JP7359515B2 - 地中構造物の液状化対策構造 - Google Patents

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この発明は、地中に埋設される共同溝や地下道路等の線状の地中埋設構造物(以下、地中構造物と略す。)の液状化対策構造の技術分野に属し、更にいえば、液状化による地盤被害が懸念される地盤(軟弱地盤)内に構築された既設共同溝に対し、柱列式の地盤改良壁によって液状化を防止する技術に関する。
前記地中構造物のうち、例えば既設の共同溝を対象とした液状化対策としては、格子状地盤改良や連続地中壁によるせん断変形の抑制を対象とした工法がある。また、ディープウェルによる地下水位低下工法や排水機能付き鋼材による間隙水圧消散工法など、浮力による浮き上がり防止を目的とした工法もある。
具体的に、図9は、深層混合処理工法により既設共同溝Aの浮き上がりを防止する技術を示している。この技術は、前記周辺地盤からの回り込みに起因した浮き上がりを抑止するべく、既設共同溝Aの延長方向両側に沿って深層混合処理工法による改良壁a、aを造成するものである。
この図9に係る深層混合処理工法を採用した技術によれば、造成した改良体aの地震時の外的安定性を満たすには底面摩擦力が必要なため、既設共同溝Aの両側に構築する改良体aの改良幅をそれぞれ5.7mに設定する等、非常に広範囲にわたる改良が必要になる。そのため、工期が長引き、コスト高になるほか、狭隘な場所では実施に難渋する課題がある。
図10は、鋼矢板を用いて既設共同溝Aの浮き上がりを防止する技術を示している。この技術は、既設共同溝Aの前記周辺地盤からの回り込みに起因した浮き上がりを抑止するべく、既設共同溝Aの両側に排水ドレーン付きの鋼矢板b、bを打設するものである。
この図10に係る鋼矢板bを採用した技術によれば、鋼矢板bを連続させて施工するので、共同溝A以外の地中埋設物が干渉する場合は実施できない(又は施工に難渋する)課題がある。また、浮力による浮き上がりに対しては、鋼矢板bに突起等を設置して対応するが、手間がかかりコスト高となる課題もある。
また、特許文献1は、図11に示したように、既成の鋼矢板c、cにより山留めを行い、構造物(共同溝)Aの底版まで掘削したのち、前記鋼矢板c、cの背面にドレーン材f、fを設置するとともに、前記構造物Aと鋼矢板cとの間に流動化処理土gを埋め戻すことを特徴とする線状構造物の液状化対策工法が開示されている(請求項1の記載参照)。
この特許文献1に係る工法によれば、鋼矢板cを利用しているため、やはり構造物(共同溝)A以外の地中埋設物が干渉する場合は実施できない(又は施工に難渋する)課題がある。
そこで、本出願人は、上記した各課題を踏まえ、特許文献2の発明を開発した。
この特許文献2は、同文献2の図1~図3に示したように、地中構造物1の延長方向両側に沿って、高圧噴射撹拌工法で改良径の小さい改良体2を柱列状に非液状化層6へ到達するまで構築し、前記改良体2の内部に芯材3を建て込む工程を繰り返し行うことにより、前記改良体2と芯材3とからなる合成杭を連続させた地盤改良合成壁4を造成すると共に、隣接する前記合成杭の前記地中構造物1寄りの接円部分Pをボーリングした跡にドレーン材5を設置することを特徴とする地中構造物の液状化対策工法が開示されている(請求項1の記載等参照)。
前記特許文献2の発明によれば、改良径の小さい(例えば2m程度の)改良体2を柱列状に構築して実施するので、狭隘な場所でも十分に実施できる。よって、前記図9に係る深層混合処理工法を採用した技術に生じる課題を解消できる。また、鋼矢板を用いることなく高圧噴射撹拌工法で改良体2を構築するので、構造物(共同溝)A以外の地中埋設物が干渉する場合でも制約を受けない柔軟な施工ができる。よって、前記図10、図11に係る鋼矢板を採用した技術に生じる課題も解消できる。
特開平7-127045号公報 特開2017-96045号公報
前記特許文献2の発明は、上記段落[0007]で説明した効果のほか、「地中構造物の延長方向両側に沿って、改良体と芯材とからなる強度・剛性に優れた合成杭を連続させた地盤改良合成壁を造成するので、既設共同溝等の地中構造物に対する付着力(拘束力)を十分に発揮でき、液状化時の地中構造物に対する浮力による浮き上がり、および周辺地盤からの回り込みに起因した浮き上がりを未然に防止することができる」効果を奏する(同文献2の段落[0016]の1)参照)。
