JPH0799023B2 - 密閉異形ケーソンおよび密閉異形ケーソン工法 - Google Patents
密閉異形ケーソンおよび密閉異形ケーソン工法Info
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- JPH0799023B2 JPH0799023B2 JP153487A JP153487A JPH0799023B2 JP H0799023 B2 JPH0799023 B2 JP H0799023B2 JP 153487 A JP153487 A JP 153487A JP 153487 A JP153487 A JP 153487A JP H0799023 B2 JPH0799023 B2 JP H0799023B2
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Description
【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、例えば港湾構造物である防波堤及び防潮堤等
に使用されるケーソンおよびそれを用いたケーソン工法
に係り、特に大水深下に計画される巨大ケーソンにおい
て設計荷重条件に対して、その重心位置が最適位置とな
るようにケーソン本体の垂直断面を必要に応じて非対称
形とし、さらにケーソン全体を密閉し、その底版を上げ
底したケーソンと、それを用いて防波堤や防潮堤等を施
工するための密閉異形ケーソン工法に関するものであ
る。
に使用されるケーソンおよびそれを用いたケーソン工法
に係り、特に大水深下に計画される巨大ケーソンにおい
て設計荷重条件に対して、その重心位置が最適位置とな
るようにケーソン本体の垂直断面を必要に応じて非対称
形とし、さらにケーソン全体を密閉し、その底版を上げ
底したケーソンと、それを用いて防波堤や防潮堤等を施
工するための密閉異形ケーソン工法に関するものであ
る。
「従来の技術とその問題点」 近年、海洋空間の高度有効利用から、大水深海域にも多
くの重力式港湾施設が計画されるようになった。これら
の建設費は膨大なものとなるので、これの低廉化が必要
である。そこで建設費の割合が大きな捨石マウンドの天
端を相当程度下げると、ケーソンは巨大化し、多くの問
題が生じている。
くの重力式港湾施設が計画されるようになった。これら
の建設費は膨大なものとなるので、これの低廉化が必要
である。そこで建設費の割合が大きな捨石マウンドの天
端を相当程度下げると、ケーソンは巨大化し、多くの問
題が生じている。
その主な問題点は、ケーソン重量及び設計波高の増大に
よるケーソン端支圧に対する捨石マウンドの許容支持力
の不足、吃水量の増大による進水時の問題、重量増大に
よる据付け時の問題、さらには大水深下の捨石マウンド
の均しの困難性がある。
よるケーソン端支圧に対する捨石マウンドの許容支持力
の不足、吃水量の増大による進水時の問題、重量増大に
よる据付け時の問題、さらには大水深下の捨石マウンド
の均しの困難性がある。
今、ケーソン底版を上げ底し、上げ底空間部に水中コン
クリートを充填することにより、ケーソンと捨石マウン
ドに噛み合わせを造る上げ底ケーソン工法が開発されて
いる。この工法は滑動抵抗力が増加するため、ケーソン
重量の増大を防ぎ、端支圧の軽減が図れ、また上げ底部
の捨石の本均しを必要としないなどの特徴がある。しか
し防潮堤等に使用する巨大ケーソンにおいては、それの
効果だけでは抜本的解決とはならず、また施工方法にも
問題を残している。
クリートを充填することにより、ケーソンと捨石マウン
ドに噛み合わせを造る上げ底ケーソン工法が開発されて
いる。この工法は滑動抵抗力が増加するため、ケーソン
重量の増大を防ぎ、端支圧の軽減が図れ、また上げ底部
の捨石の本均しを必要としないなどの特徴がある。しか
し防潮堤等に使用する巨大ケーソンにおいては、それの
効果だけでは抜本的解決とはならず、また施工方法にも
問題を残している。
ここに大水深に適合した新しい巨大ケーソン工法の開発
が求められている。
が求められている。
重力式構造物であるケーソン式混成堤の基本的な安定の
検討項目は、ケーソン堤体の滑動、転倒及び、ケーソン
端支圧に対する捨石マウンドの支持力である。一般に巨
大ケーソンの安定に対する安全率で、最も小さいのがケ
ーソンの端支圧の支持力で、その次が滑動であり、転倒
は他に較べ余裕がある。ケーソンの端支圧の支持力に対
する問題は、ケーソン底版を拡幅すれば解決されるが、
それでは捨石マウンドの超巨大化の防止効果は小さく、
巨大ケーソンを使用する意味が小さい。
検討項目は、ケーソン堤体の滑動、転倒及び、ケーソン
端支圧に対する捨石マウンドの支持力である。一般に巨
大ケーソンの安定に対する安全率で、最も小さいのがケ
ーソンの端支圧の支持力で、その次が滑動であり、転倒
は他に較べ余裕がある。ケーソンの端支圧の支持力に対
する問題は、ケーソン底版を拡幅すれば解決されるが、
それでは捨石マウンドの超巨大化の防止効果は小さく、
巨大ケーソンを使用する意味が小さい。
従来の大型ケーソンは曳航時には浮体とすることから、
これの垂直断面(側面から見た断面)を対称形とし、そ
の水平重心位置は中央に固定されている。滑動抵抗力は
理論的には、ケーソン底面上における鉛直力と滑動抵抗
係数の積で表わされ、ケーソン堤体の重心位置には無関
係であるが、他の転倒及び支持力は、大きく支配され
る。すなわち、堤体の水平重心位置が、水平外力の方向
に対して反対側に寄っているほど転倒抵抗モーメントは
大きく、かつケーソン底面の反力分布の均等化がなされ
る。
これの垂直断面(側面から見た断面)を対称形とし、そ
の水平重心位置は中央に固定されている。滑動抵抗力は
理論的には、ケーソン底面上における鉛直力と滑動抵抗
係数の積で表わされ、ケーソン堤体の重心位置には無関
係であるが、他の転倒及び支持力は、大きく支配され
る。すなわち、堤体の水平重心位置が、水平外力の方向
に対して反対側に寄っているほど転倒抵抗モーメントは
大きく、かつケーソン底面の反力分布の均等化がなされ
る。
