JP2011236705A - 構造物の基礎構造およびその施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】地震時に生じる杭の浮き上がりを効果的に抑制することができる。
【解決手段】予め建物2の基礎部の領域を掘削しておき、その周囲を含む所定領域の全面において、所定深さまで地盤改良体3を施工し、その後、複数の杭4の施工予定位置において、先行して施工した地盤改良体3に対してケーシング回転掘削工法等により深さ方向に円孔を掘削し、次に、その円孔を使用して杭4を施工し、平面視で外側の杭4Aにおいて地盤改良体3の直下に節部5を施工するようにした。
【選択図】図1
【解決手段】予め建物2の基礎部の領域を掘削しておき、その周囲を含む所定領域の全面において、所定深さまで地盤改良体3を施工し、その後、複数の杭4の施工予定位置において、先行して施工した地盤改良体3に対してケーシング回転掘削工法等により深さ方向に円孔を掘削し、次に、その円孔を使用して杭4を施工し、平面視で外側の杭4Aにおいて地盤改良体3の直下に節部5を施工するようにした。
【選択図】図1
Description
本発明は、地盤に構築される構造物の基礎構造およびその施工方法に関する。
従来、高層の建物においては、地震や風に対して大きな転倒モーメントが作用するため、転倒防止構造として長尺の杭の摩擦力で建物の転倒モーメントに抵抗させている。そして、従来の杭基礎架構では、杭が柱下に設置されるのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
ところで、鉄筋コンクリート造の住宅や事務所におけるコアウォール構造や鉄骨造のブレース構造など、耐震壁やブレースに地震外力の大部分を負担させる架構の場合には、地震時に大きな引抜き力が生じる。この引抜き力が長期軸力より大きい場合には、浮き上がりを抑える処理が行われている。このような浮き上がりに対する処理方法として、所定の基礎杭によって処理することができない引抜き力を基礎梁を介して隣接する建物の柱に伝達し、その引抜き力の一部を負担させる方法がある。また、所定位置での杭の本数を増加したり、杭径を大きくしたり、杭長を長くする等して杭の許容引張力を大きくすることが行われている。
しかしながら、従来の基礎構造における引抜き処理では、以下のような問題があった。
すなわち、杭の本数、杭径、および杭長を増大して杭の許容引張力を大きくする場合には、鉛直支持力に必要な杭性能に対して過剰設計となり、施工が大掛かりとなる欠点があることから、杭の浮き上がりを防止できる好適な基礎構造が求められており、その点で改良の余地があった。
すなわち、杭の本数、杭径、および杭長を増大して杭の許容引張力を大きくする場合には、鉛直支持力に必要な杭性能に対して過剰設計となり、施工が大掛かりとなる欠点があることから、杭の浮き上がりを防止できる好適な基礎構造が求められており、その点で改良の余地があった。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、地震時に生じる杭の浮き上がりを効果的に抑制することができる構造物の基礎構造およびその施工方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る構造物の基礎構造では、構造物の荷重を杭を介して地盤に伝達するための構造物の基礎構造であって、構造物に一体となるようにして地盤に地盤改良体が形成され、杭には、地盤改良体の直下となる位置に拡径部を設けたことを特徴としている。
また、本発明に係る構造物の基礎構造では、構造物の荷重を杭を介して地盤に伝達するための構造物の基礎構造であって、構造物に一体となるようにして地盤に地盤改良体が形成され、杭には、地盤改良体に少なくとも一部が埋設される拡径部を設けたことを特徴としている。
