JP4792337B2 - セルロースオリゴマー誘導体を含有するセルロース体フィルム、これを用いた偏光板および液晶表示装置 - Google Patents
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Description
これに伴い液晶表示装置において、これまで問題とされていなっかった、黒表示時の対角位斜め入射方向での僅かな光漏れが表示品質の低下の原因として顕在化してきた。そして光学補償フィルムに対してもコントラストが高く、位相差特性の変化が少ないといった光学補償能のさらなる向上が求められている。
さらに特許文献1には正の屈折率異方性を有する樹脂と、負の屈折率異方性を有する樹脂と、二色性を示すレターデーション調整剤とを混合してなり、又は正の屈折率異方性を有する高分子を形成する繰り返し単位、及び負の屈折率異方性を有する高分子を形成する前記繰り返し単位を有する共重合樹脂と前記レターデーション調整剤とを混合して成る1枚の位相差フィルムにより、広帯域(短波長域から長波長域)における位相差特性に優れ、かつ反射LCDに用いた場合に短波長域及び長波長域においても良好な反射防止効果を有する位相差フィルムを提供する技術が開示されている。しかし、この方法ではフィルムを作製するための材料が高価にならざるを得ないものや、製造コストが高く量産性が悪い問題があった。
本発明の第2の目的は、該光学補償シートを用いた偏光板、及び該偏光板を用いたコントラストが高く視野角に対する色味変化が小さい液晶表示装置を提供することにある。
1. セルロース体と、下記一般式(1)で表されるセルロースオリゴマー誘導体を含有するセルロース体組成物を溶液製膜法により製膜した後に製膜したフィルムを延伸する工程を含むことを特徴とするセルロース体フィルムの製造方法。
2. 前記セルロースオリゴマー誘導体中、グルコース単位が有する水酸基の少なくとも一つが、下記数式(1)で表される分極率異方性Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基により置換されていることを特徴とする上記1記載のセルロース体フィルムの製造方法。
数式(1):Δα=αx−(αy+αz)/2
(式中、αxは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最大の成分であり;αyは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、二番目に大きい成分であり;αzは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最小の成分である。)
3. 前記セルロースオリゴマー誘導体中、前記Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基が芳香族アシル基であり、Δαが2.5×10-24cm3未満である置換基が脂肪族アシル基であることを特徴とする上記2に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
4. 前記セルロースオリゴマー誘導体中、前記Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基の平均置換度が、Δαが2.5×10-24cm3未満である置換基の平均置換度よりも高いことを特徴とする上記2あるいは3に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
5. 前記セルロースオリゴマー誘導体中、前記Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基の平均置換度が、6位水酸基において最も高いことを特徴とする上記2〜4のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
6. 前記セルロースオリゴマー誘導体中、前記脂肪族アシル基がアセチル基、プロピオニル基およびブチリル基から選ばれ、かつ前記芳香族アシル基の芳香環上の置換基として、ハロゲン原子、シアノ、炭素原子数が1乃至20のアルキル基、炭素原子数が1乃至20のアルコキシ基、炭素原子数が6乃至20のアリール基、炭素原子数が6乃至20のアリールオキシ基、炭素原子数が1乃至20のアシル基、炭素原子数が1乃至20のカルボンアミド基、炭素原子数が1乃至20のスルホンアミド基および炭素原子数が1乃至20のウレイド基からなる群より選ばれる構造を有することを特徴とする上記3〜5のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
7. 前記セルロースオリゴマー誘導体中、前記Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基の全置換度が2.0〜3.0を特徴とする上記2〜6のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
8. 前記セルロース体がセルロースアシレートであることを特徴とする上記1〜7のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
9. 前記セルロース体組成物において前記セルロース体100質量部に対する前記セルロースオリゴマー誘導体の含有量が1〜50質量部であることを特徴とする上記1〜8のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
10. 前記セルロース体と前記セルロースオリゴマー誘導体を含有するセルロース体組成物100質量部に対して、さらにレターデーション調整剤0.5〜20質量部を含有させることを特徴とする上記1〜9のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
11. 前記レターデーション調整剤が、下記一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)で表される化合物のうち少なくとも1種であることを特徴とする上記10に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
12. 上記1〜11のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とするセルロース体フィルム。
13. セルロース体と、下記一般式(1)で表されるセルロースオリゴマー誘導体を含有し、かつ(A)〜(F)の関係を満たすことを特徴とするセルロース体フィルム。
30nm<Re(546)<150nm (A)
100nm<Rth(546)<400nm (B)
0.5<Re(480)/Re(546)<1 (C)
1.0<Re(628)/Re(546)<2.0 (D)
1.0<Rth(480)/Rth(546)<2.0 (E)
0.5<Rth(628)/Rth(546)<1.0 (F)
(但し、Re(λ)は、波長λにおける面内レターデーション(nm)であり、Rth(λ)は、波長λにおける厚み方向のレターデーション(nm)である。)
14. 前記セルロースオリゴマー誘導体中、グルコース単位が有する水酸基の少なくとも一つが、下記数式(1)で表される分極率異方性Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基により置換されていることを特徴とする上記13記載のセルロース体フィルム。
数式(1):Δα=αx−(αy+αz)/2
(式中、αxは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最大の成分であり;αyは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、二番目に大きい成分であり;αzは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最小の成分である。)
15. 前記セルロースオリゴマー誘導体の、Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基が芳香族アシル基であり、Δαが2.5×10-24cm3未満である置換基が脂肪族アシル基であることを特徴とする請求14に記載のセルロース体フィルム。
16. 前記セルロースオリゴマー誘導体の、前記Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基の平均置換度が、Δαが2.5×10-24cm3未満である置換基の平均置換度よりも高いことを特徴とする上記14あるいは15に記載のセルロース体フィルム。
17. 前記セルロースオリゴマー誘導体の、前記Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基の平均置換度が、6位水酸基において最も高いことを特徴とする上記14〜16のいずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
18. 前記セルロースオリゴマー誘導体の、前記脂肪族アシル基がアセチル基、プロピオニル基およびブチリル基から選ばれ、かつ前記芳香族アシル基の芳香環上の置換基として、ハロゲン原子、シアノ、炭素原子数が1乃至20のアルキル基、炭素原子数が1乃至20のアルコキシ基、炭素原子数が6乃至20のアリール基、炭素原子数が6乃至20のアリールオキシ基、炭素原子数が1乃至20のアシル基、炭素原子数が1乃至20のカルボンアミド基、炭素原子数が1乃至20のスルホンアミド基および炭素原子数が1乃至20のウレイド基からなる群より選ばれる構造を有することを特徴とする上記14〜17のいずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
