JP2020122288A - 洋上風力発電用基礎の下部構造および洋上風力発電用基礎の下部構造の施工方法 - Google Patents

洋上風力発電用基礎の下部構造および洋上風力発電用基礎の下部構造の施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】杭を打設せずにジャケット構造物を水底に確実に固定できる洋上風力発電用基礎の下部構造および洋上風力発電用基礎の下部構造の施工方法を提供すること。【解決手段】中空状の鋼管で形成される複数のレグ3と、複数のレグ3を連結する連結部材7とを有するジャケット構造物1を陸上で構築する。レグ3の下端部には支持部である底版5を取り付ける。次に、ジャケット構造物1を現場に運搬して沈設し、底版5を水底の岩盤19上に配置して、レグ3の下端部を底版5で支持する。そして、グランドアンカー25をレグ3の内部29を通し底版5を貫通させて配置し、グランドアンカー25の一端を岩盤19内に定着させ、他端をレグ3の水面21より上の部分に固定された定着板23に定着させて、グランドアンカー25によってジャケット構造物1を岩盤19に対して固定する。【選択図】図4

Description

本発明は、洋上風力発電用基礎の下部構造および洋上風力発電用基礎の下部構造の施工方法に関するものである。
洋上風車の基礎形式には、モノパイル基礎、杭基礎、重力式基礎等がある。杭基礎では、基礎の上にジャケットを設置し、ジャケットの上に風車タワーを接合することがある。ジャケットを支持する杭の施工方法として、杭ガイド部材の内部に挿入した掘削ドリルで水底地盤に掘削孔を形成し、杭ガイド部材を通して掘削孔に中空杭を設置した後、中空杭の外周面と掘削孔との隙間および中空杭の内部にセメントミルクを充填する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
特許第3843045号公報
しかしながら、特許文献1記載の方法のように杭を用いる基礎形式では、一般的に杭の引き抜き抵抗は杭の周面摩擦力に依存するため、根入れ深さを充分長く(例えば30〜40m程度)する必要があるが、水底地盤が岩盤である場合には杭を打設するのに時間がかかったり、杭の打設時に岩盤が割れて想定した支持力が得られなかったりする。しかし、杭打ちを行わない重力式基礎では、近年の大型化した洋上風車に見合う大きさの重力式基礎を施工するのは容易ではない。
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすることは、杭を打設せずにジャケット構造物を水底に確実に固定できる洋上風力発電用基礎の下部構造および洋上風力発電用基礎の下部構造の施工方法を提供することである。
前述した目的を達成するために第1の発明は、洋上風力発電用基礎の下部構造であって、中空状の鋼管で形成される複数のレグと、前記複数のレグを連結する連結部材と、からなるジャケット構造物を具備し、前記レグの下端部が水底地盤に設置された支持部により支持され、前記ジャケット構造物が、一端が前記水底地盤内に定着されたグランドアンカーによって前記水底地盤に対して固定されることを特徴とする洋上風力発電用基礎の下部構造である。
第1の発明では、レグの下端部が水底地盤に設置された支持部により支持され、ジャケット構造物がグランドアンカーによって水底地盤に対して固定されるので、ジャケット構造物からの押込み力についてはレグから支持部により水底地盤に伝え、引き抜き力についてはグランドアンカーにより抵抗することが可能になる。そのため、杭を打設せずにジャケット構造物を水底に確実に固定することができる。
前記グランドアンカーの他端が、水上部分に形成された定着部に定着されることが望ましい。
これにより、グランドアンカーを施工する際に水中でのダイバー作業が不要となる。
前記グランドアンカーが、前記レグの内部を通して配置されることが望ましい。
これにより、海水による腐食や漂流物による損傷等からグランドアンカーを保護することができる。
複数の前記グランドアンカーが設けられ、複数の前記グランドアンカーは前記水底地盤内の異なる深さに定着されてもよい。
これにより、複数のグランドアンカーが近接して配置されている場合にも、各グランドアンカーを水底地盤内に確実に定着させることができる。
前記レグの内部に中詰め材が充填されてもよい。
これにより、ジャケット構造物の重量を適切に調整することができる。
前記支持部が前記水底地盤上に設置された底版であり、前記グランドアンカーが、前記底版を貫通して配置されることが望ましい。
これにより、グランドアンカーを所定の位置に確実に配置することができる。
