JP2004148811A - セルロースアシレートフイルムの製造方法、セルロースアシレートフイルム、並びにそれを用いた光学機能性シート、偏光板、液晶表示装置及びハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

セルロースアシレートフイルムの製造方法、セルロースアシレートフイルム、並びにそれを用いた光学機能性シート、偏光板、液晶表示装置及びハロゲン化銀写真感光材料 Download PDF

Info

Publication number
JP2004148811A
JP2004148811A JP2003349004A JP2003349004A JP2004148811A JP 2004148811 A JP2004148811 A JP 2004148811A JP 2003349004 A JP2003349004 A JP 2003349004A JP 2003349004 A JP2003349004 A JP 2003349004A JP 2004148811 A JP2004148811 A JP 2004148811A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cellulose acylate
group
film
acylate film
liquid crystal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003349004A
Other languages
English (en)
Inventor
Eiichi Kato
栄一 加藤
Takahiro Moto
隆裕 本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2003349004A priority Critical patent/JP2004148811A/ja
Publication of JP2004148811A publication Critical patent/JP2004148811A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)

Abstract

【課題】引き裂き強度、耐折強度、低透湿性、光学特性に優れ、特にレターデーションの温度、湿度依存性が少なく、しかも長期保存安定性良好なセルロースアシレートフィルムの製造方法及びセルロースアシレートフィルム、並びに上記特性に優れたセルロースアセテートフィルムを用いた光学フイルム(光学機能性シート)、光学補償フイルム、偏光板、液晶表示装置、及びハロゲン化銀写真感光材料を提供する。
【解決手段】セルロースアシレート、環状構造脂肪族炭化水素基を有するラジカル重合性モノマー(A)、及び光重合開始剤(L)を含有するセルロースアシレート組成物を流延する流延工程と光照射の工程とを含む一連の工程により作製されたセルロースアシレートフィルム、並びにこのセルロースアシレートフィルムを用いた光学フイルム、偏光板、光学補償フイルム、液晶表示装置、及びハロゲン化銀写真感光材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は、セルロースアシレートフイルムの製造方法、及びセルロースアシレートフイルムに関する。
特に、本発明は、液晶表示装置等に用いられる偏光板保護フイルム、位相差フイルム、視野拡大フイルム、プラズマディスプレーに用いられる反射防止フイルムなどの各種光学機能性シート、偏光板、液晶表示装置及びハロゲン化銀写真感光材料の支持体フイルムに関する。さらに、本発明は、有機ELディスプレー等に適用される各種機能フイルムを構成する光学フイルムに関する。
セルロースアシレートフイルムは、透明で、優れた物理的、機械的性質を有し、且つ温度および湿度変化に対する寸法変化が少なく、従来からハロゲン化銀感光材料フイルム用支持体、製図トレーシングフィルム、電気絶縁材料などの広い分野で使用され、最近では液晶画像表示装置の偏光板用保護フイルムとして使用されている。
しかし、そのままでは、引裂強度、耐折強度が低く、特に低湿度の状態下では、非常に脆くなり裂け易い欠点があった。このため、これらを改良するために、セルロースアシレートの溶液流延製膜方法を用い、セルロースアシレート溶液に低分子の可塑剤(例えば、リン酸エステル類、フタル酸エステル類等)や高分子量可塑剤(例えばポリエステルエーテル、ポリエステル−ウレタン、ポリエステル等)を適宜選択して単独又は混合したドープ組成物を用いることが試みられている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5参照)。また、ポリメチルアクリレート又はメチルアクリレートのコポリマーをセルローストリアセテートと混合させて、セルロースエステルフィルムの可塑性等を付与する技術がある(例えば、特許文献6参照)。しかしながら、これらの支持体でも、長期保存下の膜強度安定性、フイルムの着色等の耐侯性が十分でなかった。
更に、セルロースアシレートとの相溶性を高めるものとして低分子量体含量の多い分子量分布を特定化したポリエステルのブレンドが提案されている(例えば、特許文献7参照)。しかしながら、ポリマーが低分子量体であるために、ポリマーとしての特性を十分に発現できないという課題がある。
一方、近年、液晶画像表示装置は高精細化がますます進み、偏光板用保護フイルムとして用いられるセルロースアシレートフイルムには、優れた光透過性、光学的等方性、光学的異方性(レターデーション)の温度および湿度依存性が小さいこと、適度の透湿性、偏光素子との良好な接着性、優れた平面性、紫外線吸収性、帯電防止性等の性能や耐久性の更なる向上が求められている。
また、CRTに代わって注目を集めている液晶表示装置は異方性をもつ液晶材料を液晶セルに使用するために斜めから見ると表示性能が低下するという視野角の問題があり、光学補償フイルムは、液晶セルの光学的異方性を補償するための光学異方性を有しているが、更なる性能向上が望まれている。
光学補償フイルムとしては、液晶性化合物の配向形態を固定化して得られる異方性材料が最近の主流であるが、その製造方法は従来セルロースエステルフィルムを支持体とし、その上に液晶性化合物を溶剤塗布している為、セルロースエステルフィルム中の添加剤がブリード現象によって液晶性化合物中に混入してしまい、液晶性化合物の配向を乱してしまったり、白濁させてしまうなどの問題点を有していた。これらの特性を改良のするために、例えばフイルム製造中に紫外線吸収剤や帯電防止剤の添加、或いは紫外線吸収性基を含有した高分子の添加が提案されている(例えば、特許文献8、特許文献9参照)。
また、ドープ中に重合可能なモノマーを添加し、剥離前にイオン化照射を行い製膜速度を向上させる技術がある(例えば、特許文献10参照)。しかしながら、イオン化照射による重合反応は、分子の切断などが起こり易く、不必要な又は有害な物質が生じ、後日他に悪影響を及ぼすという問題がある。また、ドープ中に紫外線吸収性基を含む重合可能モノマーと光重合開始剤を添加し、流延工程で紫外線光照射して重合して製膜する技術もある(例えば、特許文献11、特許文献12参照)。
しかしながら、これらの技術を用いても未だ充分ではなく、特に、近年の表示装置の開発は、表示部の大版化または携帯電話等のモバイル表示装置の多用途への普及等が急速に進展しており、セルロースアシレートフイルムへのより一層の寸度安定性、透湿性の低減、レターデーションの温度、湿度依存性の低減や耐久性が望まれている。
特公昭47−760号公報 特公昭43−16305号公報 特公昭44−32672号公報 特開平2−292342号公報 特開平5−197073号公報 米国特許第3,277,032号明細書 特開2002−22956号公報 特開平6−148430号公報 特開2002−31715号公報 米国特許第3,738,924号明細書 特開2002−20410号公報 特開2002−47357号公報
本発明の目的は、優れた引き裂き強度、耐折強度、光学特性を有し、透湿性が低く、レターデーションの温度、湿度依存性が少なく、しかも長期保存安定性良好なセルロースアセテートフィルムの製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、優れた特性を有する上記セルロースアシレートフイルム、及びセルロースアセテートフィルムを用いた光学機能性シート、偏光フイルム、光学補償フイルム、偏光板、液晶表示装置、及びハロゲン化銀写真感光材料を提供することにある。
本発明の目的は、下記構成のセルロースアシレートフイルムの製造方法、セルロースアシレートフイルム、光学機能性シート、光学補償フイルム、偏光板、液晶表示装置、ハロゲン化銀写真感光材料により達成された。
(1) セルロースアシレート、環状構造脂肪族炭化水素基を有するラジカル重合性モノマー(A)、及び光重合開始剤(L)を含有するセルロースアシレート組成物を流延する流延工程と光照射の工程と含むことを特徴とするセルロースアシレートフイルムの製造方法。
(2) 上記セルロースアシレート組成物が、光安定化基を含有する重合性モノマー(B)の少なくとも一種を含有することを特徴とする上記(1)記載のセルロースアシレートフイルムの製造方法。
(3) セルロースアシレート、環状構造脂肪族炭化水素基を有するラジカル重合性モノマー(A)、及び光重合開始剤(L)を含有するセルロースアシレート組成物を流延する流延工程と、光照射の工程とを含む一連の工程により作製されたことを特徴とするセルロースアシレートフイルム。
(4) 上記セルロースアシレート組成物が、光安定化基を含有する重合性モノマー(B)を含有することを特徴とする上記(3)記載のセルロースアシレートフイルム。
(5) 上記セルロースアシレート組成物が、分子内に2個以上の重合性基を含有する多官能モノマー(C)を含有することを特徴とする上記(3)または(4)に記載のセルロースアシレートフイルム。
(6) 上記セルロースアシレート組成物が、微粒子を含有することを特徴とする上記(3)〜(5)のいずれかに記載のセルロースアシレートフイルム。
(7) 上記(3)〜(6)のいずれかに記載のセルロースアシレートフイルムであって、該セルロースアシレートフイルムの透湿度が2〜250g/m2であることを特徴とするセルロースアシレートフイルム。
(8) 式(I)、(II)で定義され波長633nmで測定したセルロースアシレートフイルムのRe値およびRth値の30℃15%RHから30℃85%RHの範囲における湿度依存性が、絶対値で各々2%/%RH以下、3%/%RH以下であることを特徴とするセルロースアシレートフイルム。
(I) Re=(nx−ny)×d
(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
[式中、nxは、セルロースアシレートフイルム面内の遅相軸方向の屈折率であり;nyは、セルロースアシレートフイルム面内の進相軸方向の屈折率であり;nzは、セルロースアシレートフイルムの厚み方向の屈折率であり;そしてdは、セルロースアシレートフイルムの厚さ(nm)である]。
(9) 上記セルロースアシレートフイルムのRe値およびRth値の、30℃15%RHから30℃85%RHの範囲における湿度依存性が、絶対値で各々2%/%RH以下、3%/%RH以下であることを特徴とする、上記(3)〜(8)のいずれかに記載のセルロースアシレートフイルム。
(10) 上記セルロースアシレートフイルムの波長450nmで測定したRth値(Rth450)と波長650nmで測定したRth値(Rth650)が下式(III)の関係を満たすことを特徴とする、上記(3)〜(9)のいずれかに記載のセルロースアシレートフイルム。
(III) 0≦|Rth450−Rth650|≦35
(11) セルロースアシレートフイルムのRe値およびRth値の5℃から85℃の範囲における温度依存性が、絶対値で各々5%/℃以下、6%/℃以下であることを特徴とするセルロースアシレートフイルム。
(12) 上記セルロースアシレートフイルムのRe値およびRth値の5℃から85℃の範囲における温度依存性が、絶対値で各々5%/℃以下、6%/℃以下であることを特徴とする、上記(3)〜(10)のいずれかに記載のセルロースアシレートフイルム。
(13) セルロースの水酸基の置換度が、下記式(a)〜(c)の全てを満たすことを特徴とする、上記(3)〜(12)のいずれかに記載のセルロースアシレートフイルム。
式(a):2.6≦SA'+SB'≦3.0
式(b):1.5≦SA'≦3.0
式(c): 0≦SB'≦0.8
上記式中、SA'はアセチル基の置換度であり、SB'は炭素原子数3〜22のアシル基の置換度である。
(14) 上記セルロースアシレートフイルムの厚さが5〜500μmであることを特徴とする、上記(3)〜(13)のいずれかに記載のセルロースアシレートフイルム。
(15) 上記(3)〜(14)のいずれかに記載のセルロースアシレートフイルムに光学機能性層を付設したことを特徴とする光学機能性シート。
(16) 上記(15)に記載の光学機能性層が光学異方性層であることを特徴とする光学機能性シート。
(17) 上記(3)〜(14)のいずれかに記載のセルロースアシレートフイルムを用いたことを特徴とする液晶表示素材。
(18) 偏光膜、及びその両側に配置された2枚の透明保護膜からなる偏光板であって、該透明保護膜の少なくとも一方が、上記(3)〜(14)のいずれかに記載のセルロースアシレートフイルムまたは上記(15)もしくは(16)に記載の光学機能性シートを用い、かつその偏光度が97%以上であることを特徴とする偏光板。
(19) 上記(18)に記載の偏光板を用いたことを特徴とする液晶表示装置。
(20) 膜厚が30〜250μmである、上記(3)〜(13)のいずれかに記載のセルロースアシレートフイルムを支持体とすることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
本発明のセルロースアセテートフィルムは、優れた引き裂き強度、耐折強度、光学特性(レターデーションの温度、湿度依存性が少ない)、低透湿性を有し、しかも長期保存安定性良好である。その結果、本発明のセルロースアセテートフィルムは、光学フイルム(光学機能性シート)、偏光フィルム、光学補償フイルム、偏光板、液晶表示装置、及びハロゲン化銀写真感光材料に好適に用いられる。
以下、本発明のセルロースアシレートフイルムについて、さらに詳細に説明する。
本発明のセルロールアシレートフィルムは、セルロースアシレート、環状構造脂肪族炭化水素基含有のラジカル重合性モノマー(A)及び、光重合開始剤(L)を含有するセルロースアシレート組成物を流延する流延工程と光照射の工程とを含む一連の工程からなる溶液流延方法により製造される。
これにより、従来のセルロースアシレートフイルムよりもフイルム強度を高めるとともに、透湿性、レターデーション値の湿度依存性、温度依存性を低減しセルロースアシレートフイルムの耐侯性、偏光板の耐久性を向上させるに到ったものであり、液晶表示素材や液晶表示装置に適応したものである。そればかりかハロゲン化銀写真感光材料の支持体にも最適である。
[セルロースアシレート]
本発明に用いられるセルロースアシレートについて、以下に記す。本発明に用いられるセルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。
本発明においてはセルロースからエステル化してセルロースアシレートを作製するが、特に好ましい前述のセルロースがそのまま利用できる訳ではなく、リンタやパルプを精製して精製リンタと精製高級木材パルプとして用いられる。
以上記述したセルロースアシレートについては、特開平10−45803号、特開平11−269304号、特開平8−231761号、特開平8−231761号、特開平10−60170号、特開平9−40792号、特開平11−5851号、特開平11−269304号、特開平9−90101号、特開昭57−182737号、特開平4−277530号、特開平11−292989号、特開平12−131524号、特開平12−137115号などの各公報に記載されており、これらに記載されたセルロースアシレートを利用することも好ましい。
[セルロースアシレート溶液(ドープ)の調製及びフイルムの作製]
次に上述のセルロース原料から製造される本発明のセルロースアシレートについて記載する。本発明のセルロースアシレートは、セルロースの水酸基への置換度が下記式(a)〜(c)の全てを満たすことが好ましい。
式(a):2.6≦SA'+SB'≦3.0
式(b):1.5≦SA'≦3.0
式(c): 0≦SB'≦0.8
ここで、SA'はセルロースの水酸基の水素原子を置換しているアセチル基の置換度を表し、SB'はセルロースの水酸基の水素原子を置換している炭素原子数3〜22のアシル基の置換度を表す。また、SAはセルロースの水酸基の水素原子を置換しているアセチル基を表し、SBはセルロースの水酸基の水素原子を置換している炭素原子数3〜22のアシル基を表す。
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位及び6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部又は全部をアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位及び6位のそれぞれについて、セルロースがエステル化している割合(各位それぞれ100%のエステル化は置換度1)を意味する。本発明では、SAとSBの置換度の総和(SA'+SB')は、より好ましくは2.7〜2.96であり、特に好ましくは2.80〜2.95である。また、SBの置換度(SB')は0〜0.8であり、特には0〜0.6である。さらにSBはその28%以上が6位水酸基の置換基であるのが好ましく、より好ましくは30%以上が6位水酸基の置換基であり、31%以上がさらに好ましく、特には32%以上が6位水酸基の置換基であることも好ましい。また更に、セルロースアシレートの6位のSAとSBの置換度の総和が0.8以上であり、さらには0.85以上であり、特には0.90以上であるセルロースアシレートフイルムも好ましいものとして挙げることができる。これらのセルロースアシレートフイルムにより溶解性の好ましい溶液が作製でき、特に非塩素系有機溶媒において、良好な溶液の作製が可能となる。
本発明に用いられるセルロースアシレートの炭素数3〜22のアシル基(SB)としては、脂肪族基でもアリール基でもよく、特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましいSBとしては、プロピオニル、ブタノイル、ケプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、iso-ブタノイル、t-ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、好ましいSBは、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t-ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどである。
セルロースアシレートの合成方法の基本的な原理は、右田 他、木材化学180〜190頁(共立出版、1968年)に記載されている。代表的な合成方法は、カルボン酸無水物−酢酸−硫酸触媒による液相酢化法等がある。具体的には、例えば、特開平6−32801号、同7−70202号、同10−45804号、同10−511728号、特開2001−200901号等に記載の方法が挙げられる。
本発明のセルロースアシレートフイルムは、フイルムを構成するポリマー成分が実質的に上記の定義を有するセルロースアシレートからなることが好ましい。「実質的に」とは、全ポリマー成分の55質量%以上、好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上を意味する。
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度200〜700、好ましくは230〜550、更に好ましくは230〜350であり、特に好ましくは粘度平均重合度240〜320である。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。更に特開平9−95538号公報に詳細に記載されている。
本発明のこれらのセルロースアシレートは、その原料綿や合成方法は発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)7頁〜12頁に詳細に記載されている。
本発明のセルロースアシレートフイルムの透湿度は、JIS規格JIS Z0208、A条件(温度25℃、湿度90%RH)において、2〜250g/m2・24hである。2〜250g/m2・24hであることがより好ましく、10〜60g/m2・24hであることが特に好ましい。250g/m2・24hを越えると、Re値の湿度依存性の絶対値、Rth値の湿度依存性の絶対値が規定の値を超える傾向が強くなってしまう。また、セルロースアシレートフイルムに光学異方性層を積層させた光学補償シートとした場合も、Re値、Rth値の湿度依存性の絶対値が規定の値を超える傾向が強くなってしまい好ましくない。偏光板や光学補償シートが液晶表示装置に組み込まれた場合、色味の変化や視野角の低下を引き起こす。また、セルロースアシレートフイルムの透湿度が2g/m2・24h未満では、偏光膜の両面などに貼り付けて偏光板を作製する場合に、セルロースアシレートフイルムにより接着剤の乾燥が妨げられ、接着不良を生じる。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができる。
本発明のセルロースアシレートフイルムのReレタデーション値が0〜200nm、そしてRthレターデーション値は−600〜600nmの範囲である事が好ましい。また、Reレタデーション値及びRthレターデーション値のより好ましい範囲は0〜80nm及び−400〜400nmの範囲であり、特に好ましい範囲は各々0〜40nm及び−200〜200nmの範囲である。
Reレタデーション値およびRthレタデーション値はそれぞれ、下記式(I)および(II)で定義され、波長633nmで測定したものである。
(I) Re=(nx−ny)×d
(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式(I)および(II)において、nxは、フイルム面内の遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率である。
式(I)および(II)において、nyは、フイルム面内の進相軸方向(屈折率が最小となる方向)の屈折率である。
式(II)において、nzは、フイルムの厚み方向の屈折率である。
式(I)および(II)において、dは、単位をnmとするフイルムの厚さである。
Rth/Re比は−10〜10であることが好ましく、−2〜2であることがより好ましく、−1.5〜1.5であることが更に好ましく、−1〜1であることが特に好ましい。
また、Reレタデーション値及びRthレターデーション値はフイルム幅方向でのバラツキが少ないことが好ましく、その平均値から±5nm以内である。
また、Re値及びRth値の15℃から40℃における、15%RHから85%RHでの湿度依存性は小さいほど好ましく、各温度50%RHでの値に対し、絶対値で各々、2%/%RH以下、3%/%RH以下であることが好ましい。特に、30℃15%RHから30℃85%RHの間での湿度依存性は、絶対値で各々、2%/%RH以下、3%/%RH以下であることが好ましく、とりわけ1.8%/%RH以下、2.8%/%RH以下であることが好ましい。なお、ここで言う「湿度依存性」とは、本発明においては、定温湿度係数を意味する。
また、Re値及びRth値の15%RHから85%RHにおける、5℃から85℃での温度依存性は小さいほど好ましく、30℃での値に対し、絶対値で各々、5%/℃以下、6%/℃以下であることが好ましい。特に、5℃55%RHから85℃55%RHの間での温度依存性は、絶対値で各々、4%/℃以下、5%/℃以下であることが好ましい。なお、ここで言う「温度依存性」とは、本発明においては、定湿温度係数を意味する。
さらに、波長450nmで測定したRth値(Rth450)と波長650nmで測定したRth値(Rth650)の間には下記の式(III)の関係を満たすことが好ましい。
(III) 0≦|Rth450−Rth650|≦35
本発明のセルロースアシレートフイルムの光透過率が80%以上であることが好ましく、ヘイズは3%以下であることが好ましい。
本発明のセルロースアシレートフイルムの膜厚は偏光板保護シート、光学補償シートなどの光学機能性シート、および液晶表示装置を薄く軽量化するためや透過率を高め、コントラストや表示輝度を改善するなど光学特性を最適にするために5〜500μmであることが好ましく、30〜200μmであることがより好ましく、30〜120μmであることがさらに好ましく、30〜80μmであることが特に好ましい。5μm未満では長尺で幅広な支持体をハンドリングすることが難しく好ましくない。長尺・幅広な形態であることは生産性を高め、安価に本製品を提供するために好ましい。長尺ロールの長さは100〜5000mであることが好ましく、500〜4500mであることがより好ましく、1000〜4000mであることが特に好ましい。長尺ロールの幅は広いほど好ましく、0.7m以上であることが好ましい。0.7〜3mであることがより好ましく、1.0〜2.5mであることが特に好ましい。
次いで、セルロースアシレート組成物に供される各重合性基含有の化合物について詳述する。
環状構造脂肪族炭化水素基を有するラジカル重合性モノマー(A)としては、ラジカル種で重合反応を開始する重合性不飽和二重結合基を含有する化合物である。
ラジカル重合性モノマー(A)は、具体的には、例えば下記一般式(A)で表されるモノマーが挙げられる。
Figure 2004148811
一般式(A)中、V1は−COO−、−OCO−、−CH2OCO−、−CH2COO−、−O−、−CONHCOO−、−CONHCO−、−SO2−、−CO−、−CON(Q1)−、又は−SO2N(Q1)−を表す。ここで、Q1は水素原子または炭素数1〜8の置換されていてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、フロロベンジル基、メチルベンジル基、シクロヘキシルメチル基、2−エトキシエチル基、3−メトキシプロピル基等)を表す。
1の好ましい具体例として、−COO−、−CONH−、−OCO−、−CH2OCO−、−CH2COO−、−O−が挙げられる。
1及びa2は、同じでも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、−CN基、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)又は−CH2COOR10基(R10はアルキル基を表す。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等)を表す。
1は、式(A)における−V1−と−R0とを連結する基を表し、単結合または総原子数1〜22個の連結基(ここでいう総原子数には、炭素原子、窒素原子またはケイ素原子に結合する水素原子を除く)を表す。単結合または総原子数1〜6の連結基であることが好ましい。
1における連結基としては炭素原子−炭素原子結合(一重結合または二重結合)、炭素原子−ヘテロ原子結合(ヘテロ原子としては例えば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子、ケイ素原子等)、ヘテロ原子−ヘテロ原子結合等から構成される原子団の任意の組み合わせで構成される。例えば、原子団としては下記のものが挙げられる。
Figure 2004148811
