JP6287358B2 - 盛土補強構造 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載の技術は、図5に示すように、連続する盛土1の天端の略中央部と、当該盛土1の法尻部に、それぞれ鋼矢板2からなる鋼矢板壁3を盛土1の連続方向に沿って設け、当該鋼矢板壁3を支持層4まで根入れすることで、地震時や洪水時等の盛土を崩壊させようとする外力に対して盛土1を補強するものである。
特に、盛土1の天端の中央部に設けられた鋼矢板壁3によって、越水時の破堤抑止効果が期待され、盛土1の法尻部に設けられた鋼矢板壁3によって、地震時の盛土変形抑制効果が期待される。
盛土1の天端の中央部に設ける鋼矢板壁3を支持層4まで根入れしないことで、当該鋼矢板壁3を構成する鋼矢板2の上下長が低減される上、地震時には液状化層5が液状化することで免震効果を発揮し、鋼矢板2に発生する応力が小さく抑えられ、必要断面性能が低減されることでコスト低減に寄与できる。また、盛土1の法尻部に鋼矢板2からなる鋼矢板壁3を併用することによって、地震時の盛土変形抑制効果、および越水時の破堤抑止効果(盛土破壊抑止効果)が期待される。
また、特許文献2に記載の技術では、鋼矢板壁を構成する鋼矢板を支持層より浅い部分で根入れできるため、根入れ長さが短く、コスト低減を図れるものの、鋼矢板が十分に根入れされた構造に比して、地震時に鋼矢板壁が沈下することで盛土沈下抑制効果や越水時の破堤抑止効果(盛土破壊抑止効果)が小さくなる可能性が考えられる。なお、模型堤防を対象とした加振実験により、鋼矢板が支持層まで根入れされていない状態では、地震時において鋼矢板が周辺地盤とともに沈下する挙動が確認されている。
前記盛土の両法尻部に、それぞれ前記支持層まで根入れされた地中壁が前記盛土の連続方向に沿って設けられ、
前記鋼矢板壁と前記地中壁とがそれぞれ連結材によって結合されることによって、前記鋼矢板壁が前記連結材を介して前記地中壁によって支持され、
前記連結材と、前記鋼矢板壁および前記地中壁とはそれぞれピン結合によって連結されていることを特徴とする。
また、鋼矢板壁と地中壁とが連結材によって結合されることによって、鋼矢板壁が連結材を介して地中壁によって支持されている。そして、連結材と、鋼矢板壁および地中壁とがそれぞれピン結合によって連結されているので、地震時に盛土内部の鋼矢板壁の沈下を連結材の張力によって抑えることができ、地震時の盛土沈下抑制効果や越水時の破堤抑止効果(盛土破壊抑止効果)が期待される。
したがって、支持層が深くに位置する地盤条件に対しても、十分な地震時の盛土沈下抑制効果や越水時の破堤抑止効果(盛土破壊抑止効果)を期待でき、かつ、コストを低減できる。
また、連結材と、鋼矢板壁および地中壁とがそれぞれピン結合によって連結されているので連結材に作用する曲げモーメントを低減させることができる。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態を示す図であり、(a)は盛土補強構造の概略を示す平面図、(b)は同、側断面図である。
図1(a),(b)に示すように、第1の実施形態の盛土補強構造は、海や河川等の堤防となる盛土1を補強するためのものである。
盛土1は、中央の最も高い部分が水平な上面を有する天端1aとなっている。天端1aの左右には傾斜した法面1bがそれぞれ形成され、法面1bの上端部側が法肩部1cで、下端部側が法尻部1dとされている。
鋼矢板2は、盛土1の天端1aの略中央部から盛土1を上下に貫通するように打設され、液状化層5中に達し、当該液状化層5に根入れされている。このような鋼矢板2を盛土1の連続方向に接続することよって、盛土1中には盛土1の連続方向に沿って延在する鋼矢板壁3が施工されている。
なお、鋼矢板壁3の頭部(上端部)は、盛土1の天端1aの高さ付近となる高さに位置している。
この地中壁10は、前記鋼矢板壁3と同様に、鋼矢板2を盛土1の連続方向に接続することよって構成された鋼矢板壁である。また、地中壁10の上端部は盛土1が設置された地盤の表面付近に位置している。
連結材11は水平に配置され、当該連結材11の一端部が地中壁10の上端部に連結され、他端部が鋼矢板壁3の下端部に連結されている。また、連結材11は盛土1が設置された地盤の表面より若干下側に設けられており、当該連結材11の一端部は、地中壁10の上端部でかつ地盤の表面より若干した側の部分にピン結合によって連結されている。また、連結材11の他端部は鋼矢板壁3の下端部でかつ地盤の表面より若干下側の部分にピン結合によって連結されている。
このように、連結材11と、鋼矢板壁3および地中壁10とがそれぞれピン結合によって連結されているので、地震時に盛土内部の鋼矢板壁3の沈下を連結材11の張力によって抑えることができる。したがって、連結材11は引張力を負担できるもので構成されるが、例えばタイロッド等の線材が好適に使用される。
