JP2012041761A - 杭基礎構造、杭基礎構造の施工方法およびこれらに用いる杭 - Google Patents

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Abstract

【課題】杭径の拡大または埋設長の増大に頼らずに杭の引き抜きに対する抵抗力(安定性)を増大させることが可能な杭基礎構造、杭基礎構造の施工方法、およびこれらに用いる杭を提供する。
【解決手段】この杭基礎構造は、中空管からなる基礎杭P内に仕切板10を設け、基礎杭を仕切板により鉛直方向の上部11と下部12とに分け、地盤G内に打設された基礎杭の下部12の少なくとも一部12aを水、または、水と地盤材料とで飽和させて密閉することにより、基礎杭に引抜力が作用したとき引抜力に抵抗する吸引力(サクション)を生じさせる。
【選択図】図1

Description

本発明は、杭の引き抜きに対する抵抗力(安定性)を増大させることが可能な杭基礎構造、杭基礎構造の施工方法、およびこれらに用いる杭に関する。
図10に従来の桟橋の杭基礎構造を概略的に示す。桟橋は、図10のように、複数本の鋼管からなる基礎杭P1、P2、・・・が水面S下の水底S1から地盤G内に支持層G1に達するように打設され、基礎杭P1、P2の上部に上部工Uが設置されることで構築される。
ここで、桟橋の設計において性能照査項目のひとつに杭の引抜に関する検討がある。すなわち、船舶着桟時の衝撃や地震による慣性力等により桟橋の上載荷重Dに水平方向に水平力Hが発生すると、例えば、地盤Gに打ち込まれた桟橋の基礎杭P1を引き抜こうとする作用力(引抜力)V1、基礎杭P2を押し込もうとする作用力(押込力)V2がそれぞれ発生する。この引抜力V1に対し、杭P1と地盤Gとの間の周面摩擦力Fおよび杭P1の自重を抵抗力として、杭P1が引き抜かれるか否かを判定する。ここで、杭Pが引き抜かれると判定された場合は杭径を拡大するかあるいは杭長を延長して杭Pと地盤Gとの接触面積を増やすことで周面摩擦力Fを大きくする手法を採用することが一般的である。または、杭の打設本数を増やすなど、構造全体を大きく見直すこともある。
しかし、安易に杭径を拡大すると、他の照査項目(たとえば、杭の応力度)に対しては過度に安全側な設計となり、非常に不経済な構造となることが多い。
また、杭長を延長する場合も、既に杭の先端が支持層G1に到達している場合は、支持層G1へ深く貫入することになり杭に負荷がかかり、杭先端の損傷や座屈が懸念される。また、支持層G1が薄い場合は、支持層を打ち抜いてしまい、杭の押込みに対する所定の支持力を得られなくなることも考えられる。
引抜力が問題となるのは、図10のように、桟橋に地震時慣性力による水平力Hが作用した場合がほとんどであるので、桟橋の上部工Uや上載荷重D(たとえば、クレーン等の荷役機械)を軽量化することで、地震時慣性力(水平力H)を小さくすることも効果的である。しかし、上部工Uや上載荷重Dの軽量化はコストの増加(軽量コンクリートの利用など)や桟橋機能(荷役機械のスペックダウンなど)の低下を伴うため限度がある。
本発明は、上記の現状を踏まえ、杭径の拡大または埋設長の増大(すなわち、杭と地盤との間の周面摩擦力)に頼らずに杭の引き抜きに対する抵抗力(安定性)を増大させることが可能な杭基礎構造、杭基礎構造の施工方法、およびこれらに用いる杭を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための杭基礎構造は、中空管からなる基礎杭内に仕切部を設け、前記基礎杭を前記仕切部により鉛直方向の上部と下部とに分け、地盤内に打設された基礎杭の前記下部の少なくとも一部を水、または、水と地盤材料とで飽和させて密閉することにより、前記基礎杭に引抜力が作用したとき前記引抜力に抵抗する吸引力(サクション)を生じさせることを特徴とする。
