JP5171272B2 - 光学フィルム、位相差フィルム、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents
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Description
一般的にセルローストリアセテートは延伸しにくい高分子素材であり、光学的異方性を十分に高めることは困難である。前記特許文献1では、添加剤を延伸処理で同時に配向させることにより光学的異方性を大きくし、高いレターデーション値を実現している。
本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、広範囲の視野角において高いコントラスト比の画像を表示可能であり、カラーシフト(斜め方向から見た際の色味変化)が軽減された液晶表示装置およびこれに用いるセルロース組成物、光学フィルム、位相差フィルム、偏光板の提供を目的とする。
<1>
セルロース化合物と、下記一般式(1)で表される化合物とを含むセルロース組成物を含む光学フィルムであって、下記数式(1)〜(4)を満たすことを特徴とする光学フィルム。
一般式(1)
[一般式(1)中、R1及びR2は各々独立に電子求引性の置換基を表す。R1とR2は結合して環を形成してもよい。R3、R4、R6、R7、R8は水素原子または置換基を表す。R5は下記一般式(2)で表される基を表す。
一般式(2) ―L6―R9
一般式(2)において、L6は、単結合、−O−、−CO−、−SO 2 NR’−、−NR’SO 2 −、−CONR’−、−NR’CO−、−COO−、−OCO−、またはアルキニレン基を表し、R’は水素原子または置換基を有してもよいアルキル基またはアリール基を表す。R9は置換基を表す。]
数式(1):1<Rth(450)/Rth(550)<1.5
数式(2):0.8<Rth(650)/Rth(550)<1
数式(3):0nm≦Re≦100nm
数式(4):70nm≦Rth≦300nm
<2>
前記R9は、炭素数1〜5のアルコキシ基、または3−メトキシブトキシ基であることを特徴とする<1>に記載の光学フィルム。
<3>
前記セルロース化合物がセルロースアシレートを含有することを特徴とする<1>又は<2>に記載の光学フィルム。
<4>
<1>〜<3>のいずれか一項に記載の光学フィルムを有することを特徴とする位相差フィルム。
<5>
<1>〜<3>のいずれか一項に記載の光学フィルムを、偏光子もしくは偏光板の少なくとも片面に貼り合せたことを特徴とする偏光板。
<6>
<1>〜<3>のいずれか一項に記載の光学フィルム、<4>に記載の位相差フィルム又は<5>に記載の偏光板を有することを特徴とする液晶表示装置。
なお、本発明は上記<1>〜<6>に関するものであるが、参考のためその他の事項(例えば下記〔1〕〜〔7〕に記載した事項など)についても記載した。
〔1〕
セルロース化合物と、下記一般式(1)で表される化合物とを含むことを特徴とするセルロース組成物。
一般式(1)
〔2〕
前記セルロース化合物がセルロースアシレートを含有することを特徴とする〔1〕に記載のセルロース組成物。
〔3〕
〔1〕または〔2〕に記載のセルロース組成物を含む光学フィルム。
〔4〕
〔1〕または〔2〕に記載のセルロース組成物を含む光学フィルムであって、下記数式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする光学フィルム。
数式(1):1<Rth(450)/Rth(550)<1.5
数式(2):0.8<Rth(650)/Rth(550)<1
〔5〕
〔3〕または〔4〕に記載の光学フィルムを有することを特徴とする位相差フィルム。〔6〕
〔3〕または〔4〕に記載の光学フィルムを、偏光子もしくは偏光板の少なくとも片面に貼り合せたことを特徴とする偏光板。
〔7〕
〔3〕もしくは〔4〕に記載の光学フィルム、〔5〕に記載の位相差フィルム又は〔6〕に記載の偏光板を有することを特徴とする液晶表示装置。
本発明のセルロース組成物は、セルロース化合物と、下記一般式(1)で表される化合物とを含む。
以下に、一般式(1)で表される化合物に関して詳細に説明する。
一般式(1)
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基)、末端に重合性基を有するアルキル基(好ましくは炭素数1〜30のもの)、末端にカルバミン酸ベンジル基を有するアルキル基(好ましくは炭素数9〜30のもの)、末端にカルバミン酸t−ブチル基を有するアルキル基(好ましくは炭素数6〜30のもの)、末端にベンゼン環を有するアルキル基(好ましくは炭素数1〜10のもの)、エーテル連結を有するアルキル基(好ましくは炭素数1〜30のエーテル連結を有するアルキル基、例えば2−メトキシブチル基、3−メトキシブチル基、4−メトキシブチル基、4−エトキシブチル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換または無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、
一般式(2)
―L6―R9
L6は、好ましくは単結合、−O−、−CO−、−SO2NR’−、−NR’SO2−、−CONR’−、−NR’CO−、−COO−、−OCO−又はアルキニレン基であり、より好ましくは単結合、−COO−又は−OCO−である。
R9として好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基、水素原子、4−メトキシブトキシ基である。
本発明のセルロース組成物に含有されるセルロース化合物について詳細に説明する。
本発明において、セルロース化合物とは、セルロース、またはセルロースを原料として生物的あるいは化学的に官能基を導入して得られるセルロース骨格を有する化合物をいう。本発明のセルロース組成物においては、セルロース化合物を少なくとも1種含有することが好ましく、セルロース化合物として好ましくはセルロースエステルであり、より好ましくはセルロースアシレート(セルローストリアシレート、セルロースアシレートプロピオネート等が挙げられる。)である。また、本発明においては異なる2種類以上のセルロースアシレートを混合して用いてもよい。