19. 前記セルロースオリゴマー誘導体の、前記Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基の全置換度が2.0〜3.0を特徴とする上記14〜18いずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
20. 前記セルロース体がセルロースアシレートであることを特徴とする上記13〜19のいずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
21. 下記一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)で表される化合物のうち少なくとも1種を含有することを特徴とする上記13〜20のいずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
22. ヘイズが1.0%以下であることを特徴とする上記12〜21のいずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
23. 偏光子及びその両側に配置された2枚の保護フィルムからなる偏光板であって、少なくとも1枚の保護フィルムが上記12〜22のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムであることを特徴とする偏光板。
24. 液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有する液晶表示装置であって、少なくとも1つの偏光板が上記23に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
25. 該液晶セルがVAモードであることを特徴とする上記24に記載の液晶表示装置。
まず、本発明のセルロース体フィルムに使用するセルロースオリゴマー誘導体について説明する。
本発明のセルロースオリゴマー誘導体はセルロースアシレートの構成単位であるβ−グルコース環上の3つの水酸基内の少なくとも1つに連結する置換基として、後述するように分極率異方性が比較的大きい置換基を有することが好ましい。分極率異方性が比較的大きい置換基を有するセルロースアシレートを用い、延伸処理と組み合わせると該置換基を延伸直交方向に配向させることができ、これによってレターデーションの波長分散を所望の性能に最適化することができる。
この場合、遅相軸は延伸方向に発現する必要があり、延伸方向の屈折率が延伸直行方向の屈折率よりも大きく、かつ屈折率の波長分散が延伸方向よりも延伸直交方向において大きくなる必要がある。したがって、分極率異方性が大きい置換基の最大吸収波長がセルロース体の置換基の最大吸収波長よりも長波長側に選択することが好ましい。
数式(1):Δα=αx−(αy+αz)/2
(式中、αxは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最大の成分であり;αyは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、二番目に大きい成分であり;αzは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最小の成分である。)
Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基としては、例えば、芳香族アシル基が、また、Δαが2.5×10-24cm3未満である置換基としては、例えば、脂肪族アシル基が挙げられる。
また、該分極率異方性が300×10-24cm-3よりも大きいと、置換基の大きさが過大となり、セルロースアシレートの溶解性が不足したり、また得られるフィルムの剛性が不足して取り扱い性が悪くなる等の問題が生じやすくなる。
さらに前記置換基の分極率異方性は、4.0×10-24cm-3以上300×10-24cm-3以下であることがより好ましく、6.0×10-24cm-3以上300×10-24cm-3以下であることが更に好ましく、8.0×10-24cm-3以上300×10-24cm-3以下であることがもっとも好ましい。
置換基の分極率異方性はGaussian03(Revision B.03、米ガウシアン社ソフトウェア)を用いて計算した。具体的には、分極率異方性はB3LYP/6-31G*レベルで最適化された構造を用いて、B3LYP/6-311+G**レベルで分極率を計算し、得られた分極率テンソルを対角化した後、対角成分より算出した。本発明における置換基の分極率異方性の計算においては、セルロースアシレートの構成単位であるβ−グルコース環上の水酸基に連結する置換基を、水酸基の酸素原子を含む部分構造にて計算して求めた。
(S1) 0≦SS≦3.0−SB
(S2) 1.0≦SS≦3.0−SB
(S3) 2.0≦SS≦3.0−SB
上記一般式(1)において、R2、R3およびR6はそれぞれ独立に水素原子、脂肪族基および芳香族基を表す。R2、R3およびR6の組み合わせは特に限定されないが、水素原子/芳香族基の2元系および水素原子/脂肪族基/芳香族基の3元系の組み合わせからなることがより好ましい。脂肪族基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。脂肪族基および芳香族基が有していても良い置換基としては後述の置換基Tが挙げられる。X2、X3およびX6はそれぞれ独立に単結合、−O−、−CO−および−NR−(Rは脂肪族基または芳香族基を表す)からなる群から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。X2、X3およびX6の組み合わせは特に限定されないが、−CO−、−NR−から選ばれるのがより好ましい。nは5以上50以下の自然数を表す。nは5〜50が好ましく、5〜40がより好ましく、5〜30が最も好ましい。
脂肪族基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数1〜12のものが好ましく、1〜8のものがより好ましく、1〜5のものが特に好ましい。脂肪族基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル、tert−ブチル基、アミル基、iso−アミル基、tert−アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ビシクロオクチル基、アダマンチル基、n−デシル基、tert−オクチル基、ドデシル基などが挙げられる。
芳香族基は芳香族炭化水素基でも芳香族ヘテロ環基でもよく、より好ましくは芳香族炭化水素基である。芳香族炭化水素基としては、炭素原子数が6〜24のものが好ましく、6〜12のものがさらに好ましい。芳香族炭化水素基の具体例な環としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、ターフェニルなどが挙げられる。芳香族炭化水素基としては、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニルが特に好ましい。芳香族ヘテロ環基としては、酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のうち少なくとも1つを含むものが好ましい。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環基としては、ピリジン、トリアジン、キノリンが特に好ましい。
置換基Tとしては、例えばアルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8のものであり、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル、シクロヘキシル基などが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは6〜20、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20、より好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜6であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基などが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜20、より好ましくは0〜16、特に好ましくは0〜12であり、例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルチオ基などが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメシル基、トシル基などが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素原子数3〜40、より好ましくは3〜30、特に好ましくは3〜24であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
本発明のセルロース体組成物は、本発明のセルロースオリゴマー誘導体を少なくとも1種と、セルロース体とを含む組成物である。セルロース体により光学性能、製膜性能を付与するとともに、セルロースオリゴマー誘導体を適当量使用することによりレターデーションの波長分散を改良することを目的とする。したがって使用するセルロース体は所望の光学性能に合わせて選択することが好ましい。本発明において、「セルロース体」とは、セルロースを基本構造とする化合物であって、セルロースを原料として生物的あるいは化学的に官能基を導入して得られるセルロース骨格を有する化合物をいう。セルロース体として好ましいものはセルロースエステルであり、より好ましくはセルロースアシレート(セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等が挙げられる。)である。また本発明においては、セルロースオリゴマー誘導体とセルロース体組成物の相溶性が良く、製膜が十分に可能な範囲において異なる2種類以上のセルロース体を混合して用いてもよい。
