JP2006201449A - 液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
レターデーションがΔn(λ)×dの液晶表示装置であり、光学補償フィルムと、所定の光学特性を満足するセルロースアシレートフィルムを含み、光学補償フィルムおよびセルロースアシレートフィルムの波長λにおける面内のレターデーションの和をResum(λ)、波長λにおける厚さ方向のレターデーションの和をRthsum(λ)とした場合、波長380nm〜780nmの間の少なくとも2つの異なる波長において、下記式(I)〜(IV)を満足する液晶表示装置である。(I)200≦Δn(λ)×d≦1000、(II)Rthsum(λ)/λ=A×Δn(λ)×d/λ+B、(III)Resum(λ)/λ=C×λ/{Δn(λ)×d}+D(IV)0.488≦A≦0.56、 かつ B=−0.0567、 かつ −0.041≦C≦0.016、 かつ D=0.0939。
【選択図】 図3
Description
(1) 少なくとも一方に電極を有する対向配置された一対の基板と、該一対の基板間に挟持され、ネマチック液晶材料を含み、黒表示時に該ネマチック液晶材料の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して略垂直に配向する液晶層とを有する液晶セル、該液晶セルを挟持して配置された第一及び第二の偏光膜、及び前記液晶層と第一及び第二の偏光膜との間に、光学補償フィルムをそれぞれ有し、
前記光学補償フィルムと、前記偏光膜または前記液晶層との少なくとも片方の間に、セルロースアシレートフィルムが配置され、
前記液晶層の厚さをd(単位:nm)、波長λ(単位:nm)における屈折率異方性をΔn(λ)とし、前記光学補償フィルムおよびセルロースアシレートフィルムの波長λにおける面内のレターデーションの和をResum(λ)、波長λにおける厚さ方向のレターデーションの和をRthsum(λ)とした場合、波長380nm〜780nmの間の少なくとも2つの異なる波長において、下記式(I)〜(IV)を満足し、
(I)200≦Δn(λ)×d≦1000、
(II)Rthsum(λ)/λ=A×Δn(λ)×d/λ+B、
(III)Resum(λ)/λ=C×λ/{Δn(λ)×d}+D
(IV)0.488≦A≦0.56、
かつ B=−0.0567、
かつ −0.041≦C≦0.016、
かつ D=0.0939。
該セルロースアシレートフィルムの波長λ(単位:nm)における面内のレターデーションをRe2(λ)、波長λ(単位:nm)における厚さ方向のレターデーションをRth2(λ)とした場合、下記式(IX)および(X)を満たす液晶表示装置;
(IX)0≦Re2(630)≦10かつ|Rth2(630)|≦25
(X)|Re2(400)−Re2(700)|≦10かつ|Rth2(400)−Rth2(700)|≦35
(2) 前記光学補償フィルムの面内の遅相軸と、前記第一及び第二の偏光膜のうち前記光学補償フィルムのより近くに位置する偏光膜の透過軸とが、実質的に平行である(1)に記載の液晶表示装置。
(3) 50nm以上の差がある少なくとも2つの波長において、前記式(I)〜(IV)を満足する(1)又は(2)に記載の液晶表示装置。
(4) 450nm、550nm及び650nmのすべての波長において、前記式(I)〜(IV)を満足する(1)〜(3)のいずれかの液晶表示装置。
(5) 少なくとも一方に電極を有する対向配置された一対の基板と、該一対の基板間に挟持され、ネマチック液晶材料を含み、黒表示時に該ネマチック液晶材料の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して略垂直に配向する液晶層とを有する液晶セル、該液晶セルを挟持して配置された第一及び第二の偏光膜、前記液晶層と第一及び第二の偏光膜の一方との間に、光学補償フィルム、及び及び前記液晶層と第一及び第二の偏光膜の少なくとも一方の間に、セルロースアシレートフィルムを有し
前記液晶層の厚さをd(単位:nm)、波長λ(単位:nm)における屈折率異方性をΔn(λ)とし、前記光学補償フィルムおよび前記セルロースアシレートフィルムの波長λにおける面内のレターデーションの和をResum(λ)、波長λにおける厚さ方向のレターデーションの和をRthsum(λ)とした場合、波長380nm〜780nmの間の少なくとも2つの異なる波長において、下記式(V)〜(VIII)を満足し、
(V)200≦Δn(λ)×d≦1000、
(VI)Rthsum(λ)/λ=E×Δn(λ)×d/λ、
(VII)Resum(λ)/λ=F×λ/{Δn(λ)×d}+G、
(VIII)0.726≦E≦0.958、
かつ 0.0207≦F≦0.0716、
かつ G=0.032
該セルロースアシレートフィルムの、波長λ(単位:nm)における面内のレターデーションをRe2(λ)、波長λ(単位:nm)における厚さ方向のレターデーションをRth2(λ)とした場合、下記式(IX)および(X)を満たす液晶表示装置;
(IX)0≦Re2(630)≦10かつ|Rth2(630)|≦25
(X)|Re2(400)−Re2(700)|≦10かつ|Rth2(400)−Rth2(700)|≦35。
(6) 前記光学補償フィルムの面内の遅相軸と、前記第一及び第二の偏光膜のうち前記光学補償フィルムのより近くに位置する偏光膜の透過軸とが、実質的に平行である(5)に記載の液晶表示装置。
(7) 前記セルロースアシレートフィルムの面内の遅相軸と、前記第一及び第二の偏光膜のうち前記セルロースアシレートフィルムのより近くに位置する偏光膜の透過軸とがなす角度が、−10度以上10度以下である、または80度以上110以下である、(5)又は(6)に記載の液晶表示装置。
(8) 50nm以上の差がある少なくとも2つの波長において、前記式(V)〜(VIII)を満足する(5)〜(7)のいずれかの液晶表示装置。
(9) 450nm、550nm及び650nmのすべての波長において、前記式(V)〜(VIII)を満足する(5)〜(8)のいずれかの液晶表示装置。
これら平均屈折率の仮定値および膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nzを算出する。
また、セルロースアシレートフィルムと光学補償フィルムの面内レターデーションの和Resum(λ)及び厚さ方向レターデーションの和Rthsum(λ)についても、上記方法にて得られる値をいうものとする。
図1は、一般的なVAモードの液晶表示装置の構成を示す模式図である。VAモードの液晶表示装置は、電圧無印加時、即ち黒表示時に、液晶が基板面に対して垂直配向する液晶層を有する液晶セル3と、該液晶セル3を挟持し、且つ互いの透過軸方向(図1では縞線で示した)を直交させて配置された偏光板1及び偏光板2とを有する。図1中、光は、偏光板1側から入射するものとする。電圧無印加時に、法線方向、即ち、z軸方向に進む光が入射した場合、偏光板1を通過した光は、直線偏光状態を維持したまた、液晶セル3を通過し、偏光板2において完全に遮光される。その結果、コントラストの高い画像を表示できる。
(I)200≦Δn(λ)×d≦1000、
(II)Rthsum(λ)/λ=A×Δn(λ)×d/λ+B、
(III)Resum(λ)/λ=C×λ/{Δn(λ)×d}+D
(IV)0.488=<A=<0.56
かつ B=−0.0567
かつ −0.041=<C=<0.016
かつ D=0.0939
さらに、セルロースアシレートフィルムの波長λ(単位:nm)における面内のレターデーションをRe2(λ)、波長λ(単位:nm)における厚さ方向のレターデーションをRth2(λ)としたとき、下記式(IX)および(X)を満たす。
(IX)0≦Re2(630)≦10かつ|Rth2(630)|≦25
(X)|Re2(400)−Re2(700)|≦10かつ|Rth2(400)−Rth2(700)|≦35
(V)200≦Δn(λ)×d≦1000、
(VI)Rthsum(λ)/λ=E×Δn(λ)×d/λ、
(VII)Resum(λ)/λ=F×λ/{Δn(λ)×d}+G、
(VIII)0.726≦E≦0.958、
かつ 0.0207≦F≦0.0716、
かつ G=0.032。