なお、本発明において、セルロース組成物は、液体(例えば、セルロース化合物溶液)であっても、固体(例えば、セルロースフィルム)であってもよい。
本発明のセルロース組成物に用いられるセルロース化合物は、上述のように好ましくはセルロースアシレートであり、以下セルロースアシレートを例にして、その好ましい態様を説明する。
セルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができ特に限定されるものではない。
数式(a):2.0≦A+B≦3.0
数式(b):0<B
ここで、式中A及びBはセルロースの水酸基に置換されているアシル基の置換度を表し、Aはアセチル基の置換度、またBは炭素原子数3以上のアシル基の置換度である。
セルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であることが好ましく、セルロースアセテートにおいては180〜550が好ましく、180〜400がより好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度が高すぎるとセルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなり、流延によるフィルム作製が困難になる。重合度が低すぎると作製したフィルムの強度が低下してしまう。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫著,「繊維学会誌」,第18巻,第1号,105〜120頁,1962年)により測定できる。特開平9−95538号公報に詳細に記載されている。
また、セルロースアシレートの分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがより好ましく、1.0〜1.6であることが特に好ましい。
セルロースアシレートは置換基、置換度、重合度、分子量分布など前述した範囲であれば、単独あるいは2種類以上のセルロースアシレートを混合して用いることができる。
セルロースアシレート溶液には、各調製工程において一般式(1)で表される化合物以外にも用途に応じた種々の添加剤(例えば、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、剥離促進剤、赤外吸収剤、染料、微粒子、光学特性調整剤など)を加えることができ、またその添加する時期はドープ作製工程において何れの工程で添加してもよいが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。
紫外線吸収剤としては、目的に応じ任意の種類のものを選択することができ、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系、ニッケル錯塩系等の吸収剤を用いることができ、好ましくはベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸エステル系である。
前記劣化防止剤は、セルローストリアセテート等が劣化、分解するのを防止することができる。劣化防止剤としては、ブチルアミン、ヒンダードアミン化合物(特開平8−325537号公報)、グアニジン化合物(特開平5−271471号公報)、ベンゾトリアゾール系UV吸収剤(特開平6−235819号公報)、ベンゾフェノン系UV吸収剤(特開平6−118233号公報)などの化合物が挙げられる。
可塑剤としては、リン酸エステル、カルボン酸エステルであることが好ましい。リン酸エステル系可塑剤としては、例えばトリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェート(BDP)、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等;カルボン酸エステル系可塑剤としては、例えばジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)、ジエチルヘキシルフタレート(DEHP)、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)、O−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等を挙げることができ、可塑剤はこれら例示の可塑剤から選ばれたものであることがより好ましい。さらに、前記可塑剤が、(ジ)ペンタエリスリトールエステル類、グリセロールエステル類、ジグリセロールエステル類であることが好ましい。
剥離促進剤としては、クエン酸のエチルエステル類が例として挙げられる。
[赤外吸収剤]
さらに赤外吸収剤としては例えば特開2001−194522号公報に記載されているものが挙げられる。
[染料]
また本発明では、色相調整のための染料を添加してもよい。染料の含有量は、セルロースアシレートに対する質量割合で10〜1000ppmが好ましく、50〜500ppmが更に好ましい。この様に染料を含有させることにより、光学フィルムのライトパイピングが減少でき、黄色味を改良することができる。これらの化合物は、セルロースアシレート溶液の調製の際に、セルロースアシレートや溶媒と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。またインライン添加する紫外線吸収剤液に添加してもよい。特開平5−34858号公報に記載の染料を用いることができる。
本発明の光学フィルムには、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化ケイ素が好ましい。二酸化ケイ素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上がさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
