JP2514902B2 - ケ―ソンの進水方法および作業台船 - Google Patents

ケ―ソンの進水方法および作業台船

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JP2514902B2 JP5195159A JP19515993A JP2514902B2 JP 2514902 B2 JP2514902 B2 JP 2514902B2 JP 5195159 A JP5195159 A JP 5195159A JP 19515993 A JP19515993 A JP 19515993A JP 2514902 B2 JP2514902 B2 JP 2514902B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ケーソンの進水方法お
よび作業台船に係り、さらに詳しくはドックの函台上で
ケーソンを築造後、そのケーソンおよびドックの転倒を
防止しつつケーソンを浮上させるためのケーソンの進水
方法と作業台船に関する。
【0002】
【従来の技術】作業台船を使って、防波堤や岸壁用のケ
ーソンを築造する場合につき、図6〜図8により説明す
る。
【0003】まず、作業台船のドック1は例えば4隅に
注排水孔3を有する函台2と、これの下部に設けられか
つ桁5により補強された船内4と、前記函台2および船
内4の外周に装備されたフロート6とにより、図6に示
すように、断面ほぼ凹字型に構成されている。
【0004】そして、前記ドック1を既設の岸壁の近傍
の海底、または海底に人工的に設けられたマウンドM上
に移動させる。
【0005】次に、ドック1の函台2及びフロート6内
に水中ポンプ等で海水Wを注ぎ、その海水Wを函台2に
設けられた注排水孔3を通じて船内4に入れ、ドック1
の重量を大きくし、沈下させて固定する。
【0006】ついで、ドック1の函台2上で常法により
鉄筋及び型枠を組み、生コンクリートを打設し、鉄筋コ
ンクリート製のケーソン9を築造する。
【0007】前記ケーソン9を、ケーソン自身が水中で
浮力により浮上できる所定の高さhまで築造したのち、
型枠を外し、またドック1の船内4及びフロート内6の
海水Wをポンプ等により汲み出し、ドック1を浮上さ
せ、マウンドMから切り離す。
【0008】ついで、ケーソン9を定置したドック1を
タグボート等により、水深の深い位置まで曳航する。
【0009】その後、ドック1の函台2に設けられた注
排水孔3を通じて船内4に海水Wを注入し、ドック1の
重量を大きくすると、ドック1は次第に吃水が大きくな
る。
【0010】その結果、図8に示すように、ドック1の
フロート上面7より海水Wが越流し、ドック1の函台2
と、フロート1の内周面8と、ケーソン9の外周面10
とに囲まれた空間部11が海水Wで満たされる。これに
より、ケーソン9に前記空間部11内の海水Wによる浮
力が生じる。
【0011】次に、ドック1のフロート6内に水中ポン
プ等により海水Wを注入し、ドック1の重量を大きく
し、ドック1を海底に沈設させる。このとき、ケーソン
9は前記空間部11内の海水Wの浮力により浮上し、ド
ック1の函台2から切り離される。
【0012】前述のごとく、ドック1の函台2からケー
ソン9を切り離したのち、そのケーソン9を防波堤や岸
壁におけるケーソン据え付け地点まで運び、据え付け
る。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ドック1の
フロート上面7から海水Wがドック1内に流れ込むと
き、風,波等の外力によりドック1が僅かに傾斜するの
で、図8から分かるように、海水Wはフロート上面7か
ら均等に流れ込まずに、フロート上面7の最も低い部分
から入り始める。これにより、ドック1の傾斜がさらに
進む。
【0014】また、ケーソン9の平面形状がドック1の
平面形状に対して小さい場合、例えば図6においてケー
ソン幅bがドック幅Bに比較して小さく、したがって函
台2とフロート6の内周面8とケーソン9の外周面10
とにより囲まれた空間部11の体積が大きいと、海水W
がフロート上面7から越流して空間部11を満たし、ケ
ーソン自身に浮力を生じさせるまでに相当の時間が掛か
る。この時間の中では、ドック1の浮力が非常に小さく
なっており、フロート6の浮力が働いているのみの状態
となっている。すなわち、フロート上面7より越流し、
