JP2014054668A - レーザ加工方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】脆性素材の加工出発点に設けた初期亀裂を熱応力印加によって伸長させる割断法に代えて、加工箇所の素材を蒸散させることにより加工するレーザ加工方法及び装置を提供すること。
【解決手段】レーザビーム照射により脆性素材を切断加工するレーザ加工方法において、レーザビームが合焦する範囲を脆性素材の板厚をカバーする寸法に設定し、レーザビーム照射により板厚方向の前記脆性素材を蒸散させることにより、前記脆性素材を板厚方向で貫通させることにより、脆性素材の板厚方向を割断する。
【選択図】図1

Description

本発明は、脆性素材に種々の加工を施すことができるレーザ加工方法及び装置に関するものである。
最近ガラス切断において、過去数世紀にわたって使用されてきたダイアモンドチップによる機械的方法に代わって、COレーザビーム照射による熱応力割断が使用されるようになってきた。同技術を特許文献1,2,3および非特許文献1,2に示す。
この方法によれば、機械的切断方法に固有の欠点、すなわちマイクロクラック発生によるガラス強度の低下、カレット発生による汚染、低速加工、適用板厚の下限値の存在、などが一掃できる。
この結果、レーザ割断法によれば機械切断の後工程である研磨、洗浄が不要になり、面粗さ1μm以下の鏡面が得られ、製品外形寸法精度は業界仕様値の±25μmを凌駕するものになる。この方法は現在、板厚が0.33mmないし1mmのフラットパネルやタッチパネル用ガラスに用いられているが、今後はさらに広範囲の板厚ガラスに使用されることが期待されている。
コンドラテンコ V.S.、脆性非金属材料の分断方法、 日本国特許第3027768号 Kondratenko Vladimir S.,Method of splitting non−metallic materials,EP0633867B1 Kondratenko Vlaimir S.,Method of splitting non−metallic materials,USP5609284
Karube K.,Karube N.,Laser−induced cleavage of LCD glass as full body cutting,Proc.SPIE 6880,688007−1 2008. Karube K.,Karube N.,Laser−induced full body cleavage of flat−panel−display glass,Journal of the SID 17/4,2009.
同方法はガラスなどの脆性素材に機械応力が印加されると瞬時に割断されることにヒントを得て発明者らを含む何人かの技術者らによって開発された。発明者らによる同技術の原理研究成果の概要を非特許文献1,2に示す。同技術は直線割断に対しては十分な実用性が達成され加工品質を高めることに成功したが、最近のスマートフォンやタブレット等の携帯端末用基板ガラスのように自由輪郭曲線に沿った加工に対してはいまだ実用技術が完成されたとはいえない。
同方法はガラスの加工出発点に設けた初期亀裂を、熱応力印加によって伸長させていくものである。特に現在市場性が著しく拡大している携帯端末用ガラス基板に同方法を適用できない理由として前記した非直線加工の難点の他、少なくとも現時点では割断が100μ程の浅さのために完全分断にはブレークと云う後工程が必要なことと、閉曲線加工後の中抜きが困難であることがある。
熱応力割断技術が携帯端末用基板ガラス加工に使用されないもう一方の理由として、同技術が材料の熱的、機械的性質に依存するので加工ガラスが代わるときに加工条件最適化を変更させなければならないと云う問題がある。最近同分野で米国コーニング社のゴリラガラスが広く使用されるようになったので、加工条件は大幅に変化してしまった。そして同ガラスの特性は熱応力割断に不向きなのである。
