JP4876991B2 - 既設岸壁の改修補強方法および改修補強構造 - Google Patents

既設岸壁の改修補強方法および改修補強構造 Download PDF

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Description

本発明は既設岸壁の改修補強方法および改修補強構造に係わり、特に、岸壁占有期間を可及的に短縮することができ、かつ条件に応じて既設矢板壁の係止位置を任意に設定可能な既設岸壁の改修補強方法およびその改修補強構造に関する。
港湾の岸壁構造として、図1(a),(b)に示すように、海に臨む岸壁面を形成する矢板壁2をタイ材4を介して陸上部に設けた控え工6にて支持するようにした矢板岸壁がある。
ところで、この様な矢板岸壁において、海底の浚渫による水深の増大化や耐震性の向上を図る等の為に改修補強が必要になることがある。従来こうした場合には、図2に示すように、矢板壁2に近接させて海側に仮設架台8(または作業台船)を設け、これに削孔機10を搭載して海側から既設タイ材4の間に位置させて矢板岸壁に削孔を形成し、この削孔にアンカー12を挿入設置して、その挿入端12aを安定した良好な地盤14に定着するのが一般的であった(例えば、特開平1−198920号公報等参照)。
また、特開平10−152821号公報には、既設の矢板壁の背後に近接して新規の鋼管杭を当該矢板壁よりも深く根入れして打設するとともに、後方地盤に既設の鋼管杭の相互間に新規な斜杭を控えとして打設し、これら新規の斜杭と矢板壁背後に設置した新規の鋼管杭との上端部同士をタイロッドで連結するようにした岸壁改造工法が提案されており、当該工法によれば、海側での施工を無くして陸上での施工で済むとしている。
また、特公平3−40169号公報には、既設控え工の背部から当該既設控え工および裏込め土砂を介して矢板壁背面における既設引張定着部材の取付位置下方に達する細孔を穿設するとともに、この細孔に連通する通孔を矢板壁に開設し、これら細孔と通孔とに挿通させて新設の引張定着部材を設けてその両端を既設控え工と既設矢板壁とに止着して、既設矢板壁を新設引張定着部材によって補強する補強方法が示されている。そして、当該補強方法によれば、裏込め土砂の撤去を行うことなく、安全かつ容易に補強を行い得るとしている。
特開平1−198920号公報 特開平10−152821号公報 特公平3−40169号公報
しかしながら、特開平1−198920号公報の既設岸壁の改修補強方法においては、工事中は岸壁が稼働できなくなり、加えて良好な地盤が深い処にある場合には、削孔長やアンカー長が長くなってしまい、工期・工費の面で不利であった。さらに、海側から削孔するので、アンカー12の矢板壁4に対する固定点が上部になってしまい、もって曲げモーメントの減少効果が少なくなって、新規の矢板壁を打設せざるを得なくなることもあった。
また、特開平10−152821号公報の岸壁改造工法では、海側での施工は無くし得ても、既設の矢板壁の背後に近接して新規の鋼管杭を打設するだけでなく、新規の斜杭と矢板壁背後に設置した新規の鋼管杭との上端部同士をタイロッドで連結するので、岸壁の臨海側の上面を広く掘りおこさねばならず、その施工中は岸壁を稼働させることができない。また、タイロッドの矢板壁に対する固定点が上部になっているので、曲げモーメントの減少効果は少なく、充分な耐曲げモーメント強度を得難いといった問題がある。
さらに、特公平3−40169号公報の矢板壁構造物の補強方法にあっては、新設引張定着部材の両端を既設控え工と既設矢板壁とに止着して、それらの間に掛け渡して設置するするようにしているが、そもそも既設控え工は新設引張定着部材を増設することを全く考慮されずに設計・設置されているものであり、しかもその経年使用により沈下等が生じている虞もあって、増設する新設引張定着部材の反力を受ける控え工として流用するに十分な強度や耐力を有しているとは言い難いという問題がある。また、爾後に既設控え工に沈下等が生じて所期の強度を失ってしまう虞も否定することができないという問題もある。
