JP2008217022A - 長尺状偏光板とその製造方法、および液晶表示装置 - Google Patents

長尺状偏光板とその製造方法、および液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】軸角度のぶれが小さく、偏光板性能(特に軸ズレ角度、光り漏れ)が向上した偏光板を提供し、温度や湿度という環境の変化が起きても光漏れや色味変化を起こさない、優れた液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】長手方向に平行な吸収軸を有する長尺状の偏光子と、長手方向に直交または平行である遅相軸を有し、フィルム面内のレターデーション値Reおよびフィルム膜厚方向のレターデーション値Rthが式(i)(ii)をみたす長尺状の透明フィルムとが、積層されている偏光板とする。このとき、吸収軸と遅相軸との直交または平行との軸ズレ角度が10度以内であるとよい。また、これらの偏光板を用いた液晶表示装置とする。
(i)0≦Re(630)≦20
(ii)|Rth(630)|≦25
【選択図】 なし

Description

本発明は、長尺状の偏光子と光学的異方性が小さい長尺状の透明フィルムとを積層して製造された偏光板とその製造方法、および該偏光板を用いた液晶表示装置に関する。
液晶表示装置(LCD)は、液晶セルおよび偏光板からなる。前記偏光板は保護フィルムおよび偏光子を有し、例えば、ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光子をヨウ素にて染色し、延伸を行い、その両面を保護フィルムにて積層して得られる。透過型液晶表示装置では、この偏光板を液晶セルの両側に取り付け、さらには一枚以上の光学補償フィルムを配置することもある。反射型液晶表示装置では、反射板、液晶セル、一枚以上の光学補償フィルム、偏光板の順に配置する。液晶セルは、液晶性分子、それを封入するための二枚の基板および液晶性分子に電圧を加えるための電極層からなる。液晶セルは、液晶性分子の配向状態の違いで、ON、OFF表示を行い、透過および反射型いずれにも適用できる、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、OCB(OpticallyCompensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(ElectricallyControlled Birefringence)のような表示モードが提案されている。
この様なLCDの中でも、高い表示品位が必要な用途については、正の誘電率異方性を有するネマチック液晶分子を用い、薄膜トタンジスタにより駆動する90度ねじれネマチック型液晶表示装置(以下、TNモードという)が主に用いられている。しかしながら、TNモードは正面から見た場合には優れた表示特性を有するものの、斜め方向から見た場合にコントラストが低下したり、階調表示で明るさが逆転する階調反転等が起こることにより表示特性が悪くなるという視野角特性を有しており、この改良が強く要望されている。
かかる問題を解決するため、横電界を液晶に対して印加する、いわゆるインプレーンスイッチング(IPS)モードによる液晶表示装置や、誘電率異方性が負の液晶を垂直配向してパネル内に形成した突起やスリット電極によって配向分割した垂直配向(VA)モードが提案され、実用化されている。近年、これらのパネルはモニター用途に留まらず、TV用途として開発が進められており、それに伴って画面の輝度が大きく向上してきている。このため、これらの動作モードで従来問題とされていなっかった、黒表示時の対角位斜め入射方向での僅かな光漏れが表示品質の低下の原因として顕在化してきた。
この色調や黒表示の視野角を改善する手段の一つとして、液晶層と偏光板の間に複屈折特性を有する光学補償材料を配置することがIPSモードにおいても検討されている。例えば、傾斜時の液晶層のレターデーションの増減を補償する作用を有する光軸を互いに直交した複屈折媒体を基板と偏光板との間に配置することで、白表示又は中間調表示を斜め方向から直視した場合の色付きが改善できることが開示されている(特許文献1参照)。また、負の固有複屈折を有するスチレン系ポリマーやディスコチック液晶性化合物からなる光学補償フィルムを使用した方法(特許文献2、3、4参照)が提案されている。しかし、提案された方式の多くは、液晶セル中の液晶の複屈折の異方性を打ち消して視野角を改善する方式であるために、直交偏光板を斜めから見た場合の偏光軸交差角度の直交からのズレに基づく光漏れを十分に解決できないという問題がある。また、この光漏れを補償できるとされる方式でも、液晶セルを問題なく完全に光学的に補償することは非常に難しい。なぜなら、ある波長において完全に光漏れを補償できたとしても、他の波長で補償できるとは限らないからである。たとえば、視感度が最も大きい緑の波長で光りぬけを補償したとしても、より小さな波長の青やより大きな波長の赤における光漏れは生じるという問題がある。この問題を解決するために、非特許文献1では2枚の2軸性フィルムを積層することを提案している。しかし、この方法には2枚の2軸性フィルムを用いるため、2軸フィルムの軸ずれが発生しやすく、画面むらが発生しやすいという問題があった。また黒表示時の光漏れは、液晶セルと偏光子との間にある偏光板保護膜として従来用いられてきたトリアセチルセルロースフィルムに面内のレターデーションReがおよそ5nm程度、膜厚方向のレターデーションRthがおよそ50nmあることも原因となっていた。そのため、面内のレターデーションRe、膜厚方向のレターデーションRthがともに小さい透明フィルムを開発し、偏光板の保護フィルムとして用いることが望まれている。さらに、この透明フィルムを軸ズレが小さい状態で偏光子と張り合わせた偏光板も望まれている。
また近年、液晶表示装置においては内部のバックライトで温度が上昇したり、高温高湿度の環境下にて用いられる場合があり、上記の偏光板保護膜であるトリアセチルセルロースフィルムが温度、湿度でそのRe、Rthが変化し、光学補償能が変わり、黒表示時に光が漏れる、または画像にムラが生じる、という問題があった。特にこのような場合、表示装置の縦横の長さが異なること、部材がもともと縦横で異なる物性を持つ場合があること、によって表示装置の枠の周囲から本来の黒表示時に光が漏れる現象や色味が変化する故障が問題となっていた。そのため、このような環境による光学補償機能の変化が少ない液晶表示装置が得られるフィルムの開発が要望されている。
特開平9−80424号公報 特開平10−54982号公報 特開平11−202323号公報 特開平9−292522号公報 Jpn. J. Appl.Phys.41.(2002)4553
本発明の第1の課題は、長尺状の偏光板の保護フィルムの面内のレターデーションRe、膜厚方向のレターデーションRthを低下させてほぼゼロとし、しかも偏光板加工した際の偏光板性能が良好な偏光板を提供することである。なお、ここで、長尺とは、長手方向の長さが5m以上であれば特に限定はなく、好ましくは100m以上、更に好ましくは1000m以上10000m以下であることが製造工程上好ましい。
本発明の第2の課題は、温度や湿度という環境の変化が起きても光漏れや色味変化を起こさない、優れた液晶表示装置を提供することである。
(1)長手方向に平行な吸収軸を有する長尺状の偏光子と、長手方向に直交または平行である遅相軸を有し、フィルム面内のレターデーション値Reおよびフィルム膜厚方向のレターデーション値Rthが式(i)(ii)をみたす長尺状の透明フィルムとが、積層されていることを特徴とする長尺状偏光板
(i)0≦Re(630)≦20
(ii)|Rth(630)|≦25
[式中、Re(λ)は波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
(2)前記偏光子の吸収軸と前記透明フィルムの遅相軸との直交または平行との軸ズレ角度が10度以内であることを特徴とする(1)に記載の長尺状偏光板。
(3)前記透明フィルムを形成するポリマー原料としてセルロースアシレートを含有することを特徴とする(1)または(2)に記載の長尺状偏光板。
(4)25℃60%RHにおける400〜700nmの単板透過率TT、平行透過率PT、直交透過率CT、偏光度Pが下記式(a)〜(d)の少なくとも1つ以上を満たすことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の長尺状偏光板。
(a)40.0≦TT≦45.0
(b)30.0≦PT≦40.0
(c)CT≦2.0
(d)95.0≦P
(5)波長λにおける直交透過率をT(λ)としたときに、T(380)、T(410)、T(700)が下記式(e)〜(g)の少なくとも1つ以上を満たすことを特徴とする(1)から(4)のいずれかに記載の長尺状偏光板。
(e)T(380)≦2.0
(f)T(410)≦1.0
(g)T(700)≦0.5
(6)60℃95%RHの条件下に500時間静置した場合の400〜700nmの直交透過率の変化量ΔCT、偏光度変化量ΔPが下記式(h)、(i)の少なくとも1つ以上を満たすことを特徴とする請求項(1)〜(5)のいずれかに記載の長尺状偏光板。
(h)−6.0≦ΔCT≦6.0
(i)−10.0≦ΔP≦0.0
(ただし、変化量とは試験後測定値から試験前測定値を差し引いた値を示す)
(7)60℃90%RHの条件下に500時間静置した場合の400〜700nmの直交透過率の変化量ΔCT、偏光度変化量ΔPが下記式(j)、(k)の少なくとも1つ以上を満たすことを特徴とする1)〜(6)のいずれかに記載の長尺状偏光板。
(j)−3.0≦ΔCT≦3.0
(k)−5.0≦ΔP≦0.0
(8)80℃の条件下に500時間静置した場合の400〜700nmの直交透過率の変化量ΔCT、偏光度変化量ΔPが下記式(l)、(m)の少なくとも1つ以上を満たすことを特徴とする請求項(1)〜(7)のいずれかに記載の長尺状偏光板。
(l)−3.0≦ΔCT≦3.0
(m)−2.0≦ΔP≦0.0
(9)(1)〜(8)のいずれかに記載の偏光板の透明フィルムに、下記式(iii)をみたす光学異方性層を設けて光学補償フィルム一体型としたことを特徴とする長尺状偏光板。
(iii)Re(630)=0〜200(nm)かつ|Rth(630)|=0〜400(nm)
(10)前記光学異方性層がディスコティック液晶性化合物を用いて形成されたことを特徴とする(9)に記載の長尺状偏光板。
(11)前記光学異方性層が棒状液晶性化合物を用いて形成されたことを特徴とする(9)または(10)に記載の長尺状偏光板。
(12)前記光学異方性層が複屈折を持つポリマーフィルムからなることを特徴とする(9)〜(11)のいずれかに記載の長尺状偏光板。
(13)前記光学異方性層を形成する前記ポリマーフィルムが、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドポリエステルイミド、およびポリアリールエーテルケトン、からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマー材料を含有することを特徴とする(12)に記載の長尺状偏光板。
(14)表面にハードコート層、防眩層、反射防止層の少なくとも一層を設けた(1)〜(13)のいずれかに記載の長尺状偏光板。
(15)(1)〜(14)のいずれかに記載の長尺状偏光板から切り出したことを特徴とする偏光板。
(16)(15)に記載の偏光板を用いた液晶表示装置。
(17)(16)において液晶表示装置がVAまたはIPS型であることを特徴とする液晶表示装置。
(18)長尺状の偏光子と、フィルム面内のレターデーション値Reおよびフィルム膜厚方向のレターデーション値Rthが式(i)(ii)を満たす長尺状の透明フィルムとをロールツーロールにより張り合わせることを特徴とする長尺状偏光板の製造方法。
(i)0≦Re(630)≦20
(ii)|Rth(630)|≦25
[式中、Re(λ)は波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
