JP7211491B2 - 重ねレーザスポット溶接継手とその製造方法および自動車車体用構造部材 - Google Patents
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Description
1.0≦T≦6.0 ・・・(1)
2.0≦D1≦8.0 ・・・(2)
6.0≦D2≦15.0 ・・・(3)
1.1≦D2/D1≦5.0 ・・・(4)
0.6≦u/T≦1.0 ・・・(5)
ここで、T:溶接部を構成する鋼板の総板厚(mm)
D1:長円形接合部の短軸幅(mm)
D2:長円形接合部の長軸幅(mm)
u:長円形接合部の最終凝固部の最小厚(mm)
式のすべてを満たすことを特徴とする重ねレーザスポット溶接継手である。
・A群;Ti:0.0005~0.01mass%およびNb:0.005~0.050mass%のうちから選ばれる1種または2種
・B群;Cr:1.0mass%以下、Mo:0.50mass%以下およびB:0.10mass%以下のうちから選ばれる1種または2種以上
のうちの少なくとも1群の成分を含有することを特徴とする。
1.0≦T≦6.0 ・・・(1)
2.0≦D1≦8.0 ・・・(2)
6.0≦D2≦15.0 ・・・(3)
1.1≦D2/D1≦5.0 ・・・(4)
0.6≦u/T≦1.0 ・・・(5)
ここで、T:溶接部を構成する鋼板の総板厚(mm)
D1:長円形接合部の短軸幅(mm)
D2:長円形接合部の長軸幅(mm)
u:長円形接合部の最終凝固部の最小厚(mm)
のすべてを満たすよう、レーザ出力、焦点位置、溶接速度、スピン半径および1スピンあたりの移動量およびビーム径のうちの少なくとも1つを制御することを特徴とする重ねレーザスポット溶接継手の製造方法を提案する。
<重ねレーザスポット溶接継手>
図1は、従来の重ねレーザスポット溶接継手の一例を示す斜視図である。重ねレーザスポット溶接継手1は、少なくとも2枚の鋼板を重ね合わせたものであり、図1に示した例では、縦壁部2aおよび縦壁部2aの先端から外側へ延びるフランジ部2bを有する断面形状が略ハット状の鋼板2と、平らなパネル状の鋼板3の2枚の鋼板が、フランジ部2bと鋼板3とが対向するように重ね合わせられて接合面を形成しており、フランジ部2bの上方からフランジ部2bの表面にレーザビームを照射し、少なくとも鋼板2を貫通する溶融部(溶融金属部)を形成し、凝固させて接合部(溶接スポット)を形成することで溶接が行われている。なお、上記溶融部の周辺には熱影響部(HAZ)が存在するが、本発明の接合部は、熱影響部を除いた溶融部のみのことをいう。
1.0≦T≦6.0 ・・・(1)
2.0≦D1≦8.0 ・・・(2)
6.0≦D2≦15.0 ・・・(3)
1.1≦D2/D1≦5.0 ・・・(4)
0.6≦u/T≦1.0 ・・・(5)
ここで、T:溶接部を構成する鋼板の総板厚(mm)
D1:長円形接合部の短軸幅(mm)
D2:長円形接合部の長軸幅(mm)
u:長円形接合部の最終凝固部の最小厚(mm)
のすべてを満たしていることが必要であることがわかった。
以下、具体的に説明する。
本発明の重ねレーザビーム溶接継手は、溶接部を構成する鋼板の合計厚Tに対する溶接部を構成する鋼板間の合計間隙Gの比(G/T)が0~0.15、すなわち、溶接部を構成する鋼板の合計厚Tに対する溶接部を構成する鋼板間の合計間隙Gの比率が0~15%の範囲内にあることが必要である。上記GのTに対する比率が15%を超えると、溶接終端部のクレータの深さが深くなり、より応力が集中し易くなるからである。好ましくは0~10%の範囲である。
また、本発明の重ねレーザスポット溶接継手は、複数の鋼板の総板厚Tが、1.0~6.0mmの範囲であることが必要である。総板厚が1.0mmより薄い場合および6.0mmより厚い場合には、レーザビームを照射した際、溶落ちが発生し易くなり、重ね溶接を行うことが難しくなる。そのため、本発明の溶接継手は、継手を構成する鋼板の総板厚Tを1.0~6.0mmの範囲とする。好ましくは2.0~5.0mmの範囲である。
また、本発明の重ねレーザスポット溶接継手は、溶接部を構成する長円形接合部の短軸幅D1が2.0~8.0mmの範囲であることが必要である。D1が、8.0mmより大きいと、溶落ちが発生するようになる。好ましくは6.0mm以下である。一方、D1は、十分な接合強度を確保する観点から、2.0mm以上とする。好ましくは4.0mm以上である。
