JP6662396B2 - レーザ溶接継手の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザ溶接継手の製造方法、レーザ溶接継手および自動車用骨格部品に関する。
従来、自動車の構造部材の溶接には抵抗スポット溶接が用いられている。しかし、抵抗スポット溶接には、溶接に時間がかかるという問題や分流のためピッチを狭く出来ないという問題、さらには溶接機のガンによる空間的な制約があるという問題がある。そのため、近年、従来のスポット溶接に加えて、重ね合わせた鋼板の表面にレーザビームを照射して鋼板を接合するレーザ溶接の検討が行われてきている。レーザ溶接では、重ね合わせた鋼板の表面にレーザビームを照射して鋼板のレーザビーム照射部位を溶融および凝固させることによってビードが形成されると共に鋼板が接合されてレーザ溶接継手が得られる。しかし、ビードの終端側で割れが発生するという問題があり、割れが発生すると外観が悪くなる。外観が優れていることが求められている自動車の構造部材としては、該割れにより外観が悪くなったレーザ溶接継手は使い難い。また、割れが発生すると、レーザ溶接継手の剥離強度が低くなるという問題もある。
このビード終端側で割れが発生するという問題は、重ね合わせた鋼板の間に隙間がある場合に特に顕著になる。このような重ね合わせた鋼板の間に隙間がある状態でレーザ溶接する方法として、種々の技術が開示されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
特許文献1の方法は、板と板の隙間の小さいほうから大きいほうに向けて溶接を行う方法であり、特殊なクランプ治具が必要な上、あらかじめ決められた溶接経路しか溶接することができないという問題がある。また、外観に関しては検討されていない。
また、特許文献2の方法は、溶接線をラップさせて溶接始終端部を再溶融させることで、溶接外観を向上させる方法であるが、溶接に時間がかかるという問題があり用い難い。
なお、このようなビード終端部に割れが生じて外観が悪くなるという問題は、自動車の構造部材に限らず、その他の用途に用いられるレーザ溶接継手においても同様に存在する。
特許第5125001号 特開2013−215755号公報
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、ビード終端部での割れの発生が抑制され外観が優れたレーザ溶接継手の製造方法、レーザ溶接継手および自動車用骨格部品を提供することを目的とする。
上述したように、特に重ねた鋼板の間に隙間がある鋼板のレーザ溶接では、溶接終端部(ビード終端部)に、割れや欠陥が発生しやすい。本発明者らは上記課題を解決するために検討した。その結果、以下の知見を得た。
溶接終了時は、ビード終端部での割れの発生防止のために、入熱を減らさなければならない。入熱を減らす方法としては、溶接終了時のレーザ出力を減らす方法と溶接速度を上げる方法が考えられる。しかしながら、溶接速度を上げる方法は、スパッタ発生量の増加が考えられる。そこで、溶接終了時のレーザ出力を減らす方法に着目し、ビード終端部での割れの発生防止を検討した。さらには、重ね合わせた鋼板の間に隙間がある場合は、定常時は隙間分(板隙分)のレーザ出力を増加させているので、溶接終了時には隙間分(板隙分)のレーザ出力を減少させる必要がある。
以上を考慮した結果、本発明者らは、2枚の鋼板の板厚、2枚の鋼板の間の隙間の大きさ、レーザ出力、これらの関係を制御する、すなわち、下記式(1)を満たすようにすることにより、ビード終端側での割れの発生が抑制できることを知見し、本発明を完成させた。
0.8((t+t)/(K+t+t))P<P<((t+t)/(K+t+t))P (1)
ただし、aは0.5tと0.5tのうちの小さい方以下であり、K=(t/t)a (単位:mm)である。また、上側の鋼板の板厚をt(mm)、下側の鋼板の板厚をt(mm)、上側の鋼板と下側の鋼板との隙間の大きさをa(mm)、初期溶接および本溶接でのレーザ出力をP(kW)、終期溶接でのレーザ出力をP(kW)とする。
上記式(1)を満たすことで、溶接終了時は溶融部分を小さくしておき、凝固時に溶接欠陥が発生しないように溶融部を安定させる。その結果、ビード終端部での割れの発生を防止する。