「問題点を解決するための手段」 そこで本発明では、ケーソン垂直断面の形状を下方広が
りとし、その水平重心位置を設計荷重条件に対して最適
位置となるように頂部を底部の中心に対し水平方向にず
らした構成とするものである。ここでケーソン堤体の最
適重心位置は設計条件によって異なり一定しない。例え
ば、津波防潮堤に作用する主な水平外力は津波による波
力と地震力である。一般に波力の方がはるかに大きい
が、この場合波力の方向と逆方向の地震力も考える必要
があるので、最適重心位置は一定とはならない。
りとし、その水平重心位置を設計荷重条件に対して最適
位置となるように頂部を底部の中心に対し水平方向にず
らした構成とするものである。ここでケーソン堤体の最
適重心位置は設計条件によって異なり一定しない。例え
ば、津波防潮堤に作用する主な水平外力は津波による波
力と地震力である。一般に波力の方がはるかに大きい
が、この場合波力の方向と逆方向の地震力も考える必要
があるので、最適重心位置は一定とはならない。
また本発明では、上げ底ケーソンの利点である滑動抵抗
力の増大を組入れ、ケーソン堤体の安定を合理的に追求
するものである。すなわちケーソン堤体の最適重心位置
と、滑動抵抗力の増大により余分な堤体重量を大幅に省
くことができ、そのうえケーソン底面の反力分布の均等
化によりケーソンの端支圧の軽減を大幅に図るものであ
る。
力の増大を組入れ、ケーソン堤体の安定を合理的に追求
するものである。すなわちケーソン堤体の最適重心位置
と、滑動抵抗力の増大により余分な堤体重量を大幅に省
くことができ、そのうえケーソン底面の反力分布の均等
化によりケーソンの端支圧の軽減を大幅に図るものであ
る。
ところで自力で浮遊するケーソンについては、転覆ある
いは傾斜しないように浮遊等も安定でなければならな
い。しかし本発明のケーソンは、正規の状態では、その
垂直断面が非対称形であるため非常に不安定である。ま
たケーソンの構造部材には斜部材があり、巨大ケーソン
なるがゆえにその製作は困難である。
いは傾斜しないように浮遊等も安定でなければならな
い。しかし本発明のケーソンは、正規の状態では、その
垂直断面が非対称形であるため非常に不安定である。ま
たケーソンの構造部材には斜部材があり、巨大ケーソン
なるがゆえにその製作は困難である。
そこで本発明では、該ケーソンの製作を一方の側壁を底
面として行うものである。これによりケーソンのすべて
の部材は鉛直部材、水平部材に置きかえられ、製作は容
易となる。そして本発明のケーソンは、それの頂版を初
めから一体として加え、製作完成時は密閉状態として、
ケーソンの進水及び曳航を、側壁を底面とした状態で行
う。この状態での横断面の形状は高さ(正規の状態では
長さ)が一定の矩形断面で対称形である。ちなみにこれ
の最大面積は底版であり、最小面積は頂版である。従っ
てケーソンの浮遊時は、横断面積が対称形であり、その
うえ密閉状態であるので非常に高い安定状態となってい
る。
面として行うものである。これによりケーソンのすべて
の部材は鉛直部材、水平部材に置きかえられ、製作は容
易となる。そして本発明のケーソンは、それの頂版を初
めから一体として加え、製作完成時は密閉状態として、
ケーソンの進水及び曳航を、側壁を底面とした状態で行
う。この状態での横断面の形状は高さ(正規の状態では
長さ)が一定の矩形断面で対称形である。ちなみにこれ
の最大面積は底版であり、最小面積は頂版である。従っ
てケーソンの浮遊時は、横断面積が対称形であり、その
うえ密閉状態であるので非常に高い安定状態となってい
る。
ケーソンの巨大化に伴う吃水量の増大による進水時の問
題は、ケーソンの横断面の形状を下方広がりとすること
と、それの進水はケーソンの一方の側壁を底面として行
うことで解決される。すなわち吃水量は浮体の吃水面積
当りの単位重量で決まるが、これは、ケーソンの側壁を
底面として進水する場合、その時の高さつまり正規の状
態では長さで決定される。ケーソンの寸法諸元におい
て、幅、長さ、高さのうち長さは、設計条件に拘束され
る要素が小さい。従って吃水量からケーソン長さを決定
すれば良い。とは言えケーソンの堤体方向に対しても安
定でなければならない。堤体方向の最も大きな水平外力
は地震力である。少なくとも個々のケーソンが、この地
震力に対して安定であれば良い。本発明のケーソンは下
方広がりであるため重心が低く地震力に対して最も安定
な形状となっている。また本発明のケーソンは、それの
頂版を初めから一体として加え、さらに新たに中間床版
を加え、これらと縦、横隔壁とで各分室に仕切られてい
る。これは構造的に非常に強固であり、ケーソンを構成
する各部材を薄くすることができ、さらにケーソン重量
の軽量化が図れるものである。
題は、ケーソンの横断面の形状を下方広がりとすること
と、それの進水はケーソンの一方の側壁を底面として行
うことで解決される。すなわち吃水量は浮体の吃水面積
当りの単位重量で決まるが、これは、ケーソンの側壁を
底面として進水する場合、その時の高さつまり正規の状
態では長さで決定される。ケーソンの寸法諸元におい
て、幅、長さ、高さのうち長さは、設計条件に拘束され
る要素が小さい。従って吃水量からケーソン長さを決定
すれば良い。とは言えケーソンの堤体方向に対しても安
定でなければならない。堤体方向の最も大きな水平外力
は地震力である。少なくとも個々のケーソンが、この地
震力に対して安定であれば良い。本発明のケーソンは下
方広がりであるため重心が低く地震力に対して最も安定
な形状となっている。また本発明のケーソンは、それの
頂版を初めから一体として加え、さらに新たに中間床版
を加え、これらと縦、横隔壁とで各分室に仕切られてい
る。これは構造的に非常に強固であり、ケーソンを構成
する各部材を薄くすることができ、さらにケーソン重量
の軽量化が図れるものである。
前述のように本発明のケーソン工法は、一方の側壁を底
面として密閉状態で進水、曳航を行うものである。従っ
てケーソンの据付けは、これを正規の状態としてから行
う必要があり、中詰工は頂版のある状態で行なわねばな
らない。これらの対策として各分室の上下方向にあらか
