JP2008006602A - セルロースオリゴマー誘導体を含有するセルロース体フィルム、これを用いた偏光板および液晶表示装置 - Google Patents

セルロースオリゴマー誘導体を含有するセルロース体フィルム、これを用いた偏光板および液晶表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2008006602A
JP2008006602A JP2006176643A JP2006176643A JP2008006602A JP 2008006602 A JP2008006602 A JP 2008006602A JP 2006176643 A JP2006176643 A JP 2006176643A JP 2006176643 A JP2006176643 A JP 2006176643A JP 2008006602 A JP2008006602 A JP 2008006602A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
cellulose
film
carbon atoms
substituent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006176643A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4792337B2 (ja
Inventor
Hiromune Haruta
裕宗 春田
Tei Daimatsu
禎 大松
Hiroshi Nozoe
寛 野副
Katsuro Nagaoka
克郎 長岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2006176643A priority Critical patent/JP4792337B2/ja
Publication of JP2008006602A publication Critical patent/JP2008006602A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4792337B2 publication Critical patent/JP4792337B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】視野角に対する色味変化が小さく、高品位の画像を維持できる光学補償シートを提供すること。該光学補償シートを具備した偏光板および液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】セルロース体と、下記一般式(1)で表されるセルロースオリゴマー誘導体を含有するセルロース体組成物を溶液製膜法により製膜した後に製膜したフィルムを延伸する工程を含むことを特徴とするセルロース体フィルムの製造方法。
【化1】
Figure 2008006602

[式中、R2、R3およびR6はそれぞれ独立に水素原子、脂肪族基および芳香族基を表す。X2、X3およびX6はそれぞれ独立に単結合、−O−、−CO−および−NR−(Rは脂肪族基または芳香族基を表す)からなる群から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。nは5以上50以下の自然数を表す。]
【選択図】なし

