JP6515290B2 - 耐震岸壁構造 - Google Patents

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Description

本発明は、岸壁を耐震補強するために設けられる耐震岸壁構造に関する。
従来から、土圧に対する抵抗力を効率よく増大させるとともに、土留壁構造を構築する際の施工性を向上させるものとして、例えば、特許文献1に開示される土留壁構造が提案されている。また、地盤からの土圧による鋼矢板の回転を抑止して、ひいては土留壁本体の撓み量を低減するものとして、特許文献2に開示される土留壁が提案されている。
特許文献1に開示された土留壁構造は、下方に向って掘削領域側に傾斜するように構築された土留壁本体と、前記土留壁本体を挟んで掘削領域の反対側の地中に構築された控え壁と、前記土留壁本体と前記控え壁とを連結する連結部材とを備え、前記控え壁は、その面内横方向と前記土留壁本体の面内横方向とが直交するように鉛直に配されている。
特許文献2に開示された土留壁は、土留壁本体と、前記土留壁本体の背面側に突設される控え壁と、前記控え壁から前記土留壁本体と略平行に突設される支圧壁と、前記土留壁本体、控え壁又は支圧壁のうち少なくとも何れか一つを構成する鋼矢板の回転を拘束するように敷設してある土圧対抗材とを少なくとも具備する。
特開2014−105553号公報 特開2010−126991号公報
しかし、特許文献1に開示された土留壁構造は、土留壁本体を掘削領域の外周に沿って傾斜して打設するとともに、控え壁を土留壁本体の背面側の地盤に打設して、当該土留壁本体と控え壁とをタイロッド等の連結部材で連結するものである。このため、特許文献1に開示された土留壁構造は、土留壁本体と控え壁とが同時に打設されて、控え壁で新設の土留壁本体を補強するものであるから、既設の岸壁を耐震補強するものとなっていない。
また、特許文献2に開示された土留壁も、土留壁本体、控え壁及び支圧壁が、溶接又は異形鋼矢板等で互いに連結されるものであり、土留壁本体、控え壁及び支圧壁を全て連結するためには、これらを同時に打設することが必要となる。このため、特許文献2に開示された土留壁は、土留壁本体と同時に打設された控え壁及び支圧壁で、新設の土留壁本体を補強するものであるから、既設の岸壁を耐震補強するものとなっていない。
さらに、特許文献1、2に開示された土留壁構造等は、控え壁を構成する各々の鋼矢板の部材長と、控え壁の延設長との関係が何ら開示されていない。このとき、特許文献1、2に開示された土留壁構造等は、新設の土留壁本体を補強するために控え壁が設けられるものの、土留壁本体を効率的に補強するために最低限必要な控え壁の鋼矢板の数量が不明であるため、経済的な耐震補強ができないものとなる。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであって、その目的とするところは、特に、既設岸壁の耐震補強を対象として、既設岸壁と交差する鋼矢板壁を所定の延設長とすることで、経済的に耐震性能を向上させることのできる耐震岸壁構造を提供することにある。
第1発明に係る耐震岸壁構造は、岸壁を耐震補強するために設けられる耐震岸壁構造であって、既設岸壁と交差する交差方向に延びる鋼矢板壁と、既設岸壁に連結されて前記交差方向に延びる連結部材とを備え、前記鋼矢板壁は、複数の鋼矢板の全部又は一部の頭部を一体化させて設けられて、前記交差方向に延びる延設長が、各々の前記鋼矢板の材軸方向の部材長の半分以上であることを特徴とする。
第2発明に係る耐震岸壁構造は、第1発明において、前記連結部材は、複数の前記鋼矢板の前記頭部を一体化させたコーピング、又は、既設岸壁から離間して設けられた既設控え工に連結されることを特徴とする。
第3発明に係る耐震岸壁構造は、第2発明において、前記鋼矢板壁は、前記既設控え工の近傍の前記鋼矢板が、前記既設控え工に近接させて設けられることを特徴とする。