船内4と空間部11に海水Wが充満するまでの時間帯で
は、ドック1とケーソン9との安定は非常に微妙であ
り、不安定になりやすく、時にはバランスを失い、ドッ
ク1やケーソン9が転倒することがある。この現象は、
ドック1の平面積に対してケーソン9の平面積が小さ
く、かつ築造されたケーソン9の高さhが高い、いわゆ
る重心の高いケーソン9を築造した場合に大きい。
【0015】前述のごとく、特に重心の高いケーソン9
を築造後、進水する場合、ケーソン9とドック1の傾斜
の度合いが大きく、最悪の場合に進水に失敗し、ケーソ
ン9が転倒したり、ドック1が大きく傾いたときにケー
ソン9がドック1の函台2上をすべり出すというような
トラブルが起きることがあった。
【0016】本発明は、上記の点に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、ドックの平面積に対して
ケーソンの平面積が非常に小さく、重心の高いケーソン
を築造し、進水する場合であっても、ドックおよびケー
ソンの傾斜を小さく抑え、ケーソンの進水を安全に行う
ことができ、かつケーソンに短時間で浮力を付与し得る
ケーソンの進水方法および作業台船を提供しようとする
ものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明進水方法はドック1の函台2上でケーソン9
を築造後、ドック1の函台2と,ドック1の外周に装備
されたフロート6の内周面と,築造されたケーソン9の
外周面とに囲まれた空間部11に、自己浮上機能を持っ
た浮力体12を設置するとともに、少なくとも浮力体1
2の内周面とケーソン9の外周面との間に小空間22を
確保し、かつ浮力体12をドック1に仮に固定し、ドッ
ク1とケーソン9と浮力体12とを一緒に沈下させ、小
空間22内にケーソン9に浮力を生じさせ得る量の海水
Wを短時間内に入れたのち、ケーソン9と浮力体12と
を解放し、ケーソン9を浮上させるようにしたものであ
る。
【0018】また、上記目的を達成するため、本発明作
業台船は、函台2と,その下部に海水Wを注入可能に形
成された船内4と,函台2および船内4の外周に装備さ
れたフロート6とにより断面ほぼ凹字型のドック1を構
成し、このドック1の函台2上でケーソン9を築造する
作業台船において、前記ドック1の函台2と,自己浮上
機能を有しかつ前記フロート6の内周面と,築造された
ケーソン9の外周面とに囲まれた空間部11に設置し小
空間22を形成するための浮力体12を備え、浮力体1
2をドック1に仮に固定する固定手段15を配備したも
のである。
【0019】
【作用】本発明ケーソンの進水方法を実施するに当たっ
ては、本発明作業台船を使用する。
【0020】その作業台船は、函台2と船内4とフロー
ト6とにより断面ほぼ凹字型に構成されたドック1に、
自己浮上機能を有しかつ前記函台2と,フロート6の内
側面と,築造されたケーソン9の外周面とに囲まれた空
間部11に設置する浮力体12と、浮力体12をドック
1に仮に固定する固定手段15を配備している。
【0021】そこで、まずドック1の函台2上で常法に
より、ケーソン9をそれ自身が水中で浮力により浮上で
きる所定の高さhまで築造する。
【0022】次に、函台2とフロート6の内側面とケー
ソン9の外周面とにより囲まれた空間部11に浮力体1
2を設置する。このとき、浮力体12の内周面とケーソ
ン9の外周面との間に小空間22を確保する。ついで、
仮の固定手段15により浮力体12をドック1に仮に固
定する。
【0023】その後、ドック1の船内4の海水Wを汲み
出し、ドック1をいったん浮上させ、マウンドMから切
り離し、ケーソン9を定置したままドック1を水深の深
い位置まで曳航する。
【0024】ついで、ドック1の船内4に海水Wを入
れ、ドック1の重量を大きくし、ドック1を沈下させ
る。これにより、ドック1のフロート上面7から海水W
が越流し、その海水Wが浮力体12の内周面とケーソン
9の外周面間の小空間22に進入し、ケーソン9に浮力
を与える。
【0025】前記小空間22に海水Wを充満させたの
ち、仮の固定手段15を解き、ケーソン9と浮力体12
とをドック1から解放する。この状態では、ケーソン9
は前記小空間22に充満された海水Wにより浮力が与え
られ、ケーソン自身で浮上する。
【0026】ついで、ドック1のフロート6の内部に海
水Wを注入し、ドック1の浮力をなくし、ドック1を海