ここで、z1、z2は、各々、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ヒドロキシル基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)等を示す。z3、z4、z5は、各々、水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニル基、トリル基等)等を示す。なかでも下記の原子団が好ましい。
Figure 2004148811
0は、炭素数5〜30個、好ましくは炭素数6〜25の、環状構造を有する脂肪族炭化水素基(脂環式炭化水素基)であり、該環状構造として、多環式、架橋環式、スピロ環式等の環状構造が挙げられる。脂環式炭化水素基として、具体的に炭素数5以上のビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ、ペンタシクロ構造等を有する基を挙げることができる。
以下に脂環式炭化水素基のうち、脂環式部分の構造例を示す。なお、下記構造例において、共役しない位置に二重結合を含有してもよい。
Figure 2004148811
Figure 2004148811
また、これらの脂環式炭化水素基は少なくとも1種の置換基を有していてもよい。脂環式炭化水素基の置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、炭素数1〜22の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ナノデシル基、エイコサニル基、ヘネイコサニル基、ドコサニル基等)、炭素数2〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基(例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、エイコセニル基、ドコセニル基、ブタジエニル基、ペンタジエニル基、ヘキサジエニル基、オクタジエニル基等)、炭素数2〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルキニル基(例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ヘキシニル基、オクタニル基、デカニル基、ドデカニル基等)、炭素数7〜12のアラルキル基(例えばベンジル基、フェネチル基等)、炭素数6〜18のアリール基(アリール環としては、ベンゼン、ナフタレン、ジヒドロナフタレン、インデン、フルオレン、アセナフチレン、アセナフテン、ビフェニレン等)、酸素原子、硫黄原子、窒素原子のいずれかを少なくとも1個含有する単環式若しくは多環式の環構造を有する複素環基(複素環基としては、例えば、フラニル基、テトラヒドロフラニル基、ピラニル基、ピロイル基、クロメニル基、フェノキサチイニル基、インダゾイル基、ピラゾイル基、ピリジイル基、ピラジニル基、ピリミデイニル基、インドイル基、イソインドイル基、キノニイル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基等)、−OR11、−SR11、−COR11、−COOR11、−OCOR11、−SO211、−NHCONHR11、−N(R12)COR11、−N(R12)SO211、−N(R13)(R14)、−CO(R13)(R14)、−SO2(R13)(R14)、−P(=O)(R15)(R16)、−OP(=O)(R15)(R16)、−Si(R17)(R18)(R19)等が挙げられる。
前記のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基は、更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、後述するR11が脂肪族基を表す場合に該脂肪族基に導入し得る基として例示するものと同様のものが挙げられる。
前記R11は、炭素数1〜22の脂肪族基、炭素数6〜18のアリール基、または複素環基を表す。
11における脂肪族基としては、炭素数1〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ナノデシル基、エイコサニル基、ヘネイコサニル基、ドコサニル基等)、炭素数2〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基(例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、エイコセニル基、ドコセニル基、ブタジエニル基、ペンタジエニル基、ヘキサジエニル基、オクタジエニル基等)、炭素数2〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルキニル基(例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ヘキシニル基、オクタニル基、デカニル基、ドデカニル基等)、炭素数5〜22の脂環式炭化水素基(脂環式炭化水素基としては、単環式、多環式、架橋環式の脂肪族環状炭化水素基が挙げられ、その具体例としては、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、シクロへプタジエン、シクロオクタン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、シクロソナン、シクロソネン、シクロデカン、シクロデセン、シクロデカンジエン、シクロデカトリエン、シクロウンデカン、シクロドデカン、ビシクロヘプタン、ビシクロヘキサン、ビシクロヘキセン、トリシクロヘキセン、ノルカラン、ノルピナン、ノルボルナン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、トリシクロヘプタン、トリシクロヘプテン、デカリン、アダマンタン等の環構造炭化水素等)が挙げられる。
これらの中で、炭素数1〜18の直鎖状、炭素原子数3〜18の分岐状、並びに炭素原子数5〜16の環状の脂肪族基がより好ましい。
かかる脂肪族基は置換基を有していてもよく、その導入し得る置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。
非金属原子団の具体的な例としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、−OH基、−OR111、−SR111、−COR111、−COOR111、−OCOR111、−SO2111、−NHCONHR111、−N(R112)COR111、−N(R112)SO2111、−N(R113)(R114)、−CO(R113)(R114)、−SO2(R113)(R114)、−P(=O)(R115)(R116)、−OP(=O)(R115)(R116)、−Si(R117)(R118)(R119)、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基、炭素数6〜18のアリール基(アリール環としては、ベンゼン、ナフタレン、ジヒドロナフタレン、インデン、フルオレン、アセナフチレン、アセナフテン、ビフェニレン等)、酸素原子、硫黄原子、窒素原子のいずれかを少なくとも1個含有する単環式若しくは多環式の環構造を有する複素環基(複素環基としては、例えば、フラニル基、テトラヒドロフラニル基、ピラニル基、ピロイル基、クロメニル基、フェノキサチイニル基、インダゾイル基、ピラゾイル基、ピリジイル基、ピラジニル基、ピリミデイニル基、インドイル基、イソインドイル基、キノニイル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基等)等が挙げられる。
前記のアルケニル基、アルキニル基、脂環式炭化水素基、アリール基、複素環基は、更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記の脂肪族基に導入し得る基として例示したものと同様のものが挙げられる。
前記R111は、炭素数1〜22の脂肪族基、炭素数6〜18のアリール基、又は複素環基を表す。R111における脂肪族基は前記R11で表される脂肪族基と同義である。R111におけるアリール基としては、前記R11で表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したアリール基と同様のものが挙げられる。かかるアリール基は、更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記R11で表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。R112は、水素原子又はR111基と同様のものを表す。
前記R113及びR114は、各々独立に、水素原子、又はR111と同様のものを表し、R113とR114とは互いに結合して、N原子を含有する5員又は6員の環を形成してもよい。
前記R115及びR116は、各々独立に、−OH、炭素数1〜22の脂肪族基、炭素数6〜14のアリール基、又は−OR111を表す。R115及びR116における脂肪族基は前記R11で表される脂肪族基と同義である。R115及びR116におけるアリール基としては、前記R11で表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したアリール基と同様のものが挙げられる。かかるアリール基は更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記R11で表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。但し、かかる極性置換基において、R115及びR116の双方が−OHで表されることはない。
前記R117、R118及びR119は、各々独立に、炭素数1〜22の炭化水素基又は−OR120を表すが、これらの置換基の内少なくとも1つは炭化水素基を表す。炭化水素基は前記R11で示される脂肪族基及びアリール基と同様のものを表し、−OR120は前記−OR111と同様の内容を表す。
11におけるアリール基としては、R11で表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したアリール基と同様のものが挙げられる。かかるアリール基は、更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、R11で表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。R12は、水素原子またはR11基と同様のものを表す。
前記R13及びR14は、各々独立に、水素原子、またはR11と同様のものを表し、R13とR14とは互いに結合して、N原子を含有する5員または6員の環を形成してもよい。
前記R15及びR16は、各々独立に、−OH、炭素数1〜22の脂肪族基、炭素数6〜14のアリール基、または−OR11を表す。R15及びR16における脂肪族基は前記R11で表される脂肪族基と同義である。R15及びR16におけるアリール基としては、前記R11で表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したアリール基と同様のものが挙げられる。かかるアリール基は更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記R11で表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。但し、かかる極性置換基において、R15及びR16の双方が−OHで表されることはない。
前記R17、R18及びR19は、各々独立に、炭素数1〜22の炭化水素基または−OR20を表すが、これらの置換基の内少なくとも1つは炭化水素基を表す。炭化水素基は前記R11で示される脂肪族基及びアリール基と同様のものを表し、−OR20は前記−OR11と同様の内容を表す。
これらR11〜R20が脂肪族基の場合、炭素数1〜12が好ましい。
本発明のラジカル重合性モノマー(A)は、セルロースアシレート溶液(ドープ溶液)全組成分中、1〜50質量%の割合で使用するのが好ましく、より好ましくは2〜30質量%である。この範囲において、セルロースアシレートフイルムの脆性が改善されるとともに、膜の強度及び耐湿性が向上する。
本発明のセルロースアシレート組成物は、光安定化性能を有する基を含有する重合性基含有モノマー(B)を含有することが好ましい。光安定化性能を有する基を含有する重合性モノマー(B)は、分子中に、前記のラジカル重合性基及び/またはカチオン重合性基から選ばれる少なくとも1つの重合性基と、光安定化性能を有する有機残基(以下「光安定化基」と称する)とを含有する化合物である。
上記カチオン重合性基としては、活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤の存在下に活性エネルギー線を照射したときに重合反応及び/または架橋反応を生ずる重合性官能基が挙げられる。
具体的には、エポキシ基、環状エーテル構造基、環状アセタール基、環状ラクトン基、環状チオエーテル基、スピロオルソエステル基、ビニルオキシ基などを挙げることができる。
ラジカル重合性基を含有する光安定化基を有するモノマー(以下モノマー(B1)と称することもある)は、分子中にラジカル重合性基の1〜2個と光安定化基の1個とを含む化合物が好ましく、ラジカル重合性基を一個含有がより好ましい。
カチオン重合性基を含有する光安定化基を有するモノマー(以下モノマー(B2)と称することもある)は、分子中にカチオン重合性基の1〜10個と光安定化基の少なくとも1個とを含む化合物が好ましく、光安定化基は複数個含有されてもよい。カチオン重合性基を2〜6個含有がより好ましい。
光安定化性能を有する化合物(B)としては、例えば、大沢善次郎「高分子材料の劣化と安定化」pp235((株)シ−エムシー、1990年刊)に記載の従来公知のものが挙げられる。これらの化合物の少なくとも一つが置換された有機残基が光安定化基としてあげられる。好ましい光安定化基は、紫外線吸収性化合物を含む有機残基、ヒンダ−ドアミン骨格を含む有機残基である。紫外線吸収性化合物を含む有機残基は、波長370nm以下の紫外線の吸収性に優れ、且つ波長420nm以上の可視光の吸収が小さいものが好ましい。例えば、オキシベンゾフェノン骨格を含む基、ベンゾフェノン骨格を含む基、ベンゾトリアゾール骨格を含む基、トリアジン骨格を含む基、サリチル酸エステル骨格、シアノアクリレート骨格、またはベンゼン骨格を含む基等が挙げられ、特に紫外線の波長が320〜400nmの波長域に吸収性の良好なベンゾフェノン骨格を含む基、ベンゾトリアゾール骨格を含む基、s−トリアジン骨格を含む基が好ましい。
ヒンダードアミン骨格を含む有機残基としては、2−位と6−位にそれぞれ1〜2個のアルキル基を有するピペリジン環、ピペリジン環が挙げられる。特に、少なくとも一個の2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン環を含む有機残基が好ましい。
本発明において、光安定化基を含有するモノマー(B)は、紫外線含有モノマーとヒンダードアミン含有モノマーとを共存して用いる、或いは紫外線吸収性基とヒンダードアミン骨格を含有する基とを共に含む光安定化モノマーを用いることがより好ましい。このことにより、一層の耐光性が得られる。
具体的には、例えばベンゾフェノン系モノマーとして、米国特許4304895号、同3162676号、特開平10−1517号公報、同10−60307号公報、同10−316726号公報、同10−182743号公報、特開2001−139640号公報、同2001−139924号公報等に記載の化合物等、また、ベンゾトリアゾール系モノマーとして、例えば、ANDRES S.、CHONGLI Z.、OTTOV.、J.M.S.−PUREAPPL.、A30(9&10)、pp.741〜755(1993)、 米国特許3493539号、同4528311、特開平2−63463号公報、同8−311045号公報、同9−3133号公報、同9−5929号公報、同9−194536号公報、同10−60307号公報、国際公開94/24112号公報、特開2001−114841号公報、同2001−139924号公報等の記載の化合物、他の紫外線吸収性基含有のモノマーとして、特開平7−258166号、同8−188737号に記載の化合物が挙げられる。
ヒンダードアミン骨格を含むモノマーとして、例えば、特開平7−70067号、同9−3133号、同10−279832号、同10−235992号、同11−138729号、特表平10−116883号、特開2001−114841等記載の化合物が挙げられる。
例えば、紫外線吸収性モノマー(BU1)として、下式(BU1−I)で表される、紫外線吸収有機残基を含有するラジカル重合性モノマーが挙げられる。
Figure 2004148811
式(BU1−I)中、V2、b1及びb2は、各々前記一般式(A)のV1、a1及びa2と同一の内容を表す。
1及びb2は、いずれか一方が水素原子であることが好ましく、水素原子以外の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、メチル基、エチル基が特に好ましい。
2は−V2−と−U1とを連結する基を表し、単結合又は2価の連結基を示す。2価の連結基としては、前記一般式(A)のL1と同一の内容を表す。更に、L2は下記式(L2a)〜(L2d)で表されるピペリジン骨格を表す。L2全体の水素原子を含まない連結にかかわる原子数が1〜20個の範囲、且つ少なくとも一個のピペリジン骨格を含有する連結基であることが好ましい。
Figure 2004148811
式(L2a)〜(L2d)中、r1は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、r2及びr3は、同じでも異なってもよく、各々水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
上記式(BU1−I)中、U1は1価の紫外線吸収基含有基を示す。
紫外線吸収基含有基は、ベンゾフェノン骨格、サリチル酸骨格、ベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、またはベンゼン骨格を含む基であることが好ましく、特にベンゾフェノン骨格を含む1価の基またはベンゾトリアゾール骨格を含む1価の基が好ましい。
Figure 2004148811
重合性基は、上記の式(U1−I)及び(U1−II)で示される骨格の各々のベンゼン環、ベンゾトリアゾール環、s−トリアジン環のいずれに存在していてもよい。ベンゾトリアゾール環の2位に1つのベンゼン環が結合している骨格を有し、しかもこのフェニル基の2位に水酸基を有するものが好ましい。また、重合性基を含有する基は2個以上存在していてもよいが、1個存在することが好ましい。
上記の各骨格の重合性基を含有する基の存在しない位置には置換基が1個以上存在していてもよい。その置換基としては、前記のR11に記載の置換基と同様のものが挙げられる。好ましい置換基としては、炭素数1〜18のアルキル(より好ましくは炭素数1〜6、さらに好ましくは1〜2のアルキル)、アリール(より好ましくは炭素数6〜20の、さらに好ましくはフェニル基)、ヘテロアリール(より好ましくはピロロ、フリルもしくはチエニル)、アリールオキシ(より好ましくは炭素数6〜20のアリールオキシ)、アルコキシ(より好ましくは炭素数1〜6、さらに好ましくは1〜2のアルコキシ)、シアノ、ニトロ、またはハロゲン(より好ましくはFまたはCl、特にベンゾ環上の5位及び/または6位上に、及び/またはヒドロキシ置換フェニルの5'位上にClを有するものが好ましい)等が挙げられる。また、ベンゾ環の置換基として、それに縮合した環、例えば、ベンゾ、ピロロ、フリルまたはチエニル環を挙げることができる。置換基アルキル及びアルコキシのいずれもが、1〜5個の、好ましくは1〜2個の介在する酸素原子、イオウ原子または窒素原子を有していてもよい。
ヒンダードアミン骨格を含有するモノマー(以下、モノマー(BH)と称することもある)は、2、6−テトラアルキルピペリジン骨格の1−位、3−位、4−位、5−位のいずれかの置換位置に直接または連結基を介して重合性基が結合してなる化合物である。例えば、下記一般式(BH−I)で示される。
Figure 2004148811
式(BH−I)中のU2は、下記式(U2−I)または(U2−II)を表す。
Figure 2004148811
式(U2−I)及び(U2−II)中、r11及びr12は、同じでも異なってもよく、炭素数1〜4のアルキル基を表すか、またはr11及びr12は一緒になってペンタメチレン基を表す。r13は、水素原子またはシアノ基を表す。
21は、水素原子、炭素数1〜18の炭化水素基、−C(=O)R23基(R23は炭素数1〜18の炭化水素基)、−OCOR23基、または−OR23基を表す。
22は、水素原子、炭素数1〜18の炭化水素基、または−OR23基を表す。
尚、上記R21及びR23の炭化水素基は、置換されていてもよく、具体的には前記のR11の炭化水素基(脂肪族基、アリール基)と同一の内容を表す。
1は、酸素原子またはイミノ基を表し、Y2は、酸素原子、メチン基または「−L2−」に直結する基を表す。
また、ベンゾフェノン系重合性化合物及びベンゾトリアゾール系重合性化合物以外の式(BU1−I)で表される化合物としては、(2−シアノ−2−エチル−3,3−ジフェニル−ヘキシル)(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明における、上記ラジカル重合性基含有の光安定化基を有するモノマー(B1)はそれぞれ1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。モノマー(B1)の種類は必要に応じて適宜変更されうる。
一方、カチオン重合性基含有の光安定化基を有するモノマー(B2)としては、分子中に1〜10個、好ましくは2〜6個のカチオン重合性基を含有するものが挙げられる。具体的には、上記式(BU1−I)または(BH−I)で表される〔C(b1)H=C(b2)−V2−〕の代わりにエポキシ基またはビニルオキシ基が結合した化合物が挙げられる。好ましい化合物は、上記「−U1」の化学構造式中の水素原子及び/または水素原子以外の置換基に代えて、該カチオン重合性基を複数含有する化合物である。
以下に、上記の紫外線吸収性基とヒンダートアミン基を含有する重合性化合物を例示するが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2004148811
Figure 2004148811
本発明のセルロースアシレート溶液(組成物)には、帯電防止能を有する置換基(帯電防止性基)を有する重合性化合物を更に共存して製膜することが好ましい。
帯電防止性基としては、帯電防止性或いはイオン導電性の作用を有するとして知られる従来公知の有機性化合物から成るものが挙げられる。
例えば、ポリオキソアルキレン基、4級アンモニウム塩の基、ホスホニウム塩の基、ホスホン酸塩の基、スルホン酸塩の基等が挙げられる。セルロースアシレートドープ組成物への溶解性、フイルムの帯電防止性能、湿度変化での帯電防止性の安定性等から、4級アンモニウム塩の基、ホスホニウム塩の基が好ましい。
これらモノマーの具体例として、
(1)ポリオキソアルキレン基を含有するモノマー:特開平7−238115号公報、特開平8−311435号公報、同9−78056号公報、同11−194448号公報等に記載の化合物が挙げられる。
(2)アルキル4級アンモニウム塩或いは含窒素複素環式4級アンモニウム塩の基を含有するモノマー:特開平6−160327号公報明細書中の段落番号〔0030〕〜〔0053〕記載の化合物、同7−118480号公報明細書中の段落番号〔0032〕〜〔0036〕に記載の繰り返し単位に相当する化合物、同7−179071号公報明細書中の段落番号〔0010〕、特表2001−507380号公報等が挙げられる。
(3)ホスホニウム塩の基を含有するモノマー:特開平6−200239号公報明細書中の段落番号〔0012〕〜〔0014〕記載の化合物、同10−219233号公報明細書中の段落番号〔0011〕記載の化合物、同7−179071号公報等が挙げられる。
また、帯電防止性基を有するカチオン重合性モノマーとしては、紫外線吸収性基含有モノマーの場合と同様にラジカル重合性基に代えて該カチオン重合性基が結合してなるものが挙げられる。
更に、本発明のセルロースアシレート組成物は、分子内に2個以上の重合性基を含有する多官能モノマー(C)を含有することが好ましい。
多官能モノマー(C)としては、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも2個有する化合物から選ばれることが好ましい。好ましくは、分子中に2〜5個の末端エチレン性不飽和結合を有する化合物である。このような化合物群はポリマー材料分野において広く知られるものであり、本発明においては、これらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、またはそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつことができる。
モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類との単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類及びチオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
また、脂肪族多価アルコール化合物としてのエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジペンタエリスリトール等と、不飽和カルボン酸(クロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等)とのモノエステル化物またはポリエステル化物である重合性化合物が挙げられる。
その他のエステルの例としては、例えば、ビニルメタクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、特公昭46−27926号、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号記載のアミノ基を有するもの等も好適に用いられる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−(メタ)アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド等がある。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロヘキシレン構造を有するものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報に記載される1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物が挙げられる。
更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有するラジカル重合性化合物類を用いても良い。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308頁(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
カチオン重合性基含有化合物としては、1分子中のカチオン重合性基の数は2〜10個が好ましく、特に好ましくは3〜5個である。該硬化剤の分子量は3000以下であり、好ましくは200〜2000の範囲、特に好ましくは400〜1500の範囲である。分子量が小さすぎると、皮膜形成過程での揮発が問題となり、大きすぎると、セルロースアシレートドープ組成物との相溶性が悪くなり好ましくない。
