JP2006220971A - 光学補償シート、偏光板およびこれを用いた液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】液晶表示装置の黒表示時において正面から視角を倒した場合の色変化を改善できる理想的な波長分散特性を複数の位相差フィルムの積層により実現した光学補償シート、前記光学補償シートを保護膜として使用した偏光板、前記偏光板を使用した液晶表示装置の提供。
【解決手段】下記式(1)および(2)を満たす透明支持体上に、下記式(3)を満たす光学異方性層A、下記式(4)を満たす光学異方性層Cをこの順に、または、光学異方性層C、光学異方性層Aをこの順に有する光学補償シート。(1)0≦Re590≦10かつ|Rth590|≦25(2)|Re450−Re650|≦10かつ|Rth450−Rth650|≦35(3)10≦Re590≦150かつ0≦Rth590≦200(4)0≦Re590≦10かつ40≦Rth590≦400
【選択図】図1

Description

本発明は、黒表示時において正面から視角を倒した場合の色変化を改良した光学補償シート、前記光学補償シートを用いた偏光板、および前記偏光板を用いた液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、低電圧・低消費電力で小型化・薄膜化が可能である点など様々な利点から、パーソナルコンピューターや携帯機器のモニター、テレビ用途に広く利用されている。このような液晶表示装置は、液晶セル内の液晶分子の配列状態により様々なモードが提案されているが、従来は液晶セルの下側基板から上側基板に向かって約90°捩れた配列状態になるTNモードが主流であった。
一般に液晶表示装置は、液晶セル、光学補償シート、偏光子から構成される。光学補償シートは、画像着色を解消したり、視野角を拡大したりするために用いられており、延伸した複屈折フィルムや透明フィルムに液晶を塗布したフィルムが使用されている。
例えば、特許文献1では、ディスコティック液晶をトリアセチルセルロースフィルム上に塗布し配向させて、固定化した光学補償シートをTNモードの液晶セルに適用し、視野角を広げる技術が開示されている。しかしながら、大画面で様々な角度から見ることが想定されるテレビ用途の液晶表示装置は、視野角依存性に対する要求が厳しく、前述のような手法をもってしても要求を満足することはできていない。そのため、IPS(In−Plane Switching)モード、OCB(Optically Compensatory Bend)モード、VA(Vertically Aligned)モードなど、TNモードとは異なる液晶表示装置が研究されている。特にVAモードはコントラストが高く、大型サイズでの製造の歩留まりが比較的高いことからTV用の液晶表示装置として着目されている。
VAモード用の光学補償シートとしては、光学的に正の一軸で光学軸がフィルム面内にあるフィルム(Aプレート)と、光学的に負の一軸で光学軸がフィルム法線方向にあるフィルム(Cプレート)を組み合わせたもの、光学的二軸性フィルム等を使用することにより広視野角が実現できることが開示されている(特許文献2、特許文献3)。しかしながら、これらの公知文献には黒表示時において正面から視角を倒した場合の色変化の改良については示されていない。
このようなVAモード用の光学補償シートでは、黒表示時において正面から視角を倒した場合の色変化は、Reλの波長分散を逆波長分散(短波長側のReλが長波長側のReλよりも小さい)かつRthλの波長分散を順波長分散(短波長側のReλが長波長側のReλよりも大きい)とすることで改良でき、このような波長分散特性を有する光学的二軸性フィルムが開示されている(特許文献4)。
VAモード用の光学補償シートの具体的な実現手段として、特許文献5では、ノルボルネン系高分子(商品名ARTON)の縦一軸延伸フィルムと、トリアセチルセルロースフィルム(商品名:フジタックSH−80)上に疎水性樹脂(商品名:デンカブチラール#3000−K)中に有機粘度複合体(商品名:ルーセンタイトSTN、ルーセンタイトSPN)を含む層を形成したフィルムを積層した光学補償シートが開示されている。しかし、ARTONの縦一軸延伸フィルムのReλの波長分散はほぼ波長によらず一定であり、またトリアセチルセルロースフィルムのRthλの波長分散は逆波長分散であるため、黒表示時において正面から視角を倒した場合の色変化の改善の点では性能が十分でない。また、疎水性樹脂中に有機粘度複合体を含む光学異方性層は耐久性が低く、脆いため加工適性が悪いという問題もある。
VAモード用の光学補償シートの具体的な実現手段として、特許文献6では、トリアセチルセルロース(商品名:フジタックT−50SH)上に棒状ネマティック液晶からなる光学異方性層を設け、さらにコレステリック液晶からなる光学異方性層を設けた光学補償シート、および前記トリアセチルセルロース上にポリイミド層からなる光学異方性層を設け、さらに棒状ネマティック液晶層を設けた光学補償シート、および前記の光学補償シートをトリアセチルセルロースを保護膜として用いた偏光板に積層した光学補償層付き偏光板が開示されている。これら2種の光学補償シート付き偏光板のいずれにおいても、棒状ネマティック液晶からなる光学異方性層のReλの波長分散は順分散であり、またトリアセチルセルロースフィルムのRthλの波長分散は逆波長分散であるため、黒表示時において正面から視角を倒した場合の色変化の改善の点では性能が十分でない。
特許第2587398号公報 特開平11−258605号公報 特開平11−133413号公報 WO2004/068226A1号公報 特開平11−95208号公報 特開2002−311243号公報
本発明の第1の課題は、液晶表示装置の黒表示時において正面から視角を倒した場合の色変化を改善できる理想的な波長分散特性を複数の位相差フィルムの積層により実現した光学補償シートを提供することである。
本発明の第2の課題は、前記光学補償シートを保護膜として使用した偏光板を提供することである。
本発明の第3の課題は、前記偏光板を使用した液晶表示装置を提供することである。
本発明の課題は、下記手段によって達成された。
[1]下記式(1)および(2)を満たす透明支持体上に、下記式(3)を満たす光学異方性層A、下記式(4)を満たす光学異方性層Cをこの順に有する光学補償シート。
(1)0≦Re590≦10かつ|Rth590|≦25
(2)|Re450−Re650|≦10かつ|Rth450−Rth650|≦35
(3)10≦Re590≦150かつ0≦Rth590≦200
(4)0≦Re590≦10かつ40≦Rth590≦400
[式中、Reλは波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rthλは波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
[2]下記式(1)および(2)を満たす透明支持体上に、下記式(4)を満たす光学異方性層C、下記式(3)を満たす光学異方性層Aをこの順に有する光学補償シート。
(1)0≦Re590≦10かつ|Rth590|≦25
(2)|Re450−Re700|≦10かつ|Rth405−Rth650|≦35
(3)10≦Re590≦150かつ0≦Rth590≦200
(4)0≦Re590≦10かつ40≦Rth590≦400
[式中、Reλは波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rthλは波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
[3]前記透明支持体がRthλを低下させる化合物を、下記式(5)、(6)を満たす範囲で少なくとも一種含有することを特徴とする[1]または[2]に記載の光学補償シート。
(5)(Rthλ(A)−Rthλ(0))/A≦−1.0
(6)0.01≦A≦30
[式中、Rthλ(A):Rthλを低下させる化合物をA%含有した透明支持体のRthλ(nm)、Rthλ(0):Rthλを低下させる化合物を含有しない透明支持体のRthλ(nm)、A:透明支持体原料ポリマーの質量を100としたときの化合物の質量(%)である。]
[4]前記透明支持体が|Re400−Re700|および|Rth400−Rth700|を低下させる化合物を少なくとも1種、支持体原料ポリマー固形分に対して0.01〜30質量%含むことを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の光学補償シート。
[5]前記透明支持体がセルロースアシレートフィルムからなることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の光学補償シート。
[6] 前記セルロースアシレートフィルムが、アシル置換度が2.85〜3.00のセルロースアシレートに、ReλおよびRthλを低下させる化合物を少なくとも1種、セルロースアシレート固形分に対して0.01〜30質量%含むことを特徴とする[5]に記載の光学補償シート。
[7]前記透明支持体の膜厚が10〜120μmであることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の光学補償シート。
[8]前記光学異方性層Aが延伸ポリマーフィルムであることを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載の光学補償シート。
[9]前記光学異方性層Aが液晶性化合物から形成されることを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載の光学補償シート。
[10]前記光学異方性層Cが延伸ポリマーフィルムであることを特徴とする[1]〜[9]のいずれかに記載の光学補償シート。
[11]前記光学異方性層Cが液晶性化合物から形成されることを特徴とする[1]〜[9]のいずれかに記載の光学補償シート。
[12]前記光学異方性層Cが非液晶性化合物から形成されることを特徴とする[1]〜[9]のいずれかに記載の光学補償シート。
[13]前記光学異方性層AのReλの波長依存性が下記式(7)、(8)を満たすことを特徴とする[1]〜[12]のいずれかに記載の光学補償シート。
(7)Re450/Re550=0.60〜0.98
(8)Re650/Re550=1.00〜1.60
[14]前記光学異方性層CのRthλの波長依存性が下記式(9)、(10)を満たすことを特徴とする[1]〜[12]のいずれかに記載の光学補償シート。
(9)Rth450/Rth550=1.02〜1.60
(10)Rth650/Rth550=0.60〜1.00
[15]前記光学異方性層AのReλの波長依存性が下記式(7)、(8)を満たし、かつ前記光学異方性層CのRthλの波長依存性が下記式(9)、(10)を満たすことを特徴とする[1]〜[12]のいずれかに記載の光学補償シート。
(7)Re450/Re550=0.60〜0.98
(8)Re650/Re550=1.00〜1.60
(9)Rth450/Rth550=1.02〜1.60
(10)Rth650/Rth550=0.60〜1.00
[16]偏光子の両側に保護膜を有する偏光板であって、少なくとも一方の保護膜が[1]〜[15]のいずれかに記載の光学補償シートであって、透明支持体面側が偏光子と貼り合わされることを特徴とする偏光板。
[17]前記保護膜が、可塑剤、紫外線吸収剤、剥離促進剤、染料、マット剤、および導電性微粒子からなる群から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする[16]に記載の偏光板。
[18]少なくとも一方の保護膜の表面に、ハードコート層、防眩層、反射防止層、防汚層、および帯電防止層からなる群から選択される少なくとも一層が設けられた[16]または[17]に記載の偏光板。
[19]液晶セルと液晶セルの両側に配置された一対の偏光板を有する液晶表示装置であって、該偏光板の少なくとも一方が[16]〜[18]のいずれかに記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
[20]液晶セルと液晶セルの両側に配置された一対の偏光板を有する液晶表示装置であって、前記偏光板は、偏光子と該偏光板を挟持する一対の保護膜とから構成され、前記保護膜の少なくとも一枚が[1]に記載の光学補償シートであることを特徴とする液晶表示装置。
[21]液晶セルと液晶セルの両側に配置された一対の偏光板を有する液晶表示装置であって、前記偏光板は、偏光子と該偏光板を挟持する一対の保護膜とから構成され、前記保護膜の少なくとも一枚が[2]に記載の光学補償シートであることを特徴とする液晶表示装置。
[22]前記液晶セルがVAモードであることを特徴とする[19]〜[21]のいずれかに記載の液晶表示装置。
本発明により、液晶表示装置の黒表示時において正面から視角を倒した場合の色変化を改善できる理想的な波長分散特性を有する光学補償シートを提供することができる。
特に、本発明によれば、光学補償シートを形成する透明支持体の光学異方性(Reλ、Rthλ)を小さくすることにより、透明支持体の光学特性によって光学異方性層の光学補償効果に悪影響を与えることなく、理想的な光学補償を実現することができ、特に黒表示時において正面から視角を倒した場合の色変化を改良することができる。
更に、本発明によれば、上記光学補償シートおよび現在一般的に用いられている、例えば延伸ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光子から、従来のセルローストリアセテートを保護膜とする偏光板製造プロセスによって偏光板を作製することができ、更に、この偏光板を用いることにより、高い表示品質を有する液晶表示装置を提供することができる。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明において、Reλ、Rthλは各々、波長λにおける正面レターデーション値(単位:nm)および膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)を表す。ReλはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rthλは前記Reλ、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHが算出する。ここで平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する: セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
本発明の第1の態様の光学補償シートは、下記式(1)および(2)を満たす透明支持体上に、下記式(3)を満たす光学異方性層A、下記式(4)を満たす光学異方性層Cをこの順に有する光学補償シートである。
本発明の第2の態様の光学補償シートは、下記式(1)および(2)を満たす透明支持体上に、下記式(4)を満たす光学異方性層C、下記式(3)を満たす光学異方性層Aをこの順に有する光学補償シートである。
(1)0≦Re590≦10かつ|Rth590|≦25
(2)|Re450−Re650|≦10かつ|Rth450−Rth650|≦35
(3)10≦Re590≦150かつ0≦Rth590≦200
(4)0≦Re590≦10かつ40≦Rth590≦400
本発明では、光学補償シートを形成する透明支持体が、上記式(1)および式(2)を満たすことにより、透明支持体の光学特性によって光学異方性層の光学補償効果に悪影響を与えることなく、理想的な光学補償を実現することができ、特に液晶表示装置の黒表示時において正面から視角を倒した場合の色変化を改良することができる。上記式(1)は、好ましくは、0≦Re590≦5かつ|Rth590|≦10nmであり、0≦Re590≦3かつ|Rth590|≦5nmであることが特に好ましい。上記式(2)は、|Re450−Re650|≦5かつ|Rth450−Rth650|≦25であることが好ましく、|Re450−Re650|≦3かつ|Rth450−Rth650|≦15であることが特に好ましい。
以下に、上記透明支持体について更に説明する。
[透明支持体]
本発明に用いられる透明支持体は高分子フィルムであることが好ましく、その材料としてはシクロオレフィン系ポリマー等の固有複屈折が小さなものを使用することが好ましい。シクロオレフィンポリマーの具体的な例としては、特開平1−132625号公報、特開平1−132626号公報、特開平1−240517号公報、特開昭63−145324号公報、特開昭63−264626号公報、特開昭63−218726号公報、特開平2−133413号公報、特開昭60−168708号公報、特開昭61−120816号公報、特開昭60−115912号公報、特開昭62−252406号公報、特開昭60−252407号公報、WO2004/049011A1号公報、WO2004/068226A1号公報、WO2004/070463A1号公報に記載のものを挙げることができる。また、上市されているシクロオレフィン系ポリマーとしては、ARTON(JSR(株)製)、ZEONOR(日本ゼオン(株)製)、ZEONEX(日本ゼオン(株)製)、エスシーナ(積水化学工業(株)製)を使用することができる。
本発明に用いられる透明支持体としては、従来の偏光板の作製プロセスが使用可能であるという点で、セルロースアシレートフィルムを使用することがさらに好ましい。
以下にセルロースアシレートフィルムに関して説明する。
[セルロースアシレート原料綿]
本発明に用いられるセルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースとしては、例えばプラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができる。但し、本発明において使用されるセルロースアシレートフィルムは、特に限定されるものではない。
[セルロースアシレート置換度]
次に上述のセルロースを原料に製造される、本発明において使用されるセルロースアシレートについて記載する。本発明において使用されるセルロースアシレートはセルロースの水酸基がアシル化されたもので、その置換基はアシル基の炭素原子数が2のアセチル基から炭素原子数が22のものまでいずれも用いることができる。本発明において使用されるセルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基に置換する酢酸および/または炭素原子数3〜22の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって置換度を得ることができる。測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することが出来る。
上述のように本発明において使用されるセルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への置換度は特に限定されないが、セルロースの水酸基へのアシル置換度が2.50〜3.00であることがのぞましい。さらには置換度が2.75〜3.00であることがのぞましく、2.85〜3.00であることがよりのぞましい。なお、アシル置換度とは、セルロースの水酸基に含まれる水素原子がアシル基に置換された割合を表し、セルロースの水酸基に含まれる水素原子がすべてアシル基に置換されたとき、アシル置換度が3となる。
セルロースの水酸基に置換する酢酸および/または炭素原子数3〜22の脂肪酸のうち、炭素数2〜22のアシル基としては、脂肪族基でもアリル基でもよく特に限定されず、単一でも2種類以上の混合物でもよい。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましいアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、へプタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、iso−ブタノイル基、t−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などを挙げることが出来る。これらの中でも、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、t−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などが好ましく、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基がより好ましい。