本発明の光学フィルムにおいては、分子量が3000以下の化合物の総量は、セルロースアシレート重量に対して5〜45%であることが好ましい。より好ましくは10〜40%であり、さらに好ましくは15〜30%である。これらの化合物としては上述したように、光学異方性を低下する化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、剥離剤、赤外吸収剤などであり、分子量としては3000以下が好ましく、2000以下がより好ましい。これら化合物の総量が5%以下であると、セルロースアシレート単体の性質が出やすくなり、例えば、温度や湿度の変化に対して光学性能や物理的強度が変動しやすくなるなどの問題がある。またこれら化合物の総量が45%以上であると、光学フィルム中に化合物が相溶する限界を超え、フィルム表面に析出してフィルムが白濁(フィルムからの泣き出し)しやすくなる。
本発明の光学フィルムはソルベントキャスト法により製造することが好ましく、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムは製造される。主溶媒として好ましく用いられる有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、および炭素原子数が1〜7のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒が好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25乃至75モル%であることが好ましく、30乃至70モル%であることがより好ましく、35乃至65モル%であることがさらに好ましく、40乃至60モル%であることが最も好ましい。ジクロロメタンが特に好ましい主溶媒である。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。ハロゲン系溶媒75乃至89質量部に対してアルコール系溶媒11乃至25質量部の混合溶媒が最も好ましい。アルコールは一価であることが好ましい。アルコールの炭化水素部分は、直鎖であっても、分岐を有していても、環状であってもよい。炭化水素部分は、飽和脂肪族炭化水素であることが好ましい。メタノールが特に好ましい。
本発明の光学フィルムは、前記セルロース組成物を含む。すなわち、本発明の光学フィルムは、前記セルロースアシレート溶液(ドープ)を用いて製膜を行うことにより得ることができる。製膜方法及び設備は、従来セルロースアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置を用いることができる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)から、エンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延し、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して、巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。電子ディスプレイ用機能性保護膜に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。以下に各製造工程について簡単に述べるが、これらに限定されるものではない。
(溶解工程)
セルロースアシレート溶液(ドープ)の調製は、その溶解方法は特に限定されず、室温でもよく、さらには冷却溶解法あるいは高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。セルロースアシレート溶液の調製、さらには溶解工程に伴う溶液濃縮、ろ過の各工程に関しては、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて22頁〜25頁に詳細に記載されている製造工程が好ましく用いられる。
次に、セルロースアシレート溶液を用いたフィルムの製造方法について述べる。本発明のセルロースフィルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置を用いることができる。以下、これを具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて得られたフィルムを乾燥装置のロール群で機械的に搬送し乾燥を終了して巻き取り機でロール状に所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。光学フィルムの主な用途である、電子ディスプレイ用の光学部材である機能性保護膜やハロゲン化銀写真感光材料に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらについては、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて25頁〜30頁に詳細に記載されており、流延(共流延を含む)、金属支持体、乾燥、剥離などに分類され好ましく用いることができる。
また、光学フィルムの厚さは10〜120μmが好ましく、20〜100μmがより好ましく、30〜90μmがさらに好ましい。
光学フィルムは、延伸処理によりレターデーションを調整することが好ましい。特に、光学フィルムの面内レターデーション値を高い値とする場合には、積極的に幅方向に延伸する方法、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、特開平4−284211号、特開平4−298310号、及び特開平11−48271号の各公報などに記載されている、製造したフィルムを延伸する方法を用いることができる。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の数式(21)及び数式(22)よりRthを算出することもできる。
数式(21)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dはフィルムの膜厚を表す。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
数式(1):1<Rth(450)/Rth(550)<1.5
数式(2):0.8<Rth(650)/Rth(550)<1
