JP2006308954A - セルロースアシレートフィルム、並びにそれを用いた光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

セルロースアシレートフィルム、並びにそれを用いた光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
特定のセルロースアシレートフィルムを偏光板の保護フィルムとして用いることにより、光漏れおよび斜め方向から見た光学性能のバラツキが小さく、偏光膜との密着性に優れた偏光板を提供する。また、本発明のセルロースアシレートフィルムを用いることにより視野角特性に優れた偏光板の保護フィルムや光学補償フィルムなどを作製し、これらを用いた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】
セルロースアシレートフィルム2枚を、それぞれの最大屈折率方向が直交するように重ねて測定した、法線から45°傾斜方向からの入射光についての全方位における位相差値が、15nm以下であることを特徴とするセルロースアシレートフィルム、並びにこのようなフィルムを用いた光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶表示装置に有用なセルロースアシレートフィルムに関し、さらにそれを用いた光学補償フィルム及び偏光板などの光学材料、並びに液晶表示装置に関するものである。
液晶表示装置等に用いられる偏光板は、偏光膜の両面に、強度や耐熱性等を高めるための保護フィルムとして高分子フィルムを配して構成されている。保護フィルムとしての高分子フィルムはその透明性や光学的欠点のない特性が要求される。一般的な偏光板は、延伸されたポリビニルアルコール(PVA)系フィルムをヨウ素又は二色性色素で染色することによって得られる偏光膜の少なくとも片側に、保護フィルムを貼合することによって形成されている。高分子フィルムはPVAに対して直接貼り合わせできる優位性が要求され、特にトリアセチルセルロースフィルムが多くの場合用いられている。
しかしながら、保護フィルムに、通常のトリアセチルセルロースフィルムを用いた偏光板をクロスニコル状態に配置して、その法線から傾斜した方向より光を照射した場合、法線から傾斜した方向ではより多くの光漏れが発生する。この光漏れは法線方向からの傾斜が大きいほど大きくなる傾向がある。
上記の傾斜した方向での光漏れの原因として、トリアセチルセルロースフィルムが持つ位相差、とくに膜厚方向のレターデーション(Rth)位相差が主な原因として挙げられる。一般に保護フィルムの位相差は、正面レターデーション(Re)及び膜厚方向のレターデーション(Rth)に分けて考えることができ、従来の保護フィルムのトリアセチルセルロースのReは一般的に小さく設計されているが、膜厚方向のレターデーション値Rthは40〜50nmあり、これを小さくすることは、傾斜した方向からの光漏れを低減するのに有利である。
これまで、上記問題を改良するために、保護フィルムに通常のトリアセチルセルロースフィルムを用いる替わりに、Re、Rthが比較的小さい、ポリカーボネート系フィルムや熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムが提案されている(特許文献1)。しかしながら、これらフィルムは偏光膜の保護フィルムとして使用する場合、フィルムが疎水的なために親水的なポリビニルアルコール(PVA)偏光膜との貼合性に問題があり、貼り合わせのためにコロナ処理などの特殊な表面処理が必要になる。またPVAとの貼りあわせには水系接着剤が用いられるため、接着後に接着剤から水を乾燥させる工程が必要とされる。ここでも疎水的なフィルムは透湿性が乏しく、効率よい乾燥が出来ない。現行の通常のトリアセチルセルロースフィルムを用いる偏光板製造工程へ適用するには、このことが最大の問題点であり、製造歩留まりを重要視する液晶ディスプレイ業界にあって、既存設備を使用しての製造ができないことはコスト競争力にも大きな問題がある。以上のようにこれらの素材を用いたフィルムは偏光板を作製するのに問題があり、実用性に乏しい。
さらに、これらポリカーボネート系やノルボルネン系フィルムは一般に溶融製膜で作製されるため溶液製膜(キャスティング法)で作製されるトリアセチルセルロースフィルムよりもフィルム面状(均一性)が劣る。溶液製膜は、溶剤が徐々に蒸発しフィルム面内が均一にレベリングするために膜厚のバラツキを低減することができるために面状が良い。
膜厚バラツキによるフィルム面状が悪いと、フィルムの光学性能が不均一になるという故障が起こり、問題となる。フィルム1枚での光学性能のバラツキもさることながら、実
際の液晶表示装置においてはフィルムが2枚以上組み合わせて重ねられて用いられていることが多く、この場合光学性能、特に斜め方向から見たバラツキが増幅されることがあり、注意が必要である。
液晶表示装置では通常、液晶セルの上下に2枚の偏光板(以下、セルの上側を上側偏光板、下側を下側偏光板という)を用いる。このうち、視野角や色味変化は上側偏光板の偏光膜と下側偏光板の偏光膜の内側の保護フィルム(上側偏光板、下側偏光板それぞれの液晶セル側(内側)の2枚の保護フィルム)の光学性能が問題となる。上側偏光板、下側偏光板はそれぞれ吸収軸が直交されて配置されるので、上記液晶セル側の2枚の保護フィルムも直交されることになる。
従って、以上に述べた問題点から、本発明の目的は、PVA偏光子との貼合性に優れ、貼り合わせ後に適度に水分が抜けるセルロースアシレートフィルムを用いて所望の光学性能を実現することにより、光漏れおよび斜め方向から見た光学性能(特に光漏れ)のバラツキが小さく偏光膜との密着性に優れた偏光板保護フィルムを提供することである。
本発明のさらに別の目的は、以上の目的を達成した本発明のセルロースアシレートフィルムを用いることにより視野角特性に優れた偏光板の保護フィルムや光学補償フィルムなどを作製し、これらを用いた液晶表示装置を提供することである。
以上の課題を達成するため、本発明の発明者は、実際の液晶表示装置における使用態様に即し上記の液晶セル側の2枚の保護フィルムが直交した状態での性能を考えるに至った。
鋭意検討した結果、2枚の保護フィルムとして特定のセルロースアシレートフィルムを直交させて重ね、その斜め45°傾斜方向の位相差値の、全方位間(24点に分割)における変動差(バラツキ)が1.5nm以下であれば、〔1〕セルロースアシレートフィルムを用いることでPVA偏光子と問題なく貼り合わせできること、〔2〕斜め傾斜方向からの光学性能(特に光漏れ)のバラツキを低下できること、を見出した。さらに全方位における位相差値が15nm以下であれば、全方位における斜め傾斜方向における光漏れを低減できることを見出した。
本明細書においては、2枚のセルロースアシレートフィルムを積層した際、このフィルム積層体について、法線方向から光を照射した場合の位相差と、その法線から45°傾斜した方向から光を照射した場合の位相差との差を45°傾斜方向の位相差値として測定する。また測定された全方位24点の位相差値のなかから最大値と最小値を抽出し、その差(変動差)を求める。こうして、45°傾斜方向についての全方位における位相差値の変動差が導出される。
本発明は下記構成により達成された。
(1) セルロースアシレートフィルム2枚を、それぞれの最大屈折率方向が直交するように重ねて測定した、法線から45°傾斜方向で入射する光についての全方位における位相差値の変動差が、1.5nm以下であることを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
(2) (1)に記載のセルロースアシレートフィルムであって、前記全方位における位相差値が、15nm以下であることを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
(3) セルロースアシレートフィルム2枚を、それぞれの最大屈折率方向が直交するように重ねて、法線から所定の傾斜方向で入射する光についての全方位における位相差値を
複数の傾斜方向について測定したとき、全方位における位相差値の平均を縦軸に、傾斜方向の角度を横軸にプロットして導出される直線の傾きとして求められる、入射角に対する平均全方位位相差値の変化率が0.5以下である(1)又は(2)に記載のセルロースアシレートフィルム。
(4) セルロースアシレートフィルム単体でのReλ及びRthλが、下記数式(1)及び(2)を満たす(1)〜(3)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
数式(1):0≦Re630≦10で且つ|Rth630|≦25
数式(2):|Re400−Re700|≦10で且つ|Rth400−Rth700|≦35
[式中、Reλは波長λnmにおけるセルロースアシレートフィルムの正面レターデーション値(単位:nm)、Rthλは波長λnmにおけるセルロースアシレートフィルムの膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
(5) アシル置換度が2.85〜3.00の範囲のセルロースアシレートを含有してなる(1)〜(4)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(6) セルロースアシレートフィルムが、フィルム膜厚方向のレターデーションRthを低下させる化合物の少なくとも1種を、セルロースアシレートフィルム原料ポリマーに対して0.01〜30質量%含むことを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(7) Rthを低下させる化合物が、一般式(1)又は(2)で表される合物である(1)〜(6)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
一般式(1):
Figure 2006308954
一般式(2):
Figure 2006308954
[上記一般式(1)及び(2)において、R11はアルキル基又はアリール基を表し、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。またR21はアルキル基又はアリール基を表し、R22及びR23はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。]
(8) セルロースアシレートフィルムが、その|Re400−Re700|及び|Rth400−Rth700|を低下させる化合物を少なくとも1種、セルロースアシレート固形分に対して0.01〜30質量%含む(1)〜(7)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
[式中、Reλは波長λnmにおけるセルロースアシレートフィルムの正面レターデーション値(単位:nm)、Rthλは波長λnmにおけるセルロースアシレートフィルムの膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
(9) フィルムの膜厚が10〜120μmである(1)〜(8)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(10) セルロースアシレートフィルムの透湿度が200(g/m2・24時間)以上1000(g/m2・24時間)以下である(1)〜(9)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(11) セルロースアシレート溶液を金属支持体上に流延後、剥離し、搬送しながら乾燥する工程を有する、(1)〜(10)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法であって、剥離後の乾燥工程において120〜150℃で該フィルムを乾燥することを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
(12) セルロースアシレート溶液を金属支持体上に流延後、剥離し、搬送しながら乾燥する工程を有する、(1)〜(10)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法であって、搬送時の該フィルムにかかるテンションが、50〜300N/m
であることを特徴とセルロースアシレートフィルムの製造方法。
(13) (1)〜(10)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムに、Re630が0〜200nmの範囲であり、且つ|Rth630|が0〜400nmの範囲である光学異方性層を設けたことを特徴とする光学補償フィルム。
[式中、Reλは波長λnmにおけるセルロースアシレートフィルムの正面レターデーション値(単位:nm)、Rthλは波長λnmにおけるセルロースアシレートフィルムの膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
(14) 光学異方性層がディスコティック液晶層を含有する(13)に記載の光学補償フィルム。
(15) 光学異方性層が棒状液晶層を含有する(13)又は(14)に記載の光学補償フィルム。
(16) 光学異方性層がポリマーフィルムにより形成される(13)〜(15)のいずれかに記載の光学補償フィルム。
(17) 光学異方性層を形成するポリマーフィルムが、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドポリエステルイミド、及びポリアリールエーテルケトンよりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマー材料を含有することを特徴とする(16)に記載の光学補償フィルム。
(18) (1)〜(10)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム、又は(13)〜(17)のいずれかに記載の光学補償フィルムを少なくとも1枚、偏光膜の保護フィルムとして有することを特徴とする偏光板。
(19) 表面にハードコート層、防眩層、反射防止層の少なくとも一層を設けたことを特徴とする(18)に記載の偏光板。
(20) (1)〜(10)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム、(13)〜(17)のいずれかに記載の光学補償フィルム、又は(18)もしくは(19)に記載の偏光板を有することを特徴とする液晶表示装置。