本発明の発明者が鋭意検討した結果、上述のセルロースの水酸基に置換するアシル置換基のうちで、実質的にアセチル基/プロピオニル基/ブタノイル基の少なくとも2種類からなる場合においては、その全置換度が2.50〜3.00の場合にセルロースアシレートフィルムの光学異方性が低下できることがわかった。より好ましいアシル置換度は2.60〜3.00であり、さらにのぞましくは2.65〜3.00である。
[セルロースアシレートの重合度]
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であり、セルロースアセテートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400が更に好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度が高すぎるとセルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなり、流延によりフィルム作製が困難になる。重合度が低すぎると作製したフィルムの強度が低下してしまう。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。特開平9−95538号公報に詳細に記載されている。
また、本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがさらに好ましく、1.0〜1.6であることが最も好ましい。
低分子成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低くなるため有用である。低分子成分の少ないセルロースアシレートは、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより実施できる。なお、低分子成分の少ないセルロースアシレートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量部に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量部分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。本発明において使用されるセルロースアシレートの製造時に使用される際には、その含水率は2質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1質量%以下であり、特に好ましくは0.7質量%以下である。一般に、セルロースアシレートは、水を含有しており、その含水率は2.5〜5質量%程度であることが知られている。本発明において、上記好ましい含水率のセルロースアシレートを得るためには、セルロースアシレートを乾燥させればよく、その方法は目的とする含水率になれば特に限定されない。これらのセルロースアシレートは、その原料綿や合成方法は発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)7頁〜12頁に詳細に記載されている。
本発明において使用されるセルロースアシレートは置換基、置換度、重合度、分子量分布など前述した範囲であれば、単一あるいは異なる2種類以上のセルロースアシレートを混合して用いることができる。
[セルロースアシレートへの添加剤]
本発明において、セルロースアシレートフィルムを製造するために用いられるセルロースアシレート溶液には、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、光学異方性を低下させる化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、光学特性調整剤など)を加えることができ、これらについて以下に説明する。またその添加する時期はドープ作製工程において何れでも添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。
本発明において使用される透明支持体、特に、セルロースアシレートフィルムからなる透明支持体は、光学異方性、具体的にはReλおよびRthλ、特にRthλを低下させる化合物を、下記式(5)および(6)を満たす範囲で少なくとも一種含有することがのぞましい。
(5)(Rthλ(A)−Rth(0))/A≦−1.0
(6)0.01≦A≦30
上記式(5)、(6)は
(5)(Rthλ(A)−Rth(0))/A≦−2.0
(6)0.05≦A≦25
であることがよりのぞましく、
(5)(Rthλ(A)−Rth(0))/A≦−3.0
(6)0.1≦A≦20
であることがさらにのぞましい。
ここで、Rthλ(A):Rthλを低下させる化合物をA%含有した透明支持体のRthλ(nm)、Rthλ(0):Rthλを低下させる化合物を含有しない透明支持体のRthλ(nm)、A:透明支持体原料ポリマーの質量を100としたときの化合物の質量(%)である。
[透明支持体の光学異方性を低下させる化合物の構造的特徴]
透明支持体、特に、セルロースアシレートフィルムからなる透明支持体の光学異方性を低下させる化合物について説明する。本発明の発明者らは、鋭意検討した結果、透明支持体中のポリマー成分、特にセルロースアシレートが面内および膜厚方向に配向することを抑制する化合物を用いて光学異方性を十分に低下させ、ReλおよびRthλがゼロに近くなるようにした。このためには光学異方性を低下させる化合物は、透明支持体中のポリマー成分、特にセルロースアシレートに十分に相溶し、化合物自身が棒状の構造や平面性の構造を持たないことが有利である。具体的には芳香族基のような平面性の官能基を複数持っている場合、それらの官能基を同一平面ではなく、非平面に持つような構造が有利である。
(LogP値)
本発明において使用されるセルロースアシレートフィルムを作製するにあたっては、上述のようにフィルム中のセルロースアシレートが面内および膜厚方向に配向することを抑制して光学異方性を低下させる化合物のうち、オクタノール−水分配係数(logP値)が0〜7である化合物を用いることが好ましい。logP値が7を超える化合物は、セルロースアシレートとの相溶性に乏しく、フィルムの白濁や粉吹きを生じやすい。また、logP値が0よりも小さな化合物は親水性が高いために、セルロースアセテートフィルムの耐水性を悪化させる場合がある。logP値としてさらに好ましい範囲は1〜6であり、特に好ましい範囲は1.5〜5である。
オクタノール−水分配係数(logP値)の測定は、JIS日本工業規格Z7260−107(2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。また、オクタノール−水分配係数(logP値)は実測に代わって、計算化学的手法あるいは経験的方法により見積もることも可能である。計算方法としては、Crippen's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)、Viswanadhan's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,29,163(1989).)、Broto's fragmentation法(Eur.J.Med.Chem.- Chim.Theor.,19,71(1984).)などが好ましく用いられるが、Crippen's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)がより好ましい。ある化合物のlogPの値が測定方法あるいは計算方法により異なる場合に、該化合物が本発明の範囲内であるかどうかは、Crippen's fragmentation法により判断することが好ましい。なお、本発明に記載のlogPの値は、Crippen's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)により求めたものである。
[光学異方性を低下させる化合物の物性]
光学異方性を低下させる化合物は、芳香族基を含有しても良いし、含有しなくても良い。また光学異方性を低下させる化合物は、分子量が150以上3000以下であることが好ましく、170以上2000以下であることがより好ましく、200以上1000以下であることが特に好ましい。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であっても良いし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でも良い。
光学異方性を低下させる化合物は、好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜250℃の固体であり、さらに好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜200℃の固体である。また光学異方性を低下させる化合物は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
光学異方性を低下させる化合物の添加量は、支持体原料ポリマー、特にセルロースアシレートの固形分に対し、0.01〜30質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることが特に好ましい。特に、本発明では、アシル置換度が2.85〜3.00のセルロースアシレートに対し、前述の光学異方性を低下させる化合物を少なくとも一種、上記添加量で添加することが好ましい。
光学異方性を低下させる化合物は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
光学異方性を低下させる化合物を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
光学異方性を低下させる化合物は、少なくとも一方の側の表面から全膜厚の10%までの部分における該化合物の平均含有率が、該透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)の中央部における該化合物の平均含有率の80−99%であることが好ましい。光学異方性を低下させる化合物の存在量は、例えば、特開平8−57879号公報に記載の赤外吸収スペクトルを用いる方法などにより表面および中心部の化合物量を測定して求めることができる。
以下に本発明で好ましく用いられる、透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)の光学異方性を低下させる化合物の具体例を示すが、本発明はこれら化合物に限定されない。
本発明では、透明支持体の光学異方性を低下させる化合物として、下記一般式(13)の化合物を使うことが好ましい。
Figure 2006220971
上記一般式(13)において、R1はアルキル基またはアリール基を表し、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。また、R1、R2およびR3の炭素原子数の総和が10以上であることが特に好ましい。置換基としてはフッ素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が好ましく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が特に好ましい。また、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数1〜25のものが好ましく、6〜25のものがより好ましく、6〜20のもの(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、アミル基、イソアミル基、t-アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ビシクロオクチル基、ノニル基、アダマンチル基、デシル基、t-オクチル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、ジデシル基)が特に好ましい。アリール基としては炭素原子数が6〜30のものが好ましく、6〜24のもの(例えば、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ナフチル基、ビナフチル基、トリフェニルフェニル基)が特に好ましい。一般式(13)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2006220971
Figure 2006220971
Figure 2006220971
本発明において、透明支持体の光学異方性を低下させる化合物としては、下記一般式(18)または一般式(19)で表される化合物を用いることも好ましい。
Figure 2006220971
[式中、R1はアルキル基またはアリール基を表し、R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。]
Figure 2006220971
上記一般式(19)において、R4、R5およびR6はそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表す。
一般式(18)または(19)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2006220971
Figure 2006220971
Figure 2006220971
Figure 2006220971
Figure 2006220971
Figure 2006220971
Figure 2006220971
Figure 2006220971
[波長分散調整剤]
本発明では、前記透明支持体に対し、フィルムの波長分散を低下させる化合物(以下波長分散調整剤ともいう)を添加することが好ましい。
以下、波長分散調整剤について説明する。
本発明では、透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)に対して、波長200〜400nmの紫外領域に吸収を持つことによりフィルムの着色を防止し、フィルムのReλおよびRthλの波長分散を制御できる化合物を添加することにより、波長450nmと650nmでのReλ、Rthλの差、即ち、|Re450−Re650|および|Rth450−Rth650|を低下させることができ、更に、波長400nmと700nmでのReλ、Rthλの差、即ち、|Re400−Re700|および|Rth400−Rth700|を低下させることもできる。前述のように、本発明の光学補償シートにおいて、透明支持体は、|Re450−Re650|≦10かつ|Rth450−Rth650|≦35であり、好ましくは、|Re450−Re650|≦5かつ|Rth450−Rth650|≦25であり、特に好ましくは|Re450−Re650|≦3かつ|Rth450−Rth650|≦15である。
更に、本発明では、透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)のRthの波長分散を良化させるために、下記式(iv)で表されるRthの波長分散ΔRth=|Rth(400)−Rth(700)|を低下させる化合物を、下記式(v)、(vi)をみたす範囲で少なくとも一種含有させることがのぞましい。
(iv)ΔRth=|Rth(400)−Rth(700)
(v)(ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−2.0
(vi)0.01≦B≦30
上記式(v)、(vi)は
(v)(ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−3.0
(vi)0.05≦B≦25
であることがよりのぞましく、
(v)(ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−4.0
(vi)0.1≦B≦20
であることがさらにのぞましい。
セルロースアシレートフィルムのRe、Rthの値は一般に短波長側よりも長波長側が大きい波長分散特性となる。したがって相対的に小さい短波長側のRe、Rthを大きくすることによって波長分散を平滑にすることが要求される。一方200〜400nmの紫外領域に吸収を持つ化合物は短波長側よりも長波長側の吸光度が大きい波長分散特性をもつ。この化合物自身がセルロースアシレートフィルム内部で等方的に存在していれば、化合物自身の複屈折性、ひいてはRe、Rthの波長分散は吸光度の波長分散と同様に短波長側が大きいと想定される。
したがって上述したような、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、化合物自身のReλ、Rthλの波長分散が短波長側が大きいと想定されるものを用いることによって、セルロースアシレートフィルムのReλ、Rthλの波長分散を調製することができる。このためには波長分散を調整する化合物はセルロースアシレートに十分均一に相溶することが好ましい。このような化合物の紫外領域の吸収帯範囲は200〜400nmが好ましく、220〜395nmがより好ましく、240〜390nmがさらに好ましい。
また、近年テレビやノートパソコン、モバイル型携帯端末などの液晶表示装置ではより少ない電力で輝度を高めるために、液晶表示装置に用いられる光学部材には、優れた透過率が要求されている。その点においては、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、フィルムのReλ、Rthλの波長分散、具体的には、|Re450−Re650|および|Rth450−Rth650|、|Re400−Re700|および|Rth400−Rth700|を低下させる化合物を含むセルロースアシレートフィルムは、高い分光透過率を有することが好ましい。本発明において使用されるセルロースアシレートフィルムにおいては、波長380nmにおける分光透過率が45%以上95%以下であり、かつ波長350nmにおける分光透過率が10%以下であることがのぞましい。
上述のような、本発明で好ましく用いられる波長分散調整剤は揮散性の観点から分子量が250〜1000であることが好ましい。より好ましくは260〜800であり、更に好ましくは270〜800であり、特に好ましくは300〜800である。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であっても良いし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でも良い。
波長分散調整剤は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
(化合物添加量)
上述した本発明で好ましく用いられる波長分散調整剤の添加量は、支持体原料ポリマー(好ましくはセルロースアシレート)固形分に対して0.01〜30質量%であることが好ましく、0.1〜20質量%であることがより好ましく、0.2〜10質量%であることが特に好ましい。
(化合物添加の方法)
またこれら波長分散調整剤は、単独で用いても、2種以上の化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
またこれら波長分散調整剤を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
本発明に好ましく用いられる波長分散調整剤の具体例としては、例えばベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノ基を含む化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられるが、本発明はこれら化合物だけに限定されるものではない。
ベンゾトリアゾール系化合物としては一般式(101)で示されるものが波長分散調整剤として好ましく用いられる。