この杭基礎構造によれば、仕切部で上部と下部とに分けた基礎杭を地盤に打設し、仕切部の下部の少なくとも一部を水、または、水と地盤材料とで飽和させて密閉することにより、打設された基礎杭に引抜力が作用したとき、引抜力に抵抗する吸引力(サクション)を生じさせることができる。このため、杭径の拡大や埋設長の増大に頼らずに杭の引き抜きに対する抵抗力(安定性)を増大させることができる。
上記杭基礎構造において前記上部内に中詰材を配置することで前記引抜力に対する抵抗力を得ることが好ましい。基礎杭の上部内に中詰材を配置することで杭の引抜力に対してカウンターとして抵抗することができる。
また、前記下部において前記仕切部と前記基礎杭内の地盤面とに囲まれた空間を上記飽和状態の代わりに負圧にすることで、吸引力(サクション)を効果的に生じさせることができる。また、基礎杭外側の地盤に浸透流が発生し、周辺地盤の有効応力が増し、杭と地盤との間の周面摩擦力の増加に寄与できる。
前記基礎杭が水底に打設され、前記上部の水位を外水位と同レベル(水頭差が生じない)とすることが好ましい。
上記目的を達成するための杭基礎構造の施工方法は、中空管からなる基礎杭内に仕切部を設け、前記基礎杭を前記仕切部により鉛直方向の上部と下部とに分け、前記基礎杭を地盤内に打設してから、前記下部の少なくとも一部を水、または、水と地盤材料とで飽和させてから密閉することを特徴とする。
この杭基礎構造の施工方法によれば、仕切部で上部と下部とに分けた基礎杭を地盤に打設し、仕切部の下部の少なくとも一部を水、または、水と地盤材料とで飽和させて密閉することにより、打設された基礎杭に引抜力が作用したとき、引抜力に抵抗する吸引力(サクション)を生じさせることができる。このため、杭径の拡大や埋設長の増大に頼らずに杭の引き抜きに対する抵抗力(安定性)を増大させることができる。
上記杭基礎構造の施工方法において前記基礎杭の打設後、前記上部内に中詰材を投入することが好ましい。これにより、杭の引抜力に対する抵抗力を得ることができる。このように、基礎杭の上部内に中詰材を配置することで杭の引抜力に対してカウンターとして抵抗することができる。
また、前記下部において前記仕切部と前記基礎杭内の地盤面とに囲まれた空間を上記飽和状態の代わりに負圧にすることで、打設された基礎杭において吸引力(サクション)を効果的に生じさせることができる。また、基礎杭外側の地盤に浸透流が発生し、周辺地盤の有効応力が増し、杭と地盤との間の周面摩擦力の増加に寄与できる。
また、前記基礎杭を水底に打設し、前記上部の水位を外水位と同レベル(水頭差が生じない)とすることが好ましい。
なお、上記杭基礎構造とするために、例えば、前記基礎杭の下部内と連通するようにバルブを設け、前記バルブを開き、前記基礎杭を地盤内に打設し、前記下部の少なくとも一部を水、または、水と地盤材料とで飽和させてから、前記バルブを閉じ、前記下部内を密閉することで上記杭基礎構造を構築できる。
上記目的を達成するための杭は、上述の杭基礎構造または上述の杭基礎構造の施工方法に用いられる中空管からなる杭であって、杭内に仕切部を設けたことを特徴とする。
この杭によれば、仕切部で上部と下部とに分けた杭を地盤に打設し、仕切部の下部の少なくとも一部を水、または、水と地盤材料とで飽和させて密閉することにより、打設された杭に引抜力が作用したとき引抜力に抵抗する吸引力(サクション)を生じさせることができる。このため、杭径の拡大や埋設長の増大に頼らずに杭の引き抜きに対する抵抗力(安定性)を増大させることができる。
