JP5653046B2 - ハムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ハムや食肉惣菜等の食肉加工食品に添加剤として使用される接着剤、並びに、これを含む食肉加工食品及びその製造方法に関する。
食肉加工食品としては数多くの種類が知られているが、所謂プレスハム、混合プレスハム、チョップドハムにおいては、肉塊間につなぎを介在させる製造方法が通常採用されている。ここで、つなぎとは、一般には畜肉、家兎肉若しくは家きん肉をひき肉にしたもの又はこれらにでん粉、植物性タンパク質等を加えたものを練り合わせたものをいう。
それに対して、つなぎを介在させないで肉塊同士を結合させることで製造されるハム類製品、あるいは食肉惣菜類等では、肉塊が有する接着性なる性質が要求される。接着性とは、比較的大きな肉塊同士を互いに結合させることで、みかけ上連続した組織を形成させ、外観上好ましく、加熱・調理後のスライス等の切断処理を良好に行うことができ、しかも当該食肉加工食品が良好な食感を示すことを意味する物性である。
従来、食肉加工食品において接着性を向上させるために種々の食品添加物が提案又は使用されている。特許文献1では、特定タンパク質とアルカリ土類金属の水酸化物又は酸化物とを用いた生肉の接着方法が開示され、特許文献2では、特定細菌の産生するトランスグルタミナーゼを用いた寄せ肉の製造方法が開示されている。また、特許文献3では、トランスグルタミナーゼ、乳蛋白粉末、及び特定塩を含有する畜肉類用接着剤が開示されている。
しかしながら、特許文献1のように、大豆タンパク質や乳タンパク質等の異種タンパク質使用は風味に影響すると同時に、接着面に異種タンパク質の塊が析出し、接着面が不自然となる。また、アルカリ土類金属の水酸化物又は酸化物の使用は、良好な肉色の変色をもたらしてしまう。さらに、特許文献2や3のように、トランスグルタミナーゼの使用は、酵素反応に要する時間が別途必要である。上述の通り、これらの食品添加物では接着力の改善効果が十分ではなかったり、添加物によっては接着性発現のための工程が煩雑となるという欠点があった。
一方、接着性ではなく結着性を向上させるための食品添加物(いわゆる結着剤)も知られており、現在ではポリリン酸塩が最も広く使用されている。結着性とは、接着性と異なり、肉に対し、脂肪や水等の、混ざり合わない成分を添加して製造される食肉加工製品(例えば、ソーセージ等)に要求される性質であり、混ざり合わない成分から、みかけ上均一の連続した組織を形成させ、しかも当該食肉加工製品が適度の弾力性を示すことを意味する物性である。
特許文献4では、ポリリン酸塩の代替添加物としてカルボキシル基を一基含むアミノ酸からなる結着剤が数々提案されており、その中に塩基性アミノ酸からなる結着剤が示されている。しかし、接着性の改善効果に関しては記載も示唆もない。
特公昭52−12789号公報 特公平6−55116号公報 国際公開第2004/012524号公報 特公昭57−21969号公報
以上のとおり、肉塊同士を接着させることでハムや食肉惣菜等の食肉加工食品を製造するにあたって、肉塊間につなぎを介在させなくともその加工食品における肉塊間の接着性を大幅に向上させ、しかもあらゆる肉種に適用可能な食品添加物は知られていなかった。
本発明は、上記現状に鑑み、肉塊間につなぎを介在させなくとも肉塊同士を接着させて製造されるハム等の食肉加工食品において肉塊間の接着性を向上させることが可能な食肉加工食品添加用接着剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、ハムや食肉惣菜等の食肉加工食品において従来のつなぎを添加しなくても、アルギニンを添加すると接着性改善効果が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、肉片集合体を接着させて製造される食肉加工食品に対し添加される接着剤であって、アルギニンからなることを特徴とする接着剤に関する。
