JP4737993B2 - ベンド配向モードの液晶表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は液晶表示装置に有用なセルロースアシレートフィルム、および光学補償フィルム、偏光板などの光学材料を使用したベンド配向モード液晶表示装置に関するものである。
液晶表示装置は、液晶セル及び偏光板を有する。前記偏光板は、一般的にセルロースアセテートからなる保護フィルム及び偏光膜を有し、例えば、ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光膜をヨウ素にて染色し、延伸を行い、その両面を保護フィルムにて積層して得られる。透過型液晶表示装置では、偏光板を液晶セルの両側に取り付け、さらには一枚以上の光学補償フィルムを配置することもある。反射型液晶表示装置では、通常、反射板、液晶セル、一枚以上の光学補償フィルム、偏光板の順に配置する。液晶セルは、液晶性分子、それを封入するための二枚の基板及び液晶性分子に電圧を加えるための電極層からなる。液晶セルは、液晶性分子の配向状態の違いで、ON、OFF表示を行い、透過及び反射型いずれにも適用できる、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)のような表示モードが提案されている。
この様なLCDの中でも、高い表示品位が必要な用途については、正の誘電率異方性を有するネマチック液晶分子を用い、薄膜トタンジスタにより駆動する90度ねじれネマチック型液晶表示装置(以下、TNモードという)が主に用いられている。しかしながら、TNモードは正面から見た場合には優れた表示特性を有するものの、斜め方向から見た場合にコントラストが低下し、階調表示で明るさが逆転する階調反転等が起こることにより表示特性が悪くなるという視野角特性を有しており、この改良が強く要望されている。さらに、TNモードでは応答速度に限界があり、より高速で応答できる液晶モードを用いたLCDの開発が望まれている。
従来、TN方式の液晶表示装置用に光学補償フィルムが開発されていたが、近年、液晶テレビの需要が増加するにつれ、動画に尾引き、残像現象が生じるなど、応答速度に問題があることが指摘されつつある。そこで、応答速度の速さに特長を持つOCBモード(あるいはベンドモード)に注目が集まっている。しかし、OCBモードで広い視角特性を得るのは難しく、光学補償フィルムを使う必要がある。例えば特許文献1及び2に記載の発明では、OCB方式の液晶表示装置に、液晶性化合物からなる層を有する光学補償フィルムを適用している。
光学補償フィルムは、偏光板の一方の透明保護膜にその機能を盛り込み、液晶表示装置を厚くすることなく、表示品位を改善する(例えば、正面コントラストを高くする)ことが提案されてきている(例えば、特許文献1参照)。
光学補償シートは、熱により歪み、位相差が発生しやすく、耐久性に問題がある。発生した位相差により液晶表示装置に額縁状の光漏れ(透過率の上昇)が生じると、液晶表示装置の表示品位は低下する。歪みによる位相差発生の問題を解決するため、透明支持体上にディスコティック(円盤状)化合物からなる光学異方性層を塗設した光学補償シートを、偏光板の保護フィルムとして用いることが提案されている(例えば、特許文献2および3参照)。しかし、近年では、液晶表示装置が大型化しており、従来の技術では解決済みであったはずの問題が、再び顕在化するようになっている。例えば、従来の光学補償シートを保護フィルムに用いた偏光板を、17インチ以上の大型パネルからなる液晶表示装置に装着したところ、熱歪みによる光漏れが再び認められるようになった。
この光漏れは、光学補償シートの透明支持体の厚みを薄くすることで解決できることが報告されている(例えば、特許文献4参照)。
最近では、液晶表示装置がさらに大型化している。30インチ以上の大型パネルからなる液晶表示装置では、従来の技術では全く検討されていなかった問題が認められるようになっている。また、熱歪みによる光漏れが再び認められるようになっている。熱歪みにより生じる問題を解決するため、光学補償フィルム付き偏光板は、液晶セルを光学的に補償する機能のみでなく、使用環境の変化に対する耐久性にも優れていることが要求される。
特開平9−211444号公報 特開平11−316378号公報 特開平1−68940号公報 特開平7−191217号公報 欧州特許出願公開第0911656A2号明細書 特開2002−169023号公報
本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであって、簡易な構成で、正面の表示品位のみならず、視野角が改善されたOCB用液晶表示装置を提供することを課題とする。また、本発明は、温湿度によって変化する光学補償フィルムのレターデーション変動による表示ムラが軽減されたOCB用液晶表示装置を提供することを課題とする。
本発明の発明者らは、鋭意検討した結果、液晶表示装置の大サイズ化に伴う、光漏れは、周辺の環境変化(温度、湿度)による偏光膜の寸度変化が光学補償フィルムに応力歪を生じさせ、その応力歪による光弾性が原因であることを突き止めた。すなわち、偏光子の寸度変化による応力歪を受けても光弾性が生じない(小さい)ような光学補償フィルムであればよい。しかるに、そのような光学補償フィルムの作製は困難であった。
本発明の発明者は、鋭意研究の末、光学的異方性を十分に低下させ、ReがゼロかつRthがゼロであるフィルムを偏光膜に直接貼り付け、その上に光学補償層を配置することで大サイズで生じる光漏れが大幅に改善出来ることを見出した。この理由は、光学異方性を低下させたフィルムが偏光子の寸度変化による応力の緩衝層となり、光学補償フィルム(層)での応力歪が減少したものと推定している。また、光学異方性を低下させたフィルム自身も、応力歪による光漏れは生じ難いため、トータルとして光漏れが改善されたと推定している。
さらに、偏光膜に直接、張り合わせることが出来るセルロースアシレートの光学異方性を十分に低下させることで従来の生産プロセスを変更せずに、本発明の目的を実現するに至った。
上記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] ベンド配向モードの液晶セルおよび液晶セルの両側に配置された一対の第1及び第2偏光膜を有する液晶表示装置であって、少なくとも前記第1偏光膜と前記液晶セルとの間に少なくとも第1及び第2光学異方層を有し、
前記第1光学異方層が、含水率が1.0%以内のポリマーを含有し、且つ面内の最大屈折率方向と前記第1偏光膜の面内透過軸とが実質的に平行または実質的に垂直となり、
前記第2光学異方層が、ハイブリット配向した円盤状化合物を含有し、前記第2光学異方層の円盤状化合物の分子対称軸を面内に正射影した方向と前記第1偏光膜の面内の透過軸との角度が実質的に45゜となるように偏光膜、第1光学異方層および第2光学異方層がこの順に配置され、
前記第1光学異方層が、前記第1偏光膜に直接もしくは下記式(I)および(II)を満足するセルロースアシレートフィルムを介して貼り合せられており、
さらに、前記液晶セル、前記第1光学異方層および第2光学異方層が、波長450nm、波長550nmおよび波長630nmのいずれの測定においても、下記式(III)を満足する光学特性を有する液晶表示装置:
(I)0≦Re(630)≦10かつ|Rth(630)|≦25
(II)|Re(400)−Re(700)|≦10かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35
(III)0.05<(Δn×d)/(Re1(λ)×Rth2(λ))<0.20
[式中、Δnは液晶セル中の液晶性分子の固有複屈折率であり;dはnmを単位とする液晶セルの液晶層の厚さであり;Re(λ)は波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)であり;Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)であり;Re1(λ)は第1光学異方層の波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)であり;Rth2(λ)は第2光学異方層の厚み方向のレターデーション値である]。
[2] 前記第1光学異方層が液晶性化合物の配向状態を固定化した層である[1]の液晶表示装置。
[3] 前記第1光学異方層が非液晶性化合物からなる層である[1]の液晶表示装置。
[4] 前記第1光学異方層が非液晶性化合物からなる層であり、シクロオレフィン、ポリエーテルケトン、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド及びポリエステルイミドの少なくとも1種を含有する[3]の液晶表示装置。
[6] 前記セルロースアシレートフィルムのRe(λ)およびRth(λ)が、下記式(V)かつ(VI)を満足する[1]〜[5]のいずれかの液晶表示装置:
(V)0≦Re(630)≦5かつ|Rth(630)|≦20
(VI)|Re(400)−Re(700)|≦5かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦25。
[7] 前記セルロースアシレートフィルムが、フィルム膜厚方向のレターデーションRthを低下させる化合物を、下記式(VII)、(VIII)を満足する範囲で少なくとも一種含有する[1]〜[6]のいずれかの液晶表示装置:
(VII)(Rth(A)−Rth(0))/A≦−1.0
(VIII)0.01≦A≦30
[Rth(A)はRthを低下させる化合物をA%含有したフィルムのRth(nm)、Rth(0)はRthを低下させる化合物を含有しないフィルムのRth(nm)、Aはフィルム原料ポリマーの重量を100としたときの化合物の重量(%)である]。
[8] 前記セルロースアシレートフィルムが、アシル置換度が2.85〜3.00のセルロースアシレートフィルムであり、Re(λ)およびRth(λ)を低下させる化合物を少なくとも1種、前記セルロースアシレート固形分に対して0.01〜30重量%含む[1]〜[8]の液晶表示装置。
[9] 前記セルロースアシレートフィルムが、アシル置換基が実質的にアセチル基のみからなり、その全置換度が2.85〜2.95であり、その平均重合度が180〜550であるセルロースアシレートフィルムである[1]〜[8]のいずれかの液晶表示装置。
[10] 前記セルロースアシレートフィルムが、アシル置換基が実質的にアセチル基/プロピオニル基/ブタノイル基の少なくとも2種類からなり、その全置換度が2.50〜3.00であり、Re(λ)およびRth(λ)を低下させる化合物を少なくとも1種、セルロースアシレート固形分に対して0.01〜30重量%含むセルロースアシレートフィルムである[1]〜[9]のいずれかの液晶表示装置。
[11] 前記セルロースアシレートフィルムが、Re(λ)およびRth(λ)を低下させ、オクタノール−水分配係数(LogP値)が、0〜7である化合物を少なくとも1種を、セルロースアシレート固形分に対して0.01〜30重量%含む[1]〜[10]のいずれかの液晶表示装置。
[12] 前記セルロースアシレートフィルムが、Re(λ)およびRth(λ)を低下させ、オクタノール−水分配係数(LogP値)が、0〜7であり、一般式(13)、(18)及び(19)のいずれかで表される化合物を少なくとも1種、セルロースアシレート固形分に対して0.01〜30重量%含む[1]〜[11]のいずれかの液晶表示装置。
Figure 0004737993
[式中、R1はアルキル基またはアリール基を表し、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。R1、R2およびR3の炭素原子数の総和は10以上であり、各々、アルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよい。]
Figure 0004737993
[式中、R1はアルキル基またはアリール基を表し、R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。また、アルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよい。]
Figure 0004737993
[式中、R4、R5およびR6はそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表す。]
[13] 前記セルロースアシレートフィルムが、下記式(IX)で表されるΔRthを低下させる化合物を、下記式(X)及び(XI)を満足する範囲で少なくとも一種含有する[1]〜[12]のいずれかの液晶表示装置:
(IX)ΔRth=|Rth(400)−Rth(700)|
(X)(ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−2.0
(XI)0.01≦B≦30
[Rth(400)は400nmにおけるRth(nm)、Rth(700)は、700nmにおけるRth(nm)、ΔRth(B)はΔRthを低下させる化合物をB%含有したフィルムのΔRth(nm)、ΔRth(0)はΔRthを低下させる化合物を含有しないフィルムのΔRth(nm)、Bはフィルム原料ポリマーの重量を100としたときの化合物の重量(%)である]。
[14] 前記セルロースアシレートフィルムが、該フィルムの|Re(400)−Re(700)|および|Rth(400)−Rth(700)|を低下させる化合物を少なくとも1種、セルロースアシレート固形分に対して0.01〜30重量%含む[1]〜[13]のいずれかの液晶表示装置。
[15] 前記セルロースアシレートフィルムが、|Re(400)−Re(700)|および|Rth(400)−Rth(700)|を低下させ、波長200〜400nmの紫外領域に吸収を持つ化合物を少なくとも1種、セルロースアシレート固形分に対して0.01〜30重量%含む[1]〜[14]のいずれかの液晶表示装置。
[16] 前記セルロースアシレートフィルムが、波長380nmにおける分光透過率が45%以上95%以下であり、かつ波長350nmにおける分光透過率が10%以下である[1]〜[15]のいずれかの液晶表示装置。
[17] 前記セルロースアシレートフィルムが分子量が320以下のベンゾトリアゾール系化合物を含まない[1]〜[16]のいずれかの液晶表示装置。
[18] 前記セルロースアシレートフィルムを60℃90%RHに240時間処理した際のReおよびRthの変化量が15nm以下である液晶表示装置。
[19] 前記セルロースアシレートフィルムを80℃240時間処理したフィルムのReおよびRthの変化量が15nm以下である[1]〜[18]のいずれかの液晶表示装置。
[20] 前記セルロースアシレートフィルムがRthを低下させる化合物と、ΔRthを低下させる化合物とを、式(VII)〜(VIII)および式(X)〜(XI)をみたす範囲でそれぞれ少なくとも1種含み、80℃240時間処理したフィルムからのReおよびRthを低下させる化合物、ΔRthを低下させる化合物の揮散量が30%以下である[1]〜[19]のいずれかの液晶表示装置。
[21] 前記セルロースアシレートフィルムが、透明度が85%以上であるドープ溶液を用いて溶液流延法で製造されたフィルムである[1]〜[20]のいずれかの液晶表示装置。
[22] 前記セルロースアシレートフィルムの膜厚が10〜120μmである[1]〜[21]のいずれかの液晶表示装置。
[23] 前記セルロースアシレートフィルムが、ガラス転移温度Tgが80〜165℃であるセルロースアシレートのフィルムである[1]〜[22]のいずれかの液晶表示装置。
[24] 前記セルロースアシレートフィルムの25℃10%RHにおけるRth値と25℃80%RHにおけるRth値の差ΔRth(=Rth10%RH−Rth80%RH)が、0〜50nmである[1]〜[23]のいずれかの液晶表示装置。
[25] 前記セルロースアシレートフィルムの25℃80%RHにおける平衡含水率が、4%以下である[1]〜[24]のいずれかの液晶表示装置。
[26] 前記セルロースアシレートフィルムの60℃、95%RH、24hrの透湿度(膜厚80μm換算)が、400g/m2・24hr以上2000g/m2・24hr以下である[1]〜[25]のいずれかの液晶表示装置。
[27] 前記セルロースアシレートフィルムのヘイズが0.01〜2%である[1]〜[26]のいずれかの液晶表示装置。
[28] 前記セルロースアシレートのフィルムが、2次平均粒子径が0.2以上1.5μm以下の二酸化珪素微粒子を有する[1]〜[27]のいずれかの液晶表示装置。
[29] 前記セルロースアシレートフィルム中に、分子量が3000以下の化合物の総量が、セルロースアシレート重量に対して5〜45%の比率である[1]〜[28]のいずれかの液晶表示装置。
[30] 前記セルロースアシレートフィルムを80℃、90%RHの条件下に48時間静置した場合の質量変化が、0〜5%である[1]〜[29]のいずれかの液晶表示装置。
[31] 前記セルロースアシレートフィルムを60℃、95%RHの条件下に24時間静置した場合の寸度変化および90℃、5%RHの条件下に24時間静置した場合の寸度変化が、いずれも0〜5%である[1]〜[30]のいずれかの液晶表示装置。
[32] 前記セルロースアシレートフィルムの弾性率が、200〜500kgf/mm2である[1]〜[31]のいずれかの液晶表示装置。
[33] 前記セルロースアシレートフィルムの光弾性係数が、50×10-13cm2/dyne以下である[1]〜[32]のいずれかの液晶表示装置。
[34] 前記セルロースアシレートフィルムの光弾性のアルカリ鹸化処理後のフィルム表面の接触角が50°以下である[1]〜[33]のいずれかの液晶表示装置。
[35] 前記セルロースアシレートフィルムが、下記式を満足する[1]〜[34]のいずれかの液晶表示装置:
|Re(MAX)−Re(MIN)|≦3かつ|Rth(MAX)−Rth(MIN)|≦5
[式中、Re(MAX)、Rth(MAX)−は任意に切り出した1m四方のフィルムの最大レターデーション値、Re(MIN)、Rth(MIN)は最小値である]。
[36] 前記セルロースアシレートフィルムが、製膜された後、機械的に搬送され、ロール状に巻き取られる工程を含む製造方法により製造されたフィルムである[1]〜[35]のいずれかの液晶表示装置。
[37] 前記セルロースアシレートフィルムが、延伸する前後において、フィルム面内の正面レターデーションが下記式を満たす延伸工程を含む製造方法により製造されたフィルムである[1]〜[36]のいずれかの液晶表示装置:
|Re(n)−Re(0)|/n≦1.0
[Re(n)はn(%)延伸したフィルムの面内正面レターデーション(nm)、Re(0)は延伸していないフィルムの面内正面レターデーション(nm)である]。
[38] 前記セルロースアシレートフィルムが、特定の方向に機械搬送方向(MD方向)される工程を含む製造方法で製造されたフィルムであり、且つ面内において前記MD方向に遅相軸を有する[1]〜[37]のいずれかの液晶表示装置。
[39] 前記セルロースアシレートフィルムが、定の方向に機械搬送方向(MD方向)される工程を含む製造方法で製造されたフィルムであり、且つ面内において、前記MD方向に対して垂直方向(TD方向)に遅相軸を有する[1]〜[37]のいずれかの液晶表示装置。
[40] 前記セルロースアシレートフィルムが、面内において、遅相軸を有する方向に延伸すると正面レターデーションReが大きくなり、遅相軸を有する方向と垂直な方向に延伸すると正面レターデーションReが小さくなる[1]〜[39]のいずれかの液晶表示装置。