支持部が底版である場合、前記底版の上面と前記レグの外周面とによって形成される入隅部がリブ材で補強されてもよい。また、前記底版が、上面プレートと、下面プレートと、前記上面プレートと前記下面プレートとを連結する縦リブ材とからなってもよい。
これらにより、底版を軽量化するとともに強度を確保することができる。
前記支持部が前記水底地盤を掘削して形成された前記レグの根固めコンクリートであってもよい。
これにより、水底の不陸や傾斜に対しての適用性を高めることができる。
第2の発明は、洋上風力発電用基礎の下部構造の施工方法であって、中空状の鋼管で形成される複数のレグを有するジャケット構造物を構築する工程aと、前記ジャケット構造物を現場に運搬し、前記レグの下端部を水底地盤に設置された支持部で支持する工程bと、前記ジャケット構造物をグランドアンカーによって前記水底地盤に対して固定する工程cと、を具備し、前記工程cで、前記グランドアンカーの一端を前記水底地盤内に定着させることを特徴とする洋上風力発電用基礎の下部構造の施工方法である。
第2の発明では、レグの下端部を水底地盤に設置された支持部で支持し、ジャケット構造物をグランドアンカーによって水底地盤に対して固定するので、ジャケット構造物からの押込み力については支持部により水底地盤に伝え、引き抜き力についてはグランドアンカーにより抵抗する構造とすることが可能になる。そのため、杭を打設せずにジャケット構造物を水底に固定することができる。
前記支持部が前記レグを支持する底版であり、前記工程aで、前記レグの下端部に前記底版を取り付け、前記工程bで、前記底版を前記水底地盤上に配置し、前記工程cで、前記グランドアンカーを前記レグの内部を通し前記底版を貫通させて配置し、前記グランドアンカーの他端を水上部分に形成された定着部に定着させることが望ましい。
工程aでレグの下端部に底版を取り付ければ、水上や水中での作業を最小限にできる。また、工程cでグランドアンカーをレグの内部を通し底版を貫通させて配置すれば、グランドアンカーを所定の位置に確実に配置することができるとともに、海水による腐食や漂流物による損傷等からグランドアンカーを保護することができる。さらに、グランドアンカーの他端を下部構造体の水上部分に形成された定着部に定着すれば、グランドアンカーを施工する際に水中でのダイバー作業が不要となる。
また、前記支持部が前記レグの根固めコンクリートであり、前記工程bで、前記水底地盤に掘削された掘削部に前記レグの下端部を配置した後、前記掘削部にコンクリートを充填して前記根固めコンクリートを形成し、前記工程cで、前記グランドアンカーを前記レグの内部を通して配置し、前記グランドアンカーの他端を水上部分に形成された定着部に定着させてもよい。
工程bで根固めコンクリートを形成すれば、水底の不陸や傾斜に対しての適用性を高めることができる。また、工程cでグランドアンカーをレグの内部を通して配置すれば、海水による腐食や漂流物による損傷等からグランドアンカーを保護することができる。さらに、グランドアンカーの他端を下部構造体の海上部分に形成された定着部に定着すれば、グランドアンカーを施工する際に水中でのダイバー作業が不要となる。
本発明によれば、杭を打設せずにジャケット構造物を水底に確実に固定できる洋上風力発電用基礎の下部構造および洋上風力発電用基礎の下部構造の施工方法を提供できる。
ジャケット構造物1を構築する工程を示す図。 レグ3と底版5との接合部付近を示す図。 ジャケット構造物1を岩盤19上に設置する工程を示す図。 ジャケット構造物1を岩盤19に固定する工程を示す図。 中詰め砂31を充填する工程を示す図。 下部構造49aを示す図。 下部構造49b、49cを示す図。 下部構造49dを示す図。 他の底版5a、5bの例を示す図。 下部構造49eを施工する工程を示す図。 下部構造49eを施工する工程を示す図。 下部構造49eを施工する工程を示す図。 レグ3の内部のグランドアンカー25に光ファイバセンサ45を組み込んだ例を示す図。
以下、図面に基づいて本発明の第1の実施形態について詳細に説明する。図1は、ジャケット構造物1を構築する工程を示す図である。図2は、レグ3と底版5との接合部付近を示す図である。図2は、図1に示す矢印A−Aによる断面図である。図3は、ジャケット構造物1を岩盤19上に設置する工程を示す図である。
図1から図3に示すように、ジャケット構造物1は、中空状の鋼管で形成される複数のレグ3、レグ3を連結する連結部材7等からなる。
