JP2018108602A - 重ねレーザスポット溶接継手および該溶接継手の製造方法 - Google Patents

重ねレーザスポット溶接継手および該溶接継手の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高接合強度を得ると共に、溶接欠陥の発生を防止した重ねレーザスポット溶接継手および該溶接継手の製造方法を提供する。
【解決手段】積層された複数の鋼板2、3と、複数の鋼板2、3のうちの少なくとも1つの鋼板を貫通し、複数の鋼板2、3夫々を接合する溶融部4と、を備え、複数の鋼板2、3の総板厚Tが2mm≦T≦4mmであり、複数の鋼板2、3の総板隙GがG≦8/Tであり、複数の鋼板2、3の最外層表面上の溶融部4の最小厚みaの値が0.50≦a/(T+G)≦0.80を満たし、複数の鋼板2、3の最外層表面上の溶融部4の表面は楕円形状を有し、楕円の短軸Sの長さが2T≦S≦3Tであり、楕円の長軸Lの長さが3T≦L≦4.5Tであり、Lに対するSの比であるS/Lが0.50以上0.80以下である重ねレーザスポット溶接継手1。
【選択図】図1

Description

本発明は、重ねレーザスポット溶接継手および該溶接継手の製造方法に関する。
フランジ部分を持った自動車の構造部材の溶接には、従来、抵抗スポット溶接が行われている。しかし、抵抗スポット溶接には、溶接に時間がかかるという問題、分流のためにピッチを狭くすることができないという問題、さらには溶接機本体による空間的な制約があるという問題等がある。そのため、近年、従来の抵抗スポット溶接の他に、レーザ溶接の検討がなされている。
図9は、従来のレーザ溶接法で溶接した場合の継手の断面図を示す。図9では、複数の鋼板22、23が積層されており、各鋼板22、23表面に溶融部24が形成された従来のレーザ溶接継手21が示されている。このレーザ溶接継手21では、積層する鋼板22、23の板隙間が大きい場合には、図9に示すように溶け落ちが発生し、接合強度が低下する。そこで、生産性を低下させず、高接合強度を確保することが可能なレーザ溶接法の技術が検討されている。
特許文献1では、鉄道車両構体における非長尺面域で重なり合う複数の板部材の相互を、最外面板への溶け込みが貫通または非貫通なようにレーザ溶接した重ねレーザ溶接継手であって、非長尺面域内で、レーザビームを、一重を超える渦巻き線を描くように走査しながら連続照射して、渦巻き線状にレーザ溶接してあることを特徴とする重ねレーザ溶接継手の技術について開示されている。
また、特許文献2では、レーザ発振器からレーザを発振し、レーザを集光レンズによって集束し、積層した複数枚の板に照射して、積層した複数枚の板を溶接するレーザ溶接方法であって、レーザを複数枚の板に照射して、積層した複数の板に溶融池を形成し、溶融池にレーザを照射して溶融池を流動させることで積層した複数枚の板を溶接する、自動車車体等に対するレーザ溶接方法の技術について開示されている。
また、特許文献3では、ガスタービン燃焼器内筒を構成する軸方向並びの複数の内筒リングの各隣接リング嵌合端部を波形板を介し重ね溶接するにあたり、レーザ加工機によるレーザスポット溶接を用い、重ね溶接部のビードパターンを中心から外部へ移行する方形渦巻形状とする、ガスタービン燃焼器のレーザスポット溶接方法の技術について開示されている。
特開2009−154194号公報 特開2012−228715号公報 特開平1−321084号公報
特許文献1〜3に記載の技術等の従来のレーザスポット溶接法で溶接した場合の継手の断面図を図10に示す。図10では、複数の鋼板32、33が積層されており、各鋼板32、33表面に溶融部34が形成された従来のレーザスポット溶接継手31の一例が示されている。
確かに上記の特許文献1〜3に記載の技術では、夫々、レーザにより溶接を行うことで、大きな板隙間であっても接合強度が低下することがない継手が提案されている。