このためにこうした欠点が少ない、ガラスのレーザエネルギー加工に期待がよせられるようになってきた。しかしながら脆性材料であるガラスは金属と異なって、一般的にレーザ照射で急速に加熱するとクラックが入ってしまう。これを避けるには照射レーザのエネルギー密度を増大させて、材料の溶融、気化を通リ越し、発熱がなく直接分子結合を切断するピコ秒パルスレーザによるガラス蒸散加工が必要である。レーザとしては更にパルス幅が短いフェムト秒パルスがあるが、材料内部の熱挙動が速度的に追従しないのでピコ秒パルスレーザの加工速度で十分である。かつレーザ出力もこちらの方が高いので多光子吸収が起きて加工効率が高まる。物理現象としては同レーザを使用する事でガラスに理想的な加工が行えるが、生産上は大きな問題が立ちふさがっていた。それは蒸散加工実現のために集光系の焦点距離を短くして小スポットを実現すると焦点深度も短くなってしまい、加工速度が極端に低下してしまうことである。
本発明の目的は、脆性素材の加工出発点に設けた初期亀裂を熱応力印加によって伸長させる割断法に代えて、加工箇所の素材を蒸散させることにより加工するレーザ蒸散加工方法及び装置を提供することにある。また同技術の欠点である短焦点深度を改善し、加工速度の増大を図った。
脆性素材の加工出発点に設けた初期亀裂を、熱応力印加によって伸長させる割断法では、脆性素材の板厚方向でのレーザビームの作用深さが浅いために完全分断にはブレークという後工程が必要となること、直線割断に限定されること、閉曲線加工後の中抜きなどが困難であることなどの欠点があり、今日の携帯端末の量産には使用できない。このため携帯端末の量産目的には熱応力割断をあきらめて、ピコ秒パルスレーザによる蒸散加工を試みることを考える。この場合は機械的方法や熱応力割断が持つ本質的な欠点を避けることができるが、現在の技術では焦点深度が浅くなることに由来する低速加工という欠点があり量産技術にはなりえない。
本発明においては、レーザビームが合焦する範囲(焦点前後のビームでスポットサイズが蒸散加工を行うに十分小さい範囲内のものを云い、以下レーザビームの合焦範囲と表記する)を脆性素材の板厚をカバーする寸法に拡大し、一度のレーザビーム照射により板厚方向の脆性素材を前記合焦範囲にわたって蒸散させることにより高速化を図ることにした。
以上説明したように、本発明によれば、レーザビームの合焦範囲を脆性素材の板厚をカバーする寸法に拡大し、一度のレーザビーム照射により板厚方向の脆性素材を前記合焦範囲にわたって蒸散させることにより、脆性素材を板厚方向で貫通させることにより、熱応力印加によって伸長させる割断法のように完全分断させるためにブレークという後工程が不要となり、マイクロクラックの発生問題を解決して、自由輪郭形状を加工できるという効果を実現するものである。
本発明の一実施形態に係るレーザ蒸散加工装置の構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態における高集光、長焦点深度レーザビームの特性を示す特性図である。 本発明の一実施形態に係るレーザ蒸散加工装置に用いてガラス基板を切断する行程を示す模式断面図である。 従来例を用いてガラス基板を切断する行程を示す模式断面図である。 本発明の一実施形態に係るレーザ蒸散加工装置により加工できる携帯端末用ガラス基板形状の一例を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明における脆性素材は、主に携帯端末の表示部に装備されるフラットパネルやタッチパネル用ガラスなどの脆性素材を対象とするが、これに限られるものではない。本発明が対象とする脆性素材はレーザ加工が可能であって、且つ脆性素材の様にマイクロクラックが生じる可能性がある素材で、かつレーザビームの透過吸収特性に起因する後工程としてのブレークが必要である材料全般を総称している。以下での説明では、脆性素材として、スマートフォンの基板ガラスや携帯端末表示部の保護ガラスを用いた場合について説明する。
