JP2006206792A - セルロースアシレートフィルム、並びにそれを用いた光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】
フィルム製造時及び偏光板加工時における安定したハンドリング特性を有する、物理特性の優れたセルロースアシレートフィルムの提供、並びにこのようなセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板及び光学補償フィルムの提供、さらにこれらを用いた液晶表示装置の提供。
【解決手段】
添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムであって、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムに比較して、Tgが50〜80℃低いか、弾性率が101〜150%の範囲であるか、又は200℃で3時間熱処理したときの、X線回折パターンにおける2θ=10〜15°に存在する回折ピークの半値幅が、20〜105%の範囲であるセルロースアシレートフィルム、並びにこのようなフィルムを用いた光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置。
【選択図】なし
フィルム製造時及び偏光板加工時における安定したハンドリング特性を有する、物理特性の優れたセルロースアシレートフィルムの提供、並びにこのようなセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板及び光学補償フィルムの提供、さらにこれらを用いた液晶表示装置の提供。
【解決手段】
添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムであって、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムに比較して、Tgが50〜80℃低いか、弾性率が101〜150%の範囲であるか、又は200℃で3時間熱処理したときの、X線回折パターンにおける2θ=10〜15°に存在する回折ピークの半値幅が、20〜105%の範囲であるセルロースアシレートフィルム、並びにこのようなフィルムを用いた光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置。
【選択図】なし
Description
本発明は、液晶表示装置に有用なセルロースアシレートフィルムに関し、さらにそれを用いた光学補償フィルム、偏光板などの光学材料及び液晶表示装置に関するものである。
現在、セルロースアシレートフィルムは、その透明性や光学的欠点のない特性から、液晶表示装置の部材である偏光板の保護フィルムとして好ましく使用されている。一般的な偏光板は、延伸されたポリビニルアルコール(PVA)系フィルムを、ヨウ素又は二色性色素で染色することによって得られる偏光膜の少なくとも片側に、保護フィルムを貼合することによって形成されている。セルロースアシレートフィルムは、PVAに対して直接貼り合わせできる優位性を持ち、特にトリアセチルセルロースフィルムが多くの場合用いられている。
偏光膜の保護フィルムの光学特性が偏光板の特性を大きく左右するため、その要求品質は年々高度化している。最近の液晶表示装置においては、斜め方向からの表示性能、すなわち視野角特性の改善がより強く要求されるようになっている。視野角特性を改善するためには、偏光板の保護フィルムや他に使用される光学フィルムの複屈折と厚みの積で表されるレターデーション値が適切であることが重要で、通常はこの目的のために光学補償フィルムが使用される。
光学補償フィルムによってレターデーション値の調整を行う場合においては、保護フィルムには、余計なレターデーション値を持たせず、できるだけ小さいことが望ましい。特に保護フィルムにおいては、正面レターデーション値(Re)もさることながら、膜厚方向のレターデーション値(Rth)を小さくすることが視野角依存性良化に有利である。
これまでに、偏光板の保護フィルムの正面レターデーションReは、十分に小さいものが用いられていた。一方、膜厚方向のレターデーションRthが小さい保護フィルムは作製が困難だった。近年ポリカーボネート系フィルムや熱可塑性シクロオレフィンフィルムを用いてRthの小さい光学透明フィルムの提案がされている[例えば、特許文献1、2。製品としては“ZEONOR”{日本ゼオン(株)製}や、“ARTON”{JSR(株)製}など]。しかしこれらの光学透明フィルムは、偏光膜の保護フィルムとして使用する場合、フィルムが疎水的なためにPVAとの貼合性に問題がある。またフィルム面内全体の光学特性が不均一であるという問題が残っている。
また、これらポリカーボネート系フィルムやシクロオレフィン系フィルムなどは、フィルムの物性が、これまでに偏光板の保護フィルムに用いられてきたセルロースアシレートフィルムとは大きく異なることから、偏光板製造過程におけるフィルムのハンドリング特性も異なり、従って現行の偏光板製造設備を、新たな設備に置き換える必要があり製造上不利である。一方、セルロースアシレートフィルムにおいても、フィルム組成等によってはフィルムが固すぎたり、脆かったりするために製造上の歩留まりが悪い場合があり、フィルム製造時のハンドリング特性を良化させることでフィルムの生産性をより向上させることが求められていた。
特開2001−318233号公報
特開2002−328233号公報
本発明の課題は、フィルム製造時及び偏光板加工時における安定したハンドリング特性を有し、物理特性の優れたセルロースアシレートフィルムを提供することである。本発明の他の課題は、Re、Rthが小さく、本発明のセルロースアシレートフィルムを用いることにより視野角特性に優れた偏光板の保護フィルムや光学補償フィルムなどを作製し、これらを用いた液晶表示装置を提供することである。
本発明の発明者らは、セルロースアシレートに添加する化合物とその量を制御することにより、フィルムのガラス転移温度Tgを、添加していないフィルムよりも50〜80℃低くすることに成功し、Tgが低下することによりフィルムのハンドリング特性は良化した。またこれら添加剤により、フィルムの弾性率を、添加していないフィルムに対し101〜150%と大きくし、フィルムのハンドリング特性を良化することに成功した。さらにフィルムのX線回折のピーク半値幅を、添加していないフィルムに対し20〜105%と小さくし又は同程度とすることにより、フィルム膜内の結晶化を低下させ又は均質化させてフィルムのハンドリング特性を良化することに成功した。以上により本発明のセルロースアシレートフィルムはフィルムが添加剤を添加していないフィルムよりもフィルム製造時及び偏光板加工時における安定したハンドリング特性を有する、実用性のある物理特性にすることができた。さらにフィルムのハンドリング特性を良化させると同時にRe、Rthを低下させることのできる添加剤を用いることにより、製造上実用性のある物理特性と、液晶画像表示装置等に用いるのに好ましい光学特性とを両立させたセルロースアシレートフィルムを作製することに成功した。
本発明は以下の[1]〜[30]により達成された。
[1]添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムであって、
(1)該セルロースアシレートフィルムのガラス転移温度(Tg)が、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムのTgに対し50〜80℃低いこと、
(2)該セルロースアシレートフィルムの弾性率が、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムの弾性率に対し101〜150%であること、及び
(3)該セルロースアシレートフィルムを200℃で3時間熱処理したときの、X線回折パターンにおける2θ=10〜15°に存在する回折ピークの半値幅が、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムを200℃で3時間熱処理したときの該半値幅に対し20〜105%であること、
の少なくともいずれか1つを満たすことを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
(1)該セルロースアシレートフィルムのガラス転移温度(Tg)が、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムのTgに対し50〜80℃低いこと、
(2)該セルロースアシレートフィルムの弾性率が、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムの弾性率に対し101〜150%であること、及び
(3)該セルロースアシレートフィルムを200℃で3時間熱処理したときの、X線回折パターンにおける2θ=10〜15°に存在する回折ピークの半値幅が、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムを200℃で3時間熱処理したときの該半値幅に対し20〜105%であること、
の少なくともいずれか1つを満たすことを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
[2]添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムの光弾性率が、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムの光弾性率に対し105〜150%である上記[1]に記載のセルロースアシレートフィルム。
[3]添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムの密度が、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムの密度に対し99.9%以下である上記[1]又は[2]に記載のセルロースアシレートフィルム。
[4]添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムの透湿度が、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムの透湿度に対し30〜90%である上記[1]〜[3]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
[3]添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムの密度が、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムの密度に対し99.9%以下である上記[1]又は[2]に記載のセルロースアシレートフィルム。
[4]添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムの透湿度が、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムの透湿度に対し30〜90%である上記[1]〜[3]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
[5]添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムのアルカリ鹸化後の接触角が、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムの接触角に対し95%以下である上記[1]〜[4]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
[6]添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムの引裂き強度が、添加剤を含有し
ないセルロースアシレートフィルムの引裂き強度に対し95%以下である上記[1]〜[5]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
[7]添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムの吸湿膨張係数が、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムの吸湿膨張係数に対し95%以下である上記[1]〜[6]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
[6]添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムの引裂き強度が、添加剤を含有し
ないセルロースアシレートフィルムの引裂き強度に対し95%以下である上記[1]〜[5]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
[7]添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムの吸湿膨張係数が、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムの吸湿膨張係数に対し95%以下である上記[1]〜[6]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
[8]添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムのReλ及びRthλが、下記数式(1)及び(2)を満たす上記[1]〜[7]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
数式(1):0≦Re630≦10で且つ|Rth630|≦25
数式(2):|Re400−Re700|≦10で且つ|Rth400−Rth700|≦35
[式中、Reλは波長λnmにおけるセルロースアシレートフィルムの正面レターデーション値(単位:nm)、Rthλは波長λnmにおけるセルロースアシレートフィルムの膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
[9]セルロースアシレートフィルム原料ポリマーのアシル置換度が2.85〜3.00のセルロースアシレートからなる上記[1]〜[8]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
数式(1):0≦Re630≦10で且つ|Rth630|≦25
数式(2):|Re400−Re700|≦10で且つ|Rth400−Rth700|≦35
[式中、Reλは波長λnmにおけるセルロースアシレートフィルムの正面レターデーション値(単位:nm)、Rthλは波長λnmにおけるセルロースアシレートフィルムの膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
[9]セルロースアシレートフィルム原料ポリマーのアシル置換度が2.85〜3.00のセルロースアシレートからなる上記[1]〜[8]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
[10]セルロースアシレートフィルムが、添加剤として、Rthλを低下させる化合物を少なくとも1種、下記数式(3)及び(4)を満たす範囲で含有する上記[1]〜[9]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
数式(3):(RthλA−Rthλ0)/A≦−1.0
数式(4):0.01≦A≦30
ここで、
RthλA:Rthλを低下させる化合物をA質量%含有したセルロースアシレートフィルムのRthλ(nm)、
Rthλ0:Rthλを低下させる化合物を含有しないセルロースアシレートフィルムのRthλ(nm)、
A:セルロースアシレートフィルム原料ポリマーの質量を100としたときのRthλを低下させる化合物の質量(%)、
である。
[11]Rthλを低下させる化合物のオクタノール−水分配係数(LogP値)が、0〜7の範囲である上記[10]に記載のセルロースアシレートフィルム。
数式(3):(RthλA−Rthλ0)/A≦−1.0
数式(4):0.01≦A≦30
ここで、
RthλA:Rthλを低下させる化合物をA質量%含有したセルロースアシレートフィルムのRthλ(nm)、
Rthλ0:Rthλを低下させる化合物を含有しないセルロースアシレートフィルムのRthλ(nm)、
A:セルロースアシレートフィルム原料ポリマーの質量を100としたときのRthλを低下させる化合物の質量(%)、
である。
[11]Rthλを低下させる化合物のオクタノール−水分配係数(LogP値)が、0〜7の範囲である上記[10]に記載のセルロースアシレートフィルム。
[12]Rthλを低下させる化合物が、一般式(1)又は(2)で表される化合物である上記[10]又は[11]に記載のセルロースアシレートフィルム。
一般式(1):
一般式(1):
一般式(2):
[上記一般式(1)及び(2)において、R11はアルキル基又はアリール基を表し、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。またR21はアルキル基又はアリール基を表し、R22及びR23はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。]
[13]セルロースアシレートフィルムが、添加剤として、その|Re400−Re700|及
び|Rth400−Rth700|を低下させる化合物を少なくとも1種、セルロースアシレートフィルム原料ポリマーの固形分に対して0.01〜30質量%含む上記[1]〜[12]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
[14]セルロースアシレートフィルムの波長380nmにおける分光透過率が45%以上95%以下であり、且つ波長350nmにおける分光透過率が10%以下である上記[1]〜[13]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
び|Rth400−Rth700|を低下させる化合物を少なくとも1種、セルロースアシレートフィルム原料ポリマーの固形分に対して0.01〜30質量%含む上記[1]〜[12]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
[14]セルロースアシレートフィルムの波長380nmにおける分光透過率が45%以上95%以下であり、且つ波長350nmにおける分光透過率が10%以下である上記[1]〜[13]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
[15]60℃、90%RHに240時間処理したフィルムのReλ及びRthλの変化量が、15nm以下である上記[1]〜[14]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
[16]80℃、240時間処理したフィルムのReλ及びRthλの変化量が、15nm以下である上記[1]〜[15]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。[17]フィルムの膜厚が10〜120μmである上記[1]〜[16]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
[16]80℃、240時間処理したフィルムのReλ及びRthλの変化量が、15nm以下である上記[1]〜[15]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。[17]フィルムの膜厚が10〜120μmである上記[1]〜[16]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
[18]フィルムを延伸する前後において、フィルムの正面レターデーションが下記数式(5)を満たす上記[1]〜[17]のいずれかにいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
数式(5):|Ren−Reb|/n≦1.0
ここで、
Ren:n(%)延伸したフィルムの正面レターデーション(nm)、
Reb:延伸していないフィルムの正面レターデーション(nm)、
である。
数式(5):|Ren−Reb|/n≦1.0
ここで、
Ren:n(%)延伸したフィルムの正面レターデーション(nm)、
Reb:延伸していないフィルムの正面レターデーション(nm)、
である。
[19]フィルム面内において、フィルムの機械搬送方向(MD方向)に対して垂直方向(TD方向)に遅相軸を有する上記[1]〜[18]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
[20]フィルム面内において、遅相軸を有する方向に延伸すると正面レターデーション値(Re)が小さくなり、遅相軸を有する方向と垂直な方向に延伸すると正面レターデーション値(Re)が大きくなる上記[1]〜[19]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
[20]フィルム面内において、遅相軸を有する方向に延伸すると正面レターデーション値(Re)が小さくなり、遅相軸を有する方向と垂直な方向に延伸すると正面レターデーション値(Re)が大きくなる上記[1]〜[19]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
[21][1]〜[20]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムに、Re630が0〜200nmの範囲であり、且つ|Rth630|が0〜400nmの範囲である光学異方性層を設けたことを特徴とする光学補償フィルム。
[22]光学異方性層がディスコティック液晶層を含有する上記[21]に記載の光学補償フィルム。
[23]光学異方性層が棒状液晶層を含有する上記[21]又は[22]に記載の光学補償フィルム。
[24]光学異方性層がポリマーフィルムにより形成される上記[21]〜[23]のいずれかに記載の光学補償フィルム。
[25]光学異方性層を形成するポリマーフィルムが、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドポリエステルイミド、及びポリアリールエーテルケトンよりなる群から選ばれる、少なくとも1種のポリマー材料を含有する上記[24]に記載の光学補償フィルム。
[22]光学異方性層がディスコティック液晶層を含有する上記[21]に記載の光学補償フィルム。
[23]光学異方性層が棒状液晶層を含有する上記[21]又は[22]に記載の光学補償フィルム。
[24]光学異方性層がポリマーフィルムにより形成される上記[21]〜[23]のいずれかに記載の光学補償フィルム。
[25]光学異方性層を形成するポリマーフィルムが、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドポリエステルイミド、及びポリアリールエーテルケトンよりなる群から選ばれる、少なくとも1種のポリマー材料を含有する上記[24]に記載の光学補償フィルム。
[26]上記[1]〜[20]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム、又は上記[21]〜[25]のいずれかに記載の光学補償フィルムを少なくとも1枚、偏光膜の保護フィルムとして有することを特徴とする偏光板。
[27]表面にハードコート層、防眩層、反射防止層の少なくとも一層を設けた上記[2
6]に記載の偏光板。
[27]表面にハードコート層、防眩層、反射防止層の少なくとも一層を設けた上記[2
6]に記載の偏光板。
[28]上記[1]〜[20]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム、上記[21]〜[25]のいずれかに記載の光学補償フィルム、上記[26]及び[27]に記載の偏光板のいずれかを有することを特徴とする液晶表示装置。
[29]液晶表示装置がVA又はIPS液晶表示装置である上記[28]に記載の液晶表示装置。