レグ3の下端部は支持部である底版5で支持される。底版5は、上面プレート9、下面プレート11、縦リブ材13等からなる。縦リブ材13は、上面プレート9と下面プレート11とを連結する。底版5の上面プレート9とレグ3の外周面とによって形成される入隅部は、リブ材15で補強される。このような構成とすれば、底版5を軽量化するとともに強度を確保することができる。
底版5は、例えば、複数のH型鋼を接合して形成される。この場合、フランジが上面プレート9および下面プレート11となり、ウェブが縦リブ材13となる。
底版5には、上面プレート9および下面プレート11を貫通する鞘管17が固定される。鞘管17は、レグ3の軸方向と平行に設けられる。
レグ3の上部には、定着板23(図3参照)が設けられる。定着板23は、ガイド孔24と、図示しない充填用孔とを有する。ガイド孔24はレグ3の軸方向から見て底版5に固定された鞘管17に対応する位置に設けられる。充填用孔はガイド孔24と連ならないように設けられることが望ましい。定着板23は鋼製であり、図示しないブラケットでレグ3の内周面に固定される。
図1に示す工程では、陸上でジャケット構造物1を構築する。ジャケット構造物1のレグ3には底版5を取り付ける。図3に示す工程では、底版5を取り付けたジャケット構造物1を起重機船で現場まで運搬し、水底の岩盤19上に沈設する。底版5は岩盤19に接し、レグ3の下端部を支持する。
図4は、ジャケット構造物1を岩盤19に固定する工程を示す図である。図4に示す工程では、ジャケット構造物1の水面21より上の部分に設置した図示しない削孔機を用いて、レグ3の内部29から岩盤19を削孔する。削孔時には、ガイド孔24および鞘管17をガイドとして用いる。
そして、レグ3および鞘管17を通してグランドアンカー25を打設し、グランドアンカー25の下端をアンカー体27によって岩盤19に定着する。このとき、複数のグランドアンカー25が近接していれば、図4に示すようにアンカー体27を水底の岩盤19内の異なる深さに形成することが望ましい。グランドアンカー25が近接していなければ、アンカー体27を岩盤19内の同じ深さに形成してもよい。グランドアンカー25の上端は、水面21より上に位置する定着板23に定着具33によって定着する。こうして、レグ3の内部29を通り底版5を貫通するグランドアンカー25によって、ジャケット構造物1を水底の岩盤19に対して固定する。
グランドアンカーは、アンカー体を岩盤に施工する際の設計基準や施工方法が確立されており、岩盤に杭を施工する場合と比較して削孔する孔の径や深さが小さい。そのため、削孔時に岩盤19に亀裂が生じにくく、岩盤19にアンカー体27を定着させて確実に支持力を得ることができる。
図5は、中詰め砂31を充填する工程を示す図である。図5に示す工程では、定着板23に設けられた図示しない充填孔を用いて、レグ3の内部29に中詰め砂31を充填する。中詰め砂31は、図5(a)に示すように定着板23の高さまで充填しても良いし、図5(b)に示すように水中の所定の高さまで充填してもよい。充填量は、中詰め砂31の重量によってレグ3に作用する力を考慮して決定される。これにより、洋上風力発電用基礎の下部構造49が完成する。
このように、第1の実施形態によれば、底版5を含むジャケット構造物1を陸上で製作するので、水中や水底で支持部である底版5にレグ3を接合する必要がなく、SEP(自己昇降式作業台船)を用いた作業を最小限にできる。
下部構造49では、レグ3の支持部である底版5とグランドアンカー25とを併用するので、ジャケット構造物1からの押込み力については底版5により岩盤19に伝え、引き抜き力についてはグランドアンカー25により抵抗する構造とすることが可能になる。そのため、杭を打設せずにジャケット構造物1を水底に固定することができる。
下部構造49では、グランドアンカー25をレグ3の内部29を通し、底版5を貫通させて配置するので、グランドアンカー25を所定の位置に確実に配置することができるとともに、海水による腐食や漂流物による損傷等からグランドアンカー25を保護することができる。また、グランドアンカー25の他端をレグ3の水上部分に形成された定着部に定着するので、グランドアンカー25を施工する際に水中でのダイバー作業が不要となる。さらに、レグ3に中詰め砂31を充填することにより、ジャケット構造物1の重量を適切に調整することができる。
以下、本発明の別の例について、第2〜第5の実施形態として説明する。各実施形態はそれまでに説明した実施形態と異なる点について説明し、同様の構成については図等で同じ符号を付すなどして説明を省略する。また、第1の実施形態も含め、各実施形態で説明する構成は必要に応じて組み合わせることができる。
第2の実施形態について説明する。図6は、本発明の第2の実施形態に係る下部構造49aを示す図である。
