JP2020117959A - 堤体の補強構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】工費・工期を短縮できるとともに、谷池の貯水量が増加した際に堤体に作用する水圧に十分に抵抗して、堤体の崩壊を抑止できる堤体の補強構造を提供する。【解決手段】谷を堤体10によって堰き止めることで形成された谷池11の前記堤体10の内部に鋼矢板壁15が堤体10の延在方向に沿って設置され、谷池11の周囲でかつ堤体10の近傍の地山12にアンカー部20が設置され、アンカー部20が鋼矢板壁15に接続されているので、工費・工期を短縮できるとともに、谷池の貯水量が増加した際に堤体に作用する水圧に十分に抵抗して、堤体の崩壊を抑止できる。【選択図】図1

Description

本発明は、堤体の補強構造に関する。
近年、大規模な地震に伴い河川堤防やため池堤防の決壊が多数発生しており、また幾つかの大規模地震の発生が想定されていることから、堤防(堤体)の耐震補強が重要性を増している。
このような背景を踏まえ、これまでに鋼矢板を用いた堤防(堤体)の補強技術が提案されている(例えば特許文献1および2参照)。
特許文献1に記載の堤体の耐震性能補強構造では、アースフィルダム又は溜池等の盛土された堤体のほぼ中央部分の長手方向に2列縦列に鋼矢板で形成された補強用板状体を埋設し、当該両補強用板状体の上端部を所定間隔毎に連結部材により連結する二重締切り構造としている。
また、特許文献2に記載の堤防の補強構造では、堤防の堤外側の法肩付近に、当該堤防の延長方向に連続し、下端が地盤の支持層に達する鋼矢板で形成された鋼製壁が設けられ、堤内側の法肩付近には、離散的に配置される控え工が設けられ、前記鋼製壁と前記控え工とを前記堤防の天端付近で繋ぎ材により互いに連結している。
特開2003−321826号公報 特開2013−14962号公報
ところで、「農業土木学会論文集 TRANS. of JSIDRENo.218,
127〜137 (2002. 4)の「豪雨による農業用ため池の破壊原因と被災の特徴」」に記載されているように、農業用ため池は全国に約20万〜25万箇所存在するといわれており、農業のみならず地域の貴重な水資源となっている。しかし、築造年代が古く老朽化が進んでいるため池が多く、豪雨時におけるため池の被害が懸念されている。ため池の被害としては、すべり、浸食などによる堤体の損傷、堤体・基盤の漏水、付帯構造物の損傷が認められるが、被害のほとんどは豪雨によるものであり、その割合は95%以上となっている。
近年の豪雨/地震災害により、ため池の堤体の決壊に伴う被害が全国的に発生しており、全国に約20万〜25万箇所所以上散在するため池の堤体補強が喫緊の課題となっている。
鋼矢板を用いた堤防補強工法としては、鋼矢板二重式仮締切工法が既に確立されており、本設構造としても海岸堤防へ採用されている。一方で、ため池堤防(堤体)においては、農業用として常時一定量貯水していることから、常時作用する堤体への偏水圧を考慮した対策が必要である。
上述した特許文献1および特許文献2に記載の従来の堤体の補強構造は、堤防(堤体)を線状に長い均一な構造物として捉え、堤体の延長方向(延在方向)に直交する2次元断面上で補強体の配置を工夫する補強工法を適用したり、線状構造物としての堤体延長方向内部の範囲内で離散的に補強体構造を設置したりすることが主体であった。
しかし、堤体内部のみに構造体を設置し、災害時などに発生する水圧等に抵抗しようとすると、補強構造体が大型となり、工費・工期が嵩んでしまうという問題がある。
