JP6060855B2 - 堤体 - Google Patents

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Description

本発明は、杭を用いずに支持地盤上に設置された直接基礎形式の基礎構造と、該基礎構造の上部に構築された上部構造とを備えてなる堤体に関し、特に、プレキャスト化された基礎ブロックが複数段積み重ねられて基礎構造が形成され、プレキャスト化されたフーチングおよび壁体を用いて上部構造が形成された堤体に関する。
構造物を下方から支持する基礎構造の1つに杭基礎構造がある。杭基礎構造は、摩擦杭を用いた構造および支持杭を用いた構造に大別される。ここで、防潮堤等の堤体は重量が大きいため、防潮堤等の堤体を支持する杭基礎構造には、杭先端の支持力を設計時に考慮することができる支持杭を用いた杭基礎構造が多く採用されている。
支持杭を用いた杭基礎構造では、鋼管杭等の杭を良質な支持層に達するまで地中に打ち込み、さらには支持層中への所要の根入れ深さを確保できる深さまで杭を根入れさせて、所要の支持力(押し込み耐力、引き抜き耐力)を確保している。支持層中への杭の根入れ深さは、杭径程度以上確保することが一般的になされている。
ここで、押し込み耐力は、「杭と地盤の周面摩擦力」と「杭先端の支持力」によって確保することができるが、引き抜き耐力は、「杭と地盤の周面摩擦力」のみによって確保することが必要である。
このため、良質な支持層の深さ位置が極端に浅い場合(例えば、地表面から3〜4m程度)には、所要の支持力、特に引き抜き耐力を確保するために、良質な支持層への必要な杭の根入れ深さが極端に大きくなってしまうことがあり、支持層中への必要な杭の根入れ深さが杭径の何倍にも達してしまうことがある。
一方、良質な支持層は基本的に地盤が固くなっているため、杭径の何倍も根入れするためには杭の打設方法にかなり特殊な工法を採用することが必要となり、施工費および施工日数が増大してしまうことが問題となる場合がある。
このため、支持層が極端に浅い場合には、基礎形式を杭基礎ではなく、直接基礎とすることがある。直接基礎の場合の基礎構造は、構造物本体を良質な支持層にて直接的に支持する基礎構造となる。
防潮堤において直接基礎を採用する場合、良質な支持層まで床掘りし、良質な支持層上に基礎コンクリートを現場にて打設し、その基礎コンクリート上にL型断面の本体コンクリートを現場にて打設して、防潮堤を構築することがある。
しかしながら、この構造は、特に基礎コンクリートにおいて大量の生コンクリートが必要となるため、現地にて大量の生コンクリートを確保する必要がある。このため、現地において十分な生コンクリートが確保できない場合には、短工期で施工を行うことが困難になるという問題がある。
現地において必要とする生コンクリートの量を減少させることが可能な堤体としては、例えば特許文献1で開示されている、プレキャストフーチングおよびプレキャスト壁体を活用した堤体がある。
しかしながら、特許文献1で開示されている堤体は、杭基礎を前提としたものであり、直接基礎に対応したものではない。
また、防潮堤において直接基礎を採用する場合で基礎コンクリートを用いない方法としては、地表面から良質な支持層までの間を地盤改良する方法もあるが、施工方法、地盤改良の範囲、施工規模によっては不経済となるという問題がある。
特許第5024489号公報
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、現場での生コンクリートの使用量を大幅に削減することができ、かつ、地盤改良を原則として行う必要がない、直接基礎形式の基礎構造を備えた堤体を提供することを課題とする。
なお、「地盤改良を原則として行う必要がない」とは、工事の主たる目的としては地盤改良を行う必要がないという意味であり、主たる工事に付随的に生じる地盤改良まで排除する意味ではない。
本発明は、以下の堤体により、前記課題を解決したものである。
即ち、本発明に係る堤体の第1の態様は、支持地盤上に設置された直接基礎形式の基礎構造と、該基礎構造の上部に構築された上部構造とを備えてなる堤体であって、前記基礎構造は、上下方向に貫通する基礎貫通孔を有し、該基礎貫通孔の内面に基礎さや管を有する複数の基礎ブロックと、複数の前記基礎ブロックを上下方向に連結する基礎連結用鋼材と、を備え、前記基礎ブロックは、前記支持地盤上において前記基礎貫通孔同士が連結するように上下方向に複数積み重ねられ、上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの前記基礎さや管には前記基礎連結用鋼材が差し込まれ、該基礎連結用鋼材は上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの最下段から最上段にまで達しており、また、前記基礎ブロックのうち、最下段の基礎ブロックは水平方向に張り出した部位を有し、さらに、前記基礎ブロックの前記基礎さや管と該基礎さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、また、前記基礎連結用鋼材の上端部は最上段の前記基礎ブロックの上面よりも上方に突出しており、前記上部構造は、前記基礎構造に支持されたプレキャストフーチングと、該プレキャストフーチングの上方に配置され、面内方向に貫通する壁体貫通孔を有し、該壁体貫通孔の内面に壁体さや管を有するプレキャスト壁体と、を備え、前記プレキャストフーチングは厚さ方向に貫通するフーチング貫通孔を有し、該フーチング貫通孔の内面には突出さや管が備えられ、該突出さや管は前記プレキャストフーチングの上面よりも上方の位置まで延伸し、該突出さや管には前記基礎構造の前記基礎連結用鋼材の前記上端部が差し込まれ、前記突出さや管は前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管に差し込まれ、前記突出さや管と該突出さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されていることを特徴とする堤体である。
ここで、「直接基礎形式の基礎構造」とは、杭を用いずに支持地盤上に直接設置された基礎構造のことである。
本発明に係る堤体の第2の態様は、支持地盤上に設置された直接基礎形式の基礎構造と、該基礎構造の上部に構築された上部構造とを備えてなる堤体であって、前記基礎構造は複数の基礎ブロック構造を備え、該基礎ブロック構造は、上下方向に貫通する基礎貫通孔を有し、該基礎貫通孔の内面に基礎さや管を有する複数の基礎ブロックと、該複数の基礎ブロックを上下方向に連結する基礎連結用鋼材と、を有し、前記基礎ブロック構造において、前記基礎ブロックは、前記支持地盤上において前記基礎貫通孔同士が連結するように上下方向に複数積み重ねられ、上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの前記基礎さや管には前記基礎連結用鋼材が差し込まれ、該基礎連結用鋼材は上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの最下段から最上段にまで達しており、また、前記基礎ブロックのうち、最下段の基礎ブロックは水平方向に張り出した部位を有し、また、前記基礎ブロック構造において、前記基礎ブロックの前記基礎さや管と該基礎さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、また、前記基礎連結用鋼材の上端部は最上段の前記基礎ブロックの上面よりも上方に突出しており、さらに、前記基礎ブロック構造同士はお互いに対向するように、かつ、最下段の前記基礎ブロックの前記張り出した部位同士がお互いに近接して対向するように配置されており、お互いに近接して対向する前記張り出した部位同士の上方には中詰め材が充填されており、前記上部構造は、前記基礎構造に支持されたプレキャストフーチングと、該プレキャストフーチングの上方に配置され、面内方向に貫通する壁体貫通孔を有し、該壁体貫通孔の内面に壁体さや管を有するプレキャスト壁体と、を備え、前記プレキャストフーチングは厚さ方向に貫通するフーチング貫通孔を有し、該フーチング貫通孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面よりも上方の位置まで延伸している突出さや管が備えられ、また、前記プレキャストフーチングは少なくとも下方に開口した下方開口孔を、前記フーチング貫通孔に対して前記プレキャスト壁体の法線方向と略直交する方向に間隔を開けて有し、該下方開口孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面および下面の間に収まるフーチング内さや管が備えられ、前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管には前記突出さや管が差し込まれ、該突出さや管には、前記基礎構造の前記基礎連結用鋼材の前記上端部が差し込まれ、また、前記フーチング内さや管には、前記基礎構造の他の前記基礎連結用鋼材の前記上端部が差し込まれ、前記突出さや管と該突出さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化され、かつ、前記フーチング内さや管と該フーチング内さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されていることを特徴とする堤体である。
本発明に係る堤体の第3の態様は、支持地盤上に設置された直接基礎形式の基礎構造と、該基礎構造の上部に構築された上部構造とを備えてなる堤体であって、前記基礎構造は、上下方向に貫通する基礎貫通孔を有し、該基礎貫通孔の内面に基礎さや管を有する複数の基礎ブロックと、複数の前記基礎ブロックを上下方向に連結する基礎連結用鋼材と、を備え、前記基礎ブロックは、前記支持地盤上において前記基礎貫通孔同士が連結するように上下方向に複数積み重ねられ、上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの前記基礎さや管には前記基礎連結用鋼材が差し込まれ、該基礎連結用鋼材は上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの最下段から最上段にまで達しており、また、前記基礎ブロックのうち、最下段の基礎ブロックは水平方向に張り出した部位を有し、さらに、前記基礎ブロックの前記基礎さや管と該基礎さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、また、前記基礎連結用鋼材の上端部は最上段の前記基礎ブロックの上面よりも上方に突出しており、前記上部構造は、前記基礎構造に支持されたプレキャストフーチングと、該プレキャストフーチングの上方に配置され、面内方向に貫通する壁体貫通孔を有し、該壁体貫通孔の内面に壁体さや管を有するプレキャスト壁体と、前記プレキャスト壁体および前記プレキャストフーチングを連結する壁体連結用鋼材と、を備え、前記プレキャストフーチングは少なくとも上方に開口した上方開口孔を有し、該上方開口孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面よりも上方の位置まで延伸している突出さや管が備えられ、また、前記プレキャストフーチングは少なくとも下方に開口した下方開口孔を、前記上方開口孔に対して前記プレキャスト壁体の法線方向と略直交する方向に間隔を開けて有し、該下方開口孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面および下面の間に収まるフーチング内さや管が備えられ、前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管には前記突出さや管が差し込まれ、該突出さや管には前記壁体連結用鋼材が差し込まれ、前記プレキャストフーチングの前記フーチング内さや管には前記基礎構造の前記基礎連結用鋼材の前記上端部が差し込まれ、前記突出さや管と該突出さや管に差し込まれた前記壁体連結用鋼材とは一体化され、かつ、前記フーチング内さや管と該フーチング内さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、さらに、前記突出さや管と前記フーチング内さや管との間を連結する法直連結鋼材が前記プレキャストフーチング内に備えられていることを特徴とする堤体である。
本発明に係る堤体の第4の態様は、支持地盤上に設置された直接基礎形式の基礎構造と、該基礎構造の上部に構築された上部構造とを備えてなる堤体であって、前記基礎構造は複数の基礎ブロック構造を備え、該基礎ブロック構造は、上下方向に貫通する基礎貫通孔を有し、該基礎貫通孔の内面に基礎さや管を有する複数の基礎ブロックと、該複数の基礎ブロックを上下方向に連結する基礎連結用鋼材と、を有し、前記基礎ブロック構造において、前記基礎ブロックは、前記支持地盤上において前記基礎貫通孔同士が連結するように上下方向に複数積み重ねられ、上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの前記基礎さや管には前記基礎連結用鋼材が差し込まれ、該基礎連結用鋼材は上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの最下段から最上段にまで達しており、また、前記基礎ブロックのうち、最下段の基礎ブロックは水平方向に張り出した部位を有し、また、前記基礎ブロック構造において、前記基礎ブロックの前記基礎さや管と該基礎さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、また、前記基礎連結用鋼材の上端部は最上段の前記基礎ブロックの上面よりも上方に突出しており、さらに、前記基礎ブロック構造同士はお互いに対向するように、かつ、最下段の前記基礎ブロックの前記張り出した部位同士がお互いに近接して対向するように配置されており、お互いに近接して対向する前記張り出した部位同士の上方には中詰め材が充填されており、前記上部構造は、前記基礎構造に支持されたプレキャストフーチングと、該プレキャストフーチングの上方に配置され、面内方向に貫通する壁体貫通孔を有し、該壁体貫通孔の内面に壁体さや管を有するプレキャスト壁体と、前記プレキャスト壁体および前記プレキャストフーチングを連結する壁体連結用鋼材と、を備え、前記プレキャストフーチングは少なくとも上方に開口した上方開口孔を有し、該上方開口孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面よりも上方の位置まで延伸している突出さや管が備えられ、また、前記プレキャストフーチングは少なくとも下方に開口した下方開口孔を、前記上方開口孔に対して前記プレキャスト壁体の法線方向と略直交する方向に間隔を開けて複数有し、かつ、前記上方開口孔は複数の前記下方開口孔の間に位置しており、前記複数の下方開口孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面および下面の間に収まるフーチング内さや管がそれぞれ備えられ、前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管には前記突出さや管が差し込まれ、該突出さや管には前記壁体連結用鋼材が差し込まれ、前記プレキャストフーチングの前記複数のフーチング内さや管には前記基礎構造の前記基礎連結用鋼材の前記上端部がそれぞれ差し込まれ、前記突出さや管と該突出さや管に差し込まれた前記壁体連結用鋼材とは一体化され、かつ、前記フーチング内さや管と該フーチング内さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、さらに、前記突出さや管と前記フーチング内さや管との間を連結する法直連結鋼材が前記プレキャストフーチング内に備えられていることを特徴とする堤体である。
本発明に係る堤体の第5の態様は、支持地盤上に設置された直接基礎形式の基礎構造と、該基礎構造の上部に構築された上部構造とを備えてなる堤体であって、前記基礎構造は複数の基礎ブロック構造を備え、該基礎ブロック構造は、上下方向に貫通する基礎貫通孔を有し、該基礎貫通孔の内面に基礎さや管を有する複数の基礎ブロックと、該複数の基礎ブロックを上下方向に連結する基礎連結用鋼材と、を有し、前記基礎ブロック構造において、前記基礎ブロックは、前記支持地盤上において前記基礎貫通孔同士が連結するように上下方向に複数積み重ねられ、上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの前記基礎さや管には前記基礎連結用鋼材が差し込まれ、該基礎連結用鋼材は上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの最下段から最上段にまで達しており、また、前記基礎ブロックのうち、最下段の基礎ブロックは水平方向に張り出した部位を有し、また、前記基礎ブロック構造において、前記基礎ブロックの前記基礎さや管と該基礎さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、また、前記基礎連結用鋼材の上端部は最上段の前記基礎ブロックの上面よりも上方に突出しており、さらに、前記基礎ブロック構造同士はお互いに対向するように、かつ、最下段の前記基礎ブロックの前記張り出した部位同士がお互いに近接して対向するように配置されており、お互いに近接して対向する前記張り出した部位同士の上方には中詰め材が充填されており、前記上部構造は、前記基礎構造に支持されたプレキャストフーチングと、該プレキャストフーチングの上方に配置され、面内方向に貫通する壁体貫通孔を有し、該壁体貫通孔の内面に壁体さや管を有するプレキャスト壁体と、前記プレキャスト壁体および前記プレキャストフーチングを連結する壁体連結用鋼材と、を備え、前記プレキャストフーチングは少なくとも上方に開口した上方開口孔を有し、該上方開口孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面よりも上方の位置まで延伸している突出さや管が備えられ、また、前記プレキャストフーチングは少なくとも下方に開口した下方開口孔を、前記上方開口孔に対して前記プレキャスト壁体の法線方向と略直交する方向に間隔を開けて複数有し、かつ、前記上方開口孔は複数の前記下方開口孔の間に位置しておらず、前記複数の下方開口孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面および下面の間に収まるフーチング内さや管がそれぞれ備えられ、前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管には前記突出さや管が差し込まれ、該突出さや管には前記壁体連結用鋼材が差し込まれ、前記プレキャストフーチングの前記複数のフーチング内さや管には前記基礎構造の前記基礎連結用鋼材の前記上端部がそれぞれ差し込まれ、前記突出さや管と該突出さや管に差し込まれた前記壁体連結用鋼材とは一体化され、かつ、前記フーチング内さや管と該フーチング内さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、さらに、前記突出さや管と前記フーチング内さや管との間を連結する法直連結鋼材、および前記プレキャスト壁体の法線方向と略直交する方向に隣り合うフーチング内さや管同士の間を連結する法直連結鋼材が前記プレキャストフーチング内に備えられていることを特徴とする堤体である。
本発明に係る堤体の第2、第4、第5の態様において、前記上部構造の法線方向を、前記基礎ブロックが上下方向に複数積み重ねられて形成された前記基礎ブロック構造の壁面と略平行な水平方向となるようにしてもよい。
ここで、「前記上部構造の法線方向」とは、前記上部構造が延びる方向のことであり、海岸線にほぼ沿う方向となることが多い。
また、本発明に係る堤体の第2、第4、第5の態様において、前記上部構造の法線方向を、前記基礎ブロックが上下方向に複数積み重ねられて形成された前記基礎ブロック構造の壁面と略直交する方向となるようにしてもよい。
また、本発明に係る堤体の第2、第4、第5の態様において、前記中詰め材を、例えば土および砂のうちの少なくともいずれか一方としてもよい。
また、本発明に係る堤体の第1〜第5の態様において、前記プレキャスト壁体を、面内方向に延びて下方のみ開口した壁体孔を有し、該壁体孔の内面に壁体さや管を有するプレキャスト壁体に置き換えてもよい。
本発明に係る堤体の第6の態様は、支持地盤上に設置された直接基礎形式の基礎構造と、該基礎構造の上部に構築された上部構造とを備えてなる堤体であって、前記基礎構造は、上下方向に貫通する基礎貫通孔を有し、該基礎貫通孔の内面に基礎さや管を有する複数の基礎ブロックと、複数の前記基礎ブロックを上下方向に連結する基礎連結用鋼材と、を備え、前記基礎ブロックは、前記支持地盤上において前記基礎貫通孔同士が連結するように上下方向に複数積み重ねられ、上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの前記基礎さや管には前記基礎連結用鋼材が差し込まれ、該基礎連結用鋼材は上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの最下段から最上段にまで達しており、また、前記基礎ブロックのうち、最下段の基礎ブロックは水平方向に張り出した部位を有し、さらに、前記基礎ブロックの前記基礎さや管と該基礎さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、また、前記基礎連結用鋼材の上端部は最上段の前記基礎ブロックの上面よりも上方に突出しており、前記上部構造は、前記基礎構造に支持されたプレキャストフーチングと、該プレキャストフーチングの上方に配置され、面内方向に貫通する壁体貫通孔を有し、該壁体貫通孔の内面には壁体さや管を有する複数のプレキャスト壁体と、を備え、前記プレキャストフーチングは厚さ方向に貫通するフーチング貫通孔を有し、該フーチング貫通孔の内面には突出さや管が備えられ、該突出さや管は前記プレキャストフーチングの上面よりも上方の位置まで延伸し、該突出さや管には前記基礎構造の前記基礎連結用鋼材の前記上端部が差し込まれ、前記プレキャスト壁体は、前記壁体貫通孔同士が連結するように上下方向に複数積み重ねられ、上下方向に複数積み重ねられた前記プレキャスト壁体のうち少なくとも最下段の前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管には前記突出さや管が差し込まれるとともに、該突出さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材の前記上端部は上下方向に複数積み重ねられた前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管に差し込まれて最上段の前記プレキャスト壁体の天端付近に達しており、前記突出さや管と該突出さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されていることを特徴とする堤体である。
