JP7309147B2 - ケーソン、ニューマチックケーソン工法及び構造物 - Google Patents

ケーソン、ニューマチックケーソン工法及び構造物 Download PDF

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Description

構造物の基礎に用いられるケーソン、このケーソンを地中に構築するニューマチックケーソン工法、及び上記ケーソンを有する構造物に関する。
従来から、地盤を掘削しながら剛性の高い鉄筋コンクリートなどからなる躯体を沈設して地中にケーソンを構築するニューマチックケーソン工法が知られている(例えば、特許文献1)。
このニューマチックケーソン工法を用いて構築したケーソンは、高い剛性を有することから、当該ケーソンを建物などの構造物の基礎として採用することで、構造物の耐震性等を向上させることができるため、近年では、岸壁・護岸(矢板式岸壁や重力式岸壁など)や桟橋といった港湾構造物の剛性を高めることを目的としてケーソンを利用する方法についても種々検討されている。
矢板式岸壁は、鋼矢板で壁を作り、この壁と控え杭としての鋼管とをタイロッドで結ぶことで、鋼矢板壁が海側へと崩れるのを防ぐ構造を有したものであり、重力式岸壁は、剛性が高く、かつ重量の大きな壁体を作ることで、壁体が海側へと崩れるのを防ぐ構造を有したものである。また、桟橋は、鋼管杭を多数施工して鉄筋コンクリートの上部構造体を支える構造を有したものである。これらはいずれも船舶の接岸や荷役を可能にするために、海底面と地表面との間に高低差があり、例えば、大型船舶の接岸を可能にする場合、その高低差は非常に大きくなるため、従来の構造では十分な耐震性を確保することが難しくなる。
そこで、矢板式岸壁、重力式岸壁及び桟橋の剛性を高めて十分な耐震性を確保するために、これら矢板式岸壁や桟橋に用いられる鋼管杭を、より剛性の高いケーソンに置き換えるといった検討がなされ、また、重力式岸壁については、ケーソンを根入れを有するケーソンに置き換えるといった検討がなされている。
特許第4455543号公報
ところで、上記のように、矢板式岸壁や桟橋の鋼管杭をケーソンに置き換えたり、重力式岸壁のケーソンを、根入れを有するケーソンに置き換えたりしたとしても、耐震性の向上に限界があるという問題がある。以下、この問題について詳述する。
地震が起こると、構造物には地震荷重が作用し、通常、この地震荷重は水平方向の荷重として扱われる。矢板式岸壁や桟橋において、鋼管杭から置き換えたケーソンは、この水平荷重に対して、ケーソン自体の剛性(水平荷重に対して大きく曲がらないこと)と、地盤の水平抵抗(水平荷重作用時に倒れるケーソンを地盤が支えること)という2つの効果で抵抗することが期待されている。重力式岸壁において置き換えた根入れを有するケーソンについても上記と同様の2つの効果で抵抗することが期待されている。
しかしながら、地震発生時には軟弱地盤の剛性が低下し、地盤がケーソンを支える水平抵抗が地震発生前よりも大きく減少する。このため、地盤の水平抵抗が不足し、ケーソンに作用する水平抵抗は、地中の深い箇所にある剛性の高い地盤(工学的基盤)からの反力のみとなるので、ケーソン自体の剛性をいくら高めても、水平抵抗が不足しており、慣性力や土圧の増加による傾斜などの変形が避けられない。とりわけ、上記のように、港湾に設置される岸壁・護岸や桟橋においては、海底面と地表面との間に高低差があるため、偏土圧の影響によって海側へ強い荷重が作用し、ケーソンが海側に向けて大きく傾斜し易い。
このように、構造物の基礎に剛性の高いケーソンを採用したとしても、地盤の水平抵抗が不足するような場合には、ケーソン自体の剛性が耐震性にほとんど寄与せず、慣性力や土圧の増加による傾斜などの変形が避けられない以上、構造物の基礎として単にケーソンを採用するだけでは、耐震性の向上に限界があり、改善の余地がある。
本発明は以上の実情に鑑みなされたものであり、構造物の耐震性を従来よりも向上させることができるケーソン、このケーソンを地中に構築するニューマチックケーソン工法、及びこのニューマチックケーソン工法を用いて構築したケーソンを有する構造物の提供を、その目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係るケーソンの特徴構成は、下端部が地中に構築され、構造物の基礎に用いられるケーソンであって、
筒状をなして鉛直方向に延びる主部と、
前記主部における下端部外周の少なくとも一部に形成され、前記主部よりも水平方向に突出した突出部と、を有し、
前記突出部が前記主部における下端部外周の一部から水平方向に沿って一方向に延びた片側突出ケーソンについては、前記突出部における下面の面積が、前記主部における下面の面積の0.29倍以上2倍以下であり、
