JP5967862B2 - 鋼管杭式桟橋 - Google Patents

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本発明は、港湾や河川に構築される鋼管杭式桟橋および、鋼管杭式桟橋に用いる鋼管杭に関する。
港湾や河川に構築される鋼管杭式桟橋は、「港湾の施設の技術上の基準・同解説(社団法人日本港湾協会編)(非特許文献1)」(以下、「港湾基準」と表記する)に即して設計されている係船施設の一形式であり、本明細書では、桟橋の背後が陸地となっている横桟橋(図14参照)、陸地から海に向かって縦方向配置される縦桟橋(図15参照)、船舶の係留用のドルフィン(図16参照)、デタッチドピア(図17参照)を含めて鋼管杭式桟橋と表記する。
なお、図14において、1は鋼管杭、3は上部工、5は渡版、7はL形ブロック、9は被覆石、11は海水面、13は海底面を示している。図15〜図17において図14と同一部分には同一の符号が付してある。また、図17において、15はヤード橋、17は海側軌条、19は陸側軌条、21はケーソンを示している。
鋼管杭式桟橋は、工場で製作される鋼管ぐい(JIS A 5525)(以降、「鋼管ぐい」は、「鋼管杭」と表記する)であるSKK400(港湾基準に記載されている鋼材降伏強度の特性値は235N/mm2)、SKK490(港湾基準に記載されている鋼材降伏強度の特性値は315N/mm2)を海中に複数本打設して、複数の鋼管杭の杭頭部を鉄筋コンクリート製の上部工で一体化することによって構築される。
本明細書では、鋼管杭は「JIS A 5525」に記載されているサイズ、鋼材のヤング率は2.06×108kPaを用いて検討している。
「港湾の施設の技術上の基準・同解説(社団法人日本港湾協会編)」
鋼管杭式桟橋の設計法は、船舶の接岸力、地震力、上部工上に設置される場合がある荷役機械の荷重などを対象として設計される。その中でも、多くの場合、地震力で鋼管杭式桟橋の断面(鋼管杭径、板厚、配置など)が決定される。平成19年に改訂された港湾基準では、地震力は施設の供用期間中に発生する可能性が高いレベル1地震動と、想定される最大規模のレベル2地震動に対して設計することになっている。特に、地震時の耐震性が求められる「耐震強化施設」では、レベル2地震動に対する照査が必須で、有限要素法による地震応答解析で検討することが一般的である。
具体的な設計手順としては、最初に、変動状態(船舶の接岸・牽引による力、レベル1地震動など)に対して、鋼管杭式桟橋を骨組構造として鋼管杭に発生する断面力が、鋼管杭の耐力以下となるような断面を決める。次に、偶発状態(レベル2地震動)に対する照査を地震応答解析で検討する。
耐震強化施設のレベル2地震に対する性能規定は以下の通りである。
耐震強化施設(特定(緊急物資輸送対応))では、岸壁法線(図14参照)の変形に関しては、「残留変形量の限界値は、標準的には30〜100cm程度」とされている。また、杭の全塑性に関しては、「当該桟橋を構成する杭の中に、二箇所以上で全塑性に達している杭が存在しないことを照査する。全塑性に達している杭とは、杭に生じる曲げモーメントが全塑性モーメントに達している杭のことである」とされている。
なお、本明細書では、杭の全塑性の照査の指標としては、全塑性モーメントに対応する曲率φp(単位は1/m)を用いる。曲率φpは全塑性モーメントMpを曲げ剛性EI(Eは杭の鋼材のヤング率、Iは杭の断面2次モーメント)で割ることで算定できる。
港湾基準で規定されるレベル2地震動は、近年の地震観測網の充実や、地震動予測技術の向上により大きくなる傾向にあり、レベル2地震動が大きな地点では、岸壁法線の変形に関しては要求性能を満足するものの、杭の全塑性を満足しないことが散見され、設計断面の見直しが必要になる機会が増えている。これに対して、例えば、鋼管杭の板厚を厚くする、鋼管杭の径を大きくすることで対処している。