底に沈下させる。このとき、浮力体12をドック1から
外し、ケーソン9を浮上させてドック1から取り出し、
そのケーソン9を所定の据え付け地点に移動させ、据え
付ける。
【0027】前述のごとく、本発明ではドック1の内部
に浮力体12を設置しているので、フロート6の浮力と
浮力体12の浮力との相乗作用により、ケーソン9の進
水時にドック1およびケーソン9の傾斜を極めて小さく
抑えることができる結果、たとえ重心の高いケーソン9
を築造した場合であっても、その進水時にドック1とケ
ーソン9を安定的に保つことができる。
【0028】また、本発明ではドック1の内部に浮力体
12を設置し、しかも浮力体12の内周面とケーソン9
の外周面間に小空間22を確保し、ケーソン9の進水時
に、前記小空間22に海水Wを入れ、ケーソン9に浮力
を与えるようにしているので、小空間22をドック1の
フロート上面7から越流して来た海水Wで直ちに充満さ
せることができ、したがってケーソン自身で浮上できる
ようにするための浮力を極めて短時間で付与することが
可能となる。
【0029】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説
明する。
【0030】図1〜図3は本発明の第1実施例を示すも
ので、図1は縦断面図、図2は平面図、図3は作用説明
図である。
【0031】この第1実施例では、ドック1は函台2
と、船内4と、フロート6とにより、図1に示すよう
に、断面ほぼ凹字型に構成され、かつ後述する如く、ド
ック1とケーソン9と浮力体12はワイヤロープ17で
一体とし得るように構成されている。
【0032】前記函台2には、図2に示すように、4隅
に注排水孔3が設けられている。
【0033】前記船内4は、図1に示すように、桁5に
より補強されている。この船内4には、前記注排水孔3
を通じて海水Wを注入または排出するようになってい
る。
【0034】前記フロート6は、図1および図2に示す
ように、函台2と船内4との外周に装備されている。こ
のフロート6の内部にも、海水Wを注入または排出し得
るようになっている。
【0035】ところで、この第1実施例では浮力体12
と、ケーソン9の仮蓋14と、浮力体12とケーソン9
の仮の固定手段15とを配備している。
【0036】前記浮力体12には、鋼板製中空体、プラ
スチック発泡体、ゴム製浮き袋体等が用いられる。ま
た、浮力体12はこの第1実施例では函台2からフロー
ト上面7までの高さとほぼ同じ高さに形成され、さらに
フロート6の内側面8と浮力体12の外周面間に間隔材
13をはさんで通水路21を形成し得る形状に形成さ
れ、しかも浮力体12の内周面と築造されるケーソン9
の外周面10との間に、小空間22を確保し得る形状に
形成されている。そして、この浮力体12はケーソン9
の築造後その進水時に、ドック1の函台2と、フロート
6の内側面8と、ケーソン9の外周面10とに囲まれた
空間部11に設置されるようになっている。
【0037】前記仮蓋14は、築造されたケーソン9の
上面に被せ適宜の手段により固定し密閉されている。
【0038】前記固定手段15は、この第1実施例では
8組設けられており、各組の固定手段15はワイヤロー
プ17と、下部滑車18と、上部滑車19と、定着部2
0とを有している。前記下部滑車18は、ケーソン9の
進水時に、ドック1の函台2に取り付けられる。前記上
部滑車19と定着部20とは、ケーソン9に被せ固定さ
れる仮蓋14に設けられている。前記ワイヤロープ17
は、ドック1のフロート上面7に設けられたアンカ部1
6に結ばれ、浮力体12の上面から内側面を通り、下部
滑車18を経てケーソン9の外側面を通り、上部滑車1
9に掛け渡され、定着部20に挿通され、ジャッキ等の
引っ張り手段により引き絞られ、浮力体12とケーソン
9とを一括して縛り付けるようになっている。
【0039】次に、この第1実施例の作業台船の作用
と、本発明ケーソンの進水方法の一例を説明する。
【0040】まず、ドック1を海底の上に構築されたマ
ウンドM上に沈下させ、固定する。
【0041】ついで、ドック1の函台2上で常法により
ケーソン9を、ケーソン自身が水中で浮力により浮上し
得る所定の高さhに築造する。
【0042】前記ケーソン9の築造が完了したのち、ド
ック1内に浮力体12を運び入れ、この浮力体12をド
ック1の函台2と、フロート6の内側面8と、ケーソン
9の外周面10とにより囲まれた空間部11に設置す