カチオン重合性基を有する多官能性化合物は活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤の存在下に活性エネルギー線を照射したときに重合反応及び/又は架橋反応を生じる化合物のいずれもが使用でき、代表例としては、エポキシ化合物、環状エーテル化合物、環状アセタール化合物、環状ラクトン化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、ビニルエーテル化合物などを挙げることができる。
また、特開平8−277320号記載のエポキシ化合物、特開2002−29162号記載のビニルオキシ基含有化合物等が挙げられる。
また、本発明の多官能性化合物は、上記のラジカル重合性基及びカチオン重合性基から選ばれる少なくとも各一種を少なくとも分子内に含有する化合物を用いることが好ましい。例えば、特開平8−277320号公報の段落番号〔0031〕〜〔0052〕記載の化合物、特開2000−191737号公報の段落番号〔0015〕記載の化合物等が挙げられる。本発明に供される化合物は、これらに限定されるものではない。
次に、本発明のセルロースアシレート組成物に用いられる光重合開始剤(L)について詳述する。
本発明の光重合開始剤(L)は、光照射により、少なくともラジカルを発生する化合物である。本発明において用いられる光重合開始剤(L)は、極大吸収波長が400nm以下であることが好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、取り扱いを白灯下で実施することができる。
本発明において好適に用いられるラジカルを発生する化合物(L1)は、光照射によりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を、開始、促進させる化合物である。
公知の重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物などを、適宜、選択して用いることとができる。また、ラジカルを発生する化合物は、単独または2種以上を併用して用いることができる。
ラジカルを発生する化合物としては、例えば、アミン化合物(特公昭44−20189号公報記載)、有機ハロゲン化化合物、カルボニル化合物、有機過酸化化合物、アゾ系重合開始剤、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン化合物等が挙げられる。
上記有機ハロゲン化化合物としては、具体的には、若林等、「Bull Chem.Soc Japan」42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号明細書、特公昭46−4605号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号、M.P.Hutt"Jurnal of Heterocyclic Chemistry"1(No3),(1970)」等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:S−トリアジン化合物が挙げられる。
より好適には、少なくとも一つのモノ、ジ、またはトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体が挙げられる。
他の有機ハロゲン化合物の例として、特開平5−27830号公報中の段落番号〔0039〕〜〔0048〕記載のケトン類、スルフィド類、スルホン類、窒素原子含有の複素環類等が挙げられる。
上記カルボニル化合物としては、例えば、「最新 UV硬化技術」60〜62ページ((株)技術情報協会刊、1991年)、特開平8−134404号公報の段落番号〔0015〕〜〔0016〕、同11−217518号公報の段落番号〔0029〕〜〔0031〕に記載の化合物等が挙げられ、アセトフェノン系、ヒドロキシアセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサン系、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体、ベンジルジメチルケタール、アシルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
上記有機過酸化化合物としては、例えば、特開2001−139663号公報の段落番号〔0019〕に記載の化合物等が挙げられる。
上記メタロセン化合物としては、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−249号公報、特開平2−4705号公報、特開平5−83588号公報記載の種々のチタノセン化合物、特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報記載の鉄−アレーン錯体等が挙げられる。
上記ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号等の各公報に記載の種々の化合物等が挙げられる。
上記有機ホウ酸塩化合物としては、例えば、特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開平9−188685号、特開平9−188686号、特開平9−188710号、特許第2764769号、特開2002−116539号等の各公報、及び、Kunz,Martin"Rad Tech'98.Proceeding April 19−22,1998,Chicago"等に記載される有機ホウ酸塩記載される化合物が挙げられる。例えば、前記特開2002−116539号明細書の段落番号〔0022〕〜〔0027〕記載の化合物が挙げられる。
他の有機ホウ素化合物として、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられる。
上記スルホン化合物としては、特開平5−239015号に記載の化合物等、上記ジスルホン化合物としては、特開昭61−166544号明細書に記載の一般式(II)及び一般式(III)で示される化合物等が挙げられる。
これらのラジカル発生化合物は、一種のみを添加しても、二種以上を併用してもよい。添加量としては、光ラジカル重合性モノマーの全量に対し0.1〜30質量%、好ましくは0.5〜25質量%、特に好ましくは1〜20質量%で添加することができる。この範囲において、ドープ組成物の経時安定性が問題なく高い重合性となる。
又、本発明の重合性化合物において、カチオン重合性基含有の化合物を組み合わせて用いる場合には、光重合開始剤(L)として、光照射で酸を発生する酸発生剤(L2)を用いる。
酸発生剤(L2)としては、光カチオン重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、或いは、マイクロレジスト等に使用されている公知の酸発生剤等、公知の化合物及びそれらの混合物等が挙げられる。
酸発生剤としては、例えば、有機ハロゲン化化合物、ジスルホン化合物、が挙げられる。有機ハロゲン化合物、ジスルホン化合物のこれらの具体例は、前記ラジカルを発生する化合物の記載と同様のものが挙げられる。
オニウム化合物としては、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、イミニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アルソニウム塩、セレノニウム塩等が挙げられ、例えば特開2002−29162号公報の段落番号〔0058〕〜〔0059〕に記載の化合物等が挙げられる。
本発明において、特に好適に用いられる酸発生剤としては、オニウム塩が挙げられ、中でも、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、イミニウム塩が、光重合開始の光感度、化合物の素材安定性等の点から好ましい。
本発明において、好適に用いることのできるオニウム塩の具体例としては、例えば、特開平9−268205号公報の段落番号〔0035〕に記載のアミル化されたスルホニウム塩、特開2000−71366号公報の段落番号〔0010〕〜〔0011〕に記載のジアリールヨードニウム塩またはトリアリールスルホニウム塩、特開2001−288205号公報の段落番号〔0017〕に記載のチオ安息香酸S−フェニルエステルのスルホニウム塩、特開2001−133696号公報の段落番号〔0030〕〜〔0033〕に記載のオニウム塩等が挙げられる。
酸発生剤の他の例としては、特開2002−29162号公報の段落番号〔0059〕〜〔0062〕に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、o−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、光分解してスルホン酸を発生する化合物(イミノスルフォネート等)等の化合物が挙げられる。
これらの酸発生剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの酸発生剤は、全重合性化合物の全質量100質量部に対し0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜20質量%、特に好ましくは1〜15質量%の割合で添加することができる。添加量が上記範囲において、ドープ組成物の安定性、重合反応性等から好ましい。
そして、本発明では、上記したラジカル重合性モノマーと共に、カチオン重合性モノマーを用いることが好ましい。
本発明のセルロースアシレート組成物は、セルロースアシレートドープ組成物の粘度、反応速度、得られる製膜フイルムの力学的特性などの点から、上記したラジカル重合性モノマーとカチオン重合性モノマーとを、ラジカル重合性モノマー:カチオン重合性モノマーの質量比で、90:10〜20:80の割合で含有していることが好ましく、80:20〜30:70の割合で含有していることがより好ましい。
また、本発明のセルロースアシレートドープ組成物は、ラジカル重合性モノマー及びカチオン重合性モノマーの合計質量に対して、ラジカル重合開始剤を0.5〜10質量%及びカチオン重合開始剤を1〜10質量%の割合で含有していることが好ましい。より好ましくは、ラジカル重合開始剤を1〜5質量%、及びカチオン重合開始剤を2〜6質量%の割合で含有する。
本発明では、耐傷性やフイルムの搬送性を良好に保持するためにセルロースアシレート組成物に微粒子を添加するのが好ましい。
それらは、マット剤、ブロッキング防止剤あるいはキシミ防止剤と称されて従来から利用されている。それらは、前述の機能を呈する素材であれば特に限定されないが、これらのマット剤の好ましい具体例は、無機化合物としては、ケイ素を含む化合物、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化ジルコニウム、酸化ストロンチウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化スズ・アンチモン、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくはケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであるが、セルロースアシレートフイルムの濁度を低減できるので、二酸化ケイ素が特に好ましい。
又、表面処理された無機微粒子もセルロースアシレート中への分散性が良好となり好ましい。処理法としては、例えば、特開昭54−57562号公報に記載の方法が挙げられる。粒子としては、例えば、特開2001−151936号公報に記載のものが挙げられる。
有機化合物としては、例えば、架橋ポリスチレン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂等のポリマーが好ましく、なかでも、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。シリコーン樹脂のなかでも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましい。
これらの添加剤をセルロースアシレート溶液へ添加する場合は、特にその方法は限定されず、いずれの方法でも所望のセルロースアシレート溶液を得ることができれば問題ない。例えば、セルロースアシレートと溶媒を混合する段階で添加物を含有させてもよいし、セルロースアシレートと溶媒で混合溶液を作製した後に添加物を添加してもよい。更にはドープを流延する直前に添加混合してもよく、いわゆる直前添加方法であり、その混合にはスクリュー式混練がオンラインで設置して用いられる。添加剤の混合は、混合物それ自身を添加してもよいが、予め溶媒やバインダー(好ましくはセルロースアシレート)を用いて溶解しておいたり、場合により分散して安定化した溶媒として用いることも好ましい態様である。
これらの微粒子の1次平均粒子径としては、ヘイズを低く抑えるという観点から、好ましくは0.001〜20μmであり、より好ましくは0.001〜10μmであり、更に好ましくは0.002〜1μmであり、特に好ましくは0.005〜0.5μmである。
セルロースアシレートに対する微粒子の添加量は、セルロースアシレート100質量部に対して、微粒子は0.01〜0.3質量部が好ましく、0.05〜0.2質量部がさらに好ましい。
本発明のセルロースアシレート溶液(組成物)には、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、可塑剤、紫外線防止剤、劣化防止剤、光学異方性コントロール剤、微粒子、剥離剤、赤外吸収剤、など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に可塑剤の混合などであり、例えば特開平2001−151901号公報などに記載されている。さらにまた、赤外吸収染料としては例えば特開平2001−194522号公報に記載されている。またその添加する時期はドープ作製工程において何れで添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、セルロースアシレートフイルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開平2001−151902号公報などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。さらにこれらの詳細は、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。これらの添加剤の使用量は、セルロールアシレート全組成物中、0.001〜20質量%の範囲で適宜用いられることが好ましい。
次に、本発明のセルロースアシレートを溶解する有機溶媒について記述する。
用いる溶媒としては、低級脂肪族炭化水素の塩化物や低級脂肪族アルコールが一般に使用される。低級脂肪族炭化水素の塩化物の例には、メチレンクロライドを挙げることができる。低級脂肪族アルコールの例には、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール及びn-ブタノールが含まれる。その他の溶媒の例としては、ハロゲン化炭化水素を実質的に含まない、アセトン、炭素原子数4から12までのケトン(例えばメチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノン等)、炭素原子数3〜12のエステル(例えばギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル及び2−エトキシ−エチルアセテート等)、炭素原子数1〜6のアルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、t-ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール等)、炭素原子数3〜12のエーテル(例えばジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール等)、炭素原子数5〜8の環状炭化水素類(例えばシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等)が挙げられる。
好ましくは、エステル類、ケトン類、アルコール類の混合溶媒をドープ調製溶媒に用いることが、セルロースアシレートの溶解性の点から好ましい。
また、メチレンクロライドのようなハロゲン化炭化水素を含まない非ハロゲン系有機溶媒系として、例えば、特開2002−146043号公報の段落番号〔0021〕〜〔0025〕、特開2002−146045号公報の段落番号〔0016〕〜〔0021〕等に記載の溶媒系の例が挙げられる。
本発明のセルロースアシレートは、有機溶媒に10〜30質量%溶解している溶液であることが好ましい。これらの濃度にセルロースアシレートを実施する方法は、溶解する段階で所定の濃度になるように実施してもよく、また予め低濃度溶液(例えば9〜14質量%)として作製した後に後述する濃縮工程で所定の高濃度溶液に調整してもよい。さらに、予め高濃度のセルロースアシレート溶液として後に、種々の添加物を添加することで所定の低濃度のセルロースアシレート溶液としてもよく、いずれの方法で本発明のセルロースアシレート溶液濃度になるように実施されれば特に問題ない。
本発明のセルロースアシレート溶液(ドープ)の調製については、その溶解方法は特に限定されず、室温溶解法でもよくさらには冷却溶解法あるいは高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。これらに関しては、例えば特開平5−163301号公報、特開昭61−106628号公報、特開昭58−127737号公報、特開平9−95544号公報、特開平10−95854号公報、特開平10−45950号公報、特開2000−53784号公報、特開平11−322946号公報、さらに特開平11−322947号公報、特開平2−276830号公報、特開2000−273239号公報、特開平11−71463号公報、特開平04−259511号公報、特開2000−273184号公報、特開平11−323017号公報、特開平11−302388号公報などにセルロースアシレート溶液の調製法が記載されている。以上記載したこれらのセルロースアシレートの有機溶媒への溶解方法は、本発明においても適宜本発明の範囲であればこれらの技術を適用できるものである。これらの詳細は、特に非塩素系溶媒系については発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて22頁〜25頁に詳細に記載されている方法で実施される。さらに本発明のセルロースアシレートのドープ溶液は、溶液濃縮,ろ過が通常実施され、同様に発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて25頁に詳細に記載されている。なお、高温度で溶解する場合は、使用する有機溶媒の沸点以上の場合がほとんどであり、その場合は加圧状態で用いられる。
本発明のセルロースアシレート溶液は、その溶液の粘度と動的貯蔵弾性率がある範囲であることが好ましい。試料溶液1mLをレオメーター(CLS 500)に直径 4cm/2°のSteel Cone(共にTA Instrumennts社製)を用いて測定した。測定条件はOscillation Step/Temperature Rampで 40℃〜−10℃の範囲を2℃/分で可変して測定し、40℃の静的非ニュートン粘度 n* (Pa・sec)及び−5℃の貯蔵弾性率 G'(Pa)を求めた。尚、試料溶液は予め測定開始温度にて液温一定となるまで保温した後に測定を開始した。本発明では、40℃での粘度が1〜300Pa・secであり、かつ−5℃での動的貯蔵弾性率が1万〜100万Paである。
次に、本発明のセルロースアシレート溶液を用いたフイルムの製造方法について述べる。本発明のセルロースアシレートフイルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。ハロゲン化銀写真感光材料や電子ディスプレイ用機能性保護膜に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフイルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらの各製造工程については、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて25頁〜30頁に詳細に記載され、流延(共流延を含む)、金属支持体、乾燥、剥離、延伸などに分類される。
図1に本発明流延製膜方法を実施する流延製膜ラインの一実施形態の概略図を示す。
ここで、本発明においては流延部の空間温度は特に限定されないが、−50℃〜50℃であることが好ましい。更には−30℃〜40℃であることが好ましい。特に低温での空間温度により流延されたセルロースアシレート溶液は、支持体の上で瞬時に冷却されゲル強度アップすることでその有機溶媒を含んだフイルムを保持することができる。これにより、セルロースアシレートから有機溶媒を蒸発させることなく、支持体から短時間で剥ぎ取りことが可能となり、高速流延が達成できるものである。なお、空間を冷却する手段としては通常の空気でもよいし窒素やアルゴン、ヘリウムなどでもよく特に限定されない。またその場合の湿度は0〜70%RHが好ましく、さらには0〜50%RHが好ましい。また、本発明ではセルロースアシレート溶液を流延する流延部の支持体の温度が−50℃〜130℃であり、好ましくは−30℃〜25℃である。流延部を本発明の温度に保つためには、流延部に冷却した気体を導入して達成してもよく、あるいは冷却装置を流延部に配置して空間を冷却してもよい。この時、水が付着しないように注意することが重要であり、乾燥した気体を利用するなどの方法で実施できる。
流延工程では1種類のセルロースアシレート溶液を単層流延してもよいし、2種類以上のセルロースアシレート溶液を同時及びまたは逐次共流延しても良い。
2層以上の複数のセルロースアシレート溶液を共流延する方法としては、例えば、支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させる方法(例えば、特開平11−198285号公報記載の方法)、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延する方法(特開平6−134933号公報記載の方法)、高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高、低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押出す方法(特開昭56−162617号公報記載の方法)等が挙げられる。本発明ではこれらに限定されるものではない。
得られたフイルムは支持体(バンド)から剥ぎ取り、更に乾燥させる。乾燥工程における乾燥温度は40℃〜250℃、特に70℃〜180℃が好ましい。
更に残留溶媒を除去するために、50℃〜160℃で乾燥させ、その場合逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることが好ましい。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載されている。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することができる。使用する溶媒によって乾燥温度、乾燥風量及び乾燥時間が異なり、使用溶媒の種類、組み合わせに応じて適宜選ぶことができる。最終仕上がりフイルムの残留溶媒量は2質量%以下、更に0.4質量%以下であることが、寸度安定性良好なフイルムを得る上で好ましい。これらの乾燥工程の具体的な方法は、例えば、前述の発明協会公開技報に記載の従来公知の方法及び装置のいずれを用いてもよく、特に限定されるものではない。
本発明において光照射の工程は、ドープを流延してから乾燥が終了するまでの間の任意の場所で行えばよいが、特にドープ膜が支持体上にあるときに光照射することが好ましい。光照射の光源は、紫外線光のものであればいずれでもよく、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、メタルハライド灯、キセノン灯、太陽光等が挙げられる。波長350〜420nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化照射等を採用して用いることもできる。
紫外線照射による光重合は、空気または不活性気体中で行うことができるが、ラジカル重合性化合物を使用する場合には、重合の誘導期を短くするか、または重合率を十分に高める等のために、できるだけ酸素濃度を少なくした雰囲気とすることが好ましい。照射する紫外線の照射強度は、0.1〜100mW/cm2程度が好ましく、ドープ膜表面上での光照射量は100〜1000mJ/cm2が好ましい。また、光照射工程でのドープ膜の温度分布は、均一なほど好ましく、±3℃以内が好ましく、更には±1.5℃以内に制御されることが好ましい。この範囲において、ドープ膜の面内及び層内深さ方向での重合反応が均一に進行するので好ましい。
セルロースアシレートフイルムは、場合により表面処理を行うことによって、セルロースアシレートフイルムと各機能層(例えば、下塗層及びバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されている。なお、近年注目されている大気圧でのプラズマ処理は、例えば10〜1000Kev下で20〜500Kgyの照射エネルギーが用いられ、より好ましくは30〜500Kev下で20〜300Kgyの照射エネルギーが用いられる。これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアシレートフイルムの表面処理としては極めて有効である。
アルカリ鹸化処理は、鹸化液を塗布することで行ことも好ましい。塗布方法としては、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法及びE型塗布法を挙げることができる。アルカリ鹸化処理塗布液の溶媒は、鹸化液の透明支持体に対して塗布するために濡れ性が良く、また鹸化液溶媒によって透明支持体表面に凹凸を形成させずに、面状を良好なまま保つ溶媒を選択することが好ましい。具体的には、例えば特開2002−82226号公報、WO02/46809号公報に記載の内容が挙げられる。
フイルムと乳剤層との接着を達成するために、表面活性化処理をしたのち、直接セルロースアシレートフイルム上に機能層を塗布して接着力を得る方法と、一旦何がしかの表面処理をした後、あるいは表面処理なしで、下塗層(接着層)を設けこの上に機能層を塗布する方法とがある。これらの下塗層についての詳細は、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて32頁に記載されている。また本発明のセルロースアシレートフイルムの機能性層についても各種の機能層が発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)32頁〜45頁に詳細に記載されている。
本発明で作製されたセルロースアシレートの用途についてまず簡単に述べる。
本発明の光学フイルムは特に偏光板保護フイルム用として有用である。偏光板保護フイルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られたセルロースアシレートフイルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号公報、特開平6−118232号公報に記載されているような易接着加工を施してもよい。保護フイルム処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フイルムで構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、本発明の光学フイルムを適用した偏光板保護フイルムはどの部位に配置しても優れた表示性が得られる。特に液晶表示装置の表示側最表面の偏光板保護フイルムには透明ハードコート層、防眩層、反射防止層等が設けられるため、該偏光板保護フイルムをこの部分に用いることが特に好ましい。