[30]液晶セルの上下両側に偏光板を有する上記[29]のIPS液晶表示装置において、少なくとも片側の偏光板のセル側に上記[1]〜[20]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムを有することを特徴とする液晶表示装置。
[29]液晶表示装置がVA又はIPS液晶表示装置である上記[28]に記載の液晶表示装置。
[30]液晶セルの上下両側に偏光板を有する上記[29]のIPS液晶表示装置において、少なくとも片側の偏光板のセル側に上記[1]〜[20]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムを有することを特徴とする液晶表示装置。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、フィルム製造時及び偏光板加工時における安定したハンドリング特性を有すると共に、物理特性の優れたセルロースアシレートフィルムを提供することができる。さらに、ハンドリング特性を良化させるとともにRe、Rthを共に小さくした本発明のセルロースアシレートフィルムを用いることにより視野角特性に優れた偏光板の保護フィルムや光学補償フィルムなどを生産性よく作製することが可能になる。このため本発明のセルロースアシレートフィルムをIPSモードの液晶表示装置に用いると、斜め方向からの色味変化を小さくすることができ黒表示時の光漏れが小さく有効である。またVAモードの液晶表示装置に用いると、斜め方向からのコントラスト視野角特性を良化できる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
<セルロースアシレートフィルム>
本発明のセルロースアシレートフィルムは、添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムであって、前記[1]に示すとおり、3つの構成要件(1)〜(3)の少なくともいずれかを満たすことを特徴とするものである。
本発明の上記構成[1]の(1)は、添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムであって、該セルロースアシレートフィルムのガラス転移温度(以下Tgと記載する)が、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムのTgに対して50〜80℃低いことを特徴とする添加剤含有セルロースアシレートフィルムである。53〜77℃低いことがより好ましく、55〜75℃低いことがさらに好ましい。
<セルロースアシレートフィルム>
本発明のセルロースアシレートフィルムは、添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムであって、前記[1]に示すとおり、3つの構成要件(1)〜(3)の少なくともいずれかを満たすことを特徴とするものである。
本発明の上記構成[1]の(1)は、添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムであって、該セルロースアシレートフィルムのガラス転移温度(以下Tgと記載する)が、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムのTgに対して50〜80℃低いことを特徴とする添加剤含有セルロースアシレートフィルムである。53〜77℃低いことがより好ましく、55〜75℃低いことがさらに好ましい。
本発明の発明者が鋭意検討した結果、添加剤の含有量、添加剤種などを調節することにより、Tgを上記範囲とすることができた。通常、添加剤の添加量を多くすることによりTgは低下し、フィルムの物性は軟化する。本発明では添加量を制御することによりTgを上記所望の範囲とし、このことにより本発明のセルロースアシレートフィルムは、添加剤を添加する前よりもフィルム製造時及び偏光板加工時のハンドリング特性に優れ、実用性のある物理特性にすることができた。
添加剤含有セルロースアシレートフィルムのTgの、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムのTgに対する低下分が50℃以上であれば、フィルムが固すぎたり、脆かったり、裂けやすいことがなく、フィルム製造時のハンドリング特性に問題が生じることがない。一方、該低下分が80℃以下であれば、フィルムが柔らかくなりすぎてフィルム製造時のハンドリング特性に問題が生じることがない。また製膜後のセルロースアシレートフィルムの耐熱性や寸法安定性、弾性が劣化することに起因する、液晶画像表示装置等において使用する場合の性能の顕著な低下という問題も起こらない。
なお本発明において、TgはJIS K−7121により規定されるものである。
本発明の前記構成[1]の(2)は、添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムであって、その弾性率が、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムの弾性率に対し101〜150%であることを特徴とする。105〜140%であることがより好ましく、110〜130%であることがさらに好ましい。具体的な測定方法としては、東洋ボールドウィン製万能引っ張り試験機“STM T50BP”を用い、23℃、70%RH雰囲気中、引っ張り速度10%/分で0.5%伸びにおける応力を測定し、弾性率を求めた。
添加剤含有セルロースアシレートフィルムの弾性率が、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムの弾性率に対して上記の範囲内にあれば、フィルムが固く脆くなることがなく、フィルム製造時のハンドリング特性に問題が生じることがない。
本発明の前記構成[1]の(3)は、添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムであって、そのフィルムを200℃で3時間熱処理したときの、X線回折パターンにおける2θ=10〜15°に存在する回折ピークの半値幅が、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムを200℃で3時間熱処理したときの該半値幅の20〜105%であることを特徴とする。22〜103%であることがより好ましく、25〜100%であることがさらに好ましい。このことは、本発明の添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムの回折ピークと、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムの回折ピークを比較すると、回折ピークがより鋭くなっているか、ほぼ同程度になっていることを示す。これは、本発明の添加剤を含有するセルロースアシレートフィルムにおいて、回折ピークを生じる繰り返し規則構造が、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムに対して同程度か、より均質化したことを示している。
添加剤含有セルロースアシレートフィルムのX線回折パターンにおける2θ=10〜15゜間に存在する回折ピークの半値幅が、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムを200℃で3時間熱処理したときの該半値幅に対して上記の範囲内にあれば、フィルム中で回折ピークを生じる繰り返し規則構造が偏在することがなく、物理特性に影響を与えることがないため、フィルムの製造時及び偏光板加工時のハンドリング特性が低下することがない。このように、本発明の添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムは、以上述べた3つの構成要件(1)〜(3)の少なくともいずれかを満たすことが必要である。
本発明の添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムの光弾性率は、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムの光弾性率に対し105〜150%であることが好ましい。105〜140%であることがより好ましく、105〜130%であるこがさらに好ましい。具体的な測定方法としては、セルロースアシレートフィルム試料12mm×120mmの長軸方向に対して引っ張り応力をかけ、その際のレターデーションをエリプソメーター“M150”{日本分光(株)}で測定し、応力に対するレターデーションの変化量から光弾性係数を算出した。
本発明の添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムの密度は、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムの密度に対し99.9%以下であることが好ましい。具体的な測定方法としては、フィルムを温度25℃、湿度50%RHで24時間調温調湿後、n−ヘプタン/四塩化炭素系の密度勾配管中で25℃での密度を測定した。
本発明の添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムの透湿度は、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムの透湿度に対し30〜90%であることが好ましい。30〜80%であることがより好ましく、30〜70%であることがさらに好ましい。添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムの透湿度に対して90%以下であれば、フィルムのRe値、Rth値が変化することがないので好ましい。また、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムの透湿度に対して30%以上であれば、本発明のセルロースアシレートフィルムを、偏光板の保護フィルムとして偏光膜に貼り付けて偏光板を作製する場合に、接着剤の乾燥が妨げられて接着不良を生じるなどの不具合が生じないので好ましい。
透湿度は、JIS Z−0208をもとに、温度60℃、湿度95%RHの条件において測定した。透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:「蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)」に記載の方法を適用することができ、本発明のセルロースアシレートフィルム試料70mmφを、25℃、90%RH及び60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、透湿試験装置“KK−709007”{東洋精機(株)}にて、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)し、透湿度=調湿後重量−調湿前重量で求めた。
本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光板の透明保護フィルムとして用いる場合、偏光膜との接着の有効な手段として、セルロースアシレートフィルム表面のアルカリ鹸化処理があげられる。アルカリ鹸化処理によってセルロースアシレートフィルム表面は親水的になり、水との接触角が小さくなる。本発明のセルロースアシレートフィルムのアルカリ鹸化後の接触角は、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムの前記接触角に対し95%〜0%であることが好ましい。90%〜0%であることがより望ましく、85%〜0%であることがさらに望ましい。接触角の評価法はアルカリ鹸化処理後のフィルム表面に直径3mmの水滴を落とし、フィルム表面と水滴のなす角をもとめる通常の手法によって親疎水性の評価とした。
本発明の添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムの引裂き強度は、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムの引裂き強度に対し95%以下であることが好ましい。より好ましくは5〜90%の範囲であり、更に好ましくは、10〜85%の範囲である。フィルム製造時及び偏光板加工時における安定したハンドリング特性のためにはフィルムの適度な固さが必要で、これはフィルムの引き裂き強度でおおよそ代用できる。添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムの引き裂き強度が該下限値以上であれば、製造時にフィルムが容易に裂けてしまうなどの製造上の問題が生じることがなく、また引き裂き強度が該上限値以下であれば、フィルムが固くなりすぎてフィルム製造時および偏光板加工時に曲がったロールに沿って搬送させる時に問題が生じるようなことがないので好ましい。具体的な引き裂き強度の測定方法としては、JIS K−7128−2:1998の引裂き試験方法に基ずく引裂き強度(エルメンドルフ引裂き法)、試料片50mm×64mmを、25℃、65%RHの条件下に2時間調湿した後に軽荷重引裂き強度試験機を用いて測定できる。
本発明の添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムの吸湿膨張係数は、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムの吸湿膨張係数に対し95%〜0%であることが好ましい。90%〜0%であることがより望ましく、85%〜0%であることがさらに望ましい。吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示し、小さい方が好ましい。この吸湿膨張係数を調節することで、本発明のセルロースアシレートフィルムを液晶表示装置の部材として用いた際に、表示装置の額縁状の透過率上昇、すなわち歪みによる光漏れを防止することができる。具体的な測定方法としては、試料20×5mmを用意し、60℃の一定温度において、湿度15%RHから90%RHまで上げていく際の、湿度60%RHにおける値を採用した。
本発明の添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムの光学性能は、下記数式(1)及び(2)を満たすことが好ましい。
数式(1):0≦Re630≦10で且つ|Rth630|≦25
数式(2):|Re400−Re700|≦10で且つ|Rth400−Rth700|≦35
ここで、Re630、Re400及びRe700は、それぞれ波長630nm、400nm及び700nmにおけるセルロースアシレートフィルムの正面レターデーション値(単位:nm)、Rth630、Rth400及びRth700は、それぞれ波長630nm、400nm及び700nmにおけるセルロースアシレートフィルムの膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。
数式(1):0≦Re630≦10で且つ|Rth630|≦25
数式(2):|Re400−Re700|≦10で且つ|Rth400−Rth700|≦35
ここで、Re630、Re400及びRe700は、それぞれ波長630nm、400nm及び700nmにおけるセルロースアシレートフィルムの正面レターデーション値(単位:nm)、Rth630、Rth400及びRth700は、それぞれ波長630nm、400nm及び700nmにおけるセルロースアシレートフィルムの膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。
〔セルロースアシレートフィルムの性能評価〕
[レターデーション値の測定]
(正面レターデーションRe、膜厚方向のレターデーションRth)
試料30mm×40mmを、25℃、60%RHで2時間調湿し、Reλは、自動複屈折計“KOBRA 21ADH”{王子計測機器(株)製}を用いて、波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定した。また、Rthλは得られたReλと、面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向を0°とし、試料を10°ごとに50°まで傾斜させ波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値とを基に、平均屈折率の仮定値1.48及び膜厚を入力して算出した。
[レターデーション値の測定]
(正面レターデーションRe、膜厚方向のレターデーションRth)
試料30mm×40mmを、25℃、60%RHで2時間調湿し、Reλは、自動複屈折計“KOBRA 21ADH”{王子計測機器(株)製}を用いて、波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定した。また、Rthλは得られたReλと、面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向を0°とし、試料を10°ごとに50°まで傾斜させ波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値とを基に、平均屈折率の仮定値1.48及び膜厚を入力して算出した。
(Re、Rthの波長分散測定)
試料30mm×40mmを、25℃、60%RHで2時間調湿し、エリプソメーター“M−150”{日本分光(株)製}を用いて、波長780nmから380nmの光をフィルム法線方向に入射させることにより、各波長でのReを求めReの波長分散を測定した。また、Rthの波長分散については、得られたRe、面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から780〜380nmの波長の光を入射させて測定したレターデーション値、及び面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長780〜380nmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基に、平均屈折率の仮定値1.48及び膜厚を入力して算出した。
試料30mm×40mmを、25℃、60%RHで2時間調湿し、エリプソメーター“M−150”{日本分光(株)製}を用いて、波長780nmから380nmの光をフィルム法線方向に入射させることにより、各波長でのReを求めReの波長分散を測定した。また、Rthの波長分散については、得られたRe、面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から780〜380nmの波長の光を入射させて測定したレターデーション値、及び面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長780〜380nmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基に、平均屈折率の仮定値1.48及び膜厚を入力して算出した。
[ハンドリング適性]
本発明のセルロースアシレートフィルムの製造適性を判断する目安として、フィルムのハンドリング特性が挙げられる。フィルムが固すぎたり、脆かったりすると、製造機械にてフィルムを連続製造する際にフィルムが裂けたり破断し、大きな問題である。また逆にフィルムが軟らかすぎるとフィルムを所定の温度で連続的に搬送することが困難であり製造上問題である。
本発明のセルロースアシレートフィルムの製造適性を判断する目安として、フィルムのハンドリング特性が挙げられる。フィルムが固すぎたり、脆かったりすると、製造機械にてフィルムを連続製造する際にフィルムが裂けたり破断し、大きな問題である。また逆にフィルムが軟らかすぎるとフィルムを所定の温度で連続的に搬送することが困難であり製造上問題である。
本発明においては、フィルム製造時のハンドリング特性を評価するため、25℃、60%RHに調湿したフィルム試料3×6cmを用意して、真ん中で折り目をつけて折り曲げ、裏返して同様に真ん中で折り目をつけて折り曲げる操作を繰り返した。この操作を連続して20回繰り返す前にフィルムが裂けて割れた場合を「×1=フィルムが固い、脆い、裂けやすい」とし、20回繰り返しても裂けも割れもない場合を「○=ハンドリング良好で問題なし」とし、20回繰り返しても十分に折り目がつかず折れない場合を「×2=フィルムが軟らかく搬送が困難」の三段階にて評価した。
〔セルロースアシレート〕
[セルロースアシレート原料綿]
本発明に用いられるセルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られ
るセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができ、本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
[セルロースアシレート原料綿]
本発明に用いられるセルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られ
るセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができ、本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
[セルロースアシレート置換度]
次に上記のセルロースを原料に製造される本発明のセルロースアシレートについて記載する。
本発明のセルロースアシレートはセルロースの水酸基がアシル化されたもので、その置換基はアシル基の炭素原子数が2のアセチル基から炭素原子数が22のものまでいずれも用いることができる。セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって置換度を得ることができる。測定方法としては、ASTM D−817−91に準じて実施することができる。本発明のセルロースアシレートフィルムは、アシル置換度が2.85〜3.00のセルロースアシレートからなることが好ましい。
次に上記のセルロースを原料に製造される本発明のセルロースアシレートについて記載する。
本発明のセルロースアシレートはセルロースの水酸基がアシル化されたもので、その置換基はアシル基の炭素原子数が2のアセチル基から炭素原子数が22のものまでいずれも用いることができる。セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって置換度を得ることができる。測定方法としては、ASTM D−817−91に準じて実施することができる。本発明のセルロースアシレートフィルムは、アシル置換度が2.85〜3.00のセルロースアシレートからなることが好ましい。
セルロースの水酸基を置換する、酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸のうち、炭素数2〜22のアシル基としては、脂肪族基でもアリル基でもよく特に限定されず、また単一でも2種類以上の混合物でもよい。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステル又は芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましいアシル基としては、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、へプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、i−ブタノイル、t−ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t−ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどが好ましく、アセチル、プロピオニル、ブタノイルがより好ましい。
[セルロースアシレート溶液の有機溶媒]
