JP5644158B2 - インクジェット画像形成方法 - Google Patents
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Description
本発明に係るインクジェット用水性インクは、水と、顔料と、有機または無機の酸と、アミンと、当該酸成分よりもpKaが高い樹脂を含有するインクを特徴とする。さらに、インクジェット記録時に記録媒体の画像形成面を40℃から90℃に加熱しておくことによって、よりブリード低減効果を得ることができる。
本発明に係る有機または無機の酸は、インク中に存在する樹脂との間に、pKaの関係が満たされる限り、いかなるものも使用できる。これらの酸は、インク中で水素イオンと解離したイオンの状態、水素イオンと結合した状態もしくは双方の状態で存在し、本願では、インク中にいずれかの状態にあっても酸と呼ぶ。
本発明では、有機または無機の酸とアミンは、インクに有機または無機アミン塩を添加し、有機または無機アミン塩から解離したものであることが好ましい。本発明に係る有機または無機アミン塩とは、アミン塩がインク中で解離して形成される酸成分のpKaが5以下であり、その酸成分をアンモニウムイオンおよび、有機アミンで中和したものを指す。pKaを複数有する酸成分は、最も低いpKaが5以下であればよい。
本発明に係る樹脂とは、上記の有機または無機の酸のpKaよりも樹脂の酸成分のpKaが高い樹脂であることを特徴とする。上記の有機または無機の酸が有機または無機のアミン塩からインク中に供給される場合には、アミン塩がインク中で解離して形成される酸成分のpKaよりも樹脂の酸成分のpKaが高い樹脂であることが好ましい。
また、本発明に係るインクには、上記アミンによって中和された樹脂とは異なる樹脂を様々の目的に応じて含有させてもよい。これらの樹脂は、複数種添加しても、共重合体として添加しても良く、エマルジョン状態で分散されていても構わない。エマルジョン状態で分散させる場合、インクジェット方式による射出性を損なわないという観点から、樹脂微粒子の平均粒径は、300nm以下であることが好ましい。水溶性ポリマーの場合、組成や分子量は特に限定は無いが、重量平均分子量50000以下であることが好ましい。
本発明に係るインクは、水を含有する。水のインク中での含有量は、少なくとも20質量%以上90質量%以下であることが望ましい。
本発明に係るインクは、水溶性有機溶媒を含んでも良い。上記樹脂を溶解する場合、インク溶媒としては、20質量%以上、90質量%以下の水の他に、吐出性向上やインク物性の調整などの目的で、水溶性有機溶媒を含んでいることが好ましい。本発明の効果を損なわない限り、水溶性有機溶媒の種類には特に制限はなく、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、デカグリセリル、1,4ブタンジオール、1,3ブタンジオール、1,2,6ヘキサントリオール、2ピロリジノン、ジメチルイミダゾリジノン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコールジブチルエーテル、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ブタンジオール、等を挙げることができる。
本発明に係るインクに使用できる顔料としては、従来公知のものを特に制限なく使用でき、水分散性顔料、溶媒分散性顔料等何れも使用可能であり、例えば、不溶性顔料、レーキ顔料等の有機顔料及び、カーボンブラック等の無機顔料等を好ましく用いることができる。
C.I.Pigment Red;209、224、177、194、 C.I.Pigment Orange;43、 C.I.Vat Violet;3、 C.I.Pigment Violet;19、23、37、 C.I.Pigment Green;36、7、 C.I.Pigment Blue;15:6、等が用いられる。
本発明に係るインクには、吐出性向上や濡れ性向上のため、界面活性剤を含んでいることが好ましい。使用される界面活性剤としては、陽イオン性、陰イオン性、両性、非イオン性のいずれの界面活性剤を用いることができる。本発明に適用可能な界面活性剤の具体例としては、特に限定するものではないが、以下のものを好ましく用いることができる。
本発明に係るインクには、さらに種々の目的で添加物を含んでも良い。出射安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、例えば、多糖類、粘度調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜選択して用いることができ、例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子、特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報及び同62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号公報、同57−87989号公報、同60−72785号公報、同61−146591号公報、特開平1−95091号公報及び同3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号公報、同59−52689号公報、同62−280069号公報、同61−242871号公報及び特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤等を挙げることができる。
本発明のインクジェット画像形成方法(以後、単に画像形成方法ともいう)においては、本発明に係るインクジェットインクを装填したプリンター等により、デジタル信号に基づきインクジェットヘッドよりインクジェットインクを液滴として吐出させることで、記録媒体に画像形成を行う。
(マゼンタ顔料分散体の調製)
顔料分散剤としてジョンクリル6783質量部、ジメチルアミノエタノール1.3質量部、イオン交換水80.7質量部を混合した後、加熱攪拌した。この混合液に、C.I.ピグメントレッド122を15質量部添加し、プレミックスした後、0.5mmジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、顔料固形分が15%のマゼンタ顔料分散体を得た。
顔料分散剤としてジョンクリル6783質量部、ジメチルアミノエタノール1.3質量部、イオン交換水80.7質量部を混合した後、加温攪拌した。この混合液にC.I.ピグメントブルー15:3を15質量部添加し、プレミックスした後、0.5mmジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、顔料固形分が15%のシアン顔料分散体を得た。
(インク1−Mの調製)
下記に記載した各添加剤のうち、マゼンタ顔料分散体を除いたものを、下記の添加量で混合し、十分に攪拌した後、マゼンタ顔料分散体33質量部を攪拌しながら添加した。十分に攪拌を行った後、この混合液を#3500メッシュの金属フィルターで濾過し、中空糸膜による脱気を行って、インク1−Mを調製した。なお、ジョンクリルJDX6500は、アミンにより中和されたBASF社製の水溶性アクリル樹脂で、酸価74mgKOH/g、Tg65℃、平均分子量10000で、pKaは5以上である。
マゼンタ顔料分散体 33質量部
ジョンクリルJDX6500(BASF社製) 10質量部
界面活性剤:オルフィンE1010(アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業社製) 0.5質量部
プロピレングリコール 10質量部
1,2−ヘキサンジオール 5質量部
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5質量部
グリセリン 20質量部
酢酸アンモニウム(酢酸:pKa 4.76) 2質量部
水 14.5質量部
(インク2−Mの調製)
マゼンタ顔料分散体 33質量部
ジョンクリルJDX6500(BASF社製) 10質量部
界面活性剤:オルフィンE1010(アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業社製) 0.5質量部
プロピレングリコール 10質量部
1,2−ヘキサンジオール 5質量部
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5質量部
グリセリン 20質量部
蟻酸アンモニウム(蟻酸:pKa 3.75) 2質量部
水 14.5質量部
(インク3−Mの調製)
マゼンタ顔料分散体 33質量部
ジョンクリルJDX6500(BASF社製) 10質量部
界面活性剤:オルフィンE1010(アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業社製) 0.5質量部
プロピレングリコール 10質量部
1,2−ヘキサンジオール 5質量部
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5質量部
グリセリン 20質量部
酒石酸アンモニウム(酒石酸:pKa 3.04) 2質量部
水 14.5質量部
(インク4−Mの調製)
マゼンタ顔料分散体 33質量部
ジョンクリルJDX6500(BASF社製) 10質量部
界面活性剤:オルフィンE1010(アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業社製) 0.5質量部
プロピレングリコール 10質量部
1,2−ヘキサンジオール 5質量部
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5質量部
グリセリン 20質量部
硝酸アンモニウム(硝酸:pKa=−1.4) 2質量部
水 14.5質量部
(インク5−Mの調製)
マゼンタ顔料分散体 33質量部
ジョンクリルJDX6500(BASF社製) 10質量部
界面活性剤:オルフィンE1010(アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業社製) 0.5質量部
プロピレングリコール 10質量部
1,2−ヘキサンジオール 5質量部
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5質量部
グリセリン 20質量部
炭酸アンモニウム(炭酸:pKa 10.33) 2質量部
水 14.5質量部
(インク6−Mの調製)
マゼンタ顔料分散体 33質量部
ジョンクリルJDX6500(BASF社製) 10質量部
界面活性剤:オルフィンE1010(アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業社製) 0.5質量部
プロピレングリコール 10質量部
1,2−ヘキサンジオール 5質量部
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5質量部
グリセリン 20質量部
酢酸ナトリウム(酢酸:pKa 4.6) 2質量部
水 14.5質量部
(インク7−Mの調製)
マゼンタ顔料分散体 33質量部
ジョンクリルJDX6500(BASF社製) 10質量部
界面活性剤:オルフィンE1010(アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業社製) 0.5質量部
プロピレングリコール 10質量部
1,2−ヘキサンジオール 5質量部
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5質量部
グリセリン 20質量部
水 16.5質量部
(インク8−Mの調製)
マゼンタ顔料分散体 33質量部
ジョンクリル61J (BASF社製) 10質量部
界面活性剤:オルフィンE1010(アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業社製) 0.5質量部
プロピレングリコール 10質量部
1,2−ヘキサンジオール 5質量部
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5質量部
グリセリン 18質量部
酢酸アンモニウム(酢酸:pKa 4.76) 2質量部
水 14.5質量部
なお、ジョンクリル61Jは、アミンにより中和されたBASF社製の水溶性スチレンアクリル樹脂で、酸価195mgKOH/g、Tg70℃、平均分子量12000で、pKaは5以上である。
JDX−C3000はBASF社製のアクリル樹脂で、酸価74mgKOH/g、Tg65℃、平均分子量10000で、pKaは5以上である。上記のジョンクリルJDX6500とpKa、酸価、Tg、平均分子量が等しく、該樹脂はアミンで中和されていない未中和樹脂である。JDX−C3000を25質量部、1N/lの水酸化ナトリウム水溶液を1.3質量部、水を73.7質量部加えて、加熱撹拌することにより水溶性ナトリウム中和樹脂を得た。
JDX−C3000 (BASF社製) 10質量部
界面活性剤:オルフィンE1010(アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業社製) 0.5質量部
プロピレングリコール 10質量部
1,2−ヘキサンジオール 5質量部
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5質量部
グリセリン 20質量部
酢酸アンモニウム(酢酸:pKa 4.76) 2質量部
水 14.5質量部
(インク1−C〜9−Cの調製)
インク1−C〜9−Cの調製について、マゼンタ顔料分散体を同量のシアン分散体に変更した以外は同様にして、インク1−C〜9−Cを調製した。
インク1−Mと1−Cの組み合わせをインクセット1とし、同様にM、Cを組み合わせたインクセット2〜9を用意した。
〔画像1の形成〕
インクセット1を用いて、下記の印字方法により、印刷塗工紙上に画像1を形成した。
インクセット2〜9を用いて、画像形成1と同様に画像を形成した。
インクセット1を用いて、画像形成面を30℃、50℃、60℃にした以外は同様の方法で画像を形成した。
インクセット1を用いて、記録媒体をORAJET3650G−101(塩ビ、ORAFOL社製)に、画像形成面を50℃、70℃、90℃にした以外は同様の方法で画像を形成した。
〔ブリーディング耐性の評価〕
印字率が100%のマゼンタベタ上の一部に、印字率が100%のシアンが印字されたベタ画像を印字し、ブリーディング(画像滲み)の発生の有無を目視観察し、下記の基準に従ってブリーディング耐性を評価した。
△ :シアン画像の0.5mm未満の滲みが認められる
× :シアン画像の0.5mm以上、1.0mm未満の滲みが認められる
××:シアン画像の1.0mm以上の滲みが認められる
111、112、113、114 ヘッド
12 搬送機構
13 加熱部
14 温度制御プレート
P 印刷用塗工紙
N ノズル
H ヘッド
HU ヘッドユニット
Claims (11)
- 記録媒体の少なくとも一方の面が40℃以上90℃以下となるように加熱し、水と、顔料と、有機または無機の酸と、アミンと、該有機または無機の酸よりもpKaが高い樹脂であって窒素含有環を有する樹脂を除く樹脂であり、酸成分が中和されている樹脂とを含有するインクジェット用水性インクを前記記録媒体の前記面に吐出することを特徴とするインクジェット画像形成方法。
- 前記樹脂はアクリル系、スチレンアクリル系、アクリロニトリル−アクリル系、酢酸ビニルアクリル系、ポリウレタン系またはポリエステル系の樹脂である、請求項1に記載のインクジェット画像形成方法。
- 前記樹脂はアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸またはスチレンの酸誘導体を含むモノマーをラジカル共重合して得られる樹脂である、請求項1に記載のインクジェット画像形成方法。
- 前記有機または無機の酸と、前記アミンがアンモニウム塩の解離により形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット画像形成方法。
- 前記有機または無機の酸のインクジェット用水性インク中の含有量がインクジェット用水性インクに対して0.1質量%以上10質量%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット画像形成方法。
- 前記アミンのインクジェット用水性インク中の濃度が0.01mol/L以上3mol/L以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット画像形成方法。
- 前記酸のpKaが5以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット画像形成方法。
- 前記水のインクジェット用水性インク中の含有量が20質量%以上90質量%以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット画像形成方法。
- 前記顔料が、前記有機または無機の酸よりもpKaが高い樹脂で分散されたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット画像形成方法。
- 前記記録媒体の前記40℃以上90℃以下に加熱されている前記面は前記インクジェット用水性インクに対して非吸収性であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のインクジェット画像形成方法。
- 前記酸と前記樹脂とのpKa差が0.5以上であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクジェット画像形成方法。
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