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、岸壁占有期間の短縮化を可及的に図ることができ、かつ条件に応じて既設矢板壁の係止位置を任意に設定可能で、充分な耐曲げモーメント強度を効果的に得ることができ、しかも施工にあたって岸壁の臨海側領域を可及的に広く稼働させることができる既設岸壁の改修補強方法およびその改修補強構造を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る既設岸壁の改修補強方法は、矢板壁をタイ材を介して控え工で支持してなる既設岸壁の改修補強方法であって
既設控え工の反岸壁側に、該既設控え工から離間して独立した新設控え工を所定深度まで立て込んで設置する新設控え工設置工程と、
該新設控え工の反岸壁側に位置する地表面上に削孔機を設置し、該新設控え工を貫通させて既設矢板壁の所定位置に向けて斜め下方に削孔を形成する削孔形成工程と、
該削孔内に地表面側からタイ材を挿通設置して該タイ材の両端をそれぞれ該新設控え工と該既設矢板壁とに止着する新設タイ材設置工程と、
有し、
前記新設控え工は、鋼管内にコンクリートを充填されて形成される鋼管杭であり、
前記新設控え工程では、前記鋼管杭を前記既設控え工に沿って適宜間隔を空けて複数配設し、
前記新設タイ材設置工程では、前記新設タイ材を前記鋼管杭から放射状に複数設ける、
ことを特徴とする(請求項1)。
また、前記新設の控え工が非液状化層に所定深さ根入れされて設置する構成となし得る(請求項)。
また、前記削孔機を設置する地表面は、掘削された凹所の底面となし、該底面は地盤中の残留水位よりも高い位置に設定されている構成とすることができる(請求項)。
本発明に係る既設岸壁の改修補強構造は、矢板壁をタイ材を介して控え工で支持してなる既設岸壁の改修補強構造であって、
既設控え工の反岸壁側に、該既設控え工から離間されて独立して設けられ、下端部が所定深度まで立て込まれた新設控え工と、
該新設控え工の頭部から既設矢板壁の所定位置に向けて斜め下方に延設されて、両端が該新設控え工と既設矢板壁とに止着された新設のタイ材と、
を有し、
前記新設控え工は、鋼管内にコンクリートを充填されて形成される鋼管杭であるとともに、前記既設控え工に沿って適宜間隔を空けて複数配設され、
前記新設タイ材は、前記鋼管杭から放射状に複数設けられている、
ことを特徴とする(請求項)。
上述のように構成される本発明の既設岸壁の改修補強方法によれば、陸上部の既設控え工の反岸壁側に、当該既設控え工から離間して独立した新設控え工を設置し、この新設控え工のさらに反岸壁側の地表面上に削孔機を設置して、地上から新設控え工を貫通させつつ海側の既設矢板壁に向けて斜め下方に削孔し、この削孔を通じて新設控え工と既設矢板壁とをタイ材で連結固定するので、新設タイ材の反力を十分な強度と耐力を有した新設控え工で受けて既設矢板壁を確実に補強することができる。
また、海側に大掛かりな仮設架台や作業台船を設ける必要が無いばかりか、岸壁陸上部の矢板壁近傍の臨海側領域を掘りおこす必要がない。さらに、新設控え工と削孔機とを岸壁陸上部の反臨海側領域内で矢板壁から可及的に遠ざけ配設することができる。よって、改修補強工事中も岸壁陸上部の臨海側領域を可及的に広く稼働させつつ、岸壁占有時間の大幅な短縮化を図ることができるようになる。
また、削孔機を地上に設置した削孔機から矢板壁に向けて斜め下方に削孔してタイ材を設置するので、削孔機の設置部に海水が進入することが無く、止水処理対策が不要になる。
また、新設控え工と既設矢板壁とを連結するタイ材の矢板壁への止着位置を、条件に応じて任意の高さに設定して連結することができ、矢板壁の効果的な補強を行って充分な耐曲げモーメント強度を得ることができる。