しかしながら、図10に示すように、上記の特許文献1〜3の技術では、高張力鋼板を含む板組みでの溶接時に溶接中央部の最終凝固部等において溶接欠陥が発生してしまうという問題があった。
そこで、本発明では、高接合強度を得ると共に、溶接欠陥の発生を防止した重ねレーザスポット溶接継手および該継手の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、高合金系の高張力鋼板でレーザを用いた中実円形の溶接を行うと、溶融部中央に凝固割れが発生してしまう点に着目した。そして、本発明者らは、鋭意検討の結果、溶接する鋼板の総板厚に応じて、溶融部の長軸と短軸の長さを調整し、その長さを一定の範囲に調整し、さらには総板隙、溶融部の最小厚みを一定の範囲に調整することで、高接合強度を得ると共に、溶接欠陥の発生を防止した重ねレーザスポット溶接継手が得られることを知見した。
本発明は上記の知見に基づいて完成したものであり、その要旨は、以下の通りである。
[1]積層された複数の鋼板と、
前記複数の鋼板のうちの少なくとも1つの鋼板を貫通し、前記複数の鋼板夫々を接合する溶融部と、
を備え、
前記複数の鋼板の総板厚Tが2mm≦T≦4mmであり、
前記複数の鋼板の総板隙GがG≦8/Tであり、
前記複数の鋼板の最外層表面上の前記溶融部の最小厚みaの値が0.50≦a/(T+G)≦0.80を満たし、
前記複数の鋼板の最外層表面上の前記溶接部の表面は楕円形状を有し、
前記楕円形状の短軸Sの長さが2T≦S≦3Tであり、
前記楕円形状の長軸Lの長さが3T≦L≦4.5Tであり、
前記Lに対する前記Sの比であるS/Lが0.50以上0.80以下である重ねレーザスポット溶接継手。
[2]前記複数の鋼板のうち少なくとも1つの鋼板は、
質量%で、
C:0.07%超え0.25%以下、
P+S:0.03%未満、
Mn:1.8%以上3.0%以下、
Si:1.2%超え1.8%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、
引張強さTSが980MPa以上である前記[1]に記載の重ねレーザスポット溶接継手。
[3]前記[1]または[2]に記載の重ねレーザスポット溶接継手の製造方法であり、
複数の鋼板を積層し、
各鋼板に楕円状の溶融部を形成するように、最外層の鋼板表面に渦巻き状または一重を超える楕円状にレーザを照射するレーザスポット溶接を行うことで継手を得る工程を含む重ねレーザスポット溶接継手の製造方法。
ここで、上記の総板隙Gとは、溶接前の上記複数枚の鋼板の最外層表面から最外層裏面までの距離から総板厚Tを差し引いた値のことを指し、各鋼板は平行に配置されていると仮定し、溶接前にノギスで調査することにより測定できる。
また、上記の最小厚みaは、上記溶融部で最も板厚方向の厚みが薄い部分の厚みを指し、三次元形状測定機により上記複数枚の鋼板の最外層表面と溶接部表面の凹凸(高低差b)および上記複数枚の鋼板の最外層裏面と溶接部裏面の凹凸(高低差c)を測定することにより評価できる(図6参照)。
本発明によれば、高接合強度を得ると共に、溶接欠陥の発生を防止することができる。
本発明の重ねレーザスポット溶接継手の一例を示す図である。 本発明の重ねレーザスポット溶接継手の一例を示す図である。 (A)は従来の重ねレーザスポット溶接継手の溶融部を説明するための図であり、(B)は本発明の重ねレーザスポット溶接継手の溶融部を説明するための図である。 本発明の重ねレーザスポット溶接継手の溶融部を説明するための図である。 図4のA−A断面図である。 本発明のG、T、aを説明するための図である。 本発明の重ねレーザスポット溶接継手の溶接方法を説明するための図である。 本発明の重ねレーザスポット溶接継手の溶融部の位置を説明するための図である。 従来の重ねレーザ溶接法で溶接した場合の継手の断面図を示す。 従来の重ねレーザスポット溶接法で溶接した場合の継手の断面図を示す。