さらには、溶接始端部(ビード始端部)において、ビート幅が細くなってしまう場合がある。溶接開始時は、鋼板表面を溶融させるため、入熱増としなければならない。すなわち、鋼板表面を溶かすためにエネルギーが必要なため、溶接が安定しない。その結果、ビード始端部のビート幅が細くなってしまうことがわかった。入熱を増やす方法としては、溶接開始時のレーザ出力を増やす方法と溶接速度を下げる方法が考えられる。しかしながら、レーザ出力を増やす方法は、スパッタ発生量の増加が考えられる。そこで、溶接開始時の溶接速度を下げる方法に着目し、ビード始端部のビート幅が細くなるのを防止することを検討した。さらには、重ね合わせた鋼板の間に隙間がある場合のエネルギーロスも考慮する必要がある。
以上を考慮した結果、本発明者らは、2枚の鋼板の板厚、2枚の鋼板の間の隙間の大きさ、溶接速度、これらの関係を制御する、すなわち、下記式(2)を満たすようにすることにより、ビード始端部のビート幅が細くなることを抑制できることを知見した。
0.75((t+t)/(K+t+t))v<v<((t+t)/(K+t+t))v (2)
ただし、aは0.5tと0.5tのうちの小さい方以下であり、K=(t/t)aである。また、上側の鋼板の板厚をt(mm)、下側の鋼板の板厚をt(mm)、上側の鋼板と下側の鋼板との隙間の大きさをa(mm)、本溶接および終期溶接での溶接速度をv(m/min)、初期溶接での溶接速度をv(m/min)とする。
上記式(2)を満たすことで、溶融池が溶接直後でも安定する。その結果、ビード始端部のビート幅が細くなることを抑制できる。
本発明は上記の知見に基づき完成されたものであり、その要旨は次のとおりである。
[1] 2枚の鋼板をその間に隙間を有するように上下に重ね合わせた状態でレーザビームを上側の鋼板表面に照射してレーザビームが照射された部位を溶融および凝固させてビードを形成すると共に2枚の鋼板を接合するレーザ溶接により2枚の鋼板が接合されたレーザ溶接継手を得るレーザ溶接継手の製造方法であって、
上側の鋼板の板厚をt(mm)、下側の鋼板の板厚をt(mm)、上側の鋼板と下側の鋼板との隙間の大きさをa(mm)とし、
ビード始端からビード全長の1/5近傍までビードを形成する工程を初期溶接、該初期溶接に続いてビード全長の4/5近傍までビードを形成する工程を本溶接、該本溶接に続いてビード終端までビードを形成する工程を終期溶接とし、
前記初期溶接および前記本溶接でのレーザ出力をP(kW)、前記終期溶接でのレーザ出力をP(kW)としたときに、
下記式(1)を満たすことを特徴とするレーザ溶接継手の製造方法。
0.8((t+t)/(K+t+t))P<P<((t+t)/(K+t+t))P (1)
ただし、aは0.5tと0.5tのうちの小さい方以下であり、K=(t/t)a (単位:mm)である。
[2] 前記本溶接および前記終期溶接での溶接速度をv(m/min)、前記初期溶接での溶接速度をv(m/min)としたときに、
下記式(2)を満たすことを特徴とする[1]に記載するレーザ溶接継手の製造方法。
0.75((t+t)/(K+t+t))v<v<((t+t)/(K+t+t))v (2)
ただし、aは0.5tと0.5tのうちの小さい方以下であり、K=(t/t)aである。
[3] 2枚の鋼板からなるレーザ溶接継手であって、
前記2枚の鋼板の間に隙間を有し、
前記隙間の大きさが、2枚の鋼板のうち薄い方の板厚の10%〜50%であり、
前記2枚の鋼板のうち上側の鋼板表面に形成されたビードが、
ビード始端からビート全長の1/5の位置であるビード始端1/5部近傍と、ビード終端からビード全長の1/5の位置であるビード終端1/5部近傍と、の間をビード本体とし、
ビード終端からビード全長の1/10の位置をビード終端1/10部とし、
ビード本体のビード幅をW、ビード終端1/10部でのビード幅をWとしたときに、
下記式(3)を満たすことを特徴とするレーザ溶接継手。
0.80≦W/W≦1.20 (3)
[4] ビード始端からビート全長の1/10の位置をビード始端1/10部とし、
ビード始端1/10部でのビード幅をWとしたときに、
下記式(4)を満たすことを特徴とする[3]に記載するレーザ溶接継手。
0.80≦W/W≦1.20 (4)
[5] [3]または[4]に記載するレーザ溶接継手であって、前記2枚の鋼板はそれぞれ引張強度が980MPa以上の高強度鋼板であるレーザ溶接継手を有することを特徴とする自動車用骨格部品。
[6] 前記2枚の鋼板は、それぞれ、質量%で、C:0.07%超え0.25%以下、P+S:0.03%未満、Mn:1.8%以上3.0%以下、Si:1.2%超え1.8%以下を含有し、下記A群および下記B群の少なくとも一方を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、板厚が1.0mm以上2.0mm以下であることを特徴とする[5]に記載する自動車用骨格部品。