本発明に係る堤体の第7の態様は、支持地盤上に設置された直接基礎形式の基礎構造と、該基礎構造の上部に構築された上部構造とを備えてなる堤体であって、前記基礎構造は複数の基礎ブロック構造を備え、該基礎ブロック構造は、上下方向に貫通する基礎貫通孔を有し、該基礎貫通孔の内面に基礎さや管を有する複数の基礎ブロックと、該複数の基礎ブロックを上下方向に連結する基礎連結用鋼材と、を有し、前記基礎ブロック構造において、前記基礎ブロックは、前記支持地盤上において前記基礎貫通孔同士が連結するように上下方向に複数積み重ねられ、上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの前記基礎さや管には前記基礎連結用鋼材が差し込まれ、該基礎連結用鋼材は上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの最下段から最上段にまで達しており、また、前記基礎ブロックのうち、最下段の基礎ブロックは水平方向に張り出した部位を有し、また、前記基礎ブロック構造において、前記基礎ブロックの前記基礎さや管と該基礎さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、また、前記基礎連結用鋼材の上端部は最上段の前記基礎ブロックの上面よりも上方に突出しており、さらに、前記基礎ブロック構造同士はお互いに対向するように、かつ、最下段の前記基礎ブロックの前記張り出した部位同士がお互いに近接して対向するように配置されており、お互いに近接して対向する前記張り出した部位同士の上方には中詰め材が充填されており、前記上部構造は、前記基礎構造に支持されたプレキャストフーチングと、該プレキャストフーチングの上方に配置され、面内方向に貫通する壁体貫通孔を有し、該壁体貫通孔の内面には壁体さや管を有する複数のプレキャスト壁体と、を備え、前記プレキャストフーチングは厚さ方向に貫通するフーチング貫通孔を有し、該フーチング貫通孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面よりも上方の位置まで延伸している突出さや管が備えられ、また、前記プレキャストフーチングは少なくとも下方に開口した下方開口孔を、前記フーチング貫通孔に対して前記プレキャスト壁体の法線方向と略直交する方向に間隔を開けて有し、該下方開口孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面および下面の間に収まるフーチング内さや管が備えられ、前記突出さや管には、前記基礎構造の前記基礎連結用鋼材の前記上端部が差し込まれ、前記フーチング内さや管には、前記基礎構造の他の前記基礎連結用鋼材の前記上端部が差し込まれ、前記プレキャスト壁体は、前記壁体貫通孔同士が連結するように上下方向に複数積み重ねられ、上下方向に複数積み重ねられた前記プレキャスト壁体のうち少なくとも最下段の前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管には前記突出さや管が差し込まれるとともに、該突出さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材の前記上端部は上下方向に複数積み重ねられた前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管に差し込まれて最上段の前記プレキャスト壁体の天端付近に達しており、前記突出さや管と該突出さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化され、かつ、前記フーチング内さや管と該フーチング内さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されていることを特徴とする堤体である。
本発明に係る堤体の第8の態様は、支持地盤上に設置された直接基礎形式の基礎構造と、該基礎構造の上部に構築された上部構造とを備えてなる堤体であって、前記基礎構造は、上下方向に貫通する基礎貫通孔を有し、該基礎貫通孔の内面に基礎さや管を有する複数の基礎ブロックと、複数の前記基礎ブロックを上下方向に連結する基礎連結用鋼材と、を備え、前記基礎ブロックは、前記支持地盤上において前記基礎貫通孔同士が連結するように上下方向に複数積み重ねられ、上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの前記基礎さや管には前記基礎連結用鋼材が差し込まれ、該基礎連結用鋼材は上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの最下段から最上段にまで達しており、また、前記基礎ブロックのうち、最下段の基礎ブロックは水平方向に張り出した部位を有し、さらに、前記基礎ブロックの前記基礎さや管と該基礎さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、また、前記基礎連結用鋼材の上端部は最上段の前記基礎ブロックの上面よりも上方に突出しており、前記上部構造は、前記基礎構造に支持されたプレキャストフーチングと、該プレキャストフーチングの上方に配置され、面内方向に貫通する壁体貫通孔を有し、該壁体貫通孔の内面に壁体さや管を有する複数のプレキャスト壁体と、前記プレキャスト壁体および前記プレキャストフーチングを連結する壁体連結用鋼材と、を備え、前記プレキャストフーチングは少なくとも上方に開口した上方開口孔を有し、該上方開口孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面よりも上方の位置まで延伸している突出さや管が備えられ、該突出さや管には前記壁体連結用鋼材が差し込まれ、また、前記プレキャストフーチングは少なくとも下方に開口した下方開口孔を、前記上方開口孔に対して前記プレキャスト壁体の法線方向と略直交する方向に間隔を開けて有し、該下方開口孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面および下面の間に収まるフーチング内さや管が備えられ、該フーチング内さや管には前記基礎構造の前記基礎連結用鋼材の前記上端部が差し込まれ、前記プレキャスト壁体は、前記壁体貫通孔同士が連結するように上下方向に複数積み重ねられ、上下方向に複数積み重ねられた前記プレキャスト壁体のうち少なくとも最下段の前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管には前記突出さや管が差し込まれるとともに、該突出さや管に差し込まれた前記壁体連結用鋼材は上下方向に複数積み重ねられた前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管に差し込まれて最上段の前記プレキャスト壁体の天端付近に達しており、前記突出さや管と該突出さや管に差し込まれた前記壁体連結用鋼材とは一体化され、かつ、前記フーチング内さや管と該フーチング内さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、さらに、前記突出さや管と前記フーチング内さや管との間を連結する法直連結鋼材が前記プレキャストフーチング内に備えられていることを特徴とする堤体である。
本発明に係る堤体の第9の態様は、支持地盤上に設置された直接基礎形式の基礎構造と、該基礎構造の上部に構築された上部構造とを備えてなる堤体であって、前記基礎構造は複数の基礎ブロック構造を備え、該基礎ブロック構造は、上下方向に貫通する基礎貫通孔を有し、該基礎貫通孔の内面に基礎さや管を有する複数の基礎ブロックと、該複数の基礎ブロックを上下方向に連結する基礎連結用鋼材と、を有し、前記基礎ブロック構造において、前記基礎ブロックは、前記支持地盤上において前記基礎貫通孔同士が連結するように上下方向に複数積み重ねられ、上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの前記基礎さや管には前記基礎連結用鋼材が差し込まれ、該基礎連結用鋼材は上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの最下段から最上段にまで達しており、また、前記基礎ブロックのうち、最下段の基礎ブロックは水平方向に張り出した部位を有し、また、前記基礎ブロック構造において、前記基礎ブロックの前記基礎さや管と該基礎さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、また、前記基礎連結用鋼材の上端部は最上段の前記基礎ブロックの上面よりも上方に突出しており、さらに、前記基礎ブロック構造同士はお互いに対向するように、かつ、最下段の前記基礎ブロックの前記張り出した部位同士がお互いに近接して対向するように配置されており、お互いに近接して対向する前記張り出した部位同士の上方には中詰め材が充填されており、前記上部構造は、前記基礎構造に支持されたプレキャストフーチングと、該プレキャストフーチングの上方に配置され、面内方向に貫通する壁体貫通孔を有し、該壁体貫通孔の内面に壁体さや管を有する複数のプレキャスト壁体と、前記プレキャスト壁体および前記プレキャストフーチングを連結する壁体連結用鋼材と、を備え、前記プレキャストフーチングは少なくとも上方に開口した上方開口孔を有し、該上方開口孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面よりも上方の位置まで延伸している突出さや管が備えられ、該突出さや管には前記壁体連結用鋼材が差し込まれ、また、前記プレキャストフーチングは少なくとも下方に開口した下方開口孔を、前記上方開口孔に対して前記プレキャスト壁体の法線方向と略直交する方向に間隔を開けて複数有し、かつ、前記上方開口孔は複数の前記下方開口孔の間に位置しており、前記複数の下方開口孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面および下面の間に収まるフーチング内さや管がそれぞれ備えられ、前記複数のフーチング内さや管には前記基礎構造の前記基礎連結用鋼材の前記上端部がそれぞれ差し込まれ、前記プレキャスト壁体は、前記壁体貫通孔同士が連結するように上下方向に複数積み重ねられ、上下方向に複数積み重ねられた前記プレキャスト壁体のうち少なくとも最下段の前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管には前記突出さや管が差し込まれるとともに、該突出さや管に差し込まれた前記壁体連結用鋼材は上下方向に複数積み重ねられた前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管に差し込まれて最上段の前記プレキャスト壁体の天端付近に達しており、前記突出さや管と該突出さや管に差し込まれた前記壁体連結用鋼材とは一体化され、かつ、前記フーチング内さや管と該フーチング内さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、さらに、前記突出さや管と前記フーチング内さや管との間を連結する法直連結鋼材が前記プレキャストフーチング内に備えられていることを特徴とする堤体である。
本発明に係る堤体の第10の態様は、支持地盤上に設置された直接基礎形式の基礎構造と、該基礎構造の上部に構築された上部構造とを備えてなる堤体であって、前記基礎構造は複数の基礎ブロック構造を備え、該基礎ブロック構造は、上下方向に貫通する基礎貫通孔を有し、該基礎貫通孔の内面に基礎さや管を有する複数の基礎ブロックと、該複数の基礎ブロックを上下方向に連結する基礎連結用鋼材と、を有し、前記基礎ブロック構造において、前記基礎ブロックは、前記支持地盤上において前記基礎貫通孔同士が連結するように上下方向に複数積み重ねられ、上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの前記基礎さや管には前記基礎連結用鋼材が差し込まれ、該基礎連結用鋼材は上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの最下段から最上段にまで達しており、また、前記基礎ブロックのうち、最下段の基礎ブロックは水平方向に張り出した部位を有し、また、前記基礎ブロック構造において、前記基礎ブロックの前記基礎さや管と該基礎さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、また、前記基礎連結用鋼材の上端部は最上段の前記基礎ブロックの上面よりも上方に突出しており、さらに、前記基礎ブロック構造同士はお互いに対向するように、かつ、最下段の前記基礎ブロックの前記張り出した部位同士がお互いに近接して対向するように配置されており、お互いに近接して対向する前記張り出した部位同士の上方には中詰め材が充填されており、前記上部構造は、前記基礎構造に支持されたプレキャストフーチングと、該プレキャストフーチングの上方に配置され、面内方向に貫通する壁体貫通孔を有し、該壁体貫通孔の内面に壁体さや管を有する複数のプレキャスト壁体と、前記プレキャスト壁体および前記プレキャストフーチングを連結する壁体連結用鋼材と、を備え、前記プレキャストフーチングは少なくとも上方に開口した上方開口孔を有し、該上方開口孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面よりも上方の位置まで延伸している突出さや管が備えられ、該突出さや管には前記壁体連結用鋼材が差し込まれ、また、前記プレキャストフーチングは少なくとも下方に開口した下方開口孔を、前記上方開口孔に対して前記プレキャスト壁体の法線方向と略直交する方向に間隔を開けて複数有し、かつ、前記上方開口孔は複数の前記下方開口孔の間に位置しておらず、前記複数の下方開口孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面および下面の間に収まるフーチング内さや管がそれぞれ備えられ、前記複数のフーチング内さや管には前記基礎構造の前記基礎連結用鋼材の前記上端部がそれぞれ差し込まれ、前記プレキャスト壁体は、前記壁体貫通孔同士が連結するように上下方向に複数積み重ねられ、上下方向に複数積み重ねられた前記プレキャスト壁体のうち少なくとも最下段の前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管には前記突出さや管が差し込まれるとともに、該突出さや管に差し込まれた前記壁体連結用鋼材は上下方向に複数積み重ねられた前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管に差し込まれて最上段の前記プレキャスト壁体の天端付近に達しており、前記突出さや管と該突出さや管に差し込まれた前記壁体連結用鋼材とは一体化され、かつ、前記フーチング内さや管と該フーチング内さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、さらに、前記突出さや管と前記フーチング内さや管との間を連結する法直連結鋼材、および前記プレキャスト壁体の法線方向と略直交する方向に隣り合うフーチング内さや管同士の間を連結する法直連結鋼材が前記プレキャストフーチング内に備えられていることを特徴とする堤体である。
本発明に係る堤体の第7、第9、第10の態様において、前記上部構造の法線方向を、前記基礎ブロックが上下方向に複数積み重ねられて形成された前記基礎ブロック構造の壁面と略平行な水平方向となるようにしてもよい。
また、本発明に係る堤体の第7、第9、第10の態様において、前記上部構造の法線方向を、前記基礎ブロックが上下方向に複数積み重ねられて形成された前記基礎ブロック構造の壁面と略直交する方向となるようにしてもよい。
また、本発明に係る堤体の第7、第9、第10の態様において、前記中詰め材を、例えば土および砂のうちの少なくともいずれか一方としてもよい。
また、本発明に係る堤体の第6〜第10の態様において、上下方向に複数積み重ねられた前記プレキャスト壁体のうちの最上段のプレキャスト壁体を、面内方向に延びて下方のみ開口した壁体孔を有し、該壁体孔の内面に壁体さや管を有するプレキャスト壁体に置き換えてもよい。
本発明に係る堤体の第1、第2、第6、第7の態様において、前記突出さや管と該突出さや管に差し込まれた前記基礎構造の前記基礎連結用鋼材との間隙にはグラウト材が充填されていることが好ましい。
また、本発明に係る堤体の第2〜第5、第7〜第10の態様において、前記フーチング内さや管と該フーチング内さや管に差し込まれた前記基礎構造の前記基礎連結用鋼材との間隙にはグラウト材が充填されていることが好ましい。
また、本発明に係る堤体の第3〜第5、第8〜第10の態様において、前記突出さや管と該突出さや管に差し込まれた前記壁体連結用鋼材との間隙にはグラウト材が充填されていることが好ましい。
前記壁体連結用鋼材には例えば鋼管を用いてもよく、また例えばH形鋼やI形鋼等の形鋼を用いてもよい。
前記壁体連結用鋼材は鋼板からビルドアップして製作してもよい。
前記基礎連結用鋼材には例えば鋼管を用いてもよく、また例えばH形鋼やI形鋼等の形鋼を用いてもよい。
前記基礎連結用鋼材は鋼板からビルドアップして製作してもよい。
本発明に係る堤体の第1〜第10の態様において、前記基礎さや管と該基礎さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材との間隙にはグラウト材が充填されていることが好ましい。
本発明に係る堤体の第1〜第10の態様において、上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックのうちの最下段の基礎ブロックを、上方のみ開口した非貫通孔を有し、該非貫通孔の内面に基礎さや管を有し、かつ、水平方向に張り出した部位を有する基礎ブロックに置き換えてもよい。
本発明によれば、原則として地盤改良を行わなくても、現場での生コンクリートの使用量を大幅に削減することができる。また、施工期間の短縮化も図ることができる。また、基礎構造と上部構造とを合わせた堤体全体の構造を合理的な構造とすることもできる。
本発明の実施形態に係る堤体における基礎構造の第1態様を示す側面図 図1のII−II線断面図 本発明の実施形態に係る堤体における基礎構造の第1態様で用いる基礎フーチングブロック12の断面図 前記基礎フーチングブロック12を上方から見た平面図 前記基礎フーチングブロック12の断面図 前記基礎フーチングブロック12の断面図 本発明の実施形態に係る堤体における基礎構造の第1態様で用いる基礎壁体ブロック14の断面図 前記基礎壁体ブロック14を上方から見た平面図 本発明の実施形態に係る堤体における基礎構造の第2態様を示す側面図 本発明の実施形態に係る堤体における基礎構造の第2態様で用いる基礎フーチングブロック22の断面図 前記基礎フーチングブロック22を上方から見た平面図 本発明の実施形態に係る堤体における基礎構造の第3態様を示す側面図 図12のXIII−XIII線断面図 本発明の実施形態に係る堤体における基礎構造の第3態様で用いる基礎フーチングブロック32の断面図 前記基礎フーチングブロック32を上方から見た平面図 本発明の実施形態に係る堤体における上部構造の第1態様を示す側面図(本発明の第1実施形態に係る堤体90を該堤体90の法線方向から見た側面図) 図16のXVII−XVII線断面図 本発明の実施形態に係る堤体における上部構造の第1態様で用いるプレキャストフーチング42の端面図 本発明の実施形態に係る堤体における上部構造の第1態様で用いるプレキャスト壁体44の正面図 図19のXX−XX線断面図 本発明の実施形態に係る堤体における上部構造の第1態様で用いる最上段プレキャスト壁体46の正面図 図21のXXII−XXII線断面図 本発明の実施形態に係る堤体における上部構造の第1態様で用いるプレキャスト壁体44の縦端面図の一部拡大図 前記プレキャスト壁体44の縦端面図の一部拡大図 本発明の実施形態に係る堤体における上部構造の第1態様の接合部44Cを水平面で切断した断面において突出さや管42Aの部位付近を拡大した拡大断面図 本発明の第1実施形態に係る堤体90の変形例(堤体92)を該堤体92の法線方向から見た側面図 本発明の実施形態に係る堤体における上部構造の第1態様(上部構造40)の上端部の拡大縦断面図 本発明の実施形態に係る堤体における上部構造の第2態様を示す側面図(本発明の第2実施形態に係る堤体94を該堤体94の法線方向から見た側面図) 図28のXXIX−XXIX線断面図 本発明の実施形態に係る堤体における上部構造の第2態様で用いるプレキャストフーチング62の端面図 本発明の実施形態に係る堤体における上部構造の第3態様を示す側面図(本発明の第3実施形態に係る堤体96を該堤体96の法線方向から見た側面図) 本発明の実施形態に係る堤体における上部構造の第3態様で用いるプレキャストフーチング72の端面図 本発明の第4実施形態に係る堤体98をその法線方向から見た側面図 本発明の第5実施形態に係る堤体100をその法線方向から見た側面図 本発明の第6実施形態に係る堤体102をその法線方向から見た側面図 図35のXXXVI−XXXVI線断面図
