JP4373899B2 - 付属基礎及び付属基礎の構築方法 - Google Patents
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例えば特許文献1には、その図1に示すように土台2と二階梁3との間に斜めにテンション調整機構4(ターンバックル)を設けた連結体6,10(ブレース様部材)を配設して耐震性を向上させる技術が開示されている。特許文献1の技術は現在施工中の建造物に行う補強工事であってこれらターンバックルやブレース様部材からなる筋交い部材は建造物の完成とともに壁内部に収容されてしまうため邪魔にはならない。
ところが、近年既存の建造物の地震に対する強度を向上させるためにこのような耐震構造を既存の建造物に追加施工したいとする要望が多くなってきている。
その場合において、例えば倉庫や工場のようにスペースに余裕があり、なおかつ機能のみが重視される既存の建造物であれば建造物の内側壁面寄りに筋交い部材を配設することも自由である。しかしながら、一般住宅においてこのように内側(つまり住居側)に筋交い部材を配設することは美観の点、あるいはスペース的な制限等から好ましくない。その場合に、もし特許文献1のように筋交い部材を壁内部に内蔵させる工事をするとすれば施工費用が極めて高額となってしまう。
しかし、基礎に直接アンカー金具を埋め込むことは好ましくない。アンカー金具を埋め込むために行う穿孔処理によって基礎コンクリートの強度が落ち、穿孔部分から水が侵入したり更にひび割れが拡がったりする不具合が生じることになるからである。
また、図9に示すように、基礎コンクリート51の外面51aは建物の外壁52よりも内側に位置している。更に、基礎コンクリート51は基礎コンクリートに降った雨水が土台53の下側に周ってしまわないように土台53よりも内側位置に配置される。従って、基礎コンクリート51の外面51aから建物の外壁52まではかなり距離があるものである。つまり、図9の仮想線で示すように、基礎コンクリート外面に直接アンカー金具54を埋め込むとアンカー金具54は建物の外壁よりも外方に延出させるためにかなり長く、なおかつコンクリートの外面に片持ち状に埋設されることになる。その結果、実際に地震の際にアンカー金具にかかる負荷によってアンカー金具が曲がったり脱落してしまったりして十分な耐震補強とならない場合もあった。
ところで、追加的に付属基礎を構築する場合には、既存の基礎との一体化と施工の効率化の問題がある。例えば既存の基礎に振動ドリル等で穿孔して鉄筋を配筋してからコンクリートを打設して付属基礎を構築することで既存の基礎との一体化を図ることも可能であるが、作業が面倒で時間もかかる。そのため、既存の基礎と付属基礎をとの一体化を図るためのより改良された技術が求められていた。
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、既存の基礎に対して簡単に施工でき一体化を図ることのできる付属基礎及び付属基礎の構築方法を提供することにある。
このような構成では、付属基礎はそのフレームに植設された複数の刃体の切っ先が既存の基礎の側面に対して当接しているため、付属基礎に既存の基礎に対する上方への引き抜き力が発生した場合でも刃体が既存の基礎の側面にくい込むため付属基礎のみの浮き上がりが防止される。すなわち、鉄筋に代えて、あるいは鉄筋に加えてこのようなフレームを用いることで簡単に既存の基礎の外方に付属基礎を構築することができ、更に構築した付属基礎と既存の基礎との強固な一体化を図ることが可能となる。
ここにフレームと既存の基礎との間に空間を形成させるためには例えばフレームから既存の基礎方向に張り出した間隔規制フレーム等が相当する。
このような構成では、既存建造物の外側に新たに付属基礎を増築する。そして、付属基礎に埋設されたアンカー部材と建造物の上部側に配設された架構部材(例えば、梁、桁、柱等)との間を筋交い部材によって斜めに張設する。これによって、既存建造物は筋交い部材によってしっかりと基礎に対して固定されることとなり、筋交い部材による耐震補強が実現される。この際に、付属基礎はそのフレームに植設された複数の刃体の切っ先が既存の基礎の側面に対して当接しているため、付属基礎に既存の基礎に対する上方への引き抜き力が発生した場合でも刃体が既存の基礎の側面にくい込むため付属基礎のみの浮き上がりが防止される。すなわち、鉄筋に代えて、あるいは鉄筋に加えてこのようなフレームを用いることで簡単に既存の基礎の外方に付属基礎を構築することができ、更に構築した付属基礎と既存の基礎との強固な一体化を図ることが可能となる。
