液晶表示装置を作成し評価した。本発明および参考例のセルロースアシレート組成物により得られた液晶表示装置(フィルム試料007〜011を用いて作製した液晶表示装置)については、いずれの場合においても良好な性能が得られた。
表1のフィルム試料001〜015に関して、その膜厚を120μmにした以外は、実施例1〜6、参考例および比較例1〜8と同様にしてフィルム試料401〜415を作製した。得られたフィルムの一方に特開平4−73736号公報の実施例1記載の第1層及び第2層を付与し、カチオン系ポリマーを導電性層とするバック層を作成した。更に、得られたバック層を付与したフィルムベースの反対面に、特開平11−38568号公報の実施例1に記載の試料105を塗布し、ハロゲン化銀写真感光材料を作製した。
本発明および参考例のセルロースアシレート組成物により得られたハロゲン化銀写真感光材料(試料007〜011、015を用いたハロゲン化銀写真感光材料)については、優れた映像が得られかつその取り扱い性においても問題のないものであった。
Claims (8)
- セルロースアシレートと、下記一般式(2)で表される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とするセルロースアシレート組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のセルロースアシレート組成物からなるセルロースアシレートフィルム。
- 請求項4に記載のセルロースアシレートフィルムを少なくとも1層含有することを特徴とする偏光板保護膜。
- 請求項4に記載のセルロースアシレートフィルムを少なくとも1層含有することを特徴とする液晶表示装置。
- 請求項4に記載のセルロースアシレートフィルムを支持体として使用することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
- 下記一般式(2)で表されるセルロースアシレートフィルム用改質剤。
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