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明するが、本発明の実施形態に係る堤体は、大きく分けて基礎構造と上部構造の2つの構造に分けられるので、基礎構造と上部構造とに分けて説明する。
1.基礎構造
(基礎構造の第1態様)
図1は本発明の実施形態に係る堤体における基礎構造の第1態様を示す側面図(第1態様の基礎構造を構成する基礎壁体ブロック14の長手方向から見た側面図)である。図2は図1のII−II線断面図である。
本第1態様の基礎構造10は、対向するL字型の基礎ブロック構造11の間に中詰め土18が充填されてなり、支持地盤1上に設けられている。
基礎ブロック構造11は、基礎フーチングブロック12と、基礎壁体ブロック14と、基礎連結用鋼管16と、を備えており、プレキャスト部材である基礎ブロック(基礎フーチングブロック12と基礎壁体ブロック14)が基礎ブロック構造11の主要な構成部材となっている。基礎ブロック構造11においては、基礎フーチングブロック12の上に基礎壁体ブロック14が3段積み重ねられており、図1に示すように、基礎構造10を側方(基礎壁体ブロック14の長手方向)から見ると2つのL字型の基礎ブロック構造11が対向するように(基礎フーチングブロック12の水平方向に張り出した部位12C同士がお互いに近接して対向するように)配置された形状になっている。また、本第1態様の基礎構造10は、基礎壁体ブロック14の長手方向(基礎構造10の基礎ブロック構造11の壁面11Aと平行な水平方向であり、図1において紙面と直交する方向)に延びており、上部構造の壁体が延びる方向と同じ方向に延びている。
基礎ブロック構造11において基礎フーチングブロック12の上に基礎壁体ブロック14が3段積み重ねられているが、基礎フーチングブロック12の貫通孔および基礎壁体ブロック14の貫通孔を基礎連結用鋼管16が上下方向に貫くように配置されており、基礎フーチングブロック12および基礎壁体ブロック14は基礎連結用鋼管16によって一体化されている。
なお、本第1態様の基礎構造10の上方に堤体を設置する場合、設置する堤体の法線方向(設置する堤体の延びる方向)は、本第1態様の基礎構造10の延びる方向(基礎構造10の基礎壁体ブロック14の長手方向(基礎構造10の基礎ブロック構造11の壁面11Aと平行な水平方向)であり、図1において紙面と直交する方向。)と一致することになる。
次に、本第1態様の基礎構造10を構成する各部材について説明する。
図3は、基礎フーチングブロック12の断面図(基礎フーチングさや管12Aの中心を通り、かつ、さや管連結鋼材12Bと直交する鉛直面で切断した断面図)であり、図4は基礎フーチングブロック12を上方から見た平面図である。
基礎フーチングブロック12は、プレキャスト化されたコンクリート製のフーチング部材で、水平方向に張り出した部位12C(以下、単に部位12Cと記すことがある。)を有する受圧面積の広い土台であり、本第1態様の基礎構造10において最下部に位置し、支持地盤1に構造物からの荷重を伝達して、基礎構造10および基礎構造10の上方に配置される構造物を安定性よく支持する役割を有する。
基礎フーチングブロック12は、図3、図4に示すように、厚さが最も厚い部位の両端部に貫通孔12Xを有しており、該貫通孔12Xの内面には基礎フーチングさや管12Aを備えている。また、2つの基礎フーチングさや管12Aの間にはさや管連結鋼材12Bが配置されていて、このさや管連結鋼材12Bの両端部は2つの基礎フーチングさや管12Aの外面に溶接により取り付けられており、2つの基礎フーチングさや管12Aはさや管連結鋼材12Bを介して一体化されている。
なお、図3では、基礎フーチングさや管12Aの下端位置は、基礎フーチングブロック12の下面と同じ高さ位置となるようにし、基礎フーチングさや管12Aの上端位置は、基礎フーチングブロック12の上面と同じ高さ位置となるようにしているが、図5、図6に示すように、基礎フーチングさや管12Aの下端位置は、基礎フーチングブロック12の下面よりも上方に位置してもよく、また、基礎フーチングさや管12Aの上端位置は基礎フーチングブロック12の上面よりも下方に位置してもよい。即ち、基礎フーチングさや管12Aは基礎フーチングブロック12の貫通孔12Xの内面を全面覆っていなくてもよい。基礎フーチングさや管12Aの腐食を防止する観点からは、基礎フーチングさや管12Aの下端位置は、基礎フーチングブロック12の下面よりも上方に位置した方が好ましく、基礎フーチングさや管12Aの上端位置は、基礎フーチングブロック12の上面よりも下方に位置した方が好ましい。即ち、基礎フーチングさや管12Aが外界に暴露しないようにある程度のかぶりを設けておくことが好ましい。
また、図5は、基礎フーチングブロック12の貫通孔12Xの内面に基礎フーチングさや管12Aの厚さの分だけ凹部を生じさせ、貫通孔12Xの内面に基礎フーチングさや管12Aを取り付けた状態で、貫通孔12Xの内面に見かけ上段差がなくなるようにした場合であり、図6は、貫通孔12Xの内面に凹部を設けず、貫通孔12Xの内面に基礎フーチングさや管12Aを取り付けた状態で、貫通孔12Xの内面に基礎フーチングさや管12Aの厚さの分だけ見かけ上段差が生じている場合である。本明細書では、図3、図5、図6の全ての場合、即ち、貫通孔12Xの内面全面を基礎フーチングさや管12Aが覆っている場合(図3の場合)、貫通孔12Xの内面全面が基礎フーチングさや管12Aで覆われていない場合(図5、図6の場合)、貫通孔12Xの内面に見かけ上段差がない場合(図3、図5の場合)、見かけ上段差がある場合(図6の場合)のいずれの場合も、貫通孔12Xの内面に基礎フーチングさや管12Aを備えているものとする。
また、基礎フーチングさや管12Aは、基礎フーチングブロック12のコンクリート打設時には貫通孔12X形成のための型枠の役割を果たし、基礎フーチングさや管12Aの外面はコンクリート打設と同時に基礎フーチングブロック12に埋め込まれ、(さや管連結鋼材12Bの寄与を考えなければ)コンクリートとの付着力により、基礎フーチングブロック12と一体化している。換言すれば、さや管連結鋼材12Bの寄与を考えなければ、基礎フーチングさや管12Aはコンクリートとの付着力により貫通孔12Xの内面へ取り付けられている。コンクリートとの付着力を向上させる点で、基礎フーチングさや管12Aの外面にはずれ止め(シアキー)を設けることが好ましい。ずれ止め(シアキー)としては、例えば丸鋼、溶接ビード、角鋼等を用いることができる。
また、基礎フーチングさや管12Aの材質は特に限定されず、所定以上の強度、弾性率、およびグラウト材との所定以上の接着力等を有する材料であればよく、例えば鉄鋼材料を好適に用いることができる。
なお、2つの基礎フーチングさや管12A同士をさや管連結鋼材12Bによって連結しなくても安全性が確保できるのであれば、さや管連結鋼材12Bは設けなくてもよい。ただし、2つの基礎フーチングさや管12A同士をさや管連結鋼材12Bによって連結した方が、基礎フーチングブロック12の断面のコンパクト化を図ることができ、基礎フーチングブロック12の重量を軽減することができる。
図7は基礎壁体ブロック14の断面図(基礎壁体さや管14Aの中心を通り、かつ、さや管連結鋼材14Bと平行な鉛直面で切断した断面図)であり、図8は基礎壁体ブロック14を上方から見た平面図である。
基礎壁体ブロック14は、プレキャスト化されたコンクリート製の細長い直方体状の部材であり、本第1態様の基礎構造10において基礎フーチングブロック12の上方に配置されて、基礎構造10の壁体(基礎ブロック構造11の壁体)を形成し、基礎構造10の上方に配置される構造物から伝達される荷重を直接的に支持して、その荷重を基礎フーチングブロック12を介して支持地盤1に伝達する役割を有する。
基礎壁体ブロック14は、図7、図8に示すように、両端部に貫通孔14Xを有しており、該貫通孔14Xの内面には基礎壁体さや管14Aを備えている。また、2つの基礎壁体さや管14Aの間にはさや管連結鋼材14Bが配置されていて、このさや管連結鋼材14Bの両端部は2つの基礎壁体さや管14Aの外面に溶接により取り付けられており、2つの基礎壁体さや管14Aはさや管連結鋼材14Bを介して一体化されている。
基礎壁体ブロック14は、その基礎壁体さや管14Aの中心が基礎フーチングブロック12の基礎フーチングさや管12Aの中心と一致するように基礎フーチングブロック12の上に重ねられ、さらに、その基礎壁体ブロック14の上には、基礎壁体さや管14Aの中心同士が一致するように基礎壁体ブロック14が必要な段数だけ重ねられている。
そのように重ねられて上下方向に連なった基礎フーチングさや管12Aおよび基礎壁体さや管14Aの内側には、基礎連結用鋼管16が上下方向に貫くように配置されており、さらに、基礎フーチングさや管12Aおよび基礎壁体さや管14Aと基礎連結用鋼管16との間隙にはグラウト材が充填されており、基礎フーチングブロック12および基礎壁体ブロック14は基礎連結用鋼管16およびグラウト材を介して一体化されている。
なお、図7では、基礎壁体さや管14Aの下端位置は、基礎壁体ブロック14の下面と同じ高さ位置となるようにし、基礎壁体さや管14Aの上端位置は、基礎壁体ブロック14の上面と同じ高さ位置となるようにしているが、図5、図6に示した基礎フーチングさや管12Aの場合と同様に、基礎壁体さや管14Aにおいても、基礎壁体さや管14Aの下端位置は、基礎壁体ブロック14の下面よりも上方に位置してもよく、また、基礎壁体さや管14Aの上端位置は基礎壁体ブロック14の上面よりも下方に位置してもよい。即ち、基礎壁体さや管14Aは基礎壁体ブロック14の貫通孔14Xの内面を全面覆っていなくてもよい。基礎壁体さや管14Aの腐食を防止する観点からは、基礎壁体さや管14Aの下端位置は、基礎壁体ブロック14の下面よりも上方に位置した方が好ましく、基礎壁体さや管14Aの上端位置は、基礎壁体ブロック14の上面よりも下方に位置した方が好ましい。即ち、基礎壁体さや管14Aが外界に暴露しないようにある程度のかぶりを設けておくことが好ましい。
また、図3、図5、図6に示した基礎フーチングさや管12Aの場合と同様に、基礎壁体さや管14Aにおいても、貫通孔14Xの内面全面を基礎壁体さや管14Aが覆っている場合、貫通孔14Xの内面全面が基礎壁体さや管14Aで覆われていない場合、貫通孔14Xの内面に見かけ上段差がない場合、見かけ上段差がある場合のいずれの場合も、貫通孔14Xの内面に基礎壁体さや管14Aを備えているものとする。
また、基礎壁体さや管14Aは、基礎壁体ブロック14のコンクリート打設時には貫通孔14X形成のための型枠の役割を果たし、基礎壁体さや管14Aの外面はコンクリート打設と同時に基礎壁体ブロック14に埋め込まれ、(さや管連結鋼材14Bの寄与を考えなければ)コンクリートとの付着力により、基礎壁体ブロック14と一体化している。換言すれば、さや管連結鋼材14Bの寄与を考えなければ、基礎壁体さや管14Aはコンクリートとの付着力により貫通孔14Xの内面へ取り付けられている。コンクリートとの付着力を向上させる点で、基礎壁体さや管14Aの外面にはずれ止め(シアキー)を設けることが好ましい。ずれ止め(シアキー)としては、例えば丸鋼、溶接ビード、角鋼等を用いることができる。
また、基礎壁体さや管14Aの材質は特に限定されず、所定以上の強度、弾性率、およびグラウト材との所定以上の接着力等を有する材料であればよく、例えば鉄鋼材料を好適に用いることができる。
なお、2つの基礎壁体さや管14A同士をさや管連結鋼材14Bによって連結しなくても安全性が確保できるのであれば、さや管連結鋼材14Bは設けなくてもよい。ただし、2つの基礎壁体さや管14A同士をさや管連結鋼材14Bによって連結した方が、基礎壁体ブロック14の断面のコンパクト化を図ることができ、基礎壁体ブロック14の重量を軽減することができる。
基礎連結用鋼管16は、円筒状の鋼管であり、上下方向に重ねられた基礎フーチングさや管12Aおよび基礎壁体さや管14Aの内側に上下方向に貫くように配置されて、基礎フーチングブロック12および基礎壁体ブロック14を一体化する役割を有する。前述したように、基礎フーチングさや管12Aおよび基礎壁体さや管14Aと基礎連結用鋼管16との間隙にはグラウト材が充填されており、これにより基礎フーチングブロック12および基礎壁体ブロック14は基礎連結用鋼管16およびグラウト材を介して一体化されている。
また、基礎連結用鋼管16の上端部は、図1に示すように、最上段の基礎壁体ブロック14の上面よりもさらに上方にまで伸びている。最上段の基礎壁体ブロック14の上面よりもさらに上方にまで伸びた基礎連結用鋼管16の部位は、基礎構造10の上方に配置される構造物との連結に活用することができる。
なお、基礎連結用鋼管16は一体的に成形されたものでなくてもよく、現場で溶接等により連結して必要な長さを確保するようにしてもよい。また、必要な耐力および剛性が確保できるのであれば、高さ位置に応じて基礎連結用鋼管16の管径や中心の位置を変動させてもよい。
また、本第1態様の基礎構造10では、基礎フーチングブロック12および基礎壁体ブロック14を連結して一体化するために基礎連結用鋼管16を用いたが、基礎フーチングブロック12および基礎壁体ブロック14を必要な耐力および剛性を確保して一体化できる素材であれば、鋼管に限定されず、基礎連結用鋼管16に替えて例えばH形鋼等の形鋼を用いることもできる。また、鋼板からビルドアップして製作されている鋼材を用いることも可能である。
中詰め土18は、図1に示すように、対向する基礎ブロック構造11の間の空間(基礎フーチングブロック12および基礎壁体ブロック14によって下方と側方を囲まれた空間であり、お互いに近接して対向する水平方向に張り出した部位12C同士の上方。)に充填されており、基礎構造10と一体となって動く。このため、中詰め土18の重量も、基礎構造10および基礎構造10の上方に配置される構造物の滑動や転倒を防ぐことに寄与する。
また、中詰め土18は、現地にて床掘りした土を用いることができるので、本第1態様の基礎構造10は、低コスト化、省資源、および廃棄物の削減に有効な構造である。
なお、本第1態様の基礎構造10では、対向して配置されている基礎ブロック構造11の下面(最下段の基礎フーチングブロック12の下面)の位置が同一の高さ位置になっているが、地形等の条件によっては、基礎ブロック構造11の下面(最下段の基礎フーチングブロック12の下面)の位置は必ずしも同一の高さ位置になっていなくてもよい。この場合、基礎壁体ブロック14の段数を変えたり、あるいは基礎壁体ブロック14自体の高さを変えること等によって対応をすることができる。
また、本第1態様の基礎構造10においては、2つのL字型の基礎ブロック構造11が対向するように配置されているが、上部構造の壁体を海側の基礎ブロック構造11の真上に設ける場合で、安全性が確保できる場合には、陸側の基礎ブロック構造11を省略し、海側の基礎ブロック構造11が1列に並んだ構造(海側の基礎ブロック構造11が壁面11Aと平行な水平方向に1列に並んだ構造)としてもよい。
(基礎構造の第2態様)
図9は本発明の実施形態に係る堤体における基礎構造の第2態様を示す側面図(第2態様の基礎構造を構成する基礎壁体ブロック14の長手方向から見た側面図)である。
本第2態様の基礎構造20は、対向する逆T字型の基礎ブロック構造21の間に中詰め土18が充填されてなり、支持地盤1上に設けられている。基礎ブロック構造21は、基礎フーチングブロック22と、基礎壁体ブロック14と、基礎連結用鋼管16と、を備えている。
また、本第2態様の基礎構造20は、基礎壁体ブロック14の長手方向(基礎構造20の基礎ブロック構造21の壁面21Aと平行な水平方向であり、図9において紙面と直交する方向)に延びており、上部構造の壁体が延びる方向と同じ方向に延びている。
先に説明した第1態様の基礎構造10で用いた基礎フーチングブロック12においては、フーチングは片側のみ水平方向に張り出していたが(部位12C)、本第2態様の基礎構造20で用いる基礎フーチングブロック22は水平方向に張り出した部位22C、22Dを有しており、フーチングが両側の水平方向に張り出している。この点以外は、第1態様の基礎構造10と同様であり、第1態様の基礎構造10と同様の部材には同一の番号を付し、説明は原則として省略する。
図10は本第2態様の基礎構造20で用いる基礎フーチングブロック22の断面図(基礎フーチングさや管22Aの中心を通り、かつ、さや管連結鋼材22Bと直交する鉛直面で切断した断面図)であり、図11は基礎フーチングブロック22を上方から見た平面図である。
基礎フーチングブロック22は、第1態様の基礎フーチングブロック12と同様、プレキャスト化されたコンクリート製のフーチング部材で、水平方向に張り出した部位22C、22Dを有する受圧面積の広い土台であり、本第2態様の基礎構造20において最下部に位置し、支持地盤1に構造物からの荷重を伝達して、基礎構造20および基礎構造20の上方に配置される構造物を安定性よく支持する役割を有する。
基礎フーチングブロック22における貫通孔、さや管およびさや管連結鋼材の配置位置は、第1態様の基礎フーチングブロック12における貫通孔、さや管およびさや管連結鋼材と同様の位置であり、図10、図11に示すように、厚さが最も厚い部位の両端部に貫通孔22Xを有しており、該貫通孔22Xの内面には基礎フーチングさや管22Aを備えている。また、2つの基礎フーチングさや管22Aの間にはさや管連結鋼材22Bが配置されていて、このさや管連結鋼材22Bの両端部は2つの基礎フーチングさや管22Aの外面に溶接により取り付けられており、2つの基礎フーチングさや管22Aはさや管連結鋼材22Bを介して一体化されている。
なお、図10では、基礎フーチングさや管22Aの下端位置は、基礎フーチングブロック22の下面と同じ高さ位置となるようにし、基礎フーチングさや管22Aの上端位置は、基礎フーチングブロック22の上面と同じ高さ位置となるようにしているが、図5、図6に示した基礎フーチングさや管12Aの場合と同様に、基礎フーチングさや管22Aにおいても、基礎フーチングさや管22Aの下端位置は、基礎フーチングブロック22の下面よりも上方に位置してもよく、また、基礎フーチングさや管22Aの上端位置は基礎フーチングブロック22の上面よりも下方に位置してもよい。即ち、基礎フーチングさや管22Aは基礎フーチングブロック22の貫通孔22Xの内面を全面覆っていなくてもよい。基礎フーチングさや管22Aの腐食を防止する観点からは、基礎フーチングさや管22Aの下端位置は、基礎フーチングブロック22の下面よりも上方に位置した方が好ましく、基礎フーチングさや管22Aの上端位置は、基礎フーチングブロック22の上面よりも下方に位置した方が好ましい。即ち、基礎フーチングさや管22Aが外界に暴露しないようにある程度のかぶりを設けておくことが好ましい。
また、図3、図5、図6に示した基礎フーチングさや管12Aの場合と同様に、基礎フーチングさや管22Aにおいても、貫通孔22Xの内面全面を基礎フーチングさや管22Aが覆っている場合、貫通孔22Xの内面全面が基礎フーチングさや管22Aで覆われていない場合、貫通孔22Xの内面に見かけ上段差がない場合、見かけ上段差がある場合のいずれの場合も、貫通孔22Xの内面に基礎フーチングさや管22Aを備えているものとする。
また、基礎フーチングさや管22Aは、基礎フーチングブロック22のコンクリート打設時には貫通孔22X形成のための型枠の役割を果たし、基礎フーチングさや管22Aの外面はコンクリート打設と同時に基礎フーチングブロック22に埋め込まれ、(さや管連結鋼材22Bの寄与を考えなければ)コンクリートとの付着力により、基礎フーチングブロック22と一体化している。換言すれば、さや管連結鋼材22Bの寄与を考えなければ、基礎フーチングさや管22Aはコンクリートとの付着力により貫通孔22Xの内面へ取り付けられている。コンクリートとの付着力を向上させる点で、基礎フーチングさや管22Aの外面にはずれ止め(シアキー)を設けることが好ましい。ずれ止め(シアキー)としては、例えば丸鋼、溶接ビード、角鋼等を用いることができる。
また、基礎フーチングさや管22Aの材質は特に限定されず、所定以上の強度、弾性率、およびグラウト材との所定以上の接着力等を有する材料であればよく、例えば鉄鋼材料を好適に用いることができる。
基礎フーチングブロック22は水平方向に張り出した部位22C、22Dを有しており、フーチングが両側の水平方向に張り出しているので、受圧面積が広くなっている。このため、基礎構造20の上方に配置される構造物に作用する外力が大きい場合において好適な部材となる。
なお、2つの基礎フーチングさや管22A同士をさや管連結鋼材22Bによって連結しなくても安全性が確保できるのであれば、さや管連結鋼材22Bは設けなくてもよい。ただし、2つの基礎フーチングさや管22A同士をさや管連結鋼材22Bによって連結した方が、基礎フーチングブロック22の断面のコンパクト化を図ることができ、基礎フーチングブロック22の重量を軽減することができる。
また、本第2態様の基礎構造20では、対向して配置されている基礎ブロック構造21の下面(最下段の基礎フーチングブロック22の下面)の位置が同一の高さ位置になっているが、地形等の条件によっては、基礎ブロック構造21の下面(最下段の基礎フーチングブロック22の下面)の位置は必ずしも同一の高さ位置になっていなくてもよい。この場合、基礎壁体ブロック14の段数を変えたり、あるいは基礎壁体ブロック14自体の高さを変えること等によって対応をすることができる。