本発明の杭基礎構造、杭基礎構造の施工方法、およびこれらに用いる杭によれば、杭径の拡大または埋設長の増大(杭と地盤との間の周面摩擦力)に頼らずに杭の引き抜きに対する抵抗力(安定性)を増大させることができる。
第1の実施形態による杭基礎構造を概略的に示す図である。 第2の実施形態による杭基礎構造を概略的に示す図である。 第3の実施形態による杭基礎構造を概略的に示す図である。 第4の実施形態による鋼管杭の構成を概略的に示す図である。 図4の鋼管杭を用いて図1の杭基礎構造を構築し上部工を設置するまでの工程を説明するためのフローチャートである。 図4の鋼管杭を用いて図2の杭基礎構造を構築し上部工を設置するまでの工程を説明するためのフローチャートである。 図4の鋼管杭を用いて図3の杭基礎構造を構築し上部工を設置するまでの工程を説明するためのフローチャートである。 図1の杭基礎構造の効果を確認するための実験装置を概略的に示す図である。 図8の実験装置によりアクリル管を引き抜いた時の引抜量と荷重との関係を示すグラフである。 従来の桟橋の杭基礎構造を概略的に示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
〈第1の実施形態〉
図1は第1の実施形態による杭基礎構造を概略的に示す図である。
図1のように、本実施形態による杭基礎構造は、桟橋の構築のために鋼管杭Pが水面S下の水底S1から地盤G内に打ち込まれるようにして必要本数が打設されてから、杭Pの上部に上部工Uが設置されるが、杭Pの内部に上部と下部とを隔てる仕切部として仕切板10を設けておき、その下部12の一部12aを密閉飽和状態としたものである。
すなわち、図1の鋼管杭Pは、管内に設けられた仕切板10を有し、仕切板10により上部11と下部12とに分けられる。仕切板10は、鋼材からなり、打設前に例えば工場等で鋼管杭P内に溶接等により取り付けられ、鋼管杭Pの上部11と下部12とを完全に遮断する構造にする。
図1のように、鋼管杭Pが水底S1から地盤G内に打設されると、鋼管杭Pの仕切板10の上部11は水で満たされ、上部11内の水位は外水位である水面Sと同レベルにし、杭Pの内外で水頭差を生じないようにする。
また、鋼管杭Pの打設後、鋼管杭Pの仕切板10の下部12の一部12aを密閉飽和状態とする。すなわち、鋼管杭Pの打設により、鋼管杭Pの下部12の内部において仕切板10と地盤表面S2との間に形成される一部12aは、水と地盤材料(粘性土、砂質土、礫、石材等)で満たされて飽和状態とされて下部12は密閉状態とされる。なお、下部12の一部12aは水のみで満たされて密閉飽和状態とされるようにしてもよい。ただし、地盤表面S2の高さ位置は、杭周辺の地盤条件等により、水底S1と杭Pの先端Zとの間となる。
上述のように、地震時慣性力による水平力により杭Pに鉛直方向上方に引抜力V1が作用したとき、鋼管杭P内の下部12を密閉飽和状態としておくことにより、鋼管杭Pの下部12に吸引力(サクション)が生じて引抜力V1に抵抗する抵抗力として作用する。このようにして、杭径の拡大や埋設長の増大(杭と地盤との間の周面摩擦力)に頼らずに杭Pの引き抜きに対する抵抗力・安定性を増大させることができる。このため、桟橋等の杭基礎構造物の地震等に対する安定性を向上させることができ、しかも杭径の拡大や埋設長の増大が伴わないので、コストがさほど嵩まず、経済的である。
また、仕切板10の設置位置(設置深度)は、できるだけ鋼管杭P内の地盤表面S2と密着させて仕切板10と地盤表面S2との距離tが小さいほど吸引力(サクション)の効果が高く、好ましい。また、鋼管杭Pの地盤Gへの根入れ長が長いほど吸引力(サクション)の効果が高くなる。
〈第2の実施形態〉