前記主部の下端部外周から前記主部の全周に亘って水平方向に突出し、前記主部の外形よりも大きな外形を有した前記突出部を有するとともに、前記主部の軸方向視において外形が円形である円形突出ケーソンについては、前記突出部における下面の面積が、前記主部における下面の面積の0.71倍以上2倍以下であり、
前記主部の下端部外周から前記主部の軸心を中心とする対向した2方向に延びた前記突出部を有する両側突出ケーソンについては、前記突出部における下面の面積、前記主部における下面の面積の0.55倍以上2倍以下である点にある。
上記特徴構成によれば、ケーソンに対して水平荷重が作用した際に、主部及び突出部の底面に対して地盤から鉛直方向に向けた大きな反力が作用するとともに、突出部が形成されたケーソンの下端部に大きな水平抵抗が作用する。したがって、従来のように突出部がない場合と比較して、ケーソンに対して作用する鉛直方向への反力や水平抵抗が大きくなるため、慣性力や土圧が増加しても傾斜し難くなる。
偏土圧の影響によってケーソンに対して海側へ強い荷重が作用するような場合には、主部の下端部外周における海側に突出部を形成することにより、海側への荷重に抗するように、突出部の底面に鉛直方向に向けた大きな反力が作用するため、慣性力や土圧の増加による傾斜などの変形が従来よりも抑制される。
また、主部の下端部外周の少なくとも一部に突出部を設けて、当該突出部に鉛直方向に向けた反力や水平抵抗が作用するようにしているため、主部全体を太くして地盤の水平抵抗を大きくしようとするような場合と比較して、慣性力を減らすことができるとともに、ケーソン自体の剛性を十分に確保できるような場合には、ケーソンの構築に必要な材料を減らして、コストの削減を図ることも可能となる。
また、上記目的を達成するための本発明に係るニューマチックケーソン工法の特徴構成は、上記ケーソンを地中に構築するニューマチックケーソン工法であって、
地盤を掘削して前記ケーソンを着底させる着底工程と、
前記着底工程において前記突出部の上方に形成される被埋戻空間を埋め戻す埋戻工程と、を行う点にある。
上記特徴構成によれば、着底工程を行ってケーソンの下端部を着底させる。このとき、ケーソンの主部の下端部外周には突出部が形成されているため、ケーソンを着底させる際に、主部の横断面よりも大きな領域を掘削する必要がある。したがって、着底工程を行っている最中に地盤には、突出部の上方に土砂等で満たされていない空間(被埋戻空間)が形成されてしまう。そこで、上記特徴構成では、着底工程と同時進行で埋戻工程を行う、或いは着底工程後に埋戻工程を行うことで、着底工程において形成された被埋戻空間を埋め戻す。これにより、主部の下端部外周に突出部が形成されたケーソンを地中に構築することができる。
そして、このニューマチックケーソン工法により構築したケーソンは、上記と同様に、従来のケーソンと比較して、慣性力や土圧が増加しても傾斜し難いものとなり、このケーソンを構造物の基礎などに採用することで、構造物の耐震性を従来よりも向上できる。
また、本発明に係るニューマチックケーソン工法の更なる特徴構成は、前記埋戻工程において、前記被埋戻空間を粒状体によって埋め戻す点にある。
上記特徴構成によれば、被埋戻空間を粒状体によって埋め戻すため、地盤中に粒状体の柱を作成することができ、これにより、地震時に発生する過剰間隙水圧を早期に消散させることができるようになり、液状化による悪影響を抑えることができる。
また、本発明に係るニューマチックケーソン工法の特徴構成は、ケーソンを地中に構築するニューマチックケーソン工法であって、
前記ケーソンは、
構造物の基礎に用いられ、
筒状をなして鉛直方向に延びる主部と、
前記主部における下端部外周の少なくとも一部に形成され、前記主部よりも水平方向に突出した突出部と、を有し、
地盤を掘削して前記ケーソンを着底させる着底工程と、
前記着底工程において前記突出部の上方に形成される被埋戻空間を埋め戻す埋戻工程と、を行い、
前記埋戻工程において、前記被埋戻空間を粒径が10~100mmの粒状体によって埋め戻す点にある。
上記特徴構成によれば、着底工程を行ってケーソンの下端部を着底させる。このとき、ケーソンの主部の下端部外周には突出部が形成されているため、ケーソンを着底させる際に、主部の横断面よりも大きな領域を掘削する必要がある。したがって、着底工程を行っている最中に地盤には、突出部の上方に土砂等で満たされていない空間(被埋戻空間)が形成されてしまう。そこで、上記特徴構成では、着底工程と同時進行で埋戻工程を行う、或いは着底工程後に埋戻工程を行うことで、着底工程において形成された被埋戻空間を埋め戻す。これにより、主部の下端部外周に突出部が形成されたケーソンを地中に構築することができる。
そして、このニューマチックケーソン工法により構築したケーソンは、上記と同様に、従来のケーソンと比較して、慣性力や土圧が増加しても傾斜し難いものとなり、このケーソンを構造物の基礎などに採用することで、構造物の耐震性を従来よりも向上できる。