じめエアー抜きバルブが組込まれた密閉蓋付きの中詰用
配管を設置する。この配管は各分室に必ず2本配置さ
れ、各分室の上部、下部に開口部がある。またさらに底
部の分室の適当な位置に海水導入バルブ、そして必要に
応じて底部の横方向(堤体方向)の分室間には通水バル
ブが設置するものである。すなわち、ケーソン内部にお
いて縦隔壁で仕切られる空間が、必要に応じて独立して
密閉状態となるものである。
面として密閉状態で進水、曳航を行うものである。従っ
てケーソンの据付けは、これを正規の状態としてから行
う必要があり、中詰工は頂版のある状態で行なわねばな
らない。これらの対策として各分室の上下方向にあらか
じめエアー抜きバルブが組込まれた密閉蓋付きの中詰用
配管を設置する。この配管は各分室に必ず2本配置さ
れ、各分室の上部、下部に開口部がある。またさらに底
部の分室の適当な位置に海水導入バルブ、そして必要に
応じて底部の横方向(堤体方向)の分室間には通水バル
ブが設置するものである。すなわち、ケーソン内部にお
いて縦隔壁で仕切られる空間が、必要に応じて独立して
密閉状態となるものである。
また本発明のケーソンは、その底面に上げ底空間部を形
成させ、上げ底空間部に装着した柔軟性素材よりなる袋
状カバーとこの袋状カバー内にそれぞれ連通させた固結
材用注入管とを装備するものである。
成させ、上げ底空間部に装着した柔軟性素材よりなる袋
状カバーとこの袋状カバー内にそれぞれ連通させた固結
材用注入管とを装備するものである。
本発明の据付け工は、まず側壁を底面とした状態から正
規の状態とすることから始められる。その工程はケーソ
ンの海水導入バルブ、通水バルブ及びエアー抜きバルブ
を操作調整することにより、ケーソン底部の分室から海
水を導入し、決められた内部空間(分室)を海水で占有
させて、ケーソンを反転させ、正規の状態に起立させ、
正しい姿勢に制御するものである。ケーソンの起立する
速度は、海水の導入速度に比例するが、この調整はエア
ー抜きバルブの調整により行うものである。次に仮り据
付け工を行う。その工程は、決められた空間を残して、
他の空間を海水で占有させることにより、ケーソンに浮
力を残して仮り据付けするものである。これは巨大上げ
底ケーソンを据付ける場合、上げ底部は着床されていな
いのであるから、着床されている部分は底面の一部であ
る。従ってたとえケーソンの中詰がなされていない状態
であっても、巨大ケーソンの端支圧に対する捨石マウン
ドの許容支持力の不足が問題になると同様に、支持力の
不足は避けられず、ケーソンの不同沈下を引き起こすも
のである。このため巨大上げ底ケーソンの据付け工で、
捨石マウンドの支持力不足とならないようにケーソンに
浮力を残した仮り据付け工は重要な工程となっている。
次に本据付け工を行う。その工程は、前記の上げ底空間
部に固結材を注入して、捨石マウンドの表面の凹凸に合
わせて、袋状カバーを密着させ、該ケーソンを捨石マウ
ンドに噛み合わせを造り、固結材の硬化を待って、ケー
ソンの内部空間すべてを満水とすることにより浮力を除
去し、本据付け工は完了である。
規の状態とすることから始められる。その工程はケーソ
ンの海水導入バルブ、通水バルブ及びエアー抜きバルブ
を操作調整することにより、ケーソン底部の分室から海
水を導入し、決められた内部空間(分室)を海水で占有
させて、ケーソンを反転させ、正規の状態に起立させ、
正しい姿勢に制御するものである。ケーソンの起立する
速度は、海水の導入速度に比例するが、この調整はエア
ー抜きバルブの調整により行うものである。次に仮り据
付け工を行う。その工程は、決められた空間を残して、
他の空間を海水で占有させることにより、ケーソンに浮
力を残して仮り据付けするものである。これは巨大上げ
底ケーソンを据付ける場合、上げ底部は着床されていな
いのであるから、着床されている部分は底面の一部であ
る。従ってたとえケーソンの中詰がなされていない状態
であっても、巨大ケーソンの端支圧に対する捨石マウン
ドの許容支持力の不足が問題になると同様に、支持力の
不足は避けられず、ケーソンの不同沈下を引き起こすも
のである。このため巨大上げ底ケーソンの据付け工で、
捨石マウンドの支持力不足とならないようにケーソンに
浮力を残した仮り据付け工は重要な工程となっている。
次に本据付け工を行う。その工程は、前記の上げ底空間
部に固結材を注入して、捨石マウンドの表面の凹凸に合
わせて、袋状カバーを密着させ、該ケーソンを捨石マウ
ンドに噛み合わせを造り、固結材の硬化を待って、ケー
ソンの内部空間すべてを満水とすることにより浮力を除
去し、本据付け工は完了である。
次に中詰工を行う。これはケーソンにあらかじめ設けら
れた密閉蓋付きの中詰用配管を通して、ポンプ船等によ
り海水とともに中詰砂を圧送するものである。この配管
は必ず各分室に2本づつ配列され、そのうち一方が中詰
砂の圧送管の時他方は排水管の役目をする。そして下の
層の各分室から順次中詰される。
れた密閉蓋付きの中詰用配管を通して、ポンプ船等によ
り海水とともに中詰砂を圧送するものである。この配管
は必ず各分室に2本づつ配列され、そのうち一方が中詰
砂の圧送管の時他方は排水管の役目をする。そして下の
層の各分室から順次中詰される。
「実施例」 以下、本発明による津波防潮堤の一実施例を図面を参照
しながら説明する。第1図から第4図までは本発明によ
る工法を実施する際に用いられて好適なケーソンの構造
説明図である。
しながら説明する。第1図から第4図までは本発明によ
る工法を実施する際に用いられて好適なケーソンの構造
説明図である。
第1図は横断面図、第2図は前壁側の縦断面図、第3図
は平面図、第4図は底面図である。
は平面図、第4図は底面図である。
図において、符号(A)は鉄筋コンクリート製の密閉さ
れた異形ケーソンであり、符号(1A)はケーソン本体を
示している。また、符号(1)は前壁、(2)は後壁、
(3)は側壁、(4)は底版、(5)は頂版である。通
常のケーソンは上面が開口し、その横断面(垂直断面)
は矩形断面である。これに対して本発明のケーソンの横
断面(垂直断面)は第1図に見られるように台形断面で
