JP7362325B2 - 防潮堤 - Google Patents

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Description

本発明は、防潮堤に関する。
堤内への津波や高潮の浸入を防止するための防潮堤としては、例えば、特許文献1の防潮堤のような直立式の防潮堤や、特許文献2の盛土構造物のような土堰堤が知られている。
特許文献1の防潮堤は、海側に並列に設置される複数の前方基礎杭と、内陸側に並列に設置される複数の後方基礎杭とを連結梁で連結するとともに、複数のプレキャストユニットにより構成されるプレキャスト壁体を、隣り合う前方基礎杭に跨って設置することにより構成されている。なお、プレキャスト壁体には壁体挿通孔が設けられており、この壁体挿通孔に前方基礎杭を挿入してその隙間に経時硬化性材料を充填することにより、プレキャスト壁体と前方基礎杭を一体化している。
特許文献2の盛土構造物は、盛土層と、盛土層の上に設けられた頂部と、盛土層及び頂部を覆う被覆部とにより構成され、被覆部が場所打ちコンクリートや吹付コンクリート、もしくはプレキャスト部材等により構成されている。
特開2017-186892号公報 特開2013-2185号公報
特許文献1の防潮堤によれば、プレキャスト壁体を採用することにより容易かつ迅速に防潮堤を施工することができるが、津波の襲来に伴って発生した漂流物が衝突した場合の損傷対策について、明らかにされていない。特に、船舶や車両等が漂流物となって衝突する場合にはその漂流物衝突荷重も過大なものとなるため、プレキャスト壁体の一部に過大な漂流物衝突荷重が集中的に作用した際の、止水性能に課題が生じる。
また、特許文献1のような、壁体と杭基礎を備える自立式の防潮堤では一般に、津波が発生して壁体に津波荷重及び漂流物荷重が作用すると、これらの荷重及びモーメントを基礎杭にて支持するよう防潮堤を設計している。しかし、上述したような過大な漂流物衝突荷重が、壁体の一部に集中的に作用するとその近傍の基礎杭に引抜力が発生することとなり、このような事態を考慮しつつ、従来の防潮堤の構造を踏襲して合理的な設計を行うことは困難である。
さらに、特許文献2の盛土構造物堤においても、盛土層を被覆する被覆部に過大な漂流物衝突荷重が作用した際のせん断クラック進展防止対策は、一般に施されておらず、また、漂流物衝突荷重といった動的な集中荷重や地震等に起因する不等沈下により、盛土層にひび割れが生じやすく、止水性の確保が困難である。
本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであって、その主な目的は、津波等の襲来時に過大な漂流物荷重が何れの位置に作用しても、堤内側へ浸水といった有意な漏えいを生じるようなひび割れを防止することが可能な、防潮堤を提供することである。
かかる目的を達成するため、本発明の防潮堤は、前面が海側に対向する鉄筋コンクリート造の堤体梁壁と、該堤体梁壁の背面側に沿って列をなして配置される複数の基礎杭と、該基礎杭と前記堤体梁壁とを一体に固定する固定体を備え、前記堤体梁壁は、漂流物衝突荷重が作用しても浸水経路となるクラックを防止可能な止水構造の壁体として構築され、前記固定体は、複数の前記基礎杭を束ねて止水壁として構築され、前記堤体梁壁と該止水壁とを一体にした、二重の止水壁構造が形成されていることを特徴とする。また、前記堤体梁壁は、横筋及び縦筋とせん断補強部材とを堤内側へ浸水を生じさせるようなひび割れや損傷を防止できる程度に密に備えていることを特徴とする。さらに、前記固定体は、前記堤体梁壁の壁厚方向に平行な面と前記基礎杭との間に、平面視でくの字形状のせん断補強筋が配置され、パンチング破壊が抑制されていることを特徴とする。また、前記固定体は、前記堤体梁壁の延長方向に平行な面と前記基礎杭との間に、フープ筋と、該フープ筋を支持する縦筋が配置され、パンチング破壊が抑制されていることを特徴とする。前記基礎杭の上端が、前記堤体梁壁の天端近傍に位置することを特徴とする。前記堤体梁壁及び前記固定体が、互いに同様の長さ及び高さを有することを特徴とする。