A群: Ti:0.005%以上0.01%以下およびNb:0.005%以上0.050%未満の少なくとも一方
B群: Cr:1.0%以下、Mo:0.50%以下およびB:0.10%以下から選択される少なくとも一種
本発明によれば、隙間を有するように重ね合わせた2枚の鋼板のレーザ溶接におけるビード終端側での割れの発生が抑制されるため、外観に優れたレーザ溶接継手を製造することができる。また、割れの発生が抑制されるため、剥離強度が高く安全性に優れたレーザ溶接継手を製造することができる。また、特許文献2のようにビード始終端部を再溶融させる必要がないため、短時間でレーザ溶接継手を製造することができる。
さらに、ビード幅をビード全体に亘って均一にすることができ、より外観が優れたレーザ溶接継手を製造することができる。
また、本発明のレーザ溶接継手は外観に優れているため、自動車の構造部材に好適に用いることができ、例えば接合する鋼板として高強度鋼板を用いることにより自動車用骨格部品とすることができる。
本発明のレーザ溶接継手の外観を示す斜視図および要部拡大図である。 本発明のレーザ溶接継手の断面拡大図である。 本発明のレーザ溶接継手の上側の鋼板の表面に形成されたビードを示す上面図である。 C字状のビードが形成された本発明のレーザ溶接継手の外観を示す斜視図である。 S字状のビードが形成された本発明のレーザ溶接継手の外観を示す斜視図である。 実施例および比較例の試験片を示す斜視図である。
本発明のレーザ溶接継手の製造方法は、2枚の鋼板をその間に隙間を有するように上下に重ね合わせた状態でレーザビームを上側の鋼板表面に照射してレーザビームが照射された部位を溶融および凝固させてビードを形成すると共に2枚の鋼板を接合するレーザ溶接により2枚の鋼板が接合されたレーザ溶接継手を得るものである。そして、上側の鋼板の板厚をt(mm)、下側の鋼板の板厚をt(mm)、上側の鋼板と下側の鋼板との隙間の大きさをa(mm)とし、ビード始端からビード全長の1/5近傍までビードを形成する工程を初期溶接、該初期溶接に続いてビード全長の4/5近傍までビードを形成する工程を本溶接、該本溶接に続いてビード終端までビードを形成する工程を終期溶接とし、初期溶接および本溶接でのレーザ出力をP(kW)、終期溶接でのレーザ出力をP(kW)としたときに、下記式(1)を満たすことを特徴とする。
0.8((t+t)/(K+t+t))P<P<((t+t)/(K+t+t))P (1)
ただし、aは0.5tと0.5tのうちの小さい方以下であり、K=(t/t)a (単位:mm)である。
このような本発明のレーザ溶接継手1の製造方法について、本発明の一例である図1〜図3を用いて以下に詳細に説明する。図1(a)は、本発明のレーザ溶接継手の製造方法で製造される本発明のレーザ溶接継手の外観を示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)の要部拡大図である。図2は、本発明のレーザ溶接継手の製造方法で製造されるレーザ溶接継手の断面拡大図である。図3は、本発明のレーザ溶接継手の製造方法で製造されるレーザ溶接継手の上側の鋼板の表面に形成されたビードを示す上面図である。
本発明のレーザ溶接継手の製造方法では、まず、2枚の鋼板として、例えば図1(a)に示すように、ハット形状の鋼板(ハット部上板)4および鋼板(ハット部下板)5を、その間に隙間を有するように上下に重ね合わせる。
本発明においてレーザ溶接する対象は、鋼板(鋼板4、鋼板5)である。鋼板4および鋼板5の種類は特に限定されないが、例えば引張強度が980MPa以上の高強度鋼板であることが好ましい。980MPa以上の高強度鋼板は、炭素等量が比較的高いためビード終端側に割れが発生しやすい。しかしながら、本発明のレーザ溶接継手の製造方法ではビード終端側の割れの発生が抑制でき、高強度鋼板を用いても割れの発生が抑制され優れた外観を有するレーザ溶接継手を製造することができる。このように例えば引張強度980MPa以上の高強度鋼板のレーザ溶接継手とすることにより、強度が求められる自動車用骨格部材として好適に使用することができる。
鋼板4および鋼板5の成分組成は特に限定されないが、例えば、質量%で、C:0.07%超え0.25%以下、P+S:0.03%未満、Mn:1.8%以上3.0%以下、Si:1.2%超え1.8%以下を含有し、下記A群および下記B群の少なくとも一方を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成を有するものとすることができる。以下、各成分組成における%とは、質量%のことを指す。