一般式(101) Q1−Q2−OH
(式中、Q1は含窒素芳香族ヘテロ環Q2は芳香族環を表す。)
1は含窒素方向芳香族へテロ環を表し、好ましくは5〜7員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは5〜6員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、例えば、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、セレナゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾセレナゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ナフトチアゾール、ナフトオキサゾール、アザベンズイミダゾール、プリン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、トリアザインデン、テトラザインデン等があげられ、更に好ましくは、5員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、具体的にはイミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、チアジアゾール、オキサジアゾールが好ましく、特に好ましくは、ベンゾトリアゾールである。
1で表される含窒素芳香族ヘテロ環は更に置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。また、置換基が複数ある場合にはそれぞれが縮環して更に環を形成してもよい。
2で表される芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)更に好ましくはベンゼン環である。
芳香族ヘテロ環として好ましくは窒素原子あるいは硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
2であらわされる芳香族環として好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくはナフタレン環、ベンゼン環であり、特に好ましくはベンゼン環である。Q2は更に置換基を有してもよく、後述の置換基Tが好ましい。
置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル基、エチル基、iso−プロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。)、置換または未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基などが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ基などが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル基、トシル基などが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(101)として好ましくは下記一般式(101−A)で表される化合物である。
Figure 2006220971
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
1およびR3として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキル基(好ましくは炭素数4〜12)である。
2、およびR4として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
5およびR8として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
6およびR7として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子であり、特に好ましくは水素原子、塩素原子である。
一般式(101)としてより好ましくは下記一般式(101−B)で表される化合物である。
Figure 2006220971
(式中、R1、R3、R6およびR7は一般式(101−A)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。)
以下に一般式(101)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2006220971
Figure 2006220971
以上例にあげたベンゾトリアゾール系化合物の中でも、分子量が320以下のものを含まずにセルロースアシレートフィルムを作製することが、保留性の点で有利である。
また本発明に用いられる波長分散調整剤のひとつであるベンゾフェノン系化合物としては一般式(102)で示されるものが好ましく用いられる。
Figure 2006220971
(式中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に芳香族環を表す。XはNR(Rは水素原子または置換基を表す。)、酸素原子または硫黄原子を表す。)
1およびQ2で表される芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
1およびQ2で表される芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)更に好ましくはベンゼン環である。
1およびQ2で表される芳香族ヘテロ環として好ましくは酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のどれかひとつを少なくとも1つ含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
1およびQ2であらわされる芳香族環として好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくは炭素数6〜10の芳香族炭化水素環であり、更に好ましくは置換または無置換のベンゼン環である。
1およびQ2は更に置換基を有してもよく、後述の置換基Tが好ましいが、置換基にカルボン酸やスルホン酸、4級アンモニウム塩を含むことはない。また、可能な場合には置換基同士が連結して環構造を形成してもよい。
XはNR(Rは水素原子または置換基を表す。置換基としては後述の置換基Tが適用できる。)、酸素原子または硫黄原子を表し、Xとして好ましくは、NR(Rとして好ましくはアシル基、スルホニル基であり、これらの置換基は更に置換してもよい。)、またはOであり、特に好ましくはOである。
置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル基、エチル基、iso−プロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。)、置換または未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基などが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ基などが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル基、トシル基などが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(102)として好ましくは下記一般式(102−A)で表される化合物である。
Figure 2006220971
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
1、R3、R4、R5、R6、R8およびR9として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
2として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルコキシ基である。
7として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくはメチル基)であり、特に好ましくはメチル基、水素原子である。
一般式(102)としてより好ましくは下記一般式(102−B)で表される化合物である。
Figure 2006220971
(式中、R10は水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基を表す。)
10は水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。
10として好ましくは置換または無置換のアルキル基であり、より好ましくは炭素数5〜20の置換または無置換のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数5〜12の置換または無置換のアルキル基(n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、ベンジル基、などが挙げられる。)であり、特に好ましくは、炭素数6〜12の置換または無置換のアルキル基(2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、ベンジル基)である。
一般式(102)で表される化合物は特開平11−12219号公報記載の公知の方法により合成できる。
以下に一般式(102)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2006220971
Figure 2006220971
Figure 2006220971
また本発明に用いられる波長分散調整剤のひとつであるシアノ基を含む化合物としては一般式(103)で示されるものが好ましく用いられる。
Figure 2006220971
(式中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に芳香族環を表す。X1およびX2は水素原子または置換基を表し、少なくともどちらか1つはシアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環を表す。)Q1およびQ2であらわされる芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)更に好ましくはベンゼン環である。
芳香族ヘテロ環として好ましくは窒素原子あるいは硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
1およびQ2で表される芳香族環として好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくはベンゼン環である。
1およびQ2は更に置換基を有してもよく、後述の置換基Tが好ましい。置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル基、エチル基、iso−プロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。)、置換または未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基などが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ基などが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル基、トシル基などが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
1およびX2は水素原子または置換基を表し、少なくともどちらか1つはシアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環を表す。X1およびX2で表される置換基は前述の置換基Tを適用することができる。また、X1およびX2はで表される置換基は更に他の置換基によって置換されてもよく、X1およびX2はそれぞれが縮環して環構造を形成してもよい。
1およびX2として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは、シアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、更に好ましくはシアノ基、カルボニル基であり、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカルボニル基(-C(=O)OR(Rは:炭素数1〜20アルキル基、炭素数6〜12のアリール基およびこれらを組み合せたもの)である。
一般式(103)として好ましくは下記一般式(103-A)で表される化合物である。
Figure 2006220971
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。X1およびX2は一般式(103)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。)
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
1、R2、R4、R5、R6、R7、R9、およびR10として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
3、およびR8として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12アルコキシ基であり、特に好ましくは水素原子である。
一般式(103)としてより好ましくは下記一般式(103-B)で表される化合物である。
Figure 2006220971
(式中、R3およびR8は一般式(103-A)におけるそれらと同義であり、また、好ましい範囲も同様である。X3は水素原子、または置換基を表す。)
3は水素原子、または置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用でき、また、可能な場合は更に他の置換基で置換されてもよい。X3として好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは、シアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、更に好ましくはシアノ基、カルボニル基であり、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカルボニル基(-C(=O)OR(Rは:炭素数1〜20アルキル基、炭素数6〜12のアリール基およびこれらを組み合せたもの)である。
一般式(103)として更に好ましくは一般式(103-C)で表される化合物である。
Figure 2006220971
(式中、R3およびR8は一般式(103-A)におけるそれらと同義であり、また、好ましい範囲も同様である。R21は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
21として好ましくはR3およびR8が両方水素の場合には、炭素数2〜12のアルキル基であり、より好ましくは炭素数4〜12のアルキル基であり、更に好ましくは、炭素数6〜12のアルキル基であり、特に好ましくは、n−オクチル基、tert-オクチル基、2−エチルへキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基であり、最も好ましくは2−エチルへキシル基である。
21として好ましくはR3およびR8が水素以外の場合には、一般式(103-C)で表される化合物の分子量が300以上になり、かつ炭素数20以下の炭素数のアルキル基が好ましい。
上記一般式(103)で表される化合物はJounal of American Chemical Society 63巻 3452頁(1941)記載の方法によって合成できる。
以下に一般式(103)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2006220971
Figure 2006220971
Figure 2006220971
[マット剤微粒子]
本発明において使用される透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)には、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムおよびリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上がさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
これらの微粒子は、通常平均粒子径が0.1〜3.0μmの2次粒子を形成し、これらの微粒子はフィルム中では、1次粒子の凝集体として存在し、フィルム表面に0.1〜3.0μmの凹凸を形成させる。2次平均粒子径は0.2μm以上1.5μm以下が好ましく、0.4μm以上1.2μm以下がさらに好ましく、0.6μm以上1.1μm以下が最も好ましい。1次、2次粒子径はフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒子径とした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とした。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976およびR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、本発明において使用することができる。
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vが1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化珪素の微粒子であり、光学フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
本発明において2次平均粒子径の小さな粒子を有するセルロースアシレートフィルムを得るために、微粒子の分散液を調製する際にいくつかの手法が考えられる。例えば、溶剤と微粒子を撹拌混合した微粒子分散液をあらかじめ作製し、この微粒子分散液を別途用意した少量のセルロースアシレート溶液に加えて撹拌溶解し、さらにメインのセルロースアシレートドープ液と混合する方法がある。この方法は二酸化珪素微粒子の分散性がよく、二酸化珪素微粒子が更に再凝集しにくい点で好ましい調製方法である。ほかにも、溶剤に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解した後、これに微粒子を加えて分散機で分散を行いこれを微粒子添加液とし、この微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する方法もある。本発明はこれらの方法に限定されないが、二酸化珪素微粒子を溶剤などと混合して分散するときの二酸化珪素の濃度は5〜30質量%であること好ましく、10〜25質量%であることが更に好ましく、15〜20質量%であることが最も好ましい。分散濃度が高い方が添加量に対する液濁度は低くなり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。最終的なセルロースアシレートのドープ溶液中でのマット剤の添加量は1m2あたり0.01〜1.0gであることが好ましく、0.03〜0.3gであることが更に好ましく、0.08〜0.16gであることが最も好ましい。
使用される溶剤は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
[可塑剤、劣化防止剤、剥離剤]
