JP2007009421A - 構造物の基礎構造 - Google Patents

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【課題】 構造物下方の軟弱地盤における地震動の増幅を小さくした。
【解決手段】 軟弱地盤3上に構築される構造物5の基礎構造1は、構造物5に接合して下方より支持する杭6と、構造物5下方の軟弱地盤3内に所定の深さをもって形成された固化壁体をなし杭6の周囲の軟弱地盤3に水平抵抗を与える地盤改良壁8とを備えている。地盤改良壁8は、平面視で各1本の杭6の周囲を個別に取り囲むようにして格子状に区画され、一般的に用いられるセメント系の固化材料からなる
【選択図】 図1

Description

本発明は、軟弱地盤に構築される構造物の基礎構造に関する。
従来、軟弱地盤上に構築される構造物の基礎構造には、コンクリートや鋼管などの杭による基礎やセメント系地盤改良による基礎がある。杭による基礎は、図5に示すように、構造物5の荷重を軟弱地盤3下方の支持地盤2(岩盤)で支持できるように軟弱地盤3を貫通させて杭6が施工されたものである。これらの杭6は、軟弱地盤3上に建つ構造物5が大きな地震動に耐えられるように設計する必要がある。杭6を強化する方法として、例えば杭6の杭径を大きくする或いは杭頭部6aの周囲に杭径と同等以上の大きさの径の鋼管を取付けることで杭頭部6aの断面を大きくしてより多くの鉄筋を使用して、構造物5に接合させて補強していた。
また、セメント系地盤改良による基礎を造成する構法として、例えば特許文献1及び特許文献2が開示されている。
特許文献1は、構造物直下における液状化の可能性のある砂層地盤(軟弱地盤)において、砂層地盤を鉛直方向に貫通して下方の液状化の可能性のない砂層地盤内まで連続した地盤改良を施工するものである。この地盤改良によって、平面視格子状に区画した地盤固結遮水壁を形成し、地下水、砂などの流動を遮断して、砂層地盤の液状化を防止することができる。
特許文献2は、構造物直下の地盤改良範囲において、表層部などの液状化地盤に対して、液状化の発生を抑止できる程度の強度で地盤改良を行って低強度固化地盤を形成する。そして、液状化地盤の下層であって長期圧密による沈下を免れない軟弱地盤に対しては、前記低強度固化地盤から伝わる荷重に耐え得る程度の強度に地盤改良を行ってさらに下層の支持地盤に当るまで高強度固化体を形成する。これにより、液状化を抑止でき、地盤の安定化を図ったものである。
特開平10−46619号公報 特開2001−115444号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2による地盤改良は、液状化地盤において地下水や砂の流動を阻止して地盤の液状化を抑制して、構造物の沈下を防止したり、軟弱地盤による圧密沈下を防止するものであって、地震時の地盤の揺れ(地震動)を低減させる効果は小さかった。また、従来の杭による基礎は、杭頭部と構造物との接合強度が増したことで地震動に耐えられる構造を実現できるが、特許文献1及び特許文献2と同様に地震動を低減させる効果が小さいという欠点があった。
従来の杭及び特許文献1、2では、軟弱地盤の場合、地震動の増幅が大きくなるという問題があった。軟弱地盤内の揺れの振幅は、図5に示すように支持地盤表面G3の振幅P4に対して、軟弱地盤中間層G2をなす位置で振幅P5に示すように大きくなり、さらに地表面G1に近づくにつれて大幅に増幅され振幅P6のように大きくなる。地表面G1の地震動は構造物に対する地震入力となることから、構造物自体の揺れが増大され、建物躯体や仕上げ及び建物内の設備などに被害が及ぶという問題があった。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、構造物下方の軟弱地盤における地震動の増幅を小さくした構造物の基礎構造を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明に係る構造物の基礎構造では、軟弱地盤上に構築される構造物の基礎構造であって、構造物に接合して下方より支持する杭と、構造物下方の軟弱地盤内に所定の深さをもって形成された固化壁体をなし杭の周囲の軟弱地盤に水平抵抗を与える地盤改良壁とを備えていることを特徴としている。
本発明では、杭によって構造物の荷重を支え、地震時に地盤改良壁が形成された軟弱地盤に水平抵抗を発生させて、軟弱地盤全体の剛性を向上させることができる。このため、地盤改良壁の下方から上方に向かう方向の地震動の増幅は、従来と比較して小さくなり、軟弱地盤の層が厚く深い場合でも揺れを抑えることができる。
このため、地盤改良壁の形成されている範囲内で地盤改良壁の下方から上方にかけて地震時における揺れの増幅が小さくてすむため、軟弱地盤が深い場合でも揺れを抑えることができる。
