JP2005262226A - 亜鉛メッキ鋼板のレーザ溶接方法 - Google Patents

亜鉛メッキ鋼板のレーザ溶接方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 レーザ光を使った3枚以上の亜鉛メッキ鋼板の重ね溶接において、溶接部の窪みや気泡の発生を低減するレーザ加工方法を得る。
【解決手段】 上面を亜鉛メッキ層3にて下面を亜鉛メッキ層4にてメッキされた第1の亜鉛メッキ鋼板11と、上面を亜鉛メッキ層5にて下面を亜鉛メッキ層6にてメッキされた第2の亜鉛メッキ鋼板12と、上面を亜鉛メッキ層7にて下面を亜鉛メッキ層8にてメッキされた第3の亜鉛メッキ鋼板13とを、第1の亜鉛メッキ鋼板11と第2の亜鉛メッキ鋼板12との間に第1の隙間101を設け、第2の亜鉛メッキ鋼板12と第3の亜鉛メッキ鋼板13との間に第2の隙間102を設け、この順番に各鋼板を重ねて配置しレーザ溶接を行うことにより、第1の隙間101および第2の隙間102において気化した亜鉛メッキ層の蒸気を各隙間を通して大気中に放出することで、溶接部の窪みや気泡の発生を低減できる。
【選択図】 図1

Description

この発明は、亜鉛メッキ鋼板と呼称される表面処理鋼板において、複数の鋼板を一度に溶接するためのレーザ加工方法に関するものである。
レーザ加工とは、レーザ発振器から出力されたレーザ光をレンズなどの光学部分によって加工面に集束し、このときの高密度エネルギーを利用して切断、溶接などを行う熱加工である。よって、レーザ光は高密度エネルギーであるため、従来法であるアーク溶接などと比較して、被加工物の溶融、凝固の時間が短く、また加工速度が5から10倍以上となる。
一般に、2枚の亜鉛メッキ鋼板をレーザ光を用いて重ね溶接する場合においては、板間に板厚の50%以上の隙間が存在すると、溶融した被加工物が板間の隙間を埋めるために溶接部に生じる窪み(アンダーフィル)105が、図9に示すように大きくなり、その結果、溶接部の強度が母材強度よりも低下し溶接不良の要因となる。また、板間の隙間を設けず溶接を行った場合、亜鉛は金属元素の中でも沸点が低く、また体積膨張率が大きいため、レーザ光の高密度エネルギーにより亜鉛メッキが気化し、亜鉛蒸気が急激な膨張をすることにより、図10に示すように、凝固を開始した母材の溶融物を吹き飛ばしてスパッタ9となり窪み106ができたり、溶融物に取り込まれ、溶接金属中に気泡(ブローホール)104となって介在したりする。これも溶接部の強度を低下させる要因となる。よって、2枚の亜鉛メッキ鋼板をレーザ光を用いて重ね溶接する場合には、板間に適切な隙間を設ける必要がある。
2枚の亜鉛メッキ鋼板の間に隙間を設ける方法としては、例えば可燃性多孔質材からなる薄いシートを2枚の亜鉛メッキ鋼板の間に介在させる方法がある(例えば、特許文献1参照)。また、溶接部に予めレーザの予備照射にて凸部を設けることで隙間を形成する方法もある(例えば、特許文献2参照)。更には、2枚の亜鉛メッキ鋼板の隙間の最適値を求める方法も開示されている(例えば、特許文献3参照)。2枚の亜鉛メッキ鋼板の重ね溶接に関しては、その他、種々の検討が行われている
特開平4−288986号公報(第0014段落、図9) 特開平7−16777号公報(第0030−0032段落、図1) 特開2003−39185号公報(請求項1)
従来の技術においては、2枚の亜鉛メッキ鋼板のレーザ光を用いた重ね溶接に関して検討が行われ実用化が進んできた。一方、従来より3枚以上の重ね溶接部も存在していたが、2枚の重ね溶接に比べレーザ溶接の適用が困難と考えられ、3枚以上の亜鉛メッキ鋼板のレーザ光を用いた重ね溶接に関する検討は見送られてきた。そのため、3枚以上のレーザ重ね溶接の実用化は未だ達成しておらず、早急な技術の確立が必要である。
