JP2002160083A - 亜鉛めっき鋼板の重ねレーザー溶接方法 - Google Patents

亜鉛めっき鋼板の重ねレーザー溶接方法

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JP2002160083A
JP2002160083A JP2000362202A JP2000362202A JP2002160083A JP 2002160083 A JP2002160083 A JP 2002160083A JP 2000362202 A JP2000362202 A JP 2000362202A JP 2000362202 A JP2000362202 A JP 2000362202A JP 2002160083 A JP2002160083 A JP 2002160083A
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laser
welding
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galvanized steel
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Hideki Hamaya
秀樹 濱谷
Seiji Furusako
誠司 古迫
Yasunobu Miyazaki
康信 宮崎
Takashi Tanaka
隆 田中
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 亜鉛めっき鋼板の重ねレーザー溶接時に亜鉛
蒸気の発生による溶融金属の爆飛や溶接部欠陥の発生を
低減し、溶接ビード形状および品質に優れた少なくとも
2つのレーザービームを用いる亜鉛めっき鋼板の重ねレ
ーザー溶接方法を提供する。 【解決手段】 第1レーザービーム25により接合領域
の亜鉛めっきを加熱・蒸発させた後、第2レーザービー
ム26により前記接合領域を溶接する際に、前記の第1
レーザービームのビーム直径(D1)、第2レーザービ
ームのビーム直径(D2)、および第1レーザービーム
と第2レーザービームのビーム中心間距離(L)が0.
56×(D1+D2)<L<1.8×(D1+D2)の
関係式を満足し、かつ前記第1レーザービームの平均エ
ネルギー密度(El)および第2レーザビームの平均エ
ネルギー密度(E2)が0.8×t1/(t1+t2)
<E1/E2<1.6×t1/(t1+t2)の関係式
を満足するように調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に自動車用の外
板などに用いられる亜鉛メッキ鋼板の重ねレーザー溶接
方法に関し、詳しくは溶接時の亜鉛めっき蒸気の発生に
よる溶融金属の爆飛や溶接部欠陥の発生を低減するため
に少なくとも2つのレーザービームを用いる亜鉛メッキ
鋼板の重ねレーザー溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に自動車の車体、足廻り部材などの
構造部材として鋼板表面に亜鉛めっきを施した耐食性に
優れた亜鉛を主成分とするめっき鋼板が多く用いられて
いる。また、車体や自動車の構造体を組み立てる際に
は、通常、鋼板を所望の形状にプレス成形後、その鋼板
の一部の重ね合わせて部をレーザーで溶接する重ねレー
ザー溶接が多用されている。
【0003】亜鉛めっき鋼板をレーザーにより重ね溶接
する場合、鋼板表面の亜鉛は鋼板母材に比べ沸点が低い
ため、鋼板溶融直前あるいは溶融中に鋼板表面の亜鉛が
蒸発して亜鉛蒸気を発生し、溶融金属中に全部または一
部残留することによりブローホールまたはピットなどの
溶接欠陥となったり、特に鋼板重ね合わせ部が密着され
た状態で溶接した場合には、溶融金属中に吹き出した亜
鉛蒸気の圧力により溶融金属を爆飛させることがあり、
何れも溶接ビード形状、継ぎ手特性などの溶接品質を劣
化させる。
【0004】この問題を解決するため、例えば、特開平
04−288986号公報にあるようにスペーサーなど
を用いて亜鉛めっき鋼板の重ね合わせ部に所定の隙間を
設けて、溶接時に発生する亜鉛蒸気を溶融金属の周囲の
隙間から逃がす方法が従来から知られている。しかしな
がら、このような溶接時に鋼板重ね合わせ部に所定の間
隙を保持する方法は、自動車用構造部品などの複雑形状
および剛性の高いプレス成形材を重ね合わせ溶接する場
合には、溶接時に常に所定の隙間を保持することは非常
に困難であり、必然的に重ね合わせ部が密着またはその
隙間が非常に狭くなる部位が発生し、その部位にブロー
ホール等の溶接欠陥や最悪時では溶接時に溶融金属の爆
飛が発生するという問題が生ずる。
【0005】亜鉛めっき鋼板の重ね合わせ部が密着また
はその隙間が非常に狭い状態で重ねレーザー溶接した際
に、亜鉛蒸気起因のブローホールなどの溶接欠陥を防止
する方法として、例えば、予熱用レーザーとしてビーム
径が大きくかつエネルギー密度の低いダイオードレーザ
ーと、溶接用レーザーとして炭酸ガスレーザーを組み合
わせて溶接する方法(Franhofer発表、ALA
W 2000、March 14−15、2000)、
1台のレーザー発振器から出力されたレーザービームを
ビーム径とエネルギー密度の異なる2つのビームに分割
してそれらを同心円上に重畳して同時に照射したり、エ