上記特徴構成によれば、被埋戻空間を粒状体によって埋め戻すため、地盤中に粒状体の柱を作成することができ、これにより、地震時に発生する過剰間隙水圧を早期に消散させることができるようになり、液状化による悪影響を抑えることができる。
また、本発明に係るニューマチックケーソン工法の更なる特徴構成は、前記粒状体は砕石である点にある。
上記特徴構成によれば、地盤中に砕石柱を作成することができ、地震時に発生する過剰間隙水圧を早期に消散させることができるようになり、液状化による悪影響を抑えることができる。
また、上記目的を達成するための本発明に係る構造物の特徴構成は、地盤に着底した上記ケーソンを有する点にある。
上記特徴構成によれば、主部の下端部外周の少なくとも一部に突出部が形成されたケーソンが地盤に着底した構造を有しており、このケーソンは、従来のケーソンと比較して慣性力や土圧が増加しても傾斜し難いものである。したがって、上記特徴構成を備えた構造物は、耐震性が従来よりも向上したものとなる。
また、本発明に係る構造物の更なる特徴構成は、前記ケーソンにおける前記突出部の上方に粒状体からなる柱が形成されている点にある。
上記特徴構成によれば、地盤中に粒状体からなる柱が形成されていることで、地震時に発生する過剰間隙水圧を早期に消散させることができるようになり、液状化による悪影響を抑えることができる。
また、本発明に係る構造物の特徴構成は、地盤に着底したケーソンを有する構造物であって、
前記ケーソンは、
構造物の基礎に用いられ、
筒状をなして鉛直方向に延びる主部と、
前記主部における下端部外周の少なくとも一部に形成され、前記主部よりも水平方向に突出した突出部と、を有し、
前記ケーソンにおける前記突出部の上方に粒径が10~100mmの粒状体からなる柱が形成されている点にある。
上記特徴構成によれば、主部の下端部外周の少なくとも一部に突出部が形成されたケーソンが地盤に着底した構造を有しており、このケーソンは、従来のケーソンと比較して慣性力や土圧が増加しても傾斜し難いものである。したがって、上記特徴構成を備えた構造物は、耐震性が従来よりも向上したものとなる。
上記特徴構成によれば、地盤中に粒状体からなる柱が形成されていることで、地震時に発生する過剰間隙水圧を早期に消散させることができるようになり、液状化による悪影響を抑えることができる。
また、本発明に係る構造物の更なる特徴構成は、前記粒状体が砕石である点にある。
上記特徴構成によれば、地盤中に砕石柱が形成されていることで、上記と同様に、地震時に発生する過剰間隙水圧を早期に消散させることができるようになり、液状化による悪影響を抑えることができる。
また、本発明に係る構造物の更なる特徴構成は、港湾に設置され、
前記ケーソンにおける前記突出部が、少なくとも海側に形成されている点にある。
岸壁・護岸や桟橋などの港湾構造物は、上述したように、海底面と地表面との間に高低差があるため、偏土圧の影響によって海側へ強い荷重が作用し、ケーソンが海側に向けて大きく傾斜し易い。
しかしながら、上記特徴構成においては、ケーソンの突出部が少なくとも海側に形成されていることで、海側への荷重に抗するように、突出部の底面に鉛直方向に向けた大きな反力が作用するため、慣性力や土圧の増加によるケーソンの傾斜が抑制される。したがって、上記特徴構成を備えた構造物は、従来のケーソンを有する構造物と比較して耐震性が向上したものとなる。
また、本発明に係る構造物の更なる特徴構成は、少なくとも第1方向に突出した突出部を有する第1ケーソンと、
少なくとも前記第1方向の反対側の第2方向に突出した突出部を有する第2ケーソンとを有する点にある。
上記特徴構成によれば、第1方向に突出した突出部を有する第1ケーソンは、第1方向への傾斜などの変形が生じ難く、また、第2方向に突出した突出部を有する第2ケーソンは、第2方向への傾斜などの変形が生じ難い。そのため、構造物がこれら第1及び第2ケーソンを有していることで、地震が発生した際に構造物が第1方向と第2方向とに向けて交互に揺れて浮き上がる現象(所謂ロッキング現象)の発生が抑制される。
一実施形態に係るケーソンの概略構成を示す正面図である。 一実施形態に係るケーソンの概略構成を示す上面図である。 別の実施形態に係るケーソンの概略構成を示す上面図である。 別の実施形態に係るケーソンの概略構成を示す上面図である。 一実施形態に係るニューマチックケーソン工法の手順を説明するための図である。 一実施形態に係るニューマチックケーソン工法の手順を説明するための図である。 一実施形態に係るニューマチックケーソン工法の手順を説明するための図である。 従来のケーソンで生じる問題を説明するための図である。 一実施形態に係るケーソンの効果を説明するための図である。 一実施形態に係る構造物の概略構成を示す図である。 別の実施形態に係る構造物の概略構成を示す図である。 別の実施形態に係る構造物の概略構成を示す図である。 突出量と抵抗モーメントとの関係を示すグラフである。 突出部が形成されていないケーソンに関する変形量と高さとの関係を示すグラフである。 突出部が形成されたケーソンに関する変形量と高さとの関係を示すグラフである。 突出部が形成されていないケーソンに関する曲げモーメントと高さとの関係を示すグラフである。 突出部が形成されたケーソンに関する曲げモーメントと高さとの関係を示すグラフである。 突出量と変形量比との関係を示すグラフである。