すなわち、前記特許文献2の発明は、前記地中構造物1を地盤改良合成壁4で強固にホールド(固定)し、かつ、その改良体2は根入れ部分の受動抵抗により地震力に対して抵抗する杭設計とみなすという技術的思想に立脚し、液状化時の地中構造物1に対する浮力による浮き上がりを未然に防止できる効果を発揮する等、実用性が高い。
その他、設計上の問題として、上述した連続地中壁や排水機能付き鋼矢板においては、改良体等を非液状化層まで根入れされた不動体として仮定されるため、設計外力として地震時動水圧を考慮する必要もある。
本発明の目的は、前記特許文献2に係る前記した技術的思想に対し、地中構造物への地盤改良壁の固定度を意図的に下げて浮き上がりを許容する構成を実現するという逆転の発想に基づく技術的思想を導入することにより、地盤改良壁の剛性を低減するにもかかわらず地震時動水圧を抑えることが可能な、経済性、施工性に優れた地中構造物の液状化対策構造を提供することにある。
上記背景技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る地中構造物の液状化対策構造は、地中構造物の延長方向両側に沿って、改良径が1.0~2.5m程度の小さい地盤改良体が柱列状に非液状化層に到達するまで構築されると共に前記地盤改良体の内部に、鋼材よりも剛性が低い棒状の鉄筋、前記地盤改良体の上端部から下端部にわたり、かつ非液状化層に到達しない深さに建て込まれることにより地盤改良壁が造成されること、および
記地盤改良壁は、その上端部から下端部まで略均等な横断面形状で、かつ、その下端部が前記地盤改良壁の有効幅の1/2~3/2の有効幅分だけ前記非液状化層へ根入れされる一方、上端部は前記地中構造物の中程よりも高く造成されていないことを特徴とする。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した地中構造物の液状化対策構造において、前記地盤改良壁は、その上端部が前記地中構造物の全高の1/4~2/3の高さ分だけ前記地中構造物の下端よりも高くなるように造成されていることを特徴とする。
本発明に係る地中構造物の液状化対策構造によれば、以下の効果を奏する。
1)地中構造物の延長方向両側に沿って、改良径が小さい地盤改良体を柱列状に非液状化層に到達するまで構築すると共に前記地盤改良体の内部に棒状の補強部材を非液状化層に到達させないように建て込んで地盤改良壁を造成して実施するので、前記地中構造物に液状化発生時に生じる周辺地盤の回り込みに伴う浮き上がりを抑制することができる。
また、前記地中構造物の直下地盤における液状化を許容することから、前記地中構造物と前記地盤改良壁とを高圧噴射攪拌工法によりラップさせ、また前記地盤改良壁を非液状化層に根入れすることにより、それぞれの部分に発生する付着力を確保し、液状化発生時に前記地中構造物に発生する浮力に伴う浮き上がりを抑制することができる。
2)前記地盤改良壁の下端部は非液状化層への根入れを小さくする一方、上端部は前記地中構造物の中程よりも高く造成しないことにより、地中構造物への固定度を意図的に下げ、地震時に前記地盤改良壁が倒壊(破壊)しない程度の微細なロッキングを生じさせ、その結果、前記地盤改良壁に発生する地震時動水圧を低減することができる。
3)前記2)の効果に伴い、前記地盤改良壁の規模(強度・剛性)を小さくして実施できる等、施工性、経済性に優れている。
4)前記地盤改良体を高圧噴射撹拌工法または高圧噴射撹拌併用機械撹拌工法により構築すると、地中構造物以外の地中埋設物が干渉する場合や、狭隘な場所でもフレキシブルに効率よく施工できる。よって、施工性に優れている。
本発明の液状化対策構造を共同溝(既設共同溝)に適用した場合を概略的に示した立断面図である。 図1の共同溝の周辺部を拡大して示した立断面図である。 図2に対応した平面図である。 図1のバリエーションを示した立断面図である。 図4の要部拡大図である。 図5に対応した平面図である。 A~Eは、本発明の効果を確認(対比検討)するために行った遠心模型実施結果を示した表である。 水圧差(地震時動水圧)によって生じる曲げモーメントの検討結果を表したグラフである。 従来技術を示した立断面図である。 従来技術を示した立断面図である。 従来技術を示した立断面図である。