本発明では、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造することが好ましく、この方法では、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムは製造される。本発明の主溶媒として、好ましく用いられる有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル及び、炭素原子数が1〜7のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトン及び、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトン及びエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及び−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、例えばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
本発明では、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造することが好ましく、この方法では、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムは製造される。本発明の主溶媒として、好ましく用いられる有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル及び、炭素原子数が1〜7のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトン及び、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトン及びエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及び−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、例えばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
以上、本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては、塩素系のハロゲン化炭化水素を主溶媒としてもよいし、発明協会公開技報2001−1745(12頁〜16頁)に記載されているように、非塩素系溶媒を主溶媒としてもよく、特に限定されるものではない。
その他、本発明のセルロースアシレート溶液及びフィルムについての溶媒は、その溶解方法も含めて以下の特許に開示されており、好ましい態様である。それらは、例えば、特
開2000−95876号公報、特開平12−95877号公報、特開平10−324774号公報、特開平8−152514号公報、特開平10−330538号公報、特開平9−95538号公報、特開平9−95557号公報、特開平10−235664号公報、特開平12−63534号公報、特開平11−21379号公報、特開平10−182853号公報、特開平10−278056号公報、特開平10−279702号公報、特開平10−323853号公報、特開平10−237186号公報、特開平11−60807号公報、特開平11−152342号公報、特開平11−292988号公報、特開平11−60752号公報、特開平11−60752号公報などに記載されている。これらの公報によると、本発明のセルロースアシレートに好ましい溶媒だけでなく、その溶液物性や共存させる共存物質についても記載があり、本発明においても好ましい態様である。
開2000−95876号公報、特開平12−95877号公報、特開平10−324774号公報、特開平8−152514号公報、特開平10−330538号公報、特開平9−95538号公報、特開平9−95557号公報、特開平10−235664号公報、特開平12−63534号公報、特開平11−21379号公報、特開平10−182853号公報、特開平10−278056号公報、特開平10−279702号公報、特開平10−323853号公報、特開平10−237186号公報、特開平11−60807号公報、特開平11−152342号公報、特開平11−292988号公報、特開平11−60752号公報、特開平11−60752号公報などに記載されている。これらの公報によると、本発明のセルロースアシレートに好ましい溶媒だけでなく、その溶液物性や共存させる共存物質についても記載があり、本発明においても好ましい態様である。
〔セルロースアシレートフィルムの製造工程〕
[溶解工程]
本発明のセルロースアシレート溶液(ドープ)の調製に際して、その溶解方法は特に限定されず、室温溶解でもよく、また冷却溶解法又は高温溶解方法でもよく、さらにはこれらの組み合わせで実施されてもよい。本発明のセルロースアシレート溶液の調製、さらには溶解工程に伴う溶液濃縮、濾過の各工程に関しては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて22頁〜25頁に詳細に記載されている製造工程が好ましく用いられる。
[溶解工程]
本発明のセルロースアシレート溶液(ドープ)の調製に際して、その溶解方法は特に限定されず、室温溶解でもよく、また冷却溶解法又は高温溶解方法でもよく、さらにはこれらの組み合わせで実施されてもよい。本発明のセルロースアシレート溶液の調製、さらには溶解工程に伴う溶液濃縮、濾過の各工程に関しては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて22頁〜25頁に詳細に記載されている製造工程が好ましく用いられる。
(ドープの透明度)
本発明におけるセルロースアシレート溶液である、ドープの透明度としては、85%以上であることが望ましい。より好ましくは88%以上であり、さらに好ましくは90%以上であることが望ましい。本発明においては、セルロースアシレートドープ溶液に、各種の添加剤が十分に溶解していることを確認した。具体的なドープの透明度の算出方法としては、ドープ溶液を1cm角のガラスセルに注入し、分光光度計“UV−3150”{(株)島津製作所製}を用いて550nmの吸光度を測定した。溶媒のみを予めブランクとして測定しておき、ブランクの吸光度とドープの吸光度との比から、ドープの透明度を算出した。
本発明におけるセルロースアシレート溶液である、ドープの透明度としては、85%以上であることが望ましい。より好ましくは88%以上であり、さらに好ましくは90%以上であることが望ましい。本発明においては、セルロースアシレートドープ溶液に、各種の添加剤が十分に溶解していることを確認した。具体的なドープの透明度の算出方法としては、ドープ溶液を1cm角のガラスセルに注入し、分光光度計“UV−3150”{(株)島津製作所製}を用いて550nmの吸光度を測定した。溶媒のみを予めブランクとして測定しておき、ブランクの吸光度とドープの吸光度との比から、ドープの透明度を算出した。
[流延、乾燥、巻き取り工程]
次に、本発明におけるセルロースアシレート溶液(ドープ)を用いたフィルムの製造方法について述べる。
本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供される、溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)で調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調整をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、次いでドープを加圧型ダイの口金(スリット)から、エンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延し、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて得られたフィルムを、乾燥装置のロール群で機械的に搬送し乾燥を終了して、巻き取り機でロール状に所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせは、その目的により変わる。本発明のセルロースアシレートフィルムの主な用途としての電子ディスプレイ用の光学部材である機能性保護フィルムや、ハロゲン化銀写真感光材料に用いる場合の、溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらについては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発
行、発明協会)にて25頁〜30頁に詳細に記載されており、流延(共流延を含む)、金属支持体、乾燥、剥離などに分類され、本発明において好ましく用いることができる。
次に、本発明におけるセルロースアシレート溶液(ドープ)を用いたフィルムの製造方法について述べる。
本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供される、溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)で調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調整をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、次いでドープを加圧型ダイの口金(スリット)から、エンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延し、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて得られたフィルムを、乾燥装置のロール群で機械的に搬送し乾燥を終了して、巻き取り機でロール状に所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせは、その目的により変わる。本発明のセルロースアシレートフィルムの主な用途としての電子ディスプレイ用の光学部材である機能性保護フィルムや、ハロゲン化銀写真感光材料に用いる場合の、溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらについては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発
行、発明協会)にて25頁〜30頁に詳細に記載されており、流延(共流延を含む)、金属支持体、乾燥、剥離などに分類され、本発明において好ましく用いることができる。
〔セルロースアシレートへの添加剤〕
本発明のセルロースアシレート溶液には、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、Rthを低下させる化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、光学特性調整剤など)を加えることができ、これらについて以下に説明する。これら添加剤の添加時期は、ドープ作製工程において何れでも添加してもよいが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。
本発明のセルロースアシレート溶液には、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、Rthを低下させる化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、光学特性調整剤など)を加えることができ、これらについて以下に説明する。これら添加剤の添加時期は、ドープ作製工程において何れでも添加してもよいが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。
[Rthを低下させる化合物]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、フィルム膜厚方向のレターデーションRthを低下させる化合物(以下、Rth低下剤ともいう)を、下記数式(3)及び(4)を満たす範囲で少なくとも1種含有することが望ましい。
数式(3):(RthλA−Rthλ0)/A≦−1.0
数式(4):0.01≦A≦30
上記数式(3)、(4)において、より望ましくは、
数式(3−1):(RthλA−Rthλ0)/A≦−2.0
数式(4−1):0.05≦A≦25
であり、さらに望ましくは、
数式(3−2):(RthλA−Rthλ0)/A≦−3.0
数式(4−2):0.1≦A≦20
である。
ここで、RthλAはRthλ低下剤をA質量%含有したフィルムのRthλ(nm)、Rthλ0はRthλ低下剤を含有しないフィルムのRthλ(nm)、Aはフィルム原料ポリマーの質量を100としたときのRthλ低下剤の質量(%)である。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、フィルム膜厚方向のレターデーションRthを低下させる化合物(以下、Rth低下剤ともいう)を、下記数式(3)及び(4)を満たす範囲で少なくとも1種含有することが望ましい。
数式(3):(RthλA−Rthλ0)/A≦−1.0
数式(4):0.01≦A≦30
上記数式(3)、(4)において、より望ましくは、
数式(3−1):(RthλA−Rthλ0)/A≦−2.0
数式(4−1):0.05≦A≦25
であり、さらに望ましくは、
数式(3−2):(RthλA−Rthλ0)/A≦−3.0
数式(4−2):0.1≦A≦20
である。
ここで、RthλAはRthλ低下剤をA質量%含有したフィルムのRthλ(nm)、Rthλ0はRthλ低下剤を含有しないフィルムのRthλ(nm)、Aはフィルム原料ポリマーの質量を100としたときのRthλ低下剤の質量(%)である。
(Rth低下剤の構造的特徴)
セルロースアシレートフィルムのRth低下剤について説明する。
光学異方性を十分に低下させ、Re、Rthがともにゼロに近くなるようにするためには、フィルム中のセルロースアシレートが、正面方向及び膜厚方向に配向するのを抑制する化合物を用いることが好ましい。また、光学異方性を低下させる化合物は、セルロースアシレートに十分に相溶し、化合物自身が棒状の構造や平面性の構造を持たないことが有利である。具体的には芳香族基のような平面性の官能基を複数持っている場合、それらの官能基を同一平面ではなく、非平面に持つような構造が有利である。
セルロースアシレートフィルムのRth低下剤について説明する。
光学異方性を十分に低下させ、Re、Rthがともにゼロに近くなるようにするためには、フィルム中のセルロースアシレートが、正面方向及び膜厚方向に配向するのを抑制する化合物を用いることが好ましい。また、光学異方性を低下させる化合物は、セルロースアシレートに十分に相溶し、化合物自身が棒状の構造や平面性の構造を持たないことが有利である。具体的には芳香族基のような平面性の官能基を複数持っている場合、それらの官能基を同一平面ではなく、非平面に持つような構造が有利である。
(LogP値)
本発明のセルロースアシレートフィルムを作製するに当たっては、上記のように、フィルム中のセルロースアシレートが面内及び膜厚方向に配向するのを抑制してRth低下剤のうち、オクタノール−水分配係数(logP値)が0〜7である化合物を選択することが好ましい。logP値が7以下の化合物であれば、セルロースアシレートとの相溶性に優れ、フィルムの白濁や粉吹きなどの不都合を生じない。またlogP値が0以上の化合物は、親水性が高くなりすぎることがなく、セルロースアセテートフィルムの耐水性を悪化させるなどの問題が生じないので好ましい。logP値としてさらに好ましい範囲は1〜6であり、特に好ましい範囲は1.5〜5である。
本発明のセルロースアシレートフィルムを作製するに当たっては、上記のように、フィルム中のセルロースアシレートが面内及び膜厚方向に配向するのを抑制してRth低下剤のうち、オクタノール−水分配係数(logP値)が0〜7である化合物を選択することが好ましい。logP値が7以下の化合物であれば、セルロースアシレートとの相溶性に優れ、フィルムの白濁や粉吹きなどの不都合を生じない。またlogP値が0以上の化合物は、親水性が高くなりすぎることがなく、セルロースアセテートフィルムの耐水性を悪化させるなどの問題が生じないので好ましい。logP値としてさらに好ましい範囲は1〜6であり、特に好ましい範囲は1.5〜5である。
オクタノール−水分配係数(logP値)の測定は、JIS Z−7260−107(2000)に記載のフラスコ震盪法により実施することができる。また、オクタノール−水分配係数(logP値)は、実測に代わって、計算化学的手法又は経験的方法により見積もることも可能である。計算方法としては、Crippen’s fragmentation法{“J.Chem.Inf.comput.Sci.”,27巻、p.21(1987年)}、Viswanadhan’s fragmentation法{“J.Chem.Inf.comput.Sci.”,29巻、p.163(1989年)}、Broto’s fragmentation法{“Eur.J.Med.Chem.−Chim.Theor.”,19巻、p.71(1984年)}などが好ましく用いられるが、Crippen’s fragmentation法がより好ましい。ある化合物のlogPの値が、測定方法又は計算方法により異なる場合に、該化合物が本発明の範囲内であるかどうかは、Crippen’s fragmentation法により判断するものとする。
(Rth低下剤の物性)
Rth低下剤は、芳香族基を含有してもよいし、含有しなくてもよい。またRth低下剤は、分子量が150以上3000以下であることが好ましく、170以上2000以下であることが好ましく、200以上1000以下であることが特に好ましい。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であってもよいし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でもよい。
Rth低下剤は、芳香族基を含有してもよいし、含有しなくてもよい。またRth低下剤は、分子量が150以上3000以下であることが好ましく、170以上2000以下であることが好ましく、200以上1000以下であることが特に好ましい。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であってもよいし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でもよい。
Rth低下剤は、好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜250℃の固体であり、さらに好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜200℃の固体である。またRth低下剤は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
Rth低下剤の添加量は、セルロースアシレートの0.01〜30質量%であることが好ましく、0.05〜25質量%であることがより好ましく、0.1〜20質量%であることが特に好ましい。
Rth低下剤は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。Rth低下剤を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
このようなRth低下剤としては、下記の一般式(1)で表される化合物が好ましい。次ぎに一般式(1)の化合物について説明する。
一般式(1):
一般式(1):
上記一般式(1)において、R11はアルキル基又はアリール基を表し、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。また、R11、R12及びR13の炭素原子数の総和は10以上であることが特に好ましく、またこれらのアルキル基及びアリール基は置換基を有していてもよい。
置換基としてはフッ素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基及びスルホンアミド基が好ましく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基及びスルホンアミド基が特に好ましい。
アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数が1〜25のものが好ましく、6〜25のものがより好ましく、6〜20のもの(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ビシクロオクチル、ノニル、アダマンチル、デシル、t−オクチル、ウンデシル、ドデシル、トリデシ
ル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、ジデシルなど)が特に好ましい。
ル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、ジデシルなど)が特に好ましい。
アリール基としては、炭素原子数が6〜30のものが好ましく、6〜24のもの(例えば、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、ビナフチル、トリフェニルフェニルなど)が特に好ましい。一般式(1)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Rth低下剤としては、また下記の一般式(2)で表される化合物を例示することができる。
一般式(2):
一般式(2):
上記一般式(2)において、R21はアルキル基又はアリール基を表し、R22及びR23は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。ここで、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数が1〜20のものが好ましく、1〜15のものがさらに好ましく、1〜12のものが最も好ましい。環状のアルキル基としては、シクロヘキシル基が特に好ましい。アリール基は炭素原子数が6〜36のものが好ましく、6〜24のものがより好ましい。さらに、R21及びR22の炭素原子数の総和は10以上であることが好ましく、それぞれ、アルキル基及びアリール基は置換基を有していてもよい。
上記のアルキル基及びアリール基は置換基を有していてもよく、置換基としてはハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素など)、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基及びアシルアミノ基が好ましく、より好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、スルホニルアミノ基及びアシルアミノ基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、スルホニルアミノ基及びアシルアミノ基である。
以下に、一般式(2)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
[波長分散調整剤]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、そのフィルムの|Re400−Re700|及び|Rth400−Rth700|を低下させる化合物、すなわちレターデーションの波長分散を低下させる化合物(以下、波長分散調整剤ともいう)を少なくとも1種、セルロースアシレートフィルム原料ポリマーの固形分に対して0.01〜30質量%含むことが好ましい。以下、波長分散調整剤について説明する。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、そのフィルムの|Re400−Re700|及び|Rth400−Rth700|を低下させる化合物、すなわちレターデーションの波長分散を低下させる化合物(以下、波長分散調整剤ともいう)を少なくとも1種、セルロースアシレートフィルム原料ポリマーの固形分に対して0.01〜30質量%含むことが好ましい。以下、波長分散調整剤について説明する。
本発明のセルロースアシレートフィルムの、Rthの波長分散を良化させるためには、下記数式(6)で表されるRthの波長分散ΔRthを低下させる化合物(波長分散調整剤)を、下記数式(7)及び(8)を満たす範囲で少なくとも1種含有することが望ましい。
数式(6):ΔRth=|Rth400−Rth700|
数式(7):(ΔRthB−ΔRth0)/B≦−2.0
数式(8):0.01≦B≦30
上記数式(7)及び(8)において、より望ましくは、