鋼管杭の板厚を厚くすると鋼管杭の曲げ剛性が増加するものの、杭の全塑性に関する指標である全塑性モーメントに対応する曲率はほとんど変わらない。鋼管杭の曲げ剛性の増加によって、桟橋の残留変形量は減少し、その効果で鋼管杭の発生曲率を、全塑性モーメントに対応する曲率φp以下とすることが可能なケースが出てくる。ただし、変動状態で決めた断面よりも、発生確率の非常に低い偶発状態のために鋼管杭の鋼重が大きくなり、建設コストアップにつながるという問題を抱えている。
また、鋼管杭の径を大きくすると、板厚を厚くするよりも効率的に曲げ剛性を増加させることができるが、反面、鋼管杭の径が大きくなることで、杭の全塑性に関する指標である全塑性モーメントに対応する曲率は小さくなってしまう。すなわち、変形性能が小さくなってしまう。そのため、よほど残留変形量が小さく成らない限り、杭の全塑性の要求性能を満足させることは難しい。また、仮に要求性能を満足したとしても、板厚を厚くした場合と同様、変動状態で決めた断面よりも、発生確率の非常に低い偶発状態のために鋼管杭の鋼重が大きくなり、建設コストアップにつながるという問題を抱えている。
さらに、レベル2地震動に対する照査で用いる地震応答解析は、解析モデルの作成と解析時間が多大であり、設計業務の効率化の課題となっている。
前記課題で説明したように、鋼管杭式桟橋の残留変形量は要求性能を満足しているのに、杭の全塑性に関して要求性能を満足していないということは、杭の局所的な変形能力が不足していることに他ならない。
杭の全塑性に関する要求性能を満足させる方法としては、前述したように、鋼管杭の板厚を上げる方法、鋼管杭の直径を大きくする方法により鋼管杭の剛性を上げ、鋼管杭式桟橋の変形量を小さくすることで要求性能を満足させる方法が考えられるが、いずれも使用鋼材重量が増加し、建設コストの増加につながってしまう。
そこで、発明者はこのような課題を解決するために、杭の局所的な変形能力を上げることを考えた。
鋼管杭の変形能力の指標は、全塑性モーメントMpに対応する曲率φpを用いることができる。φp=Mp/EI=2εp/D(εp:杭が全塑性状態に達した場合の鋼管杭の外縁の最大ひずみ、Dは鋼管杭の直径)で表すことが可能で、SKK490の鋼管杭のεpはヤング率を2.06×108kPaとすると板厚にもよるが、設計で用いる値は、およそ0.197%〜0.199%程度である。したがって、φp=(3.94〜3.98)×10-3/D=α/D(αは定数)の関係となっている。この式から、αを大きくするか、鋼管杭の直径Dを小さくすることで鋼管杭の局所的な変形性能を増加させることが可能となる。なお、直径Dは、鋼管杭の支持力や、桟橋の残留変形量に余裕があるときでないと小さくすることは難しい。そこで、従来よりも変形性能を向上させる観点から、αの目安としては、効果を明確に得るため1割以上大きくすることとした。
本発明は上記の知見に基づくものであり、具体的には以下の構成からなるものである。
(1)本発明に係る鋼管杭桟橋は、海底地盤に根入れされた複数の鋼管杭によって構成される鋼管杭列と、該鋼管杭列における海面上に突出した部位に構築される上部工とで構成される鋼管杭式桟橋において、前記鋼管杭は、前記鋼管杭の直径Dと前記鋼管杭の全塑性モーメントに対応する曲率φpが、φp≧4.39×10-3/Dという関係を満足することを特徴とするものである。
(2)また、本発明に係る鋼管杭桟橋は、上記(1)に記載のものにおいて、φp≧4.90×10-3/Dを満足することを特徴とするものである。