図2は第2の実施形態による杭基礎構造を概略的に示す図である。
図2の杭基礎構造は、図1の杭基礎構造の鋼管杭Pの上部11(仕切板10の上)に地盤材料等の中詰材13を充填した点が図1の杭基礎構造と異なる。すなわち、図2のように、鋼管杭Pの仕切板10の上部11に地盤材料からなる中詰材13を充填する。中詰材13は、地盤材料に加えて、鋼さいやコンクリートガラ等であってもよい。中詰材13を杭P内に充填することで杭Pの引抜力V1に対するカウンターとしての役割を期待できる。杭Pの引抜力V1に対する、鋼管杭Pの密閉飽和状態とされた下部12に生じる吸引力(サクション)による抵抗力が増していっそう効果的になる。
なお、中詰材13の充填高さは、なるべく水面Sよりも下で留めるほうが好ましい。杭頭付近まで投入し充填すると、杭重を過度に増やすことになり、杭先端における支持力不足を考慮する必要性が生じ、また、地震時などには慣性力を大きくする可能性も生じるので、杭頭付近まで充填することは好ましくない。中詰材13の上部は水で満たされ、上部11内の水位は図1と同様に、外水位である水面Sと同レベルにし、杭Pの内外で水頭差を生じないようにする。
〈第3の実施形態〉
図3は第3の実施形態による杭基礎構造を概略的に示す図である。
図3の杭基礎構造は、図2の杭基礎構造において仕切板10の下部12の一部12aに負圧を与えた点が図2の杭基礎構造と異なる。このように、下部12の一部12aを図1,図2の密閉飽和状態ではなく負圧状態とすることで、吸引力(サクション)の効果が高まり、図1,図2の密閉飽和状態とされた下部12に生じる吸引力(サクション)よりも大きくなるので、杭Pの引抜力V1に対する抵抗力がいっそう大きくなる。
また、鋼管杭Pの外側には水面Sと鋼管杭Pの下部12内の水位h2との水頭差kに応じた鋼管杭Pの先端に向かう浸透流j(下向き浸透流)が生じる。鋼管杭Pの先端に向かう浸透流jは杭Pの周辺の地盤に対して有効応力の増加をもたらすことになり、杭Pと地盤Gとの間の周面摩擦力の増加に寄与することが期待できる。
なお、鋼管杭P内には上向きの浸透流が発生し、鋼管杭P内の地盤は有効応力の低下が想定されるが、杭Pの引抜力V1に対して鋼管杭P内の周面と地盤との摩擦は考慮しないため影響はない。ただし、上向きの浸透流により鋼管杭内の地盤がヒービングやボイリングを生じないように注意する必要がある。
〈第4の実施形態〉
図4は第4の実施形態による鋼管杭の構成を概略的に示す図である。
図4の構成は、図1〜図3の杭基礎構造を実現するための鋼管杭の一例である。すなわち、鋼管杭Pは、鋼材からなる仕切板10が事前に工場で溶接されて取り付けられて杭Pの上部11と下部12を完全に遮断する構造を有し、さらに、図4に示すように開閉バルブ21,22,23を取り付けることで、鋼管杭Pの内外の通水と遮断とを調整できる構造を有する。
バルブ21は、鋼管杭Pの仕切板10の上部11に対応する位置に取り付ける。バルブ22,23は、鋼管杭Pの仕切板10の下部12の一部12aに対応する位置であって、バルブ22は仕切板10の直下に取り付け、バルブ23はバルブ22の下方で水底S1よりも上方に位置するように取り付ける。
なお、図4のバルブ21を省略してもよく、鋼管杭Pに、バルブ21の代わりに、杭Pの内外を連通させるようにたとえば25mm程度の通水孔を設けるようにしてもよい。
また、図1,図2の杭基礎構造を構築する場合には、バルブ23を省略してもよい。
次に、図4の鋼管杭Pを用いて図1〜図3の各杭基礎構造を構築し上部工を設置するまでの工程について図5,図6,図7の各フローチャートを参照して説明する。
(1)図1の杭基礎構造と上部工を構築する工程につき図5を参照して説明する。まず、バルブ21,22,23を開き(S01)、鋼管杭Pの上部11の内外に水頭差が生じない状態にする。