数式(7−2):(ΔRthB−ΔRth0)/B≦−3.0
数式(8−2):0.05≦B≦25
であり、さらに望ましくは、
数式(7−3):(ΔRthB−ΔRth0)/B≦−4.0
数式(8−3):0.1≦B≦20
である。
ここでΔRthBは、波長分散調整剤をB質量%含有したフィルムのΔRth(nm)、Rth0は波長分散調整剤を含有しないフィルムのΔRth(nm)、Bはフィルム原料ポリマーの質量を100としたときの波長分散調整剤の質量(%)である。
数式(6):ΔRth=|Rth400−Rth700|
数式(7):(ΔRthB−ΔRth0)/B≦−2.0
数式(8):0.01≦B≦30
上記数式(7)及び(8)において、より望ましくは、
数式(7−2):(ΔRthB−ΔRth0)/B≦−3.0
数式(8−2):0.05≦B≦25
であり、さらに望ましくは、
数式(7−3):(ΔRthB−ΔRth0)/B≦−4.0
数式(8−3):0.1≦B≦20
である。
ここでΔRthBは、波長分散調整剤をB質量%含有したフィルムのΔRth(nm)、Rth0は波長分散調整剤を含有しないフィルムのΔRth(nm)、Bはフィルム原料ポリマーの質量を100としたときの波長分散調整剤の質量(%)である。
(波長分散調整剤の添加方法)
これら波長分散調整剤は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。またこれら波長分散調整剤を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
これら波長分散調整剤は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。またこれら波長分散調整剤を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
本発明に好ましく用いられる波長分散調整剤の具体例としては、例えばベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノ基を含む化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられるが、本発明はこれら化合物だけに限定されるものではない。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、下記一般式(3)で示されるものが本発明の波長分散調整剤として好ましく用いられる。
一般式(3):Q31−Q32−OH
(式中、Q31は含窒素芳香族ヘテロ環、Q32は芳香族環を表す。)
一般式(3):Q31−Q32−OH
(式中、Q31は含窒素芳香族ヘテロ環、Q32は芳香族環を表す。)
Q31は含窒素方向芳香族へテロ環をあらわし、好ましくは5〜7員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは5〜6員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、例えば、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、セレナゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾセレナゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ナフトチアゾール、ナフトオキサゾール、アザベンズイミダゾール、プリン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、トリアザインデン、テトラザインデン等が挙げられ、更に好ましくは、5員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、具体的にはイミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、チアジアゾール、オキサジアゾールが好ましく、特に好ましくは、ベンゾトリアゾールである。
Q31で表される含窒素芳香族ヘテロ環は、更に置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。また、置換基が複数ある場合にはそれぞれが縮環して更に環を形成してもよい。
Q32で表される芳香族環は、芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
芳香族炭化水素環として、好ましくは炭素数6〜30の単環又は二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環など)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。最も好ましくはベンゼン環である。
芳香族炭化水素環として、好ましくは炭素数6〜30の単環又は二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環など)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。最も好ましくはベンゼン環である。
芳香族ヘテロ環として、好ましくは窒素原子又は硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として、好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
Q32で表される芳香族環として、好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくはナフタレン環、ベンゼン環であり、特に好ましくはベンゼン環である。Q32は更に置換基を有してもよく、下記の置換基Tが好ましい。
置換基Tとしては、例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、i−プロピル、t−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(3)として、好ましくは下記一般式(3−1)で表される化合物である。
一般式(3−1):
一般式(3−1):
上記一般式(3−1)において、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37及びR38
は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、置換基としては上記の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は、更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、置換基としては上記の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は、更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
R31及びR33として、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキル基(好ましくは炭素数4〜12)である。
R32、及びR34として、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
R35及びR38として、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
R36及びR37として、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子であり、特に好ましくは水素原子、塩素原子である。
一般式(3)として、より好ましくは下記一般式(3−2)で表される化合物である。
一般式(3−2):
一般式(3−2):
式中、R31、R33、R36及びR37は、上記一般式(3−1)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
以下に一般式(3)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
以上例にあげたベンゾトリアゾール系化合物の中でも、分子量が320以上のものが、本発明のセルロースアシレートフィルムを作製した場合に、保留性の点で有利であることが確認された。
また本発明に用いられる波長分散調整剤の1つであるベンゾフェノン系化合物としては一般式(4)で示されるものが好ましく用いられる。
一般式(4):
一般式(4):
式中、Q41及びQ42は、それぞれ独立に芳香族環を表す。X41はNR41(R41は水素原子又は置換基を表す)、酸素原子又は硫黄原子を表す。
Q41及びQ42で表される芳香族環は、芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
Q41及びQ42で表される芳香族炭化水素環として、好ましくは炭素数6〜30の単環又は二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環など)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。更に好ましくはベンゼン環である。
Q41及びQ42で表される芳香族ヘテロ環として、好ましくは酸素原子、窒素原子又は硫黄原子のどれか1つを少なくとも1つ含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
Q41及びQ42であらわされる芳香族環として好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくは炭素数6〜10の芳香族炭化水素環であり、更に好ましくは置換又は無置換のベンゼン環である。
Q41及びQ42は更に置換基を有してもよく、前記の置換基Tが好ましいが、置換基にカルボン酸、スルホン酸、4級アンモニウム塩を含むことはない。また、可能な場合には置換基同士が連結して環構造を形成してもよい。
X41は、NR42(R42は水素原子又は置換基を表す。置換基としては前記の置換基Tが適用できる)、酸素原子又は硫黄原子を表し、X41として好ましくは、NR42(R42として好ましくはアシル基、スルホニル基であり、これらの置換基は更に置換してもよい)、又は酸素であり、特に好ましくは酸素である。
一般式(4)として、好ましくは下記一般式(4−1)で表される化合物である。
一般式(4−1):
一般式(4−1):
式中、R411、R412、R413、R414、R415、R416、R417、R418及びR419は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、置換基としては前記の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は、更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
R411、R413、R414、R415、R416、R418及びR419として、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
R412として、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルコキシ基である。
R417として、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくはメチル基)であり、特に好ましくはメチル基、水素原子である。
一般式(4)として、より好ましくは下記一般式(4−2)で表される化合物である。
一般式(4−2):
一般式(4−2):
式中、R420は水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルケニル基、置換又は無置換のアルキニル基、置換又は無置換のアリール基を表し、置換基としては前記の置換基Tが適用できる。R420として、好ましくは置換又は無置換のアルキル基であり、より好ましくは炭素数5〜20の置換又は無置換のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数5〜12の置換又は無置換のアルキル基(n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n-ドデシル基、ベンジル基、などが挙げられる。)であり、特に好ましくは、炭素数6〜12の置換又は無置換のアルキル基(2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、ベンジル基)である。
一般式(4)であらわされる化合物は特開平11−12219号公報記載の公知の方法により合成できる。
以下に一般式(4)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
また本発明に用いられる波長分散調整剤の1つであるシアノ基を含む化合物としては一般式(5)で示されるものが好ましく用いられる。
一般式(5):
一般式(5):
式中、Q51及びQ52は、それぞれ独立に芳香族環を表す。X51及びX52は水素原子又は置換基を表し、少なくともどちらか1つはシアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環を表す。Q51及びQ52で表される芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
芳香族炭化水素環として、好ましくは炭素数6〜30の単環又は二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環など)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。更に好ましくはベンゼン環である。
芳香族ヘテロ環として、好ましくは窒素原子又は硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
Q51及びQ52であらわされる芳香族環として、好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくはベンゼン環である。Q51及びQ52は更に置換基を有してもよく、前記の置換基Tが好ましい。
X51及びX52は、水素原子又は置換基を表し、少なくともどちらか1つは、シアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環を表す。X51及びX52で表される置換基は、前記の置換基Tを適用することができる。また、X51及びX52はで表される置換基は更に他の置換基によって置換されてもよく、X51及びX52は、それぞれが縮環して環構造を形成してもよい。
X51及びX52として、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは、シアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、更に好ましくはシアノ基、カルボニル基であり、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカルボニル基{−C(=O)OR51(R51は、炭素数1〜20アルキル基、炭素数6〜12のアリール基及びこれらを組み合せたもの)}である。
一般式(5)として、好ましくは下記一般式(5−1)で表される化合物である。
一般式(5−1):
一般式(5−1):
式中、R511、R512、R513、R514、R515、R516、R517、R518、R519及びR520は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、置換基としては前記の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮
環して環構造を形成してもよい。X511及びX512は、それぞれ前記一般式(5)におけるX51及びX52と同義である。
環して環構造を形成してもよい。X511及びX512は、それぞれ前記一般式(5)におけるX51及びX52と同義である。
R511、R512、R514、R515、R516、R517、R519及びR520として好ましくは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
R513及びR518として、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12アルコキシ基であり、特に好ましくは水素原子である。
一般式(5)として、より好ましくは下記一般式(5−2)で表される化合物である。
一般式(5−2):
一般式(5−2):
式中、R513及びR518は一般式(5−1)におけるそれらと同義であり、また、好ましい範囲も同様である。X513は水素原子又は置換基を表し、置換基としては、前記の置換基Tが適用でき、また、可能な場合は更に他の置換基で置換されてもよい。
X513は水素原子又は置換基を表し、置換基としては、前記の置換基Tが適用でき、また、可能な場合は更に他の置換基で置換されてもよい。X513として、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは、シアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、更に好ましくはシアノ基、カルボニル基であり、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカルボニル基{−C(=O)OR52(R52は、炭素数1〜20アルキル基、炭素数6〜12のアリール基及びこれらを組み合せたもの)}である。
一般式(5)として、更に好ましくは一般式(5−3)で表される化合物である。
一般式(5−3):
一般式(5−3):
式中、R513及びR518は、一般式(5−1)におけるそれらと同義であり、また、好ましい範囲も同様である。R52は炭素数1〜20のアルキル基を表す。R52として、好ましくは、R513及びR518が両方水素の場合には、炭素数2〜12のアルキル基であり、より好ましくは炭素数4〜12のアルキル基であり、更に好ましくは、炭素数6〜12のアルキル基であり、特に好ましくは、n−オクチル基、t−オクチル基、2−エチルへキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基であり、最も好ましくは2−エチルへキシル基である。
R52として、好ましくはR513及びR518が水素以外の場合には、一般式(5−3)で表される化合物の分子量が300以上になり、且つ炭素数20以下の炭素数のアルキル基が好ましい。
本発明において、一般式(5)で表される化合物は、“J.Am.Chem.Soc.”,63巻、3452頁(1941年)記載の方法によって合成できる。
以下に一般式(5)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、波長380nmにおける分光透過率が45%以上95%以下であり、且つ波長350nmにおける分光透過率が10%以下であることが好ましい。分光透過率の具体的な測定方法としては、試料13mm×40mmを、25℃、60%RHで分光光度計“U−3210”{(株)日立製作所製}にて、波長300〜450nmにおける透過率を測定した。傾斜幅は72%の波長−5%の波長で求めた。限界波長は、(傾斜幅/2)+5%の波長で表した。吸収端は、透過率0.4%の波長で表す。これより380nm及び350nmの透過率を評価した。
〔セルロースアシレートフィルム物性評価〕
[光学性能]
(高湿度処理後のフィルムの光学性能変化)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、60℃、90%RHに240時間処理したフィルムのRe及びRthの変化量が15nm以下であることが望ましい。より望ましくは12nm以下であり、10nm以下であることがさらに望ましい。
[光学性能]
(高湿度処理後のフィルムの光学性能変化)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、60℃、90%RHに240時間処理したフィルムのRe及びRthの変化量が15nm以下であることが望ましい。より望ましくは12nm以下であり、10nm以下であることがさらに望ましい。
(高温度処理後のフィルムの光学性能変化)
また、本発明のセルロースアシレートフィルムは、80℃、240時間処理したフィルムのRe及びRthの変化量が15nm以下であることが望ましい。より望ましくは12nm以下であり、10nm以下であることがさらに望ましい。
また、本発明のセルロースアシレートフィルムは、80℃、240時間処理したフィルムのRe及びRthの変化量が15nm以下であることが望ましい。より望ましくは12nm以下であり、10nm以下であることがさらに望ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、膜厚が10〜120μmであることが望ましい。20〜100μmがより好ましく、30〜90μmがさらに好ましい。
(延伸前後におけるフィルムのReの変化)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、フィルムを延伸する前後において、フィルムの正面レターデーションが下記数式(5)を満たすことが好ましい。
数式(5):|Ren−Re0|/n≦1.0
ここで、
Ren:n(%)延伸したフィルムの正面レターデーション値(nm)、
Re0:延伸していないフィルムの正面レターデーション値(nm)。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、フィルムを延伸する前後において、フィルムの正面レターデーションが下記数式(5)を満たすことが好ましい。
数式(5):|Ren−Re0|/n≦1.0
ここで、
Ren:n(%)延伸したフィルムの正面レターデーション値(nm)、
Re0:延伸していないフィルムの正面レターデーション値(nm)。
上記の評価方法としては、試料100×100mmを用意し、固定一軸延伸機を用いて温度140℃の条件下で機械搬送方向(MD方向)又は垂直方向(TD方向)に延伸を行った。延伸前後における各試料の正面レターデーションReは自動複屈折計“KOBRA 21ADH”を用いて測定した。
(遅相軸の検出)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、フィルム面内において、フィルムの機械搬送方向(MD方向)に対して垂直方向(TD方向)に遅相軸を有することが望ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、フィルム面内において、フィルムの機械搬送方向(MD方向)に対して垂直方向(TD方向)に遅相軸を有することが望ましい。
(遅相軸を有する方向)
本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光膜の保護フィルムに用いる場合、偏光膜が機械搬送方向(MD方向)に吸収軸を持つため、セルロースアシレートフィルムは遅相軸がMD方向近傍又はTD近傍にあることが望ましい。遅相軸が偏光膜と平行又は直交させることにより、光漏れや色味変化を低減することができる。ここでいう近傍とは、遅相軸とMD又はTD方向が0〜10°、好ましくは0〜5°の範囲にあることを意味する。
本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光膜の保護フィルムに用いる場合、偏光膜が機械搬送方向(MD方向)に吸収軸を持つため、セルロースアシレートフィルムは遅相軸がMD方向近傍又はTD近傍にあることが望ましい。遅相軸が偏光膜と平行又は直交させることにより、光漏れや色味変化を低減することができる。ここでいう近傍とは、遅相軸とMD又はTD方向が0〜10°、好ましくは0〜5°の範囲にあることを意味する。