また、本発明に係る構造物の基礎構造では、地盤改良壁は、平面視で杭を囲うように格子状に区画されていることが好ましい。
本発明では、格子状に囲われた範囲にある杭及び軟弱地盤は、水平方向の移動が拘束された状態となって剛性を増すことになり、地震時の揺れを低減させることができる。
また、本発明に係る構造物の基礎構造では、地盤改良壁は、岩盤等強固な支持地盤に接続されていることが好ましい。
本発明では、例えば地表近くにある支持地盤に地盤改良壁を接続させることで、効果的にその周囲の軟弱地盤の剛性を高めることができる。
本発明の構造物の基礎構造によれば、地盤改良壁が形成されている範囲に水平抵抗を発生させて、軟弱地盤全体の剛性を向上させることができるため、軟弱地盤のせん断変形を抑制させることできる。このため、地盤改良壁の下方から上方に向かう方向の地震動の増幅は、従来と比較して小さくなり、軟弱地盤の層が厚く深い場合でも揺れを抑えることができる。このようなことから、構造物の揺れも抑制されることになり、建物躯体や仕上げ及び建物内の設備などへの被害を防ぐことができる。
以下、本発明の第一の実施の形態による構造物の基礎構造について、図1及び図2に基づいて説明する。
図1は第一の実施の形態による基礎構造を示す図であって、(a)はその側面図と高さ方向の地震動を示す説明図、(b)は図1に示すA−A線断面図、図2は地盤改良壁の詳細を示す斜視図である。
図1に示すように、本第一の実施の形態による基礎構造1は、岩盤など所定の強度を有した支持地盤2と、支持地盤2の上層をなす軟弱地盤3とからなる地盤4上に構造物5を構築させるものである。ここで軟弱地盤3は、例えば軟らかい粘土質あるいはシルト質地盤、泥炭質地盤、液状化の可能性のある砂質地盤及び盛土層などである。
構造物5は、地盤4に略鉛直方向に埋設されて柱状をなす複数の杭6によって支持されている。この杭6は、支持地盤2に載置又はその中まで打ち込まれている。
図2に示すように、杭6の杭頭部6aは、例えば図示しないアンカー筋を使用して基礎7に接合されている。そして、基礎7の上部に構造物5の柱5aが接合されている。
図1(a)および(b)に示すように、杭6が配置される範囲の上部には、地表面G1から所定の深さをもって上下方向に連続した固化壁体をなす地盤改良壁8が形成されている。この地盤改良壁8は、図1(b)に示す平面視で各1本の杭6の周囲を個別に取り囲むようにして格子状に区画されている。地盤改良壁8は、一般的に用いられるセメント系の固化材料からなる。
なお、地盤改良壁8の深さ及び壁厚は、軟弱地盤3の層厚(支持地盤2までの深さ)、強度、地質などの条件を考慮して設計することが好ましい。また、そのほかの設計条件として、地盤改良壁8のせん断波速度は、支持地盤2のせん断波速度より大きくなるようにする。
地盤改良壁8は、例えば注入工法、機械攪拌工法、噴射攪拌工法などの地盤改良工法によって施工され、断面円形の柱状体同士に重なりを設けるようにして連続した壁体が形成されている。
図1(b)に示すように、地盤改良壁8で区画され各1本の杭が例えば四角形断面で囲まれた領域Mでは、地盤改良されていない軟弱地盤3は水平方向の移動が拘束された状態となっている。
このように地盤改良壁8を形成することで、軟弱地盤3内に水平抵抗の作用が働き地盤4のせん断変形を抑制させることできる。
次に、本第一の実施の形態による基礎構造1の作用について、図1に基づいて説明する。
図1(a)に示すように、地盤改良壁8が形成されているとき、軟弱地盤3の地震動による振幅は、支持地盤表面G3の振幅P1に対して、軟弱地盤中間層G2をなす位置(地盤改良壁8の下方位置)において振幅P2に示すように少し大きくなる。さらに、振幅P2から地表面G1の振幅P3までの増幅は、地盤改良壁8が形成されていない軟弱地盤(図1(a)に示す表中の改良なし)の振幅P5から振幅P6までの増幅と比較して小さくなっている。このように、地盤改良壁8が形成されている範囲内では、地震動の増幅を抑えることができる。
上述した本第一の実施の形態による基礎構造1では、地震時に地盤改良壁8が形成されている範囲に軟弱地盤3に水平抵抗を発生させて、軟弱地盤3全体の剛性を向上させることができるため、軟弱地盤3のせん断変形を抑制させることできる。このため、地盤改良壁8の下方から上方に向かう方向の地震動の増幅は、従来と比較して小さくなる。そして、例えば軟弱地盤3の層が厚く深い場合でも地盤改良壁8の深さを大きくすることで地震動を抑えることができる。このような基礎構造1の上に構築される構造物5の揺れも抑制されることになり、建物躯体、仕上げ及び構造物5内の設備などへの被害を防ぐことができる。