次に、鋼管杭Pを水底S1から地盤Gへと杭先端Zが支持層G1まで達するように打設する(S02)。これらの工程S01,S02を繰り返し、所定本数の鋼管杭Pを打設する(S03)。次に、すべての杭Pのバルブ21,22,23を閉じる(S04)。上述のようにして、図1の杭基礎構造を完成させる(S05)。次に、鋼管杭Pの上部に上部工を設置する(S06)。
以上のようにして、図1の杭基礎構造および上部工Uを完成させることができる。このとき、鋼管杭P内の下部12は密閉飽和状態となっている。
(2)図2の杭基礎構造と上部工を構築する工程につき図6を参照して説明する。まず、バルブ21,22,23を開き(S11)、次に、鋼管杭Pを水底S1から地盤Gへと杭先端Zが支持層G1まで達するように打設する(S12)。これらの工程S11,S12を繰り返し、所定本数の鋼管杭Pを打設する(S13)。次に、すべての鋼管杭Pに中詰材を杭頭より所定量投入する(S14)。次に、すべての杭Pのバルブ21,22,23を閉じる(S15)。
上述のようにして図2の杭基礎構造を完成させる(S16)。次に、鋼管杭Pの上部に上部工を設置する(S17)。
以上のようにして、図2の杭基礎構造および上部工を完成させることができる。このとき、鋼管杭P内の下部12は密閉飽和状態となっている。
(3)図3の杭基礎構造と上部工を構築する工程につき図7を参照して説明する。まず、バルブ21,22,23を開き(S21)、次に、鋼管杭Pを水底S1から地盤Gへと杭先端Zが支持層G1まで達するように打設する(S22)。これらの工程S21,S22を繰り返し、所定本数の鋼管杭Pを打設する(S23)。次に、すべての鋼管杭Pに中詰材を杭頭より所定量投入する(S24)。
次に、バルブ22にサクションホースを接続し、そのサクションホースのもう一方の端部を大気に開放する(S25)。そして、バルブ23にホースを接続し、そのホースのもう一方の端部に揚水ポンプを接続する(S26)。次に、バルブ23に接続した揚水ポンプにより鋼管杭Pの下部12の一部12a(仕切板10と鋼管杭P内の地盤表面S2との間)内の水を空気に置換する(S27)。その後、バルブ22,23を閉じ、バルブ23のホース、揚水ポンプを取り外す(S28)。
次に、バルブ22のサクションホースの大気に開放した端部に真空ポンプを接続する(S29)。次に、バルブ22を開き、真空ポンプにより鋼管杭Pの下部12の空間内を減圧し、負圧を作用させる(S30)。所定の負圧を作用させた後、バルブ22を閉じ、サクションホース、真空ポンプを取り外す(S31)。上述の工程S25〜S31を所定本数の鋼管杭Pに対して繰り返す(S32)。なお、鋼管杭の本数が多い場合等には、すべての杭のサクションホースの端部及びホースの端部をそれぞれ一個口にまとめて、工程S25〜S31をすべての杭に対し一回で実施するようにしてもよい。
上述のようにして図3の杭基礎構造を完成させる(S33)。次に、鋼管杭Pの上部に上部工を設置する(S34)。
以上のようにして、図3の杭基礎構造および上部工を完成させることができる。
このとき、鋼管杭Pの下部12の一部12aは負圧空間となっている。
実験例
図1の杭基礎構造を模擬した図8の実験装置を用いて、図1の杭基礎構造の効果を確認した。すなわち、図8のように槽内に飽和粘性土地盤を作成し、その地盤に直径5cm、長さ50cm、厚さ1mmのアクリル管2本を45cmの深さで設置し、地盤の上には水を満たした。
実験例として一方のアクリル管の上端に塩ビ製の円板で蓋をして、隙間を水中パテで埋めて完全に密閉した。比較例として他方のアクリル管は上端に蓋をせず、そのまま用いた。