本発明のセルロースアシレートフイルムは、様々な用途で用いることができ、液晶表示装置の光学補償シートとして用いると特に効果がある。本発明のセルロースアシレートフイルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)及びHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。セルロースアシレートフイルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。本発明のセルロースアシレートフイルムを、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。本発明のセルロースアシレートフイルムを、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性分子が90〜360度の範囲にねじられており、棒状液晶性分子の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積(Δnd)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開2000−105316号公報に記載がある。本発明のセルロースアシレートフイルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として特に有利に用いられる。本発明のセルロースアシレートフイルムは、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置またはHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。
本発明のセルロースアシレートフイルムは、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest−Host)型の反射型液晶表示装置の光学補償シートとしても有利に用いられる。これらの表示モードは古くから良く知られている。TN型反射型液晶表示装置については、特開平10−123478号、WO9848320号、特許第3022477号の各公報に記載がある。反射型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、WO00−65384号に記載がある。本発明のセルロースアシレートフイルムは、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell )モードの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)他の論文(Kume et al., SID 98 Digest 1089 (1998))に記載がある。
また、本発明のセルロースアシレートフィルムは、ハロゲン化銀写真感光材料用支持体としても有用である。本発明のセルロースアシレートフィルムは、印刷製版用、医療用、一般写真用等のいずれのハロゲン化銀写真感光材料の支持体として用いることができる。また、その膜厚は30〜250μmであることが好ましい。このようなハロゲン化銀写真感光材料についてはT. H. James et. al. The Theory of the Photographic Process 第4版 (Macmillan Publishing Co.,Inc. 1977)等に記載されている。
以上述べてきたこれらの詳細なセルロースアシレートフィルムの用途は発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて45頁〜59頁に詳細に記載されている。
[偏光板]
本発明の偏光板は、偏光子と、その両側に貼り合わされた保護膜からなり、保護膜として本発明のセルロースアシレートフイルムを用いることができる。また、保護膜としてセルロースアシレートフイルムに光学機能性層を付設した光学機能性シートを用いてもよい。
偏光子は、ポリビニルアルコール(PVA)と二色性分子から構成することが好ましく、特開平11−248937に記載されているようにPVAやポリ塩化ビニルを脱水、脱塩素することによりポリエン構造を生成し、これを配向させたポリビニレン系偏光子も使用することができる。
PVAは、ポリ酢酸ビニルをケン化したポリマー素材であるが、例えば不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のような酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAも用いることができる。
PVAのケン化度は特に限定されないが、溶解性等の観点から80〜100mol%が好ましく、90〜100mol%が特に好ましい。またPVAの重合度は特に限定されないが、1000〜10000が好ましく、1500〜5000が特に好ましい。
PVAのシンジオタクティシティーは特許2978219号に記載されているように耐久性を改良するため55%以上が好ましいが、特許第3317494号に記載されている45〜52.5%も好ましく用いることができる。
PVAはフイルム化した後、二色性分子を導入して偏光子を構成することが好ましい。PVAフイルムの製造方法は、PVA系樹脂を水又は有機溶媒に溶解した原液を流延して成膜する方法が一般に好ましく用いられる。原液中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、通常5〜20質量%であり、この原液を流延法により製膜することによって、膜厚10〜200μmのPVAフイルムを製造できる。PVAフイルムの製造は、特許第3342516号、特開平09-328593号、特開2001-302817号、特開2002-144401号を参考にして行うことができる。
PVAフイルムの結晶化度は、特に限定されないが、特許第3251073号に記載されている平均結晶化度(Xc)50〜75質量%や、面内の色相バラツキを低減させるため、特開2002-236214号に記載されている結晶化度38%以下のPVAフイルムを用いることができる。
PVAフイルムの複屈折(Δn)は小さいことが好ましく、特許第3342516号に記載されている複屈折が1.0×10-3以下のPVAフイルムを好ましく用いることができる。但し、特開2002-228835号に記載されているように、PVAフイルムの延伸時の切断を回避しながら高偏光度を得るため、PVAフイルムの複屈折を0.02以上0.01以下としてもよいし、特開2002-060505号に記載されているように(nx+ny)/2−nzの値を0.0003以上0.01以下としてもよい。PVAフイルムのレターデーション(面内)は0nm以上100nm以下が好ましく、0nm以上50nm以下がさらに好ましい。また、PVAフイルムのRth(膜厚方向)は0nm以上500nm以下が好ましく、0nm以上300nm以下がさらに好ましい。
この他、本発明の偏光板には、特許3021494号に記載されている1、2−グリコール結合量が1.5モル%以下のPVAフイルム、特開2001-316492号に記載されている5μm以上の光学的異物が100cm2当たり500個以下であるPVAフイルム、特開2002-030163号に記載されているフイルムのTD方向の熱水切断温度斑が1.5℃以下であるPVAフイルム、さらにグリセリンなどの3〜6価の多価アルコ−ルを1〜100質量部したり、特開平06-289225号に記載されている可塑剤を15質量%以上混合した溶液から製膜したPVAフイルムを好ましく用いることができる。
PVAフイルムの延伸前のフイルム膜厚は特に限定されないが、フイルム保持の安定性、延伸の均質性の観点から、1μm〜1mmが好ましく、20〜200μmが特に好ましい。特開2002-236212号に記載されているように水中において4倍から6倍の延伸を行った時に発生する応力が10N以下となるような薄いPVAフイルムを使用してもよい。
二色性分子はI3 -やI5 -などの高次のヨウ素イオンもしくは二色性染料を好ましく使用することができる。本発明では高次のヨウ素イオンが特に好ましく使用される。高次のヨウ素イオンは、「偏光板の応用」永田良編、CMC出版や工業材料、第28巻、第7号、p39〜p45に記載されているようにヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液および/もしくはホウ酸水溶液にPVAを浸漬し、PVAに吸着・配向した状態で生成することができる。
二色性分子として二色性染料を用いる場合は、アゾ系色素が好ましく、特にビスアゾ系とトリスアゾ系色素が好ましい。二色性染料は水溶性のものが好ましく、このため二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基が導入され、遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として好ましく用いられる。
このような二色性染料の具体例としては、例えば、C.I.Direct Red 37、 Congo Red(C.I. Direct Red 28)、C.I.Direct Violet 12、 C.I.Direct Blue 90、C.I.Direct Blue 22、 C.I.Direct Blue 1、 C.I.Direct Blue 151、 C.I.Direct Green 1等のベンジジン系、C.I.Direct Yellow 44、 C.I.Direct Red 23、C.I.Direct Red 79等のジフェニル尿素系、C.I.Direct Yellow 12等のスチルベン系、C.I.Direct Red 31等のジナフチルアミン系、C.I.Direct Red 81、 C.I.Direct Violet 9、 C.I.Direct Blue 78等のJ酸系を挙げることができる。
さらに特開昭62−70802号、特開平1−161202号、特開平1−172906号、特開平1−172907号、特開平1−183602号、特開平1−248105号、特開平1−265205号、特開平7−261024号、の各公報記載の二色性染料等も好ましく使用することができる。各種の色相を有する二色性分子を製造するため、これらの二色性染料は2種以上を配合してもかまわない。二色性染料を用いる場合、特開2002-082222号に記載されているように吸着厚みが4μm以上であってもよい。
フイルム中の該二色性分子の含有量は、少なすぎると偏光度が低く、また、多すぎても単板透過率が低下することから通常、フイルムのマトリックスを構成するポリビニルアルコール系重合体に対して、0.01質量%から5質量%の範囲に調整される。
偏光子の好ましい膜厚としては、5μm乃至40μmが好ましく、さらに好ましくは10μm乃至30μmである。偏光子の厚さと後述する保護膜の厚さの比を、特開2002-174727号に記載されている0.01≦A(偏光子膜厚)/B(保護膜膜厚)≦0.16範囲とすることも好ましい。
[偏光板の製造工程]
次に、本発明の偏光板の製造工程について説明する。
本発明における偏光板の製造工程は、膨潤工程、染色工程、硬膜工程、延伸工程、乾燥工程、保護膜貼り合わせ工程、貼り合わせ後乾燥工程から構成されることが好ましい。染色工程、硬膜工程、延伸工程の順序を任意に変えること、また、いくつかの工程を組み合わせて同時に行っても構わない。また、特許第3331615に記載されているように、硬膜工程の後に水洗することも好ましく行うことができる。
本発明では、膨潤工程、染色工程、硬膜工程、延伸工程、乾燥工程、保護膜貼り合わせ工程、貼り合わせ後乾燥工程を記載の順序で遂次行うことが特に好ましい。また、前述の工程中あるいは後にオンライン面状検査工程を設けても構わない。
膨潤工程は、水のみで行うことが好ましいが、特開平10−153709に記載されているように、光学性能の安定化及び、製造ラインでの偏光板基材のシワ発生回避のために、偏光板基材をホウ酸水溶液により膨潤させて、偏光板基材の膨潤度を管理することもできる。
また、膨潤工程の温度、時間は、任意に定めることができるが、10℃以上60℃以下、5秒以上2000秒以下が好ましい。
染色工程は、特開2002−86554に記載の方法を用いることができる。また、染色方法としては浸漬だけでなく、ヨウ素あるいは染料溶液の塗布あるいは噴霧等、任意の手段が可能である。また、特開2001-290025号に記載されているように、ヨウ素の濃度、染色浴温度、浴中の延伸倍率、および浴中の浴液を攪拌させながら染色させる方法を用いてもよい。
二色性分子として高次のヨウ素イオンを用いる場合、高コントラストな偏光板を得るためには、染色工程はヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液を用いることが好ましい。この場合のヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液のヨウ素は0.05〜20g/L、ヨウ化カリウムは3〜200g/L、ヨウ素とヨウ化カリウムの質量比は1〜2000が好ましい範囲である。染色時間は10〜1200秒が好ましく、液温度は10〜60℃が好ましい。さらに好ましくは、ヨウ素は0.5〜2g/L、ヨウ化カリウムは30〜120g/L、ヨウ素とヨウ化カリウムの質量比は30〜120がよく、染色時間は30〜600秒、液温度は20〜50℃がよい。
また、特許第3145747号に記載されているように、染色液にホウ酸、ホウ砂等のホウ素系化合物を添加しても良い。
硬膜工程は、架橋剤溶液に浸漬、または溶液を塗布して架橋剤を含ませるのが好ましい。また、特開平11−52130に記載されているように、硬膜工程を数回に分けて行うこともできる。
架橋剤としては米国再発行特許第232897号に記載のものが使用でき、特許第3357109号に記載されているように、寸法安定性を向上させるため、架橋剤として多価アルデヒドを使用することもできるが、ホウ酸類が最も好ましく用いられる。
硬膜工程に用いる架橋剤としてホウ酸を用いる場合には、ホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液に金属イオンを添加しても良い。金属イオンとしては塩化亜鉛が好ましいが、特開2000−35512に記載されているように、塩化亜鉛の変わりに、ヨウ化亜鉛などのハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛などの亜鉛塩を用いることもできる。
本発明では、塩化亜鉛を添加したホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液を作製し、PVAフイルムを浸漬させて硬膜を行うことが好ましく行われる。ホウ酸は1〜100g/L、ヨウ化カリウムは1〜120g/L、塩化亜鉛は0.01〜10g/L、硬膜時間は10〜1200秒が好ましく、液温度は10〜60℃が好ましい。さらに好ましくは、ホウ酸は10〜80g/L、ヨウ化カリウムは5〜100g/L、塩化亜鉛は0.02〜8g/L、硬膜時間は30〜600秒がよく、液温度は20〜50℃がよい。
延伸工程は、米国特許2、454、515などに記載されているような、縦一軸延伸方式、もしくは特開2002−86554に記載されているようなテンター方式を好ましく用いることができる。好ましい延伸倍率は2倍以上12倍以下であり、さらに好ましくは3倍以上10倍以下である。また、延伸倍率と原反厚さと偏光子厚さの関係は特開2002-040256号に記載されている(保護膜貼合後の偏光子膜厚/原反膜厚)×(全延伸倍率)>0.17としたり、最終浴を出た時の偏光子の幅と保護膜貼合時の偏光子幅の関係は特開2002-040247号に記載されている0.80≦(保護膜貼合時の偏光子幅/最終浴を出た時の偏光子の幅)≦0.95とすることも好ましく行うことができる。
乾燥工程は、特開2002−86554で公知の方法を使用できるが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。また、特許第3148513号に記載されているように、水中退色温度を50℃以上とするような熱処理を行ったり、特開平07-325215号や特開平07-325218号に記載されているように温湿度管理した雰囲気でエージングすることも好ましく行うことができる。
保護膜貼り合わせ工程は、乾燥工程を出た前述の偏光子の両面を2枚の保護膜で貼合する工程である。貼合直前に接着液を供給し、偏光子と保護膜を重ね合わせるように、一対のロールで貼り合わせる方法が好ましく使用される。また、特開2001−296426及び特開2002−86554に記載されているように、偏光子の延伸に起因するレコードの溝状の凹凸を抑制するため、貼り合わせ時の偏光子の水分率を調整することが好ましい。本発明では0.1%〜30%の水分率が好ましく用いられる。
偏光子と保護膜との接着剤は特に限定されないが、PVA系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等の変性PVAを含む)やホウ素化合物水溶液等が挙げられ、中でもPVA系樹脂が好ましい。接着剤層厚みは乾燥後に0.01乃至5μmが好ましく、0.05乃至3μmが特に好ましい。
また、偏光子と保護膜の接着力を向上させるために、保護膜を表面処理して親水化してから接着することが好ましく行われる。表面処理の方法は特に制限は無いが、アルカリ溶液を用いてケン化する方法、コロナ処理法など公知の方法を用いることができる。また、表面処理後にゼラチン下塗り層等の易接着層を設けても良い。特開2002-267839号に記載されているように保護膜表面の水との接触角は50°以下が好ましい。
貼り合わせ後乾燥条件は、特開2002−86554に記載の方法に従うが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。また、特開平07-325220号に記載されているように温湿度管理をした雰囲気でエージングすることも好ましい。
偏光子中の元素含有量は、ヨウ素0.1〜3.0g/m2、ホウ素0.1〜5.0g/m2、カリウム0.1〜2.0g/m2、亜鉛0〜2.0g/m2であることが好ましい。また、カリウム含有量は特開2001-166143号に記載されているように0.2質量%以下であってもよいし、偏光子中の亜鉛含有量を特開2000-035512号に記載されている0.04質量%〜0.5質量%としてもよい。
特許第3323255号に記載されているように、偏光板の寸法安定性をあげるために、染色工程、延伸工程および硬膜工程のいずれかの工程において有機チタン化合物および/または有機ジルコニウム化合物を添加使用し、有機チタン化合物および有機ジルコニウム化合物から選ばれた少なくとも一種の化合物を含有することもできる。また、偏光板の色相を調整するために二色性染料を添加しても良い。
[偏光板の特性]
(透過率および偏光度)
本発明の偏光板の好ましい単板透過率は42.5%以上49.5%以下であるが、さらに好ましくは42.8%以上49.0%以下である。式Vで定義される偏光度の好ましい範囲は97%以上、より好ましくは、99%以上、さらに好ましくは99.900%以上99.999%以下であり、特に好ましくは99.940%以上99.995%以下である。平行透過率の好ましい範囲は36%以上42%以下であり、直交透過率の好ましい範囲は、0.001%以上0.05%以下である。式VIで定義される二色性比の好ましい範囲は48以上1215以下であるが、さらに好ましくは53以上525以下である。
上述の透過率はJISZ8701に基づいて、下記式で定義される。
Figure 2004148811
ここで、K、S(λ)、y(λ)、τ(λ)は以下の通りである。
Figure 2004148811
S(λ):色の表示に用いる標準光の分光分布
y(λ):XYZ系における等色関数
τ(λ):分光透過率
Figure 2004148811
Figure 2004148811
ヨウ素濃度と単板透過率は特開2002-258051号に記載されている範囲であってもよい。
平行透過率は、特開2001-083328号や特開2002-022950号に記載されているように波長依存性が小さくてもよい。偏光板をクロスニコルに配置した場合の光学特性は、特開2001-091736号に記載されている範囲であってもよく、平行透過率と直交透過率の関係は、特開2002-174728号に記載されている範囲内であってもよい。
特開2002-221618号に記載されているように、光の波長が420〜700nmの間での10nm毎の平行透過率の標準偏差が3以下で、且つ、光の波長が420〜700nmの間での10nm毎の(平行透過率/直交透過率)の最小値が300以上であってもよい。
偏光板の波長440nmにおける平行透過率と直交透過率、平行透過率、波長550nmにおける平行透過率と直交透過率、波長610nmにおける平行透過率と直交透過率が、特開2002-258042号や特開2002-258043号に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
(色相)
本発明の偏光板の色相は、CIE均等知覚空間として推奨されているL*a*b*表色系における明度指数L*およびクロマティクネス指数a*とb*を用いて好ましく評価される。
L*、a*、b*は、上述のX、 Y、 Zを用い使って式VIIで定義される。
Figure 2004148811
ここでX0、 Y0、 Z0は照明光源の三刺激値を表し、標準光Cの場合、X0=98.072、 Y0=100、 Z0=118.225であり、標準光D65の場合、X0=95.045、 Y0=100、 Z0=108.892である。
偏光板単枚の好ましいa*の範囲は-2.5以上0.2以下であり、さらに好ましくは-2.0以上0以下である。偏光板単枚の好ましいb*の範囲は1.5以上5以下であり、さらに好ましくは2以上4.5以下である。2枚の偏光板の平行透過光のa*の好ましい範囲は-4.0以上0以下であり、さらに好ましくは-3.5以上-0.5以下である。2枚の偏光板の平行透過光のb*の好ましい範囲は2.0以上8以下であり、さらに好ましくは2.5以上7以下である。2枚の偏光板の直交透過光のa*の好ましい範囲は-0.5以上1.0以下であり、さらに好ましくは0以上2以下である。2枚の偏光板の直交透過光のb*の好ましい範囲は-2.0以上2以下であり、さらに好ましくは-1.5以上0.5以下である。
色相は、前述のX、 Y、 Zから算出される色度座標(x、y)で評価しても良く、例えば、2枚の偏光板の平行透過光の色度(xp、yp)と直交透過光の色度(xc、yc)は、特開2002-214436号、特開2001-166136号や特開2002-169024に記載されている範囲にしたり、色相と吸光度の関係を特開2001-311827号に記載されている範囲内にすることも好ましく行うことができる。
(視野角特性)
偏光板をクロスニコルに配置して波長550nmの光を入射させる場合の、垂直光を入射させた場合と、偏光軸に対して45度の方位から法線に対し40度の角度で入射させた場合の、透過率比やxy色度差を特開2001-166135号や特開2001-166137号に記載された範囲とすることも好ましい。また、特開平10-068817号に記載されているように、クロスニコル配置した偏光板積層体の垂直方向の光透過率(T0)と、積層体の法線から60°傾斜方向の光透過率(T60)との比(T60/T0)を10000以下としたり、特開2002-139625号に記載されているように、偏光板に法線から仰角80度までの任意な角度で自然光を入射させた場合に、その透過スペクトルの520〜640nmの波長範囲において波長域20nm以内における透過光の透過率差を6%以下としたり、特開平08-248201号に記載されているフイルム上の任意の1cm離れた場所における透過光の輝度差が30%以内とすることも好ましい。
(湿熱耐久性)
特開2001-116922号に記載されているように60℃、90%RHの雰囲気に500時間放置した場合のその前後における光透過率及び偏光度の変化率が絶対値に基づいて3%以下であることが好ましい。特に、光透過率の変化率は2%以下、また、偏光度の変化率は絶対値に基づいて1.0%以下、更には0.1%以下であることが好ましい。また、特開平07-077608号に記載されているように80℃、90%RH、500時間放置後の偏光度が95%以上、単体透過率が38%以上であることも好ましい。
(ドライ耐久性)
80℃、ドライ雰囲気下に500時間放置した場合のその前後における光透過率及び偏光度の変化率も絶対値に基づいて3%以下であることが好ましい。特に、光透過率の変化率は2%以下、また、偏光度の変化率は絶対値に基づいて1.0%以下、更には0.1%以下であることが好ましい。
(その他の耐久性)
さらに、特開平06-167611号に記載されているように80℃で2時間放置した後の収縮率が0.5%以下としたり、ガラス板の両面にクロスニコル配置した偏光板積層体を69℃の雰囲気中で750時間放置した後のx値及びy値が特開平10-068818号に記載されている範囲内としたり、80℃、90%RHの雰囲気中で200時間放置処理後のラマン分光法による105cm-1及び157cm-1のスペクトル強度比の変化を、特開平08-094834号や特開平09-197127号に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
(配向度)
PVAの配向度は高い程良好な偏光性能が得られるが、偏光ラマン散乱や偏光FT−IR等の手段によって算出されるオーダーパラメーター値として0.2乃至1.0が好ましい範囲である。また、特開昭59-133509号に記載されているように、偏光子の全非晶領域において、高分子セグメントの配向係数と占領分子の配向係数(0.75以上)との差が少なくとも0.15としたり、特開平04-204907号に記載されているように偏光子の非晶領域の配向係数が0.65〜0.85としたり、I3やI5の高次ヨウ素イオンの配向度を、オーダーパラメーター値として0.8乃至1.0とすることも好ましく行うことができる。
(その他の特性)
特開2002-006133号に記載されているように、80℃30分加熱したときの単位幅あたりの吸収軸方向の収縮力が4.0N/cm以下としたり、特開2002-236213号に記載されているように、偏光板を70℃の加熱条件下に120時間置いた場合に、偏光板の吸収軸方向の寸法変化率及び偏光軸方向の寸法変化率を、共に±0.6%以内としたり、偏光板の水分率を特開2002-090546号に記載されているように3質量%以下とすることも好ましく行うことができる。さらに、特開2000-249832号に記載されているように延伸軸に垂直な方向の表面粗さが中心線平均粗さに基づいて0.04μm以下としたり、特開平10-268294号に記載されているように透過軸方向の屈折率n0 を1.6より大きくしたり、偏光板の厚みと保護フイルムの厚みの関係を特開平10-111411号に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
[光学機能性層]
光学機能性シートとして、本発明のセルロースアシレートフイルムに光学補償層、光学異方性層、反射防止層、偏光分離層、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層、帯電防止層、易接着層、配向層、液晶層等の光学機能性層を付設することが好ましい。
(光学補償シート)
本発明の光学機能性シートの具体例として光学補償シートを示す。光学機能性層として光学異方性層(光学補償層)と配向層を有する。
本発明のセルロースアシレートフイルムは、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)のような表示モードに提案されている光学補償シートの基材フイルムとして最適に用いられる。