数式(3):0nm≦Re≦200nm
数式(4):0nm≦Rth≦400nm
[上記式中、Re、Rthは、25℃60%RHの波長λ=590nmにおける値(単位:nm)である(本発明において、ReまたはRthとは、特に断らない限り、この波長におけるそれぞれの値をいう。)。Rth(450)はλ=450nmにおける値を、Rth(550)はλ=550nmにおける値を、Rth(650)はλ=650nmにおける値を表す。]
2枚型の場合、Reは0〜100nmが好ましく、0〜70nmがさらに好ましい。Rthについては70〜300nmが好ましく、100〜200nmがさらに好ましい。
1枚型の場合、Reは0〜150nmが好ましく、0〜100nmがさらに好ましい。Rthについては100〜300nmが好ましく、150〜250nmがさらに好ましい。
光学補償シートに用いる光学フィルムの透湿度は、JIS規格:JIS Z0208をもとに、温度60℃、湿度95%RH(相対湿度)の条件において測定し、膜厚80μmに換算して400〜2000g/m2・24hであることが好ましい。500〜1800g/m2・24hであることがより好ましく、600〜1600g/m2・24hであることが特に好ましい。2000g/m2・24hを超えると、フィルムのRe値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまう。また光学フィルムに光学異方性層を積層して光学補償フィルムとした場合も、Re値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまい好ましくない。この光学補償シートや偏光板が液晶表示装置に組み込まれた場合、色味の変化や視野角の低下を引き起こす。また、光学フィルムの透湿度が400g/m2・24h未満では、偏光膜の両面などに貼り付けて偏光板を作製する場合に、光学フィルムにより接着剤の乾燥が妨げられ、接着不良を生じる。
光学フィルムの膜厚が厚ければ透湿度は小さくなり、膜厚が薄ければ透湿度は大きくなる。そこでどのような膜厚のサンプルでも基準を80μmに設け換算する必要がある。膜厚の換算は、(80μm換算の透湿度=実測の透湿度×実測の膜厚μm/80μm)として求める。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4,共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、本発明の光学フィルム試料70mmφを25℃、90%RH及び60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、透湿試験装置(KK−709007、商品名、東洋精機(株))にて、JIS Z0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)し、透湿度=調湿後重量−調湿前重量で求める。
光学フィルムに対する残留溶剤量が、0.01〜1.5質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。より好ましくは0.01〜1.0質量%である。透明支持体の残留溶剤量は1.5%以下とすることでカールを抑制できる。1.0%以下であることがより好ましい。これは、前述のソルベントキャスト方法による成膜時の残留溶剤量を少なくすることで自由体積が小さくなることが主要な効果要因になるためと思われる。
光学フィルムの吸湿膨張係数は30×10-5/%RH以下とすることが好ましい。吸湿膨張係数は、15×10-5/%RH以下とすることが好ましく、10×10-5/%RH以下であることがさらに好ましい。また、吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10-5/%RH以上の値である。吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。この吸湿膨張係数を調節することで、光学フィルムを光学補償フィルム支持体として用いた際、光学補償フィルムの光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇すなわち歪みによる光漏れを防止することができる。
光学フィルムは、場合により表面処理を行うことによって、光学フィルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
アルカリ鹸化処理は、光学フィルムを鹸化液の槽に直接浸漬する方法、又は鹸化液を光学フィルムに塗布する方法により実施することが好ましい。塗布方法としては、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法及びE型塗布法を挙げることができる。アルカリ鹸化処理塗布液の溶媒は、鹸化液を光学フィルムに対して塗布するために、濡れ性がよく、また鹸化液溶媒によって光学フィルム表面に凹凸を形成させずに、面状を良好なまま保つ溶媒を選択することが好ましい。具体的には、アルコール系溶媒が好ましく、イソプロピルアルコールが特に好ましい。また、界面活性剤の水溶液を溶媒として使用することもできる。アルカリ鹸化塗布液のアルカリは、上記溶媒に溶解するアルカリが好ましく、KOH、NaOHがさらに好ましい。鹸化塗布液のpHは10以上が好ましく、12以上がさらに好ましい。アルカリ鹸化時の反応条件は、室温で1秒以上5分以下が好ましく、5秒以上5分以下がさらに好ましく、20秒以上3分以下が特に好ましい。アルカリ鹸化反応後、鹸化液塗布面を水洗あるいは酸で洗浄したあと水洗することが好ましい。
光学フィルムは、その用途として光学用途と写真感光材料に適用される。特に光学用途が液晶表示装置であることが好ましく、液晶表示装置が、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償シートを配置した構成であることがさらに好ましい。これらの液晶表示装置としては、TN、IPS、FLC、AFLC、OCB、STN、ECB、VAおよびHANが好ましい。