また、本発明は、肉片集合体を接着させて製造される食肉加工食品の製造方法であって、肉片集合体にアルギニンを接触させた上で、当該肉片同士を接着することで肉片集合体を一体化する工程を含むことを特徴とする食肉加工食品の製造方法、にも関する。
さらに、本発明は、接着剤としてアルギニンが添加されていることを特徴とする、肉片集合体を接着させて製造される食肉加工食品にも関するものであり、当該アルギニンの濃度は0.3重量%以上であることが好ましい。
本発明によって、肉塊同士を接着させてなるハムや食肉惣菜等の食肉加工食品において肉塊間の接着力を大幅に向上させることができる。本発明の接着剤は、あらゆる肉種に適用が可能である。本発明の接着剤を添加した食肉加工食品は、肉塊間の隙間がないため外観上好ましく、加熱・調理後のスライス等の切断処理を行っても肉塊同士が分離することなく、しかも良好な食感を持つことができる。
本発明は、添加物がアミノ酸であるので、人体に対する安全性の点でも優れている。またアルギニンには、病気に対する抵抗力を高めたり、傷の治癒を早めたりする効能があるので、食品添加剤として摂取することに副次的な利点がある。さらに、成人はアルギニンを体内で合成する能力を持つが、子供は体内で合成する能力を持たず食品から摂取する必要があるので、アルギニン接着剤は栄養面でも有利である。
さらには、従来接着剤として使用されていたトランスグルタミナーゼは高価であり、食肉加工食品の製造コストが高くなるという問題があったが、本発明によるアルギニン接着剤は廉価であり、食肉加工食品の製造コストを低廉にすることができる。
実施例1で製造されたチキンハムで肉塊の引き離しに必要な荷重値を示すグラフ 実施例3で製造されたチキンハムで肉塊の引き離しに必要な荷重値を示すグラフ 実施例3で製造されたポークハムで肉塊の引き離しに必要な荷重値を示すグラフ 実施例3で製造されたビーフハムで肉塊の引き離しに必要な荷重値を示すグラフ
本発明は、肉片集合体を接着させて製造される食肉加工食品に対し、その製造過程で添加される接着剤に関する。当該接着剤は食品添加物であり、アルギニンからなることを特徴とする。
本発明において食肉加工食品とは、食肉の塊を比較的小さな肉塊に切断し、この肉塊同士を接着させることで、比較的大きな肉塊を形成させた食肉加工食品をいう。代表的にはハムであるが、肉塊同士を接着させてなる食肉加工食品であれば特に限定されない。例えば、牛スモークタン、焼き豚、ショルダーベーコン、サイコロステーキ等が挙げられる。また、チキンナゲットや豚カツといった揚げ物の食肉加工食品に対しても本発明は適用可能である。
食肉の肉種及び部位については特に限定されず、牛肉、鶏肉、豚肉等が使用できる。本発明の接着剤はいずれの肉種及び部位に対し用いても優れた接着性改善効果を発揮する。
本発明において接着剤とは、小さな肉塊同士を互いに接着させ一体化させるために用いられる添加剤である。食肉加工食品が接着性に優れていると、当該食肉加工食品において肉塊間の接着面で隙間が観察されにくく、外観上好ましい。さらに、加熱・調理後のスライス等の切断処理を円滑に行うことができ、スライスしても肉塊同士が分離することがなく、スライス断面においても隙間等がないため外観的に優れている。また、当該食肉加工食品を食した時に肉塊同士が分離するような感覚がなく、食感上も良好である。
本発明の接着剤として用いられるアルギニンは、どのような光学的異性体であってもよいが、L−体のアルギニンが好ましい。また、魚類プロタミン等、アルギニンを多く含む食品から適宜抽出したアルギニン濃縮物、あるいは食品タンパク質を分解後、アルギニン画分を分取した分画物等も使用できる。