第4発明に係る耐震岸壁構造は、第3発明において、前記鋼矢板壁は、前記既設控え工の近傍の前記鋼矢板が、前記既設控え工に当接させて設けられることを特徴とする。
第5発明に係る耐震岸壁構造は、第3発明において、前記鋼矢板壁は、前記既設控え工の近傍の前記鋼矢板に形成された継手部が、前記既設控え工に取り付けられた接続部材に嵌合されることを特徴とする。
第1発明〜第5発明によれば、複数の鋼矢板の全部又は一部の頭部を一体化させた状態で、既設岸壁との交差方向に延びる鋼矢板壁が設けられることで、複数の鋼矢板の単純合算剛性を上回る大きな断面二次モーメントを発揮させることが可能となる。
第1発明〜第5発明によれば、特に、鋼矢板壁の延設長を鋼矢板の部材長の半分以上として、鋼矢板壁となる複数の鋼矢板の単位枚数あたりの見かけ上の断面二次モーメントが大きくなることで、最低限必要な鋼矢板の枚数で、鋼矢板壁の水平変位を効果的に抑制して、既設岸壁の耐震性能を経済的に向上させることが可能となる。
第1発明〜第5発明によれば、既設岸壁との交差方向に複数の鋼矢板が連続して打設されて鋼矢板壁が形成されるため、各々の鋼矢板が強軸方向の高い断面二次モーメントを発揮するだけでなく、鋼矢板壁が全体として効率的にせん断剛性を発揮することで、既設岸壁の耐震性能を十分に向上させることが可能となる。
特に、第2発明〜第5発明によれば、背面地盤が液状化した場合でも、コーピング又は既設控え工に連結部材で連結された既設岸壁の変形が抑制されることで、既設岸壁の耐震性能を向上させることが可能となる。
特に、第3発明〜第5発明によれば、既設控え工の近傍に配置された鋼矢板壁の鋼矢板が、既設控え工に離間又は当接等させた状態で近接させて設けられるため、既設控え工から近傍の鋼矢板に荷重伝達がなされるものとなり、既設控え工の変形又は回転移動に対して、交差方向に延びる鋼矢板壁で抵抗することが可能となる。
本発明を適用した耐震岸壁構造を示す斜視図である。 本発明を適用した耐震岸壁構造で複数の鋼矢板の全部の頭部を一体化させた鋼矢板壁を示す正面図である。 本発明を適用した耐震岸壁構造で複数の鋼矢板の一部の頭部を一体化させた鋼矢板壁を示す正面図である。 本発明を適用した耐震岸壁構造を示す平面図である。 本発明を適用した耐震岸壁構造で鋼矢板壁の延設長と鋼矢板の部材長とを示す正面図である。 本発明を適用した耐震岸壁構造で既設控え工に近接させた鋼矢板壁の鋼矢板を示す拡大平面図である。 (a)は、本発明を適用した耐震岸壁構造で既設控え工に連結された連結部材を示す拡大正面図であり、(b)は、そのコーピングに連結された連結部材を示す拡大正面図である。 本発明を適用した耐震岸壁構造で既設岸壁に作用する荷重を示す正面図である。 本発明を適用した耐震岸壁構造で鋼矢板壁の解析モデルを示す正面図である。 本発明を適用した耐震岸壁構造の数値解析で部材長比と変位との関係を示すグラフである。 本発明を適用した耐震岸壁構造の数値解析で部材長比と鋼矢板壁の見かけ上の断面二次モーメントとの関係を示すグラフである。 本発明を適用した耐震岸壁構造の数値解析で部材長比と変形剛性増加率との関係を示すグラフである。
以下、本発明を適用した耐震岸壁構造1を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明を適用した耐震岸壁構造1は、図1に示すように、例えば、南海トラフ地震等の巨大地震への備えとして設けられるものであり、特に、港湾等の沿岸に設けられた既設の岸壁を対象として、この既設岸壁7を耐震補強するために設けられる
既設岸壁7は、例えば、複数のハット形鋼矢板等の岸壁鋼矢板70が用いられるものであり、複数の岸壁鋼矢板70が壁幅方向Xで互いに連結された状態となる。既設岸壁7は、図2に示すように、特に、港湾等となる海側Aと背面地盤82となる陸側Bとを隔てる境界に設けられて、既設の岸壁として沿岸に構築された状態となっている。