TNモード用の光学補償シートとしては、日本印刷学会誌第36巻第3号(1999)p40〜44、月刊ディスプレイ8月号(2002)p20〜24、特開平4−229828、特開平6−75115、特開平6−214116号、特開平8−50206等に記載された光学補償シートを好ましく組み合わせて使用される。
TNモード用の光学補償シートの好ましい構成は、前述の透明なポリマーフィルム上に配向層と光学異方性層をこの順に有したものである。光学補償シートは粘着剤を介して偏光板と貼合され、用いられてよいが、SID'00 Dig., p551(2000)に記載されているように、前記偏光子の保護膜の一方も兼ねて使用されることが薄手化の観点から特に好ましい。
配向層は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログループを有する層の形成のような手段で設けることができる。さらに電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により配向機能が生じる配向層も知られているが、ポリマーのラビング処理により形成する配向層が特に好ましい。ラビング処理はポリマー層の表面を紙や布で一定方向に数回こすることにより好ましく実施される。偏光子の吸収軸方向とラビング方向は実質的に平行であることが好ましい。配向層に使用するポリマーの種類は、ポリイミド、ポリビニルアルコール、特開平9−152509号公報に記載された重合性基を有するポリマー等を好ましく使用することができる。配向層の厚さは0.01乃至5μmであることが好ましく、0.05乃至2μmであることがさらに好ましい。
光学異方性層は液晶性化合物を含有していることが好ましい。本発明に使用される液晶性化合物はディスコティック化合物(ディスコティック液晶)を有していることが特に好ましい。ディスコティック液晶分子は、D-1のトリフェニレン誘導体ように円盤状のコア部を有し、そこから放射状に側鎖が伸びた構造を有している。また、経時安定性を付与するため、熱、光等で反応する基をさらに導入することも好ましく行われる。本発明において使用するディスコティック液晶は特開平8−50206号公報に記載の化合物が好ましく用いられる。
Figure 2004148811
ディスコティック液晶分子は、配向層付近ではラビング方向にプレチルト角を持ってほぼフイルム平面に平行に配向しており、反対の空気面側ではディスコティック液晶分子が面に垂直に近い形で立って配向している。ディスコティック液晶層全体としては、ハイブリッド配向を取っており、この層構造によってTNモードのTFT-LCDの視野角拡大を実現することができる。
上記光学異方性層は、一般にディスコティック化合物及び他の化合物(更に、例えば重合性モノマー、光重合開始剤)を溶剤に溶解した溶液を配向層上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマティック相形成温度まで加熱した後、UV光の照射等により重合させ、さらに冷却することにより得られる。本発明に用いるディスコティック液晶性化合物のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度としては、70〜300℃が好ましく、特に70〜170℃が好ましい。
また、上記光学異方性層に添加するディスコティック化合物以外の化合物としては、ディスコティック化合物と相溶性を有し、液晶性ディスコティック化合物に好ましい傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しない限り、どのような化合物も使用することができる。これらの中で、重合性モノマー(例、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基及びメタクリロイル基を有する化合物)、含フッ素トリアジン化合物等の空気界面側の配向制御用添加剤が、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース及びセルロースアセテートブチレート等のポリマーを挙げることができる。これらの化合物は、ディスコティック化合物に対して一般に0.1〜50質量%、好ましくは0.1〜30質量%の添加量にて使用される。
光学異方性層の厚さは、0.1乃至10μmであることが好ましく、0.5乃至5μmであることがさらに好ましい
光学補償シートの好ましい態様は、透明基材フイルムとしてのセルロースアシレートフイルム、その上に設けられた配向層、および該配向層上に形成されたディスコティック液晶からなる光学異方性層から構成され、かつ光学異方性層がUV光照射により架橋されている。
また、上記以外にも光学補償シートと本発明の偏光板を組み合わせる場合、例えば、特開平07-198942号に記載されているように板面に対し交差する方向に光軸を有して複屈折に異方性を示す位相差板と積層したり、特開2002-258052号に記載されているように保護膜と光学異方性層の寸法変化率が実質的に同等とすることも好ましく行うことができる。また、特開2000-258632号に記載されているように光学補償シートと貼合される偏光板の水分率を2.4%以下としたり、特開2002-267839号に記載されているように光学補償シート表面の水との接触角を70°以下とすることも好ましく行うことができる。
IPSモード液晶セル用光学補償シートは、電界無印状態の黒表示時において、基板面に平行配向した液晶分子の光学補償および偏光板の直交透過率の視野角特性向上に用いる。IPSモードは電界無印加状態で黒表示となり、上下一対の偏光板の透過軸は直交している。しかし斜めから観察した場合は、透過軸の交差角が90°ではなくなり、漏れ光が生じてコントラストが低下する。本発明の偏光板をIPSモード液晶セルに用いる場合は、漏れ光を低下するため特開平10−54982号公報に記載されているような面内の位相差が0に近く、かつ厚さ方向に位相差を有する光学補償シートと好ましく組み合わせて用いられる。
OCBモードの液晶セル用光学補償シートは、電界印加により液晶層中央部で垂直配向し、基板界面付近で傾斜配向した液晶層の光学補償を行い、黒表示の視野角特性を改善するために使用される。本発明の偏光板をOCBモード液晶セルに用いる場合は、米国特許5805253号に記載されたような円盤状の液晶性化合物をハイブリット配向させた光学補償シートと好ましく組み合わせて用いられる。
VAモードの液晶セル用光学補償シートは、電界無印加状態で液晶分子が基板面に対して垂直配向した状態の黒表示の視野角特性を改善する。このような光学補償シートしては特許番号第2866372号公報に記載されているような面内の位相差が0に近く、かつ厚さ方向に位相差を有するフイルムや、円盤状の化合物が基板に平行に配列したフイルムや、同じ面内リターデーション値を有する延伸フイルムを遅相軸が直交になるように積層配置したフイルムや、偏光板の斜め方向の直交透過率悪化防止のために液晶分子のような棒状化合物からなるフイルムを積層したものと好ましく組み合わせて用いられる。
(λ/4板)
本発明のセルロースアシレートフイルムは、λ/4板の基材フイルムとして用いることができ、そしてこのλ/4板を偏光板と積層して円偏光板として使用することができる。円偏光板は入射した光を円偏光に変換する機能を有しており、反射型液晶表示装置やECBモードなどの半透過型液晶表示装置、あるいは有機EL素子等に好ましく利用されている。
円偏光板において、λ/4板の遅相軸と上記偏光子の透過軸は、任意の角度で交差できるが、45゜±20°の範囲で交差されることが好ましい。但し、λ/4板の遅相軸と上記偏光子の透過軸は上記以外の範囲で交差されても構わない。
λ/4板をλ/4板およびλ/2板を積層して構成する場合は、特許番号第3236304号公報や特開平10−68816号公報に記載されているように、λ/4板およびλ/2板の面内の遅相軸と偏光板の透過軸とがなす角度が実質的に75°および15゜となるように貼り合わせることが好ましい。
(反射防止フイルム)
本発明のセルロースアシレートフイルムは反射防止フイルムの基材フイルムとして最適に用いられる。反射防止フイルムは、フッ素系ポリマー等の低屈折率素材を単層付与しただけの反射率1.5%程度のフイルム、もしくは薄膜の多層干渉を利用した反射率1%以下のフイルムのいずれも使用できる。本発明では、透明支持体上に低屈折率層、及び低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、高屈折率層、中屈折率層)を積層した構成が好ましく使用される。また、日東技報, vol.38, No.1, may, 2000, 26頁〜28頁や特開2002-301783号などに記載された反射防止フイルムも好ましく使用できる。
各層の屈折率は以下の関係を満足する。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55であり、好ましくは1.30〜1.50である。低屈折率層は、耐擦傷性、防汚性を有する最外層として使用することが好ましい。耐擦傷性向上のため、シリコーン基や、フッ素の含有する素材を用い表面への滑り性付与することも好ましく行われる。
含フッ素化合物としては、例えば、特開平9−222503号公報明細書段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報明細書段落番号[0019]〜[0030]、特開2001-40284号公報明細書段落番号[0027]〜[0028]、特開2000−284102号公報等に記載の化合物を好ましく使用することができる。
含シリコーン化合物はポリシロキサン構造を有する化合物が好ましいが、反応性シリコーン(例、サイラプレーン(チッソ(株)製)や両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報)等を使用することもできる。シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化させてもよい(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報、特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)。
低屈折率層には、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nmの低屈折率無機化合物、特開平11−3820公報の段落番号[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有させることも好ましく行うことができる。
低屈折率層は、気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成されても良いが、安価に製造できる点で、塗布法で形成することが好ましい。塗布法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法を好ましく使用することができる。
低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
中屈折率層および高屈折率層は、平均粒径100nm以下の高屈折率の無機化合物超微粒子をマトリックス用材料に分散した構成とすることが好ましい。高屈折率の無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物、例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等を好ましく使用できる。
このような超微粒子は、粒子表面を表面処理剤で処理したり(シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造としたり(特開2001−166104等)、特定の分散剤を併用する(例、特開平11−153703号公報、特許番号US6210858B1、特開2002−2776069号公報等)等の態様で使用することができる。
マトリックス用材料としては、従来公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂皮膜等を使用できるが、特開2000−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の多官能性材料や、特開2001−293818号公報等に記載の金属アルコキシド組成物から得られる硬化性膜を使用することもできる。
高屈折率層の屈折率は、1.70〜2.20であることが好ましい。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。
中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。中屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。
反射防止フイルムのヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下がさらに好ましい。又膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
(輝度向上フイルム)
本発明のセルロースアシレートフイルムは、輝度向上フイルムの基材フイルムとして最適に用いることができる。輝度向上フイルムは、円偏光もしくは直線偏光の分離機能を有しており、偏光板とバックライトの間に配置され、一方の円偏光もしくは直線偏光をバックライト側に後方反射もしくは後方散乱する。バックライト部からの再反射光は、部分的に偏光状態を変化させ、輝度向上フイルムおよび偏光板に再入射する際、部分的に透過するため、この過程を繰り返すことにより光利用率が向上し、正面輝度が1.4倍程度に向上する。輝度向上フイルムとしては異方性反射方式および異方性散乱方式が知られており、いずれも本発明の偏光板と組み合わせることができる。
異方性反射方式では、一軸延伸フイルムと未延伸フイルムを多重に積層して、延伸方向の屈折率差を大きくすることにより反射率ならびに透過率の異方性を有する輝度向上フイルムが知られており、誘電体ミラーの原理を用いた多層膜方式(WO95/17691号、WO95/17692号、WO95/17699号の各明細書記載)やコレステリック液晶方式(欧州特許606940A2号明細書、特開平8−271731号公報記載)が知られている。誘電体ミラーの原理を用いた多層方式の輝度向上フイルムとしてはDBEF−E、DBEF−D、DBEF−M(いずれも3M社製)、コレステリック液晶方式の輝度向上フイルムとしてはNIPOCS(日東電工株式会社製)が本発明で好ましく使用される。NIPOCSについては、日東技報, vol.38, No.1, may, 2000, 19頁〜21頁などを参考にすることができる。
また、本発明ではWO97/32223号、WO97/32224号、WO97/32225号、WO97/32226号の各明細書および特開平9−274108号、同11−174231号の各公報に記載された正の固有複屈折性ポリマーと負の固有複屈折性ポリマーをブレンドし一軸延伸した異方性散乱方式の輝度向上フイルムと組み合わせて使用することも好ましい。異方性散乱方式輝度向上フイルムとしては、DRPF−H(3M社製)が好ましい。
本発明の偏光板と輝度向上フイルムは、粘着剤を介して貼合された形態、もしくは偏光板の保護膜の一方を輝度向上フイルムとした一体型として使用することが好ましい。
(他の光学機能性シート)
本発明のセルロースアシレートフイルムは、さらに、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層、ガスバリア層、滑り層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けた光学機能性シートの基材フイルムとして最適である。また、これらの機能層は相互に、また前述の反射防止層や光学異方性層等と同一層内で複合して使用することも好ましい。
(ハードコート層)
耐擦傷性等の力学的強度を付与するため、ハードコート層を、セルロースアシレートフイルムの表面に設けた光学機能性シートとすることが好ましく行われる。ハードコート層を、前述の反射防止フイルムに適用して用いる場合は、特に、透明支持体と高屈折率層の間に設けることが好ましい。
ハードコート層は、光及び/又は熱による硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、又加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、WO00/46617号公報等記載のものを好ましく使用することができる。
ハードコート層の膜厚は、0.2〜100μmであることが好ましい。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。又、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層を形成する材料は、エチレン性不飽和基を含む化合物、開環重合性基を含む化合物を用いることができ、これらの化合物は単独あるいは組み合わせて用いることができる。エチレン性不飽和基を含む化合物の好ましい例としては、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールのポリアクリレート類;ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクリレート、ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのジアクリレート等のエポキシアクリレート類;ポリイソシナネートとヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレートの反応によって得られるウレタンアクリレート等を好ましい化合物として挙げることができる。 また、市販化合物としては、EB−600、EB−40、EB−140、EB−1150、EB−1290K、IRR214、EB−2220、TMPTA、TMPTMA(以上、ダイセル・ユーシービー(株)製)、UV−6300、UV−1700B(以上、日本合成化学工業(株)製)等が挙げられる。
また、開環重合性基を含む化合物の好ましい例としては、グリシジルエーテル類としてエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルなど、脂環式エポキシ類としてセロキサイド2021P、セロキサイド2081、エポリードGT−301、エポリードGT−401、EHPE3150CE(以上、ダイセル化学工業(株)製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチルエーテルなど、オキセタン類としてOXT−121、OXT−221、OX−SQ、PNOX−1009(以上、東亞合成(株)製)などが挙げられる。その他にグリシジル(メタ)アクリレートの重合体、或いはグリシジル(メタ)アクリレートと共重合できるモノマーとの共重合体をハードコート層に使用することもできる。
ハードコート層には、ハードコート層の硬化収縮の低減、基材との密着性の向上、本発明のハードコート処理物品のカールを低減するため、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム等の酸化物微粒子やポリエチレン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリジメチルシロキサン等の架橋粒子、SBR、NBRなどの架橋ゴム微粒子等の有機微粒子等の架橋微粒子を添加することも好ましく行われる。これらの架橋微粒子の平均粒径は、1nmないし20000nmであることが好ましい。また、架橋微粒子の形状は、球状、棒状、針状、板状など特に制限無く使用できる。微粒子の添加量は硬化後のハードコート層の60体積%以下であることが好ましく、40体積%以下がより好ましい。
上記で記載した無機微粒子を添加する場合、一般にバインダーポリマーとの親和性が悪いため、ケイ素、アルミニウム、チタニウム等の金属を含有し、かつアルコキシド基、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基等の官能基を有する表面処理剤を用いて表面処理を行うことも好ましく行われる。
ハードコート層は、熱または活性エネルギー線を用いて硬化することが好ましく、その中でも放射線、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を用いることがより好ましく、安全性、生産性を考えると電子線、紫外線を用いることが特に好ましい。熱で硬化させる場合は、プラスチック自身の耐熱性を考えて、加熱温度は140℃以下が好ましく、より好ましくは100℃以下である。
(前方散乱層)
前方散乱層は、本発明の偏光板を液晶表示装置に適用した際の、上下左右方向の視野角特性(色相と輝度分布)改良するために使用される。本発明では、屈折率の異なる微粒子をバインダー分散した構成が好ましく、例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子の相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等の構成を使用することができる。また、本発明の偏光板をヘイズの視野角特性を制御するため、住友化学の技術レポート「光機能性フイルム」31頁〜39頁に記載された「ルミスティ」と組み合わせて使用することも好ましく行うことができる。
(アンチグレア層)
アンチグレア(防眩)層は、反射光を散乱させ映り込みを防止するために使用される。アンチグレア機能は、液晶表示装置の最表面(表示側)に凹凸を形成することにより得られる。アンチグレア機能を有する光学フイルムのヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。
フイルム表面に凹凸を形成する方法は、例えば、微粒子を添加して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、比較的大きな粒子(粒径0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成する方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、フイルム表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等を好ましく使用することができる。
[液晶表示装置]
次に本発明の偏光板が使用される液晶表示装置について説明する。
図2は、本発明の偏光板が使用される液晶表示装置の一例である。
図2に示す液晶表示装置は、液晶セル(35〜39)、および液晶セル(35〜39)を挟持して配置された上側偏光板31と下側偏光板42とを有する。偏光板は偏光子および一対の透明保護フイルムによって挟持されているが、図2中では一体化された偏光板として示し、詳細構造は省略する。液晶セルは、上側基板35および下側基板38と、これらに挟持される液晶分子から形成される液晶層37からなる。液晶セルは、ON・OFF表示を行う液晶分子の配向状態の違いで、TN(Twisted Nematic)、STN(Supper Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、HAN(Hybrid Aligned Nematic)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、ASV、ASM、GH(Guest Host)のような表示モードに分類される。また、上記表示モードを配向分割した表示モード(MVA)も提案されている。本発明は、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても使用できる。
基板35および38の液晶層37に接触する表面(以下、「内面」という場合がある)には、配向膜(不図示)が形成されていて、配向膜上に施されたラビング処理等により、電界無印加状態もしくは低印加状態における液晶分子の配向が制御されている。また、基板35および38の内面には、液晶分子からなる液晶層37に電界を印加可能な透明電極(不図示)が形成されている。
TNモードのラビング方向は上下基板で互いに直交する方向に施し、その強さとラビング回数などでチルト角の大きさが制御できる。配向膜はポリイミド膜を塗布後焼成して形成する。液晶層のねじれ角(ツイスト角)の大きさは、上下基板のラビング方向の交差角と液晶材料に添加するカイラル剤により決まる。ここではツイスト角が90°になるようにするためピッチ60μm程度のカイラル剤を添加した。
なお、ツイスト角は、ノートパソコンやパソコンモニタ、テレビ用の液晶表示装置の場合は90°近傍(85から95°)に、携帯電話などの反射型表示装置として使用する場合は0から70°に設定する。またIPSモードやECBモードでは、ツイスト角が0°となる。IPSモードでは電極が下側基板38のみに配置され、基板面に平行な電界が印加される。また、OCBモードでは、ツイスト角がなく、チルト角を大きくされ、VAモードでは液晶分子が上下基板に垂直に配向する。
ここで液晶層の厚さdと屈折率異方性Δnの積Δndの大きさは白表示時の明るさを変化させる。このため最大の明るさを得るために表示モード毎にその範囲を設定する。
上側偏光板31の吸収軸32と下側偏光板42の吸収軸43の交差角は一般に概略直交に積層することで高コントラストが得られる。液晶セルの上側偏光板31の吸収軸32と上側基板35のラビング方向の交差角は液晶表示モードによってことなるが、TN、IPSモードでは一般に平行か垂直に設定する。OCB、ECBモードでは45°に設定することが多い。ただし、表示色の色調や視野角の調整のために各表示モードで最適値が異なり、この範囲に限定されるわけではない。
本発明の偏光板が使用される液晶表示装置は、図2の構成に限定されず、他の部材を含んでいてもよい。例えば、液晶セルと偏光子との間にカラーフィルターを配置してもよい。また、液晶セルと偏光板との間に、別途、前述した視野角拡大フイルム33、40を配置することもできる。偏光板31、43と視野角拡大フイルム33、40は粘着剤で貼合した積層形態で配置されてもよいし、液晶セル側保護膜の一方を視野角拡大に使用した、いわゆる一体型楕円偏光板として配置されてもよい。
また、透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置できる。また、本発明の偏光板が使用される液晶表示装置は、反射型であってもよく、かかる場合は、偏光板は観察側に1枚配置したのみでよく、液晶セル背面あるいは液晶セルの下側基板の内面に反射膜を設置する。もちろん前記光源を用いたフロントライトを液晶セル観察側に設けてもよい。
以下に本発明のセルロースアシレートについての具体的な実施例を記述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1及び比較例1
<セルローストリアセテートフィルムの製造>
〔実施例1〕
(セルローストリアセテート溶液(D−1)の調製)
攪拌羽根を有するステンレス製溶解タンクに、下記の溶媒混合溶液によく攪拌しつつ、セルローストリアセテート粉体(平均サイズ2mm)を徐々に添加してドープを調製した。添加後、室温(25℃)に1時間放置後、35℃に維持してセルローストリアセテートを膨潤させた。なお、溶媒である酢酸メチルとメチルエチルケトン、メタノール、エタノール、n−ブタノールは、すべてその含水率が0.2質量%以下のものを使用した。
実施例1のドープの調製に用いた各成分の成分比を下記に示す。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ドープ処方(1)
セルローストリアセテート(置換度2.83、6位のアシル化の置換度0.93、
2,3位のアシル化の置換度1.90、粘度平均重合度320、含水率0.4質量%、――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