3枚以上の亜鉛メッキ鋼板のレーザ光を用いた重ね溶接に関する数少ない文献には、例えば、キャブのサイドシルの重合部の重ね溶接に関して、3枚の亜鉛メッキ鋼板をレーザ光を用いて重ね溶接するために、中間の亜鉛メッキ鋼板の溶接部に膨出部を設け、前記膨出部を押圧して平坦化しながらレーザ光を照射して重ね溶接する方法が開示されている(特許文献4)。
特開平11−277265号公報(第0014段落、図9)
しかし、特許文献4に記載の溶接方法では、膨出部の形状、膨出部の大きさ、ローラの加圧量、板厚、その他溶接パラメータが多く、溶接の最適化が困難であり、また溶接の再現性にも問題が生じる。よって、特許文献4に記載の亜鉛メッキ溶接の3枚重ねレーザ溶接方法は、実用化と言える方法ではない。
上記以外の方法としては、例えば、亜鉛メッキ鋼板間の隙間の値を特許文献3に開示された最適値の算出方法にて求め、隙間は特許文献1や特許文献2の方法にて形成することも考えられる。しかし、3枚以上の重ね溶接においては、板間が複数できるため、いずれの板間に隙間を設けるべきかが不明確であり、また、複数の板間にどのように特許文献3に開示された隙間最適値の算出方法を適用すればよいかも不明確である。更には、2枚の重ね溶接に比較し、亜鉛の気化量が大きく、そのため窪み・ブローホールの発生が生じやすいため、最適な間隙量の範囲が狭くなる、等の問題があり、従来の技術をそのまま3枚以上の溶接に適用することは困難である。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、レーザ光を使った3枚以上の亜鉛メッキ鋼板の重ね溶接を一般的な用途に適用できる実用的なレーザ溶接方法を得るものである。
本発明に係る亜鉛メッキ鋼板を3枚以上重ね合せた部分にレーザ光を照射して溶接する方法においては、前記亜鉛メッキ鋼板間全てに間隙を設けて溶接するようにしたものである。
本発明は、重ね溶接をする3枚以上の亜鉛メッキ鋼板の各鋼板間全てに間隙を設けることにより、レーザ溶接時に発生する各鋼板間の亜鉛メッキ蒸気が前記間隙から放出され、溶融金属の飛散が減少し、溶接部表面の窪みが低減される。また溶接金属内に亜鉛蒸気が取り込まれることも減少し、気泡の発生が低減され、良好なレーザ溶接が実施できる。
実施の形態1.
発明者は、レーザ光を用いた3枚の亜鉛メッキ鋼板の重ね溶接に関し、種々の検討を重ね、重ねた亜鉛メッキ鋼板間全てに間隙を設けることが必要であることを見出した。以下その原理を説明する。
図1は、本発明を実施するための実施の形態1における亜鉛メッキ鋼板のレーザ溶接方法を説明する概略図である。図1では3枚の亜鉛メッキ鋼板でのレーザ溶接を例に本実施の形態を説明する。図1において、上面を亜鉛メッキ層3にてメッキされ下面を亜鉛メッキ層4にてメッキされた第1の亜鉛メッキ鋼板11と、上面を亜鉛メッキ層5にてメッキされ下面を亜鉛メッキ層6にてメッキされた第2の亜鉛メッキ鋼板12と、上面を亜鉛メッキ層7にてメッキされ下面を亜鉛メッキ層8にてメッキされた第3の亜鉛メッキ鋼板13とを、第1の亜鉛メッキ鋼板11、第2の亜鉛メッキ鋼板12、第3の亜鉛メッキ鋼板13の順番に各鋼板の間に隙間を設けて重ねて配置しレーザ溶接を行うものである。図1(1)から図1(6)の順に加工が進行する。
図1(1)において、第1の亜鉛メッキ鋼板11の上面にレーザ光1を照射することによりレーザ溶接を開始する。
図1(2)において、レーザ光1の照射により第1の亜鉛メッキ鋼板11の上面の亜鉛メッキ層3が気化を開始する。気化した亜鉛メッキ層3の蒸気103は大気中に放出される。
図1(3)において、亜鉛メッキ層3が蒸発すると第1の亜鉛メッキ鋼板11の母材がレーザ光1により溶融し、溶接金属2を形成する。
図1(4)において、第1の亜鉛メッキ鋼板11の母材がレーザ光1により溶融すると、次に第1の亜鉛メッキ鋼板11の下面の亜鉛メッキ層4と第2の亜鉛メッキ鋼板12の上面の亜鉛メッキ層5が気化を開始する。気化した亜鉛メッキ層4と亜鉛メッキ層5との蒸気103は、第1の亜鉛メッキ鋼板11と第2の亜鉛メッキ鋼板12の間の第1の隙間101を通って大気中に放出される。