本発明のセルロース体組成物において、セルロースオリゴマー誘導体添加量が少ない場合にはレターデーションの波長分散改良効果が不十分になり、多すぎる場合には得られたフィルムのガラス転移温度が低下しフィルムの耐久性が低下する。セルロースオリゴマー誘導体の含有量は、セルロース体100質量部に対し0.1〜50質量部が好ましい。より好ましくは1〜30質量部、さらに好ましい範囲は2〜20質量部である。
本発明に用いられるセルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができ、本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
数式(2):2.0≦A+B≦3.0
数式(3):0<B
上記式中Aは、セルロースの水酸基に置換されているアセチル基の置換度を表し、Bはセルロースの水酸基に置換されている炭素原子数3以上のアシル基の置換度を表す。
本発明におけるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であることが好ましく、セルロースアセテートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400がさらに好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度を700以下とすることにより、セルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなり過ぎず、流延によるフィルム製造が容易になる傾向にある。また、重合度を180以上とすることにより、作製したフィルムの強度がより向上する傾向にあり好ましい。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫著、「繊維学会誌」、第18巻、第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。具体的には、特開平9−95538号公報に記載の方法に従って測定することができる。
また、本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがより好ましく、1.0〜1.6であることがさらに好ましい。
また、本発明におけるセルロースアシレートの原料綿や合成方法としては、例えば、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜12頁)に記載のものを好ましく採用できる。
本発明のセルロースアシレートフィルムに使用されるレターデーション調整剤について説明する。セルロースアシレート100質量部に対し、レターデーション調整剤は0.01〜20質量部添加することが好ましく、0.1〜20質量部添加することがより好ましく、0.5〜20質量部添加することがさらに好ましい。
レターデーション調整剤は、セルロースアシレートに添加することによってセルロースアシレートフィルムのレターデーションを調整する機能を有するものであれば、その種類は特に制限されない。好ましいレターデーション調整剤は、一般式(2)、一般式(3)、あるいは一般式(4)で表される化合物である。
そこで、以下において一般式(2)、一般式(3)、あるいは一般式(4)で表される化合物について詳細に説明する。
まず、一般式(2)で表される化合物について説明する。
Ar1、Ar2およびAr3はそれぞれ独立にアリール基または芳香族ヘテロ環を表し、Ar1、Ar2およびAr3で表されるアリール基として好ましくは炭素数6〜30のアリール基であり、単環であってもよいし、さらに他の環と縮合環を形成してもよい。また、可能な場合には置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。
一般式(2)中、Ar1、Ar2およびAr3で表されるアリール基としてより好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えばフェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
ここで、一般式(3)で示される化合物は1,3,5−トリアジン環を有する化合物であり、少なくとも2つの芳香環を有する芳香族化合物を好ましく用いることができる。
また、式(3)で表される化合物は、メラミン化合物であることが特に好ましい。メラミン化合物では、式(3)において、X1、X2およびX3が、それぞれ、−NR4−、−NR5−および−NR6−であるか、あるいは、X1、X2およびX3が単結合であり、かつR1、R2およびR3が窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基である。−X1−R1、−X2−R2および−X3−R3は、同一の置換基であることが好ましい。R1、R2およびR3は、アリール基であることが特に好ましい。R4、R5およびR6は、水素原子であることが特に好ましい。
アルキル基の炭素原子数は、1乃至30であることが好ましく、1乃至20であることがより好ましく、1乃至10であることがさらに好ましく、1乃至8であることがさらにまた好ましく、1乃至6であることが最も好ましい。アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、エポキシエチルオキシ)およびアシルオキシ基(例、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ)が含まれる。上記アルケニル基は、環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基である方が好ましい。分岐を有する鎖状アルケニル基よりも、直鎖状アルケニル基の方が好ましい。アルケニル基の炭素原子数は、2乃至30であることが好ましく、2乃至20であることがより好ましく、2乃至10であることがさらに好ましく、2乃至8であることがさらにまた好ましく、2乃至6であることが最も好ましい。アルケニル基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、エポキシエチルオキシ)およびアシルオキシ基(例、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ)が含まれる。
R4、R5、R6、R7、R8及びR9は各々表される置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜40、より好ましくは炭素数0〜30、特に好ましくは炭素数0〜20のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、
本発明のセルロースアシレート溶液には、上記一般式(1)で表される化合物のほか、種々の添加剤(例えば、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、光学特性調整剤等)を加えることができる。また、一般式(1)で表される化合物および他の添加剤の添加時期は、ドープ作製工程の何れにおいて添加してもよく、また、ドープ調製工程の最後に調製工程としてこれらの添加剤を添加してもよい。
紫外線吸収剤としては、目的に応じ任意の種類のものを選択することができ、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系、ニッケル錯塩系等の吸収剤を用いることができ、好ましくはベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸エステル系である。
前記劣化防止剤は、セルローストリアセテート等が劣化、分解するのを防止するために添加してもよい。劣化防止剤としては、ブチルアミン、ヒンダードアミン化合物(特開平8−325537号公報)、グアニジン化合物(特開平5−271471号公報)、ベンゾトリアゾール系UV吸収剤(特開平6−235819号公報)、ベンゾフェノン系UV吸収剤(特開平6−118233号公報)などの化合物を用いることができる。
可塑剤としては、リン酸エステルおよび/またはカルボン酸エステルであることが好ましい。リン酸エステル系可塑剤としては、例えばトリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェート(BDP)、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が好ましい。また、カルボン酸エステル系可塑剤としては、例えばジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)、ジエチルヘキシルフタレート(DEHP)、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)、O−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等が好ましい。さらに、前記可塑剤が、(ジ)ペンタエリスリトールエステル類、グリセロールエステル類、ジグリセロールエステル類であることが好ましい。
剥離促進剤としては、クエン酸のエチルエステル類が好ましい例として挙げられる。
[赤外吸収剤]
赤外吸収剤としては、例えば特開2001−194522号公報に記載のものが好ましい。