本発明の第1の効果は、偏光板の保護フィルムの面内のレターデーションRe、膜厚方向のレターデーションRthを低下させてほぼゼロとし、しかも長尺のロールをロールツーロールで張り合わせ偏光板とすることで、軸角度のぶれが小さく、偏光板性能(特に軸角度、光り漏れ)が向上した偏光板を提供できる。本発明の第2の効果は、上記の透明フィルムを用いた光学補償フィルム、偏光板を提供し、温度や湿度という環境の変化が起きても光漏れや色味変化を起こさない、優れた液晶表示装置を提供出来る。
偏光板は偏光子及びその両面を保護する透明フィルムから構成される。
以下に本発明の偏光板に用いる透明フィルム(以下、「本発明に関する透明フィルム」)の詳細を説明する。
[透明フィルムの作製方法]
以下に本発明に関する透明フィルムの作製方法について説明する。
[ソルベントキャスト法によるフィルム作製方法]
本発明に関する透明フィルムは、ソルベントキャスト法によって連続的に長尺のフィルムを作製することが好ましい。ソルベントキャスト法では、フィルム原料のポリマーを適当な有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)とし、このドープを適当な支持体上、好ましくは金属の支持体上に流延し、その後溶剤を乾燥させフィルムを支持体から剥ぎ取り、さらにフィルムから溶剤を十分に乾燥させて製造する。
[剥ぎ取り時の残留溶剤量]
ソルベントキャスト法によりフィルムを作製する際には、フィルムを金属支持体上にて溶剤を乾燥させ、フィルムがゲル化したところで剥ぎ取る。フィルムを剥ぎ取るためにはフィルム中の残留溶剤量が60〜150%であることがのぞましい。残留溶剤量の次式で表される。なお、残存揮発分重量はフィルムを120℃で2時間加熱処理したときに、加熱処理前のフィルム重量から加熱処理後のフィルム重量を引いた値である。
残留溶剤量=残存揮発分重量/加熱処理後フィルム重量×100(%)
[フィルム搬送時にかかるテンション]
金属支持体から剥離した後の乾燥工程では、溶媒の蒸発によってフィルムは一般的に巾方向(機械方向に垂直な方向)に収縮しようとする。本発明に関する透明フィルムの作製においては、機械方向とそれに垂直な方向のどちらの方向にもフィルムが強く延伸されることのないよう制御を要する。具体的には、機械方向へのフィルム搬送時においてはフィルム搬送用ロールからフィルムの機械方向にかかるテンションの強さを10〜50kgf/mとすることがのぞましい。一方で機械方向と垂直な方向にかかるテンションの強さも同様の強さとすることがのぞましい。この場合垂直方向でフィルムを保持し、かつテンションを調整するためにテンタークリップを用いたテンター方式も好ましく用いることができる。例えば、特開昭62−46625号公報に示されているような乾燥全工程或いは一部の工程を幅方向にクリップでウェブの巾両端を巾保持しつつ乾燥させる方法(テンター方式)を好ましく用いることができる。
[透明フィルムの物理特性]
以下に本発明に関する透明フィルムの物理特性について説明する。
[フィルムの弾性率]
本発明に関する透明フィルムの機械方向の引張弾性率が240〜500kgf/mm2であり、機械方向に垂直な方向の引張弾性率が230〜480kgf/mm2であり、かつ、機械方向の引張弾性率/機械方向に垂直な方向の引張弾性率の比が0.80〜1.36であることがのぞましい。
よりのぞましくは、機械方向の引張弾性率が250〜480kgf/mm2であり、機械方向に垂直な方向の引張弾性率が240〜470kgf/mm2であり、かつ、機械方向の引張弾性率/機械方向に垂直な方向の引張弾性率の比が0.85〜1.30である。さらにのぞましくは、機械方向の引張弾性率が260〜460kgf/mm2であり、機械方向に垂直な方向の引張弾性率が250〜450kgf/mm2であり、かつ、機械方向の引張弾性率/機械方向に垂直な方向の引張弾性率の比が0.88〜1.25である。具体的な測定方法としては、東洋ボールドウィン製万能引っ張り試験機STM T50BPを用い、23℃・70%雰囲気中、引っ張り速度10%/分で0.5%伸びにおける応力を測定し、弾性率を求めた。
[フィルムの貯蔵弾性率]
本発明に関する透明フィルムは、機械方向の貯蔵弾性率および機械方向に垂直な方向の貯蔵弾性率がともに15000〜80000kgf/cm2であり、かつ、機械方向の貯蔵弾性率/機械方向に垂直な方向の貯蔵弾性率の比が0.80〜1.20であることがのぞましい。
よりのぞましくは、機械方向、垂直方向ともに貯蔵弾性率が18000〜75000kgf/cm2であり、かつ、機械方向の貯蔵弾性率/機械方向に垂直な方向の貯蔵弾性率の比が0.82〜1.18である。さらにのぞましくは、機械方向、垂直方向ともに貯蔵弾性率が20000〜70000kgf/cm2であり、かつ、機械方向の貯蔵弾性率/機械方向に垂直な方向の貯蔵弾性率の比が0.84〜1.16である。
具体的な測定方法は、温度を変化させながらの動的粘弾性測定より貯蔵弾性率をもとめた。
[フィルムの光弾性係数]
本発明に関する透明フィルムは、機械方向の光弾性係数および機械方向に垂直な方向の光弾性係数がともに50×10-13cm2/dyne以下であり、かつ、機械方向の光弾性係数/機械方向に垂直な方向の光弾性係数の比が0.80〜1.20であることがのぞましい。
よりのぞましくは、機械方向の光弾性係数および機械方向に垂直な方向の光弾性係数がともに40×10-13cm2/dyne以下であり、かつ、機械方向の光弾性係数/機械方向に垂直な方向の光弾性係数の比が0.82〜1.18である。
さらにのぞましくは、機械方向の光弾性係数および機械方向に垂直な方向の光弾性係数がともに30×10-13cm2/dyne以下であり、かつ、機械方向の光弾性係数/機械方向に垂直な方向の光弾性係数の比が0.84〜1.16である。
具体的な測定方法としては、本発明に関する透明フィルム試料12mm×120mmの長軸方向に対して引っ張り応力をかけ、その際のレターデーションをエリプソメーター(M150、日本分光(株))で測定し、応力に対するレターデーションの変化量から光弾性係数を算出した。
[フィルムの寸度変化]
本発明に関する透明フィルムの60℃90%RH24時間後での寸法変化率および90℃dry24時間後での寸法変化率がいずれも機械方向、機械方向に垂直な方向ともに±0.5%以下であり、かつ、いずれの場合も(機械方向の寸法変化率)/(機械方向に垂直な方向の寸法変化率)の比が0.3〜2.5であることがのぞましい。
よりのぞましくは、60℃90%RH24時間後での寸法変化率および90℃dry24時間後での寸法変化率がいずれも機械方向、機械方向に垂直な方向ともに±0.4%以下であり、かつ、いずれの場合も(機械方向の寸法変化率)/(機械方向に垂直な方向の寸法変化率)の比が0.4〜2.2である。
具体的な測定方法としては、本発明に関する透明フィルム試料30mm×120mmを2枚用意し、25℃、60%RHで24時間調湿し、自動ピンゲージ(新東科学(株))にて、両端に6mmφの穴を100mmの間隔で開け、パンチ間隔の原寸(L0)とした。1枚の試料を60℃、90%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L1)を測定、もう1枚の試料を90℃、5%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L2)を測定した。すべての間隔の測定において最小目盛り1/1000mmまで測定した。60℃、90%RHの寸度変化率={(L0−L1)/L0}×100、90℃、5%RHの寸度変化率={(L0−L2)/L0}×100、として寸度変化率を求めた。
[フィルムの吸湿膨張係数]
本発明に関する透明フィルムの吸湿膨張係数は30×10-5/%RH以下とすることが好ましい。吸湿膨張係数は、15×10-5/%RH以下とすることが好ましく、10×10-5/%RH以下であることがさらに好ましい。また、吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10-5/%RH以上の値である。また機械方向と垂直方向とで吸湿膨張係数がほぼ同等になることがのぞましい。吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。この吸湿膨張係数を調節することで、透明フィルムを光学補償フィルム支持体として用いた際、光学補償フィルムの光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇すなわち歪みによる光漏れを防止することができる。
本発明に関する透明フィルムの厚さは、膜厚があつい方が偏光子に対する保護性が向上するため好ましいが、厚すぎると偏光板の光学特性の低下、カール、取り扱い性等の問題が発生するため、20〜200μmであることが好ましく、40〜180μmであることがさらに好ましく、40〜100μmであることが特に好ましい。
[フィルムの透湿度]
本発明に関する透明フィルムの透湿度は、JIS規格JISZ0208をもとに、温度60℃、湿度95%RHの条件において測定し、膜厚80μmに換算して400〜2000g/m2・24hであることがのぞましい。500〜1800g/m2・24hであることがより好ましく、600〜1600g/m2・24hであることが特に好ましい。2000g/m2・24hを越えると、フィルムのRe値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまう。また、本発明に関するセルロースアシレートフィルムに光学異方性層を積層して光学補償フィルムとした場合も、Re値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまい好ましくない。この光学補償シートや偏光板が液晶表示装置に組み込まれた場合、色味の変化や視野角の低下を引き起こす。また、セルロースアシレートフィルムの透湿度が400g/m2・24h未満では、偏光子の両面などに貼り付けて偏光板を作製する場合に、セルロースアシレートフィルムにより接着剤の乾燥が妨げられ、接着不良を生じる。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、本発明に関するセルロースアシレートフィルム試料70mmφを25℃、90%RH及び60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、透湿試験装置(KK−709007、東洋精機(株))にて、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)し、透湿度=調湿後重量−調湿前重量で求めた。
[透明フィルムの光学特性評価]
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のリターデーションおよび厚さ方向のリターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rth(λ)は前記Re(λ)、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基にKOBRA 21ADHが算出する。ここで平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
(面内のレターデーション Re)
本発明に関する透明フィルムにおいては面内のレターデーションは0≦Re(630)≦20であることがのぞましい。よりのぞましくは0≦Re(630)≦15であり、0≦Re(630)≦10であることがさらにのぞましい。
(膜厚方向のレターデーション Rth)
本発明に関する透明フィルムにおいては膜厚方向のレターデーションは
|Rth(630)|≦25であることがのぞましい。よりのぞましくは|Rth(630)|≦23であり、|Rth(630)|≦20であることがさらにのぞましい。
(偏光板の湿度変化、温度変化に対するパネル上での光漏れ、色味変化)