(3)また、本発明に係る鋼管杭桟橋は、上記(1)に記載のものにおいて、φp≧5.65×10-3/Dを満足することを特徴とするものである。
(4)また、本発明に係る鋼管杭桟橋は、外力に対して鋼管杭に生じる曲率が大きい部分に、上記(1)〜(3)に記載の鋼管杭を用い、それ以外の部分には前記鋼管杭よりも変形性能の低い鋼管杭を用いたことを特徴とするものである。
(5)また、本発明に係る鋼管杭は、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の鋼管杭であって、該鋼管杭がスパイラル鋼管によって形成されていることを特徴とするものである。
(6)また、本発明に係る鋼管杭は、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の鋼管杭であって、該鋼管杭が電縫鋼管によって形成されていることを特徴とするものである。
本発明に係る鋼管杭桟橋は従来よりも変形性能が高い鋼管杭を用いているので、変形性能の低い従来の鋼管杭を用いた鋼管杭式桟橋であれば、レベル2地震に対する要求性能に関して、残留水平変位に対する要求性能は満足しているが、地中部で鋼管杭が全塑性モーメントに対応する曲率を越えてしまうような場合であっても、板厚を厚くしたり径を大きくしたりすることなく要求性能を満足させることが可能となる。
また、変形性能の低い従来の鋼管杭を用いた鋼管杭式桟橋で、レベル2地震に対する要求性能を満足しているような場合には、本発明による変形性能が高い鋼管杭を用いることで、従来材と比べ鋼管杭の杭径を小さくしたり、板厚を薄くしたりすることが可能である。これにより、鋼管杭式桟橋の建設コストを低減することが可能になる。
鋼管杭の製造方法としては、製造コストと納期の観点から、スパイラル鋼管又は電縫鋼管が好適である。
実施の形態1に関する鋼管杭式桟橋(初期断面)の断面図である。 初期断面に対する地震応答解析結果を示す図である。 初期断面に対して板厚を16mmとした場合の地震応答解析結果を示す図である。 初期断面に対して板厚を19mmとした場合の地震応答解析結果を示す図である。 初期断面に対して直径を1000mmとした場合の地震応答解析結果を示す図である。 初期断面に対して直径を1100mmとした場合の地震応答解析結果を示す図である。 初期断面に対してφp≧4.39×10-3/Dを満足する鋼管杭とした場合の地震応答解析結果を示す図である(本発明例)。 初期断面に対する地震応答解析結果(レベル2地震が強い場合)を示す図である。 初期断面に対して板厚を19mmとした場合の地震応答解析結果(レベル2地震が強い場合)を示す図である。 初期断面に対して直径を1100mmとした場合の地震応答解析結果(レベル2地震が強い場合)を示す図である。 初期断面に対してφp≧4.90×10-3/Dを満足する鋼管杭とした場合の地震応答解析結果(レベル2地震が強い場合)を示す図である(本発明例)。 初期断面に対してφp≧5.65×10-3/Dを満足する鋼管杭とした場合の地震応答解析結果(レベル2地震が強い場合)を示す図である(本発明例)。 発生曲率が大きな部分に変形性能が高い鋼管杭を用いた場合の地震応答解析結果(レベル2地震が強い場合)を示す図である(本発明例)。 横桟橋の断面図および平面図の一例である。 縦桟橋の断面図および平面図の一例である。 ドルフィンの断面図および平面図の一例である。 デタッチドピアの断面図および平面図の一例である。
[実施の形態1]
図1に示す-11m水深の鋼管杭式桟橋を例として実施の形態を説明する。なお、図1において図14と同一部分には同一の符号を付してある。
本事例のレベル2地震に対する要求性能は、港湾基準に記載される耐震強化施設(特定(緊急物資輸送対応))を参考にして、(1)鋼管杭が地中部で全塑性モーメントに対応する曲率を越えない、(2)鋼管杭式桟橋の地震後の残留水平変位は30〜100cm程度とした。