[41] 前記セルロースアシレートフィルムが、面内において、遅相軸を有する方向に延伸すると正面レターデーションReが小さくなり、遅相軸を有する方向と垂直な方向に延伸すると正面レターデーションReが大きくなる[1]〜[39]のいずれかの液晶表示装置。
[42] 前記セルロースアシレートフィルムをスーパーキセノン光に240時間照射したフィルムの色差ΔE*abが20以下である[1]〜[41]のいずれかの液晶表示装置。
[43] 前記少なくとも二層の光学異方層のうち少なくとも一つが、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエステルイミドおよびポリアリールエーテルケトンからなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマー材料を含有するポリマーフィルムである[1]〜[42]のいずれかの液晶表示装置。
[44] [1]〜[43]中に記載された前記セルロースアシレートフィルムを少なくとも片面に保護フィルムとして有する偏光板。
[45] 画素電極と対向電極を有し、各画素ごとに複数の方向のベンド配向が形成されるように配向分割されている[1]〜[44]のいずれかの液晶表示装置。
本発明において、光学的異方性(Re、Rth)が小さいセルロースアシレートフィルムとしては、波長630nmにおける面内のレターデーションRe(630)が10nm以下(0≦Re(630)≦10)でかつ、膜厚方向のレターデーションRth(630)の絶対値が25nm以下(|Rth|≦25nm)であることがのぞましい。さらにのぞましくは、0≦Re(630)≦5かつ|Rth|≦20nmであり、0≦Re(630)≦2かつ|Rth|≦15nmであることが特にのぞましい。
また本発明の発明者らは、鋭意検討した結果、波長200〜400nmの紫外領域に吸収を持つことによりフィルムの着色を防止し、フィルムのRe(λ)およびRth(λ)の波長分散を制御できる化合物を用いることによって波長400nmと700nmでのRe、Rthの差、|Re(400)−Re(700)|および|Rth(400)−Rth(700)|を小さくし得ることを見出した。
本発明において、波長分散が小さいセルロースアシレートフィルムとしては、|Re(400)−Re(700)|≦10かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35であることがのぞましい。さらにのぞましくは、|Re(400)−Re(700)|≦5かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦25であり、|Re(400)−Re(700)|≦3かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦15であることが特にのぞましい。
また、実際にセルロースアシレートフィルムの作製にあたって、ある種の化合物はセルロースアシレートとよく相溶し、フィルムが白濁したりすることなく、物理的強度が十分なフィルムを作製しうることも確認できた。
また本発明の発明者らは、鋭意検討した結果、アシル置換度が高い、具体的には2.85〜3.00のセルロースアシレートを用いると、光学異方性が小さく、且つ波長分散性の小さいセルロースアシレートフィルムの作製が容易になることを見出した。
なお、本明細書では、「偏光膜」及び「偏光板」を区別して用いるが、「偏光板」は「偏光膜」の少なくとも片面に該偏光膜を保護する透明保護膜を有する積層体のことを意味するものとする。また、本明細書において、「45゜」、「平行」あるいは「直交」とは、厳密な角度±5゜未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との誤差は、4゜未満であることが好ましく、3゜未満であることがより好ましい。また、角度について、「+」は時計周り方向を意味し、「−」は反時計周り方向を意味するものとする。また、本明細書において「分子対称軸」とは、分子が回転対称軸を有する場合は該対称軸をいうが、厳密な意味で分子が回転対称性であることを要求するものではない。一般的には、分子対称軸は、円盤状化合物では、円盤面の中心を貫く円盤面に対して垂直な軸と一致する。
本発明者の研究により、光学異方性が小さく、Re、Rthの波長分散が小さいセルロースアシレートフィルムを作製することができ、このセルロースアシレートフィルムを用いることにより大サイズでの光漏れの少なく、かつ広視野角を有するベンド配向モードの液晶表示装置を提供することが可能になった。即ち、本発明によれば、偏光板、光学補償フィルムの素材と層構成を調整することにより、従来のOCBモード用液晶表示装置と比較し、温湿度の影響による表示ムラが改良されたOCBモード液晶表示装置を提供することが可能となった。
発明の実施の形態
以下、図面を用いて本発明の作用を説明する。
図1に、本発明の液晶表示装置の構成例の模式図を示す。図1に示すOCBモードの液晶表示装置は、電圧印加時、即ち黒表示時に、液晶が基板面に対してベンド配向する液晶層とそれを挟む一対の基板からなる液晶セル1を有する。一対の基板は液晶面に配向処理が施してあり、ラビング方向は図中矢印で示す。液晶セル1を挟持して偏光膜14及び24が配置されている。偏光膜14及び24はそれぞれの透過軸(図中矢印で示す)を、互いに直交に、且つ液晶セルのラビング方向と45度の角度に配置される。偏光膜14と液晶セル1との間には、所定の光学特性を満足するセルロースアシレートフィルム13、第1光学異方性層12及び第2光学異方層11が、偏光膜14側から順次積層され、偏光膜24と液晶セル1との間にも、所定の光学特性を満足するセルロースアシレートフィルム23、第1光学異方層22及び第2光学異方層21が、偏光膜24側から順次積層される。第1光学異方層12及び22は、その面内の最大屈折率方向(図中矢印で示す)が、それぞれに隣接する偏光膜14及び24の透過軸(図中矢印で示す)の方向と実質的に平行又は実質的に垂直に配置されている。また、第2光学異方性層11及び21は、ハイブリット配向した円盤状化合物を含有する組成物から形成されており、第2光学異方層11及び21の円盤状化合物の分子対称軸を面内に正射影した方向(図中矢印で示す)と、それぞれとより近くに位置する偏光膜14及び24の面内の透過軸(図中矢印で示す)との角度が実質的に45゜に配置されている。
図1中の液晶セル1は、一般的には、上側基板及び下側基板と、これらに挟持される液晶分子から形成される液晶層からなる。上下基板の液晶分子に接触する表面(以下、「内面」という場合がある)には、配向膜が形成されていて、電圧無印加状態もしくは低印加状態における液晶分子の配向がプレチルト角をもった平行方向に制御されている。また、上下基板の内面には、液晶分子からなる液晶層に電圧を印加可能な透明電極(不図示)が形成されている。本発明では、液晶層の厚さd(ミクロン)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dは、0.1〜1.5ミクロンとするのが好ましく、さらに、0.2〜1.5ミクロンとするのがより好ましく、0.2〜1.2ミクロンとするのがさらに好ましく、0.5〜0.9ミクロンとするのがさらにより好ましい。これらの範囲では白電圧印加時における白表示輝度が高いことから、明るくコントラストの高い表示装置が得られる。用いる液晶材料については特に制限されないが、上下基板間に電界が印加される態様では、電界方向に平行に液晶分子が応答するような、誘電率異方性が正の液晶材料を使用する。
OCBモードの液晶セルでは、上下基板間に、誘電異方性が正で、Δn=0.16、Δε=5程度のネマチック液晶材料などを用いることができる。液晶層の厚さdについては特に制限されないが、前記範囲の特性の液晶を用いる場合、4ミクロン程度に設定することができる。厚さdと、白電圧印加時の屈折率異方性Δnの積Δn・dの大きさにより白表示時の明るさが変化するので、白電圧印加時において十分な明るさを得るためには、無印加状態における液晶層のΔn・dは0.5〜1.5ミクロンの範囲になるように設定するのが好ましい。
なお、OCBモードの液晶表示装置では、TNモードの液晶表示装置で一般的に使われているカイラル材の添加は、動的応答特性の劣化させるため用いることは少ないが、配向不良を低減するために添加されることもある。また、マルチドメイン構造とする場合には、各ドメイン間の境界領域の液晶分子の配向を調整するのに有利である。マルチドメイン構造とは、液晶表示装置の一画素を複数の領域に分割した構造をいう。例えば、OCBモードにおいて、マルチドメイン構造にすると、輝度や色調の視野角特性が改善されるので好ましい。具体的には、画素のそれぞれを液晶分子の初期配向状態が互いに異なる2以上(好ましくは4又は8)の領域で構成して平均化することで、視野角に依存した輝度や色調の偏りを低減することができる。また、それぞれの画素を、電圧印加状態において液晶分子の配向方向が連続的に変化する互いに異なる2以上の領域から構成しても同様の効果が得られる。
第2光学異方層11及び第1光学異方層12、ならびに第2光学異方層21及び第1光学異方層22は、それぞれ二層の合計として、波長450nm、550nm及び630nmのいずれの測定においても、液晶セル1との関係で下記式(III)を満足する光学特性を有し、そのことによって液晶セル1を正確に光学補償している。
(III) 0.05<(Δn×d)/(Re1(λ)×Rth2(λ))<0.20
式中、Δnは液晶セル中の液晶性分子の固有複屈折率であり;dはnmを単位とする液晶セルの液晶層の厚さであり;Re1(λ)は第1光学異方層の波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)であり;Rth2(λ)は第2光学異方層の厚み方向のレターデーション値である。
{(Δn×d)/(Re1(λ)×Rth2(λ))}は、0.06〜0.18であるのが好ましく、0.07〜0.16であるのがより好ましい。
本実施形態では、偏光膜14及び24に隣接する層として、偏光膜の一般的な材質であるポリビニルアルコールと貼合性の良好で、且つ光学異方性及び波長分散性が低いセルロースアシレートフィルム13及び23を配置している。その結果、使用時の温湿度の影響で生じていた表示ムラを軽減することができる。また、光学的異方性が小さいセルロースアシレート13及び23は、液晶セル1の光学補償には寄与しないので、設計が容易になる。
第1光学異方層12及び22は、含水率が1.0%以内のポリマーからなり、及び第2光学異方層11及び21は、ハイブリッド配向した円盤状化合物を含有する。前記式(III)を満足する限り特に材料等について制限はない。第1光学異方層12及び22の光学特性は、延伸条件、添加剤の種類及び添加量等を適宜設定することで好ましい範囲に調整することができ、また、第2光学異方層11及び21の光学特性は、円盤状化合物の種類、添加剤の種類およびその添加量、及び配向膜等を適宜選択することで、好ましい範囲に調整することができる。
図1では、一対の偏光膜の双方と液晶セルとの間に対照的に、前記セルロースアシレートフィルム、第2光学異方層及び前記第1光学異方層を配置した構成を示したが、少なくとも一方の偏光膜と液晶セルとの間に、前記セルロースアシレートフィルム、前記第2光学異方層及び前記第1光学異方層を配置すればよい。一方のみに配置する場合は、バックライト側がより高温に曝される可能性が高いので、バックライト側の偏光膜と液晶セルとの間に、配置するとより効果的である。また、図1では、光学異方層が二層である態様を示したが、この態様に限定されるものではなく、液晶セルとの関係で前記式(III)を満足すれば、三層以上配置されていてもよい。
また、偏光膜、前記セルロースアシレートフィルム、前記第2光学異方層及び第1光学異方層は、それぞれ個々の部材として液晶表示装置内に組み込まれてもよいし、一体化された偏光板として組み込まれていてもよい。また、偏光膜と前記セルロースアシレートフィルムを一体化した部材と、第1及び第2光学異方層を一体化した部材として、液晶表示装置内にそれぞれ組み込んでもよい。第1及び第2光学異方層が、液晶化合物を含有する組成物から形成された層である場合は、隣接する光学異方層または前記セルロースアシレートフィルムが、該層の支持体として機能していてもよい。
以下、本発明の液晶表示装置に用いられる各部材の詳細について説明する。
[セルロースアシレートフィルム]
本発明の液晶表示装置には、下記式(I)及び(II)を満足するセルロースアシレートフィルムを用いる。
(I)0≦Re(630)≦10かつ|Rth(630)|≦25
(II)|Re(400)−Re(700)|≦10かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35
式中、Re(λ)は波長λnmにおけるReの正面レターデーション値(単位:nm)、Rth(λ)は波長λnmにおけるReの膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。
さらに、0≦Re(630)≦5かつ|Rth(630)|≦20nmであるのが好ましく、0≦Re(630)≦2かつ|Rth(630)|≦15nmであるのがより好ましい。また、|Re(400)−Re(700)|≦5かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦25であるのが好ましく、|Re(400)−Re(700)|≦3かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦15であるのがより好ましい。
[セルロースアシレート原料綿]
本発明に用いられるセルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えばプラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができ、前記セルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
[セルロースアシレート置換度]
上述のセルロースを原料に製造される前記セルロースアシレートはセルロースの水酸基がアシル化されたもので、その置換基はアシル基の炭素原子数が2のアセチル基から炭素原子数が22のものまでいずれも用いることができる。前記セルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって置換度を得ることができる。測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することが出来る。
本発明に用いるセルロースアシレートについて、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基へのアシル置換度が2.50〜3.00であることがのぞましい。さらには置換度が2.75〜3.00であることがのぞましく、2.85〜3.00であることがよりのぞましい。
セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸のうち、炭素数2〜22のアシル基としては、脂肪族基でもアリル基でもよく特に限定されず、単一でも2種類以上の混合物でもよい。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましいアシル基としては、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、へプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、iso−ブタノイル、t−ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル基などを挙げることが出来る。これらの中でも、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t−ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどが好ましく、アセチル、プロピオニル、ブタノイルがより好ましい。
本発明の発明者が鋭意検討した結果、上述のセルロースの水酸基に置換するアシル置換基のうちで、実質的にアセチル基/プロピオニル基/ブタノイル基の少なくとも2種類からなる場合においては、その全置換度が2.50〜3.00の場合にセルロースアシレートフィルムの光学異方性が低下できることがわかった。より好ましいアシル置換度は2.60〜3.00であり、さらにのぞましくは2.65〜3.00である。
[セルロースアシレートの重合度]
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であり、セルロースアセテートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400が更に好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度が高すぎるとセルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなり、流延によりフィルム作製が困難になる。重合度が低すぎると作製したフィルムの強度が低下してしまう。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。特開平9−95538に詳細に記載されている。
また、本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがさらに好ましく、1.0〜1.6であることが最も好ましい。
低分子成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低くなるため有用である。低分子成分の少ないセルロースアシレートは、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより実施できる。なお、低分子成分の少ないセルロースアシレートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量部に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量部分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。前記セルロースアシレートの製造時に使用される際には、その含水率は2質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1質量%以下であり、特には0.7質量%以下の含水率を有するセルロースアシレートである。一般に、セルロースアシレートは、水を含有しており2.5〜5質量%が知られている。本発明でこのセルロースアシレートの含水率にするためには、乾燥することが必要であり、その方法は目的とする含水率になれば特に限定されない。前記これらのセルロースアシレートは、その原料綿や合成方法は発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて7頁〜12頁に詳細に記載されている。
前記セルロースアシレートは置換基、置換度、重合度、分子量分布など前述した範囲であれば、単一あるいは異なる2種類以上のセルロースアシレートを混合して用いることができる。
[セルロースアシレートへの添加剤]