次に、本発明の第一の実施の形態の変形例及び第二の実施の形態について、図3及び図4に基づいて説明するが、上述の第一の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第一の実施の形態と異なる構成について説明する。
図3は第一の実施の形態の変形例による地盤改良壁を示す水平断面図、図4は第二の実施の形態による基礎構造の施工状態を示す図である。
図3に示すように、本変形例の地盤改良壁9は、第一の実施の形態で説明した地盤改良壁8(図1(b)参照)の配置状態を変形したものである。本地盤改良壁9は、平面視において格子状をなす壁体の交差部9aに杭6が配置されたものである。この場合、地盤改良壁9は交差部9aで分断されるため、非連続体となるが、この地盤改良壁9が軟弱地盤3の水平抵抗となり得るため、第一の実施の形態と同様の効果を奏する。
また、図4に示すように、第二の実施の形態は、一部が地表面G1まで露出して起伏を有する支持地盤2と、支持地盤2から地表面G1までを盛土した軟弱地盤3とから構成される地盤4に地盤改良壁8を施工して構造物5を構築した施工例である。
この支持地盤2は、図4に示す構造物5の水平方向で略中間に位置する第一支持領域2aと、その右端部の第二支持領域2bとが地表面G1に露出している。そして、この第一及び第二支持領域2a、2bで架橋状に構造物5を支持している。また、構造物5直下が軟弱地盤3となっている領域5bでは、杭6によって構造物5が支持されている。この杭6は、第一の実施の形態と同様に軟弱地盤3の下方に位置する支持地盤2に載置又はその中にまで打ち込んで設置し、構造物5の鉛直荷重を支持させている。
図4に示すように、第二の実施の形態では、杭6の設置範囲全体にわたって地盤改良壁8を形成せずに、第一及び第二支持領域2a、2bに接続している部分的な範囲のみに格子状をなす地盤改良壁8を造成したものである。
第二の実施の形態では、地盤改良壁8の設計条件を例えば地表面G1の地震動を300ガル以下とすると、支持地盤2(N値30以上)のせん断波速度230m/secに対して、格子状の地盤改良壁8のせん断波速度を500m/sec以上として設計する。このとき、地盤改良壁8の深さは、地表面G1から下方10mまでとする。
また、本第二の実施の形態では、構造物5直下の基礎構造1の範囲において、地盤改良壁8が部分的に設けられたものであるが、第一の実施の形態と同様の効果を奏し、地震時における地震動を低減させることができる。このように支持地盤2と軟弱地盤3と構造物5などの設置条件に好適な地盤改良壁8を設置することが好ましい。
以上、本発明による構造物の基礎構造の第一及び第二の実施の形態及び変形例について説明したが、本発明は上記の第一及び第二の実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本第一及び第二の実施の形態及び変形例では地盤改良壁8を平面視格子状としているが、必ずしも格子状に限定されることはない。例えば平面視で縦又は横方向に平行となるように配列させた地盤改良壁8でもかまわない。また、第一の実施の形態では1本の杭6に対して格子状に区画されているが、複数の杭6を取り囲むようにして区画されていてもかまわない。
また、本第一の実施の形態では地盤改良壁8が連続した壁体を形成しているが、必ずしも連続した壁体に限定されることはなく、変形例に示す地盤改良壁9のように部分的に分断された壁体であってもかまわない。
本発明の第一の実施の形態による基礎構造を示す図であって、(a)はその側面図と高さ方向の地震動を示す説明図、(b)は図1に示すA−A線断面図である。 地盤改良壁の詳細を示す斜視図である。 第一の実施の形態の変形例による地盤改良壁を示す水平断面図である。 第二の実施の形態による基礎構造の施工状態を示す図である。 従来の基礎構造を示す側面図と高さ方向の地震動を示す説明図である。
符号の説明
1 基礎構造
2 支持地盤
3 軟弱地盤
4 地盤
5 構造物
6 杭
8、9 地盤改良壁
G1 地表面
G2 軟弱地盤中間層
G3 支持地盤表面

Claims (3)

  1. 軟弱地盤上に構築される構造物の基礎構造であって、
    前記構造物に接合して下方より支持する杭と、
    前記構造物下方の前記軟弱地盤内に所定の深さをもって形成された固化壁体をなし、前記杭の周囲の前記軟弱地盤に水平抵抗を与える地盤改良壁と、
    を備えていることを特徴とする構造物の基礎構造。
  2. 前記地盤改良壁は、平面視で前記杭を囲うように格子状に区画されていることを特徴とする請求項1に記載の構造物の基礎構造。
  3. 前記地盤改良壁は、岩盤等強固な支持地盤に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の構造物の基礎構造。
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