(固有複屈折が負であるセルロースアシレートフィルム)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、フィルム面内において、遅相軸を有する方向に延伸すると、正面レターデーションReが小さくなり、遅相軸を有する方向と垂直な方向に延伸すると、正面レターデーションReが大きくなる。このことは、固有複屈折が負であることを示しており、フィルム中で発現したReを打ち消すには、遅相軸と同じ方向に延伸することが有効である。この方法としては、例えば、フィルムが機械搬送方向(MD方向)に遅相軸を有している場合に、MD方向の機械搬送ロールの張力を強めて延伸することによって正面Reを小さくすることが考えられる。逆の例として、TD方向に遅相軸を有している場合には、TD方向にテンター延伸を行って、正面Reを小さくすることが考えられる。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、フィルム面内において、遅相軸を有する方向に延伸すると、正面レターデーションReが小さくなり、遅相軸を有する方向と垂直な方向に延伸すると、正面レターデーションReが大きくなる。このことは、固有複屈折が負であることを示しており、フィルム中で発現したReを打ち消すには、遅相軸と同じ方向に延伸することが有効である。この方法としては、例えば、フィルムが機械搬送方向(MD方向)に遅相軸を有している場合に、MD方向の機械搬送ロールの張力を強めて延伸することによって正面Reを小さくすることが考えられる。逆の例として、TD方向に遅相軸を有している場合には、TD方向にテンター延伸を行って、正面Reを小さくすることが考えられる。
<セルロースアシレートフィルムの用途>
〔光学補償フィルム〕
本発明のセルロースアシレートフィルムは、様々な用途で用いることができ、特に液晶表示装置の光学補償フィルムに用いると効果がある。なお、光学補償フィルムとは、一般に液晶表示装置に用いられ、位相差を補償する光学材料のことを指し、位相差板、光学補償シートなどと同義である。光学補償フィルムは複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。
〔光学補償フィルム〕
本発明のセルロースアシレートフィルムは、様々な用途で用いることができ、特に液晶表示装置の光学補償フィルムに用いると効果がある。なお、光学補償フィルムとは、一般に液晶表示装置に用いられ、位相差を補償する光学材料のことを指し、位相差板、光学補償シートなどと同義である。光学補償フィルムは複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。
本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、Re及びRthが0≦Re≦10nmで且つ|Rth|≦25nmと光学異方性が小さく、|Re400−Re700|≦10で且つ|Rth400−Rth700|≦35と波長分散が小さいことが好ましく、このことによって必要以上の異方性が生じないため、複屈折を持つ光学異方性層を併用するときには、該光学異方性層の光学性能のみの発現を可能にすることができる。従って、このような本発明のセルロースアシレートフィルムを液晶表示装置の光学補償フィルムに用いる場合、併用する光学異方性層のRe及びRthは、Re630=0〜200nmで且つ|Rth630|=0〜400nmであることが好ましく、この範囲であればどのような光学異方性層でもよい。
本発明のセルロースアシレートフィルムが使用される、液晶表示装置の液晶セルの光学性能や駆動方式は特に制限されず、光学補償フィルムとして要求される、どのような光学異方性層も併用することができる。併用される光学異方性層としては、液晶性化合物を含有する組成物から形成してもよいし、複屈折を持つポリマーフィルムから形成してもよい。
[液晶性化合物を含有してなる光学異方性層]
光学異方性層として液晶性化合物を含有してなる光学異方性層を用いる場合、液晶性化合物としては、ディスコティック液晶性化合物又は棒状液晶性化合物が好ましい。
光学異方性層として液晶性化合物を含有してなる光学異方性層を用いる場合、液晶性化合物としては、ディスコティック液晶性化合物又は棒状液晶性化合物が好ましい。
(ディスコティック液晶性化合物)
本発明に使用可能なディスコティック液晶性化合物の例には、様々な文献[C.Destradeらの“Mol.Crysr.Liq.Cryst.”,71巻,p.111(1981年);日本化学会編「季刊化学総説」第22号「液晶の化学」第5章、第10章第2節(1994年);B.Kohneらの“Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.”,p.1794(1985年);J.Zhangらの“J.Am.Chem.Soc.”,116巻,p.2655(1994年)]に記載の化合物が含まれる。
本発明に使用可能なディスコティック液晶性化合物の例には、様々な文献[C.Destradeらの“Mol.Crysr.Liq.Cryst.”,71巻,p.111(1981年);日本化学会編「季刊化学総説」第22号「液晶の化学」第5章、第10章第2節(1994年);B.Kohneらの“Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.”,p.1794(1985年);J.Zhangらの“J.Am.Chem.Soc.”,116巻,p.2655(1994年)]に記載の化合物が含まれる。
光学異方性層において、ディスコティック液晶性化合物の分子は、配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。ディスコティック液晶性化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載がある。ディスコティック液晶性化合物を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。重合性基を有するディスコティック液晶性化合物について、特開2001−4387号公報に開示されている。
(棒状液晶性化合物)
本発明において、使用可能な棒状液晶性化合物の例には、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が含まれる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。
本発明において、使用可能な棒状液晶性化合物の例には、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が含まれる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。
光学異方性層において、棒状液晶性化合物の分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。本発明に使用可能な重合性棒状液晶性化合物の例には、“Makromol.Chem.”,190巻、2255頁(1989年)、“Advanced Materials”,5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、同第5622648号明細書、同第5770107号明細書、国際公開第95/22586号パンフレット、同第95/24455号パンフレット、同第97/00600号パンフレット、同第98/23580号パンフレット、同第98/52905号パンフレット、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、及び特開2001−328973号公報などに記載の化合物が含まれる。
[ポリマーフィルムからなる光学異方性層]
前記した様に、本発明における光学異方性層は、ポリマーフィルムから形成してもよい。ポリマーフィルムは、光学異方性を発現し得るポリマーから形成する。そのようなポリマーの例には、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマーなど)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル及びセルロースエステル(例えば、セルローストリアセーテート、セルロースジアセテートなど)が含まれる。また、これらのポリマーの共重合体又はポリマー混合物を用いてもよい。
前記した様に、本発明における光学異方性層は、ポリマーフィルムから形成してもよい。ポリマーフィルムは、光学異方性を発現し得るポリマーから形成する。そのようなポリマーの例には、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマーなど)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル及びセルロースエステル(例えば、セルローストリアセーテート、セルロースジアセテートなど)が含まれる。また、これらのポリマーの共重合体又はポリマー混合物を用いてもよい。
ポリマーフィルムの光学異方性は、延伸により得ることが好ましい。延伸は一軸延伸又は二軸延伸であることが好ましい。具体的には、2つ以上のロールの周速差を利用した縦一軸延伸、又はポリマーフィルムの両サイドを掴んで幅方向に延伸するテンター延伸、これらを組み合わせての二軸延伸が好ましい。なお、2枚以上のポリマーフィルムを用いて、2枚以上のフィルム全体の光学的性質が前記の条件を満足してもよい。ポリマーフィルムは、複屈折のムラを少なくするためにソルベントキャスト法により製造することが好ましい。ポリマーフィルムの厚さは、20〜500μmであることが好ましく、40〜100μmであることが最も好ましい。
また、光学異方性層を形成するポリマーフィルムとして、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドポリエステルイミド、及びポリアリールエーテルケトン、からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマー材料を用い、これを溶媒に溶解した溶液を基材に塗布し、溶媒を乾燥させてフィルム化する方法も好ましく用いることができる。この際、これらのポリマーフィルムと基材とを延伸して光学異方性を発現させて光学異方性層として用いる手法も好ましく用いることができ、本発明のセルロースアシレートフィルムは、この場合の基材として好ましく用いることができる。また、これらポリマーフィルムを別の基材の上で作製しておき、ポリマーフィルムを基材から剥離させたのちに本発明のセルロースアシレートフィルムと貼合して、あわせて光学異方性層として用いることも好ましい。この手法ではポリマーフィルムの厚さを薄くすることができ、50μm以下であることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましい。
〔偏光板〕
次ぎに、本発明のセルロースアシレートフィルムの偏光板への用途について説明する。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、特に偏光板保護フィルム用として有用である。偏光板保護フィルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られたセルロースアシレートフィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の両面に、完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液などを用いて貼り合わせる方法がある。またアルカリ処理の代わりに、特開平6−94915号公報、特開平6−118232号公報などに記載されているような易接着加工を施してもよい。
次ぎに、本発明のセルロースアシレートフィルムの偏光板への用途について説明する。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、特に偏光板保護フィルム用として有用である。偏光板保護フィルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られたセルロースアシレートフィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の両面に、完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液などを用いて貼り合わせる方法がある。またアルカリ処理の代わりに、特開平6−94915号公報、特開平6−118232号公報などに記載されているような易接着加工を施してもよい。
保護フィルム処理面と偏光膜を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
(保護フィルムと偏光膜の密着性の評価)
保護フィルム処理面と偏光膜との貼り合わせについては、十分な密着性が要求される。本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、偏光膜と貼り合わせた後に、接着剤成分を十分に乾燥した後、50回繰り返し保護フィルムを剥がす作業を繰り返して、50回繰り返しても剥がれなし(○)、30回以上50回未満で剥がれあり(△)、30回未満で剥がれあり(×)の三段階で密着性を評価した。
保護フィルム処理面と偏光膜との貼り合わせについては、十分な密着性が要求される。本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、偏光膜と貼り合わせた後に、接着剤成分を十分に乾燥した後、50回繰り返し保護フィルムを剥がす作業を繰り返して、50回繰り返しても剥がれなし(○)、30回以上50回未満で剥がれあり(△)、30回未満で剥がれあり(×)の三段階で密着性を評価した。
偏光板は、偏光膜及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは、偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶セルへ貼合する面の反対面側に用いられる。またセパレートフィルムは、液晶セルへ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶セルへ貼合する面側に用いられる。
液晶表示装置には、通常、2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、本発明のセルロースアシレートフィルムを適用した偏光板保護フィルムは、どの部位に配置しても優れた表示性が得られる。特に、光学異方性層と併用して光学補償フィルムとして液晶セル側に適用することが好ましい。また、液晶表示装置の表示側最表面の偏光板保護フィルムには、透明ハードコート層、防眩層、反射防止層等が設けられるため、該偏光板
保護フィルムをこの部分に用いることも好ましい。
保護フィルムをこの部分に用いることも好ましい。
〔液晶表示装置〕
[一般的な液晶表示装置の構成]
次ぎに、本発明のセルロースアシレートフィルムの、液晶表示装置の部材としての用途について説明する。
前述のとおり、本発明のセルロースアシレートフィルムは偏光板保護フィルムとして好適に用いられる。このようにして得られた偏光板を液晶表示装置に用いる場合、液晶表示装置は、2枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、及びその両側に配置された2枚の偏光板を配置し、好適には該液晶セルと該偏光板との間に少なくとも1枚の光学補償フィルムを配置した構成を有している。
セルロースアシレートフィルムを光学補償フィルムに用いる場合は、偏光膜の透過軸と、セルロースアシレートフィルムからなる光学補償フィルムの遅相軸とをどのような角度で配置しても構わない。液晶表示装置は、2枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された2枚の偏光板、及び該液晶セルと該偏光板の偏光膜との間に少なくとも1枚の光学補償フィルムを配置した構成を有している。
[一般的な液晶表示装置の構成]
次ぎに、本発明のセルロースアシレートフィルムの、液晶表示装置の部材としての用途について説明する。
前述のとおり、本発明のセルロースアシレートフィルムは偏光板保護フィルムとして好適に用いられる。このようにして得られた偏光板を液晶表示装置に用いる場合、液晶表示装置は、2枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、及びその両側に配置された2枚の偏光板を配置し、好適には該液晶セルと該偏光板との間に少なくとも1枚の光学補償フィルムを配置した構成を有している。
セルロースアシレートフィルムを光学補償フィルムに用いる場合は、偏光膜の透過軸と、セルロースアシレートフィルムからなる光学補償フィルムの遅相軸とをどのような角度で配置しても構わない。液晶表示装置は、2枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された2枚の偏光板、及び該液晶セルと該偏光板の偏光膜との間に少なくとも1枚の光学補償フィルムを配置した構成を有している。
液晶セルの液晶層は、通常は、2枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、さらにガスバリアー層、ハードコート層又は(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、一般に50μm〜2mmの厚さを有する。
[液晶表示装置の種類]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、及びHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような、様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明のセルロースアシレートフィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、及びHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような、様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明のセルロースアシレートフィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
(TN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体又は偏光板の保護フィルムとして用いてもよい。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置については、古くからよく知られている。TN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開平3−9325号、特開平6−148429号、特開平8−50206号、特開平9−26572号の各公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(“Jpn.J.Appl.Phys.”,36巻(1997年)p.143及びp.1068)に記載がある。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体又は偏光板の保護フィルムとして用いてもよい。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置については、古くからよく知られている。TN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開平3−9325号、特開平6−148429号、特開平8−50206号、特開平9−26572号の各公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(“Jpn.J.Appl.Phys.”,36巻(1997年)p.143及びp.1068)に記載がある。
(STN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体又は偏光板の保護フィルムとして用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性化合物の分子が90〜360゜の範囲にねじられており、棒状液晶性化合物の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積(Δn・d)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開2000−105316号公報に記載がある。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体又は偏光板の保護フィルムとして用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性化合物の分子が90〜360゜の範囲にねじられており、棒状液晶性化合物の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積(Δn・d)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開2000−105316号公報に記載がある。
(VA型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体又は偏光板の保護フィルムとして好ましく用いることができる。VA型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムのレターデーション値Reを0〜150nmとし、レターデーション値Rthを70〜400nmとすることが好ましい。レターデーション値Reは、20〜70nmであることが更に好ましい。VA型液晶表示装置に2枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのレターデーション値Reは70〜250nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置に一枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのレターデーション値Rthは150〜400nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置は、例えば特開平10−123576号公報に記載されているような配向分割された方式であっても構わない。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体又は偏光板の保護フィルムとして好ましく用いることができる。VA型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムのレターデーション値Reを0〜150nmとし、レターデーション値Rthを70〜400nmとすることが好ましい。レターデーション値Reは、20〜70nmであることが更に好ましい。VA型液晶表示装置に2枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのレターデーション値Reは70〜250nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置に一枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのレターデーション値Rthは150〜400nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置は、例えば特開平10−123576号公報に記載されているような配向分割された方式であっても構わない。