本発明の一実施形態に係るレーザ加工方法は、スマートフォンのガラス基板や液晶パネルを保護する保護ガラスを加工するのに適している。非直線加工が要求される対象物としては、例えば図5に示すスマートフォンのガラス基板70が考えられる。スマートフォンの外形はデザイン重視とスマートフォンを手中に握る時の握り感覚によも決められ、特にスマートフォンが女性や子供に多く用いられることを考慮して決定しなければならない。これらの要求を考慮すると、図5に示すガラス基板70の寸法としては、そのガラス基板70の板厚は0.2〜1.0mm程度であり、大きさは長辺が100mm程度、横幅が50mm程度であり、その外形形状が図1の71に示すように自由曲線に加工する必要がある。図5に示すガラス基板70の外形形状は、曲線形状を取り入れた自由曲線の形状であって、従来のように直線形状の組み合わせによる矩形形状とは異なるものである。さらに図5に示すように、スマートフォンのガラス基板70には、スピーカ/マイクロフォンや基板の組立用等の目的のために、大小の中抜き貫通孔72,73や両端が半円形のスリット74を加工する必要がある。これらの貫通孔やスリットは、装置の機能によって決められるものである。
図5に示す非曲線形状のガラス基板70をマイクロクラックやカレット発生無しの高品質で、後工程の必要なく、高速加工する必要がある。図5に示す貫通孔72,73やスリット74は中抜きが必要である。また使用ガラスの種類が種々であって熱特性や機械強度特性が異なるので、熱応力加工の採用時にはそれらに適合した条件出しが必要で、それは一般的に困難である。
これらの要求に現在答えられる理想的な熱応力加工法は存在しない。従って現在は古典的な機械的方法が用いられており、加工性能には各種の制限がある。本質的な欠点は上述した通りである。生産現場的には、欠点の第一はツ−ル摩耗であり第二は大面積の基板からの直接製品加工が出来ず個割りの中間過程が必要であること等である。
これらの課題を解決するために最初に試みられたのは、YAGレーザ第二高調波のグリーンレーザなどの短波長レーザやUVレーザによるエネルギー加工であった。フェムト秒レーザの使用も試みられた。これらの試みはガラス加工を出来るだけ熱加工でなく化学結合を直接断ち切るものにすると云う方針であった。そのためには波長を短くするか(UV化)、あるいはパルス幅を短くするか(短パルス)であった。結果は曲線加工が可能であることは評価されたが極めて低速加工であった。これらの延長上にあるのがピコ秒パルス波を用いたレーザビームの照射による蒸散加工であった。同レーザはほどほどに短パルスレーザであり、出力が高かった。このレーザビーム照射による加工はエネルギー加工であるので、加工点はビームスポットに限定され、ビーム走査を行えば輪郭形状加工が可能である。また切りしろが300μ程度もあるので、閉曲線の内抜き加工も可能であると云う長所を持つ。熱応力加工でないので加工特性がガラスの熱特性や機械強度特性に依存せず、従って種々の種類のガラスに対して使用することが出来る。これらは携帯用ガラスの加工技術として有利な条件である。
一方、致命的な短所としては高コストと極端に遅い加工速度がある。またマイクロクラックがゼロでないこと、カレットもゼロでないこと、加工形状にテーパが残ることなどの欠点があり、これらを除去しなければ例えばスマートフォン用ガラス基盤の量産技術としては使用できない。
こうした欠点の発生原因を図4に基づいて説明する。ガラス基板8を加工するための蒸散現象発生のためにはエネルギー密度の上昇が必要である。従来技術では、図4に示すように、エネルギー密度を上昇させるにあたっては、レーザビーム22を集光系で焦点に小さなスポットとして集光する。この場合小さなスポットに集光するには集光光学系の焦点距離を小さな値に選ぶ必要がある。その時焦点深度も焦点距離の二乗に比例して短くなってしまい、蒸散加工に必要なだけエネルギー密度が増大するのは、焦点近傍に限られてしまう。その場合1mm程度の板厚を1回のレーザビーム照射で貫通させることはできない。また蒸散孔は浅いだけでなくテーパが生じてしまう。
板厚1mm程度のガラス板を完全に分断するためには、上記の小孔をガラス面の平行方向と垂直方向に何度も走査して孔を大きさ、深さともに拡大する。図4では、レーザビーム焦点位置を加工孔31,32,33、で示すように横方向にガルバノ光学系で何度も移動させて加工幅を300μm程度に拡大し、その後41,42、51,52、61のように縦方向に移動させて最終的にガラス基板を貫通させる。1回の照射による加工幅は条件にもよるが40μm程度であろう。