さらにセルロースアシレートフィルムの波長λ(単位:nm)における面内のレターデーションをRe2(λ)、波長λ(単位:nm)における厚さ方向のレターデーションをRth2(λ)としたとき、下記式(IX)および(X)を満たす。
(IX)0≦Re2(630)≦10かつ|Rth2(630)|≦25
(X)|Re2(400)−Re2(700)|≦10かつ|Rth2(400)−Rth2(700)|≦35
[光学補償フィルム]
本発明では、光学補償フィルムは、液晶表示装置、特にVAモードの液晶表示装置の視野角コントラストの拡大、及び視野角に依存した色ずれの軽減に寄与する。本発明において、前記光学補償フィルムは、観察者側の偏光板と液晶セルとの間に配置しても、背面側の偏光板と液晶セルとの間に配置してもよいし、双方に配置してもよい。例えば、独立の部材として液晶表示装置内部に組み込むこともできるし、また、偏光膜を保護する保護膜に、前記光学特性を付与して光学補償フィルムとしても機能させて、偏光板の一部材として、液晶表示装置内部に組み込むこともできる。
[セルロースアシレート原料綿]
本発明に用いられるセルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えばプラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができ、本発明には、いずれの原料セルロースを用いて製造されたセルロースアシレートフィルムも用いることができる。
セルロースアシレートはセルロースの水酸基がアシル化されたもので、前記セルロースアシレートフィルムの製造には、その置換基であるアシル基の炭素原子数が2のアセチル基から炭素原子数が22のものまでいずれも用いることができる。前記セルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって置換度を得ることができる。測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することが出来る。
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であり、セルロースアセテートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400が更に好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度が高すぎるとセルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなり、流延によりフィルム作製が困難になる。重合度が低すぎると作製したフィルムの強度が低下してしまう。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。特開平9−95538号公報に詳細に記載されている。
また、本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがさらに好ましく、1.0〜1.6であることが最も好ましい。
置換基、置換度、重合度、分子量分布など前述した範囲であれば、単一あるいは異なる2種類以上のセルロースアシレートを混合して用いることができる。
前記セルロースアシレートフィルムは、溶液流延製膜法により作製するのが好ましいが、但し、この方法に限定されるものではない。溶液流延製膜法では、まず、セルロースアシレートの溶液(ドープ)を調製する。前記セルロースアシレート溶液には、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、光学的異方性を低下する化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、光学特性調整剤など)を加えることができ、これらについて以下に説明する。またその添加する時期はドープ作製工程において何れでも添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。
本発明では、セルロースアシレートフィルムの光学的異方性、とくにフィルム膜厚方向のレターデーションRthを低下させる化合物を、下記式(ii)及び(iii)をみたす範囲で少なくとも一種含有することがのぞましい。
(ii)(Rth2(A)−Rth2(0))/A≦−1.0
(iii)0.01≦A≦30
上記式(ii)、(iii)は
(ii)(Rth2(A)−Rth2(0))/A≦−2.0
(iii)0.05≦A≦25
であることがよりのぞましく、
(ii)(Rth2(A)−Rth2(0))/A≦−3.0
(iii)0.1≦A≦20
であることがさらにのぞましい。
セルロースアシレートフィルムの光学的異方性を低下させる化合物について説明する。本発明の発明者らは、鋭意検討した結果、フィルム中のセルロースアシレートが面内および膜厚方向に配向するのを抑制する化合物を用いて光学的異方性を十分に低下させ、Re2がゼロかつRth2がゼロに近くなるようにした。このためには光学的異方性を低下させる化合物はセルロースアシレートに十分に相溶し、化合物自身が棒状の構造や平面性の構造を持たないことが有利である。具体的には芳香族基のような平面性の官能基を複数持っている場合、それらの官能基を同一平面ではなく、非平面に持つような構造が有利である。
前記セルロースアシレートフィルムを作製するにあたっては、上述のようにフィルム中のセルロースアシレートが面内および膜厚方向に配向するのを抑制して光学異方性を低下させる化合物のうち、オクタノール−水分配係数(logP値)が0ないし7である化合物が好ましい。logP値が7を超える化合物は、セルロースアシレートとの相溶性に乏しく、フィルムの白濁や粉吹きを生じやすい。また、logP値が0よりも小さな化合物は親水性が高いために、セルロースアセテートフィルムの耐水性を悪化させる場合がある。logP値としてさらに好ましい範囲は1ないし6であり、特に好ましい範囲は1.5ないし5である。
オクタノール−水分配係数(logP値)の測定は、JIS日本工業規格Z7260−107(2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。また、オクタノール−水分配係数(logP値)は実測に代わって、計算化学的手法あるいは経験的方法により見積もることも可能である。計算方法としては、Crippen's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)、Viswanadhan's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,29,163(1989).)、Broto's fragmentation法(Eur.J.Med.Chem.- Chim.Theor.,19,71(1984).)などが好ましく用いられるが、Crippen's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)がより好ましい。ある化合物のlogPの値が測定方法あるいは計算方法により異なる場合に、該化合物が本発明の範囲内であるかどうかは、Crippen's fragmentation法により判断することが好ましい。
光学異方性を低下させる化合物は、芳香族基を含有しても良いし、含有しなくても良い。また光学異方性を低下させる化合物は、分子量が150以上3000以下であることが好ましく、170以上2000以下であることが好ましく、200以上1000以下であることが特に好ましい。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であっても良いし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でも良い。
光学異方性を低下させる化合物は、好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜250℃の固体であり、さらに好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜200℃の固体である。また光学異方性を低下させる化合物は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
