JP5654641B2 - 既設港湾岸壁の補強方法 - Google Patents

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本発明は、港湾施設である既設岸壁の補強構造及び補強方法に関する。
タイロッド式鋼矢板壁などの岸壁において、耐震性を増したり、岸壁の利用状況の変化に起因する荷重増加に対応したりするための改修方法としては、岸壁前面をセメント固化地盤改良し、背面を軽量地盤改良するケースが多い(例えば、特許文献1参照)。これらの改修方法において、前者は既設港湾岸壁の壁体の受働土圧の増強により、また後者は主働土圧の低減により、結果的に壁体に発生する断面力を低減させて耐震性能を向上させる効果を期待している。
しかしながら、受働抵抗確保のために岸壁付近の海底を地盤改良したり、岸壁背面側の地盤を改良したりする場合、一般に改良部分が広範囲に及ぶため、大きな施工スペースが岸壁前面および背面に必要であったり、施工機械(地盤改良船、専用地盤改良機など)が大型化するなどの傾向があり、多大な費用がかかると共に、特に現場が狭隘な場合や岸壁を供用しながら施工したい場合には、その適用が困難になるという問題点がある。
そこで、このような地盤改良工法のもつ問題を解決し、より経済性に優れた岸壁の耐震補強構造を提供することを目的として、以下のような岸壁の耐震補強構造が提案されている。
「既存の岸壁から所定距離だけ離間した位置であって該岸壁と対向するように列状に打ち込まれた複数の杭と、前記岸壁と前記杭に挟まれた水底領域に水中コンクリートを打設して形成した荷重伝達版とからなる耐震補強構造であって、前記複数の杭は、それらの強軸が前記岸壁と平行になるようにかつそれらの頭部位置が水面以下であってかつ前記荷重伝達版の天端以上となるように設定されたことを特徴とする岸壁の耐震補強構造。」(特許文献2参照)
特許第3289586号公報 特開2008−38524号公報(請求項1参照)
上記の特許文献2に記載の岸壁の耐震補強構造は、岸壁あるいはその背面に拡がる地盤に作用する地震時水平力を、荷重伝達版を介して杭に伝達するともに、杭に伝達された地震時水平力を杭の曲げ剛性によって支持しようというものである(特許文献2の[0017]参照)。
しかしながら、特許文献2に記載の耐震補強構造は、荷重伝達版を介して伝達される水平力を杭頭部の側面で受け、杭の曲げ剛性によって支持するものであることから、杭への力の伝達が十分できないと共に杭には高い曲げ剛性が要求される。それ故に、十分な耐震補強を行うためには杭が大型化し、その施工は作業台船などによる施工が必要となり、岸壁を供用しながらの施工は困難となる。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、岸壁に作用する水平力を効果的に杭体に伝達でき、それゆえに小型杭の適用が可能となるような既設港湾岸壁の補強構造及び補強方法を提供することを目的としている。
(1)本発明に係る既設港湾岸壁の補強構造は、既設岸壁の壁体前面に配置され該壁体に直接又は間接に接触するように設置されて該壁体を前面側から支持する壁体支持部材と、該壁体支持部材に頭部が結合されて該壁体支持部材を支持する杭体とを備えたことを特徴とするものである。
なお、「壁体を前面側から支持する」というときの前面側とは海側を意味する。
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、壁体支持部材はL型の部材であり、L型の一片が壁体に直接又は間接に接触し、他片が杭体の頭部と結合されていることを特徴とするものである。
(3)また、上記(1)に記載のものにおいて、壁体支持部材は略倒伏T型の部材であり、肩片が壁体に直接又は間接に接触すると共に肩片の下部側が海底地盤中に埋設され、足片が杭体の頭部と結合されていることを特徴とするものである。
(4)また、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のものにおいて、杭体が杭径300mm以下の直杭、または斜杭、または直杭及び斜杭の組合せで構成される群杭から構成されていることを特徴とするものである。
(5)また、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のものにおいて、壁体支持部材は、プレキャストコンクリート床版、現場施工された鉄筋コンクリート床版、鉄骨部材、鉄骨コンクリート部材、鉄骨・鉄筋コンクリート部材のうちのいずれか1種以上からなることを特徴とするものである。