ネルギー密度の異なる2つのビームに分割してそれらを
溶接線方向の前後に配置しながら照射することにより、
低エネルギー密度のビームで亜鉛めっきを蒸発させ、高
エネルギー密度のビームで溶接する方法(特開平04−
231190号公報)が従来から提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
2つのレーザービームを用いた重ねレーザー溶接方法に
は以下のような問題点があった。即ち、前者(Fran
hofer発表、ALAW 2000、March 1
4−15、2000)のダイオードレーザーと炭酸ガス
レーザーを組み合わせて用いる方法は、2台のレーザー
発振器のために溶接機のレーザーヘッドが大きくなり実
用的でない。また、後者(特開平04−231190号
公報)の1台のレーザー発振器からのレーザービームを
分割して低エネルギー密度のビーム照射により亜鉛めっ
き鋼板表裏面の亜鉛を蒸発・離散し、その領域を高エネ
ルギー密度のビーム照射により溶接する方法は、低エネ
ルギー密度のビーム照射により亜鉛の蒸発・離散を安定
しておこなうことは難しく、亜鉛蒸気起因の溶接部欠陥
および溶融金属の爆飛の発生を実用レベルで完全になく
すことは不可能であった。
【0007】特に後者の方法は、当該特許公開公報の記
載内容から、亜鉛めっき鋼板の重ね合わせ部に隙間がな
い(密着状態)か、隙間が非常に狭い場合でも、低エネ
ルギー密度のビーム照射により亜鉛めっき鋼板の表裏層
の亜鉛を蒸発させ、それにより形成される亜鉛めっき層
厚みに相当する間隙または最初から存在した非常に狭い
間隙から離散させることを前提とするものであるが、本
発明者らの実験によれば、一方のレーザービーム照射に
よる亜鉛の蒸発後、亜鉛ガスを非常に狭い間隙を通して
大気へ逃がすことは困難であり、逃げきれず残留した亜
鉛ガスが他方のレーザービームによる溶接時に溶融金属
中に混入して溶接欠陥および溶融金属の爆飛の発生の原
因となることが判った。
【0008】本発明は、上記の従来技術の問題点に鑑み
て、亜鉛めっき鋼板の重ねレーザー溶接時に亜鉛蒸気の
発生による溶融金属の爆飛や溶接部欠陥の発生を低減
し、溶接ビード形状および品質に優れた少なくとも2つ
のレーザービームを用いる亜鉛めっき鋼板の重ねレーザ
ー溶接方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題を解決
するものであり、その要旨とするところは、以下の通り
である。
【0010】(1)亜鉛めっき鋼板の重ね合わせ部を少
なくとも2つのレーザービームを用いて溶接する亜鉛め
っき鋼板の重ねレーザー溶接方法において、第1レーザ
ービームにより接合領域の亜鉛めっきを加熱・蒸発させ
た後、後続する第2レーザービームにより前記接合領域
を溶接する際に、前記の第1レーザービームのビーム直
径(D1)、第2レーザービームのビーム直径(D
2)、および第1レーザービームと第2レーザービーム
のビーム中心間距離(L)が下記(1)式を満足し、か
つ前記第1レーザービームの平均エネルギー密度(E
l)および第2レーザービームの平均エネルギー密度
(E2)が下記(2)式を満足するように調整すること
を特徴とする溶接部欠陥の少ない亜鉛めっき鋼板の重ね
レーザー溶接方法。 0.56×(D1+D2)<L<1.8×(D1+D2) ・ ・ ・(1) 0.8×t1/(t1+t2)<E1/E2<1.6×t1/(t1+t2) ・ ・ ・(2) 但し、D1、D2:第1レーザービームおよび第2レー
ザービームのそれぞれのビーム直径(mm)、L:第1
レーザービームと第2レーザービームのビーム中心間距
離(mm)、El、E2:第1レーザービームおよび第
2レーザービームのそれぞれの平均エネルギー密度(k
W/mm2)、t1、t2:上側の亜鉛めっき鋼板およ
び下側の亜鉛めっき鋼板のそれぞれの厚み(mm)、を
意味する。
【0011】(2)さらに、前記第1レーザービームの
ビーム直径(D1)および第2レーザービームのビーム
直径(D2)がD1(mm)≧D2(mm)の関係を満
足するように調整することを特徴とする上記(1)項に
記載の溶接部欠陥の少ない亜鉛めっき鋼板の重ねレーザ
ー溶接方法。
【0012】(3)少なくとも前記第1レーザービーム
の波長が1.1(μm)以下であることを特徴とする上
記(1)または(2)項に記載の溶接部欠陥の少ない亜
鉛めっき鋼板の重ねレーザー溶接方法。
【0013】(4)前記第1レーザービームおよび前記
第2レーザービームは、1台のレーザー発振器から出力
されたレーザービームを2分割してなることを特徴とす
る上記(1)から(3)項のうちの何れか1項に記載の
溶接部欠陥の少ない亜鉛めっき鋼板の重ねレーザー溶接
方法。
【0014】(5)前記第1レーザービームと前記第2
レーザービームにより溶接した後、さらに後続する第3
のレーザービームにより溶接部を再加熱することを特徴
とする上記(1)から(4)項のうちの何れか1項に記
載の溶接部欠陥の少ない亜鉛めっき鋼板の重ねレーザー
溶接方法。
【0015】(6)前記第2レーザービームのビーム直
径(D2)と前記第3のレーザービームのビーム直径
(D3)がD2(mm)>D3(mm)の関係を満足す
るように調整することを特徴とする上記(5)項に記載
の溶接部欠陥の少ない亜鉛めっき鋼板の重ねレーザー溶
接方法。
【0016】(7)前記第1レーザービーム、前記第2