また、本第2態様の基礎構造20の上方に堤体を設置する場合、設置する堤体の法線方向(設置する堤体の延びる方向)は、本第2態様の基礎構造20の延びる方向(基礎構造20の基礎壁体ブロック14の長手方向(基礎構造20の基礎ブロック構造21の壁面21Aと平行な水平方向)であり、図9において紙面と直交する方向。)と一致することになる。
また、本第2態様の基礎構造20においては、2つの逆T字型の基礎ブロック構造21が対向するように配置されているが、上部構造の壁体を海側の基礎ブロック構造21の真上に設ける場合で、安全性が確保できる場合には、陸側の基礎ブロック構造21を省略し、海側の基礎ブロック構造21が1列に並んだ構造(海側の基礎ブロック構造21が壁面21Aと平行な水平方向に1列に並んだ構造)としてもよい。
(基礎構造の第3態様)
図12は本発明の実施形態に係る堤体における基礎構造の第3態様を示す側面図(第3態様の基礎構造を構成する基礎壁体ブロック14の長手方向から見た側面図)である。図13は図12のXIII−XIII線断面図である。
本第3態様の基礎構造30は、対向する逆T字型の基礎ブロック構造31の間に中詰め土18が充填されてなり、支持地盤1上に設けられている。基礎ブロック構造31は、基礎フーチングブロック32と、基礎壁体ブロック14と、基礎連結用鋼管16と、を備えてなり、支持地盤1上に設けられている。
先に説明した第1態様の基礎構造10で用いた基礎フーチングブロック12においては、フーチングは片側のみに張り出していたが(部位12C)、本第3態様の基礎構造30で用いる基礎フーチングブロック32は水平方向に張り出した部位32C、32D(以下、単に部位32C、32Dと記すことがある。)を有しており、一方の側(部位32C)だけでなく他方の側(部位32D)もわずかであるがフーチングが張り出している。
また、本第3態様の基礎構造30においては、基礎フーチングブロック32の上方に基礎壁体ブロック14が3段積まれてなるL字状の構造物である基礎ブロック構造物31が、図12に示すように背中合わせに配置されており、このような背中合わせに配置された基礎ブロック構造物31が、本第3態様の基礎構造30の基礎壁体ブロック14の長手方向と直交する方向(基礎構造30の基礎ブロック構造31の壁面31Aと直交する方向)(図12、図13において紙面と平行な左右方向であり、上部構造の壁体が延びる方向。)に多数配置されている。
第1、第2態様の基礎構造10、20の上方に堤体を設置する場合、設置する堤体の法線方向(設置する堤体の延びる方向)は、それぞれ基礎構造10、20の延びる方向(基礎構造10、20の基礎壁体ブロック14の長手方向(基礎構造10、20の基礎ブロック構造11、21の壁面11A、21Aと平行な水平方向)であり、図1、図9において紙面と直交する方向。)であったが、本第3態様の基礎構造30の上方に堤体を設置する場合、設置する堤体の法線方向(設置する堤体の延びる方向)は、基礎構造30の基礎壁体ブロック14の長手方向と直交する水平方向(基礎構造30の基礎ブロック構造31の壁面31Aと直交する方向)であり、図12、図13において紙面と平行な左右方向である。
なお、本第3態様の基礎構造30においては、図12に示すように、背中合わせに配置された基礎壁体ブロック14同士の間にもわずかに隙間があるが、この隙間にも中詰め土18が充填されている。この中詰め土18の重量も、基礎構造30および基礎構造30の上方に配置される構造物の滑動や転倒を防ぐことに寄与する。
以上の点以外は、基礎構造30を構成する各部材は、第1態様の基礎構造10と同様であり、第1態様の基礎構造10と同様の部材には同一の番号を付し、説明は原則として省略する。
図14は本第3態様の基礎構造30で用いる基礎フーチングブロック32の断面図(基礎フーチングさや管32Aの中心を通り、かつ、さや管連結鋼材32Bと直交する鉛直面で切断した断面図)であり、図15は基礎フーチングブロック32を上方から見た平面図である。
基礎フーチングブロック32は、第1態様の基礎フーチングブロック12と同様、プレキャスト化されたコンクリート製のフーチング部材で、水平方向に張り出した部位32C、32Dを有する受圧面積の広い土台であり、本第3態様の基礎構造30において最下部に位置し、支持地盤1に構造物からの荷重を伝達して、基礎構造30および基礎構造30の上方に配置される構造物を安定性よく支持する役割を有する。
基礎フーチングブロック32における貫通孔、さや管およびさや管連結鋼材の形状、配置位置は、第1態様の基礎フーチングブロック12における貫通孔、さや管およびさや管連結鋼材と同様であり、図14、図15に示すように、厚さが最も厚い部位の両端部に貫通孔32Xを有しており、該貫通孔32Xの内面には基礎フーチングさや管32Aを備えている。また、2つの基礎フーチングさや管32Aの間にはさや管連結鋼材32Bが配置されていて、このさや管連結鋼材32Bの両端部は2つの基礎フーチングさや管32Aの外面に溶接により取り付けられており、2つの基礎フーチングさや管32Aはさや管連結鋼材32Bを介して一体化されている。
基礎フーチングブロック32は、一方の側(部位32C)だけでなく、他方の側(部位32D)にもフーチングがわずかに張り出しているので、図12に示すように、背中合わせになる基礎壁体ブロック14同士の間に隙間が生じる。このため、基礎壁体ブロック14の取り付け位置が施工時にわずかにずれてしまったとしても(基礎壁体ブロック14の基礎壁体さや管14Aの中心の位置が、それよりも下方に位置する基礎フーチングブロック32の基礎フーチングさや管32Aまたは基礎壁体ブロック14の基礎壁体さや管14Aの中心の位置からわずかにずれてしまったとしても)、基礎壁体ブロック14同士は干渉せず、施工を良好に行いやすくなる。また、背中合わせになる基礎壁体ブロック14同士の間に隙間が生じることを許容することにより、基礎壁体ブロック14を適宜必要な大きさにまで小型化しやすくなり、軽量化しやすくなる。
ただし、本第3態様の基礎構造30において、背中合わせになる基礎壁体ブロック14同士の間に隙間を設けることは必須ではない。背中合わせになる基礎壁体ブロック14同士の間に隙間を設けない場合には、基礎フーチングブロック32に替えて、第1態様で用いた基礎フーチングブロック12を用いて本第3態様のように配置すればよい。
なお、2つの基礎フーチングさや管32A同士をさや管連結鋼材32Bによって連結しなくても安全性が確保できるのであれば、さや管連結鋼材32Bは設けなくてもよい。ただし、2つの基礎フーチングさや管32A同士をさや管連結鋼材32Bによって連結した方が、基礎フーチングブロック32の断面のコンパクト化を図ることができ、基礎フーチングブロック32の重量を軽減することができる。
また、本第3態様の基礎構造30では、上部構造の壁体が延びる方向に多数配置されている基礎ブロック構造31の下面(最下段の基礎フーチングブロック32の下面)の位置が同一の高さ位置になっているが、地形等の条件によっては、基礎ブロック構造31の下面(最下段の基礎フーチングブロック32の下面)の位置は必ずしも同一の高さ位置になっていなくてもよい。この場合、基礎壁体ブロック14の段数を変えたり、あるいは基礎壁体ブロック14自体の高さを変えること等によって対応をすることができる。
また、本第3態様の基礎構造30の上方に堤体を設置する場合、設置する堤体の法線方向(設置する堤体の延びる方向)は、本第3態様の基礎構造30の基礎壁体ブロック14の長手方向と直交する水平方向(基礎構造30の基礎ブロック構造31の壁面31Aと直交する方向であり、図12、図13において紙面と平行な左右方向。)となる。
なお、以上説明した第1〜第3態様の基礎構造10、20、30では、基礎連結用鋼管16、基礎フーチングさや管12A、22A、32Aおよび基礎壁体さや管14Aに対しては、それぞれ円筒状の鋼管を用いたが、必ずしも円筒状の鋼管でなくてもよく、例えば断面が矩形状の鋼管であってもよい。
また、基礎フーチングブロック12、22、32において、貫通孔12X、22X、32Xを設けることに替えて、下端が閉塞されている非貫通孔(上方のみ開口している非貫通孔)にしてもよい。
また、第1〜第3態様の基礎構造10、20、30では、中詰め材として中詰め土18を用いたが、中詰め材として用いることができる材料は土に限定されるわけではなく、砂であってもよく、また、土と砂の混合物であってもよい。さらに、土や砂以外の材料であってもよく、例えば鉄鋼スラグ、非鉄金属スラグ(銅スラグ等)やコンクリートがら等を用いることもできる。
2.上部構造
(上部構造の第1態様)
図16は本発明の実施形態に係る堤体における上部構造の第1態様を示す側面図(堤体の法線方向(堤体の延びる方向)から見た側面図)であり、図17は図16のXVII−XVII線断面図である。ただし、図16では図示をわかりやすくする都合上、本来は見えない内部の構造を記載した箇所もあり、当該箇所では、本来隠れ線として破線で記載すべき線も実線で記載している箇所もある。また、図16、図17では上部構造だけでなく基礎構造も描いており、本発明の第1実施形態の堤体90の全体を示しているが、上部構造の第1態様の説明においては、図16、図17を用いて説明する。
本第1態様の上部構造40は、プレキャストフーチング42と、3段に積まれたプレキャスト壁体(下段および中段のプレキャスト壁体44ならびに最上段プレキャスト壁体46)とが基礎連結用鋼管16を介して一体化されて構成されており、基礎構造10の上方に配置されている。そして、さらに、本第1態様の上部構造40は、基礎連結用鋼管16を介して基礎構造10と一体化されており、本発明の第1実施形態の堤体90の上部構造となっている。
図18はプレキャストフーチング42の端面図(突出さや管42Aの中心およびフーチング内さや管42Bの中心を通る鉛直面で切断した端面図)である。ここで、突出さや管42Aの中心とは突出さや管42Aをその長手方向に対する垂直面で切断して得られる円形断面の中心のことであり、フーチング内さや管42Bの中心とはフーチング内さや管42Bをその長手方向に対する垂直面で切断して得られる円形断面の中心のことである。本明細書では、円柱形状の立体について「中心」と記載したときには以下同様に考える。
プレキャストフーチング42は、プレキャスト化されたフーチングで、基礎連結用鋼管16を介して基礎構造10に連結されて固定された土台であり、堤体90のプレキャスト壁体44、46を安定性よく支持して、プレキャスト壁体44、46の自重およびプレキャスト壁体44、46に加わる外力を基礎構造10に伝達する役割を有する。
図17に示すように、プレキャストフーチング42は、2つの突出さや管42Aと、2つのフーチング内さや管42Bと、を備えている。また、図18に示すように、プレキャストフーチング42は、突出さや管貫通孔42Xとフーチング内さや管貫通孔42Y(以下、貫通孔42X、42Yと記すことがある。)とを有し、突出さや管貫通孔42Xの内面には突出さや管42Aが備えられ、フーチング内さや管貫通孔42Yの内面にはフーチング内さや管42Bが備えられている。
突出さや管42Aとフーチング内さや管42Bとの間にはさや管連結鋼材42Cが配置されていて、このさや管連結鋼材42Cの両端部は突出さや管42Aおよびフーチング内さや管42Bの外面に溶接により取り付けられており、突出さや管42Aおよびフーチング内さや管42Bはさや管連結鋼材42Cを介して一体化されている。
なお、図18では、突出さや管42Aおよびフーチング内さや管42Bの下端位置は、プレキャストフーチング42の下面と同じ高さ位置となるようにし、フーチング内さや管42Bの上端位置は、プレキャストフーチング42の上面と同じ高さ位置となるようにしているが、図5、図6に示した基礎フーチングさや管12Aの場合と同様に、突出さや管42Aおよびフーチング内さや管42Bにおいても、突出さや管42Aおよびフーチング内さや管42Bの下端位置は、プレキャストフーチング42の下面よりも上方に位置してもよく、また、フーチング内さや管42Bの上端位置はプレキャストフーチング42の上面よりも下方に位置してもよい。即ち、突出さや管42Aはプレキャストフーチング42の突出さや管貫通孔42Xの内面を全面覆っていなくてもよく、フーチング内さや管42Bはプレキャストフーチング42のフーチング内さや管貫通孔42Yの内面を全面覆っていなくてもよい。突出さや管42Aおよびフーチング内さや管42Bの腐食を防止する観点からは、突出さや管42Aおよびフーチング内さや管42Bの下端位置は、プレキャストフーチング42の下面よりも上方に位置した方が好ましく、フーチング内さや管42Bの上端位置は、プレキャストフーチング42の上面よりも下方に位置した方が好ましい。
また、図3、図5、図6に示した基礎フーチングさや管12Aの場合と同様に、突出さや管42Aおよびフーチング内さや管42Bにおいても、貫通孔42X、42Yの内面全面をそれぞれ突出さや管42Aおよびフーチング内さや管42Bが覆っている場合、貫通孔42X、42Yの内面全面がそれぞれ突出さや管42Aおよびフーチング内さや管42Bで覆われていない場合、貫通孔42X、42Yの内面に見かけ上段差がない場合、見かけ上段差がある場合のいずれの場合も、貫通孔42X、42Yの内面にそれぞれ突出さや管42Aおよびフーチング内さや管42Bを備えているものとする。
また、突出さや管42Aおよびフーチング内さや管42Bは、プレキャストフーチング42のコンクリート打設時にはそれぞれ貫通孔42X、42Y形成のための型枠の役割を果たし、突出さや管42Aおよびフーチング内さや管42Bの外面はコンクリート打設と同時にプレキャストフーチング42に埋め込まれ、(さや管連結鋼材42Cの寄与を考えなければ)コンクリートとの付着力により、プレキャストフーチング42と一体化している。換言すれば、さや管連結鋼材42Cの寄与を考えなければ、突出さや管42Aおよびフーチング内さや管42Bはコンクリートとの付着力によりそれぞれ貫通孔42X、42Yの内面へ取り付けられている。コンクリートとの付着力を向上させる点で、突出さや管42Aの外面にはずれ止め(シアキー)を設けることが好ましい。ずれ止め(シアキー)としては、例えば丸鋼、溶接ビード、角鋼等を用いることができる。突出さや管42Aは、大津波を受けた時の断面力を確実にフーチングに伝達できるようにするのに必要な長さ以上プレキャストフーチング42の中に埋め込まれていることが好ましい。
また、突出さや管42Aおよびフーチング内さや管42Bの材質は特に限定されず、所定以上の強度、弾性率、およびグラウト材との所定以上の接着力等を有する材料であればよく、例えば鉄鋼材料を好適に用いることができる。
また、プレキャストフーチング42の上面と地表面との位置関係は特に限定されず、プレキャストフーチング42の上面が地表面とほぼ一致するようにしてもよい。また、プレキャストフーチング42の上面に盛土があってもよく、この場合はプレキャストフーチング42の上面は地表面よりも下方になる。また、プレキャストフーチング42の下面が地表面とほぼ一致するようにする場合は、プレキャストフーチング42の海側前面に遮水矢板を設けることが好ましい。この場合はプレキャストフーチング42の上面は地表面よりも上方になる。ただし、先に述べた第1〜第3態様の基礎構造10、20、30を用いる場合には、安全性が確認できれば、プレキャストフーチング42の海側前面に遮水矢板を設けることを省略してもよい。
また、フーチング内さや管42Bは貫通孔42Yの内面に設けられているが、フーチング内さや管42Bが設けられる孔は必ずしも貫通孔である必要はなく、少なくとも下方に開口した孔(下方開口孔)であればよい。
なお、突出さや管42Aおよびフーチング内さや管42Bをさや管連結鋼材42Cによって連結しなくても安全性が確保できるのであれば、さや管連結鋼材42Cは設けなくてもよい。ただし、突出さや管42Aおよびフーチング内さや管42Bをさや管連結鋼材42Cによって連結した方が、プレキャストフーチング42の断面のコンパクト化を図ることができ、プレキャストフーチング42の重量を軽減することができる。
次に、本第1態様の上部構造40の壁体(下段および中段のプレキャスト壁体44ならびに最上段プレキャスト壁体46)について説明する。本第1態様の上部構造40において、壁体は壁面が鉛直になるように3段に積み重ねられており、下段と中段にはプレキャスト壁体44が用いられており、最上段には最上段プレキャスト壁体46が用いられている。そして、下段および中段のプレキャスト壁体44ならびに最上段プレキャスト壁体46のそれぞれの壁体さや管44A、46Aには、図16に示すように、上下方向に基礎連結用鋼管16が差し込まれており、3段に積まれた壁体(下段および中段のプレキャスト壁体44ならびに最上段プレキャスト壁体46)が連結されている。
図19はプレキャスト壁体44の正面図であり、図20は図19のXX−XX線断面図である。図21は最上段プレキャスト壁体46の正面図であり、図22は図21のXXII−XXII線断面図である。
図19、図20に示すように、プレキャスト壁体44は面内方向(上部構造40完成後の鉛直方向)に貫通した壁体貫通孔44Xを両端部に有し、壁体貫通孔44Xの内面には壁体さや管44Aを有する。両端部の壁厚は中央部の壁厚よりも厚くなっており、テーパー部44Bにおいて壁厚が変化している。壁体さや管44Aの上端の高さ位置はプレキャスト壁体44の上面と同じ高さ位置となっており、壁体さや管44Aの下端の高さ位置はプレキャスト壁体44の下面と同じ高さ位置となっている。
また、図21、図22に示すように、最上段プレキャスト壁体46(以下、プレキャスト壁体46と記すことがある。)は面内方向(上部構造40完成後の鉛直方向)に貫通した壁体貫通孔46Xを両端部に有し、壁体貫通孔46Xの内面には壁体さや管46Aを有する。両端部の壁厚は中央部の壁厚よりも厚くなっており、テーパー部46Bにおいて壁厚が変化している。壁体さや管46Aの上端の高さ位置は最上段プレキャスト壁体46の上面と同じ高さ位置となっており、壁体さや管46Aの下端の高さ位置は最上段プレキャスト壁体46の下面と同じ高さ位置となっている。
なお、図19、図21では、壁体さや管44A、46Aの下端位置は、それぞれプレキャスト壁体44、46の下面と同じ高さ位置となるようにし、壁体さや管44A、46Aの上端位置は、それぞれプレキャスト壁体44、46の上面と同じ高さ位置となるようにしているが、図23(プレキャスト壁体44の縦端面図の一部拡大図)、図24(プレキャスト壁体44の縦端面図の一部拡大図)に示すように、壁体さや管44Aの下端位置は、プレキャスト壁体44の下面よりも上方に位置してもよく、また、壁体さや管44Aの上端位置はプレキャスト壁体44の上面よりも下方に位置してもよい。即ち、壁体さや管44Aは壁体貫通孔44Xの内面を全面覆っていなくてもよい。図示は省略するが、最上段プレキャスト壁体46の壁体さや管46Aもプレキャスト壁体44の壁体さや管44Aと同様、壁体さや管46Aは壁体貫通孔46Xの内面を全面覆っていなくてもよい。
また、図23は、壁体貫通孔44Xの内面に壁体さや管44Aの厚さの分だけ凹部を生じさせ、壁体貫通孔44Xの内面に壁体さや管44Aを取り付けた状態で、壁体貫通孔44Xの内面に見かけ上段差がなくなるようにした場合であり、図24は、壁体貫通孔44Xの内面に凹部を設けず、壁体貫通孔44Xの内面に壁体さや管44Aを取り付けた状態で、壁体貫通孔44Xの内面に壁体さや管44Aの厚さの分だけ見かけ上段差が生じている場合である。図示は省略するが、最上段プレキャスト壁体46の場合もプレキャスト壁体44の場合と同様に壁体貫通孔46Xの内面に見かけ上段差が生じている場合と生じていない場合のどちらも取り得る。本明細書では、図19、図21、図23、図24のいずれの場合、即ち、壁体貫通孔44X、46Xの内面全面を壁体さや管44A、46Aが覆っている場合(図19、図21の場合)、壁体貫通孔44X、46Xの内面全面を覆っていない場合(図23、図24の場合)、壁体貫通孔44X、46Xの内面に見かけ上段差がない場合(図19、図21、図23の場合)、見かけ上段差がある場合(図24の場合)のいずれの場合も、壁体貫通孔44X、46Xの内面に壁体さや管44A、46Aを備えているものとする。
壁体さや管44A、46Aはプレキャスト壁体44、46の耐力に寄与する。また、壁体さや管44A、46Aは基礎連結用鋼管16の外周を取り囲んで、壁体さや管44A、46Aと基礎連結用鋼管16との間のグラウト材を拘束し、大津波を受けた時の断面力を確実にプレキャスト壁体44、46から基礎連結用鋼管16に伝達できるようにする役割も果たす。したがって、壁体さや管44Aの高さはプレキャスト壁体44の高さの2分の1以上あることが好ましく、壁体さや管46Aの高さは最上段プレキャスト壁体46の高さの2分の1以上あることが好ましい。
また、壁体さや管44A、46Aの腐食を防止する観点からは、壁体さや管44A、46Aの下端位置は、それぞれプレキャスト壁体44、46の下面よりも上方に位置した方が好ましく、壁体さや管44A、46Aの上端位置は、それぞれプレキャスト壁体44、46の上面よりも下方に位置した方が好ましい。即ち、壁体さや管44A、46Aが外界に暴露しないようにある程度のかぶりを設けておくことが好ましい。
また、壁体さや管44A、46Aの材質は特に限定されず、所定以上の強度、弾性率、およびグラウト材との所定以上の接着力等を有する材料であればよく、例えば鉄鋼材料を好適に用いることができる。
また、プレキャスト壁体44、46はそれぞれテーパー部44B、46Bを有するが、テーパー部44B、46Bはなくてもよく、プレキャスト壁体44、46の形状は、図20、図22と同様の切断面で切断したときの断面が長方形となるような形状であってもよい。