以下に、本発明に係る地中構造物の液状化対策構造の実施例を図面に基づいて説明する。ちなみに本実施例では、地中構造物として、電気、電話、ガス、水道等のライフラインを地下に埋設するために構築された既設の共同溝に適用した場合を示している。
図1~図3は、柱列式の地盤改良壁による液状化対策が施された共同溝(地中構造物)1を示している。
前記共同溝(地中構造物)1の液状化対策構造は、地盤6の中に埋設された共同溝1の延長方向両側に沿って、改良径Sの小さい円柱状の地盤改良体2が柱列状に非液状化層5に到達するまで構築されると共に前記地盤改良体2の内部に棒状の補強部材(例えば、鉄筋)3が非液状化層5に到達しないように建て込まれることにより地盤改良壁4が造成される。
ちなみに、本実施例に係る共同溝1の横幅は、480cm程度を想定しているが勿論これに限定されず、種々の形態の地中構造物に適用できる。
前記地盤改良体2は、本実施例では高圧噴射撹拌工法で構築している。この高圧噴射撹拌工法は、小型(効率性重視)又は超小型(設置性重視)の噴射式地盤改良機により、固化材を高圧で噴射し地盤6を掘削(削孔)しながら混合撹拌する工法である。
本実施例では、平面方向からみて、前記共同溝1を避けた位置にガイド管を設置し、ロッドを鉛直方向に貫入し(図示略)、隣接する共同溝1の延長方向側面と一部分がラップするように地盤改良体2(地盤改良壁4)の下端部は非液状化層5への根入れを小さくして(0.5~3m程度)造成している。その一方、地盤改良体2(地盤改良壁4)の上端部は、前記共同溝1の中程よりも高く造成しない(共同溝1の下端よりも1~2m高くなるように造成する)程度とし、前記共同溝1との一体化を図り、液状化発生時に前記地中構造物に発生する浮き上がりを抑制することに寄与する。
なお、前記高圧噴射撹拌工法の代わりに高圧噴射撹拌併用機械撹拌工法を採用しても同様に実施でき、同様の作用効果を奏する。
このように、前記地盤改良体2を高噴射撹拌工法(又は高圧噴射撹拌併用機械撹拌工法)で構築すると、共同溝(地中構造物)1以外の地中埋設物が存在する場合であっても、鋼矢板で実施する場合とは異なり、当該地中埋設物を避けて地盤改良体2を連続的に構築できる等、柔軟に施工できる。
前記地盤改良体2は、その改良径S(外径φ)が1.0~2.5m程度に形成されている。これは、従来の深層混合処理工法における改良幅(例えば、5.7m)よりもはるかに小さい。よって、狭隘な場所でも十分に施工可能である。
また、前記地盤改良体2の形態は、図示例に限定されず、施工する地盤改良機等に応じ、外径、外形、又は本数等、適宜変更可能である。前記地盤改良体2の打設順序は、1本又は複数本おきに打設して適時にその間を間詰めする手法で施工してもよいし、片押しで施工してもよい。ただし、各地盤改良体2が所定の強度を発現するまでの間に速やかに前記棒状の補強部材3を建て込む。
なお、本実施例に係る前記地盤改良体2は、改良径Sを約2.0mに形成し、隣接する改良体2、2同士は、芯と芯との間の距離(芯芯間)を約1.7mに設定してラップさせている。棒状の補強部材3として用いる鉄筋(又はこれに準ずる材料)3は、本実施例では、1本の地盤改良体2に対して1本の鉄筋(φ51mm)を、同地盤改良体2の軸芯位置(略中心部)に建て込む構成で実施されている。
かくして、図3の平面図に示した共同溝1の両側において、一列状に構築した隣り合う地盤改良体2、2同士が一部ラップすることはもちろん、付着力(拘束力)の増大を図るべく、前記共同溝1と一部ラップするように構築することにより、地中構造物の延長方向全長にわたり地盤改良体2を連続させた地盤改良壁4を造成する。
ちなみに本実施例に係る地盤改良壁4は、図1に示したように、その上端部から下端部まで略均等な横断面形状に造成している。また、前記地盤改良体2の改良強度は2000~3000kN/mで実施しているがこれに限定されず、地盤性状等に応じて適宜設計変更可能である。
このように、前記共同溝(地中構造物)1の液状化対策構造は、上記構成の地盤改良体2に、さらに前記棒状の補強部材3を非液状化層5に到達しない程度の深さ(図示例では非液状化層5よりも1m程度浅い深さ)まで建て込まれている。