レーザービームおよび前記第3レーザービームは、1台
のレーザー発振器から出力されたレーザービームを3分
割してなることを特徴とする上記(5)または(6)項
に記載の溶接部欠陥の少ない亜鉛めっき鋼板の重ねレー
ザー溶接方法。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に本発明の詳細を説明する。
【0018】本発明者らは、少なくとも2つのレーザー
ビーム用いて亜鉛めっき鋼板の重ね溶接をおこなう際
に、溶接時の亜鉛蒸気起因の溶融金属の爆飛および溶接
部欠陥の発生を実用レベルで問題がない程度までに低減
できる方法を鋭意検討した。
【0019】その結果、第1の低エネルギー密度のレー
ザービームと第2の高エネルギー密度のレーザービーム
とを溶接線方向の前後に配置して溶接する際に、それら
のレーザービームのビーム中心間距離(mm)、ビーム
直径(mm)およびエネルギー密度(kW/mm2)が
適切条件になるように調整し、先行する第1のレーザー
ビームの照射により亜鉛めっき鋼板の表裏層の亜鉛めっ
きを蒸発し、それにより生成した亜鉛蒸気を後続の第2
のレーザービームの照射により溶接初期に形成されたキ
ーホールを通じて系外に逃がすことにより、亜鉛めっき
鋼板の重ねレーザー溶接時の亜鉛蒸気起因の溶融金属の
爆飛および溶接部欠陥の発生を低減でき、溶接ビード形
状および品質を向上できることが判った。さらに、本発
明者らの実験によれば、上記の溶接方法において第2の
レーザービームによる溶接時に熱影響部の鋼板表層亜鉛
めっき層から発生した亜鉛蒸気の溶融金属への混入も溶
接部欠陥の原因となり、これを抑制するためには、第2
のレーザービームによる溶接後に第3の低エネルギー密
度のレーザービームにより再加熱する方法を用いること
が有効であることが判った。
【0020】本発明は、これらの知見に基づいてなされ
たものであり、その詳細を図1〜3を用いて説明する。
【0021】図1は、本発明の溶接方法の模式図であ
る。
【0022】図1に示すように、本発明では、先ず、溶
接方向21に向かって先行する低エネルギー密度の第1
レーザービーム7の照射により上側亜鉛めっき鋼板1を
加熱溶融し、上側亜鉛めっき鋼板1の全厚と下側亜鉛め
っき鋼板2の少なくとも表層亜鉛めっき層5が含まれる
板厚方向の範囲で第1レーザービームによる溶融部8を
形成するとともに上側亜鉛めっき鋼板1の裏層亜鉛めっ
き層4および下側亜鉛めっき鋼板2の表層亜鉛めっき層
5を加熱して亜鉛蒸気9を発生させる。
【0023】次ぎに、溶融部8と一部重複するように後
続の高エネルギー密度の第2レーザービーム10を照射
して上側亜鉛めっき鋼板1および下側亜鉛めっき鋼板2
を貫通するキーホール11を溶接初期に形成させ、前記
溶融部8とキーホール11が互いに連結したビームホー
ル12を形成する。これにより、第1レーザービーム7
の照射後に生成した亜鉛蒸気9はビームホール12を通
じて上側の亜鉛めっき鋼板1の上方13または下側の亜
鉛めっき鋼板2の下方14から外に排出され、亜鉛めっ
き鋼板の重ね合わせ部が密着している(隙間がない)状
態で溶接した場合の亜鉛蒸気起因の溶融金属の爆飛およ
び溶接部欠陥の発生を大幅に低減でき、溶接ビード形状
や品質に優れた溶接金属が得られる。
【0024】上記本発明において、亜鉛蒸気起因の溶融
金属の爆飛や溶接部欠陥の発生を低減するために、特
に、第1レーザービーム7と第2レーザービーム10の
ビーム中心間距離(L)、第1レーザービーム7と第2
レーザービーム10のそれぞれのビーム直径(D1、D
2)および平均エネルギー密度(E1、E2)が重要な
条件となる。
【0025】図2に第1レーザービーム7と第2レーザ
ービーム10のビーム中心間距離(L)とそれぞれのビ
ーム直径の総和(D1+D2)との比と、溶接時の溶融
金属の爆飛量との関係を示す。
【0026】ここで、溶融金属の爆飛量は、溶接ビード
の単位溶融金属量当たりの爆飛量(爆飛による欠損した
質量)の割合(%)であると定義する。
【0027】先行する第1レーザービーム7と後続の第
2レーザービーム10のビーム中心間距離(L)が第1
レーザービーム7のビーム直径(D1)と第2レーザー
ビーム10のビーム直径(D2)の総和の0.5倍以下
となると、先行する第1レーザービーム7の照射・加熱
により上側亜鉛めっき鋼板1の裏層亜鉛めっき層4およ
び下側亜鉛めっき鋼板2の上層亜鉛めっき層5の中の亜
鉛が十分に蒸発されない前に、高エネルギー密度の第2
レーザービーム10により急激に加熱され亜鉛めっき層
中の亜鉛が一気に蒸発且つ熱膨張するために溶融金属の
爆飛が発生する。一方、第1レーザービーム7と第2レ
ーザービーム10のビーム中心間距離(L)が第1レー
ザービーム7のビーム直径(D1)と第2レーザービー
ム10のビーム直径(D2)の総和の2倍以上となる
と、第1レーザービーム7により形成される溶融部8と
第2レーザービーム10により溶接初期に形成されるキ
ーホール11とが連結したビームホール12が十分に形
成されなくなるため、第1レーザービーム7の照射・加
熱により生成した亜鉛蒸気9をビームホール12を通じ
て溶融金属の外部に効率的に排出することができなくな
り、亜鉛蒸気起因の溶融金属の爆飛や溶接部欠陥を実用
レベルまでに低減できない。
【0028】本発明では、図2から従来の亜鉛めっき鋼
板の重ねレーザー溶接時の溶融金属の爆飛量を100%