(21) 液晶表示装置がVA又はIPS液晶表示装置である(20)に記載の液晶表示装置。
(22) 液晶セルの上下両側に偏光板を有する(21)のIPS液晶表示装置において、少なくとも片側の偏光板のセル側に上記(1)〜(10)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムを有することを特徴とする液晶表示装置。
本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光板の保護フィルムとして用いることにより、光漏れおよび斜め方向から見た光学性能(特に光漏れ)のバラツキが小さく、偏光膜と保護フィルムとの密着性に優れた偏光板を提供することができる。さらに、本発明のセルロースアシレートフィルムを用いることにより視野角特性に優れた偏光板や光学補償フィルムなどを作製し、これらを用いた液晶表示装置を提供できる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
<セルロースアシレートフィルム>
本発明のセルロースアシレートフィルムは、そのフィルム2枚を対向させて主に使用するセルロースアシレートフィルムで、このセルロースアシレートフィルム2枚を、それぞれの最大屈折率方向が直交するように重ねて測定した、法線から45°傾斜方向で入射する光についての全方位における位相差値の変動差が、1.5nm以下であることを特徴とする。該位相差値は0nm以上1.3nm以下であることがより望ましく、0nm以上1.0nm以下であることがさらに望ましい。該変動差を1.5nm以下とすることで、斜め傾斜方向からの光漏れ等の光学性能のバラツキを小さくすることができる。
フィルムの位相差値の変動差を上記所望の範囲とするためには、フィルム位相差値そのものを小さくすることが有効であり、そのためにはフィルム中のセルロースアシレート分子鎖が配向するのを抑制することが効果的である。セルロースアシレート分子鎖の配向を抑制するための手段としては、例えば後述の様に、製造工程中でフィルムに余分な力がかからないようにすることでセルロースアシレート分子鎖の配向を抑える方法や製造中に比較的高温で乾燥を行うことで分子鎖の配向を緩和する方法等が挙げられる。またアシル置換度の大きいセルロースアシレートを原料として用いることでも位相差を小さくすることができる。さらにまた位相差はフィルム厚みに比例するために、実用上問題とならない範囲でフィルムの厚みを薄くすることも位相差を小さくするのに有効である。
さらに、本発明のセルロースアシレートフィルムを溶液製膜(キャスティング法)で作製すると、フィルム面状(均一性)を良くすることができ、光学性能のバラツキを低減することに有利である。溶液製膜は、溶剤が徐々に蒸発しフィルム面内が均一にレベリングするために膜厚のバラツキを低減することができるために面状が良い。
上記変動差を満足する本発明のセルロースアシレートフィルムは、傾斜方向での光漏れ等の光学性能のばらつきが小さい。そのため、本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光板の保護フィルムに用いた場合、法線からの傾斜方向における上下左右方向で見え方に大きな違いがない液晶表示装置を提供できる。従って、表示装置の正面方向すなわち、法線方向に対して傾斜方向から表示画像を見ることが比較的多いパソコンモニターやテレビ用途の液晶表示装置において有用である。
上記の具体的な測定方法としては、まず2枚のセルロースアシレートフィルムを用意し、それぞれの最大屈折率方向が直交するようにして重ね合わせた。最大屈折率とはフィルム面内において屈折率が最も大きい方向をいい、フィルムの遅相軸方向である。この積層した2枚のセルロースアシレートフィルムの45°傾斜方向の位相差値を測定した。この45°傾斜した方向において、360°を15°ずつ24分割して測定し、ほぼ全方位の測定とした。この24点の測定から最大値と最小値を抽出し、その差(変動差)を求め、45°傾斜方向についての全方位における位相差値の変動差とした。以上の測定は自動複屈折計“KOBRA 21ADH”{王子計測機器(株)製}を用いて、波長589nmにおいて望ましく測定することができる。
また本発明のセルロースアシレートフィルムを2枚用いて、上記の方法で測定した位相差値は、0nm以上15nm以下であることが好ましい。0nm以上13nm以下であることがより望ましく、0nm以上10nm以下であることがさらに望ましい。
上記の傾斜方向からの全方位の位相差値が15nmより小さいと、法線方向の位相差と傾斜方向の位相差との差が小さく、傾斜方向からの光漏れや色味変化を小さくすることができ、正面方向と傾斜方向とで見え方が大きく変化しないことから、表示性能が良好となる。この測定には自動複屈折計“KOBRA 21ADH”{王子計測機器(株)製}を用い、波長589nmにおいて望ましく測定することができる。
さらに本発明のセルロースアシレートフィルムは、そのフィルム2枚を、それぞれの最大屈折率方向が直交するように重ねて、法線から所定の傾斜方向で入射する光についての全方位における位相差値を複数の傾斜方向について測定したとき、全方位における位相差値の平均を縦軸に、傾斜方向の角度を横軸にプロットして導出される直線の傾きとして求められる、入射角に対する平均全方位位相差値の変化率が0以上0.5以下であることが好ましい。該変化率は0以上0.3以下であることがより好ましく、0以上0.1以下であることがさらに好ましい。この性能を満たせば、光の入射角依存性が小さくなり、入射角度によって見え方が大きく異なることがなく好ましい。該変化率は、上記説明した位相
差値の測定方法を、例えば15°傾斜方向、30°傾斜方向、45°傾斜方向につきそれぞれ全方位(24点)について行い、各角度についてそれらの位相差値の平均(平均全方位位相差値)を求めた。次いで平均全方位位相差値を縦軸に、対応する傾斜角度を横軸にプロットし、これより得られる直線関係の傾きとして導出した。
本発明の特定のセルロースアシレートフィルムのフィルム単体での光学性能は、Reλ及びRthλが、下記数式(1)及び(2)を満たすことが好ましい。
数式(1):0≦Re630≦10で且つ|Rth630|≦25
数式(2):|Re400−Re700|≦10で且つ|Rth400−Rth700|≦35
ここで、Re630、Re400及びRe700は、それぞれ波長630nm、400nm及び700nmにおけるセルロースアシレートフィルムの正面レターデーション値(単位:nm)、Rth630、Rth400及びRth700は、それぞれ波長630nm、400nm及び700nmにおけるセルロースアシレートフィルムの膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。
本発明の特定のセルロースアシレートフィルムが上記の光学性能を満たせば、傾斜方向での光漏れをさらに小さく、ばらつきをより小さくすることができ、好ましい。
〔セルロースアシレートフィルムの性能評価〕
[レターデーション値の測定]
(正面レターデーションRe、膜厚方向のレターデーションRth)
試料30mm×40mmを、25℃、60%RHで2時間調湿し、Reλは、自動複屈折計“KOBRA 21ADH”{王子計測機器(株)製}を用いて、波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定した。また、Rthλは得られたReλと、面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向を0°とし、試料を10°ごとに50°まで傾斜させ波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値とを基に、平均屈折率の仮定値1.48及び膜厚を入力して算出した。
(Re、Rthの波長分散測定)
試料30mm×40mmを、25℃、60%RHで2時間調湿し、エリプソメーター“M−150”{日本分光(株)製}を用いて、波長780nmから380nmの光をフィルム法線方向に入射させることにより、各波長でのReを求めReの波長分散を測定した。また、Rthの波長分散については、得られたRe、面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から780〜380nmの波長の光を入射させて測定したレターデーション値、及び面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長780〜380nmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基に、平均屈折率の仮定値1.48及び膜厚を入力して算出した。
〔セルロースアシレート〕
[セルロースアシレート原料綿]
本発明に用いられるセルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができ、本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
[セルロースアシレート置換度]
次に上記のセルロースを原料に製造される本発明に好適なセルロースアシレートについ
て記載する。
本発明に好ましく用いることができるセルロースアシレートは、セルロースの水酸基がアシル化されたもので、その置換基はアシル基の炭素原子数が2のアセチル基から炭素原子数が22のものまでいずれも用いることができる。セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって置換度を得ることができる。測定方法としては、ASTM D−817−91に準じて実施することができる。
位相差値、変動差が小さいセルロースアシレートフィルムを得るためには、アシル置換度の大きいセルロースアシレートを原料に用いることが有効である。具体的には、本発明のセルロースアシレートフィルムは、セルロースアシレートのアシル置換度が2.85〜3.00であることが好ましく、2.90〜3.00であることがより好ましい。この範囲とすることで、セルロース主鎖由来のRe、Rthをアシル置換基側鎖で打ち消すことができ、Re、Rthを低下させることができる。ここでいうアシル置換度は全置換度のことであり、置換基が異なるものが混在する場合でもそれを総計した置換度のことを言う。
セルロースの水酸基を置換する、酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸のうち、炭素数2〜22のアシル基としては、脂肪族基でもアリル基でもよく特に限定されず、また単一でも2種類以上の混合物でもよい。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステル又は芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましいアシル基としては、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、へプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、i−ブタノイル、t−ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t−ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどが好ましく、アセチル、プロピオニル、ブタノイルがより好ましい。
[セルロースアシレート溶液の有機溶媒]
本発明では、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造することが好ましく、この方法では、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムは製造される。本発明における主溶媒として、好ましく用いられる有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル及び、炭素原子数が1〜7のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトン及び、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトン及びエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及び−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、例えばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
以上、本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては、塩素系のハロゲン化炭化水素を主溶媒としてもよいし、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(12頁〜16頁)に記載されているように、非塩素系溶媒を主溶媒としてもよく、特に限定されるものではない。
その他、本発明におけるセルロースアシレート溶液及びフィルムについての溶媒は、その溶解方法も含めて以下の特許に開示されており、好ましい態様である。それらは、例えば、特開2000−95876号公報、特開平12−95877号公報、特開平10−3
24774号公報、特開平8−152514号公報、特開平10−330538号公報、特開平9−95538号公報、特開平9−95557号公報、特開平10−235664号公報、特開平12−63534号公報、特開平11−21379号公報、特開平10−182853号公報、特開平10−278056号公報、特開平10−279702号公報、特開平10−323853号公報、特開平10−237186号公報、特開平11−60807号公報、特開平11−152342号公報、特開平11−292988号公報、特開平11−60752号公報、特開平11−60752号公報などに記載されている。これらの公報によると、本発明に用いられるセルロースアシレートに好ましい溶媒だけでなく、その溶液物性や共存させる共存物質についても記載があり、本発明においても好ましい態様である。
〔セルロースアシレートフィルムの製造工程〕