また、本発明の重ねレーザスポット溶接継手は、溶接部を構成する長円形接合部の長軸幅D2が6.0~15.0mmの範囲であることが必要である。上記D2が、15.0mmより大きいと、溶接割れが発生するようになる。好ましくは13.0mm以下である。一方、D2の下限値は、規定しないが、十分な接合強度を確保する観点から、6.0mmとする。好ましくは8.0mm以上である。
また、本発明の重ねレーザスポット溶接継手は、溶接部を構成する長円形接合部の短軸幅D1に対する長軸幅D2の比(D2/D1)が、1.1~5.0範囲であることが必要である。上記比(D2/D1)が5.0より大きいと、溶接割れが発生するようになる。好ましくは4.0以下である。一方、比(D2/D1)が1.1倍より小さい場合も、溶接割れが発生し易くなる。好ましくは1.5以上である。
また、本発明の重ねレーザスポット溶接継手は、接合部を構成する鋼板の総板厚Tに対する接合部の最終凝固部の中心部4aに発生する溶融部の最小厚uの比(u/T)が、0.6~1.1の範囲であることが必要である。上記比(u/T)が、0.6より小さくなると、最終凝固部の中心部4aにかかる溶融部外周部分から外側に向かう引張応力が大きくなり、割れを防止することができなくなる。好ましくは0.7以上である。一方、比(u/T)は、スパッタにより最終凝固部となる中心部の溶融部厚さuは、通常、複数の鋼板の総板厚Tより小さくなるため、1.0以下とする。
なお、図1~4には、2枚の鋼板を重ねて重ねレーザスポット溶接継手を構成した例について示したが、3枚以上の鋼板を重ね合わせて溶接継手を構成してもよいことは勿論である。
本発明の重ねレーザスポット溶接継手を構成する鋼板の合計厚については前述したが、個々の鋼板の板厚は、自動車車体の外板や構造部材(強度部材)として一般的に用いられている0.5~3.2mmの範囲内のものであればよく、特に制限はない。また、複数の鋼板は、全て同じ板厚であってもよいし、個々に異なる板厚であってもよい。例えば、図1に示した形状の重ねレーザスポット溶接継手1の場合には、上側の鋼板2の板厚t2を0.6~1.8mm、下側の鋼板3の板厚t3を1.0~2.5mmの範囲としてもよいし、上側の鋼板2の板厚t2および下側の鋼板3の板厚t3を同じ0.5~3.2mmの板厚としてもよい。
また、本発明の重ねレーザスポット溶接継手を構成する複数の鋼板の成分組成は、特に制限しないが、少なくとも1つの鋼板は、以下に説明するように、C:0.07~0.4mass%、Si:0.2~3.5mass%、Mn:1.8~5.5mass%、P+S:0.03mass%以下、Al:0.08mass%以下およびN:0.010mass%以下を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる成分組成を有するものであることが好ましい。
Cは、鋼の強度向上に有効な元素であり、0.07mass%以上含有させることによって、析出強化や変態強化の効果を得ることができる。また、C含有量を0.4mass%以下とすることで、粗大な炭化物の析出を招くことなく、所望の強度と加工性を確保することができる。そのため、C含有量は0.07~0.4mass%の範囲とするのが好ましい。より好ましくは0.15~0.3mass%の範囲である。
Siは、固溶強化能に優れる元素であり、0.2mass%以上含有させることで鋼の強度を高めることができる。また、Si含有量を3.5mass%以下とすることで、溶接熱影響部の過度の硬化を抑制し、溶接熱影響部の靱性および耐低温割れ性の劣化を防止することができる。そのため、Si含有量は0.2~3.5mass%の範囲とするのが好ましい。より好ましくは、1.0~2.5mass%の範囲である。
Mnは、焼入性を向上し、粗大な炭化物の析出を抑止するのに有効な元素であり、1.8mass%以上含有させることが好ましい。また、Mn含有量を5.5mass%以下とすることで、粒界脆化感受性の上昇を抑制し、靱性および耐低温割れ性の劣化を防止することができる。そのため、Mn含有量は1.8~5.5mass%の範囲とするのが好ましい。より好ましくは、2.0~3.5mass%の範囲である。
PおよびSは、鋼の延性や靭性に悪影響を及ぼす有害元素であり、PとSの合計含有量を0.03mass%以下とすることで、延性や靱性の低下を防止し、所望の強度と加工性を確保することができる。そのため、PとSの含有量は、合計で0.03mass%以下とするのが好ましい。より好ましくは0.02mass%以下である。