前記セルロースアシレートフィルムは、溶液流延製膜法により作製するのが好ましいが、但し、この方法に限定されるものではない。溶液流延製膜法では、まず、セルロースアシレートの溶液(ドープ)を調製する。前記セルロースアシレート溶液には、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、光学的異方性を低下する化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、光学特性調整剤など)を加えることができ、これらについて以下に説明する。またその添加する時期はドープ作製工程において何れでも添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。
前記セルロースアシレートフィルムの光学的異方性、特にフィルム膜厚方向のレターデーションRthを低下させる化合物を、下記式(V)及び(VI)を満足する範囲で少なくとも一種含有することがのぞましい。
(V) (Rth(A)−Rth(0))/A≦−1.0
(VI) 0.01≦A≦30
上記式(V)、(VI)は
(V) (Rth(A)−Rth(0))/A≦−2.0
(VI) 0.05≦A≦25
であることがよりのぞましく、
(V) (Rth(A)−Rth(0))/A≦−3.0
(VI) 0.1≦A≦20
[セルロースアシレートフィルムの光学的異方性を低下させる化合物の構造的特徴]
セルロースアシレートフィルムの光学的異方性を低下させる化合物について説明する。本発明の発明者らは、鋭意検討した結果、フィルム中のセルロースアシレートが面内および膜厚方向に配向するのを抑制する化合物を用いて光学的異方性を十分に低下させ、ReがゼロかつRthがゼロに近くなるようにした。このためには光学的異方性を低下させる化合物はセルロースアシレートに十分に相溶し、化合物自身が棒状の構造や平面性の構造を持たないことが有利である。具体的には芳香族基のような平面性の官能基を複数持っている場合、それらの官能基を同一平面ではなく、非平面に持つような構造が有利である。
(LogP値)
前記セルロースアシレートフィルムを作製するにあたっては、上述のようにフィルム中のセルロースアシレートが面内および膜厚方向に配向するのを抑制して光学異方性を低下させる化合物のうち、オクタノール−水分配係数(logP値)が0〜7である化合物が好ましい。logP値が7を超える化合物は、セルロースアシレートとの相溶性に乏しく、フィルムの白濁や粉吹きを生じやすい。また、logP値が0よりも小さな化合物は親水性が高いために、セルロースアセテートフィルムの耐水性を悪化させる場合がある。logP値としてさらに好ましい範囲は1〜6であり、特に好ましい範囲は1.5〜5である。
オクタノール−水分配係数(logP値)の測定は、JIS日本工業規格Z7260−107(2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。また、オクタノール−水分配係数(logP値)は実測に代わって、計算化学的手法あるいは経験的方法により見積もることも可能である。計算方法としては、Crippen’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)、Viswanadhan’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,29,163(1989).)、Broto’s fragmentation法(Eur.J.Med.Chem.− Chim.Theor.,19,71(1984).)などが好ましく用いられるが、Crippen’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)がより好ましい。ある化合物のlogPの値が測定方法あるいは計算方法により異なる場合に、該化合物が本発明の範囲内であるかどうかは、Crippen’s fragmentation法により判断することが好ましい。
[光学的異方性を低下する化合物の物性]
光学異方性を低下させる化合物は、芳香族基を含有しても良いし、含有しなくても良い。また光学異方性を低下させる化合物は、分子量が150以上3000以下であることが好ましく、170以上2000以下であることが好ましく、200以上1000以下であることが特に好ましい。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であっても良いし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でも良い。
光学異方性を低下させる化合物は、好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜250℃の固体であり、さらに好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜200℃の固体である。また光学異方性を低下させる化合物は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
光学異方性を低下させる化合物の添加量は、セルロースアシレートの0.01〜30質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることが特に好ましい。
光学異方性を低下させる化合物は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
光学異方性を低下させる化合物を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
光学異方性を低下させる化合物は、少なくとも一方の側の表面から全膜厚の10%までの部分における該化合物の平均含有率が、該セルロースアシレートフィルムの中央部における該化合物の平均含有率の80−99%である。本発明の化合物の存在量は、例えば、特開平8−57879号公報に記載の赤外吸収スペクトルを用いる方法などにより表面および中心部の化合物量を測定して求めることができる。
以下に本発明で好ましく用いられる、セルロースアシレートフィルムの光学異方性を低下させる化合物の具体例を示すが、本発明はこれら化合物に限定されない。
本発明に記載のlogPの値は、Crippen’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)により求めたものである。
光学異方性を低下させる化合物としては、例えば、下記一般式(13)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0004737993
式中、R1はアルキル基またはアリール基を表し、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。R1、R2およびR3の炭素原子数の総和は10以上である。
1、R2およびR3で表されるアルキル基又はアリール基は、置換されていてもよい。置換基としてはフッ素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が好ましく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が特に好ましい。また、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数1〜25のものが好ましく、6〜25のものがより好ましく、6〜20のもの(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ビシクロオクチル、ノニル、アダマンチル、デシル、t−オクチル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、ジデシル)が特に好ましい。アリール基としては炭素原子数が6〜30のものが好ましく、6〜24のもの(例えば、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、ビナフチル、トリフェニルフェニル)が特に好ましい。前記一般式(13)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 0004737993
Figure 0004737993
Figure 0004737993
また、光学異方性を低下させる化合物としては、例えば、下記一般式(18)及び一般式(19)で表される化合物も好ましい。
Figure 0004737993
一般式(18)中、R1はアルキル基またはアリール基を表し、R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
Figure 0004737993
上記一般式(19)中、R4、R5およびR6はそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表す。
上記のアルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよく、置換基としてはハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、フッ素およびヨウ素)、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基およびアシルアミノ基が好ましく、より好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、スルホニルアミノ基およびアシルアミノ基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、スルホニルアミノ基およびアシルアミノ基である。
Figure 0004737993
Figure 0004737993
Figure 0004737993
Figure 0004737993
Figure 0004737993
Figure 0004737993
Figure 0004737993
Figure 0004737993
Figure 0004737993
[波長分散調整剤]
セルロースアシレートフィルムの波長分散を低下させる化合物(以下波長分散調整剤ともいう)について説明する。前記セルロースアシレートフィルムのRthの波長分散を良化させるためには、(VII)で定義されるRthの波長分散ΔRth=|Rth(400)−Rth(700)|を低下させる化合物を、下記式(VIII)及び(IX)を満足する範囲で少なくとも一種含有することがのぞましい。
(VII) ΔRth=|Rth(400)−Rth(700)|
(VIII) (ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−2.0
(XI) 0.01≦B≦30
上記式(VIII)及び(IX)は
(VIII) (ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−3.0
(IX) 0.05≦B≦25
であることがよりのぞましく、
(VIII) (ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−4.0
(IX) 0.1≦B≦20
であることがさらにのぞましい。
上記の波長分散調整剤は、200〜400nmの紫外領域に吸収を持つ化合物であるのが好ましい。前記波長分散調製剤の少なくとも一種を前記セルロース溶液に、セルロースアシレート固形分に対して所定量(好ましくは0.01〜30重量%)含有させるのが好ましい。
セルロースアシレートフィルムのRe、Rthの値は一般に短波長側よりも長波長側が大きい波長分散特性となる。したがって相対的に小さい短波長側のRe、Rthを大きくすることによって波長分散を平滑にすることが要求される。一方200〜400nmの紫外領域に吸収を持つ化合物は短波長側よりも長波長側の吸光度が大きい波長分散特性をもつ。この化合物自身がセルロースアシレートフィルム内部で等方的に存在していれば、化合物自身の複屈折性、ひいてはRe、Rthの波長分散は吸光度の波長分散と同様に短波長側が大きいと想定される。
したがって上述したような、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、化合物自身のRe、Rthの波長分散が短波長側が大きいと想定されるものを用いることによって、セルロースアシレートフィルムのRe、Rthの波長分散を調製することができる。このためには波長分散を調整する化合物はセルロースアシレートに十分均一に相溶することが要求される。このような化合物の紫外領域の吸収帯範囲は200〜400nmが好ましいが、220〜395nmがより好ましく、240〜390nmがさらに好ましい。
また、近年テレビやノートパソコン、モバイル型携帯端末などの液晶表示装置ではより少ない電力で輝度を高めるに、液晶表示装置に用いられる光学部材の透過率が優れたものが要求されている。その点においては、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、フィルムの|Re(400)−Re(700)|および|Rth(400)−Rth(700)|を低下させる化合物をセルロースアシレートフィルムに添加する場合、分光透過率が優れている要求される。前記セルロースアシレートフィルムにおいては、波長380nmにおける分光透過率が45%以上95%以下であり、かつ波長350nmにおける分光透過率が10%以下であることがのぞましい。
上述のような、本発明で好ましく用いられる波長分散調整剤は揮散性の観点から分子量が250〜1000であることが好ましい。より好ましくは260〜800であり、更に好ましくは270〜800であり、特に好ましくは300〜800である。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であっても良いし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でも良い。
波長分散調整剤は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
(化合物添加量)
上述した本発明で好ましく用いられる波長分散調整剤の添加量は、セルロースアシレートの0.01〜30重量%であることが好ましく、0.1〜20重量%であることがより好ましく、0.2〜10重量%であることが特に好ましい。
(化合物添加の方法)
またこれら波長分散調整剤は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
またこれら波長分散調整剤を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
本発明に好ましく用いられる波長分散調整剤の具体例としては、例えばベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノ基を含む化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられるが、本発明はこれら化合物だけに限定されるものではない。
ベンゾトリアゾール系化合物の波長分散剤としては、下記一般式(101)で表される化合物が好ましく用いられる。
一般式(101) Q1−Q2−OH
式中、Q1は含窒素芳香族ヘテロ環の基及びQ2は芳香族環の基を表す。
1は含窒素方向芳香族へテロ環をあらわし、好ましくは5〜7員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは5〜6員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、例えば、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、セレナゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾセレナゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ナフトチアゾール、ナフトオキサゾール、アザベンズイミダゾール、プリン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、トリアザインデン、テトラザインデン等があげられ、更に好ましくは、5員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、具体的にはイミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、チアジアゾール、オキサジアゾールが好ましく、特に好ましくは、ベンゾトリアゾールである。
1で表される含窒素芳香族ヘテロ環は更に置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。また、置換基が複数ある場合にはそれぞれが縮環して更に環を形成してもよい。
2で表される芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)更に好ましくはベンゼン環である。
芳香族ヘテロ環として好ましくは窒素原子あるいは硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
2であらわされる芳香族環として好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくはナフタレン環、ベンゼン環であり、特に好ましくはベンゼン環である。Q2は更に置換基を有してもよく、後述の置換基Tが好ましい。
置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
前記一般式(101)で表される化合物の中でも、下記一般式(101−A)で表される化合物が好ましい。
Figure 0004737993
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
1およびR3として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキル基(好ましくは炭素数4〜12)である。
2、およびR4として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
5およびR8として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
6およびR7として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子であり、特に好ましくは水素原子、塩素原子である。
前記一般式(101)で表される化合物の中でも、下記一般式(101−B)で表される化合物が好ましい。
Figure 0004737993
式中、R1、R3、R6およびR7は前記一般式(101−A)中におけるそれらとそれぞれ同義であり、また好ましい範囲も同様である。
以下に前記一般式(101)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 0004737993
Figure 0004737993
以上例にあげたベンゾトリアゾール系化合物の中でも、分子量が320以下のものを含まずに前記セルロースアシレートフィルムを作製した場合、保留性の点で有利であることが確認された。
また、ベンゾフェノン系化合物類の波長分散剤としては、下記一般式(102)で表される化合物が好ましく用いられる。
Figure 0004737993
式中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に芳香族環の基を表す。XはNR(Rは水素原子または置換基を表す。)、酸素原子または硫黄原子を表す。