[溶解工程]
本発明においてセルロースアシレート溶液(ドープ)の調製に際して、その溶解方法は特に限定されず、室温溶解でもよく、また冷却溶解法又は高温溶解方法でもよく、さらにはこれらの組み合わせで実施されてもよい。本発明におけるセルロースアシレート溶液の調製、さらには溶解工程に伴う溶液濃縮、濾過の各工程に関しては、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)22頁〜25頁に詳細に記載されている製造工程が好ましく用いられる。
(ドープの透明度)
本発明に好ましく用いることができるセルロースアシレート溶液である、ドープの透明度としては、85%以上であることが望ましい。より好ましくは88%以上であり、さらに好ましくは90%以上であることが望ましい。本発明においては、セルロースアシレートドープ溶液に、各種の添加剤が十分に溶解していることを確認した。具体的なドープの透明度の算出方法としては、ドープ溶液を1cm角のガラスセルに注入し、分光光度計“UV−3150”{(株)島津製作所製}を用いて550nmの吸光度を測定した。溶媒のみを予めブランクとして測定しておき、ブランクの吸光度とドープの吸光度との比から、ドープの透明度を算出した。
[流延、乾燥、巻き取り工程]
次に、本発明のセルロースアシレート溶液(ドープ)を用いたフィルムの製造方法について述べる。本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供される、溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)で調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調整をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、次いでドープを加圧型ダイの口金(スリット)から、エンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延し、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。
得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて得られたフィルムを、乾燥装置のロール群で機械的に搬送し乾燥を終了して、巻き取り機でロール状に所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせは、その目的により変わる。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、前述したようにセルロースアシレートフィルム2枚をそれぞれの最大屈折率方向が直交するように重ねて測定した、法線から45°傾斜方向で入射する光についての全方位における位相差値の変動差が、1.5nm以下であることを特徴とする。位相差値の変動差を小さくするには、フィルムの位相差値そのも
のを小さくすることが有効である。したがってウェブを乾燥して搬送する際にはできるだけ余計な力をフィルムに与えないことが好ましい。したがって搬送時のロールとロールの間でフィルムにかかるテンションをできるだけ小さくすることが好ましい。具体的なテンションとしては、50〜300N/mであることが好ましい。50〜250N/mであることがより好ましく、50〜200N/mであることがさらに好ましく、50〜150N/mであることがとくに好ましい。上記の範囲とすれば、搬送時にフィルムにかかる力によって位相差が発現してしまうことが無い。
また乾燥時の温度は適宜変えることができるが、本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、より高温で乾燥することにより光学性能を制御できることが分かった。具体的には120〜150℃、のぞましくは130〜150℃、さらにのぞましくは140〜150℃の範囲で乾燥することが好ましい。この範囲であれば、より高温で乾燥することにより、セルロースアシレートの主鎖、側鎖が緩和しやすくなり、とくに側鎖の自由度が上がりフィルム面内での配向やフィルム膜厚方向の面配向が抑制されることでRe、Rthともに低下させることができる。
本発明のセルロースアシレートフィルムの主な用途としての、電子ディスプレイ用の光学部材である機能性保護フィルムに用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらについては、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)25頁〜30頁に詳細に記載されており、流延(共流延を含む)、金属支持体、乾燥、剥離などに分類され、本発明において好ましく用いることができる。
〔セルロースアシレートへの添加剤〕
本発明においてセルロースアシレート溶液には、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、Rthを低下させる化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、光学特性調整剤など)を加えることができ、これらについて以下に説明する。これら添加剤の添加時期は、ドープ作製工程において何れでも添加してもよいが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。
上記可塑剤としての一例としては、トリフェニルホスフェート(TPP)やエチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)等が挙げられる。
[Rthを低下させる化合物]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、フィルム膜厚方向のレターデーションRthを低下させる化合物(以下、Rth低下剤ともいう)の少なくとも1種を、セルロースアシレートフィルム原料ポリマーに対して0.01〜30質量%含むことが望ましい。
より望ましくは、Rth低下剤を下記数式(3)及び(4)を満たす範囲で含有することが望ましい。
数式(3):(RthA−Rth0)/A≦−1.0
数式(4):0.01≦A≦30
上記数式(3)、(4)において、さらに望ましくは、
数式(3−1):(RthA−Rth0)/A≦−2.0
数式(4−1):0.05≦A≦25
であり、特に望ましくは、
数式(3−2):(RthA−Rth0)/A≦−3.0
数式(4−2):0.1≦A≦20
である。
ここで、RthAはRthを低下させる化合物をA%含有したフィルムのRth(nm
)、Rth0はRthを低下させる化合物を含有しないフィルムのRth(nm)、Aはフィルム原料ポリマーの質量を100としたときの化合物の質量(%)である。
(Rth低下剤の構造的特徴)
セルロースアシレートフィルムのRth低下剤について説明する。
光学異方性を十分に低下させ、Re、Rthがともにゼロに近くなるようにするためには、フィルム中のセルロースアシレートが、正面方向及び膜厚方向に配向するのを抑制する化合物を用いることが好ましい。また、光学異方性を低下させる化合物は、セルロースアシレートに十分に相溶し、化合物自身が棒状の構造や平面性の構造を持たないことが有利である。具体的には芳香族基のような平面性の官能基を複数持っている場合、それらの官能基を同一平面ではなく、非平面に持つような構造が有利である。
(LogP値)
本発明のセルロースアシレートフィルムを作製するに当たっては、上記のように、フィルム中のセルロースアシレートが面内及び膜厚方向に配向するのを抑制してRth低下剤のうち、オクタノール−水分配係数(logP値)が0〜7である化合物を選択することが好ましい。logP値が7以下の化合物であれば、セルロースアシレートとの相溶性に優れ、フィルムの白濁や粉吹きなどの不都合を生じない。またlogP値が0以上の化合物は、親水性が高くなりすぎることがなく、セルロースアセテートフィルムの耐水性を悪化させるなどの問題が生じないので好ましい。logP値としてさらに好ましい範囲は1〜6であり、特に好ましい範囲は1.5〜5である。
オクタノール−水分配係数(logP値)の測定は、JIS Z−7260−107(2000)に記載のフラスコ震盪法により実施することができる。また、オクタノール−水分配係数(logP値)は、実測に代わって、計算化学的手法又は経験的方法により見積もることも可能である。計算方法としては、Crippen’s fragmentation法{“J.Chem.Inf.comput.Sci.”,27巻、p.21(1987年)}、Viswanadhan’s fragmentation法{“J.Chem.Inf.comput.Sci.”,29巻、p.163(1989年)}、Broto’s fragmentation法{“Eur.J.Med.Chem.−Chim.Theor.”,19巻、p.71(1984年)}などが好ましく用いられるが、Crippen’s fragmentation法がより好ましい。ある化合物のlogPの値が、測定方法又は計算方法により異なる場合に、該化合物が前記範囲内であるかどうかは、Crippen’s fragmentation法により判断するものとする。
(Rth低下剤の物性)
Rth低下剤は、芳香族基を含有してもよいし、含有しなくてもよい。またRth低下剤は、分子量が150以上3000以下であることが好ましく、170以上2000以下であることが好ましく、200以上1000以下であることが特に好ましい。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であってもよいし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でもよい。
Rth低下剤は、好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜250℃の固体であり、さらに好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜200℃の固体である。またRth低下剤は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
Rth低下剤の添加量は、セルロースアシレートの0.01〜30質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることが特に
好ましい。
Rth低下剤は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。Rth低下剤を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
このようなRth低下剤としては、下記の一般式(1)で表される化合物が好ましい。次ぎに一般式(1)の化合物について説明する。
一般式(1):
Figure 2006308954
上記一般式(1)において、R11はアルキル基又はアリール基を表し、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。また、R11、R12及びR13の炭素原子数の総和は10以上であることが特に好ましく、またこれらのアルキル基及びアリール基は置換基を有していてもよい。
置換基としてはフッ素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基及びスルホンアミド基が好ましく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基及びスルホンアミド基が特に好ましい。
アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数が1〜25のものが好ましく、6〜25のものがより好ましく、6〜20のもの(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ビシクロオクチル、ノニル、アダマンチル、デシル、t−オクチル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、ジデシルなど)が特に好ましい。
アリール基としては、炭素原子数が6〜30のものが好ましく、6〜24のもの(例えば、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、ビナフチル、トリフェニルフェニルなど)が特に好ましい。一般式(1)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2006308954
Figure 2006308954
Figure 2006308954
Figure 2006308954
Rth低下剤としては、また下記の一般式(2)で表される化合物を例示することができる。
一般式(2):
Figure 2006308954
上記一般式(2)において、R21はアルキル基又はアリール基を表し、R22及びR23は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。ここで、アルキル基は
直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数が1〜20のものが好ましく、1〜15のものがさらに好ましく、1〜12のものが最も好ましい。環状のアルキル基としては、シクロヘキシル基が特に好ましい。アリール基は炭素原子数が6〜36のものが好ましく、6〜24のものがより好ましい。さらに、R21及びR22の炭素原子数の総和は10以上であることが好ましく、それぞれ、アルキル基及びアリール基は置換基を有していてもよい。
上記のアルキル基及びアリール基は置換基を有していてもよく、置換基としてはハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素など)、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基及びアシルアミノ基が好ましく、より好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、スルホニルアミノ基及びアシルアミノ基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、スルホニルアミノ基及びアシルアミノ基である。