とした場合に、それよりも爆飛量を少なくとも20%低
減し、実用レベルでの溶接継ぎ手強度を確保できる爆飛
量が50%未満となる条件を根拠とし、第1レーザービ
ームと第2レーザービームのビーム中心間距離(L)と
第1レーザービームのビーム直径(D1)および第2レ
ーザービームのビーム直径(D2)との関係が下記
(1)式により規定する。 0.56×(D1+D2)<L<1.8×(D1+D2) ・ ・ ・(1)
【0029】さらに、溶接ビードの形状不良を低減し、
溶接後の溶接ビードの後処理がなくても良好な溶接ビー
ドの形状を得るためには、図2の爆飛量が10%以下と
なる条件を根拠とし、第1レーザービームと第2レーザ
ービームのビーム中心間距離(L)と第1レーザービー
ムのビーム直径(D1)および第2レーザービームのビ
ーム直径(D2)との関係が下記(1)’式により規定
することがより好ましい。 0.65×(D1+D2)<L<1.5×(D1+D2)・ ・ ・(1)’
【0030】また、本発明では、第2レーザービーム1
0の平均エネルギー密度(E2)は、通常の重ねレーザ
溶接時の条件である上側亜鉛めっき鋼板1と下側亜鉛め
っき鋼板2を貫通するキーホール11を溶接初期に形成
するために必要な平均エネルギー密度とする。
【0031】また、第1レーザービーム7の平均エネル
ギー密度(E1)は、上側亜鉛めっき鋼板1の全厚と下
側亜鉛めっき鋼板2の少なくとも表層亜鉛めっき層5が
含まれる板厚方向の範囲に溶融部8を形成し、かつ上側
亜鉛めっき鋼板1の裏層亜鉛めっき層4および下側亜鉛
めっき鋼板2の表層亜鉛めっき層5を加熱して亜鉛蒸気
9を十分発生させるために必要な平均エネルギー密度と
なるように調整する必要がある。そのため、第1レーザ
ービーム7の平均エネルギー密度(E1)を、第2レー
ザービーム10の平均エネルギー密度(E2)、上側亜
鉛めっき鋼板1の厚み(t1)および下側亜鉛めっき鋼
板2の厚み(t2)との関係から0.8×t1/(t1
+t2)×E2より大きくする。一方、第1レーザービ
ーム7の平均エネルギー密度(E1)が、1.6×t1
/(t1+t2)×E2以上となると、第1レーザービ
ーム7の平均エネルギー密度(E1)が過剰に大きくな
り上側亜鉛めっき鋼板1の裏層亜鉛めっき層4および下
側亜鉛めっき鋼板2の表層亜鉛めっき層5が急激に加熱
されて亜鉛めっき層中の亜鉛が一気に蒸発且つ熱膨張す
るために溶融金属の爆飛が発生する。したがって、第1
レーザービーム7の平均エネルギー密度(E1)を1.
6×t1/(t1+t2)×E2より小さくする。
【0032】以上の理由から、本発明では、亜鉛めっき
鋼板の重ね合わせ部を少なくとも2つのレーザービーム
を用いて溶接する亜鉛めっき鋼板の重ねレーザー溶接方
法において、第1レーザービームにより接合領域の亜鉛
めっきを加熱・蒸発させた後、後続する第2レーザービ
ーム(10)により前記接合領域を溶接する際に、前記
の第1レーザービームのビーム直径(D1)、第2レー
ザービームのビーム直径(D2)、および第1レーザー
ビームと第2レーザービームのビーム中心間距離(L)
が下記(1)式を満足し、かつ前記第1レーザービーム
の平均エネルギー密度(El)および第2レーザービー
ムの平均エネルギー密度(E2)が下記(2)式を満足
するように調整するものとする。
【0033】 0.56×(D1+D2)<L<1.8×(D1+D2) ・ ・ ・(1) 0.8×t1/(t1+t2)<E1/E2<1.6×t1/(t1+t2) ・ ・ ・(2)
【0034】但し、D1、D2:第1レーザービームお
よび第2レーザービームのそれぞれのビーム直径(m
m)、L:第1レーザービームと第2レーザービームの
ビーム中心間距離(mm)、El、E2:第1レーザー
ビームおよび第2レーザービームのそれぞれの平均エネ
ルギー密度(kW/mm2)、t1、t2:上側の亜鉛
めっき鋼板および下側の亜鉛めっき鋼板のそれぞれの厚
み(mm)、を意味する。
【0035】なお、本発明におけるレーザービームの直
径Dは、焦点距離から計算で求めても、感熱紙などの測
定器具または装置を用いて焦点位置において直接測定し
てもよい。
【0036】また、先行する第1レーザービーム7の直
径(D1)が後続の第2レーザービーム10の直径(D
2)よりも小さい場合には、高エネルギー密度の第2レ
ーザービーム10により直接急激に加熱される領域が生
じ、その領域で亜鉛めっき中の亜鉛が一気に蒸発且つ熱
膨張するため溶融金属の爆飛の発生原因となる。
【0037】したがって本発明では、高エネルギー密度
の第2レーザービーム10による直接急激加熱による溶
融金属の爆飛の発生を抑制するために第1レーザービー
ム7のビーム直径(D1)および第2レーザービーム1
0のビーム直径(D2)がD1(mm)≧D2(mm)
の関係を満足するようにする。
【0038】また、溶接用の高エネルギー密度の第2レ
ーザービーム10の波長は、その波長が1.1(μm)
を超える、これより長い波長(例えば、炭酸ガスレーザ
ーなど)のレーザーは、キーホール形成等の適正な溶接
条件を得るための制御範囲が狭く、制御性が難しい。し
たがって、本発明では、キーホール形成等の適正な溶接
条件におけるレーザー発振器の制御性よび安定性の観点
から少なくとも第2レーザービーム10の波長を1.1
(μm)以下とする。
【0039】なお、本発明の波長が1.1(μm)以下