1およびQ2で表される芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
1およびQ2で表される芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)更に好ましくはベンゼン環である。
1およびQ2で表される芳香族ヘテロ環として好ましくは酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のどれかひとつを少なくとも1つ含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
1およびQ2であらわされる芳香族環として好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくは炭素数6〜10の芳香族炭化水素環であり、更に好ましくは置換または無置換のベンゼン環である。
1およびQ2は更に置換基を有してもよく、後述の置換基Tが好ましいが、置換基にカルボン酸やスルホン酸、4級アンモニウム塩を含むことはない。また、可能な場合には置換基同士が連結して環構造を形成してもよい。
XはNR(Rは水素原子または置換基を表す。置換基としては後述の置換基Tが適用できる。)、酸素原子または硫黄原子を表し、Xとして好ましくは、NR(Rとして好ましくはアシル基、スルホニル基であり、これらの置換基は更に置換してもよい。)、またはOであり、特に好ましくはOである。
置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
前記一般式(102)で表される化合物の中でも、下記一般式(102−A)で表される化合物が好ましい。
Figure 0004737993
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
1、R3、R4、R5、R6、R8およびR9として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
2として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルコキシ基である。
7として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくはメチル基)であり、特に好ましくはメチル基、水素原子である。
前記一般式(102)で表される化合物の中でも、下記一般式(102−B)で表される化合物が好ましい。
Figure 0004737993
式中、R10は水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基を表す。
10は水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。
10として好ましくは置換または無置換のアルキル基であり、より好ましくは炭素数5〜20の置換または無置換のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数5〜12の置換または無置換のアルキル基(n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、ベンジル基、などが挙げられる。)であり、特に好ましくは、炭素数6〜12の置換または無置換のアルキル基(2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、ベンジル基)である。
前記一般式(102)で表される化合物は特開平11−12219号公報記載の公知の方法により合成できる。
以下に前記一般式(102)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 0004737993
Figure 0004737993
Figure 0004737993
また本発明に用いられる波長分散調整剤のひとつであるシアノ基等を含む化合物としては下記一般式(103)で示されるものが好ましく用いられる。
Figure 0004737993
式中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に芳香族環の基を表す。X1およびX2は水素原子または置換基を表し、少なくともどちらか1つはシアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環を表す。Q1およびQ2であらわされる芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形
成してもよい。
芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)更に好ましくはベンゼン環である。
芳香族ヘテロ環として好ましくは窒素原子あるいは硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
1およびQ2であらわされる芳香族環として好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくはベンゼン環である。
1およびQ2は更に置換基を有してもよく、後述の置換基Tが好ましい。置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
1およびX2は水素原子または置換基を表し、少なくともどちらか1つはシアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環を表す。X1およびX2で表される置換基は前述の置換基Tを適用することができる。また、X1およびX2はで表される置換基は更に他の置換基によって置換されてもよく、X1およびX2はそれぞれが縮環して環構造を形成してもよい。
1およびX2として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは、シアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、更に好ましくはシアノ基、カルボニル基であり、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカルボニル基(−C(=O)OR(Rは:炭素数1〜20アルキル基、炭素数6〜12のアリール基およびこれらを組み合せたもの)である。
前記一般式(103)で表される化合物の中でも、下記一般式(103−A)で表される化合物が好ましい。
Figure 0004737993
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。X1およびX2は一般式(103)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
1、R2、R4、R5、R6、R7、R9、およびR10として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
3、およびR8として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12アルコキシ基であり、特に好ましくは水素原子である。
前記一般式(103)で表される化合物の中でも、下記一般式(103−B)で表される化合物が好ましい。
Figure 0004737993
式中、R3およびR8は前記一般式(103−A)中におけるそれらとそれぞれ同義であり、また、好ましい範囲も同様である。X3は水素原子、または置換基を表す。
3は水素原子、または置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用でき、また、可能な場合は更に他の置換基で置換されてもよい。X3として好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは、シアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、更に好ましくはシアノ基、カルボニル基であり、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカルボニル基(−C(=O)OR(Rは:炭素数1〜20アルキル基、炭素数6〜12のアリール基およびこれらを組み合せたもの)である。
前記一般式(103)で表される化合物の中でも、下記一般式(103−C)で表される化合物が好ましい。
Figure 0004737993
式中、R3およびR8は前記一般式(103−A)中におけるそれらとそれぞれ同義であり、また、好ましい範囲も同様である。R21は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
21として好ましくはR3およびR8が両方水素の場合には、炭素数2〜12のアルキル基であり、より好ましくは炭素数4〜12のアルキル基であり、更に好ましくは、炭素数6〜12のアルキル基であり、特に好ましくは、n−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルへキシル基、n−デシル基、、n−ドデシル基であり、最も好ましくは2−エチルへキシル基である。
21として好ましくはR3およびR8が水素以外の場合には、一般式(103−C)で表される化合物の分子量が300以上になり、かつ炭素数20以下の炭素数のアルキル基が好ましい。
前記一般式(103)で表される化合物はJounal of American Chemical Society 63巻 3452頁(1941)記載の方法によって合成できる。
以下に前記一般式(103)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 0004737993
Figure 0004737993
Figure 0004737993
[マット剤微粒子]
前記セルロースアシレートフィルムには、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上がさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
これらの微粒子は、通常平均粒子径が0.1〜3.0μmの2次粒子を形成し、これらの微粒子はフィルム中では、1次粒子の凝集体として存在し、フィルム表面に0.1〜3.0μmの凹凸を形成させる。2次平均粒子径は0.2μm以上1.5μm以下が好ましく、0.4μm以上1.2μm以下がさらに好ましく、0.6μm以上1.1μm以下が最も好ましい。1次、2次粒子径はフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒径とした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とした。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vが1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化珪素の微粒子であり、光学フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
本発明において2次平均粒子径の小さな粒子を有するセルロースアシレートフィルムを得るために、微粒子の分散液を調製する際にいくつかの手法が考えられる。例えば、溶剤と微粒子を撹拌混合した微粒子分散液をあらかじめ作成し、この微粒子分散液を別途用意した少量のセルロースアシレート溶液に加えて撹拌溶解し、さらにメインのセルロースアシレートドープ液と混合する方法がある。この方法は二酸化珪素微粒子の分散性がよく、二酸化珪素微粒子が更に再凝集しにくい点で好ましい調製方法である。ほかにも、溶剤に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解した後、これに微粒子を加えて分散機で分散を行いこれを微粒子添加液とし、この微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する方法もある。本発明はこれらの方法に限定されないが、二酸化珪素微粒子を溶剤などと混合して分散するときの二酸化珪素の濃度は5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%が更に好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度が高い方が添加量に対する液濁度は低くなり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。最終的なセルロースアシレートのドープ溶液中でのマット剤の添加量は1m2あたり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.3gが更に好ましく、0.08〜0.16gが最も好ましい。
使用される溶剤は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
[可塑剤、劣化防止剤、剥離剤]
上記の光学的に異方性を低下する化合物、波長分散調整剤の他に、前記セルロースアシレートフィルムには、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、可塑剤、紫外線防止剤、劣化防止剤、剥離剤、赤外吸収剤、など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に可塑剤の混合などであり、例えば特開2001−151901号などに記載されている。さらにまた、赤外吸収染料としては例えば特開2001−194522号に記載されている。またその添加する時期はドープ作製工程において何れで添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、セルロースアシレートフィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開2001−151902号などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。これらの詳細は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
[化合物添加の比率]
前記セルロースアシレートフィルムにおいては、分子量が3000以下の化合物の総量は、セルロースアシレート重量に対して5〜45%であることがのぞましい。より好ましくは10〜40%であり、さらにのぞましくは15〜30%である。これらの化合物としては上述したように、光学異方性を低下する化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、剥離剤、赤外吸収剤などであり、分子量としては3000以下がのぞましく、2000以下がよりのぞましく、1000以下がさらにのぞましい。これら化合物の総量が5%以下であると、セルロースアシレート単体の性質が出やすくなり、例えば、温度や湿度の変化に対して光学性能や物理的強度が変動しやすくなるなどの問題がある。またこれら化合物の総量が45%以上であると、セルロースアシレートフィルム中に化合物が相溶する限界を超え、フィルム表面に析出してフィルムが白濁する( フィルムからの泣き出し)などの問題が生じやすくなる。
[セルロースアシレート溶液の有機溶媒]
本発明では、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造することが好ましく、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムは製造される。前記主溶媒として好ましく用いられる有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、および炭素原子数が1〜7のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
以上前記セルロースアシレートフィルムに対しては塩素系のハロゲン化炭化水素を主溶媒としても良いし、発明協会公開技報2001−1745(12頁〜16頁)に記載されているように、非塩素系溶媒を主溶媒としても良く、前記セルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
その他、前記セルロースアシレート溶液及びフィルムについての溶媒は、その溶解方法も含め以下の特許に開示されており、好ましい態様である。それらは、例えば、特開2000−95876、特開平12−95877、特開平10−324774、特開平8−152514、特開平10−330538、特開平9−95538、特開平9−95557、特開平10−235664、特開平12−63534、特開平11−21379、特開平10−182853、特開平10−278056、特開平10−279702、特開平10−323853、特開平10−237186、特開平11−60807、特開平11−152342、特開平11−292988、特開平11−60752、特開平11−60752などに記載されている。これらの特許によると前記セルロースアシレートに好ましい溶媒だけでなく、その溶液物性や共存させる共存物質についても記載があり、本発明においても好ましい態様である。
[セルロースアシレートフィルムの製造工程]
(溶解工程)
前記セルロースアシレート溶液(ドープ)の調製は、その溶解方法は特に限定されず、室温でもよくさらには冷却溶解法あるいは高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。本発明におけるセルロースアシレート溶液の調製、さらには溶解工程に伴う溶液濃縮、ろ過の各工程に関しては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて22頁〜25頁に詳細に記載されている製造工程が好ましく用いられる。
(ドープ溶液の透明度)
前記セルロースアシレート溶液のドープ透明度としては85%以上であることがのぞましい。より好ましくは88%以上であり、さらに好ましくは90%以上であることがのぞましい。本発明においてはセルロースアシレートドープ溶液に各種の添加剤が十分に溶解していることを確認した。具体的なドープ透明度の算出方法としては、ドープ溶液を1cm角のガラスセルに注入し、分光光度計(UV−3150、島津製作所)で550nmの吸光度を測定した。溶媒のみをあらかじめブランクとして測定しておき、ブランクの吸光度との比からセルロースアシレート溶液の透明度を算出した。
[流延、乾燥、巻き取り工程]
次に、前記セルロースアシレート溶液を用いたフィルムの製造方法について述べる。前記セルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて得られたフィルムを乾燥装置のロール群で機械的に搬送し乾燥を終了して巻き取り機でロール状に所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。前記セルロースアシレートフィルムの主な用途である、電子ディスプレイ用の光学部材である機能性保護膜やハロゲン化銀写真感光材料に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらについては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて25頁〜30頁に詳細に記載されており、流延(共流延を含む),金属支持体,乾燥,剥離などに分類され、本発明において好ましく用いることができる。