ここにフレームと既存の基礎との間に空間を形成させるためには例えばフレームから既存の基礎方向に張り出した間隔規制フレーム等が相当する。
また、請求項3の発明では請求項2に記載した発明の構成に加え、前記アンカー部材を同フレーム側に形成するようにしたことをその要旨とする。これによって、アンカー部材を別途取着する手間が不要となる。アンカー部材はフレームのみならず刃体に形成することも可能である。
これによって付属基礎はそのフレームに植設された複数の刃体の切っ先が既存の基礎の側面に対して当接することとなるため、付属基礎に既存の基礎に対する上方への引き抜き力が発生した場合でも刃体が既存の基礎の側面にくい込むため付属基礎のみの浮き上がりが防止される。すなわち、鉄筋に代えて、あるいは鉄筋に加えてこのようなフレームを用いることで簡単に既存の基礎の外方に付属基礎を構築することができ、更に構築した付属基礎と既存の基礎との強固な一体化を図ることが可能となる。
ここにフレームと既存の基礎との間に空間を形成させるためには例えばフレームから既存の基礎方向に張り出した間隔規制フレーム等が相当する。
ここに、フレームの打ち込みは人力で例えば大型ハンマーで叩き込んでも、例えば重機を使用して強いプレス力で埋め込むようにしても構わない。要は刃体の切っ先を既存の基礎の側面に接触させるようにしながらフレームを地面に強圧で押し込むことができればよい。
例えば地面が非常に堅かったりするとフレームの打ち込みが困難なケースが生じる。その場合、例えば重機であまりに強いプレス力をかけるとフレームが歪んだり破損したりする不具合が生じるおそれがある。また、フレームを既存の基礎の側面に刃体の切っ先が接触するように上手に打ち込んでいくことができればよいが、不慣れな場合には上手に打ち込めない可能性もある。そのため、既存の基礎の側方にフレーム案内溝を事前に掘削形成することでこのような不具合が防止できる。地面に打ち込まれるフレームのフレーム案内溝の大きさはフレーム自体の外郭形状よりも小さいことが必要である。また、刃体の切っ先が既存の基礎の側面に接触するように、フレーム案内溝は下方寄りほど既存の基礎の方向に近づくように斜めに形成されることが好ましい。
図1及び図2に示すように、布基礎1の上に既存建造物Hは設置されている。本実施の形態では既存建造物Hは在来工法によって建てられた二階家造りとされている。布基礎1は鉄筋コンクリート造りとされている。布基礎1下半身は地盤(地上面をGとする)に埋設されている。建造物Hの外壁Wは布基礎1の外郭線よりも若干外側位置に配置されている(例えば図8に図示されるように)。
本実施の形態では建造物Hの各コーナー部及び両コーナー部の中間位置に外方に張り出した複数の付属基礎2が構築されている。各付属基礎2の上面にはアンカー金具3が露出されている。コーナー部に配置された付属基礎2は布基礎1のコーナー部の外側2方向を包囲するように形成され、コーナー部の中間位置に配置された付属基礎2は外壁Wに平行となるように形成されている。付属基礎2の詳しい構造については後述する。
図2に示すように、既存建造物Hの一階屋根の裏面位置において梁5の端部が外壁Wから外側に張り出している。図3に示すように、各梁5の木口部5aには木口面を覆うように断面コ字状の連結金具6が装着されている。連結金具6の前面板7には半円状の係止リング8が固着されている。図1〜図3に示すように、アンカー金具3と係止リング8との間にはターンバックル13及びワイヤー14からなる筋交い部材15が斜めに張設されている。
付属基礎2は地中に埋設された基礎用フレーム21内にコンクリートが打設されて構築されている。図4〜図8に基づいて付属基礎2の構造について詳しく説明する。
まず図4及び図5に基づいて、コーナー部に配置される基礎用フレーム21Aについて説明する。