以下に、一般式(2)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2006308954
Figure 2006308954
Figure 2006308954
Figure 2006308954
Figure 2006308954
Figure 2006308954
[波長分散調整剤]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、そのフィルムの|Re400−Re700|及び|Rth400−Rth700|を低下させる化合物、すなわちレターデーションの波長分散を低下させる化合物(以下、波長分散調整剤ともいう)を少なくとも1種、セルロースアシレートフィルム原料ポリマーの固形分に対して0.01〜30質量%含むことが好ましい。以下、波長分散調整剤について説明する。
本発明のセルロースアシレートフィルムの、Rthの波長分散を良化させるためには、下記数式(6)で表されるRthの波長分散ΔRthを低下させる化合物(波長分散調整剤)を、下記数式(7)及び(8)を満たす範囲で少なくとも1種含有することが望ましい。
数式(6):ΔRth=|Rth400−Rth700
数式(7):(ΔRthB−ΔRth0)/B≦−2.0
数式(8):0.01≦B≦30
上記数式(7)及び(8)において、より望ましくは、
数式(7−2):(ΔRthB−ΔRth0)/B≦−3.0
数式(8−2):0.05≦B≦25
であり、さらに望ましくは、
数式(7−3):(ΔRthB−ΔRth0)/B≦−4.0
数式(8−3):0.1≦B≦20
である。
ここでΔRthBは、波長分散調整剤をB質量%含有したフィルムのΔRth(nm)、Rth0は波長分散調整剤を含有しないフィルムのΔRth(nm)、Bはフィルム原料ポリマーの質量を100としたときの波長分散調整剤の質量(%)である。
(波長分散調整剤の添加方法)
これら波長分散調整剤は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。またこれら波長分散調整剤を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
本発明に好ましく用いられる波長分散調整剤の具体例としては、例えばベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノ基を含む化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられるが、本発明はこれら化合物だけに限定されるものではない。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、下記一般式(3)で示されるものが本発明における波長分散調整剤として好ましく用いられる。
一般式(3):Q31−Q32−OH
(式中、Q31は含窒素芳香族ヘテロ環、Q32は芳香族環を表す。)
31は含窒素方向芳香族へテロ環をあらわし、好ましくは5〜7員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは5〜6員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、例えば、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、セレナゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾセレナゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ナフトチアゾール、ナフトオキサゾール、アザベンズイミダゾール、プリン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、トリアザインデン、テトラザインデン等が挙げられ、更に好ましくは、5員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、具体的にはイミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、チアジアゾール、オキサジアゾールが好ましく、特に好ましくは、ベンゾトリアゾールである。
31で表される含窒素芳香族ヘテロ環は、更に置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。また、置換基が複数ある場合にはそれぞれが縮環して更に環を形成してもよい。
32で表される芳香族環は、芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
芳香族炭化水素環として、好ましくは炭素数6〜30の単環又は二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環など)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。最も好ましくはベンゼン環である。
芳香族ヘテロ環として、好ましくは窒素原子又は硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として、好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
32で表される芳香族環として、好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくはナフタレン環、ベンゼン環であり、特に好ましくはベンゼン環である。Q32は更に置換基を有してもよく、下記の置換基Tが好ましい。
置換基Tとしては、例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、i−プロピル、t−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(3)として、好ましくは下記一般式(3−1)で表される化合物である。
一般式(3−1):
Figure 2006308954
上記一般式(3−1)において、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37及びR38は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、置換基としては上記の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は、更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
31及びR33として、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキル基(好ましくは炭素数4〜12)である。
32、及びR34として、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
35及びR38として、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
36及びR37として、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子であり、特に好ましくは水素原子、塩素原子である。
一般式(3)として、より好ましくは下記一般式(3−2)で表される化合物である。
一般式(3−2):
Figure 2006308954
式中、R31、R33、R36及びR37は、上記一般式(3−1)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
以下に一般式(3)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2006308954
Figure 2006308954
以上例にあげたベンゾトリアゾール系化合物の中でも、分子量が320以上のものが、本発明のセルロースアシレートフィルムを作製した場合に、保留性の点で有利であることが確認された。
また本発明に用いられる波長分散調整剤の1つであるベンゾフェノン系化合物としては一般式(4)で示されるものが好ましく用いられる。
一般式(4):
Figure 2006308954
式中、Q41及びQ42は、それぞれ独立に芳香族環を表す。X41はNR41(R41は水素原子又は置換基を表す)、酸素原子又は硫黄原子を表す。
41及びQ42で表される芳香族環は、芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
41及びQ42で表される芳香族炭化水素環として、好ましくは炭素数6〜30の単環又は二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環など)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。更に好ましくはベンゼン環である。
41及びQ42で表される芳香族ヘテロ環として、好ましくは酸素原子、窒素原子又は硫黄原子のどれか1つを少なくとも1つ含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
41及びQ42であらわされる芳香族環として好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくは炭素数6〜10の芳香族炭化水素環であり、更に好ましくは置換又は無置換のベンゼン環である。
41及びQ42は更に置換基を有してもよく、前記の置換基Tが好ましいが、置換基にカルボン酸、スルホン酸、4級アンモニウム塩を含むことはない。また、可能な場合には置換基同士が連結して環構造を形成してもよい。
41は、NR42(R42は水素原子又は置換基を表す。置換基としては前記の置換基Tが適用できる)、酸素原子又は硫黄原子を表し、X41として好ましくは、NR42(R42として好ましくはアシル基、スルホニル基であり、これらの置換基は更に置換してもよい)、又は酸素であり、特に好ましくは酸素である。
一般式(4)として、好ましくは下記一般式(4−1)で表される化合物である。
一般式(4−1):
Figure 2006308954
式中、R411、R412、R413、R414、R415、R416、R417、R418及びR419は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、置換基としては前記の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は、更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
411、R413、R414、R415、R416、R418及びR419として、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
412として、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルコキシ基である。
417として、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくはメチル基)であり、特に好ましくはメチル基、水素原子である。
一般式(4)として、より好ましくは下記一般式(4−2)で表される化合物である。
一般式(4−2):
Figure 2006308954
式中、R420は水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルケニル基、置換又は無置換のアルキニル基、置換又は無置換のアリール基を表し、置換基としては前記の置換基Tが適用できる。R420として、好ましくは置換又は無置換のアルキル基であり、より好ましくは炭素数5〜20の置換又は無置換のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数5〜12の置換又は無置換のアルキル基(n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n-ドデシル基、ベンジル基、などが挙げられる。)であり、特に好ましくは、炭素数6〜12の置換又は無置換のアルキル基(2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、ベンジル基)である。
一般式(4)であらわされる化合物は特開平11−12219号公報記載の公知の方法により合成できる。
以下に一般式(4)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2006308954
Figure 2006308954
また本発明に用いられる波長分散調整剤の1つであるシアノ基を含む化合物としては一般式(5)で示されるものが好ましく用いられる。
一般式(5):
Figure 2006308954
式中、Q51及びQ52は、それぞれ独立に芳香族環を表す。X51及びX52は水素原子又は置換基を表し、少なくともどちらか1つはシアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環を表す。Q51及びQ52で表される芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
芳香族炭化水素環として、好ましくは炭素数6〜30の単環又は二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環など)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。更に好ましくはベンゼン環である。
芳香族ヘテロ環として、好ましくは窒素原子又は硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
51及びQ52であらわされる芳香族環として、好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくはベンゼン環である。Q51及びQ52は更に置換基を有してもよく、前記の置換基Tが好ましい。