(6)また、上記(1)〜(5)のいずれかに記載のものにおいて、杭体の頭部と壁体支持部材は機械的に両者を結合する結合機構を有していることを特徴とするものである。
(7)また、上記(1)〜(6)のいずれかに記載のものにおいて、壁体支持部材は、連結部材によって壁体と連結されていることを特徴とするものである。
(8)また、上記(1)〜(6)のいずれかに記載のものにおいて、壁体支持部材は、壁体と一体化されていないことを特徴とするものである。
(9)本発明に係る既設港湾岸壁の補強方法は、岸壁の壁体前面の海底地盤を掘削する海底地盤掘削工程と、掘削した箇所に壁体を前面側から支持する壁体支持部材を施工する壁体支持部材施工工程と、前記壁体支持部材を貫通して杭体を打設する杭体打設工程と、杭体の頭部を前記壁体支持部材に連結する杭頭連結工程とを備えたことを特徴とするものである。
(10)また、岸壁の壁体前面の海底地盤を掘削する海底地盤掘削工程と、掘削した海底地盤に杭体を打設する杭体打設工程と、壁体を前面側から支持する壁体支持部材を杭体頭部に設置して両者を結合する壁体支持部材施工工程とを備えてなることを特徴とするものである。
(11)また、上記(9)又は(10)に記載のものにおいて、壁体支持部材は、プレキャストコンクリート床版、鉄筋コンクリート床版、鉄骨部材、鉄骨コンクリート部材、鉄骨・鉄筋コンクリート部材のうちのいずれか1種以上からなり、壁体支持部材施工工程は、前記壁体支持部材をコンクリート打設または組立施工を行うことを特徴とするものである。
(12)また、上記(9)〜(11)のいずれかに記載のものにおいて、壁体支持部材施工工程は、壁体支持部材と壁体とを連結する連結施工工程を含むことを特徴とするものである。
(13)また、上記(9)〜(12)のいずれかに記載のものにおいて、杭体打設工程は杭体が杭径300mm以下の小型杭を岸壁背面天端に設置した杭施工機械によって打設することを特徴とするものである。
本発明に係る既設港湾岸壁の補強構造においては、既設岸壁の壁体前面に配置され該壁体に直接又は間接に接触するように設置されて該壁体を前面側から支持する壁体支持部材と、該壁体支持部材に頭部が結合されて該壁体支持部材を支持する杭体とを備えたことにより、壁体支持部材から伝達される水平力を杭体に確実に伝達することができ、杭体の押込み抵抗、引抜抵抗、曲げ剛性及び水平地盤抵抗により支持することができる。それ故に、杭体の小型化が可能となり、小型杭を用いる場合には、小型機械で打設することが可能なため、岸壁背面のわずかなスペースで施工でき、狭隘な現場や岸壁を供用しながらの施工を可能にし、ひいては工費工期縮減に寄与できる。
本発明の一実施の形態に係る既設港湾岸壁の補強構造の説明図である。 図1の丸で囲んだA部の拡大図平面図である。 本発明の一実施の形態に係る既設港湾岸壁の補強方法の説明図である(その1)。 本発明の一実施の形態に係る既設港湾岸壁の補強方法の説明図である(その2)。 本発明の一実施の形態に係る既設港湾岸壁の補強方法の説明図である(その3)。 本発明の一実施の形態に係る既設港湾岸壁の補強方法の説明図である(その4)。 本発明の一実施の形態に係る既設港湾岸壁の補強方法の説明図である(その5)。 本発明の一実施の形態に係る既設港湾岸壁の補強方法の説明図である(その6)。 本発明の一実施の形態に係る既設港湾岸壁の補強方法の説明図である(その7)。 本発明の一実施の形態に係る既設港湾岸壁の補強方法の説明図である(その8)。 本発明の一実施の形態に係る既設港湾岸壁の補強方法の説明図である(その9)。 本発明の一実施の形態に係る既設港湾岸壁の補強方法の説明図である(その10)。 本発明の一実施の形態に係る既設港湾岸壁の補強方法の説明図である(その11)。 本発明の一実施の形態に係る既設港湾岸壁の補強方法の説明図である(その12)。 本発明の一実施の形態に係る既設港湾岸壁の補強方法における杭頭部結合態様の説明図である(その1)。 本発明の一実施の形態に係る既設港湾岸壁の補強方法における杭頭部結合態様の説明図である(その2)。 本発明の一実施の形態に係る既設港湾岸壁の補強方法の他の態様の説明図である。 図17の平面図である。 本発明の一実施の形態に係る既設港湾岸壁の補強方法の他の態様の説明図である。 本発明の一実施の形態に係る既設港湾岸壁の補強方法の他の態様の説明図である。
図1は本発明の一実施の形態に係る既設港湾岸壁の補強構造の説明図であり、岸壁の壁体を構成する鋼矢板1とその後方に打設された控え杭3とをタイロッド5で連結して構成されるタイロッド式鋼矢板壁に本発明を適用した例である。図2は図1における丸で囲んだA部の拡大平面図である。