図1(5)において、第2の亜鉛メッキ鋼板12の母材が溶融し、溶接金属2の形成が進み、第2の亜鉛メッキ鋼板12の下面の亜鉛メッキ層6と第3の亜鉛メッキ鋼板13の上面の亜鉛メッキ層7が気化を開始する。気化した亜鉛メッキ層6と亜鉛メッキ層7との蒸気103は、第2の亜鉛メッキ鋼板12と第3の亜鉛メッキ鋼板13の間の第2の隙間102を通って大気中に放出される。
図1(6)において、第3の亜鉛メッキ鋼板13の母材が溶融し、溶接金属2の形成が更に進み、第3の亜鉛メッキ鋼板12の下面の亜鉛メッキ層8が気化を開始する。気化した亜鉛メッキ層8の蒸気103は大気中に放出される。
上記のように、3枚の亜鉛メッキ鋼板を重ねてレーザ溶接する場合、各亜鉛メッキ鋼板の間全てに間隙を設けることで、レーザ溶接時に気化した亜鉛メッキ鋼板の表面の亜鉛メッキ層を大気に放出しやすくなるため、溶融金属の飛散が減少し、溶接部表面の窪みが低減される。また、溶接金属内に亜鉛蒸気が取り込まれることも減少し、気泡の発生が低減され、良好なレーザ溶接を実施することができる。
本実施の形態では3枚の亜鉛メッキ鋼板における重ねレーザ溶接にて説明を行ったが、4枚以上の亜鉛メッキ鋼板を重ねレーザ溶接する場合でも、各亜鉛メッキ鋼板の間全てに間隙を設けることにより良好なレーザ溶接が行えることは明らかである。
よって、発明者の検討によれば、3枚以上の亜鉛メッキ鋼板をレーザ光を用いて重ね溶接するには、全ての板間に間隙を設ければよく、その方法は特許文献1や特許文献2に開示されたものでもよく、その他、従来の技術に用いられている方法を適用すればよい。これにより、特許文献4に記載された最適化が困難で再現性に乏しい溶接方法を用いること無く、3枚以上の亜鉛メッキ鋼板のレーザ光による重ね溶接を一般的な用途に実用化可能とすることができる。
次に、本実施の形態における3枚以上の亜鉛メッキ鋼板を重ねてレーザ溶接する方法において、各亜鉛メッキ鋼板の間に設ける間隙の値について考察する。
発明者は、以下の溶接条件にて溶接実験を行い、3枚の亜鉛メッキ鋼板の重ねレーザ溶接における板間の隙間最適値を見出した。
被加工物として、冷間圧延鋼板(SPCC)の両面に亜鉛メッキを45g/m目付けした板厚0.5mmから1.5mmの亜鉛メッキ鋼板を用い、レーザの出力は2.5kWの連続波(CW)とし、アシストガスとしてアルゴンガス(流量毎分15l)を用い、加工速度1.5m/minで加工を行った。前記亜鉛メッキ鋼板を3枚重ねてレーザ溶接し、前記亜鉛メッキ鋼板の板厚および各亜鉛メッキ鋼板の間隙量を変化させて、溶接の良否を判定した。
溶接の良否判定としては以下の2つの項目を採用した。
第1の項目は、亜鉛メッキ層の気化に伴う溶融物の飛散の度合いを、飛散したスパッタ9の質量にて評価するものであり、溶融物の飛散が少ないほどすなわち飛散したスパッタが少ないほど良好な溶接といえる。溶接前後での被加工物の質量の減少を電子天秤により算出し、前記質量の減少分を発生したスパッタ量と見なし、スパッタ量が50mg以下を良好とした。
第2の項目は、溶接部の強度を評価するものであり、3枚重ねて溶接した亜鉛メッキ鋼板の一番上の鋼板と一番下の鋼板との継ぎ手引張強度を測定し、継ぎ手引張強度が母材である亜鉛メッキ鋼板の引張強度と比較し、母材と同等以上を良好な溶接とした。
上記溶接条件による溶接のスパッタ量および継ぎ手引張強度を測定した結果を、図2、図3に示す。