こうした方法をとれば、ガラス基板の貫通加工は可能になるが、加工速度は極端に低下してしまう。また加工品質も低下しマイクロクラックの発生があるので、修正用の後加工が必要である。こうした加工法はデモ用のサンプル作成には使用出来ても、量産が求められるスマートフォン部品の製造には用いられない。とくに加工速度について見ると過去3年間で高速化が進んだが、現在でも図5のガラス板加工に1分30秒が必要である。一方、スマートフォン量産用に求められている加工時間は、5〜10秒程度とされる。
そこで、本発明の実施形態に係るレーザ蒸散加工方法は、レーザビームの照射により被加工素材を加工するレーザ加工方法において、図3に示すようにレーザビームの合焦範囲Sを被加工素材8の板厚Tをカバーする寸法に設定し、一度のレーザビーム20の照射により板厚方向の前記被加工素材6を前記合焦範囲Sにわたって蒸散させることにより、前記被加工素材を板厚方向で貫通させ加工速度の著しい増大を図ることを特徴とするものである。
本発明の実施形態に係るレーザ蒸散加工方法を実施するためのレーザ蒸散加工装置は、図1に示すようにピコ秒パルスレーザ1から射出されるレーザビームを、回折格子光学素子4と集光光学系5の組み合わせによって集光後のレーザビーム6の合焦範囲を脆性素材8の板厚をカバーする寸法に設定させ、レーザビーム照射により板厚方向の前記脆性素材を前記合焦範囲にわたって一挙に蒸散させることにより、前記脆性素材を板厚方向で貫通させるレーザ発振器1とを組み合わせることにより構築している。
前記光学素子4の出力側には、レーザビーム6を脆性素材8の加工位置7に集光させる集光光学系5を装備している。図1において、3は、レーザ発振器1からのレーザビーム2を被加工素材8側に反射させる反射鏡、9は、被加工素材8を直交するX−Y軸方向の2軸面9内に移動させてレーザビーム6を脆性素材8の加工位置7に照射させるための加工テーブルである。
図3において、脆性素材8に開ける孔8aの内径は、本来の孔加工の寸法に切り代の寸法を加えた寸法に設定している。さらに、長焦点集光レーザビーム20のスポット径20aが最小となる焦点位置21を脆性素材8の板厚寸法Tの中央部位に配置し、この焦点位置21を中心として脆性素材8の板厚方向に対称となる合焦範囲Sを設定している。
レーザビームの合焦範囲を脆性素材の板厚をカバーする寸法に設定する際、回折格子光学素子4及び集光光学系5を用いることにより、レーザビーム20の合焦位置21を前記脆性素材の板厚方向の中央部位に配置し、前記中央部位に対して焦点深度を前記板厚方向に対称に拡大させている。
なお、レーザビームの合焦範囲を脆性素材の板厚をカバーする寸法に設定する際には、回折格子光学素子4及び集光光学系5の使用が最適である。一般的に焦点における最小スポットサイズは集光光学系の焦点距離に比例し、同値を小さくするには焦点距離を小さくしなければならない。この時光学理論によれば焦点深度も集光光学系の焦点距離の二乗に比例して小さくなってしまう。これは、焦点スポット径の小型化と焦点深度の増大化を両立させることはできないことを意味する。これはさらにガラス蒸散加工の高速化が困難であることを意味する。本発明では、図1に示すように、ガウシアン強度分布のレーザビーム2を最初に回折格子光学素子4をホモジナイザとして使用してトップハット型強度分布ビーム4aに変換し、次いで焦点距離200mmの集光光学系5を用いて集光すれば板厚1mmまでのガラス板を貫通させるに必要な、焦点近傍におけるスポット直径(スポット径20a)40μmを焦点深度±400μmで作ることが出来ることに立脚している。これによって板厚1mmまでのガラス板の高速蒸散加工が可能になった。図2に焦点位置の前後±400μmまでずらした各点における高集光&長焦点深度集光レーザビームの強度分布を示す。何れの点においてもビーム直径はほぼ40μmになる。
前記レーザ発振器1としては高出力ピコ秒パルスレーザを用いるが、同発振特性が固体の蒸散加工実現のために最適なレーザビ発振特性を有するものであることが最近の研究で明らかになった。それにはガラス加工では低速熱現象の防止のためにピコ秒パルス発振が求められていること、フェムト秒レーザと異なりピコ秒レーザであれば出力10W級の高出力が得られること、同出力級であれば多光子吸収によってガラス加工が高効率で実行できることなどがある。