本発明に関する透明フィルムは液晶表示装置用の偏光子の透明保護フィルムとして好ましく用いることができる。これを液晶表示装置に実装して、装置内部のバックライトで温度が上昇したり、高温高湿度の環境下にて用いられる場合を想定した場合、特に黒表示時に本来ならば画面全体が黒く表示されるべき時に、表示装置の枠の周囲から光が漏れるムラ故障や色味が変化する故障を、これまでに用いられてきた偏光板の保護膜よりも低減することがのぞましい。さらにのぞましくは上記のような故障をゼロにすることである。
[透明フィルムの材質]
本発明に関する透明フィルムを形成する材料としては、光学性能透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるポリマーが好ましく、上述のRe、Rthが、上述した式(i)(ii)を満たす範囲であればどのような材料を用いても良い。例えば、ポリカーボネート系ポリマー、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーを混合したポリマーも例としてあげられる。また本発明に関する透明フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の紫外線硬化型、熱硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
また、本発明に関する透明フィルムを形成する材料としては、熱可塑性ノルボルネン系樹脂を用いることが出来る。熱可塑性ノルボルネン系樹脂としては、日本ゼオン(株)製のゼオネックス、ゼオノア、JSR(株)製のアートン等があげられる。
また、本発明に関する透明フィルムを形成する材料としては、従来偏光板の透明保護フィルムとして用いられてきた、トリアセチルセルロースに代表される、セルロース系ポリマー(以下、セルロースアシレートという)を好ましく用いることが出来る。以下にセルロースアシレートについて詳細を説明する。
[セルロースアシレート原料綿]
本発明に関する透明フィルムに用いられるセルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができ、セルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
[セルロースアシレート置換度]
次に上述のセルロースを原料に製造されるセルロースアシレートについて記載する。セルロースアシレートはセルロースの水酸基がアシル化されたもので、その置換基はアシル基の炭素原子数が2のアセチル基から炭素原子数が22のものまでいずれも用いることができる。セルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって置換度を得ることができる。測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することが出来る。
上述のようにセルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基へのアシル置換度が2.50〜3.00であることがのぞましい。さらには置換度が2.75〜3.00であることがのぞましく、2.85〜3.00であることがよりのぞましい。
セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸のうち、炭素数2〜22のアシル基としては、脂肪族基でもアリル基でもよく特に限定されず、単一でも2種類以上の混合物でもよい。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましいアシル基としては、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、へプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、iso−ブタノイル、t−ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル基などを挙げることが出来る。これらの中でも、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t−ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどが好ましく、アセチル、プロピオニル、ブタノイルがより好ましい。
本発明の発明者が鋭意検討した結果、上述のセルロースの水酸基に置換するアシル置換基が、実質的にアセチル基、プロピオニル基及びブタノイル基から選ばれる少なくとも2種類である場合においては、その全置換度が2.50〜3.00の場合にセルロースアシレートフィルムの光学異方性が低下できることがわかった。より好ましいアシル置換度は2.60〜3.00であり、さらにのぞましくは2.65〜3.00である。
[セルロースアシレートの重合度]
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であり、セルロースアセテートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400が更に好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度が高すぎるとセルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなり、流延によりフィルム作製が困難になる。重合度が低すぎると作製したフィルムの強度が低下してしまう。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。特開平9−95538号公報に詳細に記載されている。
特に、アシル置換基が、実質的にアセチル基のみからなり、平均重合度が180〜550であるセルロースアシレートを用いて本発明に関する透明フィルムを作製すると、光学異方性をより低下できる。
また、本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがさらに好ましく、1.0〜1.6であることが最も好ましい。
低分子成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低くなるため有用である。低分子成分の少ないセルロースアシレートは、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより実施できる。なお、低分子成分の少ないセルロースアシレートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量部に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量部分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。セルロースアシレートの製造時に使用される際には、その含水率は2質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1質量%以下であり、特には0.7質量%以下の含水率を有するセルロースアシレートである。一般に、セルロースアシレートは、水を含有しており2.5〜5質量%が知られている。このセルロースアシレートの含水率にするためには、乾燥することが必要であり、その方法は目的とする含水率になれば特に限定されない。これらのセルロースアシレートは、その原料綿や合成方法は発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)にて7頁〜12頁に詳細に記載されている。
セルロースアシレートは置換基、置換度、重合度、分子量分布など前述した範囲であれば、単一あるいは異なる2種類以上のセルロースアシレートを混合して用いることができる。
[透明フィルムへの添加剤]
本発明に関する透明フィルムは熱可塑性のポリマー樹脂を熱溶融して製膜しても良いし、ポリマーを均一に溶解した溶液から溶液製膜(ソルベントキャスト法)によって製膜しても良い。熱溶融製膜の場合は種々の添加剤(例えば、光学的異方性を低下する化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、光学特性調整剤など)を熱溶融時に加えることができる。一方、透明フィルムを溶液から調整する場合は、ポリマー溶液(以下、ドープという)には、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、光学的異方性を低下する化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、光学特性調整剤など)を加えることができ、これらについて以下に説明する。またその添加する時期はドープ作製工程において何れでも添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。
[透明フィルムの光学的異方性を低下させる化合物の構造的特徴]
まず、本発明に関する透明フィルムの光学的異方性を低下させる化合物について説明する。本発明の発明者らは、鋭意検討した結果、フィルム中のポリマーが面内および膜厚方向に配向するのを抑制する化合物を用いて光学的異方性を十分に低下させ、ReがゼロかつRthがゼロに近くなるようにした。このためには光学的異方性を低下させる化合物はポリマーに十分に相溶し、化合物自身が棒状の構造や平面性の構造を持たないことが有利である。具体的には芳香族基のような平面性の官能基を複数持っている場合、それらの官能基を同一平面ではなく、非平面に持つような構造が有利である。
[透明フィルムの光学的異方性を低下させる化合物の添加量]
本発明に関するセルロースアシレートフィルムの光学的異方性、とくにフィルム膜厚方向のレターデーションRthを低下させる化合物を、下記式(iv)、(v)をみたす範囲で少なくとも一種含有することがのぞましい。
(iv)(Rth(A)−Rth(0))/A≦−1.0
(v)0.01≦A≦30
上記式(ii)、(iii)は
(iv)(Rth(A)−Rth(0))/A≦−2.0
(v)0.05≦A≦25
であることがよりのぞましく、
(iv)(Rth(A)−Rth(0))/A≦−3.0
(v)0.1≦A≦20
であることがさらにのぞましい。
以下に本発明で好ましく用いられる、透明フィルムの光学異方性すなわちRe及びRthを低下させる化合物の具体例として下記一般式(1)〜(4)を示すが、本発明はこれら化合物に限定されない。以下これらついて詳細に説明する。
次に、一般式(1)および(2)の化合物について説明する。
Figure 2008217022
Figure 2008217022
上記一般式(1)において、R1aはアルキル基またはアリール基を表し、R2aおよびR3aはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。また、R1a、R2aおよびR3aの炭素原子数の総和が10以上であることが特に好ましい。また、一般式(2)中、R4aおよびR5aはそれぞれ独立に、アルキル基またはアリール基を表す。また、R4aおよびR5aの炭素原子数の総和は10以上であり、各々、アルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよい。置換基としてはフッ素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が好ましく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が特に好ましい。また、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数1〜25のものが好ましく、6〜25のものがより好ましく、6〜20のもの(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ビシクロオクチル、ノニル、アダマンチル、デシル、t−オクチル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、ジデシル)が特に好ましい。アリール基としては炭素原子数が6〜30のものが好ましく、6〜24のもの(例えば、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、ビナフチル、トリフェニルフェニル)が特に好ましい。一般式(1)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2008217022