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係るケーソン、ニューマチックケーソン工法及び構造物について説明する。
[ケーソン]
図1及び図2は、一実施形態に係るケーソン1の概略構成を示す図である。図1及び図2に示すように、このケーソン1は、構造物の基礎に用いられるケーソンであって、中空の筒状をなして鉛直方向に延びる主部2と、この主部2における下端部外周の少なくとも一部に形成され、主部2よりも水平方向に突出した突出部3とを有している。
このケーソン1において、主部2における突出部3が形成された部分は、中実形状になっており、ケーソン1における主部2から突出部3に亘る下端面には、刃口4が形成され、この刃口4と主部2の筒内とは、後述するニューマチックケーソン工法によりケーソン1を構築する際に土砂や資材の運搬、人の出入りを行うための貫通孔5が連通形成されている。尚、刃口4や貫通孔5は、地中にケーソン1を構築した後、適宜コンクリートによって埋められる。
一実施形態に係るケーソン1については、図1及び図2に示すように、突出部3が主部2における下端部外周の一部から一方向に延びた構成のケーソン(以下、片側突出ケーソンともいう)としたが、突出部3の形状はこれに限られるものではない。本発明に係るケーソンは、例えば、図3に示すように、主部2aの下端部外周から主部2aの全周に亘って水平方向に突出し、主部2aの外形よりも大きな外形を有した構成の突出部3aを有するケーソン1a(以下、円形突出ケーソンともいう)であっても良いし、図4に示すように、主部2bの下端部外周から主部2bの軸心を中心とする対向した2方向に延びた構成の突出部3bを有するケーソン1b(以下、両側突出ケーソンともいう)であっても良い。
また、ケーソン1,1a,1bにおける突出部3,3a,3bを上面から視た形状は、特に限定されるものではない。ケーソンの突出部は、図2や図3に示すように、上面視矩形状や上面視円形状であっても良いし、上面視半円形状や上面視楕円形状、上面視半楕円形状、上面視三角形状であっても良い。更に、突出部の下面の面積は、ある程度の大きさであることが好ましいが、特に限定されるものではない。尚、突出部の下面の面積の好ましい範囲としては、主部の下面の面積の2倍程度以下を例示できる。
また、ケーソン1,1a,1bの主部2,2a,2bは、円筒状に限られず、筒状であれば、その断面形状は四角形や三角形、その他の形状であっても良い。
ケーソン1,1a,1bによれば、地中に埋まった状態で当該ケーソン1,1a,1bに対して水平荷重が作用した際に、主部2,2a,2b及び突出部3,3a,3bの底面に対して地盤から鉛直方向に向けた反力が作用するとともに、突出部3,3a,3bに水平抵抗が作用する。これにより、突出部3,3a,3bが形成されていないケーソンと比較して、ケーソン1,1a,1bに作用する鉛直方向への反力や水平抵抗が大きくなるため、慣性力や土圧が増加しても傾斜し難い。
尚、突出部3,3a,3bは、突出部3,3a,3bに作用する鉛直方向に向けた反力や水平抵抗を大きくするという観点からすると幅W,Wa,Wb1,Wb2を大きくすることが好ましいが、幅W,Wa,Wb1,Wb2を大きくすることで、ケーソン1,1a,1bの材料量やケーソン1,1a,1bを地中に構築する際の地盤の掘削量が多くなり、コストが増加する。したがって、突出部3,3a,3bの幅W,Wa,Wb1,Wb2は、ケーソン1,1a,1bの傾斜を十分に抑制できる反力や水平抵抗が作用するような大きさとし、必要以上に大きくしないことが好ましい。例えば、片側突出ケーソン1の突出部3の幅W、円形突出ケーソン1aの突出部3aの幅Wa、及び両側突出ケーソン1bの突出部3bの幅Wb1,Wb2は、いずれも5m程度以下であることが好ましい。
[ニューマチックケーソン工法]
次に、一実施形態に係るニューマチックケーソン工法の手順について、図5~図7を参照しつつ説明する。尚、以下においては、上記ケーソン1をニューマチックケーソン工法によって地中に構築する場合を例にとって説明するが、本発明に係るケーソンには、主部となる複数の環状体を沈下させた後にケーソンの下端部に突出部を形成して構築されるケーソンも含まれる。