ある。そして津波の波圧を受ける前壁の傾斜が小さく、
逆に後壁の傾斜が大きくなっていて、その水平重心位置
は前壁側に大きく片寄っている。この場合、前壁及び後
壁が必ずしも直壁である必要は無く、例えば波返しのた
めの曲壁としても良く、階段状としても良い。
れた異形ケーソンであり、符号(1A)はケーソン本体を
示している。また、符号(1)は前壁、(2)は後壁、
(3)は側壁、(4)は底版、(5)は頂版である。通
常のケーソンは上面が開口し、その横断面(垂直断面)
は矩形断面である。これに対して本発明のケーソンの横
断面(垂直断面)は第1図に見られるように台形断面で
ある。そして津波の波圧を受ける前壁の傾斜が小さく、
逆に後壁の傾斜が大きくなっていて、その水平重心位置
は前壁側に大きく片寄っている。この場合、前壁及び後
壁が必ずしも直壁である必要は無く、例えば波返しのた
めの曲壁としても良く、階段状としても良い。
図において符号(6)は中間床版、(7)は縦隔壁、
(8)は横隔壁、(B)はこれらによって仕切られたケ
ーソン本体内の分室である。符号(9)は上げ底前縁
壁、(10)は上げ底後縁壁、(11)は鋼板製の上げ底縦
隔壁、(12)は上げ底横隔壁で、(C)は底版と上げ底
前縁壁あるいは後縁壁と上げ底縦、横隔壁に囲われた上
げ底空間部である。符号(a)は中詰用配管で、これの
天端にはエアー抜きバルブが組込まれた密閉蓋(共に図
示せず)が取付けられている。またこの中詰用配管
(a)は各分室の上下方向に2本づつ配置され、各分室
の上部と下部にそれぞれ開口部がある。符号(b1)は小
隔室(D)に注入される固結材用注入管、(b2)は上げ
底空間部(C)への注入管で、これらの注入管はあらか
じめ壁体内に埋設されている。また図面上には示されて
いないが、ケーソン製作時、底面となった側壁の底部の
各分室の下側に海水導入バルブを設置する。この実施例
の場合は3箇所である。そして底部の横方向(堤体方
向)の分室間には通水バルブを設置する。底部の各分室
の底版にそれぞれ海水導入バルブを設置する場合は通水
バルブは必要としない。
(8)は横隔壁、(B)はこれらによって仕切られたケ
ーソン本体内の分室である。符号(9)は上げ底前縁
壁、(10)は上げ底後縁壁、(11)は鋼板製の上げ底縦
隔壁、(12)は上げ底横隔壁で、(C)は底版と上げ底
前縁壁あるいは後縁壁と上げ底縦、横隔壁に囲われた上
げ底空間部である。符号(a)は中詰用配管で、これの
天端にはエアー抜きバルブが組込まれた密閉蓋(共に図
示せず)が取付けられている。またこの中詰用配管
(a)は各分室の上下方向に2本づつ配置され、各分室
の上部と下部にそれぞれ開口部がある。符号(b1)は小
隔室(D)に注入される固結材用注入管、(b2)は上げ
底空間部(C)への注入管で、これらの注入管はあらか
じめ壁体内に埋設されている。また図面上には示されて
いないが、ケーソン製作時、底面となった側壁の底部の
各分室の下側に海水導入バルブを設置する。この実施例
の場合は3箇所である。そして底部の横方向(堤体方
向)の分室間には通水バルブを設置する。底部の各分室
の底版にそれぞれ海水導入バルブを設置する場合は通水
バルブは必要としない。
第5図は本発明のケーソンの一方の側壁を底面とした状
態の立体図で、この状態でケーソンは製作される。この
状態ではすべての部材は、鉛直材あるいは水平材に置き
かえられ、製作は容易である。第1図及び第5図に見ら
れるように上げ底空間部の前、後縁壁の内側に、上げ底
縦、横隔壁により下面開口の複数の小隔室(D)が形成
されている。これは今までの上げ底ケーソンの機能をさ
らに発展させるものである。
態の立体図で、この状態でケーソンは製作される。この
状態ではすべての部材は、鉛直材あるいは水平材に置き
かえられ、製作は容易である。第1図及び第5図に見ら
れるように上げ底空間部の前、後縁壁の内側に、上げ底
縦、横隔壁により下面開口の複数の小隔室(D)が形成
されている。これは今までの上げ底ケーソンの機能をさ
らに発展させるものである。
今までの上げ底ケーソンの機能の特徴は、ケーソンと捨
石とにかみ合わせを造ることにより滑動抵抗力を増大さ
せることと、上げ底部の捨石マウンドの本均しを必要と
しないことにある。しかしその上げ底部の周縁壁部に対
応する捨石マウンド部分の本均しは依然として残ること
になる。現在、大水深下における捨石マウンドの人力均
しは非常に困難なため機械化均しの開発が進められてい
るが、均しの精度が障害となっている。そこで捨石マウ
ンドの表面均し精度が低くてもケーソンが据付けられる
ように、上げ底ケーソンの機能にさらに、ケーソンの高
さ、及び水平度の調整が自在にできる機能を加え、大水
深下の捨石マウンドの表面均しを完全に機械化均しとす
るものである。
石とにかみ合わせを造ることにより滑動抵抗力を増大さ
せることと、上げ底部の捨石マウンドの本均しを必要と
しないことにある。しかしその上げ底部の周縁壁部に対
応する捨石マウンド部分の本均しは依然として残ること
になる。現在、大水深下における捨石マウンドの人力均
しは非常に困難なため機械化均しの開発が進められてい
るが、均しの精度が障害となっている。そこで捨石マウ
ンドの表面均し精度が低くてもケーソンが据付けられる
ように、上げ底ケーソンの機能にさらに、ケーソンの高
さ、及び水平度の調整が自在にできる機能を加え、大水
深下の捨石マウンドの表面均しを完全に機械化均しとす
るものである。
第6図はケーソン底部の拡大図である。図において記号
(b1)は小隔室の固結材用注入管、(b2)は上げ底空間
部(C)の固結材用注入管、(c1)は小隔室(D)の袋
状カバー、(c2)は上げ底空間部のカバー、(d1)は小
隔室の水中コンクリート、(E)は捨石マウンドであ
る。上げ底部及び小隔室のカバーは水中コンクリート流
出防止の柔軟性素材よりなるカバーである。ケーソンの
高さ及び水平度の調整の方法は、前記の各々の小隔室の
少なくとも1つに固結材を注入して袋状カバーをその小
隔室から膨張突出させることによりケーソンを押し上げ
るものである。この工程において固結材の注入圧力及び