また、ため池は、その形態により谷池と皿池に区分けされるが、周辺地盤が岩盤や硬い地層で囲まれている谷池の場合、堤体内に鋼矢板を設置する工法においては、水圧に抵抗するために鋼矢板下端を硬い地層に設置するために、地盤を打ち砕くクラッシュパイラーなどの特殊な施工機械が必要になる。クラッシュパイラーにおいては、機械損料が高く工費を圧迫するともに、地山を打ち砕くために施工スピードが低下する。また、大型重機となるために山間部などの狭隘地に持ち込むことができない、などの不具合が発生することがある。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、従来に比して工費・工期を短縮できるとともに、谷池の貯水量が増加した際に堤体に作用する水圧に十分に抵抗して、堤体の崩壊を抑止できる堤体の補強構造を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の堤体の補強構造は、谷を堤体によって堰き止めることで形成された谷池の前記堤体を補強する堤体の補強構造であって、
前記堤体の内部に鋼製壁が前記堤体の延在方向に沿って設置され、前記谷池の周囲の地山にアンカー部が設置され、前記アンカー部が前記鋼製壁に接続されていることを特徴とする。
ここで、谷池の堤体は、谷池に貯留されている水を堰き止める部分において、谷池の幅方向の長さより長く形成され、当該堤体の長手方向(延在方向)の端部は、平面視において谷池より側方に突出している。そして、堤体の内部に設置される前記鋼製壁は平面視において堤体の長手方向の一端部から他端部まで連続して形成されている。したがって、アンカー部は、堤体の一端部近傍の地山と他端部近傍の地山にそれぞれ設置し、一方のアンカー部を鋼製壁の一端部に接続し、他方のアンカー部を鋼製板壁の他端部に接続するのが好ましい。
また、鋼製壁としては、鋼矢板を複数連結してなる鋼矢板壁が好適に使用されるが、これに限るものではない。例えば、鋼管矢板を複数連結してなる鋼管矢板壁、鋼矢板と鋼管矢板を複数連結してなる鋼製壁等を使用してもよい。
本発明においては、谷池の周囲の地山に設置されたアンカー部が堤体の内部に設置された鋼製壁に接続されているので、地山の強度を利用して堤体を鋼製壁およびアンカー部によって補強できる。したがって、谷池の貯水量が増加した際に堤体に作用する水圧に十分に抵抗して堤体の崩壊を抑止できるとともに、従来に比して工費・工期を短縮できる。
また、堤体崩壊を引き起こす起点となる、水みちとなり易い土質の性質が異なる地山と堤体との境界面付近を、鋼製壁とアンカー部によって固定できるので、堤体崩壊の危険性を低減できる。
また、本発明の前記構成において、前記アンカー部は、前記地山に設置された支持部材と、この支持部材と前記鋼製壁とを連結する連結部材とを備えていてもよい。
ここで、前記支持部材としては、地山に設置された杭(鋼管杭やコンクリート杭)、鋼矢板またはロックボルトが挙げられるがこれに限るものでない。
また、支持部材として鋼矢板を使用する場合、当該鋼矢板を複数枚、鋼製壁から離れる方向に、連結部材が直線状となるように、連結部材との接続部が一直線状になるように、鋼矢板の厚さ方向(鋼製壁と直交する方向)に所定間隔で設置してもよい。
また前記連結部材としては、タイロッドが挙げられるがこれに限るものでない。例えばPC鋼棒やPC鋼線等の所定の引張強度を有するものであればよい。
このような構成によれば、アンカー部が支持部材と連結部材とを備えているので、支持部材を地山に設置し、当該支持部材を鋼製壁に連結部材によって連結することによって、鋼製壁の下端を堤体全長に亘って支持層内に打設する場合などに比べて、施工が容易となり、また、水圧増加に抵抗するための鋼製壁に必要な剛性を低減でき、経済的な補強工法を実現できる。
また、本発明の前記構成において、前記アンカー部は、前記鋼製壁と交差する方向に延在する控え壁を有し、この控え壁が前記鋼製壁に接続されていてもよい。
ここで、「交差」とは、控え壁が鋼製壁に直交する場合は勿論のこと、控え壁が鋼製壁(の延在方向)に対して所定の角度(例えば45°以上、90°未満)で傾斜して交差する場合を含む意味である。