その際に前述の光学用途に本発明の光学フィルムを用いるに際し、各種の機能層を付与することが実施される。それらは、例えば、帯電防止層、硬化樹脂層(透明ハードコート層)、反射防止層、易接着層、防眩層、光学補償層、配向層、液晶層などである。光学フィルムを用いることができるこれらの機能層及びその材料としては、界面活性剤、滑り剤、マット剤、帯電防止層、ハードコート層などが挙げられ、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて32頁〜45頁に詳細に記載されており好ましく用いることができる。
光学フィルムは特に偏光板保護フィルム用として有用である。偏光板保護フィルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られた光学フィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号、特開平6−118232号に記載されているような易接着加工を施してもよい。
保護フィルム処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、光学フィルムを適用した偏光板保護フィルムはどの部位に配置しても優れた表示性が得られる。特に液晶表示装置の表示側最表面の偏光板保護フィルムには透明ハードコート層、防眩層、反射防止層等が設けられるため、該偏光板保護フィルムをこの部分に用いることが特に好ましい。
光学フィルムは様々な用途で用いることができ、液晶表示装置の位相差フィルムとして用いると特に効果がある。なお、位相差フィルムとは、一般に液晶表示装置に用いられ、位相差を補償する光学材料のことを指し、光学補償フィルム、光学補償シートなどと同義である。光学補償フィルムは複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。
光学フィルムを光学補償フィルムとして用いる場合、偏光素子の透過軸と、光学フィルムからなる光学補償フィルムの遅相軸とをどのような角度で配置しても構わない。液晶表示装置は、例えば、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償フィルムを配置した構成を有している。
液晶セルの液晶層は、例えば、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成することができる。透明電極層は、例えば、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成することができる。液晶セルには、例えば、さらにガスバリアー層、ハードコート層あるいは(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けてもよい。これらの層は、基板上に設けることができる。液晶セルの基板は、一般に50μm〜2mmの厚さにすることが好ましい。
光学フィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Super Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効であり、また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
光学フィルムを、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置については、古くから良く知られている。TN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平3−9325号、特開平6−148429号、特開平8−50206号、特開平9−26572号の各公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys.Vol.36(1997)p.143や、Jpn.J.Appl.Phys.Vol.36(1997)p.1068)に記載がある。
光学フィルムを、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性分子が90〜360度の範囲にねじられており、棒状液晶性分子の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積(Δnd)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開2000−105316号公報に記載がある。
光学フィルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として特に有利に用いることができる。VA型液晶表示装置に用いる光学補償シートのReレターデーション値を0乃至150nmとし、Rthレターデーション値を70乃至400nmとすることが好ましい。Reレターデーション値は、20乃至70nmであることが更に好ましい。VA型液晶表示装置に二枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRthレターデーション値は70乃至250nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置に一枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRthレターデーション値は150乃至400nmであることが好ましい。また、1<Rth(450)/Rth(550)<1.5、0.8<Rth(650)/Rth(550)<1であることが好ましい。
VA型液晶表示装置は、例えば特開平10−123576号公報に記載されているような配向分割された方式であっても構わない。