また、本発明に係る基礎構造の施工方法では、構造物の荷重を杭を介して地盤に伝達するための基礎構造の施工方法であって、構造物に一体となるようにして地盤に地盤改良体を形成する工程と、杭を施工し、その杭の所定箇所に拡径部を設ける工程とを有し、地盤改良体に少なくとも一部が埋設され、又は地盤改良体の直下となる位置に拡径部を設けるようにしたことを特徴としている。
本発明では、杭によって構造物の荷重を支えるとともに、構造物と地盤改良体とが一体的に接触していることから、地震時に生じる構造物の水平力を地盤改良体に伝達することができる。このとき地盤改良体には地盤に対する底面摩擦力が生じ、地盤改良体で水平力を負担させることができるので、杭が負担する水平力の低減を図ることができる。さらに、地盤改良体内に杭を配置することで、双方の間で軸方向の摩擦力を発生させることが可能となり、地盤改良体が無い基礎構造に比べて大きな引抜き耐力をもたせることができる。
そして、杭には、地盤改良体に少なくとも一部が埋設され、又は地盤改良体の直下となる位置に拡径部を設ける構成とされるので、この拡径部が地盤改良体に係止し、杭の引抜き方向(上方)への移動を抑制する作用が働くことから、さらに引抜き耐力を高めることができる。とくに地盤改良体内に拡径部を設けることで、杭と地盤改良体との摩擦力をより一層高めることができ、地盤改良体内に拡径部が無い杭に比べて杭の引抜き耐力を向上させることができる。
そして、杭には、地盤改良体に少なくとも一部が埋設され、又は地盤改良体の直下となる位置に拡径部を設ける構成とされるので、この拡径部が地盤改良体に係止し、杭の引抜き方向(上方)への移動を抑制する作用が働くことから、さらに引抜き耐力を高めることができる。とくに地盤改良体内に拡径部を設けることで、杭と地盤改良体との摩擦力をより一層高めることができ、地盤改良体内に拡径部が無い杭に比べて杭の引抜き耐力を向上させることができる。
また、本発明では、杭に作用する引抜き軸力を隣接柱へ伝達処理する機構ではないので、基礎梁など基礎構造の補強が不要となる利点がある。
さらに、本発明では、本基礎構造を軟弱地盤に採用することで、液状化層の地盤改良を兼ねることになり、液状化を防止することができる。この場合、圧縮側の耐力も期待できるため、パイルドラフト基礎として適用も可能であり、杭の費用の低減を図ることができる。しかも、軟弱地盤の地盤剛性が高められるので、表層地盤の増幅抑制につながり、地震入力の低下が期待できる効果を奏する。
また、拡径部は杭の全長に対して部分的に設けるものでよいことから、従来のように杭の本数、杭径、杭長を増大させる場合に比べて施工が容易になるという利点がある。
さらに、本発明では、本基礎構造を軟弱地盤に採用することで、液状化層の地盤改良を兼ねることになり、液状化を防止することができる。この場合、圧縮側の耐力も期待できるため、パイルドラフト基礎として適用も可能であり、杭の費用の低減を図ることができる。しかも、軟弱地盤の地盤剛性が高められるので、表層地盤の増幅抑制につながり、地震入力の低下が期待できる効果を奏する。
また、拡径部は杭の全長に対して部分的に設けるものでよいことから、従来のように杭の本数、杭径、杭長を増大させる場合に比べて施工が容易になるという利点がある。
また、本発明に係る構造物の基礎構造では、拡径部は、平面視で構造物の外周側に配置される杭に設けられていることが好ましい。
本発明では、平面視で構造物の外周側ほど中央部に比べて地震時の転倒モーメントが大きく、これにより外周側の杭ほど大きな引抜き力が作用するため、構造物の中央部の杭には拡径部を設けず、外周側に配置される杭に拡径部を設けることで、効果的で且つコストが低い基礎構造を実現できる。