また、新設控え工に、鋼管内にコンクリートを充填形成した鋼管杭を採用することで、その剛性を高く形成することができ、1本の鋼管に複数のタイ材を放射状等に設置することが可能で、当該鋼管の設置数を減らして、工期・工費の面で有利になる。
また、新設控え工の下端を非液状化層に所定長根入させることによって、液状化現象にも対処することが可能となる。
本発明の既設岸壁の改修補強構造によれば、陸上部の既設控え工の反岸壁側に、当該既設控え工から離間されて独立した新設控え工を設置し、この新設控え工のさらに反岸壁側の地表面上に削孔機を設置して、地上から新設控え工を貫通させつつ海側の既設矢板壁に向けて斜め下方に削孔し、この削孔を通じて新設控え工と既設矢板壁とをタイ材で連結固定して構築することができる。
このため、新設タイ材の反力を十分な強度と耐力を有した新設控え工で受けて既設矢板壁を確実に補強することができる。また、海側に大掛かりな仮設架台や作業台船を設ける必要が無いばかりか、岸壁陸上部の矢板壁近傍の臨海側領域を掘りおこす必要がない。また、新設控え工と削孔機とを岸壁陸上部の反臨海側領域内で矢板壁から可及的に遠ざけ配設することができる。よって、改修補強工事中も岸壁陸上部の臨海側領域を可及的に広く稼働させつつ、岸壁占有時間の大幅な短縮化を図ることができるようになる。
以下に、本発明の実施の形態例について添付図面に基づいて詳述する。図3〜図7は本発明に係る既設岸壁の改修補強方法によって改修補強される既設岸壁の第1実施形態を示すものであり、図3はその施工途中状態を示す縦断面図、図4は図3中のA部拡大図、図5は新設の控え工の頭部を示すもので、(a)は平面図、(b)は(a)中のb−b線矢視の縦断面図である。また、図6は図3の平面図であって、説明の便宜上、土砂を除いた状態で示してある。また、図7は施工完了時の状態を示す縦断面図である。
これらの図3〜図7において、2は鋼矢板でなる既設矢板壁、4は既設タイ材、6はH鋼杭6aでなる既設控え工であり、H鋼杭6aは既設矢板壁2に沿って多数並設されていて、各H鋼杭6aの頭部は相互にコンクリート6bで一体的にコーピングされている。また、既設矢板壁2はタイ材4を介して控え工6に支持されている。即ち、当該第1の実施形態は、図1に示した矢板岸壁に対する改修補強の例を示している。
先ず、この発明の改修補強方法にあっては、図3と図6とに示してあるように、既設控え工6の反岸壁側に位置させて、当該既設控え工から離間して独立した新設控え工20を所定深度まで立て込んで設置し、その後に、当該新設控え工20のさらに反岸壁側に位置する地表面上に削孔機24を設置して、当該新設控え工20の頭部を貫通させて既設矢板壁2の所定位置に向けて斜め下方に削孔(図示省略)を形成し、この削孔内に地表面側から新設タイ材26を挿通配置してその両端を新設控え工20と既設矢板壁2とに止着して改修補強することを基本としている。
ところで、図3〜図7に示してある当該第1実施形態では、陸上部に設けられた倉庫等の施設Aにより、岸壁陸上部の既設控え工6の位置から当該施設Aまでの距離があまり大きくない場合を示している。即ち、新設タイ材26を新設控え工20の上端部付近の頭部と既設矢板壁の所望する所定高さ位置とに止着して設置するに際して、既設控え工6から施設Aまでの距離が短いと、新設タイ材26の配設予定ラインの陸上部での延長線が施設Aと干渉して、既設岸壁の地表面上には削孔機を設置するスペースが確保できない場合がある。このため、この様な場合には、既設岸壁の施設Aに近接した地表面を掘削して凹所17を形成し、当該凹所17の底面17aの地表面上に削孔機24を配設して、削孔及び新設タイ材26の設置を行うようにする。
即ち、上記の様な場合には、先ず最初の工程として、岸壁陸上部に設置されている既設控え工6の反岸壁側の地表を、所定広さで掘削して凹所17を形成する凹所形成工程が行われる。ここで、この凹所17のその広さはその掘削した底面17aにおいて、新設控え工20の設置に要するスペースと削孔機24を設置するスペースとが確保し得れば良い。また、当該凹所17の深さは、底面17aの高さが地盤中の残留水位よりも高所に位置していれば良く、その深さは諸条件に応じて適宜に設定される。
