JP5737900B2 - レーザ加工装置及びレーザ加工方法 - Google Patents
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Description
そして、ファイバーレーザは、気体レーザ(例えば、CO2レーザ)に比較してレーザの生成に要する電気エネルギーが少なく、ロッドタイプの固体レーザに比較してレーザビームの品質(レーザビームの集光性と直進性)が高く、高出力化が可能であるため、普及が進んでいる。
ところで、溶融金属は、温度が高いほど粘性が下がり流動性が高くなるため、レーザ加工装置は、被加工物の切断温度を高くすることで溶融金属の粘性を下げ、アシストガスによる溶融金属の排除性を向上させる必要がある。
YAG系レーザとCO2レーザとでは、YAG系レーザの波長が1.06〜1.08μm、CO2レーザの波長が10.6μmというように波長の大きさが異なることによって、材料に対するレーザの吸収率(以下、「材料吸収率」という。)及びプラズマに対するレーザの吸収率(以下、「プラズマ吸収率」という。)が異なる。例えば、従来から知られている図7の実験例に示すように、鉄に対する材料吸収率は、CO2レーザでは0.08であり、CO2レーザよりも波長の短いYAG系レーザでは0.39である。
すなわち、本発明に係るレーザ加工装置は、被加工物を切断するためのCO2レーザよりも波長が短いレーザビームを出射する一つの出射手段と、前記レーザビームを集束させるためのレンズが設けられた集束手段と、を備え、前記集束手段は、前記レーザビームのエネルギー分布が前記被加工物の位置において該被加工物の切断の進行方向に対して偏重するように、前記レンズの中心軸線からずれた位置に前記レーザビームが入射される。
また、本発明によれば、レーザビームを集束させるためのレンズが設けられている集束手段に対して、レンズの中心軸線からずれた位置にレーザビームを入射させるので、簡易な構成で、被加工物の位置において該被加工物の切断の進行方向に対して偏重するようにレーザビームを集束させることができる。
本発明によれば、被加工物における該レーザビームの吸収率に応じて、レーザビームの偏重の度合いが調整されるので、厚みを有する被加工物を、CO2レーザよりも波長が短いレーザを用いてより確実に切断することができる。
本発明によれば、出射手段が、被加工物の切断の進行方向とレーザビームの偏重の方向とが一致するように、被加工物の切断方向に応じて回転されるので、簡易な構成で、レーザビームの長軸方向と該被加工物の切断の進行方向とを一致させることができる。
本発明によれば、ファイバーレーザは高品質で高出力のレーザビームであるため、厚みを有する被加工物を、より確実に切断することができる。
本発明によれば、ディスクレーザは高品質で高出力のレーザビームであるため、厚みを有する被加工物を、より確実に切断することができる。
すなわち、本発明に係るレーザ加工方法は、被加工物を切断するためのCO2レーザよりも波長が短いレーザビームを一つの出射手段から出射する第1工程と、前記レーザビームを集束させるためのレンズが設けられた集束手段によって、前記レーザビームを集束させる第2工程と、を含み、前記集束手段は、前記レーザビームのエネルギー分布が前記被加工物の位置において該被加工物の切断の進行方向に対して偏重するように、前記レンズの中心軸線からずれた位置に前記レーザビームが入射される。
レーザ加工装置10は、レーザ発振器20、光ファイバー22、レーザ出射部24、及び光学系26を備えている。なお、本実施形態に係るレーザ加工装置10は、光ファイバー22を媒質に用いたファイバーレーザを用いる。
また、本実施形態では、レーザ加工装置10を、テーブル28に載置されている被加工物30に連続的にレーザビームを照射することで被加工物30を切断するレーザ切断装置として用いる場合について説明する。
これにより、レーザビームは、光学系26の中心軸線44から長さLずれた位置(以下、「入射位置」という。)から光学系26へ入射される。そして、レーザビームは、入射位置とは逆の位置であり、光学系の中心軸線44から長さdずれた位置(以下、「焦点位置」という。)に焦点を結ぶこととなる。なお、焦点位置は、被加工物30の位置とされる。
しかし、被加工物30の厚みが厚い(例えば10〜数十mm(例えば50mm))場合、図2に示すような従来のレーザ加工装置10’は、被加工物30を切断できない場合があった。