既設岸壁7は、各々の岸壁鋼矢板70が海底地盤81まで根入れして打設される。既設岸壁7は、各々の岸壁鋼矢板70が略鉛直方向に延びて直立させて設けられたものであるが、これに限らず、各々の岸壁鋼矢板70が鉛直方向から傾斜させて設けられてもよい。
既設岸壁7は、複数の岸壁鋼矢板70のみで自立式の既設岸壁7として設けられるほか、控え直杭式、又は、控え矢板式等の既設岸壁7として設けられていてもよい。このとき、既設岸壁7は、複数の岸壁鋼矢板70から陸側Bに離間して背面地盤82に設けられた既設の直杭又は矢板等の既設控え工75に、タイロッド等の連結部材6で連結される。
本発明を適用した耐震岸壁構造1は、既設岸壁7と交差する交差方向Yに延びる新設の鋼矢板壁2と、既設岸壁7に連結されて交差方向Yに延びる連結部材6とを備える。
鋼矢板壁2は、複数の鋼矢板20が互いに連結されて設けられる。鋼矢板壁2は、互いに連結される各々の鋼矢板20として、ハット形鋼矢板が用いられるものであるが、これに限らず、U形鋼矢板、Z形鋼矢板、直線形鋼矢板又は鋼管矢板等が用いられてもよい。
鋼矢板壁2は、既設岸壁7の背面地盤82となる陸側Bで、既設岸壁7との交差方向Yに複数の鋼矢板20が連続して打設されて、複数の鋼矢板20が交差方向Yで連結される。鋼矢板壁2は、複数の鋼矢板20の各々の頭部20aが、上部コンクリート等の高剛性体で連結されることで、複数の鋼矢板20の頭部20aを一体化させて設けられる。
鋼矢板壁2は、特に、複数の鋼矢板20の各々の頭部20aが、交差方向Yに連続して設けられる上部コンクリートに埋め込まれることで、複数の鋼矢板20の全部又は一部の頭部20aを交差方向Yに一体化させたコーピング3が設けられるものとなる。
鋼矢板壁2は、既設岸壁7との交差方向Yに打設された複数の鋼矢板20のうち、全部の鋼矢板20の頭部20aをコーピング3等で一体化させる。また、鋼矢板壁2は、これに限らず、図3に示すように、既設岸壁7との交差方向Yに打設された複数の鋼矢板20のうち、一部の鋼矢板20の頭部20aのみをコーピング3等で一体化させてもよい。
鋼矢板壁2は、図4に示すように、既設岸壁7との交差方向Yで、例えば、既設岸壁7の壁幅方向Xと略直交する方向に延びて設けられる。また、鋼矢板壁2は、これに限らず、既設岸壁7の壁幅方向Xと直交する方向から多少傾斜して延びるものであっても、既設岸壁7と交差する交差方向Yに延びて設けられるものとなる。
鋼矢板壁2は、図5に示すように、各々の鋼矢板20が材軸方向Zに所定の部材長Hで延びることで、各々の鋼矢板20の部材長Hの深さまで、背面地盤82に打設されるものとなる。また、鋼矢板壁2は、複数の鋼矢板20が交差方向Yに連続して背面地盤82に打設されることで、既設岸壁7との交差方向Yに所定の延設長Lで延びるものとなる。
鋼矢板壁2は、特に、複数の鋼矢板20が連続して既設岸壁7との交差方向Yに延びる延設長Lが、各々の鋼矢板20の材軸方向Zの部材長Hの半分以上となる。鋼矢板壁2は、例えば、各々の鋼矢板20の材軸方向Zの部材長Hを10m程度とすると、既設岸壁7との交差方向Yに5m以上の延設長Lで延びるものとなる。
鋼矢板壁2は、既設岸壁7から陸側Bに離間して既設控え工75が設けられている場合に、例えば、鋼矢板20の部材長Hが既設控え工75より大きくなる。また、鋼矢板壁2は、既設岸壁7から陸側Bに所定の離間距離Dで離間するときに、鋼矢板壁2の延設長Lと離間距離Dとを併せた合計延長が、既設岸壁7と既設控え工75とを交差方向Yで離間させた合計延長となる。なお、鋼矢板壁2は、既設岸壁7から所定の離間距離Dで離間させるほか、既設岸壁7から離間させずに設けられてもよい。
鋼矢板壁2は、図6に示すように、複数の鋼矢板20の各々に形成された継手部20bを互いに嵌合させることで、複数の鋼矢板20が互いに連結される。鋼矢板壁2は、既設控え工75が設けられている場合に、既設控え工75に最も接近させた既設控え工75の近傍の鋼矢板20が、既設控え工75に近接させて設けられる。