次ぎに、既設控え工6の反岸壁側に位置した凹所17の海側寄りに、新設控え工20を所定深度まで立て込む新設控え工設置工程が行われる。ここで、この実施形態では、新設控え工20には、鋼管20a内にコンクリート22が充填されて形成される鋼管杭が採用されている。即ち、鋼管20aは既設控え工6の背面である反海側に配されて、当該既設控え工6のH鋼杭6a間の位置に打設されて立て込まれる。また、鋼管20aは既設タイ材4の配設ピッチの2つ分を空けた3倍の配設ピッチで、既設控え工6に沿って並行に設けられていく。また、各鋼管20aの下端部は安定した良好な地盤である非液状化層15中に所定深さ根入れされて設けられる。
上記鋼管20aの立て込み工程(新設控え工設置工程)が終了すると、次に新設タイ材設置工程が行われる。この新設タイ材設置工程では、先ず鋼管20a内の土砂を除去した後、その反岸壁側に位置する凹所17の底面17a上に削孔機24を設置する。この削孔機24は架台25上に載置されて、その掘進方向を鋼管20aの上端部付近と既設矢板壁2の所望係止位置とを結ぶライン上に一致させられて固定設置される。そして、海側の既設矢板壁2の所望係止位置に向けて掘削して削孔を形成し、この削孔内に新設タイ材26を挿通配置する。削孔は鋼管20a並びに既設矢板壁2とを貫通させて形成し、新設タイ材26の先端26aはその矢板壁2を貫通させて突出させる。また、削孔は既設控え工6のH鋼杭6a間を通過して形成される。
上記削孔機24には高精度に掘進できる小口径推進機を使う。当該小口径推進機は発進側に置いた測量器で,推進機の内部に取り付けた発光ダイオードを視準しながら掘進する方向を修正することができ、その掘進誤差を1〜2cm程度に抑えることができるものである。
ここで、上記新設タイ材26の挿通配置に先だって、図4に示すように、既設矢板壁2における削孔の開尖予定位置の上下に腹起こし材28を予め設置しておく。腹起こし材28は2本のH型鋼28a,28bを上下に所定の間隔を空けて連結材(図示せず)によって一体的に連結形成されたものであり、既設矢板壁2の外面に取り付けたブラケット30上に載置されて固定係止される。
そして、上記新設タイ材26の先端26aが削孔から海側に突出されたならば、その先端26aを腹起こし材28を介して既設矢板壁2に止着固定する。即ち、新設タイ材26の先端26aには雄ねじ部を一体的に設けておき、この雄ねじ部を上下のH形鋼28a,28bに跨るスペーサ32を介してナット34で締結固定する。爾後、削孔機24を撤去して、新設タイ材26の他端を鋼管20aの内面に止着固定する。この固定は上記先端部26aと同様のナットによる締結、或いは溶接等であってもかまわない。
また、新設タイ材26は、1つの鋼管20aから3本が既設矢板壁2に向けて延設されており、それら3本の新設タイ材26は既設控え工6を貫通して放射状に配設されている。また、それら新設タイ材26の各先端26aはそれぞれ既設矢板壁2に対して、水平面視で既設タイ材4の止着点の中央部に延び、かつ3本の新設タイ材26は既設矢板壁2に作用する曲げモーメントが最大となる現海底面近傍の部位、例えば現海底面の上方50〜100cm程の高さの部位に向けて下降傾斜されて配設されている。なお、現海底面の上方50〜100cm程度に設定する理由は、腹起こし材28を設置する空間とその施工作業スペースを確保するためである。
ここで、図5に示すように、上記削孔を形成するにあたっては、鋼管20aにはその頭部に、小口径推進機でなる削孔機24を通過させるためのパイプ21a,21b,21cを予め設けておくことが望ましい。