注入量を制御しながら、ケーソンの高さ、水平度の調整
を行うものである。第6図は小隔室(D)に水中コンク
リートを注入し、ケーソンの後縁壁の一部を押し上げて
いるところである。また上げ底空間部のカバーは上げ底
空間部にたたみ込まれている状態である。
(b1)は小隔室の固結材用注入管、(b2)は上げ底空間
部(C)の固結材用注入管、(c1)は小隔室(D)の袋
状カバー、(c2)は上げ底空間部のカバー、(d1)は小
隔室の水中コンクリート、(E)は捨石マウンドであ
る。上げ底部及び小隔室のカバーは水中コンクリート流
出防止の柔軟性素材よりなるカバーである。ケーソンの
高さ及び水平度の調整の方法は、前記の各々の小隔室の
少なくとも1つに固結材を注入して袋状カバーをその小
隔室から膨張突出させることによりケーソンを押し上げ
るものである。この工程において固結材の注入圧力及び
注入量を制御しながら、ケーソンの高さ、水平度の調整
を行うものである。第6図は小隔室(D)に水中コンク
リートを注入し、ケーソンの後縁壁の一部を押し上げて
いるところである。また上げ底空間部のカバーは上げ底
空間部にたたみ込まれている状態である。
第7図から第9図までは本発明による工法を実施する際
のケーソンの据付けの工程説明図である。本発明の据付
け工はまず側壁を底面とした状態から正規の状態とする
ことから始められる。実施例の海水導入経路は、まず、
ケーソン曳航時に底面となっている側壁の底部の分室の
3経路である。これが通水バルブを通して反対側の上面
となっている側壁の底部の分室に通じている。そしてさ
らに底部の各分室はそれぞれ上方の分室に中詰用配管に
よって通じている。すなわち前壁側の経路、中間の経
路、後壁側の経路でそれぞれ、4つづつあるので最終的
には12経路となっている。ケーソンを反転させ正規の状
態に起立させる方法は、ケーソンの決められた内部空間
を海水で占有させて行うものであるが、その工程は、最
初に底部の3箇所の海水導入バルブを開く、続いて通水
バルブを開き、曳航時上面となっている側壁側の分室の
エアー抜きバルブ(3箇所)のみを開き海水を導入す
る。導入速度はエアー抜きバルブで調整する。底部のす
べての分室が満水となったら、エアー抜きバルブを閉じ
て海水の導入を停止する。すでにこの時点でケーソンは
起立状態にある。すなわちケーソン内部の一定の空間を
海水が占有した場合、浮体としてのケーソンが反転して
起立する占有空間の仕切りとなるようにあらかじめ構成
させるものである。底部の分室の満水状態の確認は海水
感知器でなされる。続いてケーソンの前壁側の浮力が大
きいので前壁側のエアー抜きバルブ(4箇所)を開き、
前壁側の分室に海水を導入し、ケーソンの姿勢を正しく
制御し、エアー抜きバルブを閉じる。第7図はこの状態
を示すケーソンの横断面図である。図において記号
(B1)は空の分室、(B2)は海水を導入した分室であ
る。
のケーソンの据付けの工程説明図である。本発明の据付
け工はまず側壁を底面とした状態から正規の状態とする
ことから始められる。実施例の海水導入経路は、まず、
ケーソン曳航時に底面となっている側壁の底部の分室の
3経路である。これが通水バルブを通して反対側の上面
となっている側壁の底部の分室に通じている。そしてさ
らに底部の各分室はそれぞれ上方の分室に中詰用配管に
よって通じている。すなわち前壁側の経路、中間の経
路、後壁側の経路でそれぞれ、4つづつあるので最終的
には12経路となっている。ケーソンを反転させ正規の状
態に起立させる方法は、ケーソンの決められた内部空間
を海水で占有させて行うものであるが、その工程は、最
初に底部の3箇所の海水導入バルブを開く、続いて通水
バルブを開き、曳航時上面となっている側壁側の分室の
エアー抜きバルブ(3箇所)のみを開き海水を導入す
る。導入速度はエアー抜きバルブで調整する。底部のす
べての分室が満水となったら、エアー抜きバルブを閉じ
て海水の導入を停止する。すでにこの時点でケーソンは
起立状態にある。すなわちケーソン内部の一定の空間を
海水が占有した場合、浮体としてのケーソンが反転して
起立する占有空間の仕切りとなるようにあらかじめ構成
させるものである。底部の分室の満水状態の確認は海水
感知器でなされる。続いてケーソンの前壁側の浮力が大
きいので前壁側のエアー抜きバルブ(4箇所)を開き、
前壁側の分室に海水を導入し、ケーソンの姿勢を正しく
制御し、エアー抜きバルブを閉じる。第7図はこの状態
を示すケーソンの横断面図である。図において記号
(B1)は空の分室、(B2)は海水を導入した分室であ
る。
次に仮り据付け工を行う。その工程は、さらに決められ
た空間に海水を占有させ、捨石マウンドのケーソン着床
位置の上方約50cm手前まで沈下させる。第8図はこの状
態を示す横断面図である。これの海水導入の工程は、前
壁側及び後壁側のエアー抜きバルブ(それぞれ4箇所)
を開き、それぞれの分室に海水を導入し、ケーソンの姿
勢を正しく制御しながら沈下させるものである。あらか
じめケーソン壁体表面にケーソン高さの目盛を表示して
おき、沈下深さを確認してエアー抜きバルブを閉じる。
そして着床位置を確認し、ケーソンの位置を合わせ、中
間分室のエアー抜きバルブ(4箇所)を開き海水を導入
し、静かに着床させる。この場合、決められた空間を残
して、他の空間を海水で占有させることにより、ケーソ
ンに浮力を残して仮り据付けするものである。
た空間に海水を占有させ、捨石マウンドのケーソン着床
位置の上方約50cm手前まで沈下させる。第8図はこの状
態を示す横断面図である。これの海水導入の工程は、前
壁側及び後壁側のエアー抜きバルブ(それぞれ4箇所)
を開き、それぞれの分室に海水を導入し、ケーソンの姿
勢を正しく制御しながら沈下させるものである。あらか
じめケーソン壁体表面にケーソン高さの目盛を表示して
おき、沈下深さを確認してエアー抜きバルブを閉じる。
そして着床位置を確認し、ケーソンの位置を合わせ、中
間分室のエアー抜きバルブ(4箇所)を開き海水を導入
し、静かに着床させる。この場合、決められた空間を残
して、他の空間を海水で占有させることにより、ケーソ