このような構成によれば、鋼製壁と交差する方向に延在する控え壁が鋼製壁に接続されているので、控え壁と地山との間の摩擦力によっても堤体に作用する水圧に抵抗することができる。したがって、堤体に作用する水圧に十分に抵抗できる。
また、本発明の前記構成において、前記堤体の内部に設置された前記鋼製壁は、上端が前記堤体の天端と等しい高さ位置にあり、かつ前記堤体の下方に位置する支持層または岩盤層の上面まで根入れされていてもよい。
ここで、鋼製壁が支持層または岩盤層の上面まで根入れされているとは、堤体の直下に軟弱層があり、その直下に支持層または岩盤層がある場合は、鋼製壁が軟弱層を貫通するとともに鋼製壁の下端が支持層または岩盤層の上面に当接または近接されていることを意味し、堤体の直下に直接支持層または岩盤層がある場合は、堤体の内部に設置された鋼製壁の下端が支持層または岩盤層の上面に当接または近接されていることを意味する。
このような構成によれば、鋼製壁の上端が堤体の天端と等しい高さ位置にあり、かつ鋼製壁が堤体の下方に位置する支持層または岩盤層の上面まで根入れされているので、谷池側から堤体を貫通する水みちや谷池側から堤体直下の軟弱層を貫通する水みちの発生を防止できるので、堤体の浸透破壊を抑止できる。
また、支持層もしくは岩盤層まで鋼製壁を打込む(根入れする)場合は、地盤を打ち砕くクラッシュパイラーなどの特殊な施工機械が必要になるが、支持層または岩盤の上面で鋼製壁を打ち止めることで、通常の施工機で施工が可能であり、施工費の抑制が可能となる。
また、本発明の前記構成において、前記堤体の内部に前記堤体の幅方向に延在する構造物が設けられ、前記鋼製壁の下端の一部は、前記構造物まで達していなくてもよい。
ここで、堤体の内部に設けられる構造物としては底樋が挙げられるが、これに限るものではない。
また、鋼製壁が鋼矢板壁によって構成されている場合、当該鋼矢板壁を構成する複数の鋼矢板のうち、前記構造物の上方に位置する鋼矢板の下端部が前記構造物まで達していなくてもよい。
このような構成によれば、堤体の内部に設置された鋼製壁が堤体の内部の構造物に干渉して、当該構造物が損傷するのを防止できる。
本発明によれば、従来に比して工費・工期を短縮できるとともに、谷池の貯水量が増加した際に堤体に作用する水圧に十分に抵抗して堤体の崩壊を抑止できる。
本発明の実施の形態に係る堤体の補強構造を示すもので、模式的に示す概略図である。 同、堤体の延在方向中央部における堤体と地盤の横断面図である。 同、鋼矢板壁の斜視図である。 同、アンカー部を示すもので、(a)アンカー部の第1例を示す斜視図、(b)はアンカー部の第2例を示す斜視図、(c)はアンカー部の第3例を示す斜視図である。 同、堤体の内部に設置されている鋼矢板壁の延在方向に沿う断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1は本実施の形態に係る堤体の補強構造を模式的に示す概略図、図2は堤体の延在方向中央部における堤体と地盤の横断面図である。
本実施の形態では、谷を堤体10によって堰き止めることによって谷池11が形成されている。谷池11の周囲は堤体10を除いて、岩盤や硬質地盤等によって形成された地山12によって囲まれている。
なお、図1において、谷池11の周囲の地山12を平面視において略半分の楕円筒状に図示しているが、地山12の形状、つまり谷池11の形状はこれに限ることはなく、また、地山12も谷の斜面と連続していてもよい。
堤体10は、横断面台形状に形成されており、谷池11を横切るにようにして平面視おいて一直線状に設置され、堤体10の両端部はそれぞれ谷池11の幅方向端部より外側に突出しており、地山12と接している。
また、図2に示すように、堤体10の直下には軟弱層30があり、この軟弱層30の直下に支持層40または岩盤層がある。軟弱層30および支持層40は谷池11の下方にも連続している。
なお、本実施の形態では、軟弱層30の上面に堤体10が設けられているが、軟弱層30がない場合、堤体10は支持層40の上面に直接設けられることになる。