以下、本発明について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施形態によって本発明が限定されるものではない。
<重ねレーザスポット溶接継手>
図1および図2は、夫々、本発明の重ねレーザスポット溶接継手1の一例を示す図である。図1および図2では、本発明の重ねレーザスポット溶接継手1を適用する部品の例として、断面形状が略ハット形状のフレーム部品のフランジ部と、該フランジ部に対向して配置される他のフレーム部品またはパネル部品とが溶接されて閉断面を構成する自動車用骨格部品を示す。以下では、本発明の重ねレーザスポット溶接継手1としては、このようなフランジ部とフレーム部品またはパネル部品とが溶接されたものを含め、鋼板2、3が積層されたものという表現を用いて説明する。また、以下では、本発明の重ねレーザスポット溶接継手1としては、2枚の鋼板2、3が積層される場合を例に説明するが、3枚以上の鋼板が積層されていてもよい。
以下では、2枚の鋼板が積層される場合について説明する。図1および図2に示すように、本発明の重ねレーザスポット溶接継手1は、複数の鋼板2、3が積層されており、複数の鋼板2、3のうちの少なくとも1つは鋼板を貫通し、複数の鋼板2、3を接合する溶融部4が形成されており、溶融部4の表面の寸法が特定の範囲に調整されていることを特徴とする。具体的には、まず、本発明の重ねレーザスポット溶接継手1では、積層される複数の鋼板2、3の総板厚Tが2mm≦T≦4mmであり、総板隙GがG≦T/8である。また、上記の溶融部4については、最小厚みaの値が0.50≦a/(T+G)≦0.80であり、複数の鋼板2、3の最外層表面上の溶融部4表面は楕円形状を有する。そして、この楕円については、短軸Sが2T≦S≦3Tであり、長軸Lが3T≦L≦4.5Tであり、Lに対するSの比であるS/Lが0.50以上0.80以下である。このような構成であるため、高接合強度を得ると共に、溶接欠陥の発生を防止することができる。なお、本発明でいう、高接合強度とは、L字に曲げた鋼板同士を図2のように重ね合わせて溶接を行い、両側から引張荷重を負荷するL字引張試験に基づいた剥離強度が4.0kN以上であることを指す。
[複数の鋼板]
本発明の重ねレーザスポット溶接継手1では、複数の鋼板2、3が積層されている。この複数の鋼板2、3については、少なくとも1つの鋼板の引張強さTSが980MPa以上であっても、重ねレーザスポット溶接継手1は、高接合強度を得ると共に、溶接欠陥の発生を防止することができる。そのため、本発明の重ねレーザスポット溶接継手1では、複数の鋼板2、3のうち少なくとも1つの鋼板は、引張強さTSが980MPa以上である高張力鋼板であることが好ましい。なお、複数の鋼板は、同種、同形状の鋼板であってもよいし、異種、異形状の鋼板であってもよい。
さらに、本発明の重ねレーザスポット溶接継手1の鋼板は、たとえば、質量%で、C:0.07%超え0.25%以下、P+S:0.03%未満、Mn:1.8%以上3.0%以下、Si:1.2%超え1.8%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成を有するものとすることができる。以下、各成分組成における%とは、質量%のことを指す。
(C:0.07%超え0.25%以下)
C含有量が0.07%以下であると、析出強化の効果を得ることができなくなる場合がある。一方、C含有量が0.25%超えであると、粗大な炭化物の析出を招き、所望の高強度、加工性を確保できなくなる場合がある。そのため、C含有量は0.07%超え0.25%以下とすることが好ましい。
(P+S:0.03%未満)
P含有量とS含有量の合計量(P+S)が0.03%以上であると、延性、靱性が低下し、所望の高強度、加工性を確保できなくなる場合がある。そのため、P含有量とS含有量の合計量(P+S)は0.03%未満とすることが好ましい。
(Mn:1.8%以上3.0%以下)