実験例および比較例の各アクリル管を鉛直上方に同じ速さで引き抜き、その時の抵抗力(荷重)をロードセルにより計測した。図9にその計測結果としてアクリル管の引き抜き時の引抜量と荷重との関係を示す。
図中の理論値1,2とは管の引き抜き時にサクション(吸引力)は考慮せず周面摩擦力のみが作用すると仮定した場合の計算値である。理論値1はアクリル管内外の全周面において摩擦力が作用するとした場合である。理論値2はアクリル管の外周面にのみ摩擦力が作用し、内部は粘性土もアクリル管と一緒に伴上がりするものとした場合である。なお、ここでは、粘性土地盤の飽和単位堆積重量を16kN/m3、粘着力を50kN/m2とした。
図9からわかるように、実験例は比較例に対して引き抜き初期(引抜量10mm前後)で約2倍、引き抜き後半(引抜量80mm前後)で約5倍の抵抗力(荷重)を示した。また、周面摩擦力のみ考慮した場合(管内外の全周面で摩擦力が作用)の理論値1に対しても3倍弱の抵抗力を示し、管の外周面にのみ摩擦力が作用した場合の理論値2に対しても5倍近い抵抗力を示している。これらの結果から、図1の杭基礎構造を模擬した本実験例は、サクションの作用がない比較例と比べて、鉛直上方への引抜力に対してサクション(吸引力)が抵抗力として有効に作用していることがわかった。
計算例
(1)図2における中詰材投入の効果の検証
鋼管杭φ700−9t,φ1100−12t,φ1500−16tの3ケースの杭仕様に対し、水深10m、仕切板を水底地盤と同レベルとし、中詰材として砂を4m、8m投入した場合について、引き抜きにおけるバラスト投入効果に関する計算例を次の表1に示す。
Figure 2012041761
表1の計算結果では、中詰材を投入することにより、14.6〜135.4kNの引き抜きに対する抵抗力(押し込み力)が得られる。たとえば、引抜力が1000kNであった場合、1%〜14%程度の分担率となる。なお、当然ではあるが、杭径および中詰材投入高さは大きいほど、また中詰材の水中単位体積重量が重いほど効果的である。
(2)図3における浸透流による効果の検証
鋼管杭の根入れ長を10m,水深を10m,鋼管杭内の水位を水底地盤より2m下がり、仕切板を水底地盤と同レベル、鋼管杭の下部の空隙圧力を大気圧と等しいとして鋼管杭内外の導水勾配iを次の式により計算する。
i = h / L = (10+2) / (10+8) = 0.667
ここに、h:水頭差、L:透水長
図3の下向き浸透流jのように鋼管杭の外側に下向きに生じる浸透圧pwを次の式により計算する。
pw = i × γw × L = 0.667×10 × l = 6.67×L (kN/m2)
ここに、γw:水の単位体積重量(=10kN/m3)、L:浸透距離(m)
次に、鋼管杭外側の地盤の有効応力σ’は次の式により求めることができる。
σ’ = (γsat - γw)×z = ( 17 - 10 )×z = 7 ×z (kN/m2)
ここに、γsat:土の飽和単位体積重量(=17kN/m3)、z:地盤深度(m)
よって、浸透圧を考慮した有効応力σ’wは、次のように有効応力σ’に浸透圧pwを加えた値となる。
σ’w= σ’ + pw = 6.67×L + 7×z
ここで、浸透距離Lと地盤深度zは等しいことから浸透圧を考慮した有効応力は次式にまとめられる。
σ’w= 13.67×z
したがって、有効応力σ’と浸透圧を考慮したσ’wとの比は、
σ’w/σ’=13.67 / 7 =1.95 ≒ 2.0
となり、浸透圧により有効応力は約2倍となる。
鋼管杭周辺の地盤が粘性土の場合、粘性土の粘着力cuは、有効土被り圧の1次関数として次式により与えられる。
cu/p = 0.28〜0.30
ここに、p:圧密応力(=有効応力σ’)