上記の光学異方性を低下させる化合物、波長分散調整剤の他に、本発明で使用される透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)には、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、剥離促進剤、赤外線吸収剤、など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に可塑剤の混合などであり、例えば特開2001−151901号公報などに記載されている。さらにまた、赤外吸収染料としては例えば特開2001−194522号公報に記載されているものを使用することができる。またその添加する時期はドープ作製工程において何れで添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)が多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開2001−151902号公報などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。中でも、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
[化合物添加の比率]
前記透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)においては、分子量が3000以下の化合物の総量は、支持体原料ポリマー(好ましくはセルロースアシレート)質量に対して5〜45%であることがのぞましい。より好ましくは10〜40%であり、さらにのぞましくは15〜30%である。これらの化合物としては上述したように、光学異方性を低下させる化合物、波長分散調整剤、紫外線吸収剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子(好ましくは導電性部粒子)、剥離促進剤、赤外吸収剤、染料などであり、分子量としては3000以下がのぞましく、2000以下がよりのぞましく、1000以下がさらにのぞましい。これら化合物の総量が5%以下であると、セルロースアシレート単体の性質が出やすくなり、例えば、温度や湿度の変化に対して光学性能や物理的強度が変動しやすくなるなどの問題がある。またこれら化合物の総量が45%以上であると、セルロースアシレートフィルム中に化合物が相溶する限界を超え、フィルム表面に析出してフィルムが白濁する( フィルムからの泣き出し)などの問題が生じやすくなる。
[セルロースアシレート溶液の有機溶媒]
本発明では、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造することが好ましく、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造することができる。ドープの主溶媒として用いられる有機溶媒としては、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、および炭素原子数が1〜7のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、例えばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
本発明において使用されるセルロースアシレートフィルムに対しては塩素系のハロゲン化炭化水素を主溶媒としても良いし、発明協会公開技報2001−1745(12頁〜16頁)に記載されているように、非塩素系溶媒を主溶媒としても良く、本発明において使用されるセルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
その他、本発明において使用されるセルロースアシレート溶液およびフィルムについての溶媒は、その溶解方法も含め以下の特許に開示されており、好ましい態様である。それらは、例えば、特開2000−95876号公報、特開平12−95877号公報、特開平10−324774号公報、特開平8−152514号公報、特開平10−330538号公報、特開平9−95538号公報、特開平9−95557号公報、特開平10−235664号公報、特開平12−63534号公報、特開平11−21379号公報、特開平10−182853号公報、特開平10−278056号公報、特開平10−279702号公報、特開平10−323853号公報、特開平10−237186号公報、特開平11−60807号公報、特開平11−152342号公報、特開平11−292988号公報、特開平11−60752号公報、特開平11−60752号公報などに記載されている。これらの公報には、本発明において使用されるセルロースアシレートに好ましい溶媒だけでなく、その溶液物性や共存させる共存物質についても記載があり、本発明においても好ましい態様である。
<セルロースアシレートフィルムの製造工程>
[溶解工程]
本発明において使用されるセルロースアシレートフィルムを得るためのセルロースアシレート溶液(ドープ)の調製は、その溶解方法は特に限定されず、室温でもよくさらには冷却溶解法あるいは高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施することができる。本発明におけるセルロースアシレート溶液の調製、さらには溶解工程に伴う溶液濃縮、ろ過の各工程に関しては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて22頁〜25頁に詳細に記載されている製造工程が好ましく用いられる。
(ドープ溶液の透明度)
本発明では、セルロースアシレート溶液のドープ透明度は85%以上であることがのぞましい。より好ましくは88%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。本発明においてはセルロースアシレートドープ溶液に各種の添加剤が十分に溶解していることを確認した。具体的なドープ透明度の算出方法としては、ドープ溶液を1cm角のガラスセルに注入し、分光光度計(UV−3150、島津製作所)で550nmの吸光度を測定した。溶媒のみをあらかじめブランクとして測定しておき、ブランクの吸光度との比からセルロースアシレート溶液の透明度を算出した。
[流延、乾燥、巻き取り工程]
次に、セルロースアシレート溶液を用いたフィルムの製造方法について述べる。本発明において使用されるセルロースアシレートフィルムを製造する方法および設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法および溶液流延製膜装置を用いることができる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて得られたフィルムを乾燥装置のロール群で機械的に搬送し乾燥を終了して巻き取り機でロール状に所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。更に、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることもできる。これらについては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会) 25頁〜30頁に詳細に記載されており、流延(共流延を含む)、金属支持体、乾燥、剥離などに分類され、本発明において好ましく用いることができる。
また、前記透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)の厚さは10〜120μmであることが好ましく、20〜100μmであることがより好ましく、30〜90μmであることがさらに好ましい。
<高湿度処理後のフィルムの光学性能変化>
[セルロースアシレートフィルム物性評価]
本発明において使用されるセルロースアシレートフィルムの環境変化による光学性能の変化については、60℃90%RHに240時間処理したフィルムのReおよびRthの変化量が15nm以下であることがのぞましい。よりのぞましくは12nm以下であり、10nm以下であることがさらにのぞましい。
[高温度処理後のフィルムの光学性能変化]
また、80℃240時間処理したフィルムのReおよびRthの変化量が15nm以下であることがのぞましい。よりのぞましくは12nm以下であり、10nm以下であることがさらにのぞましい。
[フィルム加熱処理後の化合物揮散量]
本発明において、透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)にのぞましく用いることができる、Rthλを低下させる化合物と、ΔRthを低下させる化合物は、80℃240時間処理したフィルムからの化合物の揮散量が30%以下であることがのぞましい。よりのぞましくは25%以下であり、20%以下であることがさらにのぞましい。
なお、フィルムからの揮散量は、80℃240時間処理したフィルムおよび未処理のフィルムをそれぞれ溶媒に溶かし出し、液体高速クロマトグラフィーにて化合物を検出し、化合物のピーク面積をフィルム中に残存した化合物量として、下記式により算出した。
揮散量(%)= {(未処理品中の残存化合物量)−(処理品中の残存化合物量)}/(未処理品中の残存化合物量)×100
[フィルムのガラス転移温度Tg]
本発明において使用される透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)のガラス転移温度Tgは、80〜165℃であることが好ましい。耐熱性の観点から、Tgが100〜160℃であることがより好ましく、110〜150℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度Tgの測定は、以下の方法で行うことができる。透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)試料10mgを、常温から200度まで昇降温速度5℃/分で示差走査熱量計(DSC2910、T.A.インスツルメント)で熱量測定を行い、ガラス転移温度Tgを算出する。
[フィルムのヘイズ]
本発明において使用される透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)のヘイズは0.01〜2.0%であることがのぞましい。よりのぞましくは0.05〜1.5%であり、0.1〜1.0%であることがさらにのぞましい。光学フィルムとしてフィルムの透明性は重要である。ヘイズの測定は、フィルム試料40mm×80mmを、25℃、60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−6714に従って行うことができる。
[フィルムのRe、Rthの湿度依存性]
本発明において使用される透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)のReλおよびRthλはともに湿度による変化が小さいことが好ましい。具体的には、25℃10%RHにおけるRth値と25℃80%RHにおけるRthλの差ΔRth(=Rth10%RH−Rth80%RH)が0〜50nmであることが好ましい。より好ましくは0〜40nmであり、さらに好ましくは0〜35nmである。
[フィルムの平衡含水率]
本発明において使用される透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)の平衡含水率は、本発明の光学補償シートを偏光板の保護膜として用いる際、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーとの接着性を損なわないために、膜厚のいかんに関わらず、25℃80%RHにおける平衡含水率が、0〜4%であることが好ましい。0.1〜3.5%であることがより好ましく、1〜3%であることが特に好ましい。4%以上の平衡含水率であると、光学補償シートの支持体として用いる際にレターデーションの湿度変化による依存性が大きくなりすぎてしまい好ましくない。
含水率は、フィルム試料7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置(CA−03、VA−05、共に三菱化学(株))にてカールフィッシャー法で測定し、水分量(g)を試料質量(g)で除して算出した。
[フィルムの透湿度]
本発明において使用される透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)の透湿度は、JIS規格JISZ0208をもとに、温度60℃、湿度95%RHの条件において測定し、膜厚80μmに換算して400〜2000g/m2・24hであることがのぞましい。500〜1800g/m2・24hであることがより好ましく、600〜1600g/m2・24hであることが特に好ましい。2000g/m2・24hを越えると、フィルムのReλ、Rthλの湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまう。また、前記透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)に光学異方性層を積層して光学補償シートとした場合も、Reλ、Rthλの湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまい好ましくない。この光学補償シートや偏光板が液晶表示装置に組み込まれた場合、色味の変化や視野角の低下を引き起こすおそれがある。また、透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)の透湿度が400g/m2・24h未満では、偏光膜の両面などに貼り付けて偏光板を作製する場合に、セルロースアシレートフィルムにより接着剤の乾燥が妨げられ、接着不良を生じるおそれがある。
透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)の膜厚が厚ければ透湿度は小さくなり、膜厚が薄ければ透湿度は大きくなる。そこでどのような膜厚のサンプルでも基準を80μmに設け換算する必要がある。膜厚の換算は、(80μm換算の透湿度=実測の透湿度×実測の膜厚μm/80μm)として求めた。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、フィルム試料70mmφを25℃、90%RHおよび60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、透湿試験装置(KK−709007、東洋精機(株))にて、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)し、透湿度=調湿後質量−調湿前質量で求めることができる。
[フィルムの寸度変化]
本発明において使用される透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)の寸度安定性は、60℃、90%RHの条件下に24時間静置した場合(高湿)の寸度変化率および90℃、5%RHの条件下に24時間静置した場合(高温)の寸度変化率がいずれも0.5%以下であることがのぞましい。よりのぞましくは0.3%以下であり、さらにのぞましくは0.15%以下である。
具体的な測定方法は、以下の通りである。フィルム試料30mm×120mmを2枚用意し、25℃、60%RHで24時間調湿し、自動ピンゲージ(新東科学(株))にて、両端に6mmφの穴を100mmの間隔で開け、パンチ間隔の原寸(L0)とした。1枚の試料を60℃、90%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L1)を測定、もう1枚の試料を90℃、5%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L2)を測定した。すべての間隔の測定において最小目盛り1/1000mmまで測定した。60℃、90%RH(高湿)の寸度変化率={|L0−L1|/L0}×100、90℃、5%RH(高温)の寸度変化率={|L0−L2|/L0}×100、として寸度変化率を求めた。
[フィルムの弾性率]
(弾性率)
本発明において使用される透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)の弾性率は、200〜500kgf/mm2であることが好ましい。より好ましくは240〜470kgf/mm2であり、さらに好ましくは270〜440kgf/mm2である。具体的な測定方法は、以下の通りである。東洋ボールドウィン製万能引っ張り試験機STM T50BPを用い、23℃・70%雰囲気中、引っ張り速度10%/分で0.5%伸びにおける応力を測定し、弾性率を求めた。
[フィルムの光弾性係数]
(光弾性係数)
本発明において使用されるセルロースアシレートフィルムの光弾性係数は、50×10-13cm2/dyne以下であることが好ましい。30×10-13cm2/dyne以下であることがより好ましく、20×10-13cm2/dyne以下であることがさらに好ましい。具体的な測定方法は、以下の通りである。フィルム試料12mm×120mmの長軸方向に対して引っ張り応力をかけ、その際のレターデーションをエリプソメーター(M150、日本分光(株))で測定し、応力に対するレターデーションの変化量から光弾性係数を算出した。
[延伸前後における正面レターデーション変化、遅相軸の検出]
試料100×100mmを用意し、固定一軸延伸機を用いて温度140℃の条件下で機械搬送方向(MD方向)または垂直方向(TD方向)に延伸を行う。延伸前後における各試料の正面レターデーションは自動複屈折計KOBRA21ADHを用いて測定する。遅相軸の検出は上記のレターデーション測定の際に得られる配向角から決定した。延伸によってReの変化が小さいことが好ましく、具体的にはRe(n)をn(%)延伸したフィルムの面内正面レターデーション(nm)、Re(0)を延伸していないフィルムの面内正面レターデーション(nm)としたときに、|Re(n)−Re(0)|/n≦1.0を有することが好ましく、|Re(n)−Re(0)|/n≦0.3以下がさらに好ましい。
[遅相軸を有する方向]
本発明において、前記透明支持体を含む本発明の光学補償シートを偏光子の保護膜に用いる場合、偏光子が機械搬送方向(MD方向)に吸収軸を持つため、透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)は遅相軸がMD方向近傍またはTD近傍にあることがのぞましい。遅相軸が偏光子と平行または直交させることにより光漏れや色味変化を低減できる。近傍とは、遅相軸とMDまたはTD方向が0〜10°、好ましくは0〜5°の範囲にあることを表す。
[固有複屈折が正である透明支持体]
本発明において使用される透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)は、フィルム面内において、遅相軸を有する方向に延伸すると正面レターデーションReが大きくなり、遅相軸を有する方向と垂直な方向に延伸すると正面レターデーションReが小さくなる。このことは固有複屈折が正であることを示しており、フィルム中で発現したReを打ち消すには遅相軸と垂直方向に延伸することが有効である。この方法としては例えば、フィルムが機械搬送方向(MD方向)に遅相軸を有している場合にMDとは垂直な方向(TD方向)にテンター延伸を用いて正面Reを小さくすることが考えられる。逆の例として、TD方向に遅相軸を有している場合にはMD方向の機械搬送ロールの張力を強めて延伸することによって正面Reを小さくすることが考えられる。
[固有複屈折が負である透明支持体]
本発明において使用される透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)は、遅相軸を有する方向に延伸すると正面レターデーションReが小さくなり、遅相軸を有する方向と垂直な方向に延伸すると正面レターデーションReが大きくなる場合もある。このことは固有複屈折が負であることを示しており、フィルム中で発現したReを打ち消すには遅相軸と同一の方向に延伸することが有効である。この方法としては例えば、フィルムが機械搬送方向(MD方向)に遅相軸を有している場合にMD方向の機械搬送ロールの張力を強めて延伸することによって正面Reを小さくすることが考えられる。逆の例として、TD方向に遅相軸を有している場合にはMDとは垂直な方向(TD方向)にテンター延伸を用いて正面Reを小さくすることが考えられる。
[透明支持体の評価方法]