Mn含有量が1.8%未満であると、十分な焼入れ性が確保できず粗大な炭化物が析出してしまう場合がある。一方、Mn含有量が3.0%超えであると、粒界脆化感受性が増加して靱性、耐低温割れ性が劣化する場合がある。そのため、Mn含有量は1.8%以上3.0%以下とすることが好ましい。Mn含有量は2.5%以下であることがより好ましい。
(Si:1.2%超え1.8%以下)
Si含有量が1.2%以下であると、固溶して鋼の強度を増加させる効果が十分に得られない場合がある。一方、Si含有量が1.8%超えであると、溶接熱影響部の硬化が大きくなり、溶接熱影響部の靱性、耐低温割れ性が劣化する場合がある。そのため、Si含有量は1.2%超え1.8%以下とすることが好ましい。Si含有量は1.5%以下であることがより好ましい。
(残部Feおよび不可避的不純物)
上記成分組成以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としては、Al:0.015〜0.050%、N:0.002〜0.005%等が挙げられる。
[溶融部]
本発明の重ねレーザスポット溶接継手1では、鋼板2、3のうちの少なくとも1つの鋼板を貫通し、鋼板2、3夫々を接合する溶融部4が形成される。図3(A)は従来の重ねレーザスポット溶接継手の溶融部14を説明するための図であり、図3(B)は本発明の重ねレーザスポット溶接継手1の溶融部4を説明するための図である。また、図4は、本発明の重ねレーザスポット溶接継手1の溶融部4を説明するための図であり、図5は、図4のA−A断面図である。また、図6は本発明のG、T、aを説明するための図である。
図3(A)に示すように、重ねレーザスポット溶接継手の溶融部14の表面形状が円形の場合、溶融部14の最終凝固部となる中心部15に溶融部外周側からの引張応力(図3(A)中、矢印Fa方向の力)が集中してかかり、凝固割れが発生し、溶接欠陥が発生することがある。
これに対し、本発明では、図3(B)に示すように、溶融部4の表面形状が特定の楕円形状であるため、溶融部4外周側からの引張応力(図3(B)中、矢印Fb方向の力)を中心部5一箇所に集中させずに分散させることができ、凝固割れの発生を抑制し、溶接欠陥の発生を防止することができる。なお、レーザを外周から中心部5に向かって照射して溶接する場合のみならず、レーザを中心部5から外周に向かって照射して溶接する場合も、溶融部4の外周側の金属から冷却されていくため、中心部5が最終凝固部になる。
このような技術思想のもと、本発明の重ねレーザスポット溶接継手1では、複数の鋼板2、3の総板厚Tを2mm≦T≦4mmとし、板隙(総板隙)GがT/8以下であり、図4に示す溶融部4は、最小厚みaの値が0.50≦a/(T+G)≦0.80であり、表面が楕円形状を有すること、この楕円は、短軸Sが2T≦S≦3Tであること、長軸Lが3T≦L≦4.5Tであること、S/Lが0.50以上0.80以下であることを特徴とする。これにより、図5に示すように、本発明の重ねレーザスポット溶接継手1では、鋼板2、3間に大きな板隙間が存在しても高接合強度を得ると共に、溶融部4の溶接欠陥の発生を防止することができる。
(総板厚T:2mm≦T≦4mm)
総板厚Tが2mm未満であると溶融金属量が少なく、溶接部表面の凹凸が大きくなってしまう。一方、総板厚Tが4mmより大きいと、溶接金属量が多く、溶落ちが発生しやすくなる。よって、本発明では、総板厚Tは2mm≦T≦4mmとする。
(板隙(総板隙)G:G≦T/8)
板隙GがT/8より大きいと、溶け落ちが発生する。よって、本発明では、板隙(総板隙)G≦T/8とする。
ここで、上記の板隙Gとは、溶接前の複数枚(本実施形態では2枚)の鋼板の最外層表面から最外層裏面までの距離から総板厚Tを差し引いた値のことを指し、各鋼板は平行に配置されていると仮定し、溶接前にノギスで調査することにより測定できる。
((鋼板の最外層表面上の)溶融部の最小厚みa:0.50≦a/(T+G)≦0.80)