鋼製の基礎用フレーム21Aは直交状に突き合わされた2枚の外壁板22を備えている。外壁板22は施工時に垂直に立設される上部板部22aと上部板部22aに対して若干傾斜した下部板部22bとから構成されている。各外壁板22の外側端にはそれぞれ側壁板23が一体形成されている。両側壁板23は両外壁板22が斜めに向き合った内方側に向かって同外壁板22に対して直交するように延出されている。両側壁板23の前端縁23aは垂直(つまり上部板部22aと平行)に形成されている。一方、両側壁板23の外壁板22との接合部23bにおいてはその上部寄りは上部板部22aに合わせて垂直に形成されるものの、下部寄りは下部板部22bの傾斜に対応して形成される。結果として両側壁板23の下半身は下端寄りほど窄まった先細りに形成されることとなる。外壁板22及び側壁板23の全縁には補強用のフランジ24が形成されている。外壁板22上部に形成されたフランジ24の上面には前記アンカー金具3が溶接されている。
基礎用フレーム21Bはコーナー部に配置される基礎用フレーム21Aとは異なり、1枚の外壁板22のみを備えている。外壁板22は上記同様上部板部22aと上部板部22aに対して若干傾斜した下部板部22bとから構成されている。外壁板22の両側の外側端にはそれぞれ側壁板23が一体形成されている。両側壁板23は外壁板22に対して直交するように同方向に向かって延出されている。上記同様両側壁板23の前端縁23aは垂直(つまり上部板部22aと平行)に形成されている。一方、両側壁板23の外壁板22との接合部23bにおいてはその上部寄りは上部板部22aに合わせて垂直に形成されるものの、下部寄りは下部板部22bの傾斜に対応して形成される。結果として両側壁板23の下半身は下端寄りほど窄まった先細りに形成されることとなる。外壁板22及び側壁板23の全縁には補強用のフランジ24が形成されている。外壁板22上部に形成されたフランジ24の上面には2つの前記アンカー金具3が溶接されている。
基礎用フレーム21Bの外壁板22表面には上記と同様の刃体25が縦4行横3列の計12本が溶接によって接合されている。刃体25の詳しい説明は省略する。
尚、これら2種類の基礎用フレーム21A,Bはいずれも錆止めの塗料が全面に塗布されている。
図8(a)に示すように、付属基礎2が設置される布基礎1の外周位置を掘削してフレーム案内溝28を掘削し、その溝28内に基礎用フレーム21Bを配置する。フレーム案内溝28は基礎用フレーム21Bの先細りに形成された下半身がほぼ収まるように布基礎1の周方向(つまり図上手前側から奥側にかけて)であって、なおかつフレーム案内溝28の下方寄りほど窄まるように掘削される。但し、フレーム案内溝28があまり大きすぎると基礎用フレーム21Bが何の抵抗もなくフレーム案内溝28内に完全に落ち込んでしまい刃体25の切っ先26を布基礎1の側面にしっかりと当接させるのが困難となるため、あくまでフレーム案内溝28の大きさは基礎用フレーム21Bの外郭形状よりも小さく掘削する必要がある。
まず筋交い部材15の一端側のターンバックル13のフックを所定の梁5に装着された連結金具6の係止リング8に係合させる。そして、筋交い部材15の他端側のターンバックル13のフックを付属基礎2のアンカー金具3に係合させる。そして、ターンバックル13を調整することによって全長を短縮させて筋交い部材15を張設するようにする。これによって既存建造物Hの外壁Wに沿って筋交い部材15による補強がなされることとなる。今、もし地震による揺れが生じた場合に付属基礎2は筋交い部材15によって牽引されて上方への引き抜き力がかかる。しかし、その際に刃体25の切っ先26が布基礎1の側面にくい込むため布基礎1との間に鉄筋を配筋していなくともあたかも鉄筋を配筋したかのような強度が期待でき、付属基礎2のみの浮き上がりが防止されることとなる。
(1)既存の基礎に振動ドリル等で穿孔して鉄筋を配筋する場合に比べて、基礎用フレーム21を布基礎1の側面に沿って打ち込むだけの簡単な施工で鉄筋に代わって付属基礎2と布基礎1との一体化に貢献できる補強金具を配設することが可能となる。
(2)刃体25は側壁板23よりも僅かに前方に突出しているため、基礎用フレーム21が布基礎1の側面に接近すると側壁板23よりも先に布基礎1の側面に接触することができる一方、間隔規制フレームとしての側壁板23が一種のストッパとなって刃体25が撓みすぎないようになっているため、刃体25の切っ先26を最適な条件で布基礎1の側面に当接させることが可能となっている。
(3)基礎用フレーム21を打ち込む際にフレーム案内溝28によって案内させることができるので、堅い地盤であってもスムーズに基礎用フレーム21を埋設させることが可能となる。また、基礎用フレーム21の側壁板23は下方寄りが先細りになっているため、地盤に挿入する際の抵抗が小さく埋設しやすくなっている。