メチレンクロライド溶液中6質量%の粘度305mPa・s)
18質量部
酢酸メチル 55質量部
メチルエチルケトン 10質量部
メタノール 5質量部
エタノール 5質量部
n−ブタノール 5質量部
可塑剤A(ジペンタエリスリトールヘキサアセテート) 1質量部
微粒子(シリカ(粒径20nm)) 0.1質量部
下記のUV吸収剤(1) 0.15質量部
モノマー(A−1):下記構造のモノマー(A−1) 1.0質量部
光重合開始剤(L−1):1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
0.08質量部
増感助剤:N−フェニルグリシン 0.005質量部 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 2004148811
つぎに、このドープは弱い超音波照射することで泡抜きを実施した。脱泡したドープは1.5MPaに加圧した状態で、最初公称孔径5μmの焼結金属フィルターを通過させ、ついで同じく2.5μmの焼結金属フィルターを通過させた。それぞれの1次圧は、1.5、1.2Mpaであり、2次圧はそれぞれ1.0、0.8MPaであった。ろ過後のドープの温度は35℃に調整してステンレス製のストックタンク内に貯蔵した。ストックタンクは中心軸にアンカー翼を有して周速0.3m/secで常時攪拌された。
(フィルム製膜)
上記の溶解法で得られたドープを40℃にし、流延ギーサーを通して表面温度20℃とした鏡面ステンレス支持体上に流延して製膜した。
バンド上に流延されたドープは、最初に平行流の乾燥風を送り乾燥した。乾燥する際の乾燥風からのドープへの総括伝熱係数は24kcal/m2・hr・℃であった。乾燥風の温度はバンド上部で140℃、下部で100℃とした。
流延後5秒間は遮風装置により乾燥風が直接ドープに当らない様にし、その後、2kW高圧水銀灯を用いて、ドープ表面の全光照射量が400mJ/cm2となる条件で光照射した。しかる後に、多数のロールを有する乾燥ゾーンを搬送することで、厚さ60μmのセルロースアセテートを作製した。
〔比較例1〕
実施例1のセルローストリアセテート溶液(D−1)の調製に用いた成分のうち、モノマー(A−1)の代わりに、メチルメタクリレート同量を用いた他は、実施例1と同様にして乾燥後の膜厚60μmのセルロースアセテートフィルムを作製した。
<偏光子の作製>
PVAフィルムをヨウ素2.0g/L、ヨウ化カリウム4.0g/Lの水溶液に25℃にて240秒浸漬し、さらにホウ酸10g/Lの水溶液に25℃にて60秒浸漬後、テンター延伸機に導入し、5.3倍に延伸し、以降幅を一定に保ち、収縮させながら80℃雰囲気で乾燥させた後テンターから離脱して巻き取った。延伸開始前のPVAフィルムの含水率は31%で、乾燥後の含水率は1.5%であった。
左右のテンタークリップの搬送速度差は、0.05%未満であった。テンター出口におけるシワ、フィルム変形は観察されなかった。
<偏光板の作製>
上記の各製膜したセルローストリアセテートフィルムを55℃の1.5N NaOH水溶液に1分間浸漬して両面を鹸化した後、希硫酸及び水で十分洗浄し、乾燥後それぞれのセルローストリアセテートにポリビニルアルコール系粘着材を約30μmの厚みに塗布し、上記偏光子の両側に貼り合わせ、さらに80℃で乾燥して偏光板を作成した。
得られた偏光板の550nmにおける透過率43.7%、偏光度は99.97%であった。
<結果>
上記の得られたセルローストリアセテートフィルム及び偏光板の性能の結果を表1に記載した。
Figure 2004148811
表1記載の評価項目の評価方法は以下の通りにして行った。
(1)膜の離型性
セルローストリアセテートフィルムの製膜実験中において、流延バンドからの製膜フィルムの離型性を目視観察した。
○:流延バンドから問題なく離型出来る。
×:流延バンド上に付着現象を生じ、離型されない。
(2)ヘイズ
セルローストリアセテートフィルムのヘイズは、日本電色工業(株)製、1001DP型を用いて、90℃/80%の高温高湿下で500時間保管しその前後で調べた。
A:初期の値
B:経時後の値
(3)引き裂き強度
セルローストリアセテートフィルムの引き裂き強度は、東洋精機製作所製軽過重引き裂き強度試験器を用い、ISO6383/2−1983に従って引き裂きに要する過重を評価した。90℃/80%の高温高湿下で500時間保管しその前後で調べた。試料サイズは50mm×64mm、25℃60%RHで2時間調整した後に実施した。
A:初期の値
B:経時後の値
(4)異物・汚れ
セルローストリアセテートフィルムから全幅で長手方向に1mの長さに切り出し、この試料にシャーカステン上で光を透過させながらルーペで異物・汚れの有無及び大きさを観察し、下記グレードで評価した。
A:50μm以上の大きさの異物、汚れはなく、観察された50μm未満のものは10個以下である。
B:50μm以上の大きさの異物、汚れはなく、50μm未満のものが11〜30個観察された。
C:50μm以上の大きさの異物、汚れが1〜10個観察され、50μm以下のものが31〜50個観察された。
D:50μm以上の大きさの異物、汚れが11〜30個観察され、50μm以下のものが51〜99個観察された。
E:50μm以上の大きさの異物、汚れが31個以上観察され、50μm以下のものが100個以上観察された。
(5)耐候性
各セルローストリアセテートフィルムをキセノンランプ2万ルックス、1カ月の光劣化試験(強制評価)を実施した。光劣化試験の前と後とのヘイズ値を測定し、その値の増加の有無を下記のグレードで評価した。
◎:変化が0.3%未満。
○:変化が0.3%以上で0.6%未満。
△:変化が0.6%以上で1.0%未満。
×:変化が1.0%以上。
(6)セルロースアシレートフイルムの透湿度
JIS規格JIS Z0208、A条件(温度を25℃、湿度を90%RH)で測定を行った。
(7)セルロースアシレートフイルムの光学特性(レターデーション)
作製したセルロースアシレートフイルムについて、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用い、30℃50%RH下で波長633nmにおけるReレターデーション値(Re)およびRthレターデーション値(Rth)を測定した。
湿度依存性は30℃において、50%RH下での波長633nmにおけるRe値およびRth値を基準値とし、30℃15%RHから30℃85%RHまでの湿度で、湿度5%おきに測定し、これら測定値から平均自乗法を用いてその傾きを算出した。一方、温度依存性は30℃50%RH下での値を基準値とし、5℃50%RHから85℃50%RHまでの温度で、温度5℃おきに測定し、これら測定値から平均自乗法を用いてその傾きを算出した。
また、波長450nmにおけるRth値(Rth450)と波長650nmにおけるRth値(Rth650)を測定し、波長によるRthの偏差 ΔRth=|Rth450−Rth650|を算出した。
(8)偏光度
偏光板の偏光度は、分光光度計により可視領域における並行透過率Yp、直行透過率Ycを求め、次式に基づき偏光度Pを決定した。
P=〔(Yp−Yc)/(Yp+Yc)〕1/2
(9)耐久性
偏光板から150mm×150mmの大きさの試料を2枚切り出し、(50℃/80%RH)の条件下に100時間曝し、クロスニコルにより偏光板の縁に発生する白抜けの面積を全体の面積に対する面積比として観察して、下記のグレードで評価した。
◎:白抜け部分が全くなかった。
○:白抜けが全体の面積に対して2%未満。
○〜△:白抜け部分が全体の面積に対して2%以上5%未満。
△:白抜け部分が全体の面積に対して5%以上10%未満。
×:白抜け部分が全体の面積に対して10%以上あった。
本発明のセルローストリアセテートフィルム(実施例1)の光学特性(ヘイズ値、異物・汚れ、等)、膜の強度(引き裂き強度)及び耐候性は良好であり、さらに、透湿度が低く良好であり、Reの湿度依存性・Rthの湿度依存性、Reの温度依存性・Rthの温度依存性、Rthの偏差も小さいことが確認できた。それらを用いて作製した偏光板も、偏光度、耐久性は良好であった。
一方、比較例1のセルローストリアセテートフィルムは、膜の離型性及びヘイズ値もほぼ良好であった。しかし、引き裂き強度、異物・汚れ、耐候性が低い値を示した。さらに、透湿度が高く、Reの湿度依存性・Rthの湿度依存性、Reの温度依存性・Rthの温度依存性、Rthの偏差も大きく、実用に耐えないことが確認された。又、偏光板とした場合にも耐久性が不充分であった。
以上の様に、本発明の特定の置換基を有する重合性モノマーを用いたセルローストリアセテートフィルム及びそれを用いた偏光板は、優れた性能を示した。
〔実施例2〜実施例4〕
実施例1におけるセルローストリアセテートフィルム溶液(D−1)において、モノマー(A−1)及び光重合開始剤(L−1)の代わりに、下記表2の重合性化合物及び光重合開始剤を同量づつ用いた他は、実施例1と同様にして、乾燥後の膜厚60μmの各セルローストリアセテートフィルム、更に各偏光板を作製した。
Figure 2004148811
得られた実施例2〜4の各セルローストリアセテートフィルム及び各偏光板を、実施例1と同様にして性能と評価を行った。各実施例のものは、実施例1と同等以上の性能を示し、良好であった。具体的に、透湿度は53〜234g/m2・24hの範囲にあり、Reの湿度依存性・Rthの湿度依存性、Reの温度依存性・Rthの温度依存性はそれぞれ、1.1〜1.8%・1.6〜2.5%、3.2〜4.3%・3.6〜5.3%であった。
〔実施例5〕
(セルローストリアセテート溶液の調製)
実施例1におけるセルローストリアセテート溶液の組成物の代わりに、下記組成のセルローストリアセテートフィルム溶液(組成物)(D−5)を用いた他は、実施例1と同様にしてセルローストリアセテート溶液を得た。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ドープ処方(5)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルローストリアセテート(置換度2.82、6位アセチル基の置換度0.93、粘度 平均重合度320、含水率0.2質量%) 20質量部
ジクロロメタン 62質量部
アセトン 5質量部
メタノール 6質量部
ブタノール 5質量部
可塑剤(C):ジペンタエリスリトールヘキサアセテート 0.7質量部
シリカ微粒子(粒径20nm) 0.1質量部
重合性モノマー(A):1−アダマンチルアクリレート 0.6質量部
:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート 0.15質量部
下記光安定化モノマー(1) 0.20質量部
下記光安定化モノマー(2) 0.15質量部
下記光重合開始剤(L−5) 0.15質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 2004148811
次に、上述したセルローストリアセテート溶液をスクリュー押し出し機で送液して、−70℃に保ち10分間かけて冷却しながら通過させた。冷却は冷凍機で冷却した−80℃の冷媒(3M社製、『フロリナート』)を用いて実施した。冷却により得られた溶液は、静止型混合器を設置した熱交換器により120℃まで温度を上昇させ3分間保持した後、冷却し50℃としてステンレス製の容器に移送し、50℃で2時間攪拌し脱泡を行った。この後、絶対濾過精度0.01mmの濾紙(東洋濾紙(株)製、『#63』)で濾過し、さらに、絶対濾過精度0.0025mmの濾紙(ポール社製、『FH 025』)にて濾過し、セルローストリアセテート溶液を調製した。
(フイルム製膜)
実施例1と同様にして、膜厚60μmのセルローストリアセテートフィルムを作製した。
(偏光板の作製)
上記のフイルムを用いて、実施例1と同様にして、偏光板を作製した。得られたフィルム及び偏光板の性能について、実施例1と同様に評価した。その結果を表3に記載した。
Figure 2004148811
以上の表3に示される結果から、本発明のセルロースアセテートフィルムは、膜の離型性に全く問題がなく、ヘイズ値も小さくて、異物・汚れも見られなかった。また、引き裂き強度及び耐候性も極めて良好であった。さらに、透湿度が低く良好であり、Reの湿度依存性・Rthの湿度依存性、Reの温度依存性・Rthの温度依存性も小さいことが確認できた。偏光板の性能も良好であった。
〔実施例6〜12〕
実施例5において、セルローストリアセテート溶液(D−5)の光安定化モノマー(1)及び(2)の代わりに下記表−Dの各光安定化モノマーを用いた他は、実施例5と同様にして、セルロースアセテートフィルム及び偏光板を作製した。
Figure 2004148811
Figure 2004148811
〔実施例13〜20〕
実施例5において、セルローストリアセテート溶液(D−5)の重合性モノマー[1−アダマンチルアクリレート及びジペンタエリスリトールペンタアクリレート]の代わりに、下記表−Eの各重合性モノマーを用いた他は、実施例5と同様にして、セルローストリアセテートフィルム及び偏光板を作製した。
Figure 2004148811
得られたセルロースアセテートフィルム及び偏光板の性能を、実施例1と同様にして評価した結果、実施例1と同等以上の良好なものであった。具体的に、透湿度は3〜196g/m2・24hの範囲にあり、Reの湿度依存性・Rthの湿度依存性、Reの温度依存性・Rthの温度依存性はそれぞれ、0.2〜1.7%・0.7〜2.6%、0.3〜4.1%・0.6〜4.8%であった。
〔実施例21〜23〕
実施例5のセルローストリアセテート溶液(D−5)において、重合性モノマー、光重合開始剤及び光安定化モノマーの代わりに下記表−F記載の各化合物を用いた他は、実施例5と同様にしてセルローストリアセテートフィルム及び偏光板を作製した。
得られたセルロースアセテートフィルム及び偏光板の性能を、実施例1と同様にして評価した結果、実施例5と同等の良好な性能であった。
Figure 2004148811
〔実施例24〕
(セルローストリアセテート溶液(D−24)の調製)
攪拌羽根を有するステンレス製溶解タンクに、下記ドープ処方(24)の溶媒を投入混合し、攪拌しつつセルローストリアセテート粉体(平均サイズ2mm)を徐々に添加した。添加後、室温(25℃)に1時間放置後、35℃に維持してセルローストリアセテートを膨潤させた。なお、溶媒である酢酸メチルとメチルエチルケトン、メタノール、エタノール、n−ブタノールは、すべてその含水率が0.2質量%以下のものを使用した。
ドープの調製に用いた各成分の成分比は以下に示す。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ドープ処方(24)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルローストリアセテート(置換度2.90、6位のアシル化の置換度0.94)
18質量部
酢酸メチル 55質量部
メチルエチルケトン 10質量部
メタノール 5質量部
エタノール 5質量部
n−ブタノール 5質量部
可塑剤A(ジペンタエリスリトールヘキサアセテート 1質量部
微粒子(シリカ(粒径20nm)) 0.1質量部
上記のUV吸収剤(1) 0.15質量部
上記のモノマー(A−1) 1.0質量部
光重合開始剤(L−1):1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
0.08質量部
増感助剤:N−フェニルグリシン 0.005質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
次に、上述したセルローストリアセテート溶液をスクリュー押し出し機で送液して、−70℃に保ち10分間かけて冷却しながら通過させた。冷却は冷凍機で冷却した−80℃の冷媒(3M社製、『フロリナート』)を用いて実施した。冷却により得られた溶液は、静止型混合器を設置した熱交換器により120℃まで温度を上昇させ3分間保持した後、冷却し50℃としてステンレス製の容器に移送し、50℃で2時間攪拌し脱泡を行った。この後、絶対濾過精度0.01mmの濾紙(東洋濾紙(株)製、『#63』)で濾過し、さらに、絶対濾過精度0.0025mmの濾紙(ポール社製、『FH 025』)にて濾過し、セルローストリアセテート溶液を調製した。
実施例1と同様にして、膜厚60μmのセルローストリアセテートフィルム及び偏光板を作製した。
得られたセルロースアセテートフィルム及び偏光板の性能を、実施例1と同様にして評価した結果、実施例1と同等の良好な性能であった。
〔実施例25〕
(セルローストリアセテート溶液(D−25)の調製)
実施例1におけるセルローストリアセテート溶液の組成物の代わりに、下記組成のセルローストリアセテートフィルム溶液(組成物)(D−25)を用いた他は、実施例1と同様にしてセルローストリアセテート溶液を得た。なお、溶媒であるジクロロメタン、アセトン、メタノールとブタノールは、すべてその含水率が0.2質量%以下のものを使用した。
ドープの調製に用いた各成分の成分比は以下に示す。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ドープ処方(25)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルローストリアセテート(置換度2.91、6位のアシル化の置換度0.94)
20質量部
ジクロロメタン 62質量部
アセトン 5質量部
メタノール 6質量部
ブタノール 5質量部
可塑剤(C):ジペンタエリスリトールヘキサアセテート 0.7質量部
シリカ微粒子(粒径20nm) 0.1質量部
重合性モノマー(A):1−アダマンチルアクリレート 0.6質量部
:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート 0.15質量部
上記光安定化モノマー(1) 0.20質量部
上記光安定化モノマー(2) 0.15質量部
上記光重合開始剤(L−5) 0.15質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
実施例1と同様にして、膜厚60μmのセルローストリアセテートフィルム及び偏光板を作製した。
得られたセルロースアセテートフィルム及び偏光板の性能を、実施例1と同様にして評価した結果、実施例1と同等の良好な性能であった。
〔実施例26〜27〕
実施例24、25に用いたセルローストリアセテートに代わり、セルロースアセテートプロピオネート(アセチル置換度2.11、プロピオニル置換度0.82)を用いる以外は実施例24、25と同様にセルロースアシレートフイルム及び偏光板を作製した。
得られたセルロースアセテートフィルム及び偏光板の性能を、実施例24と同様にして評価した結果、実施例24と同等の良好な性能であった。
〔実施例28〕
特開平11−316378号公報の実施例において、その第1透明支持体を本発明の実施例1〜27の各試料で得られるセルローストリアセテートフィルム(第2フィルム)の厚さを80μmとしたものに変更する以外は、全く同様にして特開平11−316378号の(実施例)を実施して試料を作製した。得られた楕円偏光板は、優れた光学特性を有するものであった。従って、本発明のセルローストリアセテートフィルムが楕円偏光板に適応されても問題のない好ましいフィルムであることが明らかである。
〔実施例29〕
特開平7−333433号公報の実施例1の富士写真フィルム(株)トリアセチルセルロースフイルムを、本発明の実施例1〜27の各試料のセルロースアシレートフイルムに変更する以外は、特開平7−333433号公報の実施例1と全く同様にした光学補償シートを作製した。得られた光学補償シートは左右上下に優れた視野角を有するものであった。したがって、本発明のセルローストリアセテートフィルムが、光学的用途として優れたものであることが判る。
〔実施例30〕
本発明のセルロースアシレートフィルムは、更に多種の光学用途に利用される。上記実施例10〜23の各試料を、例えば特開平10−48420号公報の実施例1に記載の偏光板、それを用いた液晶表示装置、特開平9−26572号公報、実施例1に記載のディスコティック液晶分子を含む光学的異方性層、ポリビニルアルコールを塗布した配向膜、特開2000−154261号公報の図2〜9に記載のVA型液晶表示装置、特開2000−154261号公報の図10〜15に記載のOCB型液晶表示装置に用いたところ良好な性能が得られた。
〔実施例31〕
実施例1、5及び23において、そのフィルム厚さを100μmとする以外は、実施例1と全く同様にして本発明のセルロースアシレートフイルムを作製した。得られたフィルムの一方に、特開平4−73736号公報の実施例1の(バック層組成)第一層及び第2層を付与し、カチオン系ポリマーを導電性層とするバック層を作製した。更に、得られたバック層を付与したフィルムベースの反対の面に、特開平11−38568号公報の実施例1の試料105を塗布し、ハロゲン化銀カラー写真感光材料を3種作製した。得られたこれらカラーフイルムは優れた映像が得られかつその取り扱い性においても問題のないものであった。
引き裂き強度、耐折強度、低透湿性、光学特性に優れ、特にレターデーションの温度、湿度依存性が少なく、しかも長期保存安定性良好なセルロースアシレートフィルムは、光学フイルム(光学機能性シート)、光学補償フイルム、偏光板、液晶表示装置、有機EL、及びハロゲン化銀写真感光材料の用途に適用できる。
本発明による流延製膜方法を実施する流延製膜ラインの一実施形態の概略図である。 本発明の偏光板が使用される液晶表示装置の一例である。
符号の説明
11 ミキシングタンク
12 送液ポンプ
13 フィルター
14 流延ダイ
15 流延バンド
16 流延側部回転ドラム
17 非流延部側回転ドラム
18 ガイドロール
19 剥ぎ取りロール
20 ガイドロール
21 巻き取りロール
22 乾燥部
23 フィルム
31 上偏光板
32 上偏光板吸収軸
33 上光学異方性層
34 上光学異方性層配向制御方向
35 液晶セル上電極基板
36 上基板配向制御方向
37 液晶層
38 液晶セル下電極基板
39 下基板配向制御方向
40 下光学異方性層
41 下光学異方性層配向制御方向
42 下偏光板
43 下偏光板吸収軸