図2においては、被加工物である亜鉛メッキ鋼板の間隙量とスパッタ量の関係をプロットしたグラフである。横軸は、図1における第1の隙間101と第2の隙間102のいずれか狭い方の隙間量dと、図1における第1の亜鉛メッキ鋼板11と第2の亜鉛メッキ鋼板12と第3のメッキ鋼板13の中で最も薄い亜鉛メッキ鋼板の板厚tとの比率d/t(%)を表したものである。縦軸は、スパッタ量(g)を表したものである。スパッタ量が50mg以下の良好な溶接を得るためには、図2よりd/tが10%以上である必要があることがわかる。これは、隙間が狭い場合、気化した亜鉛メッキ層が隙間から抜けきれずに飛散する溶融物が多くなったためと考えられる。
図3においては、被加工物である亜鉛メッキ鋼板の間隙量と継ぎ手引張強度の関係をプロットしたグラフである。横軸は、図2と同様に比率d/t(%)を表したものであり、縦軸は、溶接部の継ぎ手引張強度s1と母材の引張強度s2との比率s1/s2(%)を表したものである。引っ張り強度の比率が100%以上の良好な溶接を得るためには、図3よりd/tが10%以上である必要があることがわかる。これは、隙間が狭い場合、気化した亜鉛メッキ層が隙間から抜けきれずに飛散する溶融物が多くなったり、気化した亜鉛メッキ層が放出されずに溶接金属中に気泡として多数介在したりしたために、継ぎ手引張強度の劣化を招いたと考えられる。
よって、図2および図3より、隙間と板厚の比率が10%以下であると良好な溶接が得られないことが判明した。すなわち、3枚の亜鉛メッキ鋼板を重ねてレーザ溶接する場合に良好な溶接を得るには、各亜鉛メッキ鋼板の隙間量を、各亜鉛メッキ鋼板のうち最も薄い板厚の10%以上にする必要があるということである
次に、上記溶接条件による溶接の継ぎ手引張強度を測定した結果を、別の観点でまとめたものを図4に示す。
図4においては、被加工物である亜鉛メッキ鋼板の間隙量と継ぎ手引張強度の関係をプロットしたグラフである。横軸は、図1における第1の隙間101と第2の隙間102の総和を表した総隙間量Dと、図1における第1の亜鉛メッキ鋼板11と第2の亜鉛メッキ鋼板12と第3のメッキ鋼板13の各板厚の総和を表した総板厚Tとの比率D/T(%)を表したものである。縦軸は、図3と同様に引張強度の比率s1/s2(%)を表したものである。引っ張り強度の比率が100%以上の良好な溶接を得るためには、図4よりD/Tが20%以下である必要があることがわかる。これは、溶融した母材が隙間を埋めるために多量に使われることにより大きなアンダーフィルが発生し、継ぎ手引張強度の劣化を招いたと思われる。
よって、図4より、総隙間と総板厚の比率が20%以上であると、良好な溶接が得られないことが判明した。すなわち、3枚の亜鉛メッキ鋼板を重ねてレーザ溶接する場合に良好な溶接を得るには、各亜鉛メッキ鋼板間の総隙間量を、各亜鉛メッキ鋼板の総板厚の20%以下にする必要があるということである
また、上述した図2、図3の結果より得られた結論である、各亜鉛メッキ鋼板の隙間を各亜鉛メッキ鋼板のうち最も薄い板厚の10%以上にすることと、図4の結果より得られた結論である、各亜鉛メッキ鋼板間の総隙間量を各亜鉛メッキ鋼板の総板厚の20%以下にすることとを、共に満足する溶接方法を採用すれば、更に良好な溶接が得られることは明白である。
本実施の形態では3枚の亜鉛メッキ鋼板における重ねレーザ溶接にて説明を行ったが、4枚以上の亜鉛メッキ鋼板を重ねレーザ溶接する場合でも、各亜鉛メッキ鋼板の間に設ける間隙と各亜鉛メッキ鋼板の板厚間との関係を、上述した関係を満足するように適宜設定することで良好なレーザ溶接が行える。
よって、発明者の検討によれば、レーザ光を用いた3枚以上の亜鉛メッキ鋼板の重ね溶接の板間の隙間の最適値は、適用困難であった特許文献3に記載の方法を用いること無く、本発明にて開示した上記実施の形態1の方法を用いることにより、算出することができる。上述したように隙間の形成は特許文献1や特許文献2に開示されたものでもよく、その他、従来の技術に用いられている方法を適用すればよい。これにより、最適な条件で3枚以上の亜鉛メッキ鋼板のレーザ光による重ね溶接を一般的な用途に実用化可能とすることができる。
実施の形態2.