(4)フレーム案内溝28には傾斜が設けられており、この傾斜によって基礎用フレーム21を布基礎1の側面方向に押し付けるベクトルが発生するため、特に誘導しなくとも自然に基礎用フレーム21がの側壁板23の前端縁23aが布基礎1の側面に強く当接させられることとなる。
(5)基礎用フレーム21の打ち込みが完了した状態で布基礎1の外方に外壁板22と側壁板23で包囲された空間Sにコンクリートを打設しても外壁板22と側壁板23には透孔や隙間がないためコンクリートが空間Sから漏れるということはない。
(6)アンカー金具3は基礎用フレーム21にすでに形成されているため、アンカー金具3のみを別途付属基礎2に埋め込む等の作業が不要となる。
・刃体25の形状、例えば長さや厚みや幅や刃体25の配列状態等については上記実施の形態は一例であって、図示されたものに限定されることはない。また、刃体25の補強のための部材を並設することも可能である。
・基礎用フレーム21の形状は一例であって、図示されたものに限定されることはない。
例えば上記実施の形態では外壁板22と側壁板23には透孔や隙間がない構成であったが、軽量化を図るために透孔を設けても構わない。
・上記実施の形態ではフレーム案内溝28を掘削したが、地盤がそれほど堅くなければこの溝28はなくとも構わない。
また、上記実施の形態ではフレーム案内溝28を基礎用フレーム21の外郭よりも小さくなるように掘削したが、フレーム案内溝28を基礎用フレーム21の外郭よりも大きく形成するようにすることが不可能というものではない。刃体25の先端がしっかりと布基礎1の側面に押圧されるように、基礎用フレーム21の周囲をしっかりと埋め戻すことができるのであれば構わない。
・上記連結金具6の形状やアンカー金具3の形状は一例であって、他の形状で実施することは自由である。
・その他、本発明の趣旨を逸脱しない態様で実施することは自由である。
Claims (5)
- 既存の基礎外側方に追加的に構築される付属基礎であって、同既存の基礎の側方に切っ先方向が斜め上向きに延出される複数の刃体を植設したフレームを同既存の基礎との間に空間を有するように隣接して配置し、同既存の基礎の側面に対して同フレームの前端縁から前方に突出する同刃体の切っ先を当接させるとともに、同切っ先を同既存の基礎の側面に当接させた状態を維持したままで同空間内にコンクリートを打設して切っ先を除く同刃体を埋設するようにしたことを特徴とする付属基礎。
- 既存建造物の基礎外側方に追加的に構築される付属基礎であって、同付属基礎に埋設されたアンカー部材と同建造物の上部側に配設された架構部材との間を筋交い部材によって斜めに張設するようにした既存建造物の耐震補強構造における付属基礎において、同既存の基礎の側方に切っ先方向が斜め上向きに延出される複数の刃体を植設したフレームを同既存の基礎との間に空間を有するように隣接して配置し、同既存の基礎の側面に対して同フレームの前端縁から前方に突出する同刃体の切っ先を当接させるとともに、同切っ先を同既存の基礎の側面に当接させた状態を維持したままで同空間内にコンクリートを打設して切っ先を除く同刃体を埋設したことを特徴とする付属基礎。
- 前記アンカー部材を同フレーム側に一体形成するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の付属基礎
- 切っ先方向が斜め上向きに延出される複数の刃体を植設したフレームの前端縁から前方に突出する同刃体の切っ先を同既存の基礎の側面に接触させながら既存の基礎の側面に沿って土中に打ち込んでいき、同フレームを同既存の基礎との間に空間を有するように隣接して配置させるとともに、同フレームの打ち込みが完了した段階で同切っ先を同既存の基礎の側面に当接させた状態を維持したままで同空間内にコンクリートを打設して切っ先を除く同刃体を埋設するようにしたことを特徴とする付属基礎の構築方法。
- 前記フレームの打ち込みに際して前記既存の基礎の側方にフレーム案内溝を事前に掘削形成し、前記フレームを同案内溝内に配置して打ち込みを行うようにしたことを特徴とする請求項4に記載の付属基礎の構築方法。
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