また、鋼管20a内にはコンクリートが充填される。このコンクリート充填工程は、鋼管20a内にその全長に亘ってコンクリート22を充填中詰めして、当該鋼管20aを控え工の機能を有した鋼管杭に形成するために行われるものであるが、上記タイ材設置工程の前に行っても良いし、後で行うようにしても良い。
そして、タイ材設置工程が終了すると、削孔機24とその架台25等を凹所17内から撤去した後、当該凹所17を埋め戻す埋め戻し工程が行われて、図6,図7とに示したような完成状態の改修補強構造が得られる。
なお、鋼管20aは既設控え工6の背面(反岸壁側)に設けるので、当該鋼管20aを設置するにあたって、既設タイ材4と干渉することがない。よって、その管径の大きさに制約を受けることがない。従って、かなり大径の鋼管を設けることができて、コンクリート22の充填後には極めて高剛性の控え工たる鋼管杭に形成できる。このため、1本の鋼管20aに複数の新設タイ材26を止着固定しても充分に耐え得る強度を容易に確保し得る。具体的には、鋼管20aの径はφ3000〜4000mm程度とするのが望ましい。また、新設タイ材26はその長さが30m以上にも及ぶものになるが、地表面上での供給作業となるので、当該新設タイ材26には可撓性のあるロープの他、鋼棒を逐次接合させて使用することも可能である。
図8は第2実施形態を示すものである。この第2実施形態は、倉庫等の施設が既設控え工6に対し、その反岸壁側に十分な距離を有して設置されている場合を示したものである。この様に、既設控え工6と倉庫等の港湾施設との間に十分なスペースが有って、新設タイ材26の配設ラインの既設岸壁陸上部における延長線上に、港湾施設等の干渉物がないような場合には、図8に示す様に、削孔機24を既設岸壁陸上部の地表面16上に設置して、削孔の形成及び新設タイ材26の設置とを行う。また、鋼管20aはコンクリートを充填して新設タイ材26の設置工程を行う。この際、新設控え工20である鋼管20aの上端部は埋設した状態で行っても良いが、その頭部には第1実施形態と同様に、削孔機24を通過させるパイプを予め設けておき、かつ当該頭部を露出させておく方が作業効率が高く望ましい。その他の点に付いては、上述の第1実施形態と同様である。
なお、施工時おいて既設岸壁陸上部の占有率を下げてその稼働スペースと稼働時間とを確保するという観点からすると、新設控え工20と削孔機24は岸壁陸上部の反臨海側領域内で既設矢板壁2及び既設控え工6から可及的に遠ざけて設ける方が良いが、あまり遠ざけ過ぎると新設タイ材26が長くなりすぎて、その設置コストの上昇に繋がることになるので、改修補強対象の既設岸壁の諸条件に応じて設定すれば良い。
図9は本発明係る既設岸壁の改修補強方法に対する参考形態の例であり、互いに直交する2面の岸壁面を有した岸壁角部の改修補強に適用した場合の例を示している。当該図9は施工途中状態を示す平面図であり、説明の便宜上、土砂を除いた状態で示してある。ここで、これらの図において、前述した第1実施形態の例と同一の部材には同一の符合を付して簡単に説明する。
図示するように、この既設岸壁は2つの岸壁面2,2が直交する角部となっており、その直交する角部近傍の矢板壁2,2は共に所定長に亘って鋼矢板2aが採用されて形成されている。また、この所定長に亘って設けられた鋼矢板2aに連続して、その延長上には鋼管矢板2bが採用されて矢板壁2が形成されている。そして、既設岸壁地上部側には、直交する両矢板壁2,2をそれぞれ支持する既設控え工6,6と既設タイ材4,4とが、やはり直交するようにして設けられており、互いに直交する両矢板壁2,2に対応された既設タイ材4,4は上下に位置をずらされて直角に交叉している。また、既設控え工6には、頭部がコンクリート6bでコーピングされたH鋼杭6aが採用されている。
して、その施工手順は、前述の第1実施形態及び第2実施形態と概ね同様であるが、当該参考形態では新設控え工20にも既設控え工6と同様の頭部がコンクリート20cでコーピングされたH鋼杭20bが採用されている点が異なる。即ち、既設控え工6に沿ってその反岸壁側に、当該既設控え工6から離間して独立した新設控え工20として、H鋼杭20bが多数所定間隔を空けて所定深さに根入れされて設置された後に、これらH鋼杭20bの頭部を一体的に繋いでコンクリート20cが打設されてコーピングされる。
