JP2018003523A - 杭基礎構造、及び既設杭の補強方法 - Google Patents

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【課題】本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、従来の増し杭工法が持つ問題点を解消するCPR工法の利点を生かしつつ、補強体の厚さを軽減することができる新たなCPR工法を提供することである。【解決手段】本願発明の杭基礎構造は、杭と補強体を備えた構造である。この補強体は、「本補強体」と「緩衝補強体」の2層で構成され、緩衝補強体の剛性は本補強体の剛性よりも低い。また本願発明の既設杭の補強方法は、緩衝補強体形成工程と本補強体形成工程を備えた方法である。緩衝補強体形成工程では既設杭の杭周辺地盤を改良することで緩衝補強体が形成され、本補強体形成工程では緩衝補強体の直上の杭周辺地盤を改良することで本補強体が形成される。緩衝補強体は、本補強体の剛性よりも低い剛性となるよう形成される。【選択図】図1

Description

本願発明は、杭基礎の補強に関する技術であり、より具体的には、杭周辺を地盤改良することで杭基礎を補強する技術に関するものである。
橋脚や橋台、擁壁といった土木構造物、あるいは集合住宅やオフィスビルといった建築構造物は、極めて大きな重量であるうえに供用後の沈下が原則として許されない。したがってこのような構造物は、岩盤や締まった砂層など相当の地耐力が期待できる支持層の上に構築される。
支持層が比較的浅い位置にある場合は、所定の深度まで掘削して支持層を表出させ、この支持層上に構造物の基礎を直接構築することができる(いわゆる、「直接基礎」)。他方、支持層が比較的深い位置にある場合、支持層を表出させるためには相当量の掘削を要するうえ、さらに大規模な基礎の構築が必要となり、直接基礎は現実的ではない。したがってこの場合、直接基礎ではなく「杭基礎」が採用されるのが一般的である。
杭基礎は、地中に構築される柱状の杭を基礎とするものであり、1本の太径杭そのものを杭基礎とすることもあるが、通常は複数の杭によって杭基礎が構成される。また杭基礎を構成する杭は、摩擦杭のような特殊な杭を除き、支持地盤に一部貫入されるか、あるいは支持地盤上に載置される。
ここまで説明したとおり、杭基礎は支持地盤が深いケースで採用され、そして杭はその深い支持地盤まで到達している。言い換えれば、支持地盤上には地盤強度が比較的小さい「中間層」があり、しかもその中間層は相当厚く、杭のほとんどがこの中間層の中にあるわけである。
杭基礎は、いわば地上構造物の荷重を支持地盤に伝達するものであり、したがって杭の設計では軸力に対する検討が重要になる。そして常時の設計では、原則として大きな水平力を杭に与えることはないが、地震時の設計では、当然ながら地震時荷重として相当の水平力が加えられる。長尺の杭(通常は杭頭)に水平力を与えると、杭には曲げモーメントやせん断力(断面力)が生じ、特に中間層が軟弱地盤(泥炭や、有機質粘土、シルト、あるいは未固結の沖積層など)である場合、著しく大きな断面力が発生する傾向にある。
ところで、土木工学は経験工学ともいわれるように、これまでも大きな自然災害を経験するたび、より適切な構造物となるよう設計思想が改善されてきた。特に、平成7年に発生した兵庫県南部地震では、高架橋が倒壊するなど地震荷重によって多くの重要構造物が損傷を受けたことから、平成8年に「道路橋示方書・同解説(社団法人日本道路協会)」(以下、「道路橋示方書」)が大幅に見直された。
平成8年の道路橋示方書の改訂では耐震設計法が変更されており、その結果、これまでの設計法では地震時にも耐えると評価されていた構造物が、新たな基準では地震時荷重に耐えられないというケースも生じることとなった。すなわち新たな経験に基づくと、既に供用されている構造物が実は地震時には耐えられない、つまり何らかの補強が必要であると評価されるケースもあるわけである。もちろん杭基礎も例外ではなく、新基準の下では補強を必要としている既設の杭基礎も少なくない。
従来、既設の杭基礎を補強するに当たっては、新規の杭を増設するいわゆる「増し杭工法」が主流であった。この増し杭工法は、杭基礎を構成する既設杭を直接補強するという思想ではなく、杭の数を増やすことで杭基礎全体を補強するという設計思想であり、具体的には、フーチングといった上部基礎構造を現状よりも拡幅するとともに、その拡幅部分の下に新たな杭を構築するものである。
上記のとおり、増し杭工法はフーチングの拡幅や杭の増設が必要であり、相当の工期を要する上、多大な工事費が必要となるといった問題が指摘されていた。特に都市高速道路などの基礎となっている場合、補強工事の長期化は社会経済にまで大きな影響を及ぼすこととなる。さらに、増設する杭のためにフーチングを拡幅するわけであるが、用地上の問題がある場合にはフーチングの拡幅を行うことができず、そもそも増し杭工法を採用できないという問題もあった。
