JP2006201449A - 液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 黒表示時の視角特性が改善された液晶表示装置を提供する。
【解決手段】
レターデーションがΔn(λ)×dの液晶表示装置であり、光学補償フィルムと、所定の光学特性を満足するセルロースアシレートフィルムを含み、光学補償フィルムおよびセルロースアシレートフィルムの波長λにおける面内のレターデーションの和をResum(λ)、波長λにおける厚さ方向のレターデーションの和をRthsum(λ)とした場合、波長380nm〜780nmの間の少なくとも2つの異なる波長において、下記式(I)〜(IV)を満足する液晶表示装置である。(I)200≦Δn(λ)×d≦1000、(II)Rthsum(λ)/λ=A×Δn(λ)×d/λ+B、(III)Resum(λ)/λ=C×λ/{Δn(λ)×d}+D(IV)0.488≦A≦0.56、 かつ B=−0.0567、 かつ −0.041≦C≦0.016、 かつ D=0.0939。
【選択図】 図3

Description

本発明は、視野角特性の改善された液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、液晶セルおよび偏光板を有する。前記偏光板は、一般的には、保護フィルムおよび偏光膜を有し、例えば、ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光膜をヨウ素にて染色し、延伸を行い、その両面を保護フィルムにて積層して得られる。透過型液晶表示装置では、偏光板を液晶セルの両側に取り付け、さらには一枚以上の光学補償フィルムを配置することもある。反射型液晶表示装置では、通常、反射板、液晶セル、一枚以上の光学補償フィルム及び偏光板の順に配置する。液晶セルは、液晶性分子、それを封入するための二枚の基板および液晶性分子に電圧を加えるための電極層からなる。液晶セルは、液晶性分子の配向状態の違いで、ON、OFF表示を行い、透過および反射型いずれにも適用できる、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)のような表示モードが提案されている。
この様なLCDの中でも、高い表示品位が必要な用途については、正の誘電率異方性を有するネマチック液晶分子を用い、薄膜トタンジスタにより駆動する90度ねじれネマチック型液晶表示装置(以下、TNモードという)が主に用いられている。しかしながら、TNモードは正面から見た場合には優れた表示特性を有するものの、斜め方向から見た場合にコントラストが低下したり、階調表示で明るさが逆転する階調反転等が起こることにより表示特性が悪くなるという視野角特性を有しており、この改良が強く要望されている。
近年、この視野角特性を改良するLCDの方式として、負の誘電率異方性を有するネマチック液晶分子を用い、電圧を印加しない状態で液晶分子の長軸を基板に略垂直な方向に配向させ、これを薄膜トランジスタにより駆動する垂直配向ネマチック型液晶表示装置(以下、VAモードという)が提案されている(特許文献1参照)。このVAモードは、正面から見た場合の表示特性がTNモードと同様に優れているのみならず、視野角補償用位相差フィルムを適用することで広い視野角特性を発現する。VAモードでは、フィルム面に垂直な方向に光学軸を有する負の一軸性位相差フィルムを2枚、液晶セルの上下に用いることでより広い視野角特性を得ることができ、このLCDに更に面内のレターデーション値が50nmである正の屈折率異方性を有する一軸配向性位相差フィルムを用いることで、更により広い視野角特性を実現できることも知られている(非特許文献1参照)。
しかしながら、2枚の位相差フィルムを用いること(非特許文献1参照)は生産コストの上昇を伴うだけでなく、多数のフィルムを貼り合わせるために歩留まりの低下を引き起こし、さらには複数のフィルムを用いるために厚さが増し、表示装置の薄形化に不利となるなどの問題がある。また、延伸フィルムの積層には粘着層を用いるため、温湿度変化により粘着層が収縮してフィルム間の剥離や反りといった不良が発生することがある。これらを改善する方法として、位相差フィルムの枚数を減らす方法(特許文献2参照)やコレステリック液晶層を用いる方法(特許文献3、4参照)が開示されている。しかしながら、これらの方法でも複数のフィルムを貼り合わせる必要があり、薄層化、生産コスト低減という点では不十分であった。さらに、黒表示時の偏光板の斜め方向からの光漏れが可視光領域で完全に抑えられてはおらず、視野角が十分に拡大していないという問題があった。さらに重要なことには、黒表示の偏光板の斜め方向の入射光に対しては、可視光のすべての波長において完全な光漏れの補償をすることが難しく、そのため色ずれの方位角方向依存性が発生するという問題があった。また、位相差フィルムのレターデーションの波長分散を制御することで光漏れを防ぐという方法も提案されているが(特許文献5参照)、面内のレターデーションの波長分散と厚さ方向のレターデーション波長分散の違いについては考慮されておらず、光りぬけを抑える効果は不十分であるという問題があった。さらに、液晶層の複屈折率が変化したときの影響が十分考慮されておらず、液晶層の複屈折の値によっては十分な効果が得られないままでいた。
特開平2−176625号公報 特開平11−95208号公報 特開2003−15134号公報 特開平11−95208号公報 特開平2002−221622号公報 SID 97 DIGEST 845頁〜848頁
本発明の課題は、液晶セルが正確に光学的に補償され、高いコントラストを有する液晶表示装置、特にVAモードの液晶表示装置を提供することである。特に本発明は、黒表示時の斜め方向の光抜けが軽減され、視野角コントラストが改善された液晶表示装置、特にVAモードの液晶表示装置を提供することを課題とする。
本発明の課題を解決する手段は以下の通りである。
(1) 少なくとも一方に電極を有する対向配置された一対の基板と、該一対の基板間に挟持され、ネマチック液晶材料を含み、黒表示時に該ネマチック液晶材料の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して略垂直に配向する液晶層とを有する液晶セル、該液晶セルを挟持して配置された第一及び第二の偏光膜、及び前記液晶層と第一及び第二の偏光膜との間に、光学補償フィルムをそれぞれ有し、
前記光学補償フィルムと、前記偏光膜または前記液晶層との少なくとも片方の間に、セルロースアシレートフィルムが配置され、
前記液晶層の厚さをd(単位:nm)、波長λ(単位:nm)における屈折率異方性をΔn(λ)とし、前記光学補償フィルムおよびセルロースアシレートフィルムの波長λにおける面内のレターデーションの和をResum(λ)、波長λにおける厚さ方向のレターデーションの和をRthsum(λ)とした場合、波長380nm〜780nmの間の少なくとも2つの異なる波長において、下記式(I)〜(IV)を満足し、
(I)200≦Δn(λ)×d≦1000、
(II)Rthsum(λ)/λ=A×Δn(λ)×d/λ+B、
(III)Resum(λ)/λ=C×λ/{Δn(λ)×d}+D
(IV)0.488≦A≦0.56、
かつ B=−0.0567、
かつ −0.041≦C≦0.016、
かつ D=0.0939。
該セルロースアシレートフィルムの波長λ(単位:nm)における面内のレターデーションをRe2(λ)、波長λ(単位:nm)における厚さ方向のレターデーションをRth2(λ)とした場合、下記式(IX)および(X)を満たす液晶表示装置;
(IX)0≦Re2(630)≦10かつ|Rth2(630)|≦25
(X)|Re2(400)−Re2(700)|≦10かつ|Rth2(400)−Rth2(700)|≦35
(2) 前記光学補償フィルムの面内の遅相軸と、前記第一及び第二の偏光膜のうち前記光学補償フィルムのより近くに位置する偏光膜の透過軸とが、実質的に平行である(1)に記載の液晶表示装置。
(3) 50nm以上の差がある少なくとも2つの波長において、前記式(I)〜(IV)を満足する(1)又は(2)に記載の液晶表示装置。
(4) 450nm、550nm及び650nmのすべての波長において、前記式(I)〜(IV)を満足する(1)〜(3)のいずれかの液晶表示装置。
(5) 少なくとも一方に電極を有する対向配置された一対の基板と、該一対の基板間に挟持され、ネマチック液晶材料を含み、黒表示時に該ネマチック液晶材料の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して略垂直に配向する液晶層とを有する液晶セル、該液晶セルを挟持して配置された第一及び第二の偏光膜、前記液晶層と第一及び第二の偏光膜の一方との間に、光学補償フィルム、及び及び前記液晶層と第一及び第二の偏光膜の少なくとも一方の間に、セルロースアシレートフィルムを有し
前記液晶層の厚さをd(単位:nm)、波長λ(単位:nm)における屈折率異方性をΔn(λ)とし、前記光学補償フィルムおよび前記セルロースアシレートフィルムの波長λにおける面内のレターデーションの和をResum(λ)、波長λにおける厚さ方向のレターデーションの和をRthsum(λ)とした場合、波長380nm〜780nmの間の少なくとも2つの異なる波長において、下記式(V)〜(VIII)を満足し、
(V)200≦Δn(λ)×d≦1000、
(VI)Rthsum(λ)/λ=E×Δn(λ)×d/λ、
(VII)Resum(λ)/λ=F×λ/{Δn(λ)×d}+G、
(VIII)0.726≦E≦0.958、
かつ 0.0207≦F≦0.0716、
かつ G=0.032
該セルロースアシレートフィルムの、波長λ(単位:nm)における面内のレターデーションをRe2(λ)、波長λ(単位:nm)における厚さ方向のレターデーションをRth2(λ)とした場合、下記式(IX)および(X)を満たす液晶表示装置;
(IX)0≦Re2(630)≦10かつ|Rth2(630)|≦25
(X)|Re2(400)−Re2(700)|≦10かつ|Rth2(400)−Rth2(700)|≦35。
(6) 前記光学補償フィルムの面内の遅相軸と、前記第一及び第二の偏光膜のうち前記光学補償フィルムのより近くに位置する偏光膜の透過軸とが、実質的に平行である(5)に記載の液晶表示装置。
(7) 前記セルロースアシレートフィルムの面内の遅相軸と、前記第一及び第二の偏光膜のうち前記セルロースアシレートフィルムのより近くに位置する偏光膜の透過軸とがなす角度が、−10度以上10度以下である、または80度以上110以下である、(5)又は(6)に記載の液晶表示装置。
(8) 50nm以上の差がある少なくとも2つの波長において、前記式(V)〜(VIII)を満足する(5)〜(7)のいずれかの液晶表示装置。
(9) 450nm、550nm及び650nmのすべての波長において、前記式(V)〜(VIII)を満足する(5)〜(8)のいずれかの液晶表示装置。
なお、本明細書において、「平行」あるいは「直交」とは、厳密な角度±5゜未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との誤差は、4゜未満であることが好ましく、3゜未満であることがより好ましい。また、角度について、「+」は時計周り方向を意味し、「−」は反時計周り方向を意味するものとする。また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。また、「可視光領域」とは、380nm〜780nmのことをいう。さらに屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域のλ=550nmでの値である。
本明細書において「偏光板」とは、特に断らない限り、長尺の偏光板および液晶装置に組み込まれる大きさに裁断された(本明細書において、「裁断」には「打ち抜き」および「切り出し」等も含むものとする)偏光板の両者を含む意味で用いられる。また、本明細書では、「偏光膜」及び「偏光板」を区別して用いるが、「偏光板」は「偏光膜」の少なくとも片面に該偏光膜を保護する透明保護膜を有する積層体のことを意味するものとする。
また、本明細書において、セルロースアシレートフィルム及び光学補償フィルム等、種々のフィルムの波長λにおける面内のレターデーションRe(λ)および厚さ方向のレターデーションRth(λ)は、以下の方法で得られた値をいうものとする。まず、Re(λ)は、波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて測定される値とする。また、Rth(λ)は、前記Re(λ)、遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、および遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基にKOBRA 21ADHによって算出された値とする。ここで平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値および膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nzを算出する。
また、セルロースアシレートフィルムと光学補償フィルムの面内レターデーションの和Resum(λ)及び厚さ方向レターデーションの和Rthsum(λ)についても、上記方法にて得られる値をいうものとする。
本発明は、本発明者らの鋭意検討の結果得られた知見に基づいて完成されたものであり、素材や製造方法を適宜選択する等により、光学補償フィルムの面内のレターデーションと厚さ方向のレターデーションの波長分散を独立に制御し、その光学的な最適値を求め、液晶セル、特にVAモードの液晶セルの黒状態の視角補償を可視光領域のいずれの波長においても可能にするものである。その結果、本発明の液晶表示装置は、任意の波長において、黒表示時の斜め方向の光抜けが軽減され、視野角コントラストが著しく改善されている。また、本発明の液晶表示装置は、異なる液晶層の複屈折の場合においても、黒表示時の斜め方向の光抜けを任意の可視光波長領域で抑えることができる。
発明の実施の形態
以下、図面を用いて本発明の作用を説明する。
図1は、一般的なVAモードの液晶表示装置の構成を示す模式図である。VAモードの液晶表示装置は、電圧無印加時、即ち黒表示時に、液晶が基板面に対して垂直配向する液晶層を有する液晶セル3と、該液晶セル3を挟持し、且つ互いの透過軸方向(図1では縞線で示した)を直交させて配置された偏光板1及び偏光板2とを有する。図1中、光は、偏光板1側から入射するものとする。電圧無印加時に、法線方向、即ち、z軸方向に進む光が入射した場合、偏光板1を通過した光は、直線偏光状態を維持したまた、液晶セル3を通過し、偏光板2において完全に遮光される。その結果、コントラストの高い画像を表示できる。
しかし、図2に示す様に、射光入射の場合には状況が異なる。光が、z軸方向でない斜め方向、即ち、偏光板1および2の偏光方向に対して斜めの方位(いわゆるOFF AXIS)から入射する場合、入射光は、液晶セル3の垂直配向した液晶層を通過する際に、斜め方向のレターデーションの影響を受け、その偏光状態が変化する。さらに、偏光板1と偏光板2の見かけの透過軸が直交配置からずれる。この2つの要因のため、OFF AXISにおける斜め方向からの入射光は、偏光板2で完全に遮光されず、黒表示時に光抜けが生じ、コントラストを低下させることになる。
ここで、極角と方位角を定義する。極角はフィルム面の法線方向、即ち、図1及び図2中のz軸からの傾き角であり、例えば、フィルム面の法線方向は、極角=0度の方向である。方位角は、x軸の正の方向を基準に反時計回りに回転した方位を表しており、例えばx軸の正の方向は方位角=0度の方向であり、y軸の正の方向は方位角=90度の方向である。前述したOFF AXISにおける斜め方向とは、極角が0度ではない場合で、且つ方位角=45度、135度、225度、315度の場合を主に指す。
図3に、本発明の一態様の作用を説明するための構成例についての模式図を示す。図3に示す液晶表示装置は、図1の構成に、液晶セル3と偏光板1との間にセルロースアシレートフィルム6と光学補償フィルム4を、液晶セル3と偏光板2との間に光学補償フィルム5とセルロースアシレートフィルム7を配置した構成である。本態様の液晶表示装置では、液晶セルの液晶層の厚さd(単位:nm、以下同様である)、液晶層の波長λ(単位:nm、以下同様である)における屈折率異方性Δn(λ)、光学補償フィルム4とセルロースアシレートフィルム6、及び光学補償フィルム5とセルロースアシレートフィルム7の、波長λにおける面内レターデーションの和Resum(λ)、及び波長λにおける厚さ方向のレターデーションの和Rthsum(λ)は、波長380nm〜780nmの間の少なくとも2つの異なる波長において下記式(I)〜(IV)を満足する。
(I)200≦Δn(λ)×d≦1000、
(II)Rthsum(λ)/λ=A×Δn(λ)×d/λ+B、
(III)Resum(λ)/λ=C×λ/{Δn(λ)×d}+D
(IV)0.488=<A=<0.56
かつ B=−0.0567
かつ −0.041=<C=<0.016
かつ D=0.0939
さらに、セルロースアシレートフィルムの波長λ(単位:nm)における面内のレターデーションをRe2(λ)、波長λ(単位:nm)における厚さ方向のレターデーションをRth2(λ)としたとき、下記式(IX)および(X)を満たす。
(IX)0≦Re2(630)≦10かつ|Rth2(630)|≦25
(X)|Re2(400)−Re2(700)|≦10かつ|Rth2(400)−Rth2(700)|≦35