これは、改良径Sが小さい地盤改良体2だけでは、地震時に発生する浮力による浮き上がりや回り込み、及び地震時動水圧に対して安定性を十分に確保することができず、倒壊(破壊)する虞があるが、棒状の補強部材(鉄筋)3を1本(図1~図3参照)建て込んで補強することにより、前記安定性を確保できることに起因している。
なお、前記棒状の補強部材3を中心部に一本建て込んだ場合、地盤改良体2に発生するせん断力に対しては有効に作用するが、曲げモーメントに対しては安定性に寄与することができない。よって、構造設計上、曲げモーメントによる破壊が懸念される場合、例えば図4~図6に示したように、中心部から等間隔にバランスよく複数本(図示例では細径(φ25mm程度)サイズを2本)配置して前記安定性を確保する等の工夫は適宜行われるところである。
ただし、地盤改良体2を単に補強するだけでは地盤改良壁4全体の剛性が高くなり、地震時動水圧等に対して過度に抵抗し、地盤改良壁4を損傷させる虞があることに留意する必要がある。
すなわち、本発明では、補強部材3(芯材)にH形鋼等の剛性が高い部材を採用したり、非液状化層5まで根入れしたりすることなく、前記地盤改良壁4が地震時にロッキングを生じさせ得る程度に補強し、当該地盤改良壁4へ作用する地盤時動水圧を適度に受け流す構造を実現させるべく、前記H形鋼等の鋼材よりも剛性が低い棒状の補強部材(鉄筋)3を採用し、しかも、非液状化層5に到達しない程度に浅く建て込んで実施している。
したがって、上述した地中構造物1の液状化対策構造は、地中構造物1の延長方向両側に沿って、改良径が小さい地盤改良体2を柱列状に非液状化層5に到達するまで構築すると共に、前記地盤改良体2の内部に棒状の補強部材3を非液状化層5に到達させないように建て込んで地盤改良壁4を造成して実施するので、前記地中構造物1に液状化発生時に生じる周辺地盤の回り込みに伴う浮き上がりを抑制することができる。
また、前記地盤改良壁4の下端部は非液状化層5への根入れを小さくする一方、上端部は前記地中構造物1の中程よりも高く造成しないことにより、地中構造物1への固定度を意図的に下げ、地震時に前記地盤改良壁4が倒壊(破壊)しない程度の微細なロッキングを生じさせ、その結果、前記地盤改良壁4に発生する地震時動水圧を低減することができる。これに伴い、前記地盤改良壁4の規模(強度・剛性)を小さくして実施できる等、施工性、経済性に優れている。
次に、上述した地中構造物1の液状化対策構造について、本出願人が行った遠心模型実験(効果確認試験)について説明する。
図7Aは、本発明に係る液状化対策構造のモデルケースを示している。このモデルケースでは、地盤改良壁体2の下端部は非液状化層5への根入れを小さくしている(0.9m程度)。一方、地盤改良体2の上端部は、地中構造物1の下端よりも1.0m高くなる高さとしている(改良強度3000kN/m 、改良長12.2m、改良体天端GL-3.8m)。地盤改良体2に内蔵する鉄筋3(芯材)は、10mの長さを採用し、その上端を前記地盤改良体2の上端に揃え、下端部は、非液状化層5よりも1m程度浅いところで止めている。
このモデルケースでの遠心模型実験によれば、浮き上がり量は55mmで、地盤改良体2は一切破断(倒壊)しておらず、健全性を確認できた。
これは、前記背景技術の項で説明した本出願人が先に出願した特許文献2と比し、非液状化層5への根入れを小さくし、地中構造物1への固定度を意図的に下げることにより、地震時に前記地盤改良体2が倒壊(破壊)しない程度の微細なロッキングを生じさせ、その結果、前記地盤改良体2に発生する地震時動水圧を低減できたことが良好な結果が得られた要因と推定される。根拠として、図8に示すように、遠心模型実験より得られた計算測定(実測)では、地盤改良体2に理論値(地震時動水圧)ほどに断面力(曲げモーメント)が確認されなかったことが挙げられる。
また、根入れを小さくした結果、地盤改良体2のうち非液状化層5との境界部において固定度が下がったことで発生する断面力が低下し、その結果、鉄筋3の下端部を非液状化層5よりも浅いところで止めても地盤改良体2に破断(倒壊)が発生しなかったものと推定される。
図7Bのモデルケースは、図7Aと比し、地盤改良体2と鉄筋3(芯材)の長さを地中構造物1の天端まで高く形成している点が相違する(改良長14.2m、芯材長12m)。