より具体的に説明すると、YAG系レーザは、CO2レーザに比較して材料吸収率が高いため、被加工物30の溶融にレーザビームのパワーがより消費され、レーザビームのパワーが被加工物30の温度上昇に寄与しづらい。さらに、被加工物30が切断される際には、被加工物30である金属の一部が蒸発し、プラズマ化する。そして、切断される被加工物30内部での温度上昇には、プラズマ温度が寄与するが、YAG系レーザのプラズマ吸収率は、CO2レーザに比較して低く、YAG系レーザは、切断する被加工物30内部でのプラズマ温度を上昇させにくいためであると考えられる。
なお、ここでいう、偏重の度合いとは、一例として、図3に示される領域S1と領域S2との割り合いをいう。領域S1及び領域S2は、焦点位置におけるレーザビームのエネルギー分布の最大値を通る中心軸線46を分割線として、被加工物30の切断方向の前後方向で分割した領域であり、領域S1が切断方向の後ろ方向であり、領域S2が切断方向の前方向である。
YAG系レーザは、材料吸収率が高いため、金属の溶融には大きなパワーを必要としない一方、プラズマ吸収率が低いため、溶融金属の温度上昇のためにより大きなパワーを必要とする。すなわち、被加工物30の切断方向前方の領域である領域S2の割り合いに応じたパワーで、まず金属の溶融を行い、領域S2よりも広い領域であり、被加工物30の切断方向後方の領域である領域S1の割り合いに応じたパワーで、溶融金属の温度上昇を行う。
さらに、領域S1,S2の割り合いは、レーザ加工装置10で用いるレーザビームの種類、及び被加工物30の組成等に応じて調整され、より適した偏重の度合いで被加工物30の切断が行われる。
レーザ加工装置10が備える光学系26は、上部にレーザ出射部24が配置されている筐筒50に収められている。
モータ56の回転軸56Aには、方向補正ギア58Aが、上部筐筒50Aの側面に設けられているギア58Bに噛み合うように設けられている。
制御盤54は、方向補正ギア58Aに噛み合わされているギア58Bを介して上部筐筒50A、すなわちレーザ出射部24を回転させることによって、被加工物30の切断の進行方向とレーザビームの偏重の方向とが一致するように、モータ56の回転軸56Aの回転角度を制御する。
24 レーザ出射部
26 光学系
30 被加工物
40 コリメート光学系
44 集光光学系
56 モータ
Claims (5)
- 被加工物を切断するためのCO2レーザよりも波長が短いレーザビームを出射する一つの出射手段と、
前記レーザビームを集束させるためのレンズが設けられた集束手段と、
を備え、
前記集束手段は、前記レーザビームのエネルギー分布が前記被加工物の位置において該被加工物の切断の進行方向に対して偏重するように、前記レンズの中心軸線からずれた位置に前記レーザビームが入射され、
前記出射手段は、前記集束手段の中心軸線から所定長さずれた位置に配置され、前記被加工物の切断の進行方向と前記偏重の方向とが一致するように、前記被加工物の切断方向に応じて回転されるレーザ加工装置。 - 焦点位置における前記レーザビームのエネルギー分布の最大値を通る中心軸線を分割線として、前記被加工物の切断方向の前後方向で分割した第1領域と第2領域との割り合いである前記偏重の度合いが、前記被加工物における前記レーザビームの吸収率に応じて調整される請求項1記載のレーザ加工装置。
- 前記レーザビームは、ファイバーレーザである請求項1又は請求項2記載のレーザ加工装置。
- 前記レーザビームは、ディスクレーザである請求項1又は請求項2記載のレーザ加工装置。
- 被加工物を切断するためのCO2レーザよりも波長が短いレーザビームを一つの出射手段から出射する第1工程と、
前記レーザビームを集束させるためのレンズが設けられた集束手段によって、前記レーザビームを集束させる第2工程と、
を含み、
前記集束手段は、前記レーザビームのエネルギー分布が前記被加工物の位置において該被加工物の切断の進行方向に対して偏重するように、前記レンズの中心軸線からずれた位置に前記レーザビームが入射され、
前記出射手段は、前記集束手段の中心軸線から所定長さずれた位置に配置され、前記被加工物の切断の進行方向と前記偏重の方向とが一致するように、前記被加工物の切断方向に応じて回転されるレーザ加工方法。
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