図4に、本発明の他の態様の作用を説明するための構成例についての模式図を示す。光学補償フィルム8とセルロースアシレートフィルム9は配置を入れ替えても良い。本態様の液晶表示装置では、液晶セルの液晶層の厚さd(単位:nm、以下同様である)、液晶層の波長λ(単位:nm、以下同様である)における屈折率異方性Δn(λ)、光学補償フィルム8とセルロースアシレートフィルム9の、波長λにおける面内レターデーションの和Resum(λ)、及び波長λにおける厚さ方向のレターデーションの和Rthsum(λ)が、波長380nm〜780nmの間の少なくとも2つの異なる波長において下記式(V)〜(VIII)を満足する。
(V)200≦Δn(λ)×d≦1000、
(VI)Rthsum(λ)/λ=E×Δn(λ)×d/λ、
(VII)Resum(λ)/λ=F×λ/{Δn(λ)×d}+G、
(VIII)0.726≦E≦0.958、
かつ 0.0207≦F≦0.0716、
かつ G=0.032。
さらにセルロースアシレートフィルムの波長λ(単位:nm)における面内のレターデーションをRe2(λ)、波長λ(単位:nm)における厚さ方向のレターデーションをRth2(λ)としたとき、下記式(IX)および(X)を満たす。
(IX)0≦Re2(630)≦10かつ|Rth2(630)|≦25
(X)|Re2(400)−Re2(700)|≦10かつ|Rth2(400)−Rth2(700)|≦35
本発明では、前記式(I)〜(IV)、又は前記式(V)〜(VIII)のいずれかを満足する液晶層、光学補償フィルムおよびセルロースアシレートフィルムを組み合わせることにより、可視光域の所定の波長の光が斜め方向に入射した場合においても、該波長に適した遅相軸及びレターデーションで光学補償することを可能としている。その結果、従来の液晶表示装置と比較して、黒表示の視覚コントラストを格段に向上されるとともに、さらに黒表示の視角方向における色づきも格段に軽減される。本発明の液晶表示装置は、前記式(I)〜(IV)又は前記式(V)〜(VIII)を、少なくとも2つの異なる波長において満足する。50nm以上の差がある2つの波長において、前記式(I)〜(IV)又は前記式(V)〜(VIII)を満足しているのが好ましい。いずれの波長において前記条件を満足するかについては、液晶表示装置の用途に応じて異なり、表示特性に最も影響を与える波長及び波長範囲が選ばれるであろう。一般的には、液晶表示装置は、三原色である赤(R)、緑(G)、青(B)に対応する、650nm、550nm及び450nmの波長において、前記式(I)〜(IV)又は前記式(V)〜(VIII)を満足するのが好ましい。なお、R、G、Bの波長は必ずしも前記波長で代表されるものではないが、本発明の効果を奏する光学特性を規定するのに適当な波長であると考えられる。
次に、本発明の補償原理について詳しく説明する。本発明では、特にレターデーションと波長の比であるRe/λおよびRth/λに着目している。なぜならば、Re/λおよびRth/λは、複屈折率を表す量であり、偏光状態が遷移する場合の位相を決める最も重要なパラメータだからである。さらに、Re/λとRth/λの比であるRe/Rthは、2軸性複屈折媒体を斜め方向に進む光の伝播における2つの固有偏光の軸を決定する。図5に、2軸性複屈折媒体に斜め方向に進む光が入射した場合における、2つある固有偏光の1つの軸の方向とRe/Rthの関係を計算した結果の一例を示す。なお、光の伝播方向を、方位角=45度、極角=34度と仮定した。図5に示す結果から、Re/Rthが決まれば、固有偏光の1つの軸が決まることがわかる。さらに、Re/λ、Rth/λは、2つの固有偏光の位相を変化させる作用を持つ。
従来技術では、VAモードを補償するためのフィルムの波長分散について、Reや、Rthや、Re/Rthなどで規定していた。本発明では、Re、Rth、Re/Rthなどの値ではなく、Re/λ、Rth/λに注目してパラメータを無次元化することにより、波長λにおいてVAモードが補償できる原理を見出した。さらに、本発明者は、補償する対象の液晶層の複屈折Δndに波長分散があることにも着目し、光学補償フィルムのRe及びRthの波長分散と、光学補償の対象である液晶層の複屈折Δndの波長分散との関係について鋭意検討し、上記(I)〜(IV)、又は前記式(V)〜(VIII)の関係を満足する場合に、液晶表示装置の視野角特性が格段に改善されるとの知見を得た。本発明の液晶表示装置は、上記(I)〜(IV) 又は前記式(V)〜(VIII)の関係を満足することにより、斜め方向から光が入射し、液晶層の斜め方向のレターデーションの影響を受け、且つ上下一対の偏光板の見かけの透過軸がずれているという2つの要因がある場合であっても、液晶セルが正確に光学補償され、コントラストの低下が軽減される。
なお、VAモードは、電圧無印加時、即ち黒表示時に液晶が垂直配向しているので、黒表示時に、法線方向から入射した光の偏光状態が、光学補償フィルムのレターデーションによって影響されないように、光学補償フィルムの面内遅相軸は、より近くに位置する偏光板の偏光軸と垂直または平行にするのが好ましい。
図6に、図3に示した態様の補償機構について、ポアンカレ球を用いて説明した図を示す。ここで、光の伝播方向は方位角=45度、極角=34度である。図6中、S2軸は、紙面上から下に垂直に貫く軸であり、図6は、ポアンカレ球を、S2軸の正の方向から見た図である。また、図6は、平面的に示されているので、偏光状態の変化前と変化後の点の変位は、図中直線の矢印で示されているが、実際は、液晶層や光学補償フィルムを通過することによる偏光状態の変化は、ポアンカレ球上では、それぞれの光学特性に応じて決定される特定の軸の回りに、特定の角度回転させることで表される。
図3中の偏光板1を通過した入射光の偏光状態は、図6では点1に相当し、図3中の偏光板2の吸収軸によって遮光される偏光状態は、図6では点2に相当する。従来、VAモードの液晶表示装置において、斜め方向におけるOFF AXISの光抜けは、この点1と点2がずれていることに起因する。光学補償フィルムは、一般的に、液晶層における偏光状態の変化も含めて、入射光の偏光状態を点1から点2に変化させるために用いられる。液晶セル3の液晶層は正の屈折率異方性を示し、垂直配向しているので、液晶層を通過することによる入射光の偏光状態の変化は、ポアンカレ球上では、図6中の上から下への矢印で示され、S1軸回りの回転(図中点Aから点Bへの回転)として表される。その回転角度は、波長λにおける液晶層の斜め方向からの実効的なレターデーションΔn’d’を波長で割った値Δn’d’/λに比例する。この液晶層を補償するために、本態様では、光学補償フィルム4及び5さらにセルロースアセテートフィルム6および7を用いている。光学補償フィルム4と+セルロースアセテートフィルム6、及び光学補償フィルム5+セルロースアセテートフィルム7の上斜め向きの矢印の長さ(図中、点1から点Aへの矢印の長さ及び点Bから点2への矢印の長さ)、すなわち回転角は、光学補償フィルム4+セルロースアセテートフィルム6及び光学補償フィルム5+セルロースアセテートフィルム7のそれぞれのRthsum/λにほぼ比例し、矢印の回転軸は前述した様にResum/Rthsumによって決まる。図6に示した様に光学補償フィルム4及び5さらにセルロースアセテートフィルム6および7でVAモードの液晶セルを光学補償するためには、Δn’d’/λが大きい液晶層を用いた場合は、光学補償フィルム4及び5さらにセルロースアセテートフィルム6および7のRthsum/λを大きくして、点1から点Aへの矢印の長さ及び点Bから点2への矢印の長さを長くする必要があり、また点1から点Aへの上斜め向きの矢印及び点Bから点2への上斜め向きの矢印の方向をより立たせるためには、光学補償フィルム4及び5さらにセルロースアシレートフィルム6および7のResum/Rthsumを小さく、すなわちResum/λを小さくする必要があることが考察できる。本態様では、前記(I)〜(IV)を満足することを条件として、液晶層のΔn’d’/λに応じて、光学補償フィルム+セルロースアシレートフィルムのResum/λおよびRthsum/λを決定し、正確に光学補償している。本態様では、光学補償する対象の液晶層の波長λにおける液晶層のΔndと波長λが決まれば、Δn’d’/λが決まり、それに応じて上記式を満足するResum/λおよびRthsum/λを示す光学補償フィルムとセルロースアシレートフィルムを用いればよい。光学補償フィルムとセルロースアシレートフィルムをあわせたResum/λおよびRthsum/λを所望に値にすればよいため、光学補償フィルム単体では得られなかったRe/λおよびRth/λの値もセルロースアシレートフィルムの特性で調節して所望の値にすることが出来る。図3に示す態様では、光学補償フィルムおよびセルロースアシレートフィルムを上下に1枚ずつ計2枚用いている。特に、上下の光学フィルムの特性が同じ場合、対称性から、液晶層の下向きの矢印はポアンカレ球上のS1=0の上を遷移し、液晶層の下矢印の始点と終点は赤道を挟んで対称にポアンカレ球の上半球と下半球にあるのがわかる。
図7に、図4に示した態様の補償機構について、ポアンカレ球を用いて説明した図を示す。なお、図6中と同一の記号が付された点及び軸等は、上記と同義であるので、詳細な説明は省略する。図7に示す様に、光学補償フィルム8+セルロースアシレートフィルム8でVAモードの液晶セルを光学補償するためには、Δn’d’/λが大きい液晶層を用いた場合は、光学補償フィルム8のRthsum/λを大きくして、点1から点Aへの矢印の長さを長くする必要があり、また点1から点Aへの上斜め向きの矢印の方向をより立たせるためには、光学補償フィルム8のResum/Rthsumを小さく、すなわちResum/λを小さくする必要があることが考察できる。本態様では、前記(V)〜(VIII)を満足することを条件として、液晶層のΔn’d’/λに応じて、光学補償フィルムのResum/λおよびRthsum/λを決定し、正確に光学補償している。本態様では、光学補償する対象の液晶層の波長λにおける液晶層のΔndと波長λが決まれば、Δn’d’/λが決まり、それに応じて上記式を満足するResum/λおよびRthsum/λを示す光学補償フィルムを用いればよい。
また、図7は、図4で示されるような構成になっている。この構成において、前記式(V)〜(VIII)を満足する液晶セル3と光学補償フィルム8およびセルロースアシレートフィルム8およびセルロースアシレートフィルム9とを組み合わせることで正確な光学補償が可能となる。
以上説明した様に、本発明は、VAモードにおける液晶層のいわゆる複屈折率Δnd/λと、それを補償するための光学フィルムおよびセルロースアシレートフィルムのResum/λ、Rthsum/λの関係を、使用する光源のスペクトル範囲あるいはスペクトル分布に応じて最適化している。その最適範囲を理論的に考察し、その最適範囲を明確に示している点で、VAモードの光学補償に関する従来技術と異なる。前記式(I)〜(VI)、又は前記式(V)〜(VIII)を満足する様に、液晶層と光学補償フィルムとを組み合わせれば、液晶層の波長分散を、光学補償フィルムの波長分散で補償することができる。その結果、VAモードを用いるパネルの視角コントラストを大幅に軽減できる。また、任意の波長範囲にわたって黒状態での光りぬけを抑えることが出来るため、特定の波長にかたよって光りぬけることが原因で発生する視角色ずれも軽減できることになる。
本発明では、フィルムの最適値を表現するために上述した関係式で表し、その実施例で効果の確認を行っている。上記式ではA、B、C及びDのパラメータ、又はE、F及びGのパラメータで、本発明の効果を奏する範囲を規定した。但し、B及びD、又はGは便宜上、フィルムの効果範囲を表現するために最も適した値の定数とし、A及びC、又はE及びFに範囲を与えることで本発明の効果を奏する範囲を表現することとした。
本発明は、任意の液晶の複屈折率、波長分散において、VAモードを用いるパネルの視角コントラスト、視角色ずれを大幅に軽減できる波長分散をもった光学補償フィルムを提供するものであるが、同時に、R,G,Bの異なる波長を用いた液晶セルにおいても、本発明を適用できる。例えば、R,G,Bを異なる液晶セルで構成する投射型液晶セルに本発明のフィルムを適用する場合においても、前述した条件式を用いて光学補償することができ、その結果、広い視角コントラストの効果が得られることになる。また、多数の波長が混合した通常の光源を用いた液晶パネルの場合でも、例えばGの波長を用いて液晶パネルの特性を代表させ、本発明の条件式を用いた光学補償フィルムで広い視角コントラストの効果を得ることもできる。
本発明の範囲は、液晶層の表示モードによって限定されず、VAモード、IPSモード、ECBモード、TNモードおよびOCBモード等、いずれの表示モードの液晶層を有する液晶表示装置にも用いることができる。
次に、本発明に使用可能な光学補償フィルムについて、光学特性、原料、製造方法等について、より詳細に説明する。
[光学補償フィルム]
本発明では、光学補償フィルムは、液晶表示装置、特にVAモードの液晶表示装置の視野角コントラストの拡大、及び視野角に依存した色ずれの軽減に寄与する。本発明において、前記光学補償フィルムは、観察者側の偏光板と液晶セルとの間に配置しても、背面側の偏光板と液晶セルとの間に配置してもよいし、双方に配置してもよい。例えば、独立の部材として液晶表示装置内部に組み込むこともできるし、また、偏光膜を保護する保護膜に、前記光学特性を付与して光学補償フィルムとしても機能させて、偏光板の一部材として、液晶表示装置内部に組み込むこともできる。
前記光学補償フィルムは、上記した様に、可視光領域の波長のうち光源あるいは観測者側で用いる任意の波長λにおけるRe/λとRth/λは、液晶層の態様および波長λによって好ましい範囲が異なる。例えば、波長λ=550nmにおいてVAモードの液晶セル(例えば、厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dが0.2〜1.0μmである液晶層を有するVAモードの液晶セル)の光学補償に用いられる場合は、Re/λは0.04〜0.13nmであるのが好ましく、0.05〜0.1nmであるのがより好ましく、0.06〜0.09nmであるのがさらに好ましい。また、Rth/λについては、0.05〜1.1nmであるのが好ましく、0.1〜1.0nmであるのがより好ましく、0.13〜0.91nmであるのがさらに好ましい。
光学補償フィルムは、それぞれ互いに直交するx、yおよびz軸方向に3つの平均屈折率nx、nyおよびnzを有する。この3つの値が、光学補償フィルムの固有の屈折率であり、これらの値とフィルムの厚さd1とで、Rth及びReが決まる。原料、その配合量、製造条件などを選択し、これらの値を所望の範囲に調整することで、上記光学特性を満足する光学補償フィルムを作製することができる。nx、ny及びnzは波長によって異なるので、Rth及びReも波長によって異なる。前記光学補償フィルムは、この特徴を利用することによって作製することができる。
本発明において、光学補償フィルムの素材については特に制限はない。例えば、延伸複屈折ポリマーフィルムであっても、液晶性化合物を特定の配向に固定することによって形成された光学異方性層であってもよい。また、光学補償フィルムは単層構造に限定されるものではなく、複数の層を積層した積層構造を有していてもよい。積層構造の態様では、各層の素材は同種でなくてもよく、例えば、ポリマーフィルムと液晶性化合物からなる光学異方性層との積層体であってもよい。積層構造の態様では、厚さを考慮すると、高分子の延伸フィルムの積層体よりも、塗布によって形成された層を含む塗布型の積層体が好ましい。
前記光学補償フィルムの作製に液晶性化合物を用いた場合は、液晶性化合物には多様な配向形態があるので、液晶性化合物を特定の配向状態に固定して作製した光学異方性層は、単層でまたは複数層の積層体により、所望の光学的性質を発現する。即ち、前記光学補償フィルムは、支持体と該支持体上に形成された1以上の光学異方性層とからなる態様であってもよい。かかる態様の光学補償フィルム全体のレターデーションは、光学異方性層の光学異方性によって調整することができる。液晶性化合物は、その分子の形状から、棒状液晶化合物と円盤状液晶化合物に分類できる。さらにそれぞれ低分子と高分子タイプがあり、いずれも使用することができる。前記光学補償フィルムの作製に液晶性化合物を使用する場合は、棒状液晶化合物または円盤状液晶性化合物を用いることが好ましく、重合性基を有する棒状液晶化合物または重合性基を有する円盤状液晶性化合物を用いるのがより好ましい。
また、光学補償フィルムは高分子フィルムからなっていてもよい。前記高分子フィルムは、延伸された高分子フィルムであっても、また塗布型の高分子層と高分子フィルムとの併用でもよい。高分子フィルムの材料は、一般に合成ポリマー(例、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ノルボルネン樹脂、トリアセチルセルロース)が用いられる。また、セルロースアシレートに、芳香環を有する棒状化合物(具体的には、二つの芳香族環を有する芳香族化合物)を添加した組成物をフィルムとした、セルロースアシレート系フィルムも好ましい。前記芳香族化合物の種類、添加量、フィルムの延伸条件を調整することによって、所望の光学特性を有する高分子フィルムを作製することができる。
本発明の液晶表示装置では、前述した様に、前記式(IX)および(X)を満たす、即ち、光学異方性が低く且つ波長分散性が低い、セルロースアシレートフィルムを少なくとも一枚用いる。次に、本発明に使用可能な前記セルロースアシレートフィルムの作製方法、原料等について説明する。
[セルロースアシレート原料綿]
本発明に用いられるセルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えばプラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができ、本発明には、いずれの原料セルロースを用いて製造されたセルロースアシレートフィルムも用いることができる。
[セルロースアシレート置換度]