本発明において使用される透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)の評価は、以下の方法によって実施した。
(正面レターデーションRe、膜厚方向のレターデーションRth)
試料30mm×40mmを、25℃、60%RHで2時間調湿し、Reλは自動複屈折計KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定した。また、Rthλは前記Reλと、面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向を0°としてサンプルを10°ごとに50°まで傾斜させて波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値を基に、平均屈折率の仮定値1.48および膜厚を入力し算出した。
(Re、Rthの波長分散測定)
試料30mm×40mmを、25℃、60%RHで2時間調湿し、エリプソメーターM−150(日本分光(株)製)において波長780nmから380nmの光をフィルム法線方向に入射させることにより各波長でのReを求め、Reの波長分散を測定した。また、Rthの波長分散については、前記Re、面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から780〜380nmの波長の光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長780〜380nmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基に、平均屈折率の仮定値1.48および膜厚を入力して算出した。
(分子配向軸)
試料70mm×100mmを、25℃、65%RHで2時間調湿し、自動複屈折計(KOBRA21DH、王子計測(株))にて、垂直入射における入射角を変化させた時の位相差より分子配向軸を算出した。
(軸ズレ)
また、自動複屈折計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株))で軸ズレ角度を測定した。幅方向に全幅にわたって等間隔で20点測定し、絶対値の平均値を求めた。また、遅相軸角度(軸ズレ)のレンジとは、幅方向全域にわたって等間隔に20点測定し、軸ズレの絶対値の大きいほうから4点の平均と小さいほうから4点の平均の差をとったものである。
(透過率)
試料20mm×70mmを、25℃、60%RHで透明度測定器(AKA光電管比色計、KOTAKI製作所)で可視光(615nm)の透過率を測定した。
(分光特性)
試料13mm×40mmを、25℃、60%RHで分光光度計(U−3210、(株)日立製作所)にて、波長300〜450nmにおける透過率を測定した。傾斜幅は72%の波長−5%の波長で求めた。限界波長は、(傾斜幅/2)+5%の波長で表した。吸収端は、透過率0.4%の波長で表す。これより380nmおよび350nmの透過率を評価した。
[フィルム表面の性状]
本発明において使用される透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)の表面は、JISB0601−1994に基づく該膜の表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.1μm以下、および最大高さ(Ry)が0.5μm以下であることが好ましい。好ましくは、算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以下、および最大高さ(Ry)が0.2μm以下である。膜表面の凹と凸の形状は、原子間力顕微鏡(AFM)により評価することが出来る。
[透明支持体のレターデーションの面内ばらつき]
本発明において使用される透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)は、次の式を満たすことがのぞましい。
|Re(MAX)−Re(MIN)|≦3かつ|Rth(MAX)−Rth(MIN)|≦5
[式中、Re(MAX)、Rth(MAX)−は任意に切り出した1m四方のフィルムの最大レターデーション値、Re(MIN)、Rth(MIN)は最小値である。]
[フィルムの保留性]
本発明において使用される透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)は、フィルムに添加した各種化合物の保留性が高いことが好ましい。具体的には、フィルム試料(透明支持体)を80℃/90%RHの条件下に48時間静置した場合のフィルムの質量変化が、0〜5%であることが好ましい。より好ましくは0〜3%であり、さらに好ましくは0〜2%である。
〈保留性の評価方法〉
試料を10cm×10cmのサイズに断裁し、23℃、55%RHの雰囲気下で24時間放置後の質量を測定して、80±5℃、90±10%RHの条件下で48時間放置した。処理後の試料の表面を軽く拭き、23℃、55%RHで1日放置後の質量を測定して、以下の方法で保留性を計算した。
保留性(質量%)={(放置前の質量−放置後の質量)/放置前の質量}×100
[フィルムの力学特性]
(カール)
本発明において使用される透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)の幅方向のカール値は、−10/m〜+10/mであることが好ましい。前記透明支持体に後述する表面処理、光学異方性層を塗設する際のラビング処理の実施や配向膜、光学異方性層の塗設や貼合などを長尺で行う際に、透明支持体の幅方向のカール値が前述の範囲外では、フィルムのハンドリングに支障をきたし、フィルムの切断が起きることがある。また、フィルムのエッジや中央部などで、フィルムが搬送ロールと強く接触するために発塵しやすくなり、フィルム上への異物付着が多くなり、光学補償シートの点欠陥や塗布スジの頻度が許容値を超えることがある。又、カールを上述の範囲とすることで光学異方性層を設置するときに発生しやすい色斑故障を低減できるほか、偏光膜貼り合せ時に気泡が入ることを防ぐことができ、好ましい。
カール値は、アメリカ国家規格協会の規定する測定方法(ANSI/ASCPH1.29−1985)に従い測定することができる。
(引裂き強度)
JISK7128−2:1998の引裂き試験方法に基づく引裂き強度(エルメンドルフ引裂き法)は、前記透明支持体の膜厚が20〜80μmの範囲において、2g以上であることが好ましい。より好ましくは、5〜25gであり、更には6〜25gである。また、60μm換算で8g以上であることが好ましく、より好ましくは8〜15gである。具体的には、試料片50mm×64mmを、25℃、65%RHの条件下に2時間調湿した後に軽荷重引裂き強度試験機を用いて測定できる。
[フィルムの残留溶剤量]
本発明において使用される透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)は、残留溶剤量が、0.01〜1.5質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。より好ましくは0.01〜1.0質量%である。本発明に用いる透明支持体の残留溶剤量を1.5%以下とすることでカールを抑制できる。1.0%以下であることがより好ましい。これは、前述のソルベントキャスト方法による成膜時の残留溶剤量が少なくすることで自由堆積が小さくなることが主要な効果要因になるためと思われる。
[フィルムの吸湿膨張係数]
本発明において使用される透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)の吸湿膨張係数は30×10-5/%RH以下であることが好ましい。吸湿膨張係数は、15×10-5/%RH以下であることがより好ましく、10×10-5/%RH以下であることがさらに好ましい。また、吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10-5/%RH以上の値である。吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。この吸湿膨張係数を調節することで、前記透明支持体を用いて光学補償シートを形成した場合、光学補償シートの光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇すなわち歪みによる光漏れを防止することができる。
[表面処理]
透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)は、場合により表面処理を行うことによって、支持体と各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類およびそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)30頁〜32頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
[アルカリ鹸化処理によるフィルム表面の接触角]
前記透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)を含む本発明の光学補償シートを偏光板の保護膜として用いる場合の該透明支持体の表面処理の有効な手段の1つとしてアルカリ鹸化処理が挙げられる。この場合、アルカリ鹸化処理後のフィルム表面の接触角が55°以下であることがのぞましい。よりのぞましくは50°以下であり、45°以下であることがさらにのぞましい。接触角の評価法はアルカリ鹸化処理後のフィルム表面に直径3mmの水滴を落とし、フィルム表面と水滴のなす角をもとめる通常の手法によって親疎水性の評価として用いることができる。
(耐光性)
本発明において使用される透明支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)の光耐久性の指標として、スーパーキセノン光を240時間照射したフィルムの色差ΔE*abが20以下であることがのぞましい。よりのぞましくは18以下であり、15以下であることがさらにのぞましい。色差の測定は、UV3100(島津製作所製)を用いて行った。測定の方法は、以下の通りである。フィルムを25℃60%RHに2時間以上調湿した後にキセノン光照射前のフィルムのカラー測定を行い初期値(L0*、a0*、b0*)を求めた。その後、フィルム単体で、スーパーキセノンウェザーメーターSX-75(スガ試験機(株)製)にて、150W/m2、60℃50%RH条件にてキセノン光を240時間照射した。所定時間の経過後、フィルムを恒温槽から取り出し、25℃60%RHに2時間調湿した後に、再びカラー測定を行い、照射経時後の値(L1*、a1*、b1*)を求めた。これらから、色差ΔE*ab=((L0*-L1*)^2+(a0*-a1*)^2+(b0*-b1*)^2)^0.5を求めた。
[光学補償シート]
本発明の第1の態様の光学補償シートは、前記透明支持体上に、下記式(3)を満たす光学異方性層A、下記式(4)を満たす光学異方性層Cをこの順に有する光学補償シートであり、第2の態様の光学補償シートは、前記透明支持体上に、下記式(4)を満たす光学異方性層C、下記式(3)を満たす光学異方性層Aをこの順に有する光学補償シートである。
(3)10≦Re590≦150かつ0≦Rth590≦200
(4)0≦Re590≦10かつ40≦Rth590≦400
[式中、Reλは波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rthλは波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
なお、光学補償シートとは、一般に液晶表示装置に用いられ、位相差を補償する光学材料のことを指し、位相差板、光学補償フィルムなどと同義である。光学補償シートは複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。前記透明支持体は、ReおよびRthが、0≦Re590≦10nmかつ|Rth590|≦25nmと光学異方性が小さく、|Re450−Re650|≦10かつ|Rth450−Rth650|≦35と波長分散が小さいため、余計な異方性を生じず、複屈折を持つ光学異方性層を併用すると、光学異方性層の光学性能のみを発現することができる。
更に、本発明では、前記透明支持体に、下記に示す二層の光学異方性層を積層することで、広視野角化だけでなく、黒表示時において正面から視角を倒した場合の色変化を小さくすることができる。なお、偏光板の保護膜として用いられる場合であっても、結果的に光学補償シートとしての役割を果たしている場合には、本発明の光学補償シートに含まれる。
本発明の第1の態様の光学補償シートでは、前記透明支持体上に、下記式(3)を満たす光学異方性層A、下記式(4)を満たす光学異方性層Cがこの順で積層されており、第2の態様の光学補償シートでは、下記式(4)を満たす光学異方性層C、下記式(3)を満たす光学異方性層Aがこの順で積層されている。透明支持体、光学異方性層A、光学異方性層Cの各々の間には配向膜層、接着層等の層が設けてあってもよい。
(3)10≦Re590≦150かつ0≦Rth590≦200
(4)0≦Re590≦10かつ40≦Rth590≦400
本発明の第1の様態の光学補償シートでは、上記式(3)、(4)は、
(3)15≦Re590≦50かつ8≦Rth590≦50
(4)0≦Re590≦10かつ50≦Rth590≦170
であることが好ましい。
本発明の第2の様態の光学補償シートでは、上記式(3)、(4)は、
(3)50≦Re590≦130かつ25≦Rth590≦130
(4)0≦Re590≦10かつ40≦Rth590≦100
であることが好ましい。
黒表示時において正面から視角を倒した場合の色変化を小さくするためには、光学異方性層AのReλの波長依存性は下記式(7)、(8)を満たすことが好ましく、光学異方性層CのRthλの波長依存性が下記式(9)、(10)を満たすことが好ましい。
(7)Re450/Re550=0.60〜0.98
(8)Re650/Re550=1.00〜1.60
(9)Rth450/Rth550=1.02〜1.60
(10)Rth650/Rth550=0.60〜1.00
上記式(7)、(8)、(9)、(10)は、
(7)Re450/Re550=0.7〜0.95
(8)Re650/Re550=1.05〜1.3
(9)Rth450/Rth550=1.05〜1.3
(10)Rth650/Rth550=0.7〜0.95
であることが更に好ましい。
本発明の光学補償シートを構成する光学異方性層AおよびCは、上記式(3)および(4)、好ましくは式(3)、(4)、(7)〜(10)を満たすものであれば、材料の限定はなく、液晶性化合物を含有する組成物から形成しても良いし、複屈折を持つポリマーフィルムから形成しても良い。更に、前記光学異方性層Cは、非液晶性化合物から形成することもできる。非液晶性化合物は、特に限定されず、公知のものを用いることができる。
前記液晶性化合物としては、ディスコティック液晶性化合物または棒状液晶性化合物が好ましい。
なお、光学異方性層Aの製造方法については、例えば、特開2002−48919号公報を参照することができ、光学異方性層Cの製造方法については、例えば、特開2004−4474号公報を参照することができる。
(ディスコティック液晶性化合物)
本発明に使用可能なディスコティック液晶性化合物の例には、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載の化合物が含まれる。
光学異方性層において、ディスコティック液晶性分子は配向状態で固定されていることが好ましく、重合反応により固定されていることが最も好ましい。ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。ディスコティック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。重合性基を有するディスコティック液晶性分子については、特開2001−4387号公報に開示されている。
(棒状液晶性化合物)
本発明において、使用可能な棒状液晶性化合物の例には、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が含まれる。本発明では、以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。
光学異方性層において、棒状液晶性分子は配向状態で固定されていることが好ましく、重合反応により固定されていることが最も好ましい。本発明に使用可能な重合性棒状液晶性化合物の例には、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許4683327号、同5622648号、同5770107号、世界特許(WO)95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、および特開2001−328973号公報などに記載の化合物が含まれる。
(ポリマーフィルムからなる光学異方性層)
上記した様に、光学異方性層はポリマーフィルムから形成してもよい。ポリマーフィルムは、光学異方性を発現し得るポリマーから形成することができる。そのようなポリマーの例には、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステルおよびセルロースエステル(例、セルローストリアセーテート、セルロースジアセテート)が含まれる。また、これらのポリマーの共重合体またはポリマー混合物を用いてもよい。
ポリマーフィルムの光学異方性は、延伸により得ることが好ましい。延伸は一軸延伸または二軸延伸であることが好ましい。具体的には、2つ以上のロールの周速差を利用した縦一軸延伸、またはポリマーフィルムの両サイドを掴んで幅方向に延伸するテンター延伸、これらを組み合わせての二軸延伸が好ましい。なお、二枚以上のポリマーフィルムを用いて、二枚以上のフィルム全体の光学的性質が前記の条件を満足してもよい。ポリマーフィルムは、複屈折のムラを少なくするためにソルベントキャスト法により製造することが好ましい。ポリマーフィルムの厚さは、20〜500μmであることが好ましく、40〜100μmであることが最も好ましい。
また、光学異方性層を形成するポリマーフィルムとして、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドポリエステルイミド、およびポリアリールエーテルケトン、からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマー材料を用い、これを溶媒に溶解した溶液を基材に塗布し、溶媒を乾燥させてフィルム化する方法も好ましく用いることができる。この際、上記ポリマーフィルムと基材とを延伸して光学異方性を発現させて光学異方性層として用いる手法も好ましく用いることができ、本発明において使用される透明支持体は上記基材として好ましく用いることができる。また、上記ポリマーフィルムを別の基材の上で作製しておき、ポリマーフィルムを基材から剥離させたのちに前記透明支持体と貼合して用いることも好ましい。この手法ではポリマーフィルムの厚さを薄くすることができ、その厚さは、50μm以下であることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましい。
[偏光板]
本発明の偏光板は、偏光子の両側に保護膜を有する偏光板であって、少なくとも一方の保護膜が本発明の光学補償シートであって、透明支持体面側が偏光子と貼り合わされることを特徴とする偏光板である。本発明の光学補償シートを偏光板保護フィルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。例えば、得られたセルロースアシレートフィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号公報、特開平6−118232号公報に記載されているような易接着加工を施してもよい。