また、堤体10の天端10aを挟んで左側を上流側、右側を下流側とすると、上流側に水が貯水された谷池11が存在している。また、堤体10は、天端10aを挟んで上流側に上流法面10b、下流側に下流法面10cを備えている。上流法面10bおよび下流法面10cの地表面(軟弱層30の上面)に対する傾斜角は等しくなっているが、上流法面10bと下流法面10cとで傾斜角を異なるものとしてもよい。
また、図1に示すように、堤体10の長手方向(延在方向)の端部における上流法面10bには、地山12が接し、端部以外の上流法面10bに谷池11の水が接している。
図2に示すように、谷池11には常時貯水されているが、常時満水位における水面が、堤体10の上流法面10bの高さの略1/2またはそれ以上の高さとなり、かつ、豪雨時等における設計洪水位における水面が、波の打上げ高さや水深に応じて、天端10aより1m以上、下げた高さとなるように、堤体10の高さが設定されている。
常時満水位の場合、それより上方の上流法面10bには、谷池11側から水圧は作用しないが、常時満水位を超えるとその分だけ上流法面10bに水圧が増加して作用する。つまり、堤体10に作用する水圧は、水面が常時満水位を超えると次第に増加し、豪雨等によって水面が設計洪水位となった場合に、最大となる。
また、堤体10は図示しない取水施設を備えている。この取水施設は、谷池11の貯水を取水するための斜樋または堅樋と、導水するための底樋(図5参照)とを有している。一般的には、堤体10の上流法面10bに沿って埋設された斜樋管に取水孔が設けられ、これから取り入れた用水が堤体10の底部に埋設された底樋に導かれて取水される。
前記堤体10の内部には、鋼矢板壁(鋼製壁)15が堤体10の延在方向(長手方向)に沿って平面視おいて一直線状に設置され、鋼矢板壁15の延在方向の両端部はそれぞれ、堤体10の両端部に位置している。つまり、鋼矢板壁15は堤体10の一端部から他端部に亘って連続的に設けられている。
さらに、鋼矢板壁15は、堤体10の幅方向における中央部に設置され、その上端部は堤体10の天端10aと等しい高さ位置にあり、かつ支持層40の上面まで根入れされている。つまり、鋼矢板壁15は軟弱層30を上下に貫通するとともに鋼矢板壁15の下端が支持層40の上面に当接または近接されている。但し、鋼矢板壁15の堤体幅方向の設置位置は中央部に限るものではなく、谷池側の法肩付近や、谷池とは反対側の法肩付近に鋼矢板壁15を設置してもよい。支持層40の上面が傾斜している場合など、堤体10の天端10aから支持層40上面までの距離が最も短くなる位置に鋼矢板壁15を設置することで、鋼矢板壁15の上下方向の長さを短くでき、経済的となる。
鋼矢板壁15は、図3に示すように、ハット形の鋼矢板16を複数連結することによって形成されている。
鋼矢板16はウェブ16aと、このウェブ16aの両端部にそれぞれ形成されたフランジ16bと、このフランジ16bのウェブ16aと逆側の端部に形成されたアーム16cとを備え、このアーム16cの先端部に継手16dが形成されている。
そして、隣り合う鋼矢板16,16どうしは継手16d,16dを互いに嵌合することによって連結され、これによって鋼矢板壁15が形成されている。
鋼矢板壁15を構成する鋼矢板はハット形の鋼矢板に限ることはなく、U形の鋼矢板、直線鋼矢板であってもよい。
また、谷池11の周囲でかつ堤体10の近傍の地山12にアンカー部20が設置され、このアンカー部20が鋼矢板壁15に接続されている。
堤体10の内部に設置される鋼矢板壁15は平面視において堤体10の長手方向の一端部から他端部まで連続して形成されている。したがって、アンカー部20は、堤体10の一端部近傍の地山12と他端部近傍の地山12にそれぞれ設置され、一方のアンカー部20は鋼矢板壁15の一端部に接続され、他方のアンカー部20は鋼矢板壁15の他端部に接続されている。