Alは、製鋼の段階で脱酸剤として添加される元素であり、0.01mass%以上添加されるのが一般的である。しかし、Al含有量が0.08mass%を超えると、アルミナなどの介在物が増大し、耐疲労特性への悪影響が顕在化するようになる。したがって、Al含有量は0.08mass%以下とする。好ましくは0.02~0.07mass%の範囲である。
Nは、鋼の耐時効性を大きく劣化させる元素であり、極力低減するのが好ましい。特に、Nが0.010mass%を超えると、耐時効性の劣化が顕著となるため、N含有量は0.010mass%以下とする。なお、Nの下限は特に限定しないが、製造コストの上昇を防止する観点から、0.001mass%程度とするのが好ましい。
TiおよびNbはいずれも、炭化物や窒化物を形成して析出し、鋼板製造時の焼鈍中におけるオーステナイトの粗大化を抑制する効果がある。上記効果を得るためには、TiおよびNbのうちから選ばれる1種または2種を、Tiは0.0005mass%以上、Nbは0.005mass%以上含有させることが好ましい。しかし、TiおよびNbを過剰に含有させても、上記効果が飽和し、原料コストの上昇を招くだけである。また、再結晶温度を上昇させるので、鋼板製造時の焼鈍後の金属組織が不均一となり、伸びフランジ性が損なわれる虞がある。さらに、炭化物または窒化物の析出量が増大して降伏比が上昇し、形状凍結性が劣化する虞もある。よって、Tiおよび/またはNbを含有させる場合には、Tiは0.01mass%以下、Nbは0.050mass%以下とするのが好ましい。より好ましい含有量は、Ti:0.0006~0.0080mass%、Nb:0.010~0.040mass%の範囲である。
Cr,MoおよびBは、鋼の焼入性を向上させるのに有効な元素であり、上記効果を得るためには、Cr:0.01mass%以上、Mo:0.004mass%以上およびB:0.0001mass%以上のうちの1種以上を含有させることが好ましい。しかし、これらの元素を過剰に含有させても、上記効果は飽和し、原料コストの上昇を招くだけである。よって、Cr,MoおよびBを含有させる場合には、Cr:1.0mass%以下、Mo:0.50mass%以下、B:0.10mass%以下として添加するのが好ましい。より好ましくは、Cr:0.02~0.50mass%、Mo:0.010~0.10mass%、B:0.001~0.03mass%の範囲である。
また、本発明の重ねレーザスポット溶接継手を構成する複数の鋼板のうち、少なくとも1つの鋼板は、引張強さTSが980MPa以上の高張力鋼板とすることが好ましい。少なくとも1つの鋼板が上記した高張力鋼板であれば、重ねレーザスポット溶接継手は、高い接合強度を得ることができるとともに、従来の楕円形接合部では溶接欠陥が発生する場合でも、本発明の長円形接合部であれば、最終凝固部への応力集中が小さいので、溶接割れの発生を防止することができる。したがって、例えば、複数の鋼板のうち少なくとも1つの鋼板を、上記した成分組成を有し、かつ、引張強さTSが980MPa以上とするのが好ましい。なお、本発明の重ねレーザビーム溶接継手を構成する複数の鋼板は、同一の成分、同一の強度の鋼板であってもよいし、異なる成分、異なる強度の鋼板であってもよい。
次に、本発明の重ねレーザスポット溶接継手の製造方法について図4~6を用いて説明する。
本発明の重ねレーザスポット溶接継手の製造方法は、複数の鋼板を上下に重ね合わせ、その重ね合わせた複数の鋼板のうち、最も上側の鋼板表面にレーザビームを断続的に照射して接合部4を順次形成することにより溶接部を形成して溶接継手を製造する。図4に示した例では、本発明の重ねレーザ溶接継手1は、複数の鋼板2、3を重ね合わせ、最上層の鋼板2の表面に、レーザビーム6を断続的に照射し、鋼板2と3の接合部4を列状かつ連続的に形成することで重ねレーザビーム溶接を行っている。
なお、片側溶接においては、溶接時の溶落ちを防止する観点からは、重ね合わせた複数の鋼板のうち、板厚が大きい方の鋼板側からレーザビームを照射するのが好ましい。一方、未貫通による未接合を防止する観点からは、板厚が薄い方からレーザビームを照射するのが好ましい。なお、鋼板の板厚が同一の場合には、いずれの鋼板側からレーザビームを照射してもよい。
2.0≦D1≦8.0 ・・・(2)
6.0≦D2≦15.0 ・・・(3)
1.1≦D2/D1≦5.0 ・・・(4)
0.6≦u/T≦1.0 ・・・(5)