また、セルロースアシレートフィルムの厚さは10〜120μmが好ましく、20〜100μmがより好ましく、30〜90μmがさらに好ましい。
[高湿度処理後のフィルムの光学性能変化]
[セルロースアシレートフィルム物性評価]
前記セルロースアシレートフィルムの環境変化による光学性能の変化については、60℃90%RHに240時間処理したフィルムのReおよびRthの変化量が15nm以下であることがのぞましい。よりのぞましくは12nm以下であり、10nm以下であることがさらにのぞましい。
[高温度処理後のフィルムの光学性能変化]
また、80℃240時間処理したフィルムのReおよびRthの変化量が15nm以下であることがのぞましい。よりのぞましくは12nm以下であり、10nm以下であることがさらにのぞましい。
[フィルム加熱処理後の化合物揮散量]
前記セルロースアシレートフィルムにのぞましく用いることができる、Rthを低下させる化合物と、ΔRthを低下させる化合物は、80℃240時間処理したフィルムからの化合物の揮散量が30%以下であることがのぞましい。よりのぞましくは25%以下であり、20%以下であることがさらにのぞましい。
なお、フィルムからの揮散量は、80℃240時間処理したフィルムおよび未処理のフィルムをそれぞれ溶媒に溶かし出し、液体高速クロマトグラフィーにて化合物を検出し、化合物のピーク面積をフィルム中に残存した化合物量として、下記式により算出した。
揮散量(%)={(未処理品中の残存化合物量)−(処理品中の残存化合物量)}/(未処理品中の残存化合物量)×100
[フィルムのガラス転移温度Tg]
前記セルロースアシレートフィルムのガラス転移温度Tgは、80〜165℃である。耐熱性の観点から、Tgが100〜160℃であることがより好ましく、110〜150℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度Tgの測定は、前記セルロースアシレートフィルム試料10mgを、常温から200度まで昇降温速度5℃/分で示差走査熱量計(DSC2910、T.A.インスツルメント)で熱量測定を行い、ガラス転移温度Tgを算出した。
[フィルムのヘイズ]
前記セルロースアシレートフィルムのヘイズは0.01〜2.0%であることがのぞましい。よりのぞましくは0.05〜1.5%であり、0.1〜1.0%であることがさらにのぞましい。光学フィルムとしてフィルムの透明性は重要である。ヘイズの測定は、前記セルロースアシレートフィルム試料40mm×80mmを、25℃,60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−6714に従って測定した。
[フィルムのRe、Rthの湿度依存性]
前記セルロースアシレートフィルムの面内のレターデーションReおよび膜厚方向のレターデーションRthはともに湿度による変化が小さいことが好ましい。具体的には、25℃10%RHにおけるRth値と25℃80%RHにおけるRth値の差ΔRth(=Rth10%RH−Rth80%RH)が0〜50nmであることが好ましい。より好ましくは0〜40nmであり、さらに好ましくは0〜35nmである。
[フィルムの平衡含水率]
前記セルロースアシレートフィルムの平衡含水率は、偏光板の保護膜として用いる際、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーとの接着性を損なわないために、膜厚のいかんに関わらず、25℃80%RHにおける平衡含水率が、0〜4%であることが好ましい。0.1〜3.5%であることがより好ましく、1〜3%であることが特に好ましい。4%以上の平衡含水率であると、光学補償フィルムの支持体として用いる際にレターデーションの湿度変化による依存性が大きくなりすぎてしまい好ましくない。
含水率の測定法は、前記セルロースアシレートフィルム試料7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置(CA−03、VA−05、共に三菱化学(株))にてカールフィッシャー法で測定した。水分量(g)を試料重量(g)で除して算出した。
[フィルムの透湿度]
前記光学補償シートに用いるセルロースアシレートフィルムの透湿度は、JIS規格JISZ0208をもとに、温度60℃、湿度95%RHの条件において測定し、膜厚80μmに換算して400〜2000g/m2・24hであることがのぞましい。500〜1800g/m2・24hであることがより好ましく、600〜1600g/m2・24hであることが特に好ましい。2000g/m2・24hを越えると、フィルムのRe値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまう。また、前記セルロースアシレートフィルムに光学異方性層を積層して光学補償フィルムとした場合も、Re値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまい好ましくない。この光学補償シートや偏光板が液晶表示装置に組み込まれた場合、色味の変化や視野角の低下を引き起こす。また、セルロースアシレートフィルムの透湿度が400g/m2・24h未満では、偏光膜の両面などに貼り付けて偏光板を作製する場合に、セルロースアシレートフィルムにより接着剤の乾燥が妨げられ、接着不良を生じる。
セルロースアシレートフィルムの膜厚が厚ければ透湿度は小さくなり、膜厚が薄ければ透湿度は大きくなる。そこでどのような膜厚のサンプルでも基準を80μmに設け換算する必要がある。膜厚の換算は、(80μm換算の透湿度=実測の透湿度×実測の膜厚μm/80μm)として求めた。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、前記セルロースアシレートフィルム試料70mmφを25℃、90%RH及び60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、透湿試験装置(KK−709007、東洋精機(株))にて、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)し、透湿度=調湿後重量−調湿前重量で求めた。
[フィルムの寸度変化]
前記セルロースアシレートフィルムの寸度安定性は、60℃、90%RHの条件下に24時間静置した場合(高湿)の寸度変化率および90℃、5%RHの条件下に24時間静置した場合(高温)の寸度変化率がいずれも0.5%以下であることがのぞましい。よりのぞましくは0.3%以下であり、さらにのぞましくは0.15%以下である。
具体的な測定方法としては、セルロースアシレートフィルム試料30mm×120mmを2枚用意し、25℃、60%RHで24時間調湿し、自動ピンゲージ(新東科学(株))にて、両端に6mmφの穴を100mmの間隔で開け、パンチ間隔の原寸(L0)とした。1枚の試料を60℃、90%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L1)を測定、もう1枚の試料を90℃、5%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L2)を測定した。すべての間隔の測定において最小目盛り1/1000mmまで測定した。60℃、90%RH(高湿)の寸度変化率={|L0−L1|/L0}×100、90℃、5%RH(高温)の寸度変化率={|L0−L2|/L0}×100、として寸度変化率を求めた。
[フィルムの弾性率]
(弾性率)
前記セルロースアシレートフィルムの弾性率は、200〜500kgf/mm2であることが好ましい、より好ましくは240〜470kgf/mm2であり、さらに好ましくは270〜440kgf/mm2である。具体的な測定方法としては、東洋ボールドウィン製万能引っ張り試験機STM T50BPを用い、23℃・70%雰囲気中、引っ張り速度10%/分で0.5%伸びにおける応力を測定し、弾性率を求めた。
[フィルムの光弾性係数]
(光弾性係数)
前記セルロースアシレートフィルムの光弾性係数は、50×10-13cm2/dyne以下であることが好ましい。30×10-13cm2/dyne以下であることがより好ましく、20×10-13cm2/dyne以下であることがさらに好ましい。具体的な測定方法としては、セルロースアシレートフィルム試料12mm×120mmの長軸方向に対して引っ張り応力をかけ、その際のレターデーションをエリプソメーター(M150、日本分光(株))で測定し、応力に対するレターデーションの変化量から光弾性係数を算出した。
[延伸前後における正面レターデーション変化、遅相軸の検出]
試料100×100mmを用意し、固定一軸延伸機を用いて温度140℃の条件下で機械搬送方向(MD方向)または垂直方向(TD方向)に延伸を行った。延伸前後における各試料の正面レターデーションは自動複屈折計KOBRA21ADHを用いて測定した。遅相軸の検出は上記のレターデーション測定の際に得られる配向角から決定した。延伸によってReの変化が小さいことが好ましく、具体的にはRe(n)をn(%)延伸したフィルムの面内正面レターデーション(nm)、Re(0)を延伸していないフィルムの面内正面レターデーション(nm)としたときに、|Re(n)−Re(0)|/n≦1.0を有することが好ましく、|Re(n)−Re(0)|/n≦0.3以下がさらに好ましい。
[遅相軸を有する方向]
前記セルロースアシレートフィルムを偏光子の保護フィルムに用いる場合、偏光子が機械搬送方向(MD方向)に吸収軸を持つため、セルロースアシレートフィルムは遅相軸がMD方向近傍またはTD近傍にあることがのぞましい。遅相軸が偏光子と平行または直交させることにより光漏れや色味変化を低減できる。近傍とは、遅相軸とMDまたはTD方向が0〜10°、好ましくは0〜5°の範囲にあることを表す。
[固有複屈折が正であるセルロースアシレートフィルム]
前記セルロースアシレートフィルムは、フィルム面内において、遅相軸を有する方向に延伸すると正面レターデーションReが大きくなり、遅相軸を有する方向と垂直な方向に延伸すると正面レターデーションReが小さくなる。このことは固有複屈折が正であることを示しており、フィルム中で発現したReを打ち消すには遅相軸と垂直方向に延伸することが有効である。この方法としては例えば、フィルムが機械搬送方向(MD方向)に遅相軸を有している場合にMDとは垂直な方向(TD方向)にテンター延伸を用いて正面Reを小さくすることが考えられる。逆の例として、TD方向に遅相軸を有している場合にはMD方向の機械搬送ロールの張力を強めて延伸することによって正面Reを小さくすることが考えられる。
[固有複屈折が負であるセルロースアシレートフィルム]
前記セルロースアシレートフィルムは、遅相軸を有する方向に延伸すると正面レターデーションReが小さくなり、遅相軸を有する方向と垂直な方向に延伸すると正面レターデーションReが大きくなる場合もある。このことは固有複屈折が負であることを示しており、フィルム中で発現したReを打ち消すには遅相軸と同一の方向に延伸することが有効である。この方法としては例えば、フィルムが機械搬送方向(MD方向)に遅相軸を有している場合にMD方向の機械搬送ロールの張力を強めて延伸することによって正面Reを小さくすることが考えられる。逆の例として、TD方向に遅相軸を有している場合にはMDとは垂直な方向(TD方向)にテンター延伸を用いて正面Reを小さくすることが考えられる。
[セルロースアシレートフィルムの評価方法]
前記セルロースアシレートフィルムの評価に当たって、以下の方法で測定して実施した。
(面内のレターデーションRe、膜厚方向のレターデーションRth)
試料30mm×40mmを、25℃、60%RHで2時間調湿し、Re(λ)は自動複屈折計KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定した。また、Rth(λ)は前記Re(λ)と、面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向を0°としてサンプルを10°ごとに50°まで傾斜させて波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値を基に、平均屈折率の仮定値1.48および膜厚を入力し算出した。
(Re、Rthの波長分散測定)
試料30mm×40mmを、25℃、60%RHで2時間調湿し、エリプソメーターM−150(日本分光(株)製)において波長780nmから380nmの光をフィルム法線方向に入射させることにより各波長でのReをもとめ、Reの波長分散を測定した。また、Rthの波長分散については、前記Re、面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から780〜380nmの波長の光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長780〜380nmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基に、平均屈折率の仮定値1.48および膜厚を入力して算出した。
(分子配向軸)
試料70mm×100mmを、25℃、65%RHで2時間調湿し、自動複屈折計(KOBRA21DH、王子計測(株))にて、垂直入射における入射角を変化させた時の位相差より分子配向軸を算出した。
(軸ズレ)
また、自動複屈折計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株))で軸ズレ角度を測定した。幅方向に全幅にわたって等間隔で20点測定し、絶対値の平均値を求めた。また、遅相軸角度(軸ズレ)のレンジとは、幅方向全域にわたって等間隔に20点測定し、軸ズレの絶対値の大きいほうから4点の平均と小さいほうから4点の平均の差をとったものである。
(透過率)
試料20mm×70mmを、25℃,60%RHで透明度測定器(AKA光電管比色計、KOTAKI製作所)で可視光(615nm)の透過率を測定した。
(分光特性)
試料13mm×40mmを、25℃,60%RHで分光光度計(U−3210、(株)日立製作所)にて、波長300〜450nmにおける透過率を測定した。傾斜幅は72%の波長−5%の波長で求めた。限界波長は、(傾斜幅/2)+5%の波長で表した。吸収端は、透過率0.4%の波長で表す。これより380nmおよび350nmの透過率を評価した。
[フィルム表面の性状]
本発明セルロースアシレートフィルムの表面は、JISB0601−1994に基づく該膜の表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.1μm以下、及び最大高さ(Ry)が0.5μm以下であることが好ましい。好ましくは、算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以下、及び最大高さ(Ry)が0.2μm以下である。膜表面の凹と凸の形状は、原子間力顕微鏡(AFM)により評価することが出来る。
[セルロースアシレートフィルムのレターデーションの面内ばらつき]
前記セルロースアシレートフィルムは次の式を満たすことがのぞましい。
|Re(MAX)−Re(MIN)|≦3かつ|Rth(MAX)−Rth(MIN)|≦5
[式中、Re(MAX)、Rth(MAX)−は任意に切り出した1m四方のフィルムの最大レターデーション値、Re(MIN)、Rth(MIN)は最小値である。]
[フィルムの保留性]
前記セルロースアシレートフィルムにおいては、フィルムに添加した各種化合物の保留性が要求される。具体的には、前記セルロースアシレートフィルムを80℃/90%RHの条件下に48時間静置した場合のフィルムの質量変化が、0〜5%であることが好ましい。より好ましくは0〜3%であり、さらに好ましくは0〜2%である。
〈保留性の評価方法〉
試料を10cm×10cmのサイズに断裁し、23℃、55%RHの雰囲気下で24時間放置後の質量を測定して、80±5℃、90±10%RHの条件下で48時間放置した。処理後の試料の表面を軽く拭き、23℃、55%RHで1日放置後の質量を測定して、以下の方法で保留性を計算した。
保留性(質量%)={(放置前の質量−放置後の質量)/放置前の質量}×100
[フィルムの力学特性]
(カール)
前記セルロースアシレートフィルムの幅方向のカール値は、−10/m〜+10/mであることが好ましい。前記セルロースアシレートフィルムには後述する表面処理、光学異方性層を塗設する際のラビング処理の実施や配向膜、光学異方性層の塗設や貼合などを長尺で行う際に、前記セルロースアシレートフィルムの幅方向のカール値が前述の範囲外では、フィルムのハンドリングに支障をきたし、フィルムの切断が起きることがある。また、フィルムのエッジや中央部などで、フィルムが搬送ロールと強く接触するために発塵しやすくなり、フィルム上への異物付着が多くなり、光学補償フィルムの点欠陥や塗布スジの頻度が許容値を超えることがある。又、カールを上述の範囲とすることで光学異方性層を設置するときに発生しやすい色斑故障を低減できるほか、偏光膜貼り合せ時に気泡が入ることを防ぐことができ、好ましい。
カール値は、アメリカ国家規格協会の規定する測定方法(ANSI/ASCPH1.29−1985)に従い測定することができる。
(引裂き強度)
JISK7128−2:1998の引裂き試験方法に基ずく引裂き強度(エルメンドルフ引裂き法)が、前記セルロースアシレートフィルムの膜厚が20〜80μmの範囲において、2g以上が好ましい。より好ましくは、5〜25gであり、更には6〜25gである。又、60μm換算で8g以上が好ましく、より好ましくは8〜15gである。具体的には、試料片50mm×64mmを、25℃、65%RHの条件下に2時間調湿した後に軽荷重引裂き強度試験機を用いて測定できる。
[フィルムの残留溶剤量]
前記セルロースアシレートフィルムに対する残留溶剤量が、0.01〜1.5質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。より好ましくは0.01〜1.0質量%である。本発明に用いる透明支持体の残留溶剤量は1.5%以下とすることでカールを抑制できる。1.0%以下であることがより好ましい。これは、前述のソルベントキャスト方法による成膜時の残留溶剤量が少なくすることで自由堆積が小さくなることが主要な効果要因になるためと思われる。
[フィルムの吸湿膨張係数]
前記セルロースアシレートフィルムの吸湿膨張係数は30×10-5/%RH以下とすることが好ましい。吸湿膨張係数は、15×10-5/%RH以下とすることが好ましく、10×10-5/%RH以下であることがさらに好ましい。また、吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10-5/%RH以上の値である。吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。この吸湿膨張係数を調節することで、前記セルロースアシレートフィルムを光学補償フィルム支持体として用いた際、光学補償フィルムの光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇すなわち歪みによる光漏れを防止することができる。
[表面処理]
セルロースアシレートフィルムは、場合により表面処理を行うことによって、セルロースアシレートフィルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
[アルカリ鹸化処理によるフィルム表面の接触角]