本実施の形態2は、溶接開始部溶接時もしくは溶接終端部溶接時での入熱過多により大きな窪みができ、良好な溶接が得られない問題を解消する、3枚以上の亜鉛メッキ鋼板の重ねレーザ溶接方法に関するものである。
上述したように、3枚以上の亜鉛メッキ鋼板の重ねレーザ溶接は2枚の重ね溶接に比較し、亜鉛の気化量が大きく、そのため窪み・ブローホールの発生が生じやすいため、3枚溶接の場合、入熱過多は非常に大きな問題となる。
図5は、本発明を実施するための実施の形態2における亜鉛メッキ鋼板の溶接開始部溶接時のレーザ溶接方法を説明する概略図であり、図5(a)は溶接の状況を示したもので、図5(b)は溶接時のレーザ光の出力を示したものである。図6は、比較のための従来の亜鉛メッキ鋼板の溶接開始部溶接時のレーザ溶接方法を説明する概略図であり、図6(a)および図6(b)は図5と同内容である。
図6において、従来は図6(b)に示すようにレーザ光の出力は溶接開始時より同じ出力を保ったまま溶接を行っていた。しかし、図6(a)に示したように、溶接開始部は一般的に被加工物の端辺であり、被加工物の内に入った溶接部に比べ熱容量が小さく、同入熱量に対する亜鉛メッキ層の気化領域10が拡大する。そのため、レーザ光照射時に急膨張する亜鉛メッキ層の体積も大きくなり、より大きな窪みを生じる原因となる。
一方、図5において、本実施の形態2に係る溶接方法は、図5(b)に示すように連続的にレーザ光の出力を増加することにより、入熱量を制御することで、図5(a)に示すように亜鉛メッキ層の気化する領域が常に一定となり、安定した溶接が可能となる。
次に、溶接終端部溶接時の溶接方法を説明する。
図7は、本発明を実施するための実施の形態2における亜鉛メッキ鋼板の溶接終端部溶接時のレーザ溶接方法を説明する概略図であり、図7(a)は溶接の状況を示したもので、図7(b)は溶接時のレーザ光の出力を示したものである。図8は、比較のための従来の亜鉛メッキ鋼板の溶接開始部溶接時のレーザ溶接方法を説明する概略図であり、図8(a)および図8(b)は図7と同内容である。
図8において、従来は図8(b)に示すようにレーザ光の出力は溶接終了時まで同じ出力を保ったまま溶接を行っていた。しかし、図8(a)に示したように、溶接終端部は一般的に被加工物の端辺であり、被加工物の内に入った溶接部に比べ熱容量が小さく、同入熱量に対する亜鉛メッキ層の気化領域10が拡大する。そのため、レーザ光照射時に急膨張する亜鉛メッキ層の体積も大きくなり、より大きな窪みを生じる原因となる。
一方、図7において、本実施の形態2に係る溶接方法は、図7(b)に示すように連続的にレーザ光の出力を減少することにより、入熱量を制御することで、図7(a)に示すように亜鉛メッキ層の気化する領域が常に一定となり、安定した溶接が可能となる。
よって、3枚以上の亜鉛メッキ鋼板の重ねレーザ溶接方法において、上記のように溶接開始部でレーザの出力を連続的に増加することにより、溶接開始部において、窪みの発生を抑制するレーザ溶接を実現することができる。また、溶接終了部でレーザの出力を連続的に減少することにより、窪みの発生を抑制するレーザ溶接を実現することができる。