また、アンカー部20を鋼矢板壁15に接続する場合、アンカー部20の先端部(鋼矢板壁15側に近い端部)を堤体10にその上流法面10bから差し込んだうえで、当該先端部を鋼矢板壁15に接続する。
また、アンカー部20は、堤体10の一端部近傍の地山12と他端部近傍の地山12にそれぞれ複数(図1では2本)設置してもよい。
アンカー部20の第1例として、図4(a)に示すような控え壁21を採用することができる。
控え壁21は、堤体10の内部に設置されている鋼矢板壁15と同様に、ハット形の鋼矢板16を複数連結することによって形成されている。このような控え壁21は、鋼矢板壁15と交差する方向に延在している。本実施の形態では、控え壁21は鋼矢板壁15とほぼ直交する方向に平面視において一直線状に延在している。そして、控え壁21の先端部(鋼矢板壁15側に近い端部)が鋼矢板壁15に接続されている。
一方、鋼矢板壁15は複数の鋼矢板16を連結することによって形成されているが、控え壁21を接続する部位、つまり、鋼矢板壁15の両端部をそれぞれ形成する鋼矢板は、異形鋼矢板16Aによって形成されている。
この異形鋼矢板16Aは、ハット形の鋼矢板のウェブに、先端部に継手を有するアームの基端部を溶接等によって固定したものであり、このアームの先端部の継手に、控え壁21の先端部を形成する鋼矢板16の継手を嵌合することによって、控え壁21の先端部が鋼矢板壁15に接続されている。
また、控え壁21の先端部を鋼矢板壁15に接続する場合、異形鋼矢板16Aを使用することに代えて、鋼矢板壁15の両端部をそれぞれ形成する鋼矢板16のウェブにコネクタ(継手)を溶接等によって固定し、このコネクタに控え壁21の先端部を形成する鋼矢板16の継手を係合してもよい。
また、アンカー部20の第2例として、図4(b)に示すような、支持部材22aと連結部材22bを採用することができる。
支持部材22aは例えば、鋼管杭やコンクリート杭等の杭によって形成され、谷池11の周囲でかつ堤体10の近傍の地山12に設置されている。支持部材22aは鋼矢板壁15の両端部側において、当該鋼矢板壁15と所定間隔を隔ててかつ鋼矢板壁15と平行にして地山に設置されている。支持部材22aの上端は鋼矢板壁15の上端とほぼ等しい高さとなっている。但し、堤体10の一端部近傍の地山12と他端部近傍の地山12の地盤強度や地上天端位置が異なるときは、両端部の支持部材22a,22aを鋼矢板壁15に必ずしも平行に配置する必要はなく、支持部材22a,22aの天端を鋼矢板壁15の上端と等しい高さにする必要はない。
また、連結部材22bは、例えばタイロッド、PC鋼棒またはPC鋼線等の所定の引張強度を有するものが使用される。このような連結部材22bは、支持部材22aと鋼矢板壁15の上端間に配置され、当該連結部材22bの先端部が鋼矢板壁15の上端部に連結され、基端部が支持部材22aの上端部に連結されている。なお、支持部材22aの天端位置が鋼矢板壁15の上端と異なる高さとなるときは、連結部材22bは水平とはならず、先端部から基端部に向かって上昇したり下降したりする斜め方向にセットされて取り付けられることになる。
また、アンカー部20の第3例として、図4(c)に示すような、支持部材23aと連結部材23bを採用することができる。
支持部材23aは、例えばハット形の鋼矢板によって形成され、谷池11の周囲でかつ堤体10の近傍の地山12に設置されている。支持部材23aは鋼矢板壁15の両端部側において、当該鋼矢板壁15と所定間隔を隔ててかつ鋼矢板壁15と平行に、さらに鋼矢板のウェブを鋼矢板壁15側に向けて地山に設置されている。なお、支持部材23aのウェブ面は鋼矢板壁15と反対側に向けて設置されてもよく、この場合は、連結部材23bが鋼矢板壁15側に引っ張られるとき、支持部材23のウェブとフランジにより囲まれた空間の地盤を鋼矢板(支持部材23a)が拘束するため、より大きい地山の抵抗を期待することができる。また、支持部材23aは、複数枚、支持部材23aの厚さ方向(鋼矢板壁15と直交する方向)に所定間隔で設置されている。また、支持部材23aの上端は鋼矢板壁15の上端とほぼ等しい高さとなっているか、もしくは、地山天端高さに合わせて、適宜支持部材23aの高さが調節される。