そこで本願の出願人は、上記問題を解決するCPR工法(Confining Pile Reinforcement Method)を開発し、特許文献1で本工法を提示している。
特許第3643571号公報
特許文献1に示すCPR工法は、既設杭の周辺を地盤改良することによって補強体を形成するものであり、既設杭を直接補強するという設計思想に基づくものであって、増し杭工法のように新たな杭の構築を必要としない。杭の新設が必要ないことから、増し杭工法に比べ施工も早く、全体工費も軽減され、原則として用地の問題も生じないといった多くの利点があり、CPR工法は従来工法に比べ優れた工法といえる。
しかしながら、従来のCPR工法には改善の余地があった。図10は、従来のCPR工法による杭基礎の補強構造を示す断面図である。これまでの解析等により、補強体を中間層内に設けると、補強体と中間層の境界である補強体下端部分には極めて大きな断面力(曲げモーメントやせん断力)が発生する場合があることが確認されている。したがって、補強体は図10に示すように、原則として支持地盤までに到達するように構築されていた。つまり、補強体の深度方向の寸法t(以下、「厚さ」という。)が大きくなる傾向にあり、その分コストを押し上げるという問題があった。すなわちこの点が、改善の余地があると考えられていたわけである。
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、従来の増し杭工法が持つ問題点を解消するCPR工法の利点を生かしつつ、補強体の厚さを軽減することができる新たなCPR工法を提供することである。
本願発明は、補強体を2層からなるものとし、上層よりも下層の剛性を低減する、という点に着目してなされたものであり、これまでにない発想に基づいて行われた発明である。
本願発明の杭基礎構造は、杭と補強体を備えた構造である。この補強体は、杭の深度方向の一部に設けられるとともに、「本補強体」と「緩衝補強体」で構成される。ただし、緩衝補強体の剛性は、本補強体の剛性よりも低い。
本願発明の杭基礎構造は、補強体が上層の本補強体と下層の緩衝補強体の2層である構造とすることもできるし、上下2層の緩衝補強体で本補強体が挟まれる3層である構造とすることもできる。
本願発明の杭基礎構造は、杭と補強体が一体化された構造とすることもできる。この場合、補強体は複数の杭を連結することができる。
本願発明の杭基礎構造は、平面視(水平断面視)で中空形状の補強体を備えた構造とすることもできる。この場合の補強体は、杭の外周であって杭から離れた位置(杭と接触しない位置)に配置される。
本願発明の杭基礎構造は、上下に重なる複数の「分割層」からなる緩衝補強体を備えた構造とすることもできる。ただし、下層の分割層の剛性は、その上層の分割層の剛性よりも低い。
本願発明の杭基礎構造は、本補強体と緩衝補強体の平面形状を異なる形状とすることで、本補強体より緩衝補強体の剛性を低くした構造とすることもできる。
本願発明の杭基礎構造は、緩衝補強体を多層構造とすることで、本補強体より緩衝補強体の剛性を低くした構造とすることもできる。この場合の緩衝補強体は、地盤改良した「改良層」と地盤改良しない「非改良層」を上下に複数重ねた構成とする。
本願発明の既設杭の補強方法は、既設杭を補強する方法であり、緩衝補強体形成工程と本補強体形成工程を備えた方法である。このうち緩衝補強体形成工程では、既設杭の深度方向の一部の杭周辺地盤を改良することで、緩衝補強体が形成される。一方、本補強体形成工程では、緩衝補強体の直上の杭周辺地盤を改良することで、本補強体が形成される。ただし緩衝補強体は、本補強体の剛性よりも低い剛性となるよう形成される。
本願発明の杭基礎構造、及び既設杭の補強方法には、次のような効果がある。
(1)増し杭工法に比べ、施工が早く、しかも全体工費が軽減される。
(2)従来のCPR工法に比べ、補強体の厚さを軽減することができることから、より施工が早く、しかもより全体工費が軽減される。
(3)用地問題による制約を受けることがないため、多くの既設の杭基礎で採用することができる。
本願発明の杭基礎構造を示す断面図。 ジェットグラウト工法を用いて補強体を構築する施工状況を示す説明図。 複数の改良体で形成された補強体の有効断面を示す平面図。 (a)は領域内全てが地盤改良された連結形式の補強体を示す平面図、(b)は領域内の一部を除いて地盤改良された連結形式の補強体を示す平面図。 独立形式の補強体を示す平面図。 本補強体が上下2層の緩衝補強体に挟まれた3層構造の補強体300を示す断面図。 (a)は断面形状が異なる本補強体と衝補強体を示す断面図、(b)はA−A矢視の平面図、(c)はB−B矢視の平面図。 (a)は非改良層を設けた緩衝補強体を含む全体断面図、(b)は非改良層を設けた緩衝補強体を示す部分断面図。 橋脚の杭基礎に対して地震時の応答解析を行った結果図。 従来のCPR工法による杭基礎の補強構造を示す断面図。