光学異方性を低下させる化合物の添加量は、セルロースアシレートの0.01〜30質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることが特に好ましい。
光学異方性を低下させる化合物は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
光学異方性を低下させる化合物を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
R1、R2およびR3で表されるアルキル基又はアリール基は、置換されていてもよい。置換基としてはフッ素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が好ましく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が特に好ましい。また、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数1〜25のものが好ましく、6〜25のものがより好ましく、6〜20のもの(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、アミル、イソアミル、t-アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ビシクロオクチル、ノニル、アダマンチル、デシル、t-オクチル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、ジデシル)が特に好ましい。アリール基としては炭素原子数が6〜30のものが好ましく、6〜24のもの(例えば、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、ビナフチル、トリフェニルフェニル)が特に好ましい。一般式(13)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
セルロースアシレートフィルムの波長分散を低下させる化合物(以下「波長分散調整剤」ともいう)について説明する。前記セルロースアシレートフィルムのRth2の波長分散を良化させるためには、下記式(iv)で表されるRth2の波長分散ΔRth=|Rth2(400)−Rth2(700)|を低下させる化合物を、下記式(v)及び(vi)をみたす範囲で少なくとも一種含有することがのぞましい。
(iv)ΔRth=|Rth2(400)−Rth2(700)|
(v)(ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−2.0
(vi)0.01≦B≦30
上記式(v)、(vi)は
(v)(ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−3.0
(vi)0.05≦B≦25
であることがよりのぞましく、
(v)(ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−4.0
(vi)0.1≦B≦20
であることがさらにのぞましい。
上述した本発明で好ましく用いられる波長分散調整剤の添加量は、セルロースアシレートの0.01〜30重量%であることが好ましく、0.1〜20重量%であることがより好ましく、0.2〜10重量%であることが特に好ましい。
またこれら波長分散調整剤は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
またこれら波長分散調整剤を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
一般式(101) Q1−Q2−OH
式中、Q1は含窒素芳香族ヘテロ環の基を表し、Q2は芳香族環の基を表す。
Q1で表される含窒素芳香族ヘテロ環は更に置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。また、置換基が複数ある場合にはそれぞれが縮環して更に環を形成してもよい。
芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)更に好ましくはベンゼン環である。
芳香族ヘテロ環として好ましくは窒素原子あるいは硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
R1およびR3として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキル基(好ましくは炭素数4〜12)である。
Q1およびQ2で表される芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)更に好ましくはベンゼン環である。
Q1およびQ2で表される芳香族ヘテロ環の基としては、好ましくは酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のいずれか一種の原子を少なくとも1つ含む芳香族ヘテロ環の基である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
Q1およびQ2で表されるあらわされる芳香族環の基として好ましくは芳香族炭化水素環の基であり、より好ましくは炭素数6〜10の芳香族炭化水素環の基であり、更に好ましくは置換または無置換のベンゼン環の基である。
Q1およびQ2は更に置換基を有してもよく、後述の置換基Tが好ましいが、置換基にカルボン酸やスルホン酸、4級アンモニウム塩を含むことはない。また、可能な場合には置換基同士が連結して環構造を形成してもよい。
R10として好ましくは置換もしくは無置換のアルキル基であり、より好ましくは炭素数5〜20の置換もしくは無置換のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数5〜12の置換もしくは無置換のアルキル基(n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n-ドデシル基、ベンジル基、などが挙げられる。)であり、特に好ましくは、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアルキル基(2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、ベンジル基)である。
以下に一般式(102)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Q1およびQ2は更に置換基を有してもよく、後述の置換基Tが好ましい。置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
前記セルロースアシレートフィルムには、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上がさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
上記の光学的に異方性を低下する化合物、波長分散調整剤の他に、前記セルロースアシレートフィルムには、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、可塑剤、紫外線防止剤、劣化防止剤、剥離剤、赤外吸収剤、など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に可塑剤の混合などであり、例えば特開2001−151901号公報などに記載されている。さらにまた、赤外吸収染料としては例えば特開2001−194522号公報に記載されている。またその添加する時期はドープ作製工程において何れで添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、セルロースアシレートフィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開2001−151902号公報などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。これらの詳細は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