本発明の実施の形態1を示す亜鉛メッキ鋼板のレーザ溶接方法を説明する加工の概略図である。 本発明の実施の形態1を示す亜鉛メッキ鋼板のレーザ溶接方法の間隙量とスパッタ量の関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態1を示す亜鉛メッキ鋼板のレーザ溶接方法の各間隙量と引張強度の関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態1を示す亜鉛メッキ鋼板のレーザ溶接方法の総間隙量と引張強度の関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態2を示す亜鉛メッキ鋼板のレーザ溶接方法の溶接開始部溶接時の概略図である。 従来の亜鉛メッキ鋼板のレーザ溶接方法の溶接開始部溶接時の概略図である。 本発明の実施の形態2を示す亜鉛メッキ鋼板のレーザ溶接方法の溶接終端部溶接時の概略図である。 従来の亜鉛メッキ鋼板のレーザ溶接方法の溶接終端部溶接時の概略図である。 従来の2枚の亜鉛メッキ鋼板のレーザ溶接方法による加工を説明した概略図である。 従来の2枚の亜鉛メッキ鋼板のレーザ溶接方法による加工を説明した概略図である。
符号の説明
1 レーザ光、
2 溶接金属、
3 第1の亜鉛メッキ鋼板の上面の亜鉛メッキ層、
4 第1の亜鉛メッキ鋼板の下面の亜鉛メッキ層、
5 第2の亜鉛メッキ鋼板の上面の亜鉛メッキ層、
6 第2の亜鉛メッキ鋼板の下面の亜鉛メッキ層、
7 第3の亜鉛メッキ鋼板の上面の亜鉛メッキ層、
8 第3の亜鉛メッキ鋼板の下面の亜鉛メッキ層、
9 スパッタ、
10 亜鉛メッキ層の気化領域
11 第1の亜鉛メッキ鋼板、
12 第2の亜鉛メッキ鋼板、
13 第3の亜鉛メッキ鋼板、
101 第1の亜鉛メッキ鋼板と第2の亜鉛メッキ鋼板との隙間、
102 第2の亜鉛メッキ鋼板と第3の亜鉛メッキ鋼板との隙間、
103 気化した亜鉛メッキ層の蒸気、
104 溶接金属内に取り込まれた亜鉛蒸気気泡(ブローホール)、
105 窪み(アンダーフィル)、
106 窪み、

Claims (6)

  1. 亜鉛メッキ鋼板を3枚以上重ね合せた部分にレーザ光を照射して溶接する方法において、
    前記亜鉛メッキ鋼板間全てに間隙を設けて溶接することを特徴とする、
    亜鉛メッキ鋼板のレーザ溶接方法。
  2. 前記亜鉛メッキ鋼板間の間隙が、
    前記亜鉛メッキ鋼板の板厚の10%以上であることを特徴とする、
    請求項1に記載の亜鉛メッキ鋼板のレーザ溶接方法。
  3. 前記亜鉛メッキ鋼板間の間隙の総和が、
    前記亜鉛メッキ鋼板の板厚の総和の20%以下であることを特徴とする、
    請求項1に記載の亜鉛メッキ鋼板のレーザ溶接方法。
  4. 前記亜鉛メッキ鋼板間の間隙が、
    前記亜鉛メッキ鋼板の板厚の10%以上で、
    かつ前記亜鉛メッキ鋼板間の間隙の総和が、
    前記亜鉛メッキ鋼板の板厚の総和の20%以下であることを特徴とする、
    請求項1に記載の亜鉛メッキ鋼板のレーザ溶接方法。
  5. 溶接開始部溶接時に前記亜鉛メッキ鋼板に照射するレーザ光のエネルギーを連続的に増加させることを特徴とする、
    請求項1から4のいずれかに記載の亜鉛メッキ鋼板のレーザ溶接方法。
  6. 溶接終端部溶接時に前記亜鉛メッキ鋼板に照射するレーザ光のエネルギーを連続的に減少させることを特徴とする、
    請求項1から5のいずれかに記載の亜鉛メッキ鋼板のレーザ溶接方法。
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