JP7396332B2 - 既存岸壁の改良構造及び該改良構造の施工方法 - Google Patents
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Description
なお、本明細書における岸壁には、直立壁を有する矢板式岸壁、重力式岸壁、セル式岸壁等の船舶の接岸機能を有するものの他、同様の直立壁を有して船舶の接岸機能を有していない護岸や、同様の直立壁を有した防波堤も含む。
既存の矢板式岸壁41としては、図21に示すように、複数の矢板を水底地盤43に打設して形成した既存壁体45の上端の上部工47を陸上部48に設け、この上部工47と控え工49をタイ材51で連結して支持するようにしたものがある。
同文献に開示の「既設岸壁の改修補強構造」は、「矢板壁をタイ材を介して控え工で支持してなる既設岸壁の改修補強構造であって、既設控え工の反岸壁側に、該既設控え工から離間されて独立して設けられ、下端部が所定深度まで立て込まれた新設控え工と、該新設控え工の頭部から既設矢板壁の所定位置に向けて斜め下方に延設されて、両端が該新設控え工と既設矢板壁とに止着された新設のタイ材と、を有し、
前記新設控え工は、鋼管内にコンクリートを充填されて形成される鋼管杭であるとともに、前記既設控え工に沿って適宜間隔を空けて複数配設され、前記新設タイ材は、前記鋼管杭から放射状に複数設けられている、ことを特徴とする」(請求項4参照)ものである。
しかしながら、既存の矢板式岸壁の改良工事においては、陸域側での施工が制限される場合もあり、このような場合には適用できないという問題がある。
また、新設タイ材が、鋼管杭から放射状に複数設けられていることから、タイ材の張力管理が難しいという問題もある。
また、既存壁体への溶接が必要という点から、ケーソンを用いた重力式岸壁等のコンクリートによる直立壁には適用できない。
該第1新設壁体と平行に、水域側に間隔をあけて打設され、鋼矢板もしくは鋼管矢板である矢板を連結してなる第2新設壁体と、
前記第1新設壁体と前記第2新設壁体との間に両壁体に直交する方向に所定間隔で複数設けられた仕切り壁体と、
前記第1新設壁体と前記既存壁体との間に設けられて水平力を伝達する水平力伝達部材とを備え、
前記第1新設壁体及び前記第2新設壁体を構成する矢板は、その一部が支持層まで根入れされた長尺矢板で、他の矢板は支持層より浅い深さまで根入れされた短尺矢板であり、前記第1新設壁体と前記第2新設壁体の前記長尺矢板は同間隔で配置され、
前記仕切り壁体は、前記第1新設壁体及び前記第2新設壁体を構成する短尺矢板と同じ根入れ深さであることを特徴とするものである。
D:既存岸壁の矢板の根入長(m)
HT:既存岸壁の水底面からタイ材取り付け位置までの高さ(m)
E:既存岸壁の矢板のヤング率(kN/m2)
I:既存岸壁の単位幅あたりの矢板の断面2次モーメント(m4/m)
lh:既存岸壁の矢板が根入れされている地盤の地盤反力係数(kN/m3)
H:水底面から水平力伝達部材上端までの高さ(m)
前記既存壁体の水域側に、該既存壁体と所定の隙間を設けて前記第1新設壁体を打設する工程と、
前記第1新設壁体と平行して、水域側に間隔をあけて、前記第2新設壁体を打設する工程と、
前記第1新設壁体と前記第2新設壁体との間に所定間隔で両壁体に直交方向に仕切り壁体を打設する工程と、
前記既存壁体と前記第1新設壁体との隙間に水平伝達部材を配設する工程と、を備えたことを特徴とするものである。
また、高コストな地盤改良をせずとも、岸壁天端の水平変形量を抑えることが可能となる。
更に、水平力伝達部材は、既存壁体からの水平力を第1新設壁体に伝達できればよく、それ故に水平力伝達部材は既存壁体と第1新設壁体と一体化される必要がないため、水中におけるスタッド溶接等を不要とすることができる。
<本発明に至った経緯>
耐震強化岸壁に指定されている既存岸壁41の改良設計においては、レベル2地震動(発生する可能性がある最大級の地震動)の発生後の、岸壁の使用性(緊急物資輸送等のために直ちに船舶を停泊できるか)が重要となる。このような使用性確保の観点から、地震時の岸壁天端の水域側への水平変形量を抑えることが要求される。