のレーザービームとしては、例えば、YAGレーザーや
半導体レーザー等のレーザー発振器からのレーザービー
ムが挙げられるが、本発明では、これらのレーザー発振
器からのレーザービームを限定する必要はない。
【0040】以上のように、本発明では、先行する低エ
ネルギー密度の第1レーザービーム7により接合領域の
亜鉛めっき中の亜鉛を加熱・蒸発させた後、後続する高
エネルギー密度の第2レーザービーム10により前記接
合領域を溶接する際に、第1レーザービーム7と第2レ
ーザービーム10のビーム中心間距離(L)、第1レー
ザービーム7と第2レーザービーム10のそれぞれのビ
ーム直径(D1、D2)およびエネルギー密度(E1、
E2)、さらには少なくとも第2レーザービーム10の
波長を上記のように規定することにより、亜鉛めっき鋼
板の重ね合わせ部が密着している(隙間がない)状態で
溶接した場合にも溶接時の溶融金属の爆飛量を従来に比
べて大幅に低減できる。
【0041】さらに、本発明では、図1に示すように第
2レーザービーム10の溶接時に溶融プ−ル16(溶融
金属)の周囲の熱影響部の表層亜鉛めっき層中の亜鉛が
蒸発した後、その亜鉛蒸気17が溶融金属中に混入して
凝固することで形成される溶接ビード18中のブローホ
ール19やピット20等のポロシティ(溶接欠陥)の発
生を防止するために、前述のように第1レーザービーム
7と第2レーザービーム10を用いて溶接した後、さら
に後続する低エネルギー密度の第3レーザービーム15
により溶融・凝固前または凝固後の溶接部を再加熱し
て、溶融金属中または凝固後の溶接ビード18中に存在
するブローホール19やピット20を熱拡散・離散した
り、一部溶解することにより溶接ビード17中の欠陥の
低減および表面形状の平滑化をおこなう。
【0042】この場合、溶接部の再加熱用として用いる
低エネルギー密度の第3レーザービーム15のビーム直
径D3が先行する溶接用として用いる高エネルギー密度
の第2レーザービーム10のビーム直径D2以上の場合
には、第3レーザービーム15の照射・加熱により上側
亜鉛めっき鋼板1の熱影響部の表層亜鉛めっき層3から
新たに亜鉛蒸気17が発生し溶融金属中に巻き込むこと
により、新たにブローホール19やピット20等の溶接
欠陥が発生する原因となる。したがって、このような第
3レーザービーム15の照射に起因する新たなブローホ
ール19やビット20等の溶接欠陥の発生を抑制し、溶
接欠陥の少なくかつ溶接ビード形状に優れた溶接ビード
を得るために、第2レーザービームのビーム直径(D
2)と第3のレーザービームのビーム直径(D3)がD
2(mm)>D3(mm)の関係を満足するようにす
る。
【0043】本発明の第1レーザービーム7および第2
レーザービーム10の2つのレーザービーム、または、
これらのレーザービーム7と第3レーザービーム10と
の3つのレーザービーム15は、それぞれ、個別のレー
ザー発振器から出力されたレーザービームを用いても、
1台の発振器から出力されたレーザービームを2つまた
は3つのレーザービームに分割して用いても上述した本
発明のビード形状および品質の点からは同様な効果が得
られる。
【0044】しかし、複数台のレーザー発振器を用いる
場合は、溶接装置の製造コストが高くなり経済的に不利
であるとともに、レーザーヘッドが複数となり大きくな
るために複雑な形状の構造物を溶接する際には適さな
い。したがって、このような経済性および溶接作業性の
観点から1台のレーザー発振器から出力されたレーザー
ビームを2つまたは3つのレーザービームに分割して、
1つのレーザーヘッドから2つまたは3つのレーザービ
ームを照射する方法が好ましい。
【0045】なお、本発明において、1台のレーザー発
振器から出力されたレーザービームを2つまたは3つの
レーザービームに分割する方法は特に規定する必要はな
いが、例えば、1つのレーザービームの一部を1つまた
は2つのプリズムを用いて2分割または3分割し、その
後、シリンダーレンズなどによりビーム形状の制御、集
光レンズによる焦点位置の制御をおこなうことができ
る。
【0046】ここで、1つのレーザービームをプリズム
等により複数のレーザービームに分割した場合、レーザ
ービームのエネルギー分布は元のレーザービームに比べ
て非対称分布となるが、焦点位置でのレーザービームの
直径は、元のレーザービームとほぼ同等になる。一方、
レーザービームを分割後、さらにシリンダーレンズなど
によってビーム形状を変えた場合の焦点位置でのレーザ
ービームの直径は、本発明では、長軸と短軸の平均とし
て求められる直径と定義する。
【0047】
【実施例】以下の実施例により本発明の効果を説明す
る。
【0048】(実施例1)HAAS社製最大出力4kW
のYAGレーザー発振器(波長:1.06μm)と、同
社のTwin Beamヘッドを用いた。
【0049】図3に示すように、YAGレーザー発振器
から出力されたレーザービーム22は、その一部を1つ
のプリズム23により分割され、さらに、集光レンズ2
4により集光されて2枚の亜鉛めっき鋼板27a、27
bに照射され、溶接方向32に沿って先行する第1レー
ザービーム25と後続の第2レーザービーム26(溶接
用ビーム)を形成する。なお、図3の31に第1レーザ
ービーム25と後続の第2レーザービーム26の焦点位
置基準位置(上側の亜鉛めっき鋼板27aの表面)での
それぞれのビーム形状の一例を示す。2枚の板厚:0.