したがって、浸透圧を加えることで粘着力cuも2倍となり、杭と地盤との間の周面摩擦力は杭の外周面積と地盤の粘着力cuの積として求めるため、周面摩擦力も2倍となる。このように、図3の水面Sと鋼管杭Pの下部12内の水位h2との水頭差kに応じて生じる鋼管杭P外側における下向き浸透流jにより、杭Pと地盤Gとの間の周面摩擦力が増加することがわかる。
以上のように本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、本実施形態では港湾において代表的な杭基礎構造物である桟橋について記述したが、本発明はこれに限られず、水上または陸上における他の杭基礎構造物であってもよい。
また、杭P内に仕切板10を取り付ける方法は溶接があるが、これに限定されず、他の方法によって取り付けるようにしてもよいことはもちろんである。
また、図1の杭基礎構造において図3のように仕切板10の下部12の一部12aに負圧を与えるようにしてもよい。
本発明の杭基礎構造、杭基礎構造の施工方法、およびこれらに用いる杭によれば、杭径の拡大または埋設長の増大に頼らずに杭の引き抜きに対する抵抗力を増大させることができるので、杭基礎構造物の地震等に対する安定性を経済的に向上させることができる。
10 仕切板(仕切部)
11 上部
12 下部
12a 下部の一部
13 中詰材
21,22,23 開閉バルブ、バルブ
P 鋼管杭、基礎杭、杭
F 周面摩擦力
G 地盤
G1 支持層
V1 杭Pに対する引抜力
j 浸透流
S 水面
S1 水底
S2 杭P内の地盤表面
h2 下部12内の水位
k 水面Sと水位h2との水頭差
Z 杭Pの先端

Claims (9)

  1. 中空管からなる基礎杭内に仕切部を設け、前記基礎杭を前記仕切部により鉛直方向の上部と下部とに分け、
    地盤内に打設された基礎杭の前記下部の少なくとも一部を水、または、水と地盤材料とで飽和させて密閉することにより、前記基礎杭に引抜力が作用したとき前記引抜力に抵抗する吸引力を生じさせることを特徴とする杭基礎構造。
  2. 前記上部内に中詰材を配置することで前記引抜力に対する抵抗力を得る請求項1に記載の杭基礎構造。
  3. 前記下部において前記仕切部と前記基礎杭内の地盤面とに囲まれた空間を負圧にした請求項1または2に記載の杭基礎構造。
  4. 前記基礎杭が水底に打設され、前記上部の水位を外水位と同レベルとした請求項1乃至3のいずれか1項に記載の杭基礎構造。
  5. 中空管からなる基礎杭内に仕切部を設け、前記基礎杭を前記仕切部により鉛直方向の上部と下部とに分け、
    前記基礎杭を地盤内に打設してから、前記下部の少なくとも一部を水、または、水と地盤材料とで飽和させてから密閉することを特徴とする杭基礎構造の施工方法。
  6. 前記基礎杭の打設後、前記上部内に中詰材を投入する請求項5に記載の杭基礎構造の施工方法。
  7. 前記下部において前記仕切部と前記基礎杭内の地盤面とに囲まれた空間を負圧にする請求項5または6に記載の杭基礎構造の施工方法。
  8. 前記基礎杭を水底に打設し、前記上部の水位を外水位と同レベルとする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の杭基礎構造の施工方法。
  9. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の杭基礎構造または請求項5乃至8のいずれか1項に記載の杭基礎構造の施工方法に用いられる中空管からなる杭であって、杭内に仕切部を設けたことを特徴とする杭。
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