この下部構造49aは、高低差のある岩盤19a上に設置される点で第1の実施形態の下部構造49と主に異なる。下部構造49aのジャケット構造物1aは、複数のレグのうち、一部のレグ3aの長さが短い。
下部構造49aは、第1の実施形態の下部構造49と同様の手順で施工される。陸上でジャケット構造物1aを構築する際には、岩盤19aの高低差を考慮してレグ3、3aの長さを決定する。
第2の実施形態では、複数のレグの長さが異なるジャケット構造物1aを用いることにより、水底の岩盤に高低差がある場合にも下部構造を容易に施工できる。
第3の実施形態について説明する。図7は、本発明の第3の実施形態に係る下部構造49b、49cを示す図である。
図7(a)に示す下部構造49bは、レグ3の内部のグランドアンカー25に加えて、レグ3の外側にグランドアンカー25aが設けられる点で第1の実施形態の下部構造49と主に異なる。
下部構造49bでは、ガイド孔24aを有する定着板23aがレグ3の外周に固定される。また、底版5に鞘管17aが固定される。鞘管17aは、レグ3の軸方向から見てガイド孔24aに対応する位置に配置される。
下部構造49bは、第1の実施形態の下部構造49と同様の手順で施工される。グランドアンカー25aは、グランドアンカー25と前後して、ガイド孔24aおよび鞘管17aをガイドとして岩盤19を削孔して打設する。グランドアンカー25aの下端はアンカー体27aによって岩盤19に定着し、上端は定着具33aによって定着板23aに定着する。
図7(b)に示す下部構造49cは、レグ3の内部にグランドアンカーが設けられず、レグ3の外側のみにグランドアンカー25aが設けられる点で第1の実施形態の下部構造49と主に異なる。
第3の実施形態の下部構造49b、49cは、ジャケット構造物1b、1cに大きな引抜き力が作用することが想定され、必要とされる本数のグランドアンカーをレグ3の内部29に配置できない場合などに有効である。下部構造49b、49cにおいて、ガイド孔24aと鞘管17aとの間に図示しないシース管を設ければ、海水による腐食や漂流物による損傷等からグランドアンカー25aを保護することができる。
第4の実施形態について説明する。図8は、本発明の第4の実施形態に係る下部構造49dを示す図である。
下部構造49dは、レグ3および連結部材7に囲まれた空間にグランドアンカー25bが設けられる点で第1の実施形態の下部構造49と主に異なる。
下部構造49dでは、下部構造49のジャケット構造物1d上に接合された、風車タワーとの接続部材35の内部に定着板37が固定される。定着板37はガイド孔24bを有する。
下部構造49dを施工するには、第1の実施形態と同様に陸上でジャケット構造物1dを構築し、岩盤19上にジャケット構造物1dを沈設する。次に、ジャケット構造物1d上に接続部材35を接合する。そして、ガイド孔24bをガイドとして岩盤19を削孔し、グランドアンカー25bを打設する。グランドアンカー25bの下端はアンカー体27bによって岩盤19に定着し、上端は定着具33bによって定着板37に定着する。
第4の実施形態の下部構造49dも、ジャケット構造物1dに大きな引抜き力が作用することが想定され、必要とされる本数のグランドアンカーをレグ3の内部29に配置できない場合などに有効である。グランドアンカー25bはレグ3および連結部材7で囲まれた空間に配置されているので、漂流物による損傷等から保護することができる。
なお、底版5の構成は第1から第4の実施形態に示したものに限らない。図9は、他の底版5a、5bの例を示す図である。
図9(a)に示す底版5aは、所定の厚さを有する1枚の鋼板である。底版5aは、鞘管の代わりに、上面から下面まで貫通するガイド孔39を有する。底版5aを用いる場合、ガイド孔39をガイドとして岩盤を削孔してグランドアンカーを打設する。
図9(b)に示す底版5bは、所定の厚さを有する1枚の鋼板である。底版5bはレグ3の内部29と略同径の孔41を有し、底版5bの上面および下面には孔41よりも大きなガイドプレート43が固定される。ガイドプレート43は、ガイド孔39aを有する。底版5bを用いる場合、ガイド孔39aをガイドとして岩盤を削孔してグランドアンカーを打設する。
第5の実施形態について説明する。図10から図12は、下部構造49eを施工する工程を示す図である。
図12に示す下部構造49eは、レグ3の支持部が根固めコンクリート53である点で第1の実施形態の下部構造49と主に異なる。下部構造49eでは、水底の岩盤19に設置された根固めコンクリート53でレグ3の下端部を支持する。
