JP3767375B2 - 亜鉛系めっき鋼板の重ね溶接方法及び溶接結合薄板 - Google Patents

亜鉛系めっき鋼板の重ね溶接方法及び溶接結合薄板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、亜鉛系めっき鋼板同士、あるいは亜鉛系めっき鋼板と他の金属板とを重ね溶接する溶接法及び溶接結合薄板に関する。
【0002】
【従来の技術】
亜鉛系めっき鋼板の重ね溶接は抵抗溶接法によるのが一般的である。例えば特公昭54-26213号公報に示すように、上下に配置された電極ローラにそれぞれワイヤ電極を巻き掛け、そのワイヤ電極間に亜鉛系めっき鋼板の重ね部を通すことによりシーム抵抗溶接することができる。しかしながら、シーム抵抗溶接法では電極ローラ等を被溶接材の両側に配置しなければならないので構造的に複雑になり、また一般的に溶接部が直線でかつ平坦なものに限られる。したがって、片面溶接や曲線・曲面の溶接には適していない。一方、アーク溶接法によると、亜鉛の沸点が1178℃であり鉄の融点よりも低いため、アーク熱によりめっき層から多量の亜鉛蒸気が発生し、これが溶融金属内に閉じ込められたりして、ビードにポロシティや表面クレータ等の気孔(以下、これらの気孔をブローホールという)を多数発生させビードの荒れがひどくなることが知られている。また、レーザ溶接法の場合でもこの現象を減らすことは困難である。ビードの荒れの現象を説明すると、レーザ溶接ではレーザビームによるキーホール溶接であるが、溶接時に、亜鉛系めっき鋼板の重ね部にあるめっき層から低融点・低沸点の亜鉛が激しく蒸発するため、この亜鉛蒸気により溶融池の溶けた鋼を吹き飛ばしたり、溶鋼中に亜鉛蒸気が侵入したりして、ビードに多数のブローホールを発生させることになる。したがって、レーザ溶接法でも亜鉛系めっき鋼板の重ね溶接はビードの欠陥が多く、一般には適用できないものとされている。しかしながら、レーザ溶接法は入熱が小さいためブローホールの発生を抑制するためには有効な溶接法であると考えられること、直線、曲線に関係なく溶接線形状を自由にでき、溶接の制御性が優れていることなどから、亜鉛系めっき鋼板の重ね溶接には最も適しているものと思われる。特に曲線・曲面溶接が多く、亜鉛系めっき鋼板を多量に使用する自動車産業界ではその実用化に向けて期待が大きい。
【0003】
アーク溶接およびレーザ溶接においてブローホール等の溶接欠陥を抑制する方法として、例えば、特公平6−007978合公報に示すように複数枚重ねあわせた鋼板に隙間を設けることが知られているが、安定に隙間を設けることは困難であることや隙間を設ける工程が必要であり、生産性およびコストの点でも実用的でない。またレーザ溶接では過剰に隙間をあければ溶接部のアンダーフィルを生じ、隙間が著しい場合には上下の鋼板がつながらなくなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような要望に応えるべく開発したものであり、レーザとアークを併用した溶接法による亜鉛系めっき鋼板の重ね溶接において、重ねた亜鉛系めっき鋼板の隙間がゼロでもブローホールの発生をできるだけ防止し、良好なビードを得ることを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、亜鉛系めっき鋼板同士または亜鉛系めっき鋼板と他の金属板との重ね溶接において、溶接予定個所にYAGレーザー照射で溶接する工程と、この工程の後、高温領域の溶接予定個所にガスメタルアーク溶接を行う工程を備え、ガスメタルアーク溶接工程は、ガスメタルアーク溶接後の重ね合わせた2枚の鋼板の間のビード幅が前記YAGレーザー照射の溶接工程で形成されるビード幅の2.0倍以下の範囲であることを特徴とする亜鉛系めっき鋼板の重ね溶接方法。
【0006】
第2の発明は、レーザ照射する工程は、レーザの狙い位置が、ガスメタルアーク溶接の狙い位置よりも0mm以上、3mm以下の範囲であることを特徴とする第1の発明に記載する亜鉛系めっき鋼板の重ね溶接方法。
【0007】
第3の発明は、レーザ照射で溶接する工程は、溶接部が重ねた鋼板を貫通するように、レーザ出力が設定されることを特徴とする第1または第2の発明に記載の亜鉛系めっき鋼板の重ね溶接方法。
【0008】