光学フィルムは、IPSモードおよびECBモードの液晶セルを有するIPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置の光学補償シートの支持体、または偏光板の保護膜としても特に有利に用いることができる。これらのモードは黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、電圧無印加状態で液晶分子を基板面に対して平行配向させて、黒表示する。これらの態様において本発明の光学フィルムを用いた偏光板は色味の改善、視野角拡大、コントラストの良化に寄与する。この態様においては、液晶セルの上下の前記偏光板の保護膜のうち、液晶セルと偏光板との間に配置された保護膜(セル側の保護膜)に光学フィルムを用いた偏光板を少なくとも片側一方に用いることが好ましい。更に好ましくは、偏光板の保護膜と液晶セルの間に光学異方性層を配置し、配置された光学異方性層のレターデーションの値を、液晶層のΔn・dの値の2倍以下に設定するのが好ましい。
光学フィルムは、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置あるいはHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートには、レターデーションの絶対値が最小となる方向が光学補償シートの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートの光学的性質も、光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質および光学的異方性層と支持体との配置により決定される。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平9−197397号公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys.Vol.38(1999)p.2837)に記載がある。
光学フィルムは、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest−Host)型の反射型液晶表示装置の光学補償シートとしても有利に用いることができる。これらの表示モードは古くからよく知られている。TN型反射型液晶表示装置については、特開平10−123478号、WO98/48320号、特許第3022477号の各公報に記載がある。反射型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、WO00/65384号に記載がある。
光学フィルムは、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)モードの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いることができる。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)他の論文(Kume et al.,SID 98 Digest 1089(1998))に記載がある。
光学フィルムは、またハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルムへの適用が好ましく実施できる。LCD、PDP、CRT、EL等のフラットパネルディスプレイの視認性を向上する目的で、本発明の光学フィルムの片面または両面にハードコート層、防眩層、反射防止層の何れかあるいは全てを付与することができる。このような防眩フィルム、反射防止フィルムとしての望ましい実施態様は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)の54頁〜57頁に詳細に記載されており、本発明の光学フィルムを好ましく用いることができる。
光学フィルムは、ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としても適用でき、該特許文献に記載されている各種の素材や処方さらには処理方法が適用できる。それらの技術については、特開2000−105445号公報にカラーネガティブに関する記載が詳細に挙げられており、本発明の光学フィルムが好ましく用いられる。またカラー反転ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としての適用も好ましく、特開平11−282119号公報に記載されている各種の素材や処方さらには処理方法が適用できる。
光学フィルムは、光学的異方性がゼロに近く、優れた透明性を持っていることから、液晶表示装置の液晶セルガラス基板の代替、すなわち駆動液晶を封入する透明基板としても用いることができる。
液晶を封入する透明基板はガスバリアー性に優れる必要があることから、必要に応じて本発明の光学フィルムの表面にガスバリアー層を設けてもよい。ガスバリアー層の形態や材質は特に限定されないが、本発明の光学フィルムの少なくとも片面にSiO2等を蒸着したり、あるいは塩化ビニリデン系ポリマーやビニルアルコール系ポリマーなど相対的にガスバリアー性の高いポリマーのコート層を設ける方法が考えられ、これらを適宜使用できる。
また液晶を封入する透明基板として用いるには、電圧印加によって液晶を駆動するための透明電極を設けてもよい。透明電極としては特に限定されないが、光学フィルムの少なくとも片面に、金属膜、金属酸化物膜などを積層することによって透明電極を設けることができる。中でも透明性、導電性、機械的特性の点から、金属酸化物膜が好ましく、なかでも酸化スズを主として酸化亜鉛を2〜15%含む酸化インジウムの薄膜が好ましく使用できる。これら技術の詳細は例えば、特開2001−125079号公報や特開2000−227603号公報などに公開されている。
下記のセルロースアセテート溶液組成の各成分をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 318質量部
メタノール(第2溶媒) 47質量部
セルロースアセテート溶液474質量部にレターデーション制御剤溶液36質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。レターデーション制御剤溶液を調整する際、レターデーション制御剤は、セルロースアセテート100質量部に対して表1に記載の質量部となるように添加した。
KOBRA 21ADHを用いて前述の方法により求めた。