Description

本発明は、レターデーションの波長分散を制御することができ、ヘイズが少なく視認性に優れた光学補償フィルムとして適したセルロース体フィルム、及びこれを用いた偏光板、該偏光板を用いたコントラストが高く、視野角に対する色味変化が小さい液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、消費電力の小さい省スペースの画像表示装置として年々用途が広がり、主にTNモードが広く用いられている。この方式では、黒表示時に液晶が基板に対して立ち上がるために、斜めから見ると液晶分子による複屈折が発生し、光漏れが起こる。この問題に対して、液晶性分子がハイブリッド配向したフィルムを用いることで、液晶セルを光学的に補償し、この光漏れを防止する方式が実用化されている。しかし、液晶性分子を用いても液晶セルを問題なく完全に光学的に補償することは非常に難しく、画面下方向での諧調反転が抑えきれないという問題を生じていた。
かかる問題を解決するため、横電界を液晶に対して印加する、いわゆるインプレーンスイッチング(IPS)モードによる液晶表示装置や、誘電率異方性が負の液晶を垂直配向してパネル内に形成した突起やスリット電極によって配向分割した垂直配向(VA)モードが提案され、実用化されている。これらの方式によりテレビ等の高品位の画像が要求される市場でも輝度が高い液晶表示装置の需要が急速に拡大しつつある。
これに伴い液晶表示装置において、これまで問題とされていなっかった、黒表示時の対角位斜め入射方向での僅かな光漏れが表示品質の低下の原因として顕在化してきた。そして光学補償フィルムに対してもコントラストが高く、位相差特性の変化が少ないといった光学補償能のさらなる向上が求められている。
VAモード用の液晶表示装置用の光学補償フィルムとしてはAプレートとCプレートを組み合わせたものが特にコントラスト視野角の改善効果が高いことが知られている。
さらに特許文献1には正の屈折率異方性を有する樹脂と、負の屈折率異方性を有する樹脂と、二色性を示すレターデーション調整剤とを混合してなり、又は正の屈折率異方性を有する高分子を形成する繰り返し単位、及び負の屈折率異方性を有する高分子を形成する前記繰り返し単位を有する共重合樹脂と前記レターデーション調整剤とを混合して成る1枚の位相差フィルムにより、広帯域(短波長域から長波長域)における位相差特性に優れ、かつ反射LCDに用いた場合に短波長域及び長波長域においても良好な反射防止効果を有する位相差フィルムを提供する技術が開示されている。しかし、この方法ではフィルムを作製するための材料が高価にならざるを得ないものや、製造コストが高く量産性が悪い問題があった。
また特許文献2には、正の固有複屈折値を有する材料を主成分とする第1層と、負の固有複屈折率値を有する材料を主成分とする第2層とをそれぞれ少なくとも一層有する積層体を延伸することにより形成されるところの、複屈折を有する積層位相差板により、高コントラストで干渉ムラやカラーシフトがなく色再現性の良い液晶表示装置を可能にする技術が開示されている。しかし、この方法では軟化温度が異なる積層体をある温度で延伸するために、各層の最適延伸温度からずれてしまい十分な性能が発現しない問題があった。
特開2004−325523号公報 特開2004−325971号公報
本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであり、第1の目的は、可視域波長に対するレターデーションの波長分散が、貼合される液晶セルに最適なスペクトルに制御できる特徴を有するセルロース体フィルムを提供することにある。
本発明の第2の目的は、該光学補償シートを用いた偏光板、及び該偏光板を用いたコントラストが高く視野角に対する色味変化が小さい液晶表示装置を提供することにある。
本発明の目的は、下記手段により達成された。
本発明は、以下のとおりである。
1. セルロース体と、下記一般式(1)で表されるセルロースオリゴマー誘導体を含有するセルロース体組成物を溶液製膜法により製膜した後に製膜したフィルムを延伸する工程を含むことを特徴とするセルロース体フィルムの製造方法。
Figure 2008006602
[式中、R2、R3およびR6はそれぞれ独立に水素原子、脂肪族基および芳香族基を表す。X2、X3およびX6はそれぞれ独立に単結合、−O−、−CO−および−NR−(Rは脂肪族基または芳香族基を表す)からなる群から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。nは5以上50以下の自然数を表す。]
2. 前記セルロースオリゴマー誘導体中、グルコース単位が有する水酸基の少なくとも一つが、下記数式(1)で表される分極率異方性Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基により置換されていることを特徴とする上記1記載のセルロース体フィルムの製造方法。
数式(1):Δα=αx−(αy+αz)/2
(式中、αxは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最大の成分であり;αyは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、二番目に大きい成分であり;αzは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最小の成分である。)
3. 前記セルロースオリゴマー誘導体中、前記Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基が芳香族アシル基であり、Δαが2.5×10-24cm3未満である置換基が脂肪族アシル基であることを特徴とする上記2に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
4. 前記セルロースオリゴマー誘導体中、前記Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基の平均置換度が、Δαが2.5×10-24cm3未満である置換基の平均置換度よりも高いことを特徴とする上記2あるいは3に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
5. 前記セルロースオリゴマー誘導体中、前記Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基の平均置換度が、6位水酸基において最も高いことを特徴とする上記2〜4のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
6. 前記セルロースオリゴマー誘導体中、前記脂肪族アシル基がアセチル基、プロピオニル基およびブチリル基から選ばれ、かつ前記芳香族アシル基の芳香環上の置換基として、ハロゲン原子、シアノ、炭素原子数が1乃至20のアルキル基、炭素原子数が1乃至20のアルコキシ基、炭素原子数が6乃至20のアリール基、炭素原子数が6乃至20のアリールオキシ基、炭素原子数が1乃至20のアシル基、炭素原子数が1乃至20のカルボンアミド基、炭素原子数が1乃至20のスルホンアミド基および炭素原子数が1乃至20のウレイド基からなる群より選ばれる構造を有することを特徴とする上記3〜5のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
7. 前記セルロースオリゴマー誘導体中、前記Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基の全置換度が2.0〜3.0を特徴とする上記2〜6のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
8. 前記セルロース体がセルロースアシレートであることを特徴とする上記1〜7のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
9. 前記セルロース体組成物において前記セルロース体100質量部に対する前記セルロースオリゴマー誘導体の含有量が1〜50質量部であることを特徴とする上記1〜8のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
10. 前記セルロース体と前記セルロースオリゴマー誘導体を含有するセルロース体組成物100質量部に対して、さらにレターデーション調整剤0.5〜20質量部を含有させることを特徴とする上記1〜9のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
11. 前記レターデーション調整剤が、下記一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)で表される化合物のうち少なくとも1種であることを特徴とする上記10に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
Figure 2008006602
[式中、Ar1、Ar2、Ar3はそれぞれ独立して、アリール基または芳香族ヘテロ環を表し、L1、L2はそれぞれ独立して、単結合、または2価の連結基を表す。nは3以上の整数を表し、それぞれAr2、L2は同一であっても異なっていてもよい。]
Figure 2008006602
[式中、X1は、単結合、−NR4−、−O−または−S−をあらわし、;X2は、単結合、−NR5−、−O−または−S−をあらわし、;X3は、単結合、−NR6−、−O−または−S−をあらわし、;R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基をあらわし;そして、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基をあらわす。]
Figure 2008006602
[式中、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は各々独立して、水素原子又は置換基を表す。]
12. 上記1〜11のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とするセルロース体フィルム。
13. セルロース体と、下記一般式(1)で表されるセルロースオリゴマー誘導体を含有し、かつ(A)〜(F)の関係を満たすことを特徴とするセルロース体フィルム。
Figure 2008006602
[式中、R2、R3およびR6はそれぞれ独立に水素原子、脂肪族基および芳香族基を表す。X2、X3およびX6はそれぞれ独立に単結合、−O−、−CO−および−NR−(Rは脂肪族基または芳香族基を表す)からなる群から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。nは5以上50以下の自然数を表す。]
30nm<Re(546)<150nm (A)
100nm<Rth(546)<400nm (B)
0.5<Re(480)/Re(546)<1 (C)
1.0<Re(628)/Re(546)<2.0 (D)
1.0<Rth(480)/Rth(546)<2.0 (E)
0.5<Rth(628)/Rth(546)<1.0 (F)
(但し、Re(λ)は、波長λにおける面内レターデーション(nm)であり、Rth(λ)は、波長λにおける厚み方向のレターデーション(nm)である。)
14. 前記セルロースオリゴマー誘導体中、グルコース単位が有する水酸基の少なくとも一つが、下記数式(1)で表される分極率異方性Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基により置換されていることを特徴とする上記13記載のセルロース体フィルム。
数式(1):Δα=αx−(αy+αz)/2
(式中、αxは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最大の成分であり;αyは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、二番目に大きい成分であり;αzは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最小の成分である。)
15. 前記セルロースオリゴマー誘導体の、Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基が芳香族アシル基であり、Δαが2.5×10-24cm3未満である置換基が脂肪族アシル基であることを特徴とする請求14に記載のセルロース体フィルム。
16. 前記セルロースオリゴマー誘導体の、前記Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基の平均置換度が、Δαが2.5×10-24cm3未満である置換基の平均置換度よりも高いことを特徴とする上記14あるいは15に記載のセルロース体フィルム。
17. 前記セルロースオリゴマー誘導体の、前記Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基の平均置換度が、6位水酸基において最も高いことを特徴とする上記14〜16のいずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
18. 前記セルロースオリゴマー誘導体の、前記脂肪族アシル基がアセチル基、プロピオニル基およびブチリル基から選ばれ、かつ前記芳香族アシル基の芳香環上の置換基として、ハロゲン原子、シアノ、炭素原子数が1乃至20のアルキル基、炭素原子数が1乃至20のアルコキシ基、炭素原子数が6乃至20のアリール基、炭素原子数が6乃至20のアリールオキシ基、炭素原子数が1乃至20のアシル基、炭素原子数が1乃至20のカルボンアミド基、炭素原子数が1乃至20のスルホンアミド基および炭素原子数が1乃至20のウレイド基からなる群より選ばれる構造を有することを特徴とする上記14〜17のいずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
19. 前記セルロースオリゴマー誘導体の、前記Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基の全置換度が2.0〜3.0を特徴とする上記14〜18いずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
20. 前記セルロース体がセルロースアシレートであることを特徴とする上記13〜19のいずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
21. 下記一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)で表される化合物のうち少なくとも1種を含有することを特徴とする上記13〜20のいずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
Figure 2008006602
[式中、Ar1、Ar2、Ar3はそれぞれ独立して、アリール基または芳香族ヘテロ環を表し、L1、L2はそれぞれ独立して、単結合、または2価の連結基を表す。nは3以上の整数を表し、それぞれAr2、L2は同一であっても異なっていてもよい。]
Figure 2008006602
[式中、X1は、単結合、−NR4−、−O−または−S−をあらわし、;X2は、単結合、−NR5−、−O−または−S−をあらわし、;X3は、単結合、−NR6−、−O−または−S−をあらわし、;R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基をあらわし;そして、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基をあらわす。]
Figure 2008006602
[式中、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は各々独立して、水素原子又は置換基を表す。]
22. ヘイズが1.0%以下であることを特徴とする上記12〜21のいずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
23. 偏光子及びその両側に配置された2枚の保護フィルムからなる偏光板であって、少なくとも1枚の保護フィルムが上記12〜22のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムであることを特徴とする偏光板。
24. 液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有する液晶表示装置であって、少なくとも1つの偏光板が上記23に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
25. 該液晶セルがVAモードであることを特徴とする上記24に記載の液晶表示装置。
本発明のセルロース体フィルムは、光学補償フィルムに好適に用いられ、ヘイズが低く視認性に優れた特徴を有し、かつ特にVAモード液晶表示装置に最適なレターデーションの波長依存性を発現することで、コントラストが高く、視野角に対する色味変化が小さい液晶表示装置が得られる
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
[セルロースオリゴマー誘導体]
まず、本発明のセルロース体フィルムに使用するセルロースオリゴマー誘導体について説明する。
本発明のセルロースオリゴマー誘導体はセルロースアシレートの構成単位であるβ−グルコース環上の3つの水酸基内の少なくとも1つに連結する置換基として、後述するように分極率異方性が比較的大きい置換基を有することが好ましい。分極率異方性が比較的大きい置換基を有するセルロースアシレートを用い、延伸処理と組み合わせると該置換基を延伸直交方向に配向させることができ、これによってレターデーションの波長分散を所望の性能に最適化することができる。
この場合、遅相軸は延伸方向に発現する必要があり、延伸方向の屈折率が延伸直行方向の屈折率よりも大きく、かつ屈折率の波長分散が延伸方向よりも延伸直交方向において大きくなる必要がある。したがって、分極率異方性が大きい置換基の最大吸収波長がセルロース体の置換基の最大吸収波長よりも長波長側に選択することが好ましい。
本発明に用いるセルロースオリゴマー誘導体としては、このグルコース単位が有する水酸基の少なくとも一つが、下記数式(1)で表される分極率異方性Δαが2.5×10-24cm3以上であることが好ましい。
数式(1):Δα=αx−(αy+αz)/2
(式中、αxは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最大の成分であり;αyは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、二番目に大きい成分であり;αzは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最小の成分である。)
Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基としては、例えば、芳香族アシル基が、また、Δαが2.5×10-24cm3未満である置換基としては、例えば、脂肪族アシル基が挙げられる。
本発明における置換基の分極率は、分子軌道法又は密度汎関数法を用いた計算により求めることができ、分極率異方性が大きい置換基として、下記数式(1)で表される分極率異方性が2.5×10-24cm-3以上300×10-24cm-3以下である置換基を有することが好ましい。分極率異方性が2.5×10-24cm-3より小さいと、置換基の分極率異方性によるRth低減効果が十分でない。
また、該分極率異方性が300×10-24cm-3よりも大きいと、置換基の大きさが過大となり、セルロースアシレートの溶解性が不足したり、また得られるフィルムの剛性が不足して取り扱い性が悪くなる等の問題が生じやすくなる。
さらに前記置換基の分極率異方性は、4.0×10-24cm-3以上300×10-24cm-3以下であることがより好ましく、6.0×10-24cm-3以上300×10-24cm-3以下であることが更に好ましく、8.0×10-24cm-3以上300×10-24cm-3以下であることがもっとも好ましい。
(置換基の分極率異方性)
置換基の分極率異方性はGaussian03(Revision B.03、米ガウシアン社ソフトウェア)を用いて計算した。具体的には、分極率異方性はB3LYP/6-31G*レベルで最適化された構造を用いて、B3LYP/6-311+G**レベルで分極率を計算し、得られた分極率テンソルを対角化した後、対角成分より算出した。本発明における置換基の分極率異方性の計算においては、セルロースアシレートの構成単位であるβ−グルコース環上の水酸基に連結する置換基を、水酸基の酸素原子を含む部分構造にて計算して求めた。
また、本発明のセルロースアシレートは、溶液製膜により製膜する場合の溶液への溶解性や、フィルムの取り扱い性の観点で製膜したフィルムの弾性率が好適な範囲内とするため、βグルコース上の水酸基に連結する置換基として、分極率異方性が小さい置換基を含むことが好ましい。分極率異方性が小さい置換基の分極率異方性の好ましい範囲としては、2.5×10-24cm-3より小さいことが好ましい。好ましい置換基の例としてはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等があげられ、より好ましくはアセチル基である。また、分極率異方性が小さい置換基の総置換度SSは、前記分極率が大きい置換基の総置換度SBに対し、下記式(S1)を満たす範囲内であることが好ましい。より好ましくは(S2)を満たす範囲内であり、更に好ましくは(S3)を満たす範囲内である。
(S1) 0≦SS≦3.0−SB
(S2) 1.0≦SS≦3.0−SB
(S3) 2.0≦SS≦3.0−SB
本発明では、下記一般式(1)で表される少なくとも1種の化合物(セルロースオリゴマー誘導体)を、セルロース体フィルム用改質剤として使用する。なお、本発明において、下記一般式(1)において、繰り返し単位の両末端に結合する基は、特に制限するものではない。水素原子、低級アルキル基などの他、脂肪族アシル基、芳香族アシル基などの通常の末端原子または基が結合している。