a/(T+G)が0.80より大きいと、スパッタとしての板厚減少があるため、a/(T+G)は0.80以下とする。また、a/(T+G)が0.50よりも小さいと継手強度が低下する。そのため、a/(T+G)は0.50以上とする。
ここで、上記の最小厚みaは、上記溶接部で最も板厚方向の厚みが薄い部分の厚みを指し、三次元形状測定機により上記複数枚の鋼板の最外層表面と溶接部表面の凹凸(高低差b)および上記複数枚の鋼板の最外層裏面と溶接部裏面の凹凸(高低差c)を測定することにより評価できる(図6参照)。
(短軸S:2T≦S≦3T)
楕円の短軸Sの長さが2T未満であると、溶融金属が足りず、溶接欠陥が発生しやすくなる。すなわち、レーザ溶接において、溶接開始時にスパッタとして多くの溶融金属が失われてしまうため、溶融部4の面積が小さい場合には、溶融池の溶融金属が足りず、溶接欠陥が発生しやすくなる。一方、短軸Sの長さが3T超えであると、溶融金属量が多くなり、溶け落ちが発生する。そのため、短軸Sの長さは2T以上3T以下とする。
(長軸L:3T≦L≦4.5T)
楕円の長軸Lの長さが3T未満であると、溶融金属が足りず、溶接欠陥が発生しやすくなる。一方、長軸Lの長さが4.5Tを超えると、溶け落ちが発生する。そのため、長軸Lの長さは3T以上4.5T以下とする。
(S/L:0.50以上0.80以下)
上記の長軸Lに対する短軸Sの比(S/L)が0.50未満であると、溶融部4の表面形状が細長くなり過ぎ、溶融部4の長軸方向に沿って溶接欠陥が発生する。一方、S/Lが0.80超えであると、溶融部4が円形に近くなることで、溶融部4中央に点状の溶接欠陥が発生する。このような溶接欠陥は外観不良ともなる。そのため、S/Lは0.50以上0.80以下とする。好ましくは、S/Lは0.60以上である。また、好ましくは、S/Lは0.70以下である。
<重ねレーザスポット溶接継手の製造方法>
次に、上述した本発明の重ねレーザスポット溶接継手1の製造方法について説明する。図7は、本発明の重ねレーザスポット溶接継手1の溶接方法を説明するための図である。図7に示すように、本発明の重ねレーザスポット溶接継手1は、複数の鋼板2、3を積層し、鋼板2、3に溶融部4を形成するように、最外層の鋼板2表面に渦巻き状または一重を超える楕円状にレーザビームLを照射するレーザスポット溶接を行うことで継手を得る工程を含む。鋼板2、3は、たとえば前述した成分組成を有し、引張強さTSが980MPa以上である。
上記のレーザスポット溶接は、レーザビームLを、渦巻き線、または一重を超える楕円を描くように走査しながら連続照射する。図6では渦巻き線の場合のみを例に示した。この場合、楕円の中心を溶接してから、外周部に向けて渦巻き状にレーザビームLを照射することが、中心部5(図3(B)再参照)への過剰な熱伝導を防ぎ、溶け落ちを防止するため、好ましい。
レーザビームとしては、ファイバーレーザ、ディスクレーザ等を用いることができ、たとえば、ビーム径:0.4〜1.2mm、レーザ出力:2.0〜5.0kW、焦点位置:鋼板最外層表面上〜鋼板最外層表面から30mm上方、溶接速度:2.0〜5.0m/minとすることができる。
このような製造条件により、複数の鋼板2、3の総板厚Tが2mm≦T≦4mmであり、総板隙GがG≦T/8であり、溶融部4の最小厚みaの値が0.50≦a/(T+G)≦0.80を満たし、溶融部4の表面の楕円形状について、短軸Sが2T≦S≦3Tであり、長軸Lが3T≦L≦4.5Tであり、S/Lが0.50以上0.80以下である重ねレーザスポット溶接継手を得ることができる。
次に、図8を参照しながら、本発明の重ねレーザスポット溶接継手における好適な溶接位置について説明する。図8は、本発明の重ねレーザスポット溶接継手1の溶融部4の位置を説明するための図である。図8(A)は、2つの鋼板2、3の組み合わせを示す上面図であり、図8(B)は、図8(A)のB−B断面図である。なお、図8の説明では、2つの鋼板2、3を、それぞれフランジ部と他のフレーム部品またはパネル部品とも記す。