図10(a)に示す工程では、水底の岩盤19に掘削部51を形成する。掘削部51は、図示しない全旋回掘削機を用いて掘削された複数の円柱形の空間を連結することにより、所定の大きさに形成される。掘削部51の形成と前後して、陸上でジャケット構造物1eを構築する。
図10(b)に示す工程では、ジャケット構造物1eを起重機船で現場まで運搬し、水底の岩盤19上に沈設して、レグ3の下端部を掘削部51内に挿入する。図11に示す工程では、掘削部51にコンクリートを充填して根固めコンクリート53を形成する。根固めコンクリート53へのレグ3の根入れ深さは、レグ3の直径と同等以上とし、レグ3の鉛直支持力上必要となる根入れ深さを確保できるように決定する。
図12に示す工程では、ジャケット構造物1eの海上部分に設置した図示しない削孔機を用いて、レグ3の内部29から岩盤19を削孔する。削孔時には、定着板23のガイド孔24をガイドとして用いる。そして、レグ3を通してグランドアンカー25を打設し、グランドアンカー25の下端をアンカー体27によって岩盤19に定着する。グランドアンカー25の上端は、水上部分に形成された定着板23に定着具33によって定着する。こうして、レグ3の内部29を通るグランドアンカー25によって、ジャケット構造物1eを水底の岩盤19に対して固定する。その後、定着板23に設けられた図示しない充填孔を用いてレグ3の内部29に中詰め砂31を充填し、洋上風力発電用基礎の下部構造49eを完成する。
第5の実施形態では、岩盤19に掘削した掘削部51にレグ3の下端部を挿入した後にコンクリートを充填し、レグ3を支持する根固めコンクリート53を形成する。そのため、水底の岩盤19に不陸や傾斜がある場合にも下部構造49eを容易に施工することができる。
下部構造49eでは、レグ3の支持部である根固めコンクリート53とグランドアンカー25とを併用するので、ジャケット構造物1eからの押込み力については根固めコンクリート53により岩盤19に伝え、引き抜き力についてはグランドアンカー25により抵抗する構造とすることが可能になる。そのため、杭を打設せずにジャケット構造物1eを水底に固定することができる。
下部構造49eでは、グランドアンカー25をレグ3の内部29を通して配置するので、海水による腐食や漂流物による損傷等からグランドアンカー25を保護することができる。また、グランドアンカー25の他端をレグ3の水上部分に形成された定着部に定着するので、グランドアンカー25を施工する際に水中でのダイバー作業が不要となる。さらに、レグ3に中詰め砂31を充填することにより、ジャケット構造物1eの重量を適切に調整することができる。
第5の実施形態のように予め形成した掘削部51にジャケット構造物1eのレグ3を配置する場合や、予め形成した杭基礎上にジャケット構造物を配置する場合には、ジャケット構造物1を精度よく沈設する必要がある。それに対し、第1から第4の実施形態のように底版5をレグ3に取り付けた状態でジャケット構造物を沈設する場合は、沈設位置の誤差の許容範囲を大きくできる。
なお、第1から第5の実施形態では、レグの内部に充填される中詰め材として中詰め砂31を用いたが、中詰め材は砂に限らない。例えば、岩盤19等の海底地盤の削孔によって現場で発生した土砂材料を用いた流動化処理土を中詰め材としてもよい。
なお、第1から第5の実施形態では、グランドアンカー25を打設してジャケット構造物を水底の岩盤に固定した後にレグ3に中詰め砂31を充填したが、レグ3に中詰め砂31を充填した後にグランドアンカー25を打設してジャケット構造物を岩盤に固定してもよい。この場合、レグ3の内部にグランドアンカー25を配置するためにガイド孔24から鞘管17に亘るシース管を予め配置しておき、中詰め砂31をシース管の外部に充填することが望ましい。
第1から第5の実施形態では、洋上風車の供用中にグランドアンカーの張力を計測してもよい。図13は、レグ3の内部のグランドアンカー25に光ファイバセンサ45を組み込んだ例を示す図である。図13に示す例では、グランドアンカー25のストランドに張力を計測するための光ファイバセンサ45が組み込まれ、光ファイバセンサ45が制御装置47に接続される。洋上風車の供用時に制御装置によって張力の計測値を送信すれば、グランドアンカーの不具合を遠隔管理することができ、下部構造の安全性を担保できる。張力の計測は、光ファイバセンサに限らず、磁気を用いたセンサで行ってもよい。
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1、1a、1b、1c、1d、1e………ジャケット構造物
3、3a………レグ
5、5a、5b………底版
7………連結部材
9………上面プレート