第4の発明は、鋼板は板厚が0.6mm〜3.2mm、めっき付着量が10g/m2 〜120g/m2 である第1〜第3の発明のいずれかに記載の亜鉛系めっき鋼板の重ね溶接方法。
【0009】
第5の発明は、第1〜第4の発明のいずれかの方法で製造された溶接結合薄板。
【0010】
ここで、本発明の亜鉛系めっき鋼板とは、亜鉛めっき鋼板に限らず、亜鉛ーアルミニウム合金めっき鋼板などのめっき鋼板を意味する。また、めっき付着量は片面のめっき量を表わしている。
【0011】
【発明の実施の形態】
亜鉛系めっき鋼板の重ね溶接において、鋼板間の隙間がゼロの場合には、ブローホールが多発する。発明者は、レーザ溶接とガスメタルアーク溶接を複合化した溶接方法に関して、ブローホールを抑制する技術を見出した。
【0012】
本発明により、ビードのブローホール発生が防止されるメカニズムについて説明する。
【0013】
請求項1に記載の発明によるとレーザ溶接をガスメタルアーク溶接に先立ち行う。図1は、亜鉛めっき2,2を施した2枚の鋼板4,4にYAGレーザー照射6による溶接と、この溶接後に溶接ワイヤ8を用いたガスメタルアーク10による溶接を行う方法を模式的に示したもので、符号12はビード、14は溶融池、16はキーホール、18は気泡(亜鉛蒸気)、20は溶滴を示す。レーザ溶接ではレーザビームの集光点のエネルギー密度が極めて高いため鋼板が瞬時に蒸発しその反発力により溶融金属を押しのけてキーホール16とよばれる深い穴が形成される。溶接時には亜鉛系めっき鋼板4,4の重ね部にあるめっき層2から低融点・低沸点の亜鉛が激しく蒸発するが、この亜鉛蒸気の大部分はキーホール16をとおって外部に放出される。放出できなかった一部の亜鉛蒸気は溶融金属中に気泡18を作るが、レーザ溶接に引き続きガスメタルアーク溶接を行うため、レーザ単独の溶接の場合とくらべて溶融池14の凝固までに時間が長く、溶融金属中に入った亜鉛蒸気は凝固するまでの間に浮上、脱出することができる。また、亜鉛蒸気により吹き飛ばされた溶融金属は、ワイヤ8からの溶融金属により補償できるためアンダーフィルになることを防止できる。
【0014】
また本発明では、溶接後のビード幅を、2枚の板の間において、レーザ溶接のみで形成されるビード幅の2倍以下と規定しているが、それは以下の理由による。先行するレーザ溶接において亜鉛系めっき鋼板の重ね部にあるめっき層は蒸発し亜鉛蒸気の大部分はキーホールより脱出するが、亜鉛が除去されるのは亜鉛の沸点(1178℃)以上に加熱された場所だけであり、レーザ溶接により形成されるビード幅の2倍程度の範囲である。すなわち、図2、図3に示すようにビード12が形成されるのは鋼の融点(約1500℃)以上になった部分であり亜鉛の沸点(1178℃)以上になる部分はビード幅の2倍程度になる。後行するガスメタルアーク溶接ではこの亜鉛が除去された範囲を溶接することにより亜鉛の蒸発を少なくしブローホールの少ない健全な溶接部を得ることができる。ガスメタルアーク溶接後に形成されるビード幅がレーザ溶接のみで形成されたビード幅の2倍を超える場合にはビード幅が広くなるにしたがいブローホールの発生が多くなる。
【0015】
また、本発明では、YAGレーザ照射後にガスメタルアーク溶接を行っている。YAGレーザの照射点で鋼材は、溶融・蒸発する。この高温領域では、YAGレーザ照射により金属蒸気密度および金属イオン密度が高いことに加えて、鋼材からの熱電子放出エネルギー或いは鋼材への熱電子吸収エネルギーも大幅に低下するため、ここにアークを照射すれば容易にアークの陽極点或いは陰極点になりやすく、アークの発生・維持が安定化する。このためガスメタルアーク溶接が可能となる溶接速度や溶接電流の範囲が広く、特に小入熱で高速の溶接が可能となる。本発明ではレーザ溶接に引き続き行われるガスメタルアーク溶接後に形成されるビード幅をレーザ溶接のみで形成されたビード幅の2倍以下にするため、ガスメタルアーク溶接の入熱をレーザ溶接と同等程度にする必要がある。また、ガスメタルアーク溶接の溶接速度は当然のことながら先行するレーザ溶接の溶接速度と同じでなければならない。YAGレーザ照射によるガスメタルアーク溶接の安定化効果により、このような小入熱、高速の溶接が可能となる。
【0016】
また、本発明ではレーザをYAGに限定している。YAGレーザはアークにより発生するプラズマに吸収されないのでアーク中に照射することができる。しかし、炭酸ガスレーザはアークにより発生するプラズマに吸収されるので、レーザ照射位置をアーク溶接位置から離さなければならずレーザとアークの複合効果、すなわちアークの安定化効果が得られない。