大津波を受けた時にプレキャスト壁体44、46に生じる断面力は、上方に位置する壁体ほど断面力が小さくなると考えられるので、安全性を確保できる範囲で上方に位置するプレキャスト壁体の厚さを下方に位置するプレキャスト壁体の厚さよりも薄くしてもよい。また、安全性を確保できる範囲で上方に位置するプレキャスト壁体の壁体さや管の径を下方に位置するプレキャスト壁体の壁体さや管の径よりも小さくしてもよい。ただし、上下のプレキャスト壁体の間で段差が生じないように、上方に位置するプレキャスト壁体の最下部の壁厚は下方に位置するプレキャスト壁体の最上部の壁厚と同じにし、上方に位置するプレキャスト壁体の下部にテーパー部を設けて、最下部から上方に向かって徐々に壁厚が薄くなるようにしておくことが好ましい。
次に、プレキャストフーチング42と最下段のプレキャスト壁体44との接合部をさらに詳細に説明する。プレキャストフーチング42と最下段のプレキャスト壁体44との接合部にはプレキャストフーチング42の突出さや管42Aが配置されている。なお、本明細書においては、プレキャストフーチング42とプレキャスト壁体44との接合部とは、上部構造40の完成後においてプレキャストフーチング42の突出さや管42Aが存在する高さ範囲の最下段のプレキャスト壁体44の部位を意味し、図16において符号44Cで示す範囲である。
図25は、図16の上部構造40を突出さや管42Aを切断するように水平面で切断した断面(即ち、プレキャストフーチング42とプレキャスト壁体44との接合部44Cを水平面で切断した断面)において突出さや管42Aの部位付近を拡大した拡大断面図である。図25に示すように、大津波を受けた時に大きな断面力の生じるプレキャストフーチング42とプレキャスト壁体44との接合部44Cは、基礎連結用鋼管16の周囲を突出さや管42Aが囲み、さらに突出さや管42Aの周囲を壁体さや管44Aが囲んだ構造となっている。大津波を受けた時に生じる断面力は、プレキャストフーチング42とプレキャスト壁体44との接合部44Cで最も過大となるが、接合部44Cでは基礎連結用鋼管16の周囲を突出さや管42Aが囲んでおり、基礎連結用鋼管16と突出さや管42Aとの間のグラウト材48は基礎連結用鋼管16と突出さや管42Aとによりはさまれて強力に拘束されており、突出さや管42Aからグラウト材48を介して基礎連結用鋼管16へと効率的に断面力は伝達される。基礎連結用鋼管16へ伝達された断面力は基礎構造10へと伝達され、さらに支持地盤1へと伝達されるので、堤体90は大津波に対しても安定した抵抗力を発揮することができる。また、本第1態様では突出さや管42Aの周囲をさらに壁体さや管44Aが囲んでおり、突出さや管42Aと壁体さや管44Aとの間のグラウト材48も突出さや管42Aと壁体さや管44Aとによりはさまれて強力に拘束されており、壁体さや管44Aから突出さや管42Aへも断面力が効率的に伝達され、そしてその伝達された断面力は基礎連結用鋼管16を経て基礎構造10から支持地盤1へと効率的に伝達される。このように、堤体90が大津波を受けた時に生じる断面力は支持地盤1へ効率的に伝達され、大津波に抵抗することができる。
なお、大津波によって上部構造40に加わる断面力の多くは、上部構造40→突出さや管42A→グラウト材48→基礎連結用鋼管16→基礎構造10→支持地盤1のように伝達していくが、突出さや管42Aと基礎連結用鋼管16との間の応力伝達は、主にグラウト材48を介しての付着力によりなされるので、基礎連結用鋼管16とグラウト材48との付着力および突出さや管42Aとグラウト材48との付着力は向上させておくことが好ましい。このため、基礎連結用鋼管16の外面および突出さや管42Aの内面にはずれ止め(シアキー)を設けることが好ましい。ずれ止め(シアキー)としては、例えば丸鋼、溶接ビード、角鋼等を用いることができる。
また、プレキャストフーチング42とプレキャスト壁体44との接合部44Cを耐力面から考えてみると、接合部44Cの水平断面には、基礎連結用鋼管16とプレキャストフーチング42の突出さや管42Aとプレキャスト壁体44の壁体さや管44Aが存在しており、これら3つの鋼管により鋼材量を稼ぐことができ、大津波を受けた時に生じる断面力に対しても十分な量の鋼材で抵抗することができる。さらに、基礎連結用鋼管16と突出さや管42Aと壁体さや管44Aによる鋼材量で足りない時でも、比較的少量の鉄筋を追加するだけで済むので、良好な施工性を確保できる。これに対して、鉄筋のみで必要な鋼材量を確保しようとすると、鉄筋の配置が密になりすぎ、グラウト材充填時の施工性を確保しつつ鉄筋を配置することが困難になることがある。また、鉄筋のみで必要な鋼材量を確保できたとしても、現場で鉄筋を配置する工程が必要となり、現地施工期間が長くなってしまう。
以上述べたように、プレキャストフーチング42の突出さや管42Aとプレキャスト壁体44の壁体さや管44Aは、グラウト材48を拘束する観点、および接合部44Cの水平断面における鋼材量を稼ぐ観点から、ある程度以上の板厚を有していることが好ましい。具体的には例えば、突出さや管42Aの板厚は突出さや管42Aの半径(中心から外縁までの距離)の70分の1以上9分の1以下、かつ最小板厚7.9mmとすることが好ましく、壁体さや管44Aの板厚は壁体さや管44Aの半径(中心から外縁までの距離)の70分の1以上9分の1以下、かつ最小板厚7.9mmとすることが好ましい。なお、好ましい範囲の上限値は効果と経済性の観点から定めたものである。
プレキャストフーチング42の突出さや管42Aの長さは、大津波を受けた時に生じる断面力を、基礎連結用鋼管16と突出さや管42Aとの間、および突出さや管42Aと壁体さや管44Aとの間で効率的に伝達するのに必要な長さに設定する。具体的には例えば、他の部位の破壊前に突出さや管42Aとグラウト材48との間で剥離が生じない長さに設定することが考えられる。また、突出さや管42Aとグラウト材48との間の接着力を向上させるために、突出さや管42Aの外面と内面の両面に機械的な凹凸等を設けたり、グラウト材48との間の接着力を向上させる下地剤等を塗布しておくことも好ましい。
一方、突出さや管42Aよりも上側に位置する基礎連結用鋼管16と壁体さや管44A、46Aとの間の断面力の伝達、および突出さや管42Aと壁体さや管44Aとの間の断面力の伝達は、相互に水平方向の力の伝達ができればよいので、基礎連結用鋼管16と壁体さや管44A、46Aとの間および突出さや管42Aと壁体さや管44Aとの間にグラウト材48を注入してもよいが、図26(堤体90の変形例(堤体92)を該堤体92の法線方向(堤体92の延びる方向)から見た側面図)に示すように、基礎連結用鋼管16と壁体さや管44A、46Aとの間および突出さや管42Aと壁体さや管44Aとの間に支圧力を伝達する鋼製の支圧板50を設置することで断面力の伝達を図ってもよい。支圧板50の形状は、基礎連結用鋼管16の外面および壁体さや管44A、46Aの内面の形状、または突出さや管42Aの外面および壁体さや管44Aの内面の形状に合う形状になっており、かつ、所定以上の面積(例えば押し抜きせん断力によって座屈や破壊が起こらないのに必要な面積)で基礎連結用鋼管16の外面および壁体さや管44A、46Aの内面と接触するようになっており、基礎連結用鋼管16、突出さや管42Aと壁体さや管44A、46Aとの間で支圧力を良好に伝達できるようになっている。支圧板50は基礎連結用鋼管16の高さ方向の全長にわたって配置する必要はなく、断面力の伝達の必要に応じて離散的に配置すればよい。支圧板50は支圧力の伝達ができる材質であれば特に限定されず、鋼製に限られない。
次に、最上段プレキャスト壁体46の天端の納まり(基礎連結用鋼管16の上端の納まり)について説明する。
図27は、上部構造40の上端部の拡大縦断面図である。
図27に示すように、最上段プレキャスト壁体46の壁体さや管46Aの上端は、最上段プレキャスト壁体46の天端と同じ高さ位置であるかそれよりも少し低くし、基礎連結用鋼管16の上端は最上段プレキャスト壁体46の天端よりも少し低くし、基礎連結用鋼管16の上端を上方から覆う取り外し可能なゴムパッキン52を配置し、さらにゴムパッキン52の上方には仮蓋54Aを設けて基礎連結用鋼管16に蓋をし、その上に砂、グラウト材、発泡ウレタン等の養生材54Bを配置し、さらにその養生材54Bを上方から覆う取り外し可能な蓋56を設ける。ゴムパッキン52は基礎連結用鋼管16の上端に直接接して基礎連結用鋼管16の上端を保護するが、基礎連結用鋼管16の上端を保護できる養生であればゴムパッキン52でなくてもよい。ただし、基礎連結用鋼管16の上端に直接接する養生材はゴムパッキン52のように柔軟性のある材質のものが好ましい。また、蓋56の材質は特に限定されず、例えばコンクリート製または鋼製とすることができる。
基礎連結用鋼管16の上端は、最上段プレキャスト壁体46を安定して支持する点で、最上段プレキャスト壁体46の高さの2分の1以上の高さ位置に達していることが好ましい。
また、基礎連結用鋼管16の上端の高さ位置は、基礎連結用鋼管16を上方に延長できる構造であることが好ましいが、基礎連結用鋼管16の上端を上方から保護する養生材の設置しやすさの点で、基礎連結用鋼管16の上端の高さ位置が最上段プレキャスト壁体46の天端から5〜30cm下方の高さ位置になるようにすることが好ましい。基礎連結用鋼管16の上端の高さ位置が最上段プレキャスト壁体46の天端から5cm未満下方の高さ位置であると、基礎連結用鋼管16の上端を上方から保護する養生材を設置しにくくなる。一方、基礎連結用鋼管16の上端の高さ位置が最上段プレキャスト壁体46の天端から下方に30cmを超えると、基礎連結用鋼管16の上端を上方から保護する養生材の量が多く必要になってしまう。なお、基礎連結用鋼管16を上方に延長する可能性(壁体をかさ上げする可能性)がなければ、最上段プレキャスト壁体46の天端にまで至る壁体貫通孔46Xは設けなくてもよく、壁体貫通孔46Xに替えて最上段プレキャスト壁体46の天端が閉塞されている非貫通孔(下方のみ開口した壁体孔)にしてもよい。
以上説明した基礎連結用鋼管16の上端の納まりは、上方にプレキャスト壁体44、46が配置される海側の基礎連結用鋼管16についてであるが、上方にプレキャスト壁体44、46が配置されない陸側の基礎連結用鋼管16の上端の納まりについて同様にしてもよく、同様にする場合、プレキャストフーチング42のフーチング内さや管42Bの上端は、プレキャストフーチング42の上面と同じ高さ位置であるかそれよりも少し低くし、陸側の基礎連結用鋼管16の上端はプレキャストフーチング42の上面よりも少し低くし、陸側の基礎連結用鋼管16の上端の上方にはゴムパッキン(図示せず)を配置し、さらにこのゴムパッキンの上方は蓋(図示せず)でふさぐ。この蓋も蓋56と同様に材質は特に限定されず、例えばコンクリート製または鋼製とすることができる。ただし、陸側の基礎連結用鋼管16は延長することがほとんど考えられないので、陸側の基礎連結用鋼管16の上端の上方をゴムパッキンで養生しなくてもよい。また、プレキャストフーチング42の天端にまで至るフーチング内さや管貫通孔42Yは設けなくてもよく、フーチング内さや管貫通孔42Yに替えてプレキャストフーチング42の天端が閉塞されている非貫通孔(下方のみ開口したフーチング孔)にしてもよい。
以上説明した上部構造の第1態様(上部構造40)では下段と中段の2つのプレキャスト壁体44と最上段プレキャスト壁体46を鉛直方向に重ね、壁体を3段に重ねているが、鉛直方向に重ねる壁体は3段に限定されるわけではなく、4段以上に重ねてもよい。また、壁体を1段または2段に設置してもよい。壁体を何段に重ねるかは、必要な堤体の高さや適用可能なクレーンの種類等によって適宜に設定すればよい。
(上部構造の第2、第3態様)
図28は本発明の実施形態に係る堤体における上部構造の第2態様を示す側面図(堤体の法線方向(堤体の延びる方向)から見た側面図)であり、図29は図28のXXIX−XXIX線断面図である。ただし、図28では図示をわかりやすくする都合上、本来は見えない内部の構造を記載した箇所もあり、当該箇所では、本来隠れ線として破線で記載すべき線も実線で記載している箇所もある。また、図28、図29では上部構造だけでなく基礎構造も描いており、本発明の第2実施形態の堤体94の全体を示しているが、上部構造の第2態様の説明においては、図28、図29を用いて説明する。
また、上部構造の第1態様で用いた部材と同様の部材については、原則として同一の番号を付し、原則として説明は省略する。
本第2態様の上部構造60は、プレキャストフーチング62と、3段に積まれたプレキャスト壁体(下段および中段のプレキャスト壁体44ならびに最上段プレキャスト壁体46)とが壁体連結用鋼管64を介して一体化されて構成されており、基礎構造10の上方に配置されている。そして、さらに、本第2態様の上部構造60は、基礎連結用鋼管16を介して基礎構造10と一体化されており、本発明の第2実施形態の堤体94の上部構造となっている。
本第2態様の上部構造60と第1態様の上部構造40との大きな違いは、第1態様の上部構造40を側方から見たときの形状はL字型であるのに対し、第2態様の上部構造60を側方から見たときの形状は逆T字型であることである。
このため、第1態様の上部構造40では、基礎構造10において基礎フーチングブロック12および基礎壁体ブロック14の連結に用いた基礎連結用鋼管16を、そのまま上部構造40のプレキャストフーチング42およびプレキャスト壁体44、46の連結に用いているのに対し、第2態様の上部構造60では、基礎構造10において基礎フーチングブロック12および基礎壁体ブロック14の連結に用いた基礎連結用鋼管16とは別の部材である壁体連結用鋼管64を用いて、上部構造60のプレキャストフーチング62およびプレキャスト壁体44、46の連結を行っている。したがって、上部構造60においては、壁体連結用鋼管64と基礎連結用鋼管16と間での断面力の伝達を十分に行うために、法直連結鋼材62C、62Dをプレキャストフーチング62内に配置することが必要となる(詳しくは後述する。)。
プレキャストフーチング62は、プレキャスト化されたフーチングで、基礎連結用鋼管16を介して基礎構造10に連結されて固定された土台であり、堤体94のプレキャスト壁体44、46を安定性よく支持して、プレキャスト壁体44、46の自重およびプレキャスト壁体44、46に加わる外力を基礎構造10に伝達する役割を有する。
壁体連結用鋼管64は、プレキャストフーチング62の突出さや管62A、下段および中段に配置するプレキャスト壁体44の壁体さや管44A、最上段に配置する最上段プレキャスト壁体46の壁体さや管46Aに差し込まれ、プレキャストフーチング62と、下段および中段に配置するプレキャスト壁体44と、最上段に配置する最上段プレキャスト壁体46と、を連結する役割を有する。このため、壁体連結用鋼管64の長さは、最上段プレキャスト壁体46の天端よりもわずかに下方の位置にまで達する長さとなっている。また、突出さや管62Aと壁体連結用鋼管64との間にはグラウト材が充填されて一体化している。
ここで、壁体連結用鋼管64は一体的に成形されたものでなくてもよく、現場で溶接等により連結して必要な長さを確保するようにしてもよい。また、壁体連結用鋼管64は高さ位置によって管径や中心の位置が変動してもよい。例えば、壁体連結用鋼管64の高さが高くなるほど壁体から受ける水平方向の力は小さくなるので、壁体連結用鋼管64の高さが高い位置ほど壁体連結用鋼管64の管径を小さくしてもよい。
また、プレキャストフーチング62およびプレキャスト壁体44、46を必要な耐力および剛性を確保して一体化できる素材であれば、鋼管に限定されず、壁体連結用鋼管64に替えて例えばH形鋼等の形鋼を用いることもできる。また、鋼板からビルドアップして製作されている鋼材を用いることも可能である。
図30はプレキャストフーチング62を突出さや管62Aの中心と2つのフーチング内さや管62Bの中心を通る鉛直面で切断した端面図である。
図29に示すように、プレキャストフーチング62は、2つの突出さや管62Aと、4つのフーチング内さや管62Bと、2つの法直連結鋼材62Cと、2つの法直連結鋼材62Dと、2つの法平連結鋼材62Eと、を備えてなる。ここで、「法直」とは、プレキャスト壁体44、46の法線方向(堤体94(上部構造60)の延びる方向)と直交する方向を示す略語であり、法直連結鋼材62C、62Dはその材軸方向がプレキャスト壁体44、46の法線方向(堤体94(上部構造60)の延びる方向)と直交する方向となるように配置されている。また、「法平」とは、プレキャスト壁体44、46の法線方向(堤体94(上部構造60)の延びる方向)と平行な方向を示す略語であり、法平連結鋼材62Eはその材軸方向がプレキャスト壁体44、46の法線方向(堤体94(上部構造60)の延びる方向)と平行な方向となるように配置されている。
また、図30に示すように、プレキャストフーチング62は、突出さや管貫通孔62Xとフーチング内さや管貫通孔62Yとを有し、突出さや管貫通孔62Xの内面には突出さや管62Aが備えられ、フーチング内さや管貫通孔62Yの内面にはフーチング内さや管62Bが備えられている。
フーチング内さや管62Bには、基礎構造10から伸びてきている基礎連結用鋼管16の上端部が差し込まれており、基礎連結用鋼管16とフーチング内さや管62Bとの間にはグラウト材が充填されて一体化されており、これにより基礎連結用鋼管16はプレキャストフーチング62と一体化している。
プレキャストフーチング62においては、1つの突出さや管62Aに対して2つのフーチング内さや管62Bが、突出さや管62Aの海側と陸側のそれぞれの側に配置されており、突出さや管62Aの中心と2つのフーチング内さや管62Bの中心は、プレキャスト壁体44、46の法線方向(堤体94(上部構造60)の延びる方向)と直交する一直線上に位置している。そして、そのような位置関係にある突出さや管62Aとフーチング内さや管62Bとは、法直連結鋼材62C、62Dにより連結されている。
法直連結鋼材62C、62Dは、プレキャスト壁体44、46が津波流から受けた力を、壁体連結用鋼管64から基礎連結用鋼管16に伝達する役割を有する。法直連結鋼材62C、62Dが存在することにより、プレキャスト壁体44、46が津波流から受けた力は、プレキャスト壁体44、46→壁体連結用鋼管64→突出さや管62A→法直連結鋼材62C、62D→フーチング内さや管62B→基礎連結用鋼管16→基礎構造10→支持地盤1のように効率的に伝達していき、プレキャスト壁体44、46が津波流から受けた力は支持地盤1に効率的に伝達され、堤体94は津波流に対して強力な抵抗力を発揮することができる。
このため、法直連結鋼材62C、62Dは、津波流によって生じる断面力を伝達可能な強度および剛性を有することが必要であり、法直連結鋼材62C、62Dの断面形状は、想定される津波流に応じて計算により算出される。このため、法直連結鋼材62C、62Dとして各種規格に基づく既製の形鋼を用いると剛性不足や強度不足になることが多くなるので、鋼板からフランジ、ウェブを切り出し、溶接によりI型断面の部材をビルドアップで製作して最適な断面とすることが好ましい。
本発明者の試設計の一例では、法直連結鋼材62C、62Dとして、700mm×500mmm×12mm×25mmのビルドアップI形鋼(上下のフランジが幅500mm、厚さ25mmで、ウェブが高さ650mm、厚さ12mmであるビルドアップI形鋼)を計算で算定した。
プレキャストフーチング62においては、法直連結鋼材62C、62Dはその両端部が突出さや管62Aおよびフーチング内さや管62Bに溶接により取り付けられているが、必要な応力伝達能力を確保できるのであれば、溶接ではなく機械的な連結機構を用いてもよい。
なお、第2態様の上部構造60は、側方から見ると図28に示すように逆T字型となっており、法直連結鋼材62C、62Dの長さは同じ長さになっているが、法直連結鋼材62C、62Dの長さを同じ長さに揃えることは必ずしも必要ではなく、安全性を確保できるのであれば、法直連結鋼材62C、62Dのうちの一方を長くし、他方を短くしてもよい。後述する第4態様の上部構造120(図35、図36参照)では、法直連結鋼材の長さが異なっている。
また、プレキャストフーチング62においては、プレキャスト壁体44、46の法線方向(堤体94(上部構造60)の延びる方向)に隣り合うフーチング内さや管62B同士(突出さや管62Aに対して海側にある隣り合うフーチング内さや管62B同士、または突出さや管62Aに対して陸側にある隣り合うフーチング内さや管62B同士)は法平連結鋼材62Eにより連結されている。
法平連結鋼材62Eの主な役割は、コンクリートを打設する際、フーチングのさや管(突出さや管62A、フーチング内さや管62B)同士の位置関係がずれないように保持することである。このため、法平連結鋼材62Eの断面形状を計算により算出する必要はないので、法平連結鋼材62Eには各種規格に基づく既製のH形鋼を用いればよく、具体的には例えば400mm×200mmm×8mm×13mmのH形鋼(上下のフランジが幅200mm、厚さ13mmで、ウェブが高さ374mm、厚さ8mmであるH形鋼)等を用いることができる。なお、法平連結鋼材62Eは必ずしも必須ではなく、突出さや管62Aおよびフーチング内さや管62B同士の位置関係がずれないことを担保できるのであれば、法平連結鋼材62Eを省略してもよい。
次に、プレキャストフーチング62が備えるさや管(突出さや管62A、フーチング内さや管62B)について詳細に説明する。前述したように、プレキャストフーチング62は、突出さや管貫通孔62Xとフーチング内さや管貫通孔62Y(以下、貫通孔62X、62Yと記すことがある。)を有し、突出さや管貫通孔62Xの内面に突出さや管62Aを備え、フーチング内さや管貫通孔62Yの内面にフーチング内さや管62Bを備えている(図30参照)。突出さや管62Aには壁体さや管44Aが差し込まれ、フーチング内さや管62Bには基礎構造10から伸びてきている基礎連結用鋼管16が差し込まれる。