11………下面プレート
13………縦リブ材
15………リブ材
17、17a………鞘管
19、19a………岩盤
21………水面
23、23a、37………定着板
24、39、39a………ガイド孔
25、25a、25b………グランドアンカー
27、27a、27b………アンカー体
29………内部
31………中詰め砂
33、33a、33b………定着具
35………接続部材
41………孔
43………ガイドプレート
45………光ファイバセンサ
47………制御装置
49、49a、49b、49c、49d………下部構造
51………掘削部
53………根固めコンクリート

Claims (12)

  1. 洋上風力発電用基礎の下部構造であって、
    中空状の鋼管で形成される複数のレグと、
    前記複数のレグを連結する連結部材と、
    からなるジャケット構造物を具備し、
    前記レグの下端部が水底地盤に設置された支持部により支持され、
    前記ジャケット構造物が、一端が前記水底地盤内に定着されたグランドアンカーによって前記水底地盤に対して固定されることを特徴とする洋上風力発電用基礎の下部構造。
  2. 前記グランドアンカーの他端が、水上部分に形成された定着部に定着されることを特徴とする請求項1記載の洋上風力発電用基礎の下部構造。
  3. 前記グランドアンカーが、前記レグの内部を通して配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洋上風力発電用基礎の下部構造。
  4. 複数の前記グランドアンカーが設けられ、複数の前記グランドアンカーは前記水底地盤内の異なる深さに定着されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の洋上風力発電用基礎の下部構造。
  5. 前記レグの内部に中詰め材が充填されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の洋上風力発電用基礎の下部構造。
  6. 前記支持部が前記水底地盤上に設置された底版であり、前記グランドアンカーが、前記底版を貫通して配置されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の洋上風力発電用基礎の下部構造。
  7. 前記底版の上面と前記レグの外周面とによって形成される入隅部がリブ材で補強されることを特徴とする請求項6記載の洋上風力発電用基礎の下部構造。
  8. 前記底版が、上面プレートと、下面プレートと、前記上面プレートと前記下面プレートとを連結する縦リブ材とからなることを特徴とする請求項6または請求項7記載の洋上風力発電用基礎の下部構造。
  9. 前記支持部が前記水底地盤を掘削して形成された前記レグの根固めコンクリートであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の洋上風力発電用基礎の下部構造。
  10. 洋上風力発電用基礎の下部構造の施工方法であって、
    中空状の鋼管で形成される複数のレグを有するジャケット構造物を構築する工程aと、
    前記ジャケット構造物を現場に運搬し、前記レグの下端部を水底地盤に設置された支持部で支持する工程bと、
    前記ジャケット構造物をグランドアンカーによって前記水底地盤に対して固定する工程cと、
    を具備し、
    前記工程cで、前記グランドアンカーの一端を前記水底地盤内に定着させることを特徴とする洋上風力発電用基礎の下部構造の施工方法。
  11. 前記支持部が前記レグを支持する底版であり、
    前記工程aで、前記レグの下端部に前記底版を取り付け、
    前記工程bで、前記底版を前記水底地盤上に配置し、
    前記工程cで、前記グランドアンカーを前記レグの内部を通し前記底版を貫通させて配置し、前記グランドアンカーの他端を水上部分に形成された定着部に定着させることを特徴とする請求項10記載の洋上風力発電用基礎の下部構造の施工方法。
  12. 前記支持部が前記レグの根固めコンクリートであり、
    前記工程bで、前記水底地盤に掘削された掘削部に前記レグの下端部を配置した後、前記掘削部にコンクリートを充填して前記根固めコンクリートを形成し、
    前記工程cで、前記グランドアンカーを前記レグの内部を通して配置し、前記グランドアンカーの他端を水上部分に形成された定着部に定着させることを特徴とする請求項10記載の洋上風力発電用基礎の下部構造の施工方法。
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