る。このとき、フロート6の内周面8と浮力体12の外
周面間に、間隔材13を所定の間隔をおいて介装し、浮
力体12とフロート6間に、函台2に設けられた注排水
孔3に通じる通水路21を形成する。また、この状態で
は浮力体12の内周面とケーソン9の外周面10間に小
空間22が確保されている。
【0043】続いて、ドック1の函台2に前記小空間2
2を利用して固定手段15の下部滑車18を取り付け、
ケーソン9の上面に、固定手段15の上部滑車19と定
着部20とを有する仮蓋14を被せる。ついで、ドック
1のフロート上面7に設けられているアンカ部16に固
定手段15のワイヤロープ17の一端部を結び、そのワ
イヤロープ17を浮力体12の上面→浮力体12の内側
面→下部滑車18→ケーソン9の外側面→上部滑車19
に順次掛け渡し、定着部20に挿通したうえで、他端部
をジャッキ等の引っ張り手段により引き絞り、定着部2
0で定着させ、浮力体12とケーソン9とを一括してド
ック1に縛り付け、仮に固定する。
【0044】その後、水中ポンプ等により、ドック1の
船内4の海水Wを汲み出し、ドック1をいったん浮上さ
せ、マウンドMから切り離し、ケーソン9を定置したま
まドック1を水深の深い位置に曳航する。
【0045】前述のごとく、ドック1を水深の深い位置
に移動させたのち、水中ポンプ等により、ドック1の函
台2に設けられた注排水孔3を通じて船内4に海水Wを
入れ、ドック1の重量大きくし、ドック1の吃水を大き
くして行くと、ドック1のフロート上面7からドック1
内に海水Wが越流して来る。そして、その海水Wは浮力
体12の内周面とケーソン9の外周面間の小空間22に
進入し、極めて短時間内にケーソン9に浮力を与える。
【0046】前記小空間22に海水Wを充満させたの
ち、固定手段15のワイヤロープ17をケーソン9と浮
力体12から外し、ケーソン9と浮力体12とをドック
1から解放する。この状態では、ケーソン9は前記小空
間22に進入し、充満された海水Wにより浮力が与えら
れ、ケーソン自身で浮上する。
【0047】ついで、水中ポンプ等によりフロート6の
内部に海水Wを注入し、ドック1の浮力を減少させ、ド
ック1を海底に沈下させる。このとき、浮力体12をド
ック1から外し、ケーソン9を浮上させてドック1から
取り出し、そのケーソン9を所定の据え付け地点に移動
させ、据え付ける。
【0048】また、前記ドック1からケーソン9を取り
出したのち、水中ポンプ等によりドック1の船内4およ
びフロート6内の海水Wを汲み出し、ドック1を海面上
に浮上させる。
【0049】以上のように、この第1実施例ではドック
1の内部に浮力体12を設置しているので、フロート6
の浮力と浮力体12の浮力との相乗作用により、ケーソ
ン9の進水時にドック1およびケーソン9の傾斜を極め
て小さく抑えることができるため、たとえ重心の高いケ
ーソン9を築造した場合であっても、その進水時にドッ
ク1とケーソン9とを安定的に保つことができる。した
がって、ドック1が大きく傾くことに起因するケーソン
9のすべり移動や、ドック1およびケーソン9の転倒等
の不具合を解消することができる。
【0050】また、この第1実施例ではドック1の内部
に浮力体12を設置し、さらに浮力体12の内周面とケ
ーソン9の外周面間に小空間22を確保し、ケーソン9
の進水時に、前記小空間22に海水Wを入れ、ケーソン
9に浮力を与えるようにしており、前記小空間22をド
ック1のフロート上面7から越流した海水Wにより直ち
に充満させることができるので、ケーソン自身で浮上で
きるようにするための浮力を極めて短時間で付与するこ
とが可能となる。
【0051】次に、図4および図5は本発明の第2実施
例を示すもので、図4はケーソンを築造した状態におけ
る縦断面図、図5は一部破断平面図である。
【0052】これらの図に示す第2実施例では、浮力体
12が4個の鋼板製中空体23a〜23dを組み合わせ
て構成され、かつ第1実施例と異なり、ケーソン9はド
ック1に設置されているのみで、ドック1と浮力体12
は一体となっている。
【0053】各鋼板製中空体23a〜23dは、ボルト
・ナット等の固定手段(図示せず)によりドック1のフ
ロート6の当該内側面に着脱自在に取り付けられるよう
になっており、この取り付け状態でフロート6に内接す
る形状に形成されている。また、各鋼板製中空体23a
〜23dは前述のごとく、フロート6の内側面に取り付