本発明では、平面視で構造物の外周側ほど中央部に比べて地震時の転倒モーメントが大きく、これにより外周側の杭ほど大きな引抜き力が作用するため、構造物の中央部の杭には拡径部を設けず、外周側に配置される杭に拡径部を設けることで、効果的で且つコストが低い基礎構造を実現できる。
また、本発明に係る基礎構造の施工方法では、先に、拡径部を設けた複数の杭を設ける工程を行った後、それら杭の周囲に非改良領域を設けるようにして地盤改良体を形成する工程を行い、非改良領域を地盤改良して杭と地盤改良体とを密着させる工程を行うようにすることが好ましい。
本発明では、地盤改良体の形成より先に杭を施工する際に、杭の周囲に非改良領域を設けた状態で施工することで、地盤改良体を形成する施工時に施工済みの杭に損傷を与えずにすむ。そして、杭を施工してから地盤改良体を形成する方法であるので、地盤改良体内に容易に拡径部を設けることができる。
本発明では、地盤改良体の形成より先に杭を施工する際に、杭の周囲に非改良領域を設けた状態で施工することで、地盤改良体を形成する施工時に施工済みの杭に損傷を与えずにすむ。そして、杭を施工してから地盤改良体を形成する方法であるので、地盤改良体内に容易に拡径部を設けることができる。
本発明の構造物の基礎構造およびその施工方法によれば、地震時に杭の拡径部が地盤改良体に係止して杭の引抜き方向への移動を抑制する作用が働くことから、引抜き耐力を高めることができ、引抜き力が長期軸力を超えることによる杭の浮き上がりを効果的に抑制することができる。
以下、本発明の第1の実施の形態による構造物の基礎構造およびその施工方法について、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施の形態による基礎構造1は、軟弱地盤からなる地盤G上に建物2(構造物)を構築させる際に適用される。ここで、本実施の形態に適用される軟弱地盤としては、例えば軟らかい粘土質あるいはシルト質地盤、泥炭質地盤、液状化の可能性のある砂質地盤及び盛土層などである。
建物2は、後述する施工方法により地盤Gに埋設される複数の杭4、4、…によって下方から支持されている。
図1に示すように、本実施の形態による基礎構造1は、軟弱地盤からなる地盤G上に建物2(構造物)を構築させる際に適用される。ここで、本実施の形態に適用される軟弱地盤としては、例えば軟らかい粘土質あるいはシルト質地盤、泥炭質地盤、液状化の可能性のある砂質地盤及び盛土層などである。
建物2は、後述する施工方法により地盤Gに埋設される複数の杭4、4、…によって下方から支持されている。
具体的に基礎構造1は、建物2の基礎に一体となるようにしてその基礎の周囲を含む範囲全体にわたって地盤Gの地表全面から一定の深さまで地盤改良体3が形成され、建物2を地盤Gに埋設される複数の杭4、4、…によって下方から支持し、それらの杭4のうち平面視で建物2の外周側に位置する杭4(4A)の地盤改良体3の下面3aに接する節部5(拡径部)を設けた構造となっている。
地盤改良体3は、例えば注入工法、機械攪拌工法および噴射攪拌工法などの地盤改良工法によって施工され、一般的に用いられるセメント系の固化材料などの改良材を地盤Gに注入し、固化させることにより施工されている。そして、地盤改良体3の改良深さは、地盤Gの強度、地質などの条件に基づいて適宜決定することが可能である。
図2に示すように、複数の杭4は、建物2の下方において、水平方向に所定間隔をおいて設けられ、平面視で建物2の外周側に位置するもの(ここでは、外側の2本の杭4A)に節部5が形成されている。なお、これら杭4は、杭下端が軟弱地盤G内に位置する長さ寸法となっている。また、建物2と杭4との接合は、例えば杭頭部4a(図1参照)に設けたアンカー筋を建物2の基礎に埋設させる一般的な構造とすることができる。