鋼矢板壁2は、図6(a)に示すように、既設控え工75の近傍の鋼矢板20が、既設控え工75から離間するものの、既設控え工75から地盤を介在させて近傍の鋼矢板20に荷重伝達がなされるものとして、既設控え工75に近接させて設けられる。
また、鋼矢板壁2は、図5、図6(b)に示すように、既設控え工75の近傍の鋼矢板20が、既設控え工75に当接されることで、既設控え工75に近接させて設けられてもよい。このとき、鋼矢板壁2は、既設控え工75の近傍の鋼矢板20が、特に、部材長Hの全部を既設控え工75に当接させてもよく、また、部材長Hの一部となる鋼矢板20の頭部20aのみを既設控え工75に当接させてもよい。
また、鋼矢板壁2は、図5、図6(c)に示すように、既設控え工75の近傍の鋼矢板20に形成された継手部20bが、既設控え工75に取り付けられた接続部材76に嵌合されることで、既設控え工75に近接させて設けられてもよい。このとき、鋼矢板壁2は、例えば、既設控え工75の上端側75aのみに接続部材76が取り付けられて、鋼矢板20の頭部20a側のみで継手部20bを接続部材76に嵌合させてもよい。
連結部材6は、図2に示すように、鉄筋又は棒鋼等の引張材として機能するタイロッドが用いられるものであるが、これに限らず、鋼管、平鋼又は形鋼等が用いられてもよい。連結部材6は、既設岸壁7となる岸壁鋼矢板70の上端部70aに連結されて、既設岸壁7から交差方向Yで略直線状に延びるものとなる。
連結部材6は、図7に示すように、既設岸壁7となる岸壁鋼矢板70の上端部70aに、交差方向Yの一端6aがナット等の固定部材60で連結される。さらに、連結部材6は、図7(a)に示すように、既設控え工75が設けられている場合に、既設控え工75の上端側75aに、交差方向Yの他端6bが固定部材60で連結される。
連結部材6は、これに限らず、図7(b)に示すように、鋼矢板壁2となる鋼矢板20の頭部20aを一体化させたコーピング3に、交差方向Yの他端6bが埋め込まれて連結されてもよい。このとき、連結部材6は、特に、既設控え工75が設けられていない場合であっても、交差方向Yの他端6bがコーピング3に連結されて引張材として機能する。
連結部材6は、既設控え工75に他端6bが連結される場合に、特に、既設岸壁7及び既設控え工75とともに背面地盤82に埋め込まれている既設のタイロッドが用いられる。また、連結部材6は、コーピング3に他端6bが連結される場合に、特に、新設のタイロッドが用いられる。なお、連結部材6は、既設控え工75に他端6bが連結される場合であっても、新設のタイロッドを用いることができる。
ここで、既設岸壁7には、図8に示すように、巨大地震等の発生により背面地盤82が液状化した場合に、既設岸壁7との交差方向Yで陸側Bから海側Aに向けて作用する土圧等の荷重Pが増大する。このとき、連結部材6には、荷重Pが増大することで引張力Tが発生して、既設控え工75が設けられている場合に、この引張力Tにより既設控え工75が海側Aに向かい曲げ変形するか、海側Aに向かい滑動しようとして、又は、交差方向Yに対して回転移動しようとする。
本発明を適用した耐震岸壁構造1は、既設岸壁7との交差方向Yに延びる鋼矢板壁2が設けられて、既設控え工75の近傍に配置された鋼矢板壁2の鋼矢板20が、既設控え工75に離間又は当接等させた状態で近接させて設けられる。このとき、本発明を適用した耐震岸壁構造1は、既設控え工75から近傍の鋼矢板20に荷重伝達がなされるものとなり、この既設控え工75の変形、滑動又は回転移動に対して、交差方向Yに延びる鋼矢板壁2が抵抗Rするものとなる。
このため、本発明を適用した耐震岸壁構造1は、既設控え工75の変形、滑動又は回転移動に対して、交差方向Yに延びる鋼矢板壁2が抵抗Rすることで、既設控え工75の水平変位が抑制されるものとなる。そして、本発明を適用した耐震岸壁構造1は、背面地盤82が液状化した場合でも、既設控え工75の水平変位が鋼矢板壁2で抑制されて、既設控え工75に連結部材6で連結された既設岸壁7の変形も抑制される。