けた状態で、4隅にドック1の函台2に設けられた注排
水孔3に連通する通水口24が設けられており、さらに
当該鋼板製中空体23a〜23dとフロート6の合わせ
面の部分には、互いに連通する通水孔25が設けられて
いる。
【0054】そして、ドック1をマウンドM上に沈設す
るときには、前記通水口24および函台2に設けられた
注排水孔3を通じてドック1の船内4に海水Wを注入
し、またドック1を浮上させるときには、前記注排水孔
3および通水口24を通じて海水Wを汲み出すようにな
っている。
【0055】前記各鋼板製中空体23a〜23dとフロ
ート6には、ドック1を沈下させるときに、各鋼板製中
空体23a〜23dの外側の部分に設けられた注排水孔
(図示せず)および前記通水孔25を通じて注水し、ま
たドック1を浮上させるときには、前記通水孔25およ
び各鋼板製中空体23a〜23dの外側の部分に設けら
れた注排水孔より排水するようになっている。
【0056】さらに、フロート6の内側面に当該鋼板製
中空体23a〜23dを取り付けた状態で、鋼板製中空
体23a〜23dの組立体である浮力体12の内周面
と、築造されたケーソン9の外周面10間に小空間22
が確保されている。
【0057】しかして、この第2実施例ではケーソン9
を築造後その進水時に、フロート6の内側面に当該鋼板
製中空体23a〜23dをボルト・ナット等により取り
付けることによって、ドック1の函台2と、フロート6
の内周面8と、ケーソン9の外周面10とで囲まれた空
間部11に、鋼板製中空体23a〜23dの組立体であ
る浮力体12を固定する。
【0058】ついで、ケーソン9を定置したままドック
1を水深の深い位置に移動させ、その位置で水中ポンプ
等により、浮力体12の4隅に設けられた通水口24お
よび函台2に設けられた注排水孔3を通じて、ドック1
の船内4に海水Wを注入し、ドック1を沈下させる。こ
のとき、ドック1のフロート上面7から越流して来た海
水Wは浮力体12の内周面とケーソン9の外周面10間
に確保された小空間22に進入し、その海水Wによりケ
ーソン9に浮力が与えられる。
【0059】前記小空間22に海水Wが充満した後、各
鋼板製中空体23a〜23dの外側の部分に設けられた
注排水孔により各鋼板製中空体23a〜23dの内部に
海水Wを注入し、その海水Wをフロート6の内側面と当
該鋼板製中空体23a〜23dの合わせ面の部分に設け
られた通水孔25を通じてフロート6に入れ、フロート
6の浮力を減少させ、ドック1を海底まで沈下させ、ケ
ーソン9を浮上させ、浮力体12を取り外し、ドック1
からケーソン9を取り出し、そのケーソン9を据え付け
地点まで移動させ、据え付ける。
【0060】また、前記ドック1からケーソン9を取り
出したのち、ドック1のフロート6内、浮力体12の各
鋼板製中空体23a〜23d内およびドック1の船内4
の海水Wを汲み出し、ドック1を海面上に浮上させる。
【0061】以上説明した第2実施例においても、前記
第1実施例と同様、ドック1の内部に浮力体12を設置
しているので、フロート6の浮力と浮力体12の浮力と
の相乗作用により、ケーソン9の進水時にドック1およ
びケーソン9の傾斜を極めて小さく抑えることができる
ため、たとえ重心の高いケーソン9を築造した場合であ
っても、進水時にドック1とケーソン9とを安定的に保
つことができる。その結果、ドック1が大きく傾くこと
に起因するケーソン9のすべり移動や、ドック1および
ケーソン9の転倒を防止することができる。
【0062】また、ドック1の内部に浮力体12を設置
し、さらに浮力体12の内周面とケーソン9の外周面間
に小空間22を確保し、ケーソン9の進水時に、前記小
空間22に海水Wを入れ、ケーソン9に浮力を与えるよ
うにしており、前記小空間22をドック1のフロート上
面7から越流した海水Wにより直ちに充満させることが
できるので、ケーソン自身で浮上できるようにするため
の浮力を極めて短時間で付与することが可能となる。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明ケーソンの
進水方法では、ドック1の函台2上でケーソン9を築造
後、ドック1の函台2と,ドック1の外周に装備された
フロート6の内周面と,築造されたケーソン9の外周面
とに囲まれた空間部11に、自己浮上機能を持った浮力
体12を設置するとともに、少なくとも浮力体12の内
周面とケーソン9の外周面との間に小空間22を確保