図8(A)、(B)に示すように、フランジ部と他のフレーム部品またはパネル部品との接触位置の端部の位置座標を0とし、フランジ部のフランジ外端側を(−)、略ハット形状(図中では、一部の形状のみを示す。)における縦壁側を(+)とした座標系で表し、略ハット形状のフレーム部品の板厚をt(mm)とする。このとき、下記式(1)で表される溶接位置Xで片側溶接方法を適用し、溶接を行うことで、図1、図2に示したような、総板厚が2〜4mmであり、二枚重ねでフランジ長さ50mmのL字引張試験片の剥離強度を4.0kN以上にすることができる。
−2t≧X≧−4t ・・・(1)
Xを上式のように設定した理由は以下の通りである。
溶接位置Xを−2tよりもフランジ接触端部に近づけると、引張試験の際に溶接金属部より破断しやすくなり、剥離強度も低くなる場合がある。一方、溶接位置Xを−4tよりもフランジ接触端部から遠ざけると、溶融部にかかるモーメントが大きくなりやすく、剥離強度が低くなる場合がある。そのため、溶接位置Xは、上式(1)のように設定することが好ましい。
以上説明したように、本発明によれば、大きい板隙間であっても接合強度が低下することなく、また高張力鋼板を含む積層した鋼板の表裏面に溶接欠陥が発生することのないレーザスポット溶接継手を得ることができる。このような継手を用いることにより、剛性の高い自動車用骨格部品等を得ることができる。
そして、前述したように、本発明の重ねレーザスポット溶接継手1を適用する部品の例としては、断面形状が略ハット形状のフレーム部品のフランジ部と、該フランジ部に対向して配置される他のフレーム部品またはパネル部品とが溶接されて閉断面を構成する自動車用骨格部品を図1、図2に示す。
以下、実施例に基づき、本発明について説明する。
引張強さが980MPaクラス、1180MPaクラス、板厚が1.2mm、1.6mm、2.0mmの50mm幅の鋼板を用い、図8に示すとおりL字の断面形状に曲げ加工を施した。同じ鋼種・同じ板厚のL字の鋼板を2枚重ね合わせた後、フランジの重ね合わせ部分の長手方向に複数箇所レーザ溶接して、試験片を作製した。板隙間は0.4mmとした。上記の980MPaクラスの鋼板は、成分組成として、質量%で、C:0.13%、P:0.015%、S:0.002%、Mn:2.2%、Si:1.40%を有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、1180MPaクラスの鋼板は、成分組成として、質量%で、C:0.13%、Si:1.40%、Mn:2.2%、P:0.012%、S:0.001%を有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる。
このとき、レーザ溶接によりフランジ部を形成する溶接ビードの条件は、表1に示すように、溶接位置座標を、試験片のフランジ部同士の接触位置の端部を0とし、試験片のフランジ外端側を(−)、試験片における縦壁側を(+)とした座標系で表した時の溶接位置X、溶融部表面の短軸S、長軸Lを種々変えて行った。
レーザ溶接にはファイバーレーザを用い、レーザ出力4.5kW、焦点位置のビーム直径を0.6mmφの一定とし、溶接速度、加工点距離を調節し、溶け込みを調整した。なお、溶接は大気中で行った。
表1は、試験片サイズが試験片幅50mm、横壁長さ120mm、フランジ幅30mmの引張試験および外観の判定結果を示す。
なお、引張試験はJIS Z3136に基づき、10mm/minの速度で行い、外観の判定は、三次元形状測定機にて積層した複数枚の鋼板の最外層表面と溶接部表面の凹凸(高低差b)および積層した複数枚の鋼板の最外層裏面と溶接部裏面の凹凸(高低差c)を測定することにより評価した(図6参照)。