本実施の形態の既設港湾岸壁の補強構造は、既設岸壁の鋼矢板1の前面に配置されたL型の壁体支持部材7と、壁体支持部材7に頭部が結合されて該壁体支持部材7を支持する杭体9とを備えている。
以下、各構成を詳細に説明する。
<壁体支持部材>
壁体支持部材7は、軸方向直交断面形状がL型の床版であって、海底11側に設置される横片部7aがプレキャストコンクリート(以下、単にPCと言う場合あり)からなり、鋼矢板1側の縦片部7bが鉄筋コンクリート(以下、単にRCという場合あり)からなるものである。この例では、横片部7aを海底11に設置し、その後、縦片部7bを現場施工して両者を結合してL型としたものである。
横片部7aは、図2に示されるように、紙面直交方向に所定の長さ(例えば、5〜6m)を有する矩形状からなるものである。また、縦片部7bは、後施工されたものであり、図2に示すように、鋼矢板1の凹凸部にもコンクリートが充填されて鋼矢板1と連結されている。
<杭体>
杭体9は、図1に示すように、鋼矢板1側には直杭9aが施工され、海側には斜杭9bが施工されている。そして、これら直杭9aと斜杭9bは、図2に示すように、一つのPC床版に所定のピッチで3列施工されている。
なお、杭体9は、この例では岸壁側からの施工を可能にするため小型杭(杭径100〜300mmの小径杭)を用いている。小型杭としては、前記の小径杭(鋼管杭、コンクリート杭、鋼管コンクリート杭等)に限らず、フランジ幅、ウェブ高さともに100〜300mm程度のH形鋼杭を用いることもできる。
斜杭9bの傾斜角度は、例えば20度以内とする。
以上のように構成された既設港湾岸壁の補強構造においては、例えば地震時などに鋼矢板1へ作用する水平力は壁体支持部材7の縦片部7bに作用し、その荷重が横片部7aを介して杭体9に作用する。このとき、杭体9の頭部と横片部7aが結合されているので、斜杭9bに対しては主として押込み力が作用し、直杭9aに対しては主として引抜力が作用する。すなわち、斜杭9bは作用する荷重に対して押込み抵抗で抵抗し、直杭9aは引抜抵抗で抵抗する。また、斜杭9b、直杭9aともに杭の曲げ剛性、水平地盤抵抗によって水平力に抵抗する。
このように、本実施の形態では、杭頭部25と壁体支持部材7とを結合したことにより、杭体9の押込み抵抗、引抜抵抗、曲げ剛性及び水平地盤抵抗という杭としての全ての機能を有効に活用して鋼矢板1に作用する水平力に抵抗することになり、受働抵抗を効果的に高めることができる。
このように本実施の形態に係る補強構造は、杭体9の持つ機能を有効に活用できる構造であるため、杭体9を小径化できる。その結果、小型機械での施工が可能となるので、岸壁背面のわずかなスペースでの施工が可能となり、それ故に、岸壁を供用しながらの施工が実現できる。
<既設港湾岸壁の補強構造の構築方法>
次に上記のように構成された既設港湾岸壁の補強構造の構築方法を説明することによって、既設港湾岸壁の補強方法を説明する。図3〜図14は既設港湾岸壁の補強構造の構築方法の説明図であり、図3から順に施工工事が進んでいく状態を示したものである。以下、図3〜図14に基づいて補強構造の構築方法について説明する。
補強工事を開始する前の状態(図3参照)から、鋼矢板1前面の海底11を所定深さで鋼矢板1に沿って岸壁幅方向に掘削する(図4参照)。掘削は、例えば陸側からであればテレスコピック式バックホーで施工し、海側からは潜水夫またはクラムシェル船等による掘削が考えられる。
次に、鋼矢板1における壁体支持部材7の縦片部7bが施工される部位にスタッド13を打設する(図5参照)。このスタッド13が本発明の連結部材として機能する。そして、海底11の掘削箇所に壁体支持部材7の横片部7aとなるプレキャスト底盤を設置する(図6参照)。この施工は、例えば岸壁側からクレーン等または海側からクレーン船等によって施工する。横片部7aには、図6に示すように、杭を貫通させるための貫通孔15が設けられると共に、縦片との結合を確実に行なうために鉄筋17が延出されている。
次に、横片部7aと鋼矢板1との隙間に型枠を設置してこれに鉄筋コンクリートを打設して縦片部7bを形成する(図7参照)。なお、縦片部7bの寸法は、岸壁に接岸する船舶の支障とならないサイズにする。
そして、図8に示すように、小径杭を岸壁上の施工機械19によって横片を貫通するようにして施工する。杭先端部が支持層21まで到達した後、杭体9と地盤との間にグラウト23を注入する(図9参照)。そして、ヤットコ10を撤去して直杭9aの建て込みを完了する(図10参照)。