7mm、亜鉛めっき目付け量:60g/m2の亜鉛メッ
キ鋼板27a、27bを用いて、それらの重ね合わせ部
が密着した(隙間がない)状態で溶接速度:3.0m/
minで重ねレーザー溶接をおこなった。第2レーザー
ビーム26のエネルギー密度は、溶接速度:3.0m/
minにおいて第2レーザービーム26単独で重ね溶接
した場合に、2枚の亜鉛めっき鋼板27a、27bを十
分に貫通できるように予め調整した。本発明法と従来法
での効果の違いを比較するために、先行する第1レーザ
ービーム25と後続の第2レーザービーム26のツイン
ビームで本発明の範囲内の溶接条件(本発明例)と本発
明の範囲から外れる溶接条件(比較例)でそれぞれ重ね
レーザー溶接をおこなった。さらに従来技術の比較例と
して、第2レーザービーム26単独のシングルビームで
も同様に重ねレーザー溶接をおこなった。表1に本発明
例および比較例の溶接条件およびを溶融金属の爆飛量の
評価結果を示す。
【0050】なお、表中の溶融金属の爆飛量は、溶接ビ
ードの単位溶融金属量当たりの爆飛量(爆飛による欠損
した量)の割合(%)で評価し、その値が100%の場
合を“多”、50%以下の場合を“少”、10%以下の
場合を“極少”と3段階評価した。また、表中の焦点位
置は、集光距離(図3中の28):200mmにおい
て、上側の亜鉛めっき鋼板27aの表面を基準位置(0
mm)(図3中の29)とし、それより上方を+、下方
を−の距離で示した。また、表中のTwinビーム間距
離は、第1レーザービーム25と第2レーザービーム2
6の焦点位置基準点(上側の亜鉛めっき鋼板27aの表
面)でのそれぞれのビーム中心部間の距離(図3中の3
0)である。また、表中のビーム直径(mm)は、長軸
と短軸の平均として求められる直径を示す。
【0051】
【表1】
【0052】表1から明らかなように第1レーザービー
ムと第2レーザービームのビーム中心間距離(L)、第
1レーザービームと第2レーザービームのそれぞれのビ
ーム直径(D1、D2)および平均エネルギー密度(E
1、E2)が本発明で規定する関係を満たしている本発
明例1〜2では、溶接金属の爆飛量は、実用レベルまで
に低減することができた。
【0053】一方、従来のシングルビーム溶接を行った
比較例1〜3、第1レーザービームと第2レーザービー
ムのビーム中心間距離(L)とそれらのビーム直径(D
1、D2)の条件が本発明で規定する範囲から外れてい
る比較例4〜8、第1レーザービームと第2レーザービ
ームの平均エネルギー密度(E1、E2)の条件が本発
明で規定する範囲から外れている比較例9〜10は、何
れも溶接金属の爆飛量は多く、溶接ビード形状の不良が
発生した。
【0054】(実施例2)HAAS社製最大出力4kW
のYAGレーザー発振器(波長:1.06μm)と、同
社のTriple Beamヘッドを用いた。
【0055】図4に示すように、YAGレーザー発振器
から出力されたレーザービーム33は、その一部をプリ
ズム34a、34bにより分割され、分割されたビーム
はシリンダーレンズ35a、35bにより偏向後、3つ
の各ビームは、集光レンズ36により集光されて、2枚
の亜鉛めっき鋼板40a、40bに照射され、溶接方向
46に沿って先行する第1レーザービーム37と後続の
第2レーザービーム38(溶接用ビーム)、さらに後続
の第3レーザービーム39(再熱用ビーム)を形成す
る。なお、図4の45に先行する第1レーザービーム3
7と後続の第2レーザービーム38、さらに後続の第3
レーザービーム39の焦点位置基準点(上側の亜鉛めっ
き鋼板40aの表面)でのそれぞれのビーム形状の一例
を示す。2枚の板厚:0.7mm、亜鉛めっき目付け
量:60g/m2の亜鉛メッキ鋼板40a、40bを用
いて、それらの重ね合わせ部が密着した(隙間がない)
状態で溶接速度:2.0m/minで重ねレーザー溶接
をおこなった。第2レーザービーム38のエネルギー密
度は、溶接速度:2.0m/minにおいて第2レーザ
ービーム38単独で重ね溶接した場合に、2枚の亜鉛め
っき鋼板40a、40bを十分に貫通できるように予め
調整した。本発明法と従来法での効果の違いを比較する
ために、先行する第1レーザービーム37と後続の第2
レーザービーム38のツインビームで本発明の範囲内の
溶接条件(本発明例)と本発明の範囲から外れる溶接条
件(比較例)でそれぞれ重ねレーザー溶接をおこなっ
た。さらに発明例として先行する第1レーザービーム3
7と後続の第2レーザービーム38(溶接用ビーム)に
よる溶接後に、さらに溶接部の再熱用として第3レーザ
ービーム39により再加熱するトリプルビームによる重
ねレーザー溶接を同様におこなった。表2に本発明例お
よび比較例の溶接条件およびを溶融金属の爆飛量および
溶接ビード中のポロシチィ個数の評価結果を示す。