すなわち、本発明の位相差フィルム(試料No.3〜5)は、一般式(1)で表される化合物を添加することで前記数式(1)及び(2)を満たすような特定の波長分散性を有し、光学性能に優れる。具体的には、本発明の位相差フィルムは、偏光板や液晶表示装置に用いた場合に、色味の改善に寄与するという優れた効果を奏する。
上記で作製した位相差フィルム101の表面をアルカリ鹸化処理した。1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に55℃で2分間浸漬し、室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。続いて、厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して厚さ20μmの偏光膜を得た。ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、前記のアルカリ鹸化処理した位相差フィルム試料101と、同様のアルカリ鹸化処理したフジタックTD80UL(富士フィルム社製)を用意し、これらの鹸化した面が偏光膜側となるようにして偏光膜を間に挟んで貼り合わせ、位相差フィルム101とTD80ULが偏光膜の保護フィルムとなっている偏光板101を得た。
同様にして本発明位相差フィルム試料102〜104を用いて、偏光板を作製した。以下これら偏光板を、偏光板102〜104という。また、TD80ULのみで作製した偏光板を偏光板100という。これら偏光板はいずれも十分な偏光性能を示した。
VAモードの液晶TV(LC37−GE2、シャープ(株)製)の表裏の偏光板および位相差フィルムを剥して実装用の液晶セルとして用いた。図1の構成で、偏光子11及び第1の光学異方性層14として偏光板101を、液晶セル13として上記のVA液晶セル、偏光子12及び第2の光学異方性層15として偏光板100を用い、それぞれを粘着剤を用いて貼り合わせた。この際、偏光板101の位相差フィルム試料101が液晶セル13側になるように貼り合わせた。液晶表示装置001を作製した。
同様の作製方法で、偏光板102で液晶表示装置002、偏光板103で液晶表示装置003、偏光板104で液晶表示装置004を作製した。
上記作製したVAモードの液晶表示装置001〜004について、図1中の偏光子12側(即ち、偏光板100側)にバックライトを設置し、各々について測定機(EZ−Contrast XL88、ELDIM社製)を用いて、暗室内で黒表示および白表示の輝度および色度を測定し、黒表示におけるカラーシフトを算出した。
黒表示において、液晶セルの法線方向から一対の偏光板の透過軸の中心線方向(方位角45度)に視角を倒した場合の色度の変化Δxθ、Δyθは、極角0〜80度の間で、常に下記数式(II)および(III)を満たすことが好ましい。
数式(II): 0≦Δxθ≦0.1
数式(III): 0≦Δyθ≦0.1
[式中、Δxθ=xθ−xθ0、Δyθ=yθ−yθ0であり、(xθ0、yθ0)は黒表示における液晶セル法線方向で測定した色度、(xθ、yθ)は黒表示における液晶セル法線方向から一対の偏光板の透過軸の中心線方向に極角θ度まで視角を倒した方向で測定した色度]
また、液晶セルの法線方向から視認側偏光板の吸収軸方向に60度まで視角を倒し、さらに前記方向を基点とし該法線を中心として360度回転させて色度を測定した場合における色度変化Δxφ及びΔyφは方位角0から360度の間で常に下記数式(IV)および(V)を満たすことが好ましい。
数式(IV): −0.02≦Δxφ≦0.1
数式(V): −0.02≦Δyφ≦0.1
[式中、Δxφ=xφ−xφ0、Δyφ=yφ−yφ0であり、(xφ0、yφ0)は黒表示における液晶セルの法線方向から視認側偏光板の吸収軸方向に60度まで視角を倒して測定した色度、(xφ、yφ)は黒表示における液晶セルの法線方向から視認側偏光板の吸収軸方向に60度まで視角を倒し、該法線方向を中心として方位角φの方向から測定した色度]
結果を下記表2に示す。
13 液晶セル
14 第1の光学異方性層
15 第2の光学異方性層
Claims (6)
- セルロース化合物と、下記一般式(1)で表される化合物とを含むセルロース組成物を含む光学フィルムであって、下記数式(1)〜(4)を満たすことを特徴とする光学フィルム。
一般式(1)
[一般式(1)中、R1及びR2は各々独立に電子求引性の置換基を表す。R1とR2は結合して環を形成してもよい。R3、R4、R6、R7、R8は水素原子または置換基を表す。R5は下記一般式(2)で表される基を表す。
一般式(2) ―L6―R9
一般式(2)において、L6は、単結合、−O−、−CO−、−SO 2 NR’−、−NR’SO 2 −、−CONR’−、−NR’CO−、−COO−、−OCO−、またはアルキニレン基を表し、R’は水素原子または置換基を有してもよいアルキル基またはアリール基を表す。R9は置換基を表す。]
数式(1):1<Rth(450)/Rth(550)<1.5
数式(2):0.8<Rth(650)/Rth(550)<1
数式(3):0nm≦Re≦100nm
数式(4):70nm≦Rth≦300nm - 前記R9は、炭素数1〜5のアルコキシ基、または3−メトキシブトキシ基であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
- 前記セルロース化合物がセルロースアシレートを含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学フィルム。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学フィルムを有することを特徴とする位相差フィルム。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学フィルムを、偏光子もしくは偏光板の少なくとも片面に貼り合せたことを特徴とする偏光板。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学フィルム、請求項4に記載の位相差フィルム又は請求項5に記載の偏光板を有することを特徴とする液晶表示装置。
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