節部5は、図1に示すように、杭径よりも大径に拡径されて形成されており、その上面5aが地盤改良体3の下面3aに接して、或いは間隔をもって位置するように施工されている。そのため、杭4に引抜き力が作用したときに、節部5が一定強度で固化された地盤改良体3に係止することにより、上方への移動を抑制し、引抜きを防止する機能をもたせている。つまり、杭4に引抜き軸力が作用した場合において、節部5を起点にしたときの影響線Pに対するコーン破壊耐力を地盤改良体3にもたせることができる。
次に、上述した基礎構造1の施工方法と、基礎構造1の作用について図面を参照して詳細に説明する。なお、本施工方法では、基礎構造1を施工した後に建物2を構築する場合に適用する。
図3(a)に示すように、先ず、予め建物2の基礎部の領域Rを掘削しておき、その周囲を含む所定領域の全面において、所定深さまで地盤改良体3を施工する。すなわち、例えば注入工法、機械攪拌工法および噴射攪拌工法などの適宜な地盤改良工法によって、改良材を地盤Gに混ぜて固化させる。その後、複数の杭4の施工予定位置において、例えばケーシング回転掘削工法(CD工法)等により先行して施工した地盤改良体3に対して深さ方向に杭径と同径以上の円孔3bを掘削する。
次に、図3(b)に示すように、掘削した円孔3bを使用して、通常の場所打ち鋼管コンクリート杭の施工方法と同様の手順により杭4を施工する。そして、杭4の施工時で杭孔を形成した後には、平面視で外側の杭4Aにおいて地盤改良体3の直下に節部5を施工する。
すなわち、一般的な削孔機械を用いて、円孔3bを利用して地盤改良体3より下方の地盤内に杭4の長さに相当する所定深さの杭孔を掘削する。その後、ロッド先端に拡径可能な特殊な掘削ヘッドを備えた掘削機(例えば、先端根固め球根作成用オーガーヘッド等)を使用し、掘削した杭孔の頭部(節部5の予定箇所)の拡径を行う。続いて、予め組み立てた鉄筋籠とともに鋼管を地盤内に形成した杭孔内に配置した後、杭孔内にコンクリートを打設充填して硬化させる。
このようにして基礎構造1が施工され、その後、掘削領域Rに施工した複数の杭4、4、…の杭頭部4aに接合する建物2(図1参照)を構築することができる。
すなわち、一般的な削孔機械を用いて、円孔3bを利用して地盤改良体3より下方の地盤内に杭4の長さに相当する所定深さの杭孔を掘削する。その後、ロッド先端に拡径可能な特殊な掘削ヘッドを備えた掘削機(例えば、先端根固め球根作成用オーガーヘッド等)を使用し、掘削した杭孔の頭部(節部5の予定箇所)の拡径を行う。続いて、予め組み立てた鉄筋籠とともに鋼管を地盤内に形成した杭孔内に配置した後、杭孔内にコンクリートを打設充填して硬化させる。
このようにして基礎構造1が施工され、その後、掘削領域Rに施工した複数の杭4、4、…の杭頭部4aに接合する建物2(図1参照)を構築することができる。
このような施工方法によって設けられる基礎構造1は、杭4によって建物2の荷重を支えるとともに、建物2と地盤改良体3とが一体的に接触していることから、地震時に生じる建物2の水平力F(図1参照)を地盤改良体3に伝達することができる。このとき地盤改良体3には地盤Gに対する底面摩擦力が生じ、地盤改良体3で水平力Fを負担させることができるので、杭4が負担する水平力Fの低減を図ることができる。
さらに、杭4と地盤改良体3内に杭4を配置することで、双方4、3の間で軸方向の摩擦力を発生させることが可能となり、地盤改良体3が無い基礎構造に比べて大きな引抜き耐力をもたせることができる。
さらに、杭4と地盤改良体3内に杭4を配置することで、双方4、3の間で軸方向の摩擦力を発生させることが可能となり、地盤改良体3が無い基礎構造に比べて大きな引抜き耐力をもたせることができる。
そして、杭4には、地盤改良体3の直下となる位置に節部5を設ける構成とされるので、この節部5が地盤改良体3に係止し、杭4の引抜き方向Y(上方)への移動を抑制する作用が働くことから、さらに引抜き耐力を高めることができる。