本願発明の杭基礎構造、及び既設杭の補強方法の一例を、図に基づいて説明する。なお、「杭基礎構造」と「既設杭の補強方法」に分け、それぞれ構成する要素ごとに詳述することとし、杭基礎構造と既設杭の補強方法に共通する内容については杭基礎構造の例で説明する。したがって既設杭の補強方法では、当該方法特有の内容についてのみ説明することとする。
1.杭基礎構造
図1は、本願発明の杭基礎構造100を示す断面図である。この図に示すように杭基礎構造100は、杭200とこれを補強する補強体300からなり、上部の構造物400を支持層上で支持している。この杭200は、その先端(下端)の一部が支持層に貫入され、杭頭(上端)の一部は(図示しないが)構造物400の基礎部であるフーチング410に埋め込まれている。そして補強体300は、上層の本補強体310と下層の緩衝補強体320の2層構造となっている。
ここでは、上部の構造物300を橋脚として例示しているが、もちろんこれに限らず擁壁や集合住宅など他の構造物300であってもよい。また、図1では2本の杭200を示しているが、任意の数や配置(n本×m列など)の杭200で支持する構造であっても、本願発明を実施することができる。もちろん、場所打ちコンクリート杭、既設コンクリート杭、鋼管杭など種々の杭200を採用することができ、さらに既設の杭200に限らず、杭200を新設する場合であっても補強体300で補強することができる。
(補強体)
補強体300は、杭200周辺の中間層を地盤改良することで構築することができる。この地盤改良は比較的深い位置で行われることから、その工法としては高圧噴射撹拌工法(ジェットグラウト工法)を採用すると好適である。もちろん現場状況に応じて従来から用いられている他の工法を採用してもよい。図2は、ジェットグラウト工法を用いて補強体300を構築する施工状況を示す説明図である。以下、ジェットグラウト工法について簡単に説明する。
はじめに地盤改良機BMを地上の所定位置に設置し、ロッドを地中に挿入して削孔を行う。目的の深さまで削孔できると、ロッド先端の側面からセメント系硬化材と圧縮空気を同時に噴射する。そして、ロッドを回転しながら徐々に引き上げていくことで、概ね円柱状の改良体が構築される。したがってジェットグラウト工法で構築される改良体は、図3の平面図に示すように断面視では略円形となる。補強体300を所望の形状にするためには、その一部をラップさせつつ複数の改良体を構築するとよい。例えば図3では、24本の改良体をラップさせながら周回するように構築し、水平断面視(平面視)で中空の矩形の補強体300を構築している。なお、この図のように改良体のラップ幅を考慮したうえで、補強体300の有効断面(斜線部)を設計するとよい。
ところで、図1ではフーチング410の下端と補強体300の上端が接触するよう、つまりフーチング410の直下に補強体300を構築して杭頭を補強しているが、構造条件や施工条件によっては、図2に示すようにフーチング410の下端から離隔を設けて、つまりフーチング410と補強体300の間に中間層が介在するように補強体300を構築してもよい。いずれにしろ、図1や図2に示すように補強体300の下端が支持層まで到達する必要はなく、換言すれば補強体300は杭200の深度方向の一部に構築すれば足り、したがって補強体300の厚さ(補強体の深度方向の寸法)を小さくすることができるわけである。
補強体300は、杭200と一体化する形式(以下、「連結形式」という。)と、杭200から離れた位置に配置される形式(以下、「独立形式」という。)に大別することができる。図4は、連結形式の補強体300を示す平面図(水平断面図)であり、(a)は領域内全てが地盤改良された補強体300を示し、(b)は領域内の一部を除いて地盤改良された補強体300を示している。この図に示すように、連結形式の補強体300は杭200と一体化(密着)するように構築され、しかも複数の杭200どうしを相互に連結している。なお図4(a)のように、所定領域内全てを地盤改良し、当該領域内にある全ての杭200を補強体300で連結することもできるし、図4(b)のように、水平断面視で中空の形状として補強体300を構築し、外周の杭200どうし(図では12本)を連結することもできる。