前記セルロースアシレートフィルムを偏光板の透明保護フィルムとして用いる場合の表面処理の有効な手段の1つとしてアルカリ鹸化処理が上げられる。この場合、アルカリ鹸化処理後のフィルム表面の接触角が55°以下であることがのぞましい。よりのぞましくは50°以下であり、45°以下であることがさらにのぞましい。接触角の評価法はアルカリ鹸化処理後のフィルム表面に直径3mmの水滴を落とし、フィルム表面と水滴のなす角をもとめる通常の手法によって親疎水性の評価として用いることができる。
(耐光性)
前記セルロースアシレートの光耐久性の指標として、スーパーキセノン光を240時間照射したフィルムの色差ΔE*abが20以下であることがのぞましい。よりのぞましくは18以下であり、15以下であることがさらにのぞましい。色差の測定は、UV3100(島津製作所製)を用いた。測定の仕方は、フィルムを25℃60%RHに2時間以上調湿した後にキセノン光照射前のフィルムのカラー測定を行ない初期値(L0*、a0*、b0*)を求めた。その後、フィルム単体で、スーパーキセノンウェザーメーターSX−75(スガ試験機(株)製)にて、150W/m2、60℃50%RH条件にてキセノン光を240時間照射した。所定時間の経過後、フィルムを恒温槽から取り出し、25℃60%RHに2時間調湿した後に、再びカラー測定を行い、照射経時後の値(L1*、a1*、b1*)を求めた。これらから、色差ΔE*ab=((L0*−L1*2+(a0*−a1*2+(b0*−b1*20.5を求めた。
本発明の液晶表示装置において、前記セルロースアシレートフィルムは、偏光板の保護フィルムであってもよい。偏光板保護フィルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られたセルロースアシレートフィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号、特開平6−118232号に記載されているような易接着加工を施してもよい。
保護フィルム処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、前記光学フィルムを適用した偏光板保護フィルムはどの部位に配置しても優れた表示性が得られる。特に液晶表示装置の表示側最表面の偏光板保護フィルムには透明ハードコート層、防眩層、反射防止層等が設けられるため、該偏光板保護フィルムをこの部分に用いることが得に好ましい。
次に光学異方層について説明する。
[光学異方層]
前記光学異方性層は、ベンド配向モード液晶表示装置の複雑な液晶の配列を光学的に補償するために、少なくとも2層以上であることが好ましい。各層の光学特性は、液晶セルの特性に合わせ、適宜調整することが好ましい。
ベンド配向モードの液晶表示装置の構成、光学特性の調整例としては、特開平8−327822号、同9−176645、同9−176648、同9−230334、同9−244071、同9−258226、同10−68941、同11−212078、特開2000−267127、同2000−292776、同2001−188226、同2002−116439、同2002−116444、同2002−182036、同2002−207227、同2003−4903、同2003−66451、同2003−75639、同2003−75640、同2003−121606、同2003−156743、同2003−232922、同2003−248121、同2003−255396、同2003−279729、同2003−315557、同2004−37714、同2004−46178、同2004−78203、同2004−243628、同2004−249495、International Display Workshop‘03(IDW03)LCT5−2 P77〜80、電子情報通信学会 信学技報(1997−10) P59〜64、同(1996−02) P125〜130、同(1995−06) P43〜48、Jpn.J.Appl.Phys.Vol34(1995) P177〜179、同 P1362〜1364、Appl.Phys.Lett.68(11)1996 P1461〜1463、等に記載がある。
[第1光学異方層]
本発明において、第1光学異方層は、含水率が1.0%以内のポリマーを主成分として含有する。含水率が1.0%以内のポリマーを主成分とすると、環境(温湿度)の変化によって生じる第1光学異方層中への水分の浸入及び第1光学異方層中からの水分の排除の程度が軽減されるので、環境変化による寸度変化が生じ難くなる。その結果、第1光学異方層の寸度変化によって他の部材との貼り合せ面に生じた歪みが原因で発生する光漏れを軽減することができる。なお、含水率は、上記[フィルムの平衡含水率]と同様にして測定することができる。
また、前記第1光学異方層の面内の厚みdの最大値と最小値の差Δdと面内のdの平均値daveとが下記数式(X)を満たすことが好ましい。
数式(X): (Δd/dave)×100≦10%
上記数式(X)を満たすようにするには、第1光学異方性層を塗布形成の際に、均一に塗布し、厚みの変動を少なくすることにより達成できる。
光学異方性層が非液晶化合物からなる場合、ポリマーを用いることが好ましく、特に限定はなく、光透過性の適宜なものを1種又は2種以上を混合して用いことができる。就中、光透過率が75%以上、特に85%以上の透光性に優れ、表面平滑性、複屈折の均一性、耐熱性に優れるフィルムを形成しうるポリマーが好ましい。また安定した量産性等の点より、延伸方向の屈折率が高くなる正の複屈折性を示すポリマーが好ましく用いうる。
ポリマー層は、固体ポリマーを液状化してそれを展開し、その展開層を固体化させてなる塗工膜として形成される。これにより厚さを1〜20μmとすることができる。上記した延伸フィルム方式では、フィルム強度の点より厚さを20μm以下とすることが困難であり、特にその厚さで目的とする位相差特性を付与することが困難である。薄型化や目的とする位相差特性の付与性の点より好ましいポリマー層の厚さは、15μm以下、就中12μm以下、特に2〜10μmである。
ポリマー層の形成には、塗工方式でRe(590)が0〜200nm、かつRth(590)が0〜400の範囲にある層を形成しうる適宜な固体ポリマーを用い得る。光透過率が75%以上、特に85%以上の透光性に優れる層を形成しうる耐熱性の良好な固体ポリマーが好ましい。就中その塗工層形成性等の点よりポリエーテルケトン、特にポリアリールエーテルケトン、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド又はポリエステルイミドの1種、又は2種以上を混合したものなどが好ましく用いられる。
また、ポリマー層の固体ポリマーは、液晶性化合物の配向状態を重合などの手段により固定化したポリマーであってもよい。
本発明に好ましく用いられるポリエーテルケトン、特にポリアリールエーテルケトンの具体例としては、例えば下記の一般式(1)で表される繰返し単位を有するものなどがあげられる(特開2001−49110号公報)。
Figure 0004737993
上記の一般式(1)において、Xはハロゲン、アルキル基又はアルコキシ基であり、ベンゼン環へのXの結合数q、すなわちp−テトラフルオロベンゾイレン基とオキシアルキレン基が結合しない、残る位置での水素原子の置換数qの値は、0〜4の整数である。また、R1は下記の一般式(2)で表される基であり、mは0又は1である。さらにnは、重合度を表し、2〜5000、就中5〜500が好ましい。
Figure 0004737993
なお、上記一般式(1)におけるXとしてのハロゲンとしては、例えばフッ素原子や臭素原子、塩素原子やヨウ素原子などがあげられ、就中フッ素原子が好ましい。またアルキル基としては、例えばメチル基やエチル基、プロピル基やイソプロピル基、ブチル基の如き炭素数が1〜6、就中1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基などがあげられ、就中メチル基やエチル基、それらのトリフルオロメチル基の如きハロゲン化アルキル基が好ましい。
さらにアルコキシ基としては、例えばメトキシ基やエトキシ基、プロポキシ基やイソプロポキシ基、ブトキシ基の如き炭素数が1〜6、就中1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基などがあげられ、就中メトキシ基やエトキシ基、それらのトリフルオロメトキシ基の如きハロゲン化アルコキシ基が好ましい。前記において特に好ましいXは、フッ素原子である。
一方、前記一般式(2)で表される基において、X’はハロゲン、アルキル基又はアルコキシ基であり、ベンゼン環へのX’の結合数q’の値は、0〜4の整数である。X’としてのハロゲン、アルキル基又はアルコキシ基としては、前記したXと同じものが例示できる。
好ましいX’は、フッ素原子、メチル基やエチル基、それらのトリフルオロメチル基の如きハロゲン化アルキル基、メトキシ基やエトキシ基、それらのトリフルオロメトキシ基の如きハロゲン化アルコキシ基であり、就中フッ素原子が好ましい。
なお前記の一般式(1)においてXとX’は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。また一般式(1)、(2)においてq又はq’が2以上であることに基づいて分子中に2個以上存在するX又はX’は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
特に好ましいR1は、下記の一般式(3)で表される基である。
Figure 0004737993
前記の一般式(2)、(3)においてR2は、2価の芳香族基であり、Pは0又は1である。その2価の芳香族基としては、例えば(o,m又はp−)フェニレン基、ナフタレン基、ビフェニル基、アントラセン基、(o,m又はp−)テルフェニル基、フェナントレン基、ジベンゾフラン基、ビフェニルエーテル基、ビフェニルスルホン基、下記の式で表される2価の芳香族基などがあげられる。なお、当該2価の芳香族基は、その芳香環に直接結合する水素が前記したハロゲン、アルキル基又はアルコキシ基で置換されていてもよい。
Figure 0004737993
前記において好ましい2価の芳香族基(R2)は、下記の式で表されるものである。
Figure 0004737993
前記した一般式(1)で表されるポリアリールエーテルケトンは、同じ繰返し単位からなっていてもよいし、異なる繰返し単位の2種又は3種以上を有するものであってもよい。後者の場合、各繰返し単位は、ブロック状に存在していてもよいし、ランダムに存在していてもよい。
上記を踏まえて一般式(1)で表されるポリアリールエーテルケトンの内の好ましいものは、下記の一般式(4)で表されるものである。
Figure 0004737993
また分子末端の基を含めた場合の好ましいポリアリールエーテルケトンは、一般式(1)に対応して下記の一般式(5)で表されるものであり、一般式(4)に対応するものは下記の一般式(6)で表されるものである。これらは分子内のp−テトラフルオロベンゾイレン基側にフッ素原子が結合し、オキシアルキレン基側に水素原子が結合したものである。
Figure 0004737993
Figure 0004737993
一方、上記したポリアミド又はポリエステルの具体例としては、例えば下記の一般式(7)で表される繰返し単位を有するものなどがあげられる。
Figure 0004737993
前記の一般式(7)において、Bは、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル基若しくはそのハロゲン化物、それらの1種若しくは2種以上で置換されたフェニル基、又は非置換のフェニル基である。zは0〜3の整数である。
Eは、共有結合、炭素数2のアルケニル基若しくはそのハロゲン化物、CH2基、C(CX32基、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si(R)2基、又はNR基である。前記のC(CX32基におけるXは、水素原子又はハロゲンであり、Si(R)2基及びNR基におけるRは、炭素数1〜3のアルキル基又はそのハロゲン化物である。なおEは、カルボニル基又はY基に対してメタ位又はパラ位にある。またハロゲンは、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子又は臭素原子である(以下、一般式(7)において同じ)。
さらにYは、O原子又はNH基である。Aは、水素原子、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル基若しくはそのハロゲン化物、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜3のチオアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基若しくはそのハロゲン化物、アリール基若しくはそのハロゲン化物、炭素数1〜9のアルキルエステル基、炭素数1〜12のアリールエステル基若しくはその置換誘導体、又は炭素数1〜12のアリールアミド基若しくはその置換誘導体である。
またnは0〜4の整数、pは0〜3の整数、qは1〜3の整数、rは0〜3の整数である。好ましいポリアミド又はポリエステルは、前記のrとqが1であり、そのビフェニル環の少なくとも1個が2位及び2’位で置換されてなる下記の一般式(8)で表される繰返し単位を有するものである。
Figure 0004737993
前記の一般式(8)においてmは0〜3の整数、好ましくは1又は2であり、x及びyは0又は1で、かつ共に0であることはない。なお、他の記号は前記の一般式(7)の場合と同義であるが、Eはカルボニル基又はY基に対してパラ配向の共有結合である。
前記の一般式(7)、(8)において、B、E、Y又はAが分子中に複数存在する場合、それらは同じであってもよいし、異なっていてもよい。z、n、m、x、yも同様に同じであってもよいし、異なっていてもよい。なおその場合、B、E、Y、A、z、n、m、x、yは、それぞれ独立に判断される。
前記の一般式(7)で表されるポリアミド又はポリエステルは、同じ繰返し単位からなっていてもよいし、異なる繰返し単位の2種又は3種以上を有するものであってもよい。後者の場合、各繰返し単位は、ブロック状に存在していてもよいし、ランダムに存在していてもよい。
他方、上記したポリイミドの具体例としては、例えば9,9−ビス(アミノアリール)フルオレンと芳香族テトラカルボン酸二無水物との縮合重合生成物を含み、下記の一般式(9)で表される繰返し単位を1単位以上有するものなどがあげられる。
Figure 0004737993
前記一般式(9)において、Rは、水素原子、ハロゲン、フェニル基、1〜4個のハロゲン若しくは1〜10個の炭素原子を有するアルキル基で置換されたフェニル基、又は1〜10個の炭素原子を有するアルキル基である。4個のRは、各々独立に決定でき、0〜4個の範囲で置換することができる。その置換基は、前記のものであることが好ましいが、一部に異なるものを含んでいてもよい。なおハロゲンは、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子又は臭素原子である(以下、一般式(9)において同じ)。
Zは、6〜20個の炭素原子を有する三置換芳香族基である。好ましいZは、ピロメリット基、あるいはナフチレン基やフルオレニレン基、ベンゾフルオレニレン基やアントラセニレン基の如き多環式芳香族基若しくはその置換誘導体、又は下記の一般式(10)で表される基である。なお前記多環式芳香族基の置換誘導体における置換基としては、ハロゲン、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基又はそのフッ素化物などがあげられる。
Figure 0004737993
前記の一般式(10)において、Dは、共有結合、C(R22基、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si(C252基、N(R32基又はそれらの組合せであり、mは1〜10の整数である。なお、上記の2個のR2は、各々独立に、水素原子又はC(R43基である。
また、上記の2個のR3は、各々独立に、水素原子、1〜約20個の炭素原子を有するアルキル基、又は約6〜約20個の炭素原子を有するアリール基である。上記3個のR4は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又は塩素原子である。
また、前記以外のポリイミドとして下記の一般式(11)、(12)で表される単位を有するものなどもあげることができる。就中、一般式(13)で表される単位を有するポリイミドが好ましい。
Figure 0004737993
Figure 0004737993
Figure 0004737993
上記の一般式(11)、(12)、(13)において、T及びLは、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル基若しくはそのハロゲン化物、それらの1種若しくは2種以上で置換されたフェニル基、又は非置換のフェニル基である。前記のハロゲンは、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子又は臭素原子である(以下、一般式(11)、(12)、(13)において同じ)。zは0〜3の整数である。
またG及びJは、共有結合若しくは結合ボンド、CH2基、C(CX32基、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si(C252基、又はN(CH3)基である。前記C(CX32基におけるXは、水素原子又はハロゲンである(以下、一般式(11)、(12)、(13)において同じ)。
Aは、水素原子、ハロゲン、アルキル基若しくはそのハロゲン化物、ニトロ基、シアノ基、チオアルキル基、アルコキシ基若しくはそのハロゲン化物、アリール基若しくはそのハロゲン化物、又はアルキルエステル基若しくはその置換誘導体である。
Rは、水素原子、ハロゲン、フェニル基若しくはそのハロゲン化物等の置換フェニル基、又はアルキル基若しくはそのハロゲン化物等の置換アルキル基である。nは0〜4の整数、pは0〜3の整数、qは1〜3の整数である。
なお、前記の一般式(11)、(12)、(13)においてT、A、R又はLは、それぞれ独立に、分子中に複数存在する場合、それらは同じであってもよいし、異なっていてもよい。z、n、mも同様に同じであってもよいし、異なっていてもよい。なおその場合、T、A、R、L、z、n、mは、それぞれ独立に判断される。
前記した一般式(9)、(11)、(12)、(13)で表されるポリイミドは、同じ繰返し単位からなっていてもよいし、異なる繰返し単位の2種又は3種以上を有するものであってもよい。その異なる繰返し単位は、前記以外の酸二無水物及びジアミンの少なくともいずれかを共重合させて形成したものであってもよい。ジアミンとしては、特に芳香族ジアミンが好ましい。後者の異なる繰返し単位を有する場合、各繰返し単位は、ブロック状に存在していてもよいし、ランダムに存在していてもよい。
前記した異なる繰返し単位を形成するための酸二無水物としては、例えばピロメルト酸二無水物、3,6−ジフェニルピロメルト酸二無水物、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ピロメルト酸二無水物、3,6−ジブロモピロメルト酸二無水物、3,6−ジクロロピロメルト酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボフェニル)メタン二無水物があげられる。