Figure 2008217022
式中、R1dはアルキル基またはアリール基を表し、R2dおよびR3dはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。また、アルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよい。
一般式(3)として好ましくは下記一般式(4)で表される化合物である。
Figure 2008217022
上記一般式(4)において、R4d、R5dおよびR6dはそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表す。ここで、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数が1〜20のものが好ましく、1〜15のものがさらに好ましく、1〜12のものが最も好ましい。環状のアルキル基としては、シクロヘキシル基が特に好ましい。アリール基は炭素原子数が6〜36のものが好ましく、6〜24のものがより好ましい。
上記のアルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよく、置換基としてはハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、フッ素およびヨウ素)、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基およびアシルアミノ基が好ましく、より好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、スルホニルアミノ基およびアシルアミノ基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、スルホニルアミノ基およびアシルアミノ基である。
以下に、一般式(3)または一般式(4)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2008217022
Figure 2008217022
Figure 2008217022
[波長分散調整剤]
本発明に関する透明フィルムにおいては、ReおよびRthが小さいことが特徴であり、さらにいえば、これらReおよびRthの波長による依存性すなわち波長分散も小さいことがのぞましい。この、波長分散を低下させる手段として、本発明においては透明フィルムに対して波長分散を調整する化合物(以下波長分散調整剤ともいう)を添加することが有効であり、以下これら化合物について説明する。本発明に関する透明フィルムのRthの波長分散を良化させるためには、下記式(vi)で表されるRthの波長分散ΔRth=|Rth(400)−Rth(700)|を低下させる化合物を、下記式(vii)、(viii)をみたす範囲で少なくとも一種含有することがのぞましい。
(vi)ΔRth=|Rth(400)−Rth(700)
(vii)(ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−2.0
(viii)0.01≦B≦30
ここで、
Rth(400):400nmにおけるRth(nm)
Rth(700):700nmにおけるRth(nm)
ΔRth(B):ΔRthを低下させる化合物をB%含有したフィルムのΔRth(nm)
ΔRth(0):ΔRthを低下させる化合物を含有しないフィルムのΔRth(nm)
B:フィルム原料ポリマーの重量を100としたときの化合物の重量(%)
である。
上記式(vii)、(viii)は
(vii)(ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−3.0
(viii)0.05≦B≦25
であることがよりのぞましく、
(vii)(ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−4.0
(viii)0.1≦B≦20
であることがさらにのぞましい。
上記の波長分散調整剤は、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、フィルムの|Re(400)−Re(700)|および|Rth(400)−Rth(700)|を低下させる化合物を少なくとも1種、透明フィルム固形分に対して0.01〜30重量%含むことによって透明フィルムのRe、Rthの波長分散を調整した。
透明フィルムのRe、Rthの値は一般に短波長側よりも長波長側が大きい波長分散特性となる。したがって相対的に小さい短波長側のRe、Rthを大きくすることによって波長分散を平滑にすることが要求される。一方200〜400nmの紫外領域に吸収を持つ化合物は短波長側よりも長波長側の吸光度が大きい波長分散特性をもつ。この化合物自身が透明フィルム内部で等方的に存在していれば、化合物自身の複屈折性、ひいてはRe、Rthの波長分散は吸光度の波長分散と同様に短波長側が大きいと想定される。
したがって上述したような、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、化合物自身のRe、Rthの波長分散が短波長側が大きいと想定されるものを用いることによって、透明フィルムのRe、Rthの波長分散を調製することができる。このためには波長分散を調整する化合物はポリマー固形分に十分均一に相溶することが要求される。
また、近年テレビやノートパソコン、モバイル型携帯端末などの液晶表示装置ではより少ない電力で輝度を高めるに、液晶表示装置に用いられる光学部材の透過率が優れたものが要求されている。その点においては、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、フィルムの|Re(400)−Re(700)|および|Rth(400)−Rth(700)|を低下させる化合物を透明フィルムに添加する場合、分光透過率が優れていることが要求される。本発明に関する透明フィルムにおいては、波長380nmにおける分光透過率が45%以上95%以下であり、かつ波長350nmにおける分光透過率が10%以下であることがのぞましい。
上述のような、本発明で好ましく用いられる波長分散調整剤は揮散性の観点から分子量が250〜1000であることが好ましい。より好ましくは260〜800であり、更に好ましくは270〜800であり、特に好ましくは300〜800である。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であっても良いし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でも良い。
波長分散調整剤は、透明フィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
(化合物添加量)
上述した本発明で好ましく用いられる波長分散調整剤の添加量は、透明フィルムの0.01ないし30重量%であることが好ましく、0.1ないし20重量%であることがより好ましく、0.2ないし10重量%であることが特に好ましい。
(化合物添加の方法)
またこれら波長分散調整剤は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
またこれら波長分散調整剤を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
本発明に好ましく用いられる波長分散調整剤の具体例としては、例えばベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノ基を含む化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられるが、本発明はこれら化合物だけに限定されるものではない。
ベンゾトリアゾール系化合物としては一般式(101)で示されるものが本発明では波長分散調整剤として好ましく用いられる。
一般式(101) Q1−Q2−OH
(式中、Q1は含窒素芳香族ヘテロ環Q2は芳香族環を表す。)
1は含窒素方向芳香族へテロ環をあらわし、好ましくは5乃至7員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは5ないし6員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、例えば、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、セレナゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾセレナゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ナフトチアゾール、ナフトオキサゾール、アザベンズイミダゾール、プリン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、トリアザインデン、テトラザインデン等があげられ、更に好ましくは、5員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、具体的にはイミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、チアジアゾール、オキサジアゾールが好ましく、特に好ましくは、ベンゾトリアゾールである。
1で表される含窒素芳香族ヘテロ環は更に置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。また、置換基が複数ある場合にはそれぞれが縮環して更に環を形成してもよい。
2で表される芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)更に好ましくはベンゼン環である。
芳香族ヘテロ環として好ましくは窒素原子あるいは硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
2であらわされる芳香族環として好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくはナフタレン環、ベンゼン環であり、特に好ましくはベンゼン環である。Q2は更に置換基を有してもよく、後述の置換基Tが好ましい。
置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(101)として好ましくは下記一般式(101−A)で表される化合物である。
一般式(101−A)
Figure 2008217022
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
1およびR3として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキル基(好ましくは炭素数4〜12)である。
2、およびR4として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
5およびR8として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
6およびR7として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子であり、特に好ましくは水素原子、塩素原子である。
一般式(101)としてより好ましくは下記一般式(101−B)で表される化合物である。
一般式(101−B)
Figure 2008217022
(式中、R1、R3、R6およびR7は一般式(101−A)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。)