前記セルロースアシレートフィルムにおいては、分子量が3000以下の化合物の総量は、セルロースアシレート重量に対して5〜45%であることがのぞましい。より好ましくは10〜40%であり、さらにのぞましくは15〜30%である。これらの化合物としては上述したように、光学異方性を低下する化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、剥離剤、赤外吸収剤などであり、分子量としては3000以下がのぞましく、2000以下がよりのぞましく、1000以下がさらにのぞましい。これら化合物の総量が5%以下であると、セルロースアシレート単体の性質が出やすくなり、例えば、温度や湿度の変化に対して光学性能や物理的強度が変動しやすくなるなどの問題がある。またこれら化合物の総量が45%以上であると、セルロースアシレートフィルム中に化合物が相溶する限界を超え、フィルム表面に析出してフィルムが白濁する( フィルムからの泣き出し)などの問題が生じやすくなる。
前記セルロースアシレートフィルムは、ソルベントキャスト法により製造することが好ましく、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いて製造するのが好ましい。主溶媒として好ましく用いられる有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、および炭素原子数が1〜7のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
[溶解工程]
前記セルロースアシレート溶液(ドープ)の調製は、その溶解方法は特に限定されず、室温でもよくさらには冷却溶解法あるいは高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。前記セルロースアシレート溶液の調製、さらには溶解工程に伴う溶液濃縮、ろ過の各工程に関しては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて22頁〜25頁に詳細に記載されている製造工程が好ましく用いられる。
前記セルロースアシレート溶液のドープ透明度としては85%以上であることがのぞましい。より好ましくは88%以上であり、さらに好ましくは90%以上であることがのぞましい。本発明においてはセルロースアシレートドープ溶液に各種の添加剤が十分に溶解していることを確認した。具体的なドープ透明度の算出方法としては、ドープ溶液を1cm角のガラスセルに注入し、分光光度計(UV−3150、島津製作所)で550nmの吸光度を測定した。溶媒のみをあらかじめブランクとして測定しておき、ブランクの吸光度との比からセルロースアシレート溶液の透明度を算出した。
次に、セルロースアシレート溶液を用いたフィルムの製造方法について述べる。本発明において、前記セルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて得られたフィルムを乾燥装置のロール群で機械的に搬送し乾燥を終了して巻き取り機でロール状に所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらについては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて25頁〜30頁に詳細に記載されており、流延(共流延を含む),金属支持体,乾燥,剥離などに分類され、本発明において好ましく用いることができる。
また、本発明に用いるセルロースアシレートフィルムの厚さは10〜120μmが好ましく、20〜100μmがより好ましく、30〜90μmがさらに好ましい。
[セルロースアシレートフィルム物性評価]]
前記セルロースアシレートフィルムの環境変化による光学性能の変化については、60℃90%RHに240時間処理したフィルムのRe2およびRth2の変化量が15nm以下であることがのぞましい。よりのぞましくは12nm以下であり、10nm以下であることがさらにのぞましい。
[高温度処理後のフィルムの光学性能変化]
また、80℃240時間処理したフィルムのRe2およびRth2の変化量が15nm以下であることがのぞましい。よりのぞましくは12nm以下であり、10nm以下であることがさらにのぞましい。
[フィルム加熱処理後の化合物揮散量]
前記セルロースアシレートフィルムにのぞましく用いることができる、Rth2を低下させる化合物と、ΔRthを低下させる化合物は、80℃240時間処理したフィルムからの化合物の揮散量が30%以下であることがのぞましい。よりのぞましくは25%以下であり、20%以下であることがさらにのぞましい。なお、フィルムからの揮散量は、80℃240時間処理したフィルムおよび未処理のフィルムをそれぞれ溶媒に溶かし出し、液体高速クロマトグラフィーにて化合物を検出し、化合物のピーク面積をフィルム中に残存した化合物量として、下記式により算出した。
揮散量(%)={(未処理品中の残存化合物量)−(処理品中の残存化合物量)}/(未処理品中の残存化合物量)×100
前記セルロースアシレートフィルムのガラス転移温度Tgは、80〜165℃である。耐熱性の観点から、Tgが100〜160℃であることがより好ましく、110〜150℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度Tgの測定は、前記セルロースアシレートフィルム試料10mgを、常温から200度まで昇降温速度5℃/分で示差走査熱量計(DSC2910、T.A.インスツルメント)で熱量測定を行い、ガラス転移温度Tgを算出した。
前記セルロースアシレートフィルムのヘイズは0.01〜2.0%であることがのぞましい。よりのぞましくは0.05〜1.5%であり、0.1〜1.0%であることがさらにのぞましい。光学フィルムとしてフィルムの透明性は重要である。ヘイズの測定は、前記セルロースアシレートフィルム試料40mm×80mmを、25℃,60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−6714に従って測定した。
前記セルロースアシレートフィルムの面内のレターデーションRe2および膜厚方向のレターデーションRth2はともに湿度による変化が小さいことが好ましい。具体的には、25℃10%RHにおけるRth2値と25℃80%RHにおけるRth2値の差ΔRth(=Rth10%RH−Rth80%RH)が0〜50nmであることが好ましい。より好ましくは0〜40nmであり、さらに好ましくは0〜35nmである。
前記セルロースアシレートフィルムの平衡含水率は、偏光板の保護膜として用いる際、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーとの接着性を損なわないために、膜厚のいかんに関わらず、25℃80%RHにおける平衡含水率が、0〜4%であることが好ましい。0.1〜3.5%であることがより好ましく、1〜3%であることが特に好ましい。4%以上の平衡含水率であると、光学補償フィルムの支持体として用いる場合は、レターデーションの湿度変化による依存性が大きくなりすぎてしまい好ましくない。
含水率の測定法は、前記セルロースアシレートフィルム試料7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置(CA−03、VA−05、共に三菱化学(株))にてカールフィッシャー法で測定した。水分量(g)を試料重量(g)で除して算出した。