これにより、本発明を適用した耐震岸壁構造1は、既設控え工75に連結部材6で連結された既設岸壁7の変形が抑制されることで、既設岸壁7の耐震性能を向上させることが可能となる。また、本発明を適用した耐震岸壁構造1は、図7(b)に示すように、連結部材6がコーピング3に連結される場合でも、鋼矢板壁2に連結部材6で連結された既設岸壁7の変形が抑制されるため、既設岸壁7の耐震性能を向上させることが可能となる。
本発明を適用した耐震岸壁構造1は、図5に示すように、既設岸壁7との交差方向Yに延びる鋼矢板壁2の延設長Lが、特に、鋼矢板壁2となる各々の鋼矢板20の材軸方向Zの部材長Hの半分以上となる。また、本発明を適用した耐震岸壁構造1は、複数の鋼矢板20の全部又は一部の頭部20aをコーピング3等で一体化させた状態で、既設岸壁7との交差方向Yに延びる鋼矢板壁2が設けられるものとなる。
ここで、本発明を適用した耐震岸壁構造1については、図9に示すように、鋼矢板壁2の延設長Lを変数とした解析モデルを設定して、鋼矢板壁2の水平方向の変形剛性を数値解析することで、既設岸壁7の耐震性能の向上を検証するものとした。
この解析モデルでは、有効幅寸法を900mm、有効高さ寸法を230mmとした規格10Hの鋼矢板20、及び、有効幅寸法を900mm、有効高さ寸法を370mmとした規格50Hの鋼矢板20を、鋼矢板壁2として連結される各々の鋼矢板20とした。なお、規格10Hの鋼矢板20は、強軸方向の断面二次モーメントIが86634cm4となり、規格50Hの鋼矢板20は、強軸方向の断面二次モーメントIが153081cm4となる。
また、この解析モデルでは、鋼矢板壁2のコーピング3に伝達される荷重Pを72kN、各々の鋼矢板20の材軸方向Zの部材長Hを10mとするとともに、各々の鋼矢板20の下端部が固定されるものとした。この数値解析の結果は、鋼矢板壁2の延設長Lを変数として、各々の鋼矢板20の部材長Hに対する鋼矢板壁2の延設長Lの部材長比(L/H)との関係で、図10〜図12に示すものとなる。
この数値解析の結果は、鋼矢板壁2のコーピング3の水平方向の変位δを縦軸、部材長比(L/H)を横軸とすると、図10に示すものとなる。このとき、この数値解析の結果では、規格10H及び規格50Hの何れの鋼矢板20においても、鋼矢板壁2の延設長Lが大きくなり、部材長比が増大するにしたがって、変位δが小さくなることがわかる。
また、この数値解析の結果は、水平方向の変位δから片持ち梁の式(I=PH3/3Eδ)を計算することで鋼矢板壁2の見かけ上の断面二次モーメントIを算出して、鋼矢板壁2の見かけ上の断面二次モーメントIを縦軸、部材長比(L/H)を横軸とすると、図11に示すものとなる。このとき、この数値解析の結果では、鋼矢板壁2の延設長Lが大きくなり、部材長比が増大するにしたがって、鋼矢板壁2の見かけ上の断面二次モーメントIが大きくなることがわかる。
ここで、各々の鋼矢板20の1枚あたりの断面二次モーメントIに、鋼矢板壁2の延設長Lに相当する鋼矢板20の枚数を乗じることで、複数の鋼矢板20の単純合算剛性を算出した。複数の鋼矢板20を一体化させた鋼矢板壁2の見かけ上の断面二次モーメントIを、複数の鋼矢板20の単純合算剛性で除することで、変形剛性増加率が算出される。この結果は、変形剛性増加率を縦軸、部材長比(L/H)を横軸とすると、図12に示すものとなる。
鋼矢板壁2の見かけ上の断面二次モーメントIは、仮に、鋼矢板壁2の延設長Lに相当する枚数の鋼矢板20の単純合算剛性と同程度の大きさとなるに過ぎないものであれば、部材長比(L/H)が増大したとしても、変形剛性増加率が1程度から変化しないものとなる。このとき、鋼矢板壁2の見かけ上の断面二次モーメントIは、複数の鋼矢板20を一体化させて鋼矢板壁2が形成されるにもかかわらず、複数の鋼矢板20の単純合算剛性と同程度となることで、鋼矢板壁2の水平変位が十分に抑制されないものとなる。