【0056】なお、表中の溶融金属の爆飛量は、単位溶
接ビード当たりの爆飛量(爆飛による欠損した量)の割
合(%)で評価し、その値が100%の場合を“多”、
50%以下の場合を“少”、10%以下の場合を“極
少”と3段階評価した。また、溶接ビード中のポロシチ
ィ個数は、単位溶接線(溶接ビードの幅中央部を通る
線)長さ当たりのポロシチィ(ブローホールやピットな
どの溶接部欠陥)長さ(ポロシチィが溶接線を分断する
線分の長さ)の割合(%)で評価し、その値が50%超
の場合を“多”、50%以下の場合を“少”、10%以
下の場合を“極少”と3段階評価した。
【0057】また、表中の焦点位置は、集光距離(図4
中の41):200mmにおいて、上側の亜鉛めっき鋼
板40aの表面を基準(0mm)(図4中の42)と
し、それより上方を+、下方を−の距離で示した。ま
た、表中のTripleビーム間距離において、第1レ
ーザービーム37と第2レーザービーム38の焦点位置
基準点(上側の亜鉛めっき鋼板40aの表面)でのそれ
ぞれのビーム中心部間の距離(図4中の43)、第2レ
ーザービーム38と第3レーザービーム39の焦点位置
基準位置(上側の亜鉛めっき鋼板40aの表面)でのそ
れぞれのビーム中心部間の距離(図4中の44)であ
る。また、表中のビーム直径(mm)は、長軸と短軸の
平均として求められる直径を示す。
【0058】
【表2】
【0059】表2から明らかなように第1レーザービー
ムと第2レーザービームのビーム中心間距離(L)、第
1レーザービームと第2レーザービームのそれぞれのビ
ーム直径(D1、D2)および平均エネルギー密度(E
1、E2)が本発明で規定する関係を満たしている本発
明例1〜2では、溶接金属の爆飛量および溶接ビード中
の溶接欠陥(ポロシティ)は、実用レベルまでに低減す
ることができた。特に、第1レーザービームと第2レー
ザービームによる発明例1のツインビーム溶接に比べ
て、これらの溶接後に第3レーザービームにより溶接部
を再加熱する発明例2のトリプルビーム溶接では、溶接
ビード中の溶接欠陥(ポロシティ)をさらに低減するこ
とができた。
【0060】一方、第1レーザービームと第2レーザー
ビームのビーム中心間距離(L)とそれらのビーム直径
(D1、D2)の条件が本発明で規定する範囲から外れ
ている比較例1は、溶接金属の爆飛量および溶接ビード
中の溶接欠陥(ポロシティ)は多く、溶接ビード形状お
よび品質の不良が発生した。
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、亜鉛メッキ鋼板の重ね
レーザー溶接において、溶接時に重ね合わせ部が密着し
た状態で溶接しなければならない場合でも従来に比べて
大幅に溶融金属の爆飛および溶接欠陥(ポロシティ)を
低減できとともに、溶接継ぎ手強度などの機械的特性を
向上させることができ、特に自動車産業分野においては
利するところ甚大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の亜鉛めっき鋼板の重ね溶接方法におけ
る溶融金属の爆飛およびポロシティ低減のメカニズムを
説明するための概念図である。
【図2】第1および第2レーザービームのそれぞれのビ
ーム中心間距離(L)とそれぞれのビーム直径の総和
(D1+D2)との比と、溶融金属の爆飛量との関係を
示すグラフである。
【図3】本発明の実施形態の一例であるツインビーム溶
接方法の概念図である。
【図4】本発明の実施形態の一例であるトリプルビーム
溶接方法の概念図である。
【符号の説明】
1 上側亜鉛めっき鋼板 2 下側亜鉛めっき鋼板 3 上側亜鉛めっき鋼板の表層亜鉛めっき層 4 上側亜鉛めっき鋼板の裏層亜鉛めっき層 5 下側亜鉛めっき鋼板の表層亜鉛めっき層 6 下側亜鉛めっき鋼板の裏層亜鉛めっき層 7 第1レーザービーム 8 第1レーザービームによる溶融部 9 重ね面で発生した亜鉛蒸気 10 第2レーザービーム(溶接用ビーム) 11 第2レーザービームによるキーホール 12 ビームホール 13 亜鉛蒸気の上方離散ルート 14 亜鉛蒸気の下方離散ルート 15 第3レーザービーム(再加熱用ビーム) 16 溶融プール 17 熱影響部の鋼板表面から発生した亜鉛蒸気 18 溶接ビード 19 ブローホール(ポロシティの一形態) 20 ピット(ポロシティの一形態) 21 溶接方向 22 レーザービーム 23 プリズム 24 集光レンズ 25 第1レーザービーム 26 第2レーザービーム(溶接用ビーム) 27a 上側亜鉛めっき鋼板 27b 下側亜鉛めっき鋼板 28 集光距離 29 焦点位置の基準位置(0mm) 30 ビーム中心間距離(第1ビーム−第2ビーム間) 31 ビーム形状(バンパターン) 32 溶接方向 33 レーザービーム 34a、34b プリズム 35a、35b