前記セルロースアシレートフィルムの透湿度は、JIS規格JISZ0208をもとに、温度60℃、湿度95%RHの条件において測定し、膜厚80μmに換算して400〜2000g/m2・24hであることがのぞましい。500〜1800g/m2・24hであることがより好ましく、600〜1600g/m2・24hであることが特に好ましい。2000g/m2・24hを越えると、フィルムのRe2値、Rth2値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまう。また、前記セルロースアシレートフィルムに光学異方性層を積層して光学補償フィルムとする場合も、Re2値、Rth2値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまい好ましくない。この光学補償シートや偏光板が液晶表示装置に組み込まれた場合、色味の変化や視野角の低下を引き起こす。また、セルロースアシレートフィルムの透湿度が400g/m2・24h未満では、偏光膜の両面などに貼り付けて偏光板を作製する場合に、セルロースアシレートフィルムにより接着剤の乾燥が妨げられ、接着不良を生じる。
セルロースアシレートフィルムの膜厚が厚ければ透湿度は小さくなり、膜厚が薄ければ透湿度は大きくなる。そこでどのような膜厚のサンプルでも基準を80μmに設け換算する必要がある。膜厚の換算は、(80μm換算の透湿度=実測の透湿度×実測の膜厚μm/80μm)として求めた。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、前記セルロースアシレートフィルム試料70mmφを25℃、90%RH及び60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、透湿試験装置(KK−709007、東洋精機(株))にて、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)し、透湿度=調湿後重量−調湿前重量で求めた。
前記セルロースアシレートフィルムの寸度安定性は、60℃、90%RHの条件下に24時間静置した場合(高湿)の寸度変化率および90℃、5%RHの条件下に24時間静置した場合(高温)の寸度変化率がいずれも0.5%以下であることがのぞましい。よりのぞましくは0.3%以下であり、さらにのぞましくは0.15%以下である。
具体的な測定方法としては、セルロースアシレートフィルム試料30mm×120mmを2枚用意し、25℃、60%RHで24時間調湿し、自動ピンゲージ(新東科学(株))にて、両端に6mmφの穴を100mmの間隔で開け、パンチ間隔の原寸(L0)とした。1枚の試料を60℃、90%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L1)を測定、もう1枚の試料を90℃、5%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L2)を測定した。すべての間隔の測定において最小目盛り1/1000mmまで測定した。60℃、90%RH(高湿)の寸度変化率={|L0−L1|/L0}×100、90℃、5%RH(高温)の寸度変化率={|L0−L2|/L0}×100、として寸度変化率を求めた。
(弾性率)
前記セルロースアシレートフィルムの弾性率は、200〜500kgf/mm2であることが好ましい、より好ましくは240〜470kgf/mm2であり、さらに好ましくは270〜440kgf/mm2である。具体的な測定方法としては、東洋ボールドウィン製万能引っ張り試験機STM T50BPを用い、23℃・70%雰囲気中、引っ張り速度10%/分で0.5%伸びにおける応力を測定し、弾性率を求めた。
(光弾性係数)
前記セルロースアシレートフィルムの光弾性係数は、50×10-13cm2/dyne以下であることが好ましい。30×10-13cm2/dyne以下であることがより好ましく、20×10-13cm2/dyne以下であることがさらに好ましい。具体的な測定方法としては、セルロースアシレートフィルム試料12mm×120mmの長軸方向に対して引っ張り応力をかけ、その際のレターデーションをエリプソメーター(M150、日本分光(株))で測定し、応力に対するレターデーションの変化量から光弾性係数を算出した。
試料100×100mmを用意し、固定一軸延伸機を用いて温度140℃の条件下で機械搬送方向(MD方向)または垂直方向(TD方向)に延伸を行った。延伸前後における各試料の正面レターデーションは自動複屈折計KOBRA21ADHを用いて測定した。遅相軸の検出は上記のレターデーション測定の際に得られる配向角から決定した。延伸によってRe2の変化が小さいことが好ましく、具体的にはRe2 (n)をn(%)延伸したフィルムの面内正面レターデーション(nm)、Re2 (0)を延伸していないフィルムの面内正面レターデーション(nm)としたときに、|Re2 (n)−Re2 (0)|/n≦1.0を有することが好ましく、|Re2 (n)−Re2 (0)|/n≦0.3以下がさらに好ましい。
前記セルロースアシレートフィルムを偏光子の保護フィルムに用いる場合、偏光子が機械搬送方向(MD方向)に吸収軸を持つため、セルロースアシレートフィルムは遅相軸がMD方向近傍またはTD近傍にあることがのぞましい。遅相軸が偏光子と平行または直交させることにより光漏れや色味変化を低減できる。近傍とは、遅相軸とMDまたはTD方向が0〜10°、好ましくは0〜5°の範囲にあることを表す。
前記セルロースアシレートフィルムは、フィルム面内において、遅相軸を有する方向に延伸すると正面レターデーションRe2が大きくなり、遅相軸を有する方向と垂直な方向に延伸すると正面レターデーションRe2が小さくなる。このことは固有複屈折が正であることを示しており、フィルム中で発現したRe2を打ち消すには遅相軸と垂直方向に延伸することが有効である。この方法としては例えば、フィルムが機械搬送方向(MD方向)に遅相軸を有している場合にMDとは垂直な方向(TD方向)にテンター延伸を用いて正面Reを小さくすることが考えられる。逆の例として、TD方向に遅相軸を有している場合にはMD方向の機械搬送ロールの張力を強めて延伸することによって正面Reを小さくすることが考えられる。
前記セルロースアシレートフィルムは、遅相軸を有する方向に延伸すると正面レターデーションRe2が小さくなり、遅相軸を有する方向と垂直な方向に延伸すると正面レターデーションRe2が大きくなる場合もある。このことは固有複屈折が負であることを示しており、フィルム中で発現したRe2を打ち消すには遅相軸と同一の方向に延伸することが有効である。この方法としては例えば、フィルムが機械搬送方向(MD方向)に遅相軸を有している場合にMD方向の機械搬送ロールの張力を強めて延伸することによって正面Reを小さくすることが考えられる。逆の例として、TD方向に遅相軸を有している場合にはMDとは垂直な方向(TD方向)にテンター延伸を用いて正面Reを小さくすることが考えられる。
本発明において、セルロースアシレートフィルムの評価に当たって、以下の方法で測定して実施した。
(面内のレターデーションRe2、膜厚方向のレターデーションRth2)
試料30mm×40mmを、25℃、60%RHで2時間調湿し、Re2 (λ)は自動複屈折計KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定した。また、Rth2 (λ)は前記Re2 (λ)と、面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向を0°としてサンプルを10°ごとに50°まで傾斜させて波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値を基に、平均屈折率の仮定値1.48および膜厚を入力し算出した。
試料30mm×40mmを、25℃、60%RHで2時間調湿し、エリプソメーターM−150(日本分光(株)製)において波長780nmから380nmの光をフィルム法線方向に入射させることにより各波長でのRe2をもとめ、Re2の波長分散を測定した。また、Rth2の波長分散については、前記Re2、面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から780〜380nmの波長の光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長780〜380nmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基に、平均屈折率の仮定値1.48および膜厚を入力して算出した。