また、節部5は杭4の全長に対して部分的に設けるものでよいことから、従来のように杭の本数、杭径、杭長を増大させる場合に比べて施工が容易になるという利点がある。
また、節部5は杭4の全長に対して部分的に設けるものでよいことから、従来のように杭の本数、杭径、杭長を増大させる場合に比べて施工が容易になるという利点がある。
また、平面視で建物2の外周側ほど中央部に比べて地震時の転倒モーメントが大きく、これにより外周側の杭4Aほど大きな引抜き力が作用するため、建物2の中央部の杭4(図1で符号4B)には節部5を設けず、外周側に配置される杭4Aに節部5を設けることで、効果的で且つコストが低い基礎構造1を実現できる。
また、杭4に作用する引抜き軸力を隣接柱へ伝達処理する機構ではないので、基礎梁など基礎構造の補強が不要となる利点がある。
さらに、本基礎構造1を軟弱地盤に採用することで、液状化層の地盤改良を兼ねることになり、液状化を防止することができる。この場合、圧縮側の耐力も期待できるため、パイルドラフト基礎として適用も可能であり、杭4の費用の低減を図ることができる。しかも、軟弱地盤の地盤剛性が高められるので、表層地盤の増幅抑制につながり、地震入力の低下が期待できる効果を奏する。
さらに、本基礎構造1を軟弱地盤に採用することで、液状化層の地盤改良を兼ねることになり、液状化を防止することができる。この場合、圧縮側の耐力も期待できるため、パイルドラフト基礎として適用も可能であり、杭4の費用の低減を図ることができる。しかも、軟弱地盤の地盤剛性が高められるので、表層地盤の増幅抑制につながり、地震入力の低下が期待できる効果を奏する。
上述のように本第1の実施の形態による構造物の基礎構造およびその施工方法では、地震時に杭4の節部5が地盤改良体3に係止して杭4の引抜き方向への移動を抑制する作用が働くことから、引抜き耐力を高めることができ、引抜き力が長期軸力を超えることによる杭4の浮き上がりを効果的に抑制することができる。
次に、本発明の構造物の基礎構造およびその施工方法による他の実施の形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1の実施の形態と異なる構成について説明する。
図4に示すように、第2の実施の形態による基礎構造1Aは、上述した第1の実施の形態の杭4に対する節部5の設置箇所と設置数量を代えた構成であり、また施工方法についても地盤改良体3を施工する前に杭4を施工する手順としたものである。なお、地盤改良体3の構成については、第1の実施の形態と同様であるので詳しい説明を省略する。
杭4に設けられる節部5は、外周杭4Aに対して上下二箇所に互いに間隔をもって配置されている。上段の第1節部5Aは、全体が形成する地盤改良体3内に埋設され、地盤改良体3の深さ方向で略中間位置に配置されている。一方、下段の第2節部5Bは、上半分が地盤改良体3内に配置され、下半分が地盤G内に配置された状態で設けられている。
杭4に設けられる節部5は、外周杭4Aに対して上下二箇所に互いに間隔をもって配置されている。上段の第1節部5Aは、全体が形成する地盤改良体3内に埋設され、地盤改良体3の深さ方向で略中間位置に配置されている。一方、下段の第2節部5Bは、上半分が地盤改良体3内に配置され、下半分が地盤G内に配置された状態で設けられている。
次に、第2の実施の形態による基礎構造1Aの施工方法と、基礎構造1Aの作用について図面を参照して詳細に説明する。
図5(a)に示すように、先ず、複数の杭4の施工予定位置において、通常の場所打ち鋼管コンクリート杭の施工方法と同様の手順により地盤G内に所定深さの複数の杭4、4、…を施工する。そして、これら杭4の施工時で杭孔を形成した後には、平面視で外側の杭4Aにおいて所定位置に第1節部5Aと第2節部5Bを施工する。なお、上述した第1の実施の形態と同様で杭4の施工は一般的な削孔機械を用い、両節部5A、5Bの施工は、先端根固め球根作成用オーガーヘッド等を使用して施工する。節部5A、5Bはそれぞれ基礎構造1として施工完了時には地盤改良体3内に全体或いは一部が埋設された状態となるが、本実施の形態での節部5の施工は通常の地盤Gに対して行うものであるので、施工は容易である。