A群: Ti:0.005%以上0.01%以下およびNb:0.005%以上0.050%未満の少なくとも一方
B群: Cr:1.0%以下、Mo:0.50%以下およびB:0.10%以下から選択される少なくとも一種
(C:0.07%超え0.25%以下)
C含有量が0.07%超えであると、析出強化の効果を得ることができなくなる場合がない。一方、C含有量が0.25%以下であると、粗大な炭化物の析出を招くことがなく、所望の高強度、加工性を確保できる。そのため、C含有量は0.07%超え0.25%以下とすることが好ましい。
(P+S:0.03%未満)
P含有量とS含有量の合計量(P+S)が0.03%未満であると、延性および靱性が低下せず、所望の高強度、加工性を確保できる。そのため、P含有量とS含有量の合計量(P+S)は0.03%未満とすることが好ましい。
(Mn:1.8%以上3.0%以下)
Mn含有量が1.8%以上であると、十分な焼入れ性が確保でき、粗大な炭化物が析出しない。一方、Mn含有量が3.0%以下であると、粒界脆化感受性が増加して靱性、耐低温割れ性が劣化しない。そのため、Mn含有量は1.8%以上3.0%以下とすることが好ましい。Mn含有量は2.5%以下であることがより好ましい。
(Si:1.2%超え1.8%以下)
Si含有量が1.2%超えであると、固溶して鋼の強度を増加させる効果が十分に得られる。一方、Si含有量が1.8%以下であると、溶接熱影響部の硬化が大きくならず、溶接熱影響部の靱性、耐低温割れ性が劣化しない。そのため、Si含有量は1.2%超え1.8%以下とすることが好ましい。Si含有量は1.5%以下であることがより好ましい。
(A群: Ti:0.005%以上0.010%以下およびNb:0.005%以上0.050%未満の少なくとも一方)
TiやNbは炭化物または窒化物として析出し、焼鈍中のオーステナイトの粗大化を抑制する作用を有する。したがって、これらの元素の少なくとも1種を含有させることが好ましい。この効果を得るには、Tiは0.005%以上、Nbは0.005%以上含有させる。しかし、過剰に含有させても上記作用による効果が飽和して不経済となる。そればかりか、焼鈍時の再結晶温度が上昇し、焼鈍後の金属組織が不均一となり、伸びフランジ性も損なわれる。さらには、炭化物または窒化物の析出量が増し、降伏比が上昇し、形状凍結性も劣化する。したがって、Ti含有量は0.010%以下、Nb含有量は、0.050%未満とする。Ti含有量は好ましくは0.008%未満であり、Nb含有量は好ましくは0.040%未満とする。
(B群: Cr:1.0%以下、Mo:0.50%以下およびB:0.10%以下から選択される少なくとも一種)
Cr、MoおよびBは、鋼の焼入性を向上させる作用を有する元素である。したがってこれらの元素の1種類以上を含有させてもよい。しかしながら、これらの元素を過剰に含有させても上記の効果が飽和して不経済となる。したがって、これらの元素を含有させる場合には、Cr含有量は1.0%以下、Mo含有量は0.50%以下、B含有量は0.10%以下とする。Cr含有量は好ましくは0.50%以下であり、Mo含有量は好ましくは0.10%以下であり、B含有量は好ましくは0.030%以下である。Cr含有量は好ましくは0.01%以上であり、Mo含有量は好ましくは0.004%以上であり、B含有量は好ましくは0.0001%以上である。
(残部Feおよび不可避的不純物)
上記成分組成以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としては、Al:0.015〜0.050%、N:0.002〜0.005%等が挙げられる。
本発明においてレーザ溶接する対象である2枚の鋼板の板厚は特に限定されないが、例えば1.0mm以上2.0mm以下の範囲内であることが好ましい。さらに好ましくは、1.2mm以上1.8mm以下である。板厚がこの範囲内である鋼板は、自動車用骨格部材として好適に使用することができる。具体的には上側の鋼板4の板厚tは1.0mm≦t≦2.0mmを満たし、下側の鋼板4の板厚tは1.0mm≦t≦2.0mmを満たすことが好ましい。上側の鋼板4の板厚tは1.2mm≦t≦1.8mmを満たし、下側の鋼板4の板厚tは1.2mm≦t≦1.8mmを満たすことがさらに好ましい。
なお、2枚の鋼板4および鋼板5は、同じでも異なっていてもよく、鋼板4および鋼板5が、同種および同形状の鋼板であってもよいし、異種や異形状の鋼板であってもよい。