本発明の防潮堤によれば、横筋および縦筋とせん断補強部材とを備える堤体梁壁を海側に面して固定体に対して一体に設置する。これにより、堤体梁壁が、大規模な津波による過大な漂流物衝突荷重を与えられた際に、防潮堤のクラック進展を防止する機能を有するため、防潮堤に、津波による海水が浸入するクラックの経路を生じさせることがない。したがって、防潮堤を、堤内側へ浸水といった有意な漏えいを生じさせることのない、格段に安全性の高い構造とすることが可能となる。
また、せん断補強部材により補強された堤体梁壁の一部分に集中的に作用した漂流物衝突荷重は、堤体梁壁の広範囲に分散されるとともに、固定体を介して堤体梁壁の背面側に配置される複数の基礎杭各々に伝達されるため、防潮堤に損傷が生じにくく、高い安全性を確保することが可能となる。
本発明の防潮堤によれば、基礎杭として鉄骨造の杭体を採用するとともに、堤体梁壁と基礎杭を一体に固定する固定体として、堤体梁壁と同様の高さ及び長さに構築された鉄筋コンクリート造の構造物を採用することにより、堤体梁壁の背面には、固定体と基礎杭よりなる鉄骨鉄筋コンクリート造の止水壁が一体に構築される。これにより、堤体梁壁と止水壁とよりなる二重の止水構造が形成される態様となるため、船舶や車両等が漂流物となることにより過大な漂流物衝突荷重が集中的に堤体梁壁の何れの位置に作用しても、浸水経路となるようなひび割れ進展を防止可能な堤体梁壁だけでなく、これと一体構造を成す止水壁によっても浸水を防止でき、より確実に堤内側への浸水すなわち有意な漏えいを防止することが可能となる。
本発明の防潮堤によれば、何らかの水平外力が基礎杭を介して固定体に局部的に作用した場合にも、固定体がせん断補強部材により補強されているため、パンチング破壊と呼ばれるようなひび割れの発生を効果的に抑制することが可能となる。
本発明によれば、堤体梁壁を海側に面して設置することで、堤体梁壁の一部に漂流物衝突荷重が集中的に作用した場合であっても、漂流物衝突荷重を堤体梁壁の広範囲に分散させて複数の基礎杭各々に伝達するため、堤内側への浸水といった有意な漏えいを生じさせるようなひび割れの進展を防止して高い安全性を確保することが可能となる。
本実施の形態における側面視の防潮堤を示す図である。 本実施の形態における正面視の防潮堤を示す図である。 本実施の形態における平面視の防潮堤を示す図である。 本実施の形態における側面方向からみた防潮堤の断面を示す図である。 本実施の形態における平面方向からみた防潮堤の断面を示す図である。 本実施の形態における固定体に配置するせん断補強構造の配置を示す図である。 本実施の形態における堤体壁体に配置するせん断補強部材の他の実施例を示す図である。
本発明は、津波や高潮に起因する堤内側への海水の浸入を防止するための自立式の防潮堤であって、特に、津波の襲来により発生する漂流物の衝突荷重といった、動的な集中荷重が防潮堤に作用する場合に対応するものである。以下に、防潮堤の実施の形態を、図1~図7を参照しつつ詳述する。
<防潮堤>
図1の側面図で示すように、防潮堤10は、前面が海側に対向するとともに背面が陸側に対向する堤体梁壁2と、堤体梁壁2の背面側に配置される複数の基礎杭3と、複数の基礎杭3と堤体梁壁2とを一体に固定する固定体4とを備える防潮堤本体1を、図2の正面図で示すように、堤体梁壁2の延長方向に複数連続して連結することにより構築される。
本実施の形態では、防潮堤本体1が5本の基礎杭3を有するとともに、固定体4が5本の基礎杭3を束ねるようにして1体だけ構築され、堤体梁壁2と同様の高さ及び長さ備える形状を有する場合を事例に挙げる。