ンに浮力を残して仮り据付けするものである。
続いて、本据付け工を行う。その工程はまずケーソン天
端の傾斜を確認し、前記の小隔室のうちケーソンの四隅
の小隔室の相対的高さを求め、ケーソンを水平にするた
めのこれらの押し上げ高を設定する。そして高さ不足の
小隔室に固結材用注入管を通して水中コンクリートを注
入して、袋状カバーをその小隔室から膨張突出させるこ
とによりケーソンを押し上げ、ケーソンを水平に保ち、
続いて残りの小隔室にも水中コンクリートを注入する。
この場合注入圧を確認しながら行い、注入圧をかけ過ぎ
てケーソンを押し上げないようにする。続いて上げ底空
間部にも同様に水中コンクリートを注入する。第9図は
この状態を示した横断面図である。図において符号
(d1)は小隔室の水中コンクリート、(d2)は上げ底空
間部の水中コンクリートである。
端の傾斜を確認し、前記の小隔室のうちケーソンの四隅
の小隔室の相対的高さを求め、ケーソンを水平にするた
めのこれらの押し上げ高を設定する。そして高さ不足の
小隔室に固結材用注入管を通して水中コンクリートを注
入して、袋状カバーをその小隔室から膨張突出させるこ
とによりケーソンを押し上げ、ケーソンを水平に保ち、
続いて残りの小隔室にも水中コンクリートを注入する。
この場合注入圧を確認しながら行い、注入圧をかけ過ぎ
てケーソンを押し上げないようにする。続いて上げ底空
間部にも同様に水中コンクリートを注入する。第9図は
この状態を示した横断面図である。図において符号
(d1)は小隔室の水中コンクリート、(d2)は上げ底空
間部の水中コンクリートである。
次に中詰工を行う。中詰工は中詰用配管を通して、ポン
プ船等により海水とともに中詰砂を圧送する。中詰用配
管は各分室に2本づつ配列され、そのうち一方が排水管
の役目をする。この場合シルト分の多い砂であると海洋
汚濁となるので、シルト分の少ない安価な海砂などが中
詰材として好適である。第10図はケーソンの中詰が完了
した状態の横断面図である。図において符号(B3)は中
詰された分室である。
プ船等により海水とともに中詰砂を圧送する。中詰用配
管は各分室に2本づつ配列され、そのうち一方が排水管
の役目をする。この場合シルト分の多い砂であると海洋
汚濁となるので、シルト分の少ない安価な海砂などが中
詰材として好適である。第10図はケーソンの中詰が完了
した状態の横断面図である。図において符号(B3)は中
詰された分室である。
「発明の効果」 本発明による密閉異形ケーソン工法においては、ケーソ
ンの垂直断面の形状を下方広1りとして鉛直の重心を下
げるとともに、その水平の重心位置を設計荷重条件に対
して最適位置となるように頂部を底部の中心に対して水
平方向にずらした構成である。この結果ケーソンの安定
要素である転倒の安定度は増大し、ケーソン底面の反力
分布の均等化により、ケーソンの端支圧も軽減される。
さらに本発明では上げ底ケーソンの機能も組入れ、滑動
抵抗力を増大させるものであるから、ケーソンの安定要
素の転倒、滑動の安定度がともに増大するため、結果と
して余分な堤体重量を大幅に省くことができ、ケーソン
の端支圧はさらに大幅に軽減されることになる。
ンの垂直断面の形状を下方広1りとして鉛直の重心を下
げるとともに、その水平の重心位置を設計荷重条件に対
して最適位置となるように頂部を底部の中心に対して水
平方向にずらした構成である。この結果ケーソンの安定
要素である転倒の安定度は増大し、ケーソン底面の反力
分布の均等化により、ケーソンの端支圧も軽減される。
さらに本発明では上げ底ケーソンの機能も組入れ、滑動
抵抗力を増大させるものであるから、ケーソンの安定要
素の転倒、滑動の安定度がともに増大するため、結果と
して余分な堤体重量を大幅に省くことができ、ケーソン
の端支圧はさらに大幅に軽減されることになる。
一方、本発明の工法で用いられるケーソンは正規の状態
ではその垂直断面形状が非対称形であるため、浮体とし
ては不安定である。またその吃水量は、従来のケーソン
と同様に大きい。さらにはケーソンの構成部材には斜部
材があり、巨大ケーソンなるがゆえにその製作は困難で
ある。
ではその垂直断面形状が非対称形であるため、浮体とし
ては不安定である。またその吃水量は、従来のケーソン
と同様に大きい。さらにはケーソンの構成部材には斜部
材があり、巨大ケーソンなるがゆえにその製作は困難で
ある。
そこで本発明のケーソンはこれの頂版を初めから加えさ
らに新たに中間床版を加えて、ケーソン本体の内部空間
を分室に仕切り、且つケーソン本体底面を上げ底し、上
げ底ケーソンの機能を装置してなる密閉ケーソンを用い
るものである。そしてこれの製作、進水、曳航は一方の
側壁を底面として行う。これによりすべての主要部材は
鉛直部材、水平部材に置きかえられ、製作は容易とな
る。また構造力学的にはケーソンは各分室に仕切られる
ので非常に強固となり各部材をさらに薄くすることがで
き、ケーソンの軽量化が促進される。またこの状態の垂
直断面形状は対称形であり、さらに密閉状態であるの
で、浮体としての安定度は非常に高くなっている。また
吃水量はこの状態ではケーソンの長さに比例するが、本
発明のケーソンは重心が低いため、ケーソン長さの調整
は容易である。
らに新たに中間床版を加えて、ケーソン本体の内部空間
を分室に仕切り、且つケーソン本体底面を上げ底し、上
げ底ケーソンの機能を装置してなる密閉ケーソンを用い
るものである。そしてこれの製作、進水、曳航は一方の
側壁を底面として行う。これによりすべての主要部材は
鉛直部材、水平部材に置きかえられ、製作は容易とな
る。また構造力学的にはケーソンは各分室に仕切られる
ので非常に強固となり各部材をさらに薄くすることがで
き、ケーソンの軽量化が促進される。またこの状態の垂
直断面形状は対称形であり、さらに密閉状態であるの
で、浮体としての安定度は非常に高くなっている。また
吃水量はこの状態ではケーソンの長さに比例するが、本
発明のケーソンは重心が低いため、ケーソン長さの調整
は容易である。
本発明のケーソンの据付け工は正規の状態とすることか
ら始められるが、その方法は、決められた内部空間を海