保護膜処理面と偏光子を貼り合わせるために使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。本発明の偏光板において、少なくとも一方の保護膜の表面には、ハードコート層、防眩層、反射防止層、防汚層、および帯電防止層からなる群から選択される少なくとも一層を設けることもできる。これらの各層としては、公知のものを用いることができる。また、前記保護膜には、可塑剤、紫外線吸収剤、剥離促進剤、染料、マット剤、および導電性微粒子等の各種添加剤を、必要に応じて添加することができる。その詳細は、先に記載した通りである。
偏光板は偏光子およびその両面を保護する保護膜で構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成することができる。プロテクトフィルムおよびセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、本発明の光学補償シートは、偏光板保護膜として液晶セル側に用いられる。液晶表示装置の表示側最表面の偏光板保護膜には通常透明ハードコート層、防眩層、反射防止層等が設けられる。
[液晶表示装置]
本発明の第1の態様の液晶表示装置は、液晶セルと液晶セルの両側に配置された一対の偏光板を有する液晶表示装置であって、該偏光板の少なくとも一方が本発明の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置である。
本発明の第2の態様の液晶表示装置は、液晶セルと液晶セルの両側に配置された一対の偏光板を有する液晶表示装置であって、前記偏光板は、偏光子と該偏光板を挟持する一対の保護膜とから構成され、前記保護膜の少なくとも一枚が本発明の光学補償シートであることを特徴とする液晶表示装置である。
本発明の液晶表示装置は、偏光板の保護膜として、先に説明した本発明の光学補償シートを有することにより、黒表示時において正面から視角を倒した場合の色変化が改善され、高い表示品質を実現することができる。
液晶セルの液晶層は、通常は、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成することができる。液晶セルには、さらにガスバリアー層、ハードコート層または(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、一般に50μm〜2mmの厚さを有する。
本発明の液晶表示装置における液晶セルは、様々な表示モードの液晶セルであることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Super Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードを挙げることができる。このうち、本発明の液晶表示装置における液晶セルは、VAモードまたはOCBモードであることが好ましく、VAモードであることが特に好ましい。
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードを突起によりマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル{“SID97、Digest of tech.Papers”(予稿集)28集(1997)p.845記載}、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード、CPAモード)の液晶セル{日本液晶討論会の予稿集p.58〜59(1998)、シャープ技報第80号11頁記載}および、(4)斜め電界によりマルチドメイン配向させるSURVAIVALモードの液晶セル{月刊ディスプレイ5月号14頁(1999年)}、PVAモードの液晶セル{“18th,IDRC Proceedings”,p.383(1998年)}が含まれる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(正面レターデーションRe、膜厚方向のレターデーションRthの測定方法)
試料30mm×40mmを、25℃、60%RHで2時間調湿し、Re(λ)は自動複屈折計KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定した。また、Rth(λ)は前記Re(λ)、面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基に、表1に記載の平均屈折率の仮定値および膜厚を入力し算出した。
製造例1:反射防止層を有する保護膜(LR1)の作製
[光散乱層用塗布液の調製]
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物“PETA”{日本化薬(株)製}50gをトルエン38.5gで希釈した。更に、重合開始剤「イルガキュア184」{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}を2g添加し、混合攪拌した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.51であった。
さらにこの溶液にポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散した平均粒径3.5μmの架橋ポリスチレン粒子“SX−350”{屈折率1.60、綜研化学(株)製}の30質量%トルエン分散液を1.7gおよび平均粒径3.5μmの架橋アクリル−スチレン粒子{屈折率1.55、綜研化学(株)製}の30質量%トルエン分散液を13.3g加え、最後に、フッ素系表面改質剤(FP−1)0.75g、シランカップリング剤“KBM−5103”{信越化学工業(株)製}を10g加えて、得られた混合液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して光散乱層の塗布液を調製した。
Figure 2006220971
[低屈折率層用塗布液の調製]
まず始めに、次のようにしてゾル液aを調製した。
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器に、メチルエチルケトン120質量部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン“KBM5103”{信越化学工業(株)製}100質量部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3質量部を加え混合したのち、イオン交換水30質量部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100質量%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
屈折率1.42の熱架橋性含フッ素ポリマー“JN−7228”{固形分濃度6質量%、JSR(株)製}13g、シリカゾル{シリカ、MEK−STの粒子サイズ違い、平均粒径45nm、固形分濃度30質量%、日産化学(株)製}1.3g、上記のように調製したゾル液a 0.6gおよびメチルエチルケトン5g、シクロヘキサノン0.6gを添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して、低屈折率層用塗布液を調製した。
[反射防止層を有する保護膜の作製]
基体フィルムである80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム「フジタックTDY80UL」{富士写真フイルム(株)製}をロール形態で巻き出して、上記の機能層(光散乱層)用塗布液を、線数180本/インチ、深度40μmのグラビアパターンを有する、直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照度400mW/cm2、照射量250mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6μmの機能層を形成し、巻き取った。
ここで市販のセルロースアシレートフィルムとしては、上記のフジタックTDY80UL以外にも、「フジタックTD80UL」、「フジタックTF80UL」、「フジタックTFY80UL」、「フジタックT80UZ」、「フジタックT40UZ」、{以上、富士写真フィルム(株)製}、および“KC4UX2MW”、“KC80UVSFD”{以上、コニカオプト(株)製}を用いることができる。
上記の機能層(光散乱層)を塗設したトリアセチルセルロースフィルムを再び巻き出して、その光散乱層側に、前記で調製した低屈折率層用塗布液を、線数180本/インチ、深度40μmのグラビアパターンを有する、直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度15m/分の条件で塗布し、120℃で150秒乾燥の後、更に140℃で8分乾燥させてから窒素パージ下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照度400mW/cm2、照射量900mJ/cm2の紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し、巻き取り、反射防止層を有する保護膜(LR1)を作製した。
実施例1:セルロースアセートフィルム(CTA1、CTA2)の製膜
(セルロースアセテート溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液Dを調製した。
(セルロースアセテート溶液D組成)
酢化度2.86のセルロースアセテート 100.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
(マット剤溶液の調製)
平均粒径16nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)を20質量部、メタノール80質量部を30分間よく攪拌混合してシリカ粒子分散液とした。この分散液を下記の組成物とともに分散機に投入し、さらに30分以上攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
(マット剤溶液組成)
平均粒径16nmのシリカ粒子分散液 0.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 76.3質量部
メタノール(第2溶媒) 3.4質量部
セルロースアセテート溶液D 10.3質量部
(添加剤溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。下記の光学異方性を低下させる化合物は先に示したA19であり、波長分散調整剤は先に示したUV102である。
(添加剤溶液組成)
光学異方性を低下させる化合物A19 49.3質量部
波長分散調整剤UV102 7.6質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアセテート溶液D 12.8質量部
(セルロースアセテートフィルムCTA1の作製)
上記セルロースアセテート溶液Dを94.6質量部、マット剤溶液を1.3質量部、添加剤溶液4.1質量部それぞれを濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。上記組成で光学異方性を低下させる化合物および波長分散調整剤のセルロースアセテートに対する質量比はそれぞれ12%、1.8%であった。残留溶剤量30%でフィルムをバンドから剥離し、135℃で40分間乾燥させセルロースアセテートフィルムCTA1を製造した。出来あがったセルロースアセテートフィルムの残留溶剤量は0.2%であり、膜厚は80μmであった。Re450、Re590、Re650、Rth450、Rth590、Rth650を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2006220971
(セルロースアセテートフィルムCTA2の作製)
上記セルロースアセテート溶液Dを94.6質量部、マット剤溶液を1.3質量部、添加剤溶液4.1質量部それぞれを濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。上記組成で光学異方性を低下させる化合物および波長分散調整剤のセルロースアセテートに対する質量比はそれぞれ12%、1.8%であった。残留溶剤量30%でフィルムをバンドから剥離し、130℃で40分間乾燥させセルロースアセテートフィルムCTA2を製造した。出来あがったセルロースアセテートフィルムの残留溶剤量は0.2%であり、膜厚は40μmであった。Re450、Re590、Re650、Rth450、Rth590、Rth650を測定した。結果を表1に示す。
透明支持体として用いるアートンFLZR50(JSR(株)製)、ゼオノアZF14((株)オプテス製)、フジタックTDY80UL(富士写真フイルム(株)製)、フジタックTFY80UL(富士写真フイルム(株)製)についてもRe450、Re590、Re650、Rth450、Rth590、Rth650を測定した。結果を表1に示す。
実施例2:偏光板PAC1の作製
(延伸による光学異方性層A1の作製)
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた反応槽に水酸化ナトリウム水溶液およびイオン交換水を仕込み、これに下記構造のモノマーAを55モル%、モノマーBを45モル%の比で溶解させ、少量のハイドロサルファイドを加えた。次にこれに塩化メチレンを加え、20℃でホスゲンを約60分かけて吹き込んだ。さらに、p−tert−ブチルフェノールを加えて乳化させた後、トリエチルアミンを加えて30℃で約3時間攪拌して反応を終了させた。反応終了後有機相を分取し、塩化メチレンを蒸発させてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量比とほぼ同様であった。
この共重合体をメチレンクロライドに溶解させ、固形分濃度15質量%のドープ溶液を作製した。このドープ溶液をバンド流延機を用いてフィルムを作製し、温度210℃においてテンターで21%横延伸を行い光学異方性層A1を作製した。延伸後の膜厚は83μmであった。Re450、Re590、Re650、Rth450、Rth590、Rth650を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2006220971
Figure 2006220971
(非液晶性化合物による光学異方性層C1の作製)
2,2'−ビス(3,4−ジスカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンと、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ジアミノビフェニルから合成されたポリイミドをシクロヘキサノン中に溶解させ、15質量%の溶液を調製した。ソリッドステートコロナ処理機6KVA(ピラー(株)製)によりコロナ放電処理を行った上記フィルムA1表面に、上記ポリイミド溶液を、乾燥後の膜厚で1.8μm分塗布し、150℃で5分間乾燥させ、上記ポリイミドからなる光学異方性層C1を形成し、光学補償シートAC1を作製した。
別途準備したガラス基板上に、上記ポリイミド溶液を、乾燥後の膜厚で1.8μm分塗布し、150℃で5分間乾燥させ、上記ポリイミドからなる光学異方性層C1Gを作製した。Re450、Re590、Re650、Rth450、Rth590、Rth650を測定した。結果を表1に示す。
(偏光板PAC1の作製)
厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、ヨウ素濃度0.05質量%のヨウ素水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4質量%濃度のホウ酸水溶液中に60秒浸漬している間に元の長さの5倍に縦延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ20μmの偏光子を得た。
実施例1で作製したCTA1および製造例1で作製した反射防止層を有する保護膜LR1を、濃度1.5モル/Lで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、濃度0.005モル/Lで35℃の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
上記のように鹸化処理を行ったCTA1および反射防止層を有する保護膜LR1を、前記の偏光子を挟むようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合せ偏光板を作製した。ここで反射防止層を有する保護膜LR1のトリアセチルセルロースフィルム側を偏光子側となるように貼り合せた。
この偏光板のCTA1側にアクリル系の粘着材を介して、光学補償シートAC1を、光学異方性層A1側が粘着材側となるようにして貼り合せ偏光板PAC1Fを作製した。さらに、光学補償シートの光学異方性層C1側にもアクリル系粘着材を塗設した。このとき、偏光子および偏光子両側の保護膜はロール形態で作製されているため、各ロールフィルムの長手方向が平行となっており、連続的に貼り合わされる。また図1に示すように、光学異方性層A1の遅相軸と偏光子の透過軸は平行になっている。
また、上記の偏光板PAC1Fに対して、保護膜LR1を市販のトリアセチルセルロースフィルム(フジタックTDY80UL、富士写真フイルム(株)製)に置き換えて作製した偏光板をPAC1Rとした。ここで市販のセルロースアシレートフィルムとしては、上記のフジタックTDY80UL以外にも、「フジタックTD80UL」、「フジタックTF80UL」、「フジタックTFY80UL」、「フジタックT80UZ」、「フジタックT40UZ」、{以上、富士写真フイルム(株)製}、および“KC4UX2MW”、“KC80UVSFD”{以上、コニカオプト(株)製}を用いることができる。
実施例3:偏光板PAC2の作製
(光学異方性層C2の作製)
実施例2で作製した光学異方性層A1表面に、ソリッドステートコロナ処理機6KVA(ピラー(株)製)によりコロナ放電処理を行い、下記の組成の塗布液を#14のワイヤーバーコーターで24ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。
<配向膜塗布液組成>
下記の変性ポリビニルアルコール 40質量部
水 728質量部
メタノール 228質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 2質量部
クエン酸エステル(AS3、三共化学(株)) 0.69質量部
Figure 2006220971
配向膜上に、下記のディスコティック液晶化合物41.01質量部、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有 機化学(株)製)4.06質量部、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)1.35質量部、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬 (株)製)0.45質量部、下記のメラミン系ポリマー0.12質量部を75質量部のメチルエチルケトンに溶解した塗布液に、フルオロ脂肪族基含有共重合体(メガファックF780 大日本インキ (株)製)0.1質量部を加え、#2.8のワイヤーバーを391回転でフィルムの搬送方向と同じ方向に回転させて、20m/分で搬送されている光学異方性層A1の配向膜面に連続的に塗布した。室温から100℃に連続的に加温する工程で、溶媒を乾燥させ、その後、135℃の乾燥ゾーンで、ディスコティック液晶化合物層にあたる膜面風速がフィルム搬送方向に平行に1.5m/secとなるようにし、約90秒間加熱し、ディスコティック液晶化合物を配向させた。次に、80℃の乾燥ゾーンに搬送させて、フィルムの表面温度が約100℃の状態で、紫外線照射装置(紫外線ランプ:出力160W/cm、発光長 1.6m)により、照度600mWの紫外線を4秒間照射し、架橋反応を進行させ、ディスコティック液晶化合物をその配向に固定した。その後、室温まで放冷し、円筒状に巻き取ってロール状の形態とし、光学異方性層A1およびC2を含む、光学補償シートAC2を作製した。