なお、上述した本発明の各実施形態では、既設控え工6には頭部がコンクリート6bでコーピングされたH鋼杭6aが設置されている例を示しているが、当該既設控え工に鋼矢板が用いられている場合であっても、その鋼矢板を貫通させて削孔を形成することで問題なく本発明を適用し得る。
本発明の適用対象となる既設矢板岸壁の構造を示す図で、(a)は縦断面図、(b)は平面図である。 従来における既設矢板岸壁の補強方法および構造を示す図で、(a)は縦断面図、(b)は平面図である。 本発明に係わる既設岸壁の改修補強方法によって改修補強される既設岸壁の第1実施形態例を示すもので、その施工途中状態を示す縦断面図である。 図3中のA部の拡大図である。 新設控え工の頭部を示すもので、(a)は平面図、(b)は(a)中のb−b線矢視の縦断面図である。 上記第3図の平面図である。 上記第1実施形態例の施工完了時の状態を示す縦断面図である。 削孔機を既設岸壁の地表面上に設置して施工する第2実施形態例の縦断面図である。 本発明に係る既設岸壁の改修補強方法に対する参考形態の例を示す平面図である。
符号の説明
2 既設矢板壁 4 既設タイ材
6 既設控え工 16 既設岸壁地表面
17 凹所 17a 凹所底面(地表面)
20 新設控え工 20a 鋼管
20b H鋼杭 20c コンクリート(コーピング)
22 充填コンクリート 24 削孔機
26 新設タイ材 28 腹起こし材

Claims (4)

  1. 矢板壁をタイ材を介して控え工で支持してなる既設岸壁の改修補強方法であって
    既設控え工の反岸壁側に、該既設控え工から離間して独立した新設控え工を所定深度まで立て込んで設置する新設控え工設置工程と、
    該新設控え工の反岸壁側に位置する地表面上に削孔機を設置し、該新設控え工を貫通させて既設矢板壁の所定位置に向けて斜め下方に削孔を形成する削孔形成工程と、
    該削孔内に地表面側からタイ材を挿通設置して該タイ材の両端をそれぞれ該新設控え工と該既設矢板壁とに止着する新設タイ材設置工程と、
    を有し、
    前記新設控え工は、鋼管内にコンクリートを充填されて形成される鋼管杭であり、
    前記新設控え工程では、前記鋼管杭を前記既設控え工に沿って適宜間隔を空けて複数配設し、
    前記新設タイ材設置工程では、前記新設タイ材を前記鋼管杭から放射状に複数設ける、
    ことを特徴とする既設岸壁の改修補強方法。
  2. 前記新設の控え工が非液状化層に所定深さ根入れされて設置されることを特徴とする請求項1に記載の既設岸壁の改修補強方法。
  3. 前記削孔機を設置する地表面が、掘削された凹所の底面であり、該底面は地盤中の残留水位よりも高い位置に設定されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の既設岸壁の改修補強方法。
  4. 矢板壁をタイ材を介して控え工で支持してなる既設岸壁の改修補強構造であって、
    既設控え工の反岸壁側に、該既設控え工から離間されて独立して設けられ、下端部が所定深度まで立て込まれた新設控え工と、
    該新設控え工の頭部から既設矢板壁の所定位置に向けて斜め下方に延設されて、両端が該新設控え工と既設矢板壁とに止着された新設のタイ材と、
    を有し、
    前記新設控え工は、鋼管内にコンクリートを充填されて形成される鋼管杭であるとともに、前記既設控え工に沿って適宜間隔を空けて複数配設され、
    前記新設タイ材は、前記鋼管杭から放射状に複数設けられている、
    ことを特徴とする既設岸壁の改修補強構造。
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