水で占有させて、浮体としてのケーソンを反転させて起
立させるものである。すなわち、ケーソン底部の分室を
構成する中間床版は、外壁の補強のみならずケーソンが
起立するための占有空間の分室となるように構成されて
いる。そしてケーソンの起立、あるいは沈下の速度は海
水を導入する速度によって決まるが、これはケーソンの
エアー抜きバルブにより的確に調節される。また海水の
導入を中断し、決められた吃水を確保することや、決め
られた内部空間を残すことにより、ケーソンに必要な浮
力を残して仮据付けすることなども容易である。このよ
うに巨大ケーソンの据付け施工の制御が自在にできる密
閉ケーソンの機能が、巨大ケーソンに上げ底ケーソンの
機能を組入れることを可能とした。また上げ底ケーソン
の機能をさらに発展させ、ケーソンの高さ及び水平度の
調整機能をさらに加えたことにより、人力施工では非常
に困難な大水深下の捨石マウンド均しを完全に機械化施
工とした。そして本均しはケーソンの小隔室に対応する
部分の均しだけで良い。また従来のケーソン工法の中詰
工はガット船により砂岩等を投入して中詰し、その後中
詰蓋(頂版)コンクリートを打設している。これに対し
て本発明におけるケーソンの中詰工は、各分室に2本の
中詰用配管を設置し、一方が中詰砂の圧送管の時他方を
排水管として機能させることにより、ポンプ船により中
詰を急速施工するものである。これにより中詰工の工期
を大幅に短縮している。
ら始められるが、その方法は、決められた内部空間を海
水で占有させて、浮体としてのケーソンを反転させて起
立させるものである。すなわち、ケーソン底部の分室を
構成する中間床版は、外壁の補強のみならずケーソンが
起立するための占有空間の分室となるように構成されて
いる。そしてケーソンの起立、あるいは沈下の速度は海
水を導入する速度によって決まるが、これはケーソンの
エアー抜きバルブにより的確に調節される。また海水の
導入を中断し、決められた吃水を確保することや、決め
られた内部空間を残すことにより、ケーソンに必要な浮
力を残して仮据付けすることなども容易である。このよ
うに巨大ケーソンの据付け施工の制御が自在にできる密
閉ケーソンの機能が、巨大ケーソンに上げ底ケーソンの
機能を組入れることを可能とした。また上げ底ケーソン
の機能をさらに発展させ、ケーソンの高さ及び水平度の
調整機能をさらに加えたことにより、人力施工では非常
に困難な大水深下の捨石マウンド均しを完全に機械化施
工とした。そして本均しはケーソンの小隔室に対応する
部分の均しだけで良い。また従来のケーソン工法の中詰
工はガット船により砂岩等を投入して中詰し、その後中
詰蓋(頂版)コンクリートを打設している。これに対し
て本発明におけるケーソンの中詰工は、各分室に2本の
中詰用配管を設置し、一方が中詰砂の圧送管の時他方を
排水管として機能させることにより、ポンプ船により中
詰を急速施工するものである。これにより中詰工の工期
を大幅に短縮している。
大水深海域の海洋工事は、気象、海象条件が厳しく建設
工事に適した日々は限られている。このため耐波性に強
い工法で急速施工を行うことが基本となっている。これ
に対して本発明のケーソンは、浮体として最も安定した
ものであり、ケーソンの据付けも確実に行なわれ、捨石
マウンド均しは完全機械化施工でそれも一部分行なえば
良く、中詰工も急速施工である。このように現地の海洋
作業は大幅に短縮されている。前述のように本発明によ
る密閉異形ケーソン工法は、完成時の安定問題も含め、
現在のケーソン式巨大混成堤の主な問題点のすべてを解
決した完成された工法である。
工事に適した日々は限られている。このため耐波性に強
い工法で急速施工を行うことが基本となっている。これ
に対して本発明のケーソンは、浮体として最も安定した
ものであり、ケーソンの据付けも確実に行なわれ、捨石
マウンド均しは完全機械化施工でそれも一部分行なえば
良く、中詰工も急速施工である。このように現地の海洋
作業は大幅に短縮されている。前述のように本発明によ
る密閉異形ケーソン工法は、完成時の安定問題も含め、
現在のケーソン式巨大混成堤の主な問題点のすべてを解
決した完成された工法である。
図は本発明の実施例を示すもので、第1図はケーソンの
横断面図、第2図はケーソンの縦断面図、第3図はケー
ソンの平面図、第4図はケーソンの底面図、第5図はケ
ーソンの斜視図、第6図は据え付けたケーソンの拡大部
分断面図、第7図ないし第10図はそれぞれ本発明の工程
順序を断面で示した工程図である。 A……ケーソン、1A……ケーソン本体、B……分室、C
……上げ底空間部、D……小隔室、a……中詰用配管、
b1、b2……固結材用注入管、c1,c2……袋状カバー、1
……前壁、2……後壁、3……側壁、4……底版、5…
…頂版、6……中間床版、7……縦隔壁、8……横隔
壁。
横断面図、第2図はケーソンの縦断面図、第3図はケー
ソンの平面図、第4図はケーソンの底面図、第5図はケ
ーソンの斜視図、第6図は据え付けたケーソンの拡大部
分断面図、第7図ないし第10図はそれぞれ本発明の工程
順序を断面で示した工程図である。 A……ケーソン、1A……ケーソン本体、B……分室、C
……上げ底空間部、D……小隔室、a……中詰用配管、
b1、b2……固結材用注入管、c1,c2……袋状カバー、1
……前壁、2……後壁、3……側壁、4……底版、5…
…頂版、6……中間床版、7……縦隔壁、8……横隔
壁。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 E02D 23/02 D E
Claims (3)
- 【請求項1】ケーソン本体の垂直断面の形状を下方広が
りとし、しかもその水平重心位置を設計荷重条件に対し
て最適位置となるように、頂部を底部の中心に対し水平
方向にずらした構成とし、且つ、内部空間を中間床版及
び縦、横隔壁により密閉可能な各分室に仕切り、各分室
の上下方向にエアー抜きバルブが組込まれた密閉蓋付き
の中詰用配管を設置し、さらに、底部の分室に海水導入
バルブを設置してなることを特徴とする密閉異形ケーソ
ン。 - 【請求項2】ケーソン本体の垂直断面の形状を下方広が