試料70mm×100mmを、25℃、65%RHで2時間調湿し、自動複屈折計(KOBRA21DH、王子計測(株))にて、垂直入射における入射角を変化させた時の位相差より分子配向軸を算出した。
(軸ズレ)
また、自動複屈折計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株))で軸ズレ角度を測定した。幅方向に全幅にわたって等間隔で20点測定し、絶対値の平均値を求めた。また、遅相軸角度(軸ズレ)のレンジとは、幅方向全域にわたって等間隔に20点測定し、軸ズレの絶対値の大きいほうから4点の平均と小さいほうから4点の平均の差をとったものである。
試料20mm×70mmを、25℃,60%RHで透明度測定器(AKA光電管比色計、KOTAKI製作所)で可視光(615nm)の透過率を測定した。
(分光特性)
試料13mm×40mmを、25℃,60%RHで分光光度計(U−3210、(株)日立製作所)にて、波長300〜450nmにおける透過率を測定した。傾斜幅は72%の波長−5%の波長で求めた。限界波長は、(傾斜幅/2)+5%の波長で表した。吸収端は、透過率0.4%の波長で表す。これより380nmおよび350nmの透過率を評価した。
本発明セルロースアシレートフィルムの表面は、JISB0601−1994に基づく該膜の表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.1μm以下、及び最大高さ(Ry)が0.5μm以下であることが好ましい。好ましくは、算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以下、及び最大高さ(Ry)が0.2μm以下である。膜表面の凹と凸の形状は、原子間力顕微鏡(AFM)により評価することが出来る。
前記セルロースアシレートフィルムは次の式を満たすことがのぞましい。
|Re2 (MAX)−Re2 (MIN)|≦3かつ|Rth2 (MAX)−Rth2 (MIN)|≦5
[式中、Re2 (MAX)、Rth2 (MAX)−は任意に切り出した1m四方のフィルムの最大レターデーション値、Re2 (MIN)、Rth2 (MIN)は最小値である。]
前記セルロースアシレートフィルムにおいては、フィルムに添加した各種化合物の保留性が要求される。具体的には、前記セルロースアシレートフィルムを80℃/90%RHの条件下に48時間静置した場合のフィルムの質量変化が、0〜5%であることが好ましい。より好ましくは0〜3%であり、さらに好ましくは0〜2%である。
〈保留性の評価方法〉
試料を10cm×10cmのサイズに断裁し、23℃、55%RHの雰囲気下で24時間放置後の質量を測定して、80±5℃、90±10%RHの条件下で48時間放置した。処理後の試料の表面を軽く拭き、23℃、55%RHで1日放置後の質量を測定して、以下の方法で保留性を計算した。
保留性(質量%)={(放置前の質量−放置後の質量)/放置前の質量}×100
(カール)
前記セルロースアシレートフィルムの幅方向のカール値は、−10/m〜+10/mであることが好ましい。前記セルロースアシレートフィルムには後述する表面処理、光学異方性層を塗設する際のラビング処理の実施や配向膜、光学異方性層の塗設や貼合などを長尺で行う際に、前記セルロースアシレートフィルムの幅方向のカール値が前述の範囲外では、フィルムのハンドリングに支障をきたし、フィルムの切断が起きることがある。また、フィルムのエッジや中央部などで、フィルムが搬送ロールと強く接触するために発塵しやすくなり、フィルム上への異物付着が多くなり、光学補償フィルムの点欠陥や塗布スジの頻度が許容値を超えることがある。又、カールを上述の範囲とすることで光学異方性層を設置するときに発生しやすい色斑故障を低減できるほか、偏光膜貼り合せ時に気泡が入ることを防ぐことができ、好ましい。
カール値は、アメリカ国家規格協会の規定する測定方法(ANSI/ASCPH1.29−1985)に従い測定することができる。
JISK7128−2:1998の引裂き試験方法に基づく引裂き強度(エルメンドルフ引裂き法)が、前記セルロースアシレートフィルムの膜厚が20〜80μmの範囲において、2g以上が好ましい。より好ましくは、5〜25gであり、更には6〜25gである。又、60μm換算で8g以上が好ましく、より好ましくは8〜15gである。具体的には、試料片50mm×64mmを、25℃、65%RHの条件下に2時間調湿した後に軽荷重引裂き強度試験機を用いて測定できる。
前記セルロースアシレートフィルムに対する残留溶剤量が、0.01〜1.5質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。より好ましくは0.01〜1.0質量%である。本発明に用いる透明支持体の残留溶剤量は1.5%以下とすることでカールを抑制できる。1.0%以下であることがより好ましい。これは、前述のソルベントキャスト方法による成膜時の残留溶剤量が少なくすることで自由堆積が小さくなることが主要な効果要因になるためと思われる。
前記セルロースアシレートフィルムの吸湿膨張係数は30×10-5/%RH以下とすることが好ましい。吸湿膨張係数は、15×10-5/%RH以下とすることが好ましく、10×10-5/%RH以下であることがさらに好ましい。また、吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10-5/%RH以上の値である。吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。この吸湿膨張係数を調節することで、前記セルロースアシレートフィルムを光学補償フィルム支持体として用いた際、光学補償フィルムの光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇すなわち歪みによる光漏れを防止することができる。
セルロースアシレートフィルムは、場合により表面処理を行うことによって、セルロースアシレートフィルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
前記セルロースアシレートフィルムを偏光板の透明保護フィルムとして用いる場合の表面処理の有効な手段の1つとしてアルカリ鹸化処理が上げられる。この場合、アルカリ鹸化処理後のフィルム表面の接触角が55°以下であることがのぞましい。よりのぞましくは50°以下であり、45°以下であることがさらにのぞましい。接触角の評価法はアルカリ鹸化処理後のフィルム表面に直径3mmの水滴を落とし、フィルム表面と水滴のなす角をもとめる通常の手法によって親疎水性の評価として用いることができる。
本発明のセルロースアシレートの光耐久性の指標として、スーパーキセノン光を240時間照射したフィルムの色差ΔE*abが20以下であることがのぞましい。よりのぞましくは18以下であり、15以下であることがさらにのぞましい。色差の測定は、UV3100(島津製作所製)を用いた。測定の仕方は、フィルムを25℃60%RHに2時間以上調湿した後にキセノン光照射前のフィルムのカラー測定を行ない初期値(L0*、a0*、b0*)を求めた。その後、フィルム単体で、スーパーキセノンウェザーメーターSX−75(スガ試験機(株)製)にて、150W/m2、60℃50%RH条件にてキセノン光を240時間照射した。所定時間の経過後、フィルムを恒温槽から取り出し、25℃60%RHに2時間調湿した後に、再びカラー測定を行い、照射経時後の値(L1*、a1*、b1*)を求めた。これらから、色差ΔE*ab=((L0*−L1*)2+(a0*−a1*)2+(b0*−b1*)2)0.5を求めた。
保護フィルム処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
[液晶表示装置]
図8に示す液晶表示装置は、液晶セル(16〜18)を挟持して配置された上側偏光膜11と下側偏光膜101とを有し、上側偏光膜11と液晶セル(16〜18)の間に光学補償フィルム15が、上側偏光膜101と液晶セル(16〜18)の間に光学補償フィルム19が位置する。光学補償フィルム15又は光学補償フィルム19は、前述したように、構成によっては一方のみでもよい。偏光膜11および101は、それぞれ一対の透明保護フィルムによって保護されているが、図8中では液晶セルに近い側に配置される透明保護フィルム13および103のみを示し、液晶セルに遠い側に配置される透明保護フィルムについては省略する。透明保護フィルム13及び103は、上記式(IX)及び(X)を満足するセルロースアシレートフィルムからなる。