Figure 2008006602
以下、本発明の一般式(1)で表されるセルロースオリゴマー誘導体について説明する。
上記一般式(1)において、R2、R3およびR6はそれぞれ独立に水素原子、脂肪族基および芳香族基を表す。R2、R3およびR6の組み合わせは特に限定されないが、水素原子/芳香族基の2元系および水素原子/脂肪族基/芳香族基の3元系の組み合わせからなることがより好ましい。脂肪族基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。脂肪族基および芳香族基が有していても良い置換基としては後述の置換基Tが挙げられる。X2、X3およびX6はそれぞれ独立に単結合、−O−、−CO−および−NR−(Rは脂肪族基または芳香族基を表す)からなる群から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。X2、X3およびX6の組み合わせは特に限定されないが、−CO−、−NR−から選ばれるのがより好ましい。nは5以上50以下の自然数を表す。nは5〜50が好ましく、5〜40がより好ましく、5〜30が最も好ましい。
以下に前述の脂肪族基について詳細に説明する。
脂肪族基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数1〜12のものが好ましく、1〜8のものがより好ましく、1〜5のものが特に好ましい。脂肪族基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル、tert−ブチル基、アミル基、iso−アミル基、tert−アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ビシクロオクチル基、アダマンチル基、n−デシル基、tert−オクチル基、ドデシル基などが挙げられる。
以下に前述の芳香族基について詳細に説明する。
芳香族基は芳香族炭化水素基でも芳香族ヘテロ環基でもよく、より好ましくは芳香族炭化水素基である。芳香族炭化水素基としては、炭素原子数が6〜24のものが好ましく、6〜12のものがさらに好ましい。芳香族炭化水素基の具体例な環としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、ターフェニルなどが挙げられる。芳香族炭化水素基としては、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニルが特に好ましい。芳香族ヘテロ環基としては、酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のうち少なくとも1つを含むものが好ましい。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環基としては、ピリジン、トリアジン、キノリンが特に好ましい。
また、以下に前述の置換基Tに関して詳細に説明する。
置換基Tとしては、例えばアルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8のものであり、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル、シクロヘキシル基などが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは6〜20、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20、より好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜6であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基などが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜20、より好ましくは0〜16、特に好ましくは0〜12であり、例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルチオ基などが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメシル基、トシル基などが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素原子数3〜40、より好ましくは3〜30、特に好ましくは3〜24であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
また、本発明のセルロースオリゴマー誘導体の添加量は、セルロース体に対して1〜30質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましく、2〜25質量%であることがさらに好ましく、2〜20質量%であることが最も好ましい。
本発明のセルロースオリゴマー誘導体の分極率異方性が高い置換基の全置換度が低い場合には、延伸処理により配向を制御しても所望のレターデーション波長分散性を確保できない。すなわち延伸直交方向に配向する該置換基が少ないために延伸方向との屈折率差が発生しない。そればかりか、低発現性を補うべく該オリゴマー誘導体添加量の増加が必要となり、セルロース体組成物の相溶性が低下し、フィルムの白化等の故障が発生しやすくなる。したがって、全置換度が高いセルロースオリゴマー誘導体ほど所望の光学性能の発現性が向上し、添加量を低く抑えられることから、分極率異方性が高い置換基の全置換度が2.0〜3.0であることが好ましく、2.4〜3.0であることがより好ましく、2.6〜2.95であることが特に好ましい。
また、分極率異方性が高い置換基の平均置換度が2、3位水酸基において最も高い場合には、グルコピラノース環上の2、3位に置換された分極率異方性が高い置換基どうしの立体障害により、置換基の芳香環がグルコピラノース環に対して垂直に配置し、Reの波長分散が小さくなり、かつRthが負の値をとる傾向が見られる。したがって本発明の目的に使用するセルロースオリゴマー誘導体としては、分極率異方性が高い置換基の平均置換度が6位水酸基において最も高いことが好ましい。これにより延伸直交方向、かつ面内方向に配向した該置換基を多くすることができ、本発明のセルロース体フィルムが簡便に得られる。
本発明のセルロースオリゴマー誘導体の好ましい例(R(−X2−R2、−X3−R3、−X6−R6に相当する部分の構造)および置換度)を以下に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2008006602
Figure 2008006602
本発明のセルロースオリゴマー誘導体の合成は、セルロースオリゴマーもしくはセルロースアシレートオリゴマーを原料として、既知の方法で行うことができる。
[セルロース体組成物]
本発明のセルロース体組成物は、本発明のセルロースオリゴマー誘導体を少なくとも1種と、セルロース体とを含む組成物である。セルロース体により光学性能、製膜性能を付与するとともに、セルロースオリゴマー誘導体を適当量使用することによりレターデーションの波長分散を改良することを目的とする。したがって使用するセルロース体は所望の光学性能に合わせて選択することが好ましい。本発明において、「セルロース体」とは、セルロースを基本構造とする化合物であって、セルロースを原料として生物的あるいは化学的に官能基を導入して得られるセルロース骨格を有する化合物をいう。セルロース体として好ましいものはセルロースエステルであり、より好ましくはセルロースアシレート(セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等が挙げられる。)である。また本発明においては、セルロースオリゴマー誘導体とセルロース体組成物の相溶性が良く、製膜が十分に可能な範囲において異なる2種類以上のセルロース体を混合して用いてもよい。
本発明のセルロース体組成物において、セルロースオリゴマー誘導体添加量が少ない場合にはレターデーションの波長分散改良効果が不十分になり、多すぎる場合には得られたフィルムのガラス転移温度が低下しフィルムの耐久性が低下する。セルロースオリゴマー誘導体の含有量は、セルロース体100質量部に対し0.1〜50質量部が好ましい。より好ましくは1〜30質量部、さらに好ましい範囲は2〜20質量部である。
本発明に用いられるセルロース体に関して詳細に説明する。本発明に用いられるセルロース体は、好ましくはセルロースアシレートである。以下、セルロースアシレートを例にして、本発明の好ましい態様を説明する。
[セルロースアシレート原料綿]
本発明に用いられるセルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができ、本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
前記の特定のセルロースアシレートは、セルロースの水酸基をアセチル基及び炭素原子数が3以上のアシル基で置換して得られたセルロースの混合脂肪酸エステルであって、セルロースの水酸基への置換度が下記数式(2)及び数式(3)を満足するセルロースアシレートであることが好ましい。
数式(2):2.0≦A+B≦3.0
数式(3):0<B
上記式中Aは、セルロースの水酸基に置換されているアセチル基の置換度を表し、Bはセルロースの水酸基に置換されている炭素原子数3以上のアシル基の置換度を表す。
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位及び6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部又は全部を、アシル基によってエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位及び6位のそれぞれについて、セルロースがエステル化している割合(100%のエステル化は置換度1)を意味する。
[セルロースアシレートの重合度]
本発明におけるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であることが好ましく、セルロースアセテートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400がさらに好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度を700以下とすることにより、セルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなり過ぎず、流延によるフィルム製造が容易になる傾向にある。また、重合度を180以上とすることにより、作製したフィルムの強度がより向上する傾向にあり好ましい。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫著、「繊維学会誌」、第18巻、第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。具体的には、特開平9−95538号公報に記載の方法に従って測定することができる。
また、本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがより好ましく、1.0〜1.6であることがさらに好ましい。
低分子成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低くなるため有用である。低分子成分の少ないセルロースアシレートは、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより実施できる。なお、低分子成分の少ないセルロースアシレートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量部に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。本発明で用いるセルロースアシレートの製造時に使用される際には、セルロースアシレートの含水率は2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.7質量%以下であることがさらに好ましい。通常のセルロースアシレートは、2.5〜5質量%の割合で含水していることが知られている。このような場合、上記本発明において好ましい含水率にするため、セルロースアシレートを乾燥することが好ましい。乾燥方法は目的とする含水率とすることができる方法であれば特に限定されない。
また、本発明におけるセルロースアシレートの原料綿や合成方法としては、例えば、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜12頁)に記載のものを好ましく採用できる。
(レターデーション調整剤)
本発明のセルロースアシレートフィルムに使用されるレターデーション調整剤について説明する。セルロースアシレート100質量部に対し、レターデーション調整剤は0.01〜20質量部添加することが好ましく、0.1〜20質量部添加することがより好ましく、0.5〜20質量部添加することがさらに好ましい。
レターデーション調整剤は、セルロースアシレートに添加することによってセルロースアシレートフィルムのレターデーションを調整する機能を有するものであれば、その種類は特に制限されない。好ましいレターデーション調整剤は、一般式(2)、一般式(3)、あるいは一般式(4)で表される化合物である。
そこで、以下において一般式(2)、一般式(3)、あるいは一般式(4)で表される化合物について詳細に説明する。
まず、一般式(2)で表される化合物について説明する。
Figure 2008006602
一般式(2)中、Ar1、Ar2およびAr3はそれぞれ独立にアリール基または芳香族ヘテロ環を表し、L1およびL2はそれぞれ独立に単結合または2価の連結基を表す。nは3以上の整数を表し、それぞれAr2、L2は同一であっても異なっていても良い。
Ar1、Ar2およびAr3はそれぞれ独立にアリール基または芳香族ヘテロ環を表し、Ar1、Ar2およびAr3で表されるアリール基として好ましくは炭素数6〜30のアリール基であり、単環であってもよいし、さらに他の環と縮合環を形成してもよい。また、可能な場合には置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。
一般式(2)中、Ar1、Ar2およびAr3で表されるアリール基としてより好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えばフェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
一般式(2)中、Ar1、Ar2およびAr3で表される芳香族ヘテロ環としては酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のうち少なくとも1つを含む芳香族ヘテロ環であればいずれのヘテロ環でもよいが、好ましくは5ないし6員環の酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のうち少なくとも1つを含む芳香族ヘテロ環である。また、可能な場合にはさらに置換基を有してもよい。置換基としては後述の置換基Tが適用できる。
一般式(2)中、Ar1、Ar2およびAr3で表される芳香族ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン環、ピロール環、チオフェン環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアゾール環、トリアジン環、インドール環、インダゾール環、プリン環、チアゾリン環、チアゾール環、チアジアゾール環、オキサゾリン環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、プテリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、フェナジン環、テトラゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンゾトリアゾール環、テトラザインデン環、ピロロトリアゾール環、ピラゾロトリアゾール環などが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ベンズイミダゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンゾトリアゾール環である。
一般式(2)中、L1およびL2は単結合または2価の連結基を表し、2価の連結基の例として好ましくは、−NR7−(R7は水素原子、置換基を有していても良いアルキル基またはアリール基を表す)で表される基、−SO2−、−CO−、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−S−、−SO−およびこれらの2価基を2つ以上組み合わせて得られる基を挙げることができ、その中でより好ましいものは−O−、−CO−、−SO2NR7−、−NR7SO2−、−CONR7−、−NR7CO−、−COO−、および−OCO−、アルキニレン基であり、最も好ましくは−CONR7−、−NR7CO−、−COO−、および−OCO−、アルキニレン基である。
一般式(2)で表される化合物において、Ar2はL1およびL2と結合するがAr2がフェニレン基である場合、L1−Ar2−L2およびL2−Ar2−L2はそれぞれパラ位(1,4−位)の関係にあることが最も好ましい。
nは3以上の整数を表し、好ましくは3〜7であり、より好ましくは3〜5である。
以下に一般式(2)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。
Figure 2008006602
Figure 2008006602
Figure 2008006602
Figure 2008006602
Figure 2008006602
Figure 2008006602
Figure 2008006602
Figure 2008006602
Figure 2008006602
Figure 2008006602
Figure 2008006602
Figure 2008006602
Figure 2008006602
Figure 2008006602
Figure 2008006602
Figure 2008006602
以下に一般式(3)で表される化合物について詳細に説明する。
Figure 2008006602
式中、X1は、単結合、−NR4−、−O−または−S−であり;X2は、単結合、−NR5−、−O−または−S−であり;X3は、単結合、−NR6−、−O−または−S−であり;R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基であり;そして、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基である。
ここで、一般式(3)で示される化合物は1,3,5−トリアジン環を有する化合物であり、少なくとも2つの芳香環を有する芳香族化合物を好ましく用いることができる。
また、式(3)で表される化合物は、メラミン化合物であることが特に好ましい。メラミン化合物では、式(3)において、X1、X2およびX3が、それぞれ、−NR4−、−NR5−および−NR6−であるか、あるいは、X1、X2およびX3が単結合であり、かつR1、R2およびR3が窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基である。−X1−R1、−X2−R2および−X3−R3は、同一の置換基であることが好ましい。R1、R2およびR3は、アリール基であることが特に好ましい。R4、R5およびR6は、水素原子であることが特に好ましい。
上記アルキル基は、環状アルキル基よりも鎖状アルキル基である方が好ましい。分岐を有する鎖状アルキル基よりも、直鎖状アルキル基の方が好ましい。
アルキル基の炭素原子数は、1乃至30であることが好ましく、1乃至20であることがより好ましく、1乃至10であることがさらに好ましく、1乃至8であることがさらにまた好ましく、1乃至6であることが最も好ましい。アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、エポキシエチルオキシ)およびアシルオキシ基(例、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ)が含まれる。上記アルケニル基は、環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基である方が好ましい。分岐を有する鎖状アルケニル基よりも、直鎖状アルケニル基の方が好ましい。アルケニル基の炭素原子数は、2乃至30であることが好ましく、2乃至20であることがより好ましく、2乃至10であることがさらに好ましく、2乃至8であることがさらにまた好ましく、2乃至6であることが最も好ましい。アルケニル基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、エポキシエチルオキシ)およびアシルオキシ基(例、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ)が含まれる。
上記アリール基は、フェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルであることが特に好ましい。アリール基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル、アルキル置換スルファモイル基、アルケニル置換スルファモイル基、アリール置換スルファモイル基、スルホンアミド基、カルバモイル、アルキル置換カルバモイル基、アルケニル置換カルバモイル基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基およびアシル基が含まれる。上記アルキル基は、前述したアルキル基と同様の定義を有する。アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキル置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アルキル置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基とアシル基のアルキル部分も、前述したアルキル基と同様である。