【0017】
また本発明では、ガスメタルアーク溶接で溶接用ワイヤを添加するため、鋼板に隙間が開いている場合にもレーザ溶接単独と比べて隙間許容量を大幅に増加させることができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によると、レーザの狙い位置は、溶接線方向に対して、ガスメタルアーク溶接の狙い位置よりも0〜3mm先行するように設定されている。レーザの狙い位置とガスメタルアーク溶接の狙い位置の距離が、3mmを越えて設定された場合には、両者の距離が離れすぎているため、レーザビームにより形成される溶融池とガスメタルアークにより形成される溶融池とが分離してしまい、溶融金属中に入った亜鉛蒸気の浮上、脱出が起こりにくくなりブローホールが多くなる。
【0019】
請求項3に記載の発明によると、レーザを照射する工程と、この照射工程の後にガスメタルアーク溶接を行う溶接法において、溶接部が重ねた鋼板を貫通するようにレーザ出力設定されている。レーザ照射により形成されるキーホールが鋼板を貫通すると裏側からも亜鉛蒸気が排出されるため、キーホールが鋼板を貫通していない場合と比較して、ブローホールは抑制される傾向にある。
【0020】
請求項4に記載の発明によると、対象とする亜鉛系めっき鋼板は板厚が0.6mm〜3.2mmの薄鋼板である。工業レベルで使用されるレーザは、装置コスト面からも高々5kW程度であるため、対象とする亜鉛系めっき鋼板の板厚は、3.2mm以下が望ましい。
【0021】
また、めっき付着量は少ないほうがブローホールの発生量は少ないため望ましいが、めっき付着量が45g/m2 以下であれば、完全にブローホールを抑制することができる。めっき付着量が45g/m2 超えで120g/m2 以下でも、若干ブローホールは発生するが継手強度およびシール特性等の性能面で、実用的に問題ないレベルとなる。
【0022】
また、本発明のレーザ発振器は、溶接に用いるため出力200ワット以上、好適にはキロワットクラスの出力が必要である。光学系には、変向用反射ミラーと数枚の正負の集束レンズを組合わせた光学系を備えるものが好ましいが、レンズ系を用いずに凹面鏡と凸面鏡の組み合わせだけでレーザ光を集束するようにしてもよい。
【0023】
ガスメタルアーク溶接装置は、金属薄板の溶接を対象とするため、溶接用ワイヤは直径1.2mm以下の細径ワイヤを用いるのが望ましい。シールドガスには、アークの安定性と溶接金属の酸化防止とを同時に達成するために、アルゴンガス等の不活ガスを用いることが望ましいが、アルゴンガス中に炭酸ガスを10〜100%範囲で混合させたガスおよびアルゴンガス中に水素ガス或いはヘリウムガスを2〜20%の範囲で混合させたガスを用いることもできる。
【0024】
そして、これら方法で得られた請求項5に記載の溶接結合薄板は、溶接ビードのブローホールがなく、良好なビード幅の溶接部を有する。
【0025】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0026】
[実施例1]
板厚がそれぞれ、0.8mm、1.6mmおよび2.6mmの両面亜鉛めっき鋼板を用いて、鋼板を2枚重ね、隙間をゼロにしてYAGレーザ溶接とガスメタルアーク溶接を複合化し溶接を行った。
【0027】
YAGレーザ出力は、重ね合わせた鋼板を十分に貫通させることができる2kW以上に設定した。すべての場合でレーザが重ねた鋼板を貫通する条件に設定した。また、アーク電流は70Aから300Aの範囲に変化させた。また、レーザの狙い位置とガスメタルアークの狙い位置との間隔は2mmにして溶接を行った。溶接条件を表1に示す。
【0028】
またYAGレーザ単独でのビード幅を調べるためガスメタルアークと複合せずにYAGレーザのみの溶接もレーザー出力を変えておこなった(No.1,6,14,19,25)。いずれの材料もめっき付着量が片面45g/m2 の亜鉛めっき鋼板である。
【0029】
溶接部の品質評価は、以下のように行った。まず、目視により溶接ビード表面のピット数をカウントした。次いで、溶接ビード内に内在するブローホールをX線透過試験により検出し、その個数をカウントした。
【0030】