連結部材23bは、前記連結部材22bと同様に、例えばタイロッド、PC鋼棒またはPC鋼線等の所定の引張強度を有するものが使用される。このような連結部材23bは、複数の支持部材23aと鋼矢板壁15の上端間に配置され、当該連結部材23bの先端部が鋼矢板壁15の上端部に連結され、基端部が複数の支持部材23aの上端部にそれぞれ連結されている。
また、図示は省略するが、地山が岩盤層などで強固な場合は、上述した支持部材22a,23aに代えてロックボルトを地山内に打ち込み、このロックボルトと鋼矢板壁15とをタイロッド、PC鋼棒またはPC鋼線等の連結部材によって連結してもよい。
また、図5に示すように、堤体10の底部に、当該堤体10の延在方向と直交する幅方向(図5において紙面と直交する方向)に延在する底樋等の構造物25が設けられている場合、鋼矢板壁15の下端の一部は、構造物25まで達していない。なお、底樋には、堤体10の上流法面10bに沿って埋設された斜樋管に取水孔から取り入れた用水が導かれて取水される。
鋼矢板壁15は複数の鋼矢板16を連結することによって形成されているので、これら複数の鋼矢板16のうち、構造物25の上方に位置する鋼矢板16の下端部が構造物25まで達していない、つまり、当該鋼矢板16の下端と構造物25との間には所定の隙間が設けられている。
以上のように本実施の形態によれば、谷池11の周囲でかつ堤体10の近傍の地山12に設置されたアンカー部20が堤体10の内部に設置された鋼矢板壁15に接続されているので、地山12の強度を利用して堤体10を鋼矢板壁15およびアンカー部20によって補強できる。したがって、谷池11の貯水量が増加した際に堤体10に作用する水圧に十分に抵抗して堤体10の崩壊を抑止できるとともに、従来に比して工費・工期を短縮できる。
また、堤体崩壊を引き起こす起点となる、水みちとなり易い土質の性質が異なる地山12と堤体10との境界面(図1において符号17で示す。)付近を、鋼矢板壁15とアンカー部20によって固定できるので、堤体崩壊の危険性を低減できる。地山12と堤体10との境界面17をより強固に補強するためには、堤体端部近傍の地山12にアンカー部20を設置することがより好適である。
また、アンカー部20が、地山12に設置された支持部材22a,23aと、この支持部材22a,23aと鋼矢板壁15とを連結する連結部材22b,23bとを備えている場合、支持部材22a,23aを地山12に設置し、当該支持部材22a,23aを鋼矢板壁15に連結部材22b,23bによって連結することによって、鋼矢板壁15の下端を支持層40内に打設することが不要となって施工が容易となり、また、水圧増加に抵抗するための鋼矢板壁15に必要な剛性を低減でき、鋼矢板壁15の材料費を低減でき経済的な補強工法を実現できる。
さらに、アンカー部20が、鋼矢板壁15と交差する方向に延在する控え壁21を有し、この控え壁21が鋼矢板壁15に接続されている場合、控え壁21と地山12との間の摩擦力によっても堤体10に作用する水圧に抵抗することができる。したがって、堤体10に作用する水圧に十分に抵抗できる。
特に、控え壁21はハット形の鋼矢板16を複数連結することによって形成されているので、平面視において控え壁21の凹凸形状により地山12から反力を取り、谷池11の水圧により鋼矢板壁15が谷池11から離れる方向に変形することを抑止できる。
また、堤体10の内部に設置された鋼矢板壁15は、上端が堤体10の天端10aと等しい高さ位置にあり、かつ堤体10の下方にある軟弱層30に、当該軟弱層30の下方にある支持層40の上面まで根入れされているので、谷池11側から堤体10を貫通する水みちや谷池11側から堤体10直下の軟弱層30を貫通する水みちの発生を防止できる。したがって、堤体10の浸透破壊を抑止できる。