Claims (13)

  1. セルロースアシレート、環状構造脂肪族炭化水素基を有するラジカル重合性モノマー(A)、及び光重合開始剤(L)を含有するセルロースアシレート組成物を流延する流延工程と光照射の工程と含むことを特徴とするセルロースアシレートフイルムの製造方法。
  2. 該セルロースアシレート組成物が、光安定化基を含有する重合性モノマー(B)の少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1記載のセルロースアシレートフイルムの製造方法。
  3. セルロースアシレート、環状構造脂肪族炭化水素基を有するラジカル重合性モノマー(A)、及び光重合開始剤(L)を含有するセルロースアシレート組成物を流延する流延工程と、光照射の工程とを含む一連の工程により作製されたことを特徴とするセルロースアシレートフイルム。
  4. 該セルロースアシレート組成物が、光安定化基を含有する重合性モノマー(B)を含有することを特徴とする請求項3記載のセルロースアシレートフイルム。
  5. 該セルロースアシレート組成物が、微粒子を含有することを特徴とする請求項3または4に記載のセルロースアシレートフイルム。
  6. 透湿度が2〜250g/m2である請求項3〜5のいずれかに記載のセルロースアシレートフイルム。
  7. 下式(I)、(II)で定義され波長633nmで測定したセルロースアシレートフイルムのRe値およびRth値の30℃15%RHから30℃85%RHの範囲における湿度依存性が、絶対値で各々2%/%RH以下、3%/%RH以下であることを特徴とするセルロースアシレートフイルム。
    (I) Re=(nx−ny)×d
    (II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
    [式中、nxは、セルロースアシレートフイルム面内の遅相軸方向の屈折率であり;nyは、セルロースアシレートフイルム面内の進相軸方向の屈折率であり;nzは、セルロースアシレートフイルムの厚み方向の屈折率であり;そしてdは、セルロースアシレートフイルムの厚さ(nm)である]。
  8. 該セルロースアシレートフイルムの波長450nmで測定したRth値(Rth450)と波長650nmで測定したRth値(Rth650)が下式(III)の関係を満たすことを特徴とする請求項3〜請求項7のいずれかに記載のセルロースアシレートフイルム。
    (III) 0≦|Rth450−Rth650|≦35(nm)
  9. 該セルロースアシレートフイルムのRe値およびRth値の5℃から85℃の範囲における温度依存性が、絶対値で各々5%/℃以下、6%/℃以下であることを特徴とするセルロースアシレートフイルム。
  10. 請求項3〜請求項9のいずれかに記載のセルロースアシレートフイルムに光学機能性層を付設したことを特徴とする光学機能性シート。
  11. 偏光膜、及びその両側に配置された2枚の透明保護膜からなる偏光板であって、該透明保護膜の少なくとも一方が請求項3〜請求項9のいずれかに記載のセルロースアシレートフイルムあるいは請求項10に記載の光学機能性シートを用い、かつその偏光度が97%以上であることを特徴とする偏光板。
  12. 請求項11に記載の偏光板を用いたことを特徴とする液晶表示装置。
  13. 膜厚が30〜250μmの請求項3〜9のいずれかに記載のセルロースアシレートフイルムを支持体とすることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
JP2003349004A 2002-10-08 2003-10-08 セルロースアシレートフイルムの製造方法、セルロースアシレートフイルム、並びにそれを用いた光学機能性シート、偏光板、液晶表示装置及びハロゲン化銀写真感光材料 Pending JP2004148811A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003349004A JP2004148811A (ja) 2002-10-08 2003-10-08 セルロースアシレートフイルムの製造方法、セルロースアシレートフイルム、並びにそれを用いた光学機能性シート、偏光板、液晶表示装置及びハロゲン化銀写真感光材料