(IPS型液晶表示装置及びECB型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、IPSモード及びECBモードの液晶セルを有する、IPS型液晶表示装置及びECB型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体、又は偏光板の保護フィルムとしても用いられる。これらのモードは、黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、電圧無印加状態で、液晶分子を基板面に対して平行配向させて黒表示する。これらの態様において、本発明において好ましい光学異方性を低下させたセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板は、色味の改善、視野角拡大、コントラストの良化に寄与する。この態様においては、液晶セルの上下の前記偏光板の保護フィルムのうち、液晶セルと偏光板との間に配置された保護フィルム(セル側の保護フィルム)に、光学異方性の小さいセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板を、少なくとも液晶セルの片側に用いることが好ましい。更に好ましくは、偏光板の保護フィルムと液晶セルの間に光学異方性層を配置し、配置された光学異方性層のリターデーションの値を、液晶層のΔn・dの値の2倍以下に設定するのが好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、IPSモード及びECBモードの液晶セルを有する、IPS型液晶表示装置及びECB型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体、又は偏光板の保護フィルムとしても用いられる。これらのモードは、黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、電圧無印加状態で、液晶分子を基板面に対して平行配向させて黒表示する。これらの態様において、本発明において好ましい光学異方性を低下させたセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板は、色味の改善、視野角拡大、コントラストの良化に寄与する。この態様においては、液晶セルの上下の前記偏光板の保護フィルムのうち、液晶セルと偏光板との間に配置された保護フィルム(セル側の保護フィルム)に、光学異方性の小さいセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板を、少なくとも液晶セルの片側に用いることが好ましい。更に好ましくは、偏光板の保護フィルムと液晶セルの間に光学異方性層を配置し、配置された光学異方性層のリターデーションの値を、液晶層のΔn・dの値の2倍以下に設定するのが好ましい。
(OCB型液晶表示装置及びHAN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置又はHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体又は偏光板の保護フィルムとしても有利に用いられる。OCB型液晶表示装置又はHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムには、レターデーションの絶対値が最小となるような方向が、光学補償フィルムの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。OCB型液晶表示装置又はHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムの光学的性質も、光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質及び光学的異方性層と支持体との配置により決定される。OCB型液晶表示装置又はHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開平9−197397号公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文{“Jpn.J.Appl.Phys.”,38巻(1999年)p.2837}に記載がある。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置又はHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体又は偏光板の保護フィルムとしても有利に用いられる。OCB型液晶表示装置又はHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムには、レターデーションの絶対値が最小となるような方向が、光学補償フィルムの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。OCB型液晶表示装置又はHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムの光学的性質も、光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質及び光学的異方性層と支持体との配置により決定される。OCB型液晶表示装置又はHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開平9−197397号公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文{“Jpn.J.Appl.Phys.”,38巻(1999年)p.2837}に記載がある。
(反射型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest−Host)型の反射型液晶表示装置の光学補償フィルム又は偏光板の保護フィルムにも有利に用いられる。これらの表示モードは古くからよく知られている。TN型反射型液晶表示装置については、特開平10−123478号公報、国際公開第98/48320号パンフレット、特許第3022477号公報に記載がある。反射型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、国際公開第00/65384号パンフレットに記載がある。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest−Host)型の反射型液晶表示装置の光学補償フィルム又は偏光板の保護フィルムにも有利に用いられる。これらの表示モードは古くからよく知られている。TN型反射型液晶表示装置については、特開平10−123478号公報、国際公開第98/48320号パンフレット、特許第3022477号公報に記載がある。反射型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、国際公開第00/65384号パンフレットに記載がある。
(その他の液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)モードの液晶セルを有する、ASM型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体又は偏光板の保護フィルムとしても有利に用いられる。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)らの論文{Kume et al.,“SID 98 Digest 1089”,(1998年)}に記載がある。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)モードの液晶セルを有する、ASM型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体又は偏光板の保護フィルムとしても有利に用いられる。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)らの論文{Kume et al.,“SID 98 Digest 1089”,(1998年)}に記載がある。
〔ハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルム〕
本発明のセルロースアシレートフィルムは、またハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルムへの適用が好ましく実施できる。LCD、PDP、CRT、EL等のフラットパネルディスプレイの視認性を向上する目的で、本発明のセルロースアシレートフィルムの片面又は両面にハードコート層、防眩層、反射防止層の何れか又はそれらの全てを付与することができる。このような防眩フィルム、反射防止フィルムとしての望ましい実施態様は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)の54頁〜57頁に詳細に記載されており、本発明のセルロースアシレートフィルムを好ましく用いることができる。また前記した偏光板の表面にハードコート層、防眩層、反射防止層の少なくともいずれかを付与してこれらの機能性偏光板とすることもでき、該機能性偏光板は液晶表示装置に好適に用いることが出来る。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、またハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルムへの適用が好ましく実施できる。LCD、PDP、CRT、EL等のフラットパネルディスプレイの視認性を向上する目的で、本発明のセルロースアシレートフィルムの片面又は両面にハードコート層、防眩層、反射防止層の何れか又はそれらの全てを付与することができる。このような防眩フィルム、反射防止フィルムとしての望ましい実施態様は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)の54頁〜57頁に詳細に記載されており、本発明のセルロースアシレートフィルムを好ましく用いることができる。また前記した偏光板の表面にハードコート層、防眩層、反射防止層の少なくともいずれかを付与してこれらの機能性偏光板とすることもでき、該機能性偏光板は液晶表示装置に好適に用いることが出来る。
〔液晶セルの透明基板〕
本発明において好ましく用いられる光学異方性の小さいセルロースアシレートフィルムは、光学異方性がゼロに近く、優れた透明性を持っていることから、液晶表示装置の液晶セルガラス基板の代替、すなわち駆動液晶を封入する透明基板としても用いることができる。
本発明において好ましく用いられる光学異方性の小さいセルロースアシレートフィルムは、光学異方性がゼロに近く、優れた透明性を持っていることから、液晶表示装置の液晶セルガラス基板の代替、すなわち駆動液晶を封入する透明基板としても用いることができる。
液晶を封入する透明基板は、ガスバリアー性に優れる必要があることから、必要に応じて、本発明のセルロースアシレートフィルムの表面にガスバリアー層を設けてもよい。ガスバリアー層の形態や材質は特に限定されないが、本発明のセルロースアシレートフィルムの少なくとも片面に、SiO2等を蒸着したり、又は塩化ビニリデン系ポリマーやビニルアルコール系ポリマーなど相対的にガスバリアー性の高いポリマーのコート層を設けたりする方法が考えられ、これらを適宜使用できる。
また液晶を封入する透明基板として用いるには、電圧印加によって液晶を駆動するための透明電極を設けてもよい。透明電極としては、特に限定されないが、本発明のセルロースアシレートフィルムの少なくとも片面に、金属膜、金属酸化物膜などを積層することによって形成することができる。中でも透明性、導電性、機械的特性の点から、金属酸化物膜が好ましく、特に酸化スズを主成分とし、酸化亜鉛を2〜15%含む酸化インジウムの薄膜が好ましく使用できる。これら技術の詳細は例えば、特開2001−125079号公報や特開2000−227603号公報などに公開されている。
〔写真フィルム支持体〕
さらに本発明のセルロースアシレートフィルムは、ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としても適用でき、該写真感光材料特許明細書に記載されている各種の素材や処方さらには処理方法が適用できる。それらの技術については、特開2000−105445号公報
に、カラーネガティブに関する記載が詳細に挙げられており、本発明のセルロースアシレートフィルムが好ましく用いられる。またカラー反転ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としての適用も好ましく、特開平11−282119号公報に記載されている各種の素材や処方さらには処理方法が適用できる。
さらに本発明のセルロースアシレートフィルムは、ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としても適用でき、該写真感光材料特許明細書に記載されている各種の素材や処方さらには処理方法が適用できる。それらの技術については、特開2000−105445号公報
に、カラーネガティブに関する記載が詳細に挙げられており、本発明のセルロースアシレートフィルムが好ましく用いられる。またカラー反転ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としての適用も好ましく、特開平11−282119号公報に記載されている各種の素材や処方さらには処理方法が適用できる。
以下に本発明の実施例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
<セルロースアシレートフィルムの作製>
実施例1−1
[セルロースアシレート原液(CAL−1)の調製]
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート原液を調製した。なおセルロースアシレートとしては、アシル化度(Ac:OH=2.94:0.06)を用いた。ここで、カッコ内のAcはアセチル置換基、OHは置換されていない水酸基を表し、比率はアシル化度の比率である。
実施例1−1
[セルロースアシレート原液(CAL−1)の調製]
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート原液を調製した。なおセルロースアシレートとしては、アシル化度(Ac:OH=2.94:0.06)を用いた。ここで、カッコ内のAcはアセチル置換基、OHは置換されていない水酸基を表し、比率はアシル化度の比率である。
{セルロースアシレート原液(CAL−1)組成}
セルロースアシレート(アシル化度Ac=2.94) 100.0質量部
メチレンクロリド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
セルロースアシレート(アシル化度Ac=2.94) 100.0質量部
メチレンクロリド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
[マット剤溶液(ML−1)の調製]
平均粒径16nmのシリカ粒子{“AEROSIL R972”、日本アエロジル(株)製}を20質量部及びメタノール80質量部を、30分間よく攪拌混合してシリカ粒子分散液とした。この分散液を下記の組成物とともに分散機に投入し、さらに30分以上攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液(ML−1)を調製した。
平均粒径16nmのシリカ粒子{“AEROSIL R972”、日本アエロジル(株)製}を20質量部及びメタノール80質量部を、30分間よく攪拌混合してシリカ粒子分散液とした。この分散液を下記の組成物とともに分散機に投入し、さらに30分以上攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液(ML−1)を調製した。
{マット剤溶液(ML−1)組成}
シリカ粒子(平均粒径16nm)の分散液 10.0質量部
メチレンクロリド(第1溶媒) 76.3質量部
メタノール(第2溶媒) 3.4質量部
セルロースアセテート原液(CAL−1) 10.3質量部
シリカ粒子(平均粒径16nm)の分散液 10.0質量部
メチレンクロリド(第1溶媒) 76.3質量部
メタノール(第2溶媒) 3.4質量部
セルロースアセテート原液(CAL−1) 10.3質量部
[添加剤溶液(AD−1)の調製]
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液(AD−1)を調製した。
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液(AD−1)を調製した。
{添加剤溶液(AD−1)組成}
Rth低下剤剤(119) 66.3質量部
波長分散調整剤(UV−102) 6.8質量部
メチレンクロリド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアセテート原液(CAL−1) 12.8質量部
Rth低下剤剤(119) 66.3質量部
波長分散調整剤(UV−102) 6.8質量部
メチレンクロリド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアセテート原液(CAL−1) 12.8質量部
[セルロースアシレートフィルム(101)の作製]
前記のセルロースアシレート原液(CAL−1)を94.6質量部、マット剤溶液を1.3質量部及び添加剤溶液(AD−1)4.1質量部を、それぞれ濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。この組成で、Rth低下剤(119)及び波長分散調整剤(UV−102)のセルロースアシレートに対する質量比は、それぞれ12質量%、1.2質量%であった。残留溶媒量30質量%でフィルムをバンドから剥離し、135℃で20分間乾燥させ、セルロースアシレートフィルム(101)を作製した。でき上がったセルロースアシレートフィルム(101)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
前記のセルロースアシレート原液(CAL−1)を94.6質量部、マット剤溶液を1.3質量部及び添加剤溶液(AD−1)4.1質量部を、それぞれ濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。この組成で、Rth低下剤(119)及び波長分散調整剤(UV−102)のセルロースアシレートに対する質量比は、それぞれ12質量%、1.2質量%であった。残留溶媒量30質量%でフィルムをバンドから剥離し、135℃で20分間乾燥させ、セルロースアシレートフィルム(101)を作製した。でき上がったセルロースアシレートフィルム(101)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
実施例1−2
[添加剤溶液(AD−2)の調製]
添加剤溶液(AD−1)の調製において、Rth低下剤(119)を用いる代わりに、Rth低下剤剤(233)を用いる以外は同様にして添加剤溶液(AD−2)を調製した。
[添加剤溶液(AD−2)の調製]
添加剤溶液(AD−1)の調製において、Rth低下剤(119)を用いる代わりに、Rth低下剤剤(233)を用いる以外は同様にして添加剤溶液(AD−2)を調製した。
[セルロースアシレートフィルム(102)の作製]
セルロースアシレートフィルム(101)の作製において、添加剤溶液(AD−1)を用いる代わりに、添加剤溶液(AD−2)を用いる以外はセルロースアシレートフィルム(101)の作製と同様にして、セルロースアシレートフィルム(102)を作製した。でき上がったセルロースアシレートフィルム(102)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
セルロースアシレートフィルム(101)の作製において、添加剤溶液(AD−1)を用いる代わりに、添加剤溶液(AD−2)を用いる以外はセルロースアシレートフィルム(101)の作製と同様にして、セルロースアシレートフィルム(102)を作製した。でき上がったセルロースアシレートフィルム(102)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
実施例1−3
[添加剤溶液(AD−3)の調製]
添加剤溶液(AD−1)の調製において、添加剤溶液の組成を変え、Rth低下剤(119)のセルロースアシレートに対する質量比を30%となるようにし、且つ波長分散調整剤を用いない以外は同様にして添加剤溶液(AD−3)を調製した。
[添加剤溶液(AD−3)の調製]
添加剤溶液(AD−1)の調製において、添加剤溶液の組成を変え、Rth低下剤(119)のセルロースアシレートに対する質量比を30%となるようにし、且つ波長分散調整剤を用いない以外は同様にして添加剤溶液(AD−3)を調製した。
[セルロースアシレートフィルム(103)の作製]
セルロースアシレートフィルム(101)の作製において、添加剤溶液(AD−1)を用いる代わりに、添加剤溶液(AD−3)を用いる以外はセルロースアシレートフィルム(101)の作製と同様にして、セルロースアシレートフィルム(103)を作製した。でき上がったセルロースアシレートフィルム(103)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
セルロースアシレートフィルム(101)の作製において、添加剤溶液(AD−1)を用いる代わりに、添加剤溶液(AD−3)を用いる以外はセルロースアシレートフィルム(101)の作製と同様にして、セルロースアシレートフィルム(103)を作製した。でき上がったセルロースアシレートフィルム(103)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
比較例1−1
[セルロースアシレートフィルム(1−1)の作製]
セルロースアシレートフィルム(101)の作製において、添加剤溶液(AD−1)を用いない以外はセルロースアシレートフィルム(101)の作製と同様にして、セルロースアシレートフィルム(1−1)を作製した。でき上がったセルロースアシレートフィルム(1−1)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
[セルロースアシレートフィルム(1−1)の作製]
セルロースアシレートフィルム(101)の作製において、添加剤溶液(AD−1)を用いない以外はセルロースアシレートフィルム(101)の作製と同様にして、セルロースアシレートフィルム(1−1)を作製した。でき上がったセルロースアシレートフィルム(1−1)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
比較例1−2
[添加剤溶液(ADR−1)の調製]
添加剤溶液(AD−1)の調製において、添加剤溶液の組成を、Rth低下剤(119)を用いる代わりに、エチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)用い、且つセルロースアシレートに対する質量比を8%となるようにし、さらに波長分散調整剤を用いない以外は同様にして添加剤溶液(ADR−1)を調製した。
[添加剤溶液(ADR−1)の調製]
添加剤溶液(AD−1)の調製において、添加剤溶液の組成を、Rth低下剤(119)を用いる代わりに、エチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)用い、且つセルロースアシレートに対する質量比を8%となるようにし、さらに波長分散調整剤を用いない以外は同様にして添加剤溶液(ADR−1)を調製した。
[セルロースアシレートフィルム(1−2)の作製]
セルロースアシレートフィルム(101)の作製において、添加剤溶液(AD−1)を用いる代わりに、添加剤溶液(ADR−1)を用いる以外はセルロースアシレートフィルム(101)の作製と同様にして、セルロースアシレートフィルム(1−2)を作製した。でき上がったセルロースアシレートフィルム(1−2)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
セルロースアシレートフィルム(101)の作製において、添加剤溶液(AD−1)を用いる代わりに、添加剤溶液(ADR−1)を用いる以外はセルロースアシレートフィルム(101)の作製と同様にして、セルロースアシレートフィルム(1−2)を作製した。でき上がったセルロースアシレートフィルム(1−2)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
比較例1−3
[添加剤溶液(ADR−2)の調製]
添加剤溶液(AD−1)の調製において、添加剤溶液の組成を変え、Rth低下剤(119)を用いる代わりに、エチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)用い、且つセルロースアシレートに対する質量比を30%となるようにし、さらに波長分散調整剤を用いない以外は同様にして添加剤溶液(ADR−2)を調製した。
