JP4132320B2 - 基礎構築方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ケーソン工法にて軟弱な地盤上に基礎を構築する基礎構築方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、橋脚をはじめとする構造物の基礎をケーソン工法により水中の軟弱地盤上に構築する場合は、地上で構築した函体からなる構造体を、その自重または圧入により所定の地層に達するまで沈下させた後、底部にコンクリートを打ち、内部を砂等で埋め、上部に版状の蓋を設けて基礎とすることにより行ってきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記方法により基礎を構築する場合は、所定の位置に設置するには、沈下速度(圧入速度)、位置、方向等を制御するのが難しく、さらには、設備が大がかりになるという問題があった。
【0004】
そこで、前記問題を解決するために、この発明に係る基礎構築方法は、簡易に所定位置に設置でき、ケーソンの沈下を伴わないケーソン工法にて軟弱な地盤上に基礎を構築する基礎構築方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、前記目的を達成するために、この発明に係る基礎構築方法は、ケーソン工法により軟弱な地盤上に基礎を構築する基礎構築方法であって、設置領域の地盤を掘削し、前記設置領域内の計画領域の周囲に矢板を打設し、前記矢板で囲まれた前記計画領域に係る地盤を、基礎が埋設する深度まで掘削し、前記計画領域内に、基礎完成後に地表面下に埋没される二重壁の鋼殻ケーソンからなる下部ケーソンと基礎完成後に地表面上にて解体される一重壁の鋼殻ケーソンからなる上部ケーソンとを備えるケーソンを設置し、前記下部ケーソンに充填物を打設し、前記下部ケーソンの上部および前記上部ケーソン内にコンクリートを打設して、スラブおよび基礎躯体を構築し、前記上部ケーソンを解体撤去し、前記下部ケーソンの周囲に係る前記計画領域および前記設置領域を埋め戻すことを特徴とする。
【0006】
すなわち、設置する領域を予め掘削しておく設置ケーソン工法において、基礎を構築する周囲に矢板を打設することにより、周囲の軟弱な地盤が崩れ落ちるのを防止できるため、所定の位置への設置を容易とし、あわせて、掘削土量を減少させることができるところに特徴がある。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿って、この発明に係る橋脚基礎構築方法の本実施の形態及び参考例を説明する。
図1は、この発明に係る基礎構築方法の本実施の形態の工程図であり、図2は、この発明に係る基礎構築方法の本実施の形態の概要正断面図であり、左側は基礎構築中を示し、右側は基礎完成後を示す図であり、図3は、この発明に係る基礎構築方法の参考例の工程図であり、図4は、この発明に係る基礎構築方法の参考例の概要正断面図であり、左側は基礎構築中を示し、右側は基礎完成後を示す図である。
【0008】
まず、図1、図2に基づき、この発明に係る基礎構築方法の本実施の形態を説明する。なお、本実施の形態(図1、図2参照)では、地盤Gは、水面2下の軟弱地盤においての基礎構築方法を示している。
【0009】
本実施の形態は、まず、設置領域3の地盤Gを掘削する(図1(a)参照)。ここで、設置領域3とは、基礎を構築する所定の箇所を中心とした所定箇所より広い領域である。なお、設置領域3の掘削作業は、クラムシェルやグラブバケット等のような地盤Gを掘削する事ができる排土機械等により行えばよい。
次に、設置領域3内の計画領域5の周囲に矢板4を打設する(図1(b)参照)。ここで、計画領域5とは、基礎を構築する所定の箇所よりやや広い範囲の領域であって、基礎が構築される深度(計画深度)まで掘削される領域である。計画領域5の周囲に矢板4を打設することにより、基礎を構築する際に構築中の基礎より外方の地盤Gが流れ落ちたり、崩れ落ちるのを防止することができる。また、完成後も埋設されているので、地震等の影響をも減少することができる。さらには、掘削土量をも減少することが可能となる。
次に、計画領域5に係る地盤Gを基礎が埋没する深度まで掘削する(図1(c)参照)。ここで、掘削作業は前記と同様に地盤Gを掘削する事が可能である排土機械等により行えばよい。これにより、ケーソン6を所定の位置に設置することが容易となる。