続いて、節部5A、5Bの施工後、予め組み立てた鉄筋籠とともに鋼管を地盤内に形成した杭孔内に配置した後、杭孔内にコンクリートを打設充填して硬化させる。
図5(a)に示すように、先ず、複数の杭4の施工予定位置において、通常の場所打ち鋼管コンクリート杭の施工方法と同様の手順により地盤G内に所定深さの複数の杭4、4、…を施工する。そして、これら杭4の施工時で杭孔を形成した後には、平面視で外側の杭4Aにおいて所定位置に第1節部5Aと第2節部5Bを施工する。なお、上述した第1の実施の形態と同様で杭4の施工は一般的な削孔機械を用い、両節部5A、5Bの施工は、先端根固め球根作成用オーガーヘッド等を使用して施工する。節部5A、5Bはそれぞれ基礎構造1として施工完了時には地盤改良体3内に全体或いは一部が埋設された状態となるが、本実施の形態での節部5の施工は通常の地盤Gに対して行うものであるので、施工は容易である。
続いて、節部5A、5Bの施工後、予め組み立てた鉄筋籠とともに鋼管を地盤内に形成した杭孔内に配置した後、杭孔内にコンクリートを打設充填して硬化させる。
次いで、図5(b)に示すように、施工した各杭4の周囲に所定深さまでの地盤改良体3を上述した第1の実施の形態と同様の方法により施工する。このとき、隣り合う杭4、4どうしの間の地盤は全面改良を行うものとし、地盤改良時に施工済みの杭4に損傷を与えないように杭4の周囲には非改良領域Sを設けた状態で施工する。
次に、図5(c)および図6に示すように、施工した杭4の周囲に設けた非改良領域Sを地盤改良し、杭4と地盤改良体3とを密着させる。このときの改良方法としては、例えば高圧噴射攪拌工法などを採用し、図6に示すように、非改良領域S内に注入材の噴射機能をもつ小径ドリル6で削孔し、セメントスラリーの噴射、圧入、もしくは薬液注入などにより改良する。
本第2の実施の形態による基礎構造1Aでは、先に、節部5を設けた複数の杭4を設ける工程を行った後、それら杭4の周囲に非改良領域Sを設けるようにして地盤改良体3を形成する工程を行い、非改良領域Sを地盤改良して杭4と地盤改良体3とを密着させる工程による施工方法であるので、地盤改良体3内に容易に節部5を設けることができる。
そのため、強度の高い地盤改良体3に節部5を係止させることができるので、杭4と地盤改良体3との摩擦力をより一層高めることができ、地盤改良体3内に節部5が無い杭に比べて杭4の引抜き耐力を向上させることができる。
また、地盤改良体3の形成より先に杭4を施工する際に、杭4の周囲に非改良領域Sを設けた状態で施工することで、地盤改良体3を形成する施工時に施工済みの杭4に損傷を与えずにすむ。
そのため、強度の高い地盤改良体3に節部5を係止させることができるので、杭4と地盤改良体3との摩擦力をより一層高めることができ、地盤改良体3内に節部5が無い杭に比べて杭4の引抜き耐力を向上させることができる。
また、地盤改良体3の形成より先に杭4を施工する際に、杭4の周囲に非改良領域Sを設けた状態で施工することで、地盤改良体3を形成する施工時に施工済みの杭4に損傷を与えずにすむ。
以上、本発明による構造物の基礎構造およびその施工方法の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態では杭4として場所打ち鋼管コンクリート杭としているが、これに限定されることはなく、他の形態の杭を採用することも可能である。例えば、第2の実施の形態のように地盤改良体3の形成する前に杭4を施工する場合には、例えば節付きのプレストレスト高強度コンクリート杭(PHC杭)を所定位置、深度に施工するようにしても良い。