図28、図30に示すように、突出さや管62Aは、プレキャストフーチング62を厚さ方向に貫通し、かつ、プレキャストフーチング62の上面よりも上方の位置まで延伸している。一方、フーチング内さや管62Bもプレキャストフーチング62を厚さ方向に貫通しているが、プレキャストフーチング62の上面よりも上方の位置までは延伸しておらず、フーチング内さや管62Bの上端位置はプレキャストフーチング62の上面と同じ高さ位置となっている。また、突出さや管62Aおよびフーチング内さや管62B(以下、さや管62A、62Bと記すことがある。)の下端位置は、どちらもプレキャストフーチング62の下面と同じ高さ位置となっている。
なお、図28、図30では、突出さや管62Aおよびフーチング内さや管62Bの下端位置は、いずれもプレキャストフーチング62の下面と同じ高さ位置となるようにし、フーチング内さや管62Bの上端位置はプレキャストフーチング62の上面と同じ高さ位置となるようにしているが、図5、図6に示した基礎フーチングさや管12Aの場合と同様に、突出さや管62Aおよびフーチング内さや管62Bにおいても、突出さや管62Aおよびフーチング内さや管62Bの下端位置は、どちらもプレキャストフーチング62の下面よりも上方に位置してもよく、また、フーチング内さや管62Bの上端位置はプレキャストフーチング62の上面よりも下方に位置してもよい。即ち、突出さや管62Aは突出さや管貫通孔62Xの内面を全面覆っていなくてもよく、フーチング内さや管62Bはフーチング内さや管貫通孔62Yの内面を全面覆っていなくてもよい。さや管62A、62Bの腐食を防止する観点からは、突出さや管62Aおよびフーチング内さや管62Bの下端位置は、どちらもプレキャストフーチング62の下面よりも上方に位置した方が好ましく、フーチング内さや管62Bの上端位置は、プレキャストフーチング62の上面よりも下方に位置した方が好ましい。即ち、さや管62A、62Bが外界に暴露しないようにある程度のかぶりを設けておくことが好ましい。
また、図3、図5、図6に示した基礎フーチングさや管12Aの場合と同様に、突出さや管62Aおよびフーチング内さや管62Bにおいても、貫通孔62X、62Yの内面全面をそれぞれ突出さや管62Aおよびフーチング内さや管62Bが覆っている場合、貫通孔62X、62Yの内面全面がそれぞれ突出さや管62Aおよびフーチング内さや管62Bで覆われていない場合、貫通孔62X、62Yの内面に見かけ上段差がない場合、見かけ上段差がある場合のいずれの場合も、貫通孔62X、62Yの内面にそれぞれ突出さや管62Aおよびフーチング内さや管62Bを備えているものとする。
また、突出さや管62Aおよびフーチング内さや管62Bは、プレキャストフーチング62のコンクリート打設時にはそれぞれ貫通孔62X、62Y形成のための型枠の役割を果たし、突出さや管62Aおよびフーチング内さや管62Bの外面はコンクリート打設と同時にプレキャストフーチング62に埋め込まれ、(法直連結鋼材62C、62Dおよび法平連結鋼材62Eの寄与を考えなければ)コンクリートとの付着力により、プレキャストフーチング62と一体化している。換言すれば、法直連結鋼材62C、62Dおよび法平連結鋼材62Eの寄与を考えなければ、突出さや管62Aおよびフーチング内さや管62Bはコンクリートとの付着力によりそれぞれ貫通孔62X、62Yの内面へ取り付けられている。コンクリートとの付着力を向上させる点で、突出さや管62Aの外面にはずれ止め(シアキー)を設けることが好ましい。ずれ止め(シアキー)としては、例えば丸鋼、溶接ビード、角鋼等を用いることができる。突出さや管62Aは、大津波を受けた時の断面力を確実にフーチングに伝達できるようにするのに必要な長さ以上プレキャストフーチング62の中に埋め込まれていることが好ましい。
また、突出さや管62Aおよびフーチング内さや管62Bの材質は特に限定されず、所定以上の強度、弾性率、およびグラウト材との所定以上の接着力等を有する材料であればよく、例えば鉄鋼材料を好適に用いることができる。
また、プレキャストフーチング62の上面と地表面との位置関係は特に限定されず、プレキャストフーチング62の上面が地表面とほぼ一致するようにしてもよい。また、プレキャストフーチング62の上面に盛土があってもよく、この場合はプレキャストフーチング62の上面は地表面よりも下方になる。また、プレキャストフーチング62の下面が地表面とほぼ一致するようにする場合は、プレキャストフーチング62の海側前面に遮水矢板を設けることが好ましい。この場合はプレキャストフーチング62の上面は地表面よりも上方になる。ただし、先に述べた第1〜第3態様の基礎構造10、20、30を用いる場合には、安全性が確認できれば、プレキャストフーチング62の海側前面に遮水矢板を設けることを省略してもよい。
なお、本実施形態では、突出さや管62Aは突出さや管貫通孔62Xの内面に備えられているが、突出さや管62Aが設けられる孔は必ずしも貫通孔である必要はなく、少なくとも上方に開口した孔(上方開口孔)であればよい。
また、本実施形態では、フーチング内さや管62Bはフーチング内さや管貫通孔62Yの内面に備えられているが、フーチング内さや管62Bが設けられる孔は必ずしも貫通孔である必要はなく、少なくとも下方に開口した孔(下方開口孔)であればよい。
次に、プレキャストフーチング62と最下段のプレキャスト壁体44との接合部をさらに詳細に説明する。プレキャストフーチング62と最下段のプレキャスト壁体44との接合部にはプレキャストフーチング62の突出さや管62Aが配置されている。
プレキャストフーチング62と最下段のプレキャスト壁体44との接合部を水平面で切断した断面において突出さや管62Aの部位付近の構造は、第1態様の上部構造40と同様であり、大津波を受けた時に大きな断面力の生じるプレキャストフーチング62と最下段のプレキャスト壁体44との接合部は、壁体連結用鋼管64の周囲を突出さや管62Aが囲み、さらに突出さや管62Aの周囲を壁体さや管44Aが囲んだ構造となっている。
大津波を受けた時に生じる断面力は、プレキャストフーチング62と最下段のプレキャスト壁体44との接合部で最も過大となるが、その接合部では壁体連結用鋼管64の周囲を突出さや管62Aが囲んでおり、壁体連結用鋼管64と突出さや管62Aとの間のグラウト材48は壁体連結用鋼管64と突出さや管62Aとによりはさまれて強力に拘束されており、壁体連結用鋼管64からグラウト材48を介して突出さや管62Aへと効率的に断面力は伝達される。突出さや管62Aへ伝達された断面力は、法直連結鋼材62C、62Dを介してフーチング内さや管62Bへ伝達される。そして、さらに基礎連結用鋼管16を経て基礎構造10から支持地盤1へと効率的に伝達される。このように、堤体94が大津波を受けた時に生じる断面力は支持地盤1へ効率的に伝達され、大津波に抵抗することができる。
ここで、突出さや管62Aと2つのフーチング内さや管62Bとは、次のような位置関係、即ち、1つの突出さや管62Aに対して2つのフーチング内さや管62Bが、突出さや管62Aの海側と陸側のそれぞれの側に配置されており、突出さや管62Aの中心と2つのフーチング内さや管62Bの中心が、プレキャスト壁体44の法線方向(堤体94(上部構造60)の延びる方向)と直交する一直線上に位置している位置関係にある。また、これらの突出さや管62Aおよびフーチング内さや管62Bを、構造計算により求められた必要な断面形状を有する法直連結鋼材62C、62Dがプレキャスト壁体44の法線方向(堤体94(上部構造60)の延びる方向)と直交する方向に連結している。このため、第1態様の上部構造40のように基礎連結用鋼管16がプレキャスト壁体44を貫通せずプレキャスト壁体44が基礎連結用鋼管16の真上に位置していなくても、プレキャスト壁体44、46が津波流から受ける力は、プレキャスト壁体44、46→壁体連結用鋼管64→突出さや管62A→法直連結鋼材62C、62D→フーチング内さや管62B→基礎連結用鋼管16→基礎構造10→支持地盤1のように効率的に伝達していき、プレキャスト壁体44、46が津波流から受けた力は支持地盤1に効率的に伝達され、堤体94は津波流に対して安定した抵抗力を発揮することができる。
即ち、第2態様の上部構造60を備えた堤体94は、プレキャスト壁体44、46が基礎連結用鋼管16の真上に位置していなくても、津波流に対して安定した抵抗力を発揮することができるので、既設構造物との取り合いあるいは土地利用の制限から、杭、壁体ぞれぞれの位置が制約を受ける場合であっても、基礎連結用鋼管16とプレキャスト壁体44、46との位置関係をフレキシブルに変更でき、設計の自由度が向上しており、経済的な堤体の構造を成立させることができる。また、プレキャスト壁体44、46の位置に関らず、プレキャスト壁体44、46の法線方向(堤体94(上部構造60)の延びる方向)と直交する方向に並んだ基礎連結用鋼管16間の距離を大きくすることができるので、堤体94の津波力に対する抵抗力を向上させることができ、1本の基礎連結用鋼管16あたりの壁体(プレキャスト壁体44、46)の幅(壁体の法線方向の幅)を大きくすることができる。
また、第2態様の上部構造60では突出さや管62Aの周囲をさらに壁体さや管44Aが囲んでおり、突出さや管62Aと壁体さや管44Aとの間のグラウト材48も突出さや管62Aと壁体さや管44Aとによりはさまれて強力に拘束されており、壁体さや管44Aから突出さや管62Aへも断面力が効率的に伝達され、そしてその伝達された断面力は法直連結鋼材62C、62Dを介してフーチング内さや管62Bへ伝達される。そして、さらに基礎連結用鋼管16を経て基礎構造10から支持地盤1へと効率的に伝達される。このように、堤体94が大津波を受けた時に生じる断面力は支持地盤1へ効率的に伝達されるので、大津波に対しても安定した抵抗力を発揮することができる。
なお、壁体連結用鋼管64と突出さや管62Aとの間の応力伝達は、主にグラウト材22を介しての付着力によりなされるので、壁体連結用鋼管64とグラウト材48との付着力および突出さや管62Aとグラウト材48との付着力は向上させておくことが好ましい。このため、壁体連結用鋼管64の外面および突出さや管62Aの内面にはずれ止め(シアキー)を設けることが好ましい。ずれ止め(シアキー)としては、例えば丸鋼、溶接ビード、角鋼等を用いることができる。
プレキャストフーチング62と最下段のプレキャスト壁体44との接合部を耐力面から考えてみると、その接合部の水平断面には、壁体連結用鋼管64とプレキャストフーチング62の突出さや管62Aと最下段のプレキャスト壁体44の壁体さや管44Aが存在しており、これら3つの鋼管により鋼材量を稼ぐことができ、大津波を受けた時に生じる断面力に対しても十分な量の鋼材で抵抗することができる。また、壁体連結用鋼管64と突出さや管62Aと壁体さや管44Aによる鋼材量で足りない時でも、比較的少量の鉄筋を追加するだけで済むので、良好な施工性を確保できる。これに対して、鉄筋のみで必要な鋼材量を確保しようとすると、鉄筋の配置が密になりすぎ、グラウト材充填時の施工性を確保しつつ鉄筋を配置することが困難になることがある。また、鉄筋のみで必要な鋼材量を確保できたとしても、現場で鉄筋を配置する工程が必要となり、現地施工期間が長くなってしまう。
以上述べたように、プレキャストフーチング62の突出さや管62Aと最下段のプレキャスト壁体44の壁体さや管44Aは、グラウト材48を拘束する観点、および接合部の水平断面における鋼材量を稼ぐ観点から、ある程度以上の板厚を有していることが好ましい。具体的には例えば、突出さや管62Aの板厚は突出さや管62Aの半径(中心から外縁までの距離)の70分の1以上9分の1以下、かつ最小板厚7.9mmとすることが好ましく、壁体さや管44Aの板厚は壁体さや管44Aの半径(中心から外縁までの距離)の70分の1以上9分の1以下、かつ最小板厚7.9mmとすることが好ましい。なお、好ましい範囲の上限値は効果と経済性の観点から定めたものである。
プレキャストフーチング62の突出さや管62Aの長さは、大津波を受けた時に生じる断面力を、壁体連結用鋼管64と突出さや管62Aとの間、および突出さや管62Aと壁体さや管44Aとの間で効率的に伝達するのに必要な長さに設定する。具体的には例えば、他の部位の破壊前に突出さや管62Aとグラウト材48との間で剥離が生じない長さに設定することが考えられるが、壁体連結用鋼管64と突出さや管62Aとの間、および突出さや管62Aと壁体さや管44Aとの間の断面力の伝達をより安定させる点で、突出さや管62Aの上端は最下段のプレキャスト壁体44の高さの2分の1以上の高さ位置に達していることが好ましい。また、突出さや管62Aとグラウト材48との間の接着力を向上させるために、突出さや管62Aの外面と内面の両面に機械的な凹凸等を設けたり、グラウト材48との間の接着力を向上させる下地剤等を塗布しておくことも好ましい。
突出さや管62Aよりも上側に位置する壁体連結用鋼管64の部位と壁体さや管44A、46Aとの間の断面力の伝達、および突出さや管62Aと壁体さや管44Aとの間の断面力の伝達は、相互に水平方向の力の伝達ができればよいので、突出さや管62Aよりも上側に位置する壁体連結用鋼管64の部位と壁体さや管44A、46Aとの間および突出さや管62Aと壁体さや管44Aとの間にグラウト材48を注入してもよいが、図26に示す場合と同様に、突出さや管62Aよりも上側に位置する壁体連結用鋼管64の部位と壁体さや管44A、46Aとの間および突出さや管62Aと壁体さや管44Aとの間に支圧力を伝達する鋼製の支圧板50を設置することで断面力の伝達を図ってもよい。支圧板50の形状は、壁体連結用鋼管64の外面および壁体さや管44A、46Aの内面の形状、または突出さや管62Aの外面および壁体さや管44Aの内面の形状に合う形状になっており、かつ、所定以上の面積(例えば押し抜きせん断力によって座屈や破壊が起こらないのに必要な面積)で壁体連結用鋼管64および突出さや管62Aの外面ならびに壁体さや管44A、46Aの内面と接触するようになっており、壁体連結用鋼管64、突出さや管62Aと壁体さや管44A、46Aとの間で支圧力を良好に伝達できるようになっている。支圧板50は壁体連結用鋼管64の高さ方向の全長にわたって配置する必要はなく、断面力の伝達の必要に応じて離散的に配置すればよい。支圧板50は必要な支圧力の伝達ができる材質であれば特に限定されず、鋼製に限られない。
以上、基礎連結用鋼管16の真上にプレキャスト壁体44、46が位置しない第2態様の上部構造60を説明したが、基礎連結用鋼管16とプレキャスト壁体44、46との位置関係(基礎連結用鋼管16と突出さや管62Aとの位置関係)は第2態様の上部構造60における位置関係(プレキャスト壁体44、46の法線方向(堤体94の延びる方向)と直交する方向に並んだ基礎連結用鋼管16の間であって、並んだ基礎連結用鋼管16の略中間位置にプレキャスト壁体44、46(突出さや管62A)が位置する位置関係)に限られず、プレキャスト壁体44、46の法線方向(堤体94の延びる方向)と直交する方向に並んだ基礎連結用鋼管16の中間位置からずれた位置にプレキャスト壁体44、46(突出さや管62A)が位置する位置関係であってもよい。また、プレキャスト壁体44、46の法線方向(堤体94の延びる方向)と直交する方向に並んだ基礎連結用鋼管16の間にプレキャスト壁体44、46(突出さや管62A)が位置しない位置関係であってもよく、このような位置関係の第3態様の上部構造70および本発明の第3実施形態に係る堤体96を図31に示し、これらに用いられるプレキャストフーチング72を図32に示す。
図31に示す第3態様の上部構造70および本発明の第3実施形態に係る堤体96においては、第2態様の上部構造60および本発明の第2実施形態に係る堤体94の構成要素と対応する構成要素には同一の符号を付し、説明は省略する。
第3態様の上部構造70および本発明の第3実施形態に係る堤体96においては、プレキャスト壁体44、46の法線方向(堤体96の延びる方向)と直交する方向に並んだ基礎連結用鋼管16の間にプレキャスト壁体44、46(突出さや管72A)が位置しないため、法直連結鋼材72Cはプレキャスト壁体44、46の法線方向と直交する方向に並んだフーチング内さや管72B同士の間を連結し、法直連結鋼材72Dはプレキャスト壁体44、46の法線方向と直交する方向に並んだ突出さや管72Aとフーチング内さや管72Bとの間を連結している。
以上説明した上部構造の第2、第3態様では、基礎連結用鋼管16の真上にプレキャスト壁体44、46を配置する必要はなく、基礎連結用鋼管16とプレキャスト壁体44、46との位置関係を任意に設定することが可能であり、基礎連結用鋼管16とプレキャスト壁体44、46との位置関係をフレキシブルに変更することが可能である。このため、上部構造の第2、第3態様は、基礎連結用鋼管16の真上にプレキャスト壁体44、46を配置する必要のある上部構造の第1態様よりも、設計の自由度を向上させることができ、経済的な堤体の構造を成立させることができる場合がある。
なお、以上説明した第1〜第3態様の上部構造40、60、70では、突出さや管42A、62A、72A、壁体さや管44A、46A、壁体連結用鋼管64として円筒状の鋼管を用いたが、必ずしも円筒状の鋼管でなくてもよく、例えば断面が矩形状の鋼管であってもよい。
3.堤体
本発明に係る堤体の実施形態は、基礎構造10、20、30のいずれかに、上部構造40、60、70のいずれかを組み合わせて構成した堤体である。
すでに「2.上部構造」の記載の中で、本発明に係る堤体の実施形態として、第1実施形態の堤体90(基礎構造10+上部構造40)を図16および図17に示し、第1実施形態の変形例の堤体92(基礎構造10+上部構造40)を図26に示し、第2実施形態の堤体94(基礎構造10+上部構造60)を図28および図29に示し、第3実施形態の堤体96(基礎構造10+上部構造70)を図31に示しているが、いずれも堤体の延びる方向(プレキャスト壁体44、46の延びる方向)が基礎構造10の基礎ブロック構造11の壁面11Aと略平行な水平方向となっている。
そこで、堤体の延びる方向(プレキャスト壁体44、46の延びる方向)が基礎構造10の基礎ブロック構造11の壁面11Aと直交する方向となっている堤体98(基礎構造30+上部構造40)(第4実施形態)および堤体100(基礎構造30+上部構造60)(第5実施形態)をそれぞれ図33、図34に示しておく。図33は第4実施形態に係る堤体98をその法線方向から見た側面図であり、図34は第5実施形態に係る堤体100をその法線方向から見た側面図である。
第4、第5実施形態の堤体98、100を構成する部材については、先に説明した第1〜第3実施形態の説明の中で同様の部材についてすでに説明しているので、先の説明の中の対応する部材と同一の符号を付し、説明は省略する。
なお、第1〜第3態様の基礎構造10、20、30の説明の中で、基礎連結用鋼管16に替えて例えばH形鋼等の形鋼を用いることができ、また、鋼板からビルドアップして製作されている鋼材を用いることも可能である旨記載した。また、第2、第3態様の上部構造60、70の説明の中で、壁体連結用鋼管64に替えて例えばH形鋼等の形鋼を用いることができ、また、鋼板からビルドアップして製作されている鋼材を用いることも可能である旨記載した。
そこで、基礎構造において基礎連結用鋼管16に替えてH形の鋼材17を用い、上部構造において壁体連結用鋼管64に替えてH形の鋼材65を用いた第6実施形態に係る堤体102(第4態様の基礎構造110、第4態様の上部構造120)を図35、図36に示しておく。図35は第6実施形態に係る堤体102をその法線方向から見た側面図であり、図36は図35のXXXVI−XXXVI線断面図である。ただし、図35では図示をわかりやすくする都合上、本来は見えない内部の構造を記載した箇所もあり、当該箇所では、本来隠れ線として破線で記載すべき線も実線で記載している箇所もある。また、第1〜第3態様の基礎構造10、20、30および第1〜第3態様の上部構造40、60、70の構成要素と対応する構成要素には同一の符号を付し、説明は省略する。
第1〜第3態様の基礎構造10、20、30では、基礎ブロックを連結するために基礎連結用鋼材として円筒状の鋼管である基礎連結用鋼管16を用いたが、本第6実施形態に係る堤体102の基礎構造110では、基礎連結用鋼材として基礎連結用鋼管16に替えてH形の鋼材17を用いている。また、第1〜第3態様の基礎構造10、20、30では、基礎フーチングさや管12A、基礎壁体さや管14Aとして円筒状の鋼管を用いていたが、本第4態様の基礎構造110では、円筒状の鋼管に替えて、基礎フーチングブロック12では断面が矩形状の基礎フーチングさや管12Dを用い、基礎壁体ブロック14では断面が矩形状の基礎壁体さや管14Cを用いている。
また、第1〜第3態様の上部構造40、60、70では、プレキャストフーチングおよびプレキャスト壁体を連結するために壁体連結用鋼材として円筒状の鋼管である壁体連結用鋼管64を用いたが、本第6実施形態に係る堤体102の上部構造120では、壁体連結用鋼材として壁体連結用鋼管64に替えてH形の鋼材65を用いている。また、第1〜第3態様の上部構造40、60、70では、突出さや管42A、62A、72A、フーチング内さや管42B、62B、72B、壁体さや管44A、46Aとして円筒状の鋼管を用いていたが、本第4態様の上部構造120では、円筒状の鋼管に替えて、プレキャストフーチング122では断面が矩形状の突出さや管122Aおよびフーチング内さや管122Bを用い、プレキャスト壁体では断面が矩形状の壁体さや管44D、46Cを用いている。
本第6実施形態に係る堤体102(基礎構造110、上部構造120)で用いるH形の鋼材17、65は、想定される津波流に対する安全性が確認できれば、各種規格に基づく既成品であるH形鋼やI形鋼等であってもよいが、想定される津波流に対して既成品では強度や剛性が不足する場合には、必要な強度や剛性を確保するべくビルドアップして製作したH形やI形の鋼材を用いる。
本第6実施形態に係る堤体102(基礎構造110、上部構造120)では、連結用鋼材としてH形の鋼材17、65を用いており、ビルドアップして製作したH形やI形の鋼材を用いることもできるので、桁高やフランジ幅を調節しやすく、経済的な設計を行いやすい。