[添加剤溶液(ADR−2)の調製]
添加剤溶液(AD−1)の調製において、添加剤溶液の組成を変え、Rth低下剤(119)を用いる代わりに、エチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)用い、且つセルロースアシレートに対する質量比を30%となるようにし、さらに波長分散調整剤を用いない以外は同様にして添加剤溶液(ADR−2)を調製した。
[セルロースアシレートフィルム(1−3)の作製]
セルロースアシレートフィルム(101)の作製において、添加剤溶液(AD−1)を用いる代わりに、添加剤溶液(ADR−2)を用いる以外はセルロースアシレートフィルム(101)の作製と同様にして、セルロースアシレートフィルム(1−3)を作製した。でき上がったセルロースアシレートフィルム(1−3)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
セルロースアシレートフィルム(101)の作製において、添加剤溶液(AD−1)を用いる代わりに、添加剤溶液(ADR−2)を用いる以外はセルロースアシレートフィルム(101)の作製と同様にして、セルロースアシレートフィルム(1−3)を作製した。でき上がったセルロースアシレートフィルム(1−3)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
実施例2−1
[セルロースアシレート原液(CAL−2)の調製]
セルロースアシレート原液(CAL−1)の調製において、アセチル化度2.94(Ac:OH=2.94:0.06)のセルロースアシレートを用いる代わりに、アセチル化度2.86(Ac:OH=2.86:0.14)のセルロースアシレートを用いる以外は同様にして、セルロースアシレート原液(CAL−2)を調製した。
[セルロースアシレート原液(CAL−2)の調製]
セルロースアシレート原液(CAL−1)の調製において、アセチル化度2.94(Ac:OH=2.94:0.06)のセルロースアシレートを用いる代わりに、アセチル化度2.86(Ac:OH=2.86:0.14)のセルロースアシレートを用いる以外は同様にして、セルロースアシレート原液(CAL−2)を調製した。
[マット剤溶液(ML−2)及び添加剤溶液(AD−4)の調製]
マット剤溶液(ML−1)及び添加剤溶液(AD−1)の調製において、それぞれ、セルロースアシレート原液(CAL−1)を用いる代わりに、セルロースアシレート原液(CAL−2)を用いる以外は同様にして、マット剤溶液(ML−2)及び添加剤溶液(AD−4)を調製した。
マット剤溶液(ML−1)及び添加剤溶液(AD−1)の調製において、それぞれ、セルロースアシレート原液(CAL−1)を用いる代わりに、セルロースアシレート原液(CAL−2)を用いる以外は同様にして、マット剤溶液(ML−2)及び添加剤溶液(AD−4)を調製した。
[セルロースアシレートフィルム(201)の作製]
セルロースアシレートフィルム(101)の作製において、セルロースアシレート原液(CAL−1)、マット剤溶液(ML−1)及び添加剤溶液(AD−1)を用いる代わりに、それぞれ、セルロースアシレート原液(CAL−2)、マット剤溶液(ML−2)及び添加剤溶液(AD−4)を用いる以外はセルロースアシレートフィルム(101)の作製と同様にして、セルロースアシレートフィルム(201)を作製した。でき上がったセルロースアシレートフィルム(201)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
セルロースアシレートフィルム(101)の作製において、セルロースアシレート原液(CAL−1)、マット剤溶液(ML−1)及び添加剤溶液(AD−1)を用いる代わりに、それぞれ、セルロースアシレート原液(CAL−2)、マット剤溶液(ML−2)及び添加剤溶液(AD−4)を用いる以外はセルロースアシレートフィルム(101)の作製と同様にして、セルロースアシレートフィルム(201)を作製した。でき上がったセルロースアシレートフィルム(201)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
比較例2−1
[セルロースアシレートフィルム(2−1)の作製]
セルロースアシレートフィルム(201)の作製において、添加剤溶液(AD−4)を用いない以外はセルロースアシレートフィルム(201)の作製と同様にして、セルロースアシレートフィルム(2−1)を作製した。でき上がったセルロースアシレートフィルム(2−1)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
[セルロースアシレートフィルム(2−1)の作製]
セルロースアシレートフィルム(201)の作製において、添加剤溶液(AD−4)を用いない以外はセルロースアシレートフィルム(201)の作製と同様にして、セルロースアシレートフィルム(2−1)を作製した。でき上がったセルロースアシレートフィルム(2−1)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
比較例2−2
[添加剤溶液(ADR−3)の調製]
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液(ADR−3)を調製した。
[添加剤溶液(ADR−3)の調製]
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液(ADR−3)を調製した。
{添加剤溶液(ADR−3)組成}
エチルフタリルエチルグリコレート(EPEG) 73.6質量部
メチレンクロリド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアセテート原液(CAL−2) 12.8質量部
エチルフタリルエチルグリコレート(EPEG) 73.6質量部
メチレンクロリド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアセテート原液(CAL−2) 12.8質量部
[セルロースアシレートフィルム(2−2)の作製]
セルロースアシレートフィルム(201)の作製において、添加剤溶液(AD−4)を用いる代わりに、添加剤溶液(ADR−3)を用いる以外はセルロースアシレートフィルム(201)の作製と同様にして、セルロースアシレートフィルム(2−2)を作製した。でき上がったセルロースアシレートフィルム(2−2)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
セルロースアシレートフィルム(201)の作製において、添加剤溶液(AD−4)を用いる代わりに、添加剤溶液(ADR−3)を用いる以外はセルロースアシレートフィルム(201)の作製と同様にして、セルロースアシレートフィルム(2−2)を作製した。でき上がったセルロースアシレートフィルム(2−2)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
実施例3−1
[セルロースアシレート原液(CAL−3)の調製]
セルロースアシレート原液(CAL−1)の調製において、アセチル化度2.94(Ac:OH=2.94:0.06)のセルロースアシレートを用いる代わりに、プロピオニル基を含み、アシル化度2.85(Ac:Pro:OH=2.06:0.79:0.15)のセルロースアシレートを用いる以外は同様にして、セルロースアシレート原液(CAL−3)を調製した。
[セルロースアシレート原液(CAL−3)の調製]
セルロースアシレート原液(CAL−1)の調製において、アセチル化度2.94(Ac:OH=2.94:0.06)のセルロースアシレートを用いる代わりに、プロピオニル基を含み、アシル化度2.85(Ac:Pro:OH=2.06:0.79:0.15)のセルロースアシレートを用いる以外は同様にして、セルロースアシレート原液(CAL−3)を調製した。
[マット剤溶液(ML−3)の調製]
マット剤溶液(ML−1)の調製において、セルロースアシレート原液(CAL−1)を用いる代わりに、セルロースアシレート原液(CAL−3)を用いる以外は同様にして、マット剤溶液(ML−3)を調製した。
マット剤溶液(ML−1)の調製において、セルロースアシレート原液(CAL−1)を用いる代わりに、セルロースアシレート原液(CAL−3)を用いる以外は同様にして、マット剤溶液(ML−3)を調製した。
[添加剤溶液(AD−5)の調製]
添加剤溶液(AD−1)の調製において、添加剤溶液の組成を変え、セルロースアシレート原液(CAL−1)を用いる代わりに、セルロースアシレート原液(CAL−3)を用い、Rth低下剤(119)を用いる代わりに、ジメチルフタレート(DMP)を用い、且つセルロースアシレートに対する質量比を13%となるようにし、さらに波長分散調整剤を用いない以外は同様にして添加剤溶液(AD−5)を調製した。
添加剤溶液(AD−1)の調製において、添加剤溶液の組成を変え、セルロースアシレート原液(CAL−1)を用いる代わりに、セルロースアシレート原液(CAL−3)を用い、Rth低下剤(119)を用いる代わりに、ジメチルフタレート(DMP)を用い、且つセルロースアシレートに対する質量比を13%となるようにし、さらに波長分散調整剤を用いない以外は同様にして添加剤溶液(AD−5)を調製した。
[セルロースアシレートフィルム(301)の作製]
セルロースアシレートフィルム(101)の作製において、マット剤溶液(ML−1)及び添加剤溶液(AD−1)を用いる代わりに、マット剤溶液(ML−3)及び添加剤溶液(AD−5)を用いる以外はセルロースアシレートフィルム(101)の作製と同様にして、セルロースアシレートフィルム(301)を作製した。でき上がったセルロースアシレートフィルム(301)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
セルロースアシレートフィルム(101)の作製において、マット剤溶液(ML−1)及び添加剤溶液(AD−1)を用いる代わりに、マット剤溶液(ML−3)及び添加剤溶液(AD−5)を用いる以外はセルロースアシレートフィルム(101)の作製と同様にして、セルロースアシレートフィルム(301)を作製した。でき上がったセルロースアシレートフィルム(301)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
実施例3−2
[添加剤溶液(AD−6)の調製]
添加剤溶液(AD−1)の調製において、添加剤溶液の組成を変え、セルロースアシレート原液(CAL−1)を用いる代わりに、セルロースアシレート原液(CAL−3)を用い、Rth低下剤(119)のセルロースアシレートに対する質量比を13%となるように変え、さらに波長分散調整剤を用いない以外は同様にして添加剤溶液(AD−6)を調製した。
[添加剤溶液(AD−6)の調製]
添加剤溶液(AD−1)の調製において、添加剤溶液の組成を変え、セルロースアシレート原液(CAL−1)を用いる代わりに、セルロースアシレート原液(CAL−3)を用い、Rth低下剤(119)のセルロースアシレートに対する質量比を13%となるように変え、さらに波長分散調整剤を用いない以外は同様にして添加剤溶液(AD−6)を調製した。
[セルロースアシレートフィルム(302)の作製]
セルロースアシレートフィルム(301)の作製において、添加剤溶液(AD−5)を
用いる代わりに、添加剤溶液(AD−6)を用いる以外はセルロースアシレートフィルム(301)の作製と同様にして、セルロースアシレートフィルム(302)を作製した。でき上がったセルロースアシレートフィルム(302)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
セルロースアシレートフィルム(301)の作製において、添加剤溶液(AD−5)を
用いる代わりに、添加剤溶液(AD−6)を用いる以外はセルロースアシレートフィルム(301)の作製と同様にして、セルロースアシレートフィルム(302)を作製した。でき上がったセルロースアシレートフィルム(302)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
比較例3−1
[セルロースアシレートフィルム(3−1)の作製]
セルロースアシレートフィルム(301)の作製において、添加剤溶液を用いない以外はセルロースアシレートフィルム(301)の作製と同様にして、セルロースアシレートフィルム(3−1)を作製した。でき上がったセルロースアシレートフィルム(3−1)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
[セルロースアシレートフィルム(3−1)の作製]
セルロースアシレートフィルム(301)の作製において、添加剤溶液を用いない以外はセルロースアシレートフィルム(301)の作製と同様にして、セルロースアシレートフィルム(3−1)を作製した。でき上がったセルロースアシレートフィルム(3−1)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
実施例4−1
[セルロースアシレート原液(CAL−4)の調製]
セルロースアシレート原液(CAL−1)の調製において、アセチル化度2.94(Ac:OH=2.94:0.06)のセルロースアシレートを用いる代わりに、アシル化度2.80(Ac:OH=2.80:0.20)のセルロースアシレートを用いる以外は同様にして、セルロースアシレート原液(CAL−4)を調製した。
[セルロースアシレート原液(CAL−4)の調製]
セルロースアシレート原液(CAL−1)の調製において、アセチル化度2.94(Ac:OH=2.94:0.06)のセルロースアシレートを用いる代わりに、アシル化度2.80(Ac:OH=2.80:0.20)のセルロースアシレートを用いる以外は同様にして、セルロースアシレート原液(CAL−4)を調製した。
[マット剤溶液(ML−4)の調製]
マット剤溶液(ML−1)の調製において、セルロースアシレート原液(CAL−1)を用いる代わりに、セルロースアシレート原液(CAL−4)を用いる以外は同様にして、マット剤溶液(ML−4)を調製した。
マット剤溶液(ML−1)の調製において、セルロースアシレート原液(CAL−1)を用いる代わりに、セルロースアシレート原液(CAL−4)を用いる以外は同様にして、マット剤溶液(ML−4)を調製した。
[添加剤溶液(AD−7)の調製]
添加剤溶液(AD−1)の調製において、添加剤溶液の組成を、セルロースアシレート原液(CAL−1)を用いる代わりにセルロースアシレート原液(CAL−4)を用い、添加剤としてRth低下剤(119)の代わりにトリフェニルホスフェート(TPP)を用い、且つセルロースアシレートに対する質量比を12%となるようにし、さらに波長分散調整剤を用いない以外は同様にして添加剤溶液(AD−7)を調製した。
添加剤溶液(AD−1)の調製において、添加剤溶液の組成を、セルロースアシレート原液(CAL−1)を用いる代わりにセルロースアシレート原液(CAL−4)を用い、添加剤としてRth低下剤(119)の代わりにトリフェニルホスフェート(TPP)を用い、且つセルロースアシレートに対する質量比を12%となるようにし、さらに波長分散調整剤を用いない以外は同様にして添加剤溶液(AD−7)を調製した。
[セルロースアシレートフィルム(401)の作製]
セルロースアシレートフィルム(101)の作製において、セルロースアシレート原液(CAL−1)、マット剤溶液(ML−1)及び添加剤溶液(AD−1)を用いる代わりに、セルロースアシレート原液(CAL−4)、マット剤溶液(ML−4)及び添加剤溶液(AD−7)を用いる以外はセルロースアシレートフィルム(101)の作製と同様にして、セルロースアシレートフィルム(401)を作製した。でき上がったセルロースアシレートフィルム(401)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
セルロースアシレートフィルム(101)の作製において、セルロースアシレート原液(CAL−1)、マット剤溶液(ML−1)及び添加剤溶液(AD−1)を用いる代わりに、セルロースアシレート原液(CAL−4)、マット剤溶液(ML−4)及び添加剤溶液(AD−7)を用いる以外はセルロースアシレートフィルム(101)の作製と同様にして、セルロースアシレートフィルム(401)を作製した。でき上がったセルロースアシレートフィルム(401)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
比較例4−1
[セルロースアシレートフィルム(4−1)の作製]
セルロースアシレートフィルム(401)の作製において、添加剤溶液を用いない以外はセルロースアシレートフィルム(401)の作製と同様にして、セルロースアシレートフィルム(4−1)を作製した。でき上がったセルロースアシレートフィルム(4−1)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
[セルロースアシレートフィルム(4−1)の作製]
セルロースアシレートフィルム(401)の作製において、添加剤溶液を用いない以外はセルロースアシレートフィルム(401)の作製と同様にして、セルロースアシレートフィルム(4−1)を作製した。でき上がったセルロースアシレートフィルム(4−1)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
上記により作製した本発明のセルロースアシレートフィルムの試料(101)〜(103)、(201)、(301)〜(302)及び(401)並びに比較試料(1−1)〜(1−3)、(2−1)〜(2−2)、(3−1)及び(4−1)について、各試料の組成を表1に、諸物性を表2にまとめた。これより、本発明のセルロースアシレートフィルム試料は、いずれも添加剤を含まない比較試料に対して、Tgが50〜80℃低い。それに伴い弾性率、透湿度、引き裂き強度及び吸湿膨張係数が良化し、X線回折の半値幅は減少した。尚、表2において「−」は測定を行っていないことを示す。
<偏光板の作製>
本発明のセルロースアシレートフィルムを、偏光板の保護フィルムとして用い性能を評価した。
本発明のセルロースアシレートフィルムを、偏光板の保護フィルムとして用い性能を評価した。
実施例11−1〜11−2、12−1、13−1〜13−2及び14−1並びに比較例11−1、12−1〜12−2、13−1及び14−1
[アルカリ鹸化処理]
本発明のセルロースアシレートフィルム試料(101)を、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で2分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。鹸化処理したセルロースアシレートフィルム試料表面の接触角を測定した。
[アルカリ鹸化処理]
本発明のセルロースアシレートフィルム試料(101)を、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で2分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。鹸化処理したセルロースアシレートフィルム試料表面の接触角を測定した。
同様にして、本発明の試料(102)、(201)、(301)〜(302)及び(401)並びに比較試料(1−1)、(2−1)〜(2−2)、(3−1)及び(4−1)についてもアルカリ鹸化処理、接触角測定を行った。
[偏光膜の作製]
厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムを、ヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して厚さ20μmの偏光膜を得た。
厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムを、ヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して厚さ20μmの偏光膜を得た。
[偏光板の作製]
ポリビニルアルコール“PVA−117H”{(株)クラレ製}3質量%水溶液を接着剤として、上記の鹸化処理した本発明のセルロースアシレートフィルム試料101を2枚、偏光膜を間に挟んで貼り合わせ、両面がフィルム試料(101)によって保護された偏光板(P1−1)を得た。この際、両側のフィルム試料(101)の鹸化面を偏光膜側にし、またフィルム試料(101)の遅相軸が偏光膜の透過軸と平行になるように貼り付付けた。この偏光板(P1−1)において、鹸化した2枚のフィルム試料(101)と偏光膜とは、十分な貼り合わせ密着性を保ち、十分な偏光度を示した。
ポリビニルアルコール“PVA−117H”{(株)クラレ製}3質量%水溶液を接着剤として、上記の鹸化処理した本発明のセルロースアシレートフィルム試料101を2枚、偏光膜を間に挟んで貼り合わせ、両面がフィルム試料(101)によって保護された偏光板(P1−1)を得た。この際、両側のフィルム試料(101)の鹸化面を偏光膜側にし、またフィルム試料(101)の遅相軸が偏光膜の透過軸と平行になるように貼り付付けた。この偏光板(P1−1)において、鹸化した2枚のフィルム試料(101)と偏光膜とは、十分な貼り合わせ密着性を保ち、十分な偏光度を示した。
同様にして、アルカリ鹸化処理を行った本発明の試料(102)、(201)、(301)〜(302)及び(401)並びに比較試料(1−1)、(2−1)〜(2−2)、(3−1)及び(4−1)についても偏光板を作製した。以下これら偏光板を、偏光板(P1−2)、(P2−1)、(P3−1)〜(P3−1)、及び(P4−1)並びに偏光板(PR1−1)、(PR2−1)〜(PR2−2)、(PR3−1)及び(PR4−1)という。
上記により作製した、本発明のセルロースアシレートフィルム試料からなる偏光板(P1−1)〜(P1−2)、(P2−1)、(P3−1)〜(P3−1)及び(P4−1)、並びに比較試料からなる偏光板(PR1−1)、(PR2−1)〜(PR2−2)、(PR3−1)及び(PR4−1)について、各試料の鹸化後の接触角及び、偏光板としての貼り合わせ密着性を表2にまとめた。これより、本発明のセルロースアシレートフィルム試料は、いずれも、添加剤を含まない比較試料に対して鹸化後の接触角が小さくなり、すなわち表面が親水的になっており、それに伴い偏光板貼り合わせ密着性が良化した。
(密着性の評価法)
保護フィルムを剥がす作業を繰り返し、50回以上でも剥がれなし(○)、30回以上50回未満で剥がれあり(△)、30回未満で剥がれあり(×)、とした。
保護フィルムを剥がす作業を繰り返し、50回以上でも剥がれなし(○)、30回以上50回未満で剥がれあり(△)、30回未満で剥がれあり(×)、とした。
<液晶表示装置>
〔液晶表示装置へのセルロースアシレートフィルムの実装評価〕
本発明のセルロースアシレートフィルムを部材として用い、次のように液晶表示装置に実装して評価した。本実施例の実装形態は本発明のセルロースアシレートフィルムの用途として有効な形態の例であり、これら実施形態に限定されない。
〔液晶表示装置へのセルロースアシレートフィルムの実装評価〕
本発明のセルロースアシレートフィルムを部材として用い、次のように液晶表示装置に実装して評価した。本実施例の実装形態は本発明のセルロースアシレートフィルムの用途として有効な形態の例であり、これら実施形態に限定されない。
実施例21及び比較例21
〔IPSモードの液晶表示装置〕
図1に示す構成のIPSモードの液晶表示装置を作製した。
具体的には、1対の基板16及び18の間に、液晶性化合物の分子17を封入して作製した液晶セルを、1対の偏光膜11a及び11bの間に配置した。液晶セルと下側偏光膜11bとの間に、本発明のセルロースアシレートフィルム19を配置し、液晶セルと上側偏光膜11aとの間に、第一光学補償フィルム15及び第二光学補償フィルム13を配置した。なお、偏光膜の透過軸12a、12bと、第一光学補償フィルムの遅相軸15aとの関係は、各々の実施例の説明中に記載する。また図1中、各部材は便宜上、独立の部材として描かれているが、これらの各部材は他の部材と一体化された後、例えばセルロースアシレートフィルム19は保護フィルムとして偏光膜11bと一体化された後、装置中に組み込まれる場合もある。