セルロースアシレートはセルロースの水酸基がアシル化されたもので、前記セルロースアシレートフィルムの製造には、その置換基であるアシル基の炭素原子数が2のアセチル基から炭素原子数が22のものまでいずれも用いることができる。前記セルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって置換度を得ることができる。測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することが出来る。
上述のように本発明のセルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基へのアシル置換度が2.50〜3.00であることがのぞましい。さらには置換度が2.75〜3.00であることがのぞましく、2.85〜3.00であることがよりのぞましい。
セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸のうち、炭素数2〜22のアシル基としては、脂肪族基でもアリル基でもよく特に限定されず、単一でも2種類以上の混合物でもよい。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましいアシル基としては、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、へプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、iso−ブタノイル、t−ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル基などを挙げることが出来る。これらの中でも、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t−ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどが好ましく、アセチル、プロピオニル、ブタノイルがより好ましい。
本発明の発明者が鋭意検討した結果、上述のセルロースの水酸基に置換するアシル置換基のうちで、実質的にアセチル基/プロピオニル基/ブタノイル基の少なくとも2種類からなる場合においては、その全置換度が2.50〜3.00の場合にセルロースアシレートフィルムの光学異方性が低下できることがわかった。より好ましいアシル置換度は2.60〜3.00であり、さらにのぞましくは2.65〜3.00である。
[セルロースアシレートの重合度]
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であり、セルロースアセテートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400が更に好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度が高すぎるとセルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなり、流延によりフィルム作製が困難になる。重合度が低すぎると作製したフィルムの強度が低下してしまう。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。特開平9−95538号公報に詳細に記載されている。
また、本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがさらに好ましく、1.0〜1.6であることが最も好ましい。
低分子成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低くなるため有用である。低分子成分の少ないセルロースアシレートは、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより実施できる。なお、低分子成分の少ないセルロースアシレートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量部に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量部分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。本発明のセルロースアシレートの製造時に使用される際には、その含水率は2質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1質量%以下であり、特には0.7質量%以下の含水率を有するセルロースアシレートである。一般に、セルロースアシレートは、水を含有しており2.5〜5質量%が知られている。本発明でこのセルロースアシレートの含水率にするためには、乾燥することが必要であり、その方法は目的とする含水率になれば特に限定されない。前記セルロースアシレートは、その原料綿や合成方法は発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて7頁〜12頁に詳細に記載されている。
置換基、置換度、重合度、分子量分布など前述した範囲であれば、単一あるいは異なる2種類以上のセルロースアシレートを混合して用いることができる。
[セルロースアシレートへの添加剤]
前記セルロースアシレートフィルムは、溶液流延製膜法により作製するのが好ましいが、但し、この方法に限定されるものではない。溶液流延製膜法では、まず、セルロースアシレートの溶液(ドープ)を調製する。前記セルロースアシレート溶液には、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、光学的異方性を低下する化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、光学特性調整剤など)を加えることができ、これらについて以下に説明する。またその添加する時期はドープ作製工程において何れでも添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。
本発明では、セルロースアシレートフィルムの光学的異方性、とくにフィルム膜厚方向のレターデーションRthを低下させる化合物を、下記式(ii)及び(iii)をみたす範囲で少なくとも一種含有することがのぞましい。
(ii)(Rth2(A)−Rth2(0))/A≦−1.0
(iii)0.01≦A≦30
上記式(ii)、(iii)は
(ii)(Rth2(A)−Rth2(0))/A≦−2.0
(iii)0.05≦A≦25
であることがよりのぞましく、
(ii)(Rth2(A)−Rth2(0))/A≦−3.0
(iii)0.1≦A≦20
であることがさらにのぞましい。
[セルロースアシレートフィルムの光学的異方性を低下させる化合物の構造的特徴]
セルロースアシレートフィルムの光学的異方性を低下させる化合物について説明する。本発明の発明者らは、鋭意検討した結果、フィルム中のセルロースアシレートが面内および膜厚方向に配向するのを抑制する化合物を用いて光学的異方性を十分に低下させ、Re2がゼロかつRth2がゼロに近くなるようにした。このためには光学的異方性を低下させる化合物はセルロースアシレートに十分に相溶し、化合物自身が棒状の構造や平面性の構造を持たないことが有利である。具体的には芳香族基のような平面性の官能基を複数持っている場合、それらの官能基を同一平面ではなく、非平面に持つような構造が有利である。
(LogP値)
前記セルロースアシレートフィルムを作製するにあたっては、上述のようにフィルム中のセルロースアシレートが面内および膜厚方向に配向するのを抑制して光学異方性を低下させる化合物のうち、オクタノール−水分配係数(logP値)が0ないし7である化合物が好ましい。logP値が7を超える化合物は、セルロースアシレートとの相溶性に乏しく、フィルムの白濁や粉吹きを生じやすい。また、logP値が0よりも小さな化合物は親水性が高いために、セルロースアセテートフィルムの耐水性を悪化させる場合がある。logP値としてさらに好ましい範囲は1ないし6であり、特に好ましい範囲は1.5ないし5である。
オクタノール−水分配係数(logP値)の測定は、JIS日本工業規格Z7260−107(2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。また、オクタノール−水分配係数(logP値)は実測に代わって、計算化学的手法あるいは経験的方法により見積もることも可能である。計算方法としては、Crippen's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)、Viswanadhan's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,29,163(1989).)、Broto's fragmentation法(Eur.J.Med.Chem.- Chim.Theor.,19,71(1984).)などが好ましく用いられるが、Crippen's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)がより好ましい。ある化合物のlogPの値が測定方法あるいは計算方法により異なる場合に、該化合物が本発明の範囲内であるかどうかは、Crippen's fragmentation法により判断することが好ましい。
[光学的異方性を低下する化合物の物性]
光学異方性を低下させる化合物は、芳香族基を含有しても良いし、含有しなくても良い。また光学異方性を低下させる化合物は、分子量が150以上3000以下であることが好ましく、170以上2000以下であることが好ましく、200以上1000以下であることが特に好ましい。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であっても良いし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でも良い。
光学異方性を低下させる化合物は、好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜250℃の固体であり、さらに好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜200℃の固体である。また光学異方性を低下させる化合物は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
光学異方性を低下させる化合物の添加量は、セルロースアシレートの0.01〜30質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることが特に好ましい。
光学異方性を低下させる化合物は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
光学異方性を低下させる化合物を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
光学異方性を低下させる化合物は、少なくとも一方の側の表面から全膜厚の10%までの部分における該化合物の平均含有率が、該セルロースアシレートフィルムの中央部における該化合物の平均含有率の80〜99%である。本発明の化合物の存在量は、例えば、特開平8−57879号公報に記載の赤外吸収スペクトルを用いる方法などにより表面および中心部の化合物量を測定して求めることができる。
以下に本発明で好ましく用いられる、セルロースアシレートフィルムの光学異方性を低下させる化合物の具体例を示すが、本発明はこれら化合物に限定されない。なお、本発明に記載のlogPの値は、Crippen's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)により求めたものである。
光学異方性を低下させる化合物としては、例えば、下記一般式(13)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2006201449
式中、R1はアルキル基またはアリール基を表し、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。R1、R2およびR3の炭素原子数の総和は10以上である。
1、R2およびR3で表されるアルキル基又はアリール基は、置換されていてもよい。置換基としてはフッ素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が好ましく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が特に好ましい。また、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数1〜25のものが好ましく、6〜25のものがより好ましく、6〜20のもの(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、アミル、イソアミル、t-アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ビシクロオクチル、ノニル、アダマンチル、デシル、t-オクチル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、ジデシル)が特に好ましい。アリール基としては炭素原子数が6〜30のものが好ましく、6〜24のもの(例えば、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、ビナフチル、トリフェニルフェニル)が特に好ましい。一般式(13)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2006201449
Figure 2006201449
Figure 2006201449
また、光学異方性を低下させる化合物としては、例えば、下記一般式(18)及び一般式(19)で表される化合物も好ましい。
Figure 2006201449
一般式(18)中、R1はアルキル基またはアリール基を表し、R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
Figure 2006201449
上記一般式(19)中、R4、R5およびR6はそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表す。
上記のアルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよく、置換基としてはハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、フッ素およびヨウ素)、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基およびアシルアミノ基が好ましく、より好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、スルホニルアミノ基およびアシルアミノ基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、スルホニルアミノ基およびアシルアミノ基である。
以下に、一般式(18)または一般式(19)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2006201449
Figure 2006201449
Figure 2006201449
Figure 2006201449
Figure 2006201449
Figure 2006201449
Figure 2006201449
Figure 2006201449
Figure 2006201449
[波長分散調整剤]
セルロースアシレートフィルムの波長分散を低下させる化合物(以下「波長分散調整剤」ともいう)について説明する。前記セルロースアシレートフィルムのRth2の波長分散を良化させるためには、下記式(iv)で表されるRth2の波長分散ΔRth=|Rth2(400)−Rth2(700)|を低下させる化合物を、下記式(v)及び(vi)をみたす範囲で少なくとも一種含有することがのぞましい。
(iv)ΔRth=|Rth2(400)−Rth2(700)|
(v)(ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−2.0
(vi)0.01≦B≦30
上記式(v)、(vi)は
(v)(ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−3.0
(vi)0.05≦B≦25
であることがよりのぞましく、
(v)(ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−4.0
(vi)0.1≦B≦20
であることがさらにのぞましい。
上記の波長分散調整剤は、200〜400nmの紫外領域に吸収を持つ化合物であるのが好ましい。前記波長分散調製剤の少なくとも一種を前記セルロース溶液に、セルロースアシレート固形分に対して所定量(好ましくは0.01〜30重量%)含有させるのが好ましい。
セルロースアシレートフィルムのRe2、Rth2の値は一般に短波長側よりも長波長側が大きい波長分散特性となる。したがって相対的に小さい短波長側のRe2、Rth2を大きくすることによって波長分散を平滑にすることが要求される。一方200〜400nmの紫外領域に吸収を持つ化合物は短波長側よりも長波長側の吸光度が大きい波長分散特性をもつ。この化合物自身がセルロースアシレートフィルム内部で等方的に存在していれば、化合物自身の複屈折性、ひいてはRe2、Rth2の波長分散は吸光度の波長分散と同様に短波長側が大きいと想定される。