これに対して、本発明を適用した耐震岸壁構造1は、図12に示すように、部材長比が増大するにしたがって、変形剛性増加率が1を上回って大きくなることで、鋼矢板壁2の見かけ上の断面二次モーメントIが大きいものとなる。このため、本発明を適用した耐震岸壁構造1は、複数の鋼矢板20を一体化させて鋼矢板壁2が形成されることで、複数の鋼矢板20の単純合算剛性を上回る大きな断面二次モーメントIを発揮することがわかる。
本発明を適用した耐震岸壁構造1は、特に、部材長比(L/H)≧0.45となるときに、変形剛性増加率が著しく増大するため、鋼矢板壁2の延設長Lを鋼矢板20の部材長Hの半分以上とする。このとき、本発明を適用した耐震岸壁構造1は、鋼矢板壁2となる複数の鋼矢板20の単位枚数あたりの見かけ上の断面二次モーメントIが大きくなることで、最低限必要な鋼矢板20の枚数で、鋼矢板壁2の水平変位が効果的に抑制されるものとなる。
これにより、本発明を適用した耐震岸壁構造1は、複数の鋼矢板20の全部又は一部の頭部20aをコーピング3等で一体化させた状態で、既設岸壁7との交差方向Yに延びる鋼矢板壁2が設けられるとともに、鋼矢板壁2の延設長Lを鋼矢板20の部材長Hの半分以上とすることで、最低限必要な鋼矢板20の枚数で、鋼矢板壁2の水平変位が効果的に抑制されるため、既設岸壁7の耐震性能を経済的に向上させることが可能となる。
本発明を適用した耐震岸壁構造1は、図4に示すように、既設岸壁7との交差方向Yに複数の鋼矢板20が連続して打設されて鋼矢板壁2が形成される。これにより、本発明を適用した耐震岸壁構造1は、各々の鋼矢板20が強軸方向の高い断面二次モーメントIを発揮するだけでなく、鋼矢板壁2が全体として効率的にせん断剛性を発揮するため、既設岸壁7の耐震性能を十分に向上させることが可能となる。
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、上述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならない。
1 :耐震岸壁構造
2 :鋼矢板壁
20 :鋼矢板
20a :頭部
20b :継手部
3 :コーピング
6 :連結部材
6a :一端
6b :他端
60 :固定部材
7 :既設岸壁
70 :岸壁鋼矢板
70a :上端部
75 :既設控え工
75a :上端側
76 :接続部材
81 :海底地盤
82 :背面地盤
H :部材長
L :延設長
X :壁幅方向
Y :交差方向
Z :材軸方向

Claims (5)

  1. 岸壁を耐震補強するために設けられる耐震岸壁構造であって、
    既設岸壁と交差する交差方向に延びる鋼矢板壁と、既設岸壁に連結されて前記交差方向に延びる連結部材とを備え、
    前記鋼矢板壁は、複数の鋼矢板の全部又は一部の頭部を一体化させて設けられて、前記交差方向に延びる延設長が、各々の前記鋼矢板の材軸方向の部材長の半分以上であること
    を特徴とする耐震岸壁構造。
  2. 前記連結部材は、複数の前記鋼矢板の前記頭部を一体化させたコーピング、又は、既設岸壁から離間して設けられた既設控え工に連結されること
    を特徴とする請求項1記載の耐震岸壁構造。
  3. 前記鋼矢板壁は、前記既設控え工の近傍の前記鋼矢板が、前記既設控え工に近接させて設けられること
    を特徴とする請求項2記載の耐震岸壁構造。
  4. 前記鋼矢板壁は、前記既設控え工の近傍の前記鋼矢板が、前記既設控え工に当接させて設けられること
    を特徴とする請求項3記載の耐震岸壁構造。
  5. 前記鋼矢板壁は、前記既設控え工の近傍の前記鋼矢板に形成された継手部が、前記既設控え工に取り付けられた接続部材に嵌合されること
    を特徴とする請求項3記載の耐震岸壁構造。
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