し、ケーソン9と浮力体12とをドック1に仮に固定
し、ドック1とケーソン9と浮力体12とを一緒に沈下
させ、小空間22内にケーソン9に浮力を生じさせ得る
量の海水Wを入れたのち、ケーソン9と浮力体12とを
解放し、ケーソン9を浮上させるようにしており、ドッ
ク1の内部に浮力体12を設置するようにしているの
で、フロート6の浮力と浮力体12の浮力との相乗作用
により、ケーソン9の進水時にドック1およびケーソン
9の傾斜を極めて小さく抑えることができる結果、たと
え重心の高いケーソン9を築造した場合であっても、そ
の進水時にドック1とケーソン9を安定的に保つことが
でき、したがってドック1が大きく傾くことに起因する
ケーソン9のすべり移動や、ドック1およびケーソン9
の転倒を防止し得る効果があり、ドック1の内部に浮力
体12を設置し、しかも浮力体12の内周面とケーソン
9の外周面間に小空間22を確保し、ケーソン9の進水
時に、この小空間22に海水Wを入れ、ケーソン9に浮
力を与えるようにしているので、小空間22をドック1
のフロート上面7から越流して来た海水Wで直ちに充満
させることができ、したがってケーソン自身で浮上でき
るようにするための浮力を極めて短時間で付与し得る効
果もある。
【0064】さらに、本発明作業台船では、函台2と,
その下部に海水Wを注入可能に形成された船内4と,函
台2および船内4の外側に装備されたフロート6とによ
り断面ほぼ凹字型のドック1を構成し、このドック1の
函台2上でケーソン9を築造する作業台船において、前
記ドック1の函台2と,自己浮上機能を有しかつ前記フ
ロート6の内側面と,築造されたケーソン9の外周面と
に囲まれた空間部11に設置し小空間22を形成するた
めの浮力体12を備え、さらに前記浮力体12をドック
1に仮に固定する固定手段15を配備しているので、前
記本発明方法を的確に実施し得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す縦断面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】第1実施例の作用説明図である。
【図4】本発明の第2実施例の縦断面図である。
【図5】図4の一部破断平面図である。
【図6】従来技術を示す縦断面図である。
【図7】図6の平面図である。
【図8】従来技術の作用説明図である。
【符号の説明】
1 ドック 2 函台 3 注排水孔 4 船内 6 フロート 7 フロート上面 8 フロートの内周面 9 ケーソン 10 ケーソンの外周面 11 空間部 W 海水 12 浮力体 15 仮の固定手段 21 通水路 22 小空間 23a〜23d 浮力体を構成している鋼板製中空体 24 通水口 25 通水孔

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ドック1の函台2上でケーソン9を築造
    後、ドック1の函台2と,ドック1の外周に装備された
    フロート6の内周面と,築造されたケーソン9の外周面
    とに囲まれた空間部11に、自己浮上機能を持った浮力
    体12を設置するとともに、少なくとも浮力体12の内
    周面とケーソン9の外周面との間に小空間22を確保
    し、かつ浮力体12をドック1に仮に固定し、ドック1
    とケーソン9と浮力体12とを一緒に沈下させ、小空間
    22内にケーソン9に浮力を生じさせ得る量の海水Wを
    短時間内に入れたのち、ケーソン9と浮力体12とを解
    放し、ケーソン9を浮上させることを特徴とするケーソ
    ンの進水方法。
  2. 【請求項2】 函台2と,その下部に海水Wを注入可能
    に形成された船内4と,函台2および船内4の外周に装
    備されたフロート6とにより断面ほぼ凹字型のドック1
    を構成し、このドック1の函台2上でケーソン9を築造
    する作業台船において、前記ドック1の函台2と,自己
    浮上機能を有しかつ前記フロート6の内周面と,築造さ
    れたケーソン9の外周面とに囲まれた空間部11に設置
    し小空間22を形成するための浮力体12を備え、浮力
    体12をドック1に仮に固定する固定手段15を配備し
    たことを特徴とする作業台船。
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