本発明では、色相調整のための染料を添加してもよい。染料の含有量は、セルロースアシレートに対する質量割合で10〜1000ppmが好ましく、50〜500ppmがさらに好ましい。この様に染料を含有させることにより、セルロースアシレートフィルムのライトパイピングが減少でき、黄色味を改良することができる。これらの化合物は、セルロースアシレート溶液の調製の際に、セルロースアシレートや溶媒と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。またインライン添加する紫外線吸収剤液に添加してもよい。特開平5−34858号公報に記載の染料を用いることができる。
本発明のセルロースアシレートフィルムには、マット剤として微粒子を加えてもよい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子は、ケイ素を含むものが濁度が低くなる点でより好ましく、特に二酸化ケイ素が好ましい。二酸化ケイ素の微粒子は、1次平均粒子サイズが20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上がさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、分子量が3000以下の化合物の総量は、セルロースアシレート質量に対して5〜45質量%であることが好ましい。より好ましくは10〜40質量%であり、さらに好ましくは15〜30質量%である。これらの化合物としては上述したように、光学異方性を低下する化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、剥離剤、赤外吸収剤などである。さらに、分子量が2000以下の化合物の総量が上記範囲内であることがより好ましい。これら化合物の総量を5質量%以上とすることにより、セルロースアシレート単体の性質が出にくくなり、例えば、温度や湿度の変化に対して光学性能や物理的強度が変動しにくくなる。またこれら化合物の総量を45質量%以下とすることにより、セルロースアシレートフィルム中に化合物が相溶する限界を超え、フィルム表面に析出してフィルムの白濁(フィルムからの泣き出し)が抑止される傾向にあり好ましい。
本発明では、溶液製膜法によりセルロースアシレートフィルムを製造するので、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いて製造する。本発明の主溶媒として好ましく用いられる有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、および炭素原子数が1〜7のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
特開2000−95876号、特開平12−95877号、特開平10−324774号、特開平8−152514号、特開平10−330538号、特開平9−95538号、特開平9−95557号、特開平10−235664号、特開平12−63534号、特開平11−21379号、特開平10−182853号、特開平10−278056号、特開平10−279702号、特開平10−323853号、特開平10−237186号、特開平11−60807号、特開平11−152342号、特開平11−292988号、特開平11−60752号、特開平11−60752号の各公報
これらの特許文献によると本発明のセルロースアシレートに好ましい溶媒だけでなく、その溶液物性や共存させる共存物質についても記載があり、それらも、本発明においても好ましい態様である。
次に、本発明のセルロースアシレートフィルムの製造方法について説明する。本発明のセルロースアシレートフィルムは、溶液製膜法により製造する。以下、溶液製膜法について詳細に記す。
本発明のセルロースアシレート溶液(ドープ)の調製は、その溶解方法は特に限定されず、室温でもよくさらには冷却溶解法または高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。本発明におけるセルロースアシレート溶液の調製、さらには溶解工程に伴う溶液濃縮、ろ過の各工程に関しては、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(22頁〜25頁)にて詳細に記載されている製造工程が好ましく用いられる。
次に、本発明のセルロースアシレート溶液を用いたフィルムの製造方法について述べる。本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置を広く採用することができる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば、回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて得られたフィルムを乾燥装置のロール群で機械的に搬送し乾燥を終了して巻き取り機でロール状に所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。本発明のセルロースアシレートフィルムの主な用途である、電子ディスプレイ用の光学部材である機能性保護膜やハロゲン化銀写真感光材料に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらについては、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(25頁〜30頁)に詳細に記載されており、流延(共流延を含む)、金属支持体、乾燥、剥離などに分類され、本発明において好ましく用いることができる。
本発明に好ましく用いられるセルロースアシレートフィルムは、延伸処理によりレターデーション値を調整することが好ましい。特に、セルロースアシレートフィルムの面内レターデーション値を高い値とする場合には、積極的に幅方向に延伸する方法、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、特開平4−284211号、特開平4−298310号、及び特開平11−48271号の各公報などに記載されている、製造したフィルムを延伸する方法を用いることができる。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のリターデーションおよび厚さ方向のリターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(1)及び式(2)よりRthを算出することもできる。
上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値を表す。
式(1)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。
式(2):
Rth=((nx+ny)/2−nz)xd
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
数式(4):0nm≦Re(590)≦200nm
数式(5):0nm≦Rth(590)≦400nm
(式中、Re(590)、Rth(590)は、波長λ=590nmにおける値(単位:nm)である。)
さらに好ましくは、
数式(4−1):30nm≦Re(590)≦150nm
数式(5−1):30nm≦Rth(590)≦300nm
2枚型の場合、Re(590)は20〜100nmが好ましく、30〜70nmがさらに好ましい。Rth(590)については70〜300nmが好ましく、100〜200nmがさらに好ましい。
1枚型の場合、Re(590)は30〜150nmが好ましく、40〜100nmがさらに好ましい。Rth(590)については100〜300nmが好ましく、150〜250nmがさらに好ましい。
本発明の光学補償シートに用いるセルロースアシレートフィルムの透湿度は、JIS規格JISZ0208をもとに、温度60℃、湿度95%RH(相対湿度)の条件において測定し、膜厚80μmに換算して400〜2000g/m2・24hであることが好ましい。500〜1800g/m2・24hであることがより好ましく、600〜1600g/m2・24hであることが特に好ましい。2000g/m2・24h以下とすることにより、フィルムのRe値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超えにくくなり、好ましい。また、本発明のセルロースアシレートフィルムに光学異方性層を積層して光学補償フィルムとした場合も、Re値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超えにくくなり、好ましい。この光学補償シートや偏光板が液晶表示装置に組み込まれた場合、色味の変化や視野角の低下を引き起こす。また、セルロースアシレートフィルムの透湿度を400g/m2・24h以上とすることにより、偏光膜の両面などに貼り付けて偏光板を作製する場合に、セルロースアシレートフィルムによって接着剤が乾燥しにくくなり、接着不良を生じにくくできる。
セルロースアシレートフィルムの膜厚が厚ければ透湿度は小さくなり、膜厚が薄ければ透湿度は大きくなる傾向にある。そこで、本発明における透湿度は、膜厚を80μmに換算した値として述べている。膜厚の換算は、(80μm換算の透湿度=実測の透湿度×実測の膜厚μm/80μm)として求める。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4,共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、本発明のセルロースアシレートフィルム試料70mmφを25℃、90%RH及び60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、透湿試験装置(KK−709007、商品名、東洋精機(株))にて、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)し、透湿度=調湿後質量−調湿前質量で求める。