51及びX52は、水素原子又は置換基を表し、少なくともどちらか1つは、シアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環を表す。X51及びX52で表される置換基は、前記の置換基Tを適用することができる。また、X51及びX52はで表される置換基は更に他の置換基によって置換されてもよく、X51及びX52は、それぞれが縮環して環構造を形成してもよい。
51及びX52として、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは、シアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、更に好ましくはシアノ基、カルボニル基であり、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカルボニル基{−C(=O)OR51(R51は、炭素数1〜20アルキル基、炭素数6〜12のアリール基及びこれらを組み合せたもの)}である。
一般式(5)として、好ましくは下記一般式(5−1)で表される化合物である。
一般式(5−1):
Figure 2006308954
式中、R511、R512、R513、R514、R515、R516、R517、R518、R519及びR520は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、置換基としては前記の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。X511及びX512は、それぞれ前記一般式(5)におけるX51及びX52と同義である。
511、R512、R514、R515、R516、R517、R519及びR520として好ましくは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
513及びR518として、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12アルコキシ基であり、特に好ましくは水素原子である。
一般式(5)として、より好ましくは下記一般式(5−2)で表される化合物である。
一般式(5−2):
Figure 2006308954
式中、R513及びR518は一般式(5−1)におけるそれらと同義であり、また、好ましい範囲も同様である。X513は水素原子又は置換基を表し、置換基としては、前記の置換
基Tが適用でき、また、可能な場合は更に他の置換基で置換されてもよい。
513として、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは、シアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、更に好ましくはシアノ基、カルボニル基であり、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカルボニル基{−C(=O)OR52(R52は、炭素数1〜20アルキル基、炭素数6〜12のアリール基及びこれらを組み合せたもの)}である。
一般式(5)として、更に好ましくは一般式(5−3)で表される化合物である。
一般式(5−3):
Figure 2006308954
式中、R513及びR518は、一般式(5−1)におけるそれらと同義であり、また、好ましい範囲も同様である。R52は炭素数1〜20のアルキル基を表す。R52として、好ましくは、R513及びR518が両方水素の場合には、炭素数2〜12のアルキル基であり、より好ましくは炭素数4〜12のアルキル基であり、更に好ましくは、炭素数6〜12のアルキル基であり、特に好ましくは、n−オクチル基、t−オクチル基、2−エチルへキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基であり、最も好ましくは2−エチルへキシル基である。
52として、好ましくはR513及びR518が水素以外の場合には、一般式(5−3)で表される化合物の分子量が300以上になり、且つ炭素数20以下の炭素数のアルキル基が好ましい。
本発明において、一般式(5)で表される化合物は、“J.Am.Chem.Soc.”,63巻、3452頁(1941年)記載の方法によって合成できる。
以下に一般式(5)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2006308954
Figure 2006308954
Figure 2006308954
本発明のセルロースアシレートフィルムは、膜厚が10〜120μmであることが望ましい。20〜110μmがより好ましく、30〜100μmがさらに好ましい。この範囲であれば、フィルムが実用上必要な強度等を失わない範囲で、膜厚を薄くすることができ、位相差値、変動差を小さくするために有効である。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、透湿度が200(g/m2・24時間)以上1000(g/m2・24時間)以下であることが好ましい。より好ましくは300(g/m2・24時間)以上950(g/m2・24時間)以下であり、400(g/m2・24時間)以上900(g/m2・24時間)以下であることがさらに望ましい。この性能を満たせば、このセルロースアシレートフィルムを保護フィルムに用いることにより、高温多湿の環境下において偏光性能(偏光度、色相変化等)が低下せず、また、より接着が良好な偏光板を提供できる。透湿度は、JIS Z−0208をもとに、温度40℃、湿度90%RHの条件において測定した。
<セルロースアシレートフィルムの用途>
〔光学補償フィルム〕
本発明のセルロースアシレートフィルムは、様々な用途で用いることができ、特に液晶表示装置の光学補償フィルムに用いると効果がある。なお、光学補償フィルムとは、一般に液晶表示装置に用いられ、位相差を補償する光学材料のことを指し、位相差板、光学補償シートなどと同義である。光学補償フィルムは複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。
本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、前述のとおりRe及びRthが0≦Re630≦10nmで且つ|Rth630|≦25nmと光学異方性が小さく、|Re400−Re700|≦10で且つ|Rth400−Rth700|≦35と波長分散が小さいことが好ましく、このことによって必要以上の異方性が生じないため、複屈折を持つ光学異方性層を併用するときには、該光学異方性層の光学性能のみの発現を可能にすることができる。従って、このような本発明のセルロースアシレートフィルムを液晶表示装置の光学補償フィルムに用いる場合、併用する光学異方性層のRe及びRthは、Re630=0〜200nmで且つ|Rth630|=0〜400nmであることが好ましく、この範囲であればどのような光学異方性層でもよい。
本発明のセルロースアシレートフィルムが使用される、液晶表示装置の液晶セルの光学性能や駆動方式は特に制限されず、光学補償フィルムとして要求される、どのような光学異方性層も併用することができる。併用される光学異方性層としては、液晶性化合物を含有する組成物から形成してもよいし、複屈折を持つポリマーフィルムから形成してもよい。
[液晶性化合物を含有してなる光学異方性層]
光学異方性層として液晶性化合物を含有してなる光学異方性層を用いる場合、液晶性化合物としては、ディスコティック液晶性化合物又は棒状液晶性化合物が好ましい。
(ディスコティック液晶性化合物)
本発明に使用可能なディスコティック液晶性化合物の例には、様々な文献[C.Destradeらの“Mol.Crysr.Liq.Cryst.”,71巻,p.111(1981年);日本化学会編「季刊化学総説」第22号「液晶の化学」第5章、第10章第2節(1994年);B.Kohneらの“Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.”,p.1794(1985年);J.Zhangらの“J.Am.Chem.Soc.”,116巻,p.2655(1994年)]に記載の化合物が含まれる。
光学異方性層において、ディスコティック液晶性化合物の分子は、配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。ディスコティック液晶性化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載がある。ディスコティック液晶性化合物を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。重合性基を有するディスコティック液晶性化合物について、特開2001−4387号公報に開示されている。
(棒状液晶性化合物)
本発明において、使用可能な棒状液晶性化合物の例には、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサン
カルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が含まれる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。
光学異方性層において、棒状液晶性化合物の分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。本発明に使用可能な重合性棒状液晶性化合物の例には、“Makromol.Chem.”,190巻、2255頁(1989年)、“Advanced Materials”,5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、同第5622648号明細書、同第5770107号明細書、国際公開第95/22586号パンフレット、同第95/24455号パンフレット、同第97/00600号パンフレット、同第98/23580号パンフレット、同第98/52905号パンフレット、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、及び特開2001−328973号公報などに記載の化合物が含まれる。
[ポリマーフィルムからなる光学異方性層]
前記した様に、本発明における光学異方性層は、ポリマーフィルムから形成してもよい。ポリマーフィルムは、光学異方性を発現し得るポリマーから形成する。そのようなポリマーの例には、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマーなど)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル及びセルロースエステル(例えば、セルローストリアセーテート、セルロースジアセテートなど)が含まれる。また、これらのポリマーの共重合体又はポリマー混合物を用いてもよい。
ポリマーフィルムの光学異方性は、延伸により得ることが好ましい。延伸は一軸延伸又は二軸延伸であることが好ましい。具体的には、2つ以上のロールの周速差を利用した縦一軸延伸、又はポリマーフィルムの両サイドを掴んで幅方向に延伸するテンター延伸、これらを組み合わせての二軸延伸が好ましい。なお、2枚以上のポリマーフィルムを用いて、2枚以上のフィルム全体の光学的性質が前記の条件を満足してもよい。ポリマーフィルムは、複屈折のムラを少なくするためにソルベントキャスト法により製造することが好ましい。ポリマーフィルムの厚さは、20〜500μmであることが好ましく、40〜100μmであることが最も好ましい。
また、光学異方性層を形成するポリマーフィルムとして、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドポリエステルイミド、及びポリアリールエーテルケトン、からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマー材料を用い、これを溶媒に溶解した溶液を基材に塗布し、溶媒を乾燥させてフィルム化する方法も好ましく用いることができる。この際、これらのポリマーフィルムと基材とを延伸して光学異方性を発現させて光学異方性層として用いる手法も好ましく用いることができ、本発明のセルロースアシレートフィルムは、この場合の基材として好ましく用いることができる。また、これらポリマーフィルムを別の基材の上で作製しておき、ポリマーフィルムを基材から剥離させたのちに本発明のセルロースアシレートフィルムと貼合して、あわせて光学異方性層として用いることも好ましい。この手法ではポリマーフィルムの厚さを薄くすることができ、50μm以下であることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましい。
〔偏光板〕
次ぎに、本発明のセルロースアシレートフィルムの偏光板への用途について説明する。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、特に偏光板保護フィルム用として有用であ
る。偏光板保護フィルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られたセルロースアシレートフィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の両面に、完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液などを用いて貼り合わせる方法がある。またアルカリ処理の代わりに、特開平6−94915号公報、特開平6−118232号公報などに記載されているような易接着加工を施してもよい。
保護フィルム処理面と偏光膜を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
(保護フィルムと偏光膜の密着性の評価)
保護フィルム処理面と偏光膜との貼り合わせについては、十分な密着性が要求される。本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、偏光膜と貼り合わせた後に、接着剤成分を十分に乾燥した後、50回繰り返し保護フィルムを剥がす作業を繰り返して、50回繰り返しても剥がれなし(○)、30回以上50回未満で剥がれあり(△)、30回未満で剥がれあり(×)の三段階で密着性を評価した。