図2で示すように、隣り合う防潮堤本体1は、止水性能を備えた連結部材6により連結されており、連結部材6は、図3の平面図で示すように、堤体梁壁2の高さと略同一の長さを有する止水シート61と、止水シート61を把持する一対の把持部材62により構成され、一対の把持部材62はそれぞれ隣接する堤体梁壁2の前面における両側縁に配置されている。
このような形状の連結部材6は、堤体梁壁2の背面側に位置する固定体4にも設置されている。つまり、固定体4の高さと略同一の長さを有する止水シート61を把持する一対の把持部材62が、それぞれ隣接する固定体4における堤体梁壁2の延長方向に平行な陸側に位置する面の両側縁に配置されている。
これにより、複数の防潮堤本体1を隣接させることにより形成される防潮堤10の目地部101が、対をなして配置される連結部材6によって閉塞されるため、目地部101を介して提外側から提内側への海水の流入を阻止することができる。また、防潮堤本体1ごとに作用する水平荷重が異なることにより、隣り合う防潮堤本体1どうしで異なる変形を生じた際にも、連結部材6を構成する止水シート61がこれに追随して変形し、防潮堤本体1の損傷を抑制することができる。
なお、止水シート61に代えて止水ゴムを採用することも可能であり、防潮堤10の目地部101における最大相対変位、最大残留変位等を考慮して、何れを適用するかを適宜選択すればよい。
ところで、図1で示すように、堤外側の地盤には、防潮堤10の前面側に位置する地盤が津波により洗掘されることを防止するべく、セメント系固化材を用いて地盤を改良した堤外側表層改良体81を造成している。また、防潮堤本体1各々の前面には、下部近傍に堤内側でのボイリング現象を防止するための垂下板7が設置されている。
垂下板7は、いずれを採用してもよいが、例えば、複数の鋼矢板を継手を介して連結させて、図2で示すように堤体梁壁2の延長方向に連続させる構成にするとよい。なお、垂下板7の部材長は、ボイリング現象を抑制するために必要な深度まで根入れできる程度の長さを確保している。
本実施の形態では、図1で示すように、垂下板7に加えてさらなるボイリング現象への対策として、防潮堤10の堤内側に位置する地盤の一部をセメント系固化材を用いて改良し、堤内側表層改良体82を造成している。さらに、津波等により防潮堤10に水平荷重が作用した際、地表面T1の近傍で基礎杭3が損傷することのないよう水平荷重に抵抗する構造体として、堤内側表層改良体82の上方に地表面T1から所定の高さ範囲に盛土83をして地盤高さのかさ上げを行っている。なお、盛土83は、土砂とセメント系固化材とを混合した改良土を用いて築造してもよく、改良土を用いると設計強度を調整することが可能となる。
なお、これら堤外側表層改良体81、堤内側表層改良体82および盛土83の対策工8は、必ずしも設ける必要は無く、防潮堤10の構築予定領域の地形や地盤構成、地下水位等に応じて適宜必要な対策工8を選択して実施すればよい。
また、本実施の形態では、複数の防潮堤本体1を連結部材6で連結して防潮堤10としたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、防潮堤本体1の長さを適宜調整し、防潮堤10を1体の防潮堤本体1で構成してもよい。
次に、上述する構成の防潮堤本体1を構成する堤体梁壁2、基礎杭3および固定体4について、その詳細を以下に説明する。
<堤体梁壁>
堤体梁壁2は、図1で示すように、下端が地盤中に貫入された状態で直立に設置される鉄筋コンクリート造の壁体であり、図4及び図5で示すように、堤体梁壁2の延長方向に延在し、高さ方向に間隔を設けて密に配置される複数の横筋21と、堤体梁壁2の高さ方向に延在し、延長方向に間隔を設けて配置される複数の縦筋22とが、堤体梁壁2の壁厚方向に間隔を有して一対配置されている。