そして、本発明においては、図2に示すように、レーザ溶接前の鋼板4と鋼板5との間には隙間Aが存在する。
レーザ溶接前の鋼板4と鋼板5との隙間Aの大きさa(mm)、すなわち、鋼板4と鋼板5との隙間Aの鋼板の板厚方向の大きさは、0.5tと0.5tのうちの小さい方以下を満たす必要がある。換言すると、レーザ溶接前の鋼板4と鋼板5との隙間Aの大きさaは、上側の鋼板4の板厚tが下側の鋼板5の板厚tよりも小さい場合はa≦0.5tを満たし、下側の鋼板5の板厚tが上側の鋼板4の板厚tよりも小さい場合はa≦0.5tを満たし、t=tの場合はa≦0.5t=0.5tを満たす。隙間Aの大きさaがこの範囲外であると、割れが発生する。隙間Aの大きさaは、上記範囲内であれば特に限定されないが、例えば0.1mm以上0.9mm以下であることが好ましい。例えば自動車用骨格部品の素材として好適に用いられる板厚1.0mm以上2.0mm以下の鋼板を用いて本発明のレーザ溶接継手の製造方法によりレーザ溶接継手を製造すると、隙間Aの大きさaが0.9mmより大きいと、溶接時に融落ちが発生してしまう場合があるからである。なお、レーザ溶接前の鋼板4と鋼板5との隙間Aの大きさaは、レーザ溶接方向(上側の鋼板4の表面に照射するレーザビームを上側の鋼板4表面で移動させる方向)に亘って均一であり、隙間Aを空けて重ね合わせた鋼板4および鋼板5を拘束治具等で固定し隙間Aを保持した状態でレーザ溶接する。
このように上下に重ね合わせた状態でレーザ溶接するときに、2枚の鋼板4、5の間に隙間Aがあると、得られるレーザ溶接継手のビード7の終端側に割れが生じやすい。特に、隙間Aの大きさaが大きい場合、ビード終端側の割れが発生しやすい。しかしながら、本発明においては、式(1)を満たすレーザ溶接でレーザ溶接継手を製造するため、後述する実施例に示すように、割れの発生が抑制されたレーザ溶接継手を得ることができる。なお、レーザ溶接することにより得られるレーザ溶接継手の鋼板4と鋼板5との隙間の大きさ(鋼板の板厚方向の大きさ)は、レーザ溶接前の鋼板4と鋼板5との隙間Aの大きさaよりも狭くなり、本発明のレーザ溶接継手の製造方法によって得られる本発明のレーザ溶接継手の鋼板4と鋼板5との隙間は、例えば、2枚の鋼板のうち薄い方の板厚の10%〜50%、具体的には、例えば0.1mm以上0.9mm以下である。
このように、2枚の鋼板4および鋼板5をその間に隙間Aを有するように重ね合わせた状態で、レーザ溶接で接合する。具体的には、重ね合わせた鋼板のうち上側の鋼板4の表面にレーザビーム3を照射すると共に、レーザビーム3を重ね合わせた状態のままの鋼板4および鋼板5に対して相対的に移動させる。これにより、鋼板4および鋼板5のうちレーザビーム3で照射された部位が溶融して溶融部が形成され、その後溶融部が凝固してビード(溶接線)7が形成される。
本発明においては、このレーザ溶接条件が上記式(1)を満たす。具体的には、図3に示すように、ビード始端Xからビード全長の1/5近傍までビードを形成する工程を初期溶接S、初期溶接Sに続いてビード全長の4/5近傍までビードを形成する工程を本溶接S、本溶接Sに続いてビード終端Yまでビードを形成する工程を終期溶接Sとし、初期溶接Sおよび本溶接Sでのレーザ出力をP(kW)としたときに、終期溶接Sでのレーザ出力P(kW)は上記式(1)満たす。ビード全長の1/5近傍とは、ビード全長の1/5±ビード全長の3/40の範囲内、すなわち、ビード全長の5/40からビード全長の11/40までの範囲内である。また、ビード全長の4/5近傍とは、ビード全長の4/5±ビード全長の3/40の範囲内、すなわち、ビード全長29/40からビード全長の35/40までの範囲内である。図3においては、ビード全長の1/5近傍をビード全長の1/5とし、また、ビード全長の4/5近傍をビード全長の4/5とした例を示している。
ビード全長は、レーザビーム3が上側の鋼板4の表面を移動する方向における、ビード始端から終端までの長さである。例えば図3に示すような直線状のビード7では、ビード全長は、ビード始端Xとビード終端Yとの直線距離であり、ビード7の長手方向の長さである。また、図4に示すようにC形状のビード7aの場合や、図5に示すようにS形状のビード7bの場合は、ビード全長は、上側の鋼板4の表面における、レーザビーム3の軌跡上のビード始端からビード終端までの長さである。