Figure 2008217022
以上例にあげたベンゾトリアゾール系化合物の中でも、分子量が320以下のものを含まずに本発明に関する透明フィルムを作製した場合、保留性の点で有利であることが確認された。
また本発明に用いられる波長分散調整剤のひとつであるベンゾフェノン系化合物としては一般式(102)で示されるものが好ましく用いられる。
一般式(102)
Figure 2008217022
(式中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に芳香族環を表す。XはNR(Rは水素原子または置換基を表す。)、酸素原子または硫黄原子を表す。)
1およびQ2で表される芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
1およびQ2で表される芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)更に好ましくはベンゼン環である。
1およびQ2で表される芳香族ヘテロ環として好ましくは酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のどれかひとつを少なくとも1つ含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
1およびQ2であらわされる芳香族環として好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくは炭素数6〜10の芳香族炭化水素環であり、更に好ましくは置換または無置換のベンゼン環である。
1およびQ2は更に置換基を有してもよく、後述の置換基Tが好ましいが、置換基にカルボン酸やスルホン酸、4級アンモニウム塩を含むことはない。また、可能な場合には置換基同士が連結して環構造を形成してもよい。
XはNR(Rは水素原子または置換基を表す。置換基としては後述の置換基Tが適用できる。)、酸素原子または硫黄原子を表し、Xとして好ましくは、NR(Rとして好ましくはアシル基、スルホニル基であり、これらの置換基は更に置換してもよい。)、またはOであり、特に好ましくはOである。
置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(102)として好ましくは下記一般式(102−A)で表される化合物である。
一般式(102−A)
Figure 2008217022
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基ととしては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
1、R3、R4、R5、R6、R8およびR9として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
2として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルコキシ基である。
7として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくはメチル基)であり、特に好ましくはメチル基、水素原子である。
一般式(102)としてより好ましくは下記一般式(102−B)で表される化合物である。
一般式(102−B)
Figure 2008217022
(式中、R10は水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基を表す。)
10は水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。
10として好ましくは置換または無置換のアルキル基であり、より好ましくは炭素数5〜20の置換または無置換のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数5〜12の置換または無置換のアルキル基(n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、ベンジル基、などが挙げられる。)であり、特に好ましくは、炭素数6〜12の置換または無置換のアルキル基(2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、ベンジル基)である。
一般式(102)であらわされる化合物は特開平11−12219号公報記載の公知の方法により合成できる。
以下に一般式(102)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2008217022
Figure 2008217022
また本発明に用いられる波長分散調整剤のひとつであるシアノ基を含む化合物としては一般式(103)で示されるものが好ましく用いられる。
一般式(103)
Figure 2008217022
(式中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に芳香族環を表す。X1およびX2は水素原子または置換基を表し、少なくともどちらか1つはシアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環を表す。)Q1およびQ2であらわされる芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)更に好ましくはベンゼン環である。
芳香族ヘテロ環として好ましくは窒素原子あるいは硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
1およびQ2であらわされる芳香族環として好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくはベンゼン環である。
1およびQ2は更に置換基を有してもよく、後述の置換基Tが好ましい。置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
1およびX2は水素原子または置換基を表し、少なくともどちらか1つはシアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環を表す。X1およびX2で表される置換基は前述の置換基Tを適用することができる。また、X1およびX2はで表される置換基は更に他の置換基によって置換されてもよく、X1およびX2はそれぞれが縮環して環構造を形成してもよい。
1およびX2として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは、シアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、更に好ましくはシアノ基、カルボニル基であり、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカルボニル基(−C(=O)OR(Rは:炭素数1〜20アルキル基、炭素数6〜12のアリール基およびこれらを組み合せたもの))である。
一般式(103)として好ましくは下記一般式(103−A)で表される化合物である。
一般式(103−A)
Figure 2008217022
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。X1およびX2は一般式(20)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。)
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基ととしては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
1、R2、R4、R5、R6、R7、R9、およびR10として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子
、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
3、およびR8として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12アルコキシ基であり、特に好ましくは水素原子である。
一般式(103)としてより好ましくは下記一般式(103−B)で表される化合物である。
一般式(103−B)
Figure 2008217022
(式中、R3およびR8は一般式(103−A)におけるそれらと同義であり、また、好ましい範囲も同様である。X3は水素原子、または置換基を表す。)
3は水素原子、または置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用でき、また、可能な場合は更に他の置換基で置換されてもよい。X3として好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは、シアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、更に好ましくはシアノ基、カルボニル基であり、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカルボニル基(−C(=O)OR(Rは:炭素数1〜20アルキル基、炭素数6〜12のアリール基およびこれらを組み合せたもの)である。
一般式(103)として更に好ましくは一般式(103−C)で表される化合物である。
一般式(103−C)
Figure 2008217022
(式中、R3およびR8は一般式(103−A)におけるそれらと同義であり、また、好ましい範囲も同様である。R21は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
21として好ましくはR3およびR8が両方水素の場合には、炭素数2〜12のアルキル基であり、より好ましくは炭素数4〜12のアルキル基であり、更に好ましくは、炭素数6〜12のアルキル基であり、特に好ましくは、n−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルへキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基であり、最も好ましくは2−エチルへキシル基である。
21として好ましくはR3およびR8が水素以外の場合には、一般式(103−C)で表される化合物の分子量が300以上になり、かつ炭素数20以下の炭素数のアルキル基が好ましい。
本発明一般式(103)で表される化合物はJounal of American Chemical Society 63巻 3452頁(1941)記載の方法によって合成できる。
以下に一般式(103)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2008217022
(剥離剤)
さらに本発明では、剥離時の荷重を小さくするために剥離剤を添加することが好ましい。
それらは、界面活性剤が有効でありリン酸系、スルフォン酸系、カルボン酸系、ノニオン系、カチオン系など特に限定されない。これらは、例えば特開昭61−243837号公報、特開2000−99847号公報などに記載されている。添加量はセルロールアシレートに対し、0.1%以下が好ましい。
なお、剥離剤に関しては、特開2003−055501号公報に、セルロースアシレート溶液の白濁を防止し、フィルム製造剥離性とフィルム面状を改良するため、非塩素系溶剤に溶解したセルロースアシレート溶液で、酸解離指数pKAが1.93〜4.5の多塩基酸部分エステル体、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩から選ばれる添加剤を含有するセルロースアシレート溶液について記載がある。
なお、添加剤に関しては特開2003−128838号公報には、剥ぎ取り性、面状、膜強度を良化させるために、少なくとも一種類の活性水素と反応する基を2個以上有する架橋剤をセルロースアシレートに対して0.1〜10質量%含有するセルロースアシレートドープ溶液についての記載がある。