本第6実施形態に係る堤体102(基礎構造110、上部構造120)において、基礎フーチングさや管12DとH形の鋼材17との間にはグラウト材が充填されて一体化しており、さらに、基礎壁体さや管14CとH形の鋼材17との間にもグラウト材が充填されて一体化している。また、突出さや管122AとH形の鋼材65との間にはグラウト材が充填されて一体化しており、さらに、突出さや管122Aよりも上側に位置するH形の鋼材65の部位と壁体さや管44D、46Cとの間にもグラウト材が充填されて一体化している。
ただし、突出さや管122Aよりも上側に位置するH形の鋼材65の部位と壁体さや管44D、46Cとの間の断面力の伝達、および突出さや管122Aと壁体さや管44Dとの間の断面力の伝達は、相互に水平方向の力の伝達ができればよいので、突出さや管122Aよりも上側に位置するH形の鋼材65の部位と壁体さや管44D、46Cとの間および突出さや管122Aと壁体さや管44Dとの間には、グラウト材を注入することに替えて、支圧力を伝達する鋼製の支圧板等の部材(必要な支圧力の伝達ができる材質であればよく、材質は鋼製に限られない)を設置してもよい。
なお、本第6実施形態に係る堤体102(基礎構造110、上部構造120)では、基礎フーチングさや管12D、基礎壁体さや管14C、および突出さや管122A、フーチング内さや管122B、壁体さや管44D、46Cに断面が矩形状の鋼管を用いているが、断面が矩形状の鋼管でなくてもよく、第1〜第5実施形態に係る堤体90、94、96、98、100と同様の円筒状の鋼管を用いることもできる。ただし、円筒状の鋼管にH形の鋼材を差し込む場合、H形の鋼材の桁高を大きくするとH形の鋼材のフランジ幅を小さくする必要があり、H形の鋼材のフランジ幅を大きくするとH形の鋼材の桁高を小さくする必要があるので、H形の鋼材17、65を連結用に用いる場合には、基礎フーチングさや管12D、基礎壁体さや管14C、突出さや管122A、フーチング内さや管122Bおよび壁体さや管44D、46Cに、本第6実施形態のように断面が矩形状の鋼管を用いた方が経済的な設計が行いやすい。
以上、本発明の実施形態に係る堤体を説明してきたが、本発明の実施形態で用いる各種のプレキャスト部材の製作は、運搬の手間を少なくするため、現地近傍で行うのがよい。また、本発明の実施形態で用いる各種のプレキャスト部材の重量は例えば20t程度を目安とすることができる。
4.前記実施形態の効果
以上説明してきたように、本発明の実施形態に係る堤体は、その基礎構造および上部構造のどちらにおいてもプレキャスト部材が用いられており、プレキャスト部材を鋼材で連結して構成されている。
このため、本発明の実施形態に係る堤体を設置するにあたり、基礎コンクリートを現場で打設することおよび地盤改良を行うことは、原則として必要ではない。このため、本発明の実施形態に係る堤体を用いることにより、原則として地盤改良を行わなくても、現場での生コンクリートの使用量を大幅に削減することができる。また、施工期間の短縮化も図ることができる。
また、本実施形態の堤体では基礎構造と上部構造とが一体化されており、かつ、基礎構造の最下段で用いる基礎フーチングブロックは水平方向に張り出した形状であり、広い接地面積を有している。このため、本実施形態の堤体では、基礎構造と上部構造とが一体となって外力に抵抗することができ、基礎構造と上部構造とを合わせた堤体全体の構造を合理的な構造とすることができる。具体的には例えば、上部構造で用いるプレキャストフーチングの幅を、杭基礎の場合と比べて狭くすることができる。
1…支持地盤
10、20、30、110…基礎構造
11、21、31…基礎ブロック構造
11A、21A、31A…基礎ブロック構造の壁面
12、22、32…基礎フーチングブロック
12A、12D、22A、32A…基礎フーチングさや管
12B、22B、32B…さや管連結鋼材
12C、22C、22D、32C、32D…水平方向に張り出した部位
12X、22X、32X…貫通孔
14…基礎壁体ブロック
14A、14C…基礎壁体さや管
14B…さや管連結鋼材
14X…貫通孔
16…基礎連結用鋼管
17、65…H形の鋼材
18…中詰め土
40、60、70、120…上部構造
42、62、72、122…プレキャストフーチング
42A、62A、72A、122A…突出さや管
42B、62B、72B、122B…フーチング内さや管
42C…さや管連結鋼材
42X、62X…突出さや管貫通孔
42Y、62Y…フーチング内さや管貫通孔
44…プレキャスト壁体
44A、44D、46A、46C…壁体さや管
44B、46B…テーパー部
44C…接合部
44X、46X…壁体貫通孔
46…最上段プレキャスト壁体
48…グラウト材
50…支圧板
52…ゴムパッキン
54A…仮蓋
54B…養生材
56…蓋
62C、62D、72C、72D…法直連結鋼材
62E…法平連結鋼材
64…壁体連結用鋼管
90、92、94、96、98、100、102…堤体

Claims (27)

  1. 支持地盤上に設置された直接基礎形式の基礎構造と、該基礎構造の上部に構築された上部構造とを備えてなる堤体であって、
    前記基礎構造は、
    上下方向に貫通する基礎貫通孔を有し、該基礎貫通孔の内面に基礎さや管を有する複数の基礎ブロックと、
    複数の前記基礎ブロックを上下方向に連結する基礎連結用鋼材と、
    を備え、
    前記基礎ブロックは、前記支持地盤上において前記基礎貫通孔同士が連結するように上下方向に複数積み重ねられ、上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの前記基礎さや管には前記基礎連結用鋼材が差し込まれ、該基礎連結用鋼材は上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの最下段から最上段にまで達しており、また、前記基礎ブロックのうち、最下段の基礎ブロックは水平方向に張り出した部位を有し、
    さらに、前記基礎ブロックの前記基礎さや管と該基礎さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、また、前記基礎連結用鋼材の上端部は最上段の前記基礎ブロックの上面よりも上方に突出しており、
    前記上部構造は、
    前記基礎構造に支持されたプレキャストフーチングと、
    該プレキャストフーチングの上方に配置され、面内方向に貫通する壁体貫通孔を有し、該壁体貫通孔の内面に壁体さや管を有するプレキャスト壁体と、
    を備え、
    前記プレキャストフーチングは厚さ方向に貫通するフーチング貫通孔を有し、該フーチング貫通孔の内面には突出さや管が備えられ、該突出さや管は前記プレキャストフーチングの上面よりも上方の位置まで延伸し、該突出さや管には前記基礎構造の前記基礎連結用鋼材の前記上端部が差し込まれ、
    前記突出さや管は前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管に差し込まれ、
    前記突出さや管と該突出さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されていることを特徴とする堤体。
  2. 支持地盤上に設置された直接基礎形式の基礎構造と、該基礎構造の上部に構築された上部構造とを備えてなる堤体であって、
    前記基礎構造は複数の基礎ブロック構造を備え、
    該基礎ブロック構造は、
    上下方向に貫通する基礎貫通孔を有し、該基礎貫通孔の内面に基礎さや管を有する複数の基礎ブロックと、
    該複数の基礎ブロックを上下方向に連結する基礎連結用鋼材と、
    を有し、
    前記基礎ブロック構造において、前記基礎ブロックは、前記支持地盤上において前記基礎貫通孔同士が連結するように上下方向に複数積み重ねられ、上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの前記基礎さや管には前記基礎連結用鋼材が差し込まれ、該基礎連結用鋼材は上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの最下段から最上段にまで達しており、また、前記基礎ブロックのうち、最下段の基礎ブロックは水平方向に張り出した部位を有し、
    また、前記基礎ブロック構造において、前記基礎ブロックの前記基礎さや管と該基礎さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、また、前記基礎連結用鋼材の上端部は最上段の前記基礎ブロックの上面よりも上方に突出しており、
    さらに、前記基礎ブロック構造同士はお互いに対向するように、かつ、最下段の前記基礎ブロックの前記張り出した部位同士がお互いに近接して対向するように配置されており、
    お互いに近接して対向する前記張り出した部位同士の上方には中詰め材が充填されており、
    前記上部構造は、
    前記基礎構造に支持されたプレキャストフーチングと、
    該プレキャストフーチングの上方に配置され、面内方向に貫通する壁体貫通孔を有し、該壁体貫通孔の内面に壁体さや管を有するプレキャスト壁体と、
    を備え、
    前記プレキャストフーチングは厚さ方向に貫通するフーチング貫通孔を有し、該フーチング貫通孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面よりも上方の位置まで延伸している突出さや管が備えられ、
    また、前記プレキャストフーチングは少なくとも下方に開口した下方開口孔を、前記フーチング貫通孔に対して前記プレキャスト壁体の法線方向と略直交する方向に間隔を開けて有し、該下方開口孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面および下面の間に収まるフーチング内さや管が備えられ、
    前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管には前記突出さや管が差し込まれ、該突出さや管には、前記基礎構造の前記基礎連結用鋼材の前記上端部が差し込まれ、
    また、前記フーチング内さや管には、前記基礎構造の他の前記基礎連結用鋼材の前記上端部が差し込まれ、
    前記突出さや管と該突出さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化され、かつ、前記フーチング内さや管と該フーチング内さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されていることを特徴とする堤体。
  3. 支持地盤上に設置された直接基礎形式の基礎構造と、該基礎構造の上部に構築された上部構造とを備えてなる堤体であって、
    前記基礎構造は、
    上下方向に貫通する基礎貫通孔を有し、該基礎貫通孔の内面に基礎さや管を有する複数の基礎ブロックと、
    複数の前記基礎ブロックを上下方向に連結する基礎連結用鋼材と、
    を備え、
    前記基礎ブロックは、前記支持地盤上において前記基礎貫通孔同士が連結するように上下方向に複数積み重ねられ、上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの前記基礎さや管には前記基礎連結用鋼材が差し込まれ、該基礎連結用鋼材は上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの最下段から最上段にまで達しており、また、前記基礎ブロックのうち、最下段の基礎ブロックは水平方向に張り出した部位を有し、
    さらに、前記基礎ブロックの前記基礎さや管と該基礎さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、また、前記基礎連結用鋼材の上端部は最上段の前記基礎ブロックの上面よりも上方に突出しており、
    前記上部構造は、
    前記基礎構造に支持されたプレキャストフーチングと、
    該プレキャストフーチングの上方に配置され、面内方向に貫通する壁体貫通孔を有し、該壁体貫通孔の内面に壁体さや管を有するプレキャスト壁体と、
    前記プレキャスト壁体および前記プレキャストフーチングを連結する壁体連結用鋼材と、
    を備え、
    前記プレキャストフーチングは少なくとも上方に開口した上方開口孔を有し、該上方開口孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面よりも上方の位置まで延伸している突出さや管が備えられ、
    また、前記プレキャストフーチングは少なくとも下方に開口した下方開口孔を、前記上方開口孔に対して前記プレキャスト壁体の法線方向と略直交する方向に間隔を開けて有し、該下方開口孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面および下面の間に収まるフーチング内さや管が備えられ、
    前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管には前記突出さや管が差し込まれ、該突出さや管には前記壁体連結用鋼材が差し込まれ、
    前記プレキャストフーチングの前記フーチング内さや管には前記基礎構造の前記基礎連結用鋼材の前記上端部が差し込まれ、
    前記突出さや管と該突出さや管に差し込まれた前記壁体連結用鋼材とは一体化され、かつ、前記フーチング内さや管と該フーチング内さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、
    さらに、前記突出さや管と前記フーチング内さや管との間を連結する法直連結鋼材が前記プレキャストフーチング内に備えられていることを特徴とする堤体。
  4. 支持地盤上に設置された直接基礎形式の基礎構造と、該基礎構造の上部に構築された上部構造とを備えてなる堤体であって、
    前記基礎構造は複数の基礎ブロック構造を備え、
    該基礎ブロック構造は、
    上下方向に貫通する基礎貫通孔を有し、該基礎貫通孔の内面に基礎さや管を有する複数の基礎ブロックと、
    該複数の基礎ブロックを上下方向に連結する基礎連結用鋼材と、
    を有し、
    前記基礎ブロック構造において、前記基礎ブロックは、前記支持地盤上において前記基礎貫通孔同士が連結するように上下方向に複数積み重ねられ、上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの前記基礎さや管には前記基礎連結用鋼材が差し込まれ、該基礎連結用鋼材は上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの最下段から最上段にまで達しており、また、前記基礎ブロックのうち、最下段の基礎ブロックは水平方向に張り出した部位を有し、
    また、前記基礎ブロック構造において、前記基礎ブロックの前記基礎さや管と該基礎さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、また、前記基礎連結用鋼材の上端部は最上段の前記基礎ブロックの上面よりも上方に突出しており、
    さらに、前記基礎ブロック構造同士はお互いに対向するように、かつ、最下段の前記基礎ブロックの前記張り出した部位同士がお互いに近接して対向するように配置されており、
    お互いに近接して対向する前記張り出した部位同士の上方には中詰め材が充填されており、
    前記上部構造は、
    前記基礎構造に支持されたプレキャストフーチングと、
    該プレキャストフーチングの上方に配置され、面内方向に貫通する壁体貫通孔を有し、該壁体貫通孔の内面に壁体さや管を有するプレキャスト壁体と、
    前記プレキャスト壁体および前記プレキャストフーチングを連結する壁体連結用鋼材と、
    を備え、
    前記プレキャストフーチングは少なくとも上方に開口した上方開口孔を有し、該上方開口孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面よりも上方の位置まで延伸している突出さや管が備えられ、
    また、前記プレキャストフーチングは少なくとも下方に開口した下方開口孔を、前記上方開口孔に対して前記プレキャスト壁体の法線方向と略直交する方向に間隔を開けて複数有し、かつ、前記上方開口孔は複数の前記下方開口孔の間に位置しており、前記複数の下方開口孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面および下面の間に収まるフーチング内さや管がそれぞれ備えられ、
    前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管には前記突出さや管が差し込まれ、該突出さや管には前記壁体連結用鋼材が差し込まれ、
    前記プレキャストフーチングの前記複数のフーチング内さや管には前記基礎構造の前記基礎連結用鋼材の前記上端部がそれぞれ差し込まれ、
    前記突出さや管と該突出さや管に差し込まれた前記壁体連結用鋼材とは一体化され、かつ、前記フーチング内さや管と該フーチング内さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、
    さらに、前記突出さや管と前記フーチング内さや管との間を連結する法直連結鋼材が前記プレキャストフーチング内に備えられていることを特徴とする堤体。
  5. 支持地盤上に設置された直接基礎形式の基礎構造と、該基礎構造の上部に構築された上部構造とを備えてなる堤体であって、
    前記基礎構造は複数の基礎ブロック構造を備え、
    該基礎ブロック構造は、
    上下方向に貫通する基礎貫通孔を有し、該基礎貫通孔の内面に基礎さや管を有する複数の基礎ブロックと、
    該複数の基礎ブロックを上下方向に連結する基礎連結用鋼材と、
    を有し、
    前記基礎ブロック構造において、前記基礎ブロックは、前記支持地盤上において前記基礎貫通孔同士が連結するように上下方向に複数積み重ねられ、上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの前記基礎さや管には前記基礎連結用鋼材が差し込まれ、該基礎連結用鋼材は上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの最下段から最上段にまで達しており、また、前記基礎ブロックのうち、最下段の基礎ブロックは水平方向に張り出した部位を有し、
    また、前記基礎ブロック構造において、前記基礎ブロックの前記基礎さや管と該基礎さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、また、前記基礎連結用鋼材の上端部は最上段の前記基礎ブロックの上面よりも上方に突出しており、
    さらに、前記基礎ブロック構造同士はお互いに対向するように、かつ、最下段の前記基礎ブロックの前記張り出した部位同士がお互いに近接して対向するように配置されており、
    お互いに近接して対向する前記張り出した部位同士の上方には中詰め材が充填されており、
    前記上部構造は、
    前記基礎構造に支持されたプレキャストフーチングと、
    該プレキャストフーチングの上方に配置され、面内方向に貫通する壁体貫通孔を有し、該壁体貫通孔の内面に壁体さや管を有するプレキャスト壁体と、
    前記プレキャスト壁体および前記プレキャストフーチングを連結する壁体連結用鋼材と、
    を備え、
    前記プレキャストフーチングは少なくとも上方に開口した上方開口孔を有し、該上方開口孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面よりも上方の位置まで延伸している突出さや管が備えられ、
    また、前記プレキャストフーチングは少なくとも下方に開口した下方開口孔を、前記上方開口孔に対して前記プレキャスト壁体の法線方向と略直交する方向に間隔を開けて複数有し、かつ、前記上方開口孔は複数の前記下方開口孔の間に位置しておらず、前記複数の下方開口孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面および下面の間に収まるフーチング内さや管がそれぞれ備えられ、
    前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管には前記突出さや管が差し込まれ、該突出さや管には前記壁体連結用鋼材が差し込まれ、
    前記プレキャストフーチングの前記複数のフーチング内さや管には前記基礎構造の前記基礎連結用鋼材の前記上端部がそれぞれ差し込まれ、
    前記突出さや管と該突出さや管に差し込まれた前記壁体連結用鋼材とは一体化され、かつ、前記フーチング内さや管と該フーチング内さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、
    さらに、前記突出さや管と前記フーチング内さや管との間を連結する法直連結鋼材、および前記プレキャスト壁体の法線方向と略直交する方向に隣り合うフーチング内さや管同士の間を連結する法直連結鋼材が前記プレキャストフーチング内に備えられていることを特徴とする堤体。
  6. 前記上部構造の法線方向は、前記基礎ブロックが上下方向に複数積み重ねられて形成された前記基礎ブロック構造の壁面と略平行な水平方向であることを特徴とする請求項2、4、5のいずれかに記載の堤体。
  7. 前記上部構造の法線方向は、前記基礎ブロックが上下方向に複数積み重ねられて形成された前記基礎ブロック構造の壁面と略直交する方向であることを特徴とする請求項2、4、5のいずれかに記載の堤体。