食肉加工食品に対するアルギニンの添加量は、製造される食肉加工食品の接着性を評価することで適宜設定すればよいが、一般には、製造される最終的な食肉加工食品の重量のうち遊離アルギニン換算で0.3重量%以上であることが好ましい。食感改善の観点から、より好ましくは0.5重量%以上である。この範囲でアルギニンが添加されると、優れた接着性改善効果が達成され、接着性に優れた食肉加工食品を製造することができる。添加量の上限は特に限定されないが、多く配合すると苦みが生じることから、およそ1.5重量%以下が好ましい。
本発明の接着剤は、接着性改善効果が得られる限り、アルギニンと共に、トランスグルタミナーゼなど他の接着剤を併用したものであってもよい。
次に、本発明の接着剤を添加して食肉加工食品を製造する方法について説明する。
まず、食肉からなる肉片集合体に対しアルギニンを添加し、混合した後、得られた混合物をケーシングに充填して加熱処理又は乾燥処理を行うことにより、食肉加工食品が製造される。食肉加工食品が揚げ物である場合には、成型後、揚げ粉をまぶし、揚げ処理を行えばよい。肉片集合体の大きさは特に限定されるものではなく、肉塊を適当な大きさに裁断したものであってよいし、鶏ムネ肉やササミのように比較的小さな肉塊であれば、裁断せずにそのまま製造することも可能である。
本発明の接着剤を肉片集合体に対して添加する際には、アルギニンを水に溶解したものを添加してもよいし、アルギニンを固体の状態で添加し、肉片集合体に含まれる水分に溶解させる手法を採用してもよい。アルギニンと肉片集合体との接触方法は特に限定されないが、単純に添加したあと両者を十分に混合する方法の他、食肉表面にアルギニン溶液を塗布する方法、食肉をアルギニン水溶液に浸漬させる浸漬法、添加後に真空タンブラー等により振とうさせるタンブラー法、アルギニン水溶液を肉に注入するインジェクション法等が挙げられる。接触条件は、処理される食肉の裁断による物理的な形態、接触方法等により異なり、例えば食肉をスモーク処理する場合には50℃近くになることもあるので一律に決められないが、代表的には−10〜20℃、より代表的には−5〜10℃で10分〜72時間である。20℃以上になると、食肉タンパク質に熱変質を伴うことがある。接触時間が72時間にわたる場合でも、温度が10℃以下にコントロールされていれば品質上特に大きな障害とはならない。
食肉加工食品には、アルギニン以外に、食肉加工食品に一般に添加され得る添加剤、例えばpH調整剤、冷凍変質防止剤、発色剤、香辛料、調味料等を適宜添加することができる。
本発明では、肉片集合体に対し、アルギニンを含む添加物を添加し、混合したあと、得られた混合物をケーシングに充填して加熱処理又は乾燥処理を行った後、ケーシングから加工食品を取り出すことにより、ハム・ソーセージ等の、肉塊同士が接着してなる加工食品を製造することができる。加熱処理や乾燥処理の条件としては、通常ハム等の製造で適用され得る、乾燥、燻煙、蒸煮、湯煮、加圧・加熱等の条件を適用することができる。
本発明はさらに、接着剤としてアルギニンが添加されている食肉加工食品にも関するものであり、当該アルギニンの濃度は0.3重量%以上であることが好ましい。この食肉加工食品は上述した製造方法により製造できる。アルギニンを添加していない従来の食肉加工食品では、遊離アルギニンの含有量は通常0.00〜0.01%程度であるため、アルギニンを添加しない限り、0.3重量%以上といった高濃度で遊離アルギニンが検出されることはない。ただし、本発明の食肉加工食品におけるアルギニン濃度は0.3重量%以上に限定されない。例えば肉塊の接着面にアルギニン溶液を塗布することで肉塊同士を接着させる場合には、食肉加工食品全体に占めるアルギニン濃度は0.3重量%より低くても十分な接着効果を達成できる。なお、食肉加工食品における遊離アルギニン濃度は、高速液体クロマトグラフィーを用いたアミノ酸分離分析法により測定することができる。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)チキンハムの製造:アルギニン添加による接着力向上の確認