このように、式(1)を満たす、すなわち、溶接終了付近の特定範囲の溶接(終期溶接S)におけるレーザ出力Pを、それより前の溶接(初期溶接Sおよび本溶接S)におけるレーザ出力Pに対して特定の範囲内の値にすることにより、ビード終端側での割れの発生を抑制することができる。ここで、終期溶接Sで形成される、ビード始端Xからビード全長の4/5の位置近傍〜ビードの終端Yまで、すなわち、ビード終端Yからビード全長の1/5の位置であるビード終端1/5部近傍までのビード7には、隙間Aがあることにより発生する割れが集中しやすいが、この割れが生じやすい箇所を上記式(1)を満たす条件で溶接することにより、割れの発生を抑制することができる。なお、上記式(1)を満たす溶接工程が、ビード終端Yからビード全長の1/5近傍よりも短い場合は、本発明に比べて割れの発生を抑制する効果は小さくなり、また、ビード幅が広がったり、割れが生じるという不具合が生じる。一方、ビード終端Yからビード全長の1/5近傍よりも長い場合は、ビード幅が狭くなり、溶接継手強度が低くなるという不具合が生じる。
また、式(1)を満たすと割れの発生が抑制されるため、剥離強度が高く安全性に優れたレーザ溶接継手となる。
また、上記条件で溶接を行うことにより、ビード幅を均一にすることができる。例えば、ビード始端Xからビート全長の1/5の位置であるビード始端1/5部近傍と、ビード終端Yからビード全長の1/5の位置であるビード終端1/5部近傍との間をビード本体B、ビード本体Bのビード幅をWとし、ビード終端Yからビード全長の1/10の位置をビード終端1/10部B、ビード終端1/10部Bでのビード幅をWとしたときに、下記式(3)を満たすことができる。なお、ビード本体Bは本溶接Sで形成されるビードであり、安定した溶接が行われて形成されるため、割れは生じず且つビード幅Wは均一である。
また、上記と同様に、ビード始端Xからビート全長の1/5の位置であるビード始端1/5部近傍とは、ビード始端Xからビート全長の1/5の位置であるビード始端1/5部±ビード全長の3/40の範囲内、すなわち、ビード始端Xからビート全長の5/40の位置〜ビード始端Xからビード全長の11/40の位置の範囲内である。また、ビード終端Yからビード全長の1/5の位置であるビード終端1/5部近傍とは、ビード終端Yからビード全長の1/5の位置であるビード終端1/5部±ビード全長の3/40の範囲内、すなわち、ビード終端Yからビート全長の5/40の位置〜ビード終端Yからビード全長の11/40の位置の範囲内である。
0.80≦W/W≦1.20 (3)
一方、式(1)を満たさない場合は、ビード終端側で、割れが生じたり、ビード幅が太くなったり細くなったりする。
照射するレーザビーム3は特に限定されず、例えばファイバーレーザ、ディスクレーザ等を用いることができる。レーザビームは、例えば、ビーム径:0.2〜1.0mm、焦点位置:鋼板4の表面〜鋼板4の表面から30mm上方とすることができる。入熱効率を高くするために、焦点位置を鋼板4の表面とすることが好ましい。
初期溶接Sおよび本溶接Sでのレーザ出力Pは、例えば2.0kW以上5.0kW以下であり、3.0kW以上4.0kW以下が好ましい。レーザ出力Pが2.0kW以上であると、レーザ出力が低すぎることがないため、貫通溶接が可能となる。一方、レーザ出力Pが5.0kW以下であると、レーザ出力が高すぎることがないため、溶融金属がスパッタとして飛散して溶接部にアンダーフィルが発生することがない。なお、初期溶接Sおよび本溶接Sでのレーザ出力Pが2.0kW以上5.0kW以下で且つPが式(1)を満たすと、他のレーザ溶接条件にも依るが、形成されるビート7が鋼板4を貫通しなかったり、ビード7が溶け落ちるという問題も全く生じない。
本溶接Sおよび終期溶接Sでの溶接速度vは、例えば、1.0m/min以上4.0m/min以下、好ましくは2.0m/min以上3.0m/min以下である。溶接速度vが1.0m/min以上とすると、溶接速度が遅すぎることがないため、鋼板が融け落ちて欠陥となってしまう場合がない。一方、vを4.0m/min以下とすると溶接速度が速すぎることがないため、溶融池が安定しなくなってしまう場合がない。
初期溶接Sでの溶接速度v(m/min)は特に限定されず、例えば本溶接Sおよび終期溶接Sでの溶接速度vと同じでもよいが、初期溶接Sでの溶接速度vは下記式(2)を満たすことが好ましい。
0.75((t+t)/(K+t+t))v<v<((t+t)/(K+t+t))v (2)
ただし、aは0.5tと0.5tのうちの小さい方以下であり、K=(t/t)aである。