次に、図11〜図13に示すように、直杭9aと同様にして斜杭9bの建て込み作業を行う。斜杭9bの建て込みが完了すると、図14に示すように、杭頭部25と横片部7aとを杭頭鉄筋などによるRC構造として両者を結合する。
なお、杭頭部25と横片部7aとの結合をより簡易に行なうための方法として、例えば図15に示すように、横片部7aに係合部27を設けると共に杭頭部25に係合部27に係止する係止部29を設け、杭体9を回転することで係止部29が係合部27に係止して両者が連結されるような機械的結合構造にしてもよい。
また、図16に示すように、杭頭部25に支圧板31をねじ込むようにして固定し、支圧板31を固定した状態でグラウトを注入するようにしてもよい。このような機械的結合構造を併用することにより、杭頭部25と横片部7aの結合のための水中での作業を大幅に省力化することができる。
以上のように、本実施の形態に係る既設港湾岸壁の補強構造の構築方法によれば、岸壁からの施工が可能となり、岸壁を供用しながらの施工を実現することができる。
なお、上記の説明では、鋼矢板1における壁体支持部材7の縦片部7bが施工される部位にスタッド13を打設して鋼矢板1と縦片部7bを一体化する例を示したが(図5〜図7参照)、この一体化は必ずしも必要ではなく、鋼矢板1と壁体支持部材7とは直接又は間接に接触させるが、鋼矢板1にスタッド13を打設せずに単にコンクリートを打設するなどして、鋼矢板1と壁体支持部材7とを一体化させないようにしてもよい。前記一体化をする場合としない場合のそれぞれの特徴について以下説明する。
<一体化する場合>
鋼矢板1と壁体支持部材7の縦片部7bを一体化することによって、鋼矢板1の剛性に縦片部7bの剛性が足し合わされ、大きな曲げ剛性を確保することができる。したがって、前記一体化は耐震性能が大きく不足している既設構造物、例えば設計震度で0.1以上耐震性を向上させる必要があるような既設構造物を対象とするのが好ましい。
一体化に伴う作業としては、水中での既設壁体のケレン、スタッド打設、コンクリート打設といったものが必要となる。
<一体化しない場合>
縦片部7bの上端付近で壁体を前面で支持し、既設のタイロッド5と協働して2点で支持したのと同様の補強効果を奏する。
したがって、耐震性能が不足している既設構造物であって、例えば向上させるべき耐震性が設計震度で0.1未満の既設構造物を対象とするのが好ましい。
一体化しない場合には、既設壁体と壁体支持部材7の縦片部7bとの隙間にコンクリート等を充填するといった簡易な施工となり、コストが低減され、また工期も短縮化される。
なお、鋼矢板1と壁体支持部材7の縦片部7bを一体化させない場合であっても、両者は直接又は間接に接触していることから、地震時などに鋼矢板1へ作用する海側への水平力は壁体支持部材7の縦片部7bに作用し、その荷重が横片部7aを介して杭体9に作用することに変わりはない。
上記の説明から分かるように、前記一体化をする・しないは補強対象とする既設構造物の耐震性能の不足度合いにより決定すればよく、補強構造としては「一体化させるもの」のみならず、「一体化させないもの」も揃えておくことにより、最適設計および工費・工期の最小化を図ることが可能となる。
また、上記の説明では、壁体支持部材7がL型のものを説明したが、縦片がないようなI型のものであってもよい。
また、上記の説明では、横片部7aをプレキャストコンクリート(PC)とし、縦片部7bを鉄筋コンクリート(RC)とした場合を説明したが、これに限られるものではなく、横片部7aと縦片部7bの組合せは以下のようなパターンがある。
横片部7aと縦片部7b共に現場打ちに鉄筋コンクリートとする。横片部7aを鋼構造(S)とし、縦片部7bを鉄筋コンクリートとする。横片部7aを鉄骨コンクリート(SC)とし、縦片部7bを鉄筋コンクリート(RC)とする。横片部7aを鉄筋鉄骨コンクリートとし、縦片部7bを鉄筋コンクリート(RC)とする。
また、上記の説明ではL型の壁体支持部材7を横片部7aと縦片部7bを別々に形成する例を示したが、縦横一体型のL型のPC床版を用いたり、あるいはL型の鋼構造体を用いたりしてもよい。
図17、図18は壁体支持部材7としてL型の鋼構造体を用いたものの一例としてH形鋼を組み合わせてL型構造体としたものである。この場合には、横片部7aの下部に杭頭部25との結合のためのボックス部35を設けて、杭頭部25をこれに挿入して両者を結合するようにする。