例えば、本実施の形態では杭4として場所打ち鋼管コンクリート杭としているが、これに限定されることはなく、他の形態の杭を採用することも可能である。例えば、第2の実施の形態のように地盤改良体3の形成する前に杭4を施工する場合には、例えば節付きのプレストレスト高強度コンクリート杭(PHC杭)を所定位置、深度に施工するようにしても良い。
また、第2の実施の形態において、杭4と地盤改良体3との間の非改良領域Sを改良していているが、これに制限されることはなく、杭4に必要な引抜き耐力が得られる場合に
は、非改良領域Sの改良を行わなくてもかまわない。
さらに、本実施の形態では地盤Gの対象を軟弱地盤としているが、地盤条件はとくに制限されることはない。
は、非改良領域Sの改良を行わなくてもかまわない。
さらに、本実施の形態では地盤Gの対象を軟弱地盤としているが、地盤条件はとくに制限されることはない。
また、杭4に設ける節部5(拡径部)の位置、数量、形状、外径寸法などの構成は、本実施の形態に限定されることはなく、建物2の形状、設置面積、杭4の杭長、杭径、地盤改良体3の改良深さ、地盤Gの地質、強度などの条件に基づいて設定することができる。例えば、節部の形状として、下方から上方に向けて漸次大径となる形状であってもよい。
さらにまた、本実施の形態では基礎構造1、1Aを施工してから建物2を構築する場合について説明しているが、既存建物の基礎構造として採用することも可能である。この場合、既存建物の杭を利用して、例えば、特開2007−102044号公報に開示されているコンダクションナビ工法により、曲線削孔を行いつつ適宜な領域に地盤改良体を形成する施工などを採用することが可能である。
1、1A 基礎構造
2 建物(構造物)
3 地盤改良体
4 杭
4A 外周杭
5 節部(拡径部)
5A 第1節部
5B 第2節部
G 地盤
R 掘削領域
S 非改良領域
2 建物(構造物)
3 地盤改良体
4 杭
4A 外周杭
5 節部(拡径部)
5A 第1節部
5B 第2節部
G 地盤
R 掘削領域
S 非改良領域
Claims (5)
- 構造物の荷重を杭を介して地盤に伝達するための構造物の基礎構造であって、
前記構造物に一体となるようにして前記地盤に地盤改良体が形成され、
前記杭には、前記地盤改良体の直下となる位置に拡径部を設けたことを特徴とする構造物の基礎構造。 - 構造物の荷重を杭を介して地盤に伝達するための構造物の基礎構造であって、
前記構造物に一体となるようにして前記地盤に地盤改良体が形成され、
前記杭には、前記地盤改良体に少なくとも一部が埋設される拡径部を設けたことを特徴とする構造物の基礎構造。 - 前記拡径部は、平面視で前記構造物の外周側に配置される前記杭に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の構造物の基礎構造。
- 構造物の荷重を杭を介して地盤に伝達するための基礎構造の施工方法であって、
前記構造物に一体となるようにして前記地盤に地盤改良体を形成する工程と、
前記杭を施工し、その杭の所定箇所に拡径部を設ける工程と、
を有し、
前記地盤改良体に少なくとも一部が埋設され、又は前記地盤改良体の直下となる位置に前記拡径部を設けるようにしたことを特徴とする基礎構造の施工方法。 - 先に、前記拡径部を設けた複数の前記杭を設ける工程を行った後、それら杭の周囲に非改良領域を設けるようにして前記地盤改良体を形成する工程を行い、
前記非改良領域を地盤改良して前記杭と前記地盤改良体とを密着させる工程を行うようにしたことを特徴とする請求項4に記載の基礎構造の施工方法。
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