まずは、着底工程を行う。着底工程では、予め作成した基体11a及び複数の環状体11bを順次沈下させて基体11a及び複数の環状体11bを連結しながら、ケーソン1を着底させる。具体的には、まず、図5に示すように、予め作成した上記ケーソン1の主部2及び突出部3となる基体11aを地面に設置し、基体11aに形成された貫通孔5と連通するマンシャフト12やマテリアルシャフト13等をクローラクレーンCaによって建設する。ついで、刃口4の内側且つ下方の地盤Gを遠隔操作可能なショベルSによって掘削し、基体11aの自重により、当該基体11aを沈下させる。尚、掘削により生じた土砂は、マテリアルシャフト13を通して地表に搬送され、スケータークレーンCbによって適宜外部に運び出される。
その後、主部2となる複数の環状体11bを基体11a上に順次連結しながら、刃口4の内側且つ下方の地盤Gを掘削し、基体11a及び複数の環状体11bを沈下させていき、ケーソン1を所定の位置に着底させる。尚、所定の位置とは、ケーソン1の下端側が工学的基盤に到達しているような位置であることが好ましく、例えば、ケーソン1の下端側の1m程度が工学的基盤内に到達しているような位置である。
しかる後、図6に示すように、外部から刃口4内及び貫通孔5内にコンクリートを注入し(図6中の破線矢印)、これら刃口4及び貫通孔5をコンクリートによって埋めて、着底工程を終了する。
ここで、図6に示すように、本実施形態に係るニューマチックケーソン工法では、ケーソン1を着底させる際に、主部2の横断面よりも大きな領域を掘削する必要があるため、着底工程後の地盤には、突出部3の上方に土砂で満たされていない被埋戻空間Gaが形成されてしまう。
そこで、突出部3を有するケーソン1をニューマチックケーソン工法によって地中に構築する場合には、着底工程を行った後、被埋戻空間Gaを埋め戻す埋戻工程を行う。本実施形態に係るニューマチックケーソン工法では、埋戻工程において、被埋戻空間Gaを砕石Dにより埋め戻し、砕石柱D1を作成する(図7参照)。
このように、本実施形態に係るニューマチックケーソン工法によれば、着底工程及び埋戻工程を行うことで、突出部3が形成されたケーソン1を地中に構築することができ、更に、埋戻工程において、被埋戻空間Gaを砕石Dによって埋め戻すようにしていることで、地盤中に砕石柱D1を作成することができるため、地震時に発生する過剰間隙水圧を早期に消散させることができるようになり、液状化による悪影響も抑えることができる。
尚、片側突出ケーソン1、円形突出ケーソン1a及び両側突出ケーソン1bを構築する際の地盤の掘削量が同じとなるように、各ケーソン1,1a,1bにおける突出部3,3a,3bの突出量を設定した場合には、砕石柱D1を形成して液状化による悪影響を抑えるために砕石柱D1の表面積を大きくするという観点からすると、ケーソンは円形突出ケーソン1aであることが好ましい。
また、被埋戻空間Gaを埋め戻す際に使用する資材は、砕石に限られるものではなく、液状化対策として必要となる透水係数を確保できる範囲で、粒径10~100mm程度の粒状体であっても良い。この場合でも、地盤中に粒状体の柱を作成することができるため、上記と同様に、地震時に発生する過剰間隙水圧を早期に消散させることができるようになり、液状化による悪影響を抑えることができる。
また、上記ニューマチックケーソン工法においては、着底工程を行った後に埋戻工程を行うようにしたが、着底工程と同時進行で埋戻工程を行うようにしても良い。
次に、図8及び図9を参照して、本実施形態に係るニューマチックケーソン工法によって構築したケーソン1が従来のケーソン100と比較して、慣性力や土圧が増加しても傾斜し難く原理について説明する。尚、図8及び図9では、一例として港湾にケーソン1,100を構築した状態を示した。
まず、図8に示すように、従来のケーソン100では、地震が発生した際に地盤の軟弱層の剛性が低下し、地盤がケーソン100を支える水平抵抗が地震発生前よりも大きく減少する。このため、地盤の水平抵抗が不足し、ケーソン100に作用する水平抵抗は、工学的基盤からの反力のみとなり、ケーソン100の傾斜の抑制に寄与する力が、この工学的基盤からの反力(図8中の右向きの矢印)とケーソン100の底面に作用する反力(図8中の上向き矢印)となる。このように、ケーソン100に作用する水平抵抗が不足するような場合には、ケーソン100の剛性が高くとも、その剛性が耐震性にほとんど寄与せず、慣性力や土圧の増加による傾斜を抑制する力が弱いため、傾斜などの変形が生じる。
一方、図9に示すように、本実施形態に係るケーソン1を突出部3が海側に向けて突出した状態となるように設置した場合には、地震が発生してケーソン1に対して水平荷重が作用した際に、主部2及び突出部3の底面に対して工学的基盤から鉛直方向に向けた大きな反力(図9中の上向き矢印)が作用するとともに、突出部3が形成されたケーソン1の下端部に大きな水平抵抗(図9中の右向き矢印)が作用する。これにより、従来のケーソン100と比較して、ケーソン1に対して作用する鉛直方向への反力及び水平抵抗が大きくなる、即ち、慣性力や土圧の増加による傾斜を抑制する力が大きくなるため、ケーソン1が傾斜し難くなる。
また、地盤中に砕石柱D1が形成されていることで、地震時に発生する過剰間隙水圧が早期に消散され、液状化による悪影響(本実施形態に係るケーソン1を基礎として採用した構造物の耐震性が低くなるなど)も抑えることができる。