したがって上述したような、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、化合物自身のRe2、Rth2の波長分散が短波長側が大きいと想定されるものを用いることによって、セルロースアシレートフィルムのRe2、Rth2の波長分散を調整することができる。このためには波長分散を調整する化合物はセルロースアシレートに十分均一に相溶することが要求される。このような化合物の紫外領域の吸収帯範囲は200〜400nmが好ましいが、220〜395nmがより好ましく、240〜390nmがさらに好ましい。
また、近年テレビやノートパソコン、モバイル型携帯端末などの液晶表示装置ではより少ない電力で輝度を高めるに、液晶表示装置に用いられる光学部材の透過率が優れたものが要求されている。その点においては、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、且つフィルムの|Re2(400)−Re2(700)|および|Rth2(400)−Rth2(700)|を低下させる化合物を添加する場合、分光透過率が優れている要求される。前記セルロースアシレートフィルムにおいては、波長380nmにおける分光透過率が45%以上95%以下であり、かつ波長350nmにおける分光透過率が10%以下であることがのぞましい。
上述のような、本発明で好ましく用いられる波長分散調整剤は揮散性の観点から分子量が250〜1000であることが好ましい。より好ましくは260〜800であり、更に好ましくは270〜800であり、特に好ましくは300〜800である。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であっても良いし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でも良い。
波長分散調整剤は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
(化合物添加量)
上述した本発明で好ましく用いられる波長分散調整剤の添加量は、セルロースアシレートの0.01〜30重量%であることが好ましく、0.1〜20重量%であることがより好ましく、0.2〜10重量%であることが特に好ましい。
(化合物添加の方法)
またこれら波長分散調整剤は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
またこれら波長分散調整剤を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
本発明に好ましく用いられる波長分散調整剤の具体例としては、例えばベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノ基を含む化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられるが、本発明はこれら化合物だけに限定されるものではない。
ベンゾトリアゾール系化合物類の波長分散調整剤としては、下記一般式(101)で表される化合物が好ましく用いられる。
一般式(101) Q1−Q2−OH
式中、Q1は含窒素芳香族ヘテロ環の基を表し、Q2は芳香族環の基を表す。
1が表す含窒素方向芳香族へテロ環の基は、好ましくは5〜7員の含窒素芳香族ヘテロ環の基であり、より好ましくは5ないし6員の含窒素芳香族ヘテロ環の基であり、例えば、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、セレナゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾセレナゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ナフトチアゾール、ナフトオキサゾール、アザベンズイミダゾール、プリン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、トリアザインデン、テトラザインデン等の基があげられ、更に好ましくは、5員の含窒素芳香族ヘテロ環の基であり、具体的にはイミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、チアジアゾール、オキサジアゾールの基が好ましく、特に好ましくは、ベンゾトリアゾールの基である。
1で表される含窒素芳香族ヘテロ環は更に置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。また、置換基が複数ある場合にはそれぞれが縮環して更に環を形成してもよい。
2が表す芳香族環の基は、芳香族炭化水素環及び芳香族ヘテロ環のいずれの基であってもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)更に好ましくはベンゼン環である。
芳香族ヘテロ環として好ましくは窒素原子あるいは硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
2は芳香族炭化水素環の基であるのが好ましく、ナフタレン環又はベンゼン環の基であるのがより好ましく、ベンゼン環の基であるのがさらに好ましい。Q2は更に置換基を有してもよく、後述の置換基Tが好ましい。
置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
前記一般式(101)で表される化合物の中でも、下記一般式(101−A)で表される化合物が好ましい。
Figure 2006201449
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
1およびR3として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキル基(好ましくは炭素数4〜12)である。
2およびR4として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
5およびR8として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
6およびR7として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子であり、特に好ましくは水素原子、塩素原子である。
一般式(101)で表される化合物の中でも、下記一般式(101−B)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2006201449
式中、R1、R3、R6およびR7は、前記一般式(101−A)中のそれらとそれぞれ同義であり、また好ましい範囲も同様である。
以下に一般式(101)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2006201449
Figure 2006201449
以上例にあげたベンゾトリアゾール系化合物の中でも、分子量が320以下のものを含まずに前記セルロースアシレートフィルムを作製した場合、保留性の点で有利であることが確認された。
また本発明に用いられる波長分散調整剤のひとつであるベンゾフェノン系化合物としては一般式(102)で表される化合物が好ましく用いられる。
Figure 2006201449
式中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に芳香族環の基を表す。XはNR(Rは水素原子または置換基を表す。)、酸素原子または硫黄原子を表す。
1およびQ2で表される芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
1およびQ2で表される芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)更に好ましくはベンゼン環である。
1およびQ2で表される芳香族ヘテロ環の基としては、好ましくは酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のいずれか一種の原子を少なくとも1つ含む芳香族ヘテロ環の基である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
1およびQ2で表されるあらわされる芳香族環の基として好ましくは芳香族炭化水素環の基であり、より好ましくは炭素数6〜10の芳香族炭化水素環の基であり、更に好ましくは置換または無置換のベンゼン環の基である。
1およびQ2は更に置換基を有してもよく、後述の置換基Tが好ましいが、置換基にカルボン酸やスルホン酸、4級アンモニウム塩を含むことはない。また、可能な場合には置換基同士が連結して環構造を形成してもよい。
XはNR(Rは水素原子または置換基を表す。置換基としては後述の置換基Tが適用できる。)、酸素原子または硫黄原子を表し、Xとして好ましくは、NR(Rとして好ましくはアシル基、スルホニル基であり、これらの置換基は更に置換してもよい。)、または0であり、特に好ましくは0である。
置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(102)で表される化合物の中でも、下記一般式(102−A)で表される化合物が好ましい。
Figure 2006201449
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
1、R3、R4、R5、R6、R8およびR9として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基またはハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基またはハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子または炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子またはメチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
2として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基またはハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基またはヒドロキシ基であり、更に好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルコキシ基である。
7として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基またはハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基またはヒドロキシ基であり、更に好ましくは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくはメチル基)であり、特に好ましくはメチル基または水素原子である。
前記一般式(102)で表される化合物の中でも、下記一般式(102−B)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2006201449
式中、R10は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表す。
10は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。
10として好ましくは置換もしくは無置換のアルキル基であり、より好ましくは炭素数5〜20の置換もしくは無置換のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数5〜12の置換もしくは無置換のアルキル基(n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n-ドデシル基、ベンジル基、などが挙げられる。)であり、特に好ましくは、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアルキル基(2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、ベンジル基)である。
前記一般式(102)であらわされる化合物は特開平11−12219号公報記載の公知の方法により合成できる。
以下に一般式(102)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2006201449
Figure 2006201449
Figure 2006201449
また、本発明に用いられる波長分散調整剤のひとつであるシアノ基等を含む化合物としては下記一般式(103)で表される化合物が好ましく用いられる。
Figure 2006201449
式中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に芳香族環の基を表す。X1およびX2は水素原子または置換基を表し、少なくともどちらか1つはシアノ基、カルボニル基、スルホニル基又は芳香族ヘテロ環の基を表す。
1およびQ2で表される芳香族環の基は、芳香族炭化水素環及び芳香族ヘテロ環の基のいずれであってもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)更に好ましくはベンゼン環である。
芳香族ヘテロ環として好ましくは窒素原子あるいは硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
1およびQ2で表される芳香族環の基としては、好ましくは芳香族炭化水素環の基であり、より好ましくはフェニル基である。
1およびQ2は更に置換基を有してもよく、後述の置換基Tが好ましい。置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
1およびX2は水素原子または置換基を表し、少なくともいずれか一方はシアノ基、カルボニル基、スルホニル基又は芳香族ヘテロ環の基を表す。X1およびX2で表される置換基は前述の置換基Tを適用することができる。また、X1およびX2はで表される置換基は更に他の置換基によって置換されてもよく、X1およびX2はそれぞれが縮環して環構造を形成してもよい。
1およびX2として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホニル基または芳香族ヘテロ環の基であり、より好ましくは、シアノ基、カルボニル基、スルホニル基または芳香族ヘテロ環の基であり、更に好ましくはシアノ基またはカルボニル基であり、特に好ましくはシアノ基またはアルコキシカルボニル基(−C(=O)OR(Rは:炭素数1〜20アルキル基、炭素数6〜12のアリール基およびこれらを組み合せたもの)である。
前記一般式(103)で表される化合物の中でも、下記一般式(103-A)で表される化合物が好ましい。
Figure 2006201449
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。X1およびX2は一般式(103)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
1、R2、R4、R5、R6、R7、R9、およびR10として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基またはハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基またはハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子または炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子またはメチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
3およびR8として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基またはハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基またはヒドロキシ基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基または炭素数1〜12アルコキシ基であり、特に好ましくは水素原子である。
前記一般式(103)で表される化合物の中でも、下記一般式(103-B)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2006201449
式中、R3およびR8は一般式(103-A)におけるそれらとそれぞれ同義であり、また、好ましい範囲も同様である。X3は水素原子、または置換基を表す。
3は水素原子または置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用でき、また、可能な場合は更に他の置換基で置換されてもよい。X3として好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホニル基または芳香族ヘテロ環の基であり、より好ましくは、シアノ基、カルボニル基、スルホニル基または芳香族ヘテロ環の基であり、更に好ましくはシアノ基またはカルボニル基であり、特に好ましくはシアノ基またはアルコキシカルボニル基(−C(=O)OR(Rは:炭素数1〜20アルキル基、炭素数6〜12のアリール基およびこれらを組み合せたもの)である。
前記一般式(103)で表される化合物の中でも、下記一般式(103-C)で表される化合物がさらに好ましい。
Figure 2006201449
式中、R3およびR8は一般式(103-A)におけるそれらと同義であり、また、好ましい範囲も同様である。R21は炭素数1〜20のアルキル基を表す。