本発明のセルロース体組成物からなるフィルムにおいて、添加剤は150℃10時間処理したフィルムからの化合物の揮散量において、30%以下であることが好ましく、0〜25%がより好ましく、0〜20%であることが特に好ましい。揮散量が多すぎると、工程汚染の主要因となり問題となる。
なお、フィルムからの揮散量は、150℃10時間処理したフィルムおよび未処理のフィルムをそれぞれ溶媒に溶かし出し、液体高速クロマトグラフィーにて化合物を検出し、化合物のピーク面積をフィルム中に残存した化合物量として、下記式により算出することができる。
揮散量(%)={(未処理品中の残存化合物量)−(処理品中の残存化合物量)}/(未処理品中の残存化合物量)×100
本発明では、セルロースアシレートフィルムに対する残留溶剤量が、0.01〜1.5質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。より好ましくは0.01〜1.0質量%である。本発明のセルロースアシレートフィルムを支持体に用いる場合、残留溶剤量を該範囲内とすることでカールをより抑制できる。これは、前述の溶液製膜方法による成膜時の残留溶剤量が少なくすることで自由体積が小さくなることが主要な効果要因になるためと思われる。
本発明のセルロースアシレートフィルムの吸湿膨張係数は30×10-5/%RH以下とすることが好ましく、15×10-5/%RH以下とすることがより好ましく、10×10-5/%RH以下であることがさらに好ましい。また、下限値は特に定めるものではなく、吸湿膨張係数は小さい方が好ましい傾向にあるが、より好ましくは、1.0×10-5/%RH以上の値である。吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。この吸湿膨張係数を調節することで、本発明のセルロースアシレートフィルムを光学補償フィルム支持体として用いた際、光学補償フィルムの光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇すなわち歪みによる光漏れを防止することができる。
セルロースアシレートフィルムは、場合により表面処理を行うことによって、セルロースアシレートフィルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。例えば、グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10−3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報公技番号2001−1745号(30頁〜32頁)に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
アルカリ鹸化処理は、セルロースアシレートフィルムを鹸化液の槽に直接浸漬する方法、又は鹸化液をセルロースアシレートフィルムに塗布する方法により実施することが好ましい。塗布方法としては、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法及びE型塗布法を挙げることができる。アルカリ鹸化処理塗布液の溶媒は、鹸化液をセルロースアシレートフィルムに対して塗布するために、濡れ性がよく、また鹸化液溶媒によってセルロースアシレートフィルム表面に凹凸を形成させずに、面状を良好なまま保つ溶媒を選択することが好ましい。具体的には、アルコール系溶媒が好ましく、イソプロピルアルコールが特に好ましい。また、界面活性剤の水溶液を溶媒として使用することもできる。アルカリ鹸化塗布液のアルカリは、上記溶媒に溶解するアルカリが好ましく、KOH、NaOHがさらに好ましい。鹸化塗布液のpHは10以上が好ましく、12以上がさらに好ましい。アルカリ鹸化時の反応条件は、室温で1秒〜5分が好ましく、5秒〜5分がさらに好ましく、20秒〜3分が特に好ましい。アルカリ鹸化反応後、鹸化液塗布面を水洗あるいは酸で洗浄したあと水洗することが好ましい。
本発明のセルロースフィルムは、その用途として光学用途と写真感光材料に適用される。特に光学用途が液晶表示装置であることが好ましく、液晶表示装置が、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償シートを配置した構成であることがさらに好ましい。これらの液晶表示装置としては、TN、IPS、FLC、AFLC、OCB、STN、ECB、VAおよびHANが好ましい。
その際に前述の光学用途に本発明のセルロースフィルムを用いるに際し、各種の機能層を付与することが実施される。それらは、例えば、帯電防止層、硬化樹脂層(透明ハードコート層)、反射防止層、易接着層、防眩層、光学補償層、配向層、液晶層などである。本発明のセルロースフィルムを用いることができるこれらの機能層及びその材料としては、界面活性剤、滑り剤、マット剤、帯電防止層、ハードコート層などが挙げられ、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(32頁〜45頁)に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
本発明のセルロースフィルムの用途について説明する。
本発明のセルロースフィルムは特に偏光板保護膜用として有用である。偏光板保護膜として用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られたセルロースフィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号公報、特開平6−118232号公報に記載されているような易接着加工を施してもよい。
保護膜処理面と偏光膜を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
偏光板は偏光膜及びその両面を保護する保護膜で構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成してもよい。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、本発明のセルロースフィルムを適用した偏光板保護膜はどの部位に配置しても優れた表示性が得られる。特に液晶表示装置の表示側最表面の偏光板保護膜には透明ハードコート層、防眩層、反射防止層等が設けられるため、該偏光板保護膜をこの部分に用いることが得に好ましい。
本発明のセルロースフィルムは、様々な用途で用いることができ、液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いると特に効果がある。なお、光学補償フィルムとは、一般に液晶表示装置に用いられ、位相差を補償する光学材料のことを指し、位相差板、光学補償シートなどと同義である。光学補償フィルムは複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。
セルロースフィルムを光学補償フィルムとして用いる場合は、偏光膜の透過軸と、セルロースフィルムからなる光学補償フィルムの遅相軸とをどのような角度で配置しても構わない。液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光膜、および該液晶セルと該偏光膜との間に少なくとも一枚の光学補償フィルムを配置した構成を有している。
液晶セルの液晶層は、通常は、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、さらにガスバリアー層、ハードコート層あるいは(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、好ましくは50μm〜2mmの厚さを有する。
本発明のセルロースフィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。具体的には、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)等の表示モードが挙げられる。また、上記表示モードを配向分割した表示モードにおいても用いることができる。また、本発明のセルロースフィルムは、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても好ましく用いることができる。
本発明のセルロースフィルムを、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置については、古くから良く知られている。TN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平3−9325号、特開平6−148429号、特開平8−50206号、特開平9−26572号の各公報の記載に従って作製することができる。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys. Vol.36(1997)p.143や、Jpn.J.Appl.Phys. Vol.36(1997)p.1068)の記載に従って作製することができる。
本発明のセルロースフィルムを、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性分子が90〜360度の範囲にねじられており、棒状液晶性分子の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積(Δn・d)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開2000−105316号公報の記載に従って作製することができる。