[構造物]
次に、地盤に着底した上記ケーソンを備える構造物について説明する。尚、以下において、構造物が港湾に設置された桟橋である場合を例にとって説明する。
図10に示すように、一実施形態に係る桟橋Tは、地盤に着底した複数のケーソン1とこのケーソン1上に設置された上部工20とからなり、ケーソン1の突出部3の上方には砕石柱D1が形成されている。各ケーソン1は、突出部3が海側に向けて突出した状態となるように岸に沿って所定の間隔(例えば20m)をあけて列状に配置されている。尚、本実施形態においては、ケーソン1からなる列が2列である構成を採用したが、これに限られるものではなく、各種の技術基準を満たす限り、1列であっても良いし、複数列であっても良い。
このような構成を備えた桟橋Tにおいては、突出部3が海側に向けて突出した状態となるように配置された複数のケーソン1を備えていることで、海側への荷重に抗するように、突出部3の底面に鉛直方向に向けた大きな反力が作用する。したがって、地震が発生した際に、陸側から海側に向けた荷重が作用しても、この荷重に抗するように、各ケーソン1における突出部3の底面に大きな反力が作用し、慣性力や土圧の増加による各ケーソン1の傾斜が抑制され、更に、地盤中に砕石柱D1が形成されていることで、地震時に発生する過剰間隙水圧が早期に消散され、液状化による悪影響も抑えられる。これにより、本実施形態に係る桟橋Tは、従来のケーソンを基礎として採用した桟橋と比較して耐震性が向上する。
図11は、別の実施形態に係る桟橋Taの概略構成を示す図である。同図に示すように、桟橋Taは、上記桟橋Tと同様に、複数のケーソン1とこのケーソン1上に設置された上部工20とからなり、ケーソン1の突出部3上方には砕石柱D1が形成されている。一方、この桟橋Taにおいて、各ケーソン1のうちの一部のケーソン1(第1ケーソン)は、突出部3が海側方向(第1方向)に向けて突出した状態となるように岸に沿って所定の間隔(例えば20m)をあけて列状に配置され、他のケーソン1(第2ケーソン)は、突出部3が陸側方向(第2方向)に向けて突出した状態となるように岸に沿って所定の間隔(例えば20m)をあけて列状に配置されている。
このような構成を備えた桟橋Taにおいては、突出部3が海側に向けて突出した状態なるように配置されたケーソン1(第1ケーソン)と、突出部3が陸側に向けて突出した状態となるように配置されたケーソン1(第2ケーソン)とを備えていることで、第1ケーソン1の突出部3の底面に、海側への荷重に抗するように鉛直方向に向けた大きな反力が作用するとともに、第2ケーソン1の突出部3の底面に、陸側への荷重に抗するように鉛直方向に向けた大きな反力が作用する。したがって、桟橋Taでは、上記桟橋Tと同様に、慣性力や土圧の増加による各ケーソン1の傾斜が抑制されるとともに、液状化による悪影響も抑えられ、更に、桟橋Taが海側方向と陸側方向とに向けて交互に揺れて浮き上がる現象の発生も抑制される。
また、本発明に係る構造体は、図12に示すように、岸壁に沿って所定深さに打ち込まれた鋼矢板からなる鋼矢板壁30や、陸側の地盤に埋設された控え杭32、鋼矢板壁30と控え杭32とを連結するタイロッド31などを備えた既存の矢板式岸壁Tbにケーソン1を設けた構成であっても良い。例えば、矢板式岸壁Tbの控え杭32の近傍に、ケーソン1を構築するとともに、砕石柱D1を形成し、ケーソン1の上部と控え杭32の上部とを連結部材33によって連結して一体化した構成を備えていても良い。
このような構成を備えた矢板式岸壁Tbでは、ケーソン1と控え杭32とが一体化されていることで、ケーソン1を備えていない構成と比較して耐震性が向上している。このように、ケーソン1を構築して既存の矢板式岸壁Tbの控え杭32と一体化するだけで、既存の矢板式岸壁Tbの耐震性を高めることができるため、船舶の大型化に対応するための増深に伴って耐震性を高める必要がある場合や、新しい耐震基準に適合させるために耐震性を高める必要がある場合に、高額な地盤改良を実施することなく、対応することが可能である。
尚、上記桟橋T,Ta,や矢板式岸壁Tbにおいては、ケーソンとして片側突出ケーソン1を採用したが、これに限られるものではなく、円形突出ケーソン1aや両側突出ケーソン1bを採用しても良い。また、地盤条件や構造物に要求される耐震性能等に応じて、採用する全てのケーソンを突出部の形状が同じものとしても良いし、突出部の形状が異なるケーソンを組み合わせて採用しても良い。また、全てのケーソンが底部に突出部3,3a,3bを有するものである必要はなく、地盤条件や構造物に要求される耐震性能等に応じて、複数のケーソン1のうちの一部に従来のケーソン(突出部のないケーソン)を採用しても良い。
また、本発明に係る構造物は、矢板式岸壁の控え杭に代えてケーソン1を採用したものや、重力式岸壁の基礎としてケーソン1を採用したもの、既存の桟橋の海側にケーソン1を一体化したもの、上記ケーソンを基礎として、その上に風力発電機等を設置したものであっても良い。