【0010】
次に、計画領域5内の所定の箇所にケーソン6を設置する(図1(d)参照)。ここで、前記ケーソン6は、基礎完成後、地表面1下に埋設され、基礎として一体化する下部ケーソン6bと、完成後地表面1上にて解体される上部ケーソン6aから構成される。前記ケーソン6は、水面2下の軟弱地盤に基礎を構築する場合は、組み立てられた前記ケーソン6を浮かせて、クレーン船等で設置する所定の箇所まで曳航して運び、水面2下に沈下させることにより行う。前記下部ケーソン6bは、水面2下の軟弱地盤に基礎を構築する場合は、鋼殻ケーソンであり、二重壁ケーソンであるのが望ましい。前記下部ケーソン6bは、重量が大きくなるため、クレーン船等で曳航するのには適しているからである。ただし、この下部ケーソン6bは、通常のコンクリート製のケーソンであってもよい。この下部ケーソン6bは、地中に埋設され、基礎の一部を構成することになる。また、前記上部ケーソン6aは、水面2下の軟弱地盤に基礎を構築する場合は、鋼殻ケーソンであり、一重壁ケーソンであるのが望ましい。基礎構築後、解体されること、および、クレーン船等で曳航することに適しているからである。この上部ケーソン6aは、水面2下の軟弱地盤に基礎を構築する場合は、水圧を防ぎ、基礎躯体9の構築を容易ならしめるために用いられるものである。したがって、基礎躯体9完成後、この上部ケーソン6aは、撤去されることとなる。
【0011】
次に、ケーソン6の内部に充填物7、例えば、砂利、砂、コンクリート等、特に、水面2下の軟弱地盤に基礎を構築する場合は、水中コンクリート等を充填する(図1(e)参照)。これにより、外圧から基礎内部を保護するのである。コンクリート等を充填する場合は、トレミー管等で打設するのがよい。
次に、下部ケーソン6b内部の上部にコンクリートを打設し、スラブ8を形成する。そして、そのスラブ8上であって上部ケーソン6a内に、コンクリートを打設し、基礎躯体9を形成する(図1(f)参照)。このスラブ8は、基礎躯体9を支持する役割を果たす。したがって、このスラブ8は、高強度であるほうが良い。ここで、基礎躯体9は、気中コンクリートで構築する。上部ケーソン6aにより、遮水されているからである。
【0012】
最後に、上部ケーソン6aを解体し、撤去し、計画領域5に係る設置されているケーソン6の周囲の領域(矢板4で囲まれた範囲であって、設置されているケーソン6の周囲の領域)、および、掘削されている領域である設置領域3に、土砂等10を埋め戻すことにより、本実施の形態に係る基礎構築方法による基礎は完成する(図1(g)、図2右側参照)。
【0013】
前記のように、本実施の形態に係る、基礎構築方法により基礎を構築することにより、矢板4により、周囲の軟弱な地盤が崩れ落ちるのを防止することができるため、簡易に所定の位置に設置する事ができる。
【0014】
次に、図3、図4に基づき、この発明に係る基礎構築方法の参考例を説明する。
なお、この参考例(図3、図4参照)では、前記本実施の形態と同様に、地面1は、水面2下の軟弱地盤においての基礎構築方法を示している。
【0015】
この参考例は、まず、設置領域3の地盤Gを地盤改良し、改良地盤G’とする(図3(a)参照)。ここで、設置領域3とは、基礎を構築する所定の箇所を中心とした所定箇所より広い領域の地盤Gである。また、地盤改良とは、DMM(深層混合処理工法)等、すなわち、地盤内に深部まで石灰・セメントなどの化学的安定材を添加し、改良対象土と強制的に攪拌混合する地盤改良工法等の地盤改良である。地盤11を地盤改良することにより、軟弱地盤であっても高強度の基礎を構築することが可能となる。
【0016】
次に、設置領域3内の計画領域5に係る改良地盤G’を含む地盤Gを、基礎が埋没する深度まで掘削する(図3(b)参照)。ここで、計画領域5とは、基礎を構築する所定の箇所を中心とした所定箇所より広い領域である。また、深度は、ケーソン6を設置する深度、すなわち計画深度である。そして、この計画領域5は、ケーソン6を設置する所定の箇所を平坦に形成し、この所定の箇所を中心に左右対象に傾斜面を形成しておくとよい。また、この計画領域5の掘削作業は、本実施の形態と同様に、クラムシェルやグラブバケット等のような地盤Gおよび改良地盤G’を掘削する事ができる排土機械等により行えばよい。また、図3(b)で示す掘削される地盤、すなわち、計画深度に含まれる地盤は、改良地盤G’およびその下方にある地盤Gであるが、この掘削される地盤は、改良地盤G’のみであってもよい。つまり、基礎を構築するための地盤の全体を改良地盤G’としてもよい。