また、特開2003−165868号公報には、添加剤を添加し、良好な透湿度を有し、寸法安定性に優れたフィルムを提案している。
[表面処理]
本発明に関する透明フィルムは、場合により表面処理を行うことによって、透明フィルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
[アルカリ鹸化処理によるフィルム表面の接触角]
本発明に関する透明フィルムを偏光板加工する際、の表面処理の有効な手段の1つとしてアルカリ鹸化処理が上げられる。この場合、アルカリ鹸化処理後のフィルム表面の水の接触角が55°以下であることがのぞましい。よりのぞましくは50°以下であり、45°以下であることがさらにのぞましい。接触角の評価法はアルカリ鹸化処理後のフィルム表面に直径3mmの水滴を落とし、フィルム表面と水滴のなす角をもとめる通常の手法によって親疎水性の評価として用いることができる。
[機能層]
本発明に関する透明フィルムは、その用途として光学用途に適用される。特に光学用途が液晶表示装置であることが好ましく、液晶表示装置が、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償シートを配置した構成であることがさらに好ましい。これらの液晶表示装置としては、TN、IPS、FLC、AFLC、OCB、STN、ECB、VAおよびHANが好ましい。
その際に前述の光学用途に透明フィルムを用いるに際し、各種の機能層を付与することが実施される。それらは、例えば、帯電防止層、硬化樹脂層(透明ハードコート層)、反射防止層、易接着層、防眩層、光学補償層、配向層、液晶層などである。透明フィルムを用いることができるこれらの機能層及びその材料としては、界面活性剤、滑り剤、マット剤、帯電防止層、ハードコート層などが挙げられ、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)にて32頁〜45頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
[偏光板]
本発明の偏光板の作製方法は特に長尺状に製造可能であれば特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られた透明フィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号公報、特開平6−118232号公報に記載されているような易接着加工を施してもよい。
保護フィルム処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
本発明に関する透明フィルムの偏光子への貼り合せ方は、長尺状のフィルムをロールツーロールで張り合わせる方法が生産性が高く、偏光板特性(特に軸角度、光り漏れ)のばらつきがきわめて少なくなり好ましい。なお長尺状の偏光子では吸収軸が長手方向に平行であり、長尺状の透明フィルムでは遅相軸が長手方向に直交または平行である。
なお、偏光板クロスニコル下で作製した偏光板は、本発明に関する透明フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸又は透過軸との軸ズレ角度が10度より大きいと、偏光板クロスニコル下での偏光度性能が低下して光抜けが生じ、液晶セルと組み合わせた場合に、十分な黒レベルやコントラストが得られない為、本発明に関する透明フィルムの遅相軸の方向と偏光板の吸収軸又は透過軸の方向とは、その軸ズレ角度が10度以内、好ましくは5度以内更に好ましくは1度以内であることが好ましい。
軸ズレ角度の測定では、作成した偏光板を透明フィルムと偏光子に剥がし、以下の測定を行った。
偏光子の軸角度の測定:
すでに軸の分かっている偏光子(A)を用い、測定したい偏光子(B)と偏光子(A)と重ね合わせ透過光が最小になる位置を決定し、偏光子(A)の吸収軸と一致している方向を偏光子(B)の透過軸、直行している方向を吸収軸とした。
透明フィルムの遅相軸の測定:
透明フィルムの軸角度は、KOBRA 21DH(王子計測機器(株)製)を用い、長手方向に対する遅相軸角度を測定した。
本発明の偏光板は、25℃60%RHにおける400〜700nmの単板透過率TT、平行透過率PT、直交透過率CT、偏光度Pが下記式(a)〜(d)の少なくとも1つ以上を満たすことが好ましい。(なお、「400〜700nmの」とは、400〜700nmの範囲をスキャンした平均値をいう。以下、同様である。)
単板透過率とは偏光板一枚の透過率、平行透過率とは二枚の偏光板を透過軸を平行に合わせた状態で測定した透過率、直交透過率とは二枚の偏光板の透過軸を直交させた状態で測定した透過率である。
(a)40.0≦TT≦45.0
(b)30.0≦PT≦40.0
(c)CT≦2.0
(d)95.0≦P
単板透過率TT、平行透過率PT、直交透過率CTはこの順でそれぞれ、より好ましくは、40.5≦TT≦45.0、32.0≦PT≦40.0、CT≦1.5であり、さらに好ましくは41.0≦TT≦45.0、34.0≦PT≦40.0、CT≦1.3である。偏光度Pは95.0%以上であることが好ましく、より好ましくは96.0%以上、さらに好ましくは97.0%以上である。
本発明の偏光板は、波長λにおける直交透過率をT(λ)としたときに、T(380)、T(410)、T(700)が下記式(e)〜(g)の少なくとも1つ以上を満たすことが好ましい。
(e)T(380)≦2.0
(f)T(410)≦1.0
(g)T(700)≦0.5
より好ましくはT(380)≦1.95、T(410)≦0.9、T(700)≦0.49であり、さらに好ましくはT(380)≦1.90、T(410)≦0.8、T(700)≦0.48である。
本発明の偏光板は、60℃95%RHの条件下に500時間静置した場合の400〜700nmの直交透過率の変化量ΔCT、偏光度変化量ΔPが下記式(h)、(i)の少なくとも1つ以上を満たすことが好ましい。
(h)−6.0≦ΔCT≦6.0
(i)−10.0≦ΔP≦0.0
(ただし、変化量とは試験後測定値から試験前測定値を差し引いた値を示す)
より好ましくは−5.8≦ΔCT≦5.8、−9.5≦ΔP≦0.0、更に好ましくは、−5.6≦ΔCT≦5.6、−9.0≦ΔP≦0.0である。
本発明の偏光板は、60℃90%RHの条件下に500時間静置した場合の400〜700nmの直交透過率の変化量ΔCT、偏光度変化量ΔPが下記式(j)、(k)の少なくとも1つ以上を満たすことが好ましい。
(j)−3.0≦ΔCT≦3.0
(k)−5.0≦ΔP≦0.0
(ただし、変化量とは試験後測定値から試験前測定値を差し引いた値を示す)
より好ましくは−2.0≦ΔCT≦2.0、−0.5≦ΔP≦0.0、更に好ましくは、−0.2≦ΔCT≦0.2、−0.2≦ΔP≦0.0である。
本発明の偏光板は、80℃の条件下に500時間静置した場合の400〜700nmの直交透過率の変化量ΔCT、偏光度変化量ΔPが下記式(l)、(m)の少なくとも1つ以上を満たすことが好ましい。
(l)−3.0≦ΔCT≦3.0
(m)−2.0≦ΔP≦0.0
(ただし、変化量とは試験後測定値から試験前測定値を差し引いた値を示す)
より好ましくは−2.0≦ΔCT≦2.0、−0.5≦ΔP≦0.0、更に好ましくは、−0.2≦ΔCT≦0.2、−0.2≦ΔP≦0.0である。
偏光板の単板透過率TT、平行透過率PT、直交透過率CTはUV3100PC(島津製作所社製)を用い、380nm〜780nmの範囲で測定し、TT、PT、CTともに、10回測定の平均値(400nm〜700nmでの平均値)を用いる。偏光板耐久性試験は(1)偏光板のみと(2)偏光板をガラスに粘着剤を介して貼り付けた、2種類の形態で次のように行う。偏光板のみの測定は、2つの偏光子の間に本発明に関する透明フィルムが挟まれるように組み合わせて直交、同じものを2つ用意し測定する。ガラス貼り付け状態のものはガラスの上に偏光板を本発明に関する透明フィルムがガラス側にくるように貼り付けたサンプル(約5cm×5cm)を2つ作成する。単板透過率測定ではこのサンプルのフィルムの側を光源に向けてセットして測定する。2つのサンプルをそれぞれ測定し、その平均値を単板の透過率とする。
液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、本発明に関する光学フィルムを適用した偏光板保護フィルムはどの部位に配置しても優れた表示性が得られる。特に液晶表示装置の表示側最表面の偏光板保護フィルムには透明ハードコート層、防眩層、反射防止層等が設けられるため、該偏光板保護フィルムをこの部分に用いることが得に好ましい。
[用途(光学補償フィルム)]
本発明の偏光板は、様々な用途で用いることができ、液晶表示装置の光学補償フィルムとともに用いると特に効果がある。なお、光学補償フィルムとは、一般に液晶表示装置に用いられ、位相差を補償する光学材料のことを指し、位相差板、光学補償シートなどと同義である。光学補償フィルムは複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。
本発明の偏光板を液晶表示装置の偏光板一体型光学補償フィルムとして用いる場合、併設する光学異方性層のReおよびRthはRe(630)=0〜200nmかつ|Rth(630)|=0〜400nmであることが好ましく、この範囲であればどのような光学異方性層でも良い。本発明の偏光板が使用される液晶表示装置の液晶セルの光学性能や駆動方式に制限されず、光学補償フィルムとして要求される、どのような光学異方性層も併設することができる。併設される光学異方性層としては、液晶性化合物を含有する組成物から形成しても良いし、複屈折を持つポリマーフィルムから形成しても良い。
前記液晶性化合物としては、ディスコティック液晶性化合物または棒状液晶性化合物が好ましい。
(ディスコティック液晶性化合物)
本発明に使用可能なディスコティック液晶性化合物の例には、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page2655(1994))に記載の化合物が含まれる。
ディスコティック液晶性化合物は、重合により固定可能なように、重合性基を有するのが好ましい。例えば、ディスコティック液晶性化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させた構造が考えられるが、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に連結基を有する構造が好ましい。即ち、重合性基を有するディスコチック液晶性化合物は、下記式で表わされる化合物であることが好ましい。
D(−L−P)n
式中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Pは重合性基であり、nは4〜12の整数である。前記式中の円盤状コア(D)、二価の連結基(L)及び重合性基(P)の好ましい具体例は、それぞれ、特開2001−4837号公報に記載の(D1)〜(D15)、(L1)〜(L25)、(P1)〜(P18)であり、同公報に記載の内容を好ましく用いることができる。
(棒状液晶性化合物)
本発明において、使用可能な棒状液晶性化合物の例には、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が含まれる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。
光学異方性層において、棒状液晶性分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。本発明に使用可能な重合性棒状液晶性化合物の例には、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号、同5622648号、同5770107号の各明細書、国際公開第95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号の各パンフレット、特開平1−272551号、同6−16616号、同7−110469号、同11−80081号、および特開2001−328973号の各公報などに記載の化合物が含まれる。