評価基準は、以下のように定義した。欠陥個数は、溶接ビード1m当りに発生しているブローホールおよびピットの合計として表示している。溶接継手強度面から実用上差し支えないブローホールとピットの合計を最大限N=30個/mとして、欠陥個数Nが30個/m以下を「○」とした。さらに、ブローホールとピットの合計がN=10個/m以下の場合を「◎」とした。また、ブローホールとピットの合計が最大限N=30個/mを超える場合には、溶接継手強度の低下をきたすため、品質評価結果を「×」とした。くわえて、ブローホールおよびピット等の溶接欠陥が溶接部を貫通すると耐食性が低下するため、1個でも貫通欠陥が存在する場合も「×」とした。
【0031】
また、溶接部断面を光学顕微鏡を用いて観察し、重ね合わせた2枚の鋼板の間のビード幅を測定した。
【0032】
結果を第2表に示す。YAGレーザ溶接とガスメタルアーク溶接を複合化した溶接法ではビード幅がレーザ単独の2倍以下の場合(No.2−4,7−10,15−17,20−23,26,27)には欠陥個数が30個/m以下となり、品質は良好である。
【0033】
一方、溶接ビード幅がレーザ単独の場合の2倍を超えた場合(No.5,11−13,18,24,28,29)にはブローホールの発生が多くなる。
【0034】
【表1】
Figure 0003767375
【0035】
【表2】
Figure 0003767375
【0036】
[実施例2]
板厚がそれぞれ、0.8mmおよび1.6mmの両面亜鉛めっき鋼板を用いて、鋼板を2枚重ね、隙間をゼロにしてYAGレーザ溶接とガスメタルアーク溶接を複合化し溶接を行った。いずれの材料もめっき付着量が片面45g/m2 の亜鉛めっき鋼板である。またYAGレーザ単独でのビード幅を調べるためガスメタルアークと複合せずにYAGレーザのみ溶接もおこなった(No.30,35)。
【0037】
YAGレーザ出力は、重ね合わせた鋼板を十分に貫通させることができる2kW以上に設定し、すべての場合でレーザが重ねた鋼板を貫通する条件に設定した。また、レーザの狙い位置とガスメタルアークの狙い位置との間隔を0mmから10mmまで変化させた。
【0038】
評価基準は、実施例1と同様におこなった。結果を第3表に示す。レーザの狙い位置とガスメタルアークの狙い位置との間隔が3mm以下の場合(No,31−33,36−38)にはブローホールの数が少なく好適である。3mmを超えると(No.34,39)ブローホールが多くなった。
【0039】
【表3】
Figure 0003767375
【0040】
[実施例3]
板厚がそれぞれ、1.6および2.3mmの両面亜鉛めっき鋼板を用いて、鋼板を2枚重ね、隙間をゼロにしてYAGレーザ溶接とガスメタルアーク溶接を複合化し溶接を行った。いずれの材料もめっき付着量が片面45g/m2 の亜鉛めっき鋼板である。またYAGレーザ単独でのビード幅を調べるためガスメタルアークと複合せずにYAGレーザのみ溶接もレーザー出力を変えておこなった(No,40,42,44,46,48)。
【0041】
YAGレーザ出力を変えてレーザが重ねた鋼板を貫通する場合と貫通しない場合について調べた。またレーザの狙い位置とアークの狙い位置との間隔は2mmとした。
【0042】
評価基準は、実施例1と同様におこなった。結果を第4表に示す。レーザが重ねた鋼板を貫通した場合(No.43,49)には貫通しない場合(No.41,47)に比べてブローホールの発生が少ないことがわかる。
【0043】
【表4】
Figure 0003767375
【0044】
[実施例4]
板厚が1.6mmの両面亜鉛めっき鋼板を用いて、鋼板を2枚重ね、隙間をゼロにしてYAGレーザ溶接とガスメタルアーク溶接を複合化し溶接を行った。鋼板のめっき付着量は片面45,80,120,150g/m2 の4種類とした。またYAGレーザ単独でのビード幅を調べるためガスメタルアークと複合せずにYAGレーザのみ溶接もレーザー出力を変えておこなった(No.50,52,54,56)。レーザの狙い位置とアークの狙い位置との間隔は2mmとした。
【0045】
評価基準は、実施例1と同様におこなった。結果を第5表に示す。めっき付着量が増えるに従いブローホールの数がふえるが、めっき量が120g/m2 以下の場合(No.51,53,55)にはブローホールが少なく特に好適である。
【0046】
【表5】