(1)は、港湾基準の「二箇所以上で全塑性に達している杭が存在しない」に対応する部分を言い換えたものである。杭の二箇所で全塑性に達する場合は、杭と上部工の境界部分一箇所と、地中部の一箇所以上で全塑性に達することが一般的である。杭と上部工の境界部分は海面上であるため全塑性化しても修復が容易である。一方、地中部で全塑性化すると、修復が困難なうえ、全塑性化していることを発見することも容易ではない。したがって、「二箇所以上で全塑性に達している杭が存在しない」ということは、「地中部で全塑性に対応する曲率を越えない」と言い換えることができる。
変動状態の荷重条件に対して決定された鋼管杭式桟橋(鋼管杭は、直径900mm、板厚14mmのSKK490材である。以下、この断面を「初期断面」と定義する。全塑性モーメントに対応する曲率φpは4.39×10-3(φp=3.95×10-3/D=3.95×10-3/0.9=4.39×10-3で算定)に対して、偶発状態のレベル2地震に対して地震応答解析を行った。
解析で用いた主な地盤定数を表1に示す
Figure 0005967862
地震応答解析の結果を図2に示す。同図には、鋼管杭式桟橋の変形図、残留水平変位の値、鋼管杭で全塑性モーメントに対応する曲率φpを越える曲率が発生した地点を○印で示している。図2に示すように、残留水平変位は95cmで要求性能を満足しているのに対して、陸側の鋼管杭の地中部において全塑性モーメントに対応する曲率を1.4倍程度越えてしまっている(φ=6.11×10-3)。すなわち、鋼管杭式桟橋全体としてはレベル2地震後の残留水平変位を満足していたものの、地中部で局所的に鋼管杭の自体の変形性能が不足していたことになる。
このような結果に対して、最初に、鋼管杭の板厚を厚くすることを検討した。
板厚を厚くすると鋼管杭の曲げ剛性が増加し、鋼管杭式桟橋の残留水平変位を減らすことができることから、鋼管杭地中部で発生する曲率を全塑性モーメントに対応する曲率よりも小さくすることを目指した。
板厚を16mmとすると、曲げ剛性EIは1.16倍、鋼重は1.14倍、全塑性モーメントに対する曲率φpは1.00倍となる。この場合の地震応答解析結果を図3に示す。
板厚16mmでは、残留水平変位は90cm(初期断面に比べ0.95倍)まで抑制されたが、陸側の鋼管杭の地中部において全塑性モーメントに対応する曲率を越えてしまっている。
さらに板厚を増して19mmとすると、曲げ剛性EIは1.33倍、鋼重は1.35倍、全塑性モーメントに対する曲率φpは1.01倍となる。この場合の地震応答解析結果を図4に示す。板厚19mmでは、残留水平変位は85cm(初期断面に比べ0.90倍)まで抑制され、陸側の鋼管杭の曲率は全塑性モーメントに対応する曲率以下となり、要求性能を満足することができた。
これらの結果から、板厚を厚くしても、全塑性モーメントに対する曲率はほとんど変わらないが、曲げ剛性が増加するため、増加した曲げ剛性で残留水平変位が抑制できれば、鋼管杭に発生する曲率を全塑性モーメントに対応する曲率以下にすることができることが明らかになった。
次に、鋼管の直径を増加させることを検討した。
鋼管の直径を増加させると、効率的に鋼管杭の曲げ剛性を増加させることができるが、全塑性モーメントに対する曲率は小さくなってしまうという二律背反の関係があるので、両者のバランスをいかにするかが重要である。
鋼管杭の直径を1000mmとすると、曲げ剛性EIは1.38倍、鋼重は1.11倍、全塑性モーメントに対する曲率φpは0.90倍となる。板厚を厚くするより少ない鋼重で曲げ剛性を上げることができているが、全塑性モーメントに対する曲率は小さくなってしまっている。この場合の地震応答解析結果を図5に示す。残留水平変位は87cm(初期断面に比べ0.92倍)まで抑制されるが、地中部で全塑性モーメントを越える曲率が発生している。