を満たすようを調整することが必要である。
次に、本発明の自動車車体用構造部材について説明する。
本発明の重ねレーザスポット溶接継手を好ましく用いることができる例として、自動車車体の骨格部分となる構造部材(強度部材)がある。前述した図1に示した部材は、断面形状が略ハット形状のフレーム部品である鋼板2と、パネル部品の鋼板3とから構成され、鋼板2のフランジ部2bと、このフランジ部2bに対向して配置された鋼板3とが、上記したレーザビーム溶接によって形成された列状に連続した長円形接合部4からなる溶接部により接合されて、閉断面を構成している。このような形状を有する部材を自動車車体の強度部材に適用するためには、衝突安全性を確保する観点から、溶接部の強度に優れていることが重要であるが、本発明の重ねレーザスポット溶接継手は、接合部の最終凝固部に割れがなく、かつ、十分な剥離強度を有するので、例えば、自動車車体のセンターピラーやルーフレールなどの構造部材に好適に用いることができる。
5t≦X≦8t ・・(5)
ここで、t:溶接部を構成する鋼板の中で最も厚い鋼板の板厚(mm)
を満たすことが好ましい。例えば、最も厚い鋼板の板厚tが2mmであった場合、溶接位置Xは10~16mmの範囲とするのが好ましいことになる。
次いで、上記T字型の剥離試験片について、2枚のL字型鋼板の長辺の長さ方向を引張方向する引張試験を、速度10mm/minで行い、剥離強度(最大荷重)を測定した。なお、本実施例では、剥離強度が12.0kN以上の場合を「合格」と判定した。
この結果から、本発明に適合する条件で重ねレーザビーム溶接した試験片(No.1,9,17,25,33,41,49,57,65および73)は、いずれも接合部の最終凝固部に割れの発生がなく、溶落ちもなく、剥離強度も12.0kN以上であった。
これに対して、No.2,10,18,26,34,42,50,58,66および74の試験片は、いずれも最終凝固部の最小厚uが合計板厚Tの60%より小さかったため、溶落ちはなかったが、接合部の最終凝固部に割れが発生し、剥離強度も12.0kN未満であった。
また、No.3,11,19,27,35,43,51,59,67および75の試験片は、いずれも溶接部の間隙Gが、鋼板の合計厚Tの15%より大きかったため、溶落ちはなかったが、接合部の最終凝固部に割れが発生し、剥離強度も12.0kN未満であった。
また、No.4,12,20,28,36,44,52,60,68および76の試験片は、いずれも接合部の短軸幅D1が2mmより小さかったため、溶落ちはなかったが、接合部の最終凝固部に割れが発生し、剥離強度も12.0kN未満であった。
また、No.5,13,21,29,37,45,53,61,69および77の試験片は、いずれも接合部の短軸幅D1が8mmより大きかったため、接合部の最終凝固部に割れはなかったが、溶落ちが発生した。
また、No.6,14,22,30,38,46,54,62,70および78の試験片は、いずれも接合部の短軸幅D2が15mmより大きかったため、溶落ちはなかったが、接合部の最終凝固部に割れが発生した。
また、No.7,15,23,31,39,47,55,63,71および79の試験片は、いずれも接合部の短軸幅D1に対する長軸幅D2の比(D2/D1)が5.0より大きかったため、溶落ちはなかったが、接合部の最終凝固部に割れが発生した。
また、No.8,16,24,32,40,48,56,64,72および80の試験片は、いずれも接合部の短軸幅D1に対する長軸幅D2の比(D2/D1)が1.1より小さかったため、やはり、溶落ちはなかったが、接合部の最終凝固部に割れが発生した。
また、No.81および82は、強度レベルが異なる2枚の鋼板を、本発明に適合する条件で重ねレーザビーム溶接した試験片についての試験結果を示した結果であり、590MPa級と980MPa級との組み合わせでも、鋼の成分組成が本発明の好適範囲内であるNo.81は、溶接割れもなく、優れた剥離強度が得られるが、鋼の成分組成が本発明の好適範囲外であるNo.82は、溶接割れが発生し、剥離強度も12.0kN未満であった。
上記したように、本発明に従い重ねレーザビーム溶接を行った本発明例では、いずれも本発明が目的とする特性を有する良好な重ねレーザビーム溶接継手が得られているのに対し、本発明の条件を外れる比較例では、良好な重ねレーザビーム溶接継手を得ることができなかった。
2、3:鋼板
2a:鋼板2の縦壁部
2b:鋼板2のフランジ部