以下の手順に従いアルギニンを添加したチキンハム(アルギニン区:Aと標記)を製造し、接着性を評価した。比較として、アルギニンを添加していないチキンハム(無添加区:Nと標記)と、アルギニンを入れずにリン酸塩製剤を添加したチキンハム(リン酸塩区:Pと標記)を製造し、同様に接着性を評価した。なお、リン酸塩は、接着性ではなく結着性を付与するものとして知られている添加剤である。
5cm程度に細切した小肉塊からなる鶏ムネ肉1,000gに、表1に示す配合のピックル液を200g添加した。添加後の食塩濃度は1.5%、アルギニン区でのアルギニン濃度は0.7%であった。これを3時間タンブリングし、2日間熟成した。これを直径10cmのセルロースケーシングに充填し、結さく後にスモークハウス内で60℃1時間の乾燥を行い、さらに75℃で15分間燻煙した後、結さくされた肉塊の中心部の温度が63℃以上で30分間維持されるまで80℃で蒸気加熱を行った。これによりチキンハムを得た。得られたチキンハムについて接着性を評価した。表1中、単位はgである。
リン酸塩としてはオルガノフードテック(株)社製リン酸塩製剤を使用し、アルギニンとしてはL−アルギニンを使用した。
Figure 0005653046

(接着性の評価方法)
接着性の測定には山電社製クリープメーターRE2−33005Bを使用し、小肉塊の間を引き離す時に必要な荷重値の測定を行った。測定時のサンプルの形状は幅2cm、高さ3cm、厚さ5mmとし、小肉塊同士の接着面が中央になるようにセットした。接着面の両端に5mmの切り込みを入れ、はがれる面が接着面になるように調整した。プランジャーでサンプルの上下を5mm程度挟み、引っ張り速度を1cm/minとし、等速で上下から引っ張った。最大荷重値が高いほど、小肉塊間の接着力が強く、小肉塊同士がまとまっていて好ましい状態であることを意味する。結果を図1に示す。図1中、Nは無添加区、Pはリン酸塩区、Aはアルギニン区を示す。
(接着性の結果評価)
無添加区とリン酸塩区では最大荷重値が小さく、小肉塊同士の接着面は簡単に引き離され、接着力は非常に小さいものであった。一方、アルギニン区では最大荷重値が極めて大きく、接着面を引き離すのに強い力が必要であり、接着力が非常に大きいものであった。
(外観評価)
チキンハムをスライスし、その断面の外観を比較した。
無添加区とリン酸塩区ではチキンハムをスライスした時点で小肉塊同士が分離してしまうか、又は、接着力が弱く小肉塊同士が簡単に分離する傾向があった。そのスライス断面では小肉塊同士の間に隙間があり、外観上好ましくなかった。また、断面の全体的な形状は円形がくずれたような形状であった。
一方、アルギニン区では小肉塊同士が良好に接着しており、無添加区とリン酸塩区で見られたような隙間はなく、外観上非常に好ましいものであった。また、断面の外縁は滑らかで、全体的な形状もきれいな円形を呈しており、極めて良好であった。
(官能評価)
9名のパネルにこれらのハムを試食してもらったところ、アルギニン区では小肉塊同士がくっついており、プリプリとしてジューシー感があるとの回答を得た。一方、無添加区とリン酸塩区では小肉塊同士がすぐに分離し、ボソボソしており、食感上好ましくないとの回答を得た。
(まとめ)
以上から、アルギニンを添加してチキンハムを製造することで、小肉塊同士の接着力が向上し、スライス時に不都合がなく、スライス後の外観や食感が改善されることが判明した。また、結着剤として一般に用いられているリン酸塩は、接着剤としての効果が非常に低いことが判明した。
(実施例2)チキンハムの製造:アルギニン濃度の検討
(チキンハムの製造)
表2に示す配合のピックル液を使用することでアルギニンの添加濃度を変えて、実施例1と同様の手順により複数種類のチキンハムを製造した。表2中、単位はgである。