なお、透明保護フィルム13及び103のうち一方が、上記式(IX)及び(X)を満足するセルロースアシレートフィルムであれば、かかる効果を奏するがが、特に、バックライト側に配置される偏光板の透明保護フィルム(液晶セルにより近い側に配置される透明保護フィルム)がかかるセルロースアシレートフィルムからなるのが好ましい。
[偏光板]
本発明では、偏光膜と該偏光膜を挟持する一対の保護膜とからなる偏光板を用いることができる。例えば、ポリビニルアルコールフィルム等からなる偏光膜をヨウ素にて染色し、延伸を行い、その両面を保護フィルムにて積層して得られる偏光板を用いることができる。該偏光板は液晶セルの外側に配置される。偏光膜と該偏光膜を挟持する一対の保護膜とからなる一対の偏光板を、液晶セルを挟持して配置するのが好ましい。
本発明に使用可能な偏光板は、偏光膜の両面に一対の保護膜(保護フィルムともいう)を積層したものであってもよい。保護膜の種類は特に限定されず、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート等のセルロースエステル類、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル等を用いることができる。上記した様に、光学補償フィルムとしての光学特性を満足する高分子フィルムを用い、光学補償フィルムと保護膜の双方の機能を持たせることもできる。
偏光膜と保護膜との接着剤は特に限定されないが、PVA系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等の変性PVAを含む)やホウ素化合物水溶液等が挙げられ、中でもPVA系樹脂が好ましい。接着剤層厚みは乾燥後に0.01〜10μmが好ましく、0.05〜5μmが特に好ましい。
本発明に使用可能な偏光板は、偏光膜用フィルムを延伸後、収縮させ揮発分率を低下させる乾燥工程を有するが、乾燥後もしくは乾燥中に少なくとも片面に透明保護膜を貼り合わせた後、後加熱工程を有することが好ましい。前記透明保護膜が、光学補償フィルムとして機能する光学異方性層の支持体を兼ねている態様では、片面に透明保護膜、反対側に光学異方性層を有する透明支持体を貼り合わせた後、後加熱するのが好ましい。具体的な貼り付け方法として、フィルムの乾燥工程中、両端を保持した状態で接着剤を用いて偏光膜に透明保護膜を貼り付け、その後両端を耳きりする、もしくは乾燥後、両端保持部から偏光膜用フィルムを解除し、フィルム両端を耳きりした後、透明保護膜を貼り付けるなどの方法がある。耳きりの方法としては、刃物などのカッターで切る方法、レーザーを用いる方法など、一般的な技術を用いることができる。貼り合わせた後に、接着剤を乾燥させるため、および偏光性能を良化させるために、加熱することが好ましい。加熱の条件としては、接着剤により異なるが、水系の場合は、30℃以上が好ましく、さらに好ましくは40℃〜100℃、さらに好ましくは50℃〜90℃である。これらの工程は一貫のラインで製造されることが、性能上及び生産効率上更に好ましい。
本発明に関連する透明保護膜、偏光子、透明支持体からなる偏光板の光学的性質及び耐久性(短期、長期での保存性)は、市販のスーパーハイコントラスト品(例えば、株式会社サンリッツ社製HLC2−5618等)同等以上の性能を有することが好ましい。具体的には、可視光透過率が42.5%以上で、偏光度{(Tp−Tc)/(Tp+Tc)}1/2≧0.9995(但し、Tpは平行透過率、Tcは直交透過率)であり、60℃、湿度90%RH雰囲気下に500時間および80℃、ドライ雰囲気下に500時間放置した場合のその前後における光透過率の変化率が絶対値に基づいて3%以下、更には1%以下、偏光度の変化率は絶対値に基づいて1%以下、更には0.1%以下であることが好ましい。
図8に示した構成と同様の構成の液晶表示装置を作製した。即ち、観察方向(上)から上側偏光板(保護膜(不図示)、偏光膜11、セルロースアシレートフィルム13)、光学補償フィルム15、液晶セル(上基板16、液晶層17、下基板18)、光学補償フィルム19、下偏光板(セルロースアシレートフィルム101、保護膜(不図示))を積層し、さらにバックライト光源(不図示)を配置した構成の液晶表示装置について、光学シミュレーションを実施し、効果の確認を行った。光学計算には、シンテック社製のLCD Master Ver6.08を用いた。液晶セルや電極、基板、偏光板等は、液晶ディスプレイ用に従来から用いられている材料の値をそのまま使用した。液晶材料には負の誘電率異方性を有する液晶材料でΔε=−4.2を用いた。液晶セルの配向はプレチルト角89.9度でほぼ垂直配向とし、基板のセルギャップを3.6ミクロンとし、液晶のレターデーション(即ち、記液晶層の厚さd(ミクロン)と屈折率異方性Δnとの積Δn・d)は、波長450nmで318nm、波長550nmで300nm、波長650nmで295nmとした。光学補償フィルム15+セルロースアシレートフィルム13及び光学補償フィルム19+セルロースアシレートフィルム101の各波長におけるRe及びRthの値は、表1にそれぞれ示した値に設定した。また、セルロースアシレートフィルムについては、波長によらずにRth2は3nm及びRe2は1nmとした。光源にはLCD Masterに付属のC光源を用いた。
なお、図8の構成の液晶表示装置では、バックライトと観測者との関係が上下入れ替わっても全く同様の結果が得られる。
上記値を用いて光学シミュレーションし、漏れ光を算出した結果を表1に示す。表1中、液晶表示装置No.1は、上記比較例のシミュレーション結果であり、液晶表示装置No.2〜6は実施例のシミュレーション結果である。
表1に示したシミュレーション結果から、上記式(I)〜(IV)を満足する液晶表示装置No.2〜6は、満足していない液晶表示装置No.1と比較して、いずれも極角60°における黒表示時の透過率が小さいことがわかる。
液晶層のレターデーションの値を、波長450nmで371nm、波長550nmで350nm、波長650nmで344nmに変更した以外は、例2と同様の条件で液晶表示装置の光学特性をLCD Masterにより計算して求めた。なお、光学補償フィルム15+セルロースアシレートフィルム13及び光学補償フィルム19+セルロースアシレートフィルム101のResum及びRthsumは、表2に示す通りである。
また、比較例として、光学補償フィルム15+セルロースアシレートフィルム13及び光学補償フィルム19+セルロースアシレートフィルム101のResum及びRthsumの値が、波長によらず一定とした以外は、上記と全く同様の構成の液晶表示装置についても同様に光学シミュレーションを実施した。なお、従来の光学補償技術は、Re及びRthの波長分散を考慮していないので、この比較例は、従来技術と見なすことができる。
上記値を用いて光学シミュレーションし、漏れ光を算出した結果を表2に示す。表2中、液晶表示装置No.7は、上記比較例のシミュレーション結果であり、液晶表示装置No.8〜12は実施例のシミュレーション結果である。
表2に示したシミュレーション結果から、上記式(I)〜(IV)を満足する液晶表示装置No.8〜12は、満足していない液晶表示装置No.7と比較して、いずれも極角60°における黒表示時の透過率が小さいことがわかる。
図8に示す構成の液晶表示装置の光学特性をLCD Masterにより計算して求めた。ただし、例3では、光学フィルム15は使用しなかった。すなわち、観察方向(上)から上側偏光板(保護膜(不図示)、セルロースアシレートフィルム11、保護膜13)、液晶セル(上基板16、液晶層17、下基板18)、光学補償フィルム19(保護膜103を兼ねている)、下偏光板(、偏光膜101、保護膜(不図示))を積層し、さらにバックライト光源(不図示)を配置した。なお、光学補償フィルム19のRe及びRthは、表3に示す通りである。また、上側偏光板のセルロースアシレートフィルムは波長によらずRth2は3nm、Re2は1nmとした。なお、例3では光学補償フィルムはバックライト側にあるが、バックライトと観測者との関係を入れ替えても全く同様の結果が得られる。その他は例1と同様の条件である。