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002294914 2002-10-08
JP2003349004A JP2004148811A (ja) 2002-10-08 2003-10-08 セルロースアシレートフイルムの製造方法、セルロースアシレートフイルム、並びにそれを用いた光学機能性シート、偏光板、液晶表示装置及びハロゲン化銀写真感光材料

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004148811A true JP2004148811A (ja) 2004-05-27

Family

ID=32473500

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003349004A Pending JP2004148811A (ja) 2002-10-08 2003-10-08 セルロースアシレートフイルムの製造方法、セルロースアシレートフイルム、並びにそれを用いた光学機能性シート、偏光板、液晶表示装置及びハロゲン化銀写真感光材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004148811A (ja)

Cited By (21)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005022215A1 (ja) * 2003-08-28 2005-03-10 Nippon Kayaku Kabushiki Kaisha セルロース誘導体を用いた位相差フィルム
JP2006138996A (ja) * 2004-11-11 2006-06-01 Fuji Photo Film Co Ltd 光学補償フイルム、偏光板および液晶表示装置
JP2006178191A (ja) * 2004-12-22 2006-07-06 Jsr Corp 偏光フィルムの製造方法および偏光フィルム
WO2006070936A1 (en) * 2004-12-28 2006-07-06 Fujifilm Corporation Liquid crystal display device, optical compensatory sheet, and polarizer and liquid crystal display device employing the same
JP2006184640A (ja) * 2004-12-28 2006-07-13 Fuji Photo Film Co Ltd 液晶表示装置
JP2006201449A (ja) * 2005-01-20 2006-08-03 Fuji Photo Film Co Ltd 液晶表示装置
JP2006220971A (ja) * 2005-02-10 2006-08-24 Fuji Photo Film Co Ltd 光学補償シート、偏光板およびこれを用いた液晶表示装置
WO2006101249A1 (en) * 2005-03-22 2006-09-28 Fujifilm Corporation Optical compensation film, polarizing plate and liquid crystal display
JP2007328217A (ja) * 2006-06-09 2007-12-20 Nitto Denko Corp 液晶パネル及び液晶表示装置
WO2008044452A1 (fr) * 2006-10-05 2008-04-17 Konica Minolta Opto, Inc. Affichage à cristaux liquides de type à mode de commutation de champ électrique latéral
JPWO2006025440A1 (ja) * 2004-09-02 2008-05-08 富士フイルム株式会社 透明ポリマーフィルム、並びに、それを用いた光学補償フィルム、偏光板および液晶表示装置
JP2008516262A (ja) * 2004-10-08 2008-05-15 富士フイルム株式会社 カラーフィルター、カラーフィルターの製造方法、及び液晶表示装置
JP2008191658A (ja) * 2007-01-12 2008-08-21 Fujifilm Corp セルロース組成物、セルロースフィルム、光学フィルム、位相差フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2009098605A (ja) * 2007-09-27 2009-05-07 Fujifilm Corp 液晶表示装置
WO2010044232A1 (ja) * 2008-10-14 2010-04-22 日本化薬株式会社 偏光板
CN102321205A (zh) * 2011-06-16 2012-01-18 华映视讯(吴江)有限公司 光聚合液晶混合物及光聚合液晶的制作方法
JP2012128434A (ja) * 2004-09-27 2012-07-05 Fujifilm Corp セルロースアシレートフイルム並びにそれを用いた光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2013029860A (ja) * 2007-09-27 2013-02-07 Fujifilm Corp 液晶表示装置
WO2014171468A1 (ja) * 2013-04-19 2014-10-23 富士フイルム株式会社 光学フィルム、偏光板および液晶表示装置
WO2015016286A1 (ja) * 2013-07-30 2015-02-05 富士フイルム株式会社 光学フィルム、それを用いた偏光板および液晶表示装置
CN104871075A (zh) * 2012-12-17 2015-08-26 伊士曼化工公司 纤维素酯的溶剂合金化以改性lcd膜的厚度延迟

Cited By (37)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4681452B2 (ja) * 2003-08-28 2011-05-11 日本化薬株式会社 セルロース誘導体を用いた位相差フィルム
US7410680B2 (en) 2003-08-28 2008-08-12 Nippon Kayaku Kabushiki Kaisha Retardation film made by using cellulose derivatives
WO2005022215A1 (ja) * 2003-08-28 2005-03-10 Nippon Kayaku Kabushiki Kaisha セルロース誘導体を用いた位相差フィルム
JPWO2006025440A1 (ja) * 2004-09-02 2008-05-08 富士フイルム株式会社 透明ポリマーフィルム、並びに、それを用いた光学補償フィルム、偏光板および液晶表示装置
JP4854510B2 (ja) * 2004-09-02 2012-01-18 富士フイルム株式会社 透明ポリマーフィルム、並びに、それを用いた光学補償フィルム、偏光板および液晶表示装置
JP2012128434A (ja) * 2004-09-27 2012-07-05 Fujifilm Corp セルロースアシレートフイルム並びにそれを用いた光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2008516262A (ja) * 2004-10-08 2008-05-15 富士フイルム株式会社 カラーフィルター、カラーフィルターの製造方法、及び液晶表示装置
JP2006138996A (ja) * 2004-11-11 2006-06-01 Fuji Photo Film Co Ltd 光学補償フイルム、偏光板および液晶表示装置
JP4498103B2 (ja) * 2004-11-11 2010-07-07 富士フイルム株式会社 Tn型液晶表示装置
JP2006178191A (ja) * 2004-12-22 2006-07-06 Jsr Corp 偏光フィルムの製造方法および偏光フィルム
JP2006184640A (ja) * 2004-12-28 2006-07-13 Fuji Photo Film Co Ltd 液晶表示装置
TWI405011B (zh) * 2004-12-28 2013-08-11 Fujifilm Corp 液晶顯示裝置、光學補償片、及偏光片、以及用它之液晶顯示裝置
US8049850B2 (en) 2004-12-28 2011-11-01 Fujifilm Corporation Liquid crystal display device, optical compensatory sheet, and polarizer and liquid crystal display device employing the same
WO2006070936A1 (en) * 2004-12-28 2006-07-06 Fujifilm Corporation Liquid crystal display device, optical compensatory sheet, and polarizer and liquid crystal display device employing the same
JP2006201449A (ja) * 2005-01-20 2006-08-03 Fuji Photo Film Co Ltd 液晶表示装置
JP4694848B2 (ja) * 2005-01-20 2011-06-08 富士フイルム株式会社 液晶表示装置
JP2006220971A (ja) * 2005-02-10 2006-08-24 Fuji Photo Film Co Ltd 光学補償シート、偏光板およびこれを用いた液晶表示装置
WO2006101249A1 (en) * 2005-03-22 2006-09-28 Fujifilm Corporation Optical compensation film, polarizing plate and liquid crystal display
JP2007328217A (ja) * 2006-06-09 2007-12-20 Nitto Denko Corp 液晶パネル及び液晶表示装置
WO2008044452A1 (fr) * 2006-10-05 2008-04-17 Konica Minolta Opto, Inc. Affichage à cristaux liquides de type à mode de commutation de champ électrique latéral
JP2008191658A (ja) * 2007-01-12 2008-08-21 Fujifilm Corp セルロース組成物、セルロースフィルム、光学フィルム、位相差フィルム、偏光板及び液晶表示装置
KR101532454B1 (ko) * 2007-09-27 2015-06-29 후지필름 가부시키가이샤 액정 표시 장치
JP2009098605A (ja) * 2007-09-27 2009-05-07 Fujifilm Corp 液晶表示装置
JP2013029860A (ja) * 2007-09-27 2013-02-07 Fujifilm Corp 液晶表示装置
JP2014078018A (ja) * 2007-09-27 2014-05-01 Fujifilm Corp 液晶表示装置
US9222021B2 (en) 2007-09-27 2015-12-29 Fujifilm Corporation Liquid-crystal display device
JP2015092263A (ja) * 2007-09-27 2015-05-14 富士フイルム株式会社 液晶表示装置
WO2010044232A1 (ja) * 2008-10-14 2010-04-22 日本化薬株式会社 偏光板
CN102321205A (zh) * 2011-06-16 2012-01-18 华映视讯(吴江)有限公司 光聚合液晶混合物及光聚合液晶的制作方法
CN104871075A (zh) * 2012-12-17 2015-08-26 伊士曼化工公司 纤维素酯的溶剂合金化以改性lcd膜的厚度延迟
CN105122100A (zh) * 2013-04-19 2015-12-02 富士胶片株式会社 光学薄膜、偏振片及液晶显示装置
JP2014225003A (ja) * 2013-04-19 2014-12-04 富士フイルム株式会社 光学フィルム、偏光板および液晶表示装置
WO2014171468A1 (ja) * 2013-04-19 2014-10-23 富士フイルム株式会社 光学フィルム、偏光板および液晶表示装置
WO2015016286A1 (ja) * 2013-07-30 2015-02-05 富士フイルム株式会社 光学フィルム、それを用いた偏光板および液晶表示装置
CN105452913A (zh) * 2013-07-30 2016-03-30 富士胶片株式会社 光学膜、使用该光学膜的偏振片及液晶显示装置
JPWO2015016286A1 (ja) * 2013-07-30 2017-03-02 富士フイルム株式会社 光学フィルム、それを用いた偏光板および液晶表示装置
US10001584B2 (en) 2013-07-30 2018-06-19 Fujifilm Corporation Optical film, and polarizing plate and liquid crystal display device that use this optical film

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2004148811A (ja) セルロースアシレートフイルムの製造方法、セルロースアシレートフイルム、並びにそれを用いた光学機能性シート、偏光板、液晶表示装置及びハロゲン化銀写真感光材料
JP6062430B2 (ja) 液晶表示装置
US7704570B2 (en) Polarizing plate and liquid crystal display apparatus using the same
JP5333209B2 (ja) セルロースエステル光学フィルム、該セルロースエステル光学フィルムを用いた偏光板及び液晶表示装置、及びセルロースエステル光学フィルムの製造方法
TWI437038B (zh) A cellulose ester film, a method for producing a cellulose ester film, a polarizing plate protective film, a polarizing plate, and a liquid crystal display device
JP5308700B2 (ja) 偏光板およびそれを用いた液晶表示装置
JP2005284246A (ja) 偏光板及びその製造方法
TW201421081A (zh) 液晶顯示裝置
KR20070037572A (ko) 광학 필름, 광학 보상 필름, 편광판, 액정 디스플레이 장치및 자가 발광 디스플레이 장치
US20070258141A1 (en) Polarizing Plate and Liquid Crystal Display
JP2006251224A (ja) 偏光板の製造方法
JP2006241306A (ja) セルロースアシレートフィルム、セルロースアシレートフィルムの製造方法、偏光板および液晶表示装置
JP2007279243A (ja) 偏光板の製造方法、偏光板、および画像表示装置
JP5707811B2 (ja) 長尺状λ/4板、円偏光板、偏光板、OLED表示装置、及び立体画像表示装置
JP2005307055A (ja) セルロースアシレートの製造方法、セルロースアシレートフイルム、それを用いた光学機能性シート、偏光板、液晶表示装置
JP5678965B2 (ja) 前面板付き液晶表示装置の製造方法、前面板付き液晶表示装置
JP2005326713A (ja) 反射防止性偏光板、その製造方法、およびそれを用いた画像表示装置
JP2010097005A (ja) 反射防止フィルム、その製造方法、反射防止フィルムを用いた偏光板、及び表示装置
JP2023081987A (ja) 偏光板の製造方法
TWI354684B (en) Cellulose film, polarizing film and liquid crystal
JP2005062458A (ja) 偏光板及び液晶表示装置
JP2020008860A (ja) 光学多層フィルム、これを含む光学部品および表示装置
JP2024045312A (ja) 反射防止層付円偏光板および該反射防止層付円偏光板を用いた画像表示装置
JP2005349616A (ja) セルロースアシレートフィルム、偏光板保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP6081244B2 (ja) 偏光板および液晶表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060327