上述したように、既存岸壁41の地震時水平変形量を抑制するためには、岸壁の水域側地盤の変形量を抑える必要がある。しかし、水域側地盤の浅層領域は上載圧が小さく水平抵抗力も小さいため、地震時土圧が作用すると自立式矢板53が既存岸壁41の変形を抑えられずに撓んでしまう。結果として、既存岸壁41の水域側に矢板を打設しても、補強効果は小さい。
一方、水域側地盤の深層領域は上載圧が大きいため、地震時の地盤変形量は比較的小さい。そのため、離散的に杭を配置してもすり抜ける土の移動量が小さく、逆に杭に対する地盤の水平抵抗力は大きい。
本発明はかかる知見に基づくものであり、その具体例を以下の実施の形態で詳細に説明する。
本実施の形態の既存岸壁の改良構造1(以下、単に「改良構造1」という場合あり)は、図1、図2に示すように、既存岸壁41における既存壁体45の水域側に既存壁体45と所定の隙間を設けて打設され、鋼矢板もしくは鋼管矢板である矢板を連結してなる第1新設壁体3と、第1新設壁体3と平行に、水域側に間隔をあけて打設され、鋼矢板もしくは鋼管矢板である矢板を連結してなる第2新設壁体5と、第1新設壁体3と第2新設壁体5との間に所定間隔で両壁体に直交する方向に設けられた仕切り壁体7と、第1新設壁体3と既存壁体45との間に設けられて水平力を伝達する水平力伝達部材9とを備えている。
以下、各構成を詳細に説明する。なお、図1、2において既存岸壁41を示した図22と同一部分には同一の符号を付して説明を省略する。
第1新設壁体3及び第2新設壁体5を構成する矢板は、その一部が支持層まで根入れされた長尺矢板11で、他の矢板は支持層より浅い深さまで根入れされた短尺矢板13である。
短尺矢板13は、既存岸壁41の水域側地盤の軟弱な深さ領域を拘束する深さまで根入れされていればよく、具体的には3m以上が望ましい。これより根入れ深さが浅いと、前述する水平抵抗が発揮されない可能性がある。逆に根入れ深さが深すぎると、材料費や施工手間が大きくなって不経済となるため10m以下が望ましい。
また、鋼管矢板の場合の連結継手の形状も限定されない。仕切り壁体7は、岸壁法線直角方向に並ぶようにするため、第1新設壁体3と第2新設壁体5の長尺矢板11の配置は揃えることが望ましい。
仕切り壁体7は、第1新設壁体3及び第2新設壁体5を構成する短尺矢板13と同じ根入れ深さである。
仕切り壁体7を構成する矢板についても、直線形鋼矢板、H形鋼矢板、U形鋼矢板、Z形鋼矢板、ハット形鋼矢板、鋼管矢板およびこれらを組み合わせた矢板が考えられる。第1新設壁体3と第2新設壁体5への荷重の伝達を円滑にするため、仕切り壁体7は、図1に示すように、それぞれの長尺矢板11同士を繋ぐように配置されることが望ましい。
水平力伝達部材9は、既存壁体45と第1新設壁体3との隙間に配設されて既存壁体45が水域側に変形しようとする水平力を第1新設壁体3に伝達するものである。地震の揺れにより、既存壁体45は一時的には陸域側に変形するが、徐々に水域側への変形が大きくなる。すなわち、水平力伝達部材9は既存壁体45の陸域側への変形を抑える必要がないため、引張力を伝達する必要はなく、圧縮力の伝達機能のみあればよい。水平力伝達部材9はかかる機能を発揮できれば、その材料等は限定されず、例えば石材、水中コンクリート、水中モルタルなど、箱状構造体と既存壁体45の水平方向の圧縮力の伝達が可能なものであればよい。
既存壁体45に作用する荷重(例えば地震時荷重やエプロン上に物を置いたときの荷重、増深によって生じた土圧増分等)は、水平力伝達部材9とその下方の地盤を介して第1新設壁体3に伝達されるため、第1新設壁体3には水平力のみが伝達される構造である。このため、既存壁体45と第1新設壁体3とを一体化する必要がなく、水中におけるスタッド溶接等を不要とすることができる。
本実施の形態では、既存岸壁41の水域側地盤の浅層領域は、短尺矢板13の内部に拘束されることで一体となって変形する。短尺矢板13より深部の地盤は上載圧が大きいので、前述のように、離散的に配置された矢板でも大きな水平抵抗を期待できる。これらのことから、本発明の補強構造では、水平力伝達部材9を介して第1新設壁体3の水平抵抗を既存壁体45に伝えることで、岸壁天端の水平変形量を抑えることが可能となる。