また、上例では、砕石柱D1が形成されている態様を示したが、これに限られるものではなく、本発明に係る構造物は、砕石柱の代わりに粒状体からなる柱が形成されていても良いし、砕石柱や粒状体からなる柱が形成されていなくても良い。
更に、本発明に係る構造物は、港湾に設置されるものに限られず、傾斜の抑制が必要な場所に設置される構造物やロッキングの抑制が必要な場所に設置される構造物であっても良く、傾斜の抑制が必要な場所に設置される構造物が備えるケーソンは、ケーソンを傾斜させる力が作用する方向とは反対側に向けて突出した突出部が形成されていることが好ましく、ロッキングの抑制が必要な場所に設置される構造物が備えるケーソンは、少なくとも相対する方向に向けて突出した突出部が形成されていることが好ましい。即ち、構造物が備えるケーソンは、当該構造物を設置する場所に応じて、突出部の突出方向を適宜設定することが好ましい。
〔数値解析結果〕
次に、弾性床上の梁理論を用いた数値解析によって、ケーソンの耐震性を評価した結果について図13~図18を参照して説明する。
尚、数値解析においては、ケーソンのみをモデル化し、地盤の効果はばね反力として反映されるものとした。ケーソンの根入れ長は20m、断面は円形で直径6.5m、断面2次モーメントは67mとした。荷重条件は、桟橋ケーソン1基あたり、法線直角方向(海から陸に向かう方向)の分担幅が14m、法線方向の分担幅が20mの構造条件で、レベル2地震時相当の水平震度が0.41程度の条件とし、具体的には以下の通りとした。自重は54281kN、海底面での水平荷重は22500kN、海底面での作用モーメントは365800kNmとした。水平地盤反力係数は、剛性低下を考慮した想定値でケーソンの上端から下端まで一定値の5380kN/mとし、鉛直地盤反力係数は71225kN/mとした。また、ケーソンの突出部上の土の重量を壁体重量として見込み、突出部の重量は無視した。更に、数値解析では、ケーソンの下端部に地盤からの反力によって生じる抵抗モーメントを考慮し、モーメントを無視してケーソンの傾斜角を算出した上で、傾斜角に応じたモーメントを与えて再度計算し、最終的に地盤面での変形が収束するまで繰り返し計算を行った。尚、抵抗モーメントは、道路橋示方書の設定に準拠して、ケーソン中心を回転中心とするものとした。計算には、弾性床上の梁の理論を適用した。当該理論は、ケーソンを梁とみなして水平荷重やモーメントなどの外力と地盤反力を受ける梁の応答を計算する理論であり、古典的かつ現在も幅広く用いられている理論である。但し、荷重条件などが複雑な場合には理論解が得られないため、本解析では計算に差分法を適用した。ケーソンの長さは、0.5m間隔で分割し、差分法の計算のため、ケーソンの上端及び下端に2つずつの仮想節点を付与した。
また、数値解析は、突出部の突出量が所定量である片側突出ケーソン、円形突出ケーソン及び両側突出ケーソンについて行った。尚、図13及び図18における突出量は、円形突出ケーソンにおける突出部の突出量であり、これら図13及び図18では、片側突出ケーソン及び両側突出ケーソンについて、円形突出ケーソンの掘削土量と同じ掘削土量となる条件で突出量を設定した場合の抵抗モーメントを対応する円形突出ケーソンの突出量の値に対してプロットした。例えば、円形突出ケーソンの突出量が1mである場合の掘削土量と同じ掘削土量となる条件で設定した突出量(片側突出ケーソンについては2.93m、両側突出ケーソンについては1.12m)である場合の抵抗モーメントを、突出量が1mである場合の値としてプロットした。
図13は、各ケーソンの突出量と抵抗モーメントとの関係を示すグラフであり、同図から分かるように、各ケーソンはいずれも突出量が増加するにつれて抵抗モーメントが大きくなっており、掘削土量が同じとなる条件で設定された突出量である場合、片側突出ケーソンが最も抵抗モーメントが大きくなっており、変形を抑止する効果が高い。
図14及び図15は、水平方向への変形量と高さ位置との関係を示すグラフであり、図16及び図17は、曲げモーメントと高さ位置との関係を示すグラフである。尚、図14及び図16は、突出部がないケーソンに関するグラフであり、図15及び図17は突出量が2.93mである片側突出ケーソンに関するグラフである。図14及び図15に示すように、片側突出ケーソンの方が各高さ位置での変形量が小さくなっており、また、図16及び図17に示すように、各高さ位置での曲げモーメントは片側突出ケーソンの方が大きくなっている。このことから、突出部が形成されていることで、変形を抑止する効果が高くなることが確認できた。尚、突出部を形成することにより、ケーソンに作用する曲げモーメントが全体的に大きくなっているが、ケーソンの配筋量を多くすることで十分対応が可能である。