ビード始端側(初期溶接Sで形成されるビード)のビード幅は、本溶接Sで形成されるビード本体Bのビード幅よりも細くなる傾向があり、従来はビード7全体に亘って均一なビード幅を有するものは得難かった。しかしながら、本発明においては、上記式(2)を満たす、すなわち、溶接開始付近の特定範囲の溶接(初期溶接S)における溶接速度vを、それより後の溶接(本溶接Sおよび終期溶接S)の溶接速度vに対して特定の範囲内の値にすることにより、ビード始端側でビード幅が細くなる現象を抑制することができる。ビード始端Xからビード全長の1/5近傍までのビード7には、隙間Aがあることによりビード本体Bよりもビード幅が細くなりやすいが、このビード幅が細くなりやすい箇所を上記式(2)を満たす条件で溶接することにより、ビード本体Bと同程度のビード幅にすることができ、ビード幅をビード全体に亘って均一にすることができる。なお、上記式(2)を満たす溶接工程が、ビード始端Xからビード全長の1/5の位置近傍までよりも短い場合や長い場合は、上記式(2)を満たす場合と比べてビード幅を均一にする効果は小さくなる。
上記式(2)を満たすことにより、例えば、ビード始端Xからビート全長の1/10の位置をビード始端1/10部Bとし、ビード始端1/10部Bでのビード幅をWとしたときに、下記式(4)を満たすことができる。例えば式(3)および式(4)を同時に満たすことにより、ビード全体に亘って幅が均一なビードになり、外観に優れたレーザ溶接継手を製造することができる。
0.80≦W/W≦1.20 (4)
一方、式(2)を満たさない場合は、ビード始端側でビードが細くなったり太くなったりする。
なお、レーザ溶接継手に複数のビードが形成される場合は、全てのビードにおいて、ビードを形成する溶接条件が式(1)や式(2)を満たすことが好ましい。また、得られたレーザ溶接継手に形成された全てのビードが式(3)や式(4)を満たすことが好ましい。
上記レーザ溶接継手は、自動車用骨格部品として用いることができる。すなわち、本発明の自動車用骨格部品は、2枚の鋼板4および鋼板5として、それぞれ、引張強度が980MPa以上の高張力鋼板を用いた上記本発明のレーザ溶接継手である。また、本発明の自動車用骨格部品は、2枚の鋼板4および鋼板5として、質量%で、C:0.07%超え0.25%以下、P+S:0.03%未満、Mn:1.8%以上3.0%以下、Si:1.2%超え1.8%以下を含有し、上記A群および上記B群の少なくとも一方を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、板厚が1.0mm以上2.0mm以下(さらに好ましくは、1.2mm以上1.8mm以下)のものを用いたものであることが好ましい。このような本発明の自動車用骨格部品は、高強度で且つ外観に優れているため、センターピラーに適用することができる。センターピラーでは、剥離強度を確保することが重要であり、本発明の自動車用骨格部品を適用したセンターピラーは、十分な剥離強度を有する。
以下に、本発明の更なる理解のために実施例を用いて説明するが、実施例はなんら本発明を限定するものではない。
(本発明例および比較例)
レーザ溶接する鋼板として、鋼種I(引張強さが983MPa、成分組成が質量%でC:0.13%、Si:1.40%、Mn:2.2%、P:0.015%、S:0.002%、Ti:0.005%、Cr:0.021%、Mo:0.004%、B:0.0002%)または鋼種II(引張強さが1184MPa、成分組成が質量%でC:0.13%、Si:1.40%、Mn:2.2%、P:0.012%、S:0.001%、Ti:0.005%、Cr:0.017%、Mo:0.004%、B:0.0003%)で、板厚が1.6mmまたは1.8mmで幅が50mmの鋼板を用いた。なお、引張強さは、各鋼板から、圧延方向に対して平行方向にJIS5号引張試験片を作製し、JIS Z 2241:2011の規定に準拠して引張試験を実施して求めた引張強度である。
この鋼板をL字の断面形状に曲げ加工を施してフランジ部を有する鋼板4を作製した。同じ鋼種・同じ板厚のL字の鋼板5を、実施例および比較例の試験片を示す斜視図である図6に示すように、隙間Aを空けて重ね合わせた状態で拘束治具に固定した後、フランジの重ね合わせ部分を長手方向にレーザ溶接し、レーザ溶接後拘束治具をはずして、試験片幅50mm、横壁長さ120mm、フランジ幅30mmのL字の試験片(レーザ溶接継手)を作製した。