図1に示すように、レーザ発振器1からレーザビーム2を照射し、そのレーザビーム2を反射鏡3よって被加工素材8に向けて反射し、回折格子光学素子ホモナイザ4と集光光学系5との組み合わせにより、図3に示す高集光&長焦点深度レーザビーム20のスポット径20aが最小となる焦点位置21を脆性素材8の板厚寸法の中央部位に配置し、この焦点位置21を中心として脆性素材8の板厚方向に対称に伸びる合焦範囲Sを最低でも板厚Tになるように設定する。
レーザビーム20の焦点位置21は、被加工素材8の板厚の中央部位に配置されており、その焦点位置21を中心として合焦範囲Sが脆性素材8の板厚をカバーする寸法Tに設定され、焦点位置21を中心として焦点深度が板厚方向に拡大している。このため、レーザ発振器1からのレーザビーム2が脆性素材8の板厚をカバーする範囲で合焦し、一度のレーザビーム6の照射により脆性素材8を板厚方向に貫通させることとなる。
ピコ秒パルスレーザ照射による加工では、レーザビーム6をNC装置の機能を用いて水平面内に走査することにより、図5に示すスマートフォン用ガラス基板の蒸散加工を行う。この場合レーザビームは必要に応じてNCの走査機能と同期してオンーオフ制御する。ピコ秒パルスレーザによるガラスの蒸散加工であればマイクロクラックの発生は実用レベルで発生しないし、前記した焦点におけるスポット直径40μm、焦点深度±400μmであれば中抜けも可能であることを実証している。
本発明の実施形態によれば、次のような効果を実現できる。
1)図3に示すようにレーザビームの合焦範囲を脆性素材の板厚をカバーする寸法に設定し、レーザビーム照射により板厚方向の前記脆性素材を前記合焦範囲にわたって蒸散させることにより、前記脆性素材を板厚方向で貫通させるため、レーザ蒸散の高品質を一般の自由輪郭形状で実現できる。
2)一度のレーザビームの照射により脆性素材を板厚方向で貫通するので、加工速度が著るしく増大する。スマートフォンの量産技術として使用できる。
3)熱応力割断と異なって加工条件が材料の熱特性や機械特性に依存しない。従って被加工素材の種類の変更や脆性素材の特性の変更を、加工条件の大幅な変更なしに行う事が出来る。スマートフォンで使用されている強化ガラスの切断も出来る。
4)脆性素材の外縁形状を加工するばかりでなく、中抜き加工を容易に行うことができる。
5)一度のレーザビームの照射により脆性素材を板厚方向で貫通するので、切断後の研磨、洗浄などの後工程が不要である。
6)切断面近傍におけるマイクロクラック発生が少なく、ワークの材料強度が高い値になる。
7)切断位置精度が高い。
8)切断面がガラス表面に対して十分に垂直である。
9)切断面の面粗さが良好である。
10)レーザは非接触加工であり、ツール摩耗がない。
11)レーザ加工は複雑形状加工も可能であるので、大盤ガラス板からの直接製品加工が出来る。
12)レーザは非接触エネルギー加工であり、ガラス以外の材料に適用することが出来る。
本発明の実施形態の原理は図3に示すような、被加工素材の板厚とほぼ等しい長焦点深度のレーザビームを照射することによって、一度の照射で被加工素材を板厚方向に貫通させ切断速度を増大させることである。その場合、レーザビームの焦点位置に脆性素材の板厚中央部位を一致させて設置する。その詳細は図3に示す通りである。
次に、本発明の実施例について説明する。
これらの条件を実現するための実施例1について説明する。本発明によるガラス切断を、図1に模式的に示す装置を用いて実行する事ができる。レーザ発振器としてYAGレーザ1を用い同レーザから第2高調波のレーザビームを出力する。こうしたレーザビームは通常は水平に出射されるので、反射鏡3によって垂直に変換する。脆性素材としては、ガラス基板8を用いている。
最初の光学素子4として、住友電工製の回折格子光学素子(DOE)ホモナイザを用い、レーザビーム2をDOEホモナイザ4でトップハット型強度分布ビームに変換し、次いで集光光学系5を用いて長焦点深度ビームに変換し変換後のレーザビーム6をガラス板8の加工位置7に照射する。レーザビーム6の照射位置7では、レーザビーム6がガラス基板8の板厚をカバーする寸法範囲(合焦範囲)で合焦し、一度のレーザビーム6の照射によってガラス基板8が蒸散し、ガラス基板は板厚方向に穿孔され、ビーム位置を走査すれば輪郭切断が実行できる。同走査はレーザビームの走査によっても、あるいはガラス板を搭載する加工テーブルを走査してもよいが、図1では後者を用いている。発明者らは同テーブル駆動にはリニアモータを使用し、高速化を図った。