なお、盛土1の連続方向に所定間隔で配置される連結材11の間隔は、鋼矢板壁3の重さや長さ、連結材11の引張強度等によって適宜設定される。また、連結材11は、鋼矢板壁3と地中壁10との間において交差して配置されていてもよく、この場合、鋼矢板壁3および地中壁10に対して垂直に配置された連結材11はあってもよいし、省略してもよい。
この場合、盛土1の天端1aの中央部に鋼矢板壁3が液状化層5に根入れされた状態で設けられるとともに、盛土1の法尻部1dに地中壁10が支持層4に根入れされた状態で設けられている。
次に、この溝に連結材11を配置したうえで、この連結材11の一端部を地中壁10の上端部に、地盤の表面(液状化層5の上面)より若干下側で連結するとともに、連結材11の他端部を鋼矢板壁3に地盤の表面(液状化層5の上面)より若干下側で連結し、その後、前記溝を埋め戻せばよい。
また、鋼矢板壁3と地中壁10とが連結材11によって結合されることによって、鋼矢板壁3が連結材11を介して地中壁10によって支持されている。そして、連結材11と、鋼矢板壁3および地中壁10とがそれぞれピン結合によって連結されているので、地震時に盛土内部の鋼矢板壁3の沈下を連結材11の張力によって抑えることができ、地震時の盛土沈下抑制効果や越水時の破堤抑止効果(盛土破壊抑止効果)が期待される。
したがって、支持層4が深くに位置する地盤条件に対しても、十分な地震時の盛土沈下抑制効果や越水時の破堤抑止効果(盛土破壊抑止効果)を期待でき、かつ、コストを低減できる。
さらに、連結材11は水平に配置され、当該連結材11の一端部が地中壁10の上端部に連結され、他端部が鋼矢板壁3の下端部に連結されているので、連結材の一端部を地中壁10に容易に連結できるともに、連結材11を最短長さとすることができる。したがって、施工性およびコストの面において優れたものとなる。
また、地中壁10は鋼矢板2を接続することによって構成されているので、支持層4まで根入れする地中壁10を容易に施工できる。
図2および図3は、本発明の第2の実施の形態を示す図であり、図2は盛土補強構造の概略を示す側断面図、図3は、地震発生時における盛土補強構造の概略を示す側断面図である。
この第2の実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、連結材11の配置であり、その他の構成は第1の実施の形態と同様であるので、共通構成部分には同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
また、連結材11は盛土1が設置された地盤の表面より下側において傾斜して設けられている。つまり、左右の連結材11,11は、鋼矢板壁3に近付くほど、下方に向かうように傾斜している。そして、この連結材11の一端部が、地中壁10の上端部でかつ地盤の表面より若干下側の部分にピン結合によって連結されている。また、連結材11の他端部は鋼矢板壁3の下端部でかつ地中壁10の上端部より低い部分にピン結合によって連結されている。
この場合、一方の地中壁10と一方の鋼矢板壁3とを一の連結材11によって結合するとともに、他方の地中壁10と他方の鋼矢板壁3とを他の連結材11によって結合し、さらに鋼矢板壁3,3どうしをさらに他の連結材11によって結合すればよい。
また、2つの地中壁10,10および2つの鋼矢板壁3,3を1本の連結材11によって連結してもよい。この場合、この鋼矢板壁3,3の上端部どうしをタイロッド等の連結材11aによって連結してもよい。
このような盛土補強構造においても、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
1a 天端
1b 法面
1c 法肩部
1d 法尻部
2 鋼矢板
3 鋼矢板壁
4 支持層
5 液状化層
10 地中壁
11 連結材
Claims (2)
- 連続する盛土の略天端の範囲内に、鋼矢板および/または鋼管矢板からなる鋼矢板壁が、前記盛土の連続方向に沿って1列以上設けられ、前記鋼矢板壁が支持層より浅い深さまで根入れされた盛土補強構造において、
前記盛土の両法尻部に、それぞれ前記支持層まで根入れされた地中壁が前記盛土の連続方向に沿って設けられ、
前記鋼矢板壁と前記地中壁とがそれぞれ連結材によって結合されることによって、前記鋼矢板壁が前記連結材を介して前記地中壁によって支持され、
前記連結材と、前記鋼矢板壁および前記地中壁とはそれぞれピン結合によって連結され、
前記連結材の一端部が前記地中壁の上端部に連結され、他端部が前記地中壁の上端部より下方位置で前記鋼矢板壁に連結されていることを特徴とする盛土補強構造。 - 前記地中壁は、鋼矢板および/または鋼管矢板を接続することによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の盛土補強構造。
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