また、剥離強度は、L字に曲げた鋼板同士を図2のように重ね合わせて溶接を行い、両側から引張荷重を負荷するL字引張試験にて測定した。剥離強度が4.0kN以上の場合に、高接合強度を有するものとして、合格とした。
また、溶接欠陥は、浸透探傷試験の結果により評価した。
Figure 2018108602
表1に示すように、本発明例の試験片は、剥離強度が4.0kN以上であり、溶接欠陥は発生しなかった。
一方、比較例の試験片のうち、No.2は、短軸Sの長さが2T未満であり、剥離強度が4.0kN未満であり、溶接欠陥が発生した。
また、No.3は、長軸Lの長さが4.5Tを超えており、溶接欠陥が発生した。
また、No.6は、S/Lが0.8を超えており、溶接欠陥が発生した。
また、No.8は、短軸Sの長さが2T未満であり、剥離強度が4.0kN未満であり、溶接欠陥が発生した。
また、No.9は、長軸Lの長さが4.5Tを超えており、溶接欠陥が発生した。
また、No.10は、長軸Lの長さが3T未満であり、S/Lが0.8を超えており、剥離強度が4.0kN未満であり、溶接欠陥が発生した。
また、No.14は、短軸Sの長さが2T未満であり、溶接欠陥が発生した。
また、No.16は、S/Lが0.80を超えており、溶接欠陥が発生した。
また、No.17は、S/Lが0.50未満であり、溶接欠陥が発生した。
また、No.20は、S/Lが0.80を超えており、溶接欠陥が発生した。
また、No.22は、長軸Lの長さが3T未満であり、S/Lが0.80を超えており、剥離強度が4.0kN未満であり、溶接欠陥が発生した。
また、No.24は、S/Lが0.80を超えており、剥離強度が4.0kN未満であり、溶接欠陥が発生した。
また、No.26、28、30、32、34、36は、a/(T+G)が0.50未満であり、剥離強度が4.0kN未満であった。
また、No.25、27、29、31、33、35は、板隙GがT/8を超えており、a/(T+G)が0.50未満であり、剥離強度が4.0kN未満であり、溶接欠陥が発生した。
1、21、31 重ねレーザスポット溶接継手
2、3、22、23、32、33 鋼板
4、14、24、34 溶融部
5、15 中心部
L レーザビーム

Claims (3)

  1. 積層された複数の鋼板と、
    前記複数の鋼板のうちの少なくとも1つの鋼板を貫通し、前記複数の鋼板夫々を接合する溶融部と、
    を備え、
    前記複数の鋼板の総板厚Tが2mm≦T≦4mmであり、
    前記複数の鋼板の総板隙GがG≦T/8であり、
    前記複数の鋼板の最外層表面上の前記溶融部の最小厚みaの値が0.50≦a/(T+G)≦0.80を満たし、
    前記複数の鋼板の最外層表面上の前記溶融部の表面は楕円形状を有し、
    前記楕円の短軸Sの長さが2T≦S≦3Tであり、
    前記楕円の長軸Lの長さが3T≦L≦4.5Tであり、
    前記Lに対する前記Sの比であるS/Lが0.50以上0.80以下である重ねレーザスポット溶接継手。
  2. 前記複数の鋼板のうち少なくとも1つの鋼板は、
    質量%で、
    C:0.07%超え0.25%以下、
    P+S:0.03%未満、
    Mn:1.8%以上3.0%以下、
    Si:1.2%超え1.8%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、
    引張強さTSが980MPa以上である請求項1に記載の重ねレーザスポット溶接継手。
  3. 請求項1または2に記載の重ねレーザスポット溶接継手の製造方法であり、
    複数の鋼板を積層し、
    各鋼板に溶融部を形成するように、最外層の鋼板表面に渦巻き状または一重を超える楕円状にレーザを照射するレーザスポット溶接を行うことで継手を得る工程を含む重ねレーザスポット溶接継手の製造方法。
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