コロナ処理した光学異方性層A1の代わりに別途準備したガラス基板上に、配向膜および光学異方性層C2を作製し、上記ディスコティック液晶化合物からなる光学異方性層C2Gを作製した。Re450、Re590、Re650、Rth450、Rth590、Rth650を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2006220971
Figure 2006220971
(偏光板PAC2の作製)
厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、ヨウ素濃度0.05質量%のヨウ素水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4質量%濃度のホウ酸水溶液中に60秒浸漬している間に元の長さの5倍に縦延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ20μmの偏光子を得た。
実施例1で作製したCTA1および製造例1で作製した反射防止層を有する保護膜LR1を、濃度1.5モル/Lで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、濃度0.005モル/Lで35℃の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
上記のように鹸化処理を行ったCTA1および反射防止層を有する保護膜LR1を、前記の偏光子を挟むようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合せ偏光板を作製した。ここで反射防止層を有する保護膜LR1のトリアセチルセルロースフィルム側を偏光子側となるように貼り合せた。
この偏光板のCTA1側にアクリル系の粘着材を介して、光学補償シートAC2を、光学異方性層A1側が粘着材側となるようにして貼り合せ偏光板PAC2Fを作製した。さらに、光学補償シートの光学異方性層C2側にもアクリル系粘着材を塗設した。このとき、偏光子および偏光子両側の保護膜はロール形態で作製されているため、各ロールフィルムの長手方向が平行となっており、連続的に貼り合わされる。また図1に示すように、光学異方性層A1の遅相軸と偏光子の透過軸は平行になっている。
また、上記の偏光板PAC2Fに対して、保護膜LR1を市販のトリアセチルセルロースフィルム(フジタックTDY80UL、富士写真フイルム(株)製)に置き換えて作製した偏光板をPAC2Rとした。
実施例4:偏光板PAC3の作製
(光学異方性層C3の作製)
実施例2で作製した光学異方性層A1表面に、ソリッドステートコロナ処理機6KVA(ピラー(株)製)によりコロナ放電処理を行い、実施例3と同様に配向膜層を形成した。
配向膜をラビング処理した後、下記の棒状液晶化合物41.01質量部、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)1.35質量部、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬 (株)製)0.45質量部、下記のカイラル構造を有する反応性モノマーを選択反射波長が300nmとなるように添加し、#2のワイヤーバーを391回転でフィルムの搬送方向と同じ方向に回転させて、20m/分で搬送されている光学異方性層A1の配向膜面に連続的に塗布した。室温から70℃に連続的に加温する工程で、溶媒を乾燥させ、その後、90℃の乾燥ゾーンで、棒状液晶化合物層にあたる膜面風速がフィルム搬送方向に平行に1.5m/secとなるようにし、約90秒間加熱し、棒状液晶化合物をコレステリック配向させた。次に、80℃の乾燥ゾーンに搬送させて、フィルムの表面温度が約80℃の状態で、紫外線照射装置(紫外線ランプ:出力160W/cm、発光長1.6m)により、照度600mWの紫外線を4秒間照射し、架橋反応を進行させ、棒状液晶化合物をその配向に固定した。その後、室温まで放冷し、円筒状に巻き取ってロール状の形態とし、光学異方性層A1およびC3を含む、光学補償シートAC3を作製した。
コロナ処理した光学異方性層A1の代わりに別途準備したガラス基板上に、配向膜および光学異方性層C3を作製し、上記棒状液晶化合物からなる光学異方性層C3Gを作製した。Re450、Re590、Re650、Rth450、Rth590、Rth650を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2006220971
Figure 2006220971
(偏光板PAC3の作製)
厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、ヨウ素濃度0.05質量%のヨウ素水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4質量%濃度のホウ酸水溶液中に60秒浸漬している間に元の長さの5倍に縦延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ20μmの偏光子を得た。
実施例1で作製したCTA1および製造例1で作製した反射防止層を有する保護膜LR1を、濃度1.5モル/Lで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、濃度0.005モル/Lで35℃の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
上記のように鹸化処理を行ったCTA1および反射防止層を有する保護膜LR1を、前記の偏光子を挟むようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合せ偏光板を作製した。ここで反射防止層を有する保護膜LR1のトリアセチルセルロースフィルム側を偏光子側となるように貼り合せた。
この偏光板のCTA1側にアクリル系の粘着材を介して、光学補償シートAC3を、光学異方性層A1側が粘着材側となるようにして貼り合せ偏光板PAC3Fを作製した。さらに、光学補償シートの光学異方性層C3側にもアクリル系粘着材を塗設した。このとき、偏光子および偏光子両側の保護膜はロール形態で作製されているため、各ロールフィルムの長手方向が平行となっており、連続的に貼り合わされる。また図1に示すように、光学異方性層A1の遅相軸と偏光子の透過軸は平行になっている。
また、上記の偏光板PAC3Fに対して、保護膜LR1を市販のトリアセチルセルロースフィルム(フジタックTDY80UL、富士写真フイルム(株)製)に置き換えて作製した偏光板をPAC3Rとした。
実施例5:偏光板PAC4の作製
(光学異方性層C4の作製)
市販のアートンZF14を逐次二軸延伸機にて、140℃の温度において、縦方向に6%延伸、横方向に7%延伸を行い、フィルム(光学異方性層)C4を作製した。延伸後の膜厚は88μmであった。Re450、Re590、Re650、Rth450、Rth590、Rth650を測定した。結果を表1に示す。
(偏光板PAC4の作製)
厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、ヨウ素濃度0.05質量%のヨウ素水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4質量%濃度のホウ酸水溶液中に60秒浸漬している間に元の長さの5倍に縦延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ20μmの偏光子を得た。
実施例1で作製したCTA1および製造例1で作製した反射防止層を有する保護膜LR1を、濃度1.5モル/Lで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、濃度0.005モル/Lで35℃の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
上記のように鹸化処理を行ったCTA1および反射防止層を有する保護膜LR1を、前記の偏光子を挟むようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合せ偏光板を作製した。ここで反射防止層を有する保護膜LR1のトリアセチルセルロースフィルム側を偏光子側となるように貼り合せた。
この偏光板のCTA1側にアクリル系の粘着材を介して、実施例2で作製した光学異方性層A1を貼り合わせた。さらに光学異方性層C4をアクリル系粘着材を介して光学異方性層A1の上に貼り合せ偏光板PAC4Fを作製した。さらに、光学補償シートの光学異方性層C4側にもアクリル系粘着材を塗設した。このとき、偏光子および偏光子両側の保護膜はロール形態で作製されているため、各ロールフィルムの長手方向が平行となっており、連続的に貼り合わされる。また図1に示すように、光学補償層A1の遅相軸と偏光子の透過軸は平行になっている。
また、上記の偏光板PAC4Fに対して、保護膜LR1を市販のトリアセチルセルロースフィルム(フジタックTDY80UL、富士写真フイルム(株)製)に置き換えて作製した偏光板をPAC4Rとした。
実施例6:偏光板PAC5の作製
(光学異方性層A2の作製)
実施例1で作製したセルロースアセテートフィルムCTA1表面に、下記のポリイミドのN−メチルピロリドン/ブチルセロソルブ溶液を、#5のバーコーターを用いて、ロール状透明支持体を搬送しながらその上に連続的に塗布した。140℃で3分間加熱して、厚さ0.5μmの配向膜を形成した。
Figure 2006220971
配向膜を設けたロール状透明支持体を搬送しながら、長手方向(搬送方向)に連続的にラビング処理を実施した。棒状液晶性分子(N26)100質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)1質量部、光重合増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.3質量部を、メチレンクロライド900質量部に溶解して塗布液を調製した。塗布液を、配向膜の上に、#5のバーコーターを用いて連続的に塗布した。塗布層を110℃で2分間加熱し、500mJ/cm2の紫外線を照射して、棒状液晶性分子を重合させ、その配向状態を固定した。このようにして光学異方性層を形成し、光学異方性層A2を作製した。棒状液晶性分子は、長軸方向が光学補償シートの長手方向と直交するように配向していた。
別途準備したガラス基板上に、上記配向膜層を乾燥後の膜厚で0.5μm、上記棒状液晶層を膜厚で0.9μm形成し、棒状液晶性分子からなる光学異方性層A2Gを作製した。Re450、Re590、Re650、Rth450、Rth590、Rth650を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2006220971
上記光学異方性A2上に、実施例2記載のポリイミド溶液を、乾燥後の膜厚で1.8μm分塗布し、150℃で5分間乾燥させ、上記ポリイミドからなる光学補償層C1を形成し、光学補償シートAC5を作製した。
別途準備したガラス基板上に、上記ポリイミド溶液を、乾燥後の膜厚で1.8μm分塗布し、150℃で5分間乾燥させ、上記ポリイミドからなる光学異方性層C1Gを作製した。Re450、Re590、Re650、Rth450、Rth590、Rth650を測定した。結果を表1に示す。
(偏光板PAC5の作製)
厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、ヨウ素濃度0.05質量%のヨウ素水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4質量%濃度のホウ酸水溶液中に60秒浸漬している間に元の長さの5倍に縦延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ20μmの偏光子を得た。
上記で作製した光学補償シートAC5および製造例1で作製した反射防止層を有する保護膜LR1を、濃度1.5モル/Lで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、濃度0.005モル/Lで35℃の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
上記のように鹸化処理を行った光学補償シートAC5および反射防止層を有する保護膜LR1を、前記の偏光子を挟むようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合せ偏光板PAC4Fを作製した。ここで光学補償シートAC5のセルロースアシレートフィルムCTA1側、および反射防止層を有する保護膜LR1のトリアセチルセルロースフィルム側を偏光子側となるように貼り合せた。
さらに、光学補償シートの光学異方性層C1側にアクリル系粘着材を塗設し偏光板PAC5Fを作製した。このとき、偏光子および偏光子両側の保護膜はロール形態で作製されているため、各ロールフィルムの長手方向が平行となっており、連続的に貼り合わされる。また図1に示すように、光学異方性層A2の遅相軸と偏光子の透過軸は平行になっている。
また、上記の偏光板PAC5Fに対して、保護膜LR1を市販のトリアセチルセルロースフィルム(フジタックTDY80UL、富士写真フイルム(株)製)に置き換えて作製した偏光板をPAC5Rとした。
実施例7:偏光板PAC6の作製
厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、ヨウ素濃度0.05質量%のヨウ素水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4質量%濃度のホウ酸水溶液中に60秒浸漬している間に元の長さの5倍に縦延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ20μmの偏光子を得た。
製造例1で作製した反射防止層を有する保護膜LR1を、濃度1.5モル/Lで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、濃度0.005モル/Lで35℃の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
アートンFLZR50(JSR(株)製)表面に、ソリッドステートコロナ処理機6KVA(ピラー(株)製)によりコロナ放電処理を行った。
上記のようにコロナ処理を行ったアートンFLZR50および鹸化処理を行った反射防止層を有する保護膜LR1を、前記の偏光子を挟むようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合せた。ここで反射防止層を有する保護膜LR1のトリアセチルセルロースフィルム側を偏光子側となるように貼り合せた。
さらに、アートンFLZR50側にアクリル系粘着材を塗設し、実施例2で作製した光学補償シートAC1の光学異方性層A1側を偏光子側として貼り合せ偏光板PAC6Fを作製した。このとき、偏光子および偏光子両側の保護膜はロール形態で作製されているため、各ロールフィルムの長手方向が平行となっており、連続的に貼り合わされる。また図1に示すように、光学補償層A1の遅相軸と偏光子の透過軸は平行になっている。
また、上記の偏光板PAC6Fに対して、保護膜LR1を市販のトリアセチルセルロースフィルム(フジタックTDY80UL、富士写真フイルム(株)製)に置き換えて作製した偏光板をPAC6Rとした。
比較例1:偏光板PAC7の作製
実施例2の偏光板PAC1のセルロースアセテートフィルムCTA1を市販のトリアセチルセルロースフィルム(フジタックTDY80UL、富士写真フイルム(株)製)に置き換えた以外は実施例2と同様にし、偏光板PAC7FおよびPAC7Rを作製した。
比較例2:偏光板PAC8の作製
実施例5の偏光板PAC4のセルロースアセテートフィルムCTA1を市販のトリアセチルセルロースフィルム(フジタックTDY80UL、富士写真フイルム(株)製)に置き換えた以外は実施例5と同様にし、偏光板PAC8FおよびPAC8Rを作製した。
比較例3:偏光板PAC9の作製
実施例6の偏光板PAC5のセルロースアセテートフィルムCTA1を市販のトリアセチルセルロースフィルム(フジタックTDY80UL、富士写真フイルム(株)製)に置き換えた以外は実施例5と同様にし、偏光板PAC9FおよびPAC9Rを作製した。
実施例8:偏光板PCA1の作製
(延伸による光学異方性層A3の作製)
実施例2のポリカーボネート共重合体のドープ溶液をバンド流延機を用いてフィルムを作製し、温度210℃においてテンターで7%横延伸を行い光学異方性層A3を作製した。延伸後の膜厚は93μmであった。Re450、Re590、Re650、Rth450、Rth590、Rth650を測定した。結果を表1に示す。
(非液晶性化合物による光学異方性層C5の作製)
2,2'−ビス(3,4−ジスカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンと、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ジアミノビフェニルから合成されたポリイミドをシクロヘキサノン中に溶解させ、15質量%の溶液を調製した。セルロースアセテートフィルムCTA2上に、上記ポリイミド溶液を、乾燥後の膜厚で3.1μm分塗布し、150℃で5分間乾燥させ、上記ポリイミドからなる光学異方性層C5を形成し、セルロースアセテートフィルムCTA2上に光学異方性層C5を有する光学補償シートCA1を得た。
別途準備したガラス基板上に、上記ポリイミド溶液を、乾燥後の膜厚で3.1μm分塗布し、150℃で5分間乾燥させ、上記ポリイミドからなる光学補償層C5Gを作製した。Re450、Re590、Re650、Rth450、Rth590、Rth650を測定した。結果を表1に示す。
(偏光板PCA1の作製)
厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、ヨウ素濃度0.05質量%のヨウ素水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4質量%濃度のホウ酸水溶液中に60秒浸漬している間に元の長さの5倍に縦延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ20μmの偏光子を得た。
上記で作製した光学補償シートCA1および製造例1で作製した反射防止層を有する保護膜LR1を、濃度1.5モル/Lで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、濃度0.005モル/Lで35℃の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
上記のように鹸化処理を行った光学補償シートCA1および反射防止層を有する保護膜LR1を、前記の偏光子を挟むようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合せ偏光板を作製した。ここで反射防止層を有する保護膜LR1のトリアセチルセルロースフィルム側および光学補償シートCA1のセルロースアセテートフィルムCTA2側を偏光子側となるように貼り合せた。
この偏光板の光学異方性層C5側にアクリル系の粘着材を介して、光学異方性層A3を貼り合せ偏光板PCA1Fを作製した。さらに、光学補償シートの光学異方性層A3上にもアクリル系粘着材を塗設した。このとき、偏光子および偏光子両側の保護膜はロール形態で作製されているため、各ロールフィルムの長手方向が平行となっており、連続的に貼り合わされる。また図1に示すように、光学異方性層A3の遅相軸と偏光子の透過軸は平行になっている。
また、上記の偏光板PCA1Fに対して、保護膜LR1を市販のトリアセチルセルロースフィルム(フジタックTFY80UL、富士写真フイルム(株)製)に置き換えて作製した偏光板をPCA1Rとした。
実施例9:偏光板PCA2の作製
(光学異方性層C6の作製)
実施例1で作製したセルロースアセテートフィルムCTA2表面に、実施例6において使用したポリイミドのN−メチルピロリドン/ブチルセロソルブ溶液を、#30のバーコーターを用いて、ロール状透明支持体を搬送しながらその上に連続的に塗布した。140℃で3分間加熱して、厚さ15μmの光学異方性層C6を形成した。