またビス(2,5,6−トリフルオロ−3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物(4,4’−オキシジフタル酸無水物)、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物(3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物)、4,4’−〔4,4’−イソプロピリデン−ジ(p−フェニレンオキシ)〕ビス(フタル酸無水物)も前記酸二無水物の例としてあげられる。
さらにN,N−(3,4−ジカルボキシフェニル)−N−メチルアミン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジエチルシラン二無水物、2,3,6,7−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物や1,2,5,6−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロ−ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物の如きナフタレンテトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物やピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物の如き複素環式芳香族テトラカルボン酸二無水物なども前記酸二無水物の例としてあげられる。
好ましく用いうる酸二無水物は、2,2’−ジブロモ−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物や2,2’−ジクロロ−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−トリハロ置換二無水物の如き2,2’−置換二無水物などであり、特に2,2−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましい。
一方、前記した異なる繰返し単位を形成するためのジアミンとしては、例えば(o,m又はp−)フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、1,4−ジアミノ−2−メトキシベンゼン、1,4−ジアミノ−2−フェニルベンゼン、1,3−ジアミノ−4−クロロベンゼンの如きベンゼンジアミン、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンがあげられる。
また4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルチオエ一テル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、1,8−ジアミノナフタレンや1,5−ジアミノナフタレンの如きナフタレンジアミン、2,6−ジアミノピリジンや2,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノ−S−トリアジンの如き複素環式芳香族ジアミンなども前記したジアミンの例としてあげられる。
好ましく用いうるポリイミドは、例えば2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物や4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−2,2−ジフェニルプロパン二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物やビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物などの芳香族系酸二無水物を用いて調製された、耐熱性で溶媒可溶性のポリイミドである。
またジアミンとして、例えば4,4−(9−フルオレニリデン)−ジアニリンや2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンや2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,5,5’−テトラクロロベンジジンや2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンや1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンや1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンなどの芳香族系ジアミンを用いて調製された、耐熱性で溶媒可溶性のポリイミドも好ましく用いうる。
他方、上記したポリアミドイミド又はポリエステルイミドとしては、特に限定はなく適宜なものを1種又は2種以上用いうる。就中、特開昭61−162512号公報に記載されたポリアミドイミドや、特開昭64−38472号公報に記載されたポリエステルイミドなどが好ましく用いうる。
一般式(9)に示すように主鎖に対してフルオレン環のような環構造の盤面が垂直に立つユニットを導入することで、ポリマー層Bを延伸した場合に延伸方向と直交方向の屈折率が増大し、ロールフィルムにおいて縦一軸延伸によって、幅方向の屈折率が大きなフィルムを得ることが出来る。このようなフィルムを使用することで縦一軸延伸フィルムでも、偏光膜とRoll−to―Rollで貼り合わせて光学補償機能を有する偏光板を作製することができる。
また、一般式(9)に示すように主鎖に対してフルオレン環のような環構造の盤面が垂直に立つユニットと、主鎖方向に沿って芳香族環が並んだユニットの割合を調整することで、ポリマー層Bの波長分散を調整することができる。
ポリマー層形成用の固体ポリマーの分子量は、特に限定はないが溶剤に可溶であることが好ましい。就中、塗工膜の厚さ制度や表面精度ないし表面平滑性、膜強度、フィルム化した場合の伸縮や歪等によるクラック発生の防止性、溶剤に対する溶解性(ゲル化防止)などの点より質量平均分子量に基づいて1万〜100万、就中2万〜50万、特に5万〜20万が好ましい。なお質量平均分子量は、ポリエチレンオキサイドを標準試料とし、ジメチルホルムアミド溶媒を使用してゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した値である。
ポリマー層の形成には上記のポリアリールエーテルケトンやポリアミド、ポリエステルやポリイミド等の固体ポリマーを単独で用いてもよいし、同種物を2種以上混合して用いてもよい。また、例えばポリアリールエーテルケトンとポリアミドの混合物の如く、異なる官能基を持つ2種以上のポリマーの混合物として用いてもよい。
またポリマー層を形成する上記固体ポリマーの配向性が著しく低下しない範囲で、上記以外の適宜なポリマーの1種又は2種以上を併用してもよい。その併用ポリマーの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ABS樹脂及びAS樹脂、ポリアセテート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリケトン、ポリイミド、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート、ポリアリレート、液晶ポリマー(光重合性液晶モノマーを含む)などの熱可塑性樹脂があげられる。
またエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂の如き熱硬化性樹脂なども前記併用ポリマーの例としてあげられる。併用ポリマーの使用量は、配向性が著しく低下しない範囲であれば特に制限されないが、通常50質量%以下、就中40質量%以下、特に30質量%以下とされる。
上記のように複数のポリマーを併用することで、光学異方性、波長分散特性、強度・弾性率等の力学物性、透水性、平面性、ポリマーフィルムAとの密着性、粘着剤との密着性等の種々の物性を好ましい範囲に調整することができる。
ポリマー層を形成する固体ポリマーの液状化には、熱可塑性ポリマーを加熱して溶融させる方式や、固体ポリマーを溶媒に溶解させて溶液とする方法などの適宜な方式を採ることができる。従って当該展開層の固体化は、前者の溶融液ではその展開層を冷却させることにより、また後者の溶液ではその展開層より溶媒を除去して乾燥させることにより行うことができる。ポリマー層の形成に際しては、安定剤や可塑剤や金属類等からなる種々の添加剤を必要に応じて配合することができる。
また、ポリマー層の固体ポリマーは、液晶性化合物の配向状態を重合などの手段により固定化したポリマーであってもよい。液晶性化合物としては特許第2587398号公報に例示される低分子液晶性ディスコティック化合物、特開平8−334621号公報に記載される高分子液晶性ディスコティク化合物、特許第2853068号公報に記載の液晶性ポリエステル、特開2000−304930号公報に例示される低分子棒状液晶化合物等、種々の液晶性化合物を用いることができる。
特にポリマー層の膜厚ムラは光学補償シートのRe(λ)およびRth(λ)のムラの原因となるため低減することが好ましい。ポリマー層Bの膜厚ムラは塗布手段の調整、乾燥手段の調整によって低減が可能であり、またポリマー層Bを塗布する支持体の平滑性を向上させることによっても低減が可能である。本発明では、特にポリマー層Bの塗布液中にレベリング剤を添加することにより著しく膜厚ムラを低減できることを見出した。レベリング剤としては、ポリマー層の塗布液の表面張力を低下させる界面活性能のある材料を用いる。
このようなレベリング剤としては、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物、ステアリン酸エチレンオキサイド付加物等のポリエチレングリコール型非イオン系界面活性剤;ソルビタンパルチミン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸トリエステル等の多価アルコール型非イオン系界面活性剤;パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルベタイン等のフッ素系界面活性剤;アルキル変成シリコーンオイル、ポリエーテル変成シリコーンオイル等のシリーコンオイル等があげられる。具体的にはシリコーン系界面活性剤としてはディスパロンLS−009(楠本化成製)、フッ素系界面活性剤としてはディフェンサーMCF−323、メガファックF−171、F−172、F−177、F−142D、F−144D、F−140NK(以上、大日本インキ化学工業製)、フロラードFC−430、FC−170、FC−170C(以上、住友スリーエム製)、アクリル系界面活性剤としてはディスパロンL−1980(楠本化成製)、モダフロー(日本モンサント製)等があげられる。また、特開平9−230143号公報記載のものも使用できる。
上記のレベリング剤は界面活性能があるためポリマー層の表面に多く分布する。形成されたポリマー層Bの表面にレベリング剤が多く存在すると、液晶セルに偏光板を貼り付ける際に使用する粘着剤とポリマー層Bとの接着性が弱くなり、偏光板に不具合があった場合に偏光板を液晶セルから剥がすリワーク作業において粘着剤が液晶セルに残ってしまい、別途粘着剤を有機溶剤でふき取る等作業性が悪くなる。特にフッ素系界面活性剤を使用する場合、粘着剤と接着性が弱くなる場合がある。レベリング剤はポリマー層の厚みムラを低減するために非常に有効であるが、ポリマー層が形成された後にポリマー層表面に残存している必要はなく、むしろポリマー層表面からはなくなったほうが好ましい。ポリマー層を有する光学補償シートを偏光膜に貼り合せる際に行う鹸化処理によって、ポリマー層表面のレベリング剤は除去されることが好ましい。また、有機溶剤でレベリング剤を洗い流してもよい。
前記の乾燥には自然乾燥(風乾)方式や加熱乾燥方式、特に40〜200℃の加熱乾燥方式、減圧乾燥方式などの適宜な方式の1種又は2種以上を採ることができる。乾燥時の乾燥ムラによる厚みムラ低減のためには、塗布直後の環境の風を層流とすることが好ましく、また風速を1m/min以下とすることが好ましい。さらに、塗布直後に吹かせる乾
燥風の動きによる塗布膜の厚みムラ発生を抑えるために乾燥風を吹かせない凝縮乾燥を行うことが好ましい。
前記の溶媒としては、例えばクロロホルムやジクロロメタン、四塩化炭素やジクロロエタン、テトラクロロエタンやトリクロロエチレン、テトラクロロエチレンやクロロベンゼン、オルソジクロロベンゼンの如きハロゲン化炭化水素類、フェノールやパラクロロフェノールの如きフェノール類、ベンゼンやトルエン、キシレンやメトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼンの如き芳香族炭化水素類、アセトンやメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンやシクロヘキサノン、シクロペンタノンや2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンの如きケトン類、酢酸エチルや酢酸ブチルの如きエステル類があげられる。
また、t−ブチルアルコールやグリセリン、エチレングリコールやトリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテルやジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールやジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールの如きアルコール類、ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミドの如きアミド類、アセトニトリルやブチロニトリルの如きニトリル類、ジエチルエーテルやジブチルエーテル、テトラヒドロフランの如きエーテル類、その他、塩化メチレンや二硫化炭素、エチルセロソルブやブチルセロソルブなども前記溶媒の例としてあげられる。
溶媒は、単独で、あるいは2種以上を適宜な組合せで混合して用いることができる。溶液は、塗工粘度等の点より、溶媒100質量部に対して固体ポリマーを2〜100質量部、就中5〜50質量部、特に10〜40質量部溶解させたものが好ましい。
上記の溶剤はポリマー層Bを形成する材料を溶解する機能を有するものを選択することはもちろんであるが、ポリマー層B溶液を塗布する支持体を犯さないものを選択することが好ましい。
液状化したポリマーの展開には、例えばスピンコート法やロールコート法、フローコート法やプリント法、ディップコート法や流延成膜法、バーコート法やグラビア印刷法等のキャスティング法、押出法などの適宜なフィルム形成方式を採ることができる。就中、厚さムラや配向歪ムラ等の少ないフィルムの量産性などの点より、キャスティング法等の溶液製膜法が好ましく適用することができる。
光学補償効果の点からポリマー層のRe(590)は0〜200nmが好ましく、20〜150nmがさらに好ましく、40〜100nmが特に好ましい。また、ポリマー層のRth(590)は0〜400nmが好ましく、50〜350nmが好ましく、100〜300nmが特に好ましい。
ポリマー層は、展開層を固体化させた後、そのRe等の制御を目的に必要に応じて、面内における分子を配向させる処理を施したものであってもよい。すなわち当該展開層を固体化させただけの状態では、nx≒ny>nzでReが小さいことが普通である。ちなみに層厚を10μmとした場合、Reは通例、30nm以下、就中1〜20nmである。
一方、前記の配向処理を施すことにより、面内における配向軸の精度を高めることができて、nx>ny>nzの特性を付与することができ、特にReを増大させることができる。従ってRth(λ)、Re(λ)等の位相差特性を制御することができる。
前記した面内で分子を配向させる処理は、伸張処理及び収縮処理の少なくともいずれかの処理として施すことができ、その伸張処理は、例えば延伸処理などとして施すことができる。延伸処理には逐次方式や同時方式等にる二軸延伸方式、自由端方式や固定端方式等の一軸延伸方式などの適宜な方式の1種又は2種以上を適用することができる。ボーイング現象を抑制する点よりは一軸延伸方式が好ましい。
一方、収縮処理は、例えばポリマー層の塗工形成を基材上で行って、その基材の温度変化等に伴う寸法変化を利用して収縮力を作用させる方式などにより行うことができる。その場合、熱収縮性フィルムなどの収縮能を付与した基材を用いることもでき、そのときには延伸機等を利用して収縮率を制御することが望ましい。
ポリマー層の好ましい形成方式は、溶媒に溶解させて液状化したポリマー溶液を支持基材上に展開して乾燥させ、必要に応じて支持基材を介しその固体化物に伸張処理又は収縮処理の一方又は両方を施す方式である。この方式によれば、ポリマー層を基材で支持した状態で処理できて製造効率や処理精度などに優れており、連続製造も可能である。
また特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマー、例えば(A)側鎖に置換イミド基及び非置換イミド基の少なくともいずれかのイミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換のフェニル基及び非置換のフェニル基の少なくともいずれかの基並びにニトリル基を有する熱可塑性樹脂とを含有する樹脂組成物などもポリマー基材の形成に用いうる。斯かる樹脂組成物の具体例としては、イソブテンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物があげられる。ポリマー基材は、樹脂組成物の混合押出品等からなるフィルムなどとして得ることができる。支持基材による位相差の影響を抑制する点よりは、アセテート系ポリマーの如く等方性に優れるものが好ましい。
[第2光学異方層]
第2異方性層は、少なくとも円盤状化合物(以下、「ディスコティック化合物」という場合もある)を含むことが好ましく、ハイブリッド配向したディスコティック化合物を含有するのがより好ましい。
(ディスコティック液晶性化合物)
本発明に使用可能なディスコティック液晶性化合物の例には、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載の化合物が含まれる。
光学異方性層において、ディスコティック液晶性分子は配向状態(好ましくはハイブリッド配向状態)で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。ディスコティック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。重合性基を有するディスコティック液晶性分子について、特開2001−4387号公報に開示されている。
また、下記に説明する棒状液晶を1種もしくは2種以上、混合して使用することもできる。
(棒状液晶性化合物)
棒状液晶性化合物の例には、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が含まれる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。