このモデルケースでの遠心模型実験によれば、浮き上がり量は37mmであったが、地盤改良体2は破断(倒壊)が認められた。これは、地中構造物1と地盤改良体2との固定度が高くなったため、地中構造物1に発生する地震時慣性力が水平荷重として地盤改良体2に集中的に作用した結果、破断(倒壊)が生じたと推定される。
すなわち、前記地盤改良体2は、非液状化層5および地中構造物1への固定度を単に高めただけでは地盤改良体2の健全性を確保できないことが確認された。
図7Cのモデルケースは、図7Aと比し、地盤改良体2に内蔵する鉄筋3は、5mの長さを採用し、その上端を前記地盤改良体2の上端に揃え、下端部は、非液状化層5よりも6m程度浅いところで止めている点が相違する。
このモデルケースの遠心模型実験によれば、浮き上がり量は87mmであり、地盤改良体2は破断(倒壊)が認められた。
すなわち、前記地盤改良体2は、作用する地震時動水圧こそ、前記段落[0027]、[0028]に示す理由により低減されているが、発生する断面力に対して鉄筋3(芯材)による適切な範囲を対象とした補強を行わない限り、地盤改良体2の健全性を確保できないことが確認された。ここで、適切な範囲とは、地盤改良体2の天端を始点として、終点は、非液状化層5よりも若干浅いところに存在する。
念のため、図7D、図7Eに示したように、鉄筋(芯材)3なしのモデルで実験してみたが、浮き上がり量はそれぞれ131mm、103mmで、地盤改良体2はともに破断(倒壊)が認められたことからも、地盤改良体2の強度が不十分でも地盤改良体2の健全性を確保できないことが確認された。
纏めると、前記地中構造物1に対し、地盤改良壁4が、その地盤改良体2の根入れを程よく浅く、地中構造物1への固定も適度な固定度でホールドされるとともに、鉄筋3の挿入により地盤改良体2の上方を補強する構成とし、しかも鉄筋(芯材)3も根入れしない程度に適切な範囲を対象として補強する構成とすることが、地盤改良壁4自体の健全性を維持する上で非常に重要であることがわかった。
ちなみに、前記地盤改良壁4は、その上端部が前記地中構造物1の全高の1/4~2/3の高さ分だけ前記地中構造物1の下端よりも高くなるように造成すると良好な結果が得られる。これは、本出願人が実験と、見識に基づき得た数値等を勘案して導き出されている。一方、前記地盤改良壁4は、その下端部が前記地盤改良壁4の有効幅の1/2~3/2の有効幅分だけ非液状化層5へ根入れするように造成すると良好な結果が得られる。これも、本出願人が実験と、見識に基づき得た数値等を勘案して導き出されている。
以上、実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
例えば、前記地盤改良体2の形態(大きさ、形状、改良強度)、及び、棒状の補強部材3の形態(大きさ、形状、本数)は、上記に限定されず、地震時に前記地盤改良体2が倒壊(破壊)しない程度の微細なロッキングを生じさせて地盤改良壁4の健全性を維持可能な構造設計に応じて適宜設計変更可能である。
また、本発明に係る地中構造物の液状化対策構造は、共同溝のほか、地下道路、地下鉄道等のいわゆる線状の地中埋設構造物に対しても同様に実施できる。
1 地中構造物(共同溝)
2 地盤改良体
3 棒状の補強部材(鉄筋)
4 地盤改良壁
5 非液状化層
6 地盤(液状化層)
S 改良径

Claims (2)

  1. 地中構造物の延長方向両側に沿って、改良径が1.0~2.5m程度の小さい地盤改良体が柱列状に非液状化層に到達するまで構築されると共に前記地盤改良体の内部に、鋼材よりも剛性が低い棒状の鉄筋、前記地盤改良体の上端部から下端部にわたり、かつ非液状化層に到達しない深さに建て込まれることにより地盤改良壁が造成されること、および
    記地盤改良壁は、その上端部から下端部まで略均等な横断面形状で、かつ、その下端部が前記地盤改良壁の有効幅の1/2~3/2の有効幅分だけ前記非液状化層へ根入れされる一方、上端部は前記地中構造物の中程よりも高く造成されていないことを特徴とする
    、地中構造物の液状化対策構造。
  2. 前記地盤改良壁は、その上端部が前記地中構造物の全高の1/4~2/3の高さ分だけ前記地中構造物の下端よりも高くなるように造成されていることを特徴とする、請求項1に記載した地中構造物の液状化対策構造。
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