別途準備したガラス基板上に、上記ポリイミド溶液を、乾燥後の膜厚で15μm分塗布し、150℃で5分間乾燥させ、上記ポリイミドからなる光学補償層C6Gを作製した。Re450、Re590、Re650、Rth450、Rth590、Rth650を測定した。結果を表1に示す。
光学異方性層C6を設けたロール状透明支持体を搬送しながら、長手方向(搬送方向)に連続的にラビング処理を実施した。先に示した棒状液晶性分子(N26)100質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)1質量部、光重合増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.3質量部を、メチレンクロライド900質量部に溶解して塗布液を調製した。塗布液を、配向膜の上に、#2のバーコーターを用いて連続的に塗布した。塗布層を110℃で2分間加熱し、500mJ/cm2 の紫外線を照射して、棒状液晶性分子を重合させ、その配向状態を固定した。このようにして光学異方性層A4を形成し、光学補償シートCA2を作製した。棒状液晶性分子は、長軸方向が光学補償シートの長手方向と直交するように配向していた。
別途準備したガラス基板上に、上記配向膜層を乾燥後の膜厚で0.5μm、上記棒状液晶層を膜厚で0.3μ形成し、棒状液晶性分子からなる光学異方性層A4Gを作製した。Re450、Re590、Re650、Rth450、Rth590、Rth650を測定した。結果を表1に示す。
(偏光板PCA2の作製)
厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、ヨウ素濃度0.05質量%のヨウ素水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4質量%濃度のホウ酸水溶液中に60秒浸漬している間に元の長さの5倍に縦延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ20μmの偏光子を得た。
上記で作製した光学補償シートCA2および製造例1で作製した反射防止層を有する保護膜LR1を、濃度1.5モル/Lで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、濃度0.005モル/Lで35℃の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
上記のように鹸化処理を行った光学補償シートCA2および反射防止層を有する保護膜LR1を、前記の偏光子を挟むようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合せ偏光板PCA2Fを作製した。ここで光学補償シートAC2のセルロースアシレートフィルムCTA2側、および反射防止層を有する保護膜LR1のトリアセチルセルロースフィルム側を偏光子側となるように貼り合せた。
さらに、光学補償シートの光学異方性層CA2側にアクリル系粘着材を塗設し偏光板PCA2Fを作製した。このとき、偏光子および偏光子両側の保護膜はロール形態で作製されているため、各ロールフィルムの長手方向が平行となっており、連続的に貼り合わされる。また図1に示すように、光学異方性層A4の遅相軸と偏光子の透過軸は平行になっている。
また、上記の偏光板PCA2Fに対して、保護膜LR1を市販のトリアセチルセルロースフィルム(フジタックTDY80UL、富士写真フイルム(株)製)に置き換えて作製した偏光板をPCA2Rとした。
実施例10:偏光板PCA3の作製
(非液晶性化合物による光学異方性層C5の作製)
ゼオノアZF14((株)オプテス製)表面にソリッドステートコロナ処理機6KVA(ピラー(株)製)によりコロナ放電処理を行い、実施例8と同様にして光学異方性層C5を形成し、光学補償シートCA3を作製した。
(偏光板PCA3の作製)
厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、ヨウ素濃度0.05質量%のヨウ素水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4質量%濃度のホウ酸水溶液中に60秒浸漬している間に元の長さの5倍に縦延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ20μmの偏光子を得た。
上記で作製した光学補償シートCA3および製造例1で作製した反射防止層を有する保護膜LR1を、濃度1.5モル/Lで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、濃度0.005モル/Lで35℃の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
上記のように鹸化処理を行った光学補償シートCA3および反射防止層を有する保護膜LR1を、前記の偏光子を挟むようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合せ偏光板を作製した。ここで反射防止層を有する保護膜LR1のトリアセチルセルロースフィルム側および光学補償シートCA3の透明支持体側が偏光子側となるように貼り合せた。
この偏光板の光学異方性層C5側にアクリル系の粘着材を介して、光学異方性層A3を貼り合せ偏光板PCA3Fを作製した。さらに、光学補償シートの光学異方性層A3上にもアクリル系粘着材を塗設した。このとき、偏光子および偏光子両側の保護膜はロール形態で作製されているため、各ロールフィルムの長手方向が平行となっており、連続的に貼り合わされる。また図1に示すように、光学異方性層A3の遅相軸と偏光子の透過軸は平行になっている。
また、上記の偏光板PCA3Fに対して、保護膜LR1を市販のトリアセチルセルロースフィルム(フジタックTFY80UL、富士写真フイルム(株)製)に置き換えて作製した偏光板をPCA3Rとした。
比較例4:偏光板PCA4の作製
実施例8の偏光板PCA1のセルロースアセテートフィルムCTA2を市販のトリアセチルセルロースフィルム(フジタックTFY80UL、富士写真フイルム(株)製)に置き換えた以外は実施例8と同様にし、偏光板PCA4FおよびPCA4Rを作製した。
比較例5:偏光板PCA5の作製
実施例9の偏光板PCA2のセルロースアセテートフィルムCTA2を市販のトリアセチルセルロースフィルム(フジタックTFY80UL、富士写真フイルム(株)製)に置き換えた以外は実施例9と同様にし、偏光板PCA5FおよびPCA5Rを作製した。
比較例6:偏光板PCA6の作製
(光学異方性層C7の作製)
市販のアートンZF14を逐次二軸延伸機にて、140℃の温度において、縦方向に13%延伸、横方向に14%延伸を行い、フィルム(光学異方性層)C7を作製した。延伸後の膜厚は78μmであった。Re450、Re590、Re650、Rth450、Rth590、Rth650を測定した。結果を表1に示す。
(光学異方性層A4の作製)
上記で作製した光学異方性層C7表面に、ソリッドステートコロナ処理機6KVA(ピラー(株)製)によりコロナ放電処理を行い、その表面に、先に示したポリイミドのN−メチルピロリドン/ブチルセロソルブ溶液を、#5のバーコーターを用いて、ロール状透明支持体を搬送しながらその上に連続的に塗布した。140℃で3分間加熱して、厚さ0.5μmの配向膜を形成した。
配向膜を設けたロール状透明支持体を搬送しながら、長手方向(搬送方向)に連続的にラビング処理を実施した。先に示した棒状液晶性分子(N26)100質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)1質量部、光重合増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.3質量部を、メチレンクロライド900質量部に溶解して塗布液を調製した。塗布液を、配向膜の上に、#2のバーコーターを用いて連続的に塗布した。塗布層を110℃で2分間加熱し、500mJ/cm2の紫外線を照射して、棒状液晶性分子を重合させ、その配向状態を固定した。このようにして光学異方性層を形成し、光学異方性層A4を作製した。棒状液晶性分子は、長軸方向が光学補償シートの長手方向と直交するように配向していた。このようにして光学補償シートCA6を作製した。
別途準備したガラス基板上に、上記配向膜層を乾燥後の膜厚で0.5μm、上記棒状液晶層を膜厚で0.3μ形成し、棒状液晶性分子からなる光学補償層A4Gを作製した。Re450、Re590、Re650、Rth450、Rth590、Rth650を測定した。結果を表1に示す。
(偏光板PCA6の作製)
厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、ヨウ素濃度0.05質量%のヨウ素水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4質量%濃度のホウ酸水溶液中に60秒浸漬している間に元の長さの5倍に縦延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ20μmの偏光子を得た。
市販のトリアセチルセルロースフィルム・フジタックTFY80ULおよび製造例1で作製した反射防止層を有する保護膜LR1を、濃度1.5モル/Lで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、濃度0.005モル/Lで35℃の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
上記のように鹸化処理を行った市販のトリアセチルセルロースフィルム・フジタックTFY80ULおよび反射防止層を有する保護膜LR1を、前記の偏光子を挟むようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合せた。ここで反射防止層を有する保護膜LR1のトリアセチルセルロースフィルム側を偏光子側となるように貼り合せた。
上記の偏光板の市販のトリアセチルセルロースフィルム上にアクリル系粘着材を塗設し、光学補償シートCA6の光学異方性層C7側を貼り合せ、偏光板PCA6Fを作製した。さらに、光学補償シートCA6の光学異方性層A4上にアクリル系粘着材をした。
このとき、偏光子および偏光子両側の保護膜はロール形態で作製されているため、各ロールフィルムの長手方向が平行となっており、連続的に貼り合わされる。また図1に示すように、光学補償層A4の遅相軸と偏光子の透過軸は平行になっている。
また、上記の偏光板PCA6Fに対して、保護膜LR1を市販のトリアセチルセルロースフィルム(フジタックTFY80UL、富士写真フイルム(株)製)に置き換えて作製した偏光板をPCA6Rとした。
実施例11:VAパネルへの実装
実施例2〜7、比較例1〜3、実施例8〜10、比較例4〜6で作製した視認側(フロント側)偏光板PAC1F〜9FおよびPCA1F〜6Fを、26"ワイドのサイズで偏光子の吸収軸が長辺となるように打ち抜いた。またバックライト側(リア側)偏光板PAC1R〜9RおよびPCA1R〜6Rを、26"ワイドのサイズで偏光子の吸収軸が短辺となるように打ち抜いた。
VAモードの液晶TV(KDL-L26HVX、ソニー(株)製)の表裏の偏光板および位相差板を剥し、表と裏側に上記のように打ち抜いた偏光板を貼り付け、表2に示すように液晶表示装置1〜15を作製した。偏光板貼り付け後、50℃5kg/cm2で20分間保持し、接着させた。この際、視認側の偏光板の吸収軸はパネル水平方向に、バックライト側の偏光板の吸収軸はパネル鉛直方向となり、粘着材面が液晶セル側となるように配置した。
上記のように作製した測定機(EZ−Contrast 160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示および白表示の輝度測定から視野角(コントラスト比が20以上の範囲)を算出した。方位角45度方向における視野角を表2に示した。
また、黒表示のu'v'色度図における色味測定を行い、パネル法線方向(極角0度)の色度(u'0,v'0)と画面水平方向から反時計方向に45度回転した方位(方位角45度)でパネル法線方向からパネル面へ60度傾けた方向(極角60度)の色度(u'60,v'60)の測定値から、下記式で定義される色味変化指数ΔCu'v'を算出した。結果を表2に示す。表2から、本発明により、視野角特性が改善され、かつ、黒表示時において正面から視角を倒した場合の色変化が改良された液晶表示装置が得られることがわかる。
ΔCu'v'=((u'0−v'60)2−(v'0−v'60)2)0.5
Figure 2006220971
本発明により、黒表示時において正面から視角を倒した場合の色変化が改良された液晶表示装置、特にVA型液晶表示装置を提供することができる。
実施例の偏光板における光学異方性層Aの遅相軸と偏光子の透過軸との位置関係を示す。

Claims (22)

  1. 下記式(1)および(2)を満たす透明支持体上に、下記式(3)を満たす光学異方性層A、下記式(4)を満たす光学異方性層Cをこの順に有する光学補償シート。
    (1)0≦Re590≦10かつ|Rth590|≦25
    (2)|Re450−Re650|≦10かつ|Rth450−Rth650|≦35
    (3)10≦Re590≦150かつ0≦Rth590≦200
    (4)0≦Re590≦10かつ40≦Rth590≦400
    [式中、Reλは波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rthλは波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
  2. 下記式(1)および(2)を満たす透明支持体上に、下記式(4)を満たす光学異方性層C、下記式(3)を満たす光学異方性層Aをこの順に有する光学補償シート。
    (1)0≦Re590≦10かつ|Rth590|≦25
    (2)|Re450−Re700|≦10かつ|Rth405−Rth650|≦35
    (3)10≦Re590≦150かつ0≦Rth590≦200
    (4)0≦Re590≦10かつ40≦Rth590≦400
    [式中、Reλは波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rthλは波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
  3. 前記透明支持体がRthλを低下させる化合物を、下記式(5)、(6)を満たす範囲で少なくとも一種含有することを特徴とする請求項1または2に記載の光学補償シート。
    (5)(Rthλ(A)−Rthλ(0))/A≦−1.0
    (6)0.01≦A≦30
    [式中、Rthλ(A):Rthλを低下させる化合物をA%含有した透明支持体のRthλ(nm)、Rthλ(0):Rthλを低下させる化合物を含有しない透明支持体のRthλ(nm)、A:透明支持体原料ポリマーの質量を100としたときの化合物の質量(%)である。]
  4. 前記透明支持体が|Re400−Re700|および|Rth400−Rth700|を低下させる化合物を少なくとも1種、支持体原料ポリマー固形分に対して0.01〜30質量%含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学補償シート。
  5. 前記透明支持体がセルロースアシレートフィルムからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学補償シート。
  6. 前記セルロースアシレートフィルムが、アシル置換度が2.85〜3.00のセルロースアシレートに、ReλおよびRthλを低下させる化合物を少なくとも1種、セルロースアシレート固形分に対して0.01〜30質量%含むことを特徴とする請求項5に記載の光学補償シート。
  7. 前記透明支持体の膜厚が10〜120μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学補償シート。
  8. 前記光学異方性層Aが延伸ポリマーフィルムであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学補償シート。
  9. 前記光学異方性層Aが液晶性化合物から形成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学補償シート。
  10. 前記光学異方性層Cが延伸ポリマーフィルムであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学補償シート。
  11. 前記光学異方性層Cが液晶性化合物から形成されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学補償シート。
  12. 前記光学異方性層Cが非液晶性化合物から形成されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学補償シート。
  13. 前記光学異方性層AのReλの波長依存性が下記式(7)、(8)を満たすことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の光学補償シート。
    (7)Re450/Re550=0.60〜0.98
    (8)Re650/Re550=1.00〜1.60
  14. 前記光学異方性層CのRthλの波長依存性が下記式(9)、(10)を満たすことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の光学補償シート。
    (9)Rth450/Rth550=1.02〜1.60
    (10)Rth650/Rth550=0.60〜1.00
  15. 前記光学異方性層AのReλの波長依存性が下記式(7)、(8)を満たし、かつ前記光学異方性層CのRthλの波長依存性が下記式(9)、(10)を満たすことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の光学補償シート。
    (7)Re450/Re550=0.60〜0.98
    (8)Re650/Re550=1.00〜1.60
    (9)Rth450/Rth550=1.02〜1.60
    (10)Rth650/Rth550=0.60〜1.00
  16. 偏光子の両側に保護膜を有する偏光板であって、少なくとも一方の保護膜が請求項1〜15のいずれか1項に記載の光学補償シートであって、透明支持体面側が偏光子と貼り合わされることを特徴とする偏光板。
  17. 前記保護膜が、可塑剤、紫外線吸収剤、剥離促進剤、染料、マット剤、および導電性微粒子からなる群から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項16に記載の偏光板。
  18. 少なくとも一方の保護膜の表面に、ハードコート層、防眩層、反射防止層、防汚層、および帯電防止層からなる群から選択される少なくとも一層が設けられた請求項16または17に記載の偏光板。
  19. 液晶セルと液晶セルの両側に配置された一対の偏光板を有する液晶表示装置であって、該偏光板の少なくとも一方が請求項16〜18のいずれか1項に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
  20. 液晶セルと液晶セルの両側に配置された一対の偏光板を有する液晶表示装置であって、前記偏光板は、偏光子と該偏光板を挟持する一対の保護膜とから構成され、前記保護膜の少なくとも一枚が請求項1に記載の光学補償シートであることを特徴とする液晶表示装置。
  21. 液晶セルと液晶セルの両側に配置された一対の偏光板を有する液晶表示装置であって、前記偏光板は、偏光子と該偏光板を挟持する一対の保護膜とから構成され、前記保護膜の少なくとも一枚が請求項2に記載の光学補償シートであることを特徴とする液晶表示装置。
  22. 前記液晶セルがVAモードであることを特徴とする請求項19〜21のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
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