上記アルケニル基は、前述したアルケニル基と同様の定義を有する。アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、アルケニルオキシカルボニル基、アルケニル置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アルケニル置換カルバモイル基、アミド基、アルケニルチオ基およびアシル基のアルケニル部分も、前述したアルケニル基と同様である。上記アリール基の例には、フェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−メトキシフェニル、3,4−ジエトキシフェニル、4−オクチルオキシフェニルおよび4−ドデシルオキシフェニルが含まれる。アリールオキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリール置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アリールチオ基およびアシル基の部分の例は、上記アリール基の例と同様である。
1、X2またはX3が−NR4−、−NR5−、または−NR6−である場合のR4、R5およびR6が表す複素環基は、芳香族性を有することが好ましい。芳香族性を有する複素環は、一般に不飽和複素環であり、好ましくは最多の二重結合を有する複素環である。複素環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。複素環のヘテロ原子は、N、SまたはOであることが好ましく、Nであることが特に好ましい。芳香族性を有する複素環としては、ピリジン環(複素環基としては、2−ピリジルまたは4−ピリジル)が特に好ましい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基複素環基の置換基の例は、上記アリール部分の置換基の例と同様である。X1、X2またはX3が単結合である場合の複素環基は、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基であることが好ましい。窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、5員環であることが最も好ましい。複素環基は、複数の窒素原子を有していてもよい。また、複素環基は、窒素原子以外のヘテロ原子(例、O、S)を有していてもよい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の例は、上記アリール部分の置換基の例と同様である。
以下に一般式(3)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されない。
Figure 2008006602
以下に一般式(4)で表される化合物について説明する。
Figure 2008006602
式中、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は各々独立して、水素原子又は置換基を表す。
4、R5、R6、R7、R8及びR9は各々表される置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜40、より好ましくは炭素数0〜30、特に好ましくは炭素数0〜20のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜40、より好ましくは炭素数6〜30、特に好ましくは炭素数6〜20のアリールオキシ基であり、例えば、フェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる)、アシル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のアシル基であり、例えば、アセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜40、より好ましくは炭素数7〜30、特に好ましくは炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基であり、例えば、フェニルオキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアシルオキシ基であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、
アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜40、より好ましくは炭素数7〜30、特に好ましくは炭素数7〜20のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のスルホニルアミノ基であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜40、より好ましくは炭素数0〜30、特に好ましくは炭素数0〜20のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のカルバモイル基であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のスルホニル基であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のスルフィニル基であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のウレイド基であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のリン酸アミド基であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、1,3,5−トリアジル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基が二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
4、R5、R6、R7、R8及びR9各々表される置換基としては、好ましくはアルキル基、アリール基、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基又はハロゲン原子である。
以下に一般式(4)で表される化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されない。
Figure 2008006602
Figure 2008006602
[セルロースアシレートへの添加剤]
本発明のセルロースアシレート溶液には、上記一般式(1)で表される化合物のほか、種々の添加剤(例えば、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、光学特性調整剤等)を加えることができる。また、一般式(1)で表される化合物および他の添加剤の添加時期は、ドープ作製工程の何れにおいて添加してもよく、また、ドープ調製工程の最後に調製工程としてこれらの添加剤を添加してもよい。
これらの添加剤は、固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば、20℃以下の紫外線吸収剤と20℃以上の紫外線吸収剤を混合して用いたり、同様に可塑剤を混合して用いたりすることができる。具体的には、特開2001−151901号公報に記載の方法を採用できる。
[紫外線吸収剤]
紫外線吸収剤としては、目的に応じ任意の種類のものを選択することができ、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系、ニッケル錯塩系等の吸収剤を用いることができ、好ましくはベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸エステル系である。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−アセトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4,4’−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロポキシベンゾフェノン等を挙げることができる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等を挙げることができる。
サリチル酸エステル系としては、フェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート等を挙げることができる。
これら例示した紫外線吸収剤の中でも、特に2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4,4’−メトキシベンゾフェノン、2(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールが特に好ましい。
紫外線吸収剤は、吸収波長の異なる複数の吸収剤を複合して用いることが、広い波長範囲で高い遮断効果を得ることができるので好ましい。液晶用紫外線吸収剤は、液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、且つ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。特に好ましい紫外線吸収剤は、上述のベンゾトリアゾール系化合物やベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物である。中でも、ベンゾトリアゾール系化合物は、セルロースエステルに対する不用な着色が少ないことから、好ましい。
また、紫外線吸収剤については、特開昭60−235852号、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号、同6−118233号、同6−148430号、同7−11056号、同7−11055号、同7−11056号、同8−29619号、同8−239509号、特開2000−204173号の各公報に記載の化合物も用いることができる。
紫外線吸収剤の添加量は、セルロースアシレートに対し0.001〜5質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。添加量が0.001質量%以上であれば添加効果が十分に発揮されうるので好ましく、添加量が5質量%以下であればフィルム表面への紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制できるので好ましい。
また紫外線吸収剤は、セルロースアシレート溶解時に同時に添加してもよいし、溶解後のドープに添加してもよい。特にスタティックミキサ等を用い、流延直前にドープに紫外線吸収剤溶液を添加する形態が、分光吸収特性を容易に調整することができるので好ましい。
[劣化防止剤]
前記劣化防止剤は、セルローストリアセテート等が劣化、分解するのを防止するために添加してもよい。劣化防止剤としては、ブチルアミン、ヒンダードアミン化合物(特開平8−325537号公報)、グアニジン化合物(特開平5−271471号公報)、ベンゾトリアゾール系UV吸収剤(特開平6−235819号公報)、ベンゾフェノン系UV吸収剤(特開平6−118233号公報)などの化合物を用いることができる。
[可塑剤]
可塑剤としては、リン酸エステルおよび/またはカルボン酸エステルであることが好ましい。リン酸エステル系可塑剤としては、例えばトリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェート(BDP)、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が好ましい。また、カルボン酸エステル系可塑剤としては、例えばジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)、ジエチルヘキシルフタレート(DEHP)、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)、O−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等が好ましい。さらに、前記可塑剤が、(ジ)ペンタエリスリトールエステル類、グリセロールエステル類、ジグリセロールエステル類であることが好ましい。
[剥離促進剤]
剥離促進剤としては、クエン酸のエチルエステル類が好ましい例として挙げられる。
[赤外吸収剤]
赤外吸収剤としては、例えば特開2001−194522号公報に記載のものが好ましい。
[染料]
本発明では、色相調整のための染料を添加してもよい。染料の含有量は、セルロースアシレートに対する質量割合で10〜1000ppmが好ましく、50〜500ppmがさらに好ましい。この様に染料を含有させることにより、セルロースアシレートフィルムのライトパイピングが減少でき、黄色味を改良することができる。これらの化合物は、セルロースアシレート溶液の調製の際に、セルロースアシレートや溶媒と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。またインライン添加する紫外線吸収剤液に添加してもよい。特開平5−34858号公報に記載の染料を用いることができる。
[マット剤微粒子]
本発明のセルロースアシレートフィルムには、マット剤として微粒子を加えてもよい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子は、ケイ素を含むものが濁度が低くなる点でより好ましく、特に二酸化ケイ素が好ましい。二酸化ケイ素の微粒子は、1次平均粒子サイズが20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上がさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
これらの微粒子は、通常平均粒子サイズが0.1〜3.0μmの2次粒子を形成し、これらの微粒子はフィルム中では、1次粒子の凝集体として存在し、フィルム表面に0.1〜3.0μmの凹凸を形成させる。2次平均粒子サイズは0.2μm〜1.5μmが好ましく、0.4μm〜1.2μmがさらに好ましく、0.6μm〜1.1μmが最も好ましい。1次/2次粒子サイズはフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒子サイズとした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子サイズとした。
二酸化ケイ素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上、いずれも商品名、日本アエロジル(株)製)などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上、いずれも商品名、日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vが、1次平均粒子サイズが20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化ケイ素の微粒子であり、光学フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
本発明において2次平均粒子サイズの小さな粒子を有するセルロースアシレートフィルムを得るために、微粒子の分散液を調製する際にいくつかの手法が考えられる。例えば、溶剤と微粒子を撹拌混合した微粒子分散液をあらかじめ作製し、この微粒子分散液を別途用意した少量のセルロースアシレート溶液に加えて撹拌溶解し、さらにメインのセルロースアシレートドープ液と混合する方法がある。この方法は二酸化ケイ素微粒子の分散性がよく、二酸化ケイ素微粒子が更に再凝集しにくい点で好ましい調製方法である。ほかにも、溶剤に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解した後、これに微粒子を加えて分散機で分散を行い、これを微粒子添加液とし、この微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する方法もある。本発明はこれらの方法に限定されないが、二酸化ケイ素微粒子を溶剤などと混合して分散するときの二酸化ケイ素の濃度は5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%がより好ましく、15〜20質量%がさらに好ましい。分散濃度が高い方が添加量に対する液濁度は低くなり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。最終的なセルロースアシレートのドープ溶液中でのマット剤の添加量は1m2あたり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.3gが更に好ましく、0.08〜0.16gが最も好ましい。
使用される溶剤は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
[化合物添加の比率]
本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、分子量が3000以下の化合物の総量は、セルロースアシレート質量に対して5〜45質量%であることが好ましい。より好ましくは10〜40質量%であり、さらに好ましくは15〜30質量%である。これらの化合物としては上述したように、光学異方性を低下する化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、剥離剤、赤外吸収剤などである。さらに、分子量が2000以下の化合物の総量が上記範囲内であることがより好ましい。これら化合物の総量を5質量%以上とすることにより、セルロースアシレート単体の性質が出にくくなり、例えば、温度や湿度の変化に対して光学性能や物理的強度が変動しにくくなる。またこれら化合物の総量を45質量%以下とすることにより、セルロースアシレートフィルム中に化合物が相溶する限界を超え、フィルム表面に析出してフィルムの白濁(フィルムからの泣き出し)が抑止される傾向にあり好ましい。
[セルロースアシレート溶液の有機溶媒]
本発明では、溶液製膜法によりセルロースアシレートフィルムを製造するので、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いて製造する。本発明の主溶媒として好ましく用いられる有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、および炭素原子数が1〜7のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
以上、本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては塩素系のハロゲン化炭化水素を主溶媒としてもよいし、例えば発明協会公開技報公技番号2001−1745号(12頁〜16頁)に記載されているように、非塩素系溶媒を主溶媒としてもよい。
その他、本発明のセルロースアシレート溶液及びフィルムについての溶媒は、その溶解方法も含め以下の特許文献に開示されているものを、好ましい態様としてあげることができる。
特開2000−95876号、特開平12−95877号、特開平10−324774号、特開平8−152514号、特開平10−330538号、特開平9−95538号、特開平9−95557号、特開平10−235664号、特開平12−63534号、特開平11−21379号、特開平10−182853号、特開平10−278056号、特開平10−279702号、特開平10−323853号、特開平10−237186号、特開平11−60807号、特開平11−152342号、特開平11−292988号、特開平11−60752号、特開平11−60752号の各公報
これらの特許文献によると本発明のセルロースアシレートに好ましい溶媒だけでなく、その溶液物性や共存させる共存物質についても記載があり、それらも、本発明においても好ましい態様である。
[セルロースアシレートフィルムの製造工程]
次に、本発明のセルロースアシレートフィルムの製造方法について説明する。本発明のセルロースアシレートフィルムは、溶液製膜法により製造する。以下、溶液製膜法について詳細に記す。
(溶解工程)
本発明のセルロースアシレート溶液(ドープ)の調製は、その溶解方法は特に限定されず、室温でもよくさらには冷却溶解法または高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。本発明におけるセルロースアシレート溶液の調製、さらには溶解工程に伴う溶液濃縮、ろ過の各工程に関しては、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(22頁〜25頁)にて詳細に記載されている製造工程が好ましく用いられる。
本発明におけるセルロースアシレート溶液のドープ透明度としては85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。本発明においてはセルロースアシレートドープ溶液に各種の添加剤が十分に溶解していることを確認した。具体的なドープ透明度の算出方法としては、ドープ溶液を1cm角のガラスセルに注入し、分光光度計(UV−3150、商品名、島津製作所)で550nmの吸光度を測定する。溶媒のみをあらかじめブランクとして測定しておき、ブランクの吸光度との比からセルロースアシレート溶液の透明度を算出する。
(流延、乾燥、巻き取り工程)