また、豪雨時に堤体10に越流が生じても、鋼矢板壁15の上端が堤体10の天端10aと等しいので、堤体10の高さを保持でき、堤体10の越流破壊を抑制できる。
また、支持層40まで鋼矢板壁15を打込む(根入れする)場合は、地盤を打ち砕くクラッシュパイラーなどの特殊な施工機械が必要になるが、支持層40の上面で鋼矢板壁15を打ち止めることで、通常の施工機で施工が可能であり、施工費の抑制が可能となる。
さらに、堤体10の内部に堤体10の幅方向に延在する底樋等の構造物25が設けられている場合、鋼矢板壁15を構成する複数の鋼矢板16のうち、構造物25の上方に位置する鋼矢板16の下端部が構造物25まで達していないので、鋼矢板壁15が構造物25に干渉して、当該構造物25が損傷するのを防止できる。
なお、本実施の形態では、堤体10の内部に設置する鋼矢板壁15の根入れを支持層40の上面までとしたが、水圧に対するアンカー部20の抵抗強度が不足する場合は、鋼矢板壁15の下端の一部または全部を支持層40に根入れしても構わない。
また、本実施の形態では、堤体10は平面視において一直線状に形成されているが、堤体10が谷池側または谷池側と反対側に平面視において曲面状に若干膨らむ場合がある。このような場合でも、鋼矢板壁15は堤体10の延在方向の一端部から他端部まで平面視において一直線状に延在するようにして堤体10の内部に設置するのが好ましい。鋼矢板壁15を直線状とすることで、曲線状に打設するときに比べて、鋼矢板壁15を構成する鋼材の総重量を減らし、材料費を抑制できる。
さらに、本実施の形態では、堤体10の内部に鋼矢板壁15を一列設けたが、複数列設けてもよい。この場合、堤体10の幅方向に隣り合う鋼矢板壁15どうしは、堤体10の延在方向に所定間隔で複数設けられたタイロッド等の連結部材によって連結するのが好ましい。
10 堤体
10a 天端
11 谷池
12 地山
15 鋼矢板壁(鋼製壁)
20 アンカー部
21 控え壁
22a,23a 支持部材
22b,23b 連結部材
25 構造物
30 軟弱層
40 支持層

Claims (5)

  1. 谷を堤体によって堰き止めることで形成された谷池の前記堤体を補強する堤体の補強構造であって、
    前記堤体の内部に鋼製壁が前記堤体の延在方向に沿って設置され、
    前記谷池の周囲の地山にアンカー部が設置され、
    前記アンカー部が前記鋼製壁に接続されていることを特徴とする堤体の補強構造。
  2. 前記アンカー部は、前記地山に設置された支持部材と、この支持部材と前記鋼製壁とを連結する連結部材とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の堤体の補強構造。
  3. 前記アンカー部は、前記鋼製壁と交差する方向に延在する控え壁を有し、この控え壁が前記鋼製壁に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の堤体の補強構造。
  4. 前記堤体の内部に設置された前記鋼製壁は、上端が前記堤体の天端と等しい高さ位置にあり、かつ前記堤体の下方に位置する支持層または岩盤層の上面まで根入れされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の堤体の補強構造。
  5. 前記堤体の内部に前記堤体の幅方向に延在する構造物が設けられ、
    前記鋼製壁の下端の一部は、前記構造物まで達していないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の堤体の補強構造。
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