4、14:接合部(溶接スポット)
4a、14a:接合部の最終凝固部(中心部)
5:接合部の最終凝固部の割れ
6:レーザビーム
7:L字鋼板
7a:L字鋼板長辺
7b:L字鋼板の幅
8:剥離試験片
S:接合部を形成するときのレーザビームの照射開始部
E:接合部を形成するときのレーザビームの照射終了部
σa、σb:接合部の最終凝固部に掛かる応力
T:接合部を構成する鋼板の合計厚
u:接合部の最終凝固部の最小厚
D1:長円形接合部の短軸幅
D2:長円形接合部の長軸幅
G:接合部を構成する鋼板間の合計間隙
X:溶接位置
0:溶接位置の基点
Claims (6)
- 複数の鋼板を重ねてなる溶接部を有する重ねレーザスポット溶接継手において、
上記溶接部を構成する鋼板間の合計間隙Gが、溶接部を構成する鋼板の合計厚Tの0~15%の範囲内にあり、
上記溶接部が、断続的に配列した長円形接合部からなり、かつ、
上記長円形接合部が、下記(1)~(5)式のすべてを満たすことを特徴とする重ねレーザスポット溶接継手。
記
1.0≦T≦6.0 ・・・(1)
2.0≦D1≦8.0 ・・・(2)
6.0≦D2≦15.0 ・・・(3)
2.2≦D2/D1≦5.0 ・・・(4)
0.6≦u/T≦1.0 ・・・(5)
ここで、T:溶接部を構成する鋼板の総板厚(mm)
D1:長円形接合部の短軸幅(mm)
D2:長円形接合部の長軸幅(mm)
u:長円形接合部の最終凝固部の最小厚(mm) - 上記鋼板のうちの少なくとも1つが、C:0.07~0.4mass%、Si:0.2~3.5mass%、Mn:1.8~5.5mass%、P+S:0.03mass%以下、Al:0.08mass%以下およびN:0.010mass%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有することを特徴とする請求項1に記載の重ねレーザスポット溶接継手。
- 上記鋼板は、上記成分組成に加えてさらに、以下のA群およびB群のうちの少なくとも1群の成分を含有することを特徴とする請求項2に記載の重ねレーザスポット溶接継手。
記
・A群;Ti:0.0005~0.01mass%およびNb:0.005~0.050mass%のうちから選ばれる1種または2種
・B群;Cr:1.0mass%以下、Mo:0.50mass%以下およびB:0.10mass%以下のうちから選ばれる1種または2種以上 - 上記鋼板のうちの少なくとも1つが、引張強さが980MPa以上の高張力鋼板であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の重ねレーザスポット溶接継手。
- 複数の鋼板を上下に重ね合わせ、該重ね合わせた鋼板の片側表面にレーザビームを断続的に照射して、列状に連続して配列した長円形接合部からなる溶接部を形成して重ねレーザスポット溶接継手を製造する方法において、
上記溶接部を構成する鋼板間の合計間隙Gを、溶接部を構成する鋼板の合計厚Tの0~15%の範囲内とし、
上記長円形接合部は、レーザビームを半円と直線を組み合わせた細長い円形を描くようにスピンさせながら長円形の外側から内側に向かって螺旋状に走査するとともに、
上記長円形接合部が、下記式(1)~(5)式のすべてを満たすよう、レーザ出力、焦点位置、溶接速度、スピン半径および1スピンあたりの移動量およびビーム径のうちの少なくとも1つを制御することを特徴とする重ねレーザスポット溶接継手の製造方法。
記
1.0≦T≦6.0 ・・・(1)
2.0≦D1≦8.0 ・・・(2)
6.0≦D2≦15.0 ・・・(3)
1.1≦D2/D1≦5.0 ・・・(4)
0.6≦u/T≦1.0 ・・・(5)
ここで、T:溶接部を構成する鋼板の総板厚(mm)
D1:長円形接合部の短軸幅(mm)
D2:長円形接合部の長軸幅(mm)
u:長円形接合部の最終凝固部の最小厚(mm) - 請求項1~4のいずれか1項に記載の重ねレーザスポット溶接継手を有する自動車車体用構造部材。
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---|---|---|---|
PCT/JP2019/013704 WO2020194687A1 (ja) | 2019-03-28 | 2019-03-28 | 重ねレーザスポット溶接継手とその製造方法および自動車車体用構造部材 |
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