以下、各部材の作製方法について詳細に説明する。
〔IPSモードの液晶表示装置〕
図1に示す構成のIPSモードの液晶表示装置を作製した。
具体的には、1対の基板16及び18の間に、液晶性化合物の分子17を封入して作製した液晶セルを、1対の偏光膜11a及び11bの間に配置した。液晶セルと下側偏光膜11bとの間に、本発明のセルロースアシレートフィルム19を配置し、液晶セルと上側偏光膜11aとの間に、第一光学補償フィルム15及び第二光学補償フィルム13を配置した。なお、偏光膜の透過軸12a、12bと、第一光学補償フィルムの遅相軸15aとの関係は、各々の実施例の説明中に記載する。また図1中、各部材は便宜上、独立の部材として描かれているが、これらの各部材は他の部材と一体化された後、例えばセルロースアシレートフィルム19は保護フィルムとして偏光膜11bと一体化された後、装置中に組み込まれる場合もある。
以下、各部材の作製方法について詳細に説明する。
[IPSモード液晶セルの作製]
1枚のガラス基板上に、隣接する電極間の距離が20μmとなるように電極を配設し、その上にポリイミド膜を配向膜として設け、ラビング処理を行った。別に用意した1枚のガラス基板の一方の表面にポリイミド膜を設け、ラビング処理を行って配向膜とした。これら2枚のガラス基板を、配向膜同士を対向させて、基板の間隔(ギャップ;d)を3.9μmとし、2枚のガラス基板のラビング方向が平行となるようにして重ねて貼り合わせ、次いで屈折率異方性(Δn)が0.0769及び誘電率異方性(Δε)が正の4.5であるネマチック液晶組成物を封入した。液晶層のd・Δnの値は300nmであった。
1枚のガラス基板上に、隣接する電極間の距離が20μmとなるように電極を配設し、その上にポリイミド膜を配向膜として設け、ラビング処理を行った。別に用意した1枚のガラス基板の一方の表面にポリイミド膜を設け、ラビング処理を行って配向膜とした。これら2枚のガラス基板を、配向膜同士を対向させて、基板の間隔(ギャップ;d)を3.9μmとし、2枚のガラス基板のラビング方向が平行となるようにして重ねて貼り合わせ、次いで屈折率異方性(Δn)が0.0769及び誘電率異方性(Δε)が正の4.5であるネマチック液晶組成物を封入した。液晶層のd・Δnの値は300nmであった。
[セルロースアシレートフィルム19、下側偏光板21bの作製]
本実施例では、セルロースアシレートフィルム19と下側偏光膜11bは、一体化して下側偏光板21b(特に図示せず)として用いた。すなわち下側偏光板21bとしては、下側偏光膜11bを実施例1のセルロースアシレートフィルム試料(101)2枚で間に挟むように貼り合わせて作製した偏光板(P1−1)又は、比較例試料(1−1)を用いて同様に作製した偏光板(PR1−1)を用いた。
本実施例では、セルロースアシレートフィルム19と下側偏光膜11bは、一体化して下側偏光板21b(特に図示せず)として用いた。すなわち下側偏光板21bとしては、下側偏光膜11bを実施例1のセルロースアシレートフィルム試料(101)2枚で間に挟むように貼り合わせて作製した偏光板(P1−1)又は、比較例試料(1−1)を用いて同様に作製した偏光板(PR1−1)を用いた。
[第二光学補償フィルム13の作製]
「フジタックTD80UF」{富士写真フイルム(株)製}を、150℃で15%縦一軸延伸することにより、光学補償フィルム13を作製した。このフィルムの光学特性は、Re=5nm、Rth=70nmであった。
「フジタックTD80UF」{富士写真フイルム(株)製}を、150℃で15%縦一軸延伸することにより、光学補償フィルム13を作製した。このフィルムの光学特性は、Re=5nm、Rth=70nmであった。
[第一光学補償フィルム15の作製]
(配向膜の形成)
上記で作製した第二光学補償フィルムの表面を鹸化処理後、このフィルム上に、下記の組成の配向膜塗布液をワイヤーバーコーターで20mL/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥し、膜を形成した。次に形成した膜に、フィルムの遅相軸方向と平行方向にラビング処理を施して配向膜を形成した。
(配向膜の形成)
上記で作製した第二光学補償フィルムの表面を鹸化処理後、このフィルム上に、下記の組成の配向膜塗布液をワイヤーバーコーターで20mL/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥し、膜を形成した。次に形成した膜に、フィルムの遅相軸方向と平行方向にラビング処理を施して配向膜を形成した。
(配向膜塗布液の組成)
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
テトラメチルアンモニウムフルオリド 0.3質量部
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
テトラメチルアンモニウムフルオリド 0.3質量部
(光学異方性層の形成)
次に、得られた配向膜上に、下記のディスコティック液晶性化合物1.8g、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート“V#360”{大阪有機化学(株)製}0.2g、光重合開始剤「イルガキュア907」(チバガイギー社製)0.06g、増感剤「カヤキュアーDETX」{日本化薬(株)製}0.02g、及び下記のフッ素系ポリマー(空気界面側垂直配向剤)0.01gを、3.9gのメチルエチルケトンに溶解して得た溶液を、#5のワイヤーバーで塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、125℃の恒温槽中で3分間加熱し、ディスコティック液晶化合物を配向させた。次に、100℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、30秒間UV照射しディスコティック液晶化合物を架橋した。その後、室温まで放冷して光学異方性層を形成した。このようにして、第二光学補償フィルム上に、第一光学補償フィルムが形成された位相差膜を製作した。
次に、得られた配向膜上に、下記のディスコティック液晶性化合物1.8g、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート“V#360”{大阪有機化学(株)製}0.2g、光重合開始剤「イルガキュア907」(チバガイギー社製)0.06g、増感剤「カヤキュアーDETX」{日本化薬(株)製}0.02g、及び下記のフッ素系ポリマー(空気界面側垂直配向剤)0.01gを、3.9gのメチルエチルケトンに溶解して得た溶液を、#5のワイヤーバーで塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、125℃の恒温槽中で3分間加熱し、ディスコティック液晶化合物を配向させた。次に、100℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、30秒間UV照射しディスコティック液晶化合物を架橋した。その後、室温まで放冷して光学異方性層を形成した。このようにして、第二光学補償フィルム上に、第一光学補償フィルムが形成された位相差膜を製作した。
上記で作製した位相差膜のReの光入射角度依存性を測定し、予め測定した第二光学補償フィルムの寄与分を差し引くことによって、ディスコティック液晶光学異方性層(第一光学補償フィルム)のみの光学特性を算出したところ、Reが110nm、Rthが−55nm、液晶の平均傾斜角は89.9°であり、ディスコティック液晶がフィルム面に対して垂直に配向していることが確認できた。なお遅相軸の方向は配向膜のラビング方向と平行であった。
[上側偏光板21aの作製]
次に、延伸したポリビニルアルコールフィルムに、ヨウ素を吸着させて上側偏光膜11aを作製した。この偏光膜の一方の表面に、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、セルロースアセテートフィルム「フジタックTD80UF」{富士写真フイルム(株)製}を貼り付けた。その後、偏光膜11aの他方の表面に、第二光学補償フィルム13が偏光膜11a側になるように、位相差膜を貼り合わせて、光学異方性層と一体化した上側偏光板21a(特に図示せず)を作製した。
次に、延伸したポリビニルアルコールフィルムに、ヨウ素を吸着させて上側偏光膜11aを作製した。この偏光膜の一方の表面に、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、セルロースアセテートフィルム「フジタックTD80UF」{富士写真フイルム(株)製}を貼り付けた。その後、偏光膜11aの他方の表面に、第二光学補償フィルム13が偏光膜11a側になるように、位相差膜を貼り合わせて、光学異方性層と一体化した上側偏光板21a(特に図示せず)を作製した。
[液晶表示装置の作製]
さらに、第一光学補償フィルム側が液晶セル側になるように、上側偏光板21aに上記
作製したIPSモードセルを貼り合わせた。ここで、第一光学補償フィルム15及びIPSモードセルの液晶層の2つの遅相軸は、偏光膜11aの透過軸12aと平行にした。次に、前記で作製した下側偏光板21bを、その下側偏光膜11bの透過軸12bが、上側偏光膜11aの透過軸12aと直交するように張り合わせ、液晶表示装置を作製した。
さらに、第一光学補償フィルム側が液晶セル側になるように、上側偏光板21aに上記
作製したIPSモードセルを貼り合わせた。ここで、第一光学補償フィルム15及びIPSモードセルの液晶層の2つの遅相軸は、偏光膜11aの透過軸12aと平行にした。次に、前記で作製した下側偏光板21bを、その下側偏光膜11bの透過軸12bが、上側偏光膜11aの透過軸12aと直交するように張り合わせ、液晶表示装置を作製した。
[作製した液晶表示装置の漏れ光の測定]
このように作製した液晶表示装置において、黒表示時の左斜め方向60°から観察した際の漏れ光を測定した。本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた場合は比較例に対していずれも光漏れが極わずかで、本発明のセルロースアシレートフィルムが液晶表示装置のコントラスト(光漏れが少ない)、色味表示の視野角特性に優れていることがわかった。
このように作製した液晶表示装置において、黒表示時の左斜め方向60°から観察した際の漏れ光を測定した。本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた場合は比較例に対していずれも光漏れが極わずかで、本発明のセルロースアシレートフィルムが液晶表示装置のコントラスト(光漏れが少ない)、色味表示の視野角特性に優れていることがわかった。
<光学補償フィルムの作製>
実施例31
本発明のセルロースアシレートフィルム試料(101)を用いて、特開2003−315541号公報の実施例1に記載の方法に準じて、光学補償フィルム試料を作製した。
実施例31
本発明のセルロースアシレートフィルム試料(101)を用いて、特開2003−315541号公報の実施例1に記載の方法に準じて、光学補償フィルム試料を作製した。
(光学異方性層の形成)
2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)と、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(TFMB)から合成された、重量平均分子量(Mw)7万、△nが約0.04のポリイミドを、溶媒にシクロヘキサノンを用いて25質量%に調整した溶液を作製し、この溶液を実施例1−1で作製した本発明のセルロースアシレートフィルム試料(101)(厚さ80μm)に塗布した。次いで100℃で10分熱処理後、160℃で15%縦一軸延伸することにより、光学異方性層として厚さ6μmのポリイミドフィルムが本発明のセルロースアシレートフィルム試料(101)上に形成された光学補償フィルムを得た。
2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)と、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(TFMB)から合成された、重量平均分子量(Mw)7万、△nが約0.04のポリイミドを、溶媒にシクロヘキサノンを用いて25質量%に調整した溶液を作製し、この溶液を実施例1−1で作製した本発明のセルロースアシレートフィルム試料(101)(厚さ80μm)に塗布した。次いで100℃で10分熱処理後、160℃で15%縦一軸延伸することにより、光学異方性層として厚さ6μmのポリイミドフィルムが本発明のセルロースアシレートフィルム試料(101)上に形成された光学補償フィルムを得た。
この光学補償フィルムの光学特性は、Re=72nm、Rth=220nm、配向軸のズレ角度は±0.3゜以内の光学補償フィルムであった。
比較例31
上記のセルロースアシレートフィルム試料(101)の代わりに、比較試料(1−1)(厚さ80μm)を用いた以外は実施例31と同様の操作により、光学異方性層として厚さ6μmのポリイミドフィルムが、比較試料(1−1)のセルロースアシレートフィルムに塗布された光学補償フィルムを得た。この光学補償フィルムの光学特性は、Re=75nm、Rth=257nmであった。
上記のセルロースアシレートフィルム試料(101)の代わりに、比較試料(1−1)(厚さ80μm)を用いた以外は実施例31と同様の操作により、光学異方性層として厚さ6μmのポリイミドフィルムが、比較試料(1−1)のセルロースアシレートフィルムに塗布された光学補償フィルムを得た。この光学補償フィルムの光学特性は、Re=75nm、Rth=257nmであった。
[VAモードの液晶表示装置への実装評価]
上記実施例31及び比較例31で得た光学補償フィルムの、ポリイミドフィルムを塗布していない側をアルカリ鹸化処理し、ポリビニルアルコール系接着剤で直接偏光膜と貼り合せた。この際、光学補償フィルムの遅相軸方向と、偏光膜の吸収軸が直交するように貼り合せた。これら光学補償フィルムが液晶セル側となるように、粘着剤でVA液晶パネルに貼り合わせた。なお、液晶セルの反対側には、偏光板の吸収軸同士が直交するように偏光板のみを粘着剤を介してVA液晶パネルに貼り合せた。
上記実施例31及び比較例31で得た光学補償フィルムの、ポリイミドフィルムを塗布していない側をアルカリ鹸化処理し、ポリビニルアルコール系接着剤で直接偏光膜と貼り合せた。この際、光学補償フィルムの遅相軸方向と、偏光膜の吸収軸が直交するように貼り合せた。これら光学補償フィルムが液晶セル側となるように、粘着剤でVA液晶パネルに貼り合わせた。なお、液晶セルの反対側には、偏光板の吸収軸同士が直交するように偏光板のみを粘着剤を介してVA液晶パネルに貼り合せた。
以上のようにして得られた液晶表示装置の視野角特性を測定した。方位角45゜方向において、黒表示時と白表示時のコントラスト比が20以下となる極角(パネルに対する垂線を極角0゜とし、斜め方向ほど極角が大きい)を求めた。本発明のセルロースアシレートフィルム試料(101)より得た光学補償フィルムの場合は、極角80゜までコントラスト20以上で優れた視野角を有するのに対し、比較試料(1−1)から得た光学補償フ
ィルムの場合は極角30゜と視野角特性が悪かった。従って、本発明のセルロースアシレートフィルムが、VA用の位相差フィルムとして用いる際にも優れたものであることがわかった。
ィルムの場合は極角30゜と視野角特性が悪かった。従って、本発明のセルロースアシレートフィルムが、VA用の位相差フィルムとして用いる際にも優れたものであることがわかった。
実施例21及び比較例21、並びに実施例31及び比較例31の結果を表4にまとめた。
本発明のセルロースアシレートフィルム試料(101)は、添加剤を含まない比較試料(1−1)に比較して、Re、Rth、Reの波長分散、及びRthの波長分散がいずれも小さい。このためIPSモードの液晶表示装置に用いると斜め方向からの色味変化を小さくすることができ黒表示時の光漏れが小さく有効である。またVAモードの液晶表示装置に用いると斜め方向からのコントラスト視野角特性を良化できることが分かった。
本発明のセルロースアシレートフィルム試料(101)は、添加剤を含まない比較試料(1−1)に比較して、Re、Rth、Reの波長分散、及びRthの波長分散がいずれも小さい。このためIPSモードの液晶表示装置に用いると斜め方向からの色味変化を小さくすることができ黒表示時の光漏れが小さく有効である。またVAモードの液晶表示装置に用いると斜め方向からのコントラスト視野角特性を良化できることが分かった。
11a:上側偏光膜
11b:下側偏光膜
12a:上側偏光膜の透過軸
12b:下側偏光膜の透過軸
13 :第二光学補償フィルム
15 :第一光学補償フィルム
15a:第一光学補償フィルムの遅相軸
16 :基板
17 :液晶性化合物の分子
18 :基板
19 :本発明のセルロースアシレートフィルム
11b:下側偏光膜
12a:上側偏光膜の透過軸
12b:下側偏光膜の透過軸
13 :第二光学補償フィルム
15 :第一光学補償フィルム
15a:第一光学補償フィルムの遅相軸
16 :基板
17 :液晶性化合物の分子
18 :基板
19 :本発明のセルロースアシレートフィルム
Claims (13)
- 添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムであって、
(1)該セルロースアシレートフィルムのガラス転移温度(Tg)が、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムのTgに対し50〜80℃低いこと、
(2)該セルロースアシレートフィルムの弾性率が、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムの弾性率に対し101〜150%であること、及び
(3)該セルロースアシレートフィルムを200℃で3時間熱処理したときの、X線回折パターンにおける2θ=10〜15°に存在する回折ピークの半値幅が、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムを200℃で3時間熱処理したときの該半値幅に対し20〜105%であること、
の少なくともいずれか1つを満たすことを特徴とするセルロースアシレートフィルム。 - 添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムの透湿度が、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムの透湿度に対し30〜90%である請求項1に記載のセルロースアシレートフィルム。
- 添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムのアルカリ鹸化後の接触角が、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムの接触角に対し95%以下である請求項1又は2に記載のセルロースアシレートフィルム。
- 添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムの引裂き強度が、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムの引裂き強度に対し95%以下である請求項1〜3のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
- 添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムの吸湿膨張係数が、添加剤を含有しないセルロースアシレートフィルムの吸湿膨張係数に対し95%以下である請求項1〜4のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
- 添加剤を含有したセルロースアシレートフィルムのReλ及びRthλが、下記数式(1)及び(2)を満たす請求項1〜5のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
数式(1):0≦Re630≦10で且つ|Rth630|≦25
数式(2):|Re400−Re700|≦10で且つ|Rth400−Rth700|≦35
[式中、Reλは波長λnmにおけるセルロースアシレートフィルムの正面レターデーション値(単位:nm)、Rthλは波長λnmにおけるセルロースアシレートフィルムの膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。] - セルロースアシレートフィルム原料ポリマーのアシル置換度が2.85〜3.00の範囲である請求項1〜6のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
- セルロースアシレートフィルムが、添加剤として、Rthλを低下させる化合物を少なくとも1種、下記数式(3)及び(4)を満たす範囲で含有する請求項1〜7のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
数式(3):(RthλA−Rthλ0)/A≦−1.0
数式(4):0.01≦A≦30
ここで、
RthλA:Rthλを低下させる化合物をA質量%含有したセルロースアシレートフィルムのRthλ(nm)、
Rthλ0:Rthλを低下させる化合物を含有しないセルロースアシレートフィルム
のRthλ(nm)、
A:セルロースアシレートフィルム原料ポリマーの質量を100としたときのRthλを低下させる化合物の質量(%)、
である。 - セルロースアシレートフィルムが、添加剤として、その|Re400−Re700|及び|Rth400−Rth700|を低下させる化合物を少なくとも1種、セルロースアシレートフィルム原料ポリマーの固形分に対して0.01〜30質量%含む請求項1〜8のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
- フィルムの膜厚が10〜120μmである請求項1〜9のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
- 請求項1〜10のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムに、Re630が0〜200nmの範囲であり、且つ|Rth630|が0〜400nmの範囲である光学異方性層を設けたことを特徴とする光学補償フィルム。
- 請求項1〜10のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム、又は請求項11に記載の光学補償フィルムを少なくとも1枚、偏光膜の保護フィルムとして有することを特徴とする偏光板。
- 請求項1〜10のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム、請求項11に記載の光学補償フィルム、又は請求項12に記載の偏光板を有することを特徴とする液晶表示装置。
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Cited By (2)
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WO2007026592A1 (ja) * | 2005-08-30 | 2007-03-08 | Konica Minolta Opto, Inc. | セルロースエステルフィルム、偏光板及び表示装置 |
JP2014098883A (ja) * | 2012-09-28 | 2014-05-29 | Fujifilm Corp | 光学フィルム及びその製造方法、偏光板並びに液晶表示装置 |
-
2005
- 2005-01-31 JP JP2005022651A patent/JP2006206792A/ja active Pending
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WO2007026592A1 (ja) * | 2005-08-30 | 2007-03-08 | Konica Minolta Opto, Inc. | セルロースエステルフィルム、偏光板及び表示装置 |
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