DOEホモジナイザと集光レンズの組み合わせ光学系は、その他の方法を凌駕する高集光、長焦点深度のレーザビームを作ることが出来る。発明者らは住友電工製のDOEホモナイザを回折格子光学素子として用い、その回折格子光学素子を次の条件下で用いて、焦点におけるビーム直径φ40μmと焦点深度約1mmのビームを得ることが出来た。使用条件は、レーザ出力25W、波長532nm、焦点距離200mm、射出ビーム直径φ4.7mmであった。
この光学系で得られた高集光、長焦点深度レーザビームの焦点近傍における強度分布を図2に示す。このビームは焦点から±400mmの範位内で強度分布はほぼ一定であるので板厚1mmのガラス板を1回の照射で全厚さにわたって貫通する事が出来る。
その結果、図5に示す板厚1mmのスマートフォンガラス基板を約5秒で加工することが出来た。
図1に示すと同一の装置を用い、基本波レーザビーム50Wを、波長1064nm、焦点距離200mm、射出ビーム直径φ4.7mmの条件下で、焦点近傍におけるビーム直径80μm、焦点深度約1mmを得ることが出来た。焦点近傍におけるビーム直径が本実施例の方が約2倍大きいので、中抜け加工は容易である。
以上説明したのは本発明の機能を実現するためのいくつかの実施例であって、本発明の精神はその他の多くの方法で実現可能であることは言を俟たない。
本発明のピコ秒パルスレーザによるガラス切断技術がスマートフォンやタブレット等の携帯端末用ガラス基板の製造過程に導入されれば、加工速度、加工品質、経済性などの向上、さらに従来技術の弱点克服において、その効果ははかり知れないものになる。これらの加工が現在はダイアモンドカッターなどの機械方法で行われており、カレット発生のための切断後の洗浄工程の必要性や、マイクロクラックの存在による材料強度低下などの問題を呈している。本発明によるレーザ蒸散技術の高度化によって、こうした問題を解決することができる。
1 ピコ秒パルスレーザ発振器
2 射出レーザビーム
3 反射鏡
4 DOEホモジナイザ(回折格子光学素子)
4a トップハット強度分布レーザビーム
5 集光光学系
6 集光後のレーザビーム
7 集光レーザビームの焦点位置
8 ガラス板
8a 高集光&長焦点深度集光レーザビームによる穿孔
9 加工テーブルの駆動方向(X,Y)
10 加工テーブル
11 高集光&長焦点深度集光レーザビームの強度分布
12 同
13 同
14 同
15 同
16 同
17 同
18 同
19 同
20 高集光&長焦点深度集光レーザビーム
20a 同ビームの直径
21 同ビームの焦点
22 高集光&短焦点深度集光レーザビーム
31 1回の高集光&短焦点深度集光レーザビームによる蒸散加工穿孔
32 同
33 同
41 同
42 同
51 同
52 同
61 同
70 携帯端末用ガラス基板の一例
71 同板の外形輪郭曲線
72 同板の内抜き大円
73 同小円
74 同スリット

Claims (3)

  1. パルスレーザビームの照射により脆性素材を蒸散加工するレーザ加工方法において、レーザビームが合焦する範囲を脆性素材の板厚をカバーする寸法に設定し、レーザビーム照射により板厚方向の前記脆性素材を前記合焦範囲にわたって蒸散させることにより、前記脆性素材を板厚方向で貫通させながら加工することを特徴とするレーザ加工方法。
  2. 請求項1に記載のレーザ加工方法において、レーザビームの合焦範囲を被加工素材の板厚をカバーする寸法に設定する際、回折格子光学素子と集光光学系を組み合わせて用いることにより、発生させる長焦点深度レーザビームの合焦位置を前記脆性素材の板厚方向の中央部位に配置し、前記中央部位を中心とする焦点深度を前記板厚方向に対称に拡大するレーザ加工方法。
  3. パルスレーザビームの照射により脆性素材を蒸散加工するレーザ加工装置において、レーザビームの形状を整形する光学素子と前記整形されたレーザビームを脆性素材の板厚をカバーする範囲に合焦させる集光光学系とを有する事を特徴とするレーザ加工装置。
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