シリンダ−レンズ 36 集光レンズ 37 第1レーザービーム 38 第2レーザービーム(溶接用ビーム) 39 第3レーザービーム(再熱用ビーム) 40a 上側の亜鉛めっき鋼板 40b 下側の亜鉛めっき鋼板 41 焦光距離 42 焦点位置の基準位置(0mm) 43 ビーム中心間距離(第1ビーム−第2ビーム間) 44 ビーム中心間距離(第2ビーム−第3ビーム間) 45 ビーム形状(バンパターン) 46 溶接方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮崎 康信 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内 (72)発明者 田中 隆 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内 Fターム(参考) 4E068 AA05 AJ04 BF00 CA01 CA07 DA14 DB01 DB15

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛めっき鋼板の重ね合わせ部を少なく
    とも2つのレーザービームを用いて溶接する亜鉛めっき
    鋼板の重ねレーザー溶接方法において、第1レーザービ
    ームにより接合領域の亜鉛めっきを加熱・蒸発させた
    後、後続する第2レーザービームにより前記接合領域を
    溶接する際に、前記の第1レーザービームのビーム直径
    (D1)、第2レーザービームのビーム直径(D2)、
    および第1レーザービームと第2レーザービームのビー
    ム中心間距離(L)が下記(1)式を満足し、かつ前記
    第1レーザービームの平均エネルギー密度(El)およ
    び第2レーザービームの平均エネルギー密度(E2)が
    下記(2)式を満足するように調整することを特徴とす
    る溶接部欠陥の少ない亜鉛めっき鋼板の重ねレーザー溶
    接方法。 0.56×(D1+D2)<L<1.8×(D1+D2) ・ ・ ・(1) 0.8×t1/(t1+t2)<E1/E2<1.6×t1/(t1+t2) ・ ・ ・(2) 但し、D1、D2:第1レーザービームおよび第2レー
    ザービームのそれぞれのビーム直径(mm)、L:第1
    レーザービームと第2レーザービームのビーム中心間距
    離(mm)、El、E2:第1レーザービームおよび第
    2レーザービームのそれぞれの平均エネルギー密度(k
    W/mm2)、t1、t2:上側の亜鉛めっき鋼板およ
    び下側の亜鉛めっき鋼板のそれぞれの厚み(mm)
  2. 【請求項2】 さらに、前記第1レーザービームのビー
    ム直径(D1)および第2レーザービームのビーム直径
    (D2)がD1(mm)≧D2(mm)の関係を満足す
    るように調整することを特徴とする請求項1に記載の溶
    接部欠陥の少ない亜鉛めっき鋼板の重ねレーザー溶接方
    法。
  3. 【請求項3】 少なくとも前記第1レーザービームの波
    長が1.1(μm)以下であることを特徴とする請求項
    1または請求項2に記載の溶接部欠陥の少ない亜鉛めっ
    き鋼板の重ねレーザー溶接方法。
  4. 【請求項4】 前記第1レーザービームおよび前記第2
    レーザービームは、1台のレーザー発振器から出力され
    たレーザービームを2分割してなることを特徴とする請
    求項1から請求項3のうちの何れか1項に記載の溶接部
    欠陥の少ない亜鉛めっき鋼板の重ねレーザー溶接方法。
  5. 【請求項5】 前記第1レーザービームと前記第2レー
    ザービームにより溶接した後、さらに後続する第3のレ
    ーザービームにより溶接部を再加熱することを特徴とす
    る請求項1から請求項4のうちの何れか1項に記載の溶
    接部欠陥の少ない亜鉛めっき鋼板の重ねレーザー溶接方
    法。
  6. 【請求項6】 前記第2レーザービームのビーム直径
    (D2)と前記第3のレーザービームのビーム直径(D
    3)がD2(mm)>D3(mm)の関係を満足するよ
    うに調整することを特徴とする請求項5に記載の溶接部
    欠陥の少ない亜鉛めっき鋼板の重ねレーザー溶接方法。
  7. 【請求項7】 前記第1レーザービーム、前記第2レー
    ザービームおよび前記第3レーザービームは、1台のレ
    ーザー発振器から出力されたレーザービームを3分割し
    てなることを特徴とする請求項5または請求項6に記載
    の溶接部欠陥の少ない亜鉛めっき鋼板の重ねレーザー溶
    接方法。
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