また、堤体梁壁2には、せん断補強部材23が壁厚方向に隣り合う横筋21を連結するように配置されて、補強がなされている。せん断補強部材23は、図5で示すように、堤体梁壁2の延長方向に間隔を設けて複数配置されており、本実施の形態では図4で示すように、端部に半円形フックが形成されたせん断補強筋を採用している。なお、これら横筋21、縦筋22及びせん断補強部材23は、所定のかぶり厚を確保した状態でコンクリートCに埋設されている。
なお、堤体梁壁2では、津波の襲来に伴って船舶や車両等が漂流物となることにより、堤体梁壁2の一部に過大な漂流物衝突荷重が集中的に作用した場合にも、堤体梁壁2に堤内側への浸水といった有意な漏えいを生じさせるようなひび割れや損傷が生じることを回避できる程度に、複数の横筋21を密に配置し、またせん断補強部材23を配置している。
<基礎杭>
堤体梁壁2の背面側に構築される基礎杭3は、中空の鋼管杭を採用しており、図5で示すように、堤体梁壁2の背面側で延長方向に沿って列をなすように5本配置されている。基礎杭3の杭長は、図4で示すように、下端が地盤の支持層T2に達するとともに、上端が堤体梁壁2の天端近傍に位置する程度の長さを有している。なお、支持層T2への根入れ長L1は、基礎杭3の杭径D以上を確保している。
上記の基礎杭3は中空であるため、鉛直支持力を確保するべく下端部から所定の高さ範囲に杭先端にコンクリート31を充填して下端を閉塞させている。なお、コンクリート31に代えてセメントミルク等他の充填材を基礎杭3の中空部に充填し、下端を閉塞させる構成としてもよい。
また、基礎杭3の外周面には、鉄筋コンクリート造の固定体4との付着力を高めるため、複数のスタッドボルト33が設置されている。スタッドボルト33の周方向の設置範囲としては、例えば図5で示すように、堤体梁壁2の壁幅方向に略平行な基礎杭3の直径34を中心とする90°の範囲(海側及び陸側ともに)が好ましい。また、列をなす5本の基礎杭3のうち、列の両端に位置する基礎杭3には、堤体梁壁2の壁幅方向と略平行であって外方に向く範囲にもスタッドボルト33を設けるとよい。
<固定体>
固定体4は、図1で示すように、堤体梁壁2と基礎杭3とを一体に固定するための鉄筋コンクリート造の構造体であり、図5で示すように、基礎杭3を囲うようにして水平方向に延在し、両端部を堤体梁壁2の横筋21と交差させて堤体梁壁2に定着させる平面視コの字状のフープ筋41と、固定体4の高さ方向に延在し、基礎杭3を囲うようにして間隔をもって配置される複数の縦筋42と、を備える。
本実施の形態では前述したように、固定体4を基礎杭3ごとに設けるのではなく、5本の基礎杭3をひとまとめにして、1体だけ構築している。このため、フープ筋41は、図5で示すように、5本の基礎杭3すべてを囲って束ねるように配置されるとともに、その両端部を堤体梁壁2の横筋21と交差させる。これに加えて、隣り合う基礎杭3の間に隙間に、堤体梁壁2の横筋21と固定体4のフープ筋41における基礎杭3の並び方向に平行な部分とを連結する連結筋43を設けている。
なお、前述したように本実施の形態では、図4で示すように、固定体4を堤体梁壁2と同じ高さに構築している。したがって、フープ筋41及び連結筋43は、堤体梁壁2の上端と下端の範囲に間隔を設けて複数配置されるとともに、縦筋42は堤体梁壁2の上端近傍から下端近傍に至る長さをもって、所定のかぶり厚を確保した状態でコンクリートCに埋設されている。
このように、堤体梁壁2と基礎杭3を一体に固定する固定体4として、堤体梁壁2と同様の高さ及び長さL3に構築された鉄筋コンクリート造の構造物を採用することにより、堤体梁壁2の背面には固定体4と固定体4に埋設された鋼管杭よりなる基礎杭3とにより構成された鉄骨鉄筋コンクリート造の止水壁5が一体に構築される。
これにより、防潮堤本体1には、堤体梁壁2と止水壁5とよりなる二重の止水壁構造が形成されるため、過大な漂流物衝突荷重が集中的に堤体梁壁2の何れの位置に作用した場合でも、堤体梁壁2だけでなく止水壁5によっても浸水を防止することができ、確実に堤内側への浸水を抑制することが可能となる。