本発明のセルロースフィルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として特に有利に用いられる。VA型液晶表示装置に用いる光学補償シートのRe値を0〜150nmとし、Rth値を70〜400nmとすることが好ましい。VA型液晶表示装置に二枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRth値は70〜250nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置に一枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRth値は150〜400nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置は、例えば特開平10−123576号公報に記載されているような配向分割された方式であってもよい。
本発明のセルロースフィルムは、IPSモードおよびECBモードの液晶セルを有するIPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置の光学補償シートの支持体、または偏光板の保護膜としても有利に用いられる。これらのモードは黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、電圧無印加状態で液晶分子を基板面に対して平行配向させて、黒表示する。これらの態様において本発明のセルロースフィルムを用いた偏光板は色味の改善、視野角拡大、コントラストの良化に寄与する。この態様においては、液晶セルの上下の前記偏光板の保護膜のうち、液晶セルと偏光板との間に配置された保護膜(セル側の保護膜)に本発明のセルロースフィルムを用いた偏光板を少なくとも片側一方に用いることが好ましい。更に好ましくは、偏光板の保護膜と液晶セルの間に光学異方性層を配置し、配置された光学異方性層のレターデーション値を、液晶層のΔn・dの値の2倍以下に設定するのが好ましい。
本発明のセルロースフィルムは、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置あるいはHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートには、レターデーション値の絶対値が最小となる方向が光学補償シートの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートの光学的性質も、光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質および光学的異方性層と支持体との配置により決定される。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平9−197397号公報の記載に従って作製することができる。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys. Vol.38(1999)p.2837)の記載に従って作製することができる。
本発明のセルロースフィルムは、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest−Host)型の反射型液晶表示装置の光学補償シートとしても有利に用いられる。これらの表示モードは古くから良く知られている。TN型反射型液晶表示装置については、特開平10−123478号公報、国際公開第98/48320号パンフレット、特許第3022477号公報の記載に従って作製することができる。反射型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、国際公開第2000/65384号パンフレットの記載に従って作製することができる。
本発明のセルロースフィルムは、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)モードの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)他の論文(Kume et al., SID 98 Digest 1089(1998))の記載に従って作製することができる。
本発明のセルロースフィルムは、また、ハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルムに好ましく用いることができる。LCD、PDP、CRT、EL等のフラットパネルディスプレイの視認性を向上する目的で、本発明のセルロースフィルムの片面または両面にハードコート層、防眩層、反射防止層の何れかあるいは全てを付与することができる。このような防眩フィルム、反射防止フィルムとしての望ましい実施態様は、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(54頁〜57頁)に詳細に記載されており、本発明のセルロースフィルムを好ましく用いることができる。
さらに、本発明のセルロースフィルムは、ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としても適用できる。具体的には、特開2000−105445号公報にカラーネガティブに関する記載に従って、本発明のセルロースフィルムが好ましく用いられる。またカラー反転ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としての適用も好ましく、特開平11−282119号公報に記載されている各種の素材や処方さらには処理方法に従って、作製することができる。
本発明のセルロースフィルムは、光学的異方性がゼロに近く、優れた透明性を持たせることもできることから、液晶表示装置の液晶セルガラス基板の代替、すなわち駆動液晶を封入する透明基板としても用いることができる。
液晶を封入する透明基板はガスバリアー性に優れる必要があることから、必要に応じて本発明のセルロースフィルムの表面にガスバリアー層を設けてもよい。ガスバリアー層の形態や材質は特に限定されないが、本発明のセルロースフィルムの少なくとも片面にSiO2等を蒸着したり、塩化ビニリデン系ポリマーやビニルアルコール系ポリマーなど相対的にガスバリアー性の高いポリマーのコート層を設ける方法が考えられ、これらを適宜使用できる。
また液晶を封入する透明基板として用いるには、電圧印加によって液晶を駆動するための透明電極を設けてもよい。透明電極としては特に限定されないが、本発明のセルロースフィルムの少なくとも片面に、金属膜、金属酸化物膜などを積層することによって透明電極を設けることができる。中でも透明性、導電性、機械的特性の点から、金属酸化物膜が好ましく、なかでも酸化スズを主として酸化亜鉛を2〜15%含む酸化インジウムの薄膜が好ましく使用できる。これら技術の詳細は例えば、特開2001−125079号公報や特開2000−227603号公報に記載の方法を用いることができる。
(セルロースオリゴマー誘導体含有セルロースアシレートフィルムの作成)
〔合成例:B−1の合成〕
メカニカルスターラー、温度計、冷却管、滴下ロートをつけた500mlの三ツ口フラスコにアセチル置換度1.11、重合度n=30のセルロースアセテートオリゴマー(ダイセル化学工業(株)より購入)10.0g、ピリジン100mlを量り取り、室温で攪拌した。ここに27.6mLのベンゾイルクロリドC6H5COClをゆっくりと滴下し、添加後さらに60℃にて6時間攪拌した。反応後、室温に戻るまで放冷し、反応溶液をメタノール4Lへ激しく攪拌しながら投入すると、白色固体が析出した。白色固体を吸引ろ過によりろ別し、大量のメタノールで3回洗浄を行った。得られた白色固体を60℃で終夜乾燥した後、90℃で6時間真空乾燥することによりセルロースオリゴマー誘導体(B−1)を白色粉体として得た。(13.1g、収率81.0%)
原料に用いたセルロースアセテートオリゴマーのアセチル置換度が異なる(0.95)(0.19)以外は、合成例:B−1と同様にしてセルロースオリゴマー誘導体(B−2),(B−3)を白色粉体として得た。(14.3g、収率81.7%),(13.7g、収率78.3%)
原料に用いたセルロースアセテートオリゴマーのアセチル置換度が異なる(0.21)ことと、27.6mLのベンゾイルクロリドの代わりに20.3gのアサロン酸クロリド(2,4,5−トリメトキシベンゾイルクロリド)(CH3O)3C6H2COClを使用したこと以外は、合成例:B−1と同様にしてセルロースオリゴマー誘導体(B−4)を白色粉体として得た。(13.1g、収率74.8%)
本発明に用いたセルロースアシレート(TAC1,TAC2)、セルロースオリゴマー誘導体(B−1〜B−4)を表1に示す。なお、表1の置換基の欄には置換基を化学式で示し、更に各基に続けて( )内に本文中に記載の方法により計算した各基の分極率異方性を示した。
表2に記載の組成物を耐圧性のミキシングタンクに投入し6時間攪拌して各成分を溶解し、セルロースオリゴマー誘導体を含有するドープ溶液(以下、「ドープ溶液」ともいう)T−1〜T−7を調製した。
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
マット剤溶液組成
――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒径20nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、
日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.0質量部
エタノール(第2溶媒) 12.7質量部
セルロースアシレート溶液B 10.3質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、紫外線吸収剤溶液を調製した。
紫外線吸収剤溶液組成
―――――――――――――――――――――――――――――――