本実施の形態は、水平力伝達部材9の位置の最適化を図ったものである。すなわち、本実施の形態に係る既存岸壁の改良構造1は、既存岸壁41が、下端側を地盤に根入れすると共に上端側をタイ材51によって控え工49で支持する矢板式岸壁の場合において、水平力伝達部材9が(1)式を満たす位置に配置されている。
D:既存岸壁の矢板の根入長(m)
HT:既存岸壁の水底面からタイ材取り付け位置までの高さ(m)
E:既存岸壁の矢板のヤング率(kN/m2)
I:既存岸壁の単位幅あたりの矢板の断面2次モーメント(m4/m)
lh:既存岸壁の矢板が根入れされている地盤の地盤反力係数(kN/m3)
H:水底面から水平力伝達部材上端までの高さ(m)
水平力伝達部材9を通じて、既存壁体45にかかる荷重が第1新設壁体3に伝達するとき、既存壁体45に作用するせん断力も第1新設壁体3に伝達する。第1新設壁体3に伝達するせん断力が大きいと、第1新設壁体3の水域側への変形量が増大するため、既設壁体の水域側への変形量や作用する曲げモーメントも増大する。そのため、既存壁体45に作用するせん断力が小さい位置に、水平力伝達部材9が存在することが望ましい。
既存壁体45に作用するせん断力が0になる位置は、作用する曲げモーメントの変曲点(増加から減少に変わる位置)と等しくなる。これは水底面より上の範囲において、既存壁体45に作用する最大曲げモーメントの発生位置とも一致する。
矢板式岸壁は、図7に示すように、矢板の下端側を水底地盤43に根入れすると共に、上端側をタイ材51によって控え工49で支持してなるものを対象としている。
試計算の条件は次に示すとおりである。
水深は-4.5m、-7.5m、-10.5m、-14m、-17m、-20mの6種類で岸壁天端は+3m、タイ材51取り付け点は+2mで固定した。また、残留水位は+1mで固定とした。
水底地盤43は、緩い、中位、堅い、の3種類とした。せん断抵抗角と地盤反力係数lhは、「緩い」では、30°と24MN/m3、「中位」では、35°と38MN/m3、「堅い」では40°と58MN/m3とした。
矢板式岸壁の背後には裏込石を配置することにし、せん断抵抗角は40°とした。地盤の単位体積重量は、水底地盤43、裏込石とも共通で水中単位体積重量は10kN/m3、気中では18kN/m3とした。
設計震度は、レベル1地震を対象として、地域ごとの設計地震動を用いて検討地点の地盤の1次元地震応答解析結果から設計震度を求めることになっているが、本検討では0.05、0.15、0.25を対象とした。
矢板は鋼製とし、鋼材の降伏強度の特性値は、SKY400として235N/mm2、SKY490として315N/mm2の他に、最大600N/mm2までを想定した。
国内外のさまざまな形状の矢板を対象に試設計を行い、矢板に発生する最大応力が、235~600N/mm2の間に収まる形状を対象に、最大曲げモーメントの発生位置を調べた。
なお、岸壁改良に伴って、水域側水底面の掘削による増深が行われる場合、D、HT、Hは増深後の値を使用するものとする。
D:既存岸壁の矢板の根入長(m)
HT:既存岸壁の水底面からタイ材取り付け位置までの高さ(m)
E:既存岸壁の矢板のヤング率(kN/m2)
I:既存岸壁の単位幅あたりの矢板の断面2次モーメント(m4/m)
lh:既存岸壁の矢板が根入れされている地盤の地盤反力係数(kN/m3)
H:水底面から水平力伝達部材上端までの高さ(m)
次に上記のような既存岸壁の改良構造1の施工方法について説明する。
既存壁体45の水域側に既存壁体45と所定の隙間を設けて第1新設壁体3を打設する(新設壁体打設工程)。この際、長尺矢板11が鋼管矢板の場合、短尺矢板13より下部は連結継手を設けなくてもよい。
次に、第1新設壁体3と平行に、水域側に間隔をあけて、第2新設壁体5を打設する(第2新設壁体打設工程)。この際、第1新設壁体3と第2新設壁体5との間隔が狭いと水平抵抗小さくなる可能性があるため、間隔は5m以上あることが望ましい。