なお、鋼構造にした場合において、縦片部7bと鋼矢板1との隙間には中詰め材37となるコンクリートを充填して縦片と鋼矢板1とが接触するようにする。この場合には、壁体支持部材7と鋼矢板1とが中詰め材37を介して間接的に接触する態様となる。
なお、この実施の形態では、壁体支持部材7と鋼矢板1とは、間接的に接触しているが一体化されているわけではない。
また、図19に示すように、壁体支持部材7の形状を軸直交断面が倒伏T字状になるようにすることにより、壁体支持部材7と鋼矢板1との接触面積を大きくして受働抵抗を増加させるようにしてもよい。
なお、壁体支持部材7の形状を軸直交断面が倒伏T字状にすることにより、例えば大型船舶に対応可能とするために海底地盤を掘削して増深化した場合にも、図20に示すように、対応可能となる。
また、上記の実施の形態では岸壁直交方向に直杭9aと斜杭9bをそれぞれ1本ずつ施工した例を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば図19、図20に示すように岸壁直交方向に斜杭を2本、直杭を1本施工してもよいし、斜杭と直杭の数はその他の組合せであってもよい。
上記の説明では壁体支持部材7を先に設置して、壁体支持部材7に設けた貫通孔15を貫通するようにして杭体9を施工する例を示したが、先に杭体9を設置し、その後で壁体支持部材7を設置するようにしてもよい。
また、上記の説明においては、小径杭の施工に関し、拡径掘削しながら杭体9を建て込み、その後に杭と地盤の空隙にグラウト23する方法について説明したが、これ以外に地盤を掘削してその中に柱状改良体を先行築造した後に杭を建て込む方法であってもよい。
また、上記の説明では、岸壁の供用しながら補強工事を行うことを可能にするため、杭体9として小径杭(100〜300mm)を用いる例を示したが、例えば岸壁の供用を止めて施工可能な場合は、岸壁前面に係留した杭打ち船で通常の杭(鋼管杭、H形鋼杭などの既製鋼製杭やPHC杭)を施工するようにしてもよい。
なお、小径杭を用いる場合であっても杭体9には大きな水平抵抗および支持力を期待しているところがあり、この点、小径杭を高強度化すれば、この要求性能を満足させることができる。この要求性能を満足させる仕様として、例えば、降伏点が552N/mm2以上を有するAPI規格のN80という油井用高強度小径鋼管や、JIS規格のSTK540、STKT590を例として挙げることができる。
1 鋼矢板
3 控え杭
5 タイロッド
7 壁体支持部材
7a 横片部
7b 縦片部
9 杭体
9a 直杭
9b 斜杭
10 ヤットコ
11 海底
13 スタッド
15 貫通孔
17 鉄筋
19 施工機械
21 支持層
23 グラウト
25 杭頭部
27 係合部
29 係止部
31 支圧板
35 ボックス部
37 中詰め材

Claims (5)

  1. 既設港湾岸壁の補強方法であって、岸壁の壁体前面の海底地盤を掘削する海底地盤掘削工程と、掘削した箇所に壁体を前面側から支持する壁体支持部材を施工する壁体支持部材施工工程と、前記壁体支持部材を貫通して杭体を打設する杭体打設工程と、杭体の頭部を前記壁体支持部材に連結する杭頭連結工程とを備えたことを特徴とする既設港湾岸壁の補強方法。
  2. 既設港湾岸壁の補強方法であって、岸壁の壁体前面の海底地盤を掘削する海底地盤掘削工程と、掘削した海底地盤に杭体を打設する杭体打設工程と、壁体を前面側から支持する壁体支持部材を杭体頭部に設置して両者を結合する壁体支持部材施工工程とを備えてなることを特徴とする既設港湾岸壁の補強方法。
  3. 壁体支持部材は、プレキャストコンクリート床版、鉄筋コンクリート床版、鉄骨部材、鉄骨コンクリート部材、鉄骨・鉄筋コンクリート部材のうちのいずれか1種以上からなり、壁体支持部材施工工程は前記壁体支持部材をコンクリート打設または組立施工を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の既設港湾岸壁の補強方法。
  4. 壁体支持部材施工工程は、壁体支持部材と壁体とを連結する連結施工工程を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の既設港湾岸壁の補強方法。
  5. 杭体打設工程は杭体が杭径300mm以下の小型杭を岸壁背面天端に設置した杭施工機械によって打設することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の既設港湾岸壁の補強方法。
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