光学異方性層において、棒状液晶性分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。本発明に使用可能な重合性棒状液晶性化合物の例には、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許4683327号、同5622648号、同5770107号、世界特許(WO)95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号、特開平1−272551号、同6−16616号、同7−110469号、同11−80081号、および特開2001−328973号などに記載の化合物が含まれる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
[実施例1]
(セルロースアシレートフィルムの作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Eを調製した。この際、置換度2.92のセルロースアシレートを用いた。
<セルロースアシレート溶液E組成>
セルロースアセテート 100質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノール(第2溶媒) 54質量部
1−ブタノール 11質量部
別のミキシングタンクに、下記の組成物を投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液Bを調製した。
<溶液B組成>
メチレンクロライド(第1溶媒) 80質量部
メタノール(第2溶媒) 20質量部
光学異方性低下剤(A−19) 40質量部
波長分散制御剤(UV−102) 4重量部
<セルロースアセテートフィルム試料の作製>
セルロースアシレート溶液Eを465質量部に、添加剤溶液Bの40質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。ドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。溶媒含有率70質量%の場外で剥ぎ取り、フィルムの巾方向の両端をピンテンター(特開平4−1009号の図3に記載のピンテンター)で固定し、溶媒含有率が3〜5質量%の状態で、横方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が3%となる間隔を保ちつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み80μmのセルロースアセテートフィルム試料CAF−01を作製した。
作製したCAF−01の光学特性を、自動複屈折計KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、上記方法により測定した。CAF−01の光学特性を以下に示す。
Re(630):0nm、
Rth(630):−5nm、
|Re(400)−Re(700)|:3nm、及び
|Rth(400)−Rth(700)|:8nm。
(第1光学異方層の作製)
上記CAF−01のロールフィルム上に、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンと、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’一ジアミノビフェニルから合成された質量平均分子量5.9万のポリイミド(含水率0.2%)の15質量%シクロヘキサノン溶液を乾燥後の厚みが6μmとなるように連続的に塗布し、150℃で10分間乾燥し、そのまま連続して150℃の雰囲気中でテンター延伸機で幅方向に17%延伸した。その後、テンタークリップで把持した部分を含む両端を切り落として幅1340mmとして、端から2〜12mmの範囲にナーリングを付け、巻き取った。
(第2光学異方層の作製)
第1光学異方層を塗説したロールフィルムを長手方向に速度20m/分で搬送し、長手方向に対して45°にラビング処理されるようにラビングロ−ル(300mm直径)を設定し、650rpmで回転させて、第1光学異方層表面にラビング処理を施した。ラビングロ−ルと該表面の接触長さは、18mmとなるように設定した。
ラビング処理面上に、下記のディスコティック液晶性化合物41.01Kg、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)4.06Kg、セルロースアセテートブチレ−ト(CAB531−1、イ−ストマンケミカル社製)0.45Kg、光重合開始剤(イルガキュア−907、チバガイギ−社製)1.35Kg、増感剤(カヤキュア−DETX、日本化薬(株)製)0.45Kgを102Kgのメチルエチルケトンに溶解した塗布液に、フルオロ脂肪族基含有共重合体(メガファックF780 大日本インキ(株)製)を0.1Kgを加え、#3.0のワイヤ−バ−を391回転でフィルムの搬送方向と同じ方向に回転させて、20m/分で搬送されているPK−1のラビング処理面に連続的に塗布した。
Figure 0004737993
室温から100℃に連続的に加温する工程で、溶媒を乾燥させ、その後、130℃の乾燥ゾ−ンでディスコティック液晶化合物層の膜面風速がフィルムの搬送方向に平行に2.5m/secとなるように、約90秒間加熱し、ディスコティック液晶化合物を配向させた。次に、80℃の乾燥ゾ−ンに搬送させて、フィルムの表面温度が約100℃の状態で、紫外線照射装置(紫外線ランプ:出力160W/cm、発光長1.6m)により、照度600mWの紫外線を4秒間照射し、架橋反応を進行させて、ディスコティック液晶化合物をその配向に固定した。その後、室温まで放冷し、円筒状に巻き取ってロ−ル状の形態にした。このようにして、ロ−ル状光学補償フィルム(KH−1)を作製した。
ディスコティック液晶化合物層の膜面温度は、127℃であり、この温度での該層の粘度は、695cpであった。粘度は該層と同じ組成比の液晶層(溶媒は除く)を加熱型のE型粘度系で測定した。
作製したロ−ル状光学補償フィルム(KH−1)の一部を切り取り、サンプルとして用いて、光学特性を測定した。波長546nmで測定した光学異方層のReレターデーション値は、Re(0)が30.5nm、Re(40)が44.5nm、Re(−40)が107.5nmであった。
また、光学異方層中のディスコティック液晶化合物の円盤面と支持体面との角度(傾斜角)は、層の深さ方向で連続的に変化し、平均で32゜であった。即ち、層中において円盤状化合物は、ハイブリッド配向に固定されていた。さらに、サンプルから光学異方性層のみを剥離し、光学異方性層の分子対称軸の平均方向を測定したところ、光学補償フィルム(KH−01)の長手方向に対して、45°となっていた。
なお、第1光学異方層(ポリイミド層)の面内レターデーションRe1(λ)と、第2光学異方層(ディスコティック液晶組成物から形成された層)の膜厚方向レターデーションRth(λ)との積、Re1(λ)×Rth2(λ)、は波長450nm、550nmおよび630nmでそれぞれ、6230、5250、4844であった。
(偏光板の作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、実施例1で作成した光学補償フィルム(KH−01)を、セルロースアシレートフィルム(CAF―01)が偏光膜側となるように偏光膜の片側に貼り付けた。
市販のセルローストリアシレートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フィルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の反対側に貼り付けた。偏光膜の透過軸と市販のセルローストリアシレートフィルムの遅相軸とは、直交するように配置した。
このようにして偏光板(HKB−01)を作製した。
(液晶表示装置への実装)
ITO電極付きのガラス基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、配向膜にラビング処理を行った。得られた二枚のガラス基板をラビング方向が平行となる配置で向かい合わせ、セルギャップを4.3μmに設定した。セルギャップにΔnが0.1396の液晶性化合物(ZLI1132、メルク社製)を注入し、ベンド配向液晶セルを作製した。作製した液晶セルのΔn×dは600nmであった。また、液晶セルの大きさは26インチであった。
偏光板(HKB−03)を光学異方層が内側となるようにクロスニコル配置とし、その間に液晶セルをはさみ込んだ。光学異方性層の面内の遅相軸と液晶セルのラビング方向が直交するように粘着剤を用いて貼り合わせた。
なお、作製した液晶セル(Δnd:600nm)、ポリイミド層である第1光学異方層及びハイブリッド配向した円盤状化合物を含有する第2光学異方層(Re1(λ)×Rth2(λ):波長450nm、550nmおよび630nmでそれぞれ、6230、5250、4844)は、上記式(III)を満足していた。
[比較例1]
実施例1の第1光学異方性層の代わりに、下記セルロースアシレートフィルム(CAF−02)を使用した以外は、同様にして、液晶表示装置を作製した。
(セルロースアシレートフィルムCAF−02の作製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
<セルロースアセテート溶液組成>
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェ−ト(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェ−ト(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノ−ル(第2溶媒) 45質量部
染料
(住化ファインケム(株)製 360FP) 0.0009重量部
別のミキシングタンクに、下記のレターデーション上昇剤16質量部、メチレンクロライド80質量部およびメタノ−ル20質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液を調製した。
上記組成のセルロースアセテート溶液464質量部にレターデーション上昇剤溶液36質量部、およびシリカ微粒子(アイロジル製 R972)1.1重量部を混合し、充分に攪拌してド−プを調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、5.0質量部であった。また、シリカ微粒子の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.15質量部であった。
Figure 0004737993
得られたド−プを、幅2mで長さ65mの長さのバンドを有する流延機を用いて流延した。バンド上での膜面温度が40℃となってから、1分乾燥し、剥ぎ取った後、140℃の乾燥風で、テンターを用いて幅方向に28%延伸した。この後、135℃の乾燥風で20分間乾燥し、残留溶剤量が0.3質量%のセルロースアシレートフィルムCAF−02を作製した。セルロースアシレートフィルムCAF−02の含水率は1.6%であった。これを支持体PK−1として用いた。
得られた支持体(PK−1)の幅は1340mmであり、厚さは92μmであった。自動複屈折計KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、上記方法により波長590nmにおけるレターデーション値(Re)を測定したところ、38nmであった。また、波長590nmにおけるレターデーション値(Rth)を測定したところ、175nmであった。
作製した支持体(PK−1)のバンド面側に、1.0Nの水酸化カリウム溶液(溶媒:水/イソプロピルアルコ−ル/プロピレングリコ−ル=69.2重量部/15重量部/15.8重量部)を10cc/m2塗布し、約40℃の状態で30秒間保持した後、アルカリ液を掻き取り、純水で水洗し、エア−ナイフで水滴を削除した。その後、100℃で15秒間乾燥した。このPK−1の純水に対する接触角を求めたところ、42°であった。
(配向膜の作製)
このPK−1上(アルカリ処理面)に、下記の組成の配向膜塗布液を#16のワイヤーバーコ−タ−で28ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥し、配向膜を作製した。
<配向膜塗布液組成>
下記の変性ポリビニルアルコ−ル 10質量部
水 371質量部
メタノ−ル 119質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部
クエン酸エステル(三協化学製 AS3) 0.35重量部
Figure 0004737993
(液晶表示装置の視野角、光漏れの評価)
実施例1、および比較例1の液晶表示装置を、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段階で視野角を測定した。
また、80℃ドライ条件に24時間曝したのちに、点灯する方法で光漏れを評価を目視/官能評価で行った。その結果を表1に示す。
Figure 0004737993
本発明によれば、温湿度によって変化する光学異方層のレターデーション変動による表示ムラが軽減されたOCB用液晶表示装置を提供することが出来る。
本発明の液晶表示装置の一実施形態の概略模式図である。
符号の説明
1 液晶セル
11、21 第2光学異方層
12、22 第1光学異方層
13、23 セルロースアシレートフィルム
14、24 偏光膜

Claims (9)

  1. ベンド配向モードの液晶セルおよび液晶セルの両側に配置された一対の第1及び第2偏光膜を有する液晶表示装置であって、少なくとも前記第1偏光膜と前記液晶セルとの間に、少なくとも、下記式(I)および(II)を満足するセルロースアシレートフィルム、第1及び第2光学異方層を有し、
    前記第1光学異方層が、含水率が1.0%以内のポリマーを含有し、且つ面内の最大屈折率方向と前記第1偏光膜の面内透過軸とが実質的に平行または実質的に垂直となり、
    前記第2光学異方層が、ハイブリット配向した円盤状化合物を含有し、前記第2光学異方層の円盤状化合物の分子対称軸を面内に正射影した方向と前記第1偏光膜の面内の透過軸との角度が実質的に45゜となるように偏光膜、第1光学異方層および第2光学異方層がこの順に配置され、
    前記第1光学異方層が、前記第1偏光膜に前記セルロースアシレートフィルムを介して貼り合せられており、
    さらに、前記液晶セル、前記第1光学異方層および第2光学異方層が、波長450nm、波長550nmおよび波長630nmのいずれの測定においても、下記式(III)を満足する光学特性を有する液晶表示装置:
    (I)0≦Re(630)≦10かつ|Rth(630)|≦25
    (II)|Re(400)−Re(700)|≦10かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35
    (III)0.05<(Δn×d)/(Re1(λ)×Rth2(λ))<0.20
    [式中、Δnは液晶セル中の液晶性分子の固有複屈折率であり;dはnmを単位とする液晶セルの液晶層の厚さであり;Re(λ)は波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)であり;Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)であり;Re1(λ)は第1光学異方層の波長λnmにおける面内のレターデーション値(単位:nm)であり;Rth2(λ)は第2光学異方層の厚み方向のレターデーション値である]。
  2. 前記第1光学異方層が液晶性化合物の配向状態を固定化した層である請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記第1光学異方層が非液晶性化合物からなる層である請求項1に記載の液晶表示装置。
  4. 前記第1光学異方層が非液晶性化合物からなる層であり、シクロオレフィン、ポリエーテルケトン、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド及びポリエステルイミドの少なくとも1種を含有する請求項3に記載の液晶表示装置。
  5. 下記式(I)および(II)を満足するセルロースアシレートフィルム、並びにその表面に、第1及び第2光学異方層をこの順で有するベン配向モードに使用する光学補償フィルムであって、
    前記第1光学異方層が、非液晶性化合物からなる層であり、シクロオレフィン、ポリエーテルケトン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアミドイミド及びポリエステルイミドの少なくとも1種を含有し、
    前記第2光学異方層が、ハイブリット配向した円盤状化合物を含有し、
    前記第1光学異方性層の前記第2光学異方性層との接触面がラビング処理を施されていることを特徴とする光学補償フィルム:
    (I)0≦Re(630)≦10かつ|Rth(630)|≦25
    (II)|Re(400)−Re(700)|≦10かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35
    [式中、Re(λ)は波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)であり;Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である]。
  6. 前記第1光学異方性層が、含水率が1.0%以内のポリイミドを含有することを特徴とする請求項5に記載のベン配向モードに使用する光学補償フィルム。
  7. Δn×dの値が下記式(III)を満足するベンド配向モードの液晶セルと組合せて用いられることを特徴とする請求項5又は6に記載のベン配向モードに使用する光学補償フィルム:
    (III)0.05<(Δn×d)/(Re1(λ)×Rth2(λ))<0.20
    [式中、Δnは液晶セル中の液晶性分子の固有複屈折率であり;dはnmを単位とする液晶セルの液晶層の厚さであり;Re1(λ)は第1光学異方層の波長λnmにおける面内のレターデーション値(単位:nm)であり;Rth2(λ)は第2光学異方層の厚み方向のレターデーション値である]。
  8. 請求項5〜7のいずれか1項に記載の光学補償フィルムの製造方法であって、
    長尺状の下記式(I)および(II)を満足するセルロースアシレートフィルムの表面に、シクロオレフィン、ポリエーテルケトン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアミドイミド及びポリエステルイミドの少なくとも1種を含有する非液晶性組成物を塗布して、非液晶性組成物からなる層を形成すること、
    非液晶性組成物からなる層の表面を長手方向に対して45°の方向にラビング処理して第1光学異方性層を形成すること、及び
    第1光学異方性層のラビング処理面上で、円盤状化合物の分子をハイブリッド配向させてその分子対称軸を長手方向に対して実質的に45゜とし、第2光学異方性層を形成すること、を含む光学補償フィルムの製造方法:
    (I)0≦Re(630)≦10かつ|Rth(630)|≦25
    (II)|Re(400)−Re(700)|≦10かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35
    [式中、Re(λ)は波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)であり;Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である]。
  9. 偏光膜と、請求項5〜7のいずれか1項に記載の光学補償フィルムとを少なくとも有する偏光板。
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