さらに鋼管杭の直径を増して1100mmとすると、曲げ剛性EIは1.84倍、鋼重1.23倍、全塑性モーメントに対する曲率φpは0.82倍となる。この場合の地震応答解析結果を図6に示す。残留水平変位は81cm(初期断面に比べ0.85倍)まで抑制され、陸側の鋼管杭では全塑性モーメントに対応する曲率以下となり、要求性能を満足することができた。
以上の検討結果から、板厚を厚くするか、鋼管杭の直径を大きくすることで、「鋼管杭が地中部で全塑性モーメントに対応する曲率を越えない」という要求性能を満足することができることが判明したが、板厚を厚くする場合には1.33倍の鋼重が必要なこと、直径を大きくする場合には1.23倍の鋼重が必要なうえ、鋼管杭の施工費も増加するという欠点が生じることが明らかになった。
そこで、本実施の形態では、鋼管杭の変形性能を向上させることを考えた。具体的には、全塑性モーメントに対応する曲率φpを4.39×10-3よりも1割程度高い4.88×10-3の鋼管を用いることにした。
曲率の算定式はφp=4.39×10-3/D=4.39×10-3/0.9=4.88×10-3である。この変形性能を発揮させるためには、鋼材降伏強度の特性値を315N/mm2よりも1割程度高い350N/mm2を保証できる鋼管杭を用いることで可能となる。なお、変形性能が向上しただけで、曲げ剛性、鋼重に変化はない。
上記の変形性能が優れる鋼管杭を用いた地震応答解析結果を図7に示す。残留水平変位は91cm(初期断面に比べ0.97倍)で抑制効果は小さいが、地中部で全塑性モーメントを越える曲率は発生しておらず、「鋼管杭が地中部で全塑性モーメントに対応する曲率を越えない」という要求性能を満足している。このように、実施の形態では、鋼管杭式桟橋にφp≧4.39×10-3/Dを満足する変形性能が高い鋼管杭を用いることで、要求性能を満足させることができた。
なお、本実施の形態では、変動状態の荷重条件に対して決定された鋼管杭式桟橋が、レベル2地震動に対して要求性能を満足できなかった例を示したが、SKK490材でレベル2地震動に対して要求性能を満足している場合でも、SKK490よりも変形性能が高い鋼管杭を用いることで鋼管杭の直径、板厚を減らすことができる。その結果、鋼管杭式桟橋の建設コスト縮減に結びつくという効果が得られる。
[実施の形態2]
実施の形態1で検討したのと同じ鋼管杭式桟橋で、レベル2地震が大きくなった場合の検討を行った。具体的には、実施の形態1で用いたレベル2地震動の最大加速度を7.5%大きくした。要求性能は実施の形態1の場合と同一である。図1に示す初期断面に対して地震応答解析を行った結果を図8に示す。残留水平変位は109cmで概ね要求性能を満足しているのに対して、陸側の地中部において全塑性モーメントに対応する曲率を1.9倍程度越えてしまっている(φ=8.56×10-3)。すなわち、鋼管杭式桟橋全体としてはレベル2地震後の残留水平変位を概ね満足していたものの、地中部で局所的に鋼管杭自体の変形性能が不足していたことになる。
ここで、実施の形態1と同様に、最初に板厚を19mmまで増加させた。この場合の地震応答解析結果を図9に示す。残留水平変位は98cm(初期断面に比べ0.90倍)まで抑制されるが、地中部で全塑性モーメントを越える曲率が発生してしまっている。
次に、鋼管杭の直径を1100mmまで増加させた。この場合の地震応答解析結果を図10に示す。残留水平変位は92cm(初期断面に比べ0.84倍)まで抑制されるが、地中部で全塑性モーメントを越える曲率が発生してしまっている。
