JP2008049362A - 亜鉛系めっき鋼板のレーザー溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】レーザー光を出力するレーザーヘッドと被溶接体2との間の側方空間に設けたノズル11から被溶接体のレーザー光照射位置にシールドガスを噴射しつつ、焦点位置でのスポット径に対する焦点距離の比率が300以上となるように調整したレーザー光3を被溶接体2の溶接部位に照射してレーザー溶接する。
【選択図】図4
Description
特許文献1では、レーザー溶接する際に被溶接体に噴射するシールドガス中に酸素を混入する方法が提案されている。この方法は、溶接時に形成される溶融池の粘性を低下させて発生する亜鉛蒸気を抜けやすくするとともに、亜鉛蒸気を酸化亜鉛や過酸化亜鉛にして固定化させてブローホールの発生を抑制させている。
また、特許文献2では、シールドガス中に二酸化炭素を混入し、亜鉛蒸気を二酸化炭素中の酸素と化合させ、酸化亜鉛や過酸化亜鉛として固定化してブローホールの発生を抑制するとともに、二酸化炭素により鉄の酸化を抑制してスラグの発生を少なくする方法が提案されている。
本発明は、このような問題を解決するために案出されたものであり、亜鉛蒸気を酸化させずにブローホール発生を抑制する方法を提供することを目的とする。
そして、レーザー光を出力するレーザーヘッドと被溶接体との間の側方空間にシールドガスを噴射するノズルを設け、当該ノズルから被溶接体のレーザー光照射位置にシールドガスを噴射しつつレーザー光を照射して溶接することが好ましい。
また、シールドガスの噴射を、被溶接体のレーザー光照射位置に近い側方からにすることにより溶融池の形状をコントロールして、亜鉛蒸気が上昇しやすい状態にしている。上記対流効果との総合により、ブローホールの発生をさらに抑制することができる。
各種溶接法の中でもレーザー溶接は、熱源となるレーザー光が非常に小さくて局所加熱となることから、溶融池の冷却速度も非常に速くなり、それによってブローホールの発生量がより多くなるという特性がある。ブローホールが溶接部に発生すると接合部の体積が減少する。そして、ブローホールの発生量によっては接合強度が大きく低下する場合もあることから、ブローホール発生量の低減は、健全な溶接部を得るためには重要な品質となる。
亜鉛蒸気が排出しやすいような対流にするには、レーザー溶接の場合、溶融池の冷却速度が速く溶融池に対流が存在している時間が短いことから、先ずは対流の存続時間をより長くすることが必要である。つまりは、対流をより活性化することが必要であり、そのためには溶融池内で温度が高い領域をより広くして対流が動きやすい状態を作り上げれば良い、と想定した。
この理由として、焦点位置のレーザー光のスポット径が同じであっても、焦点距離の長い方が焦点深度が増加して溶融池内における高温領域が広がり、これによって対流がより長い時間存続して亜鉛蒸気を溶融池外に排出できる点が挙げられる。これに対して、焦点位置でのスポット径に対する焦点距離の比率が所定値に満たないと、溶融池の対流の活性化効果が十分でなく、ブローホール発生量の低減効果を効果的に得ることができない。
溶融池内への酸素混入を防止するには、レーザー溶接中に与えられるシールドガスでのシールド作用を強化することが必要である。そのためには、シールドガスを被溶接体のレーザー光照射位置に近い地点で噴射させれば良いことになる。
レーザー光照射位置へのガス噴射によってシールド作用が強化され、ブローホールの発生量が低減されるが、具体的な効果については後述の実施例に示す。また、シールドガスを噴射させるノズルと被溶接体のレーザー光照射位置との距離については、50mm以下とすることが望ましい。その距離が離れすぎると、溶融池内への酸素混入を防止するシールド作用が薄れ、ブローホールの発生量を効果的に低減できなくなる。
板厚が0.8mm,板幅が50mm,全長が200mmで、めっき付着量が片面90g/m2の亜鉛めっき鋼板1と同じ寸法の冷延鋼板1’を図4に示すように密接に重ね合わせてレーザー溶接を行なった。
なお、レーザー溶接機は、ビームモードがシングルモードのファイバーレーザー溶接機を用い、レーザー出力を2.5kW,溶接速度を2m/min,レーザー光の焦点位置を亜鉛めっき鋼板1の表面として、焦点位置でのレーザー光のスポット径と焦点距離を種々変更した溶接を行った。
溶接したサンプルは、溶接ビード上面よりX線検査を行なってブローホールの個数を計測した。ブローホール発生量は、溶接ビード長に対するブローホールの直径の総和の比率で表した。
結果を表1に示す。
表1の結果から、ブローホール発生量は、レーザー光の焦点位置でのスポット径に対する焦点距離の比率を300以上とすることにより大きく低減することがわかる。
シールドガスを噴射するノズル11のレーザー光焦点位置からの距離を種々変更してレーザー溶接を行ない、ブローホール発生量を比較した。
レーザー光の焦点位置におけるスポット径を0.3mm,焦点距離を300mmとした点以外は、材料,溶接条件,シールドガス種類,流量とも実施例1と同じにした。
結果を表2に示す。
表2の結果から、ブローホール発生量は、シールドガスを噴射するノズル11のレーザー光焦点位置からの距離を小さくすることにより低減することがわかる。
3:レーザー光 4:板間 5:亜鉛蒸気 6:キーホール 7:溶融池
8:対流 9:焦点深度 10:対流の流れ方向 11:シールドガスの噴射ノズル
Claims (2)
- 亜鉛系めっき鋼板同士あるいは亜鉛系めっき鋼板と他の金属を組み合わせた被溶接体をレーザー溶接する際に、焦点位置でのスポット径に対する焦点距離の比率が300以上となるように調整したレーザー光を被溶接体の溶接部位に照射することを特徴とする亜鉛系めっき鋼板のレーザー溶接方法。
- レーザー光を出力するレーザーヘッドと被溶接体との間の側方空間にシールドガスを噴射するノズルを設け、当該ノズルから被溶接体のレーザー光照射位置にシールドガスを噴射しつつレーザー光を照射する請求項1記載の亜鉛系めっき鋼板のレーザー溶接方法。
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