次に、本発明のセルロースアシレート溶液を用いたフィルムの製造方法について述べる。本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置を広く採用することができる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば、回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて得られたフィルムを乾燥装置のロール群で機械的に搬送し乾燥を終了して巻き取り機でロール状に所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。本発明のセルロースアシレートフィルムの主な用途である、電子ディスプレイ用の光学部材である機能性保護膜やハロゲン化銀写真感光材料に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらについては、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(25頁〜30頁)に詳細に記載されており、流延(共流延を含む)、金属支持体、乾燥、剥離などに分類され、本発明において好ましく用いることができる。
[延伸処理]
本発明に好ましく用いられるセルロースアシレートフィルムは、延伸処理によりレターデーション値を調整することが好ましい。特に、セルロースアシレートフィルムの面内レターデーション値を高い値とする場合には、積極的に幅方向に延伸する方法、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、特開平4−284211号、特開平4−298310号、及び特開平11−48271号の各公報などに記載されている、製造したフィルムを延伸する方法を用いることができる。
フィルムの延伸は、常温又は加熱条件下で実施する。加熱温度は、フィルムのガラス転移温度以下であることが好ましい。フィルムの延伸は、縦又は横だけの一軸延伸でもよく、同時又は逐次2軸延伸でもよい。フィルムは、1〜200%の延伸を行うことが好ましく、1〜100%の延伸を行うことがより好ましく、1〜50%の延伸を行うことがさらに好ましい。
上記偏光板を斜めから見たときの光漏れの抑制のためには、偏光膜の透過軸とセルロースアシレートフィルムの面内の遅相軸を平行に配置する必要がある。連続的に製造されるロールフィルム状の偏光膜の透過軸は、一般的に、ロールフィルムの幅方向に平行であるので、前記ロールフィルム状の偏光膜とロールフィルム状のセルロースアシレートフィルムからなる保護膜を連続的に貼り合せるためには、ロールフィルム状の保護膜の面内遅相軸は、フィルムの幅方向に平行であることが必要となる。従って幅方向により多く延伸することが好ましい。また延伸処理は、製膜工程の途中で行ってもよいし、製膜して巻き取った原反を延伸処理してもよい。前者の場合には残留溶媒を含んだ状態で延伸を行ってもよく、残留溶媒量が2〜30質量%で好ましく延伸することができる。
乾燥後得られる、本発明に好ましく用いられるセルロースアシレートフィルムの厚さは、使用目的によって異なり、5〜500μmの範囲であることが好ましく、20〜300μmの範囲であることがより好ましく、30〜150μmの範囲であることがさらに好ましい。また、光学用、特にVA液晶表示装置用としては、40〜110μmであることが好ましい。フィルム厚さの調整は、所望の厚さになるように、ドープ中に含まれる固形分濃度、ダイの口金のスリット間隙、ダイからの押し出し圧力、金属支持体速度等を調節すればよい。
以上のようにして得られた、セルロースアシレートフィルムの幅は0.5〜3mが好ましく、より好ましくは0.6〜2.5m、さらに好ましくは0.8〜2.2mである。長さは、1ロール当たり100〜10000mで巻き取るのが好ましく、より好ましくは500〜7000mであり、さらに好ましくは1000〜6000mである。巻き取る際、少なくとも片端にナーリングを付与するのが好ましく、ナーリングの幅は3mm〜50mmが好ましく、より好ましくは5mm〜30mm、高さは0.5〜500μmが好ましく、より好ましくは1〜200μmである。これは片押しであっても両押しであってもよい。
フィルムの幅方向のRe(590)値のばらつきは、±5nmであることが好ましく、±3nmであることが更に好ましい。また幅方向のRth(590)値のバラツキは±10nmが好ましく、±5nmであることが更に好ましい。また、長さ方向のRe値、及びRth値のバラツキも、幅方向のバラツキの範囲内であることが好ましい。
〔セルロースアシレートフィルムの光学特性〕
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のリターデーションおよび厚さ方向のリターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(1)及び式(2)よりRthを算出することもできる。
式(1):
Figure 2008006602
注記:
上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値を表す。
式(1)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。
式(2):
Rth=((nx+ny)/2−nz)xd
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
Re(λ)値、Rth(λ)値は、それぞれ、以下の数式(4)、(5)を満たすことが、液晶表示装置、特にVAモード液晶表示装置の視野角を広くするために好ましい。また特にセルロースアシレートフィルムが、偏光板の液晶セル側の保護膜に用いられる場合に好ましい。
数式(4):0nm≦Re(590)≦200nm
数式(5):0nm≦Rth(590)≦400nm
(式中、Re(590)、Rth(590)は、波長λ=590nmにおける値(単位:nm)である。)
さらに好ましくは、
数式(4−1):30nm≦Re(590)≦150nm
数式(5−1):30nm≦Rth(590)≦300nm
本発明に好ましく用いられるセルロースアシレートフィルムをVAモードに使用する場合、セルの両側に1枚ずつ合計2枚使用する形態(2枚型)と、セルの上下のいずれか一方の側にのみ使用する形態(1枚型)の2通りがある。
2枚型の場合、Re(590)は20〜100nmが好ましく、30〜70nmがさらに好ましい。Rth(590)については70〜300nmが好ましく、100〜200nmがさらに好ましい。
1枚型の場合、Re(590)は30〜150nmが好ましく、40〜100nmがさらに好ましい。Rth(590)については100〜300nmが好ましく、150〜250nmがさらに好ましい。
[フィルムの透湿度]
本発明の光学補償シートに用いるセルロースアシレートフィルムの透湿度は、JIS規格JISZ0208をもとに、温度60℃、湿度95%RH(相対湿度)の条件において測定し、膜厚80μmに換算して400〜2000g/m2・24hであることが好ましい。500〜1800g/m2・24hであることがより好ましく、600〜1600g/m2・24hであることが特に好ましい。2000g/m2・24h以下とすることにより、フィルムのRe値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超えにくくなり、好ましい。また、本発明のセルロースアシレートフィルムに光学異方性層を積層して光学補償フィルムとした場合も、Re値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超えにくくなり、好ましい。この光学補償シートや偏光板が液晶表示装置に組み込まれた場合、色味の変化や視野角の低下を引き起こす。また、セルロースアシレートフィルムの透湿度を400g/m2・24h以上とすることにより、偏光膜の両面などに貼り付けて偏光板を作製する場合に、セルロースアシレートフィルムによって接着剤が乾燥しにくくなり、接着不良を生じにくくできる。
セルロースアシレートフィルムの膜厚が厚ければ透湿度は小さくなり、膜厚が薄ければ透湿度は大きくなる傾向にある。そこで、本発明における透湿度は、膜厚を80μmに換算した値として述べている。膜厚の換算は、(80μm換算の透湿度=実測の透湿度×実測の膜厚μm/80μm)として求める。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4,共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、本発明のセルロースアシレートフィルム試料70mmφを25℃、90%RH及び60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、透湿試験装置(KK−709007、商品名、東洋精機(株))にて、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)し、透湿度=調湿後質量−調湿前質量で求める。
[フィルム加熱処理後の化合物揮散量]
本発明のセルロース体組成物からなるフィルムにおいて、添加剤は150℃10時間処理したフィルムからの化合物の揮散量において、30%以下であることが好ましく、0〜25%がより好ましく、0〜20%であることが特に好ましい。揮散量が多すぎると、工程汚染の主要因となり問題となる。
なお、フィルムからの揮散量は、150℃10時間処理したフィルムおよび未処理のフィルムをそれぞれ溶媒に溶かし出し、液体高速クロマトグラフィーにて化合物を検出し、化合物のピーク面積をフィルム中に残存した化合物量として、下記式により算出することができる。
揮散量(%)={(未処理品中の残存化合物量)−(処理品中の残存化合物量)}/(未処理品中の残存化合物量)×100
[フィルムの残留溶剤量]
本発明では、セルロースアシレートフィルムに対する残留溶剤量が、0.01〜1.5質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。より好ましくは0.01〜1.0質量%である。本発明のセルロースアシレートフィルムを支持体に用いる場合、残留溶剤量を該範囲内とすることでカールをより抑制できる。これは、前述の溶液製膜方法による成膜時の残留溶剤量が少なくすることで自由体積が小さくなることが主要な効果要因になるためと思われる。
[フィルムの吸湿膨張係数]
本発明のセルロースアシレートフィルムの吸湿膨張係数は30×10-5/%RH以下とすることが好ましく、15×10-5/%RH以下とすることがより好ましく、10×10-5/%RH以下であることがさらに好ましい。また、下限値は特に定めるものではなく、吸湿膨張係数は小さい方が好ましい傾向にあるが、より好ましくは、1.0×10-5/%RH以上の値である。吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。この吸湿膨張係数を調節することで、本発明のセルロースアシレートフィルムを光学補償フィルム支持体として用いた際、光学補償フィルムの光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇すなわち歪みによる光漏れを防止することができる。
[表面処理]
セルロースアシレートフィルムは、場合により表面処理を行うことによって、セルロースアシレートフィルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。例えば、グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10−3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報公技番号2001−1745号(30頁〜32頁)に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
[アルカリ鹸化処理]
アルカリ鹸化処理は、セルロースアシレートフィルムを鹸化液の槽に直接浸漬する方法、又は鹸化液をセルロースアシレートフィルムに塗布する方法により実施することが好ましい。塗布方法としては、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法及びE型塗布法を挙げることができる。アルカリ鹸化処理塗布液の溶媒は、鹸化液をセルロースアシレートフィルムに対して塗布するために、濡れ性がよく、また鹸化液溶媒によってセルロースアシレートフィルム表面に凹凸を形成させずに、面状を良好なまま保つ溶媒を選択することが好ましい。具体的には、アルコール系溶媒が好ましく、イソプロピルアルコールが特に好ましい。また、界面活性剤の水溶液を溶媒として使用することもできる。アルカリ鹸化塗布液のアルカリは、上記溶媒に溶解するアルカリが好ましく、KOH、NaOHがさらに好ましい。鹸化塗布液のpHは10以上が好ましく、12以上がさらに好ましい。アルカリ鹸化時の反応条件は、室温で1秒〜5分が好ましく、5秒〜5分がさらに好ましく、20秒〜3分が特に好ましい。アルカリ鹸化反応後、鹸化液塗布面を水洗あるいは酸で洗浄したあと水洗することが好ましい。
[機能層]
本発明のセルロースフィルムは、その用途として光学用途と写真感光材料に適用される。特に光学用途が液晶表示装置であることが好ましく、液晶表示装置が、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償シートを配置した構成であることがさらに好ましい。これらの液晶表示装置としては、TN、IPS、FLC、AFLC、OCB、STN、ECB、VAおよびHANが好ましい。
その際に前述の光学用途に本発明のセルロースフィルムを用いるに際し、各種の機能層を付与することが実施される。それらは、例えば、帯電防止層、硬化樹脂層(透明ハードコート層)、反射防止層、易接着層、防眩層、光学補償層、配向層、液晶層などである。本発明のセルロースフィルムを用いることができるこれらの機能層及びその材料としては、界面活性剤、滑り剤、マット剤、帯電防止層、ハードコート層などが挙げられ、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(32頁〜45頁)に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
[用途(偏光板)]
本発明のセルロースフィルムの用途について説明する。
本発明のセルロースフィルムは特に偏光板保護膜用として有用である。偏光板保護膜として用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られたセルロースフィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号公報、特開平6−118232号公報に記載されているような易接着加工を施してもよい。
保護膜処理面と偏光膜を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
偏光板は偏光膜及びその両面を保護する保護膜で構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成してもよい。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、本発明のセルロースフィルムを適用した偏光板保護膜はどの部位に配置しても優れた表示性が得られる。特に液晶表示装置の表示側最表面の偏光板保護膜には透明ハードコート層、防眩層、反射防止層等が設けられるため、該偏光板保護膜をこの部分に用いることが得に好ましい。
[用途(光学補償フィルム)]
本発明のセルロースフィルムは、様々な用途で用いることができ、液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いると特に効果がある。なお、光学補償フィルムとは、一般に液晶表示装置に用いられ、位相差を補償する光学材料のことを指し、位相差板、光学補償シートなどと同義である。光学補償フィルムは複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。
(一般的な液晶表示装置の構成)
セルロースフィルムを光学補償フィルムとして用いる場合は、偏光膜の透過軸と、セルロースフィルムからなる光学補償フィルムの遅相軸とをどのような角度で配置しても構わない。液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光膜、および該液晶セルと該偏光膜との間に少なくとも一枚の光学補償フィルムを配置した構成を有している。
液晶セルの液晶層は、通常は、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、さらにガスバリアー層、ハードコート層あるいは(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、好ましくは50μm〜2mmの厚さを有する。
(液晶表示装置の種類)
本発明のセルロースフィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。具体的には、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)等の表示モードが挙げられる。また、上記表示モードを配向分割した表示モードにおいても用いることができる。また、本発明のセルロースフィルムは、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても好ましく用いることができる。
(TN型液晶表示装置)
本発明のセルロースフィルムを、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置については、古くから良く知られている。TN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平3−9325号、特開平6−148429号、特開平8−50206号、特開平9−26572号の各公報の記載に従って作製することができる。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys. Vol.36(1997)p.143や、Jpn.J.Appl.Phys. Vol.36(1997)p.1068)の記載に従って作製することができる。
(STN型液晶表示装置)
本発明のセルロースフィルムを、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性分子が90〜360度の範囲にねじられており、棒状液晶性分子の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積(Δn・d)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開2000−105316号公報の記載に従って作製することができる。
(VA型液晶表示装置)
本発明のセルロースフィルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として特に有利に用いられる。VA型液晶表示装置に用いる光学補償シートのRe値を0〜150nmとし、Rth値を70〜400nmとすることが好ましい。VA型液晶表示装置に二枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRth値は70〜250nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置に一枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRth値は150〜400nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置は、例えば特開平10−123576号公報に記載されているような配向分割された方式であってもよい。
(IPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置)
本発明のセルロースフィルムは、IPSモードおよびECBモードの液晶セルを有するIPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置の光学補償シートの支持体、または偏光板の保護膜としても有利に用いられる。これらのモードは黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、電圧無印加状態で液晶分子を基板面に対して平行配向させて、黒表示する。これらの態様において本発明のセルロースフィルムを用いた偏光板は色味の改善、視野角拡大、コントラストの良化に寄与する。この態様においては、液晶セルの上下の前記偏光板の保護膜のうち、液晶セルと偏光板との間に配置された保護膜(セル側の保護膜)に本発明のセルロースフィルムを用いた偏光板を少なくとも片側一方に用いることが好ましい。更に好ましくは、偏光板の保護膜と液晶セルの間に光学異方性層を配置し、配置された光学異方性層のレターデーション値を、液晶層のΔn・dの値の2倍以下に設定するのが好ましい。
(OCB型液晶表示装置およびHAN型液晶表示装置)
本発明のセルロースフィルムは、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置あるいはHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートには、レターデーション値の絶対値が最小となる方向が光学補償シートの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートの光学的性質も、光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質および光学的異方性層と支持体との配置により決定される。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平9−197397号公報の記載に従って作製することができる。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys. Vol.38(1999)p.2837)の記載に従って作製することができる。