この際、レーザ溶接条件を、レーザ溶接前の鋼板4と鋼板5のフランジの重ね合わせ部分の隙間Aの大きさa、本溶接Sおよび終期溶接Sの溶接速度v、初期溶接Sおよび本溶接Sのレーザ出力P、初期溶接Sの溶接速度v、終期溶接Sのレーザ出力Pを、表1に示すように種々変えて行った。本発明例および比較例では、ビード全長の1/5近傍をビード全長の1/5とし、また、ビード全長の4/5近傍をビード全長の4/5とした。すなわち、ビード始端Xからビード全長の1/5までビードを形成する工程を初期溶接S、初期溶接Sに続いてビード全長の4/5までビードを形成する工程を本溶接S、本溶接Sに続いてビード終端Yまでビードを形成する工程を終期溶接Sとした。なお、レーザ溶接前のフランジの重ね合わせ部分の隙間Aの大きさaは、レーザ溶接方向に亘って均一であった。
レーザ溶接にはファイバーレーザを用い、焦点位置のビーム直径を0.6mmφの一定とした。溶接は大気中で行い、レーザ溶接時の焦点位置は、鋼板4のフランジ部の鋼板表面とした。
得られたL字のレーザ溶接継手のビードの外観を観察した結果を表1に示す。具体的には、ビードの割れの有無を、目視により観察した。また、ビード本体Bのビード幅W、ビード始端1/10部Bでのビード幅W、および、ビード終端1/10部Bでのビード幅Wを測定し、ビード幅比W/WおよびW/Wを求めた。なお、本発明例および比較例においては、ビード本体Bは、ビード始端Xからビート全長の1/5の位置であるビード始端1/5部とビード終端Yからビード全長の1/5の位置であるビード終端1/5部との間である。そして、式(3)および式(4)の両方を満たす場合を「○」、式(3)および式(4)のいずれか一方を満たす場合を「△」、式(3)および式(4)のいずれも満たさない場合を「×」として、ビード幅の均一性を評価した。なお、ビード本体Bの幅Wは、いずれのレーザ溶接継手においてもビード本体B全体に亘って一定であった。また、レーザ溶接継手の隙間の大きさはビード始端Xからビード全長方向に5mm離れた位置とビード終端Yからビード全長方向に5mm離れた位置の隙間の大きさを測定し、その平均値を求めた。
また、得られたL字のレーザ溶接継手の隙間の、鋼板の板厚方向の大きさを測定した。
また、得られたL字のレーザ溶接継手に対して、両側から引張荷重を負荷するL字引張試験にて、剥離強度を測定した。なお、引張試験は10mm/minの速度で行った。結果を表1に示す。
表1に示すように、式(1)を満たす溶接条件で行った本発明例は、ビード終端部等ビード全体に亘って割れが無く、また、ビード幅比W/Wも0.80以上1.20以下であり、外観が優れていた。そして、式(1)を満たす溶接条件で行った本発明例は、剥離強度が4.0kN以上であり、高強度接合されていた。また、特に、式(1)および式(2)の両方を満たす本発明例は、ビード幅比W/Wも0.80以上1.20以下であり、ビード全長に亘って均一な幅を有していた。
Figure 0006662396
1 レーザ溶接継手
3 レーザビーム
4、5 鋼板
7、7a、7b ビード
A 隙間
B ビード本体
初期溶接
S 本溶接
終期溶接
W ビード幅
X ビード始端
Y ビード終端

Claims (2)

  1. 2枚の鋼板をその間に隙間を有するように上下に重ね合わせた状態でレーザビームを上側の鋼板表面に照射してレーザビームが照射された部位を溶融および凝固させてビードを形成すると共に2枚の鋼板を接合するレーザ溶接により2枚の鋼板が接合されたレーザ溶接継手を得るレーザ溶接継手の製造方法であって、
    上側の鋼板の板厚をt(mm)、下側の鋼板の板厚をt(mm)、上側の鋼板と下側の鋼板との隙間の大きさをa(mm)とし、
    ビード始端からビード全長の1/5近傍までビードを形成する工程を初期溶接、該初期溶接に続いてビード全長の4/5近傍までビードを形成する工程を本溶接、該本溶接に続いてビード終端までビードを形成する工程を終期溶接とし、
    前記初期溶接および前記本溶接でのレーザ出力をP(kW)、前記終期溶接でのレーザ出力をP(kW)としたときに、
    下記式(1)を満たすことを特徴とするレーザ溶接継手の製造方法。
    0.8((t+t)/(K+t+t))P<P<((t+t)/(K+t+t))P (1)
    ただし、aは0.5tと0.5tのうちの小さい方以下であり、K=(t/t)a (単位:mm)である。
  2. 前記本溶接および前記終期溶接での溶接速度をv(m/min)、前記初期溶接での溶接速度をv(m/min)としたときに、
    下記式(2)を満たすことを特徴とする請求項1に記載するレーザ溶接継手の製造方法。
    0.75((t+t)/(K+t+t))v<v<((t+t)/(K+t+t))v (2)
    ただし、aは0.5tと0.5tのうちの小さい方以下であり、K=(t/t)aである。
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