りとし、しかもその水平重心位置を設計荷重条件に対し
て最適位置となるように、頂部を底部の中心に対し水平
方向にずらした構成とし、且つ、内部空間を中間床版及
び縦、横隔壁により密閉可能な各分室に仕切り、各分室
の上下方向にエアー抜きバルブが組込まれた密閉蓋付き
の中詰用配管を設置し、さらに、底部の分室に海水導入
バルブを設置する一方、前記ケーソン本体の底面に形成
した上げ底空間部及び当該上げ底空間部の周囲に位置す
る下面開口の小隔室にそれぞれ装着した柔軟性素材より
なる袋状カバーと、これら袋状カバー内にそれぞれ連通
させた固結材用注入管とを装備してなることを特徴とす
る密閉異形ケーソン。 - 【請求項3】ケーソン本体の垂直断面の形状を下方広が
りとし、しかもその水平重心位置を設計荷重条件に対し
て最適位置となるように、頂部を底部の中心に対し水平
方向にずらした構成とし、且つ、内部空間を中間床版及
び縦、横隔壁により密閉可能な各分室に仕切り、各分室
の上下方向にエアー抜きバルブが組込まれた密閉蓋付き
の中詰用配管を設置し、さらに、底部の分室に海水導入
バルブを設置する一方、底面に形成した上げ底空間部及
び当該上げ底空間部の周囲に位置する下面開口の小隔室
にそれぞれ装着した柔軟性素材よりなる袋状カバーと、
これら袋状カバー内にそれぞれ連通させた固結材用注入
管とを装備してなる密閉ケーソンを用い、当該ケーソン
の進水及び曳航は側壁を底面とした状態で行い、これの
据付け工においては、海水導入バルブ及びエアー抜きバ
ルブを操作調整することにより、ケーソン底部の分室か
ら海水を導入し、決められた内部空間を海水で占有させ
てケーソンを反転させ正規の状態に起立させる工程と、
必要に応じて決められた空間を残して、他の空間を海水
で占有させることにより、ケーソンに浮力を残して仮り
据付けする工程と、前記上げ底空間部に固結材を注入し
て、捨石マウンドの凹凸に合わせて袋状カバーを密着さ
せたのちにケーソンの浮力を除去する本据付けの工程
と、中詰用配管を通して中詰砂を圧送する工程とを有す
る密閉異形ケーソン工法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP153487A JPH0799023B2 (ja) | 1987-01-07 | 1987-01-07 | 密閉異形ケーソンおよび密閉異形ケーソン工法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP153487A JPH0799023B2 (ja) | 1987-01-07 | 1987-01-07 | 密閉異形ケーソンおよび密閉異形ケーソン工法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63171921A JPS63171921A (ja) | 1988-07-15 |
JPH0799023B2 true JPH0799023B2 (ja) | 1995-10-25 |
Family
ID=11504186
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP153487A Expired - Lifetime JPH0799023B2 (ja) | 1987-01-07 | 1987-01-07 | 密閉異形ケーソンおよび密閉異形ケーソン工法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0799023B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010255311A (ja) * | 2009-04-24 | 2010-11-11 | Hitachi Zosen Corp | 防波堤 |
JP2015508853A (ja) * | 2012-03-08 | 2015-03-23 | キム,ソク−ムン | ケーソン防波堤、そのケーソン防波堤構築用ケーソンユニット及びそのケーソン防波堤の製造方法 |
JP2021008720A (ja) * | 2019-06-28 | 2021-01-28 | 国立大学法人神戸大学 | ケーソン、ニューマチックケーソン工法及び構造物 |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2597878B2 (ja) * | 1988-04-21 | 1997-04-09 | 清水建設株式会社 | 堰堤の構造 |
JP2571742B2 (ja) * | 1992-09-24 | 1997-01-16 | 實 八木 | コンクリートブロックを用いた水中コンクリートの施工法 |
FR2880367B1 (fr) * | 2004-12-30 | 2008-10-10 | Doris Engineering | Digue portuaire artificielle |
-
1987
- 1987-01-07 JP JP153487A patent/JPH0799023B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010255311A (ja) * | 2009-04-24 | 2010-11-11 | Hitachi Zosen Corp | 防波堤 |
JP2015508853A (ja) * | 2012-03-08 | 2015-03-23 | キム,ソク−ムン | ケーソン防波堤、そのケーソン防波堤構築用ケーソンユニット及びそのケーソン防波堤の製造方法 |
JP2021008720A (ja) * | 2019-06-28 | 2021-01-28 | 国立大学法人神戸大学 | ケーソン、ニューマチックケーソン工法及び構造物 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63171921A (ja) | 1988-07-15 |
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