(反射型液晶表示装置)
本発明のセルロースフィルムは、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest−Host)型の反射型液晶表示装置の光学補償シートとしても有利に用いられる。これらの表示モードは古くから良く知られている。TN型反射型液晶表示装置については、特開平10−123478号公報、国際公開第98/48320号パンフレット、特許第3022477号公報の記載に従って作製することができる。反射型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、国際公開第2000/65384号パンフレットの記載に従って作製することができる。
(その他の液晶表示装置)
本発明のセルロースフィルムは、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)モードの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)他の論文(Kume et al., SID 98 Digest 1089(1998))の記載に従って作製することができる。
(ハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルム)
本発明のセルロースフィルムは、また、ハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルムに好ましく用いることができる。LCD、PDP、CRT、EL等のフラットパネルディスプレイの視認性を向上する目的で、本発明のセルロースフィルムの片面または両面にハードコート層、防眩層、反射防止層の何れかあるいは全てを付与することができる。このような防眩フィルム、反射防止フィルムとしての望ましい実施態様は、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(54頁〜57頁)に詳細に記載されており、本発明のセルロースフィルムを好ましく用いることができる。
(写真フィルム支持体)
さらに、本発明のセルロースフィルムは、ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としても適用できる。具体的には、特開2000−105445号公報にカラーネガティブに関する記載に従って、本発明のセルロースフィルムが好ましく用いられる。またカラー反転ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としての適用も好ましく、特開平11−282119号公報に記載されている各種の素材や処方さらには処理方法に従って、作製することができる。
(透明基板)
本発明のセルロースフィルムは、光学的異方性がゼロに近く、優れた透明性を持たせることもできることから、液晶表示装置の液晶セルガラス基板の代替、すなわち駆動液晶を封入する透明基板としても用いることができる。
液晶を封入する透明基板はガスバリアー性に優れる必要があることから、必要に応じて本発明のセルロースフィルムの表面にガスバリアー層を設けてもよい。ガスバリアー層の形態や材質は特に限定されないが、本発明のセルロースフィルムの少なくとも片面にSiO2等を蒸着したり、塩化ビニリデン系ポリマーやビニルアルコール系ポリマーなど相対的にガスバリアー性の高いポリマーのコート層を設ける方法が考えられ、これらを適宜使用できる。
また液晶を封入する透明基板として用いるには、電圧印加によって液晶を駆動するための透明電極を設けてもよい。透明電極としては特に限定されないが、本発明のセルロースフィルムの少なくとも片面に、金属膜、金属酸化物膜などを積層することによって透明電極を設けることができる。中でも透明性、導電性、機械的特性の点から、金属酸化物膜が好ましく、なかでも酸化スズを主として酸化亜鉛を2〜15%含む酸化インジウムの薄膜が好ましく使用できる。これら技術の詳細は例えば、特開2001−125079号公報や特開2000−227603号公報に記載の方法を用いることができる。
本発明のセルロースフィルムのRe値とRth値をそれぞれ好ましい範囲に制御するためには、使用する一般式(2)〜(4)で表される化合物(レターデーション調整剤)の種類および添加量、ならびにフィルムの延伸倍率を適宜調整することが好ましい。特に、本発明では、一般式(2)〜(4)で表される化合物の中から、所望のRth値を達成し得るレターデーション制御剤を選択し、かつ、所望のRe値が得られるように、該レターデーション制御剤の添加量およびフィルムの延伸倍率を適宜設定することにより、所望のRe値およびRth値を有するセルロースフィルムを得ることができる。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(セルロースオリゴマー誘導体含有セルロースアシレートフィルムの作成)
<セルロースオリゴマー誘導体の合成>
〔合成例:B−1の合成〕
メカニカルスターラー、温度計、冷却管、滴下ロートをつけた500mlの三ツ口フラスコにアセチル置換度1.11、重合度n=30のセルロースアセテートオリゴマー(ダイセル化学工業(株)より購入)10.0g、ピリジン100mlを量り取り、室温で攪拌した。ここに27.6mLのベンゾイルクロリドC65COClをゆっくりと滴下し、添加後さらに60℃にて6時間攪拌した。反応後、室温に戻るまで放冷し、反応溶液をメタノール4Lへ激しく攪拌しながら投入すると、白色固体が析出した。白色固体を吸引ろ過によりろ別し、大量のメタノールで3回洗浄を行った。得られた白色固体を60℃で終夜乾燥した後、90℃で6時間真空乾燥することによりセルロースオリゴマー誘導体(B−1)を白色粉体として得た。(13.1g、収率81.0%)
〔合成例:B−2、3の合成〕
原料に用いたセルロースアセテートオリゴマーのアセチル置換度が異なる(0.95)(0.19)以外は、合成例:B−1と同様にしてセルロースオリゴマー誘導体(B−2),(B−3)を白色粉体として得た。(14.3g、収率81.7%),(13.7g、収率78.3%)
〔合成例:B−4の合成〕
原料に用いたセルロースアセテートオリゴマーのアセチル置換度が異なる(0.21)ことと、27.6mLのベンゾイルクロリドの代わりに20.3gのアサロン酸クロリド(2,4,5−トリメトキシベンゾイルクロリド)(CH3O)362COClを使用したこと以外は、合成例:B−1と同様にしてセルロースオリゴマー誘導体(B−4)を白色粉体として得た。(13.1g、収率74.8%)
<セルロースアシレート、セルロースオリゴマー誘導体>
本発明に用いたセルロースアシレート(TAC1,TAC2)、セルロースオリゴマー誘導体(B−1〜B−4)を表1に示す。なお、表1の置換基の欄には置換基を化学式で示し、更に各基に続けて( )内に本文中に記載の方法により計算した各基の分極率異方性を示した。
Figure 2008006602
<ドープ溶液の調製>
表2に記載の組成物を耐圧性のミキシングタンクに投入し6時間攪拌して各成分を溶解し、セルロースオリゴマー誘導体を含有するドープ溶液(以下、「ドープ溶液」ともいう)T−1〜T−7を調製した。
Figure 2008006602
<マット剤溶液の調製>
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液組成
――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒径20nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、
日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.0質量部
エタノール(第2溶媒) 12.7質量部
セルロースアシレート溶液B 10.3質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
<添加剤溶液の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、紫外線吸収剤溶液を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――
紫外線吸収剤溶液組成
―――――――――――――――――――――――――――――――
紫外線吸収剤(A) 4.0質量部
紫外線吸収剤(B) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.2質量部
エタノール(第2溶媒) 11.2質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――
紫外線吸収剤(A)
Figure 2008006602
紫外線吸収剤(B)
Figure 2008006602
<セルロースオリゴマー誘導体含有セルロースアシレートフィルム試料001の作製>
上記マット剤溶液を1.3質量部と紫外線吸収剤溶液6.0質量部それぞれを濾過後にインラインミキサーで混合後、さらにドープ溶液T−1を92.7質量部、添加してインラインミキサーで混合し、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤含量36質量%でフィルムをバンドから剥離し、140℃の雰囲気温度でフィルムをテンターを用いて15%まで横延伸したのち、70℃で30秒間保持した。延伸開始時の残留溶剤含量は20質量%だった。その後、クリップを外して130℃で40分間乾燥させ、セルロースオリゴマー誘導体含有セルロースアシレートフィルム試料001を製造した。出来あがったセルロースアシレートフィルムの残留溶剤量は0.1質量%であり、膜厚は90μmであった。
<セルロースオリゴマー誘導体含有セルロースアシレートフィルム試料002〜007の作製>
セルロースオリゴマー誘導体含有セルロースアシレートフィルム試料001の作製方法において、ドープ溶液T−1を表2に記載のドープ溶液T−2〜T−7に変更する以外は同様の方法により、セルロースオリゴマー誘導体含有セルロースアシレートフィルム試料002〜007を作製した。
[実施例2]
[セルロースオリゴマー誘導体含有セルロースアシレートフィルム(レターデーション調整剤入り)の作成]
<ドープ溶液の調製>
表3に記載の組成物を耐圧性のミキシングタンクに投入し6時間攪拌して各成分を溶解し、ドープ溶液T−8〜T−10を調製した。
Figure 2008006602
Figure 2008006602
Figure 2008006602
<セルロースオリゴマー誘導体含有セルロースアシレートフィルム試料008の作製>
実施例1に記載のマット剤溶液を1.3質量部と紫外線吸収剤溶液6.0質量部それぞれを濾過後にインラインミキサーで混合後、さらにドープ溶液T−8を92.7質量部、添加してインラインミキサーで混合し、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤含量36質量%でフィルムをバンドから剥離し、140℃の雰囲気温度でフィルムをテンターを用いて15%まで横延伸したのち、70℃で30秒間保持した。延伸開始時の残留溶剤含量は20質量%だった。その後、クリップを外して130℃で40分間乾燥させ、セルロースオリゴマー誘導体含有セルロースアシレートフィルム試料008を製造した。出来あがったセルロースアシレートフィルムの残留溶剤量は0.1質量%であり、膜厚は90μmであった。
<セルロースオリゴマー誘導体含有セルロースアシレートフィルム試料009、010の作製>
セルロースオリゴマー誘導体含有セルロースアシレートフィルム試料008の作製方法において、ドープ溶液T−8を表3に記載のT−9、T−10に変更する以外は同様の方法により、セルロースオリゴマー誘導体含有セルロースアシレートフィルム試料009、010を作製した。
[比較例1]
(セルロースアシレートフィルム011の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Bを調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液B組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル化度1.0、プロピオニル化度1.4のセルロースアシレート
100.0質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤) 9.0質量部
エチルフタリルエチルグリコレート(可塑剤) 3.5質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 362.0質量部
エタノール(第2溶媒) 100.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
実施例1記載のマット剤溶液を1.3質量部と紫外線吸収剤溶液6.0質量部それぞれを濾過後にインラインミキサーで混合後、さらにセルロースアシレート溶液Bを92.7質量部、添加してインラインミキサーで混合し、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤含量36質量%でフィルムをバンドから剥離し、140℃の雰囲気温度でフィルムをテンターを用いて15%まで横延伸したのち、70℃で30秒間保持した。延伸開始時の残留溶剤含量は20質量%だった。その後、クリップを外して130℃で40分間乾燥させ、セルロースアシレートフィルム011を製造した。出来あがったセルロースアシレートフィルムの残留溶剤量は0.1質量%であり、膜厚は90μmであった。
(フィルムのアルカリ処理)
セルロースアシレートフィルム011を、2.3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で3分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。
[比較例2]
(セルロースアシレートフィルム012の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Cを調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液C組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル化度1.1、プロピオニル化度1.5のセルロースアシレート
100.0質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤) 9.0質量部
エチルフタリルエチルグリコレート(可塑剤) 3.5質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 362.0質量部
エタノール(第2溶媒) 100.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
<マット剤溶液の調製>
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液組成
――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒径20nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、
日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.0質量部
エタノール(第2溶媒) 12.7質量部
セルロースアシレート溶液C 10.3質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
<添加剤溶液の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、紫外線吸収剤溶液を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――
紫外線吸収剤溶液組成
―――――――――――――――――――――――――――――――
紫外線吸収剤(A) 4.0質量部
紫外線吸収剤(B) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.2質量部
エタノール(第2溶媒) 11.2質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――
上記マット剤溶液を1.3質量部と紫外線吸収剤溶液6.0質量部それぞれを濾過後にインラインミキサーで混合後、さらにセルロースアシレート溶液Bを92.7質量部、添加してインラインミキサーで混合し、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤含量36質量%でフィルムをバンドから剥離し、140℃の雰囲気温度でフィルムをテンターを用いて15%まで横延伸したのち、70℃で30秒間保持した。延伸開始時の残留溶剤含量は20質量%だった。その後、クリップを外して130℃で40分間乾燥させ、セルロースアシレートフィルム012を製造した。出来あがったセルロースアシレートフィルムの残留溶剤量は0.1質量%であり、膜厚は96μmであった。
(フィルムのアルカリ処理)
セルロースアシレートフィルム012を、1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で3分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。
<フィルム物性の測定>
(光学特性の測定)
自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)製)を用い25℃60%RHでRe及びRthを測定した。測定波長は480nm、546nm、628nmとした。
(光弾性率の測定)
3.5cm×12cmに切り出してフィルムについて、荷重無し、250g、500g、1000g、1500gのそれぞれの荷重におけるReを測定し、応力に対するRe変化の直線の傾きから光弾性率を算出した。測定波長は630nmとした。
フィルム物性の測定結果を表4に示す。
Figure 2008006602
本発明のセルロースアシレートフィルムは、本発明のセルロースオリゴマー誘導体を含有させる本発明の作製方法を採用することにより、可視域波長に対するレターデーションRe、Rthの波長分散が本発明の(A)(B)(C)(D)(E)(F)の範囲に最適化され、かつヘイズが小さいフィルムが得られることがわかる。
[実施例3]
<偏光子の作製>
平均重合度4000、鹸化度99.8mol%のPVAを水に溶解し、4.0%の水溶液を得た。この溶液をテーパーのついたダイを用いてバンド流延して乾燥し、延伸前の幅が1100mmで厚みは75μmになるように製膜した。
このフィルムをよう素0.5g/L、よう化カリウム50g/Lの水溶液中に30℃で1分間浸漬し、次いでホウ酸100g/L、よう化カリウム60g/Lの水溶液中に70℃で5分間浸漬し、さらに水洗槽で20度で10秒間水洗したのち、フィルム搬送方向に多段ロール間縦延伸(延伸倍率は5.0倍)を行い、80℃で5分間乾燥してよう素系偏光子(HF−01)を得た。偏光子は、幅660mm、厚みは38μmであった。
(偏光板HP−02、HP−10、HP−12の作製)
ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、実施例1で作製したセルロースアシレートフィルム002を偏光子(HF−01)の片側に貼り付けた。又、トリアセチルセルロースフィルム(フジタックTD−80U)に、国際公開第2002/46809号パンフレット実施例1記載のケン化処理と同様にして表面鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の反対側に貼り付け偏光板HP−02を得た。
偏光子の透過軸と上記セルロースアシレートフィルム002の遅相軸は、平行に配置して接着した。
また、同様にしてセルロースアシレート010、012を用いて偏光板HP−10、HP−12を得た。
<液晶表示装置A−02、A−10、A−12、A−Fの作製>
液晶セルは、基板間のセルギャップを3.6μmとし、負の誘電率異方性を有する液晶材料(「MLC6608」、メルク社製)を基板間に滴下注入して封入し、基板間に液晶層を形成して作製した。液晶層のリターデーション(即ち、記液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・d)を275nmとした。なお、液晶材料は垂直配向するように配向させた。
このようにして液晶セルを作製したのち、偏光板(HP−02)を図1に示すとおりに貼り合わせ液晶表示装置を作製した。即ち、観察方向(上)から上側偏光板、VAモード液晶セル(上基板、液晶層、下基板)、下側偏光板(HP−02)を積層し、さらにバックライト光源を配置した。なお、上側偏光板には市販品の偏光板(サンリッツ社製偏光板:HLC2−5618)を用いた。このようにして液晶表示装置A−02を作製した。
同様にして下偏光板にHP−10、HP−12、市販品偏光板を用いて、液晶表示装置A−10、A−12、A−Fを得た。
<コントラスト保持率の評価>
得られた液晶表示装置を白、黒表示させ、輝度計にて正面コントラスト値を測定した。また、A−Fに対する正面コントラスト比を求め、下記式からコントラスト保持率を求めた。
コントラスト保持率(%) = 100 − 正面コントラスト比(%)
<色味変化の評価>
実施例3で作製した液晶表示装置を30℃80%RHの環境下で点灯直後及び1000hr時間点灯後の正面の色味変化をELDIM社製Ezcontrastにより測定し、xy色度図上での色味変化の絶対値Δx,Δyを求めた。
各液晶表示装置のコントラスト保持率、及び色味変化を表5に示す。
Figure 2008006602
本発明のセルロースアシレートフィルムを液晶表示装置に用いた場合には、正面コントラストが高く保持され、かつ斜め方向からの色味変化が小さい、視認性に優れた画像が得られる特徴を有することも明らかとなった。
本発明のセルロースオリゴマー誘導体含有セルロースアシレートフィルムを用いた液晶表示装置の概略図である。