また、固定体4には、図5及び図6の配筋図で示すように、堤体梁壁2の延長方向に平行な面と基礎杭3各々との間に複数のせん断補強構造44を配置している。せん断補強構造44は、堤体梁壁2の壁厚方向に平行な部分を有するフープ筋441と、固定体4の高さ方向に延在しフープ筋441を支持する縦筋442とを有しており、フープ筋441は、縦筋442と固定体4の縦筋42とを囲うように配置される。
なお、本実施の形態において、フープ筋441は平面視四角形状に形成されているが、堤体梁壁2の壁厚方向に平行な部分をを有していれば、必ずしも平面視四角形状に形成しなくてもよい。
また、図5で示すように、堤体梁壁2の壁厚方向に平行な面と基礎杭3との間にも、せん断補強筋45を配置している。せん断補強筋45は平面視で、列をなす基礎杭3の中心軸を結ぶ直線と固定体4のフープ筋41における堤体梁壁2の壁厚方向に平行な部分との交点を頂点とし、基礎杭3の接線上に位置する、平面視くの字形状に形成されるとともに、高さ方向に間隔を設けて複数配置されている。
これにより、津波等により堤体梁壁2に直交する方向の水平荷重が、基礎杭3を介して固定体4の陸側に面する堤体梁壁2の延長方向に平行な面の近傍に局部的に作用しても、この部分がせん断補強構造44のフープ筋441により補強されているため、パンチング破壊と呼ばれるようなひび割れの発生を効果的に抑制することが可能となる。
同様に、固定体4における堤体梁壁2の壁厚方向に平行な面の近傍もせん断補強筋45により補強されているため、この部分に、津波等により堤体梁壁2に交差する方向の水平荷重が、基礎杭3を介して局部的に作用しても、パンチング破壊と呼ばれるようなひび割れの発生を効果的に抑制することが可能となる。
なお、本実施の形態では、堤体梁壁2の延長方向に平行な面と基礎杭3各々との間に配置する4つのせん断補強構造44を1組とし、この組み合わせを、堤体梁壁2の壁厚方向に平行な基礎杭3の半径を中心とする90°の範囲各々に配置している。しかし、せん断補強構造44の組み合わせの数量や、その配置範囲は、必ずしも上記の構成に限定されるものではない。
また、せん断補強構造44のフープ筋441は、固定体4の高さ方向に間隔を設けて複数設置されるが、その配置方法は図6の海側から見た配筋図で示すように、隣り合うフープ筋441の干渉を避け、かつ固定体4の高さ範囲に密に配置するべく、千鳥状に配置されている
さらに、フープ筋441の配置間隔は、固定体4の高さ方向に一定に配置してもよいが、例えば、基礎杭3に変形が生じやすく固定体4にひび割れが生じやすい地表面T1から所定の高さ範囲に対してフープ筋441を密に配置し、これより上方のひび割れを生じる可能性の低い範囲に対して、フープ筋441を疎密に配置してもよい。
上述する構成の防潮堤10は、津波が発生して堤体梁壁2の前面に作用する津波荷重を、固定体4を介して基礎杭3にスムーズに伝達するだけでなく、津波の襲来に伴って船舶や車両等が漂流物となることにより、堤体梁壁2の一部に過大な漂流物衝突荷重が集中的に作用した場合にも堤体梁壁2は損傷やひび割れを生じにくく、これら損傷部やひび割れを介して海水が堤内側へ浸水する挙動を防止することが可能となる。
また、堤体梁壁2の一部分に集中的に作用した漂流物衝突荷重は、堤体梁壁2の広範囲に分散されるとともに、固定体4を介して複数の基礎杭3各々に伝達されるため、防潮堤本体1に損傷が生じにくく、これら防潮堤本体1を連結した防潮堤10に高い安全性を確保することが可能となる。
本発明の防潮堤10は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、本実施の形態では、基礎杭3に鋼管杭を採用したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、一般に基礎杭3として採用されているものであればいずれの材料を適用してもよいが、特に鉄骨造の杭体が好ましい。また、本実施の形態では、防潮堤10を構成する防潮堤本体1に5本の基礎杭3を設けたが、その数量はいずれでもよい。