図18は、各ケーソンの突出量と変形量比との関係を示すグラフであり、同図における変形量比とは、突出部を形成していない場合の変形量に対する比である。同図から分かるように、突出量が増加するにつれて、いずれのケーソンも変形量比が小さくなっており、突出量を増加させることによってより変形を抑制することができるようになる。また、円形突出ケーソンについては、突出量が1mである場合に変形量の低減率がおよそ10%であるのに対し、同じ掘削土量となる条件(突出量が1.12m)である両側突出ケーソンについては変形量の低減率がおよそ12%であり、同じく突出量が1mである円形突出ケーソンの掘削土量と同じ掘削土量となる条件(突出量が2.93m)である片側突出ケーソンについては変形量の低減率がおよそ30%である。各ケーソンの突出量が、掘削土量が同じとなる条件で設定された突出量である場合には、片側突出ケーソンがより変形を抑制できることが分かった。
上記実施形態(別実施形態を含む)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
本発明は、構造物の耐震性を従来よりも向上させることができるケーソン、このケーソンを地中に構築するニューマチックケーソン工法、及び上記ケーソンを有する構造物に利用できる。
1,1a,1b ケーソン
2,2a,2b 主部
3,3a,3b 突出部
D 砕石
T,Ta 桟橋
Tb 矢板式岸壁

Claims (11)

  1. 下端部が地中に構築され、構造物の基礎に用いられるケーソンであって、
    筒状をなして鉛直方向に延びる主部と、
    前記主部における下端部外周の少なくとも一部に形成され、前記主部よりも水平方向に突出した突出部と、を有し、
    前記突出部が前記主部における下端部外周の一部から水平方向に沿って一方向に延びた片側突出ケーソンについては、前記突出部における下面の面積が、前記主部における下面の面積の0.29倍以上2倍以下であり、
    前記主部の下端部外周から前記主部の全周に亘って水平方向に突出し、前記主部の外形よりも大きな外形を有した前記突出部を有するとともに、前記主部の軸方向視において外形が円形である円形突出ケーソンについては、前記突出部における下面の面積が、前記主部における下面の面積の0.71倍以上2倍以下であり、
    前記主部の下端部外周から前記主部の軸心を中心とする対向した2方向に延びた前記突出部を有する両側突出ケーソンについては、前記突出部における下面の面積、前記主部における下面の面積の0.55倍以上2倍以下であるケーソン。
  2. 請求項1に記載のケーソンを地中に構築するニューマチックケーソン工法であって、
    地盤を掘削して前記ケーソンを着底させる着底工程と、
    前記着底工程において前記突出部の上方に形成される被埋戻空間を埋め戻す埋戻工程と、を行うニューマチックケーソン工法。
  3. 前記埋戻工程において、前記被埋戻空間を粒状体によって埋め戻す請求項2に記載のニューマチックケーソン工法。
  4. ケーソンを地中に構築するニューマチックケーソン工法であって、
    前記ケーソンは、
    構造物の基礎に用いられ、
    筒状をなして鉛直方向に延びる主部と、
    前記主部における下端部外周の少なくとも一部に形成され、前記主部よりも水平方向に突出した突出部と、を有し、
    地盤を掘削して前記ケーソンを着底させる着底工程と、
    前記着底工程において前記突出部の上方に形成される被埋戻空間を埋め戻す埋戻工程と、を行い、
    前記埋戻工程において、前記被埋戻空間を粒径が10~100mmの粒状体によって埋め戻すニューマチックケーソン工法。
  5. 前記粒状体は、砕石である請求項3又は4に記載のニューマチックケーソン工法。
  6. 地盤に着底した請求項1記載のケーソンを有する構造物。
  7. 前記ケーソンにおける前記突出部の上方に粒状体からなる柱が形成されている請求項6に記載の構造物。
  8. 地盤に着底したケーソンを有する構造物であって、
    前記ケーソンは、
    構造物の基礎に用いられ、
    筒状をなして鉛直方向に延びる主部と、
    前記主部における下端部外周の少なくとも一部に形成され、前記主部よりも水平方向に突出した突出部と、を有し、
    前記ケーソンにおける前記突出部の上方に粒径が10~100mmの粒状体からなる柱が形成されている構造物。
  9. 前記粒状体が砕石である請求項7又は8に記載の構造物。
  10. 港湾に設置され、
    前記ケーソンにおける前記突出部が、少なくとも海側に形成されている請求項6~9のいずれか一項に記載の構造物。
  11. 少なくとも第1方向に突出した突出部を有する第1ケーソンと、
    少なくとも前記第1方向の反対側の第2方向に突出した突出部を有する第2ケーソンとを有する請求項6~9のいずれか一項に記載の構造物。
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