(ポリマーフィルムからなる光学異方性層)
光学異方性層はポリマーフィルムから形成してもよい。ポリマーフィルムは、光学異方性を発現し得るポリマーから形成する。そのようなポリマーの例には、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドポリエステルイミド、およびポリアリールエーテルケトン、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステルおよびセルロースエステル(例、セルローストリアセーテート、セルロースジアセテート)が含まれる。また、これらのポリマーの共重合体あるいはポリマー混合物を用いてもよい。
ポリマーフィルムの光学異方性は、延伸により得ることが好ましい。延伸は一軸延伸または二軸延伸であることが好ましい。具体的には、2つ以上のロールの周速差を利用した縦一軸延伸、またはポリマーフィルムの両サイドを掴んで幅方向に延伸するテンター延伸、これらを組み合わせての二軸延伸が好ましい。なお、二枚以上のポリマーフィルムを用いて、二枚以上のフィルム全体の光学的性質が前記の条件を満足してもよい。ポリマーフィルムは、複屈折のムラを少なくするためにソルベントキャスト法により製造することが好ましい。ポリマーフィルムの厚さは、20〜500μmであることが好ましく、40〜100μmであることが最も好ましい。
また、光学異方性層を形成はポリマー材料を溶媒に溶解した溶液を基材に塗布し、溶媒を乾燥させてフィルム化する方法も好ましく用いることができる。この際、上記ポリマーフィルムと基材とを延伸して光学異方性を発現させて光学異方性層として用いる手法も好ましく用いることができ、本発明に関する透明フィルムは上記基材として好ましく用いることができる。また、上記ポリマーフィルムを別の基材の上で作製しておき、ポリマーフィルムを基材から剥離させたのちに本発明に関する透明フィルムと貼合し、あわせて光学異方性層として用いることも好ましい。この手法ではポリマーフィルムの厚さを薄くすることができ、50μm以下であることが好ましく、0.5〜20μmであることがより好ましく、0.5〜10μmであることがより好ましい。
(一般的な液晶表示装置の構成)
液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償フィルムを配置した構成を有している。
液晶セルの液晶層は、通常は、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、さらにガスバリアー層、ハードコート層あるいは(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、一般に50μm〜2mmの厚さを有する。
(液晶表示装置の種類)
本発明に関する透明フィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明に関する透明フィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
(TN型液晶表示装置)
本発明に関する透明フィルムを、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置については、古くから良く知られている。TN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平3−9325号、特開平6−148429号、特開平8−50206号、特開平9−26572号の各公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys.Vol.36(1997)p.143や、Jpn.J.Appl.Phys.Vol.36(1997)p.1068)に記載がある。
(STN型液晶表示装置)
本発明に関する透明フィルムを、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性分子が90〜360度の範囲にねじられており、棒状液晶性分子の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積(Δnd)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開2000−105316号公報に記載がある。
(VA型液晶表示装置)
本発明に関する透明フィルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として特に有利に用いられる。VA型液晶表示装置に用いる光学補償シートのReレターデーション値を0〜150nmとし、Rthレターデーション値を70〜400nmとすることが好ましい。Reレターデーション値は、20〜70nmであることが更に好ましい。VA型液晶表示装置に二枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRthレターデーション値は70〜250nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置に一枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRthレターデーション値は150〜400nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置は、例えば特開平10−123576号公報に記載されているような配向分割された方式であっても構わない。
(IPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置)
本発明に関する透明フィルムは、IPSモードおよびECBモードの液晶セルを有するIPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置の光学補償シートの支持体、または偏光板の保護膜としても特に有利に用いられる。これらのモードは黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、電圧無印加状態で液晶分子を基板面に対して平行配向させて、黒表示する。これらの態様において本発明に関する透明フィルムを用いた偏光板は視野角拡大、コントラストの良化に寄与する。この態様においては、前記偏光板の保護膜と保護膜と液晶セルの間に配置された光学異方性層のリターデーションの値は、液晶層のΔn・dの値の2倍以下に設定するのが好ましい。またRth値の絶対値|Rth|は、25nm以下、より好ましくは20nm以下、さらに好ましくは15nm以下に設定するのが好ましいため、本発明に関する透明フィルムが有利に用いられる。
(OCB型液晶表示装置およびHAN型液晶表示装置)
本発明に関する透明フィルムは、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置あるいはHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートには、レターデーションの絶対値が最小となる方向が光学補償シートの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートの光学的性質も、光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質および光学的異方性層と支持体との配置により決定される。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平9−197397号公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys.Vol.38(1999)p.2837)に記載がある。
(反射型液晶表示装置)
本発明に関する透明フィルムは、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest−Host)型の反射型液晶表示装置の光学補償シートとしても有利に用いられる。これらの表示モードは古くから良く知られている。TN型反射型液晶表示装置については、特開平10−123478号公報、国際公開第98/48320号パンフレット、特許第3022477号公報に記載がある。反射型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、国際公開第00/65384号パンフレットに記載がある。
(その他の液晶表示装置)
本発明に関する透明フィルムは、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)モードの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)他の論文(Kume et al.,SID 98 Digest 1089 (1998))に記載がある。
(ハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルム)
本発明に関する透明フィルムは、またハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルムへの適用が好ましく実施できる。LCD、PDP、CRT、EL等のフラットパネルディスプレイの視認性を向上する目的で、本発明に関する透明フィルムの片面または両面にハードコート層、防眩層、反射防止層の何れかあるいは全てを付与することができる。このような防眩フィルム、反射防止フィルムとしての望ましい実施態様は、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)の54頁〜57頁に詳細に記載されており、本発明に関する透明フィルムを好ましく用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
[実施例1]
(透明フィルムの作製)
本発明に関する透明フィルムの素材としてセルロースアシレートを用いた。
(セルロースアシレート試料101の作製)
セルロースアシレートとしてはアシル化度が異なる二種類、Ce−1(Ac:OH=2.94:0.06)、Ce−2(Ac:Pro:OH=1.7:1.0:0.3)を用いた。ここで、カッコ内のAcはアセチル置換基、Proはプロピオニル置換基、OHは置換されていない水酸基をあらわし、比率はアシル化度の比率である。
(セルロースアシレート溶液組成)
セルロースアシレート(Ce) 100.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 480.0質量部
メタノール(第2溶媒) 71.7質量部
平均粒径16nmのシリカ粒子分散液 0.15質量部
光学的異方性を低下する化合物(KI) 11.7質量部
波長分散調整剤(HB) 1.2質量部
クエン酸エステル混合物(クエン酸、モノエチルエステル、
ジエチルエステル、トリエチルエステル混合物) 0.01質量部

使用したセルロースアシレート(Ce)、光学的異方性を低下する化合物(KI)、波長分散調整剤(HB)は表1に示した。
上記セルロースアシレート溶液をバンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量30%でフィルムをバンドから剥離し、130℃で40分間乾燥させセルロースアシレートフィルムを製造した。出来あがったセルロースアシレートフィルムの残留溶剤量は0.1%であり、膜厚は80μmであった。
(セルロースアシレート試料102〜104の作製)
使用したセルロースアシレート(Ce)、光学的異方性を低下する化合物(KI)、波長分散調整剤(HB)および添加量を表1に示した様に変更した以外は試料101と同様にして作製した。
上記実施例にて作製した本発明の試料の作成条件および光学特性等の測定結果を表1に示した。
Figure 2008217022
(偏光板(H101〜105)の作製)