そこで、変形性能を徐々に増加させた地震応答解析を行った。その結果、全塑性モーメントに対応する曲率φpを5.44×10-3(φp=4.90×10-3/D=4.90×10-3/0.9=5.44×10-3)としたときに地中部で全塑性モーメントを越える曲率が発生しなくなった。この場合の地震応答解析結果を図11に示す。
鋼管杭式桟橋にφp≧4.90×10-3/Dを満足する変形性能が高い鋼管杭を用いることで、残留水平変位は102cm(初期断面に比べ0.94倍)まで抑制され、「鋼管杭式桟橋の地震後の残留水平変位は30〜100cm程度」という要求性能を、ほぼ満足することができた。
さらに、全塑性モーメントに対応する曲率φpを6.28×10-3(φp=5.65×10-3/D=5.65×10-3/0.9=6.28×10-3)にした場合の地震応答解析結果を図12に示す。鋼管杭式桟橋にφp≧5.65×10-3/Dを満足する変形性能が高い鋼管杭を用いることで、残留水平変位は98cm(初期断面に比べ0.04倍)まで抑制され、「鋼管杭式桟橋の地震後の残留水平変位は30〜100cm程度」という要求性能を、完全に満足することができた。
[実施の形態3]
実施の形態1、実施の形態2では、鋼管杭式桟橋を構成する鋼管杭は、すべて同一の直径、板厚、変形性能のものを用いることを前提として検討してきた。
これに対して実施の形態3では、曲率が大きくなる部分にだけ、変形性能が優れる鋼管杭を用いた例を説明する。
実施の形態2の初期断面では、陸側の鋼管杭の地中部で全塑性モーメントを越える曲率が発生している(図8参照)。この断面に対して、地中部における発生曲率が大きい部分に変形性能が優れる鋼管杭を用いることを検討した。具体的には、-15m〜-23.3mの8.3m分を全塑性モーメントに対する曲率が6.28×10-3の鋼管杭(φp≧5.65×10-3/Dを満足する変形性能が高い鋼管杭)を適用した。この場合の地震応答解析結果を図13に示す。残留水平変位は109cmで初期断面と変わらないが、地中部では全塑性モーメントを越える曲率は発生していない。これにより、「鋼管杭が地中部で全塑性モーメントに対応する曲率を越えない」という要求性能を満足することができる。
本実施例では、-15m〜-23.3mですべての鋼管杭で、同じ変形性能の鋼管杭を適用しているが、解析結果から推察すると、海側や中央の鋼管杭では、もう少し変形性能が劣るものを用いることが可能である。すなわち、鋼管杭に発生する曲率に応じて最適な変形性能の鋼管杭を用いることで、経済的な鋼管杭式桟橋の構築が可能となる。
1 鋼管杭
3 上部工
5 渡版
7 L形ブロック
9 被覆石
11 海水面
13 海底面
15 ヤード橋
17 海側軌条
19 陸側軌条
21 ケーソン

Claims (3)

  1. 海底地盤に根入れされた複数の鋼管杭によって構成される鋼管杭列と、該鋼管杭列における海面上に突出した部位に構築される上部工とで構成される鋼管杭式桟橋において、
    前記鋼管杭列を構成する鋼管杭の一部であって、外力に対して鋼管杭に生じる曲率が大きい少なくとも陸側に対面して配置された鋼管杭の地中部における発生曲率が大きい部分を、前記鋼管杭の直径Dと前記鋼管杭の全塑性モーメントに対応する曲率φpが、φp≧4.39×10-3/Dという関係を満足するものとし、前記鋼管杭の地中部の他の部分は前記部分よりも変形性能が低いものとしたことを特徴とする鋼管杭式桟橋。
  2. φp≧4.90×10-3/Dを満足することを特徴とする請求項1記載の鋼管杭式桟橋。
  3. φp≧5.65×10-3/Dを満足することを特徴とする請求項1記載の鋼管杭式桟橋。
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