偏光板は、偏光膜及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは、偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶セルへ貼合する面の反対面側に用いられる。またセパレートフィルムは、液晶セルへ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶セルへ貼合する面側に用いられる。
液晶表示装置には、通常、2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、本発明のセルロースアシレートフィルムを適用した偏光板保護フィルムは、どの部位に配置しても優れた表示性が得られる。液晶表示装置の表示側最表面の偏光板保護フィルムには、透明ハードコート層、防眩層、反射防止層等が一般的に設けられるが、その場合においても該偏光板保護フィルムをこの部分に用いることができる。
上記のようにして得た偏光板としては、その2枚を互いの吸収軸が直交するように、液晶セルなどに用いられるガラス基板の両面に貼り付けた場合において、法線方向から入射する光の透過率(正面透過率)と、吸収軸に対し45°の方向に50°の傾斜角度で入射する光の透過率(50°傾斜方向透過率)との差が1.0以下であることが好ましい。この透過率の差が1.0以下であると、斜め方向からの光漏れが少なく偏光板の性能が良好で、視野角特性が良好な液晶表示装置を提供できる。
ここで、このような透過率の差は、ガラス基板の両面に、2枚の偏光板を互いの吸収軸が直交するよう貼り付けた後、その吸収軸を方位角の0°としその45°の方向に基板法線を極角0°とした際の、極角50°の傾斜角度で入射する光と、法線方向から入射する光について、透過率測定装置“MCPD3000”{大塚電子(株)製}等の公知の測定装置を用いることで求めることができる。なお、吸収軸に対し45°の方向としたのは、吸収軸と同一の方向に傾斜角度50°で光を入射させた場合における透過率の差に比べ、吸収軸に対し45°の方向に傾斜角度50°で光を入射させた場合における透過率の差が大きいためである。そして、後者の場合における透過率の差が1.0以下であると、上述したとおり、良好な偏光性能が得られる。
なお上記では、本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光膜の両面に貼着した場合
について説明したが、これに限定するものではなく、片面のみに貼着するようにしてもよい。それは片面であっても視野角特性の改善効果が得られるからであり、またその場合他面には低コストの保護フィルムを設ければ、安価な偏光板の提供が可能となるからである。このように本発明のセルロースアシレートフィルムを片面のみに用いる場合には、本発明のセルロースアシレートフィルムを液晶セル側に配置するのが好ましい。
〔液晶表示装置〕
[一般的な液晶表示装置の構成]
次ぎに、本発明のセルロースアシレートフィルムを部材として用いた液晶表示装置について説明する。
前述のとおり、本発明のセルロースアシレートフィルムは偏光板保護フィルムとして好適に用いられる。このようにして得られた偏光板を液晶表示装置に用いる場合、液晶表示装置は、2枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、及びその両側に配置された2枚の偏光板を配置し、好適には該液晶セルと該偏光板との間に少なくとも1枚の光学補償フィルムを配置した構成を有している。
また、本発明のセルロースアシレートフィルムを含有する光学補償フィルムを用いる場合は、上記の液晶表示装置の構成において、液晶セルと偏光板との間に配置した少なくとも1枚の光学補償フィルムとして用いても良いし、光学異方性層として液晶層やポリマー層を設けていない側を偏光膜と直接貼りあわせて、光学補償フィルムかつ偏光板保護フィルムとする、一体型として用いても良い。この際、偏光膜の透過軸と、光学補償フィルムの遅相軸とをどのような角度で配置しても構わない。
液晶セルの液晶層は、通常は、2枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、さらにガスバリアー層、ハードコート層又は(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、一般に50μm〜2mmの厚さを有する。
[液晶表示装置の種類]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、及びHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような、様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明のセルロースアシレートフィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
(TN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体又は偏光板の保護フィルムとして用いてもよい。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置については、古くからよく知られている。TN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開平3−9325号、特開平6−148429号、特開平8−50206号、特開平9−26572号の各公報に記載が
ある。また、モリ(Mori)他の論文(“Jpn.J.Appl.Phys.”,36巻(1997年)p.143及びp.1068)に記載がある。
(STN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体又は偏光板の保護フィルムとして用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性化合物の分子が90〜360゜の範囲にねじられており、棒状液晶性化合物の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積(Δn・d)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開2000−105316号公報に記載がある。
(VA型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体又は偏光板の保護フィルムとして好ましく用いることができる。VA型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムのレターデーション値Reを0〜150nmとし、レターデーション値Rthを70〜400nmとすることが好ましい。レターデーション値Reは、20〜70nmであることが更に好ましい。VA型液晶表示装置に2枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのレターデーション値Reは70〜250nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置に一枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのレターデーション値Rthは150〜400nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置は、例えば特開平10−123576号公報に記載されているような配向分割された方式であっても構わない。
(IPS型液晶表示装置及びECB型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、IPSモード及びECBモードの液晶セルを有する、IPS型液晶表示装置及びECB型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体、又は偏光板の保護フィルムとしても特に有利に用いられる。これらのモードは、黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、電圧無印加状態で、液晶分子を基板面に対して平行配向させて黒表示する。これらの態様において、本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板は、色味の改善、視野角拡大、コントラストの良化に寄与する。この態様においては、液晶セルの上下の前記偏光板の保護フィルムのうち、液晶セルと偏光板との間に配置された保護フィルム(セル側の保護フィルム)に、本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板を、少なくとも液晶セルの片側に用いることが好ましい。更に好ましくは、偏光板の保護フィルムと液晶セルの間に光学異方性層を配置し、配置された光学異方性層のリターデーションの値を、液晶層のΔn・dの値の2倍以下に設定するのが好ましい。
(OCB型液晶表示装置及びHAN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置又はHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体又は偏光板の保護フィルムとしても有利に用いられる。OCB型液晶表示装置又はHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムには、レターデーションの絶対値が最小となるような方向が、光学補償フィルムの正面方向にも法線方向にも存在しないことが好ましい。OCB型液晶表示装置又はHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムの光学的性質も、光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質及び光学的異方性層と支持体との配置により決定される。OCB型液晶表示装置又はHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開平9−197397号公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文{“Jpn.J.Appl.Phys.”,38巻(1999年)p.2837}に記載がある。
(反射型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest−Host)型の反射型液晶表示装置の光学補償フィルム又は偏光板の保護フィルムにも有利に用いられる。これらの表示モードは古くからよく知られている。TN型反射型液晶表示装置については、特開平10−123478号公報、国際公開第98/48320号パンフレット、特許第3022477号公報に記載がある。反射型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、国際公開第00/65384号パンフレットに記載がある。
(その他の液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)モードの液晶セルを有する、ASM型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体又は偏光板の保護フィルムとしても有利に用いられる。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)らの論文{“SID 98 Digest 1089”,(1998年)}に記載がある。
〔ハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルム〕
本発明のセルロースアシレートフィルムは、またハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルムへの適用が好ましく実施できる。LCD、PDP、CRT、EL等のフラットパネルディスプレイの視認性を向上する目的で、本発明のセルロースアシレートフィルムの片面又は両面にハードコート層、防眩層、反射防止層の何れか又はそれらの全てを付与することができる。このような防眩フィルム、反射防止フィルムとしての望ましい実施態様は、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)54頁〜57頁に詳細に記載されており、本発明のセルロースアシレートフィルムを好ましく用いることができる。また前記した偏光板の表面にハードコート層、防眩層、反射防止層の少なくともいずれかを付与してこれらの機能性偏光板とすることもでき、該機能性偏光板は液晶表示装置に好適に用いることが出来る。
以下に本発明の実施例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
<セルロースアシレートフィルムの作製>
実施例1−1
[セルロースアシレート原液(CAL−1)の調製]
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート原液を調製した。なおセルロースアシレートとしては、アシル化度(Ac:OH=2.96:0.04)であるものを用いた。ここで、カッコ内のAcはアセチル置換基、OHは置換されていない水酸基を表し、比率はアシル化度の比率である。
{セルロースアシレート原液(CAL−1)組成}
セルロースアシレート(アシル化度Ac=2.96) 100.0質量部
メチレンクロリド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
[マット剤溶液(ML−1)の調製]
平均粒径16nmのシリカ粒子{“AEROSIL R972”、日本アエロジル(株)製}を20質量部及びメタノール80質量部を、30分間よく攪拌混合してシリカ粒子
分散液とした。この分散液を下記の組成物とともに分散機に投入し、さらに30分以上攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液(ML−1)を調製した。
{マット剤溶液(ML−1)組成}
シリカ粒子(平均粒径16nm)の分散液 10.0質量部
メチレンクロリド(第1溶媒) 76.3質量部
メタノール(第2溶媒) 3.4質量部
セルロースアセテート原液(CAL−1) 10.3質量部