  8. 前記中詰め材は、土および砂のうちの少なくともいずれか一方であることを特徴とする請求項2、4、5のいずれかに記載の堤体。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の堤体において、前記プレキャスト壁体を、面内方向に延びて下方のみ開口した壁体孔を有し、該壁体孔の内面に壁体さや管を有するプレキャスト壁体に置き換えたことを特徴とする堤体。
  10. 支持地盤上に設置された直接基礎形式の基礎構造と、該基礎構造の上部に構築された上部構造とを備えてなる堤体であって、
    前記基礎構造は、
    上下方向に貫通する基礎貫通孔を有し、該基礎貫通孔の内面に基礎さや管を有する複数の基礎ブロックと、
    複数の前記基礎ブロックを上下方向に連結する基礎連結用鋼材と、
    を備え、
    前記基礎ブロックは、前記支持地盤上において前記基礎貫通孔同士が連結するように上下方向に複数積み重ねられ、上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの前記基礎さや管には前記基礎連結用鋼材が差し込まれ、該基礎連結用鋼材は上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの最下段から最上段にまで達しており、また、前記基礎ブロックのうち、最下段の基礎ブロックは水平方向に張り出した部位を有し、
    さらに、前記基礎ブロックの前記基礎さや管と該基礎さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、また、前記基礎連結用鋼材の上端部は最上段の前記基礎ブロックの上面よりも上方に突出しており、
    前記上部構造は、
    前記基礎構造に支持されたプレキャストフーチングと、
    該プレキャストフーチングの上方に配置され、面内方向に貫通する壁体貫通孔を有し、該壁体貫通孔の内面には壁体さや管を有する複数のプレキャスト壁体と、
    を備え、
    前記プレキャストフーチングは厚さ方向に貫通するフーチング貫通孔を有し、該フーチング貫通孔の内面には突出さや管が備えられ、該突出さや管は前記プレキャストフーチングの上面よりも上方の位置まで延伸し、該突出さや管には前記基礎構造の前記基礎連結用鋼材の前記上端部が差し込まれ、
    前記プレキャスト壁体は、前記壁体貫通孔同士が連結するように上下方向に複数積み重ねられ、上下方向に複数積み重ねられた前記プレキャスト壁体のうち少なくとも最下段の前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管には前記突出さや管が差し込まれるとともに、該突出さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材の前記上端部は上下方向に複数積み重ねられた前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管に差し込まれて最上段の前記プレキャスト壁体の天端付近に達しており、
    前記突出さや管と該突出さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されていることを特徴とする堤体。
  11. 支持地盤上に設置された直接基礎形式の基礎構造と、該基礎構造の上部に構築された上部構造とを備えてなる堤体であって、
    前記基礎構造は複数の基礎ブロック構造を備え、
    該基礎ブロック構造は、
    上下方向に貫通する基礎貫通孔を有し、該基礎貫通孔の内面に基礎さや管を有する複数の基礎ブロックと、
    該複数の基礎ブロックを上下方向に連結する基礎連結用鋼材と、
    を有し、
    前記基礎ブロック構造において、前記基礎ブロックは、前記支持地盤上において前記基礎貫通孔同士が連結するように上下方向に複数積み重ねられ、上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの前記基礎さや管には前記基礎連結用鋼材が差し込まれ、該基礎連結用鋼材は上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの最下段から最上段にまで達しており、また、前記基礎ブロックのうち、最下段の基礎ブロックは水平方向に張り出した部位を有し、
    また、前記基礎ブロック構造において、前記基礎ブロックの前記基礎さや管と該基礎さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、また、前記基礎連結用鋼材の上端部は最上段の前記基礎ブロックの上面よりも上方に突出しており、
    さらに、前記基礎ブロック構造同士はお互いに対向するように、かつ、最下段の前記基礎ブロックの前記張り出した部位同士がお互いに近接して対向するように配置されており、
    お互いに近接して対向する前記張り出した部位同士の上方には中詰め材が充填されており、
    前記上部構造は、
    前記基礎構造に支持されたプレキャストフーチングと、
    該プレキャストフーチングの上方に配置され、面内方向に貫通する壁体貫通孔を有し、該壁体貫通孔の内面には壁体さや管を有する複数のプレキャスト壁体と、
    を備え、
    前記プレキャストフーチングは厚さ方向に貫通するフーチング貫通孔を有し、該フーチング貫通孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面よりも上方の位置まで延伸している突出さや管が備えられ、
    また、前記プレキャストフーチングは少なくとも下方に開口した下方開口孔を、前記フーチング貫通孔に対して前記プレキャスト壁体の法線方向と略直交する方向に間隔を開けて有し、該下方開口孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面および下面の間に収まるフーチング内さや管が備えられ、
    前記突出さや管には、前記基礎構造の前記基礎連結用鋼材の前記上端部が差し込まれ、前記フーチング内さや管には、前記基礎構造の他の前記基礎連結用鋼材の前記上端部が差し込まれ、
    前記プレキャスト壁体は、前記壁体貫通孔同士が連結するように上下方向に複数積み重ねられ、上下方向に複数積み重ねられた前記プレキャスト壁体のうち少なくとも最下段の前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管には前記突出さや管が差し込まれるとともに、該突出さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材の前記上端部は上下方向に複数積み重ねられた前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管に差し込まれて最上段の前記プレキャスト壁体の天端付近に達しており、
    前記突出さや管と該突出さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化され、かつ、前記フーチング内さや管と該フーチング内さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材
    とは一体化されていることを特徴とする堤体。
  12. 支持地盤上に設置された直接基礎形式の基礎構造と、該基礎構造の上部に構築された上部構造とを備えてなる堤体であって、
    前記基礎構造は、
    上下方向に貫通する基礎貫通孔を有し、該基礎貫通孔の内面に基礎さや管を有する複数の基礎ブロックと、
    複数の前記基礎ブロックを上下方向に連結する基礎連結用鋼材と、
    を備え、
    前記基礎ブロックは、前記支持地盤上において前記基礎貫通孔同士が連結するように上下方向に複数積み重ねられ、上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの前記基礎さや管には前記基礎連結用鋼材が差し込まれ、該基礎連結用鋼材は上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの最下段から最上段にまで達しており、また、前記基礎ブロックのうち、最下段の基礎ブロックは水平方向に張り出した部位を有し、
    さらに、前記基礎ブロックの前記基礎さや管と該基礎さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、また、前記基礎連結用鋼材の上端部は最上段の前記基礎ブロックの上面よりも上方に突出しており、
    前記上部構造は、
    前記基礎構造に支持されたプレキャストフーチングと、
    該プレキャストフーチングの上方に配置され、面内方向に貫通する壁体貫通孔を有し、該壁体貫通孔の内面に壁体さや管を有する複数のプレキャスト壁体と、
    前記プレキャスト壁体および前記プレキャストフーチングを連結する壁体連結用鋼材と、
    を備え、
    前記プレキャストフーチングは少なくとも上方に開口した上方開口孔を有し、該上方開口孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面よりも上方の位置まで延伸している突出さや管が備えられ、該突出さや管には前記壁体連結用鋼材が差し込まれ、
    また、前記プレキャストフーチングは少なくとも下方に開口した下方開口孔を、前記上方開口孔に対して前記プレキャスト壁体の法線方向と略直交する方向に間隔を開けて有し、該下方開口孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面および下面の間に収まるフーチング内さや管が備えられ、該フーチング内さや管には前記基礎構造の前記基礎連結用鋼材の前記上端部が差し込まれ、
    前記プレキャスト壁体は、前記壁体貫通孔同士が連結するように上下方向に複数積み重ねられ、上下方向に複数積み重ねられた前記プレキャスト壁体のうち少なくとも最下段の前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管には前記突出さや管が差し込まれるとともに、該突出さや管に差し込まれた前記壁体連結用鋼材は上下方向に複数積み重ねられた前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管に差し込まれて最上段の前記プレキャスト壁体の天端付近に達しており、
    前記突出さや管と該突出さや管に差し込まれた前記壁体連結用鋼材とは一体化され、かつ、前記フーチング内さや管と該フーチング内さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、
    さらに、前記突出さや管と前記フーチング内さや管との間を連結する法直連結鋼材が前記プレキャストフーチング内に備えられていることを特徴とする堤体。
  13. 支持地盤上に設置された直接基礎形式の基礎構造と、該基礎構造の上部に構築された上部構造とを備えてなる堤体であって、
    前記基礎構造は複数の基礎ブロック構造を備え、
    該基礎ブロック構造は、
    上下方向に貫通する基礎貫通孔を有し、該基礎貫通孔の内面に基礎さや管を有する複数の基礎ブロックと、
    該複数の基礎ブロックを上下方向に連結する基礎連結用鋼材と、
    を有し、
    前記基礎ブロック構造において、前記基礎ブロックは、前記支持地盤上において前記基礎貫通孔同士が連結するように上下方向に複数積み重ねられ、上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの前記基礎さや管には前記基礎連結用鋼材が差し込まれ、該基礎連結用鋼材は上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの最下段から最上段にまで達しており、また、前記基礎ブロックのうち、最下段の基礎ブロックは水平方向に張り出した部位を有し、
    また、前記基礎ブロック構造において、前記基礎ブロックの前記基礎さや管と該基礎さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、また、前記基礎連結用鋼材の上端部は最上段の前記基礎ブロックの上面よりも上方に突出しており、
    さらに、前記基礎ブロック構造同士はお互いに対向するように、かつ、最下段の前記基礎ブロックの前記張り出した部位同士がお互いに近接して対向するように配置されており、
    お互いに近接して対向する前記張り出した部位同士の上方には中詰め材が充填されており、
    前記上部構造は、
    前記基礎構造に支持されたプレキャストフーチングと、
    該プレキャストフーチングの上方に配置され、面内方向に貫通する壁体貫通孔を有し、該壁体貫通孔の内面に壁体さや管を有する複数のプレキャスト壁体と、
    前記プレキャスト壁体および前記プレキャストフーチングを連結する壁体連結用鋼材と、
    を備え、
    前記プレキャストフーチングは少なくとも上方に開口した上方開口孔を有し、該上方開口孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面よりも上方の位置まで延伸している突出さや管が備えられ、該突出さや管には前記壁体連結用鋼材が差し込まれ、
    また、前記プレキャストフーチングは少なくとも下方に開口した下方開口孔を、前記上方開口孔に対して前記プレキャスト壁体の法線方向と略直交する方向に間隔を開けて複数有し、かつ、前記上方開口孔は複数の前記下方開口孔の間に位置しており、前記複数の下方開口孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面および下面の間に収まるフーチング内さや管がそれぞれ備えられ、前記複数のフーチング内さや管には前記基礎構造の前記基礎連結用鋼材の前記上端部がそれぞれ差し込まれ、
    前記プレキャスト壁体は、前記壁体貫通孔同士が連結するように上下方向に複数積み重ねられ、上下方向に複数積み重ねられた前記プレキャスト壁体のうち少なくとも最下段の前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管には前記突出さや管が差し込まれるとともに、該突出さや管に差し込まれた前記壁体連結用鋼材は上下方向に複数積み重ねられた前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管に差し込まれて最上段の前記プレキャスト壁体の天端付近に達しており、
    前記突出さや管と該突出さや管に差し込まれた前記壁体連結用鋼材とは一体化され、かつ、前記フーチング内さや管と該フーチング内さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、
    さらに、前記突出さや管と前記フーチング内さや管との間を連結する法直連結鋼材が前記プレキャストフーチング内に備えられていることを特徴とする堤体。
  14. 支持地盤上に設置された直接基礎形式の基礎構造と、該基礎構造の上部に構築された上部構造とを備えてなる堤体であって、
    前記基礎構造は複数の基礎ブロック構造を備え、
    該基礎ブロック構造は、
    上下方向に貫通する基礎貫通孔を有し、該基礎貫通孔の内面に基礎さや管を有する複数の基礎ブロックと、
    該複数の基礎ブロックを上下方向に連結する基礎連結用鋼材と、
    を有し、
    前記基礎ブロック構造において、前記基礎ブロックは、前記支持地盤上において前記基礎貫通孔同士が連結するように上下方向に複数積み重ねられ、上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの前記基礎さや管には前記基礎連結用鋼材が差し込まれ、該基礎連結用鋼材は上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックの最下段から最上段にまで達しており、また、前記基礎ブロックのうち、最下段の基礎ブロックは水平方向に張り出した部位を有し、
    また、前記基礎ブロック構造において、前記基礎ブロックの前記基礎さや管と該基礎さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、また、前記基礎連結用鋼材の上端部は最上段の前記基礎ブロックの上面よりも上方に突出しており、
    さらに、前記基礎ブロック構造同士はお互いに対向するように、かつ、最下段の前記基礎ブロックの前記張り出した部位同士がお互いに近接して対向するように配置されており、
    お互いに近接して対向する前記張り出した部位同士の上方には中詰め材が充填されており、
    前記上部構造は、
    前記基礎構造に支持されたプレキャストフーチングと、
    該プレキャストフーチングの上方に配置され、面内方向に貫通する壁体貫通孔を有し、該壁体貫通孔の内面に壁体さや管を有する複数のプレキャスト壁体と、
    前記プレキャスト壁体および前記プレキャストフーチングを連結する壁体連結用鋼材と、
    を備え、
    前記プレキャストフーチングは少なくとも上方に開口した上方開口孔を有し、該上方開口孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面よりも上方の位置まで延伸している突出さや管が備えられ、該突出さや管には前記壁体連結用鋼材が差し込まれ、
    また、前記プレキャストフーチングは少なくとも下方に開口した下方開口孔を、前記上方開口孔に対して前記プレキャスト壁体の法線方向と略直交する方向に間隔を開けて複数有し、かつ、前記上方開口孔は複数の前記下方開口孔の間に位置しておらず、前記複数の下方開口孔の内面には前記プレキャストフーチングの上面および下面の間に収まるフーチング内さや管がそれぞれ備えられ、前記複数のフーチング内さや管には前記基礎構造の前記基礎連結用鋼材の前記上端部がそれぞれ差し込まれ、
    前記プレキャスト壁体は、前記壁体貫通孔同士が連結するように上下方向に複数積み重ねられ、上下方向に複数積み重ねられた前記プレキャスト壁体のうち少なくとも最下段の前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管には前記突出さや管が差し込まれるとともに、該突出さや管に差し込まれた前記壁体連結用鋼材は上下方向に複数積み重ねられた前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管に差し込まれて最上段の前記プレキャスト壁体の天端付近に達しており、
    前記突出さや管と該突出さや管に差し込まれた前記壁体連結用鋼材とは一体化され、かつ、前記フーチング内さや管と該フーチング内さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材とは一体化されており、
    さらに、前記突出さや管と前記フーチング内さや管との間を連結する法直連結鋼材、および前記プレキャスト壁体の法線方向と略直交する方向に隣り合うフーチング内さや管同士の間を連結する法直連結鋼材が前記プレキャストフーチング内に備えられていることを特徴とする堤体。
  15. 前記上部構造の法線方向は、前記基礎ブロックが上下方向に複数積み重ねられて形成された前記基礎ブロック構造の壁面と略平行な水平方向であることを特徴とする請求項11、13、14のいずれかに記載の堤体。
  16. 前記上部構造の法線方向は、前記基礎ブロックが上下方向に複数積み重ねられて形成された前記基礎ブロック構造の壁面と略直交する方向であることを特徴とする請求項11、13、14のいずれかに記載の堤体。
  17. 前記中詰め材は、土および砂のうちの少なくともいずれか一方であることを特徴とする請求項11、13、14のいずれかに記載の堤体。
  18. 請求項10〜17のいずれかに記載の堤体において、上下方向に複数積み重ねられた前記プレキャスト壁体のうちの最上段のプレキャスト壁体を、面内方向に延びて下方のみ開口した壁体孔を有し、該壁体孔の内面に壁体さや管を有するプレキャスト壁体に置き換えたことを特徴とする堤体。
  19. 前記突出さや管と該突出さや管に差し込まれた前記基礎構造の前記基礎連結用鋼材との間隙にはグラウト材が充填されていることを特徴とする請求項1、2、10、11のいずれかに記載の堤体。
  20. 前記フーチング内さや管と該フーチング内さや管に差し込まれた前記基礎構造の前記基礎連結用鋼材との間隙にはグラウト材が充填されていることを特徴とする請求項2〜5、11〜14のいずれかに記載の堤体。
  21. 前記突出さや管と該突出さや管に差し込まれた前記壁体連結用鋼材との間隙にはグラウト材が充填されていることを特徴とする請求項3〜5、12〜14のいずれかに記載の堤体。
  22. 前記壁体連結用鋼材は鋼管または形鋼であることを特徴とする請求項3〜5、12〜14のいずれかに記載の堤体。
  23. 前記壁体連結用鋼材は鋼板からビルドアップして製作されていることを特徴とする請求項3〜5、12〜14のいずれかに記載の堤体。
  24. 前記基礎連結用鋼材は鋼管または形鋼であることを特徴とする請求項1〜23のいずれかに記載の堤体。
  25. 前記基礎連結用鋼材は鋼板からビルドアップして製作されていることを特徴とする請求項1〜23のいずれかに記載の堤体。
  26. 前記基礎さや管と該基礎さや管に差し込まれた前記基礎連結用鋼材との間隙にはグラウト材が充填されていることを特徴とする請求項1〜25のいずれかに記載の堤体。
  27. 請求項1〜26のいずれかに記載の堤体において、上下方向に複数積み重ねられた前記基礎ブロックのうちの最下段の基礎ブロックを、上方のみ開口した非貫通孔を有し、該非貫通孔の内面に基礎さや管を有し、かつ、水平方向に張り出した部位を有する基礎ブロックに置き換えたことを特徴とする堤体。
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