Figure 0005653046

(接着性の結果評価)
上述した評価方法により、各チキンハムの接着性を評価した。
アルギニン濃度が0.0%〜0.5%のチキンハムでは、濃度が大きくなるに従い、小肉塊同士の引き離しに必要な荷重値は大きくなっていた。
アルギニン濃度が0.5%〜1.5%のチキンハムでは、前記荷重値はほぼ同程度であったが、接着性評価試験において、小肉塊同士の接着面以外の箇所から裂けることが多かった。このため、アルギニン濃度が0.5%以上になると、小肉塊同士の接着力が、肉塊自体を引き裂く力よりも強くなるものと考えられる。
(外観評価)
各チキンハムをスライスし、その断面の外観を比較した。アルギニン濃度が0%又は0.1%のチキンハムでは、スライス断面で小肉塊同士の間に隙間があり、外観上好ましくなかったが、アルギニン濃度が0.3%以上のチキンハムでは、そのような隙間はなく外観上好ましいものであり、接着性の向上が認められた。
(官能評価)
9名のパネルに各チキンハムを試食してもらったところ、アルギニン濃度が0.3%以下の各チキンハムでは、小肉塊同士の接着力が弱く食感上好ましくないが、アルギニン濃度が0.5%以上の各チキンハムについては、弾力がありジューシーで、好ましい食感を持つとの回答を得た。
(まとめ)
以上から、チキンハムに0.3%以上の濃度でアルギニンを添加することで小肉塊同士の接着力が向上し、さらに食感を改善するには、チキンハム中のアルギニン濃度を0.5%以上にすることが望ましいことが分かった。
(実施例3)チキンハム、ポークハム及びビーフハムの製造:従来の接着剤との比較
(各ハムの製造)
本発明のアルギニン添加により製造したチキンハム、ポークハム及びビーフハム、並びに、特公昭52−12789号公報、特公平6−55116号公報及び国際公開第2004/012524号公報の記載に従い従来の接着剤を添加した各ハムを製造し、接着性を評価した。
以下では、本発明のアルギニン添加により製造したハムを試験区Aとし、特公昭52−12789号公報、特公平6−55116号公報又は国際公開第2004/012524号公報の記載に従い製造したハムを試験区B、試験区C又は試験区Dとする。
原料肉としては、それぞれ鶏ムネ肉、豚モモ肉、牛モモ肉を、5cm程度に細切して使用した。
表3及び表4に、各ハム製造時の処方を示した。表4は、表3中の接着剤の処方を示したものである。各表中、単位はgである。なお、試験区B、試験区C及び試験区Dの処方は各文献の記載に従った。
Figure 0005653046
Figure 0005653046

各試験区のハムの製造手順は以下の通りである。なお、試験区B、試験区C及び試験区Dの製造手順は各文献の記載に従った。
試験区A:原料肉1kgに接着液200gを加液した後、6時間タンブリングし、ケーシングに充填した後、所定の熱処理を行った。
試験区B:原料肉1kgに接着剤のペースト200gを加えた後、5分間ミキシングを行い、ケーシングに充填した後、室温で1時間反応させ、所定の熱処理を行った。
試験区C:原料肉1kgに接着剤200gを加液した後、5℃で3〜6時間タンブリングし、さらに、水20mlに溶解したトランスグルタミナーゼをすり込み、ケーシングに充填した後、5℃で15〜24時間反応させ、所定の熱処理を行った。
試験区D:原料肉1kgに接着剤10gをすり込んだ後、ケーシングに充填した後、20℃で1時間反応させ、−25℃で酵素を失活させ、解凍後、所定の熱処理を行った。
(接着性の結果評価)
上述した評価方法により、各ハムの接着性を評価した。チキンハム、ポークハム及びビーフハムの結果をそれぞれ図2、図3及び図4に示す。
図2より、チキンハムでは、アルギニンを使用した試験区Aが最も大きい接着力を示し、小肉塊同士を引き離すのに最も強い荷重値が必要であることが分かった。試験区B及び試験区Cではより小さい接着力を示した。