[添加剤溶液(AD−1)の調製]
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液(AD−1)を調製した。
{添加剤溶液(AD−1)組成}
Rth低下剤(化合物119) 66.3質量部
波長分散調整剤(化合物UV−102) 4.5質量部
メチレンクロリド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアシレート原液(CAL−1) 12.8質量部
[セルロースアシレートフィルム試料(001)の作製]
前記のセルロースアシレート原液(CAL−1)を94.6質量部、マット剤溶液を1.3質量部及び添加剤溶液(AD−1)4.1質量部を、それぞれ濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。この組成で、Rth低下剤(119)及び波長分散調整剤(UV−102)のセルロースアシレートに対する質量比は、それぞれ12質量%、0.8質量%であった。残留溶媒量30質量%でフィルムをバンドから剥離し、145℃で20分間乾燥し、セルロースアシレートフィルム試料(001)を作製した。乾燥工程全体において、搬送方向へ余分な力がかからないよう、力の大きさを120N/mとなるようにロールとロール間のテンションを調整することで、レターデーションReの発生を抑え、でき上がったセルロースアシレートフィルム(001)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
実施例1−2
[セルロースアシレートフィルム試料(002)の作製]
上記実施例1−1のセルロースアシレートフィルム試料(001)の作製において、バンドから剥離後の乾燥温度を130℃にした以外は同様にしてセルロースアシレートフィルム(002)を作製した。
実施例1−3
[添加剤溶液(AD−2)の調製]
添加剤溶液(AD−1)の調製において、添加剤溶液を下記の組成とする以外は同様にして添加剤溶液(AD−2)を調製した。
{添加剤溶液(AD−2)組成}
エチルフタリルエチルグリコレート(EPEG) 66.4質量部
メチレンクロリド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアセテート原液(CAL−1) 12.8質量部
[セルロースアシレートフィルム試料(003)の作製]
上記実施例1−1のセルロースアシレートフィルム試料(001)の作製において、添加剤溶液(AD−1)を用いる代わりに添加剤溶液(AD−2)を用いる以外はセルロースアシレートフィルム試料(001)の作製と同様にして、セルロースアシレートフィルム試料(003)を作製した。EPEGのセルロースアシレートに対する質量比は、12%であった。でき上がったセルロースアシレートフィルム(002)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
実施例1−4
[セルロースアシレートフィルム試料(004)の作製]
上記実施例1−3のセルロースアシレートフィルム試料(003)の作製において、膜厚を40μmと薄くし、乾燥温度を130℃にした以外はセルロースアシレートフィルム試料(003)の作製と同様にして、セルロースアシレートフィルム試料(004)を作製した。
実施例1−5
[セルロースアシレート原液(CAL−2)の調製]
上記実施例1−1におけるセルロースアシレート原液(CAL−1)の調製において、アシル化度(Ac:OH=2.96:0.04)のセルロースアシレートを用いる代わりに、アシル化度2.87(Ac:Pro:OH=2.08:0.79:0.13)のセルロースアシレートを用いる以外は同様にして、セルロースアシレート原液(CAL−2)を調製した。
[マット剤溶液(ML−2)の調製]
マット剤溶液(ML−1)の調製において、セルロースアシレート原液(CAL−1)を用いる代わりに、セルロースアシレート原液(CAL−2)を用いる以外は同様にして、マット剤溶液(ML−2)を調製した。
[添加剤溶液(AD−3)の調製]
添加剤溶液(AD−2)の調製において、セルロースアセテート原液(CAL−1)を用いる代わりに、セルロースアセテート原液(CAL−2)を用いる以外は同様にして添加剤溶液(AD−3)を調製した。
[セルロースアシレートフィルム試料(005)の作製]
上記実施例1−4のセルロースアシレートフィルム試料(004)の作製において、セルロースアセテート原液(CAL−1)を用いる代わりに、セルロースアセテート原液(CAL−2)を用い、マット剤溶液(ML−1)を用いる代わりに、マット剤溶液(ML−2)を用い、添加剤溶液(AD−2)を用いる代わりに添加剤溶液(AD−3)を用いる以外はセルロースアシレートフィルム試料(004)の作製と同様にして、セルロースアシレートフィルム試料(005)を作製した。でき上がったセルロースアシレートフィルム(005)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は40μmであった。
比較例1−1
[セルロースアシレートフィルム試料(101)の作製]
前記実施例1−2のセルロースアシレートフィルム試料(002)の作製において、乾燥工程全体において、搬送方向への力が320N/mとなるようにロールとロール間のテンションを調整する以外はセルロースアシレートフィルム試料(002)の作製と同様にして、セルロースアシレートフィルム試料(101)を作製した。でき上がったセルロー
スアシレートフィルム(101)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
比較例1−2
[セルロースアシレートフィルム試料(102)の作製]
上記実施例1−3のセルロースアシレートフィルム試料(003)の作製において、バンドから剥離後の乾燥温度を115℃にした以外は同様にしてセルロースアシレートフィルム試料(102)を作製した。
比較例1−3
セルロースアシレートフィルムの比較試料として、セルロースアセテートフィルム「フジタックTD80UL」{富士写真フイルム(株)製}を比較試料(103)として用意した。
比較例1−4
環状オレフィン系樹脂(ARTON、JSR社製)25質量部をキシレン:シクロヘキサン:トルエン(質量混合比1:1:1)の混合溶媒75質量部に溶解して流延溶液とし、残留溶媒量30質量%でフィルムをバンドから剥離し、130℃で20分間乾燥し、比較試料(104)を作製した。乾燥工程全体において、搬送方向へ余分な力がかからないよう、力の大きさを120N/mとなるようにロールとロール間のテンションを調整することで、レターデーションReの発生を抑えた。でき上がった資料(104)の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
上記により作製した本発明のセルロースアシレートフィルム試料(001)〜(004)及び比較試料(101)〜(104)について、各試料の組成を表1に、フィルムの製法及びフィルム単体の物性を表2に、フィルムをその遅相軸を直行させて2枚重ねたときの物性を表3にまとめた。
Figure 2006308954
Figure 2006308954
Figure 2006308954
<偏光板の作製>
作製したセルロースアシレートフィルム試料を偏光板の保護フィルムとして用いて偏光板を作製した。このときセルロースアシレートフィルムを表面処理した後に接着剤を用いて偏光膜との接着を行った。
実施例11−1
[アルカリ鹸化処理]
前記実施例1−1で作製したセルロースアシレートフィルム試料(001)を、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で2分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、セルロースアシレートフィルム試料(001)の表面を鹸化処理した。
[偏光膜の作製]
厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムを、ヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して厚さ20μmの偏光膜を得た。
[偏光板の作製]
ポリビニルアルコール“PVA−117H”{(株)クラレ製}3質量%水溶液を接着剤として、上記の鹸化処理したセルロースアシレートフィルム試料(001)を2枚、偏光膜を間に挟んで貼り合わせ、両面がフィルム試料(001)によって保護された偏光板(P−1)を得た。この際、両側のフィルム試料(001)の鹸化面を偏光膜側にし、またフィルム試料(001)の遅相軸が偏光膜の吸収軸と平行になるように貼り付けた。
実施例11−2〜11−5及び比較例11−1〜11−4
実施例11−1において、セルロースアシレートフィルム試料(001)を用いる代わりに、前記のセルロースアシレートフィルム試料(002)、(003)、(004)、(005)、(101)、(102)、(103)および(104)を用い、以下、上記偏光板(P−1)と同様にして、偏光板(P−2)、(P−3)、(P−4)、(P−5)、(PR−1)、(PR−2)、(PR−3)及び(PR−4)を作製した。
上記により作製した偏光板(P−1)〜(P−5)及び(PR−1)〜(PR−4)の性能を表4に示す。
Figure 2006308954
(保護フィルムと偏光膜の密着性の評価)
保護フィルム処理面と偏光膜との貼り合わせについては、十分な密着性が要求される。本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、偏光膜と貼り合わせた後に、接着剤成分を十分に乾燥した後、50回繰り返し保護フィルムを剥がす作業を繰り返して、50回繰り返しても剥がれなし(○)、30回以上50回未満で剥がれあり(△)、30回未満で剥がれあり(×)の三段階で密着性を評価した。
表4に示したように、セルロースアシレートフィルムからなる本発明の実施例11−1〜11−5および比較例11−1〜11−3の試料においては、保護フィルム処理面と偏光膜との貼り合わせ密着性は問題ない性能であった。一方、環状オレフィン系樹脂からなる比較試料11−4においては、表面の疎水性が問題で、貼り合わせ密着性が悪く貼合できなかった。比較試料11−4の貼り合わせは不十分だが、保護フィルムと偏光膜を重ね合わせた状態を保ちつつ、透過率の測定、色味変化の測定を行った。
(光漏れの評価)
上記で作製した偏光板(P−1)〜(P−5)及び(PR−1)〜(PR−4)をそれぞれ2枚用意し、クロスニコルで重ね合わせ、二枚の偏光板の裏側にバックライトを置き、表側を視認側として法線方向から入射する光の透過率(正面透過率)と、吸収軸に対し45°の方向に50°の傾斜角度で入射する光の透過率(50°傾斜方向透過率)とを測定し、光漏れを評価した。
(色味変化の評価)
上記の光漏れ評価の際に、平面の垂線から極角斜め45°傾けた方向から目視観察し、色味変化(黄色味)が見られない(○)、やや色見変化が認められる(△)、明らかに色味変化がある(×)として評価した。
本発明のセルロースアシレートフィルム試料(001)〜(005)は、いずれも2枚用いて直交させた場合、45°傾斜方向についての全方位における位相差値変動差が1.5nm以下で、且つ全方位における位相差値が15nm以下であり、また傾斜方向を変えた際の変化率が0.5以下であり、比較試料(101)〜(103)に比べ、クロスニコル状態での50°傾斜方向透過率と正面透過率との差が小さく、傾斜方向からの光漏れも小さく、また色味変化も小さくなっていることが分かった。
本発明のセルロースアシレートフィルム試料(001)〜(005)は、いずれもフィルム単体での光学性能が0≦Re≦10(nm)で且つ|Rth|≦25(nm)の範囲であり、|Re400−Re700|≦10(nm)で且つ|Rth400−Rth700|≦35(nm)の範囲であるため、液晶表示装置に使用した場合、傾斜した方向からの光漏れを低減するのにより有利であり、斜め方向からの色味変化が目視で見られなかった。なお、色味変化については、以下の実施例21及び比較例21にてパネル実装した各試料の黒表示時の斜め45°からの色味変化を確認した。
以上より、本発明のフィルム試料(001)〜(005)を用いることにより、斜め方向の視野角特性に優れ、色味変化の小さい偏光板を提供できることが分かった。
<液晶表示装置>
〔液晶表示装置へのセルロースアシレートフィルムの実装評価〕
本発明のセルロースアシレートフィルムを部材として用い、次のように液晶表示装置に実装して評価した。本実施例の実装形態は本発明のセルロースアシレートフィルムの用途として有効な形態の例であり、これら実施形態に限定されない。
実施例21及び比較例21
〔IPSモードの液晶表示装置〕
図1に示す構成のIPSモードの液晶表示装置を作製した。
具体的には、1対の基板16及び18の間に、液晶性化合物の分子17を封入して作製した液晶セルを、1対の偏光膜11a及び11bの間に配置した。液晶セルと下側偏光膜11bとの間に、本発明のセルロースアシレートフィルム19を配置し、液晶セルと上側偏光膜11aとの間に、第一光学補償フィルム15及び第二光学補償フィルム13を配置した。なお、偏光膜の透過軸12a、12bと、第一光学補償フィルムの遅相軸15aとの関係は、各々の実施例の説明中に記載する。また図1中、各部材は便宜上、独立の部材として描かれているが、これらの各部材は他の部材と一体化された後、例えばセルロースアシレートフィルム19は保護フィルムとして偏光膜11bと一体化された後、装置中に組み込まれる場合もある。
以下、各部材の作製方法について詳細に説明する。
[IPSモード液晶セルの作製]
1枚のガラス基板上に、隣接する電極間の距離が20μmとなるように電極を配設し、その上にポリイミド膜を配向膜として設け、ラビング処理を行った。別に用意した1枚のガラス基板の一方の表面にポリイミド膜を設け、ラビング処理を行って配向膜とした。これら2枚のガラス基板を、配向膜同士を対向させて、基板の間隔(ギャップ;d)を3.9μmとし、2枚のガラス基板のラビング方向が平行となるようにして重ねて貼り合わせ、次いで屈折率異方性(Δn)が0.0769及び誘電率異方性(Δε)が正の4.5であるネマチック液晶組成物を封入した。液晶層のd・Δnの値は300nmであった。
[セルロースアシレートフィルム19、下側偏光板21bの作製]