Figure 0003767375
【0047】
[実施例5]
板厚が1.6mmの両面亜鉛めっき鋼板を用いて、鋼板を2枚重ね、隙間を0から0.6mmまで変えてYAGレーザ溶接とガスメタルアーク溶接を複合化し溶接を行った。
【0048】
いずれの材料もめっき付着量が片面45g/m2 の亜鉛めっき鋼板である。またYAGレーザ単独でのビード幅を調べるためガスメタルアークと複合せずにYAGレーザのみ溶接もおこなった。レーザの狙い位置とアークの狙い位置との間隔は2mmとした。
【0049】
第6表に、溶接試験結果を示す。溶接試験の評価は、以下のように行った。ブローホールが少なく(30個/m以下)、継手強度が十分な溶接部が得られた場合を「○」とした。これに加えてブローホールが極めて少ない(10個/m以下)の場合を「◎」とした。ブローホールが多発して(31個/m以上)継手強度が低下した場合を「×」とした。また、上側と下側の鋼板がつながらない場合も、継手強度がゼロのため、「×」とした。
【0050】
レーザ単独溶接では、隙間が0の場合(No.58)には、ブローホールが多発して継手強度が低下した。また隙間が0.2mmの場合(No.60)にはブローホールがなく十分な継手強度が得られるが、0.4mm以上になると上下の鋼板がつながらなくなる(No.62,64)。これに対し本発明の溶接方法(No.59,61,63,65)によれば隙間が0から0.6mmまでの範囲で良好な継手が得られる。
【0051】
【表6】
Figure 0003767375
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば亜鉛系めっき鋼板の重ね溶接において、鋼板の隙間が0でもブローホールによる欠陥なしに溶接することができる上、若干の隙間が空いていても上下の鋼板がつながり、十分な継手強度を有するため、上下の鋼板の隙間を厳密に管理することなく溶接することができる。さらには、溶接速度はレーザ単独の溶接と同等である。このため自動車車体の組み立て溶接などにおいて、亜鉛系めっき鋼板の重ね溶接を高能率で歩留まりよく行うことができ実用上、極めて有用な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における亜鉛めっき蒸気によるブローホール発生を抑止する機構を説明する図。
【図2】先行するレーザ溶接により形成されるビードと亜鉛めっきが除去される範囲との関係を示した図。
【図3】レーザ溶接単独により形成される溶接部の断面と本願発明の溶接により形成される溶接部断面を示した図。
【符号の説明】
2...亜鉛めっき
4...鋼板
6...YAGレーザー照射
8...溶接ワイヤ
10..ガスメタルアーク
12..ビード
14..溶融池
16..キーホール
18..気泡(亜鉛蒸気)
20..溶滴

Claims (5)

  1. 亜鉛系めっき鋼板同士または亜鉛系めっき鋼板と他の金属板との重ね溶接において、溶接予定個所にYAGレーザー照射で溶接する工程と、この工程の後、高温領域の溶接予定個所にガスメタルアーク溶接を行う工程を備え、ガスメタルアーク溶接工程は、ガスメタルアーク溶接後の重ね合わせた2枚の鋼板の間のビード幅が前記YAGレーザー照射の溶接工程で形成されるビード幅の2.0倍以下の範囲であることを特徴とする亜鉛系めっき鋼板の重ね溶接方法。
  2. レーザ照射する工程は、レーザの狙い位置が、ガスメタルアーク溶接の狙い位置よりも0mm以上、3mm以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の亜鉛系めっき鋼板の重ね溶接方法。
  3. レーザ照射で溶接する工程は、溶接部が重ねた鋼板を貫通するように、レーザ出力が設定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の亜鉛系めっき鋼板の重ね溶接方法。
  4. 鋼板は板厚が0.6mm〜3.2mm、めっき付着量が10g/m〜120g/mである請求項1〜3のいずれかに記載の亜鉛系めっき鋼板の重ね溶接方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかの方法で製造された溶接結合薄板。
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