また、比較例として、光学補償フィルム19+セルロースアシレートフィルム11のRe及びRthの値が、波長によらず一定とした以外は、上記と全く同様の構成の液晶表示装置についても同様に光学シミュレーションを実施した。なお、従来の光学補償技術は、Re及びRthの波長分散を考慮していないので、この比較例は、従来技術と見なすことができる。
上記値を用いて光学シミュレーションし、漏れ光を算出した結果を表3に示す。表3中、液晶表示装置No.13は、上記比較例のシミュレーション結果であり、液晶表示装置No.14〜18は実施例のシミュレーション結果である。
表3に示したシミュレーション結果から、上記式(V)〜(VIII)を満足する液晶表示装置No.14〜18は、満足していない液晶表示装置No.13と比較して、いずれも極角60°における黒表示時の透過率が小さいことがわかる。
液晶層のレターデーションの値を、波長450nmで371nm、波長550nmで350nm、波長650nmで344nmに変更した以外は、例3と同様の条件で液晶表示装置の光学特性をLCD Masterにより計算して求めた。なお、光学補償フィルム19+セルロースアシレートフィルム11のResum及びRthsumは、表4に示す通りである。
また、比較例として、光学補償フィルム19+セルロースアシレートフィルム11のResum及びRthsumの値が、波長によらず一定とした以外は、上記と全く同様の構成の液晶表示装置についても同様に光学シミュレーションを実施した。なお、従来の光学補償技術は、Re及びRthの波長分散を考慮していないので、この比較例は、従来技術と見なすことができる。
上記値を用いて光学シミュレーションし、漏れ光を算出した結果を表4に示す。表4中、液晶表示装置No.19は、上記比較例のシミュレーション結果であり、液晶表示装置No.20〜24は実施例のシミュレーション結果である。
表4に示したシミュレーション結果から、上記式(V)〜(VIII)を満足する液晶表示装置No.20〜24は、満足していない液晶表示装置No.19と比較して、いずれも極角60°における黒表示時の透過率が小さいことがわかる。
2 偏光板
3 液晶セル
4,5,6 光学補償フィルム
11、101 偏光膜
12、102 吸収軸
13、103 保護膜(セルロースアシレートフィルム)
13a、103a 面内遅相軸
15、19 光学補償フィルム
15a、19a 面内遅相軸
16、18 基板
17 液晶性分子
Claims (9)
- 少なくとも一方に電極を有する対向配置された一対の基板と、該一対の基板間に挟持され、ネマチック液晶材料を含み、黒表示時に該ネマチック液晶材料の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して略垂直に配向する液晶層とを有する液晶セル、該液晶セルを挟持して配置された第一及び第二の偏光膜、及び前記液晶層と第一及び第二の偏光膜との間に、光学補償フィルムをそれぞれ有し、
前記光学補償フィルムと、前記偏光膜または前記液晶層との少なくとも片方の間に、セルロースアシレートフィルムが配置され、
前記液晶層の厚さをd(単位:nm)、波長λ(単位:nm)における屈折率異方性をΔn(λ)とし、前記光学補償フィルムおよび前記セルロースアシレートフィルムの波長λにおける面内のレターデーションの和をResum(λ)、波長λにおける厚さ方向のレターデーションの和をRthsum(λ)とした場合、波長380nm〜780nmの間の少なくとも2つの異なる波長において、下記式(I)〜(IV)を満足し、
(I)200≦Δn(λ)×d≦1000、
(II)Rthsum(λ)/λ=A×Δn(λ)×d/λ+B、
(III)Resum(λ)/λ=C×λ/{Δn(λ)×d}+D
(IV)0.488≦A≦0.56、
かつ B=−0.0567、
かつ −0.041≦C≦0.016、
かつ D=0.0939。
前記セルロースアシレートフィルムの波長λ(単位:nm)における面内のレターデーションをRe2(λ)、波長λ(単位:nm)における厚さ方向のレターデーションをRth2(λ)とした場合、下記式(IX)および(X)を満たす液晶表示装置;
(IX)0≦Re2(630)≦10かつ|Rth2(630)|≦25
(X)|Re2(400)−Re2(700)|≦10かつ|Rth2(400)−Rth2(700)|≦35 - 前記光学補償フィルムの面内の遅相軸と、前記第一及び第二の偏光膜のうち前記光学補償フィルムのより近くに位置する偏光膜の透過軸とが、実質的に平行である請求項1に記載の液晶表示装置。
- 50nm以上の差がある少なくとも2つの波長において、前記式(I)〜(IV)を満足する請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
- 450nm、550nm及び650nmのすべての波長において、前記式(I)〜(IV)を満足する請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 少なくとも一方に電極を有する対向配置された一対の基板と、該一対の基板間に挟持され、ネマチック液晶材料を含み、黒表示時に該ネマチック液晶材料の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して略垂直に配向する液晶層とを有する液晶セル、該液晶セルを挟持して配置された第一及び第二の偏光膜、前記液晶層と第一及び第二の偏光膜の一方との間に、光学補償フィルム、及び前記液晶層と第一及び第二の偏光膜の少なくとも一方の間に、セルロースアシレートフィルムを有し
前記液晶層の厚さをd(単位:nm)、波長λ(単位:nm)における屈折率異方性をΔn(λ)とし、前記光学補償フィルムおよび前記セルロースアシレートフィルムの波長λにおける面内のレターデーションの和をResum(λ)、波長λにおける厚さ方向のレターデーションの和をRthsum(λ)とした場合、波長380nm〜780nmの間の少なくとも2つの異なる波長において、下記式(V)〜(VIII)を満足し、
(V)200≦Δn(λ)×d≦1000、
(VI)Rthsum(λ)/λ=E×Δn(λ)×d/λ、
(VII)Resum(λ)/λ=F×λ/{Δn(λ)×d}+G、
(VIII)0.726≦E≦0.958、
かつ 0.0207≦F≦0.0716、
かつ G=0.032
前記セルロースアシレートフィルムの波長λ(単位:nm)における面内のレターデーションをRe2(λ)、波長λ(単位:nm)における厚さ方向のレターデーションをRth2(λ)としたとき、下記式(IX)および(X)を満たす液晶表示装置;
(IX)0≦Re2(630)≦10かつ|Rth2(630)|≦25
(X)|Re2(400)−Re2(700)|≦10かつ|Rth2(400)−Rth2(700)|≦35。 - 前記光学補償フィルムの面内の遅相軸と、前記第一及び第二の偏光膜のうち前記光学補償フィルムのより近くに位置する偏光膜の透過軸とが、実質的に平行である請求項5に記載の液晶表示装置。
- 前記セルロースアシレートフィルムの面内の遅相軸と、前記第一及び第二の偏光膜のうち前記セルロースアシレートフィルムのより近くに位置する偏光膜の透過軸とがなす角度が、−10度以上10度以下である、または80度以上110以下である、請求項5又は6に記載の液晶表示装置。
- 50nm以上の差がある少なくとも2つの波長において、前記式(V)〜(VIII)を満足する請求項5〜7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 450nm、550nm及び650nmのすべての波長において、前記式(V)〜(VIII)を満足する請求項5〜8のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
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