21として好ましくは、R3およびR8が両方水素の場合には、炭素数2〜12のアルキル基であり、より好ましくは炭素数4〜12のアルキル基であり、更に好ましくは、炭素数6〜12のアルキル基であり、特に好ましくは、n−オクチル基、tert-オクチル基、2−エチルへキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基であり、最も好ましくは2−エチルへキシル基である。
21として好ましくはR3およびR8が水素以外の場合には、一般式(103-C)で表される化合物の分子量が300以上になり、かつ炭素数20以下の炭素数のアルキル基が好ましい。
本発明一般式(103)で表される化合物はJounal of American Chemical Society 63巻 3452頁(1941)記載の方法によって合成できる。
以下に一般式(103)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2006201449
Figure 2006201449
Figure 2006201449
[マット剤微粒子]
前記セルロースアシレートフィルムには、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上がさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
これらの微粒子は、通常平均粒子径が0.1〜3.0μmの2次粒子を形成し、これらの微粒子はフィルム中では、1次粒子の凝集体として存在し、フィルム表面に0.1〜3.0μmの凹凸を形成させる。2次平均粒子径は0.2μm以上1.5μm以下が好ましく、0.4μm以上1.2μm以下がさらに好ましく、0.6μm以上1.1μm以下が最も好ましい。1次、2次粒子径はフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒径とした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とした。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vが1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化珪素の微粒子であり、光学フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
本発明において2次平均粒子径の小さな粒子を有するセルロースアシレートフィルムを得るために、微粒子の分散液を調製する際にいくつかの手法が考えられる。例えば、溶剤と微粒子を撹拌混合した微粒子分散液をあらかじめ作成し、この微粒子分散液を別途用意した少量のセルロースアシレート溶液に加えて撹拌溶解し、さらにメインのセルロースアシレートドープ液と混合する方法がある。この方法は二酸化珪素微粒子の分散性がよく、二酸化珪素微粒子が更に再凝集しにくい点で好ましい調製方法である。ほかにも、溶剤に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解した後、これに微粒子を加えて分散機で分散を行いこれを微粒子添加液とし、この微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する方法もある。本発明はこれらの方法に限定されないが、二酸化珪素微粒子を溶剤などと混合して分散するときの二酸化珪素の濃度は5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%が更に好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度が高い方が添加量に対する液濁度は低くなり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。最終的なセルロースアシレートのドープ溶液中でのマット剤の添加量は1m2あたり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.3gが更に好ましく、0.08〜0.16gが最も好ましい。
使用される溶剤は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
[可塑剤、劣化防止剤、剥離剤]
上記の光学的に異方性を低下する化合物、波長分散調整剤の他に、前記セルロースアシレートフィルムには、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、可塑剤、紫外線防止剤、劣化防止剤、剥離剤、赤外吸収剤、など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に可塑剤の混合などであり、例えば特開2001−151901号公報などに記載されている。さらにまた、赤外吸収染料としては例えば特開2001−194522号公報に記載されている。またその添加する時期はドープ作製工程において何れで添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、セルロースアシレートフィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開2001−151902号公報などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。これらの詳細は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
[化合物添加の比率]
前記セルロースアシレートフィルムにおいては、分子量が3000以下の化合物の総量は、セルロースアシレート重量に対して5〜45%であることがのぞましい。より好ましくは10〜40%であり、さらにのぞましくは15〜30%である。これらの化合物としては上述したように、光学異方性を低下する化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、剥離剤、赤外吸収剤などであり、分子量としては3000以下がのぞましく、2000以下がよりのぞましく、1000以下がさらにのぞましい。これら化合物の総量が5%以下であると、セルロースアシレート単体の性質が出やすくなり、例えば、温度や湿度の変化に対して光学性能や物理的強度が変動しやすくなるなどの問題がある。またこれら化合物の総量が45%以上であると、セルロースアシレートフィルム中に化合物が相溶する限界を超え、フィルム表面に析出してフィルムが白濁する( フィルムからの泣き出し)などの問題が生じやすくなる。
[セルロースアシレート溶液の有機溶媒]
前記セルロースアシレートフィルムは、ソルベントキャスト法により製造することが好ましく、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いて製造するのが好ましい。主溶媒として好ましく用いられる有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、および炭素原子数が1〜7のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
前記セルロースアシレートフィルムの作製時には、塩素系のハロゲン化炭化水素を主溶媒としてもよいし、発明協会公開技報2001−1745(12頁〜16頁)に記載されているように、非塩素系溶媒を主溶媒としてもよく、特に限定されるものではない。
その他、前記セルロースアシレート溶液及びフィルムについての溶媒は、その溶解方法も含め以下の特許に開示されており、好ましい態様である。それらは、例えば、特開2000−95876号、特開平12−95877号、特開平10−324774号、特開平8−152514号、特開平10−330538号、特開平9−95538号、特開平9−95557号、特開平10−235664号、特開平12−63534号、特開平11−21379号、特開平10−182853号、特開平10−278056号、特開平10−279702号、特開平10−323853号、特開平10−237186号、特開平11−60807号、特開平11−152342号、特開平11−292988号、特開平11−60752号、特開平11−60752号などに記載されている。これらの特許によると本発明のセルロースアシレートに好ましい溶媒だけでなく、その溶液物性や共存させる共存物質についても記載があり、本発明においても好ましい態様である。
[セルロースアシレートフィルムの製造工程]
[溶解工程]
前記セルロースアシレート溶液(ドープ)の調製は、その溶解方法は特に限定されず、室温でもよくさらには冷却溶解法あるいは高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。前記セルロースアシレート溶液の調製、さらには溶解工程に伴う溶液濃縮、ろ過の各工程に関しては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて22頁〜25頁に詳細に記載されている製造工程が好ましく用いられる。
(ドープ溶液の透明度)
前記セルロースアシレート溶液のドープ透明度としては85%以上であることがのぞましい。より好ましくは88%以上であり、さらに好ましくは90%以上であることがのぞましい。本発明においてはセルロースアシレートドープ溶液に各種の添加剤が十分に溶解していることを確認した。具体的なドープ透明度の算出方法としては、ドープ溶液を1cm角のガラスセルに注入し、分光光度計(UV−3150、島津製作所)で550nmの吸光度を測定した。溶媒のみをあらかじめブランクとして測定しておき、ブランクの吸光度との比からセルロースアシレート溶液の透明度を算出した。
[流延、乾燥、巻き取り工程]
次に、セルロースアシレート溶液を用いたフィルムの製造方法について述べる。本発明において、前記セルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて得られたフィルムを乾燥装置のロール群で機械的に搬送し乾燥を終了して巻き取り機でロール状に所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらについては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて25頁〜30頁に詳細に記載されており、流延(共流延を含む),金属支持体,乾燥,剥離などに分類され、本発明において好ましく用いることができる。
また、本発明に用いるセルロースアシレートフィルムの厚さは10〜120μmが好ましく、20〜100μmがより好ましく、30〜90μmがさらに好ましい。
[高湿度処理後のフィルムの光学性能変化]
[セルロースアシレートフィルム物性評価]]
前記セルロースアシレートフィルムの環境変化による光学性能の変化については、60℃90%RHに240時間処理したフィルムのRe2およびRth2の変化量が15nm以下であることがのぞましい。よりのぞましくは12nm以下であり、10nm以下であることがさらにのぞましい。
[高温度処理後のフィルムの光学性能変化]
また、80℃240時間処理したフィルムのRe2およびRth2の変化量が15nm以下であることがのぞましい。よりのぞましくは12nm以下であり、10nm以下であることがさらにのぞましい。
[フィルム加熱処理後の化合物揮散量]
前記セルロースアシレートフィルムにのぞましく用いることができる、Rth2を低下させる化合物と、ΔRthを低下させる化合物は、80℃240時間処理したフィルムからの化合物の揮散量が30%以下であることがのぞましい。よりのぞましくは25%以下であり、20%以下であることがさらにのぞましい。なお、フィルムからの揮散量は、80℃240時間処理したフィルムおよび未処理のフィルムをそれぞれ溶媒に溶かし出し、液体高速クロマトグラフィーにて化合物を検出し、化合物のピーク面積をフィルム中に残存した化合物量として、下記式により算出した。
揮散量(%)={(未処理品中の残存化合物量)−(処理品中の残存化合物量)}/(未処理品中の残存化合物量)×100
[フィルムのガラス転移温度Tg]
前記セルロースアシレートフィルムのガラス転移温度Tgは、80〜165℃である。耐熱性の観点から、Tgが100〜160℃であることがより好ましく、110〜150℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度Tgの測定は、前記セルロースアシレートフィルム試料10mgを、常温から200度まで昇降温速度5℃/分で示差走査熱量計(DSC2910、T.A.インスツルメント)で熱量測定を行い、ガラス転移温度Tgを算出した。
[フィルムのヘイズ]
前記セルロースアシレートフィルムのヘイズは0.01〜2.0%であることがのぞましい。よりのぞましくは0.05〜1.5%であり、0.1〜1.0%であることがさらにのぞましい。光学フィルムとしてフィルムの透明性は重要である。ヘイズの測定は、前記セルロースアシレートフィルム試料40mm×80mmを、25℃,60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−6714に従って測定した。
[フィルムのRe2、Rth2の湿度依存性]
前記セルロースアシレートフィルムの面内のレターデーションRe2および膜厚方向のレターデーションRth2はともに湿度による変化が小さいことが好ましい。具体的には、25℃10%RHにおけるRth2値と25℃80%RHにおけるRth2値の差ΔRth(=Rth10%RH−Rth80%RH)が0〜50nmであることが好ましい。より好ましくは0〜40nmであり、さらに好ましくは0〜35nmである。
[フィルムの平衡含水率]
前記セルロースアシレートフィルムの平衡含水率は、偏光板の保護膜として用いる際、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーとの接着性を損なわないために、膜厚のいかんに関わらず、25℃80%RHにおける平衡含水率が、0〜4%であることが好ましい。0.1〜3.5%であることがより好ましく、1〜3%であることが特に好ましい。4%以上の平衡含水率であると、光学補償フィルムの支持体として用いる場合は、レターデーションの湿度変化による依存性が大きくなりすぎてしまい好ましくない。
含水率の測定法は、前記セルロースアシレートフィルム試料7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置(CA−03、VA−05、共に三菱化学(株))にてカールフィッシャー法で測定した。水分量(g)を試料重量(g)で除して算出した。
[フィルムの透湿度]
前記セルロースアシレートフィルムの透湿度は、JIS規格JISZ0208をもとに、温度60℃、湿度95%RHの条件において測定し、膜厚80μmに換算して400〜2000g/m2・24hであることがのぞましい。500〜1800g/m2・24hであることがより好ましく、600〜1600g/m2・24hであることが特に好ましい。2000g/m2・24hを越えると、フィルムのRe2値、Rth2値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまう。また、前記セルロースアシレートフィルムに光学異方性層を積層して光学補償フィルムとする場合も、Re2値、Rth2値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまい好ましくない。この光学補償シートや偏光板が液晶表示装置に組み込まれた場合、色味の変化や視野角の低下を引き起こす。また、セルロースアシレートフィルムの透湿度が400g/m2・24h未満では、偏光膜の両面などに貼り付けて偏光板を作製する場合に、セルロースアシレートフィルムにより接着剤の乾燥が妨げられ、接着不良を生じる。
セルロースアシレートフィルムの膜厚が厚ければ透湿度は小さくなり、膜厚が薄ければ透湿度は大きくなる。そこでどのような膜厚のサンプルでも基準を80μmに設け換算する必要がある。膜厚の換算は、(80μm換算の透湿度=実測の透湿度×実測の膜厚μm/80μm)として求めた。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、前記セルロースアシレートフィルム試料70mmφを25℃、90%RH及び60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、透湿試験装置(KK−709007、東洋精機(株))にて、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)し、透湿度=調湿後重量−調湿前重量で求めた。
[フィルムの寸度変化]
前記セルロースアシレートフィルムの寸度安定性は、60℃、90%RHの条件下に24時間静置した場合(高湿)の寸度変化率および90℃、5%RHの条件下に24時間静置した場合(高温)の寸度変化率がいずれも0.5%以下であることがのぞましい。よりのぞましくは0.3%以下であり、さらにのぞましくは0.15%以下である。
具体的な測定方法としては、セルロースアシレートフィルム試料30mm×120mmを2枚用意し、25℃、60%RHで24時間調湿し、自動ピンゲージ(新東科学(株))にて、両端に6mmφの穴を100mmの間隔で開け、パンチ間隔の原寸(L0)とした。1枚の試料を60℃、90%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L1)を測定、もう1枚の試料を90℃、5%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L2)を測定した。すべての間隔の測定において最小目盛り1/1000mmまで測定した。60℃、90%RH(高湿)の寸度変化率={|L0−L1|/L0}×100、90℃、5%RH(高温)の寸度変化率={|L0−L2|/L0}×100、として寸度変化率を求めた。
[フィルムの弾性率]
(弾性率)
前記セルロースアシレートフィルムの弾性率は、200〜500kgf/mm2であることが好ましい、より好ましくは240〜470kgf/mm2であり、さらに好ましくは270〜440kgf/mm2である。具体的な測定方法としては、東洋ボールドウィン製万能引っ張り試験機STM T50BPを用い、23℃・70%雰囲気中、引っ張り速度10%/分で0.5%伸びにおける応力を測定し、弾性率を求めた。
[フィルムの光弾性係数]
(光弾性係数)
前記セルロースアシレートフィルムの光弾性係数は、50×10-13cm2/dyne以下であることが好ましい。30×10-13cm2/dyne以下であることがより好ましく、20×10-13cm2/dyne以下であることがさらに好ましい。具体的な測定方法としては、セルロースアシレートフィルム試料12mm×120mmの長軸方向に対して引っ張り応力をかけ、その際のレターデーションをエリプソメーター(M150、日本分光(株))で測定し、応力に対するレターデーションの変化量から光弾性係数を算出した。
[延伸前後における正面レターデーション変化、遅相軸の検出]
試料100×100mmを用意し、固定一軸延伸機を用いて温度140℃の条件下で機械搬送方向(MD方向)または垂直方向(TD方向)に延伸を行った。延伸前後における各試料の正面レターデーションは自動複屈折計KOBRA21ADHを用いて測定した。遅相軸の検出は上記のレターデーション測定の際に得られる配向角から決定した。延伸によってRe2の変化が小さいことが好ましく、具体的にはRe2 (n)をn(%)延伸したフィルムの面内正面レターデーション(nm)、Re2 (0)を延伸していないフィルムの面内正面レターデーション(nm)としたときに、|Re2 (n)−Re2 (0)|/n≦1.0を有することが好ましく、|Re2 (n)−Re2 (0)|/n≦0.3以下がさらに好ましい。
[遅相軸を有する方向]
前記セルロースアシレートフィルムを偏光子の保護フィルムに用いる場合、偏光子が機械搬送方向(MD方向)に吸収軸を持つため、セルロースアシレートフィルムは遅相軸がMD方向近傍またはTD近傍にあることがのぞましい。遅相軸が偏光子と平行または直交させることにより光漏れや色味変化を低減できる。近傍とは、遅相軸とMDまたはTD方向が0〜10°、好ましくは0〜5°の範囲にあることを表す。
[固有複屈折が正であるセルロースアシレートフィルム]
前記セルロースアシレートフィルムは、フィルム面内において、遅相軸を有する方向に延伸すると正面レターデーションRe2が大きくなり、遅相軸を有する方向と垂直な方向に延伸すると正面レターデーションRe2が小さくなる。このことは固有複屈折が正であることを示しており、フィルム中で発現したRe2を打ち消すには遅相軸と垂直方向に延伸することが有効である。この方法としては例えば、フィルムが機械搬送方向(MD方向)に遅相軸を有している場合にMDとは垂直な方向(TD方向)にテンター延伸を用いて正面Reを小さくすることが考えられる。逆の例として、TD方向に遅相軸を有している場合にはMD方向の機械搬送ロールの張力を強めて延伸することによって正面Reを小さくすることが考えられる。
[固有複屈折が負であるセルロースアシレートフィルム]
前記セルロースアシレートフィルムは、遅相軸を有する方向に延伸すると正面レターデーションRe2が小さくなり、遅相軸を有する方向と垂直な方向に延伸すると正面レターデーションRe2が大きくなる場合もある。このことは固有複屈折が負であることを示しており、フィルム中で発現したRe2を打ち消すには遅相軸と同一の方向に延伸することが有効である。この方法としては例えば、フィルムが機械搬送方向(MD方向)に遅相軸を有している場合にMD方向の機械搬送ロールの張力を強めて延伸することによって正面Reを小さくすることが考えられる。逆の例として、TD方向に遅相軸を有している場合にはMDとは垂直な方向(TD方向)にテンター延伸を用いて正面Reを小さくすることが考えられる。
[セルロースアシレートフィルムの評価方法]
本発明において、セルロースアシレートフィルムの評価に当たって、以下の方法で測定して実施した。
(面内のレターデーションRe2、膜厚方向のレターデーションRth2
試料30mm×40mmを、25℃、60%RHで2時間調湿し、Re2 (λ)は自動複屈折計KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定した。また、Rth2 (λ)は前記Re2 (λ)と、面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向を0°としてサンプルを10°ごとに50°まで傾斜させて波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値を基に、平均屈折率の仮定値1.48および膜厚を入力し算出した。
(Re2、Rth2の波長分散測定)
試料30mm×40mmを、25℃、60%RHで2時間調湿し、エリプソメーターM−150(日本分光(株)製)において波長780nmから380nmの光をフィルム法線方向に入射させることにより各波長でのRe2をもとめ、Re2の波長分散を測定した。また、Rth2の波長分散については、前記Re2、面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から780〜380nmの波長の光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長780〜380nmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基に、平均屈折率の仮定値1.48および膜厚を入力して算出した。
(分子配向軸)
試料70mm×100mmを、25℃、65%RHで2時間調湿し、自動複屈折計(KOBRA21DH、王子計測(株))にて、垂直入射における入射角を変化させた時の位相差より分子配向軸を算出した。
(軸ズレ)
また、自動複屈折計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株))で軸ズレ角度を測定した。幅方向に全幅にわたって等間隔で20点測定し、絶対値の平均値を求めた。また、遅相軸角度(軸ズレ)のレンジとは、幅方向全域にわたって等間隔に20点測定し、軸ズレの絶対値の大きいほうから4点の平均と小さいほうから4点の平均の差をとったものである。
(透過率)
試料20mm×70mmを、25℃,60%RHで透明度測定器(AKA光電管比色計、KOTAKI製作所)で可視光(615nm)の透過率を測定した。
(分光特性)
試料13mm×40mmを、25℃,60%RHで分光光度計(U−3210、(株)日立製作所)にて、波長300〜450nmにおける透過率を測定した。傾斜幅は72%の波長−5%の波長で求めた。限界波長は、(傾斜幅/2)+5%の波長で表した。吸収端は、透過率0.4%の波長で表す。これより380nmおよび350nmの透過率を評価した。
[フィルム表面の性状]
本発明セルロースアシレートフィルムの表面は、JISB0601−1994に基づく該膜の表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.1μm以下、及び最大高さ(Ry)が0.5μm以下であることが好ましい。好ましくは、算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以下、及び最大高さ(Ry)が0.2μm以下である。膜表面の凹と凸の形状は、原子間力顕微鏡(AFM)により評価することが出来る。
[セルロースアシレートフィルムのレターデーションの面内ばらつき]
前記セルロースアシレートフィルムは次の式を満たすことがのぞましい。
|Re2 (MAX)−Re2 (MIN)|≦3かつ|Rth2 (MAX)−Rth2 (MIN)|≦5
[式中、Re2 (MAX)、Rth2 (MAX)−は任意に切り出した1m四方のフィルムの最大レターデーション値、Re2 (MIN)、Rth2 (MIN)は最小値である。]
[フィルムの保留性]
前記セルロースアシレートフィルムにおいては、フィルムに添加した各種化合物の保留性が要求される。具体的には、前記セルロースアシレートフィルムを80℃/90%RHの条件下に48時間静置した場合のフィルムの質量変化が、0〜5%であることが好ましい。より好ましくは0〜3%であり、さらに好ましくは0〜2%である。
〈保留性の評価方法〉
試料を10cm×10cmのサイズに断裁し、23℃、55%RHの雰囲気下で24時間放置後の質量を測定して、80±5℃、90±10%RHの条件下で48時間放置した。処理後の試料の表面を軽く拭き、23℃、55%RHで1日放置後の質量を測定して、以下の方法で保留性を計算した。
保留性(質量%)={(放置前の質量−放置後の質量)/放置前の質量}×100
[フィルムの力学特性]
(カール)
前記セルロースアシレートフィルムの幅方向のカール値は、−10/m〜+10/mであることが好ましい。前記セルロースアシレートフィルムには後述する表面処理、光学異方性層を塗設する際のラビング処理の実施や配向膜、光学異方性層の塗設や貼合などを長尺で行う際に、前記セルロースアシレートフィルムの幅方向のカール値が前述の範囲外では、フィルムのハンドリングに支障をきたし、フィルムの切断が起きることがある。また、フィルムのエッジや中央部などで、フィルムが搬送ロールと強く接触するために発塵しやすくなり、フィルム上への異物付着が多くなり、光学補償フィルムの点欠陥や塗布スジの頻度が許容値を超えることがある。又、カールを上述の範囲とすることで光学異方性層を設置するときに発生しやすい色斑故障を低減できるほか、偏光膜貼り合せ時に気泡が入ることを防ぐことができ、好ましい。
カール値は、アメリカ国家規格協会の規定する測定方法(ANSI/ASCPH1.29−1985)に従い測定することができる。
(引裂き強度)
JISK7128−2:1998の引裂き試験方法に基づく引裂き強度(エルメンドルフ引裂き法)が、前記セルロースアシレートフィルムの膜厚が20〜80μmの範囲において、2g以上が好ましい。より好ましくは、5〜25gであり、更には6〜25gである。又、60μm換算で8g以上が好ましく、より好ましくは8〜15gである。具体的には、試料片50mm×64mmを、25℃、65%RHの条件下に2時間調湿した後に軽荷重引裂き強度試験機を用いて測定できる。
[フィルムの残留溶剤量]
前記セルロースアシレートフィルムに対する残留溶剤量が、0.01〜1.5質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。より好ましくは0.01〜1.0質量%である。本発明に用いる透明支持体の残留溶剤量は1.5%以下とすることでカールを抑制できる。1.0%以下であることがより好ましい。これは、前述のソルベントキャスト方法による成膜時の残留溶剤量が少なくすることで自由堆積が小さくなることが主要な効果要因になるためと思われる。
[フィルムの吸湿膨張係数]
前記セルロースアシレートフィルムの吸湿膨張係数は30×10-5/%RH以下とすることが好ましい。吸湿膨張係数は、15×10-5/%RH以下とすることが好ましく、10×10-5/%RH以下であることがさらに好ましい。また、吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10-5/%RH以上の値である。吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。この吸湿膨張係数を調節することで、前記セルロースアシレートフィルムを光学補償フィルム支持体として用いた際、光学補償フィルムの光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇すなわち歪みによる光漏れを防止することができる。
[表面処理]
セルロースアシレートフィルムは、場合により表面処理を行うことによって、セルロースアシレートフィルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
[アルカリ鹸化処理によるフィルム表面の接触角]
前記セルロースアシレートフィルムを偏光板の透明保護フィルムとして用いる場合の表面処理の有効な手段の1つとしてアルカリ鹸化処理が上げられる。この場合、アルカリ鹸化処理後のフィルム表面の接触角が55°以下であることがのぞましい。よりのぞましくは50°以下であり、45°以下であることがさらにのぞましい。接触角の評価法はアルカリ鹸化処理後のフィルム表面に直径3mmの水滴を落とし、フィルム表面と水滴のなす角をもとめる通常の手法によって親疎水性の評価として用いることができる。
(耐光性)
本発明のセルロースアシレートの光耐久性の指標として、スーパーキセノン光を240時間照射したフィルムの色差ΔE*abが20以下であることがのぞましい。よりのぞましくは18以下であり、15以下であることがさらにのぞましい。色差の測定は、UV3100(島津製作所製)を用いた。測定の仕方は、フィルムを25℃60%RHに2時間以上調湿した後にキセノン光照射前のフィルムのカラー測定を行ない初期値(L0*、a0*、b0*)を求めた。その後、フィルム単体で、スーパーキセノンウェザーメーターSX−75(スガ試験機(株)製)にて、150W/m2、60℃50%RH条件にてキセノン光を240時間照射した。所定時間の経過後、フィルムを恒温槽から取り出し、25℃60%RHに2時間調湿した後に、再びカラー測定を行い、照射経時後の値(L1*、a1*、b1*)を求めた。これらから、色差ΔE*ab=((L0*−L1*2+(a0*−a1*2+(b0*−b1*20.5を求めた。
上述の光学特性を満足する前記セルロースアシレートフィルムは、本発明の液晶表示装置内に、単独の部材として組み込まれてもよいし、他の部材と一体化された部材として組み込まれてもよい。例えば、偏光膜の保護膜として用いて、偏光板の一部材として組み込まれてもよいし、また、光学補償フィルムが液晶性組成物からなる光学異方性層を含む場合は、該光学異方性層の支持体として用いて、光学補償フィルムの一部材として組み込まれてもよい。さらに、異なる光学特性のポリマーフィルムと積層して特定の光学特性を満足する光学補償フィルムとする場合も、光学補償フィルムを構成している一部材のポリマーフィルムとして組み込まれていてもよい。
また、前記セルロースアシレートフィルムは、各種の機能層を付与された状態で本発明の液晶表示装置内に組み込まれてもよい。例えば、帯電防止層、硬化樹脂層(透明ハードコート層)、反射防止層、易接着層、防眩層、光学補償層、配向層、液晶層などである。前記セルロースアシレートフィルムを用いることができるこれらの機能層及びその材料としては、界面活性剤、滑り剤、マット剤、帯電防止層、ハードコート層などが挙げられ、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて32頁〜45頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
上記した様に、前記光学特性を有するセルロースアシレートフィルムは、偏光膜の保護フィルムとして用いてもよい。かかる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られたセルロースアシレートフィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号、特開平6−118232号に記載されているような易接着加工を施してもよい。
保護フィルム処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
上記した様に、上記光学特性を有するセルロースアシレートフィルムは、光学補償フィルムの一部又は全部として用いてもよい。特に、液晶性組成物から形成された光学異方性層を含む光学補償フィルムでは、前記セルロースアシレートフィルムは、該光学異方性層の支持体として用いることができる。さらに、支持体としての機能とともに、偏光膜の保護フィルムとして機能させることもできる。なお、光学補償フィルムとは、一般に液晶表示装置に用いられ、位相差を補償する光学材料のことを指し、位相差板、光学補償シートなどと同義である。光学補償フィルムは複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。前記セルロースアシレートフィルムは、波長λにおけるRe2(λ)およびRth2(λ)が0≦Re2(630)≦10nmかつ|Rth2(630)|≦25nmと光学的異方性が小さく、|Re2(400)−Re2(700)|≦10かつ|Rth2(400)−Rth2(700)|≦35と波長分散が小さいため、余計な異方性を生じず、複屈折を持つ光学異方性層を併用すると光学異方性層の光学性能のみを発現することができる。
次に、図8を用いて、本発明をVAモードの液晶表示装置に適用した実施形態について説明する。
[液晶表示装置]
図8に示す液晶表示装置は、液晶セル(16〜18)を挟持して配置された上側偏光膜11と下側偏光膜101とを有し、上側偏光膜11と液晶セル(16〜18)の間に光学補償フィルム15が、上側偏光膜101と液晶セル(16〜18)の間に光学補償フィルム19が位置する。光学補償フィルム15又は光学補償フィルム19は、前述したように、構成によっては一方のみでもよい。偏光膜11および101は、それぞれ一対の透明保護フィルムによって保護されているが、図8中では液晶セルに近い側に配置される透明保護フィルム13および103のみを示し、液晶セルに遠い側に配置される透明保護フィルムについては省略する。透明保護フィルム13及び103は、上記式(IX)及び(X)を満足するセルロースアシレートフィルムからなる。
液晶セルは、上側基板16および下側基板18と、これらに挟持される液晶分子17から形成される液晶層からなる。基板16および18の液晶分子17に接触する表面(以下、「内面」という場合がある)には、配向膜(不図示)が形成されていて、電圧無印加状態もしくは低印加状態における液晶分子17の配向が垂直方向に制御されている。また、基板16および18の内面には、液晶分子17からなる液晶層に電圧を印加可能な透明電極(不図示)が形成されている。本発明では、液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dは、0.1〜1.0μmとするのが好ましい。さらに、Δn・dの最適値は0.2〜1.0μmとするのがより好ましく、0.2〜0.5μmとするのがさらに好ましい。これらの範囲では白表示輝度が高く、黒表示輝度が小さいことから、明るくコントラストの高い表示装置が得られる。用いる液晶材料については特に制限されないが、上下基板16および18間に電界が印加される態様では、電界方向に垂直に液晶分子17が応答するような、誘電率異方性が負の液晶材料を使用する。また電極を基板16および18のいずれか一方にのみ形成し、電界が基板面に平行の横方向に印加される場合は、液晶材料は正の誘電率異方性を有するものを使用することができる。
例えば、液晶セルをVAモードの液晶セルとする場合は、上下基板16および18間に、誘電異方性が負で、Δn=0.0813、Δε=−4.6程度のネマチック液晶材料などを用いることができる。液晶層の厚さdについては特に制限されないが、前記範囲の特性の液晶を用いる場合、3.5μm程度に設定することができる。厚さdと屈折率異方性Δnの積Δn・dの大きさにより白表示時の明るさが変化するので、最大の明るさを得るためには、Δn・dは0.2〜0.5μmの範囲になるように設定するのが好ましい。
なお、VAモードの液晶表示装置では、TNモードの液晶表示装置で一般的に使われているカイラル材の添加は、動的応答特性の劣化させるため用いることは少ないが、配向不良を低減するために添加されることもある。また、マルチドメイン構造とする場合には、各ドメイン間の境界領域の液晶分子の配向を調整するのに有利である。マルチドメイン構造とは、液晶表示装置の一画素を複数の領域に分割した構造をいう。例えば、VAモードにおいて、白表示時には液晶分子17が傾斜しているので、傾斜方向とその逆方向では、斜めから観察した時の液晶分子17の複屈折の大きさが異なり、輝度や色調に差が生じるが、マルチドメイン構造にすると、輝度や色調の視野角特性が改善されるので好ましい。具体的には、画素のそれぞれを液晶分子の初期配向状態が互いに異なる2以上(好ましくは4または8)の領域で構成して平均化することで、視野角に依存した輝度や色調の偏りを低減することができる。また、それぞれの画素を、電圧印加状態において液晶分子の配向方向が連続的に変化する互いに異なる2以上の領域から構成しても同様の効果が得られる。
一画素内で液晶分子7の配向方向が異なる領域を複数形成するには、例えば、電極にスリットを設けたり、突起を設け、電界方向を変えたり、電界密度に偏りを持たせる等の方法を利用することができる。全方向で均等な視野角を得るにはこの分割数を多くすればよいが、4分割あるいは8分割以上とすることで、ほぼ均等な視野角が得られる。特に8分割時は偏光板吸収軸を任意の角度に設定できるので好ましい。各ドメインの領域境界では、液晶分子7が応答し難い傾向がある。VAモード等のノーマリーブラックモードでは、黒表示が維持されるため、輝度低下が問題となる。そこで液晶材料にカイラル剤を添加してドメイン間の境界領域を小さくすることが可能である。一方、ノーマリーホワイトモードでは白表示状態が維持されるため、正面コントラストが低下する。そこで、その領域を覆うブラックマトリックスなどの遮光層を設けるとよい。
偏光膜11と偏光膜101の前記液晶層に近い側の保護フィルムの遅相軸13および103の遅相軸13aおよび103aは、互いに実質的に平行もしくは直交しているのが好ましい。透明保護フィルム13および103の遅相軸13aおよび103aが互いに直交していると、それぞれの保護フィルムの複屈折を互いに打ち消すことにより、液晶表示装置に垂直入射した光の光学特性が劣化するのを低減することができる。また、遅相軸13aおよび103aが互いに平行する態様では、液晶層に残留位相差がある場合には保護膜の複屈折でこの位相差を補償することができる。
偏光膜11および101の吸収軸12および102、保護フィルム13および103の遅相軸方向13aおよび103a、ならびに液晶分子17の配向方向については、各部材に用いられる材料、表示モード、部材の積層構造等に応じて最適な範囲に調整する。すなわち、偏光膜11および101の吸収軸12および偏光膜101の吸収軸102が、互いに実質的に直交しているように配置する。但し、本発明の液晶表示装置は、この構成に限定されるものではない。
偏光膜11及び偏光膜101と、液晶セルとの間配置された光学補償フィルム15及び19は、光学補償フィルムであり、前述した様に、例えば、複屈折性の高分子フィルムや、透明支持体と該透明支持体上に形成された液晶分子からなる光学異方性層の積層体などからなる。なお、光学補償フィルム15の面内遅相軸15aは、より近くに位置する偏光膜11の吸収軸12と実質的に直交するように配置するのが好ましい。同様に、光学補償フィルム19の面内の遅相軸19aが、より近くに位置する偏光膜101の吸収軸102と実質的に直交するように配置するのが好ましい。かかる関係で配置すると、光学補償フィルム15又は19が、法線方向からの入射光に対してレターデーションを生じさせて、光漏れを生じさせることがなく、且つ斜め方向からの入射光に対しては本発明の効果を充分に奏することができる。光学補償フィルム15と透明保護フィルム13、及び/又は光学補償フィルム19と透明保護フィルム103は、液晶層の特性とともに、レターデーションの和が上記式(I)〜(IV)を満足する様に組み合わせられ、液晶セル(6〜18)を光学補償している。透明保護フィルム13及び103は、上記式(IX)及び(X)を満足し、光学異方性及び波長分散性が低い部材なので、光学異方性層との組み合わせの設計が容易である。また、特にバックライト(図8中不図示)側の偏光板は、バックライトからの熱により高温に曝されるため、従来、偏光膜の保護フィルムが歪んで、光学特性が変化してしまい、そのために額縁状の光漏れが生じていた。図8の液晶表示装置では、光学異方性及び波長分散性の低いセルロースアシレートを透明保護フィルム13及び103として用いているので、かかる額縁状の光漏れを軽減することができる。
なお、透明保護フィルム13及び103のうち一方が、上記式(IX)及び(X)を満足するセルロースアシレートフィルムであれば、かかる効果を奏するがが、特に、バックライト側に配置される偏光板の透明保護フィルム(液晶セルにより近い側に配置される透明保護フィルム)がかかるセルロースアシレートフィルムからなるのが好ましい。
液晶セル基板16および18のそれぞれの透明電極(不図示)に駆動電圧を印加しない非駆動状態では、液晶層中の液晶分子17は、基板16および18の面に対して概略垂直に配向し、その結果、通過する光の偏光状態はほとんど変化しない。吸収軸12と102は直交しているので、下側(例えば背面電極)から入射した光は、偏光膜101によって偏光され、偏光状態を維持したまま液晶セル16〜18を通過し、偏光膜11によって遮断される。すなわち、図8の液晶表示装置では、非駆動状態において理想的な黒表示を実現する。これに対し、透明電極(不図示)に駆動電圧を印加した駆動状態では、液晶分子17は基板16および18の面に平行な方向に傾斜し、通過する光はかかる傾斜した液晶分子17により偏光状態を変化させる。従って、下側(例えば背面電極)から入射した光は、偏光膜101によって偏光され、さらに液晶セル16〜18を通過することによって偏光状態が変化し、偏光膜11を通過する。すなわち、電圧印加した駆動状態において白表示が得られる。
VAモードの特徴はコントラストが高いことである。しかし、従来のVAモードの液晶表示装置には、コントラストは正面では高いが、斜め方向では低下するという課題があった。黒表示時に、液晶分子17は基板16および18の面に垂直に配向しているので、正面から観察すると、液晶分子17の複屈折はほとんどないため透過率は低く、高コントラストが得られる。しかし、斜めから観察した場合は液晶分子17に複屈折が生じる。さらに上下の偏光膜11および101の吸収軸12および102の交差角が、正面では90°の直交であるが、斜めから見た場合は90°より大きくなる。従来、この2つの要因のために斜め方向では漏れ光が生じ、コントラストが低下するという問題があった。図8に示す構成の本発明の液晶表示装置では、液晶層7の光学特性との関係で、特定の条件を満たした光学特性を有する光学補償フィルム15及び19ならびにセルロースアシレートフィルムである透明保護フィルム13及び103を用いることによって、黒表示時の斜め方向における光漏れを軽減させ、コントラストを改善している。また、設計の容易化も可能としている。
図8には、偏光膜11及び101のそれぞれと液晶セルとの間の双方に、光学補償フィルム15及び19を配置した液晶表示装置を示したが、光学補償フィルムは一方のみであってもよい。かかる態様では、該光学補償フィルムは液晶層との組み合わせで、上記式(V)〜(VIII)を満足し、それによって液晶層を正確に光学補償する。また、本態様では、光学補償フィルムと液晶層又は偏光膜との間に、上記式(IX)及び(X)を満足するセルロースアシレートフィルムを配置することで、図8の構成と同様に、額縁状の光漏れを軽減することができる。さらに、設計を容易化することもできる。
本発明の液晶表示装置は、図8に示す構成に限定されず、他の部材を含んでいてもよい。例えば、液晶セルと偏光膜との間にカラーフィルターを配置してもよい。また、透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置することができる。
本発明の液晶表示装置には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。本発明は、TFTやMIMのような3端子または2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置に適用した態様が特に有効である。勿論、時分割駆動と呼ばれるSTN型に代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置に適用した態様も有効である。
以下、本発明の液晶表示装置に使用可能な偏光板について説明する。なお、前述した様に、前記所定の光学特性を有するセルロースアシレートフィルムを偏光膜の保護フィルムとして用いた偏光板を用いてもよく、下記の記載では、保護フィルムが前記セルロースアシレートフィルムである場合について特に言及しないが、下記の事項は、前記セルロースアシレートフィルムが偏光膜の保護フィルムである偏光板の作製する場合にも適用可能である。
[偏光板]
本発明では、偏光膜と該偏光膜を挟持する一対の保護膜とからなる偏光板を用いることができる。例えば、ポリビニルアルコールフィルム等からなる偏光膜をヨウ素にて染色し、延伸を行い、その両面を保護フィルムにて積層して得られる偏光板を用いることができる。該偏光板は液晶セルの外側に配置される。偏光膜と該偏光膜を挟持する一対の保護膜とからなる一対の偏光板を、液晶セルを挟持して配置するのが好ましい。
《保護膜》
本発明に使用可能な偏光板は、偏光膜の両面に一対の保護膜(保護フィルムともいう)を積層したものであってもよい。保護膜の種類は特に限定されず、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート等のセルロースエステル類、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル等を用いることができる。上記した様に、光学補償フィルムとしての光学特性を満足する高分子フィルムを用い、光学補償フィルムと保護膜の双方の機能を持たせることもできる。
保護膜は、通常、ロール形態で供給され、長尺の偏光膜に対して、長手方向が一致するようにして連続して貼り合わされることが好ましい。ここで、保護膜の配向軸(遅相軸)は何れの方向であってもよく、操作上の簡便性から、保護膜の配向軸は、長手方向に平行であることが好ましい。
偏光膜を挟持する保護膜は、膜面の平均屈折率が最大となる方向と実質的に一致する遅相軸を有するものを用いてもよい。即ち、少なくとも一方の保護膜は、それぞれ互いに直交するx、yおよびz軸方向に3つの平均屈折率nx、nyおよびnzを有し、面内の平均屈折率をnxおよびny、厚さ方向平均屈折率をnzとしたとき、nx、ny=nz、nx>nyの関係が成立するフィルム;nx=ny、nz、nx>nzが成立するフィルムなどからなる。前述した様に、保護膜に光学補償能を付与する場合は、可視光領域の波長450nmにおけるReとRthの比であるRe/Rth(450nm)が、波長550nmにおけるRe/Rth(550nm)の0.4〜0.95倍であり、且つ波長650nmにおけるRe/Rth(650nm)が、波長550nmにおけるRe/Rth(550nm)の1.05〜1.9倍であるのが好ましく、波長550nmにおける厚さ方向のレターデーションRthが、70nm〜400nmであることが好ましい。
一方、保護膜に光学補償フィルムとして機能させない態様では、透明保護膜のレターデーションは低いことが好ましく、偏光膜の吸収軸と透明保護膜の配向軸が平行でない態様では、特に透明保護膜のレターデーション値が一定値以上であると、偏光軸と透明保護膜の配向軸(遅相軸)が斜めにずれているため、直線偏光が楕円偏光に変化し、好ましくないとされている。従って、透明保護膜のレターデーションは、例えば632.8nmにおいて10nm以下が好ましく、5nm以下がさらに好ましい。レターデーションの低い高分子フィルムとしては、セルローストリアセテート、ゼオネックス、ゼオノア(共に日本ゼオン(株)製)、ARTON(JSR(株)製)のようなポリオレフィン類が好ましく用いられる。その他、例えば特開平8−110402号公報又は特開平11−293116号公報に記載されているような非複屈折性光学樹脂材料が挙げられる。本態様において、支持体と、該支持体上に液晶性化合物からなる光学異方性層とからなる積層体を、光補償層として利用する場合は、保護膜が光学異方性層の支持体を兼ねていてもよい。
保護膜と偏光膜とを貼り合す際には、少なくとも一方の保護膜(液晶表示装置に組み込まれる際に液晶セルに近い側に配置される保護膜)の遅相軸(配向軸)と、前記偏光膜の吸収軸(延伸軸)とが交差する様に、保護膜と偏光膜とを積層するのが好ましい。具体的には、偏光膜の吸収軸と前記保護膜の遅相軸との角度は、好ましくは10°〜90°、より好ましくは20°〜70゜、更に好ましくは40°〜50゜、特に好ましくは43〜47゜である。他方の保護膜の遅相軸と偏光膜の吸収軸の角度については、特に限定されず、偏光板の目的に応じて適宜設定できるが、上記範囲であるのが好ましく、一対の保護膜の遅相軸が一致しているのが好ましい。
なお、保護膜の遅相軸と偏光膜の吸収軸が互いに平行であると、偏光板の寸法変化やカール防止といった偏光板の機械的安定性を向上させることができる。偏光膜および一対の保護膜の合計3つのフィルムの少なくとも2つの軸、一方の保護膜の遅相軸と偏光膜吸収軸、あるいは2枚の保護フィルムの遅相軸などが実質的に平行であれば同じ効果が得られる。
《接着剤》
偏光膜と保護膜との接着剤は特に限定されないが、PVA系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等の変性PVAを含む)やホウ素化合物水溶液等が挙げられ、中でもPVA系樹脂が好ましい。接着剤層厚みは乾燥後に0.01〜10μmが好ましく、0.05〜5μmが特に好ましい。
《偏光膜と透明保護膜の一貫製造工程》
本発明に使用可能な偏光板は、偏光膜用フィルムを延伸後、収縮させ揮発分率を低下させる乾燥工程を有するが、乾燥後もしくは乾燥中に少なくとも片面に透明保護膜を貼り合わせた後、後加熱工程を有することが好ましい。前記透明保護膜が、光学補償フィルムとして機能する光学異方性層の支持体を兼ねている態様では、片面に透明保護膜、反対側に光学異方性層を有する透明支持体を貼り合わせた後、後加熱するのが好ましい。具体的な貼り付け方法として、フィルムの乾燥工程中、両端を保持した状態で接着剤を用いて偏光膜に透明保護膜を貼り付け、その後両端を耳きりする、もしくは乾燥後、両端保持部から偏光膜用フィルムを解除し、フィルム両端を耳きりした後、透明保護膜を貼り付けるなどの方法がある。耳きりの方法としては、刃物などのカッターで切る方法、レーザーを用いる方法など、一般的な技術を用いることができる。貼り合わせた後に、接着剤を乾燥させるため、および偏光性能を良化させるために、加熱することが好ましい。加熱の条件としては、接着剤により異なるが、水系の場合は、30℃以上が好ましく、さらに好ましくは40℃〜100℃、さらに好ましくは50℃〜90℃である。これらの工程は一貫のラインで製造されることが、性能上及び生産効率上更に好ましい。
《偏光板の性能》
本発明に関連する透明保護膜、偏光子、透明支持体からなる偏光板の光学的性質及び耐久性(短期、長期での保存性)は、市販のスーパーハイコントラスト品(例えば、株式会社サンリッツ社製HLC2−5618等)同等以上の性能を有することが好ましい。具体的には、可視光透過率が42.5%以上で、偏光度{(Tp−Tc)/(Tp+Tc)}1/2≧0.9995(但し、Tpは平行透過率、Tcは直交透過率)であり、60℃、湿度90%RH雰囲気下に500時間および80℃、ドライ雰囲気下に500時間放置した場合のその前後における光透過率の変化率が絶対値に基づいて3%以下、更には1%以下、偏光度の変化率は絶対値に基づいて1%以下、更には0.1%以下であることが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
[例1]
図8に示した構成と同様の構成の液晶表示装置を作製した。即ち、観察方向(上)から上側偏光板(保護膜(不図示)、偏光膜11、セルロースアシレートフィルム13)、光学補償フィルム15、液晶セル(上基板16、液晶層17、下基板18)、光学補償フィルム19、下偏光板(セルロースアシレートフィルム101、保護膜(不図示))を積層し、さらにバックライト光源(不図示)を配置した構成の液晶表示装置について、光学シミュレーションを実施し、効果の確認を行った。光学計算には、シンテック社製のLCD Master Ver6.08を用いた。液晶セルや電極、基板、偏光板等は、液晶ディスプレイ用に従来から用いられている材料の値をそのまま使用した。液晶材料には負の誘電率異方性を有する液晶材料でΔε=−4.2を用いた。液晶セルの配向はプレチルト角89.9度でほぼ垂直配向とし、基板のセルギャップを3.6ミクロンとし、液晶のレターデーション(即ち、記液晶層の厚さd(ミクロン)と屈折率異方性Δnとの積Δn・d)は、波長450nmで318nm、波長550nmで300nm、波長650nmで295nmとした。光学補償フィルム15+セルロースアシレートフィルム13及び光学補償フィルム19+セルロースアシレートフィルム101の各波長におけるRe及びRthの値は、表1にそれぞれ示した値に設定した。また、セルロースアシレートフィルムについては、波長によらずにRth2は3nm及びRe2は1nmとした。光源にはLCD Masterに付属のC光源を用いた。
なお、図8の構成の液晶表示装置では、バックライトと観測者との関係が上下入れ替わっても全く同様の結果が得られる。
また、比較例として、光学補償フィルム15+セルロースアシレートフィルム13及び光学補償フィルム19+セルロースアシレートフィルム101として、Resum及びRthsumの値が、波長によらず一定とした以外は、上記と全く同様の構成の液晶表示装置についても同様に光学シミュレーションを実施した。なお、従来の光学補償技術は、Re及びRthの波長分散を考慮していないので、この比較例は、従来技術と見なすことができる。
<液晶表示装置の漏れ光の測定>
上記値を用いて光学シミュレーションし、漏れ光を算出した結果を表1に示す。表1中、液晶表示装置No.1は、上記比較例のシミュレーション結果であり、液晶表示装置No.2〜6は実施例のシミュレーション結果である。
Figure 2006201449
表1に示した結果から、波長450nmにおいて液晶のΔnd/λ=0.707のとき光学補償フィルム+セルロースアシレートフィルムのResum/λが0.056〜0.113であり、且つRthsum/λが0.291〜0.329であり、波長650nmにおいて液晶のΔnd/λ=0.454のとき光学補償フィルム+セルロースアシレートフィルムのResum/λが0.089〜0.129であり、且つRthsum/λが0.165〜0.189である、本発明の実施例の液晶表紙装置No.2〜No.6は、比較例である液晶表示装置No.1と比較していずれも、極角60°における黒表示時の透過率が小さいことがわかる。表1の結果から、波長450nmにおいてResum/λ=0.073、Rthsum/λ=0.311、波長550nmにおいてResum/λ=0.095、Rthsum/λ=0.233、波長650nmにおいてResum/λ=0.108、Rthsum/λ=0.177、のとき、透過率が最小になることが理解できる。
表1に示したシミュレーション結果から、上記式(I)〜(IV)を満足する液晶表示装置No.2〜6は、満足していない液晶表示装置No.1と比較して、いずれも極角60°における黒表示時の透過率が小さいことがわかる。
[例2]
液晶層のレターデーションの値を、波長450nmで371nm、波長550nmで350nm、波長650nmで344nmに変更した以外は、例2と同様の条件で液晶表示装置の光学特性をLCD Masterにより計算して求めた。なお、光学補償フィルム15+セルロースアシレートフィルム13及び光学補償フィルム19+セルロースアシレートフィルム101のResum及びRthsumは、表2に示す通りである。
また、比較例として、光学補償フィルム15+セルロースアシレートフィルム13及び光学補償フィルム19+セルロースアシレートフィルム101のResum及びRthsumの値が、波長によらず一定とした以外は、上記と全く同様の構成の液晶表示装置についても同様に光学シミュレーションを実施した。なお、従来の光学補償技術は、Re及びRthの波長分散を考慮していないので、この比較例は、従来技術と見なすことができる。
<液晶表示装置の漏れ光の測定>
上記値を用いて光学シミュレーションし、漏れ光を算出した結果を表2に示す。表2中、液晶表示装置No.7は、上記比較例のシミュレーション結果であり、液晶表示装置No.8〜12は実施例のシミュレーション結果である。
Figure 2006201449
表2に示した結果から、波長450nmにおいて液晶のΔnd/λ=0.824のとき光学補償フィルム+セルロースアシレートフィルムのResum/λが0.044〜0.089であり、且つRthsum/λが0.355〜0.405であり、波長650nmにおいて液晶のΔnd/λ=0.529のとき光学補償フィルム+セルロースアシレートフィルムのResum/λが0.078〜0.115であり且つRthsum/λが0.216〜0.233である、本発明の実施例の液晶表紙装置No.8〜No.12は、比較例である液晶表示装置No.7と比較していずれも、極角60°における黒表示時の透過率が小さいことがわかる。表2に示した結果から、波長450nmにおいてResum/λ=0.067、Rthsum/λ=0.38、波長550nmにおいてResum/λ=0.082、Rthsum/λ=0.28、波長650nmにおいてResum/λ=0.097、Rthsum/λ=0.225、のとき、透過率が最小になることが理解できる。
表2に示したシミュレーション結果から、上記式(I)〜(IV)を満足する液晶表示装置No.8〜12は、満足していない液晶表示装置No.7と比較して、いずれも極角60°における黒表示時の透過率が小さいことがわかる。
[例3]
図8に示す構成の液晶表示装置の光学特性をLCD Masterにより計算して求めた。ただし、例3では、光学フィルム15は使用しなかった。すなわち、観察方向(上)から上側偏光板(保護膜(不図示)、セルロースアシレートフィルム11、保護膜13)、液晶セル(上基板16、液晶層17、下基板18)、光学補償フィルム19(保護膜103を兼ねている)、下偏光板(、偏光膜101、保護膜(不図示))を積層し、さらにバックライト光源(不図示)を配置した。なお、光学補償フィルム19のRe及びRthは、表3に示す通りである。また、上側偏光板のセルロースアシレートフィルムは波長によらずRth2は3nm、Re2は1nmとした。なお、例3では光学補償フィルムはバックライト側にあるが、バックライトと観測者との関係を入れ替えても全く同様の結果が得られる。その他は例1と同様の条件である。
また、比較例として、光学補償フィルム19+セルロースアシレートフィルム11のRe及びRthの値が、波長によらず一定とした以外は、上記と全く同様の構成の液晶表示装置についても同様に光学シミュレーションを実施した。なお、従来の光学補償技術は、Re及びRthの波長分散を考慮していないので、この比較例は、従来技術と見なすことができる。
<液晶表示装置の漏れ光の測定>
上記値を用いて光学シミュレーションし、漏れ光を算出した結果を表3に示す。表3中、液晶表示装置No.13は、上記比較例のシミュレーション結果であり、液晶表示装置No.14〜18は実施例のシミュレーション結果である。
Figure 2006201449
表3に示した結果から、波長450nmにおいて液晶のΔnd/λ=0.707のとき光学補償フィルム+セルロースアシレートフィルムのResum/λが0.082〜0.133であり、且つRthsum/λが0.513〜0.531であり、波長650nmにおいて液晶のΔnd/λ=0.454のとき光学補償フィルム+セルロースアシレートフィルムのResum/λが0.123〜0.163であり、且つRthsum/λが0.332〜0.357である、本発明の実施例の液晶表紙装置No.14〜No.18は、比較例である液晶表示装置No.13と比較していずれも、極角60°における黒表示時の透過率が小さいことがわかる。表3の結果から、波長450nmにおいてResum/λ=0.107、Rthsum/λ=0.54、波長550nmにおいてResum/λ=0.125、Rthsum/λ=0.424、波長650nmにおいてResum/λ=0.146、Rthsum/λ=0.351、のとき、透過率が最小になることが理解できる。
表3に示したシミュレーション結果から、上記式(V)〜(VIII)を満足する液晶表示装置No.14〜18は、満足していない液晶表示装置No.13と比較して、いずれも極角60°における黒表示時の透過率が小さいことがわかる。
[例4]
液晶層のレターデーションの値を、波長450nmで371nm、波長550nmで350nm、波長650nmで344nmに変更した以外は、例3と同様の条件で液晶表示装置の光学特性をLCD Masterにより計算して求めた。なお、光学補償フィルム19+セルロースアシレートフィルム11のResum及びRthsumは、表4に示す通りである。
また、比較例として、光学補償フィルム19+セルロースアシレートフィルム11のResum及びRthsumの値が、波長によらず一定とした以外は、上記と全く同様の構成の液晶表示装置についても同様に光学シミュレーションを実施した。なお、従来の光学補償技術は、Re及びRthの波長分散を考慮していないので、この比較例は、従来技術と見なすことができる。
<液晶表示装置の漏れ光の測定>
上記値を用いて光学シミュレーションし、漏れ光を算出した結果を表4に示す。表4中、液晶表示装置No.19は、上記比較例のシミュレーション結果であり、液晶表示装置No.20〜24は実施例のシミュレーション結果である。
Figure 2006201449
表4に示した結果から、波長450nmにおいて液晶のΔnd/λ=0.824のとき光学補償フィルム+セルロースアシレートフィルムのResum/λが0.059〜0.115であり、且つRthsum/λが0.634〜0.69であり、波長650nmにおいて液晶のΔnd/λ=0.529のとき光学補償フィルム+セルロースアシレートフィルムのResum/λが0.099〜0.141であり、且つRthsum/λが0.416〜0.427である、本発明の実施例の液晶表紙装置No.20〜No.24は、比較例である液晶表示装置No.19と比較していずれも、極角60°における黒表示時の透過率が小さいことがわかる。表4の結果から、波長450nmにおいてResum/λ=0.087、Rthsum/λ=0.662、波長550nmにおいてResum/λ=0.105、Rthsum/λ=0.507、波長650nmにおいてResum/λ=0.12、Rthsum/λ=0.422、のとき、透過率が最小になることが理解できる。
表4に示したシミュレーション結果から、上記式(V)〜(VIII)を満足する液晶表示装置No.20〜24は、満足していない液晶表示装置No.19と比較して、いずれも極角60°における黒表示時の透過率が小さいことがわかる。
従来のVAモードの液晶表示装置の構成例を説明する概略模式図である。 従来のVAモードの液晶表示装置の構成例を説明する概略模式図である。 本発明の液晶表示装置の一態様の構成例を説明する概略模式図である。 本発明の液晶表示装置の他の態様の構成例を説明する概略模式図である。 本発明に用いられる光学補償フィルムの一例についての光学特性を示すグラフである。 本発明の液晶表示装置の一例における入射光の偏光状態の変化を説明するために用いたポアンカレ球の概略図である。 本発明の液晶表示装置の他の例における入射光の偏光状態の変化を説明するために用いたポアンカレ球の概略図である。 本発明の液晶表示装置の一例を示す概略模式図である。
符号の説明
1 偏光板
2 偏光板
3 液晶セル
4,5,6 光学補償フィルム
11、101 偏光膜
12、102 吸収軸
13、103 保護膜(セルロースアシレートフィルム)
13a、103a 面内遅相軸
15、19 光学補償フィルム
15a、19a 面内遅相軸
16、18 基板
17 液晶性分子

Claims (9)

  1. 少なくとも一方に電極を有する対向配置された一対の基板と、該一対の基板間に挟持され、ネマチック液晶材料を含み、黒表示時に該ネマチック液晶材料の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して略垂直に配向する液晶層とを有する液晶セル、該液晶セルを挟持して配置された第一及び第二の偏光膜、及び前記液晶層と第一及び第二の偏光膜との間に、光学補償フィルムをそれぞれ有し、
    前記光学補償フィルムと、前記偏光膜または前記液晶層との少なくとも片方の間に、セルロースアシレートフィルムが配置され、
    前記液晶層の厚さをd(単位:nm)、波長λ(単位:nm)における屈折率異方性をΔn(λ)とし、前記光学補償フィルムおよび前記セルロースアシレートフィルムの波長λにおける面内のレターデーションの和をResum(λ)、波長λにおける厚さ方向のレターデーションの和をRthsum(λ)とした場合、波長380nm〜780nmの間の少なくとも2つの異なる波長において、下記式(I)〜(IV)を満足し、
    (I)200≦Δn(λ)×d≦1000、
    (II)Rthsum(λ)/λ=A×Δn(λ)×d/λ+B、
    (III)Resum(λ)/λ=C×λ/{Δn(λ)×d}+D
    (IV)0.488≦A≦0.56、
    かつ B=−0.0567、
    かつ −0.041≦C≦0.016、
    かつ D=0.0939。
    前記セルロースアシレートフィルムの波長λ(単位:nm)における面内のレターデーションをRe2(λ)、波長λ(単位:nm)における厚さ方向のレターデーションをRth2(λ)とした場合、下記式(IX)および(X)を満たす液晶表示装置;
    (IX)0≦Re2(630)≦10かつ|Rth2(630)|≦25
    (X)|Re2(400)−Re2(700)|≦10かつ|Rth2(400)−Rth2(700)|≦35
  2. 前記光学補償フィルムの面内の遅相軸と、前記第一及び第二の偏光膜のうち前記光学補償フィルムのより近くに位置する偏光膜の透過軸とが、実質的に平行である請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 50nm以上の差がある少なくとも2つの波長において、前記式(I)〜(IV)を満足する請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
  4. 450nm、550nm及び650nmのすべての波長において、前記式(I)〜(IV)を満足する請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  5. 少なくとも一方に電極を有する対向配置された一対の基板と、該一対の基板間に挟持され、ネマチック液晶材料を含み、黒表示時に該ネマチック液晶材料の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して略垂直に配向する液晶層とを有する液晶セル、該液晶セルを挟持して配置された第一及び第二の偏光膜、前記液晶層と第一及び第二の偏光膜の一方との間に、光学補償フィルム、及び前記液晶層と第一及び第二の偏光膜の少なくとも一方の間に、セルロースアシレートフィルムを有し
    前記液晶層の厚さをd(単位:nm)、波長λ(単位:nm)における屈折率異方性をΔn(λ)とし、前記光学補償フィルムおよび前記セルロースアシレートフィルムの波長λにおける面内のレターデーションの和をResum(λ)、波長λにおける厚さ方向のレターデーションの和をRthsum(λ)とした場合、波長380nm〜780nmの間の少なくとも2つの異なる波長において、下記式(V)〜(VIII)を満足し、
    (V)200≦Δn(λ)×d≦1000、
    (VI)Rthsum(λ)/λ=E×Δn(λ)×d/λ、
    (VII)Resum(λ)/λ=F×λ/{Δn(λ)×d}+G、
    (VIII)0.726≦E≦0.958、
    かつ 0.0207≦F≦0.0716、
    かつ G=0.032
    前記セルロースアシレートフィルムの波長λ(単位:nm)における面内のレターデーションをRe2(λ)、波長λ(単位:nm)における厚さ方向のレターデーションをRth2(λ)としたとき、下記式(IX)および(X)を満たす液晶表示装置;
    (IX)0≦Re2(630)≦10かつ|Rth2(630)|≦25
    (X)|Re2(400)−Re2(700)|≦10かつ|Rth2(400)−Rth2(700)|≦35。
  6. 前記光学補償フィルムの面内の遅相軸と、前記第一及び第二の偏光膜のうち前記光学補償フィルムのより近くに位置する偏光膜の透過軸とが、実質的に平行である請求項5に記載の液晶表示装置。
  7. 前記セルロースアシレートフィルムの面内の遅相軸と、前記第一及び第二の偏光膜のうち前記セルロースアシレートフィルムのより近くに位置する偏光膜の透過軸とがなす角度が、−10度以上10度以下である、または80度以上110以下である、請求項5又は6に記載の液晶表示装置。
  8. 50nm以上の差がある少なくとも2つの波長において、前記式(V)〜(VIII)を満足する請求項5〜7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  9. 450nm、550nm及び650nmのすべての波長において、前記式(V)〜(VIII)を満足する請求項5〜8のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
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