【0017】
次に、ケーソン6を計画領域5の所定の箇所に設置する(図3(c)参照)。ここで、前記ケーソン6は、本実施の形態と同様、基礎完成後、地表面1下に埋設され、基礎として一体化する下部ケーソン6bと、完成後地表面1上にて解体される上部ケーソン6aから構成される。前記ケーソン6は、本実施の形態と同様に、水面2下の軟弱地盤に基礎を構築する場合は、組み立てられた前記ケーソン6を浮かせて、クレーン船等で設置する所定の箇所まで曳航して運び、水面2下に沈下させることにより行う。前記下部ケーソン6bも本実施の形態と同様に、水面2下の軟弱地盤に基礎を構築する場合は、鋼殻ケーソンであり、二重壁ケーソンであるのが望ましいが、通常のコンクリート製のケーソンであってもよい。また、前記上部ケーソン6aも本実施の形態と同様に、水面2下の軟弱地盤に基礎を構築する場合は、鋼殻ケーソンであり、一重壁ケーソンであるのが望ましい。
【0018】
次に、下部ケーソン6b内部に充填物7、例えば、砂利、砂、コンクリート等、特に、水面2下の軟弱地盤に基礎を構築する場合は、水中コンクリート等を充填しながら土砂等10を計画領域5であって下部ケーソン6bの周囲に埋め戻す(図3(d)(e)参照)。これにより、外圧から基礎内部を保護するのである。また、コンクリート等を充填する場合は、トレミー管等で打設するのがよい。
【0019】
次に、本実施の形態と同様に、下部ケーソン6b内部の上部にコンクリートを打設し、スラブ8を形成する。そして、そのスラブ8上であって上部ケーソン6a内に、コンクリートを打設し、基礎躯体9を形成する(図3(f)参照)。このスラブ8は、基礎躯体9を支持する役割を果たす。従って、このスラブ8は、高強度であるほうが良い。ここで、基礎躯体9は、気中コンクリートで構築する。上部ケーソン6aにより、遮水されているからである。
【0020】
最後に、上部ケーソン6aを撤去することにより、参考例に係る基礎構築方法による基礎は完成する(図3(g)、図4右側参照)。
【0021】
前記のように、この参考例に係る、基礎構築方法により基礎を構築することにより、簡易に所定の位置に設置する事ができる。さらに、予め地盤改良を行っておくことにより、軟弱地盤等であっても、高強度の基礎を構築することが可能となる。
【0022】
【発明の効果】
前記のようにこの発明に係る基礎構築方法により基礎を構築することにより、設置する領域を予め掘削しておく設置ケーソン工法において、基礎を構築する周囲に矢板を打設することによって、周囲の軟弱な地盤が崩れ落ちるのを防止できるため、所定の位置への設置を容易とし、あわせて、掘削土量を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る基礎構築方法の本実施の形態の工程図である。
【図2】 この発明に係る基礎構築方法の本実施の形態の概要正断面図であり、左側は基礎構築中を示し、右側は基礎完成後を示す図である。
【図3】 この発明に係る基礎構築方法の参考例の工程図である。
【図4】 この発明に係る基礎構築方法の参考例の概要正断面図であり、左側は基礎構築中を示し、右側は基礎完成後を示す図である。
【符号の説明】
1 地表面
2 水面
3 設置領域
4 矢板
5 計画領域
6 ケーソン
6a 上部ケーソン
6b 下部ケーソン
7 充填物
8 スラブ
9 基礎躯体
10 土砂等
G 地盤
G’ 改良地盤
Claims (1)
- ケーソン工法により軟弱な地盤上に基礎を構築する基礎構築方法であって、
設置領域の地盤を掘削し、
前記設置領域内の計画領域の周囲に矢板を打設し、
前記矢板で囲まれた前記計画領域に係る地盤を、基礎が埋設する深度まで掘削し、
前記計画領域内に、基礎完成後に地表面下に埋没される二重壁の鋼殻ケーソンからなる下部ケーソンと基礎完成後に地表面上にて解体される一重壁の鋼殻ケーソンからなる上部ケーソンとを備えるケーソンを設置し、
前記下部ケーソンに充填物を打設し、
前記下部ケーソンの上部および前記上部ケーソン内にコンクリートを打設して、スラブおよび基礎躯体を構築し、
前記上部ケーソンを解体撤去し、
前記下部ケーソンの周囲に係る前記計画領域および前記設置領域を埋め戻すことを特徴とする基礎構築方法。
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