さらに、本実施の形態では、5本の基礎杭3をひとまとめにして固定体4を1体だけ構築したが、基礎杭3ごとに固定体4を構築する構成としてもよい。この場合、防潮堤本体1の構造は、止水壁が堤体梁壁2だけの1枚構造となるが、前述したように、堤体梁壁2には、横筋21が密に配置されているとともにせん断補強部材23が配置されているため、1枚構造でも津波による堤内側への浸水を防止することが可能である。
また、固定体4は必ずしも堤体梁壁2の全高さにわたって構築しなくてもよく、堤体梁壁2と基礎杭3とが一体に挙動するよう固定できればいずれの高さ位置に構築してもよい。また、固定体4は、現場打ち鉄筋コンクリート造またはプレキャストコンクリート造のいずれでもよく、さらには鉄筋コンクリート造でなくてもよい。
加えて、本実施の形態では、堤体梁壁2に備えたせん断補強部材23として、端部に半円形フックが形成されたせん断補強筋を採用したが、一般にせん断補強部材として採用されている部材であれば、いずれを用いてもよい。例えば、図7(a)で示すような端部に鋭角フックが形成されたせん断補強筋や、図7(b)で示すような機械式定着工法に採用される拡径部を備えたせん断補強筋等を採用してもよい。
さらに、堤体梁壁2は、現場打ち鉄筋コンクリート造またはプレキャストコンクリート造のいずれよりなるものでもよい。
10 防潮堤
1 防潮堤本体
2 堤体梁壁
21 横筋
22 縦筋
23 せん断補強部材
3 基礎杭
31 コンクリート
32 重量物
33 スタッドボルト
34 直径
4 固定体
41 フープ筋(補強筋)
42 縦筋
43 連結筋
44 せん断補強構造
441 フープ筋(せん断補強部材)
442 縦筋
45 せん断補強筋(せん断補強部材)
46 軸線
5 止水壁
6 連結部材
61 止水シート
62 把持部材
7 垂下板
8 対策工
81 堤外側表層改良体
82 堤内側表層改良体
83 盛土
T1 地表面
T2 支持層面

Claims (5)

  1. 前面が海側に対向する鉄筋コンクリート造の堤体梁壁と、
    該堤体梁壁の背面側に沿って列をなして配置される複数の基礎杭と、
    該基礎杭と前記堤体梁壁とを一体に固定する固定体を備え、
    前記堤体梁壁は、漂流物衝突荷重が作用しても浸水経路となるクラックを防止可能な止水構造の壁体として構築され、
    前記固定体は、複数の前記基礎杭を束ねて止水壁として構築され、
    前記堤体梁壁と該止水壁とを一体にした、二重の止水壁構造が形成されており、
    前記堤体梁壁は、横筋及び縦筋とせん断補強部材とを堤内側へ浸水を生じさせるようなひび割れや損傷を防止できる程度に密に備えていることを特徴とする防潮堤。
  2. 請求項に記載の防潮堤において、
    前記固定体は、前記堤体梁壁の壁厚方向に平行な面と前記基礎杭との間に、平面視でくの字形状のせん断補強筋が配置され、パンチング破壊が抑制されていることを特徴とする防潮堤。
  3. 請求項に記載の防潮堤において、
    前記固定体は、前記堤体梁壁の延長方向に平行な面と前記基礎杭との間に、フープ筋と、該フープ筋を支持する縦筋が配置され、パンチング破壊が抑制されていることを特徴とする防潮堤。
  4. 請求項に記載の防潮堤において、
    前記基礎杭の上端が、前記堤体梁壁の天端近傍に位置することを特徴とする防潮堤。
  5. 請求項に記載の防潮堤において、
    前記堤体梁壁及び前記固定体が、互いに同様の長さ及び高さを有することを特徴とする防潮堤。
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Citations (6)

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