紫外線吸収剤(A) 4.0質量部
紫外線吸収剤(B) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.2質量部
エタノール(第2溶媒) 11.2質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――
上記マット剤溶液を1.3質量部と紫外線吸収剤溶液6.0質量部それぞれを濾過後にインラインミキサーで混合後、さらにドープ溶液T−1を92.7質量部、添加してインラインミキサーで混合し、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤含量36質量%でフィルムをバンドから剥離し、140℃の雰囲気温度でフィルムをテンターを用いて15%まで横延伸したのち、70℃で30秒間保持した。延伸開始時の残留溶剤含量は20質量%だった。その後、クリップを外して130℃で40分間乾燥させ、セルロースオリゴマー誘導体含有セルロースアシレートフィルム試料001を製造した。出来あがったセルロースアシレートフィルムの残留溶剤量は0.1質量%であり、膜厚は90μmであった。
セルロースオリゴマー誘導体含有セルロースアシレートフィルム試料001の作製方法において、ドープ溶液T−1を表2に記載のドープ溶液T−2〜T−7に変更する以外は同様の方法により、セルロースオリゴマー誘導体含有セルロースアシレートフィルム試料002〜007を作製した。
[セルロースオリゴマー誘導体含有セルロースアシレートフィルム(レターデーション調整剤入り)の作成]
<ドープ溶液の調製>
表3に記載の組成物を耐圧性のミキシングタンクに投入し6時間攪拌して各成分を溶解し、ドープ溶液T−8〜T−10を調製した。
実施例1に記載のマット剤溶液を1.3質量部と紫外線吸収剤溶液6.0質量部それぞれを濾過後にインラインミキサーで混合後、さらにドープ溶液T−8を92.7質量部、添加してインラインミキサーで混合し、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤含量36質量%でフィルムをバンドから剥離し、140℃の雰囲気温度でフィルムをテンターを用いて15%まで横延伸したのち、70℃で30秒間保持した。延伸開始時の残留溶剤含量は20質量%だった。その後、クリップを外して130℃で40分間乾燥させ、セルロースオリゴマー誘導体含有セルロースアシレートフィルム試料008を製造した。出来あがったセルロースアシレートフィルムの残留溶剤量は0.1質量%であり、膜厚は90μmであった。
セルロースオリゴマー誘導体含有セルロースアシレートフィルム試料008の作製方法において、ドープ溶液T−8を表3に記載のT−9、T−10に変更する以外は同様の方法により、セルロースオリゴマー誘導体含有セルロースアシレートフィルム試料009、010を作製した。
[比較例1]
(セルロースアシレートフィルム011の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Bを調製した。
セルロースアシレート溶液B組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル化度1.0、プロピオニル化度1.4のセルロースアシレート
100.0質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤) 9.0質量部
エチルフタリルエチルグリコレート(可塑剤) 3.5質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 362.0質量部
エタノール(第2溶媒) 100.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレートフィルム011を、2.3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で3分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。
(セルロースアシレートフィルム012の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Cを調製した。
セルロースアシレート溶液C組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル化度1.1、プロピオニル化度1.5のセルロースアシレート
100.0質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤) 9.0質量部
エチルフタリルエチルグリコレート(可塑剤) 3.5質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 362.0質量部
エタノール(第2溶媒) 100.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
マット剤溶液組成
――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒径20nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、
日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.0質量部
エタノール(第2溶媒) 12.7質量部
セルロースアシレート溶液C 10.3質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、紫外線吸収剤溶液を調製した。
紫外線吸収剤溶液組成
―――――――――――――――――――――――――――――――
紫外線吸収剤(A) 4.0質量部
紫外線吸収剤(B) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.2質量部
エタノール(第2溶媒) 11.2質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレートフィルム012を、1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で3分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。
(光学特性の測定)
自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)製)を用い25℃60%RHでRe及びRthを測定した。測定波長は480nm、546nm、628nmとした。
3.5cm×12cmに切り出してフィルムについて、荷重無し、250g、500g、1000g、1500gのそれぞれの荷重におけるReを測定し、応力に対するRe変化の直線の傾きから光弾性率を算出した。測定波長は630nmとした。
<偏光子の作製>
平均重合度4000、鹸化度99.8mol%のPVAを水に溶解し、4.0%の水溶液を得た。この溶液をテーパーのついたダイを用いてバンド流延して乾燥し、延伸前の幅が1100mmで厚みは75μmになるように製膜した。
このフィルムをよう素0.5g/L、よう化カリウム50g/Lの水溶液中に30℃で1分間浸漬し、次いでホウ酸100g/L、よう化カリウム60g/Lの水溶液中に70℃で5分間浸漬し、さらに水洗槽で20度で10秒間水洗したのち、フィルム搬送方向に多段ロール間縦延伸(延伸倍率は5.0倍)を行い、80℃で5分間乾燥してよう素系偏光子(HF−01)を得た。偏光子は、幅660mm、厚みは38μmであった。
ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、実施例1で作製したセルロースアシレートフィルム002を偏光子(HF−01)の片側に貼り付けた。又、トリアセチルセルロースフィルム(フジタックTD−80U)に、国際公開第2002/46809号パンフレット実施例1記載のケン化処理と同様にして表面鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の反対側に貼り付け偏光板HP−02を得た。
偏光子の透過軸と上記セルロースアシレートフィルム002の遅相軸は、平行に配置して接着した。
また、同様にしてセルロースアシレート010、012を用いて偏光板HP−10、HP−12を得た。
液晶セルは、基板間のセルギャップを3.6μmとし、負の誘電率異方性を有する液晶材料(「MLC6608」、メルク社製)を基板間に滴下注入して封入し、基板間に液晶層を形成して作製した。液晶層のリターデーション(即ち、記液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・d)を275nmとした。なお、液晶材料は垂直配向するように配向させた。
このようにして液晶セルを作製したのち、偏光板(HP−02)を図1に示すとおりに貼り合わせ液晶表示装置を作製した。即ち、観察方向(上)から上側偏光板、VAモード液晶セル(上基板、液晶層、下基板)、下側偏光板(HP−02)を積層し、さらにバックライト光源を配置した。なお、上側偏光板には市販品の偏光板(サンリッツ社製偏光板:HLC2−5618)を用いた。このようにして液晶表示装置A−02を作製した。
同様にして下偏光板にHP−10、HP−12、市販品偏光板を用いて、液晶表示装置A−10、A−12、A−Fを得た。
得られた液晶表示装置を白、黒表示させ、輝度計にて正面コントラスト値を測定した。また、A−Fに対する正面コントラスト比を求め、下記式からコントラスト保持率を求めた。
コントラスト保持率(%) = 100 − 正面コントラスト比(%)
実施例3で作製した液晶表示装置を30℃80%RHの環境下で点灯直後及び1000hr時間点灯後の正面の色味変化をELDIM社製Ezcontrastにより測定し、xy色度図上での色味変化の絶対値Δx,Δyを求めた。