本発明の長尺状の透明フィルム試料を、1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に連続的に通し、55℃で2分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、透明フィルムの表面をケン化した。
続いて、厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して厚さ20μmの偏光子を得た。ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、前記のケン化した透明フィルム試料および市販のセルロールアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製、膜厚80μm、Re値は3nm、Rth値は50nm)を用意して偏光子を間にしてロールツーロールで貼り合わせ、フィルム長さ500m、吸収軸は長手方向、遅相軸は長手と直交方向であり、両面がフィルムによって保護された偏光板を得た。
(偏光板(H106、H107)の作製)
H106およびH107はバッチ張りで偏光板を作製した。作成は、前記の透明フィルムおよび市販のセルロールアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製、膜厚80μm、Re値は3nm、Rth値は50nm)をA4サイズに切り出し、A4サイズの延伸した偏光子を挟み込んだ。ケン化条件、接着剤は偏光板H101作成時と同様の物を用いた。
偏光板性能は以下の表2、表3に示した。ロールツーロールであると軸ズレが少なく特性が良いこと、また、偏光板特性が本実施例の偏光板では良い事が分かる。ただし、サンプルの膜厚が薄い場合には耐久性が悪いことが分かる。
Figure 2008217022
Figure 2008217022
(パネルへの実装評価)
本発明の偏光板を、液晶表示装置のパネルに実装して評価を行った。
[IPSモード]
<IPS液晶セル用偏光板>
アートンフィルム(JSR社製)を延伸し、Re=270nm、Rth=0nmの光学補償フィルムを作製し、本発明の偏光板の本発明に関する透明フィルム側に光学補償フィルムの遅相軸と偏光板の吸収軸が一致するように貼合して偏光板一体型光学補償フィルムを作製した。
<IPSモード液晶セルの作製>
一枚のガラス基板上に、隣接する電極間の距離が20μmとなるように電極を配設し、その上にポリイミド膜を配向膜として設け、ラビング処理を行なった。別に用意した一枚のガラス基板の一方の表面にポリイミド膜を設け、ラビング処理を行なって配向膜とした。二枚のガラス基板を、配向膜同士を対向させて、基板の間隔(ギャップ;d)を3.9μmとし、二枚のガラス基板のラビング方向が平行となるようにして重ねて貼り合わせ、次いで屈折率異方性(Δn)が0.0769及び誘電率異方性(Δε)が正の4.5であるネマチック液晶組成物を封入した。液晶層のd・Δnの値は300nmであった。
この液晶セルの光源側に本発明の偏光板の本発明のフィルムがセル側になるように液晶セルの遅相軸と偏光板の吸収軸が一致するように粘着剤により貼り付け、液晶セルの反対側に対向の偏光板と吸収軸が直交するように上記の偏光板一体型光学補償フィルムの光学補償フィルム側を液晶セル側にし、粘着剤により貼り付けIPS型液晶表示装置を作成した。
[VAモード]
(VA用光学補償フィルム)
本発明に関する透明フィルム試料を用いて、特開2003−315541号公報の実施例1に記載の方法に準じて光学補償フィルム試料を作製した。2,2'−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)と、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ジアミノビフェニル(TFMB)から合成された、重量平均分子量(Mw)7万、△nが約0.04のポリイミドを、溶媒にシクロヘキサノンを用い25wt%に調製した溶液を、実施例または比較例で作製した透明フィルム試料101〜104、001〜004に塗布した。その後100℃で10分熱処理後、160℃で15%縦一軸延伸することにより厚さ6μmのポリイミドフィルムが本発明に関する透明フィルムに塗布された光学補償フィルムを得た。この光学補償フィルムの光学特性は、Re=72nm、Rth=220nm、配向軸のズレ角度は±0.3度以内で、nx>ny>nzの複屈折層を持つ光学補償フィルムであった。
(VA型液晶表示装置への実装評価)
上記実施例で得られた光学補償フィルムの、ポリイミドフィルムを塗布していない側をアルカリ鹸化処理しポリビニルアルコール系接着剤で偏光子と接着することにより、直接偏光子と貼り合せた。この際光学補償フィルムのnx方向と偏光板の吸収軸が直交するように貼り合せた。これら光学補償フィルムが液晶セル側となるように粘着剤でVA液晶パネルに張り合わせた。なお、液晶セルの反対側には偏光板の吸収軸同士が直交するように偏光板のみを粘着剤を介してVA液晶パネルに貼り合せた。
[パネル評価]
<位相差膜の評価および作製した液晶表示装置の漏れ光の測定>
作成した液晶表示装置の透過率の視野角依存性を測定した。抑角は正面から斜め方向へ10°毎に80°まで、方位角は水平右方向(0°)を基準として10°毎に360°まで測定した。黒表示時の輝度は正面方向から抑角が増すにつれ、漏れ光透過率も上昇し、抑角70°近傍で最大値をとることがわかった。また黒表示透過率が増すことで、コントラストが悪化することもわかった。そこで、正面の黒表示透過率と抑角60°の漏れ光透過率の最大値で、視野角特性を評価することにした。
また、耐久性試験として、60℃90%、60℃95%、80℃で500時間の処理後のコントラスト、色味等の表示ムラの観察を行った。得られた結果を表4に示す。
本発明の偏光板であるH101〜105は、軸ズレが小さく耐久性が高いため視野角特性だけでなく、ムラの発生がわずかであり良好であることが分かる。
表示特性の評価
(視野角特性)
◎:視野角特性差が極めてわずかであり良好
○:視野角特性差が少ない
×:視野角特性差が大きい
(ムラ)
◎:ムラが極めてわずかであり良好
○:ムラが少ない
△:ムラが若干多い
×:ムラが大きい
Figure 2008217022

Claims (18)

  1. 長手方向に平行な吸収軸を有する長尺状の偏光子と、長手方向に直交または平行である遅相軸を有し、フィルム面内のレターデーション値Reおよびフィルム膜厚方向のレターデーション値Rthが式(i)(ii)をみたす長尺状の透明フィルムとが、積層されていることを特徴とする長尺状偏光板。
    (i)0≦Re(630)≦20
    (ii)|Rth(630)|≦25
    [式中、Re(λ)は波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
  2. 前記偏光子の吸収軸と前記透明フィルムの遅相軸との直交または平行との軸ズレ角度が10度以内であることを特徴とする請求項1に記載の長尺状偏光板。
  3. 前記透明フィルムを形成するポリマー原料としてセルロースアシレートを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の長尺状偏光板。
  4. 25℃60%RHにおける400〜700nmの単板透過率TT、平行透過率PT、直交透過率CT、偏光度Pが下記式(a)〜(d)の少なくとも1つ以上を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の長尺状偏光板。
    (a)40.0≦TT≦45.0
    (b)30.0≦PT≦40.0
    (c)CT≦2.0
    (d)95.0≦P
  5. 波長λにおける直交透過率をT(λ)としたときに、T(380)、T(410)、T(700)が下記式(e)〜(g)の少なくとも1つ以上を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の長尺状偏光板。
    (e)T(380)≦2.0
    (f)T(410)≦1.0
    (g)T(700)≦0.5
  6. 60℃95%RHの条件下に500時間静置した場合の400〜700nmの直交透過率の変化量ΔCT、偏光度変化量ΔPが下記式(h)、(i)の少なくとも1つ以上を満たすことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の長尺状偏光板。
    (h)−6.0≦ΔCT≦6.0
    (i)−10.0≦ΔP≦0.0
    (ただし、変化量とは試験後測定値から試験前測定値を差し引いた値を示す)
  7. 60℃90%RHの条件下に500時間静置した場合の400〜700nmの直交透過率の変化量ΔCT、偏光度変化量ΔPが下記式(j)、(k)の少なくとも1つ以上を満たすことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の長尺状偏光板。
    (j)−3.0≦ΔCT≦3.0
    (k)−5.0≦ΔP≦0.0
  8. 80℃の条件下に500時間静置した場合の400〜700nmの直交透過率の変化量ΔCT、偏光度変化量ΔPが下記式(l)、(m)の少なくとも1つ以上を満たすことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の長尺状偏光板。
    (l)−3.0≦ΔCT≦3.0
    (m)−2.0≦ΔP≦0.0
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の偏光板の透明フィルムに、下記式(iii)をみたす光学異方性層を設けて光学補償フィルム一体型としたことを特徴とする長尺状偏光板。
    (iii)Re(630)=0〜200(nm)かつ|Rth(630)|=0〜400(nm)
  10. 前記光学異方性層がディスコティック液晶性化合物を用いて形成されたことを特徴とする請求項9に記載の長尺状偏光板。
  11. 前記光学異方性層が棒状液晶性化合物を用いて形成されたことを特徴とする請求項9または10に記載の長尺状偏光板。
  12. 前記光学異方性層が複屈折を持つポリマーフィルムからなることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の長尺状偏光板。
  13. 前記光学異方性層を形成する前記ポリマーフィルムが、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドポリエステルイミド、およびポリアリールエーテルケトン、からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマー材料を含有することを特徴とする請求項12に記載の長尺状偏光板。
  14. 表面にハードコート層、防眩層、反射防止層の少なくとも一層を設けたことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の長尺状偏光板。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載の長尺状偏光板から切り出したことを特徴とする偏光板。
  16. 請求項15に記載の偏光板を用いたことを特徴とする液晶表示装置。
  17. 請求項16において液晶表示装置がVAまたはIPS型であることを特徴とする液晶表示装置。
  18. 長尺状の偏光子と、フィルム面内のレターデーション値Reおよびフィルム膜厚方向のレターデーション値Rthが式(i)(ii)を満たす長尺状の透明フィルムとをロールツーロールにより張り合わせることを特徴とする長尺状偏光板の製造方法。
    (i)0≦Re(630)≦20
    (ii)|Rth(630)|≦25
    [式中、Re(λ)は波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
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