Claims (25)

  1. セルロース体と、下記一般式(1)で表されるセルロースオリゴマー誘導体を含有するセルロース体組成物を溶液製膜法により製膜した後に製膜したフィルムを延伸する工程を含むことを特徴とするセルロース体フィルムの製造方法。
    Figure 2008006602
    [式中、R2、R3およびR6はそれぞれ独立に水素原子、脂肪族基および芳香族基を表す。X2、X3およびX6はそれぞれ独立に単結合、−O−、−CO−および−NR−(Rは脂肪族基または芳香族基を表す)からなる群から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。nは5以上50以下の自然数を表す。]
  2. 前記セルロースオリゴマー誘導体中、グルコース単位が有する水酸基の少なくとも一つが、下記数式(1)で表される分極率異方性Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基により置換されていることを特徴とする請求項1記載のセルロース体フィルムの製造方法。
    数式(1):Δα=αx−(αy+αz)/2
    (式中、αxは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最大の成分であり;αyは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、二番目に大きい成分であり;αzは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最小の成分である。)
  3. 前記セルロースオリゴマー誘導体の、前記Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基が芳香族アシル基であり、Δαが2.5×10-24cm3未満である置換基が脂肪族アシル基であることを特徴とする請求項2に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
  4. 前記セルロースオリゴマー誘導体の、前記Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基の平均置換度が、Δαが2.5×10-24cm3未満である置換基の平均置換度よりも高いことを特徴とする請求項2あるいは3に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
  5. 前記セルロースオリゴマー誘導体の、前記Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基の平均置換度が、6位水酸基において最も高いことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
  6. 前記セルロースオリゴマー誘導体の、前記脂肪族アシル基がアセチル基、プロピオニル基およびブチリル基から選ばれ、かつ前記芳香族アシル基の芳香環上の置換基として、ハロゲン原子、シアノ、炭素原子数が1乃至20のアルキル基、炭素原子数が1乃至20のアルコキシ基、炭素原子数が6乃至20のアリール基、炭素原子数が6乃至20のアリールオキシ基、炭素原子数が1乃至20のアシル基、炭素原子数が1乃至20のカルボンアミド基、炭素原子数が1乃至20のスルホンアミド基および炭素原子数が1乃至20のウレイド基からなる群より選ばれる構造を有することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
  7. 前記セルロースオリゴマー誘導体の、前記Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基の全置換度が2.0〜3.0を特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
  8. 前記セルロース体がセルロースアシレートであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
  9. 前記セルロース体組成物において前記セルロース体100質量部に対する前記セルロースオリゴマー誘導体の含有量が1〜50質量部であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
  10. 前記セルロース体と前記セルロースオリゴマー誘導体を含有するセルロース体組成物100質量部に対して、さらにレターデーション調整剤0.5〜20質量部を含有させることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
  11. 前記レターデーション調整剤が、下記一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)で表される化合物のうち少なくとも1種であることを特徴とする請求項10に記載のセルロース体フィルムの製造方法。
    Figure 2008006602
    [式中、Ar1、Ar2、Ar3はそれぞれ独立して、アリール基または芳香族ヘテロ環を表し、L1、L2はそれぞれ独立して、単結合、または2価の連結基を表す。nは3以上の整数を表し、それぞれAr2、L2は同一であっても異なっていてもよい。]
    Figure 2008006602
    [式中、X1は、単結合、−NR4−、−O−または−S−をあらわし、;X2は、単結合、−NR5−、−O−または−S−をあらわし、;X3は、単結合、−NR6−、−O−または−S−をあらわし、;R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基をあらわし;そして、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基をあらわす。]
    Figure 2008006602
    [式中、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は各々独立して、水素原子又は置換基を表す。]
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とするセルロース体フィルム。
  13. セルロース体と、下記一般式(1)で表されるセルロースオリゴマー誘導体を含有し、かつ(A)〜(F)の関係を満たすことを特徴とするセルロース体フィルム。
    Figure 2008006602
    [式中、R2、R3およびR6はそれぞれ独立に水素原子、脂肪族基および芳香族基を表す。X2、X3およびX6はそれぞれ独立に単結合、−O−、−CO−および−NR−(Rは脂肪族基または芳香族基を表す)からなる群から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。nは5以上50以下の自然数を表す。]
    30nm<Re(546)<150nm (A)
    100nm<Rth(546)<400nm (B)
    0.5<Re(480)/Re(546)<1 (C)
    1.0<Re(628)/Re(546)<2.0 (D)
    1.0<Rth(480)/Rth(546)<2.0 (E)
    0.5<Rth(628)/Rth(546)<1.0 (F)
    (但し、Re(λ)は、波長λにおける面内レターデーション(nm)であり、Rth(λ)は、波長λにおける厚み方向のレターデーション(nm)である。)
  14. 前記セルロースオリゴマー誘導体中、グルコース単位が有する水酸基の少なくとも一つが、下記数式(1)で表される分極率異方性Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基により置換されていることを特徴とする請求項13記載のセルロース体フィルム。
    数式(1):Δα=αx−(αy+αz)/2
    (式中、αxは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最大の成分であり;αyは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、二番目に大きい成分であり;αzは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最小の成分である。)
  15. 前記セルロースオリゴマー誘導体の、Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基が芳香族アシル基であり、Δαが2.5×10-24cm3未満である置換基が脂肪族アシル基であることを特徴とする請求14に記載のセルロース体フィルム。
  16. 前記セルロースオリゴマー誘導体の、前記Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基の平均置換度が、Δαが2.5×10-24cm3未満である置換基の平均置換度よりも高いことを特徴とする請求項14あるいは15に記載のセルロース体フィルム。
  17. 前記セルロースオリゴマー誘導体の、前記Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基の平均置換度が、6位水酸基において最も高いことを特徴とする請求項14〜16のいずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
  18. 前記セルロースオリゴマー誘導体の、前記脂肪族アシル基がアセチル基、プロピオニル基およびブチリル基から選ばれ、かつ前記芳香族アシル基の芳香環上の置換基として、ハロゲン原子、シアノ、炭素原子数が1乃至20のアルキル基、炭素原子数が1乃至20のアルコキシ基、炭素原子数が6乃至20のアリール基、炭素原子数が6乃至20のアリールオキシ基、炭素原子数が1乃至20のアシル基、炭素原子数が1乃至20のカルボンアミド基、炭素原子数が1乃至20のスルホンアミド基および炭素原子数が1乃至20のウレイド基からなる群より選ばれる構造を有することを特徴とする請求項14〜17のいずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
  19. 前記セルロースオリゴマー誘導体の、前記Δαが2.5×10-24cm3以上である置換基の全置換度が2.0〜3.0を特徴とする請求項14〜18いずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
  20. 前記セルロース体がセルロースアシレートであることを特徴とする請求項13〜19のいずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
  21. 下記一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)で表される化合物のうち少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項13〜20のいずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
    Figure 2008006602
    [式中、Ar1、Ar2、Ar3はそれぞれ独立して、アリール基または芳香族ヘテロ環を表し、L1、L2はそれぞれ独立して、単結合、または2価の連結基を表す。nは3以上の整数を表し、それぞれAr2、L2は同一であっても異なっていてもよい。]
    Figure 2008006602
    [式中、X1は、単結合、−NR4−、−O−または−S−をあらわし、;X2は、単結合、−NR5−、−O−または−S−をあらわし、;X3は、単結合、−NR6−、−O−または−S−をあらわし、;R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基をあらわし;そして、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基をあらわす。]
    Figure 2008006602
    [式中、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は各々独立して、水素原子又は置換基を表す。]
  22. ヘイズが1.0%以下であることを特徴とする請求項12〜21のいずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
  23. 偏光子及びその両側に配置された2枚の保護フィルムからなる偏光板であって、少なくとも1枚の保護フィルムが請求項12〜22のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムであることを特徴とする偏光板。
  24. 液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有する液晶表示装置であって、少なくとも1つの偏光板が請求項23に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
  25. 該液晶セルがVAモードであることを特徴とする請求項24に記載の液晶表示装置。
JP2006176643A 2006-06-27 2006-06-27 セルロースオリゴマー誘導体を含有するセルロース体フィルム、これを用いた偏光板および液晶表示装置 Expired - Fee Related JP4792337B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006176643A JP4792337B2 (ja) 2006-06-27 2006-06-27 セルロースオリゴマー誘導体を含有するセルロース体フィルム、これを用いた偏光板および液晶表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006176643A JP4792337B2 (ja) 2006-06-27 2006-06-27 セルロースオリゴマー誘導体を含有するセルロース体フィルム、これを用いた偏光板および液晶表示装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008006602A true JP2008006602A (ja) 2008-01-17
JP4792337B2 JP4792337B2 (ja) 2011-10-12