一方、補強体300を独立形式とした場合、杭200から離れた位置で補強体300は構築される。図5は、独立形式の補強体300を示す平面図(水平断面図)である。この図に示すように独立形式の補強体300は、杭200の外周に配置され、しかも杭200から離れた位置でこれら杭200を取り囲むように構築される。独立形式の補強体300は、連結形式の補強体300のように杭200を直接補強するものではないが、外部の中間層の挙動を遮断するとともに、補強体300内にある中間層を通じて杭200の変形を抑制することができるため、独立形式であっても補強効果としては有効に機能する。
既述のとおり、補強体300は本補強体310と緩衝補強体320の2層構造であり、上層の本補強体310と下層の緩衝補強体320が連続して構築されることで、補強体300は形成される(図1や図2)。あるいは、図6に示すように本補強体310が上下2層の緩衝補強体320に挟まれた3層構造として、補強体300を形成することもできる。特に、フーチング410の下端から離隔を設けて(つまりフーチング410と補強体300の間に中間層が介在するように)補強体300を構築する場合、この3層構造は有効である。そして、本補強体310よりも低い剛性で緩衝補強体320は構築される。ここで剛性とは、せん断剛性や曲げ剛性を含む概念であり、断面積、断面二次モーメント、弾性係数(ヤング率)などによって決定される力学的な物理量である。例えばジェットグラウト工法で構築される補強体300の場合、使用するセメント系硬化材の配合を変えることで、補強体300の剛性を変えることができる。
ところが、ジェットグラウト工法で円柱状の改良体を構築する場合、途中でセメント系硬化材を変えるとなると、実際には大きな段取り替えが生じてしまう。つまり、下層の緩衝補強体320部分の改良体(円柱状体)を構築した後、一旦段取り替えを行ったうえで上層の本補強体310部分の改良体を構築することになり、やや手間がかかる。もちろんこのような手法を採ってもよいが、図7に示すように本補強体310と緩衝補強体320の大きさ(断面積)を変えることで、緩衝補強体320の剛性を低減することもできる。図7は、断面形状が異なる本補強体310と緩衝補強体320を示す図であり、(a)は断面図、(b)はA−A矢視(図4(a)中に示す)の平面図、(c)はB−B矢視(図4(a)中に示す)の平面図である。
図7(a)を見ると、本補強体310の方が緩衝補強体320よりも外形寸法(幅)が大きいことが分かる。また、図7(b)(c)に示すように、緩衝補強体320の方が本補強体310よりも中空部分が大きい。つまり、水平断面視の断面積は、緩衝補強体320の方が本補強体310よりも小さく、したがって全体で見ると緩衝補強体320の方が本補強体310よりも剛性が低くなるわけである。なお、本補強体310と緩衝補強体320の断面積を変えるためには、本補強体310のみの改良体(円柱状体)をいくつか構築すれば(つまり、緩衝補強体320より多くの改良体で本補強体310を構成すれば)よい。
緩衝補強体320の剛性を本補強体310の剛性よりも小さい値とするには、緩衝補強体320の一部に改良しない層を設けることもできる。図8(a)は、非改良層を設けた緩衝補強体320を示す図であり、(a)は全体断面図、(b)は部分断面図である。この図に示す緩衝補強体320は、地盤改良を行った「改良層321」と地盤改良を行わない「非改良層322」が交互に重ねられており、非改良層322を設けることで緩衝補強体320全体の剛性を低減している。なお、非改良層322を設けるには、例えばジェットグラウト工法の場合、セメント系硬化材を噴射することなくロッドを引き上げる区間を設けるとよい。
緩衝補強体320は、1層のみの構成とすることもできるし、2層以上の構成とすることもできる。つまり、緩衝補強体320を構成する部分的な層(以下、「分割層」という。)を複数重ねることで、2層以上の緩衝補強体320を形成するわけである。この場合、上方から下方に向けて分割層の剛性を低減するとよい。例えば緩衝補強体320が、上方から第1の分割層、第2の分割層、第3の分割層の順で形成されていれば、第2の分割層は第1の分割層よりその剛性を低くし、さらに第3の分割層は第2の分割層よりその剛性を低くする。
(解析結果)
以下、本願発明の効果を確認するために本願発明者らが実施した解析結果について説明する。
図9は、橋脚の杭基礎に対して地震時の応答解析を行った結果であり、左から杭基礎を補強しないケース、従来のCPR工法で補強(1層のみの補強体)したケース、本願発明によって補強したケース、それぞれで杭に生じた断面力を示している。この解析では、本願発明における本補強体310の剛性を従来CPR工法の補強体と同程度とし、緩衝補強体320の剛性を本補強体310の1/10としている。この結果、杭基礎を補強しないケースに比べ、従来CPR工法、本願発明ともに杭頭部の断面力が大幅に低減されていることが分かる。さらに、従来CPR工法では補強体の下端面(中間層との境界面)で断面力のピークを示しているが、本願発明の緩衝補強体320の下端面では杭頭部よりも断面力が低減されていることが分かる。なお図9では、緩衝補強体320の剛性を本補強体310の1/10とした場合でその効果を示しているが、1/10に限らず補強体320の剛性を本補強体310より小さい値とすれば、相当の効果があることを本願発明者らは確認している。
2.既設杭の補強方法
本願発明の既設杭の補強方法を、ジェットグラウト工法を採用した例で説明する。はじめに、図2に示すように地盤改良機BMを地上の所定位置に設置し、ロッドを地中に挿入して削孔を行い、ロッドを引き上げながら所定区間に緩衝補強体320部分の改良体(円柱状体)を構築する。そして、そのままロッドを引き上げながら、今度は所定区間に本補強体310部分の改良体を構築する。1本の改良体が構築できると、平面的に位置を変えて隣接する改良体を構築し、これを繰り返し行うことで緩衝補強体320と本補強体310を完成させ、すなわち補強体300を完成させる。なお、緩衝補強体320の剛性を本補強体310よりも小さい値とするため、本補強体310部分のみの(緩衝補強体320を設けない)改良体を構築するか、無噴射のロッド引上げ区間を設けることで改良層321と非改良層322を交互に重ねるか、あるいは本補強体310と緩衝補強体320で使用するセメント系硬化材の配合を変えるのは、これまでに説明したとおりである。
本願発明の杭基礎構造、及び既設杭の補強方法は、道路橋や、鉄道橋、水管橋といった橋梁の杭基礎、又は擁壁や一般家屋の杭基礎、あるいは既設杭の再利用など幅広く利用することができる。本願発明が、供用中の構造物を効果的かつ経済的に補強でき、しかも用地の問題で補強対象とはならなかった構造物も補強し得ることを考えれば、産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明といえる
100 本願発明の杭基礎構造
200 (杭基礎構造の)杭
300 (杭基礎構造の)補強体
310 (補強体の)本補強体
320 (補強体の)緩衝補強体
321 (緩衝補強体の)改良層
322 (緩衝補強体の)非改良層
400 構造物
410 (構造物の)フーチング
BM 地盤改良機

Claims (8)

  1. 杭と、該杭を補強する補強体と、を備え、
    前記補強体は、前記杭の深度方向の一部に設けられるとともに、本補強体と緩衝補強体で構成され、
    前記本補強体の剛性より前記緩衝補強体の剛性の方が低い、ことを特徴とする杭基礎構造。
  2. 前記補強体が、上層の本補強体と下層の緩衝補強体の2層で構成され、又は上下2層の緩衝補強体で本補強体が挟まれる3層で構成された、ことを特徴とする請求項1記載の杭基礎構造。
  3. 前記補強体は、前記杭と一体化されるとともに、複数の杭を連結する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の杭基礎構造。
  4. 前記補強体は、平面視で中空の形状であり、前記杭から離れた位置であって杭の外周に配置される、ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の杭基礎構造。
  5. 前記緩衝補強体は、上下に重なる複数の分割層からなり、
    上層の前記分割層の剛性より下層の前記分割層の剛性の方が低い、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の杭基礎構造。
  6. 前記緩衝補強体の平面形状を、前記本補強体とは異なる形状とすることで、前記本補強体の剛性より前記緩衝補強体の剛性を低くした、ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の杭基礎構造。
  7. 前記緩衝補強体を、地盤改良した改良層と地盤改良しない非改良層とを上下に複数重ねた構成とすることで、前記本補強体の剛性より前記緩衝補強体の剛性を低くした、ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の杭基礎構造。
  8. 既設杭を補強する方法において、
    前記既設杭の深度方向の一部の杭周辺地盤を改良することで、緩衝補強体を形成する緩衝補強体形成工程と、
    前記緩衝補強体の直上の杭周辺地盤を改良することで、本補強体を形成する本補強体形成工程と、を備え、
    前記本補強体の剛性より前記緩衝補強体の剛性の方が低い、ことを特徴とする既設杭の補強方法。
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