各液晶表示装置のコントラスト保持率、及び色味変化を表5に示す。
Claims (25)
- 前記セルロースオリゴマー誘導体中、グルコース単位が有する水酸基の少なくとも一つが、下記数式(1)で表される分極率異方性Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基により置換されていることを特徴とする請求項1記載のセルロース体フィルムの製造方法。
数式(1):Δα=αx−(αy+αz)/2
(式中、αxは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最大の成分であり;αyは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、二番目に大きい成分であり;αzは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最小の成分である。) - 前記セルロースオリゴマー誘導体の、前記Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基が芳香族アシル基であり、Δαが2.5×10-24cm3未満である置換基が脂肪族アシル基であることを特徴とする請求項2に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
- 前記セルロースオリゴマー誘導体の、前記Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基の平均置換度が、Δαが2.5×10-24cm3未満である置換基の平均置換度よりも高いことを特徴とする請求項2あるいは3に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
- 前記セルロースオリゴマー誘導体の、前記Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基の平均置換度が、6位水酸基において最も高いことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
- 前記セルロースオリゴマー誘導体の、前記脂肪族アシル基がアセチル基、プロピオニル基およびブチリル基から選ばれ、かつ前記芳香族アシル基の芳香環上の置換基として、ハロゲン原子、シアノ、炭素原子数が1乃至20のアルキル基、炭素原子数が1乃至20のアルコキシ基、炭素原子数が6乃至20のアリール基、炭素原子数が6乃至20のアリールオキシ基、炭素原子数が1乃至20のアシル基、炭素原子数が1乃至20のカルボンアミド基、炭素原子数が1乃至20のスルホンアミド基および炭素原子数が1乃至20のウレイド基からなる群より選ばれる構造を有することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
- 前記セルロースオリゴマー誘導体の、前記Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基の全置換度が2.0〜3.0を特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
- 前記セルロース体がセルロースアシレートであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
- 前記セルロース体組成物において前記セルロース体100質量部に対する前記セルロースオリゴマー誘導体の含有量が1〜50質量部であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
- 前記セルロース体と前記セルロースオリゴマー誘導体を含有するセルロース体組成物100質量部に対して、さらにレターデーション調整剤0.5〜20質量部を含有させることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
- 前記レターデーション調整剤が、下記一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)で表される化合物のうち少なくとも1種であることを特徴とする請求項10に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とするセルロース体フィルム。
- セルロース体と、下記一般式(1)で表されるセルロースオリゴマー誘導体を含有し、かつ(A)〜(F)の関係を満たすことを特徴とするセルロース体フィルム。
30nm<Re(546)<150nm (A)
100nm<Rth(546)<400nm (B)
0.5<Re(480)/Re(546)<1 (C)
1.0<Re(628)/Re(546)<2.0 (D)
1.0<Rth(480)/Rth(546)<2.0 (E)
0.5<Rth(628)/Rth(546)<1.0 (F)
(但し、Re(λ)は、波長λにおける面内レターデーション(nm)であり、Rth(λ)は、波長λにおける厚み方向のレターデーション(nm)である。) - 前記セルロースオリゴマー誘導体中、グルコース単位が有する水酸基の少なくとも一つが、下記数式(1)で表される分極率異方性Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基により置換されていることを特徴とする請求項13記載のセルロース体フィルム。
数式(1):Δα=αx−(αy+αz)/2
(式中、αxは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最大の成分であり;αyは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、二番目に大きい成分であり;αzは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最小の成分である。) - 前記セルロースオリゴマー誘導体の、Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基が芳香族アシル基であり、Δαが2.5×10-24cm3未満である置換基が脂肪族アシル基であることを特徴とする請求14に記載のセルロース体フィルム。
- 前記セルロースオリゴマー誘導体の、前記Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基の平均置換度が、Δαが2.5×10-24cm3未満である置換基の平均置換度よりも高いことを特徴とする請求項14あるいは15に記載のセルロース体フィルム。
- 前記セルロースオリゴマー誘導体の、前記Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基の平均置換度が、6位水酸基において最も高いことを特徴とする請求項14〜16のいずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
- 前記セルロースオリゴマー誘導体の、前記脂肪族アシル基がアセチル基、プロピオニル基およびブチリル基から選ばれ、かつ前記芳香族アシル基の芳香環上の置換基として、ハロゲン原子、シアノ、炭素原子数が1乃至20のアルキル基、炭素原子数が1乃至20のアルコキシ基、炭素原子数が6乃至20のアリール基、炭素原子数が6乃至20のアリールオキシ基、炭素原子数が1乃至20のアシル基、炭素原子数が1乃至20のカルボンアミド基、炭素原子数が1乃至20のスルホンアミド基および炭素原子数が1乃至20のウレイド基からなる群より選ばれる構造を有することを特徴とする請求項14〜17のいずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
- 前記セルロースオリゴマー誘導体の、前記Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基の全置換度が2.0〜3.0を特徴とする請求項14〜18いずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
- 前記セルロース体がセルロースアシレートであることを特徴とする請求項13〜19のいずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
- 下記一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)で表される化合物のうち少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項13〜20のいずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
- ヘイズが1.0%以下であることを特徴とする請求項12〜21のいずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
- 偏光子及びその両側に配置された2枚の保護フィルムからなる偏光板であって、少なくとも1枚の保護フィルムが請求項12〜22のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムであることを特徴とする偏光板。
- 液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有する液晶表示装置であって、少なくとも1つの偏光板が請求項23に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
- 該液晶セルがVAモードであることを特徴とする請求項24に記載の液晶表示装置。
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