Family

ID=39065260

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006176643A Expired - Fee Related JP4792337B2 (ja) 2006-06-27 2006-06-27 セルロースオリゴマー誘導体を含有するセルロース体フィルム、これを用いた偏光板および液晶表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4792337B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010077318A (ja) * 2008-09-26 2010-04-08 Fujifilm Corp セルロースエステルフィルム、それを含む偏光板及び液晶表示装置
JP2010107941A (ja) * 2008-07-08 2010-05-13 Fujifilm Corp Tnモード液晶表示装置、それに用いられる光学補償フィルムとその製造方法および偏光板
KR20140121446A (ko) 2012-03-12 2014-10-15 코니카 미놀타 가부시키가이샤 λ/4 위상차 필름과 그의 제조 방법, 원 편광판 및 유기 일렉트로루미네센스 표시 장치
US9794966B2 (en) 2011-07-26 2017-10-17 Xi'an Zhongxing New Software Co. Ltd. Identifier assignment method and device in wireless local area network
JP2021028355A (ja) * 2019-08-09 2021-02-25 株式会社ダイセル セルロースエステル組成物
WO2021140636A1 (ja) * 2020-01-10 2021-07-15 株式会社ダイセル 延伸フィルム

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03103401A (ja) * 1989-09-14 1991-04-30 Daicel Chem Ind Ltd オリゴマー及びその製造方法
JPH08190094A (ja) * 1994-11-10 1996-07-23 Sumitomo Chem Co Ltd 光学異方体フィルムとその製造方法および液晶表示装置
JP2003248117A (ja) * 2002-02-26 2003-09-05 Fuji Photo Film Co Ltd 位相差板、円偏光板および液晶表示素子のそれぞれの製造方法
JP2005042039A (ja) * 2003-07-24 2005-02-17 Konica Minolta Holdings Inc セルロースエステルフィルム、セルロースエステルフィルムの製造方法、光学補償シート、偏光板、位相差板、電子ペーパ及び表示装置
JP2005263941A (ja) * 2004-03-18 2005-09-29 Fuji Photo Film Co Ltd セルロースアシレートフィルムの製造方法及びそれにより得られるセルロースアシレートフィルム
JP2007262223A (ja) * 2006-03-28 2007-10-11 Fujifilm Corp セルロース体組成物、セルロース体フイルム、セルロース体フイルム用改質剤、偏光板保護膜、液晶表示装置およびハロゲン化銀写真感光材料
JP2007332191A (ja) * 2006-06-12 2007-12-27 Fujifilm Corp セルロース誘導体、それを含有する高分子組成物及びセルロース体フィルム用改質剤、並びにそれらを用いたセルロース体フィルム、偏光板保護膜、液晶表示装置、及びハロゲン化銀写真感光材料

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03103401A (ja) * 1989-09-14 1991-04-30 Daicel Chem Ind Ltd オリゴマー及びその製造方法
JPH08190094A (ja) * 1994-11-10 1996-07-23 Sumitomo Chem Co Ltd 光学異方体フィルムとその製造方法および液晶表示装置
JP2003248117A (ja) * 2002-02-26 2003-09-05 Fuji Photo Film Co Ltd 位相差板、円偏光板および液晶表示素子のそれぞれの製造方法
JP2005042039A (ja) * 2003-07-24 2005-02-17 Konica Minolta Holdings Inc セルロースエステルフィルム、セルロースエステルフィルムの製造方法、光学補償シート、偏光板、位相差板、電子ペーパ及び表示装置
JP2005263941A (ja) * 2004-03-18 2005-09-29 Fuji Photo Film Co Ltd セルロースアシレートフィルムの製造方法及びそれにより得られるセルロースアシレートフィルム
JP2007262223A (ja) * 2006-03-28 2007-10-11 Fujifilm Corp セルロース体組成物、セルロース体フイルム、セルロース体フイルム用改質剤、偏光板保護膜、液晶表示装置およびハロゲン化銀写真感光材料
JP2007332191A (ja) * 2006-06-12 2007-12-27 Fujifilm Corp セルロース誘導体、それを含有する高分子組成物及びセルロース体フィルム用改質剤、並びにそれらを用いたセルロース体フィルム、偏光板保護膜、液晶表示装置、及びハロゲン化銀写真感光材料

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010107941A (ja) * 2008-07-08 2010-05-13 Fujifilm Corp Tnモード液晶表示装置、それに用いられる光学補償フィルムとその製造方法および偏光板
JP2010077318A (ja) * 2008-09-26 2010-04-08 Fujifilm Corp セルロースエステルフィルム、それを含む偏光板及び液晶表示装置
US9794966B2 (en) 2011-07-26 2017-10-17 Xi'an Zhongxing New Software Co. Ltd. Identifier assignment method and device in wireless local area network
KR20140121446A (ko) 2012-03-12 2014-10-15 코니카 미놀타 가부시키가이샤 λ/4 위상차 필름과 그의 제조 방법, 원 편광판 및 유기 일렉트로루미네센스 표시 장치
JP2021028355A (ja) * 2019-08-09 2021-02-25 株式会社ダイセル セルロースエステル組成物
WO2021140636A1 (ja) * 2020-01-10 2021-07-15 株式会社ダイセル 延伸フィルム

Also Published As

Publication number Publication date
JP4792337B2 (ja) 2011-10-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4740604B2 (ja) 光学補償フィルム、その製造方法、偏光板および液晶表示装置
JP2007332191A (ja) セルロース誘導体、それを含有する高分子組成物及びセルロース体フィルム用改質剤、並びにそれらを用いたセルロース体フィルム、偏光板保護膜、液晶表示装置、及びハロゲン化銀写真感光材料
JP2006282979A (ja) セルロースアシレートフィルム、並びにそれを用いた偏光板及び液晶表示装置
JP2006241293A (ja) セルロースアシレートフィルム、偏光板および液晶表示装置
JP4699783B2 (ja) セルロースアシレートフィルム、偏光板および液晶表示装置
JP4792337B2 (ja) セルロースオリゴマー誘導体を含有するセルロース体フィルム、これを用いた偏光板および液晶表示装置
KR101268747B1 (ko) 셀룰로오스 아실레이트 필름, 광학 보상 필름, 편광 필름 및 액정표시장치
JP2006243132A (ja) 偏光板及び液晶表示装置
JP2006195157A (ja) 光学補償フィルム、偏光板、液晶表示装置
JP2008001893A (ja) セルロースアシレートフィルム、セルロースアシレートフィルムの製造方法、光学補償フィルム、偏光板および液晶表示装置
JP2006257143A (ja) セルロースアシレートフィルム、並びにそれを用いた偏光板及び液晶表示装置
JP2007023124A (ja) セルロース化合物組成物、セルロース化合物フィルム
JP5028214B2 (ja) 組成物、フィルム、偏光板、及び液晶表示装置
JP2006091374A (ja) 偏光板及び液晶表示装置
JP2006126585A (ja) 粘着剤付偏光板及び液晶表示装置
JP2006206826A (ja) セルロースアシレートフィルム、セルロースアシレートフィルムの製造方法、光学補償フィルム、偏光板、および液晶表示装置
JP2007321108A (ja) 高分子組成物、位相差板、偏光板、液晶表示装置
JP2008101176A (ja) 組成物及び該組成物からなるフィルム、偏光板保護フィルム、光学補償フィルムならびに液晶表示装置
JP2006221155A (ja) 光学フィルム、それを用いた光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP5171272B2 (ja) 光学フィルム、位相差フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2007084664A (ja) セルロース化合物フィルム、偏光板、液晶表示装置
JP2006124649A (ja) セルロース体組成物、セルロース体フィルム、セルロースフィルム用改質剤、偏光板保護膜、液晶表示装置およびハロゲン化銀写真感光材料
JP4749499B2 (ja) セルロース体組成物
JP2007262223A (ja) セルロース体組成物、セルロース体フイルム、セルロース体フイルム用改質剤、偏光板保護膜、液晶表示装置およびハロゲン化銀写真感光材料
JP2007297560A (ja) セルロース体、セルロース体組成物、セルロース体フィルム、光学補償シート、偏光板および液晶表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071109

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071116

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071126

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090206

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110624

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110628

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110725

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140729

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4792337

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees