JP5642493B2 - レーザ切断装置及びレーザ切断方法 - Google Patents
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Description
そして、ファイバーレーザは、気体レーザ(例えば、CO2レーザ)に比較してレーザの生成に要する電気エネルギーが少なく、ロッドタイプの固体レーザに比較してレーザビームの品質(レーザビームの集光性と直進性)が高く、高出力化が可能であるため、普及が進んでいる。
ところで、溶融金属は、温度が高いほど粘性が下がり流動性が高くなるため、レーザ加工装置は、被加工物の切断温度を高くすることで溶融金属の粘性を下げ、アシストガスによる溶融金属の排除性を向上させる必要がある。
YAG系レーザとCO2レーザとでは、YAG系レーザの波長が1.06〜1.08μm、CO2レーザの波長が10.6μmというように波長の大きさが異なることによって、材料に対するレーザの吸収率(以下、「材料吸収率」という。)及びプラズマに対するレーザの吸収率(以下、「プラズマ吸収率」という。)が異なる。例えば、従来から知られている図4の実験例に示すように、鉄に対する材料吸収率は、CO2レーザでは0.08であり、CO2レーザよりも波長の短いYAG系レーザでは0.39である。
すなわち、本発明に係るレーザ切断装置は、第1レーザビームであるYAGレーザを集束させて被加工物に照射する第1照射手段と、前記第1レーザビームよりも波長が長い第2レーザビームを集束させて前記被加工物に照射する第2照射手段と、を備え、前記第1照射手段で集束された前記第1レーザビームが照射されている前記被加工物の領域に対して、溶融した前記被加工物からプラズマを誘発するように前記第2照射手段で集束された前記第2レーザビームを照射する。
また、前記第1照射手段で集束された前記第1レーザビームが照射されている前記被加工物の領域に対して、前記第2照射手段で集束された前記第2レーザビームが斜めに照射されてもよい。
また、前記第2レーザの照射位置は、前記被加工物の深さ方向に変化されてもよい。
そこで、本発明は、第1レーザビームが照射されている被加工物の領域に第1レーザビームよりも波長が長い第2レーザビームを照射する。すなわち、第1レーザビームが被加工物を構成する金属を溶融させ、第1レーザビームよりもプラズマ吸収率の高い第2レーザビームが溶融金属の温度を上昇させる。この結果、溶融金属が高温となり、溶融金属をアシストガスで吹き飛ばせるほど溶融金属の粘性を下げることが可能となるので、本発明は、厚みを有する被加工物を波長が短いレーザを用いて切断することができる。
すなわち、本発明に係るレーザ切断装置は、被加工物を加工するための第1レーザビームであるYAGレーザを出射する第1出射手段と、前記第1レーザビームよりも波長が長く、前記被加工物を加工するための第2レーザビームを出射する第2出射手段と、前記第1出射手段から出射された前記第1レーザビームにより加工されている前記被加工物の領域に対して、溶融した前記被加工物からプラズマを誘発するように前記第2出射手段から出射された前記第2レーザビームが照射されるように、該第1レーザビーム及び該第2レーザビームを集束させる集束手段と、を備える。
本発明は、第1レーザビームが照射されている被加工物の領域に第1レーザビームであるYAGレーザよりも波長が長い第2レーザビームを照射する。すなわち、第1レーザビームが被加工物を構成する金属を溶融させ、第1レーザビームよりもプラズマ吸収率の高い第2レーザビームが溶融金属の温度を上昇させる。この結果、溶融金属が高温となり、溶融金属をアシストガスで吹き飛ばせるほど溶融金属の粘性を下げることが可能となる。そして、本発明は、第1レーザビーム及び第2レーザビームに対して共通の集束手段を有し、該集束手段によって上記領域に第1レーザビーム及び第2レーザビームを照射させることができるため、簡易な構成で、厚みを有する被加工物を波長が短いレーザを用いて切断することができる。
本発明によれば、第1レーザビーム及び前記第2レーザビームを集束レンズの中心軸線から等距離の位置に入射させることによって、被加工物の同じ領域に第1レーザビーム及び第2レーザビームを照射させることができるため、簡易に厚みを有する被加工物を波長が短いレーザを用いて切断することができる。
また、アシストガスである酸素ガスを切断部分に吹きかけながら前記被加工物が切断されてもよい。
本発明によれば、第1レーザビームをYAG系レーザとし、第2レーザビームをCO2レーザとするので、簡易に厚みを有する被加工物を波長が短いレーザを用いて切断することができる。
本発明によれば、ファイバーレーザは高品質で高出力のレーザであるため、厚みを有する被加工物を、より確実に切断することができる。
本発明によれば、ディスクレーザは高品質で高出力のレーザであるため、厚みを有する被加工物を、より確実に切断することができる。
すなわち、本発明に係るレーザ切断方法は、第1レーザビームであるYAGレーザを集束させて被加工物に照射する第1照射手段と、前記第1レーザビームよりも波長が長い第2レーザビームを集束させて前記被加工物に照射する第2照射手段と、を備えたレーザ切断装置のレーザ切断方法であって、前記第1照射手段で集束された前記第1レーザビームが照射されている前記被加工物の領域に対して、溶融した前記被加工物からプラズマを誘発するように前記第2照射手段で集束された前記第2レーザビームを照射する。
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
図1に、本第1実施形態に係るレーザ加工装置10の構成を示す。なお、以下の説明において、レーザ加工装置10を、被加工物12を切断するレーザ切断装置として説明する。
なお、本第1実施形態に係るレーザ加工装置10は、第1レーザビームの一例としてYAG系レーザを用い、第2レーザビームの一例としてYAG系レーザよりも波長が長いCO2レーザを用いる。また、本第1実施形態に係る第1照射部14は、光ファイバーを媒質に用いたファイバーレーザを用いる。
より具体的に説明すると、YAG系レーザは、CO2レーザに比較して材料吸収率が高いため、被加工物12の溶融にレーザビームのパワーがより消費され、レーザビームのパワーが被加工物12の温度上昇に寄与しづらい。さらに、被加工物12が切断される際には、被加工物12である金属の一部が蒸発し、プラズマ化する。そして、切断される被加工物12内部での温度上昇には、プラズマ温度が寄与するが、YAG系レーザのプラズマ吸収率は、CO2レーザに比較して低く、YAG系レーザは、切断する被加工物12内部でのプラズマ温度を上昇させにくいためであると考えられる。
これにより、材料吸収率の高いYAG系レーザが被加工物12を構成する金属を溶融させ、YAG系レーザよりもプラズマ吸収率の高いCO2レーザが溶融金属の温度を上昇させる。すなわち、YAG系レーザと共にYAG系レーザよりもプラズマ吸収率が高いCO2レーザを被加工物12の領域Aに照射することによって、CO2レーザをプラズマ誘起レーザとして用い、プラズマ温度を上昇させる。
具体的には、例えば、第2照射部16自体を揺動させることでCO2レーザを深さ方向に走査させてもよいし、第2照射部16がポリゴンミラーレンズを備え、該ポリゴンミラーレンズを回転させることで走査CO2レーザを深さ方向に走査させてもよい。
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
図3に、本第2実施形態に係るレーザ加工装置50の構成を示す。なお、図3における図1と同一の構成部分については図1と同一の符号を付して、その説明を省略する。
具体的には、YAG系レーザ及びCO2レーザは、集束レンズ70の中心軸線72から等距離の位置(本第2実施形態では、中心軸線72を中心とした左右対称の位置)に入射される。これによって、集束レンズ70で集束されたYAG系レーザ及びCO2レーザは、同じ位置に焦点を結ぶ。すなわち、集束レンズ70によって、同時にYAG系レーザ及びCO2レーザを被加工物12の領域Aに照射させることができる。このように、レーザ加工装置50は、YAG系レーザ及びCO2レーザに対して共通の集束レンズ70を有し、集束レンズ70によって上記領域AにYAG系レーザ及びCO2レーザを照射させることができるため、簡易な構成で、厚みを有する被加工物30を波長が短いレーザを用いて切断することができる。
12 被加工物
14 第1照射部
16 第2照射部
54 第1ビーム出射部
56 第2ビーム出射部
70 集光レンズ
Claims (10)
- 第1レーザビームであるYAGレーザを集束させて被加工物に照射する第1照射手段と、
前記第1レーザビームよりも波長が長い第2レーザビームを集束させて前記被加工物に照射する第2照射手段と、
を備え、
前記第1照射手段で集束された前記第1レーザビームが照射されている前記被加工物の領域に対して、溶融した前記被加工物からプラズマを誘発するように前記第2照射手段で集束された前記第2レーザビームを照射するレーザ切断装置。 - 前記第1照射手段で集束された前記第1レーザビームが照射されている前記被加工物の領域に対して、前記第2照射手段で集束された前記第2レーザビームを斜めに照射する請求項1記載のレーザ切断装置。
- 前記第2レーザの照射位置は、前記被加工物の深さ方向に変化される請求項2記載のレーザ切断装置。
- 被加工物を加工するための第1レーザビームであるYAGレーザを出射する第1出射手段と、
前記第1レーザビームよりも波長が長く、前記被加工物を加工するための第2レーザビームを出射する第2出射手段と、
前記第1出射手段から出射された前記第1レーザビームにより加工されている前記被加工物の領域に対して、溶融した前記被加工物からプラズマを誘発するように前記第2出射手段から出射された前記第2レーザビームが照射されるように、該第1レーザビーム及び該第2レーザビームを集束させる集束手段と、
を備えたレーザ切断装置。 - 前記集束手段は、前記第1レーザビーム及び前記第2レーザビームを前記被加工物に集束させる集束レンズであり、
前記第1レーザビーム及び前記第2レーザビームは、集束レンズの中心軸線から等距離の位置に入射される請求項4記載のレーザ切断装置。 - アシストガスである酸素ガスを切断部分に吹きかけながら前記被加工物を切断する請求項1から請求項5の何れか1項記載のレーザ切断装置。
- 前記第2レーザビームは、CO2レーザである請求項1から請求項6の何れか1項記載のレーザ切断装置。
- 前記第1レーザビームとして、ファイバーレーザを用いる請求項1から請求項7の何れか1項記載のレーザ切断装置。
- 前記第1レーザビームとして、ディスクレーザを用いる請求項1から請求項7の何れか1項記載のレーザ切断装置。
- 第1レーザビームであるYAGレーザを集束させて被加工物に照射する第1照射手段と、
前記第1レーザビームよりも波長が長い第2レーザビームを集束させて前記被加工物に照射する第2照射手段と、を備えたレーザ切断装置のレーザ切断方法であって、
前記第1照射手段で集束された前記第1レーザビームが照射されている前記被加工物の領域に対して、溶融した前記被加工物からプラズマを誘発するように前記第2照射手段で集束された前記第2レーザビームを照射するレーザ切断方法。
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