また、次工程で仕切り壁体7を打設する際、仕切り壁体7が岸壁直角方向に並ぶように、第2新設壁体5の長尺矢板11の配置は、第1新設壁体3と揃えることが望ましい。
また、仕切り壁体7は、第1新設壁体3の長尺矢板11と第2新設壁体5の長尺矢板11を結ぶように打設すると、荷重の伝達が円滑になる。
最後に、第1新設壁体3と既存壁体45との隙間に、水中コンクリート又は水中モルタルを打設して水平力伝達部材9を構築する(水平力伝達部材構築工程)。
また、既存壁体45と第1新設壁体3との間では、水平力を伝達できればよく、それ故に既存壁体45と第1新設壁体3は一体化される必要がなく、水中におけるスタッド溶接等を不要とすることができる。スタッド溶接の場合、鋼材が溶接に対応した成分のものでないと溶接による脆化が懸念されるが、本実施の形態ではこのようなことが懸念されることがない。
ケーソン17を用いた重力式岸壁19を対象に、本発明の改良構造1で増深改良を行った例を図10に示す。第1新設壁体3を鋼管矢板として、基礎捨石21を打ち抜いて打設した後に第1新設壁体3の水域側の基礎捨石21を除去することで、基礎捨石21の厚み分の増深が可能となる。水平力伝達部材9は、ケーソン17のフーチング部23に被せるように配置させることで、地震時のケーソン17の水域側への滑動を抑えることができる。
桟橋構造物25を対象に、本発明の構造で増深改良を行った例を図11に示す。図11に示す例では、陸上部48と水域との境界部には土留め擁壁27が設けられている。
この場合は、増深による桟橋の鋼管杭29の地盤反力低下に対する補強が主目的となるので、水平力伝達部材9は配置しなくてもよい。
本発明の改良構造1で増深した場合は、第1新設壁体3、第2新設壁体5、仕切り壁体7が地盤流動を抑制することで、桟橋の鋼管杭29に作用する荷重も抑制することができる。この点、例えば、箱状構造体の代わりに自立式矢板53を打設して増深した場合は、地震時の地盤流動量が増大して桟橋の鋼管杭29に作用する荷重が大きくなる。
陸域側に控え工49を有する矢板式岸壁の隅角部の補強として、本発明の改良構造1を適用した例の平面図を図12に示す。
控え工49の鋼管杭は、地盤抵抗が十分に発揮されるという前提のもとで二次元断面として設計される。しかし、隅角部は控え工49が入り組んだ構造となり、十分な地盤抵抗が発揮されない可能性があるため、二次元断面とみなすことができない。
そこで、図12に示すように、本発明の改良構造1によって水域側地盤の補強を併用することで、地盤抵抗が十分に発揮されない矢板式岸壁の隅角部の補強を効果的に行うことができる。
本発明の構造の岸壁以外への適用例として、重力式の津波防波堤31の補強の例を図13に示す。防波堤の背面側の航路を阻害しない補強方法として、ケーソン17の背面に自立式の鋼矢板あるいは鋼管矢板を打設する方法が考えられるが、津波波力が作用した時に矢板が大きく背面側にたわみ、十分な補強効果が得られない可能性がある。この点、本発明の改良構造1では、補強部分のたわみが少ないため、粘り強い構造が期待できる。
なお、津波防波堤31の背面補強の場合には、ケーソン17に作用する揚圧力(底から上向きにかかる津波波力)を小さくするため、水平力伝達部材9は透水性の高いものにすることが望ましい。
本発明の効果を確認するため、シミュレーション解析を行ったので、以下これについて説明する。
実験は、図14に示す-12.6m水深の既存の矢板式岸壁(既存壁体45は鋼管矢板)を対象とし、設計震度は変えず、水深のみ-15mに増深する改良を行う場合について検討した。
検討条件として、鋼材部分は50年分の標準的な腐食量による減肉を考慮した。
本発明の補強構造を図15に、構造諸元を表2に示す。なお、表2中の改良構造1における長尺矢板11の下部の規格名称は、鋼板の規格を記載している。
文献:Iai,S.,Matsunaga,Y.and Kameoka,T.:Strain space plasticity model for cyclic mobility, Soils and Foundations, Vol.32,No.2,pp.1-15,1992.