試験区Dでは、接着性評価試験を行う前に、すでに小肉塊同士が分離していたため、荷重値の測定が不可能であった。そのため、図2では試験区Dを示していない。
図3より、ポークハムでは、試験区A及び試験区Cが良好な接着性を示し、試験区B及び試験区Dでは小さい接着力を示すことが分かった。
図4より、ビーフハムでは、試験区Aが最も大きい接着力を示し、試験区B及び試験区Cでは小さい接着力を示すことが分かった。試験区Dでは、接着性評価試験を行う前に、すでに小肉塊同士が分離していたため、荷重値の測定が不可能であった。そのため、図4では試験区Dを示していない。
(外観評価)
ハムの外観を観察した後、各ハムをスライスし、その断面についても観察した。
試験区Aでは各ハムの表面が滑らかで、スライス断面でも小肉塊同士の接着面が良好に密着していた。試験区Cも同等であった。しかし、試験区B及び試験区Dでは、接着力が弱く、スライス断面で小肉塊同士の間に隙間があった。また、各ハムの表面もでこぼこになっていた。特に、試験区Bのチキンハムでは大豆タンパクの色が緑色となって現れ、外観上好ましくなかった。試験区Dは特に接着力が弱く、スライスするとハムの形状が崩れてしまった。
(まとめ)
アルギニンを使用した試験区Aではチキン、ポーク、ビーフのいずれの肉種においても良好な接着力が認められた。従来法による試験区B、C及びDでは、接着力が弱かったり、接着できる肉種が限定されたりするなどの問題点があった。以上から、アルギニンを使用した接着剤が最も優れていると考えられる。
(実施例4)牛スモークタンの製造
表5に示す処方に従い、牛タン1000gに対してピックル液を約150g加え、タンブリングを行い、6日間熟成した。これを直径10cmのセルロースケーシングに充填し、結さく後にスモークハウス内で65℃40分間の乾燥を行い、さらに75℃で1時間燻煙した後、80℃で45分間の蒸気加熱を行った。これにより牛スモークタンを製造した。原料の牛タンとしては、二枚の肉塊を貼り合わせて最終製品の大きさになるサイズのものと、5cm角程度の大きさに細切したものを用いた。表5中、単位はgである。
Figure 0005653046

(外観評価)
得られた牛スモークタンをスライスしたところ、二枚の肉塊の貼り合わせからなる製品と、細切した肉塊からなる製品のいずれにおいても、肉塊同士が良好に接着していた。このことから、牛タンにおいてもアルギニン添加により接着力改善効果が達成されることが分かった。
(実施例5)チキンナゲットの製造
鶏ムネ肉を3cm程度に細切したもの1000gに、表6に示す配合のピックル液を100g添加した。添加後のアルギニン濃度は0.5%であった。これをよく混ぜ、一晩熟成し、半凍結状態で厚さ8mm直径5cm程度の楕円形に成型した。これにバッターを付け、フライ加熱を行うことで、チキンナゲットを製造した。
Figure 0005653046

(外観評価)
得られたチキンナゲットをスライスしたところ、小肉塊間の接着面を識別出来ない程、小肉塊同士が良好に接着していた。このことから、揚げ処理を行った後においても、アルギニン添加による接着力改善効果は維持され、揚げ物でも本発明の効果を達成できることが分かった。
本発明により、肉塊同士を接着させてなる食肉加工食品において肉塊間の接着力が向上するため、食感が優れ、スライス等の切断処理を良好に行うことができる食肉加工食品を提供することができる。

Claims (1)

  1. 肉片集合体を接着させて製造されるハムの製造方法であって、肉片に、接着剤としてアルギニンを接触させた上で、当該肉片同士を接着することで肉片集合体を一体化する工程を含むことを特徴とするハムの製造方法。
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