本実施例では、セルロースアシレートフィルム19と下側偏光膜11bは、一体化して下側偏光板21b(特に図示せず)として用いた。すなわち下側偏光板21bとしては、下側偏光膜11bを実施例1のセルロースアシレートフィルム試料(001)2枚で間に挟むように貼り合わせて作製した偏光板(P−1)又は、比較例試料(103)を用いて同様に作製した偏光板(PR−3)を用いた。
[第二光学補償フィルム13の作製]
「フジタックTD80UF」{富士写真フイルム(株)製}を、150℃で15%縦一軸延伸することにより、光学補償フィルム13を作製した。このフィルムの光学特性は、Re=5nm、Rth=70nmであった。
[第一光学補償フィルム15の作製]
(配向膜の形成)
上記で作製した第二光学補償フィルムの表面を鹸化処理後、このフィルム上に、下記の組成の配向膜塗布液をワイヤーバーコーターで20mL/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥し、膜を形成した。次に形成した膜に、フィルムの遅相軸方向と平行方向にラビング処理を施して配向膜を形成した。
(配向膜塗布液の組成)
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
テトラメチルアンモニウムフルオリド 0.3質量部
Figure 2006308954
(光学異方性層の形成)
次に、得られた配向膜上に、下記のディスコティック液晶性化合物1.8g、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート“V#360”{大阪有機化学(株)製}0.2g、光重合開始剤「イルガキュア907」(チバガイギー社製)0.06g、増感剤「カヤキュアーDETX」{日本化薬(株)製}0.02g、及び下記のフッ素系ポリマー(空気界面側垂直配向剤)0.01gを、3.9gのメチルエチルケトンに溶解して得た溶液を、#5のワイヤーバーで塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、125℃の恒温槽中で3分間加熱し、ディスコティック液晶化合物を配向させた。次に、100℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、30秒間UV照射しディスコティック液晶化合物を架橋した。その後、室温まで放冷して光学異方性層を形成した。このようにして、第二光学補償フィルム上に、第一光学補償フィルムが形成された位相差膜を製作した。
Figure 2006308954
Figure 2006308954
上記で作製した位相差膜のReの光入射角度依存性を測定し、予め測定した第二光学補償フィルムの寄与分を差し引くことによって、ディスコティック液晶光学異方性層(第一光学補償フィルム)のみの光学特性を算出したところ、Reが110nm、Rthが−55nm、液晶の平均傾斜角は89.9°であり、ディスコティック液晶がフィルム面に対して垂直に配向していることが確認できた。なお遅相軸の方向は配向膜のラビング方向と平行であった。
[上側偏光板21aの作製]
次に、延伸したポリビニルアルコールフィルムに、ヨウ素を吸着させて上側偏光膜11aを作製した。この偏光膜の一方の表面に、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、セルロースアセテートフィルム「フジタックTD80UF」{富士写真フイルム(株)製}を貼り付けた。その後、偏光膜11aの他方の表面に、第二光学補償フィルム13が偏光膜11a側になるように、位相差膜を貼り合わせて、光学異方性層と一体化した上側偏光
板21a(特に図示せず)を作製した。
[液晶表示装置の作製]
さらに、第一光学補償フィルム側が液晶セル側になるように、上側偏光板21aに上記作製したIPSモードセルを貼り合わせた。ここで、第一光学補償フィルム15及びIPSモードセルの液晶層の2つの遅相軸は、偏光膜11aの透過軸12aと平行にした。次に、前記で作製した下側偏光板21bを、その下側偏光膜11bの透過軸12bが、上側偏光膜11aの透過軸12aと直交するように張り合わせ、液晶表示装置を作製した。
[作製した液晶表示装置の光漏れの測定]
このように作製した液晶表示装置において、黒表示時の左斜め方向60°から観察した際の光漏れを測定した。本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた場合は比較例に対していずれも光漏れが極わずかで、本発明のセルロースアシレートフィルムが液晶表示装置のコントラスト(光漏れが少ない)、色味表示の視野角特性に優れていることがわかった。
<光学補償フィルムの作製>
実施例31
本発明のセルロースアシレートフィルム試料(001)を用いて、特開2003−315541号公報の実施例1に記載の方法に準じて、光学補償フィルム試料を作製した。
(光学異方性層の形成)
2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)と、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(TFMB)から合成された、質量平均分子量(Mw)7万、△nが約0.04のポリイミドを、溶媒にシクロヘキサノンを用いて25質量%に調整した溶液を作製し、この溶液を実施例1−1で作製した本発明のセルロースアシレートフィルム試料(001)(厚さ80μm)に塗布した。次いで100℃で10分熱処理後、160℃で15%縦一軸延伸することにより、光学異方性層として厚さ6μmのポリイミドフィルムが本発明のセルロースアシレートフィルム試料(001)上に形成された光学補償フィルムを得た。
この光学補償フィルムの光学特性は、Re=69nm、Rth=216nm、配向軸のズレ角度は±0.3゜以内の光学補償フィルムであった。
比較例31
上記のセルロースアシレートフィルム試料(001)の代わりに、比較試料(103)(厚さ80μm)を用いた以外は実施例31と同様の操作により、厚さ6μmのポリイミドフィルムが、比較試料(103)のセルロースアシレートフィルムに塗布された光学補償フィルムを得た。この光学補償フィルムの光学特性は、Re=75nm、Rth=266nmであった。
[VAモードの液晶表示装置への実装評価]
上記実施例31及び比較例31で得た光学補償フィルムの、ポリイミドフィルムを塗布していない側をアルカリ鹸化処理し、ポリビニルアルコール系接着剤で直接偏光膜と貼り合せた。この際、光学補償フィルムの遅相軸方向と、偏光膜の吸収軸が直交するように貼り合せた。これら光学補償フィルムが液晶セル側となるように、粘着剤でVA液晶パネルに貼り合わせた。なお、液晶セルの反対側には、偏光板の吸収軸同士が直交するように偏光板のみを粘着剤を介してVA液晶パネルに貼り合せた。
以上のようにして得られた液晶表示装置の視野角特性を測定した。方位角45゜方向に
おいて、黒表示時と白表示時のコントラスト比が20以下となる極角(パネルに対する垂線を極角0゜とし、斜め方向ほど極角が大きい)を求めた。本発明のセルロースアシレートフィルム試料(001)より得た光学補償フィルムの場合は、極角80゜までコントラスト20以上で優れた視野角を有するのに対し、比較試料(103)から得た光学補償フィルムの場合は極角30゜と視野角特性が悪かった。従って、本発明のセルロースアシレートフィルムが、VA用の位相差膜に用いる際にも優れたものであることがわかった。
実施例21及び比較例21、並びに実施例31及び比較例31の結果を表5にまとめた。
本発明のセルロースアシレートフィルム試料(001)は、比較試料(103)に比較して、IPSモードの液晶表示装置に用いると斜め方向からの色味変化を小さくすることができ黒表示時の光漏れが小さく有効である。またVAモードの液晶表示装置に用いると斜め方向からのコントラスト視野角特性を良化できることが分かった。
Figure 2006308954
図1は、本発明のセルロースアシレートフィルムを配置したIPSモードの液晶表示装置の模式図である。
符号の説明
11a:上側偏光膜
11b:下側偏光膜
12a:上側偏光膜の透過軸
12b:下側偏光膜の透過軸
13 :第二光学補償フィルム
15 :第一光学補償フィルム
15a:第一光学補償フィルムの遅相軸
16 :基板
17 :液晶性化合物の分子
18 :基板
19 :本発明のセルロースアシレートフィルム

Claims (14)

  1. セルロースアシレートフィルム2枚を、それぞれの最大屈折率方向が直交するように重ねて測定した、法線から45°傾斜方向で入射する光についての全方位における位相差値の変動差が、1.5nm以下であることを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
  2. 請求項1に記載のセルロースアシレートフィルムであって、前記全方位における位相差値が、15nm以下であることを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
  3. セルロースアシレートフィルム2枚を、それぞれの最大屈折率方向が直交するように重ねて、法線から所定の傾斜方向で入射する光についての全方位における位相差値を複数の傾斜方向について測定したとき、全方位における位相差値の平均を縦軸に、傾斜方向の角度を横軸にプロットして導出される直線の傾きとして求められる、入射角に対する平均全方位位相差値の変化率が0.5以下である請求項1又は2に記載のセルロースアシレートフィルム。
  4. セルロースアシレートフィルム単体でのReλ及びRthλが、下記数式(1)及び(2)を満たす請求項1〜3のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
    数式(1):0≦Re630≦10で且つ|Rth630|≦25
    数式(2):|Re400−Re700|≦10で且つ|Rth400−Rth700|≦35
    [式中、Reλは波長λnmにおけるセルロースアシレートフィルムの正面レターデーション値(単位:nm)、Rthλは波長λnmにおけるセルロースアシレートフィルムの膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
  5. アシル置換度が2.85〜3.00の範囲のセルロースアシレートを含有してなる請求項1〜4のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
  6. セルロースアシレートフィルムが、フィルム膜厚方向のレターデーションRthを低下させる化合物の少なくとも1種を、セルロースアシレートフィルム原料ポリマーに対して0.01〜30質量%含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
  7. セルロースアシレートフィルムが、その|Re400−Re700|及び|Rth400−Rth700|を低下させる化合物を少なくとも1種、セルロースアシレート固形分に対して0.01〜30質量%含む請求項1〜6のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
    [式中、Reλは波長λnmにおけるセルロースアシレートフィルムの正面レターデーション値(単位:nm)、Rthλは波長λnmにおけるセルロースアシレートフィルムの膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
  8. フィルムの膜厚が10〜120μmである請求項1〜7のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
  9. セルロースアシレート溶液を金属支持体上に流延後、剥離し、搬送しながら乾燥する工程を有する、請求項1〜8のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法であって、剥離後の乾燥工程において120〜150℃で該フィルムを乾燥することを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
  10. セルロースアシレート溶液を金属支持体上に流延後、剥離し、搬送しながら乾燥する工程を有する、請求項1〜8のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法
    であって、搬送時の該フィルムにかかるテンションが、50〜300N/mであることを特徴とセルロースアシレートフィルムの製造方法。
  11. セルロースアシレートフィルムの透湿度が200(g/m2・24時間)以上1000(g/m2・24時間)以下である請求項1〜8のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
  12. 請求項1〜8のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムに、Re630が0〜200nmの範囲であり、且つ|Rth630|が0〜400nmの範囲である光学異方性層を設けたことを特徴とする光学補償フィルム。
    [式中、Reλは波長λnmにおけるセルロースアシレートフィルムの正面レターデーション値(単位:nm)、Rthλは波長λnmにおけるセルロースアシレートフィルムの膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
  13. 請求項1〜8のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム、又は請求項12に記載の光学補償フィルムを少なくとも1枚、偏光膜の保護フィルムとして有することを特徴とする偏光板。
  14. 請求項1〜8のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム、請求項12に記載の光学補償フィルム、又は請求項13に記載の偏光板を有することを特徴とする液晶表示装置。
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WO2022050003A1 (ja) * 2020-09-07 2022-03-10 住友化学株式会社 光学積層体およびこれを含む楕円偏光板

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