また、主な解析定数を表4に示す。設計対象の地震動は図17に示すものである。
図15および図16の岸壁では、図14の岸壁において矢板の海側の地盤が掘削され、水深が深くなっている。矢板の海側を掘削すると、陸側からの土圧に対する矢板根入部の抵抗力が小さくなるため、地震時の矢板の海側の変形量が増加する。そのため、図15や図16のような構造の補強を行い、矢板の変形量を掘削前の図14と同等以下に抑えることになる。
図19~図20に示す結果から、増深により既存壁体45が変形しやすくなったにも関わらず、本発明の改良工法の耐震性能は増深前と同等になった。また、その耐震性能は従来技術と遜色ないことが分かる。
3 第1新設壁体
5 第2新設壁体
7 仕切り壁体
9 水平力伝達部材
11 長尺矢板
13 短尺矢板
15 増幅上部工
17 ケーソン
19 重力式岸壁
21 基礎捨石
23 フーチング部
25 桟橋式構造物
27 土留め擁壁
29 鋼管杭
31 津波防波堤
32 新設壁体
33 新設控え工
35 新設タイ材
37 新設矢板式岸壁
41 既存の矢板式岸壁(既存岸壁)
43 水底地盤
45 既存壁体
47 上部工
48 陸上部
49 控え工
51 タイ材
53 自立式矢板
55 補強杭
Claims (4)
- 既存岸壁における既存壁体の水域側に該既存壁体と所定の隙間を設けて打設され、鋼矢板もしくは鋼管矢板である矢板を連結してなる第1新設壁体と、
該第1新設壁体と平行に、水域側に間隔をあけて打設され、鋼矢板もしくは鋼管矢板である矢板を連結してなる第2新設壁体と、
前記第1新設壁体と前記第2新設壁体との間に両壁体に直交する方向に所定間隔で複数設けられた仕切り壁体と、
前記第1新設壁体と前記既存壁体との間に設けられて水平力を伝達する水平力伝達部材とを備え、
前記第1新設壁体及び前記第2新設壁体を構成する矢板は、その一部が支持層まで根入れされた鋼管矢板からなる長尺矢板で、他の矢板は支持層より浅い深さで、3m以上、10m以下まで根入れされた短尺矢板であり、前記第1新設壁体と前記第2新設壁体の前記長尺矢板は、前記既存岸壁直角方向に並ぶように同間隔で配置され、
前記仕切り壁体は、前記第1新設壁体及び前記第2新設壁体を構成する短尺矢板と同じ根入れ深さで、前記第1新設壁体及び前記第2新設壁体を構成する長尺矢板を繋ぐように配置されていることを特徴とする既存岸壁の改良構造。 - 前記長尺矢板は鋼管矢板であり、前記短尺矢板の下端と高さ方向同位置から鋼管直径3倍以上の長さの範囲において、降伏強度400N/mm2以上及び/又は鋼管の外径R(mm)と鋼管の肉厚t(mm)との比R/tがR/t≦80であることを特徴とする請求項1記載の既存岸壁の改良構造。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の既存岸壁の改良構造の施工方法であって、
前記既存壁体の水域側に、該既存壁体と所定の隙間を設けて前記第1新設壁体を打設する工程と、
前記第1新設壁体と平行して、水域側に間隔をあけて、前記第2新設壁体を打設する工程と、
前記第1新設壁体と前記第2新設壁体との間に所定間隔で両壁体に直交方向に仕切り壁体を打設する工程と、
前記既存壁体と前記第1新設壁体との隙間に水平伝達部材を配設する工程と、を備え、
前記第2新設壁体を打設する工程において、長尺矢板を前記第1新設壁体の長尺矢板と揃えるように配置し、前記仕切り壁体を打設する工程において、仕切り壁体は前記第1新設壁体と前記第2新設壁体の前記長尺矢板を繋ぐように配置することを特徴とする既存岸壁の施工方法。
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